JP2022143306A - 光散乱膜付き透光性基板の製造方法、及び有機elパネルの製造方法 - Google Patents
光散乱膜付き透光性基板の製造方法、及び有機elパネルの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】本発明の課題は、より高い表面平滑性の光散乱膜付き透光性基板を提供することである。【解決手段】本発明の透光性基板の製造方法は、ガラス基材及び光散乱膜を含む透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、該光散乱膜が、第一のガラス材及び該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を含み、これらを含むガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び該塗布層を焼成する焼成工程を含み、さらに、該焼成工程において、該透光性電極層形成用面となる、該塗布層の表面に、プレス部材のプレス部材接触面を接触させつつ該塗布層に荷重を加えるプレス焼成操作を含む。【選択図】図2
Description
本発明は、光散乱膜付き透光性基板の製造方法、及び有機ELパネルの製造方法に関する。
光散乱膜付き透光性基板は、有機EL素子や光電変換素子等の透光性電極層形成用の基板として、これらの素子の性能強化を目的とし、用いられている。
例えば、有機EL素子形成用の光散乱膜付き透光性基板は、光取り出し基板とも呼称され、電力効率向上を目的とし、使用されている。
ここで、有機EL素子は、物質に電界を印加した際に発光を生じる現象を利用した面発光素子である。そして基板上に有機EL素子を形成した有機ELパネルは、自発光型、薄型にできるなどの特徴を生かし、平面状光源やディスプレイ等への応用展開が図られている。
ところで、有機EL素子の発光層などに使用される有機機能性材料は水分や酸素によって劣化しやすく、ダークスポットの生成や発光効率の低下を引き起こしてしまうため、基板には素子外部から侵入する酸素や水分に対して高いバリア性が必要である。
また、光取り出し基板は、発光部の光を外部に効率よく取り出す役割があり、その為には、高屈折率の素子側から低屈折率の空気に向かうことに起因する全反射を抑制するために光散乱膜を備えることが有効であるが、光散乱膜として凹凸層を採用した場合には、光取り出し基板の、有機EL素子、特にその有機機能層、と接する表面に凹凸が存在することとなる為、有機ELパネルの電力発光効率は、漏れ電流増加等の素子の性能低下に伴って、逆に小さくなってしまう。
以上の理由のように一般に光散乱膜付き透光性基板には、十分な散乱性のみならず、高いバリア性、そして透光性電極層形成用面の表面平滑性が要求される。
特許文献1は、このような光散乱膜付き透光性基板に関し、ガラス基材上に光取り出し膜を有し、該光取り出し膜は、第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子を含むことを特徴とし、発光部の光を外部に効率よく取り出す方法を開示する。
この様な特許文献1の光取り出し基板を原料として用いることで、有機ELパネルは、その性能、特に発光効率が向上するが、前述した表面平滑性の点では、不十分であり改善の余地があることに本発明者は着目、信頼性、特に長寿命化の観点から、より優れた特性、特に、より高い表面平滑性の光散乱膜付き透光性基板が必要であると考えた。
即ち、特許文献1に記載の方法で作製した光取り出し基板を原料とする有機ELパネルにおいては発光継続時の漏れ電流の増加に伴う電力発光効率の低下が生じており、さらなる改善が望まれる。
本発明者は、透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法において、この様な従来技術の課題を解決し、十分な散乱性のみならず、高いバリア性、そしてより高い透光性電極層形成用面の表面平滑性の基板を提供し得ることを種々検討の結果見出し、例えば、その様な基板を用いることで、長寿命かつ高性能の有機ELパネルを生産し得ることを見出し、本発明を為すに至った。
即ち、本発明は、製膜面及び反対面を両主面とするガラス基材、及び光散乱膜を含み、該光散乱膜の該ガラス基材側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする、透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、
該光散乱膜が、第一のガラス材、及び該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を含み、
該製膜面上に、該第一のガラス材の原料及び該第二のガラス材の原料を含む、ガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び
該塗布層を焼成する焼成工程を含み、さらに、
該焼成工程において、該透光性電極層形成用面となる、該塗布層の表面にプレス部材のプレス部材接触面を接触させつつ、該プレス部材を介して、該ガラス基材側の方向に該塗布層に荷重を加える、プレス焼成操作を含むことを特徴とする、光散乱膜付き透光性基板の製造方法に関する。
該光散乱膜が、第一のガラス材、及び該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を含み、
該製膜面上に、該第一のガラス材の原料及び該第二のガラス材の原料を含む、ガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び
該塗布層を焼成する焼成工程を含み、さらに、
該焼成工程において、該透光性電極層形成用面となる、該塗布層の表面にプレス部材のプレス部材接触面を接触させつつ、該プレス部材を介して、該ガラス基材側の方向に該塗布層に荷重を加える、プレス焼成操作を含むことを特徴とする、光散乱膜付き透光性基板の製造方法に関する。
このような本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法で製造された基板の透光性電極層形成用面の表面平滑性は、例えば、プレス部材のプレス部材接触面の平滑性に依存するものの、例えば後述する好ましい材質で当該接触面を構成することで、表面平滑性が十分な接触面とすることで、プレス焼成中に荷重を加えることで、前記ガラスペースト上の異物や、第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子が、ガラスペースト内に押し込まれつつ焼成が進み、その効果により、満足な光散乱膜の表面平滑性が得られ、例えば、本方法により製造された基板を原料とする有機ELパネルは、電力発光効率の低下なく、漏れ電流が少ない。
また、前記焼成工程が順に、
該塗布層の表面に前記プレス部材接触面を接触させず、かつ、
該塗布層の表面を雰囲気焼成温度の焼成雰囲気に曝して、
該焼成する雰囲気焼成操作を含む、
雰囲気焼成サブ工程、及び、
前記プレス焼成操作を含む、
プレス焼成サブ工程を含み、
該雰囲気焼成サブ工程における雰囲気焼成温度の最高温度が、該プレス焼成サブ工程における前記プレス部材接触面の接触面温度の最高温度よりも高温であることを特徴とする、光散乱膜付き透光性基板の製造方法とすること、即ち、前記焼成工程におけるプレス焼成は、プレス部材を用いず、かつ、プレス焼成する温度より高温で焼成した後に実施することが好ましい。このような方法によれば、プレス焼成前にガラスペーストが十分に焼成されており、プレス焼成中に、ガラスペーストがプレス部材に溶着することを抑えることができる。
該塗布層の表面に前記プレス部材接触面を接触させず、かつ、
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前記プレス焼成操作を含む、
プレス焼成サブ工程を含み、
該雰囲気焼成サブ工程における雰囲気焼成温度の最高温度が、該プレス焼成サブ工程における前記プレス部材接触面の接触面温度の最高温度よりも高温であることを特徴とする、光散乱膜付き透光性基板の製造方法とすること、即ち、前記焼成工程におけるプレス焼成は、プレス部材を用いず、かつ、プレス焼成する温度より高温で焼成した後に実施することが好ましい。このような方法によれば、プレス焼成前にガラスペーストが十分に焼成されており、プレス焼成中に、ガラスペーストがプレス部材に溶着することを抑えることができる。
また、接触面を構成する材質は、非晶質カーボン、無膨張ガラス、又は、機能性セラミックスであることが好ましく、このような材質は、比較的平滑に加工することが容易であり、かつ、ガラスペーストと難溶着性であり、良好な表面平滑性となる光散乱膜を安定的に形成することができる。このようなプレス部材の選択により、例えば原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定した、接触面、の表面平滑性を示す表面粗さの指標Szを300nm以下、より好ましくは該Szを30nm以下とすることができ、そのような接触面とすることが好ましい。
また、前記プレス焼成操作は、前記プレス部材と、これに対応する挟持部材とで、前記塗布層を形成した前記ガラス基材を挟持することで実施することが好ましく、また、
該挟持部材は、前記プレス部材と同じ部材であることが好ましく、このような方法によれば、焼成が行われる間、ガラス基材は熱容量の等しいプレス部材に挟まれており、焼成時の加熱速度の表裏偏りによるガラス基材の反りが抑えられ、ガラス基材面と接触面とが均一に接触し、表面平滑性が良好な光散乱膜を安定的に形成することができる。
該挟持部材は、前記プレス部材と同じ部材であることが好ましく、このような方法によれば、焼成が行われる間、ガラス基材は熱容量の等しいプレス部材に挟まれており、焼成時の加熱速度の表裏偏りによるガラス基材の反りが抑えられ、ガラス基材面と接触面とが均一に接触し、表面平滑性が良好な光散乱膜を安定的に形成することができる。
また、前記焼成工程は、前記塗布層を形成した前記ガラス基材を、支持部材で支持しながら実施することが好ましく、焼成時の加熱による基板の反りを、ガラス基材自体の自重による反りで緩和させるようにガラス基材を保持することで、前記同様に、ガラス基材面とプレス部材接触面が均一に接触し、表面平滑性が良好な光散乱膜を安定的に形成することができる。
また、前記塗布工程において、前記反対面にも、前記ガラスペーストを塗布し反対面塗布層を形成し、かつ、
前記焼成工程において、前記塗布層と共に、前記反対面塗布層をも焼成することが好ましく、、反対面にも光散乱構造を同時に形成することができる。
前記焼成工程において、前記塗布層と共に、前記反対面塗布層をも焼成することが好ましく、、反対面にも光散乱構造を同時に形成することができる。
また、前記光散乱膜は、前記第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第二のガラス材のガラス粒子を含むことが好ましく、本発明の効果がより効果的に奏される。
さらに、本発明は、本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法を含む、有機ELパネルの製造方法であって、順に、
前記塗布工程、
前記焼成工程、
前記透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、
該透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、
該有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
該反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む、有機ELパネルの製造方法に関し、高信頼性の、特に長寿命の、発光継続時の漏れ電流が抑制された、高い電力発光効率の有機ELパネルが製造できる。
前記塗布工程、
前記焼成工程、
前記透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、
該透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、
該有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
該反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む、有機ELパネルの製造方法に関し、高信頼性の、特に長寿命の、発光継続時の漏れ電流が抑制された、高い電力発光効率の有機ELパネルが製造できる。
本発明の製造方法によって製造された光散乱膜付き透光性基板は、光散乱膜の表面凹凸が少なく、高い表面平滑性を有するので、高信頼性、効率の素子を形成可能であり、例えば、これを原料基板とする有機ELパネルは、小漏れ電流を維持できるので、高発光効率を実現しつつ、その低下が小さい。
以下、本発明の実施態様について説明する。
[光散乱膜付き透光性基板11]
本発明に係る光散乱膜付き透光性基板11は、ガラス基材1、及び光散乱膜2(有機EL素子用の基板の場合は光取り出し膜2)を含み、光散乱膜2のガラス基材1側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする層形成用の基板であり、例えば、所望の形状の有機EL素子12を1つ、または複数含むことができる面積を有し、特定の製法で製造されることで当該透光性電極層形成用面が、例えば有機EL素子12等の、素子の透光性電極層の形成用面として優れた品質を有することを一つの特徴とする。
本発明に係る光散乱膜付き透光性基板11は、ガラス基材1、及び光散乱膜2(有機EL素子用の基板の場合は光取り出し膜2)を含み、光散乱膜2のガラス基材1側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする層形成用の基板であり、例えば、所望の形状の有機EL素子12を1つ、または複数含むことができる面積を有し、特定の製法で製造されることで当該透光性電極層形成用面が、例えば有機EL素子12等の、素子の透光性電極層の形成用面として優れた品質を有することを一つの特徴とする。
即ち、本発明に係る透光性電極層形成用面は、特定の、優れた光散乱性能を有する光散乱膜2の表面でありつつ、凹凸が少ない平滑面であり、また、
異物が少ない表面であり、
好ましくは、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定した、表面平滑性を示す表面粗さの指標:Szが、300nm以下の平滑性を有し、より好ましくは、50nm以下である。ここでAFMとしては、後述する実施例等で使用する、Agilent Technologies社製、5600LS等を使用して、Szを測定できる。
異物が少ない表面であり、
好ましくは、原子間力顕微鏡(AFM)を使用して測定した、表面平滑性を示す表面粗さの指標:Szが、300nm以下の平滑性を有し、より好ましくは、50nm以下である。ここでAFMとしては、後述する実施例等で使用する、Agilent Technologies社製、5600LS等を使用して、Szを測定できる。
[ガラス基材1]
本発明に係るガラス基材1は、光散乱膜付き透光性基板11を構成する主な部材であり、製膜面及び反対面を両主面とし、軽いパネルを製造するための原料とする観点から、その平均厚みは、8mm以下であることが好ましく、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは2mm以下であり、ハンドリング可能とする観点から、0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.4mm以上である。また、ガラス基材1は、所望の形状の光散乱膜2を1つ、または複数含むことができる面積を有する。
本発明に係るガラス基材1は、光散乱膜付き透光性基板11を構成する主な部材であり、製膜面及び反対面を両主面とし、軽いパネルを製造するための原料とする観点から、その平均厚みは、8mm以下であることが好ましく、より好ましくは4mm以下、さらに好ましくは2mm以下であり、ハンドリング可能とする観点から、0.1mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.2mm以上、更に好ましくは0.4mm以上である。また、ガラス基材1は、所望の形状の光散乱膜2を1つ、または複数含むことができる面積を有する。
このようなガラス基材1は、ガラスを薄くした場合の割れに対し強度を向上せしめ、実用に耐えるパネルとする観点から化学強化されていても良く、十分な強度の基材とする観点から端面処理が施されていることが好ましく、その構成としては、単層のみならず、複層であってもなんら問題はなく、耐摩耗性や平滑性、割れに対する強度向上のために、いずれかの面に処理層や被覆膜が形成されていても良い。
[光散乱膜(光取り出し膜)2]
本発明に係る光散乱膜2は、単独で、又はこれと隣接する膜や層と共同し、屈折率の異なる界面で光の出射方向を変え、光取り出し効率や光閉じ込め効率を向上させる機能を有する、光散乱構造を構成する膜であり、好ましくは、無機成分のみから成る材料により、後述する塗布層を加熱し焼成することで、好ましくは、平均膜厚が10μm以上の膜として形成される。
本発明に係る光散乱膜2は、単独で、又はこれと隣接する膜や層と共同し、屈折率の異なる界面で光の出射方向を変え、光取り出し効率や光閉じ込め効率を向上させる機能を有する、光散乱構造を構成する膜であり、好ましくは、無機成分のみから成る材料により、後述する塗布層を加熱し焼成することで、好ましくは、平均膜厚が10μm以上の膜として形成される。
このような光散乱膜2は、本発明に係る表面平滑性を、簡便、安価、かつ、確実に確保しつつ、本発明に係る信頼性や、素子効率、例えば有機EL素子の場合には発光効率を、より高める観点から、比較的表面が平滑な、屈折率が異なる微細粒子状部分を含んだり、光散乱効果が大きい結晶粒界面を含んだりし、例えば、屈折率が実質的に0となる空隙を含む、屈折率が1以上、3以下の無機ガラスの膜とすることが好ましく、具体的には例えば、第1のガラス材の非晶質マトリクスの海部分と、この非晶質マトリクス中に分散してなる、第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子の島部分とからなる海島構造を有るものが好ましく、ここで、より好ましくは、第二のガラス材は、第一のガラス材と異なる屈折率を有し、マトリックスとなる第一のガラス材に、上記第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を添加し散乱効果を付与し、同時に、高融点材料粒子界面のマトリックス材料結晶化抑制効果によりマトリックスの結晶化温度を上げて、500℃以下で焼成することが可能となるようにすることにより平滑性を維持できるものとすることであり、この様な光散乱膜2は、マトリックスの結晶子が微少量形成された膜となっていることが一つの特徴である。
上記第一のガラス材、及び上記第二のガラス材の両方が、Bi2O3-B2O3-SiO2-ZnO系ガラスであることが好ましく、安価かつ透明性に優れ、より好ましくは、このようなガラス組成について、上記第二のガラス材のSiO2及びB2O3の合計割合を上記第一ガラス材の該合計割合よりも大きくし、かつ、上記第二のガラス材のBi2O3の割合を上記第一ガラス材の該割合よりも小さくすることであり、簡便かつ安価に第二のガラス材を第一のガラス材より高融点な材料とすることができる。
さらに好ましくは、上記Bi2O3-B2O3-SiO2-ZnO系ガラスの組成について、全体を100wt%として、SiO2を0~15wt%、B2O3を0~15wt%、Bi2O3を65~90wt%、ZnOを0~20wt%、Al2O3、BaO、及びZrOの各々を0~10wt%の範囲内とすることであり、より安価かつ簡便に、より光取出し効率に優れ、光学的特性に優れた光取り出し膜2となる。
(光散乱膜付き透光性基板の製造方法)
本発明の光散乱膜2付き透光性基板11の製造方法は、順に、塗布工程、及び焼成工程を含み、各々、ガラス基材1の製膜面上に特定のガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、特定のプレス焼成操作を含む焼成工程であって、塗布層を形成したガラス基材1を加熱することで塗布層を焼成する焼成工程とすることを一つの特徴とする。
本発明の光散乱膜2付き透光性基板11の製造方法は、順に、塗布工程、及び焼成工程を含み、各々、ガラス基材1の製膜面上に特定のガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、特定のプレス焼成操作を含む焼成工程であって、塗布層を形成したガラス基材1を加熱することで塗布層を焼成する焼成工程とすることを一つの特徴とする。
(塗布工程)
前記ガラスペーストは、例えばガラスフリットであり、具体的には上述の、第一のガラス材の原料及び第二のガラス材の原料を含む。
前記ガラスペーストは、例えばガラスフリットであり、具体的には上述の、第一のガラス材の原料及び第二のガラス材の原料を含む。
前記塗布工程における、ガラス基材1の、製膜面上、場合によっては反対面上へのガラスペーストの塗布方法としては、スクリーン印刷法やスピンコート法、スリットコート法、インクジェット法のような方法が例示でき、好ましくは、簡易かつ膜厚制御性の高いスクリーン印刷法であり、塗布により、製膜面上には塗布層が形成され、反対面上にも反対面塗布層が形成される場合があり、即ち、好ましくは、反対面にも、ガラスペーストを塗布し反対面塗布層を形成する。
(焼成工程)
前記焼成工程は、塗布層を、好ましくは反対面塗布層をも、形成したガラス基材1を加熱することで、塗布層を、好ましくは反対面塗布層をも、焼成する工程であり、後述する特定のプレス焼成操作を含むことを一つの特徴とし、当該プレス焼成操作を含むプレス焼成サブ工程を含み、好ましくは、当該プレス焼成サブ工程の前に、後述する雰囲気焼成操作を含む雰囲気焼成サブ工程を含み、好ましくは、支持部材で、塗布層を、より好ましくは反対面塗布層をも、形成したガラス基材を支持しながら、当該焼成工程を実施することであり、反対面塗布層が形成されている場合は、塗布層と共に、反対面塗布層をも焼成されることとなる。即ち、塗布工程において、ガラス基材1の表裏両面にガラスペーストを塗布したガラス基材1を、さらに表裏両面よりプレス部材7と挟持部材で挟持した状態で焼成することで、ガラス基材面とプレス部材及び挟持部材の接触面とが均一に接触し、表面平滑性が良好な光散乱膜を、場合によてはガラス基材両面に、安定的に形成することができる。
前記焼成工程は、塗布層を、好ましくは反対面塗布層をも、形成したガラス基材1を加熱することで、塗布層を、好ましくは反対面塗布層をも、焼成する工程であり、後述する特定のプレス焼成操作を含むことを一つの特徴とし、当該プレス焼成操作を含むプレス焼成サブ工程を含み、好ましくは、当該プレス焼成サブ工程の前に、後述する雰囲気焼成操作を含む雰囲気焼成サブ工程を含み、好ましくは、支持部材で、塗布層を、より好ましくは反対面塗布層をも、形成したガラス基材を支持しながら、当該焼成工程を実施することであり、反対面塗布層が形成されている場合は、塗布層と共に、反対面塗布層をも焼成されることとなる。即ち、塗布工程において、ガラス基材1の表裏両面にガラスペーストを塗布したガラス基材1を、さらに表裏両面よりプレス部材7と挟持部材で挟持した状態で焼成することで、ガラス基材面とプレス部材及び挟持部材の接触面とが均一に接触し、表面平滑性が良好な光散乱膜を、場合によてはガラス基材両面に、安定的に形成することができる。
前記支持部材は、ガラス基材1の特定位置、例えば、反対面が載置されることで、反対面塗布層をも雰囲気焼成操作するには好ましくは、対応する両側面を挟持することで、ガラス基材1を支持した状態で焼成可能とする部材であり、持部材に反対面を載置した場合には、焼成時の加熱による基板の反りを、ガラス基材自体の自重による反りで緩和させるようにガラス基材1を保持することが可能となるので、ガラス基材面とプレス部材接触面が均一に接触し、より表面平滑性が良好な光散乱膜2を安定的に形成することができる。
このような焼成工程において、雰囲気焼成温度の最高温度を、プレス部材接触面の接触面温度の最高温度よりも高温とすることが好ましく、プレス焼成前にガラスペーストが十分に焼成されることとなるので、プレス焼成中に、ガラスペーストがプレス部材7の接触面に溶着することを抑えることができる。。
(プレス焼成操作)
本発明に係るプレス焼成操作は、塗布層の表面にプレス部材のプレス部材接触面を接触させつつ、塗布層に、プレス部材を介して、ガラス基材1側の方向に、で荷重を加える操作であり、ここで、前述の「塗布層の表面」とは、本発明に係る透光性電極層形成用面となる面であり、即ち、本発明に係る焼成するために、プレス焼成サブ工程中に、ガラスペーストを塗布したガラス基材1の表面より、加熱したプレス部材7で荷重を加える、プレス焼成する操作であり、表面平滑性の高い本発明に係る透光性電極層形成用面の光散乱膜2を形成することができる。前記プレス部材7等に加える荷重は、例えば、プレス部材等上に適度な重量物を配置する、または、シリンダー等により加圧することで、適宜調整することができる。
本発明に係るプレス焼成操作は、塗布層の表面にプレス部材のプレス部材接触面を接触させつつ、塗布層に、プレス部材を介して、ガラス基材1側の方向に、で荷重を加える操作であり、ここで、前述の「塗布層の表面」とは、本発明に係る透光性電極層形成用面となる面であり、即ち、本発明に係る焼成するために、プレス焼成サブ工程中に、ガラスペーストを塗布したガラス基材1の表面より、加熱したプレス部材7で荷重を加える、プレス焼成する操作であり、表面平滑性の高い本発明に係る透光性電極層形成用面の光散乱膜2を形成することができる。前記プレス部材7等に加える荷重は、例えば、プレス部材等上に適度な重量物を配置する、または、シリンダー等により加圧することで、適宜調整することができる。
このようなプレス焼成操作は、好ましくは、前記プレス部材と、当該プレス部材に対応する挟持部材とで、塗布層を、好ましくは反対面塗布層をも、形成したガラス基材1を表裏より、挟持することでも実施され得る。
即ち、反対面塗布層も形成されている場合は、プレス焼成操作は、反対面塗布層の表面に挟持部材の挟持部材接触面を接触させつつ、反対面塗布層に、挟持部材を介して、ガラス基材1側の方向に、で荷重を加える操作を含むこととなる。しかしながら、前述したのとは異なり、「反対面塗布層の表面」は、本発明に係る透光性電極層形成用面となる面ではない。
前記プレス部材7のプレス部材接触面を構成する材質としては、焼成中の加熱による膨張または変形が少なく、かつ、焼成中にラスペーストと接する主面の表面平滑性を、Sz=1μm以下、望ましくはSz=0.3μm以下とすることが比較的容易な材質であるとの観点から、、非晶質カーボン、無膨張ガラス、又は、機能性セラミックスが好ましく、より好ましくは、非晶質カーボンである。このような材質の部材は、比較的平滑に加工することが容易であり、かつ、ガラスペーストと難溶着性であり、良好な表面平滑性の光散乱膜2を安定的に形成する点から好ましい。
前記挟持部材は、プレス部材と同じ部材であること、即ち、互換可能な同一の材質及び形態の別々な部材であることが好ましく、このようにすることで、プレス焼成が行われる間、ガラス基材1及び塗布層は熱容量の等しいプレス部材7、及び挟持部材*に挟まれることとなるので、プレス焼成時の加熱速度の表裏の偏りによるガラス基材1の反りを抑えることが可能となり、塗布層面やガラス基材面とプレス部材や挟持部材の接触面が均一に接触し、表面平滑性が良好な光散乱膜2を安定的に形成することができ、また、ガラス基材1の表裏や、ガラス基材1に対する、プレス部材と挟持部材との位置関係を気にせず、当該操作が可能となる利点もある。
一方で、前述の如く、本発明に係る透光性電極層形成用面に対応する、プレス部材接触面には高い平滑性が必要であるが、そうでない挟持部材接触面には場合によって、光散乱性付与の為の表面凹凸がある方が好ましい場合があり為、こうした場合に対応する観点から、プレス部材と挟持部材とは同一の本体部に、より好ましくは着脱可能な、接触面を構成する接触面部を備える、部材とすることが好ましく、前記熱容量を等しい値に調整し易い利点もある。
(雰囲気焼成操作)
本発明に係る雰囲気焼成操作は、塗布層の表面にプレス部材接触面を接触させず、塗布層の表面を、加熱して昇温した、被焼成物の周囲の気体である雰囲気の温度である、雰囲気焼成温度の焼成雰囲気に曝して焼成する操作であり、この雰囲気焼成操作を含む雰囲気焼成サブ工程を含む焼成工程の全期間に亘って、複数の雰囲気焼成サブ工程、そして複数のプレス焼成サブ工程を含むようにすることができ、当該全期間における一つ又は複数の雰囲気焼成サブ工程に亘る最も高い雰囲気の温度を、雰囲気焼成温度の最高温度、該全期間における一つ又は複数のプレス焼成サブ工程に亘る最も高いプレス部材接触面の温度を、接触面温度の最高温度と、本明細書では呼称することとし、前述したように、雰囲気焼成温度の最高温度となる雰囲気焼成操作を含む、雰囲気焼成サブ工程は、接触面温度の最高温度となるプレス焼成操作を含む、プレス焼成サブ工程の前であることが、溶着防止の観点から好ましい。
本発明に係る雰囲気焼成操作は、塗布層の表面にプレス部材接触面を接触させず、塗布層の表面を、加熱して昇温した、被焼成物の周囲の気体である雰囲気の温度である、雰囲気焼成温度の焼成雰囲気に曝して焼成する操作であり、この雰囲気焼成操作を含む雰囲気焼成サブ工程を含む焼成工程の全期間に亘って、複数の雰囲気焼成サブ工程、そして複数のプレス焼成サブ工程を含むようにすることができ、当該全期間における一つ又は複数の雰囲気焼成サブ工程に亘る最も高い雰囲気の温度を、雰囲気焼成温度の最高温度、該全期間における一つ又は複数のプレス焼成サブ工程に亘る最も高いプレス部材接触面の温度を、接触面温度の最高温度と、本明細書では呼称することとし、前述したように、雰囲気焼成温度の最高温度となる雰囲気焼成操作を含む、雰囲気焼成サブ工程は、接触面温度の最高温度となるプレス焼成操作を含む、プレス焼成サブ工程の前であることが、溶着防止の観点から好ましい。
即ち、順に、一つの雰囲気焼成サブ工程、及び、一つのプレス焼成サブ工程と、場合によっては、その後の雰囲気降温サブ工程とを含む焼成工程においては、プレス焼成は、プレス部材7を用いず、かつ、プレス焼成する温度より高温で雰囲気焼成操作を実施した後に、実施することが好ましい。このような方法によれば、プレス焼成前にガラスペーストが十分に焼成されており、プレス焼成中に、ガラスペーストがプレス部材7に溶着することを抑えることができる。
[有機ELパネル10]
この様な本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法により製造された基板を原料とした製品の例として、以下、有機ELパネル10につき簡単に説明する。
この様な本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法により製造された基板を原料とした製品の例として、以下、有機ELパネル10につき簡単に説明する。
図1は、有機ELパネル10の一実施形態の一断面の概念図である。
有機ELパネル10は、本発明の係る透光性電極層形成用面上に、透光性電極層3、有機機能層4、及び反射性電極層5より構成される有機EL素子12と、封止膜6と、が形成されたものであり、当該有機EL素子12は透光性電極層3の少なくとも一部を含む。
このような有機ELパネル10は、透光性電極層3と反射性電極層5の間に電圧を印加することで有機機能層4内の発光層が発光し、光取り出し膜2により発光した光を外部に効率よく取り出することができる。
ここで、光取り出し基板11の光取り出し膜2の表面に凹凸部が存在すると、透光性電極層3,有機機能層4,反射性電極層5は該凹凸形状に沿って形成されるため、透光性電極層3と反射性電極層5間に電圧を印加した際に、例えば、該凹凸部に電荷が集中することで漏れ電流が生じ、有機ELパネルとしての寿命が低下する原因となる。
本発明によれば、このような光取り出し膜の表面凹凸は抑制され、表面は平滑化し、長寿命かつ高性能の有機ELパネルとなる。
[有機EL素子12]
前記有機EL素子12は、透光性電極層3、有機機能層4、及び反射性電極層5を含み、透光性電極層3、及び反射性電極層5の間に、有機化合物を含む発光層を含む有機機能層4が挟持されてなる発光デバイスであり、これらの層の重畳部分が当該素子であり、外部から、透光性電極層3及び反射性電極層5に給電することで、発光する。
前記有機EL素子12は、透光性電極層3、有機機能層4、及び反射性電極層5を含み、透光性電極層3、及び反射性電極層5の間に、有機化合物を含む発光層を含む有機機能層4が挟持されてなる発光デバイスであり、これらの層の重畳部分が当該素子であり、外部から、透光性電極層3及び反射性電極層5に給電することで、発光する。
そして、本発明に係る光取り出し基板11の素子形成面上に順に、このような有機EL素子12、及び封止膜6が形成されたものが、本発明の有機ELパネル10である。
上記透光性電極層3を形成する材料としては、高い透光性及び電気伝導性を有していれば使用可能であるが、信頼性及び発光効率の観点から透明導電性金属酸化物が好ましく、当該透光性電極層3への上記給電に係る透光性電極層3側給電部を含む当該材料の膜に含まれる透光性電極層3として形成されていることが、より好ましい。
このような透明導電性金属酸化物としては、ITOやIZOを例示することができ、その平均厚みとしては1μm以下が好ましく、このような材料の薄板は、CVD法やPVD法などの真空蒸着法によって形成することができる。
上記有機機能層4は一般的に、例えば、当該透光性電極層3側から、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層といった多層構造を有し、これらの層以外にも、電荷発生層を含む接続層や、電荷ブロック層等が含まれていても良い。
上記反射性電極層5を形成する材料としては、大きな反射率を有し輝度向上に有効なAl、又はAgが好ましく、その製膜方法としては、高純度な膜が製膜でき材料本来の物性が得易い真空蒸着法が好ましく、当該反射性電極層5への上記給電に係る反射性電極層5側給電部を含む当該材料の膜に含まれる透光性電極層として形成されていることが、より好ましい。
(光散乱構造)
前述した光散乱構造は、有機ELパネルにおいては光取出し構造であり、有機EL素子12内部、特に有機機能層4内部の発光層で発生した光を、発光面から外界に放射するにあたり、発生した光に対する放射する光の割合を1に近付ける、即ち、取り出される光の割合を大きくすること、即ち、「光取出し」効率を高めることで、高輝度、即ち、高発光効率のパネルとする為の構造で、具体的には、高屈折率媒体(例えば、有機EL素子12内部)から低屈折率媒体(例えば、通常のガラス基材)に光が入る際、当該屈折率が異なる界面で生じる全反射を、光の出射角度を変えることで低減せしめる為の構造等である。
前述した光散乱構造は、有機ELパネルにおいては光取出し構造であり、有機EL素子12内部、特に有機機能層4内部の発光層で発生した光を、発光面から外界に放射するにあたり、発生した光に対する放射する光の割合を1に近付ける、即ち、取り出される光の割合を大きくすること、即ち、「光取出し」効率を高めることで、高輝度、即ち、高発光効率のパネルとする為の構造で、具体的には、高屈折率媒体(例えば、有機EL素子12内部)から低屈折率媒体(例えば、通常のガラス基材)に光が入る際、当該屈折率が異なる界面で生じる全反射を、光の出射角度を変えることで低減せしめる為の構造等である。
また、このような「光取出し構造」は、本発明に係る光取り出し膜2に由来するものだけでなく、光散乱膜付き透光性基板11の光取り出し膜2と反対側の主面に配される、いわゆるOCF(out coupling film)を含む、OC層が活用されていることが好ましく、例えば、貼付フィルム層、及び樹脂コーティング層からなる群から選ばれる1層以上を含むように活用することが、より好ましい。
このような光取り出し膜2は、光の出射角度を変えることで全反射を低減せしめる観点から、ピラミッド形状やマイクロレンズ形状、モスアイ形状等の凹凸形状を、そのガラス基材とは反対側に有するものとすることもできる。
[封止膜9]
前記封止膜6は、有機機能層4や反射性電極層5が大気に触れることで、これらの層を含む有機EL素子12が劣化しないように、有機EL素子12の反射性電極層5側全面を含み、その周囲に亘り形成される膜である。
前記封止膜6は、有機機能層4や反射性電極層5が大気に触れることで、これらの層を含む有機EL素子12が劣化しないように、有機EL素子12の反射性電極層5側全面を含み、その周囲に亘り形成される膜である。
このような封止膜6の材料としては、十分な水蒸気バリア性を当該層に付与せしめる観点から、無機物を例示することができ、好ましくは、酸化、及び/又は、窒化珪素であり、平均膜厚としては、0.5μm以上、5μm以下であることが好ましい。
[有機ELパネル10の製造方法]
このような有機ELパネル10の製造方法は、本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法を含み、その後、順に、透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む。
このような有機ELパネル10の製造方法は、本発明の光散乱膜付き透光性基板の製造方法を含み、その後、順に、透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む。
また、有機ELパネル10の製造方法は、ガラス基材1から、1つ、または複数の有機ELパネル10を切り出す、切り出し工程を含むことができ、所望の形状および数量の有機ELパネル10を1枚のガラス基材1より製造することができる。
以下、実施例と比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの例により限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1となる、光取り出し基板11を作製し評価した。
実施例1となる、光取り出し基板11を作製し評価した。
まず、ガラス基材1として、屈折率が1.5でサイズが10cm×10cmで厚みが0.7mmのガラス板21、第一のガラス材としてBi2O3-B2O3-SiO2-ZnO系ガラスフリット、第二のガラス材としてBi2O3-B2O3-SiO2-ZnO系ガラスフリットを準備した。
次に、第一のガラス材:第二のガラス材が、重量基準で、37.5:62.5となるように混合し、ガラスペーストを調製した。
次に、このガラス基材1の一主面の全面に、調製したガラスペーストを、スクリーン印刷機と孔版を使用し、20μmの平均厚みとなるよう塗布し、ガラスペーストの塗布層を作成した。
次に、このガラスペースト層を形成したガラス基材1を、乾燥炉内で、120℃で60分間保持することでガラスペーストを乾燥させた。
図2は、実施例1の焼成工程に含まれるプレス焼成サブ工程におけるプレス焼成操作において、ガラス基材1上の製膜面上に形成した乾燥したガラスペーストであって、焼成工程を実施する焼成炉にワークを投入し、ワーク保持台の上にワークを載置した後、プレス部材の昇温を開始する前の室温の状態から、その塗布層の表面上にプレス部材7のプレス部材接触面を接触させるように配置した状態を表す断面概念図である。
このようにして、焼成炉投入前に乾燥炉で乾燥したガラスペーストを、プレス焼成操作のみを含む焼成工程にて、プレス部材接触面の接触面温度の最高温度を420℃として、その最高温度で60分間維持すると共に、その前後に昇温及び降温過程での焼成を含めて焼成し、光取り出し膜2を形成した光取り出し基板11を作製したする。
この実施例1で使用したプレス部材7のプレス部材接触面について、その材質は非晶質カーボンであり、そのAgilent Technology社製原子間力顕微鏡(AFM)5600LSを使用し測定した、表面平滑性を示す表面粗さの指標Szは53nmである。
このようにして作製した実施例1の光取り出し膜2の表面平滑性評価を、AFMを使用して評価した。
表1は、実施例1および後述する実施例2、3、比較例1による光取り出し膜2の表面平滑性を示すSzを表したものである。
(比較例1)
比較例1として、実施例1におけるプレス焼成操作のみを含む焼成工程ではなく、雰囲気焼成操作のみを含む焼成工程を実施したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光取り出し膜を形成した光取り出し基板を作製し評価した。
比較例1として、実施例1におけるプレス焼成操作のみを含む焼成工程ではなく、雰囲気焼成操作のみを含む焼成工程を実施したこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1の光取り出し膜を形成した光取り出し基板を作製し評価した。
ここで、この雰囲気焼成操作における雰囲気は、大気であり、実施例1のプレス部材接触面の接触面温度の最高温度については、比較例1では雰囲気焼成温度の最高温度となる。
(実施例2)
実施例2として、実施例1におけるプレス焼成操作のみを含む焼成工程ではなく、雰囲気焼成サブ工程を実施した後、プレス焼成サブ工程を実施する、両方のサブ工程を含む焼成工程を実施したこと意外は、実施例1と同様にして焼成し、実施例2の光取り出し膜2を形成した光取り出し基板11を作製し評価した。
実施例2として、実施例1におけるプレス焼成操作のみを含む焼成工程ではなく、雰囲気焼成サブ工程を実施した後、プレス焼成サブ工程を実施する、両方のサブ工程を含む焼成工程を実施したこと意外は、実施例1と同様にして焼成し、実施例2の光取り出し膜2を形成した光取り出し基板11を作製し評価した。
ここで、雰囲気焼成炉での、この雰囲気焼成サブ工程における雰囲気焼成操作での、雰囲気は大気であり、雰囲気焼成温度の最高温度は450℃で、当該温度での維持時間は60分で、プレス焼成サブ工程については、実施例1のプレス焼成サブ工程と同様に実施した。
(実施例3)
実施例3として、実施例1におけるのと同様に、プレス焼成操作のみを含む焼成工程ではあるものの、プレス部材7と同じ挟持部材で表裏より挟持された状態でプレス焼成操作を実施したこと意外は、実施例1と同様にしてプレス焼成し、実施例3の光取り出し膜2を形成した光取り出し基板11を製し評価した。
実施例3として、実施例1におけるのと同様に、プレス焼成操作のみを含む焼成工程ではあるものの、プレス部材7と同じ挟持部材で表裏より挟持された状態でプレス焼成操作を実施したこと意外は、実施例1と同様にしてプレス焼成し、実施例3の光取り出し膜2を形成した光取り出し基板11を製し評価した。
(まとめ)
実施例1の光取り出し膜2は、比較例1の光取り出し膜2に比べ、本発明の効果により、表面平滑性を示すSzが低く、表面平滑性が高い。
実施例1の光取り出し膜2は、比較例1の光取り出し膜2に比べ、本発明の効果により、表面平滑性を示すSzが低く、表面平滑性が高い。
これは、表面平滑性が十分であるプレス部材7で焼成中に荷重を加えることで、ガラスペースト上の異物や前記第二のガラス材のガラス粒子が、焼成中に、ガラスペースト内に押し込まれたことに起因すると考えられる。
また、実施例2の光取り出し膜2は、実施例1の光取り出し膜2に比べ、本発明の効果により、プレス部材の溶着がなく、表面平滑性を示すSzがさらにやや低く、表面平滑性が高い。
これは、プレス焼成前にガラスペーストが十分に焼成されており、プレス焼成中に、ガラスペーストがプレス部材7に溶着することを抑えられたことに起因すると考えられる。
また、実施例3の光取り出し膜2は、実施例1の光取り出し膜2に比べ、本発明の効果により、表面平滑性を示すSzがさらに低く、表面平滑性が高い。
これは、プレス部材7と同じ部材で表裏より挟持された状態でプレス焼成したことにより、焼成時の加熱速度の表裏偏りによるガラス基材1の反りを抑え、ガラス基材面とプレス部材接触面が均一に接触していたことに起因すると考えられる。
1 ガラス基材
2 光取り出し膜
3 透光性導電層
4 有機機能層
5 反射導電層
6 封止膜
7 プレス部材
10 有機ELパネル
11 光取り出し基板
12 有機EL素子
2 光取り出し膜
3 透光性導電層
4 有機機能層
5 反射導電層
6 封止膜
7 プレス部材
10 有機ELパネル
11 光取り出し基板
12 有機EL素子
Claims (8)
- 製膜面及び反対面を両主面とするガラス基材、及び光散乱膜を含み、該光散乱膜の該ガラス基材側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする、透光性電極層形成用の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、
該光散乱膜が、第一のガラス材、及び該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材を含み、
該製膜面上に、該第一のガラス材の原料及び該第二のガラス材の原料を含む、ガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び
該塗布層を焼成する焼成工程を含み、さらに、
該焼成工程においては、該透光性電極層形成用面となる、該塗布層の表面にプレス部材のプレス部材接触面を接触させつつ、該プレス部材を介して、該ガラス基材側の方向に該塗布層に荷重を加える、プレス焼成操作を含むことを特徴とする、光散乱膜付き透光性基板の製造方法。 - 前記焼成工程が順に、
該塗布層の表面に前記プレス部材接触面を接触させず、かつ、
該塗布層の表面を雰囲気焼成温度の焼成雰囲気に曝して、
該焼成する雰囲気焼成操作を含む、
雰囲気焼成サブ工程、及び、
前記プレス焼成操作を含む、
プレス焼成サブ工程を含み、
該雰囲気焼成サブ工程における雰囲気焼成温度の最高温度が、該プレス焼成サブ工程における前記プレス部材接触面の接触面温度の最高温度よりも高温であることを特徴とする、請求項1に記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法。 - 前記プレス部材接触面を構成する材質が、非晶質カーボン、無膨張ガラス、又は、機能性セラミックスであることを特徴とする、請求項1、又は2に記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法。
- 請求項1~3のいずれかに記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、
前記プレス焼成操作を、前記プレス部材と、これに対応する挟持部材とで、前記塗布層を形成した前記ガラス基材を挟持することで実施し、かつ、
該挟持部材が、前記プレス部材と同じ部材であることを特徴とする光散乱膜付き透光性基板の製造方法。 - 請求項1~4のいずれかに記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、
前記焼成工程をは、前記塗布層を形成した前記ガラス基材を、支持部材で支持しながら実施することを特徴とする光散乱膜付き透光性基板の製造方法。 - 請求項1~5のいずれかに記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法であって、
前記塗布工程において、前記反対面にも、前記ガラスペーストを塗布し反対面塗布層を形成し、かつ、
前記焼成工程において、前記塗布層と共に、前記反対面塗布層をも焼成することを特徴とする光散乱膜付き透光性基板の製造方法。 - 前記光散乱膜が、前記第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、前記第二のガラス材のガラス粒子を含む、請求項1~6のいずれかに記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法。
- 請求項1~7のいずれかに記載の光散乱膜付き透光性基板の製造方法を含む、有機ELパネルの製造方法であって、順に、
前記塗布工程、
前記焼成工程、
前記透光性電極層形成用面に透光性電極層を形成する透光性電極層形成工程、
該透光性電極層の上に有機機能層を形成する有機機能層形成工程、
該有機機能層の上に反射性電極層を形成する反射性電極層形成工程、及び
該反射性電極層の上に封止膜を形成する封止膜形成工程を含む、有機ELパネルの製造方法。
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