JP2022144278A - 固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】欠陥修復の機会を向上させ、漏れ電流を低減させた固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法を提供する。【解決手段】固体電解コンデンサは、コンデンサ素子と導電性高分子層と電解液とを備える。コンデンサ素子は、陽極箔と陰極体とを対向させて成る。導電性高分子層は、導電性ポリマーの粒子又は粉末と溶媒を含む分散体が含浸して形成される。電解液は、コンデンサ素子に含浸している。ここで、陰極体は、陰極箔とカーボン層とを有する。陰極箔は、弁金属により成り、表面に拡面層が形成されている。カーボン層は、拡面層上に積層され、当該拡面層とは反対面で導電性高分子層と接触する。そして、拡面層内に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は、前記カーボン層のうちの前記導電性高分子層に面する表層側に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも少ない。【選択図】図1

Description

本発明は、固体電解質と電解液とを併用したハイブリッドタイプの固体電解コンデンサと当該固体電解コンデンサの製造方法に関する。
タンタル或いはアルミニウム等の弁作用金属を利用する電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体或いはエッチング箔等の形状にして拡面化することにより、小型で大きな容量を得られる。特に、誘電体酸化皮膜を固体電解質で覆った固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えており、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせない。
固体電解質としては、二酸化マンガンや7,7,8,8-テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られている。近年は、固体電解質としてπ共役二重結合を有するモノマーから誘導された導電性高分子が急速に普及している。この導電性高分子としては、例えばポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が挙げられる。導電性高分子は、化学酸化重合又は電解酸化重合の際に、有機スルホン酸等のポリアニオンがドーパントとして用いられて高い導電性が発現し、また誘電体酸化皮膜との密着性に優れている。
ここで、陽極箔に形成された誘電体酸化皮膜、及び陰極箔に自然的又は意図的に形成された酸化皮膜に欠陥が生じると、漏れ電流が大きくなってしまう。陽極箔や陰極箔の欠陥は、一例として固体電解コンデンサを実装する際のリフロー熱に起因して発生する。即ち、リフロー工程で箔に熱が加わると、箔の材質である弁作用金属と酸化皮膜の熱膨張係数の違いにより、酸化皮膜が弁作用金属の膨張に追従できず、酸化皮膜に欠陥が生じる。
電解液を用いた液体型の電解コンデンサでは、電解液が欠陥を修復するため、漏れ電流を抑制できる。しかしながら、固体電解コンデンサは、コンデンサ素子に電解液を含浸させ、導電性高分子層を有さない液体型の電解コンデンサと比べて、誘電体酸化皮膜の欠陥部の修復作用に乏しい。そこで、陽極箔と陰極箔とを対向させたコンデンサ素子に導電性高分子層を形成すると共に、コンデンサ素子の空隙に電解液を含浸させた所謂ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサが注目されている。
特開2006-114540号公報
しかしながら、固体電解コンデンサは、電解液を併用したとしても、導電性高分子層を有さない液体型の電解コンデンサと比べると、酸化皮膜に生じた欠陥部の修復作用に乏しく、漏れ電流が大きい傾向がある。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、欠陥修復の機会を向上させ、漏れ電流を低減させた固体電解コンデンサ及び固体電解コンデンサの製造方法を提供することにある。
上述の課題を解決すべく、本発明の固体電解コンデンサは、陽極箔と陰極体とを対向させて成るコンデンサ素子と、導電性ポリマーの粒子又は粉末と溶媒を含む分散体が含浸して形成された導電性高分子層と、前記コンデンサ素子に含浸した電解液と、を備え、前記陰極体は、弁金属により成り、表面に拡面層が形成された陰極箔と、前記拡面層上に積層され、当該拡面層とは反対面で前記導電性高分子層と接触するカーボン層と、を有し、前記拡面層内に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は、前記カーボン層のうちの前記導電性高分子層に面する表層側に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりもが少ないこと、を特徴とする。
これに限られないが、欠陥部の発生箇所に導電性ポリマーの粒子又は粉末が付着していると、導電性ポリマーの粒子又は粉末が障壁となって電解液が欠陥部を修復できない現象が起ると考えられる。この推定から、酸化皮膜に付着する導電性ポリマーの粒子又は粉末を少なくすることができれば、欠陥部を修復できる機会が多くなり、欠陥修復作用が向上し、漏れ電流低減につながる。
但し、導電性高分子層は電解コンデンサにおいて真の陰極となるため、陽極箔に形成した誘電体酸化皮膜に密着させる必要がある。一方で、陰極箔に自然的又は意図的に形成された酸化皮膜に生じる欠陥部を修復することによっても、欠陥部の全体数は少なくできる。そこで、導電性ポリマーの粒子又は粉末が導電性高分子層から、酸化皮膜のあるエッチング層へ移動することを阻止する隔壁としてカーボン層を陰極箔に配置するようにしたものである。しかも、拡面層内に含まれる導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は、カーボン層のうちの導電性高分子層に面する表層側に含まれる導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも少なくなるようにしたものである。
これにより、陰極側の欠陥部を修復する機会が向上した分だけ、固体電解コンデンサ全体の欠陥部の数は少なくなり、漏れ電流を低減させることができる。もっとも、陰極箔の前記拡面層には酸化皮膜が形成されていなければ効果は得られないが、この酸化皮膜は自然的に生じたものでもよいし、意図的に形成されたものでもよい。また、前記カーボン層を、前記電解液が通り抜け可能にする。
尚、陰極側の欠陥部を導電性ポリマーの粒子又は粉末が塞いでしまう事態を減らすことができればよいため、拡面層内に導電性ポリマーの粒子又は粉末が全く存在しない状態にしなくてよい。また、前記カーボン層のうちの前記拡面層に面する拡面層側に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は、前記カーボン層の前記表層側の前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも少なく、且つ前記拡面層内の前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも多いようにし、即ち、カーボン層内で導電性ポリマーの粒子又は粉末の密度に勾配が生じていてもよい。
前記カーボン層は、圧縮され、且つ前記エッチング層に圧接しているようにしてもよい。これにより、カーボン層を構成する炭素材がより不規則に配列するため、カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙が途中で寸断されたり、カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙が蛇行する所謂ラビリンス構造を有する。そうすると、導電性ポリマーの粒子又は粉末が空隙に入り込んでも、拡面層には到達できずにカーボン層に捕捉される。結果として、導電性ポリマーの粒子又は粉末の拡面層への侵入が抑制される。また、カーボン層が圧縮されることで陰極箔の表面全体に炭素材がより緻密に配置され、陰極体全体としても導電性ポリマーの粒子又は粉末の拡面層への侵入が抑制される。
また、カーボン層を圧接することにより、カーボン層の空隙の開口部の大きさが小径化し、カーボン層の空隙の平均が導電性ポリマーの粒子又は粉末のうち酸化皮膜の欠損の修復に影響を与えるような粒径より小さくなる。また、カーボン層から炭素材が遊離し難くなり、炭素材が陽極箔の誘電体酸化皮膜に付着して絶縁性を低下させたり、誘電体酸化皮膜の欠陥に付着してしまうことを阻止できる。
また、上述の課題を解決すべく、固体電解コンデンサの製造方法も本発明の一態様であり、この固体電解コンデンサの製造方法は、拡面層が形成された弁金属の陰極箔に対し、当該拡面層上にカーボン層を形成するカーボン層形成工程と、前記カーボン層を前記陰極箔に押し付ける押圧工程と、前記陰極箔と前記カーボン層とを備える陰極体と陽極箔とを対向させてコンデンサ素子を形成する素子形成工程と、前記コンデンサ素子に、導電性ポリマーの粒子又は粉末と溶媒を含む分散体を含浸させる分散体含浸工程と、前記コンデンサ素子に、電解液を含浸させる電解液含浸工程と、を含むこと、を特徴とする。これにより、カーボン層が圧縮され、且つ前記エッチング層に圧接する。
本発明によれば、陰極側の酸化皮膜の欠陥修復作用を向上させ、漏れ電流を低減させることができる。
実施例、比較例及び参考例の漏れ電流を示すグラフである。
以下、本発明の実施形態に係る固体電解コンデンサ及び製造方法について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
(各部構成)
固体電解コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子であり、導電性高分子層と電解液とが併用された所謂ハイブリッドタイプに分類される。以下、ハイブリッドタイプの固体電解コンデンサを単に固体電解コンデンサと呼ぶ。この固体電解コンデンサは、巻回型又は積層型のコンデンサ素子を有する。コンデンサ素子は、陽極箔、陰極体、導電性高分子層、電解液及びセパレータを備える。
陽極箔及び陰極体の陰極箔は、弁作用金属を材料とする箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%以上が望ましく、陰極箔に関して99%程度以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。陰極箔としては、例えばJIS規格H0001で規定される調質記号がHであるアルミニウム材、いわゆるH材や、JIS規格H0001で規定される調質記号がOであるアルミニウム材、いわゆるO材を用いてもよい。
陽極箔及び陰極箔は、箔一面又は箔両面に拡面構造を有する拡面層が形成されている。拡面層は、電解エッチング、ケミカルエッチング若しくはサンドブラスト等により形成され、又は箔体に金属粒子等を蒸着若しくは焼結することにより形成される。即ち、拡面層は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。電解エッチングとしては塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングが挙げられる。また、ケミカルエッチングでは、金属箔を酸溶液やアルカリ溶液に浸漬させる。尚、トンネル状のピットは、箔を貫通する長さで形成されていてもよいし、箔の中心に未達の長さで形成されていてもよい。
陽極箔の誘電体酸化皮膜は、典型的には、陽極箔の表層に形成される酸化皮膜であり、陽極箔がアルミニウム製であれば拡面層の表層を酸化させた酸化アルミニウムである。この誘電体酸化皮膜は、アジピン酸、ホウ酸又はリン酸等の水溶液等のハロゲンイオン不在の溶液中で電圧印加する化成処理により意図的に形成される。陰極箔の表層にも、この化成処理によって意図的に酸化皮膜が形成され、又は自然的に酸化皮膜が形成される。陰極箔の表層に自然的に発生する自然酸化皮膜は、陰極箔が空気中の酸素と反応することにより形成される。
陰極体は、陰極箔の他にカーボン層を備えている。カーボン層は、陰極箔の拡面層の上に積層されている。カーボン層は炭素材を含有する層である。炭素材は、繊維状炭素、炭素粉末、又はこれらの混合である。繊維状炭素や炭素粉末は、賦活処理や孔を形成する開口処理などの多孔質化処理が施されていることが好ましい。
炭素粉末は、例えば、やしがら等の天然植物組織、フェノール等の合成樹脂、石炭、コークス又はピッチ等の化石燃料由来のものを原料とする活性炭、ケッチェンブラック、アセチレンブラック、チャネルブラック又はサーマルブラック等のカーボンブラック、カーボンナノホーン、無定形炭素、天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化ケッチェンブラック、メソポーラス炭素等である。繊維状炭素は、例えば、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等である。カーボンナノチューブは、グラフェンシートが1層である単層カーボンナノチューブでも、2層以上のグラフェンシートが同軸状に丸まり、チューブ壁が多層をなす多層カーボンナノチューブ(MWCNT)でもよい。
カーボン層の陰極箔への形成方法としては、真空蒸着、スパッタ法、イオンプレーティング、CVD法、塗布、電解めっき、無電解めっき等が挙げられる。塗布法による場合、炭素材を分散溶媒中に分散させてスラリーを作製し、スラリーキャスト法、ドクターブレード法又はスプレー噴霧法等によって陰極箔にスラリーを塗布及び乾燥させる。蒸着法による場合、真空中で炭素材を通電加熱することで蒸発させ、又は真空中で炭素材に電子ビームを当てて蒸発させ、陰極箔上に炭素材を成膜する。また、スパッタ法による場合、炭素材により成るターゲットと陰極箔とを真空容器に配置し、真空容器内に不活性ガスを導入して電圧印加することによって、プラズマ化した不活性ガスをターゲットに衝突させ、ターゲットから叩き出された炭素材の粒子を陰極箔に堆積させる。
導電性高分子層は、導電性ポリマーの粒子又は粉末を含む層である。本明細書において、「導電性ポリマー」とは、導電性を有するポリマーを意味し、導電性ポリマーとドーパントからなる導電性ポリマー化合物も含まれる。また、本明細書において、「導電性ポリマーの粒子又は粉末」は、粒子状または粉末状の導電性ポリマーであればよく、導電性ポリマーの粒子や粉末が凝集してなる凝集体も含まれる。
この導電性ポリマーは、共役系高分子又はドーピングされた共役系高分子である。共役系高分子としては、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。導電性ポリマーとして、代表的には、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたPEDOTと呼称されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が挙げられる。これら共役系高分子は、単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、更に2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
電解液の溶媒は、特に限定されるものではないが、プロトン性の有機極性溶媒又は非プロトン性の有機極性溶媒を用いることができる。プロトン性の極性溶媒として、一価アルコール類、及び多価アルコール類、オキシアルコール化合物類、水などが代表として挙げられる。非プロトン性の極性溶媒としては、スルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、スルホキシドを含むオキシド系などが代表として挙げられる。
電解液に含まれる溶質は、アニオン及びカチオンの成分が含まれ、典型的には、有機酸若しくはその塩、無機酸若しくはその塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物若しくはそのイオン解離性のある塩であり、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。アニオンとなる酸及びカチオンとなる塩基を溶質成分として別々に電解液に添加してもよい。
さらに、電解液には他の添加剤を添加することもできる。添加剤としては、ポリエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物、リン酸エステル、コロイダルシリカなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。ニトロ化合物は、電解コンデンサ内の水素ガスの発生量を抑制する。ニトロ化合物としては、o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、o-ニトロフェノール、m-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール等が挙げられる。
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
尚、このセパレータは、導電性高分子層及び電解液の保持及び陽極箔と陰極体とのショート阻止を担う。セパレータがなくとも導電性高分子層が形状を保持でき、導電性高分子層を含むコンデンサ素子の各部が電解液を保持でき、また陽極箔と陰極体とのショートを阻止できるだけの厚みを導電性高分子層が備える場合、セパレータはなくともよい。
(全体構成)
陰極箔及び陽極箔に拡面層を形成し、陽極箔には誘電体酸化皮膜を形成し、陰極箔上にはカーボン層を塗布等により積層して陰極体を形成する。陽極箔と陰極体はセパレータを介して対向させ、コンデンサ素子を形成する。このコンデンサ素子に、導電性ポリマーの粒子又は粉末と溶媒を含む分散体を含浸させることにより、導電性高分子層はコンデンサ素子内に形成される。尚、本明細書において、「導電性ポリマーの粒子又は粉末を含む分散体」を、「導電性ポリマーの分散体」と記載することもある。
導電性ポリマーの分散体の溶媒としては、導電性ポリマーの粒子又は粉末が分散するものであれば良く、主として水が用いられる。ただし、必要に応じて分散体用の溶媒としてエチレングリコールを用いてもよい。分散体用の溶媒としてエチレングリコールを用いると、製品の電気的特性のうち、特にESR特性を低減できることが判明している。なお、導電性ポリマーの分散体の含浸性、電導度の向上のため、導電性ポリマーの分散体に各種添加剤を使用したり、カチオン添加による中和を行っても良い。導電性ポリマーの分散体としては、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされた導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の粒子又は粉末を用意し、それを溶媒に分散させて導電性ポリマーの分散体としてもよいし、水にポリスチレンスルホン酸(PSS)とエチレンジオキシチオフェン(EDOT)の粒子又は粉末を混合させ、水の中で重合させて導電性ポリマーの分散体としてもよい。
導電性ポリマーの分散体の含浸方法としては、導電性ポリマーの分散体にコンデンサ素子を浸漬したり、滴下塗布やスプレー塗布等してもよい。また、コンデンサ素子全体に限らず、陽極箔や陰極体に分散体を含浸させてから、コンデンサ素子を組み立てるようにしてもよい。コンデンサ素子への導電性ポリマーの分散体の含浸の促進を図るべく、必要に応じて減圧処理や加圧処理を施してもよい。この付着工程は複数回繰り返しても良い。
これにより、固体電解コンデンサ内において、カーボン層は、陰極箔の拡面層上に形成され、導電性高分子層は、陽極側においては誘電体酸化皮膜に密着し、陰極側においては、カーボン層上、即ち拡面層とは反対面に接触する。ここで、カーボン層を構成する炭素材がより不規則に配列し、カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙を途中で寸断させたり、カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙を蛇行させた所謂ラビンリンス構造にする。そのため、導電性ポリマーの粒子又は粉末が、カーボン層の表層側から拡面層に通り抜けて到達せず、カーボン層に捕捉され、結果として導電性ポリマーの粒子又は粉末の拡面層への侵入を抑制している。
尚、カーボン層を導電性高分子層側から拡面層側に深さ方向で区分したとき、カーボン層の表層側は、カーボン層のうちの、導電性高分子層に面する区域であり、カーボン層の拡面層側は、カーボン層のうちの、拡面層に面する区域である。
また、カーボン層に存在し、拡面層と導電性高分子層とを連通させる空隙の平均の大きさが、導電性ポリマーの粒子又は粉末のメジアン径の大きさ以下としてもよい。たとえば、カーボン層の空隙が平均数百nmであるのに対し、導電性ポリマーの粒子又は粉末の一粒子あたりのメジアン径が450nm程度である。そのため、導電性高分子層を形成する際、カーボン層を通り抜けて拡面層側に存在する分散体内の導電性ポリマーの粒子又は粉末は少なくなる。
カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙を途中で寸断したり、カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙を蛇行させた所謂ラビンリンス構造にしたり、カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙をカーボン層内の空隙の大きさを、導電性ポリマーの粒子又は粉末の大きさ以下にしたり、又はこれらを複合的に用いるためには、カーボン層を圧縮し、且つ拡面層に圧接させることが好ましい。
カーボン層の圧縮及び拡面層への圧接のためには、例えばカーボン層を陰極箔に押し付ける押圧加工を施す。押圧加工では、カーボン層と陰極箔とにより成る陰極体をプレスローラで挟んで、プレス線圧を加える。プレス線圧は0.01~100t/cm程度が望ましい。また、カーボン層を圧縮し、且つ拡面層に圧接させると、炭素材がカーボン層から遊離して陽極箔に到達する虞も減少する。即ち、陽極箔に到達して誘電体酸化皮膜に付着して絶縁性を低下させたり、誘電体酸化皮膜の欠陥箇所に付着し、当該欠陥箇所の修復を阻害する炭素材の量を減らすこともできる。
また、炭素材は、球状炭素であるカーボンブラックが好ましい。一次粒子径が平均100nm以下である球状のカーボンブラックを用いることにより、カーボン層は密になり、またカーボン層は拡面層と密着し易くなるため、導電性高分子層と拡面層とを連通させる隙間を小さくできる。
また、カーボン層に含有する炭素材は、鱗片状又は鱗状の黒鉛と球状炭素であるカーボンブラックであってもよい。鱗片状又は鱗状の黒鉛は、短径と長径とのアスペクト比が1:5~1:100の範囲であることが好ましい。この組み合わせの炭素材を含有するカーボン層を陰極箔に積層し、カーボン層を圧縮し、且つ拡面層に圧接させると、カーボンブラックは、黒鉛によって拡面層に擦り込まれ易くなる。黒鉛は、拡面層の凹凸面に沿って変形し易く、凹凸面上に積み重なり易くなる。そして、黒鉛は、押圧蓋になって拡面層内部に球状炭素を押し留める。そのため、カーボン層と陰極箔との密着性及び定着性がより高まり、空隙を小さくできる。また、炭素材として鱗片状又は鱗状の黒鉛を用いることで、カーボン層内において表層側から拡面層側へ導電性ポリマーの粒子又は粉末が通り抜けようとする経路が伸び、導電性ポリマーの粒子又は粉末がカーボン層を通り抜けることをより抑制できる。
尚、電解液はカーボン層を通り抜け可能であり、電解液をコンデンサ素子に含浸させることにより、電解液は導電性高分子層内にもカーボン層内にも拡面層内にも充填されている。
このような固体電解コンデンサでは、カーボン層の存在により、導電性ポリマーの粒子又は粉末の多くが拡面層に移動できなくなる。また、カーボン層に存在し、拡面層と導電性高分子層とを連通させる空隙の平均の大きさが導電性ポリマーの粒子又は粉末のうち酸化皮膜の欠損の修復に影響を与えるような粒径より小さいので、分散体内の導電性ポリマーの粒子又は粉末の多くが拡面層に移動できなくなる。即ち、カーボン層のうちの表層側と拡面層内とを比べると、拡面層内に存在する導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は少なくなる。
また、カーボン層内は、カーボン層の拡面層側の前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量が、前記カーボン層の表層側の前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも少なく、また、前記拡面層内の前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも多くなる。つまり、カーボン層の表層側から拡面層に向かって、前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量が漸次減少してくような構造となる。
そうすると、拡面層内の酸化皮膜に欠陥が生じたとしても、その欠陥が導電性ポリマーの粒子又は粉末で塞がっており、電解液が欠陥に到達できない可能性は低くなり、欠陥修復の機会が多くなる。従って、固体電解コンデンサの漏れ電流を抑制することができる。
なお、導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は、公知の方法によって確認できる。例えば、SEM-EDX((走査型電子顕微鏡)-(エネルギー分散型X線分析)などによる元素分析を併用することによって陰極体の断面における導電性ポリマーの粒子又は粉末の量を算出することができる。
以下、実施例に基づいて本発明の固体電解コンデンサ及び製造方法をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
陽極箔及び陰極箔としてアルミニウム箔を選択した。陽極箔及び陰極箔に交流エッチング処理を施し、海綿状のエッチングピットにより成る拡面層を箔両面に形成した。交流エッチング処理では、液温25℃及び約8重量%の塩酸を主たる電解質とする酸性水溶液に陰極箔を浸し、交流10Hz及び電流密度0.14A/cmの電流を基材に約5分間印加した。更に、陽極箔及び陰極箔に化成処理を施し、陽極箔の拡面層の表面に誘電体酸化皮膜を形成し、陰極箔の拡面層の表面に酸化皮膜を形成した。化成処理では、リン酸水溶液で交流エッチング処理の際に付着した塩素を除去した後、リン酸二水素アンモニウムの水溶液内で電圧を印加した。
陰極箔の拡面層上にはカーボン層を積層し、陰極箔とカーボン層を備える陰極体を完成させた。カーボン層の炭素材としてカーボンブラックを選択した。カーボンブラックの粉末、バインダーであるスチレンブタジエンゴム(SBR)、及び分散剤含有水溶液としてカルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC-Na)水溶液を混合して混練することでスラリーを作製し、このスラリーを陰極箔に均一に塗布した。そして、スラリーを加熱乾燥させて溶媒を揮発させた。
陰極箔の拡面層上にカーボン層が形成された後、カーボン層を拡面層に押し付ける押圧工程を実施した。押圧工程では、陰極体をプレスローラで挟み込み、5.38kNcm-1のプレス線圧をかけた。プレス線圧は、有限会社タクミ技研製のプレス機を用いて加えられた。プレスローラの径は直径180mmであり、プレス処理幅は130mmであり、陰極体を3m/minで1回搬送した。
陽極箔と陰極体には、それぞれアルミニウム製のタブ形状の引出端子をステッチ接続しておいた。この陽極箔と陰極体との間にセパレータを挟んで巻回し、陽極箔と陰極体とセパレータを備えるコンデンサ素子を作製した。セパレータとしては、マニラ系のセパレータを用いた。巻回後は、コンデンサ素子をリン酸二水素アンモニウム水溶液に浸漬し、電流を流すことで、巻回により生じた欠陥の修復化成を行った。リン酸二水素アンモニウム水溶液から引き上げたコンデンサ素子を、摂氏105度の温度環境下に30分間晒して乾燥させた。
次に、導電性ポリマーの分散体を準備する。この分散体は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされた導電性ポリマーであるポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)の粉末を水に分散させて成る。この分散体にコンデンサ素子を浸漬した。浸漬中、30kPaの圧力環境下に120秒間晒した。この後、コンデンサ素子を引き上げ、150℃で30分間乾燥させた。浸漬及び乾燥を2回繰り返した。これにより、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)を導電性ポリマーとして含む導電性高分子層を陽極箔の誘電体酸化皮膜に密着させ、また陰極体のカーボン層の上に積層させた。
次に電解液を調製し、導電性高分子層が形成されたコンデンサ素子に電解液を含浸させた。電解液は、エチレングリコールを溶媒とし、溶質としてアゼライン酸アンモニウムが添加されて調製された。このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに挿入し、開口端部に封口ゴムを装着して、加締め加工によって封止した。
固体電解コンデンサはエージング処理された。以上のより作製された実施例の固体電解コンデンサの定格耐電圧は25WVであり、定格容量は270μFであり、サイズは直径10mm及び高さ8mmであった。
実施例の固体電解コンデンサとの比較対照として比較例の固体電解コンデンサを次の通り作製した。比較例の固体電解コンデンサの陰極体は陰極箔のみを備えている。陰極箔の拡面層上にはカーボン層は積層されていない。この点を除き、比較例の固体電解コンデンサは、実施例の固体電解コンデンサと同一構成、同一組成、同一製造方法及び同一条件で作製された。
また、実施例の固体電解コンデンサとの比較対照として参考例の固体電解コンデンサを次の通り作製した。参考例の固体電解コンデンサの陰極体は、カーボンナノチューブを炭素材とするカーボン層を陰極箔の拡面層上に備えている。但し、カーボン層との密着性を下げるために陰極箔に拡面層は形成されず、カーボン層を陰極箔に押し付ける押圧工程も省いてある。この点を除き、参考例の固体電解コンデンサは、実施例の固体電解コンデンサと同一構成、同一組成、同一製造方法及び同一条件で作製された。
実施例、比較例及び参考例の固体電解コンデンサを各30個作製し、各々の漏れ電流(LC)を測定した。漏れ電流の測定の際には、固体電解コンデンサを摂氏20度の温度環境下に置き、25V定電圧を印加し、所定の経過時間において漏れ電流を測定した。測定の結果得られた実施例、比較例及び参考例の漏れ電流の平均値、最大値及び最小値を下表1に示す。また、表1に基づいて、横軸に実施例、比較例及び参考例の系列を並べ、縦軸に漏れ電流を採った図1を作成した。
(表1)
Figure 2022144278000002
実施例は、第1に陰極箔に拡面層を形成し、第2に拡面層にカーボン層を形成し、第3にカーボン層を拡面層に押し付ける押圧工程により、カーボン層を圧縮して拡面層に圧接させた固体電解コンデンサである。一方、比較例には、拡面層を塞ぎ、導電性高分子層と拡面層との連通を阻止するカーボン層が全くない。また、参考例は、拡面層を塞ぐカーボン層は存在するが、陰極箔に拡面層が形成されておらず、またカーボン層を陰極箔に押し付ける押圧工程も経ていない。
そのため、表1及び図1に示すように、比較例及び参考例の固体電解コンデンサは漏れ電流が抑制されず、実施例の固体電解コンデンサは、比較例及び参考例の固体電解コンデンサと比べて漏れ電流が低く抑えられた。即ち、実施例の固体電解コンデンサについては、カーボンを押圧することで、炭素材であるカーボンブラックによって形成されるカーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙を途中で寸断したり、カーボン層の表層側から拡面層へ向かう空隙を蛇行させた所謂ラビンリンス構造にするこができるため、導電性ポリマーがカーボン層を通して拡面層の酸化皮膜に移動して付着できず、欠陥部が導電性ポリマーによって塞がれず、欠陥部の電解液による修復の機会が増えたことが確認された。
尚、参考例の固体電解コンデンサでは、陰極箔に拡面層を形成せず、またカーボン層の空隙を実施例のような大きさにコントロールせず、単にカーボン層を陰極箔に付着させただけでは、寧ろ漏れ電流を悪化させてしまうことが確認された。カーボン層から遊離した炭素材が陽極箔の誘電体酸化皮膜に付着し、誘電体酸化皮膜の絶縁性が低下したり、誘電体酸化皮膜の欠陥部を塞いだりしたものと考えられる。

Claims (7)

  1. 陽極箔と陰極体とを対向させて成るコンデンサ素子と、
    導電性ポリマーの粒子又は粉末と溶媒を含む分散体が含浸して形成された導電性高分子層と、
    前記コンデンサ素子に含浸した電解液と、
    を備え、
    前記陰極体は、
    弁金属により成り、表面に拡面層が形成された陰極箔と、
    前記拡面層上に積層され、当該拡面層とは反対面で前記導電性高分子層と接触するカーボン層と、
    を有し、
    前記拡面層内に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は、前記カーボン層のうちの前記導電性高分子層に面する表層側に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも少ないこと、
    を特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記カーボン層のうちの前記拡面層に面する拡面層側に含まれる前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量は、前記カーボン層の前記表層側の前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも少なく、且つ前記拡面層内の前記導電性ポリマーの粒子又は粉末の量よりも多いこと、
    を特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記カーボン層を、前記電解液が通り抜け可能であること、
    を特徴とする請求項1又は2記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記カーボン層は、圧縮され、且つ前記拡面層に圧接していること、
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記カーボン層は、複数の前記炭素材によって形成された空隙を含み、
    前記空隙の平均の大きさは、前記導電性ポリマーの粒子又は粉末のメジアン径の大きさ以下であること、
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記拡面層には酸化皮膜が形成されていること、
    を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の固体電解コンデンサ。
  7. 拡面層が形成された弁金属の陰極箔に対し、当該拡面層上にカーボン層を形成するカーボン層形成工程と、
    前記カーボン層を前記陰極箔に押し付ける押圧工程と、
    前記陰極箔と前記カーボン層とを備える陰極体と陽極箔とを対向させてコンデンサ素子を形成する素子形成工程と、
    前記コンデンサ素子に、導電性ポリマーの粒子又は粉末と溶媒を含む分散体を含浸させる分散体含浸工程と、
    前記コンデンサ素子に、電解液を含浸させる電解液含浸工程と、
    を含むこと、
    を特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
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