JP2022140910A - 光散乱膜付き透光性基板の製造方法、及び有機elパネルの製造方法 - Google Patents

光散乱膜付き透光性基板の製造方法、及び有機elパネルの製造方法 Download PDF

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Junpei Suzuki
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Abstract

Figure 2022140910000001
【課題】
本発明の課題は、より高い表面平滑性の光散乱膜付き透光性基板を提供することである。
【解決手段】
本発明の透光性基板の製造方法は、透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、該ガラス基材上に、第一のガラス材の原料及び第二のガラス材の原料を含む、ガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び容器内に収納した、該塗布層を形成した該ガラス基材を、加熱炉内で、該容器と共に加熱する、加熱工程を含み、さらに、該容器が、該加熱炉の外部より、その内部に、ガスを供給可能である。
【選択図】図2

Description

本発明は、光散乱膜付き透光性基板の製造方法、及び有機ELパネルの製造方法に関する。
光散乱膜付き透光性基板は、有機EL素子や光電変換素子等の透光性電極層形成用の基板として、これらの素子の性能強化を目的とし、用いられている。
例えば、有機EL素子形成用の光散乱膜付き透光性基板は、光取り出し基板とも呼称され、電力効率向上を目的とし、使用されている。
ここで、有機EL素子は、物質に電界を印加した際に発光を生じる現象を利用した面発光素子である。そして基板上に有機EL素子を形成した有機ELパネルは、自発光型、薄型にできるなどの特徴を生かし、平面状光源やディスプレイ等への応用展開が図られている。
ところで、有機EL素子の発光層などに使用される有機機能性材料は水分や酸素によって劣化しやすく、ダークスポットの生成や発光効率の低下を引き起こしてしまうため、基板には素子外部から侵入する酸素や水分に対して高いバリア性が必要である。
また、光取り出し基板は、発光部の光を外部に効率よく取り出す役割があり、その為には、高屈折率の素子側から低屈折率の空気に向かうことに起因する全反射を抑制するために光散乱膜を備えることが有効であるが、光散乱膜として凹凸層を採用した場合には、光取り出し基板の、有機EL素子、特にその有機機能層、と接する表面に凹凸が存在することとなる為、有機ELパネルの電力発光効率は、漏れ電流増加等の素子の性能低下に伴って、逆に小さくなってしまう。
以上の理由のように一般に光散乱膜付き透光性基板には、十分な散乱性のみならず、高いバリア性、そして透光性電極層形成用面の表面平滑性が要求される。
特許文献1は、このような光散乱膜付き透光性基板に関し、ガラス基材上に光取り出し膜を有し、該光取り出し膜は、第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子を含むことを特徴とし、発光部の光を外部に効率よく取り出す方法を開示する。
特開2019-175693号公報
この様な特許文献1の光取り出し基板を原料として用いることで、有機ELパネルは、その性能、特に発光効率が向上するが、前述した表面平滑性の点では、不十分であり改善の余地があることに本発明者は着目、信頼性、特に長寿命化の観点から、より優れた特性、特に、より高い表面平滑性の光散乱膜付き透光性基板が必要であると考えた。
即ち、特許文献1に記載の方法で作製した光取り出し基板を原料とする有機ELパネルにおいては発光継続時の漏れ電流の増加に伴う電力発光効率の低下が生じており、さらなる改善が望まれる。
本発明者は、透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法において、この様な従来技術の課題を解決し、十分な散乱性のみならず、高いバリア性、そしてより高い透光性電極層形成用面の表面平滑性の基板を提供し得ることを種々検討の結果見出し、例えば、その様な基板を用いることで、長寿命かつ高性能の有機ELパネルを生産し得ることを見出し、本発明を為すに至った。
即ち、本発明は、ガラス基材、及び光散乱膜を含み、該光散乱膜の該ガラス基材側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする、透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、
該光散乱膜が、第一のガラス材、及び該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を含み、
該ガラス基材上に、該第一のガラス材の原料及び該第二のガラス材の原料を含む、ガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び
容器内に収納した、該塗布層を形成した該ガラス基材を、加熱炉内で、該容器と共に加熱する、加熱工程を含み、さらに、
該容器が、該加熱炉の外部より、その内部に、ガスを供給可能であることを特徴とする光散乱膜付き透光性基板の製造方法に関する。
本発明によれば、容器内にガスを供給しつつ焼成を実施することが可能で、炉内の対流や、温度分布を小さく抑える為の、送風による強制対流により、容器外より異物が混入し、ガラスペースト上に付着することを抑えることができるため、本発明の光散乱膜付き透光性基板は、その表面に付着する異物、および、異物を起源とする表面凹凸が少なく、表面平滑性が良好であり、例えば、これを原料基板とする有機ELパネルは、電力発光効率の低下が少なく、漏れ電流が少ない。
また、前記加熱工程は、
前記ガスを供給可能とするガス供給機構、前記容器、及び前記加熱炉を含む加熱装置であって、
ガス供給機構が、異物除去部であって、
前記ガスとして、異物が除去されたクリーンガスを、前記供給可能である、
異物除去部を有する、
加熱装置で実施されることが好ましく、該異物除去部により異物が取り除かれたクリーンガスのみを容器内に供給可能であり、ガスに含まれる異物が、ガラス基材の表面であるガラスペースト上に付着することを抑えることができる。
また、前記加熱工程は、前記容器の内部の内圧が、前記容器の外部、かつ、前記加熱炉の内部の圧力である、外圧に対して陽圧である、陽圧期間を含むことが好ましく、容器内が、炉内の状況に影響され、汚染されることがより抑制されるので、より異物の付着を抑えることができる。
また、前記光散乱膜は、前記第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第二のガラス材のガラス粒子を含むことが好ましく、本発明の効果がより効果的に奏される。
さらに、本発明は、本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法を含む、有機ELパネルの製造方法であって、順に、
前記塗布工程、
前記加熱工程、
前記透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、
該透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、
該有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
該反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む、有機ELパネルの製造方法に関し、高信頼性の、特に長寿命の、発光継続時の漏れ電流が抑制された、高い電力発光効率の有機ELパネルが製造できる。
本発明の製造方法により製造された光散乱膜付き透光性基板は、その表面に付着する異物、および、異物を起源とする表面凹凸が少なく表面平滑性が良好であり、例えば、これを原料基板とする有機ELパネルは、電力発光効率の低下が少なく、漏れ電流が少ない。
有機ELパネル10の一実施形態の一断面の概念図である。 実施例1の加熱工程を実施した際の実施概念図である。。 実施例1の加熱工程に使用する容器40の断面概念図である。
以下、本発明の実施態様について説明する。
[光散乱膜付き透光性基板11]
本発明に係る光散乱膜付き透光性基板11は、ガラス基材1、及び光散乱膜2(有機EL素子用の基板の場合は光取り出し膜2)を含み、光散乱膜2のガラス基材1側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする層形成用の基板であり、例えば、所望の形状の有機EL素子12を1つ、または複数含むことができる面積を有し、特定の製法で製造されることで当該透光性電極層形成用面が、例えば有機EL素子12等の、素子の透光性電極層の形成用面として優れた品質を有することを一つの特徴とする。
即ち、本発明に係る透光性電極層形成用面は、特定の、優れた光散乱性能を有する光散乱膜2の表面でありつつ、凹凸が少ない平滑面であり、また、異物が少ない表面であり、好ましくは、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定した、表面平滑性を示す表面粗さの指標:Szが、400nm以下の平滑性を有し、より好ましくは、250nm以下である。ここでAFMとしては、後述する実施例等で使用する、Agilent Technologies社製、5600LS等を使用して、Szを測定できる。
[ガラス基材1]
本発明に係るガラス基材1は、光散乱膜付き透光性基板11を構成する主な部材であり、軽いパネルを製造する為の原料とする観点から、その平均厚みは、8mm以下であることが好ましく、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは2mm以下であり、ハンドリング可能とする観点から、0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.4mm以上である。また、ガラス基材1は、所望の形状の光散乱膜2を1つ、または複数含むことができる面積を有する。
このようなガラス基材1は、ガラスを薄くした場合の割れに対し強度を向上せしめ、実用に耐えるパネルとする観点から化学強化されていても良く、十分な強度の基材とする観点から端面処理が施されていることが好ましく、その構成としては、単層のみならず、複層であってもなんら問題はなく、耐摩耗性や平滑性、割れに対する強度向上のために、いずれかの面に処理層や被覆膜が形成されていても良い。
[光散乱膜(光取り出し膜)2]
本発明に係る光散乱膜2は、単独で、又はこれと隣接する膜や層と共同し、屈折率の異なる界面で光の出射方向を変え、光取り出し効率や光閉じ込め効率を向上させる機能を有する、光散乱構造を構成する膜であり、好ましくは、無機成分のみから成る材料により、後述する塗布層を加熱し焼成することで、好ましくは、平均膜厚が10μm以上の膜として形成される。
このような光散乱膜2は、本発明に係る表面平滑性を、簡便、安価、かつ、確実に確保しつつ、本発明に係る信頼性や、素子効率、例えば有機EL素子の場合には発光効率を、より高める観点から、比較的表面が平滑な、屈折率が異なる微細粒子状部分を含んだり、光散乱効果が大きい結晶粒界面を含んだりし、例えば、屈折率が実質的に0となる空隙を含む、屈折率が1以上、3以下の無機ガラスの膜とすることが好ましく、具体的には例えば、第1のガラス材の非晶質マトリクスの海部分と、この非晶質マトリクス中に分散してなる、第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子の島部分とからなる海島構造を有るものが好ましく、ここで、より好ましくは、第二のガラス材は、第一のガラス材と異なる屈折率を有し、マトリックスとなる第一のガラス材に、上記第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を添加し散乱効果を付与し、同時に、高融点材料粒子界面のマトリックス材料結晶化抑制効果によりマトリックスの結晶化温度を上げて、500℃以下で焼成することが可能となるようにすることにより平滑性を維持できるものとすることであり、この様な光散乱膜2は、マトリックスの結晶子が微少量形成された膜となっていることが一つの特徴である。
上記第一のガラス材、及び上記第二のガラス材の両方が、Bi23-B23-SiO2-ZnO系ガラスであることが好ましく、安価かつ透明性に優れ、より好ましくは、このようなガラス組成について、上記第二のガラス材のSiO2及びB23の合計割合を上記第一ガラス材の該合計割合よりも大きくし、かつ、上記第二のガラス材のBi23の割合を上記第一ガラス材の該割合よりも小さくすることであり、簡便かつ安価に第二のガラス材を第一のガラス材より高融点な材料とすることができる。
さらに好ましくは、上記Bi23-B23-SiO2-ZnO系ガラスの組成について、全体を100wt%として、SiO2を0~15wt%、B23を0~15wt%、Bi23を65~90wt%、ZnOを0~20wt%、Al23、BaO、及びZrOの各々を0~10wt%の範囲内とすることであり、より安価かつ簡便に、より光取出し効率に優れ、光学的特性に優れた光取り出し膜2となる。
(光散乱膜付き透光性基板の製造方法)
本発明の光散乱膜2付き透光性基板11の製造方法は、順に、塗布工程、及び加熱工程を含み、各々、ガラス基材1上に特定のガラスペーストを塗布して塗布層を形成する塗布工程、特定の加熱装置で実施する加熱工程とすることを一つの特徴とする。
(塗布工程)
前記ガラスペーストは、例えばガラスフリットであり、具体的には上述の、第一のガラス材の原料及び第二のガラス材の原料を含む。
前記塗布工程におけるガラス基材1上へのガラスペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷法やスピンコート法、スリットコート法、インクジェット法のような方法が例示でき、好ましくは、簡易かつ膜厚制御性の高いスクリーン印刷法である。
(加熱工程)
前記加熱工程は、特定の本発明の加熱装置であって、ガス供給可能なガス供給機構、容器40、及び加熱炉を含む加熱装置で実施され、具体的には、加熱炉内で当該容器40内に収納された塗布層を形成したガラス基材1は、当該容器40と共に加熱・焼成され、即ち、ガラスペーストを塗布した該ガラス基材1が容器40内に収納された状態で加熱・焼成され、かつ、この加熱・焼成の際、加熱炉の外部より容器40の内部にガスを供給可能な、ガス供給機構から、容器40内にガスを供給しつつ加熱・焼成する。
このような方法によれば、容器40内のガス雰囲気による圧力が容器40外に対し陽圧となり、加熱・焼成中に、容器40外の異物が容器40内に混入し、ガラス基材1上のガラスペースト表面上に付着することを抑えることができ、即ち、加熱工程は、容器40の内部の内圧が、容器40の外部、かつ、加熱炉の内部の圧力である、外圧に対して陽圧である、陽圧期間を含むことが好ましく、当該陽圧期間は加熱当初からであることが、より好ましく、さらに好ましくは、容器40内にガラスペースト塗布ガラス基材1を収納した後、加熱前までの間に、陽圧期間を開始することで、加熱中は陽圧期間とすることが、より好ましく、さらに好ましくは、容器40から焼成後のガラスペースト塗布ガラス基材1を取り出す直前までを陽圧期間とすることであり、表面に異物のない、表面平滑性の高い光散乱膜2を形成することができる。
(容器40)
本発明に係る容器40はその内部に、本発明に係るガス供給機構から、ガスを供給可能とする必要から、ガス供給口接続部であって、ガス供給機構の一部である、ガス供給口41とその内部が連通する、ガス供給口接続部を有し、また、容器40の材質は、熱伝導率、熱容量、耐熱性の観点から、ステンレス鋼等の合金,アルミナ等のセラミックス材とすることが好ましく、また、ガス供給口41とガス供給口接続部との接続は、脱着可能であることが好ましい。
(ガス供給機構)
本発明に係るガス供給機構は、容器40への異物の混入をより抑制する観点から、物除去部42を有することが好ましく、その容器40側への出口である前記ガス供給口41に有することが、より好ましく、上記ガスは、当該異物除去部42により異物が取り除かれ、クリーンガスとして容器40内に供給される。
このような異物除去部42は、定期的なメンテナンスや交換を可能とする観点から、ガス供給機構からも、容器40からも、着脱可能であることが好ましい。
即ち、異物除去部42は、例えば、容器40の前記ガス供給口接続部に、ガス供給口41の一部となるようにフィルターを備えるようにすることで、配置が可能であり、該フィルターは、適度な穴径を有し、その材質としては、ガラス繊維、及び多孔質焼結体が好ましい。
このような方法によれば、上記異物除去部42により異物が取り除かれたクリーンガスのみを容器40内に供給可能であり、ガスに含まれる異物が、ガラスペースト上に付着することを抑えることができ、更に表面平滑性の高い光散乱膜2を形成することができる。
[有機ELパネル10]
この様な本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法により製造された基板を原料とした製品の例として、以下、有機ELパネル10につき簡単に説明する。
図1は、有機ELパネル10の一実施形態の一断面の概念図である。
有機ELパネル10は、本発明の係る透光性電極層形成用面上に、透光性電極層3、有機機能層4、及び反射性電極層5より構成される有機EL素子12と、封止膜6と、が形成されたものであり、当該有機EL素子12は透光性電極層3の少なくとも一部を含む。
このような有機ELパネル10は、透光性電極層3と反射性電極層5の間に電圧を印加することで有機機能層4内の発光層が発光し、光取り出し膜2により発光した光を外部に効率よく取り出することができる。
ここで、光取り出し基板11の光取り出し膜2の表面に凹凸部が存在すると、透光性電極層3,有機機能層4,反射性電極層5は該凹凸形状に沿って形成されるため、透光性電極層3と反射性電極層5間に電圧を印加した際に、例えば、該凹凸部に電荷が集中することで漏れ電流が生じ、有機ELパネルとしての寿命が低下する原因となる。
本発明によれば、このような光取り出し膜の表面凹凸は抑制され、表面は平滑化し、長寿命かつ高性能の有機ELパネルとなる。
[有機EL素子12]
前記有機EL素子12は、透光性電極層3、有機機能層4、及び反射性電極層5を含み、透光性電極層3、及び反射性電極層5の間に、有機化合物を含む発光層を含む有機機能層4が挟持されてなる発光デバイスであり、これらの層の重畳部分が当該素子であり、外部から、透光性電極層3及び反射性電極層5に給電することで、発光する。
そして、本発明に係る光取り出し基板11の素子形成面上に順に、このような有機EL素子12、及び封止膜6が形成されたものが、本発明の有機ELパネル10である。
上記透光性電極層3を形成する材料としては、高い透光性及び電気伝導性を有していれば使用可能であるが、信頼性及び発光効率の観点から透明導電性金属酸化物が好ましく、当該透光性電極層3への上記給電に係る透光性電極層3側給電部を含む当該材料の膜に含まれる透光性電極層3として形成されていることが、より好ましい。
このような透明導電性金属酸化物としては、ITOやIZOを例示することができ、その平均厚みとしては1μm以下が好ましく、このような材料の薄板は、CVD法やPVD法などの真空蒸着法によって形成することができる。
上記有機機能層4は一般的に、例えば、当該透光性電極層3側から、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層といった多層構造を有し、これらの層以外にも、電荷発生層を含む接続層や、電荷ブロック層等が含まれていても良い。
上記反射性電極層5を形成する材料としては、大きな反射率を有し輝度向上に有効なAl、又はAgが好ましく、その製膜方法としては、高純度な膜が製膜でき材料本来の物性が得易い真空蒸着法が好ましく、当該反射性電極層5への上記給電に係る反射性電極層5側給電部を含む当該材料の膜に含まれる透光性電極層として形成されていることが、より好ましい。
(光散乱構造)
前述した光散乱構造は、有機ELパネルにおいては光取出し構造であり、有機EL素子12内部、特に有機機能層4内部の発光層で発生した光を、発光面から外界に放射するにあたり、発生した光に対する放射する光の割合を1に近付ける、即ち、取り出される光の割合を大きくすること、即ち、「光取出し」効率を高めることで、高輝度、即ち、高発光効率のパネルとする為の構造で、具体的には、高屈折率媒体(例えば、有機EL素子12内部)から低屈折率媒体(例えば、通常のガラス基材)に光が入る際、当該屈折率が異なる界面で生じる全反射を、光の出射角度を変えることで低減せしめる為の構造等である。
また、このような「光取出し構造」は、本発明に係る光取り出し膜2に由来するものだけでなく、光散乱膜付き透光性基板11の光取り出し膜2と反対側の主面に配される、いわゆるOCF(out coupling film)を含む、OC層が活用されていることが好ましく、例えば、貼付フィルム層、及び樹脂コーティング層からなる群から選ばれる1層以上を含むように活用することが、より好ましい。
このような光取り出し膜2は、光の出射角度を変えることで全反射を低減せしめる観点から、ピラミッド形状やマイクロレンズ形状、モスアイ形状等の凹凸形状を、そのガラス基材とは反対側に有するものとすることもできる。
[封止膜9]
前記封止膜6は、有機機能層4や反射性電極層5が大気に触れることで、これらの層を含む有機EL素子12が劣化しないように、有機EL素子12の反射性電極層5側全面を含み、その周囲に亘り形成される膜である。
このような封止膜6の材料としては、十分な水蒸気バリア性を当該層に付与せしめる観点から、無機物を例示することができ、好ましくは、酸化、及び/又は、窒化珪素であり、平均膜厚としては、0.5μm以上、5μm以下であることが好ましい。
[有機ELパネル10の製造方法]
このような有機ELパネル10の製造方法は、本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法を含み、その後、順に、透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む。
また、有機ELパネル10の製造方法は、ガラス基材1から、1つ、または複数の有機ELパネル10を切り出す、切り出し工程を含むことができ、所望の形状および数量の有機ELパネル10を1枚のガラス基材1より製造することができる。
以下、実施例と比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1となる、光取り出し基板11を作製し評価する。
まず、ガラス基材1として、屈折率が1.5でサイズが10cm×10cmで厚みが0.7mmのガラス板21、第一のガラス材としてBi23-B23-SiO2-ZnO系ガラスフリット、第二のガラス材としてBi23-B23-SiO2-ZnO系ガラスフリットを準備する。
次に、第一のガラス材:第二のガラス材が、重量基準で、37.5:62.5となるように混合し、ガラスペーストを調製する。
次に、このガラス基材1の一主面の全面に、調製したガラスペーストを、スクリーン印刷機と孔版を使用し、20μmの平均厚みとなるよう塗布し、ガラスペーストの塗布層を作成する。
次に、このガラスペーストの塗布層を形成したガラス基材1を、120℃で60分間保持することでガラスペーストを乾燥させる。
図2は、実施例1の加熱工程を実施した際の実施概念図である。
また、図3は、実施例1の加熱工程に使用する容器40の断面概念図である。
乾燥したガラスペーストの塗布層が形成されたガラス基材1を、容器40内に収納し、その直後、ガス供給口41より容器40内に、ドライエアーをガスとして供給し始め、ガス供給を維持した状態で、加熱炉20内で、室温から420℃に昇温した後、420℃で60分間焼成し、その後、室温まで降温した後、ガス供給を停止し、最後に、光取り出し膜2を形成した光取り出し基板11を取り出すことで作製した。
このようにして作製した実施例1の光取り出し膜2の表面平滑性評価を、Agilent Technology社製原子間力顕微鏡(AFM)5600LSを使用し測定した。ここで、Szは表面平滑性を示す表面粗さの指標であり、20μm×20μm内の最大凹凸を示す
以下の表1は、実施例1および後述する実施例2、比較例1の光取り出し膜の表面平滑性を示すSzを表したものである。
Figure 2022140910000002
(比較例1)
比較例1として、実施例1における、乾燥したガラスペーストの塗布層を形成したガラス基材1を容器40に収納しない以外は、実施例1と同様にして、即ち、加熱炉20内に、むき出しで当該ガラス基材1を配置して焼成することで、比較例1の光取り出し膜を形成した光取り出し基板を作製し、Szを測定した。
(実施例2)
実施例2として、実施例1において供給したドライエアーガスを、ガス供給口41付近に配置した異物除去部42である多孔質焼結体フィルターを介して供給することにより異物が除去されたクリーンガスを供給したこと以外は、実施例1と同様にして、光取り出し膜2を形成した光取り出し基板11を作製し、Szを測定した。
(まとめ)
実施例1の光取り出し膜2は、比較例1の光取り出し膜2に比べ、本発明の効果により、表面平滑性を示すSzが低く、表面平滑性が高い。
これは、ガラス基材1の表面であるガラスペースト上に付着することを抑えて焼成されたことで、光取り出し膜2の表面に付着する異物、および、異物を起源とする表面凹凸が少ないことに起因すると考えられる。
また、実施例2の光取り出し膜2は、実施例1の光取り出し膜2に比べ、本発明の効果により、表面平滑性を示すSzがさらに低く、表面平滑性が高い。
これは、ガスに含まれる異物が、ガラス基材1の表面であるガラスペースト上に付着することを抑えて焼成されたことで、光取り出し膜2の表面に付着する異物、および、異物を起源とする表面凹凸が少ないことに起因すると考えられる。
1 ガラス基材
2 光散乱膜(光取り出し膜)
3 透光性電極層
4 有機機能層
5 反射性電極層
6 封止膜
10 有機ELパネル
11 光散乱膜付き透光性基板(光取り出し基板)
12 有機EL素子
20 加熱炉
40 容器
41 ガス供給口
42 異物除去部

Claims (5)

  1. ガラス基材、及び光散乱膜を含み、該光散乱膜の該ガラス基材側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする、透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、
    該光散乱膜が、第一のガラス材、及び該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を含み、
    該ガラス基材上に、該第一のガラス材の原料及び該第二のガラス材の原料を含む、ガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び
    容器内に収納した、該塗布層を形成した該ガラス基材を、加熱炉内で、該容器と共に加熱する、加熱工程を含み、さらに、
    該容器が、該加熱炉の外部より、その内部に、ガスを供給可能であることを特徴とする光散乱膜付き透光性基板の製造方法。
  2. 前記加熱工程が、
    前記ガスを供給可能とするガス供給機構、前記容器、及び前記加熱炉を含む加熱装置であって、
    ガス供給機構が、異物除去部であって、
    前記ガスとして、異物が除去されたクリーンガスを、前記供給可能である、
    異物除去部を有する、
    加熱装置で実施されることを特徴とする、請求項1に記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法。
  3. 前記加熱工程が、前記容器の内部の内圧が、前記容器の外部、かつ、前記加熱炉の内部の圧力である、外圧に対して陽圧である、陽圧期間を含む、請求項1、又は2に記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法。
  4. 前記光散乱膜が、前記第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第二のガラス材のガラス粒子を含む、請求項1~3のいずれかに記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法を含む、有機ELパネルの製造方法であって、順に、
    前記塗布工程、
    前記加熱工程、
    前記透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、
    該透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、
    該有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
    該反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む、有機ELパネルの製造方法。
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