JP5222529B2 - 発光素子基板及びその製造方法並びに発光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、発光素子基板及びその製造方法並びに発光素子に関する。
近年の情報化技術の発展に伴い、様々な形態の発光素子が開発されている。その中で、面状に発光する発光素子が最近注目されている。これらの発光素子には、冷陰極管や発光ダイオード(LED)と、導光板や拡散板とを組み合わせて構成したものがあり、例えば液晶ディスプレイのバックライトとして既に広く使用されている。
しかしながら、この構成では、導光板や拡散板等における光のロスが避けられず、また発光の分布が不均一となる、いわゆる発光ムラが発生するため、真に面状に発光する発光素子の開発が進められている。
具体的には、放電発光現象を利用した平板型光源(例えば、特許文献1参照)、有機EL現象を利用した有機EL素子(例えば、特許文献2参照)等が知られているが、これらは単位電力あたりの光束(発光効率)が低い、材料の寿命が十分ではない、大きな光束が得られない等の問題があった。
そこで、これらの問題を解決するため、冷陰極発光素子が注目されている。冷陰極素子は、冷陰極から放出させた電子を陽極側に設けた蛍光面に衝突させることによって蛍光面を発光させるようになっている。冷陰極発光素子としては、カーボンナノチューブと蛍光体とを組み合わせた白色光源(例えば、特許文献3参照)、酸化物ウィスカを用いた発光素子(例えば、特許文献4参照)等が提案されている。これらの冷陰極発光素子の多くは、CRT(ブラウン管)やVFD(蛍光表示管)等で実績のある蛍光体やそれと同種あるいは類似の材料を用いているため、発光効率が高く、寿命が長く、大きな光束が得られ、さらに環境負荷物質を使用しないという特徴を有している。
ここで、従来の冷陰極発光素子の構成について図7を用いて具体的に説明する。
図7に示すように、従来の冷陰極発光素子1は、冷陰極基板2と、陽極基板3と、枠体4と、冷陰極5と、蛍光体を含む陽極6と、スペーサ7とを備え、冷陰極発光素子1の内部は真空に保たれている。この構成により、従来の冷陰極発光素子1は、冷陰極5に負電圧、陽極6に正電圧が印加されることによって、冷陰極5から陽極6に向けて電子が放出され、陽極6の蛍光体が発光するようになっている。
従来の冷陰極発光素子1においてスペーサ7が設けられている理由は、内部を真空に保ったまま素子を大型化しようとすると、冷陰極基板2及び陽極基板3に対する大気圧による影響が増大して構造体の破損を招くので、それを防止するためである。
このスペーサ7の形成方法として、例えば、印刷法による手法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この方法によれば、スペーサの幅と高さとの比を比較的大きくすることができるとともに、スペーサの製造コストを従来よりも低減することができるので、電界放出ディスプレイやプラズマディスプレイ等のパネルに用いるスペーサの製法として非常に有望視されている。
特許第3026416号公報 特開2003−45676号公報 特開2001−15077号公報 特開2004−111293号公報 Yabe et al. "FED Spacer Fabrication with Nozzle Dispense", SOCIETY FOR INFORMATION DISPLAY2007 INTERNATIONAL SYMPOSIUM, DIGEST OF TECHNICAL PAPERS, pp.1201−1204, 31.1
しかしながら、従来の冷陰極発光素子は、以下に示すような課題があった。
図7に示したように、スペーサ7は、電圧が印加される両基板間に設置されるためガラスやセラミックス等の絶縁体が用いられるが、両基板間に印加される電圧によって放出された電子によりスペーサ7が帯電し、帯電後に冷陰極5から放出された電子の軌道がスペーサ7の帯電の影響を受けて曲がってしまい、その結果、発光ムラが発生するという課題があった。
この発光ムラを低減するには、ガラスやセラミックス等を非常に薄く細長い短冊状又は非常に細い棒状等に加工してスペーサを形成し、その側面に例えば蒸着法を用いて薄膜の電極を設ける手法がある。この構成では、スペーサの転倒を防止するため、例えば溶着技術を用いてスペーサを基板上に設置する必要がある。
したがって、従来の冷陰極発光素子においては、発光ムラを低減しようとすると製造コストが増大してしまうという課題があった。
一方、非特許文献1に示された印刷法を用いる場合は、前述したスペーサの転倒を防止する工程を行わずに基板上にスペーサを形成することができるが、スペーサの形成後にその側面に電極を設けることは困難なのでスペーサの帯電を防止できず、発光ムラが発生するという課題があった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、発光ムラを低減することができる発光素子基板及びその製造方法並びに発光素子を提供することを目的とする。
本発明の発光素子基板は、基板上に形成され交流電圧が印加される少なくとも一対の電極と、前記少なくとも一対の電極上にそれぞれ形成された電子放出発光手段とを備え、前記電子放出発光手段は、前記交流電圧の印加によって電子を放出する電子放出部と、電子の衝突によって発光する発光部とを含み、前記電子放出部と前記発光部とが一体化された一体化物で形成されたものであり、前記電子放出部は電子放出材料を含み、前記発光部は蛍光体材料を含み、前記電子放出発光手段は、前記電子放出材料と前記蛍光体材料とが混合されて形成されたものであり、前記電子放出材料は、炭素系の繊維状物質であり、前記一対の電極は、第1電極と第2電極とからなり、前記第1電極上に形成された電子放出発光手段の発光部は、前記第1電極にプラスの電圧が印加され、前記第2電極にマイナスの電圧が印加されたことを条件に、前記第2電極上に形成された電子放出発光手段の電子放出部が放出した電子との衝突によって発光するものであり、前記第2電極上に形成された電子放出発光手段の発光部は、前記第2電極にプラスの電圧が印加され、前記第1電極にマイナスの電圧が印加されたことを条件に、前記第1電極上に形成された電子放出発光手段の電子放出部が放出した電子との衝突によって発光するものである構成を有している。
この構成により、本発明の発光素子基板は、電子放出部及び発光部が1つの基板上に形成されることとなる。したがって、本発明の発光素子基板を備えた発光素子は、従来の発光素子のように、冷陰極基板と陽極基板とを対向させ冷陰極から陽極に向けて電子を放出する構成とはならず、電子の軌道がスペーサの帯電の影響を受け難い構成を有するものとなるので、発光ムラを低減することができる。
また、この構成により、本発明の発光素子基板は、電子放出材料と蛍光体材料とが混合されて1つの基板上に電子放出発光手段が形成されることとなる。
また、この構成により、本発明の発光素子基板は、炭素系の繊維状物質と蛍光体材料とが混合されて1つの基板上に電子放出発光手段が形成されることとなる。
本発明の発光素子は、発光素子基板と、前記電子放出発光手段と対向する側に設けられた対向基板と、前記基板と前記対向基板とをそれぞれの周縁部において保持する枠体とを備え、前記基板及び前記少なくとも一対の電極と、前記対向基板とのうちの少なくとも一方が透光性を有する構成を有している。
この構成により、本発明の発光素子は、従来の発光素子のように、冷陰極基板と陽極基板とを対向させ冷陰極から陽極に向けて電子を放出する構成とはならず、電子の軌道がスペーサの帯電の影響を受け難い構成を有するので、発光ムラを低減することができる。
本発明の発光素子基板の製造方法は、請求項1に記載の発光素子基板の製造方法であって、交流電圧が印加される少なくとも一対の電極を基板上に形成する工程と、前記少なくとも一対の電極上に電子放出発光手段をそれぞれ形成する工程とを含み、前記電子放出発光手段は、前記交流電圧の印加によって電子を放出する電子放出部と、電子の衝突によって発光する発光部とを含み、前記電子放出部と前記発光部とが一体化された一体化物で形成され、前記電子放出部は電子放出材料を含み、前記発光部は蛍光体材料を含み、前記電子放出発光手段は、前記電子放出材料と前記蛍光体材料とが混合されて形成され、前記電子放出材料は、炭素系の繊維状物質である構成を有している。
この構成により、本発明の発光素子基板の製造方法は、電子放出部と発光部とが一体化された一体化物を1つの基板上の一対の電極上に形成することができる。
本発明は、発光ムラを低減することができるという効果を有する発光素子基板及びその製造方法並びに発光素子を提供することができるものである。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
まず、本発明に係る発光素子の一実施の形態における構成について図1及び図2を用いて説明する。図1は、本実施の形態における発光素子を概念的に示す断面図である。図2(a)は、本実施の形態における発光素子基板を概念的に示す斜視図である。図2(b)は、図2(a)に示した線分AAにおける発光素子基板の概念的な断面図である。
図1及び図2に示すように、本実施の形態における発光素子10は、光を発する発光素子基板20と、発光素子基板20に対向して設けられた基板11と、基板11と発光素子基板20とをその周縁部において保持する枠体12と、基板11と発光素子基板20との間に設けられたスペーサ13とを備えている。
基板11及び枠体12は、例えばガラスで構成される。スペーサ13は、例えば印刷法によるセラミックス材料で構成される。なお、基板11は、本発明に係る対向基板に対応する。
発光素子基板20は、基板21と、基板21上に形成された第1電極22及び第2電極23と、第1電極22及び第2電極23のそれぞれの上面に形成された電子放出発光手段24とを備えている。
基板21は、例えばガラスで構成される。第1電極22及び第2電極23は、それぞれ、例えばITO(Indium Tin Oxide)のような透明電極によって構成され、図示しない交流電源によって交流電圧が印加されるようになっている。なお、第1電極22及び第2電極23は、本発明に係る一対の電極を構成する。また、本実施の形態において、図2に示したように、第1電極22及び第2電極23の形状を櫛形状とし、第1電極22と第2電極23とが3対となる構成としているが、本発明はこれに限定されるものではなく、1対以上の電極があればよい。
電子放出発光手段24は、電圧の印加によって電子を放出する電子放出材料と、電子の衝突によって発光する蛍光体材料とが混合された混合物が、第1電極22及び第2電極23のそれぞれの上面に形成されたものである。以下の説明において、第1電極22及び第2電極23のそれぞれの上面に形成されたものを電子放出発光手段24a及び24bという。
ここで、電子放出材料は、冷陰極として電子を放出する材料、例えば炭素系の繊維状物質で構成される。具体的には、電子放出材料は、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、グラファイトナノファイバ等で構成されるものである。カーボンナノチューブは、壁層数の違いにより、単層(SWNT)、2層(DWNT)、多層(MWNT)に分類されるが、これらを含めて炭素系の繊維状物質であればいずれを用いてもよい。この構成において、炭素系の繊維状物質は本発明に係る電子放出部に対応する。
蛍光体材料は、例えば酸化亜鉛(ZnO)で構成され、電子放出材料と混合されるので好ましくはペースト状のものがよい。この構成において、酸化亜鉛は本発明に係る発光部に対応する。
他方、ウィスカ状の金属酸化物のような電子放出材料と蛍光体材料とを兼用する物質、例えばZnOのウィスカを第1電極22及び第2電極23のそれぞれの上面に形成し、電子放出発光手段24とすることもできる。この構成において、ZnOのウィスカは本発明に係る一体化物に対応する。
次に、本実施の形態における発光素子10の発光原理について図3を用いて説明する。図3は、発光素子10の発光原理の説明図であって、発光素子10の構成のうち発光素子基板20のみを示したものである。
まず、図3(a)に示すように、第1電極22にマイナス、第2電極23にプラスの電圧を印加すると、第1電極22と第2電極23との間に発生する電界によって、第1電極22上に形成された電子放出発光手段24aの電子放出材料から電子が放出され、第2電極23上に形成された電子放出発光手段24bの蛍光体材料に電子が衝突して第2電極23側から発光が得られる。ここで、第1電極22側から放出された電子は、電子放出発光手段24aが有する電子放射角特性に応じて電子放出発光手段24bの全面に衝突するので、電子放出発光手段24bが全体的に発光することとなる。
次に、図3(b)に示すように、第1電極22及び第2電極23のそれぞれに印加する電圧の極性を入れ替えると、電子放出発光手段24aが全体的に発光することにより、第1電極22側から発光が得られる。
したがって、図3(a)及び(b)に示した状態を繰り返すことにより、すなわち、第1電極22及び第2電極23に交流電圧を印加して極性を交互に入れ替えることにより、基板21の全面にわたって均一な発光が得られる(図3(c))。検討結果によれば、第1電極22と第2電極23との間に印加する交流電圧としては、比較的低電圧が好ましく、例えば電子放出材料から電子が放出される程度の電圧が好ましい。また、交流電圧の周波数としては、比較的低周波数が好ましく、例えば100Hz程度とするのがよい。
次に、本実施の形態に係る発光素子10の具体的な実施例を、電子放出発光手段24の構成に応じて、図4及び図5を用いて以下説明する。図4及び図5は、それぞれ、実施例1及び実施例2における製造工程を示す図である。なお、以下説明する製造工程、材質、寸法、温度条件等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1)
電子放出発光手段24を混合物によって形成する構成においては、以下に述べる製造工程で発光素子10を作製する。
まず、スパッタリング法により、ガラス製の基板21上に厚み200nm程度のITO薄膜を成膜する。電極のパターン幅を85μm、パターン間隔を15μmとし、フォトリソグラフィにより電極を櫛形状にパターンニングし、第1電極22及び第2電極23を形成する(図4(a))。
この工程において、基板21の材質はガラスに限定されるものではないが、後述する焼成工程を考慮して300℃以上の高温に対して耐性があればよく、例えば石英を用いることができる。また、ITO以外の電極材料として、例えば、IZO、ZnO等の透明電極材料や、Cr、Al、Cu、Ag等の金属材料を用いることができる。また、成膜手法として、例えば、蒸着やイオンプレーティング、スクリーン印刷等の手法を用いることができる。
続いて、蛍光体粉末をスクリーン印刷用に加工した市販の蛍光体ペーストに、炭素系の冷陰極材料としてグラファイトナノファイバを5〜20重量%程度混合し、この混合物を、第1電極22及び第2電極23上にそれぞれ例えばスクリーン印刷によって塗布する(図4(b))。ここで、蛍光体ペーストとしては、比較的低電圧で励起発光するタイプを用いるのが好ましく、例えばP15(ZnO:Zn、緑色)として市販されているものを用いることができる。
この工程において、必要があれば別途蛍光体材料を適宜混合することによって、所望の発光色を得ることもできる。また、炭素系の冷陰極材料として、SWNT、DWNT、MWNTのカーボンナノチューブや、カーボンナノファイバ、グラファイトナノファイバ等も用いることができ、これらをスクリーン印刷用に加工した市販の蛍光体ペーストや分散液と混合して用いることもできる。
次いで、スペーサ13を基板21上に形成する(図4(c))。スペーサ13の形成は、アルミナや酸化珪素等のセラミックス材料を含むペーストを、幅15μm、厚さ1μmで電極間に、又は電極に直交する方向に、ノズルディスペンス法やスクリーン印刷等を用いて行う。ここで、スペーサ13を設ける間隔は、基板21の厚さに応じて変更するのが好ましく、例えば、厚さ2.8mm程度のガラスで基板21を構成する場合は10cm程度の間隔に、厚さ5mm程度のガラスで基板21を構成する場合は20cm程度の間隔にするのが好ましい。なお、本実施の形態における発光素子基板20は、従来のように、陽極と対向する構成とはならないので、金属で形成したスペーサ13を電極間に設けることもできる。
次いで、ガラスを加工して形成した枠体12と、排気口31が予め形成されたガラス製の基板11とを用意する。そして、基板21上に枠体12、基板11を配置して、基板11を基板21に対向させる(図4(d))。枠体12の材質としては、両基板と同じ材質か、同程度の熱膨張係数を有する材料を用いるのが好ましい。
続いて、枠体12と両基板とを、例えば鉛ガラスペーストを用いて接着する。電子放出発光手段24に用いている炭素系の冷陰極材料の多くは大気中での焼成により特性が劣化するので、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中において、300℃〜500℃程度の温度で10分間焼成し、基板11及び21のそれぞれと、枠体12とを接着する(図4(e))。
引き続き、排気口31を真空ポンプに接続し、素子の内部を5×10−3Pa以下まで真空に排気する(図4(f))。素子の内部にゲッタ材を真空封入する場合は、この工程においてゲッタ材の活性化を実施する。
最後に、排気口31のガラス管を例えばガラスバーナで溶かして封じ切ることにより、発光素子10が完成する(図4(g))。
以上の製造工程により製作した発光素子10に200Vのパルス状の交流電圧を印加したところ、発光素子10が発光ムラなく発光することが確認された。
(実施例2)
電子放出発光手段24を酸化物ウィスカで形成する構成においては、以下に述べる製造工程で発光素子10を作製する。
まず、実施例1と同様に、ガラス製の基板21上に第1電極22及び第2電極23を形成する(図5(a))。
続いて、形成した第1電極22及び第2電極23の領域のうち、ウィスカを成膜したい領域以外の領域を例えばSUS製のメタルマスクで遮蔽した後、基板21を550℃に加熱し、気化させた金属錯体ビスアセチルアセトナト亜鉛(Zn(C)と、窒素との混合ガスを吹き付けることにより、第1電極22及び第2電極23上にZnOのウィスカ32をエピタキシャル成長させる(図5(b))。なお、図5(b)において、第1電極22上に形成されたものをウィスカ32a、第2電極23上に形成されたものをウィスカ32bとしている。
引き続き、実施例1と同様に、スペーサ13を基板21上に形成し(図5(c))、枠体12を用いて基板11を基板21に対向させる(図4(d))。
次いで、大気中、又は窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中において、300℃〜500℃程度の温度で10分間焼成し、基板11及び21のそれぞれと、枠体12とを接着する(図5(e))。
そして、実施例1と同様に、素子の内部を5×10−3Pa以下まで真空に排気し(図5(f))、排気口31のガラス管を封じ切ることにより発光素子10が完成する(図5(g))。
以上の製造工程により製作した発光素子10に200Vのパルス状の交流電圧を印加したところ、発光素子10が発光ムラなく発光することが確認された。
次に、本実施の形態の他の態様の発光素子について説明する。
まず、前述した実施の形態における発光素子10はスペーサ13を備えるものとしたが、図6(a)に示すように、基板11及び21を枠体12のみで保持できるのであればスペーサ13を省略することもできる。
次に、図6(b)に示すように、基板11の内面に例えばアルミニウムで形成した反射層33を設ける構成とすることもできる。この構成により、電子放出発光手段24の出射光を基板21側に反射することができるので、発光量を増大させることができる。
さらに、図示していないが、基板21と、第1電極22及び第2電極23とを不透明性の材料で構成し、透明性の基板11から光を出射する構成とすることもできる。この構成においては、不透明基板とする基板21の材料として高反射率を有するものを選択するか、基板21上に高反射率の材料を例えば印刷法によって塗布するのが好ましい。
以上のように、本実施の形態における発光素子10によれば、電子を放出するとともに発光する電子放出発光手段24が1つの基板21上に形成された発光素子基板20を備える構成としたので、従来の発光素子のように、冷陰極基板と陽極基板とを対向させ冷陰極から陽極に向けて電子を放出する構成とはならず、電子の軌道がスペーサの帯電の影響を受け難い構成を有することとなり、発光ムラを低減することができる。
また、この構成により、本実施の形態における発光素子10は、スペーサ13を短冊状や棒状等にする加工及びスペーサに薄膜の電極を設ける工程が不要となり、スペーサ13を従来よりも簡略化することができるので、製造コストの低減化を図ることができる。
さらに、本実施の形態における発光素子10は、炭素系の繊維状物質で冷陰極を構成することにより、放電発光現象を利用した平板型光源や有機EL現象を利用した有機EL素子と比べて、低消費電力で発光効率が高く、かつ寿命が長くて発光ムラの少ない低コストの発光素子となる。
以上のように、本発明に係る発光素子基板及びその製造方法並びに発光素子は、発光ムラを低減することができるという効果を有し、照明や電飾として、あるいは液晶ディスプレイのバックライト等として有用である。
本発明に係る発光素子の一実施の形態における構成を概念的に示す断面図 本発明に係る発光素子基板の一実施の形態における構成を概念的に示す図 (a)本実施の形態における発光素子基板を概念的に示す斜視図 (b)図2(a)に示した線分AAにおける発光素子基板の概念的な断面図 本発明に係る発光素子の一実施の形態における発光原理の説明図であって、発光素子の構成のうち発光素子基板のみを示した図 本発明に係る発光素子の一実施の形態において、実施例1における製造工程を示す図 本発明に係る発光素子の一実施の形態において、実施例2における製造工程を示す図 本発明に係る発光素子の一実施の形態における他の態様を示す図 従来の発光素子の構成を概念的に示す断面図
符号の説明
10 発光素子
11 基板(対向基板)
12 枠体
13 スペーサ
20 発光素子基板
21 基板
22 第1電極
23 第2電極
24(24a、24b) 電子放出発光手段
31 排気口
32(32a、32b) ウィスカ(一体化物)
33 反射層

Claims (3)

  1. 基板上に形成され交流電圧が印加される少なくとも一対の電極と、前記少なくとも一対の電極上にそれぞれ形成された電子放出発光手段とを備え、
    前記電子放出発光手段は、前記交流電圧の印加によって電子を放出する電子放出部と、電子の衝突によって発光する発光部とを含み、前記電子放出部と前記発光部とが一体化された一体化物で形成されたものであり、
    前記電子放出部は電子放出材料を含み、前記発光部は蛍光体材料を含み、前記電子放出発光手段は、前記電子放出材料と前記蛍光体材料とが混合されて形成されたものであり、
    前記電子放出材料は、炭素系の繊維状物質であり、
    前記一対の電極は、第1電極と第2電極とからなり、
    前記第1電極上に形成された電子放出発光手段の発光部は、前記第1電極にプラスの電圧が印加され、前記第2電極にマイナスの電圧が印加されたことを条件に、前記第2電極上に形成された電子放出発光手段の電子放出部が放出した電子との衝突によって発光するものであり、
    前記第2電極上に形成された電子放出発光手段の発光部は、前記第2電極にプラスの電圧が印加され、前記第1電極にマイナスの電圧が印加されたことを条件に、前記第1電極上に形成された電子放出発光手段の電子放出部が放出した電子との衝突によって発光するものであることを特徴とする発光素子基板。
  2. 請求項1に記載の発光素子基板と、前記電子放出発光手段と対向する側に設けられた対向基板と、前記基板と前記対向基板とをそれぞれの周縁部において保持する枠体とを備え、
    前記基板及び前記少なくとも一対の電極と、前記対向基板とのうちの少なくとも一方が透光性を有することを特徴とする発光素子。
  3. 請求項1に記載の発光素子基板の製造方法であって、
    交流電圧が印加される少なくとも一対の電極を基板上に形成する工程と、
    前記少なくとも一対の電極上に電子放出発光手段をそれぞれ形成する工程とを含み、
    前記電子放出発光手段は、前記交流電圧の印加によって電子を放出する電子放出部と、電子の衝突によって発光する発光部とを含み、前記電子放出部と前記発光部とが一体化された一体化物で形成され、
    前記電子放出部は電子放出材料を含み、前記発光部は蛍光体材料を含み、前記電子放出発光手段は、前記電子放出材料と前記蛍光体材料とが混合されて形成され、
    前記電子放出材料は、炭素系の繊維状物質であることを特徴とする発光素子基板の製造方法。
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