JP2022141881A - 前立腺癌の併用療法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ホルモン感受性、ホルモンナイーブ高リスク、及び去勢抵抗性前立腺癌を含む前立腺癌に対する治療法を提供する。【解決手段】治療有効量のPARP阻害剤、例えば、ニラパリブ、治療有効量のCYP17阻害剤、例えば、酢酸アビラテロン、及び治療有効量のグルココルチコイド、例えば、プレドニゾンを投与することによって前立腺癌を治療するための方法及び組成物を提供する。【選択図】なし

Description

本開示は、前立腺癌の治療のための小分子治療薬の使用に関する。
前立腺癌は、男性における最も一般的な非皮膚悪性腫瘍であり、西欧諸国における男性
の癌死因の第2位となっている。前立腺癌は、前立腺の異常細胞の制御されない増殖によ
り生じる。前立腺癌の腫瘍が発生すると、テストステロンなどのアンドロゲンが前立腺癌
の増殖を促進する。その初期段階において、局在性の前立腺癌は、例えば、前立腺の外科
的除去及び放射線治療を含む局所的治療によって治療可能であることが多い。しかしなが
ら、男性の1/3でそうであるように、局所的治療により前立腺癌が治癒できない場合、
疾患は治癒不能な転移性疾患(すなわち、身体の1つの部分から他の部分に癌が転移する
疾患)に進行してしまう。
長年にわたって、悪性去勢抵抗性前立腺癌(mCRPC)を有する男性用の確立された
標準的なケアは、ドセタキセル化学療法であった。より最近では、プレドニゾンと組み合
わせた酢酸アビラテロン(ZYTIGA(登録商標))が、転移性去勢抵抗性前立腺癌を
治療するために承認されてきた。アンドロゲン受容体(AR)標的化剤、例えばエンザル
タミド(XTANDI(登録商標))も、転移性去勢抵抗性前立腺癌を治療するために市
場に参入している。白金を用いた化学療法は、限定された結果及び有意な毒性を有する、
分子的に選択されていない前立腺癌患者における多数の臨床研究で試験されている。しか
しながら、これらの治療に対して最初に反応しないか又は難治性(又は抵抗性)になるか
のいずれかの患者の小集団が残されている。このような患者に対して利用可能である、承
認された治療選択肢はない。
ニラパリブ、2-[4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル]インダゾール
-7-カルボキサミドは、PARP-1及びPARP-2デオキシリボ核酸(DNA)修
復ポリマーに対する活性を有する、経口利用可能な高選択性ポリ(アデノシン二リン酸[
ADP]-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。Jones P,Wil
coxen K,Rowley M,Toniatti C.Niraparib:A
Poly(ADP-ribose)Polymerase(PARP)Inhibito
r for the Treatment of Tumors with Defec
tive Homologous Recombination.J Med Chem
.2015 Apr 23;58(8):3302-3314。
PARPは、塩基除去修復と呼ばれるプロセスを介したDNA一本鎖切断(SSB)の
修復に関与する酵素である。PARP阻害は、修復されていないSSBの蓄積をもたらし
、複製フォークの行き詰まり及び崩壊につながり、ひいては二本鎖切断(DSB)をもた
らす。通常、DSBは、相同組み換え(HR)によって修復される。修復されていない場
合、DSBは細胞死をもたらす。HR経路を伴うDNA修復欠陥を有する腫瘍細胞(例え
ば、乳癌遺伝子[BRCA]-1/2)をPARP阻害剤で処理すると、DSBを効率的
かつ正確に修復することができず、合成致死状態が生じる。転移性去勢抵抗性前立腺癌(
mCRPC)を有する男性においては、DNA修復異常を有する腫瘍は、約20%~30
%の散発性癌を占める。
最近、PARP阻害剤、オラパリブは、mCRPC既化療及びAR標的化剤を用いる患
者における有効性及び安全性を評価するため、第二相試験で調査された。遺伝子配列は、
限定するものではないが、腫瘍試料中、BRCA-1/2、ATM、ファンコニ貧血遺伝
子、及びCHEK2など、DNA修復遺伝子におけるホモ接合欠失、有害突然変異、又は
その両方を特定した。49人の患者のうちの16人が反応を示した(33%;95%信頼
区間[CI]:20%,48%)。反応は、客観的応答、循環腫瘍細胞(CTC)変換、
又は前立腺特異抗原(PSA)の低下≦50%のうちの1つ以上として定義された。これ
らの16人の患者のうち、BRCA-2喪失の患者7人全員(二対立遺伝子体細胞喪失4
人及び生殖細胞突然変異を有する3人)と、ATM収差を有する患者5人のうちの4人と
、を含む14人(88%)は、オラパリブに反応を示し、DNA修復遺伝子における異常
に対してバイオマーカー陽性であった。反対に、33件のバイオマーカー陰性患者の腫瘍
(6%)のうちの2件のみが反応を示した。X線検査的無増悪生存期間(rPFS)は、
バイオマーカー陰性群よりもバイオマーカー陽性群において有意に長くなった(中央値:
(それぞれ9.8ヶ月対2.7ヶ月)。バイオマーカー陽性群対バイオマーカー陰性群(
中央値:それぞれ13.8ヶ月対7.5ヶ月)において、全生存期間(OS)も延長され
た。
しかしながら、ホルモン感受性、ホルモンナイーブ高リスク、及び去勢抵抗性前立腺癌
を含む前立腺癌に対する治療の必要性が依然として存在する。
本明細書では、前立腺癌の治療を必要とする患者に、治療有効量のPARP阻害剤、治
療有効量のCYP17阻害剤、及び治療有効量のグルココルチコイドを投与することを含
む、これからなる、及び/又は本質的にこれからなる、前立腺癌を治療するための方法が
提供される。
本明細書では、前立腺癌の治療を必要とする患者に、治療有効量のニラパリブ、治療有
効量の酢酸アビラテロン、及び治療有効量のプレドニゾンを投与することを含む、これか
らなる、及び/又は本質的にこれからなる、前立腺癌を治療するための方法が提供される
本明細書では、前立腺癌の治療を必要とする患者に、治療有効量のニラパリブ、治療有
効量の酢酸アビラテロン、及び治療有効量のプレドニゾンを投与することを含む、これか
らなる、及び/又は本質的にこれからなる、前立腺癌を治療するための方法が提供される
また、ヒト患者における前立腺癌の治療に対する、治療的に有効な総量の、ニラパリブ
、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを含む、これらからなる、及び/又は本質的にこ
れらからなる、医薬組成物が開示される。
本開示はまた、ニラパリブを含む組成物と、酢酸アビラテロンを含む組成物と、プレド
ニゾンを含む組成物と、前立腺癌を有するヒト患者に当該組成物を投与するための指示書
と、を含む、これらからなる、及び/又は本質的にこれらからなるキットを提供する。
VCaP腫瘍を有する去勢雄マウスにおける、腫瘍体積に対するニラパリブ及び/又はアビラテロンの効果を示す。 VCaP腫瘍を有する去勢雄マウスにおける、生存期間に対するニラパリブ及び/又はアビラテロンの効果を示す。
本発明は、本開示の一部を形成する、添付の実施例に関連して解釈される以下の発明を
実施するための形態を参照することにより、より容易に理解することができる。本発明は
、本明細書に記載する及び/又は示す特定の製品、方法、条件又はパラメータに限定され
るものではなく、本明細書で使用される専門用語は実施例を用いて具体的な実施形態を記
載する目的のためだけのものであり、請求した発明を制限することを意図するものではな
いことが理解すべきである。
本明細書に引用又は記載されているそれぞれの特許、特許出願、及び刊行物の全開示は
、本明細書に参考として組み込まれる。
上記で使用のとき、また本開示全体を通して、以下の用語及び略語は、特に指示のない
限り、以下の意味を有するものと理解されたい。
本開示では、特に明示しない限り、単数形「a」、「an」及び「the」は、複数形
の言及を包含し、特定の数値への言及は、少なくともその特定の値を包含する。したがっ
て、例えば、「材料(an ingredient)」に対する参照は、1種以上のこのような材料、
及び当業者に既知であるその等価物等に対する参照である。更に、特定の要素が、X、Y
、又はZで「あってもよい」ことを示す場合、そのような使用は、あらゆる場合において
その要素に関する他の選択肢を除外することを意図するものではない。
値が、先行詞「約」を用いて近似値として表現される場合、その特定の値は、別の実施
形態を形成することが理解される。本明細書で使用するとき、「約X」(Xは数値である
)は、好ましくは記載の値の±10%を包括的に指す。例えば、語句「約8」は、7.2
~8.8の値を指し、別の例として、語句「約8%」は、7.2%~8.8%の値を指す
。存在する場合、全ての範囲は、包括的かつ組み合わせ可能である。例えば、「1~5」
の範囲を列挙するとき、列挙した範囲は「1~4」、「1~3」、「1~2」、「1~2
及び4~5」、「1~3及び5」等の範囲を含むと解釈すべきである。加えて、代替物の
リストが明確に提供される場合、そのようなリストはまた、代替物のいずれかが除外され
てもよい実施形態を含み得る。例えば、「1~5」の範囲が記載される場合、そのような
記載は、1、2、3、4、又は5のいずれかが除外される状況を支持し得る。ゆえに、「
1~5」という記載は、「1及び3~5、ただし2ではない」又は単純に「2は含まれな
い」を支持し得る。
定義
本明細書で使用されるとき、特に定義されない限り、用語「治療する」、「治療するこ
と」、及び「治療」は、腫瘍、又は原発、局所、若しくは転移性の前立腺癌細胞若しくは
組織の根絶、除去、改変、管理、又は制御、及び前立腺癌の蔓延の最小化又は遅延を含む
本明細書で使用するとき、特に定義されない限り、語句「治療有効量」は、前立腺癌の
治療に有効な治療薬の量を意味する。
本明細書で使用するとき、特に定義されない限り、語句「安全な治療」は、前立腺癌の
治療に有効な治療薬の量を意味する。
本開示は、とりわけ、前立腺癌の治療を必要とする患者に治療有効量のニラパリブ、酢
酸アビラテロン、及びプレドニゾンを投与することを含む、前立腺癌を治療する方法に関
する。上述したように、生存期間を改善し、増悪を制限する、転移性去勢抵抗性前立腺癌
(mCRPC)を有する男性に対する現在の治療選択肢としては、タキサン系化学療法、
並びにアパルタミド及びエンザルタミド(XTANDI(登録商標))などのアンドロゲ
ン受容体標的化剤が挙げられる。しかしながら、これらの治療に対して最初に応答しない
か又は難治性になるかのいずれかの患者の小集団が残されている。このような患者に対し
て利用可能である、承認された治療選択肢はない。
遺伝毒性損傷に反応して、ポリ(アデノシン二リン酸[ADP]-リボース)ポリメラ
ーゼ(PARP)は、DNA修復を促進するタンパク質を補充する。最近の研究では、D
NA修復の促進に加えて、アンドロゲン受容体活性の支持におけるPARPの二重の役割
が観察されている。すなわち、CRPCのモデルは、PARP活性の顕著な発現増加を示
した。したがって、前臨床モデルにおけるPARP阻害は、去勢の抗腫瘍効果を強化し、
去勢抵抗の発症を遅らせた。更に、原発ヒト前立腺腫瘍の生体外培養は、アンドロゲン受
容体活性の低下と相関する、PARP阻害に対する有意な抗腫瘍反応を明らかにした。同
様に、前臨床モデルでは、抗アンドロゲン、ビカルタミド、及びATM阻害剤と共処理さ
れた細胞の生存期間の顕著な減少が、ビカルタミド又はATM阻害剤単独のいずれかで処
理されたものと比較して、コロニー形成アッセイにおいて観察された。CRPCにおける
去勢療法後にアンドロゲン受容体シグナル伝達が残存する能力を考慮して、本発明者らは
、PARP阻害及びアンドロゲン受容体拮抗作用の潜在的相乗作用の主要な役割を特定し
た。
以下に示すニラパリブは、PARP-1及びPARP-2デオキシリボ核酸(DNA)
修復ポリマーに対する強力な活性を有する、経口利用可能な高選択性ポリ(アデノシン二
リン酸[ADP]-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤である。
Figure 2022141881000001
ニラパリブ、2-[4-[(3S)-ピペリジン-3-イル]フェニル]インダゾール
-7-カルボキサミドの調製は、米国特許第8,071,623号及び同第8,436,
185号に記載されており、これらの両方が参照により本明細書に組み込まれる。ニラパ
リブは、DNA修復異常を有する患者における卵巣、乳房、及び前立腺腫瘍の治療につい
て調査されている。
BRCA-1若しくはBRCA-2遺伝子に対して発現阻害された癌細胞株、又はBR
CA-1及びBRCA-2変異を有する癌細胞株では、ニラパリブは、細胞周期停止抗増
殖活性、続いてアポトーシスを実証している。更に、マウスにおける生体内試験は、ニラ
パリブが、BRCA-1欠損乳房、BRCA-2欠損膵臓及び卵巣癌に対する抗腫瘍活性
を有することを示した。
ニラパリブは、シトクロムP450(CYP)酵素の強力な阻害剤でも誘導剤でもなく
、したがって、薬物相互作用(DDI)を引き起こす可能性が低いと考えられる。しかし
ながら、前臨床データは、ニラパリブがCYP1A2酵素を誘導する中程度の可能性を有
することを示している。ニラパリブは、低クリアランス薬であり、生体内では、複数の代
謝酵素(CYP及び非CYPの両方)の関与による代謝制限が観察された。したがって、
CYP酵素の修飾物質と同時投与される場合、ニラパリブの薬物動態(PK)の大きな変
化はないことが予期される。ニラパリブは、P糖タンパク質基質である。動物研究では、
中枢神経系(CNS)へのニラパリブの分布が観察されたが、ニラパリブは、意識のある
マウスを用いたCNS安全性試験において神経機能に影響を及ぼさなかった。QTc間隔
は、麻酔イヌにおいて影響を受けなかったが、平均動脈圧、心拍数、及びQRS心臓間隔
が増加した。ラット及びイヌにおける繰り返し投与毒性試験では、血液学的毒性が観察さ
れたが、回復期間の終わり(典型的には15~28日)までには分解された。
ニラパリブが好ましいが、タラゾパリブ、ルカパリブ、オラパリブ、タラゾパリブ、及
びベリパリブなど、任意のPARP阻害剤も、本発明に有益であることが想到される。以
下に例示する酢酸アビラテロン(商品名ZYTIGA(登録商標)で入手可能)は、精巣
、副腎、及び前立腺腫瘍におけるアンドロゲン生合成を遮断する17a-ヒドロキシラー
ゼ/C17,20-リアーゼ(CYP17)阻害剤である。
Figure 2022141881000002
アビラテロン、酢酸アビラテロンの活性代謝物は、精巣、副腎、及び前立腺腫瘍組織で
発現される2つの酵素、17α-ヒドロキシラーゼ(IC50=2.5nM)及び17,
20-リアーゼ(IC50=15nM)として顕性化するCYP17A1を阻害する(1
7,20-リアーゼより17α-ヒドロキシラーゼの阻害に対して6倍選択的である)。
CYP17は、2つの連続反応を触媒する:(1)17α-ヒドロキシラーゼ活性による
17α-ヒドロキシ誘導体へのプレグネノロン及びプロゲステロンの変換、並びに(2)
17,20-リアーゼ活性による、それぞれデヒドロエピアンドロステロン(DHEA)
及びアンドロステンジオンの後続の形成。DHEA及びアンドロステンジオンは、アンド
ロゲン及びテストステロンの前駆体である。アビラテロンによるCYP17活性の阻害は
、このように、DHEA、テストステロン、及びジヒドロテストステロン(DHT)など
のアンドロゲンの循環濃度を減少させる。
酢酸アビラテロンの投与は、循環テロステロン濃度を1ng/dL未満(すなわち、検
出不能)まで低下させる能力を有し、これらの濃度は、去勢(20ng/dL)によって
達成されるものよりもはるかに低い。去勢に加えて酢酸アビラテロンを投与したことによ
り、去勢のみに対してDHTの濃度が85%、DHEAの濃度が97~98%、及びアン
ドロステンジオンの濃度が77~78%低減する効果が見られた。
ニラパリブ及び酢酸アビラテロンはまた、コルチコステロイド又はグルココルチコイド
などのステロイドと共に投与されるか又は組み合わせられてもよい。ニラパリブ及び酢酸
アビラテロン及びステロイドは、同じ組成物中又は異なる組成物中で投与されてもよい。
好適なステロイドの非限定的な例としては、ヒドロコルチゾン、プレドニゾン、プレドニ
ゾロン、メチル-プレドニゾロン、又はデキサメタゾンが挙げられる。投与されるステロ
イドの量は、単独で投与されるか、ニラパリブ及び酢酸アビラテロンと組み合わせて投与
されるかに関わらず、前立腺癌を治療するのに十分な量である。
一実施形態では、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びステロイド、具体的にはコルチ
コステロイド、より具体的にはグルココルチコイドを含む方法及び組成物が本明細書に提
供される。本開示の範囲内のステロイドとしては、限定するものではないが、(1)ヒド
ロコルチゾン(コルチソール;カリプナート(例えば、CORTEF)、経口;リン酸ナ
トリウム注射(HYDROCORTONE PHOSPHATE);コハク酸ナトリウム
(例えば、A-HYDROCORT、Solu-CORTEF);酢酸コルチゾン経口又
は注射形態など)、(2)デキサメタゾン(例えば、デカドロン、経口;デドロン-LA
注射など)、(3)プレドニゾロン(例えば、Delta-CORTEF、酢酸プレドニ
ゾロン(ECONOPRED)、プレドニゾロンリン酸エステルナトリウム(HYDEL
TRASOL)、プレドニゾロンテブテート(HYDELTRA-TBAなど))、又は
(4)プレドニゾンDELTASONEなど)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
例えば、GOODMAN & GILMAN’S THE PHARMACOLOGIC
AL BASIS OF THERAPEUTICS,10TH EDITION 20
01を参照されたい。
特定の実施形態では、約50mg~約300mgの量の酢酸アビラテロンと、約0.5
mg~約3.0mgの量のステロイド、例えば、グルココルチコイドと、を単一の組成物
に含み、任意選択的に賦形剤、キャリア、希釈剤などを伴う、単一単位経口固形剤形が想
到される。例えば、単一単位剤形は、約250mgの酢酸アビラテロン及び約1.0mg
、1.25mg、1.5mg、又は2.0mgのステロイド、例えば、限定するものでは
ないが、コルチコステロイド又はグルココルチコイドなどを含み得る。
酢酸アビラテロンは、転移性去勢抵抗性前立腺癌の治療としてプレドニゾンと組み合わ
せて使用することが示されている。
本方法によると、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンが投与される患者
は、ホルモン感受性前立腺癌、ホルモンナイーブ局在高リスク前立腺癌、又は去勢抵抗性
前立腺癌を有し得る。前立腺癌の全てではないがほとんどは、腺癌であり、患者は、腺癌
又は肉腫系前立腺癌を有し得る。これらの場合のいずれにおいても、前立腺癌は転移性で
あり得る。
患者は、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンの第1の用量の前に、前立
腺癌の1つ以上の他の種類の治療を受けていてもよい。例えば、患者は、ニラパリブ、酢
酸アビラテロン、及びプレドニゾンの第1の用量を投与する前に、タキサン系化学療法を
受けていてもよい。追加的に又は代替的に、患者は、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及
びプレドニゾンの第1の用量を投与する前に、少なくとも1種類のアンドロゲン受容体標
的療法を受けていてもよい。本発明による、他の治療の終了とニラパリブ、酢酸アビラテ
ロン、及びプレドニゾンの投与との間の期間は、数年、数ヶ月、数週間、数日、1日、又
は24時間未満であってもよい。
ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及び/又はプレドニゾンは、単一のビル(例えば、錠
剤又はカプセル)、ボーラス注射などの単一組成物で患者に投与されてもよい。あるいは
、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンは、別々に、すなわち、ニラパリブ
、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンが、投与前に互いに物理的に分離されるように、
患者に投与されてもよい。例えば、ニラパリブ、酢酸アビラテロンが、第1の剤形で投与
される一方、プレドニゾンは、第2の別個の剤形で患者に投与されてもよく、又はニラパ
リブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンは、別個の剤形で投与されてもよい。ニラパ
リブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンが患者に別々に投与されるとき、それぞれの
投与間の期間は、好ましくは最小(例えば、約6時間未満)又は効果的にゼロ(例えば、
患者が、一方の剤形はニラパリブを含有し、他方の剤形は酢酸アビラテロン及びプレドニ
ゾンをそれぞれ含有する、2つの別個の剤形を同時に摂取するときなど)であるが、約1
分、約2分、約3分、約5分、約7分、約10分、約15分、約20分、約25分、約3
0分、約40分、約45分、約50分、約60分、約70分、約80分、約90分、約2
時間、約3時間、約4時間、約5時間、約6時間、約7時間、約8時間、約9時間、約1
0時間、約12時間、約13時間、約14時間、又は約15時間であってもよい。ニラパ
リブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾン、又は3つ全てを含む医薬組成物については
、以下で詳細に説明する。
ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンの投与は、1日1回であってもよい
。換言すれば、ニラパリブは、1日1回投与されてもよく、酢酸アビラテロンは1日1回
投与されてもよく、プレドニゾンは1日1回投与されてもよい。場合によっては、1日1
回の投与は、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを含む単一組成物を1日
1回患者に投与することを含む。他の実施形態では、1日1回の投与は、1日1回、ニラ
パリブを含む単一組成物を患者に投与することと、1日1回、酢酸アビラテロンを含む第
2の組成物を患者に投与することと、1日1回、プレドニゾンを含む第3の組成物を患者
に投与することと、を含む。1日1回の投与は、代替的に、ニラパリブの1日1回の用量
を集合的に構成する1つ以上の組成物を1日の期間中に患者に投与することと、酢酸アビ
ラテロンの1日1回の用量を集合的に構成する1つ以上の組成物を1日の間に患者に投与
することと、プレドニゾンの1日2回以上の用量を構成する2つ以上の組成物を投与する
ことと、を含んでもよい。例えば、ニラパリブが、患者に1日1回単一の組成物で患者に
投与される一方、酢酸アビラテロンは、1日1回2つ以上の別個の剤形の形態で患者に投
与され、プレドニゾンは、それぞれ1日1回ずつ、2つ以上の別個の剤形の形態で患者に
投与されてもよい。前述の説明によって抱持される任意の投与レジメンが想到される。
患者に投与されるニラパリブの量は、約30~約400mg/日、約50~約350m
g/日、約75~約325mg/日、約100~約300mg/日、約100~約275
mg/日、約125~約250mg/日、約150~約225mg/日、約175~約2
25mg/日、若しくは約190~約210mg/日、又は約30、約40、約50、約
60、約70、約80、約90、約100、約110、約120、約130、約140、
約150、約160、約170、約180、約190、約200、約210、約220、
約230、約240、約250、約260、約270、約280、約290、約300、
約310、約320、約330、約340、若しくは約350mg/日であってもよい。
患者に投与される酢酸アビラテロンの量は、約500~約1500mg/日、約600
~約1300mg/日、約700~約1200mg/日、約800~約1200mg/日
、約900~約1100mg/日、約950~約1050mg/日であってもよく、又は
約500、約600、約700、約750、約800、約850、約875、約900、
約925、約950、約1000、約1025、約1050、約1075、約1100、
若しくは約1125mg/日であってもよい。
患者に投与されるプレドニゾンの量は、約1~約25mg/日、約2~約23mg/日
、約3~約20mg/日、約4~約18mg/日、約5~約15mg/日、約6~約12
mg/日、約7~約11mg/日、約8~約11mg/日、約9~約11mg/日であっ
てもよく、又は約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約1
1、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約2
1、約22、約23、約24、若しくは約25mg/日であってもよい。
本方法は、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを、複数の日数、週数、
月数、又は年数にわたって患者に投与することを含んでもよい。好ましくは、ニラパリブ
及び酢酸アビラテロンの投与は、1日1回行われ、プレドニゾンの投与は、1日2回行わ
れる。ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンの量は、経時的に(すなわち、
日ごとに)一定であってもよく、又は経時的に増減してもよい。例えば、1日に投与され
るニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾン、又はこれらのうちの2つ若しくは
3つ全ての量は、投与1日後、投与2、3日後、投与1週間後に増減してもよく、新しい
投与量は、任意の所望の期間、例えば、数日間、数週間、若しくは数ヶ月間維持されても
よく、又は所望の間隔後に数日間、数週間、若しくは数ヶ月間にわたって維持されてもよ
く、又は所望の間隔後に後続的に増減されてもよい。このようにして、本方法は、ニラパ
リブの用量(例えば、1日1回投与されるニラパリブの量)を経時的に少なくとも1回増
加させることを含んでもよい。本方法は追加的に又は代替的に、酢酸アビラテロンの投与
(例えば、1日1回に投与される酢酸アビラテロンの量)を経時的に少なくとも1回増加
させることを含んでもよい。本方法は追加的に又は代替的に、プレドニゾンの投与(例え
ば、1日に投与されるプレドニゾンの総量)を経時的に少なくとも1回増加させることを
含んでもよい。増加又は減少の量は、百分率で表すことができ、そのような状況下では、
増加又は減少の単一エピソードの量は、約5%、約10%、約15%、約20%、約25
%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65
%、約70%、約80%、約85%、約90%、約95%、約100%、又は約100%
超であってよい。
本明細書には、ニラパリブなどの治療有効量のPARP阻害剤、酢酸アビラテロンなど
の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,20-リアーゼ阻害剤(すなわち、3β-アセト
キシ-17-(3-ピリジル)アンドロスタ-5,16-ジエン)、並びにプレドニゾン
、プレドニゾロン、ヒドロコルチゾン、メチルプレニゾロン、及びデキサタメタゾンなど
のグルココルチコイドが、患者、例えば、癌の治療を必要とする患者に、限定するもので
はないが抗癌剤又はステロイドを含む、少なくとも1つの治療有効量の追加治療薬と組み
合わせて投与される、方法が記載される。このような方法はまた、現在癌治療を受けてい
る個体を含む、難治性癌を有する個人に対して有効な治療を提供することもできる。した
がって、特定の実施形態では、本方法は、患者における抵抗性前立腺癌の治療を目的とし
、抗癌剤を現在受容している患者に、治療有効量の17α-ヒドロキシラーゼ/C17,
20-リアーゼ阻害剤を投与する。
このような組成物において、ニラパリブは、それ自体が治療的に有効な量で存在しても
よく、酢酸アビラテロンは、それ自体によって治療的に有効な量で存在してもよく、プレ
ドニゾンは、それ自体によって治療的に有効な量で存在してもよく、又はこれらの条件の
うちの2つ以上が適用されてもよい。他の実施形態では、ニラパリブ、酢酸アビラテロン
、及びプレドニゾンの総量は、一緒に考慮した場合、治療有効量を表してもよく、すなわ
ちニラパリブの量は、それ自体では治療的に有効ではなく、アビラテロンの量はそれ自体
では治療的に有効ではなく、プレドニゾンの量はそれ自体では治療的に有効ではない。本
組成物の目的のための「治療有効量」は、本方法に関連して上述したように定義される。
有効成分を含む組成物は、例えば、錠剤、トローチ剤、ロゼンジ剤、水性若しくは油性
懸濁液、分散性の粉末若しくは顆粒、エマルション、硬質若しくは軟質カプセル、又はシ
ロップ剤若しくはエリキシル剤などの経口使用に適した形態とすることができる。
経口使用を目的とした組成物は、医薬組成物の製造の技術分野では既知のいずれかの方
法に従って調製することができ、かかる組成物は、医薬的に洗練された、味のよい製剤を
提供するために甘味剤、香味剤、着色剤、及び防腐剤からなる群から選択される1つ以上
の薬剤を含むことができる。錠剤は、有効成分を、錠剤の製造に適した無毒性の薬学的に
許容される賦形剤と混合された状態で含有する。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシ
ウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、又はリン酸ナトリウムなどの不
活性希釈剤;例えば、微結晶セルロース、クロスカルメロースナトリウム、コーンスター
チ、又はアルギン酸などの顆粒化及び崩壊剤;例えば、デンプン、ゼラチン、ポリビニル
ピロリドン又はアカシアなどの結合剤;及び、例えばステアリン酸マグネシウム、ステア
リン酸、又はタルクなどの潤滑剤とすることができる。錠剤はコーティングされていなく
てもよく、又は薬剤の不快な味を隠すか若しくは消化管における崩壊及び吸収を遅らせ、
これにより長期にわたって持続する作用をもたらすための既知の技術によりコーティング
されていてもよい。例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース若しくはヒドロキヒプ
ロピルセルロースのような水溶性マスキング材料、又はエチルセルロース、酢酸酪酸セル
ロースのような時間遅延材料を用いることができる。
経口使用のための製剤は、有効成分が、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又
はカオリンのような不活性の固体希釈剤と混合されたハードゼラチンカプセルとして、あ
るいは有効成分が、例えばポリエチレングリコールのような水溶性担体、又は例えばピー
ナッツ油、流動パラフィン、若しくはオリーブ油などの油性媒質と混合されたソフトゼラ
チンカプセルとして与えることもできる。
水性懸濁液は、活性物質を水性懸濁液の製造に適した賦形剤と混合された状態で含有す
る。かかる賦形剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロー
ス、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリド
ン、トラガカントガム、及びアカシアガムなどの懸濁化剤であり、分散剤又は湿潤剤は、
例えばレシチンなどの天然に存在するホスファチド、又はアルキレンオキシドと脂肪酸と
の縮合生成物(例えばステアリン酸ポリオキシエチレン)、又はエチレンオキシドと長鎖
脂肪族アルコールとの縮合生成物(例えばヘプタデカエチレンオキシセタナール)、又は
エチレンオキシドと脂肪酸及びヘキシトールから誘導された部分エステルとの縮合生成物
(例えばポリオキシエチレンソルビトールモノオレエート)、又はエチレンオキシドと脂
肪酸及びヘキシトール無水物から誘導された部分エステルとの縮合生成物(例えばポリエ
チレンソルビタンモノオレエート)とすることができる。水性懸濁液は、例えばp-ヒド
ロキシ安息香酸エチル又はp-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1種類以上の防腐
剤、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤、及びスクロース、サッカリン又はアスパ
ルテームなどの1種類以上の甘味剤も含むことができる。
油性懸濁液は、有効成分を、例えばアラキス油、オリーブ油、ごま油若しくはココナッ
ツ油などの植物油、又は流動パラフィンなどの鉱物油中に懸濁することによって配合する
ことができる。油性懸濁液は、増粘剤、例えば、蜜蝋、硬質パラフィン、又は上述のもの
などのセチルアルコール甘味剤を含有してもよく、香味剤を添加して、口当たりのよい経
口製剤を提供することができる。これらの組成物は、ブチル化ヒドロキシアニソール又は
αートコフェロルなどの酸化防止剤の添加によって保存することができる。
水を加えることによる水性懸濁液の調製に適した分散性の粉末及び顆粒によって、分散
剤又は湿潤剤、懸濁化剤、及び1種類以上の防腐剤と混合された有効成分が得られる。適
当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁化剤は、既に上記に述べたものに例示される。例えば、甘
味剤、香味剤、及び着色剤などの更なる賦形剤が存在してもよい。これらの組成物は、ア
ルコルビン酸などの酸化防止剤の添加によって保存することができる。
本発明の医薬組成物は、水中油型エマルションの形態とすることもできる。油相は、例
えばオリーブ油又はアラキス油などの植物油、又は例えば流動パラフィンなどの鉱物油、
又はこれらの混合物とすることができる。適当な乳化剤は、天然に存在するホスファチド
(例えば大豆レシチン)、及び脂肪酸とヘキシトール無水物とから誘導されたエステル又
は部分エステル(例えばソルビタンモノオレエート)、及び当該部分エステルとエチレン
オキシドとの縮合生成物(例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート)であり
得る。エマルションは、甘味剤、香味剤、防腐剤、及び酸化防止剤を更に含むこともでき
る。
シロップ剤及びエリキシル剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソル
ビトール、又はスクロースなどの甘味剤と配合することができる。かかる配合物は、粘滑
剤、防腐剤、香味剤及び着色剤、並びに酸化防止剤を更に含むことができる。
医薬組成物は、滅菌注射水溶液の形態とすることができる。使用することができる許容
されるビヒクル及び溶媒としては、例えば、水、リンゲル液、及び等張塩化ナトリウム溶
液がある。
滅菌注射製剤は、有効成分が油相中に溶解された滅菌注射水中油型マイクロエマルショ
ンとすることもできる。例えば、有効成分を最初に大豆油とレシチンとの混合物中に溶解
することができる。次いで、この油性溶液を水とグリセロールとの混合物中に導入し、処
理してマイクロエマルションを形成する。
注射溶液又はマイクロエマルションは、局所ボーラス注射により患者の血流中に導入す
ることができる。あるいは、溶液又はマイクロエマルションを、本化合物の一定の循環濃
度が維持されるような形で投与することが有利となる場合もある。このような一定濃度を
維持するには、連続的な静脈内送達装置を利用することができる。かかる装置の一例とし
て、Deltec CADD-PLUS(商標)モデル5400静脈内ポンプがある。
医薬組成物は、筋肉内及び皮下投与用の滅菌注射水性又は油脂性懸濁液の形態とするこ
ともできる。この懸濁液は、上記に述べたような適当な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を使
用して既知の技術に従って配合することができる。滅菌注射製剤は、無毒性の非経口的に
許容される希釈剤又は溶媒中の滅菌注射溶液又は懸濁液、例えば1,3-ブタンジオール
溶液とすることもできる。更に、滅菌不揮発性油が、溶媒又は懸濁媒質として便宜よく使
用される。この目的では、合成モノグリセリド又はジグリセリドを含むいずれの無菌性不
揮発性油も用いることができる。更に、オレイン酸などの脂肪酸も注射製剤の調製に使用
することができる。
ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを含む組成物は、薬剤の直腸投与用
の坐剤の形態で投与することもできる。これらの組成物は、薬剤を、通常の温度では固体
であるが直腸内の温度で液体であり、したがって直腸内で溶けて薬剤を放出する適当な非
刺激性賦形剤と混合することにより調製することができる。そのような材料としては、カ
カオ脂、グリセリン化ゼラチン、硬化植物油、分子量の異なるポリエチレングリコールと
ポリエチレングリコールの脂肪酸エステルとの混合物が挙げられる。
局所的使用には、本化合物を含有するクリーム、軟膏、ゼリー、溶液又は懸濁液などが
用いられる。本開示の目的では、局所適用は、マウスウオッシュ及びうがい薬を含む。
ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを含む組成物は、適当な鼻腔内ビヒ
クル及び送達装置の局所的使用により鼻腔内形態で、又は当業者には周知の経皮パッチの
形態を用いて経皮的経路により投与することができる。経皮的送達系の形態で投与するに
は、用量投与は当然のことながら投与レジメン全体を通じて間欠的ではなく連続的に行わ
れる。
ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを含む組成物が患者に投与される際
、それぞれの薬剤に選択される用量レベルは、限定するものではないが、特定の化合物の
活性、個人の症状の重症度、投与経路、投与時間、化合物の排出速度、治療の継続期間、
併用される他の薬剤、化合物、及び/又は材料、並びに患者の年齢、性別、体重、状態、
一般的健康状態、及び既往歴を含む様々な因子に応じて決められる。ニラパリブの量、酢
酸アビラテロンの量、及びプレドニゾンの量、並びに投与経路は、最終的には医師の判断
に委ねられるが、用量は一般的に、顕著な有害又は有毒の副作用を生じることなく作用部
位において所望の効果を得る局所濃度を実現するようなものである。
組成物は、例えば、約100~約350mgのニラパリブ、約100~約1500mg
の酢酸アビラテロン、及び約2~約15mgのプレドニゾンを含んでもよい。
例えば、本組成物は、ニラパリブを、例えば、100~約350mg、約100~約3
40mg、約125~約340mg、約150~約325mg、約175~約325mg
、約200~約300mgの量で含んでもよく、又は約100、約110、約120、約
130、約140、約150、約160、約170、約180、約190、約200、約
210、約220、約230、約240、約250、約260、約270、約280、約
290、約300、約310、約320、約330、約340、又は約350mgであっ
てもよい。
本組成物はまた、酢酸アビラテロンを、例えば、約100~約1500mg、約125
~約1400mg、約150~約1300mg、約175~約1200mg、約200~
約1175mg、約225~約1150mg、約250~約1100mg、約250~約
1075mg、約250~約1050mg、約250~約1000mg、約300~約9
50mg、約350~約900mg、約400~約850mg、約450~約800mg
、又は約500~約700mgの量で含んでもよく、又は約100、約150、約175
、約200、約225、約250、約275、約300、約325、約350、約375
、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750
、約800、約850、約900、約950、約1000、約1050、約1100、約
1150、約1200、約1250、約1300、約1350、約1400、約1450
、又は約1500mgであってもよい。
本組成物はまた、プレドニゾンを、例えば、約2~約15mg、約2~約14、約3~
約13、約4~約12、約5~約11、約5~約10、約6~約11、約7~約11、約
8~約11、約9~約11の量で含んでもよく、又は約2、約3、約4、約5、約6、約
7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、又は約15mgであっても
よい。
また、ニラパリブを含む組成物、酢酸アビラテロンを含む組成物、プレドニゾンを含む
組成物、及び、前立腺癌を有するヒト患者に当該組成物を投与するための指示書と、を含
むキットも開示される。指示書は、1日1回、1日2回、又は1日複数回、それぞれの組
成物を投与するための指示を提供し得る。例えば、指示書は、ニラパリブを含む組成物及
び酢酸アビラテロンを含む組成物を、1日1回、前立腺癌を有するヒト患者に投与するた
めの指示と、プレドニゾンを含む組成物を、1日2回、ヒト患者に投与するための指示と
、を提供し得る。
本キットでは、ニラパリブを含む組成物、酢酸アビラテロンを含む組成物、及びプレド
ニゾンを含む組成物は、別個の組成物を表してもよく、又はニラパリブを含む組成物、酢
酸アビラテロンを含む組成物、及びプレドニゾを含む組成物のうちの2つ以上は、まった
く同一であってもよい。換言すれば、後者の条件では、本キットは、上記のようなニラパ
リブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンのうちの2つ又は全てを含む、本開示による
組成物を含む。ニラパリブを含む組成物、酢酸アビラテロンを含む組成物、及びプレドニ
ゾンを含む組成物は、それぞれ別個の組成物を表すか否かにかかわらず、それぞれの組成
物は、本発明の医薬組成物について上述した特性を有し得る。ゆえに、本キットの組成物
(複数可)は、任意の所望の投与経路用に構成されてもよく、前述の説明に従って、任意
の賦形剤、添加剤、及びそれぞれの薬物の量を含有してもよく、例えば、それぞれの組成
物は、例えば、本組成物に関する前述の説明に従って、約100~約350mgのニラパ
リブ、約100~約1500mgの酢酸アビラテロン、及び約2~約15mgのプレドニ
ゾン(又はこれらの任意の組み合わせ)を含んでもよい。
いくつかの例では、酢酸アビラテロンを含む組成物は、患者への経口投与用に構成され
た剤形(すなわち経口剤形)であり、プレドニゾンを含む組成物は、患者への経口投与用
に構成された剤形であり、ニラパリブを含む組成物は、患者への経口投与用に構成された
剤形であり、キットは、ニラパリブを含む1剤形ごとに酢酸アビラテロンを含む剤形のう
ちの2~5つと、ニラパリブを含む1剤形ごとにプレドニゾンを含む剤形のうちの1~3
つと、を含む。したがって、このようなキットの意図する投与レジメンは、患者に投与さ
れる酢酸アビラテロンを含む剤形のうちの2~5つごと及びプレドニゾンを含む剤形のう
ちの1~3つごとに、ニラパリブを含む剤形のうちの1つを投与することになる。例えば
、このようなキットに関連する1日1回の投与は、ニラパリブ、酢酸アビラテロンを含む
剤形のうちの2~5つ、及びプレドニゾンを含む剤形のうちの1~3つの剤形を含む、カ
プセルなどの単一剤形を投与することを含んでもよい。このような場合、酢酸アビラテロ
ン及びプレドニゾンを含むそれぞれの剤形は、治療有効量を提供するよりも少ない酢酸ア
ビラテロン及びプレドニゾンを個別に含有してもよいが、これらはそれぞれ、2~5つ又
は1~3つの群で摂取されることが意図されているため、2~5つ又は1~3つの剤形の
組み合わせは、それぞれ治療有効量の酢酸アビラテロン及びプレドニゾンを表すことにな
る。一実施形態では、本キットに関連付けられた投与は、ニラパリブを含む単一剤形、酢
酸アビラテロンを含む4つの剤形、及びプレドニゾンを含む2つの剤形を投与することを
含む。
ある特定の場合、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンのうちの1つ以上
は、1日複数回のレジメンで投与され、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾ
ンの残りのいずれか又は両方は、1日1回投与される。例えば、ニラパリブ及び酢酸アビ
ラテロンが、1日1回の投与である一方、プレドニゾンは、1日2回又は3回投与されて
もよい。一実施形態は、ニラパリブ及び酢酸アビラテロンを1日1回投与し、プレドニゾ
ンを1日2回投与することを含む。特定の実施形態では、本キットに関連付けられた投与
は、ニラパリブを含む単一剤形、酢酸アビラテロンを含む4つの剤形、及びプレドニゾン
を含む2つの剤形を投与することを含み、ニラパリブ及び酢酸アビラテロンは、1日1回
投与され(すなわち、別個の剤形のそれぞれが、単一事例で一緒に投与される)、プレド
ニゾンは、1日2回投与される(すなわち、プレドニゾンを含む剤形のうちの1つは、特
定の日のある時点で投与され、プレドニゾンを含む剤形のうちの2つ目は、4時間、5時
間、6時間、7時間、8時間、9時間、10時間、11時間、又は12時間後など、特定
の日の後の時点で投与される)。
前述の投与レジメン、又は別のレジメンのいずれを適用するかに応じて、指示書は、キ
ットに含まれる組成物(複数可)の1日1回の投与を提供するための適切な指針を提供す
る。
本発明を、以下の実施例で更に定義する。これらの実施例が、本発明の好ましい実施形
態を示している一方で、実例としてのみ提供され、添付の特許請求の範囲を限定するもの
と解釈すべきでないことを理解されたい。以上の議論及びこれらの実施例から、当業者は
、本発明の必須の特徴が、その精神及び範囲を逸脱しないで、種々の利用及び条件に適合
するように、本発明を様々に変更及び改変することができることを確認することが可能で
ある。
実施例1-患者評価を伴う併用療法
ニラパリブは、患者への1日1回経口投与のための200mgのカプセル又は錠剤とし
て提供され、酢酸アビラテロンは、1日1回経口投与のためのカプセル又は錠剤(4×2
50mg、全用量1000mg)として提供され、プレドニゾンは、1日2回経口投与の
ための錠剤又はカプセル(2×5mg)(1日2回、1回1錠の5mg錠剤)として提供
される。ニラパリブの投与は、ニラパリブ単剤療法に対する現在の臨床投与量の67%で
ある、1日1回200mgの開始投与量で開始される。酢酸アビラテロンの用量、1日1
回1000mgは、治療期間全体にわたって不変であり、プレドニゾンの用量、1日2回
5mgも同じく治療期間中不変である。全ての薬剤は、サイクル1、1日目以降、一緒に
投与される。薬剤は、まるごと飲み込まなければならない。患者は、薬物動態(PK)試
料採取が行われる日を除いて、午前中にそれらの用量を(食べ物あり又はなしで)摂取す
る。水は許容される。2時間のPK血液試料が採取された後、スナック(例えば、クラッ
カー、チーズ、及びジュース)が与えられ、標準的な昼食(例えば、チーズ、レタス、ト
マト、及びスプレッド付きのターキーサブマリンサンドイッチ並びに紅茶又はコーヒー1
カップ)が、PK血液試料を採取した4時間後に提供され、標準的な夕食(例えば、チキ
ン、ブロッコリ、及びライス並びに紅茶又はコーヒー1カップ)が、PK血液試料を採取
した8時間後に提供される。
薬物動態評価。血液試料は、PK及び薬力学評価の時間及び事象スケジュールにより、
サイクル1の28日目に24時間の投与間隔で採取される。ニラパリブ及びその主要代謝
産物(M1)、並びに酢酸アビラテロン及びその活性代謝産物、アビラテロンの血漿中濃
度を、プレドニゾンの血漿中濃度と共に測定する。ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及び
プレドニゾンの以下の定常状態の鍵PKパラメータを計算する。
抗腫瘍活性評価。抗腫瘍活性評価は、以下を含む。
Figure 2022141881000003
前立腺特異的抗原(PSA)評価を実施し、Prostate Cancer Wor
king Group 3(PCWG3)の推奨を適用する。治療フェーズにて、放射線
核種の骨スキャン又はCT/MRI撮像評価は、PSAの増悪又は臨床的増悪の疑いの観
察の場合に、施設ガイドラインに従って研究者の裁量において任意選択的に行われる。
全ての登録被験者が分析される。抗腫瘍活性についての評価が行われる。評価。PSA
評価及び骨増悪評価は、PCWG3推奨に基づき、軟組織(内臓及び/又は結節性疾患)
評価は、Response Evaluation Criteria in Soli
d Tumors(RECIST)Version 1.1に基づく。
抗腫瘍活性は、以下のように分析される。
・12週目のPSA低下:ウォーターフォールプロットを用いた12週目のベースライ
ンからのPSAパーセント変化(上昇又は落下)。
・最大PSA低下:ウォーターフォールプロットを用いた任意の時点での最大変化(上
昇又は落下)。
・ベースライン後8週目の血液7.5mLごとにCTC=0として定義されたCTC反
応。
・PCWG3基準による骨増悪のエビデンスのない、RECIST Version
1.1によって定義されるとおりの軟組織(内臓及び/又は結節性疾患)の客観的奏効率
(ORR)。
奏効率の分析が集計され、その両側95%の正確信頼区間も提示される。
抗腫瘍評価は、時間及び事象スケジュール1及び2における指定のとおりに行われる。
予定されていない評価は、臨床的に示されている場合に考慮される必要があり、結果はe
CRFに収集される。抗腫瘍活性評価は、以下を含む。
腫瘍測定:胸部、腹部、及び骨盤CT又はMRIスキャン、及び全身骨スキャン(99
Tc)。個々の被験者の評価全体にわたって、同じ撮像様式が使用されるべきである。
撮像は、研究者によって評価される。反応又は増悪の第1の文書化の後、確認のために約
4週間後に反復撮像が必要とされる。
Figure 2022141881000004
PSA、撮像、及びCTCによる治療反応の評価は、PCWG3基準に従って実行され
る。SSEsは、PCWG3基準に従って評価されるべきである。腫瘍評価及びPSAに
よる増悪は、PCWG3に従って評価されるべきである。
薬力学。末梢血単核球(PBMC)の単離のための血液試料を採取する。末梢血単核球
(PBMC)の溶解物を使用して、化学発光酵素結合免疫吸着アッセイによってPBMC
中のポリADP-リボースを定量化する。
バイオマーカー評価。全ての患者は、腫瘍組織(保管されているか、又は最近採取され
たもの)と、バイオマーカー分析の判定のためにスクリーニングフェーズで採取された血
液試料と、を有する。結果は、適格性を決定しない。
DNA修復異常についてのバイオマーカー陽性試料
患者がバイオマーカー陽性であるかを評価するため、患者にとってより便利でありなが
ら、バイオマーカー陽性状態を決定するための組織に基づいた分析よりも速やかな方法を
提供する、血液に基づいたアッセイが試験期間中に利用できるようになり得る。血液に基
づいたアッセイが利用可能となる前に、腫瘍組織(保管されているか、又は最近採取され
たもの)の分析を行う必要がある。どの時点で試験に入ったかにかかわらず、全ての患者
が分析(すなわち、一致試験及びブリッジング試験)に使用できる同じバイオマーカーデ
ータを有するように、腫瘍組織及び血液試料の両方を事前スクリーニングのインフォーム
ドコンセントフォーム(ICF)に署名した全ての患者から得る。バイオマーカー陽性を
判定するためのプロセスは、血液に基づいたアッセイが利用可能となる前に事前スクリー
ニングフェーズに入る患者では、血液に基づいたアッセイが利用可能となった後で事前ス
クリーニングフェーズに入る患者と比較して異なる。しかしながら、腫瘍組織及び血液の
両方におけるバイオマーカー陽性の状態は全ての患者について評価を行う。
試験に適性を有すると判断されるためには、患者は腫瘍組織(保管されているか、又は
最近採取されたもの)又は利用可能な場合には血液検査によってバイオマーカー陽性であ
ることが確認されなければならない。この試験で対象とされるバイオマーカー及びバイオ
マーカー陽性の基準を表1に示す。二対立遺伝子損失の代理となるもの(例えばコピー数
の喪失を伴う突然変異の同時発現頻度)を定義するために分析を行い、これらの代理を、
かかる情報が入手可能になった際にバイオマーカー陽性の判定に用いることができる。
Figure 2022141881000005
全ての遺伝子における一対立遺伝子喪失は、二対立遺伝子喪失に関する既存のアルゴリ
ズムの有効性が確認されるまで試験へのエントリーは許容される。
循環腫瘍細胞
血液試料を「時間及び事象のスケジュール」に示された時点でCellsaveチュー
ブに採取する。CTCの計数は、中央臨床検査室で評価して試験薬剤への反応を評価する
RNA用の全血
全血試料をPaxgeneチューブに採取する。前立腺腫瘍に見られる複数のリボ核酸
(RNA)転写産物がRNA中で検出可能であり、これらの試料の分析は、ニラパリブに
よって生じ得る抵抗性の潜在的な機序の評価を可能とする。
循環腫瘍DNA
治療過程で採取した血漿試料を用いて、循環腫瘍DNA(ctDNA)により経時的に
観察されるDNA修復異常のレベル又は種類の変化についてスクリーニングし、ニラパリ
ブに対する抵抗性の潜在的なマーカーについて監視する。
全ての被験者は、腫瘍組織(保管されているか、又は最近採取されたもの)と、バイオ
マーカー分析の判定のためにスクリーニングフェーズで採取された血液試料と、を有する
。結果は適格性を決定しない。バイオマーカーと抗腫瘍活性との間の関連性の評価を行う
ことができる。腫瘍DNAと循環腫瘍DNAとの間のゲノム異常の一致を評価することも
できる。循環腫瘍細胞(CTC)は、試験薬物に対する反応について評価される。
安全性の評価。安全性の評価は、有害事象報告の医療レビュー及びバイタルサイン測定
の結果、心電図(12リード)、物理的検査、臨床検査、及びEastern Coop
erative Oncology Group Performance Statu
sの結果に基づく。
薬物動態及び薬物動態/薬力学分析。個別及び平均血漿濃度-時間データを記述統計と
共にようやくし、ニラパリブ及びその主要代謝産物(M1)並びに酢酸アビラテロン及び
その活性代謝産物(アビラテロン)の濃度-時間プロファイルをプロットする。PKパラ
メータを記述統計と共に要約する。ニラパリブ、酢酸アビラテロン、プレドニゾン、及び
薬力学又は臨床活性又は安全エンドポイント間の関係を、任意選択的に評価する。
抗腫瘍活性分析。患者を、抗腫瘍活性について分析する。PSA評価は、PCWG3推
奨に基づくものであり、以下のとおりである:PSA奏効率:試験中ベースラインからの
≧50%の低下であり、3~4週間後の2回目の測定によって確認される;12週目のP
SA反応:ウォーターフォールプロットを用いた12週目のベースラインからの変化率(
上昇又は下降);≧50%の最大PSA低下:ウォーターフォールプロットを用いた任意
の時点での最大変化(上昇又は下降)。
安全性の分析。評価される安全パラメータは、AEの発生率、強度、及びタイプ、バイ
タルサイン測定値、ECG、物理的検査(異常はAEとして記録される)、ECOG P
S、及び臨床検査結果である。
実施例2-去勢雄マウスに生着したヒト前立腺腫瘍モデル(VCaP)におけるニラパ
リブ+アビラテロンの有効性
目的:この試験は、ヒトVCaP前立腺腫瘍を有する去勢雄マウスにおける、アビラテ
ロンと組み合わせたニラパリブの有効性を評価した。読み出しは、腫瘍体積及び生存期間
であった。
細胞培養
ヒトVCaP前立腺腫瘍株は、去勢抵抗性前立腺癌患者の椎骨転移から誘導された。V
CaP腫瘍細胞は、TMPRSS2-ERG融合を行い、アンドロゲン受容体を発現する
。VCaP腫瘍細胞株を、空気中CO2、5%の大気にて37℃で、10%のウシ胎児血
清を添加したDMEM培地中に維持した。腫瘍細胞を、トリプシン-EDTA処理によっ
て週に2回継代培養した。細胞は、腫瘍注射の指数的増加フェーズにあるときに採取した
腫瘍細胞注射及び試験設計
それぞれのマウスの右脇腹に、腫瘍を発達させるためのMatrigelを含むPBS
(1:1)0.1mL中にVCaP腫瘍細胞(1×10)を皮下注射した。腫瘍細胞接
種日を0日目とした。約200mmの平均腫瘍サイズを確保するため、マウスを治療群
に分散させ、その時点で、全てのマウスに対して去勢を行った。治療は、それぞれの群に
おける試験用物品の投与及び動物数を示す表2に概説されるように、去勢1日後に開始さ
れた。治療開始前の群分けの日付は、群分け後の0日目(PG-D0)として示された。
投与を35日間継続し(57日目)、投与中及びそれぞれのマウスが試験エンドポイント
に到達するまで、マウスの腫瘍体積を監視した。腫瘍体積が1500mmに達したとき
にマウスを安楽死させた。
腫瘍体積は、キャリパーを用いて週に2回、二次元で測定し、a及びbがそれぞれ、腫
瘍の長さ及び幅である、式:V=0.5a×bを用いて体積をmmで表した。
Figure 2022141881000006
注:
1.N:動物の数。
2.投与体積:体重に基づいて調節した(10μL/g)。
3.アビラテロンを最初に投与し、続いてニラパリブを7~8時間後に投与した。
データ分析及び統計
プリズム(GraphPadバージョン7)を使用して、全てのデータをグラフ化し、
中央寿命、生存期間、及び腫瘍体積を含む特定の計算を実施した。ログランクマンテル・
コックス検定を使用して、生存期間データを評価した。
腫瘍増殖阻害(TGI)は、以下のように計算した:TGI(%)=100×(1-T
/C)。T及びCはそれぞれ、所定の日の処置群及び対照群の平均腫瘍体積である。
p値<0.05を有意であるとみなした。
結果
それぞれの治療は、23~57日目の投与期間中に、ビヒクル対照と比較して腫瘍増殖
を阻害した(図1)。ニラパリブは、ビヒクル対照と比較して、41~55日目から約2
5%腫瘍増殖を阻害した。アビラテロンは、対照群と比較して、37~55日目からの腫
瘍増殖のより大きな阻害(35%~46%の範囲)を示した。ニラパリブとアビラテロン
との組み合わせは、ビヒクル対照群と比較して、37~55日目(38%~58%の範囲
)から腫瘍増殖の最も劇的な阻害を示した。
58日目の腫瘍増殖阻害(TGI)は、表3で計算されており、それぞれの治療が対照
群と比較して腫瘍増殖を有意に減少させたことを示している。これらの結果は、単剤とし
てのニラパリブ又はアビラテロンは、VCaP腫瘍の増殖を阻害したが、ニラパリブ/ア
ビラテロンの組み合わせが腫瘍増殖を阻害するのに最も効果的であったことを示している
Figure 2022141881000007
注:a:平均±SEM;b,c:対ビヒクル対照。TGI、腫瘍増殖阻害。
生存曲線及び統計を図2及び表4に示す。ビヒクル対照群は、77.5日のMLSを示
した(表3)。ニラパリブ単独は、ビヒクル対照群と比較してMLSを増加させず、有意
な生存期間効果ももたらさなかった。アビラテロン単独では、MLSを10.5日増加さ
せ、ビヒクル対照群に対する生存期間を有意に増加させた(p=0.0192)。ニラパ
リブ/アビラテロン群の組み合わせは、生存期間に対する最大の影響を示し、MLS10
5.5日を示し、ビヒクル対照群に対する生存期間を有意に増加させた(p<0.000
1)。ニラパリブ/アビラテロン治療はまた、生存を単剤ニラパリブ(p<0.0001
)及びアビラテロン(p=0.0021)よりも有意に延長させた。
これらの結果は、単剤としてのニラパリブ又はアビラテロンが、VCaP腫瘍を有する
マウスの生存期間を有意に延長させたことを実証しているが、ニラパリブ/アビラテロン
の組み合わせは、生存期間を延長させるのに最も効果的であったことを実証している。
Figure 2022141881000008
注:a:MLS、中央寿命(生存期間範囲)。b:ログランク検定を使用して、ビヒク
ル対照群と比較したそれぞれの治療群間の生存期間のp値を決定した。ILS、増加した
寿命;グループ1と比較。
上記の明細書は、説明を目的として与えられる実施例と共に本発明の原理を教示するも
のであるが、本発明の実施には、以下の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれ
る全ての通常の変形例、適合例及び/又は改変例が包含される点が理解されるであろう。
上記の明細書は、説明を目的として与えられる実施例と共に本発明の原理を教示するものであるが、本発明の実施には、以下の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内に含まれる全ての通常の変形例、適合例及び/又は改変例が包含される点が理解されるであろう。

以下の態様を包含し得る。
[1] 前立腺癌の治療を必要とする患者に、治療有効量のニラパリブ、治療有効量の酢酸アビラテロン、及び治療有効量のプレドニゾンを投与することを含む、前立腺癌を治療するための方法。
[2] 前記前立腺癌が、ホルモン感受性又は去勢抵抗性前立腺癌である、上記[1]に記載の方法。
[3] ニラパリブ及び酢酸アビラテロンが、前記患者に単一組成物で投与される、上記[2]に記載の方法。
[4] ニラパリブが、酢酸アビラテロンとは別個の組成物で投与される、上記[2]に記載の方法。
[5] ニラパリブ及び酢酸アビラテロンがそれぞれ、前記患者に1日1回投与される、上記[1]に記載の方法。
[6] ニラパリブが、前記酢酸アビラテロン及びプレドニゾンとは別個の組成物で投与される、上記[1]のいずれか一項に記載の方法。
[7] ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンがそれぞれ、別個の組成物で投与される、上記[1]のいずれか一項に記載の方法。
[8] 前記患者に、約500~約1500mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む、上記[2]に記載の方法。
[9] 前記患者に、約600~約1300mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む、上記[8]に記載の方法。
[10] 前記患者に、約900~約1100mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む、上記[9]に記載の方法。
[11] 前記患者に、約1000mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む、上記[10]に記載の方法。
[12] 前記患者に、約500mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む、上記[11]に記載の方法。
[13] 前記患者に、約30~約400mg/日のニラパリブを投与することを含む、上記[8]に記載の方法。
[14] 前記患者に、約100~約300mg/日のニラパリブを投与することを含む、上記[13]に記載の方法。
[15] 前記患者に、約175~約225mg/日のニラパリブを投与することを含む、上記[14]に記載の方法。
[16] 前記患者に、約200mg/日のニラパリブを投与することを含む、上記[11]に記載の方法。
[17] 前記患者に、約200mg/日のニラパリブを投与することを含む、上記[12]に記載の方法。
[18] 前記患者に、約1~約25mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、上記[13]に記載の方法。
[19] 前記患者に、約5~約15mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、上記[14]に記載の方法。
[20] 前記患者に、約9~約11mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、上記[15]に記載の方法。
[21] 前記患者に、約10mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、上記[16]に記載の方法。
[22] 前記患者に、約10mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、上記[17]に記載の方法。
[23] 前記患者に、約5mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、上記[16]に記載の方法。
[24] 前記患者に、約5mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、上記[17]に記載の方法。
[25] 前記患者に、複数日にわたってニラパリブ及び酢酸アビラテロンを1日1回投与することと、前記ニラパリブ及び酢酸アビラテロンの一方又は両方の用量を経時的に少なくとも1回増加させることと、を含む、上記[1]に記載の方法。
[26] 前記ニラパリブの投与が、経時的に少なくとも1回増加される、上記[5]に記載の方法。
[27] 前記患者に、複数日にわたってプレドニゾンを1日2回投与することと、前記プレドニゾンの用量を経時的に少なくとも1回増加させることと、を含む、上記[25]に記載の方法。
[28] 前記患者に、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを経口投与することを含む、上記[1]に記載の方法。
[29] 前記患者が、ニラパリブ及び酢酸アビラテロンの第1の用量を投与する前にタキサン系化学療法を受けた、前記いずれかの上記[1]に記載の方法。
[30] 前記患者が、ニラパリブ及び酢酸アビラテロンの第1の用量を投与する前に少なくとも1種類のアンドロゲン受容体標的療法を受けた、上記[1]に記載の方法。
[31] ニラパリブと、酢酸アビラテロンと、プレドニゾンと、を、単一の経口剤形中に、ヒト患者における前立腺癌の治療に対し治療的に有効な総量で含む、医薬組成物。
[32] 前記組成物が、経口投与用に構成されている、上記[1]に記載の組成物。
[33] 前記組成物が、約100~約350mgのニラパリブと、約100~約1500mgの酢酸アビラテロンと、約2~約15mgのプレドニゾンと、を含む、上記[31]又は上記[3232]に記載の組成物。
[34] ニラパリブと、酢酸アビラテロンと、プレドニゾンと、を、複数の経口剤形中に、ヒト患者における前立腺癌の治療に対し治療的に有効な総量で含む、医薬組成物。
[35] 前記組成物が、経口投与用に構成されている、上記[33]に記載の組成物。
[36] 前記組成物が、約100~約350mgのニラパリブと、約100~約1500mgの酢酸アビラテロンと、約2~約15mgのプレドニゾンと、を含む、上記[34]又は上記[35]に記載の組成物。

Claims (36)

  1. 前立腺癌の治療を必要とする患者に、治療有効量のニラパリブ、治療有効量の酢酸アビ
    ラテロン、及び治療有効量のプレドニゾンを投与することを含む、前立腺癌を治療するた
    めの方法。
  2. 前記前立腺癌が、ホルモン感受性又は去勢抵抗性前立腺癌である、請求項1に記載の方
    法。
  3. ニラパリブ及び酢酸アビラテロンが、前記患者に単一組成物で投与される、請求項2に
    記載の方法。
  4. ニラパリブが、酢酸アビラテロンとは別個の組成物で投与される、請求項2に記載の方
    法。
  5. ニラパリブ及び酢酸アビラテロンがそれぞれ、前記患者に1日1回投与される、請求項
    1に記載の方法。
  6. ニラパリブが、前記酢酸アビラテロン及びプレドニゾンとは別個の組成物で投与される
    、請求項1のいずれか一項に記載の方法。
  7. ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンがそれぞれ、別個の組成物で投与さ
    れる、請求項1のいずれか一項に記載の方法。
  8. 前記患者に、約500~約1500mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む
    、請求項2に記載の方法。
  9. 前記患者に、約600~約1300mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む
    、請求項8に記載の方法。
  10. 前記患者に、約900~約1100mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む
    、請求項9に記載の方法。
  11. 前記患者に、約1000mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む、請求項1
    0に記載の方法。
  12. 前記患者に、約500mg/日の酢酸アビラテロンを投与することを含む、請求項11
    に記載の方法。
  13. 前記患者に、約30~約400mg/日のニラパリブを投与することを含む、請求項8
    に記載の方法。
  14. 前記患者に、約100~約300mg/日のニラパリブを投与することを含む、請求項
    13に記載の方法。
  15. 前記患者に、約175~約225mg/日のニラパリブを投与することを含む、請求項
    14に記載の方法。
  16. 前記患者に、約200mg/日のニラパリブを投与することを含む、請求項11に記載
    の方法。
  17. 前記患者に、約200mg/日のニラパリブを投与することを含む、請求項12に記載
    の方法。
  18. 前記患者に、約1~約25mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、請求項13
    に記載の方法。
  19. 前記患者に、約5~約15mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、請求項14
    に記載の方法。
  20. 前記患者に、約9~約11mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、請求項15
    に記載の方法。
  21. 前記患者に、約10mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、請求項16に記載
    の方法。
  22. 前記患者に、約10mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、請求項17に記載
    の方法。
  23. 前記患者に、約5mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、請求項16に記載の
    方法。
  24. 前記患者に、約5mg/日のプレドニゾンを投与することを含む、請求項17に記載の
    方法。
  25. 前記患者に、複数日にわたってニラパリブ及び酢酸アビラテロンを1日1回投与するこ
    とと、前記ニラパリブ及び酢酸アビラテロンの一方又は両方の用量を経時的に少なくとも
    1回増加させることと、を含む、請求項1に記載の方法。
  26. 前記ニラパリブの投与が、経時的に少なくとも1回増加される、請求項5に記載の方法
  27. 前記患者に、複数日にわたってプレドニゾンを1日2回投与することと、前記プレドニ
    ゾンの用量を経時的に少なくとも1回増加させることと、を含む、請求項25に記載の方
    法。
  28. 前記患者に、ニラパリブ、酢酸アビラテロン、及びプレドニゾンを経口投与することを
    含む、請求項1に記載の方法。
  29. 前記患者が、ニラパリブ及び酢酸アビラテロンの第1の用量を投与する前にタキサン系
    化学療法を受けた、前記いずれかの請求項1に記載の方法。
  30. 前記患者が、ニラパリブ及び酢酸アビラテロンの第1の用量を投与する前に少なくとも
    1種類のアンドロゲン受容体標的療法を受けた、請求項1に記載の方法。
  31. ニラパリブと、酢酸アビラテロンと、プレドニゾンと、を、単一の経口剤形中に、ヒト
    患者における前立腺癌の治療に対し治療的に有効な総量で含む、医薬組成物。
  32. 前記組成物が、経口投与用に構成されている、請求項1に記載の組成物。
  33. 前記組成物が、約100~約350mgのニラパリブと、約100~約1500mgの
    酢酸アビラテロンと、約2~約15mgのプレドニゾンと、を含む、請求項31又は請求
    項3232に記載の組成物。
  34. ニラパリブと、酢酸アビラテロンと、プレドニゾンと、を、複数の経口剤形中に、ヒト
    患者における前立腺癌の治療に対し治療的に有効な総量で含む、医薬組成物。
  35. 前記組成物が、経口投与用に構成されている、請求項33に記載の組成物。
  36. 前記組成物が、約100~約350mgのニラパリブと、約100~約1500mgの
    酢酸アビラテロンと、約2~約15mgのプレドニゾンと、を含む、請求項34又は請求
    項35に記載の組成物。
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