JP2022142888A - 磁気記憶装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた特性を有する磁気抵抗効果素子を含む磁気記憶装置を提供する。【解決手段】 実施形態に係る磁気記憶装置は、固定された磁化方向を有する第1の磁性層15と、可変の磁化方向を有する第2の磁性層17と、第1の磁性層と第2の磁性層との間に設けられた非磁性層16と、第2の磁性層に対して非磁性層の反対側に設けられたモリブデン(Mo)層19と、第2の磁性層とモリブデン(Mo)層との間に設けられ、希土類元素、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択された所定元素を含有する酸化物層18と、を含む積層構造100を備える。【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、磁気記憶装置に関する。
半導体基板上に複数の不揮発性の磁気抵抗効果素子が集積化された磁気記憶装置が提案されている。
優れた特性を有する磁気抵抗効果素子を含む磁気記憶装置を提供する。
実施形態に係る磁気記憶装置は、固定された磁化方向を有する第1の磁性層と、可変の磁化方向を有する第2の磁性層と、前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性層と、前記第2の磁性層に対して前記非磁性層の反対側に設けられたモリブデン(Mo)層と、前記第2の磁性層と前記モリブデン(Mo)層との間に設けられ、希土類元素、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択された所定元素を含有する酸化物層と、を含む積層構造を備える。
以下、図面を参照して実施形態を説明する。
(実施形態1)
図1は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置に含まれる磁気抵抗効果素子の積層構造の構成を模式的に示した断面図である。磁気抵抗効果素子として、磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)素子が用いられる。
図1は、第1の実施形態に係る磁気記憶装置に含まれる磁気抵抗効果素子の積層構造の構成を模式的に示した断面図である。磁気抵抗効果素子として、磁気トンネル接合(MTJ:Magnetic Tunnel Junction)素子が用いられる。
半導体基板10の上方に、積層構造100が設けられている。積層構造100は、下層側(半導体基板10側)から上層側に向かって順に、バッファ層11、シリコンボロン(SiB)層12、シフトキャンセリング層(第3の磁性層)13、スペーサ層14、参照層(第1の磁性層)15、トンネルバリア層(非磁性層)16、記憶層(第2の磁性層)17、酸化物層18、モリブデン(Mo)層19及び上部キャップ層20が積層された構造を有している。
具体的には、積層構造100は、参照層15と、記憶層17と、参照層15と記憶層17との間に設けられたトンネルバリア層16と、記憶層17に対してトンネルバリア層16の反対側に設けられたモリブデン(Mo)層19と、記憶層17とモリブデン(Mo)層19との間に設けられた酸化物層18と、参照層15に対してトンネルバリア層16の反対側に設けられたシフトキャンセリング層13と、シフトキャンセリング層13に対して参照層15の反対側に設けられたバッファ層11と、シフトキャンセリング層13とバッファ層11との間に設けられたシリコンボロン(SiB)層12と、参照層15とシフトキャンセリング層13との間に設けられたスペーサ層14と、モリブデン(Mo)層19に対して酸化物層18の反対側に設けられた上部キャップ層20とを含んでいる。
参照層(第1の磁性層)15は、シフトキャンセリング層13上に設けられ、固定された磁化方向を有する強磁性層である。なお、固定された磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わらないことを意味する。参照層15は、第1の層部分15a及び第2の層部分15bを含んでおり、第2の層部分15b上に第1の層部分15aが設けられている。第1の層部分15aは、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びボロン(B)を含有するFeCoB層で形成されている。第2の層部分15bは、コバルト(Co)と、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)から選択された少なくとも1つ以上の元素とを含有している。
トンネルバリア層(非磁性層)16は、参照層15上に設けられた絶縁層である。トンネルバリア層16は、マグネシウム(Mg)及び酸素(O)を含有するMgO層で形成されている。
記憶層(第2の磁性層)17は、トンネルバリア層16上に設けられ、可変の磁化方向を有する強磁性層である。なお、可変の磁化方向とは、所定の書き込み電流に対して磁化方向が変わることを意味する。記憶層11は、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びボロン(B)を含有するFeCoB層で形成されている。
シフトキャンセリング層(第3の磁性層)13は、シリコンボロン(SiB)層12を介してバッファ層11上に設けられている。シフトキャンセリング層13は、参照層15の磁化方向に対して反平行の固定された磁化方向を有する強誘電層であり、参照層15から記憶層17に印加される磁界をキャンセルする機能を有している。シフトキャンセリング層13は、コバルト(Co)と、プラチナ(Pt)、ニッケル(Ni)及びパラジウム(Pd)から選択された少なくとも1つ以上の元素とを含有している。
本実施形態では、シフトキャンセリング層13は、Co層とPt層とが交互に積層された超格子構造を有している。また、シフトキャンセリング層13は、FCC(face centered cubic)結晶構造或いはHCP(hexagonal close-packed)結晶構造を有している。FCC結晶構造の場合は、シフトキャンセリング層13は、積層構造100の積層方向に対して垂直な方向に(111)面を有している。HCP結晶構造の場合は、シフトキャンセリング層13は、積層構造100の積層方向に対して垂直な方向に(0001)面を有している。
スペーサ層14は、参照層15とシフトキャンセリング層13との間に設けられ、スペーサ層14によって、参照層15とシフトキャンセリング層13とが反強磁性結合している。すなわち、参照層15、シフトキャンセリング層13及びスペーサ層14によってSAF(Synthetic Anti-Ferromagnetic)構造が形成されている。スペーサ層14は、ルテニウム(Ru)層或いはイリジウム(Ir)層によって形成されている。
シリコンボロン(SiB)層12は、シリコン(Si)及びボロン(B)を含有した層であり、シフトキャンセリング層13の下層側に設けられている。SiB層12を設けることで、シフトキャンセリング層13の垂直磁気異方性等を向上させることができる。また、SiB層12を用いることにより、熱拡散を抑制することができ、耐熱性に優れた磁気抵抗効果素子を得ることが可能である。なお、図1に示した例では、シフトキャンセリング層13の下面にSiB層12が設けられていたが、シフトキャンセリング層13の上面にSiB層12が設けられていてもよく、シフトキャンセリング層13の層内にSiB層12が設けられていてもよい。
バッファ層11は、SiB層12及びシフトキャンセリング層13の下層側に設けられている。すなわち、バッファ層11上にSiB層12及びシフトキャンセリング層13が設けられている。バッファ層11は、第1の層部分11aと、第1の層部分11a上に設けられた第2の層部分11bとを含んでいる。
第1の層部分11aは、アモルファス構造を有しており、ハフニウム(Hf)或いはハフニウムボロン(HfB)で形成されている。
第2の層部分11bは、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びタンタル(Ta)から選択された少なくとも1つの元素で形成されている。すなわち、第2の層部分11bは、モリブデン(Mo)層でもよいし、タングステン(W)層でもよいし、タンタル(Ta)でもよい。また、第2の層部分11bは、モリブデン(Mo)、タングステン(W)及びタンタル(Ta)から選択された2以上の元素の合金層でもよい。第2の層部分11bは、BCC(body centered cubic)結晶構造を有しており、積層構造100の積層方向に対して垂直な方向にBCC結晶構造の(110)面を有している。このような第2の層部分11bを用いることにより、シフトキャンセリング層13をFCC(111)面或いはHCP(0001)面に良好に配向させることができ、シフトキャンセリング層13の垂直磁気異方性等を向上させることができる。
酸化物層18は、記憶層17上に設けられ、記憶層17に接しており、キャップ層としての機能を有している。酸化物層18は、希土類元素(ガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)等)、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択された所定元素を含有している。すなわち、酸化物層18は、希土類元素酸化物、シリコン酸化物或いはアルミニウム酸化物で形成されている。
モリブデン(Mo)層19は、酸化物層18上に設けられており、酸化物層18に接している。モリブデン(Mo)層19は、モリブデン(Mo)で形成され、トップ層としての機能を有している。
上部キャップ層20は、モリブデン(Mo)層19上に設けられ、所定の導電材料で形成されている。
上述した積層構造100によって構成される磁気抵抗効果素子は、垂直磁化を有するSTT(Spin Transfer Torque)型の磁気抵抗効果素子である。すなわち、記憶層17、参照層15及びシフトキャンセリング層13の磁化方向は、それぞれの膜面に対して垂直である。
記憶層17の磁化方向が参照層15の磁化方向に対して平行である場合には、磁気抵抗効果素子は低抵抗状態であり、記憶層17の磁化方向が参照層15の磁化方向に対して反平行である場合には、磁気抵抗効果素子は高抵抗状態である。したがって、磁気抵抗効果素子は、磁気抵抗効果素子の抵抗状態に応じて2値データを記憶することが可能である。また、磁気抵抗効果素子に流れる電流の方向に応じて、磁気抵抗効果素子に低抵抗状態或いは高抵抗状態を設定することが可能である。
以上のように、本実施形態の磁気抵抗効果素子では、記憶層17上に希土類元素、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択された所定元素を含有する酸化物層18が設けられ、酸化物層18上にモリブデン(Mo)層19が設けられている。このような構成により、本実施形態では、以下に述べるように、耐熱性に優れ、良好な特性を有する磁気抵抗効果素子を得ることができる。
上述したように、本実施形態では、記憶層17上に、希土類元素、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択された所定元素を含有する酸化物層18が設けられている。このような元素を含有する酸化物層18をキャップ層として用いることにより、記憶層17の垂直磁気異方性等を向上させることが可能である。しかしながら、このような元素を含有する酸化物層18をキャップ層として用いた場合、熱処理の際に記憶層17に含有されている元素、特に鉄(Fe)が記憶層17の外側へ拡散し、記憶層の特性を劣化させるおそれがある。
本実施形態では、キャップ層として用いる酸化物層18上にモリブデン(Mo)層19が設けられている。このモリブデン(Mo)層19によって記憶層17に含有されている元素の拡散を抑制することができるため、高温熱処理によって記憶層のMR比の向上等をはかることが可能である。
上述したように、本実施形態では、記憶層17の垂直磁気異方性等を向上させることができるとともに、熱処理の際に記憶層17に含有されている元素(特に、Fe)が拡散することを抑制することができる。したがって、本実施形態では、耐熱性に優れ、良好な特性を有する磁気抵抗効果素子を得ることが可能となる。
(実施形態2)
図2は、第2の実施形態に係る磁気記憶装置に含まれる磁気抵抗効果素子の積層構造の構成を模式的に示した断面図である。基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
図2は、第2の実施形態に係る磁気記憶装置に含まれる磁気抵抗効果素子の積層構造の構成を模式的に示した断面図である。基本的な事項は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で説明した事項の説明は省略する。
本実施形態では、積層構造100が、モリブデン(Mo)層19上に設けられ且つルテニウム(Ru)で形成されたルテニウム(Ru)層21をさらに含んでいる。すなわち、積層構造100は、モリブデン(Mo)層19に対して酸化物層18の反対側に設けられたルテニウム(Ru)層21をさらに含んでいる。その他の構成は、図1に示した第1の実施形態の構成と同様である。
本実施形態でも、積層構造100の基本的な構成は第1の実施形態と同様であり、第1の実施形態で述べた効果と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態では、モリブデン(Mo)層19上にルテニウム(Ru)層21を設けることにより、薬液耐性を向上させることが可能である。例えば、積層構造100に接続される上部電極をエッチングによって形成する際に、ルテニウム(Ru)層21の下層側の層をルテニウム(Ru)層21によってエッチング液から保護することができる。したがって、積層構造100によって構成される磁気抵抗効果素子の特性の悪化を抑制することが可能である。
なお、本実施形態において、酸化物層18は、希土類元素(ガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、イットリウム(Y)等)、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択された所定元素を含有した酸化物層に限定されず、他の酸化物層を用いることも可能である。
(適用例)
図3は、上述した第1及び第2の実施形態で示した磁気抵抗効果素子が適用される磁気記憶装置の構成を模式的に示した斜視図である。
図3は、上述した第1及び第2の実施形態で示した磁気抵抗効果素子が適用される磁気記憶装置の構成を模式的に示した斜視図である。
図3に示した磁気記憶装置は、X方向に延伸する複数の第1の配線210と、X方向と交差するY方向に延伸する複数の第2の配線220と、複数の第1の配線210と複数の第2の配線220との間に接続された複数のメモリセル230とを含んでいる。例えば、第1の配線210及び第2の配線220の一方はワード線に対応し、他方はビット線に対応する。
各メモリセル230は、磁気抵抗効果素子240と、磁気抵抗効果素子240に対して直列に接続されたセレクタ(スイッチング素子)250とを含んでいる。
所望のメモリセル230に接続された第1の配線210と第2の配線220との間に所定の電圧を印加することで、所望のメモリセル230に含まれるセレクタ250がオン状態となり、所望のメモリセル230に含まれる磁気抵抗効果素子240に対して読み出し或いは書き込みを行うことが可能である。
なお、図7に示した磁気記憶装置は、磁気抵抗効果素子240の上層側にセレクタ250が設けられた構成であるが、磁気抵抗効果素子240の下層側にセレクタ250が設けられた構成であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10…半導体基板 11…バッファ層
12…シリコンボロン(SiB)層
13…シフトキャンセリング層(第3の磁性層)
14…スペーサ層 15…参照層(第1の磁性層)
16…トンネルバリア層(非磁性層) 17…記憶層(第2の磁性層)
18…酸化物層 19…モリブデン(Mo)層
20…上部キャップ層 21…ルテニウム(Ru)層
100…積層構造
12…シリコンボロン(SiB)層
13…シフトキャンセリング層(第3の磁性層)
14…スペーサ層 15…参照層(第1の磁性層)
16…トンネルバリア層(非磁性層) 17…記憶層(第2の磁性層)
18…酸化物層 19…モリブデン(Mo)層
20…上部キャップ層 21…ルテニウム(Ru)層
100…積層構造
Claims (9)
- 固定された磁化方向を有する第1の磁性層と、
可変の磁化方向を有する第2の磁性層と、
前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性層と、
前記第2の磁性層に対して前記非磁性層の反対側に設けられたモリブデン(Mo)層と、
前記第2の磁性層と前記モリブデン(Mo)層との間に設けられ、希土類元素、シリコン(Si)及びアルミニウム(Al)から選択された所定元素を含有する酸化物層と、
を含む積層構造を備える
ことを特徴とする磁気記憶装置。 - 前記積層構造は、前記モリブデン(Mo)層に対して前記酸化物層の反対側に設けられたルテニウム(Ru)層をさらに含む
ことを特徴とする請求項1に記載の磁気記憶装置。 - 固定された磁化方向を有する第1の磁性層と、
可変の磁化方向を有する第2の磁性層と、
前記第1の磁性層と前記第2の磁性層との間に設けられた非磁性層と、
前記第2の磁性層に対して前記非磁性層の反対側に設けられたモリブデン(Mo)層と、
前記第2の磁性層と前記モリブデン(Mo)層との間に設けられた酸化物層と、
前記モリブデン(Mo)層に対して前記酸化物層の反対側に設けられたルテニウム(Ru)層と、
を含む積層構造を備える
ことを特徴とする磁気記憶装置。 - 前記第2の磁性層は鉄(Fe)を含有する
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気記憶装置。 - 前記第2の磁性層は、鉄(Fe)、コバルト(Co)及びボロン(B)を含有する
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気記憶装置。 - 前記第1の磁性層及び前記第2の磁性層は垂直磁化を有する
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気記憶装置。 - 前記積層構造は、前記第1の磁性層に対して前記非磁性層の反対側に設けられ、前記第1の磁性層から前記第2の磁性層に印加される磁界をキャンセルする第3の磁性層をさらに含む
ことを特徴とする請求項1又は3に記載の磁気記憶装置。 - 前記第1の磁性層と前記第3の磁性層とは反強磁性結合している
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気記憶装置。 - 前記積層構造は、前記第3の磁性層に対して前記第1の磁性層の反対側に設けられたバッファ層をさらに含む
ことを特徴とする請求項7に記載の磁気記憶装置。
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