JP2019175693A - 透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板、及びその製法、並びに有機elパネル - Google Patents

透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板、及びその製法、並びに有機elパネル Download PDF

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Abstract

【課題】表面平滑性に優れ、かつ、より大きな散乱性を有する透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板を提供する。【解決手段】ガラス基材、及び散乱層を含み、該散乱層の該ガラス基材側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板であって、該散乱層が、第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子を含む、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板とする。【選択図】図1

Description

本発明は、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板、及びその製法、並びに有機ELパネルに関する。
有機EL素子は、物質に電界を印加した際に発光を生じる現象を利用した面発光素子である。そして基板上に有機EL素子を形成した有機ELパネルは、自発光型、薄型にできるなどの特徴を生かし、面状光源やディスプレイ等への応用展開が図られている。
ところで特許文献1は、透光性基板と、散乱層と、第1の電極と、有機層と、第2の電極とを順次有する有機LED素子であって、前記散乱層は、第1のガラス材、及び前記第1のガラス材中に分散され、前記第1のガラス材と異なる屈折率を有する第2のガラス材を含む有機LED素子に関する電極付き基板を提案している。
また、特許文献2は、光取り出し効率を向上しつつも、放熱性を高め、高効率で長寿命の有機LED素子などの光デバイスを提供する為に、電極付基板として、反射性の基板と、前記基板上に形成され、複数個の散乱物質を具備したガラス層からなる散乱層と、前記散乱層上に形成された透光性電極とを具備した電極付き基板を提案している。
国際公開WO2011−046190パンフレット 特開2010−170969号公報
しかしながら、特許文献1の電極付き基板では、表面の平坦性が不足していた場合には、それに起因して有機EL素子のリーク電流が大きくなり信頼性が低下したりすることが懸念され改善の余地がある。また、特許文献2の電極付き基板では、表面の平坦性は確保してあるが、大きな散乱性が得られず、改善の余地がある。
本発明者は、マトリックスガラス材料に散乱材として高融点ガラス材料を添加した場合に、マトリックスガラス材料の結晶化温度が上昇し結晶化が抑制される現象に着目し、この現象を利用することで、マトリックスガラス材料中に、光散乱効果が大きい結晶粒界面を含むマトリックスガラス材料の結晶子を生じさせても、焼成温度を最適化することで、高融点ガラス材料添加による散乱層表面の平滑性の低下のみならず、当該結晶化による散乱層表面の平滑性の低下をも防止できること、そして、この様な高融点ガラス材料のガラス粒子、及び当該結晶子を含む結晶子粒子を含む散乱層は、これら粒子に起因する相乗的な散乱効果により、即ち、結晶粒界での散乱も活用したより優れた散乱効果により、優れた光取出し構造を構成可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、マトリックスとなる第一のガラス材に、前記第一のガラス材より高融点となる第二のガラス材を添加し、散乱効果を付与し、同時に、高融点材料粒子界面のマトリックス材料結晶化抑制効果によりマトリックスの結晶化温度を上げて、500℃以下で焼成することにより平滑性を維持しつつ、マトリックスの結晶子を微少量形成することで、特許文献1、2より高い散乱効果を得られる透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板が得られることを見出したものである。
即ち、本発明は、ガラス基材、及び散乱層を含み、該散乱層の該ガラス基材側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板であって、
該散乱層が、第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子を含む、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板に関する。
このような本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板は、散乱層の散乱材として、高融点ガラス材のガラス粒子と結晶子粒子があるため、優れた散乱性を有しつつ、透光性電極層形成用面が平滑性に優れたものとできるので、電気的特性、及び光学的特性に優れた素子を、その上に形成可能な素子形成用透光性基板となる。
前記第一のガラス材、及び前記第二のガラス材の両方が、Bi−B−SiO−ZnO系ガラスであることが好ましく、安価かつ透明性に優れ、かつ、本発明の効果が得られる焼成温度のプロセスウィンドウを大きくできる。
より好ましくは、このようなガラス組成について、前記第二のガラス材のSiO及びBの合計割合を前記第一ガラス材の該合計割合よりも大きくし、かつ、前記第二のガラス材のBiの割合を前記第一ガラス材の該割合よりも小さくすることであり、簡便に前記プロセスウィンドウを大きくしつつ、簡便かつ安価に第二のガラス材を第一のガラス材より高融点な材料とすることができる。
さらに好ましくは、前記Bi−B−SiO−ZnO系ガラスの組成について、全体を100wt%として、SiOを0〜15wt%、Bを15〜65wt%、Biを10〜30wt%、ZnOを15〜40wt%、NaO、Al、BaO、及びWOの各々を0〜10wt%の範囲内とすることであり、より安価かつ簡便に、透光性に優れ、かつ、前記プロセスウィンドウが大きな透光性基板となる。
前記結晶子粒子の外径は、1μm以上であることが好ましく、より光取出し効率に優れた光学的特性に優れた透光性基板となる。
前記透光性電極層形成用面の表面粗さSaは、5nm以下であることが好ましく、より好ましくは2μm以下、さらに好ましくは1μm以下であり、よりリーク欠陥等が発生し難い電気特性に優れた透光性基板となる。
また、本発明はこのような本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板を含む有機ELパネルに関し、本発明に係る平滑性及び光散乱性に対応し信頼性に優れた高輝度の有機EL素子搭載の有機ELパネルとなる。
さらに、本発明はこのような本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板であって、前記ガラス基材上に、前記第一のガラス材、及び前記第二のガラス材の粉末ガラス(ガラスフリット)を含むガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び、該塗布層を形成した前記ガラス基材を500℃以下で焼成する焼成工程を含む製造方法に関する。
本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板は、表面平滑性に優れ、かつ、より大きな散乱性を有する。
本発明における透光性電極層を形成した後の本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板の断面構造を示す模式図である。 比較例3の透光性基板の断面SEM画像である。 比較例4の透光性基板の断面SEM画像である。 実施例6の透光性基板の断面SEM画像である。
以下、本発明の実施態様について説明する。
(透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板)
本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板は、ガラス基材及び散乱層を含み、好ましくはガラス基材の一主面上に隣接して当該散乱層を形成した基板であり、散乱層のガラス基材側とは反対側の面が好適な透光性電極層形成用面となるよう、特定の散乱層を含み、また、そのような散乱層を安定的に高生産性で形成せしめる為、好ましくは、特定の製造方法により製造される。
(散乱層)
本発明に係る散乱層は、その層に入射した光をその入射方向とは無関係なランダムな方向により多く散乱させるための層であり、本発明の基板上に形成する光電子素子につき、その電気特性を損なうこと無く、その光学特性を向上せしめる機能を有し、本発明の基板の好ましい実施態様として有機EL素子形成用の基板として用いた場合には、ガラス基材より通常大きな屈折率、好ましくは1.8以上の屈折率、を有する透光性電極層及び有機機能層とで、高輝度化に資する光取出し効率を向上可能な光取出し構造を構成する。
このような散乱層は、その平均屈折率が1.8以上であることが好ましく、例えば有機EL素子を構成する材料との屈折率の差が小さくできるので、本発明に係る透光性電極層形成用面の平滑性に起因し生じる全反射による光取出し効率の低下の影響を小さくでき、より高輝度、即ち、高発光効率の有機EL素子を搭載したパネルを得ることができる。
また、このような散乱層は、第一のガラス材の非晶質マトリクス、当該非晶質マトリクス中に分散してなる結晶子粒子であって、当該第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、当該非晶質マトリクス中に分散してなるガラス粒子であって、第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子を含み、本発明に係る効果を十分に発揮せしめつつ、安価、かつ、高生産性の基板とする観点から、好ましくはその平均層厚が2〜50μmであり、より好ましくは10〜20μmである。即ち、本発明に係る散乱層は、マトリクス、即ち、海島構造の海部分となる非晶質の第一のガラス材のバルク中に、散乱効果付与の為の散乱粒子として、当該海島構造の島部分を構成するガラス粒子として第二のガラス材のガラス粒子を含むだけでなく、同じく島部分を構成する結晶子粒子として当該第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子を含み、より大きな散乱効果を得る為好ましくは、これら粒子が互いに接触せず独立して第一のガラス材の非晶質マトリクス中に存在する。ここで、第一のガラス材より第二のガラス材は融点が高いものであり、これにより、前述した結晶化温度上昇効果に起因する結晶化抑制効果に基づき、前記結晶子粒子が存在可能となり、また、前述の好ましい態様である、粒子が互いに接触せず独立して存在することが可能となる。
(結晶子粒子)
本発明に係る結晶子粒子は、本発明に係る非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、第一のガラス材の結晶子を少なくとも一つ含み、本発明に係るガラス粒子と共に散乱層に光の散乱効果を付与する散乱材として機能する第一のガラス材が結晶化したものである。
このような結晶子粒子は、単結晶や双晶のように相互に関連し規則的に原子が配列した領域である結晶子を2つ以上含むこともでき、本発明に係るマトリクスとの界面、及び/又は、結晶子間の界面で光の進行角度を変えることができ、本発明に係るガラス粒子とは異なる性質の散乱性を付与可能なので、本発明に係る散乱層の散乱性をより高めることができ、例えば本発明に係る光取出し効率を向上することができる。
また、このような結晶子粒子は、散乱性をより高め、かつ、本発明に係る透光性電極層形成用面平滑性をより高める観点から、その平均外径が、好ましくは2μm以下、より好ましくは0.5μm以下であり、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上である。
(ガラス粒子)
本発明に係るガラス粒子は、本発明に係る非晶質マトリクス中に分散してなる第二のガラス材を材料とするガラス粒子であり、前記結晶子粒子と共に、散乱層に光の散乱効果を付与する散乱材として機能する。
このようなガラス粒子は、散乱性をより高め、かつ、本発明に係る透光性電極層形成用面平滑性をより高める観点から、その数平均粒径が、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下であり、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、屈折率が1.8以上、2.2以下であることが好ましいく、より好ましくは1.9以下である。
(透光性電極層形成用面)
本発明に係る透光性電極層形成用面は、散乱層のガラス基材側とは反対側の光学電子素子が形成される面であり、この上に、好ましくはこれと隣接し、当該素子の透光性電極層が形成される面であり、好ましい実施態様では有機EL素子が形成される、素子側の面であり、散乱性増強に係る前記結晶子粒子、及び前記ガラス粒子を散乱層に含むにも拘わらず、表面粗さSaが5nm以下の表面平滑性、好ましくは1nm以下の表面平滑性を有する。
(透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板の製造方法)
本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板は、好ましくは、ガラス基材上に、第一のガラス材、及び第二のガラス材の粉末ガラス(ガラスフリット)を含む、好ましくは混練した、ガラスペーストを塗布することで、塗布層を形成する塗布工程、及び、当該塗布層を形成したガラス基材を500℃以下で焼成する焼成工程を含む製法で製造され、上述のように、非晶質マトリクス中に、散乱粒子として、ガラス粒子を含むだけでなく、結晶子粒子を含み、かつ、好ましくは、これらの散乱粒子が互いに接触せず独立して存在し、このような特定の構造に起因し優れた光散乱効果を有するが、その製造方法は、好ましくは1回ずつの塗布工程、及び焼成工程を含むという、簡単な高生産性の製法である。
前記塗布工程において、高品質の基板を安定的に製造する観点から、前記ガラスペーストは、ガラスフリットを、バインダー及び溶液に分散したガラスペーストであることが好ましく、また、ガラスフリットの粒径は好ましくは5μm以下、より好ましくは3μm以下である。
前記焼成工程において、その焼成に係る最高温度である焼成温度は、第二のガラスが溶け始める温度から完全に溶ける温度よりある程度低い温度、具体的は500度以下とすることが重要であり、これにより透光性電極層形成用面が平滑となり、第一のガラスの結晶化を抑えながら、その結晶子を発生させることが、また、散乱層中に本発明に係る第二のガラス材のガラス粒子を残存させることが、可能となり、さらには、好ましい実施態様として、前記粒子独立存在性が確保可能となり、より優れた散乱効果を得ることが出来ることとなる。
(第一のガラス材)
本発明に係る第一のガラス材は、本発明に係る、非晶質マトリクス、及び結晶子となる材料であり、Bi−B−SiO−ZnO系ガラスであることが好ましく、SiOが0〜15wt%、Bが15〜65wt%、Biが10〜30wt%、ZnOが15〜40wt%、NaO、Al、BaO、及びWOの各々が0〜10wt%の範囲内であることがより好ましい。
(第二のガラス材)
本発明に係る第二のガラス材は、本発明に係るガラス粒子、及び好ましくはその周囲で非晶質の第一のガラス材と交じり合って本発明に係る海構造を構成する材料の一部、となる材料であり、第一のガラス材との構成元素共通性により高い相溶性を確保し高強度の散乱層とする観点から、第一のガラス材同様、Bi−B−SiO−ZnO系ガラスであることが好ましく、SiOが0〜15wt%、Bが15〜65wt%、Biが10〜30wt%、ZnOが15〜40wt%、NaO、Al、BaO、及びWOの各々が0〜10wt%の範囲内であることがより好ましく、本発明に係る特定の散乱層を簡単に形成可能とする観点から、第一のガラス材とは異なる組成であることが好ましく、より好ましくは第一のガラス材より高融点の材料とすることであり、さらに好ましくは、第一のガラス材との融点の差が、50℃以上、100℃以内のものとすることであり、特に好ましくは、当該差を70℃以上、80℃以下とすることであり、また、SiO及びBの合計割合を、第一ガラス材の当該合計割合よりも大きくすることが好ましく、Biの割合が、第一ガラス材の当該割合よりも小さいことが好ましい。
(ガラス基材)
本発明に係るガラス基材は、好ましくは、380nm〜780nmの波長域における透過率が90%以上、屈折率が1.45〜1.60、平均厚みが5mm以下であり、より好ましくは平均厚みが2mm以下であり、本発明の有機ELパネルを可撓性パネルすることもでき、その場合は、化学強化や端面研磨した基材とすることが好ましく、曲げ弾性率が1000〜10000MPa、曲げ強さが30〜300MPaとすることが好ましい。
(有機ELパネル)
本発明の有機ELパネルは、本発明の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板を含み、当該基板の散乱層が形成されたのは反対側に、一主面としての発光面であって、有機EL素子に対応する発光領域を有する発光面を有し、好ましくは、他主面として、後述する封止層が形成された封止面を有し、具体的には、当該基板の透光性電極層形成用面上に、好ましくはこれと隣接して、後述する有機EL素子の透光性電極層を形成した後、順次、有機化合物を含む発光層を含む有機機能層、反射電極層、好ましくはさらに封止層を形成したものである。
(有機EL素子)
本発明に係る有機EL素子は、透光性電極層及び反射電極層の間に、有機化合物を含む発光層を含む有機機能層が挟持されてなる発光デバイスであり、これらの層の重畳部分が当該素子であり、外部から、透光性電極層及び反射電極層に給電することで、発光する。
当該有機機能層は一般的に、例えば、当該反射電極層側から、正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層といった多層構造を有し、これらの層以外にも、電荷発生層を含む接続層や、電荷ブロック層等が含まれていても良い。
前記透光性電極層の材料としては、透光性で屈折率が1.7〜2.0のITOやIZOを例示することができ、その平均厚みとしては1μm以下が好ましく、このような材料の薄膜は、CVD法やスパッタ法などによって形成することができる。
前記反射電極層の材料としては、AlやAgを例示することができ、その平均厚みとしては1μm以下が好ましく、このような材料の薄膜は、スパッタ法や真空蒸着法によって形成することができる。
(封止層)
前記封止層は、有機機能層が大気に触れることで有機EL素子が劣化しないように、有機EL素子の全面、即ち、前記一主面側から観察して発光領域となる全領域を含み、その周囲に渡って、好ましくは、その対応する前記露出面の全面に形成される層である。
このような封止層の材料としては、十分な水蒸気バリア性を当該層に付与せしめる観点から、無機物を例示することができ、好ましくは、酸化、及び/又は、窒化珪素であり、薄膜ガラス基板のフレキシビリティを活かし、フレキシブルパネルを製造する観点から、無機薄膜であることが、より好ましく、前記珪素系材料をCVD法で形成した薄膜を含むことが、さらに好ましく、特に好ましくは、前記CVD法珪素系材料薄膜の上に、湿式法珪素系材料膜を形成した、多層膜とすることであり、当該湿式法珪素系材料膜は、ポリシラザン転化膜であることが好ましく、これらのCVD法、及び湿式法の珪素系材料膜の平均膜みとしては、0.5μm以上、5μm以下であることが好ましい。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
実施例1の散乱層付き透光性基板を以下の手順で作成し評価した。
まず、第一のガラス材としてBi−B−SiO−ZnO系ガラスフリット、第二のガラス材としてBi−B−SiO−ZnO系ガラスフリットを準備した。
次に、第一のガラス材:第二のガラス材が、重量基準で、98.0:2.0となるように混合し、実施例1のガラスペーストを調整した。
次に、調整したガラスペーストを、厚み0.7mmt、屈折率1.5のガラス板にPETフィルムとアプリケーターを使用し、20μmの平均厚みとなるよう塗布し、ガラスペースト層を形成したガラス板を作成した。
最後に、ガラスペースト層を形成したガラス板を、120℃で60分間保持することでガラスペーストを乾燥させ後、これを大気中450℃で60分間焼成し、散乱層付きガラス板を作製し、実施例1の透光性基板とした。
作製した実施例1の透光性基板の光取出し効果の評価を、以下に説明する方法で評価用有機EL素子を用いて実施した。
(評価用有機EL素子を使用した透光性基板の光取出し効果の評価方法)
評価用有機EL素子は、透光性電極の屈折率とほぼ同じ屈折率である屈折率1.85の高屈折率透明ガラス基板上に、外形18mm×18mmの白色発光有機EL素子を形成したものである。
この評価用有機EL素子は、その透光性電極の屈折率と高屈折率透明ガラス基板の屈折率とがほぼ等しい為、透光性電極層の厚みに大きく依存する電気特性や透光性電極内への光閉じ込め以外の光学基本特性、即ち、高屈折率透明ガラス基板を含むみなし透光性電極層を含む有機EL素子からの光取出しに関し、このようなみなし有機EL素子の透光性電極層が空気と隣接している状態とほぼ等価な状態と考えることが可能である。
この様な評価用有機EL素子のみなし透光性電極層の表面である高屈折率透明ガラス基板の表面、即ち発光面と、評価対象の透光性基板の透光性電極層形成用面との間に、無色透明でその屈折率が高屈折率透明ガラス基板の屈折率と等しい1.85であるマッチング液を表面張力により充填し挟み込むことで、全体として、透光性基板の透光性電極層形成用面上に当該みなし有機EL素子を形成した素子、即ち、評価対象透光性基板を含み、かつ、その上のみなし有機EL素子が形成された評価対象みなし有機EL素子サンプルとして、当該評価対象透光性基板の発光面上から空気中への光取出し効率を評価可能である。
具体的には、定電流電源を用いて、比較すべき複数のこの様な評価対象みなし有機EL素子サンプルの評価用有機EL素子に対し、その透光性電極層側給電部から3mA/cmの定電流を、その反射電極層側給電部に給電し発光させた状態で、当該評価対象みなし有機EL素子サンプルの発光面を全光束測定装置の積分球に配置することで、当該サンプルからの発光の全光束を測定し、この全光束の値を給電した電力の値で割り算することで、電力発光効率(ルーメン/W)を算出し、比較すべき複数の評価対象みなし有機EL素子サンプルにつき、この電力発光効率を比較することで、評価対象透光性基板の光取出し効果を比較した。
作製した実施例1の透光性基板の光取出し効果に関する電力発光効率の結果を、他の実施例や比較例の結果と共に表1にまとめて示す。
(実施例2〜5)
実施例2〜5として、実施例1における第一のガラス材:第二のガラス材を、実施例2では90.9:9.1、実施例3では87.7:12.3、実施例4では83.3:16.7,実施例5では71.4:28.6として、実施例1と同様にして、電力発光効率を算出した。
(比較例1)
比較例1として、前記評価用有機EL素子について、上述の(評価用有機EL素子を使用した透光性基板の光取出し効果の評価方法)において、マッチング液による透光性基板との張り合わせを行なわず、そのままの素子を評価対象みなし有機EL素子サンプルとして電力発光効率を算出した。即ち、この場合は、屈折率基板(屈折率:1.85)の発光面がそのまま積分球内の空気に隣接した状態で全光束を測定した。
(比較例2)
比較例2として、実施例1における第一のガラス材:第二のガラス材を、100:0として、即ち、第一のガラス材のみをガラスペーストとして調整し、実施例1と同様にして、比較例2の透光性基板を作製し、実施例1と同様にして電力発光効率を算出した。
(比較例3)
比較例3として、実施例1における第一のガラス材:第二のガラス材を、100:0として、即ち、第一のガラス材のみをガラスペーストとして調整し、実施例1における450℃の焼成温度を470℃として、実施例1と同様にして、比較例3の透光性基板を作製した。この比較例3の透光性基板の断面SEM画像を図2に示す。この場合は結晶子粒子が大きくなり過ぎており、表面粗さが大きくなり、電気特性が急激に悪化するので、阻止形成に向かないと判断できる。
(比較例4)
比較例4として、実施例1における第一のガラス材:第二のガラス材を、87.7:12.3として、実施例1と同様にしてガラスペーストとして調整し、実施例1における450℃の焼成温度を、430℃として、実施例1と同様にして各透光性基板を作製した。この比較例4の透光性基板の断面SEM画像を図3示す。
(実施例6〜13)
実施例6〜13として、実施例1における第一のガラス材:第二のガラス材を、実施例6及び7では87.7:12.3、実施例8及び9では66.7:33.3、実施例10及び11では50:50、実施例12及び13では33.4:66.6として、実施例1と同様にしてガラスペーストとして調整し、実施例1における450℃の焼成温度を、実施例6、8、10、及び12では470℃として、実施例7、9、11、及び13では490℃として、実施例1と同様にして各透光性基板を作製し、実施例1と同様にして電力発光効率を算出した。
なお、この実施例6の透光性基板について、その透光性電極層形成用面は、その面の算術平均高さ、即ち、その面の平均面に対する面内各点の高さの差の絶対値の面内平均Saが0.68nmの表面平滑性を有していた。また、この実施例6の透光性基板の断面SEM画像を図4示す。
表1から明らかなように、第二のガラス材を含有することにより、これを含有しない比較例2に対して発光効率が向上している。
また、図4を参照しつつ実施例6、8を実施例7、9と比較することで、第一のガラス材を結晶子粒子が存在することでも発光効率が向上しており、このように発光効率が向上した理由は、図4より明らかなように、第一のガラス材をベースとした散乱層中に第二のガラス材と第一のガラス材の結晶子粒子が点在しているためである。
また、図2、図4より、第一のガラス材単膜では470℃で焼成するとガラスの結晶子粒子が大きくなり膜表面まで結晶子粒子が出ているが、第二のガラス材を含有した膜は結晶子粒子が小さいままである。このことから、第一のガラス材に第二のガラス材を混合することでガラスの結晶成長を抑えられることは明白である。
また、図3、図4より第一のガラス材をベースとした散乱層中に第一のガラス材の結晶子粒子は430℃での焼成では発生していない。このことから、430℃を超える高い温度で焼成することで、第一のガラス材の結晶子粒子が発生するようである。
1 ガラス基材
2 散乱層
211 第一のガラス材の非晶質マトリクス
212 第二のガラス材のガラス粒子
213 第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子
3 透光性電極層

Claims (7)

  1. ガラス基材、及び散乱層を含み、該散乱層の該ガラス基材側とは反対側の面を透光性電極層形成用面とする、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板であって、
    該散乱層が、第一のガラス材の非晶質マトリクス、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材の結晶子を含む結晶子粒子、及び、該非晶質マトリクス中に分散してなり、かつ、該第一のガラス材より高融点の第二のガラス材のガラス粒子を含む、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板。
  2. 前記第一のガラス材、及び前記第二のガラス材の両方が、Bi−B−SiO−ZnO系ガラスであり、さらに、
    ガラス組成について、前記第二のガラス材のSiO及びBの合計割合が、前記第一ガラス材の該合計割合よりも大きく、かつ、前記第二のガラス材のBiの割合が、前記第一ガラス材の該割合よりも小さい、請求項1に記載の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板。
  3. 前記Bi−B−SiO−ZnO系ガラスの組成について、全体を100wt%として、SiOが0〜15wt%、Bが15〜65wt%、Biが10〜30wt%、ZnOが15〜40wt%、NaO、Al、BaO、及びWOの各々が0〜10wt%の範囲内である、請求項1、又は2に記載の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板。
  4. 前記結晶子粒子の外径が1μm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板。
  5. 前記透光性電極層形成用面の表面粗さSaが、5nm以下の表面平滑性である、請求項1〜4のいずれかに記載の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板を含む有機ELパネル。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板の製造方法であって、
    前記ガラス基材上に、前記第一のガラス材、及び前記第二のガラス材の粉末ガラスを含むガラスペーストを塗布し塗布層を形成する塗布工程、及び、
    該塗布層を形成した前記ガラス基材を500℃以下で焼成する焼成工程を含む、透光性電極層形成用の散乱層付き透光性基板の製造方法。
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