JP2022139506A - 重金属不溶化用薬剤キット、重金属不溶化用組成物およびそれらを用いた重金属の不溶化処理方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】重金属処理中に有害なガス発生がなく、埋立後の有機物発生がなく、処理が安定し、従来よりも有害な重金属の溶出防止効果が高い重金属不溶化用薬剤キット、重金属不溶化用組成物およびそれらを用いた重金属含有粉粒体中の重金属の不溶化処理方法を提供する。【解決手段】重金属含有粉粒体と混合されて重金属を不溶化させるための重金属不溶化用薬剤キットであって、水ガラスを含む第1薬剤と、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含む第2薬剤と、アルミニウム化合物と、を有する。これにより、重金属含有粉粒体に水ガラス、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物およびアルミニウム化合物が混合された場合に、得られた混合物中で重金属が強く固定される。また、本発明は、重金属不溶化用組成物およびそれらを用いた重金属の不溶化処理方法を提供する。【選択図】図1
Description
本発明は、重金属不溶化用薬剤キット、重金属不溶化用組成物およびそれらを用いた重金属の不溶化処理方法に関し、特に、重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用薬剤キット、重金属不溶化用組成物およびそれらを用いた重金属の不溶化処理方法に関する。
従来、焼却飛灰、土壌、スラッジ、汚泥などの重金属を含む固形物を埋立処理した場合に、その固形物からの重金属の溶出を防ぐため、重金属を含む固形物に液体キレート剤を添加し混錬する薬剤処理方法が広く採用されている。
この薬剤処理方法として、特許文献1は有機液体キレート剤(ジチオカルバミン酸又はその塩と少なくとも一つ以上の1級又は2級アミノ基を有するアミン化合物)による飛灰処理を開示する。
そのほかにも無機系飛灰処理薬剤として鉄、リン酸などを含有する無機系飛灰処理薬剤が挙げられる。さらに水ガラスを飛灰に添加し、重金属を固定化する方法も提案されている。
水ガラスを飛灰に添加し、重金属を固定化する方法の一例として、特許文献2は、都市焼却灰を、高炉スラグ粉末と、水ガラスおよび苛性ソーダの混合水溶液と混ぜ合わせて養生してジオポリマーを製造する方法を実施例に開示する。
また、特許文献3は、その請求項1に水酸化カリウム溶液と所定粒径のケイ素粉末とを混合したスラリーにフライアッシュを混合して硬化体を製造する方法を開示する。
さらに、非特許文献1は、焼却飛灰にケイ酸カリウムと水酸化カリウム溶液とを混合し、ジオポリマーを合成する方法を開示する。
高橋ら著、第30回廃棄物資源循環学会研究発表会 講演原稿2019、第369-370頁
特許文献1によれば、有機液体キレート剤の成分であるジチオカルバミン酸が酸性域になり分解したり、熱により加水分解したりすることで有害ガスを発生させる欠点がある。また、埋立後にジチオカルバミン酸が分解し、重金属が再溶出する懸念もある。
特許文献2によれば、ジオポリマーの硬化原理を利用して都市ごみ焼却灰を固化し、その中の重金属を固定しているものの、その実施例によれば(例えば、その図9E参照)、鉛や水銀など飛灰または焼却灰などに含有されることが多い有害な重金属についての溶出抑制効果が確認できていない。
特許文献3は硬化体を得ているが、水ガラスを添加してジオポリマーを製造しているのではない。
さらに、非特許文献1に開示された実験結果によれば、ジオポリマー化した焼却飛灰中の重金属不溶化と熱安定性について評価されているものの、少なくとも鉛について環境庁告示13号法の基準値を満たしておらず、重金属を十分に処理できていないと考えられる。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、重金属処理中に有害なガス発生がなく、埋立後の有機物発生がなく、処理が安定し、従来よりも有害な重金属の溶出防止効果が高い重金属不溶化用薬剤キット、重金属不溶化用組成物およびそれらを用いた重金属含有粉粒体中の重金属の不溶化処理方法を提供することにある。
発明者らは、上記目的達成に向け鋭意検討を行った。その結果、重金属含有粉粒体に水ガラスおよび苛性ソーダ等の強アルカリを添加・混合して重金属を不溶化させるにあたり、アルミニウム化合物を添加することでより重金属の溶出が防止されることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記目的は、重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用薬剤キットであって、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の双方を含まず、水ガラスを含む第1薬剤と、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含み、水ガラスは含まない第2薬剤と、アルミニウム化合物と、を有することを特徴とする重金属不溶化用薬剤キットに達成されることが見いだされた。
この構成によれば、重金属不溶化用薬剤キットが、水ガラスを含む第1薬剤と、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含む第2薬剤と、アルミニウム化合物と、を有することで、重金属含有粉粒体に混合された場合に、得られた混合物中で重金属が強く固定される。
また、この重金属の固定は無機物の反応により行われ、有機液体キレート剤などの有機成分によるものではないので、その分解による有害ガスの発生や、混合物を埋め立てた後に有機成分の分解による重金属の溶出などの心配もなく、処理が安定する。
本発明に係る重金属不溶化用薬剤キットの好ましい態様は以下の通りである。
(1)混合対象となる重金属含有粉粒体が、Al2O3として換算して10質量%以下のアルミニウムを含む。重金属含有粉粒体中のアルミニウム濃度が低い場合には、この重金属含有粉粒体中に水ガラス、強アルカリを添加・混合しても重金属の固定効果が小さくなりがちであるところ、この構成によれば、アルミニウム化合物がさらに添加されていることで重金属の固定効果を高く維持することが可能となる。
(2)アルミニウム化合物が、水酸化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、カオリナイト、ハロサイト、カオリン(白陶土)およびセメントからなる群から選択される1種以上である。この構成は、アルミニウム化合物の具体例を示すものであり、これらのアルミニウム化合物を用いることにより、確実に得られた混合物中で重金属を強く固定することができる。
(3)アルカリ金属化合物が、苛性ソーダ、苛性カリウムおよび炭酸ソーダからなる群から選択され、アルカリ土類金属化合物が、石灰、水酸化カルシウムおよびドロマイトからなる群から選択される。この構成は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の具体例をそれぞれ示すものであり、これら例示に係るアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を用いることにより、確実に得られた混合物中で重金属を強く固定することができる。
(4)混合対象となる重金属含有粉粒体が焼却飛灰である。焼却飛灰には一般に鉛や水銀などの有害な重金属が含まれることが多く、その不溶化が求められているところ、この構成によれば、そのような焼却飛灰に含まれる重金属を固定し、高いレベルで不溶化することが可能となる。
(1)混合対象となる重金属含有粉粒体が、Al2O3として換算して10質量%以下のアルミニウムを含む。重金属含有粉粒体中のアルミニウム濃度が低い場合には、この重金属含有粉粒体中に水ガラス、強アルカリを添加・混合しても重金属の固定効果が小さくなりがちであるところ、この構成によれば、アルミニウム化合物がさらに添加されていることで重金属の固定効果を高く維持することが可能となる。
(2)アルミニウム化合物が、水酸化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、カオリナイト、ハロサイト、カオリン(白陶土)およびセメントからなる群から選択される1種以上である。この構成は、アルミニウム化合物の具体例を示すものであり、これらのアルミニウム化合物を用いることにより、確実に得られた混合物中で重金属を強く固定することができる。
(3)アルカリ金属化合物が、苛性ソーダ、苛性カリウムおよび炭酸ソーダからなる群から選択され、アルカリ土類金属化合物が、石灰、水酸化カルシウムおよびドロマイトからなる群から選択される。この構成は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の具体例をそれぞれ示すものであり、これら例示に係るアルカリ金属化合物および/またはアルカリ土類金属化合物を用いることにより、確実に得られた混合物中で重金属を強く固定することができる。
(4)混合対象となる重金属含有粉粒体が焼却飛灰である。焼却飛灰には一般に鉛や水銀などの有害な重金属が含まれることが多く、その不溶化が求められているところ、この構成によれば、そのような焼却飛灰に含まれる重金属を固定し、高いレベルで不溶化することが可能となる。
また、上記目的は、重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用組成物であって、水ガラスと、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方と、アルミニウム化合物と、を有することを特徴とする重金属不溶化用組成物によっても達成することができる。
さらに、上記目的は、本発明の重金属不溶化用薬剤キットの第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物を、または本発明の重金属不溶化用組成物を重金属含有粉粒体に添加し、混錬することを特徴とする重金属含有粉粒体中の重金属の不溶化処理方法、および
重金属含有粉粒体が焼却飛灰であり、飛灰貯槽からの焼却飛灰と、処理薬剤槽からの薬剤とを混錬機で混錬する混錬工程を有し、混錬機から混錬灰を得ることで焼却飛灰中の重金属を不溶化する処理方法であって、薬剤が、本発明の重金属不溶化用薬剤キットの第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物であるか、または本発明の重金属不溶化用組成物であることを特徴とする焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法
によっても達成することができる。
重金属含有粉粒体が焼却飛灰であり、飛灰貯槽からの焼却飛灰と、処理薬剤槽からの薬剤とを混錬機で混錬する混錬工程を有し、混錬機から混錬灰を得ることで焼却飛灰中の重金属を不溶化する処理方法であって、薬剤が、本発明の重金属不溶化用薬剤キットの第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物であるか、または本発明の重金属不溶化用組成物であることを特徴とする焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法
によっても達成することができる。
本発明に係る焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法の好ましい態様は以下の通りである。
(1)混錬工程において混錬機に加湿水槽からの加湿水を供給する。
(2)混錬工程で混錬された混錬灰を混錬灰貯槽に貯留する混錬灰貯留工程と、混錬貯槽の混錬灰と、蒸気および/または熱とを養生装置に供給して養生して固化灰を得る養生工程と、固化灰を固化灰貯槽に貯留する固化灰貯留工程と、を有する。
(1)混錬工程において混錬機に加湿水槽からの加湿水を供給する。
(2)混錬工程で混錬された混錬灰を混錬灰貯槽に貯留する混錬灰貯留工程と、混錬貯槽の混錬灰と、蒸気および/または熱とを養生装置に供給して養生して固化灰を得る養生工程と、固化灰を固化灰貯槽に貯留する固化灰貯留工程と、を有する。
本発明によれば、重金属含有粉粒体に水ガラス、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物およびアルミニウム化合物が混合された場合に、得られた混合物中で重金属が強く固定される。
また、この重金属の固定は無機物の反応により行われ、有機液体キレート剤などの有機成分によるものではないので、その分解による有害ガスの発生や、混合物を埋め立てた後に有機成分の分解による重金属の溶出などの心配もなく、処理が安定する。
したがって、重金属含有粉粒体を本発明の重金属不溶化用薬剤キットまたは本発明の重金属不溶化用組成物で処理する際の安全性が向上し、有機物を含む排液が出ないことから排水処理の負荷も低減され、埋め立てた際の環境リスクも低減される。
<重金属不溶化用薬剤キット>
本発明は、重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用薬剤キットであって、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の双方を含まず、水ガラスを含む第1薬剤と、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含み、水ガラスは含まない第2薬剤と、アルミニウム化合物と、を有する。
本発明は、重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用薬剤キットであって、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の双方を含まず、水ガラスを含む第1薬剤と、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含み、水ガラスは含まない第2薬剤と、アルミニウム化合物と、を有する。
[重金属含有粉粒体]
重金属含有粉粒体は、重金属を含有している粉粒体であればどのような粉粒体であってもよい。また、重金属を含有する岩石や鉱物については、適宜に粉砕などの処理を行い、重金属含有粉粒体とすることが出来る。また、別にケイ素源を添加することを回避する観点から、好ましくは、重金属含有粉粒体は、ケイ素を含む。しかし、重金属粉粒体がケイ素を含まない場合であっても、ケイ素源を別に添加することでジオポリマー形成による重金属の固定は可能である。
重金属含有粉粒体は、重金属を含有している粉粒体であればどのような粉粒体であってもよい。また、重金属を含有する岩石や鉱物については、適宜に粉砕などの処理を行い、重金属含有粉粒体とすることが出来る。また、別にケイ素源を添加することを回避する観点から、好ましくは、重金属含有粉粒体は、ケイ素を含む。しかし、重金属粉粒体がケイ素を含まない場合であっても、ケイ素源を別に添加することでジオポリマー形成による重金属の固定は可能である。
本発明において、粉粒体とは、砂のような低含水率のものに限らず、スラリー(泥漿)や泥など、液体中に粉体、流体が分散したものも含むものとする。
重金属含有粉粒体は、さらに、アルミニウムを含んでいてもよいが、本発明の適用対象となる重金属含有粉粒体としては、Al2O3として換算して10質量%以下のアルミニウムを含むことが好ましく、8質量%以下のアルミニウムを含むことがさらに好ましく、5質量%以下のアルミニウムを含むことが特に好ましい。
重金属含有粉粒体としては、例えば、焼却飛灰、焼却主灰、土壌、スラッジ、汚泥などが挙げられる。
[第1薬剤]
第1薬剤は、水ガラスを含む。水ガラスは、ケイ酸のナトリウム塩の濃い水溶液である。水ガラスは1号水ガラス、2号水ガラス、3号水ガラスなどが挙げられる(JISK 1408-1966参照)。なお、第1薬剤は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の双方を含まない。
第1薬剤は、水ガラスを含む。水ガラスは、ケイ酸のナトリウム塩の濃い水溶液である。水ガラスは1号水ガラス、2号水ガラス、3号水ガラスなどが挙げられる(JISK 1408-1966参照)。なお、第1薬剤は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の双方を含まない。
第1薬剤は、水ガラスが、重金属含有粉粒体に対して5~60質量%、より好ましくは5~30質量%となる量で混合される。
[第2薬剤]
第2薬剤は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含む。アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム、炭酸ソーダが挙げられ、アルカリ土類金属化合物としては、水酸化カルシウム(消石灰)、石灰、ドロマイト、セメントが挙げられる。特に、価格、供給安定性から、アルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウムが、アルカリ土類金属化合物としては消石灰が好ましい。
第2薬剤は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含む。アルカリ金属化合物としては、水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)、水酸化カリウム、炭酸ソーダが挙げられ、アルカリ土類金属化合物としては、水酸化カルシウム(消石灰)、石灰、ドロマイト、セメントが挙げられる。特に、価格、供給安定性から、アルカリ金属化合物としては水酸化ナトリウムが、アルカリ土類金属化合物としては消石灰が好ましい。
第2薬剤は、アルカリ金属化合物やアルカリ土類金属化合物を粉体等の固体状態で使用してもよく、水等の溶媒に溶解した溶解液や分散液として使用してもよい。重金属含有粉粒体処理時のハンドリング性の観点から、液状品としては広く市販されている水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましい。特にアルカリ等の多価金属を使用することにより、固化強度の向上も可能である。
第2薬剤は、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の合計量が、水ガラスに対して10~500質量%、より好ましくは10~300質量%となる量で重金属含有粉粒体に混合される。
[アルミニウム化合物]
アルミニウム化合物としては水酸化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アルミナや、アルミナシリカ化合物であるカオリナイト、ハロサイト、カオリン(白陶土)などが挙げられる。アルミニウム化合物またはアルミナシリカ化合物は粉体等の固体状態で使用してもよく、水等の溶媒に溶解した溶解液や分散液として使用してもよい。
アルミニウム化合物としては水酸化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、アルミナや、アルミナシリカ化合物であるカオリナイト、ハロサイト、カオリン(白陶土)などが挙げられる。アルミニウム化合物またはアルミナシリカ化合物は粉体等の固体状態で使用してもよく、水等の溶媒に溶解した溶解液や分散液として使用してもよい。
特に価格、供給安定性から水酸化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、カオリン(白陶土)が好ましく、中でもカオリン(白陶土)を用いることが最も好ましい。また、重金属含有粉粒体処理時のハンドリング性の観点から言えば、ポリ塩化アルミニウムは使用しやすい。
アルミニウム化合物は、第1薬剤、第2薬剤とは別の別の薬剤として重金属不溶化用薬剤キット中に存在してもよく、第1薬剤に、あるいは第2薬剤に混合されていてもよい。
アルミニウム化合物は、重金属含有粉粒体に対して5~60質量%となる量で混合される。
本発明の重金属不溶化用薬剤キットを用いて重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化する際、重金属不溶化用薬剤キット中に粉体材料がある場合、この粉体材料を最初に重金属含有粉粒体と混合し、均一状態にした後、液体材料を添加することが好ましい。
添加順序は特に限定されないが、水ガラスを含む液体の第1薬剤と液体の第2薬剤を用いる場合には、事前に両者を均一に混合しておくことが好ましい。
本発明の重金属不溶化用薬剤キットによれば、水ガラスを含む第1薬剤と、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含む第2薬剤と、アルミニウム化合物と、を有することで、重金属含有粉粒体に混合された場合に、得られた混合物中で重金属が強く固定される。この重金属の固定のメカニズムについては、詳細は不明であるが、主に重金属不溶化用薬剤キット中の水ガラスや多価金属(アルミニウムやカルシウム成分)、アルカリ、被処理物(重金属含有粉粒体)のシリカ成分が反応し、重金属を含めた重縮合反応(ジオポリマーの形成反応)が起きていると推察される。
また、この重金属の固定は無機物の反応により行われ、有機液体キレート剤などの有機成分によるものではないので、その分解による有害ガスの発生や、混合物を埋め立てた後に有機成分の分解による重金属の溶出などの心配もなく、処理が安定する。
さらに、本発明の重金属不溶化用薬剤キットにより、重金属の溶出防止できるだけでなく、ジオポリマーの形成による得られた混合物固体の強度向上が可能である。
<重金属不溶化用組成物>
本発明は、重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用組成物であって、水ガラスと、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方と、アルミニウム化合物と、を有する。
本発明は、重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用組成物であって、水ガラスと、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方と、アルミニウム化合物と、を有する。
本発明の重金属不溶化用組成物は、本発明の重金属不溶化用薬剤キットの各試薬を混合して一つの組成物としたものである。水ガラス、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物およびアルミニウム化合物ならびにそれらの配合量は、発明の重金属不溶化用薬剤キットと同じであり、ここではその記載を省略する。
本発明の重金属不溶化用組成物中、アルミニウム化合物は高アルカリ条件下で一般に溶解するが、溶解せずに分散して存在する場合は、重金属不溶化用組成物中で均一分散させるため、アルカリ条件下で使用可能な周知の分散剤を添加したり、同じくアルカリ条件下で使用可能な増粘剤を添加したりすることが好ましい。
本発明の重金属不溶化用組成物によっても、前記重金属不溶化用薬剤キット同様、重金属含有粉粒体に含まれていた重金属の不溶化、有機液体キレート剤を使用する不具合の解消、および重金属含有粉粒体に重金属不溶化用組成物を混合・混錬して得られた混合物固体の強度向上効果を得ることができる。
<重金属の不溶化処理方法>
本発明は、重金属含有粉粒体中の重金属の不溶化処理方法であって、本発明の重金属不溶化用薬剤キット中の第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物を、または本発明の重金属不溶化用組成物を重金属含有粉粒体に添加し、混錬する。
本発明は、重金属含有粉粒体中の重金属の不溶化処理方法であって、本発明の重金属不溶化用薬剤キット中の第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物を、または本発明の重金属不溶化用組成物を重金属含有粉粒体に添加し、混錬する。
本発明の重金属の不溶化処理方法においても、水ガラス、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物およびアルミニウム化合物ならびにそれらの配合量は、発明の重金属不溶化用薬剤キットおよび重金属不溶化用組成物と同じであり、ここではその記載を省略する。
各種試薬の投入順序は特に制限はないが、最初に粉体試薬を重金属含有粉粒体に添加し、均一に分散するまで混合した後に、液体の試薬を添加し、混錬することが好ましい。
混錬は、本技術分野において周知のハンドミキサー、パン型ミキサーなどを用いることができる。混錬条件は、各ミキサーに好適とされる条件を適宜に選択することができ、混錬物が粘土状になるまで必要に応じて加湿水を添加しながら混錬する。
上記の粘土状とは、得られた混錬物に飛散性がなく、かつ混錬物を静置しても自由水が漏出しない状態を指す。
混錬状態は使用薬剤により大きく異なり、重金属含有粉粒体や薬剤由来の水分量が多ければ、スラリー状になりハンドリングが困難である。重金属含有粉粒体や薬剤由来の水分量が少なければ粉状となり、十分な反応が促進されない。したがって、重金属含有粉粒体や薬剤由来の水分量が適量でなければ、目的とする効果を得られない。加湿水は薬剤との混錬時に同時に添加してもよく、薬剤添加後に添加してもよい。
さらに、混錬後、混錬機中で混錬物を所定温度および所定湿度で所定期間養生することが好ましい。養生条件は、後述する焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法を参考にすることができる。この混錬物の養生によりジオポリマーの形成がさらに促され、重金属含有粉粒体に含まれていた重金属がさらに不溶化し、混錬して得られた混錬物固体の強度をさらに向上させることができる。
<焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法>
次に、重金属含有粉粒体が焼却飛灰である場合の、本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法を、図1~図4を参照して説明する。
次に、重金属含有粉粒体が焼却飛灰である場合の、本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法を、図1~図4を参照して説明する。
図1は本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化方法を説明するためのフローチャートであり、図2は本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化方法に用いられる処理機構の一例を説明するブロック図であり、図3は本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化方法に用いられる処理機構の第一変形例を説明するブロック図であり、図4は本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化方法に用いられる処理機構の第二変形例を説明するブロック図である。
本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法は、重金属含有粉粒体が焼却飛灰であり、図2に示すように、飛灰貯槽14からの焼却飛灰と、処理薬剤槽16からの薬剤とを混錬機20で混錬する混錬工程(S100、図1参照)を有する。
薬剤は、本発明の重金属不溶化用薬剤キットの第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物であるか、または本発明の重金属不溶化用組成物である。
本発明において、焼却飛灰とは、都市ごみを焼却場で焼却した際に燃焼ガスとともに巻き上がる煤塵のことをいい、石炭を石炭火力発電所で焼却した際に発生するフライアッシュ(飛灰)を含まないものとする。
[混錬工程(S100)]
本工程では、上述のとおり、飛灰貯槽14からの焼却飛灰と、処理薬剤槽16からの薬剤とを混錬機20で混錬する。
本工程では、上述のとおり、飛灰貯槽14からの焼却飛灰と、処理薬剤槽16からの薬剤とを混錬機20で混錬する。
まず、飛灰貯槽14に貯留された焼却飛灰が混錬機20に供給され、粉体の試薬がある場合、この混錬機20に供給され、焼却飛灰と粉体の試薬が均一に混ざり合うように混合される。次に、処理薬剤槽16に貯留された液状の薬剤がポンプ22により混錬機20に送られる。
複数の液状の薬剤がある場合、処理薬剤槽16中で先に混合されていてもよく、薬剤毎に別々に準備された処理薬剤槽(図示せず)から混錬機20に別々に供給されてもよい。
混錬機20での混錬は、上記重金属の不溶化処理方法と同様、混錬されて得られる混錬灰が粘土状になるまで行う。
また、本工程において、混錬機20に加湿水槽12からの加湿水をポンプ18により供給することが好ましい。加湿水を供給することで、焼却飛灰や薬剤由来の液体分量が少ない場合であっても混錬灰を粘土状にすることが可能となる。加湿水は、薬剤との混錬時に同時に添加してもよく、薬剤添加後に添加してもよい。
混錬灰は成形、造粒してもよい。成形方法はパン型造粒機、二軸混練機、押出成形機などがある。造粒方法は混錬造粒機などがある。得られた混錬灰は、任意工程である混錬灰貯留工程(S110)に送られる(以上、混錬工程(S100))。
[混錬灰貯留工程(S110)]
本工程では、混錬工程(S100)で混錬された混錬灰を、混錬灰貯槽26に貯留する。貯留温度は特に限定は無いが、好ましくは10~40℃の範囲であり、通常、室温大気圧下とされる。貯留された混錬灰は、次の任意工程である養生工程に送られる(以上、混錬灰貯留工程(S110))。
本工程では、混錬工程(S100)で混錬された混錬灰を、混錬灰貯槽26に貯留する。貯留温度は特に限定は無いが、好ましくは10~40℃の範囲であり、通常、室温大気圧下とされる。貯留された混錬灰は、次の任意工程である養生工程に送られる(以上、混錬灰貯留工程(S110))。
[養生工程(S120)]
本工程では、混錬灰貯槽26の混錬灰と、蒸気及び/又は熱とを養生装置28に供給して養生して固化灰を得る。
本工程では、混錬灰貯槽26の混錬灰と、蒸気及び/又は熱とを養生装置28に供給して養生して固化灰を得る。
混錬灰の養生は、特に限定はないが、0℃超~105℃の範囲の温度、好ましくは10~40℃の範囲の温度下、10~100質量%の範囲、好ましくは20~60質量%の範囲の相対湿度で実施される。
養生期間は、特に限定は無いが、混錬灰が十分に乾燥するまで、具体的には、含水率が10~40質量%の範囲、好ましくは含水率が10~30質量%の範囲となるまで実施される。
養生時の湿度調整は、例えば、ボイラ24からの蒸気を使用することができる。
養生時の温度調整は、例えば、ボイラ24からの排熱を使用してもよく、燃焼排ガスを使用してもよい。ボイラ24の排熱を使用する場合は、混錬灰と養生装置28とを熱交換器を介して間接加熱してもよく、養生装置28中の混錬灰に対して直接加熱してもよい。
さらに、本工程において、炭酸ガスや燃焼排ガスを養生装置28中に吹き込んで養生することが好ましい。これによれば、炭酸ガス中の炭酸が、燃焼排ガスの場合には二酸化炭素が水に溶解して生じた炭酸が、混錬灰中の重金属と炭酸塩を形成し、重金属がさらに不溶化される。
混錬灰は、上記温度範囲の環境にて大気と接触させ養生する際、24時間以上養生期間を設けることが好ましい。これによれば、重金属含有粉粒体中の重金属のさらなる溶出防止が可能である。本工程で得られた混錬灰の固化物(固化灰)は、次の任意工程である固化灰貯留工程に送られる(以上、養生工程(S120))。
[固化灰貯留工程(S130)]
本工程では、固化灰を固化灰貯槽30に貯留する。固化灰貯槽30に貯留された固化灰について品質評価を行うことが好ましい。例えば、固化灰中の重金属の溶出濃度が埋立基準値以下であるかどうかが評価され、埋立基準値以下である場合には合格となり、埋立基準値を超える場合はさらに養生処理が行われてもよい。
本工程では、固化灰を固化灰貯槽30に貯留する。固化灰貯槽30に貯留された固化灰について品質評価を行うことが好ましい。例えば、固化灰中の重金属の溶出濃度が埋立基準値以下であるかどうかが評価され、埋立基準値以下である場合には合格となり、埋立基準値を超える場合はさらに養生処理が行われてもよい。
また、固化灰について固化強度の試験を行い、所定の強度を有する場合には合格と判定し、所定の強度を有していない場合にはさらに養生処理が行われることとしてもよい(以上、固化灰貯留工程(S130))。
上記本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法においては、養生工程(S120)を養生装置28中で行うこととしたが、養生工程を混錬機20で行うこととしてもよい。この場合、図3に示すように、混錬工程(S100)後の混錬灰はそのまま混錬機20中で養生されることとなり、図3に示すボイラから直接蒸気および排熱のいずれか一方または双方が混錬機20に供給されることとなる。
さらに、上記本発明の焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法においては、混錬工程(S100)において加湿水が供給されることが好ましいが、処理薬剤槽16から供給される液量が混錬灰を粘土状とするために十分である場合は、加湿水を供給する必要はない。この場合、図4に示すように、加湿水槽を設ける必要はない(なお、図4は図3のブロック図で示す処理機構の変形例である)。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。
1.使用した重金属含有粉粒体
使用した重金属含有粉粒体は以下の通りである。
使用した重金属含有粉粒体は以下の通りである。
焼却飛灰A:都市ごみ焼却飛灰(溶融炉)
焼却飛灰B:都市ごみ焼却飛灰(流動床炉)
焼却飛灰C:都市ごみ焼却飛灰(流動床炉)
各焼却飛灰について、蛍光X線分析法により重金属含有量を測定した。結果を表1に示す。
焼却飛灰B:都市ごみ焼却飛灰(流動床炉)
焼却飛灰C:都市ごみ焼却飛灰(流動床炉)
各焼却飛灰について、蛍光X線分析法により重金属含有量を測定した。結果を表1に示す。
各焼却飛灰について、環境庁告示13号に準拠し、重金属の溶出試験を行った。結果を表2に示す。
2.使用試薬
使用した試薬は以下の通りである。
使用した試薬は以下の通りである。
第1薬剤:水ガラス(3号水ガラス(JISK 1408-1966参照))
第2薬剤:水酸化ナトリウム水溶液(濃度40質量%。和光純薬工業製の水酸化ナトリウム(固体)と市水にて調製。)
アルミニウム化合物1:水酸化アルミニウム(富士フィルム和光純薬製(製品コード:014-01925))
アルミニウム化合物2:ポリ塩化アルミニウム(新日本化成株式会社製(品番:200811)
アルミニウム化合物3:カオリン(富士フィルム和光純薬製(製品コード:155144))
第2薬剤:水酸化ナトリウム水溶液(濃度40質量%。和光純薬工業製の水酸化ナトリウム(固体)と市水にて調製。)
アルミニウム化合物1:水酸化アルミニウム(富士フィルム和光純薬製(製品コード:014-01925))
アルミニウム化合物2:ポリ塩化アルミニウム(新日本化成株式会社製(品番:200811)
アルミニウム化合物3:カオリン(富士フィルム和光純薬製(製品コード:155144))
3.重金属含有粉粒体中の重金属の不溶化処理
「1.使用した重金属含有粉粒体」の項目で記載した各焼却飛灰に、表3~6に記載の量で上記試薬および任意に市水(加湿水)を添加し、十分に均一になるまで混錬し、粘土状の混錬物を得た。添加剤の添加順序としては、まず各焼却飛灰に粉体試薬(アルミニウム化合物1、アルミニウム化合物3)を添加し、均一になるまで混ぜた。次に、水ガラス、アルカリ化合物、液体のアルミニウム化合物(アルミニウム化合物2)、加湿水(市水)を添加し、混錬した。
「1.使用した重金属含有粉粒体」の項目で記載した各焼却飛灰に、表3~6に記載の量で上記試薬および任意に市水(加湿水)を添加し、十分に均一になるまで混錬し、粘土状の混錬物を得た。添加剤の添加順序としては、まず各焼却飛灰に粉体試薬(アルミニウム化合物1、アルミニウム化合物3)を添加し、均一になるまで混ぜた。次に、水ガラス、アルカリ化合物、液体のアルミニウム化合物(アルミニウム化合物2)、加湿水(市水)を添加し、混錬した。
混錬物を室温、大気開放下にて静置して養生し、実施例1~4および比較例1~20の重金属の不溶化処理物を得た。養生期間は、実施例1~4および比較例1~20(表3および表4)は3日、実施例5~25および比較例21(表5および表6)については各表に示すとおりである。
4.重金属の不溶化処理物の評価
得られた重金属の不溶化処理物について、重金属溶出濃度および固化強度を測定した。測定方法および評価方法を以下に示す。
得られた重金属の不溶化処理物について、重金属溶出濃度および固化強度を測定した。測定方法および評価方法を以下に示す。
4-1.重金属溶出試験
重金属の不溶化処理物について、環境庁告示13号法に準拠し、試験を行った。結果を表3~6に示す。
重金属の不溶化処理物について、環境庁告示13号法に準拠し、試験を行った。結果を表3~6に示す。
4-2.固化強度測定
養生後の重金属の不溶化処理物を高さ30cmから落下させ、固化物の崩壊が認められた場合に「×」、崩壊がおおよそみられなかった場合に「〇」とした。さらに崩壊がみられず、手で触れたときに明らかに硬い場合は「◎」とした。実施例のうち、実施試験条件によっては粘土状とならず泥状となるものもあった。泥状となり、固化強度測定試験が困難な実施例については「-」と記載した。結果を表3~6に示す。
養生後の重金属の不溶化処理物を高さ30cmから落下させ、固化物の崩壊が認められた場合に「×」、崩壊がおおよそみられなかった場合に「〇」とした。さらに崩壊がみられず、手で触れたときに明らかに硬い場合は「◎」とした。実施例のうち、実施試験条件によっては粘土状とならず泥状となるものもあった。泥状となり、固化強度測定試験が困難な実施例については「-」と記載した。結果を表3~6に示す。
5.結果
焼却飛灰Aに市水のみ添加し処理した比較例1は、Pb、T-Crともに埋立基準値を満足していない。固化強度についても泥状となり測定不可能であった。焼却飛灰Aに水酸化アルミニウム(アルミニウム化合物1)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した実施例1は、比較例1~5に対し、PbもしくはT-Crにおいて、またはその両方において優位な溶出抑制を見いだすことができ、Pbについては埋立基準値を満足することができた。
焼却飛灰Bに市水のみ添加し処理した比較例1は、Pb、T-Crともに埋立基準値を満足していない。固化強度についても泥状となり測定不可能であった。焼却飛灰Bに水酸化アルミニウム(アルミニウム化合物1)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した実施例2は、比較例1~5に対し、PbもしくはT-Crにおいて、またはその両方において優位な溶出抑制を見いだすことができ、Pbについては埋立基準値を満足することができた。
さらに比較例9と実施例2を固化強度について比較すると、実施例2のほうが固化物の崩壊がみられず、良好な固化強度が得られていた。
焼却飛灰Aに市水のみ添加し処理した比較例11は、Pb、T-Crともに埋立基準値を満足していない。固化強度についても泥状となり測定不可能であった。焼却飛灰Aに水酸化アルミニウム(アルミニウム化合物1)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した実施例3は、比較例1~5に対し、PbもしくはT-Crにおいて、またはその両方において優位な溶出抑制を見いだすことができた。
焼却飛灰Bに市水のみ添加し処理した比較例1は、Pb、T-Crともに埋立基準値を満足していた。焼却飛灰Bに水酸化アルミニウム(アルミニウム化合物1)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した実施例4は、比較例19に対して優位な結果は見られ、Pbについては埋立基準値を満足することができた。
また、実施例3は比較例11~15、実施例4は比較例16~20と比較して固化強度が高く、崩壊は見られなかった。
焼却飛灰Cに水酸化アルミニウム(アルミニウム化合物1)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した後、最長31日間、大気開放下で養生した実施例5~10は、養生期間7日経過後から、Pbの埋立基準値を満足した。また7日以上経過した後も安定してPbの埋立基準値を満足しており、31日経過後には測定時の検出下限値未満となった。
焼却飛灰Aに水酸化アルミニウム(アルミニウム化合物1)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した後、最長31日間、大気開放下で養生した実施例11~16は、養生期間14日経過後から、Pbの埋立基準値を満足した。また14日以上経過した後も安定してPbの埋立基準値を満足しており、31日経過後には測定時の検出下限値未満となった。
焼却飛灰Aにポリ塩化アルミニウム(アルミニウム化合物2)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した後、最長31日間、大気開放下で養生した実施例17~22は、養生期間14日経過後から、Pbの埋立基準値を満足した。また14日以上経過した後も安定してPbの埋立基準値を満足しており、21日経過後には測定時の検出下限値未満となった。
焼却飛灰Cに3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した比較例21は、Pbの埋立基準値を満足していない。固化強度についても崩壊がみられ、固化強度は低かった。それに対し、焼却飛灰Cにカオリン(アルミニウム化合物3)、3号水ガラス(第1薬剤)、40質量%水酸化ナトリウム(第2薬剤)、市水を添加し処理した後、7日間、大気開放下で養生した実施例23~25はすべて、Pbの埋立基準値を満足した。さらに実施例23~25は、固化強度は良好な結果が得られた。
本発明は、焼却飛灰、土壌、スラッジ、汚泥などに含まれる重金属を不溶化して埋立処理を行う場合に有用である。また、本発明により得られた固化灰などの重金属不溶化処理物は、セメントやモルタル等の代替もしくは一部として再利用することができ、さらには、流動床炉内の流動砂として再利用することができる。
12 加湿水槽
14 飛灰貯槽
16 処理薬剤槽
20 混錬機
26 混錬灰貯槽
28 養生装置
30 混錬灰貯槽
14 飛灰貯槽
16 処理薬剤槽
20 混錬機
26 混錬灰貯槽
28 養生装置
30 混錬灰貯槽
Claims (10)
- 重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用薬剤キットであって、
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の双方を含まず、水ガラスを含む第1薬剤と、
アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方を含み、水ガラスは含まない第2薬剤と、
アルミニウム化合物と、
を有することを特徴とする重金属不溶化用薬剤キット。 - 混合対象となる前記重金属含有粉粒体が、Al2O3として換算して10質量%以下のアルミニウムを含むことを特徴とする請求項1に記載の重金属不溶化用薬剤キット。
- 前記アルミニウム化合物が、水酸化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、カオリナイト、ハロサイト、カオリン(白陶土)およびセメントからなる群から選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の重金属不溶化用薬剤キット。
- 前記アルカリ金属化合物が、苛性ソーダ、苛性カリウムおよび炭酸ソーダからなる群から選択され、
前記アルカリ土類金属化合物が、石灰、水酸化カルシウムおよびドロマイトからなる群から選択されることを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の重金属不溶化用薬剤キット。 - 混合対象となる前記重金属含有粉粒体が焼却飛灰であることを特徴とする請求項1~4の何れか一項に記載の重金属不溶化用薬剤キット。
- 重金属含有粉粒体と混合されて該重金属含有粉粒体中の重金属を不溶化させるための重金属不溶化用組成物であって、
水ガラスと、アルカリ金属化合物およびアルカリ土類金属化合物の少なくとも一方と、アルミニウム化合物と、を有することを特徴とする重金属不溶化用組成物。 - 請求項1~5の何れか一項に記載の第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物を、または請求項6に記載の重金属不溶化用組成物を重金属含有粉粒体に添加し、混錬することを特徴とする前記重金属含有粉粒体中の重金属の不溶化処理方法。
- 前記重金属含有粉粒体が焼却飛灰であり、
飛灰貯槽からの前記焼却飛灰と、処理薬剤槽からの薬剤とを混錬機で混錬する混錬工程を有し、
前記混錬機から混錬灰を得ることで前記焼却飛灰中の重金属を不溶化する処理方法であって、
前記薬剤が、請求項1~5の何れか一項に記載の第1薬剤、第2薬剤およびアルミニウム化合物であるか、または請求項6に記載の重金属不溶化用組成物であることを特徴とする焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法。 - 前記混錬工程において前記混錬機に加湿水槽からの加湿水を供給することを特徴とする請求項8に記載の焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法。
- 前記混錬工程で混錬された混錬灰を混錬灰貯槽に貯留する混錬灰貯留工程と、
前記混錬灰貯槽の混錬灰と、蒸気および熱の何れか一方又は双方とを養生装置に供給して養生して固化灰を得る養生工程と、
前記固化灰を固化灰貯槽に貯留する固化灰貯留工程と、
を有することを特徴とする請求項8または9に記載の焼却飛灰中の重金属の不溶化処理方法。
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JP2021039926A JP2022139506A (ja) | 2021-03-12 | 2021-03-12 | 重金属不溶化用薬剤キット、重金属不溶化用組成物およびそれらを用いた重金属の不溶化処理方法 |
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