JPWO2012057043A1 - 有機el素子、透光性基板、および有機el素子の製造方法 - Google Patents

有機el素子、透光性基板、および有機el素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

透明基板と、第1の電極と、該第1の電極上に形成された有機発光層と、該有機発光層上に形成された第2の電極とを有する有機EL素子であって、前記透明基板上には、ガラスからなるベース材と該ベース材中に分散された散乱物質とを有する散乱層が設置され、前記散乱層と前記第1の電極の間には、光取り出し補助層が設置され、前記光取り出し補助層は、ガラスを除く他の無機材料で構成されることを特徴とする有機EL素子を提供する。

Description

本発明は、有機EL素子透光性基板および有機EL素子の製造方法に関する。
有機EL(エレクトロルミネッセント)素子は、ディスプレイ、バックライト、および照明用途等に広く用いられている。
一般的な有機EL素子は、基板上に設置された第1の電極(陽極)と、第2の電極(陰極)と、これらの電極間に設置された有機層とを有する。電極間に電圧を印加すると、それぞれの電極から、有機層にホールおよび電子が注入される。このホールと電子が有機層内で再結合された際に、結合エネルギーが生じ、この結合エネルギーによって有機層中の有機発光材料が励起される。励起した発光材料が基底状態に戻る際に発光が生じるため、これを利用することにより、発光(EL)素子が得られる。
通常、第1の電極、すなわち陽極には、ITO(Indium Tin Oxide、以下、ITOと称する)のような透明薄膜が使用され、第2の電極、すなわち陰極には、アルミニウムおよび銀等の金属薄膜が使用される。
最近では、ITO電極と基板の間に、散乱物質を有する散乱層を設置することが提案されている(例えば特許文献1)。このような構成では、有機層で生じた発光の一部は、散乱層中の散乱物質によって散乱されるため、ITO電極や基板内に閉じ込められる光の量(全反射される光量)が少なくなり、有機EL素子の光取り出し効率を高めることができることが開示されている。
また、凹凸表面を有するガラス板上にガラス焼成膜(散乱層)を設け、該ガラス焼成膜と透明導電膜(第1の電極)との間に、保護層を設置した有機EL素子の構成が開示されている(特許文献2)。
国際公開第WO2009/060916号パンフレット 特開2010−198797号公報
前述のように、散乱層を含む有機EL素子が提案されている。しかしながら、有機EL素子においては、光取り出し効率のさらなる向上に対する要望がある。
本発明は、このような課題に鑑みなされたものであり、本発明では、従来に比べて光取り出し効率が改善された有機EL素子および有機EL素子の製造方法を提供することを目的とする。また、そのような有機EL素子用の透光性基板を提供することを目的とする。
本発明の一の特徴では、透明基板と、第1の電極と、該第1の電極上に形成された有機発光層と、該有機発光層上に形成された第2の電極とを有する有機EL素子であって、前記透明基板上には、ガラスからなるベース材と該ベース材中に分散された散乱物質とを有する散乱層が設置され、前記散乱層と前記第1の電極の間には、光取り出し補助層が設置され、前記光取り出し補助層は、ガラスを除く他の無機材料で構成されることを特徴とする有機EL素子が提供される。
本発明の他の特徴では、前記有機EL素子において、前記光取り出し補助層は、波長430nm〜650nmの範囲で、2.2以上の屈折率を有しても良い。
本発明の他の特徴では、前記有機EL素子において、前記光取り出し補助層は、チタン系窒化物、チタン系酸化物、およびチタン系酸窒化物からなる群から選定された材料で構成されても良い。
本発明の他の特徴では、前記光取り出し補助層は、TiZrまたはTiOで構成されても良い。
また、本発明の他の特徴では、前記有機EL素子において、前記光取り出し補助層は、厚さが50nm以下であっても良い。
また、本発明の他の特徴では、透明基板および透明電極を有する透光性基板であって、
前記透明基板と透明電極の間には、ガラスからなるベース材と該ベース材中に分散された散乱物質とを有する散乱層が設置され、前記散乱層と前記透明電極の間には、光取り出し補助層が設置され、前記光取り出し補助層は、ガラスを除く他の無機材料で構成されることを特徴とする透光性基板が提供される。
本発明の他の特徴では、前記透光性基板において、前記光取り出し補助層は、波長430nm〜650nmの範囲で、2.2以上の屈折率を有しても良い。
本発明の他の特徴では、透明基板上に散乱層を形成し、前記散乱層上に光取り出し補助層を設置し、前記光取り出し補助層上に、第1の電極を設置し、前記第1の電極上に、有機発光層を設置し、前記有機発光層上に、第2の電極を設置することを特徴とする
有機EL素子の製造方法を提供される。
本発明の他の特徴では、前記光取り出し補助層は、波長430nm〜650nmの範囲で、2.2以上の屈折率を有するよう設置されても良い。
本発明の他の特徴では、前記光取り出し補助層は、チタン系窒化物、チタン系酸化物、およびチタン系酸窒化物からなる群から選定された材料で構成されるよう設置されても良い。
本発明の他の特徴では、前記光取り出し補助層は、TiZrまたはTiOで構成されるよう設置されても良い。
本発明の他の特徴では、前記光取り出し補助層は、厚さが50nm以下となるよう設置されても良い。
本願の他の目的、特徴、長所は下記の発明の詳細な説明について図面を参照し読むことでより明らかになるであろう。
本発明の実施例によれば、従来に比べて光取り出し効率が改善された有機EL素子とその製造方法を提供することができる。また、そのような有機EL素子用の透光性基板を提供することができる。
本発明の実施例による有機EL素子の一例の概略的な断面図である。 本発明の実施例による有機EL素子の製造方法の一例を概略的に示したフロー図である。 本発明の実施例1において、ソーダライム基板上に散乱層が設置された「散乱層基板」の模式的な上面図である。 本発明の実施例1において、「光取り出し補助層基板」の模式的な上面図である。 本発明の実施例1において、ITO層が設置された「光取り出し補助層基板」の模式的な上面図である。 本発明の実施例1において、TiZr層の屈折率の波長依存性を示すグラフである。 本発明の実施例1において、有機発光層等を成膜した後の透光性基板の模式的な上面図である。 本発明の実施例1において、サンプルA1〜A4において得られた有機EL素子の電流電圧特性である。 本発明の実施例1において、サンプルA1〜A4において得られた有機EL素子の電流光束特性である。 本発明の実施例1において、各サンプルの発光および色度の角度依存性を評価するための測定装置を概略的に示した図である。 本発明の実施例1において、サンプルA1〜A4において得られた輝度の角度変化を示すグラフである。 本発明の実施例1において、サンプルA1〜A4において得られた色度の角度変化結果を示すグラフである。 本発明の実施例1において、サンプルB1〜B4において得られた有機EL素子の電流光束特性である。 本発明の実施例1において、サンプルB1〜B4において得られた輝度の角度依存性の測定結果を示すグラフである。 本発明の実施例2において、計算に使用した基本となる有機EL素子の構成を示す。 本発明の実施例2において、計算に使用した、散乱層を有する有機EL素子の構成を示す。 本発明の実施例2において、計算に使用した、散乱層および光取り出し補助層を有する有機EL素子の構成を示す。 図15に示した有機EL素子において得られた正面輝度の計算結果を示した図であり、カラーによる計算結果表示をグレースケールに置き換えたものである。 図15に示した有機EL素子において得られた正面輝度の計算結果を示した図であり、カラーによる計算結果表示をおおまかに図柄に置き換えたものである。 図16に示した有機EL素子において得られた正面輝度の計算結果を示した図であり、カラーによる計算結果表示をグレースケールに置き換えたものである。 図16に示した有機EL素子において得られた正面輝度の計算結果を示した図であり、カラーによる計算結果表示をおおまかに図柄に置き換えたものである。 図17に示した有機EL素子において得られた正面輝度の計算結果を示した図であり、カラーによる計算結果表示をグレースケールに置き換えたものである。 図17に示した有機EL素子において得られた正面輝度の計算結果を示した図であり、カラーによる計算結果表示をおおまかに図柄に置き換えたものである。 サンプル1における有機EL素子の模式的な断面図である。 サンプル2における有機EL素子の模式的な断面図である。 サンプル3における有機EL素子の模式的な断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施例について詳しく説明する。
図1には、本発明の実施例による有機EL素子の断面図の一例を概略的に示す。
図1に示すように、本発明による有機EL素子100は、透明基板110と、散乱層120と、光取り出し補助層130と、第1の電極(陽極)140と、有機発光層150と、第2の電極(陰極)160とを、この順に積層することにより構成される。図1の例では、有機EL素子100の下側の表面(すなわち透明基板110の露出面)が光取り出し面170となる。
透明基板110は、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板で構成される。
第1の電極140は、例えばITOのような透明金属酸化物薄膜で構成され、厚さは、50nm〜1.0μm程度である。一方、第2の電極160は、例えばアルミニウムや銀のような金属で構成される。
有機発光層40は、通常の場合、発光層の他、電子輸送層、電子注入層、ホール輸送層、ホール注入層など、複数の層で構成される。
散乱層120は、第1の屈折率を有するガラス製のベース材121と、該ベース材121中に分散された、前記ベース材121とは異なる第2の屈折率を有する散乱物質124とで構成される。上記散乱物質124は、複数の粒子、複数の気泡などからなる。散乱層120の厚さは、例えば5μm〜50μmの範囲である。散乱層120は、入射光を散乱させ、散乱層120に隣接する層との界面での光の反射を軽減する役割を有する。
ここで、本発明による有機EL素子は、散乱層120と第1の電極140との間に、光取り出し補助層130を有する。
光取り出し補助層130は、ガラス以外の無機材料で構成され、光取り出し補助層130と散乱層120との協働作用により、光取り出し面170から出射される光量を増加させる役割を有する。すなわち、本発明の実施例による有機EL素子100では、後に詳しく示すように、散乱層120および光取り出し補助層130により、光取り出し面170から出射される光量を有意に向上させることができる。
また、散乱層120のベース材121がアルカリ金属を含むガラス(例えばソーダライムガラス等)で構成される場合、光取り出し補助層130は、散乱層120と第1の電極140との間のバリア層としても機能する。すなわち、光取り出し補助層130が存在しない場合、散乱層120中のアルカリ金属は、有機EL素子100の使用中に、比較的容易に第1の電極140の側に移動する。このようなアルカリ金属の移動は、第1の電極140の特性(例えば、透明性、導電性など)を劣化させる要因となる。しかしながら、光取り出し補助層130が存在することで、散乱層120から第1の電極140へのアルカリ金属の移動を抑制することができる。
次に、本発明による有機EL素子を構成する各層の詳細について説明する。
(透明基板110)
透明基板110は、可視光に対する透過率が高い材料で構成される。透明基板110は、例えば、ガラス基板またはプラスチック基板等でも良い。
ガラス基板の材料としては、アルカリガラス、無アルカリガラスまたは石英ガラスなどの無機ガラスが挙げられる。また、プラスチック基板の材料としては、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリビニルアルコールならびにポリフッ化ビニリデンおよびポリフッ化ビニルなどのフッ素含有ポリマーが挙げられる。
透明基板110の厚さは、特に限られないが、例えば、0.1mm〜2.0mmの範囲であっても良い。強度および重量を考慮すると、透明基板110の厚さは、0.5mm〜1.4mmであることが好ましい。
(散乱層120)
散乱層120は、ベース材121と、該ベース材121中に分散された散乱物質124とを有する。ベース材121は、第1の屈折率を有し、上記散乱物質124は、ベース材とは異なる第2の屈折率を有する。
ベース材121は、ガラスで構成され、ガラスの材料としては、ソーダライムガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス、および石英ガラスなどの無機ガラスでもよい。
散乱物質124は、例えば、気泡、析出結晶、ベース材とは異なる材料粒子、分相ガラス等で構成されてもよい。分相ガラスとは、ガラスを構成する成分が分離して2種以上の構成、つまり2種類以上のガラス相により構成されるようになったガラスをいう。
ベース材121の屈折率と散乱物質124の屈折率の差は、大きい方が良い。このためには、ベース材121として高屈折率ガラスを使用し、散乱物質124として気泡を使用することが好ましい。
ベース材121用の高屈折率のガラスのため、ネットワークフォーマ(つまり、ガラスを構成する骨格部など)として、P、SiO、B、GeO、およびTeOのうちの一種類または二種類以上の成分を選定し、高屈折率成分として、TiO、Nb、WO、Bi、La、Gd、Y、ZrO、ZnO、BaO、PbO、およびSbのうちの一種類または二種類以上の成分を選定しても良い。さらに、ガラスの特性を調整するため、アルカリ酸化物、アルカリ土類酸化物、フッ化物などを、屈折率に影響を及ぼさない範囲で、添加しても良い。
従って、ベース材121を構成するガラス系としては、例えば、B−ZnO−La系、P−B−R’O−R”O−TiO−Nb−WO−Bi系、TeO−ZnO系、B−Bi系、SiO−Bi系、SiO−ZnO系、B−ZnO系、P−ZnO系などが挙げられる。ここで、R’はアルカリ金属元素、R”はアルカリ土類金属元素を示す。なお、以上の材料系は、一例に過ぎず、上記条件を満たすような構成であれば、使用材料は、特に限られない。
なお、ベース材121の屈折率は、第1の電極140の屈折率と同等以上であることが好ましい。ベース材121の屈折率が第1の電極140の屈折率よりも低い場合、光取出し層130と第1の電極140との界面において、全反射による損失が生じるからである。
ベース材121に、着色剤を添加することにより、発光の色味を変化させることもできる。着色剤としては、遷移金属酸化物、希土類金属酸化物、および金属コロイドなどを、単独でまたは組み合わせて使っても良い。
本発明の有機EL素子100では、ベース材121または散乱物質124に、蛍光性物質を使用することができる。この場合、有機発光層150からの発光に対して波長変換を行い、色味を変化させることが可能となる。また、この場合、有機EL素子の発光色を減らすことができ、発光された光は、散乱されて出射されるので、色味の角度依存性および/または色味の経時変化を抑制することができる。このような構成は、白色発光が必要となるバックライトや照明用途において好適である。
(光取り出し補助層130)
光取り出し補助層130は、ガラス以外の無機材料で構成される。
光取り出し補助層130は、波長430nm〜650nmの範囲で、2.2以上の屈折率を有することが好ましく、波長430nm〜650nmの範囲で、2.3以上の屈折率を有することがより好ましく、波長430nm〜650nmの範囲で、2.4以上の屈折率を有することがさらに好ましい。
光取り出し補助層130は、例えば、チタン系酸化物、チタン系窒化物、またはチタン系酸窒化物等で構成されても良い。例えば、光取り出し補助層130は、TiZrまたはTiOで構成されても良い。
光取り出し補助層130の厚さは、50nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましい。光取り出し補助層130の厚さが50nmを超えると、有機発光層150で生じた光が、光取り出し補助層130により全反射する危険性が高くなる。
(第1の電極140)
第1の電極140には、有機発光層150で生じた光を外部に取り出すため、80%以上の透光性が要求される。また、多くの正孔を注入するため、仕事関数が高いことが要求される。
第1の電極140には、例えば、ITO、SnO、ZnO、IZO(Indium Zinc Oxide)、AZO(ZnO−Al:アルミニウムがドーピングされた亜鉛酸化物)、GZO(ZnO−Ga:ガリウムがドーピングされた亜鉛酸化物)、NbドープTiO、およびTaドープTiOなどの材料が用いられる。
第1の電極140の厚さは、100nm以上であることが好ましい。
第1の電極140の屈折率は、1.9〜2.2の範囲である。例えば、第1の電極140としてITOを使用した場合、キャリア濃度を増加させることにより、第1の電極140の屈折率を低下させることができる。市販のITOでは、SnOが10wt%含まれるものが標準となっているが、Sn濃度をさらに増加させることにより、ITOの屈折率を下げることができる。ただし、Sn濃度の増加により、キャリア濃度は増加するが、移動度および透過率は、低下する。従って、全体のバランスを考慮して、Sn量を決める必要がある。
また、第1の電極140の屈折率は、散乱層120を構成するベース材121の屈折率や第2の電極160の屈折率を考慮して、決定することが好ましい。導波路計算や第2の電極160の反射率等を考慮すると、第1の電極140とベース材121の屈折率の差は、0.2以下であることが好ましい。
(有機発光層150)
有機発光層150は、発光機能を有する層であり、通常の場合、ホール注入層と、ホール輸送層と、発光層と、電子輸送層と、電子注入層とにより構成される。ただし、有機発光層150は、発光層を有していれば、必ずしも他の層の全てを有しなくて良い。なお、通常の場合、有機発光層150の屈折率は、1.7〜1.8の範囲である。
ホール注入層は、第1の電極140からのホール注入の障壁を低くするため、イオン化ポテンシャルの差が小さいものが好ましい。電極からホール注入層への電荷の注入効率が高まると、有機EL素子100の駆動電圧が下がり、電荷の注入効率が高まる。
ホール注入層の材料は、高分子材料または低分子材料が使用される。上記高分子材料の中では、ポリスチレンスルフォン酸(PSS)がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT:PSS)でも良い。上記低分子材料の中では、フタロシアニン系の銅フタロシアニン(CuPc)でも良い。
ホール輸送層は、前述のホール注入層から注入されたホールを発光層に輸送する役割をする。ホール輸送層には、例えば、トリフェニルアミン誘導体、N,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’−ビス[N−フェニル−N−(2−ナフチル)−4’−アミノビフェニル−4−イル] −1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミン(NPTE)、1,1’−ビス[(ジ−4−トリルアミノ)フェニル]シクロヘキサン(HTM2)、およびN,N’−ジフェニル−N,N’−ビス(3−メチルフェニル)−1,1’−ジフェニル−4,4’−ジアミン(TPD)などが用いらても良い。
ホール輸送層の厚さは、例えば10nm〜150nmの範囲である。ホール輸送層の厚さが薄いほど、有機EL素子を低電圧化できるが、電極間短絡の問題から、通常は、10nm〜150nmの範囲である。
発光層は、注入された電子とホールが再結合する場を提供する役割を有する。有機発光材料としては、低分子系または高分子系のものが使用されても良い。
発光層は、例えば、トリス(8−キノリノラート)アルミニウム錯体(Alq3)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウムフェノキサイド(Alq’2OPh)、ビス(8−ヒドロキシ)キナルジンアルミニウム−2,5−ジメチルフェノキサイド(BAlq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体(Liq)、モノ(8−キノリノラート)ナトリウム錯体(Naq)、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)リチウム錯体、モノ(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオナート)ナトリウム錯体およびビス(8−キノリノラート)カルシウム錯体(Caq2)などのキノリン誘導体の金属錯体、テトラフェニルブタジエン、フェニルキナクドリン(QD)、アントラセン、ペリレン、並びにコロネンなどの蛍光性物質でも良い。
ホスト材料は、キノリノラート錯体を使用しても良く、特に、8−キノリノールおよびその誘導体を配位子としたアルミニウム錯体が使用されても良い。
電子輸送層は、電極から注入された電子を輸送する役割をする。電子輸送層には、例えば、キノリノールアルミニウム錯体(Alq3)、オキサジアゾール誘導体(例えば、2,5−ビス(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール(END)、および2−(4−t−ブチルフェニル) −5−(4−ビフェニル))−1,3,4−オキサジアゾール(PBD)など)、トリアゾール誘導体、バソフェナントロリン誘導体、およびシロール誘導体などでも良い。
電子注入層は、例えば、第2の電極160との界面に、リチウム(Li)、セシウム(Cs)等のアルカリ金属をドープした層を設けることにより構成されても良い。
(第2の電極160)
第2の電極160には、仕事関数の小さな金属またはその合金が用いられる。第2の電極160は、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および周期表第3属の金属などであっても良い。第2の電極160は、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、またはこれらの合金などが用いられても良い。
また、アルミニウム(Al)、マグネシウム銀(MgAg)の共蒸着膜、フッ化リチウム(LiF)または酸化リチウム(LiO)の薄膜上に、アルミニウム(Al)を蒸着した積層電極が用いられても良い。さらに、カルシウム(Ca)またはバリウム(Ba)と、アルミニウム(Al)との積層膜が用いられても良い。
(本発明による有機EL素子の製造方法)
次に、図2を参照して、本発明による有機EL素子の製造方法の一例について説明する。図2には、本発明による有機EL素子を製造する際の概略的なフロー図を示す。
図2に示すように、本発明による有機EL素子の製造方法は、透明基板上に散乱層を形成するステップ(ステップS110)と、前記散乱層上に、光取り出し補助層を設置するステップ(ステップS120)と、前記光取り出し補助層上に、第1の電極を設置するステップ(ステップS130)と、前記第1の電極上に、有機発光層を設置するステップ(ステップS140)と、前記有機発光層上に、第2の電極を設置するステップ(ステップS150)と、を有する。以下、各ステップについて詳しく説明する。
(ステップS110)
まず、透明基板が準備される。前述のように、透明基板には、ガラス基板やプラスチック基板などであって良い。
次に、透明基板上に、ガラス製のベース材中に散乱物質が分散された散乱層が形成される。散乱層の形成方法は、特に限られないが、ここでは、特に、「フリットペースト法」により、散乱層を形成する方法について説明する。ただし、その他の方法で散乱層を形成しても良い。
フリットペースト法とは、フリットペーストと呼ばれるガラス材料を含むペーストを調製し(調製工程)、このフリットペーストを被設置基板の表面に塗布して、パターン化し(パターン形成工程)、さらにフリットペーストを焼成すること(焼成工程)により、被設置基板の表面に、所望のガラス製の膜を形成する方法である。以下、各工程について簡単に説明する。
(調製工程)
まず、ガラス粉末、樹脂、および溶剤等を含むフリットペーストが調製される。
ガラス粉末は、最終的に散乱層のベース材を形成する材料で構成される。ガラス粉末の組成は、所望の散乱特性が得られ、フリットペースト化して焼成することが可能なものであれば特に限られない。ガラス粉末の組成は、例えば、Pを20mol%〜30mol%、Bを3mol%〜14mol%、Biを10mol%〜20mol%、TiOを3mol%〜15mol%、Nbを10mol%〜20mol%、WOを5mol%〜15mol%含み、LiOとNaOとKOの総量が10〜20mol%であり、以上の成分の総量が、90mol%以上のものであっても良い。ガラス粉末の粒径は、例えば、1μm〜100μmの範囲である。
なお、最終的に得られる散乱層の熱膨張特性を制御するため、ガラス粉末には、所定量のフィラーを添加しても良い。フィラーには、例えば、ジルコン、シリカ、またはアルミナなどの粒子が使用され、粒径は、0.1μm〜20μmの範囲であって良い。
樹脂は、例えば、エチルセルロース、ニトロセルロース、アクリル樹脂、酢酸ビニル、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、およびロジン樹脂などが用いられて良い。主剤として、エチルセルロース、ニトロセルロースなどを使用しても良い。なお、ブチラール樹脂、メラミン樹脂、アルキッド樹脂、およびロジン樹脂を添加すると、フリットペースト塗布膜の強度が向上する。
溶剤は、樹脂を溶解し、粘度を調整する役割を有する。溶剤は、例えば、エーテル系溶剤(ブチルカルビトール(BC)、ブチルカルビトールアセテート(BCA)、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル、トリプロピレングリコールブチルエーテル、酢酸ブチルセロソルブ)、アルコール系溶剤(α−テルピネオール、パインオイル、ダワノール)、エステル系溶剤(2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)、フタル酸エステル系溶剤(DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート))などであって良い。主には、α−テルピネオールや2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート)である。なお、DBP(ジブチルフタレート)、DMP(ジメチルフタレート)、DOP(ジオクチルフタレート)は、可塑剤としても機能する。
その他、フリットペーストには、粘度の調整やフリット分散促進のため、界面活性剤を添加しても良い。また、表面改質のため、シランカップリング剤を使用しても良い。
次に、これらの原料を混合し、ガラス原料が均一に分散されたフリットペーストを調製する。
(パターン形成工程)
次に、前述の方法で調製したフリットペーストを、透明基板上に塗布し、パターン化する。塗布の方法およびパターン化の方法は、特に限られない。例えば、スクリーン印刷機を用いて、透明基板上にフリットペーストをパターン印刷しても良い。あるいは、ドクターブレード印刷法またはダイコート印刷法を利用しても良い。
その後、フリットペースト膜は、乾燥される。
(焼成工程)
次に、フリットペースト膜が焼成される。通常、焼成は、2段階のステップで行われる。第1のステップでは、フリットペースト膜中の樹脂が分解、消失され、第2のステップでは、ガラス粉末が焼結、軟化される。
第1のステップは、大気雰囲気下で、フリットペースト膜を200℃〜400℃の温度範囲に保持することにより行われる。ただし、処理温度は、フリットペーストに含まれる樹脂の材料によって変化する。例えば、樹脂がエチルセルロースの場合は、処理温度は、350℃〜400℃程度であり、樹脂がニトロセルロースの場合は、処理温度は、200℃〜300℃程度であっても良い。なお処理時間は、通常、30分から1時間程度である。
第2のステップは、大気雰囲気下で、フリットペースト膜を、含まれるガラス粉末の軟化温度±30℃の温度範囲に保持することにより行われる。処理温度は、例えば、450℃〜600℃の範囲である。また、処理時間は、特に限られないが、例えば、30分〜1時間である。
第2のステップ後に、ガラス粉末が焼結、軟化して、散乱層のベース材が形成される。また、フリットペースト膜中に内在する気泡によって、ベース材中に均一に分散された散乱物質が得られる。
その後、透明基板を冷却することにより、側面部分が上面から前記底面に向かって、直角よりも緩やかな角度で傾斜した表面を有する散乱層が形成される。
最終的に得られる散乱層の厚さは、5μm〜50μmの範囲であっても良い。
(ステップS120)
次に、前記工程で得られた散乱層上に、光取り出し補助層が設置される。光取り出し補助層の設置方法は、特に限られず、例えば、スパッタ法、蒸着法、および気相成膜法等の成膜法を利用しても良い。また、光取り出し補助層は、パターン化しても良い。
(ステップS130)
次に、前記工程で得られた光取り出し補助層上に、第1の電極(陽極)が設置される。
第1の電極の設置方法は、特に限られず、例えば、スパッタ法、蒸着法、および気相成膜法等の成膜法を利用しても良い。また、第1の電極は、パターン化しても良い。
前述のように、第1の電極の材料は、ITO等であっても良い。また、第1の電極の厚さは、特に限られず、第1の電極の厚さは、例えば50nm〜1.0μmの範囲であっても良い。
なお、ここまでの工程で得られた、透明基板、散乱層、光取り出し補助層、および第1の電極を有する積層体は、「透光性基板」と呼ばれる。次工程で設置される有機発光層の仕様は、最終的に得られる有機EL素子の適用用途によって、様々に変化する。従って、慣用的には、この「透光性基板」は、この状態のまま、中間製品として市場に流通される場合も多く、これ以降の工程が省略される場合も多々ある。
(ステップS140)
有機EL素子を製造する場合は、次に、第1の電極を覆うように、有機発光層が設置される。有機発光層の設置方法は、特に限られず、例えば、蒸着法および/または塗布法を使用しても良い。
(ステップS150)
次に、有機発光層上に第2の電極が設置される。第2の電極の設置方法は、特に限られず、例えば、蒸着法、スパッタ法、気相成膜法等を使用しても良い。
以上の工程により、図1に示したような有機EL素子100が製造される。
ただし、前述の有機EL素子の製造方法は、一例であって、その他の方法で有機EL素子を製造しても良い。
以下、本発明の実施例1と2について説明する。
[実施例1]
以下の方法により、複数の有機EL素子を作製した。
(散乱層の形成)
透明基板として、縦50mm×横50mm×厚さ0.55mmのソーダライム基板を準備した。
次に、以下の方法で、散乱層用の原料を調製した。
まず、表1に示す組成の混合粉末を調合し、溶解した。溶解は、1050℃で1.5時間保持後、950℃で30分間保持することにより実施した。その後、溶解物を双ロールにキャストして、フレーク状ガラスを得た。
Figure 2012057043
熱分析装置(Bruker社製、商品名:TD5000SA)を用いて、熱膨張法により、フレーク状ガラスのガラス転移温度を測定した。昇温速度は、5℃/分とした。フレーク状ガラスのガラス転移温度は、475℃であった。また、フレーク状ガラスの熱膨張係数は、72×10−7/℃であった。
屈折率計(カルニュー光学工業社製、商品名:KRP−2)を用いて、フレーク状ガラスの屈折率を測定したところ、フレーク状ガラスのd線(587.56nm)での屈折率ndは、1.98であった。
次に、このフレーク状ガラスをジルコニア製の遊星ボールミルで2時間乾式粉砕し、平均粒径(d50:積算値50%の粒度、単位μm)が1μm〜3μmのガラス粉末を調製した。
次に、このガラス粉末75gを、有機ベヒクル(a−テルピネオール等にエチルセルロースを10質量%程度溶解したもの)25gと混練して、ガラスペーストを作製した。さらに、スクリーン印刷機を用いて、このガラスペーストをソーダライム基板上に印刷した。これにより、ソーダライム基板上に直径10mmφの円状の散乱層を2つ有するパターンを形成した。スクリーン印刷後、ソーダライム基板を120℃で10分間乾燥した。
散乱層の厚さを厚くするため、このようなガラスペーストのスクリーン印刷、および乾燥を繰り返した。
このソーダライム基板を45分かけて450℃まで昇温した後、450℃で10時間保持した後、12分で575℃まで昇温し、575℃で40分間保持し、その後室温まで3時間で降温した。これにより、ソーダライム基板上に散乱層が形成された。
図3には、このような工程で得られた、散乱層のパターンを有するソーダライム基板の上面図を概略的に示す。ソーダライム基板310上に形成された散乱層のパターンは、2つの散乱層320で構成され、各散乱層320は、直径10mmφの円形状である。2つの散乱層320は、ソーダライム基板320の一つの対角線L3上に沿って、ソーダライム基板320の中心からの距離が等しくなる位置に設置される。なお、散乱層320の膜厚は、42μm程度であった。
次に、散乱層320を有するソーダライム基板310(以下、「散乱層基板」と称する)の全光透過率とヘイズ値を測定した。測定装置として、スガ試験機ヘーズメータHGM−2を用いた。リファレンスとして、ソーダライム基板単体の全光透過率とヘイズ値も測定した。その結果、散乱層基板の全光透過率は69%であり、ヘイズ値は73%であった。
また、散乱層の表面の表面うねりを東京精密製、SURFCOM 1400Dを用いて測定した。散乱層の表面の平均算術粗さ(Ra)は、0.95μmであった。
(光取り出し補助層および第1の電極の形成)
次に、前述の方法で形成した散乱層基板の上に、以下の方法で、光取り出し補助層および第1の電極を形成した。
まず、バッチ式マグネトロンスパッタリング装置の2台のカソードに、直径6インチのTi70原子%−Zr30原子%ターゲット(ターゲット1)、およびITOターゲット(ターゲット2)を設置した。
次に、装置の基板ホルダーに、散乱層基板を設置した。その際、25mm×50mmのガラス製マスクを散乱層基板の上部に置載して、散乱層基板の下半分の領域を覆い、その部分には、成膜がされないようにした。
スパッタリング装置を1×10−3Pa以下まで排気した後、基板加熱ヒーターを250℃に設定した。散乱層基板が加熱されてから、雰囲気ガスとして、アルゴンガス25sccmおよび酸素ガス25sccmを導入した。
次に、投入電力1000WのDCパルススパッタリングにより、ターゲット1を用いて散乱層基板の上半分の非マスク領域に、光取り出し補助層として、TiZr層を形成した。TiZr層の厚さは、40nmである。
図4には、TiZr層の成膜後のソーダライム基板の上面図を示す。図4に示すように、ソーダライム基板310の上半分の領域には、TiZr層330が形成されている。以下、このソーダライム基板310を、「光取り出し補助層基板」410と称する。なお、明確化のため、以降の図面では、最上面よりも下側にある層を全て破線で表すことにする。
次に、基板加熱ヒーターをオフにしてから、スパッタリング装置を大気開放して、ガラス製マスクをITO成膜用マスクと交換した。その後、再度、スパッタリング装置を1×10−3Pa以下まで排気し、基板加熱ヒーターを250℃に設定した。光取り出し補助層基板410が加熱されてから、雰囲気ガスとして、アルゴンガス98sccmおよび酸素ガス2sccmを導入した。
次に、ターゲット2を用いて、投入電力300WのDCパルススパッタリングにより、光取り出し補助層基板410上に、ITO層を形成した。その後、基板加熱ヒーターをオフにし、スパッタリング装置を大気開放して、上部にITO層が形成された光取り出し補助層基板410を取り出した。ITO層の膜厚は、150nmである。
図5には、ITO層の成膜後の、光取り出し補助層基板410の上面図を示す。この図に示すように、各ITO層350は、文字「L」を180゜回転したようなパターンを有する。また、図5において、左上のITO層350と、右下のITO層350は、上部から見たとき、ITO層350の水平方向の一部(端部近傍)が、散乱層320の中心と重なるようにして配置される。
以下、図5に示すITO層が成膜された光取り出し補助層基板410を、透光性基板と称する。
また、これとは別に、以下の方法で、TiZr層の屈折率を測定した。
測定サンプルとして、前述のソーダライム基板上に、前述のスパッタリング条件で、直接TiZrOx層を形成したものを使用した。TiZrOx層の膜厚は、40nmである。
J.A.Woollam Co.,Inc.製の分光エリプソメーターM−2000を用いて、測定サンプルの屈折率を測定した。結果を図6に示す。
図6から、TiZr層の屈折率は、波長430nm〜650nmの範囲において、2.4以上であることがわかる。
(有機EL素子の作製)
次に、前述の方法で作製した透光性基板を用いて、有機EL素子を作製した。
まず、純水およびIPAを用いた超音波洗浄を行った後、透光性基板に酸素プラズマを照射して、表面を清浄化した。
次に、真空蒸着装置を用いて、透光性基板上に、100nmのα−NPD(N,N’−diphenyl−N,N’−bis(l−naphthyl)−l,l’biphenyl−4,4’’diamine)と、60nmのAlq3(tris8−hydroxyquinoline aluminum)と、0.5nmのLiFと、80nmのAlとを連続的に成膜した。
図7には、成膜後の透光性基板700の上面図を示す。
図7に示すように、α−NPDとAlq3の層360は、マスクを使用することにより、透光性基板700の4箇所に、直径12mmの円形パターンとして形成した。また、α−NPDとAlq3の層360は、各ITO層350の水平方向の先端を覆うように設置した。
一方、LiFとAlの層370は、マスクを使用することにより、透光性基板700の4箇所に、ITO層350と略鏡面対称なパターンとして形成した。ただし、LiFとAlの層370は、水平部分の先端に、縦横2mmの領域390を有し、この領域390は、α−NPDとAlq3の層360の中心に重なるように配置される。
これにより、上部から見たとき、領域390を発光部とする4つの有機EL素子を含むサンプルが得られた。
その後、上記サンプルを、縦横25mmの寸法に4分割した。これにより、(1)ソーダライム基板310上に散乱層320、光取り出し補助層330、ITO層350、有機発光層(α−NPD、Alq3およびLiF)、およびAl層が設置された有機EL素子(図7の左上参照)(サンプルA1と称する)と、(2)ソーダライム基板310上に、光取り出し補助層330、ITO層350、有機発光層(α−NPD、Alq3およびLiF)、およびAl層が設置された有機EL素子(図7の右上参照)(サンプルA2と称する)と、(3)ソーダライム基板310上に、ITO層350、有機発光層(α−NPD、Alq3およびLiF)、およびAl層が設置された有機EL素子(図7の左下参照)(サンプルA3と称する)と、(4)ソーダライム基板310上に散乱層320、ITO層350、有機発光層(α−NPD、Alq3およびLiF)、およびAl層が設置された有機EL素子(図7の右下参照)(サンプルA4と称する)と、が作製された。
なお、有機EL素子は、大気中に放置しておくと、大気中の水分により吸湿して劣化する可能性がある。そのため、各サンプルA1〜A4は、以下の方法で、樹脂封止した。
まず、別個に用意したガラス基板(対向基板)の中央部分にサンドブラスト処理を行うことにより、対向基板の中央部分に凹部を形成した。
次に、この凹部に、CaOを含有した捕水材を貼り付けた。次に、この状態の対向基板の凹部に、各サンプルA1〜A4を、ソーダライム基板側が上向きとなるように配置する。さらに、対向基板の凹部を取り囲む周囲に、サンプルとの隙間をなくすようにして、感光性エポキシ樹脂を塗布した。最後に、感光性エポキシ樹脂に紫外線を照射して樹脂を硬化させ、サンプルを密封した。
(比較例1)
実施例1と同様の方法により、(1)ソーダライム基板310上に散乱層320、光取り出し補助層330、ITO層350、有機発光層、およびAl層が設置された有機EL素子(サンプルB1と称する)と、(2)ソーダライム基板310上に、光取り出し補助層330、ITO層350、有機発光層、およびAl層が設置された有機EL素子(サンプルB2と称する)と、(3)ソーダライム基板310上に、ITO層350、有機発光層、およびAl層が設置された有機EL素子(サンプルB3と称する)と、(4)ソーダライム基板310上に散乱層320、ITO層350、有機発光層、およびAl層が設置された有機EL素子(サンプルB4と称する)とを作製した。
ただし、比較例1では、光取り出し補助層330として、TiZr層の代わりに、SiO層(厚さ40nm)を設置した。
すなわち、比較例1では、直径6インチのTi70原子%−Zr30原子%ターゲット(ターゲット1)の代わりに、直径6インチのSiターゲット(ターゲット3)を使用して、光取り出し補助層330の成膜を行った。成膜時の雰囲気ガスとして、アルゴンガス25sccmおよび酸素ガス25sccmを導入した。また、DCパルススパッタリングの投入電力は、300Wとした。
その他の製作条件は、実施例1の場合と同様である。
(各サンプルの光学特性評価)
次に、前述の各サンプルA1〜A4、およびB1〜B4を用いて、電流電圧特性等の光学特性評価を行った。
電流電圧特性評価には、浜松ホトニクス社製EL特性測定機C9920−12を使用した。
図8には、サンプルA1〜A4において得られた有機EL素子の電流電圧特性をまとめて示す。また、図9には、電流光束特性を示す。
図8の結果から、いずれのサンプルA1〜A4も、有機EL素子として適正に作動していることがわかる。また、図9の結果から、光束量(lm)は、サンプルA3(散乱層なし、光取り出し補助層なし)、サンプルA2(散乱層なし、光取り出し補助層あり)、サンプルA4(散乱層あり、光取り出し補助層なし)、サンプルA1(散乱層あり、光取り出し補助層あり)の順に向上していることがわかる。
表2には、各サンプルA1〜A4における電流値が4mAのときの光束量の値を示す。また、この表には、サンプルA3を基準(1)としたときの、各サンプルA1、A2、およびA4の光束量の倍率を示す。
Figure 2012057043
この表から、サンプルA1(散乱層あり、光取り出し補助層あり)の光束量倍率は、1.99に達しており、サンプルA4(散乱層あり、光取り出し補助層なし)と比べても有意に向上していることがわかる。
次に、各サンプルA1〜A4について、発光および色度の角度依存性を評価した。
図10には、測定装置の構成を概略的に示す。
図10に示すように、測定装置1000は、輝度計1010とサンプル1020とで構成される。輝度計1010には、株式会社トプコンテクノハウス製の色彩輝度計(商品名:BM−7A)を使用した。
測定は、以下のように実施した。
まず、サンプル1020に、両電極を介して1mAの電流を流し、発光を生じさせる。次に、サンプル1020を輝度計1010に対して回転させ、各角度θ(゜)における発光を輝度計1010で測定する。
なお、角度θは、図10に示すように、サンプル1020の法線方向と、サンプル1020から輝度計1010に向かう方向とのなす角である。従って、輝度計1010がサンプル1020の正面に配置される状態がθ=0°となる。
図11および図12には、測定結果を示す。図11は、輝度の角度変化であり、図12は、色度の角度変化である。ここで、色度座標の算出には、CIE1976UCS表色系を用いている。
図11から、輝度は、測定角度によらず、サンプルA3、サンプルA2、サンプルA4、およびサンプルA1の順に向上することがわかる。また、サンプルA1の輝度は、全測定角度において、サンプルA3を大きく上回ることがわかる。これは、前述の電流と光束の測定結果の傾向と一致している。
また、図12から、サンプルA1では、サンプルA3に比べて、測定角度による色度の変化が抑制されていることがわかる。この結果は、サンプルA1では、視角度の限定が緩和されることを示唆するものである。
このように、サンプルA1の構成で有機EL素子を構成した場合、有機EL素子の光学特性が有意に向上することが予想される。
図13には、サンプルB1〜B4において得られた電流光束特性を示す。
図13の結果から、光束量(lm)は、サンプルB2(散乱層なし、光取り出し補助層あり)およびサンプルB3(散乱層なし、光取り出し補助層なし)においては、同等に低く、サンプルB4(散乱層あり、光取り出し補助層なし)およびサンプルB1(散乱層あり、光取り出し補助層あり)においては、同等に大きなっていることがわかる。
表3には、各サンプルB1〜B4における電流値が4mAのときの光束量の値を示す。また、この表には、サンプルB3を基準(1)としたときの、各サンプルB1、B2、およびB4の光束量の倍率を示す。
Figure 2012057043
この表から、サンプルB1(散乱層あり、光取り出し補助層あり)の光束量倍率は、1.86であり、サンプルB4(散乱層あり、光取り出し補助層なし)とほぼ同等のレベルであることがわかる。
図14には、サンプルB1〜B4において得られた輝度の角度依存性の測定結果を示す。
サンプルB1〜B4の場合、輝度は、測定角度によらず、サンプルB2およびサンプルB3において低く、サンプルB4およびサンプルB1において向上することがわかる。すなわち、サンプルB1の輝度は、サンプルB4と同等であり、光取り出し補助層の効果は認められない。
このように、光取り出し補助層として、TiZr層を使用した場合は、有機EL素子の光学特性が有意に向上するのに対して、光取り出し補助層として、SiO層を使用した場合は、有機EL素子の光学特性の向上効果が得られないことが確認された。
[実施例2]
有機EL素子の構成において、光取り出し補助層が存在しない場合、第1の電極と散乱層の屈折率差が小さいため、第1の電極と散乱層界面での反射率は小さくなる。その結果、有機EL素子の、例えば第1の電極および/または有機発光層の膜厚を変化させても、有機EL素子内の干渉条件は、あまり変化しない。
一方、散乱層と第1の電極の間に光取り出し補助層が設置された構成では、光取り出し補助層の屈折率が散乱層および第1の電極の屈折率と離れている場合、散乱層と光取り出し補助層の界面、および光取り出し補助層と第1の電極の界面での反射率が上昇し、光取り出し補助層および有機発光層の膜厚変化により、干渉条件を制御することができる。また、これにより、有機発光層で生じた光の散乱層への入射角度を変えることができ、結果として光取り出し効率を向上させることが可能となる。
このような考えに基づき、有機EL素子における光の干渉条件を最適化するため、干渉計算を行った。干渉計算ソフトウェアには、CYBERNET社製setfosを使用した。
図15〜図17には、計算に使用した有機EL素子の構成を示す。
図15には、計算の基本となる有機EL素子の構成を示しており、この構成では、散乱層および光取り出し補助層は存在しない。すなわち、図15に示した有機EL素子1500は、ガラス基板1510、第1の電極(透明電極)1540、有機発光層1550、および第2の電極(反射電極)1560をこの順に積層することにより構成される。有機発光層1550は、第1の電極1540から近い側から、ホール輸送層1551、発光層1553、電子輸送層1555、および電子注入層1557をこの順に積層することにより構成される。
また、図16に示す有機EL素子1600は、散乱層マトリックスガラス1620、第1の電極(透明電極)1640、有機発光層1650、および第2の電極(反射電極)1660をこの順に積層することにより構成される。有機発光層1650は、第1の電極1640から近い側から、ホール輸送層1651、発光層1653、電子輸送層1655、および電子注入層1657をこの順に積層することにより構成される。
さらに、図17の有機EL素子1700は、散乱層マトリックスガラス1720、光取り出し補助層1730、第1の電極(透明電極)1740、有機発光層1750、および第2の電極(反射電極)1760をこの順に積層することにより構成される。有機発光層1750は、第1の電極1740から近い側から、ホール輸送層1751、発光層1753、電子輸送層1755、および電子注入層1757をこの順に積層することにより構成される。
なお、図15におけるガラス基板1510として、ソーダライムガラスを想定した。また、図16および図17における散乱層マトリックスガラス1620、1720として、表4に記載の組成のものを想定した。
Figure 2012057043
第1の電極1540、1640、1740は、ITOとし、第2の電極1560、1660、1760は、Alとした。
有機発光層1550、1650、1750のホール輸送層1551、1651、1751は、α−NPDとし、発光層1553、1653、1753は、Alq3に2重量%のDCJTB(4−(Dicyanomethylene)−2−tert−butyl−6−(1,1,7,7−tetramethyljulolidin−4−yl−vinyl)-4H−pyran)がドープされた層とし、電子輸送層1555、1655、1755は、Alq3とし、電子注入層1557、1657、1757は、LiFとした。
また、光取り出し補助層1730として、TiZrO層(以後TZO層と呼ぶ)を想定した。
表5には、各層の屈折率nおよび消衰係数kを示す。なお、表5中、例えば散乱層マトリックスガラスの波長435.8 nmを例にとれば、「9.1E−07」という表記は、9.1×10−7を示す。
Figure 2012057043
なお、第1の電極1540、1640、1740は、上下で屈折率が異なる2層構造となっている。すなわち、計算の際には、第1の電極1540、1640、1740の上半分の屈折率として、表5中の第1の電極(上部)に記載の値を使用し、下半分の屈折率として、表5中の第1の電極(底部)に記載の値を使用した。
計算ソフトウェアsetfosは、干渉計算は扱えるが、散乱層における散乱現象を計算することができない。そのため、ここでは、干渉計算によって、ガラス基板または散乱層マトリックスガラスに対して垂直な方向に出射する光の輝度を求めた。
実際には、散乱層に入射した光は、散乱されたり、散乱層とガラス基板の界面で反射したりするので、ガラス基板から垂直方向に取り出される光の輝度と、散乱層に垂直入射する光の輝度は一致しないが、散乱層中に垂直に入射した光の輝度が高ければ、最終的に基板から大気に垂直に出射する光の輝度も高くなると考えられる。
屈折率の高い散乱層付きガラス基板上に、有機EL素子を形成した場合、出射光の角度依存性は、Cosθ則に従うので、ガラス基板から垂直な方向に出射される光の輝度が高ければ、出射光全体の光束量も多いと推定することができる。
次に、実際の計算結果について述べる。
計算条件として、図15および図16に示した有機EL素子1500、1600については、ホール輸送層1551、1651の膜厚を変数とし、図17に示した有機EL素子1700については、ホール輸送層1751、およびTZO層1730の膜厚を変数とした。
その他の層の膜厚は、一定とした。すなわち、第1の電極1540、1640、1740(2層合計)は、150nmとし、発光層1553、1653、1753は、20nmとし、電子輸送層1555、1655、1755は、70nmとし、電子注入層1557、1657、1757は、0.5nmとし、第2の電極1560、1660、1760は、80nmとした。
計算結果を、図18A〜図20Bに示す。
図18Aと18Bには、図15に示した基本構成の有機EL素子1500において得られた正面輝度(Radiance)を示す。また、図19Aと図19Bおよび図20Aと図20Bには、それぞれ、図16および図17に示した有機EL素子1600、1700において得られた正面輝度(Radiance)を示す。図18Aから図20Bにおいて、AlQ3はキノリノールアルミニウム錯体を、NPDはN,N’−ビス(1−ナフチル)−N,N’−ジフェニル−1,1’−ビフェニル−4,4’−ジアミンを、TZOはTiZrOを示すことは上述の通りである。
表6には、各有機EL素子1500、1600、1700における変数とした各層の最適膜厚を、固定した層の膜厚と合わせて示す。
Figure 2012057043
なお、図20Aと図20Bでは、電子輸送層1755を70nmに固定しているが、電子輸送層1755の膜厚を変数とした場合でも、電子輸送層1755が70nmのときに、輝度の最大値が得られることがわかった。
(有機EL素子の作製)
次に、前述の計算結果により得られた、最適な光取り出し効率が得られる3種類の構造の有機EL素子を実際に作製して、その特性を評価した。
有機EL素子は、以下の方法により作製した。
(散乱層の形成)
ガラス基板として、縦50mm×横50mm×厚さ0.55mmのソーダライム基板を準備した。
以下の方法で、散乱層用の原料を調製した。
まず、前述の表4に示す組成の混合粉末を調合した。また、この混合粉末を、1250℃で1.5時間保持して溶解し、溶解物を双ロールにキャストして、フレーク状ガラスを得た。
得られたフレーク状ガラスのガラス転移温度を、熱分析装置(TD5000SA;Bruker社製)を用いて、熱膨張法により測定した。昇温速度は、5℃/分とした。フレーク状ガラスのガラス転移温度は、490℃であった。また、フレーク状ガラスの熱膨張係数は、70×10−7/℃であった。
また、フレーク状ガラスの屈折率を、屈折率計(KRP−2:カルニュー光学工業社製)を用いて測定したところ、フレーク状ガラスのd線(587.56nm)での屈折率ndは、1.94であった。
次に、このフレーク状ガラスをジルコニア製の遊星ボールミルで2時間乾式粉砕し、平均粒径(d50:積算値50%の粒度、単位μm)が1〜3μmのガラス粉末を調製した。次に、このガラス粉末75gを、有機ベヒクル(a−テルピネオール等にエチルセルロースを10質量%程度溶解したもの)25gと混練して、ガラスペーストを作製した。さらに、スクリーン印刷機を用いて、このガラスペーストをソーダライム基板上に印刷した。これにより、ソーダライム基板上に直径10mmφの円状の散乱層を2つ有するパターンを形成した。
スクリーン印刷後、ソーダライム基板を120℃で10分間乾燥した。散乱層の厚さを厚くするため、このようなガラスペーストのスクリーン印刷、および乾燥を繰り返した。このソーダライム基板を45分かけて450℃まで昇温した後、450℃で10時間保持した後、12分で575℃まで昇温し、585℃で40分間保持し、その後室温まで3時間で降温した。これにより、ソーダライム基板上に散乱層が形成された。
散乱層のパターンは、図3に示したものと同じである。焼成後の散乱層の膜厚は、45μmであった。
実施例1と同様の方法で、散乱層を有するソーダライム基板の全光透過率とヘイズ値を測定した。測定装置として、スガ試験機ヘーズメータHGM−2を用いた。リファレンスとして、ソーダライム基板単体の全光透過率とヘイズ値も測定した。その結果、散乱層を設置した部分のソーダライム基板の全光透過率は83%であり、ヘイズ値は83%であった。
また、散乱層の表面の表面うねりを東京精密製、SURFCOM 1400Dを用いて測定した。散乱層の表面の平均算術粗さ(Ra)は、0.11μmであった。
このようにして、表面の2箇所に散乱層を有するソーダライム基板(以下、「散乱層基板」と称する)を作製した。
(光取り出し補助層の形成)
次に、前述の方法で形成した散乱層基板上に、以下の方法で、光取り出し補助層を形成した。
まず、バッチ式マグネトロンスパッタリング装置の2台のカソードに、直径6インチのTi70原子%−Zr30原子%ターゲット(ターゲット1)、およびITOターゲット(ターゲット2)を設置した。次に、装置の基板ホルダーに、散乱層基板を設置した。スパッタリング装置を1×10−3Pa以下まで排気した後、基板加熱ヒーターを250℃に設定した。散乱層基板が加熱されてから、雰囲気ガスとして、アルゴンガス25sccmおよび酸素ガス25sccmを導入した。次に、投入電力1000WのDCパルススパッタリングにより、ターゲット1を用いて散乱層基板の表面の半分の領域に、光取り出し補助層として、TZO層を形成した。TZO層の厚さは、70nmである。
光取り出し補助層のパターンは、図4に示したものと同じである。以下、この散乱層基板を、「光取り出し補助層基板」と称する。
(第1の電極の形成)
次に、以下の方法により、光取り出し補助層基板上に、第1の電極(ITO電極)を形成した。
まず、基板加熱ヒーターをオフにしてから、スパッタリング装置を大気開放して、ガラス製マスクをITO成膜用マスクと交換した。その後、再度、スパッタリング装置を1×10−3Pa以下まで排気し、基板加熱ヒーターを250℃に設定した。光取り出し補助層基板が加熱されてから、雰囲気ガスとして、アルゴンガス98sccmおよび酸素ガス2sccmを導入した。次に、ターゲット2を用いて、投入電力300WのDCパルススパッタリングにより、光取り出し補助層基板上に、ITO層を形成した。その後、基板加熱ヒーターをオフにし、スパッタリング装置を大気開放して、上部にITO層が形成された光取り出し補助層基板を取り出した。ITO層の膜厚は、150nmである。電極パターンは図5に示した形状のパターンとした。
(有機EL素子の作製)
以上の工程を経て得られたITO層を有する光取り出し補助層基板に、有機発光層および第2の電極を形成して、構成の異なる4つの有機EL素子を作製した。
有機発光層を構成するホール輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層の各層の厚さ、ならびに第2の電極の厚さは、前述の計算で得られた表6の値とした。また、各層のパターンは、図7に示すパターンとした。
なお、各基板の洗浄方法、層形成方法、および有機EL素子の封止方法は、実施例1と同様である。
発光層、すなわちDCJTBを2重量%含んだAlq3膜は、Alq3とDCJTBを共蒸着して形成した。
実施例1の場合と同様の方法で、得られた基板を4分割して、4つの有機EL素子を得た。以下、散乱層および光取り出し補助層を有さない有機EL素子をサンプル1と称し、散乱層は有するが光取り出し補助層を有さない有機EL素子をサンプル2と称し、散乱層および光取り出し補助層を有する有機EL素子をサンプル3と称する。なお、光取り出し補助層は有するが散乱層を有さない有機EL素子は、以降の評価に使用しなかった。
(各サンプルの光学特性評価)
実施例1と同様に、各サンプル1〜3の光学特性を評価した。使用装置および測定条件は、実施例1の場合と同様である。
表7には、結果を示す。
Figure 2012057043
表7に示すように、サンプル2の場合、サンプル1と比較して、光束量は、1.11倍向上する。また、サンプル3では、サンプル1と比較して、光束量は、1.52倍上昇し、サンプル2と比較しても、光束量は、1.37倍上昇することが確認された。
ここで、図面を参照して、このような結果が得られた原理について考える。
図21には、サンプル1における有機EL素子2000の模式的な断面図を示す。このサンプル1では、有機EL素子2000は、ソーダライム基板2010、第1の電極2040、有機発光層2050、および第2の電極2060で構成される。有機発光層2050は、ホール輸送層2051、発光層2053、および電子輸送層と電子注入層からなる層2056で構成される。
また、図21には、ソーダライム基板2010に対して垂直な方向に出射する主要な光線を示している。
光線1は、発光層2053からの光がソーダライム基板2010側に出射して、どの界面でも反射されずに、そのまま大気側に出射される光の経路に対応する。光線2は、発光層2053の光が第2の電極2060側に出射し、第2の電極2060で反射された後、そのまま、第1の電極2040およびソーダライム基板2010を通り、大気側に出射される光の経路に対応する。さらに、光線3は、発光層2053からの光がソーダライム基板2010側に出射してから、第1の電極2040とソーダライム基板2010の界面で反射され、その後、第2の電極2060でさらに反射され、第1の電極2040およびソーダライム基板2010を通り、最終的に大気側に出射される光の経路に対応する。
界面での光の反射率は、その界面を形成する物質の間の屈折率差が大きい場合、大きくなる。ITOなどのような第1の電極2040を形成する物質は、屈折率が2.0前後と一般的に高いため、ソーダライム基板2010との間で屈折率差が大きくなり、このため、界面での反射光は、干渉に寄与する。なお、その他の界面での反射も生じ得るが、そのような界面を形成する物質の屈折率差は、小さい場合が多く、ここでは考慮しないこととする。
有機EL素子2000における光取り出し効率を上げるためには、光線1と光線2の位相が整合するように、発光層2053と第2の電極2060の間にある層2056の膜厚を調整することが有効である。これにより、ソーダライム基板2010に対して垂直な方向に出射する光の比率を高めることができ、さらには光取り出し効率を向上させることができる。
次に、図22には、サンプル2における有機EL素子2100の模式的な断面図を示す。このサンプル2では、有機EL素子2100は、ソーダライム基板2110、散乱層2120、第1の電極2140、有機発光層2150、および第2の電極2160で構成される。有機発光層2150は、ホール輸送層2151、発光層2153、および電子輸送層と電子注入層からなる層2156で構成される。
また、図22には、ソーダライム基板2110に対して垂直な方向に出射する主要な光線を示している。
この場合も、光線1および光線2は、図21の場合と同様の挙動を示す。ただし、光線3は、干渉に寄与しにくくなる。これは、散乱層2120の屈折率が高く、この屈折率が第1の電極2140の屈折率に近いためである。この場合、散乱層2120と第1の電極2140の界面において、光の反射率が低くなり、光量が小さくなるため、光線3の干渉に及ぼす影響は、小さくなる。
このように、サンプル2の場合は、光線3の寄与度が小さいため、干渉効果が得られにくくなり、出射光を前方に集めることが難しくなる。すなわち、サンプル2の構成においては、屈折率の高い散乱層2120中に光を導入し、この光を散乱させて大気側に取り出すことにより、光取り出し効率を上げることは可能ではあるが、その効果は少なくなる。ただし、散乱層2120に入射する光の角度を前方(出射側)に集めれば、さらなる光取り出し効率の改善が可能となることが予想される。
次に、図23には、サンプル3における有機EL素子2200の模式的な断面図を示す。このサンプル3では、有機EL素子2200は、ソーダライム基板2210、散乱層2220、光取り出し補助層2230、第1の電極2240、有機発光層2250、および第2の電極2260で構成される。有機発光層2250は、ホール輸送層2251、発光層2253、および電子輸送層と電子注入層からなる層2256で構成される。
また、図23には、ソーダライム基板2210に対して垂直な方向に出射する主要な光線を示している。
この構成では、光取り出し補助層2230の屈折率は、散乱層2220や第1の電極2240の屈折率と比較して、高く設定することができるので、第1の電極2240と光取り出し補助層2230の界面、および光取り出し補助層2230と散乱層2220の界面において、反射率を高めることが可能となる。
これは、図23において、光線3および光線4の経路に相当する。このような光線3および光線4の位相を、光線1および光線2に合わせた場合、出射光の前方成分を増やすことが可能となり、光取り出し効率をよりいっそう高めることが可能となる。
ここで、サンプル3の構成における最適なホール輸送層2251の膜厚は、前述の表6より、90nmである。しかしながら、サンプル1の場合、この値は、光取り出し効率を最も悪くする値の一つである。
このように相反する結果が得られる理由として、以下のことが考えられる。
サンプル1において、図21の光線3で示した光の第1の電極2040とソーダライム基板2010の界面での反射は、光が屈折率の大きな物質から小さな物質へ入射する反射であり、反射によって位相がπ(180°)シフトする。
一方、図23において、光取り出し補助層2230の屈折率は、第1の電極2240および散乱層2220の屈折率よりも大きい。このため、例えば、図23の光線3において、第1の電極2240と光取り出し補助層2230の界面での反射は、相対的に屈折率が低い物質から高い物質へ入射する反射となり、位相シフトが生じない。
従って、サンプル1の構成で最適化した各層を、サンプル3の構成に適用すると、図23に示す光線3の位相がπだけずれるため、光取り出し効率が著しく低下してしまう。
逆に言えば、サンプル1の構成で最適化した各層の膜厚が既知の場合には、例えば、ホール輸送層2051の膜厚を、位相がπシフトするように変化させれば良いことになる。具体的には、変化させたホール輸送層2051の膜厚をd1、屈折率をn1、光の波長をλとしたとき、
d1/(λ/n1)=±0.5±I(Iは0以上の整数)
を満たすようにすれば良い。
なお、このような位相差を発現させる方法は、ホール輸送層の膜厚を変化させることに限られない。例えば、第1の電極の膜厚を変化させても良い。例えば、ホール輸送層にドーピング層を用いる場合、この層は、可視光領域に吸収があるので、層を厚くすることにより吸収が高まり、散乱層による光取り出し効率が低下してしまう。このような場合には、ホール輸送層の代わりに、第1の電極を厚くして、光線3の位相を光線1、光線2に適合させても良い。
また、第1の電極とホール輸送層の両方の膜厚を同時に変化させても良い。なお、通常の有機EL素子では、第1の電極上にホール注入層を配置する場合があるが、ホール注入層が存在する場合でも、同様な議論ができる。すなわち、第1の電極、ホール注入層、およびホール輸送層の各膜厚を適正に変化させることにより、光線3の位相を光線1、光線2の位相に合わせることができる。
なお、図23において、光線4の場合、光取り出し補助層2230と散乱層2220の界面での反射は、相対的な屈折率が高い物質から低い物質へ入射する反射となるため、位相がπシフトする。このような光線4の位相を光線3に合わせるには、光取り出し補助層2230の屈折率をn2、厚さをd2、光の波長をλとしたとき、
d2/(λ/n2)=±0.5±I(Iは0以上の整数)
を満たすようにすれば良い。
図18Aから図20Bに示した計算結果は、このような原理を反映した結果になっていることがわかる。
以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
本国際出願は、2010年10月25日に出願した日本国特許出願2010−238983号及び2011年4月28日に出願した日本国特許出願2011−101847号に基づく優先権を主張するものであり、日本国特許出願2010−238983号及び日本国特許出願2011−101847号の全内容をここに本国際出願に援用する。
本発明は、発光デバイス等に使用される有機EL素子に適用することができる。
100 本発明による有機EL素子
110 透明基板
120 散乱層
121 ベース材
124 散乱物質
130 光取り出し補助層
140 第1の電極(陽極)
150 有機発光層
160 第2の電極(陰極)
170 光取り出し面
310 ソーダライム基板
320 散乱層
330 光取り出し補助層
350 ITO層
360 α−NPDとAlq3の層
370 LiFとAlの層
390 領域
410 光取り出し補助層基板
700 透光性基板
1000 測定装置
1010 輝度計
1020 サンプル
1500 有機EL素子
1510 ガラス基板
1540 第1の電極
1550 有機発光層
1551 ホール輸送層
1553 発光層
1555 電子輸送層
1557 電子注入層
1560 第2の電極
1600 有機EL素子
1620 散乱層マトリックスガラス
1640 第1の電極
1650 有機発光層
1651 ホール輸送層
1653 発光層
1655 電子輸送層
1657 電子注入層
1660 第2の電極
1700 有機EL素子
1720 散乱層マトリックスガラス
1730 光取り出し補助層
1740 第1の電極
1750 有機発光層
1751 ホール輸送層
1753 発光層
1755 電子輸送層
1757 電子注入層
1760 第2の電極
2000、2100、2200 有機EL素子
2010、2110、2210 ソーダライム基板
2120、2220 散乱層
2230 光取り出し補助層
2040、2140、2240 第1の電極
2050、2150、2250 有機発光層
2051、2151、2251 ホール輸送層
2053、2153、2253 発光層
2056、2156、2256 電子輸送層と電子注入層からなる層
2060、2160、2260 第2の電極

Claims (12)

  1. 透明基板と、第1の電極と、該第1の電極上に形成された有機発光層と、該有機発光層上に形成された第2の電極とを有する有機EL素子であって、
    前記透明基板上には、ガラスからなるベース材と該ベース材中に分散された散乱物質とを有する散乱層が設置され、
    前記散乱層と前記第1の電極の間には、光取り出し補助層が設置され、
    前記光取り出し補助層は、ガラスを除く他の無機材料で構成されることを特徴とする有機EL素子。
  2. 前記光取り出し補助層は、波長430nm〜650nmの範囲で、2.2以上の屈折率を有することを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. 前記光取り出し補助層は、チタン系窒化物、チタン系酸化物、およびチタン系酸窒化物からなる群から選定された材料で構成されることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  4. 前記光取り出し補助層は、TiZrまたはTiOで構成されることを特徴とする請求項3に記載の有機EL素子。
  5. 前記光取り出し補助層は、厚さが50nm以下であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  6. 透明基板および透明電極を有する透光性基板であって、
    前記透明基板と透明電極の間には、ガラスからなるベース材と該ベース材中に分散された散乱物質とを有する散乱層が設置され、
    前記散乱層と前記透明電極の間には、光取り出し補助層が設置され、
    前記光取り出し補助層は、ガラスを除く他の無機材料で構成されることを特徴とする透光性基板。
  7. 前記光取り出し補助層は、波長430nm〜650nmの範囲で、2.2以上の屈折率を有することを特徴とする請求項6に記載の透光性基板。
  8. 透明基板上に散乱層を形成し、
    前記散乱層上に光取り出し補助層を設置し、
    前記光取り出し補助層上に、第1の電極を設置し、
    前記第1の電極上に、有機発光層を設置し、
    前記有機発光層上に、第2の電極を設置することを特徴とする
    有機EL素子の製造方法。
  9. 前記光取り出し補助層は、波長430nm〜650nmの範囲で、2.2以上の屈折率を有するよう設置されることを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子の製造方法。
  10. 前記光取り出し補助層は、チタン系窒化物、チタン系酸化物、およびチタン系酸窒化物からなる群から選定された材料で構成されるよう設置されることを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子の製造方法。
  11. 前記光取り出し補助層は、TiZrまたはTiOで構成されるよう設置されることを特徴とする請求項10に記載の有機EL素子の製造方法。
  12. 前記光取り出し補助層は、厚さが50nm以下となるよう設置されることを特徴とする請求項8に記載の有機EL素子の製造方法。
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