以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。始めに、図1を参照して、本発明の一実施の形態に係る積層型電子部品(以下、単に電子部品と記す。)1の構成の概略について説明する。本実施の形態に係る電子部品1は、少なくともインダクタを含んでいる。図1には、インダクタを含む電子部品1の例として、バンドパスフィルタを示している。
電子部品1は、第1のポート2と、第2のポート3と、回路構成上第1のポート2と第2のポート3の間に設けられた複数の共振器とを備えている。複数の共振器は、回路構成上隣接する2つの共振器が電磁結合するように構成されている。複数の共振器の各々は、インダクタを含んでいる。
本実施の形態では、複数の共振器は、4つの共振器11,12,13,14である。共振器11は、回路構成上、第1のポート2に最も近い。共振器14は、回路構成上、第2のポート3に最も近い。共振器12,13は、回路構成上、共振器11と共振器14との間に配置されている。なお、本出願において、「回路構成上」という表現は、物理的な構成における配置ではなく、回路図上での配置を指すために用いている。
共振器11は、本発明における「第1の共振器」に対応する。共振器14は、本発明における「第2の共振器」に対応する。
以下、図1を参照して、バンドパスフィルタを含む電子部品1の回路構成の一例について説明する。図1には、電子部品1に含まれるバンドパスフィルタの構成要素を示している。電子部品1は、更に、インダクタL1,L2,L3,L4,L5,L6と、キャパシタC1,C2,C3,C4,C5,C6,C7,C8,C9,C10とを備えている。
インダクタL1の一端は、第1のポート2に接続されている。キャパシタC1は、インダクタL1の一端とインダクタL2の一端とを接続している。インダクタL4の一端は、第2のポート3に接続されている。キャパシタC2は、インダクタL3の一端とインダクタL4の一端とを接続している。インダクタL5は、インダクタL1~L4の各他端とグランドとを接続している。
キャパシタC3,C7の各一端は、インダクタL1の一端に接続されている。キャパシタC4,C8の各一端は、インダクタL2の一端に接続されている。キャパシタC5,C9の各一端は、インダクタL3の一端に接続されている。キャパシタC6,C10の各一端は、インダクタL4の一端に接続されている。インダクタL6は、キャパシタC3~C6の各他端とグランドとを接続している。キャパシタC7~C10の各他端は、互いに接続されている。
共振器11は、インダクタL1を含んでいる。共振器12は、インダクタL2を含んでいる。共振器13は、インダクタL3を含んでいる。共振器14は、インダクタL4を含んでいる。
次に、図2を参照して、電子部品1のその他の構成について説明する。図2は、電子部品1の外観を示す斜視図である。
電子部品1は、更に、積層された複数の誘電体層を含む積層体50を備えている。図1に示したバンドパスフィルタの構成要素は、積層体50に一体化されている。後述するように、バンドパスフィルタの構成要素は、積層体50に形成された複数の導体によって構成されている。
積層体50は、複数の誘電体層の積層方向Tの両端に位置する底面50Aおよび上面50Bと、底面50Aと上面50Bを接続する4つの側面50C~50Fとを有している。側面50C,50Dは互いに反対側を向き、側面50E,50Fも互いに反対側を向いている。側面50C~50Fは、上面50Bおよび底面50Aに対して垂直になっている。
ここで、図2に示したように、X方向、Y方向、Z方向を定義する。X方向、Y方向、Z方向は、互いに直交する。本実施の形態では、積層方向Tに平行な一方向を、Z方向とする。また、X方向とは反対の方向を-X方向とし、Y方向とは反対の方向を-Y方向とし、Z方向とは反対の方向を-Z方向とする。
図2に示したように、底面50Aは、積層体50における-Z方向の端に位置する。上面50Bは、積層体50におけるZ方向の端に位置する。底面50Aおよび上面50Bの各々の形状は、X方向に長い矩形形状である。側面50Cは、積層体50における-X方向の端に位置する。側面50Dは、積層体50におけるX方向の端に位置する。側面50Eは、積層体50における-Y方向の端に位置する。側面50Fは、積層体50におけるY方向の端に位置する。
電子部品1は、更に、積層体50の底面50Aに設けられた複数の端子111,112,113を備えている。端子111は、側面50Cの近傍においてY方向に延びている。端子112は、側面50Dの近傍においてY方向に延びている。端子113は、端子111と端子112の間に配置されている。
端子111は第1のポート2に対応し、端子112は第2のポート3に対応している。従って、第1および第2のポート2,3は、積層体50の底面50Aに設けられている。端子113は、グランドに接続される。
次に、図3ないし図6を参照して、積層体50を構成する複数の誘電体層の一例について説明する。この例では、積層体50は、積層された21層の誘電体層を有している。以下、この21層の誘電体層を、下から順に1層目ないし21層目の誘電体層と呼ぶ。また、1層目ないし21層目の誘電体層を符号51~71で表す。
図3(a)は、1層目の誘電体層51のパターン形成面を示している。誘電体層51のパターン形成面には、端子111,112,113が形成されている。また、誘電体層51には、2つのスルーホール51T1と、3つのスルーホール51T2と、スルーホール51T3,51T4と、2つのスルーホール51T11が形成されている。スルーホール51T1は、端子111に接続されている。スルーホール51T2~51T4は、端子113に接続されている。スルーホール51T11は、端子112に接続されている。
図3(b)は、2層目の誘電体層52のパターン形成面を示している。誘電体層52のパターン形成面には、導体層521,522,523,524が形成されている。導体層524は、導体層523に接続されている。また、誘電体層52には、2つのスルーホール52T1と、3つのスルーホール52T2と、2つのスルーホール52T11が形成されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T1と、スルーホール52T1は、導体層521に接続されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T2は、スルーホール52T2に接続されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T3は、導体層523に接続されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T4は、導体層524に接続されている。誘電体層51に形成されたスルーホール51T11と、スルーホール52T11は、導体層522に接続されている。
図3(c)は、3層目の誘電体層53のパターン形成面を示している。誘電体層53のパターン形成面には、導体層531,532,533,534,535,536,537が形成されている。導体層533は、導体層531に接続されている。導体層534は、導体層532に接続されている。また、誘電体層53には、2つのスルーホール53T1と、2つのスルーホール53T3と、スルーホール53T5,53T7,53T8と、2つのスルーホール53T9と、2つのスルーホール53T11と、スルーホール53T13,53T14が形成されている。誘電体層52に形成されたスルーホール52T1,52T11は、それぞれ、スルーホール53T1,53T11に接続されている。誘電体層52に形成されたスルーホール52T2と、スルーホール53T3,53T5,53T9は、導体層537に接続されている。スルーホール53T7,53T8,53T13,53T14は、それぞれ、導体層533,534,535,536に接続されている。
図4(a)は、4層目の誘電体層54のパターン形成面を示している。誘電体層54のパターン形成面には、導体層541が形成されている。誘電体層53に形成されたスルーホール53T13,53T14は、導体層541に接続されている。また、誘電体層54には、2つのスルーホール54T1と、2つのスルーホール54T3と、スルーホール54T5,54T7,54T8と、2つのスルーホール54T9と、2つのスルーホール54T11が形成されている。誘電体層53に形成されたスルーホール53T1,53T3,53T5,53T7,53T8,53T9,53T11は、それぞれ、スルーホール54T1,54T3,54T5,54T7,54T8,54T9,54T11に接続されている。
図4(b)は、5層目の誘電体層55のパターン形成面を示している。誘電体層55には、2つのスルーホール55T1と、2つのスルーホール55T3と、スルーホール55T5,55T7,55T8と、2つのスルーホール55T9と、2つのスルーホール55T11が形成されている。誘電体層54に形成されたスルーホール54T1,54T3,54T5,54T7,54T8,54T9,54T11は、それぞれ、スルーホール55T1,55T3,55T5,55T7,55T8,55T9,55T11に接続されている。
図4(c)は、6層目の誘電体層56のパターン形成面を示している。誘電体層56のパターン形成面には、接続用導体層561,562が形成されている。導体層561は、導体層561の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層562は、導体層562の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。
また、誘電体層56には、2つのスルーホール56T1と、2つのスルーホール56T2と、2つのスルーホール56T3と、2つのスルーホール56T4と、スルーホール56T5,56T7,56T8と、2つのスルーホール56T9と、2つのスルーホール56T10と、2つのスルーホール56T11と、2つのスルーホール56T12とが形成されている。誘電体層55に形成されたスルーホール55T1,55T3,55T5,55T7,55T8,55T9,55T11は、それぞれ、スルーホール56T1,56T3,56T5,56T7,56T8,56T9,56T11に接続されている。
スルーホール56T2は、導体層561の第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール56T4は、導体層561の第2端の近傍部分に接続されている。スルーホール56T10は、導体層562の第1端の近傍部分に接続されている。スルーホール56T12は、導体層562の第2端の近傍部分に接続されている。
図5(a)は、7層目の誘電体層57のパターン形成面を示している。誘電体層57のパターン形成面には、接続用導体層571,572と、導体層573が形成されている。導体層571は、導体層571の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。導体層572は、導体層572の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。
また、誘電体層57には、2つのスルーホール57T1と、2つのスルーホール57T2と、2つのスルーホール57T3と、2つのスルーホール57T4と、スルーホール57T5,57T6,57T7,57T8と、2つのスルーホール57T9と、2つのスルーホール57T10と、2つのスルーホール57T11と、2つのスルーホール57T12が形成されている。誘電体層56に形成されたスルーホール56T1,56T3,56T7,56T8,56T9,56T11は、それぞれ、スルーホール57T1,57T3,57T7,57T8,57T9,57T11に接続されている。
誘電体層56に形成されたスルーホール56T2と、スルーホール57T2は、導体層571の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層56に形成されたスルーホール56T4と、スルーホール57T4は、導体層571の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層56に形成されたスルーホール56T5と、スルーホール57T5,57T6は、導体層573に接続されている。誘電体層56に形成されたスルーホール56T10と、スルーホール57T10は、導体層572の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層56に形成されたスルーホール56T12と、スルーホール57T12は、導体層572の第2端の近傍部分に接続されている。
図5(b)は、8層目ないし17層目の誘電体層58~67の各々のパターン形成面を示している。誘電体層58~67の各々には、2つのスルーホール58T1と、2つのスルーホール58T2と、2つのスルーホール58T3と、2つのスルーホール58T4と、スルーホール58T5,58T6,58T7,58T8と、2つのスルーホール58T9と、2つのスルーホール58T10と、2つのスルーホール58T11と、2つのスルーホール58T12が形成されている。誘電体層57に形成されたスルーホール57T1~57T11は、それぞれ、誘電体層58に形成されたスルーホール58T1~58T11に接続されている。また、誘電体層58~67では、上下に隣接する同じ符号のスルーホール同士が互いに接続されている。
図5(c)は、18層目の誘電体層68のパターン形成面を示している。誘電体層68のパターン形成面には、インダクタ用導体層681,682,683,684,685,686が形成されている。インダクタ用導体層681,682,683,684,685,686の各々は、図5(c)における上下方向、すなわち図2に示したY方向に平行な方向に延在している。インダクタ用導体層681は、インダクタ用導体層681の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。なお、広端部は、相対的に幅が大きい端部であり、狭端部は、相対的に幅が小さい端部である。
インダクタ用導体層681と同様に、インダクタ用導体層682は、インダクタ用導体層682の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。インダクタ用導体層685は、インダクタ用導体層685の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。インダクタ用導体層686は、インダクタ用導体層686の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。
インダクタ用導体層683は、インダクタ用導体層683の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。インダクタ用導体層684は、インダクタ用導体層684の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。
また、誘電体層68には、2つのスルーホール68T1と、2つのスルーホール68T2と、2つのスルーホール68T3と、2つのスルーホール68T4と、スルーホール68T5,68T6,68T7,68T8と、2つのスルーホール68T9と、2つのスルーホール68T10と、2つのスルーホール68T11と、2つのスルーホール68T12が形成されている。
誘電体層67に形成されたスルーホール58T1と、スルーホール68T1は、インダクタ用導体層681の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T2と、スルーホール68T2は、インダクタ用導体層681の狭端部の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T3と、スルーホール68T3は、インダクタ用導体層682の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T4と、スルーホール68T4は、インダクタ用導体層682の狭端部の近傍部分に接続されている。
誘電体層67に形成されたスルーホール58T5と、スルーホール68T5は、インダクタ用導体層683の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T6と、スルーホール68T6は、インダクタ用導体層684の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T7と、スルーホール68T7は、インダクタ用導体層683の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T8と、スルーホール68T8は、インダクタ用導体層684の第2端の近傍部分に接続されている。
誘電体層67に形成されたスルーホール58T9と、スルーホール68T9は、インダクタ用導体層685の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T10と、スルーホール68T10は、インダクタ用導体層685の狭端部の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T11と、スルーホール68T11は、インダクタ用導体層686の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層67に形成されたスルーホール58T12と、スルーホール68T12は、インダクタ用導体層686の狭端部の近傍部分に接続されている。
図6(a)は、19層目の誘電体層69のパターン形成面を示している。誘電体層69のパターン形成面には、インダクタ用導体層691,692,693,694,695,696が形成されている。インダクタ用導体層691,692,693,694,695,696の各々は、図6(a)における上下方向、すなわち図2に示したY方向に平行な方向に延在している。インダクタ用導体層691は、インダクタ用導体層691の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。
インダクタ用導体層691と同様に、インダクタ用導体層692は、インダクタ用導体層692の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。インダクタ用導体層695は、インダクタ用導体層695の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。インダクタ用導体層696は、インダクタ用導体層696の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。
インダクタ用導体層693は、インダクタ用導体層693の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。インダクタ用導体層694は、インダクタ用導体層694の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。
また、誘電体層69には、2つのスルーホール69T1と、2つのスルーホール69T2と、2つのスルーホール69T3と、2つのスルーホール69T4と、スルーホール69T5,69T6,69T7,69T8と、2つのスルーホール69T9と、2つのスルーホール69T10と、2つのスルーホール69T11と、2つのスルーホール69T12が形成されている。
誘電体層68に形成されたスルーホール68T1と、スルーホール69T1は、インダクタ用導体層691の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T2と、スルーホール69T2は、インダクタ用導体層691の狭端部の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T3と、スルーホール69T3は、インダクタ用導体層692の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T4と、スルーホール69T4は、インダクタ用導体層692の狭端部の近傍部分に接続されている。
誘電体層68に形成されたスルーホール68T5と、スルーホール69T5は、インダクタ用導体層693の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T6と、スルーホール69T6は、インダクタ用導体層694の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T7と、スルーホール69T7は、インダクタ用導体層693の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T8と、スルーホール69T8は、インダクタ用導体層694の第2端の近傍部分に接続されている。
誘電体層68に形成されたスルーホール68T9と、スルーホール69T9は、インダクタ用導体層695の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T10と、スルーホール69T10は、インダクタ用導体層695の狭端部の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T11と、スルーホール69T11は、インダクタ用導体層696の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層68に形成されたスルーホール68T12と、スルーホール69T12は、インダクタ用導体層696の狭端部の近傍部分に接続されている。
図6(b)は、20層目の誘電体層70のパターン形成面を示している。誘電体層70のパターン形成面には、インダクタ用導体層701,702,703,704,705,706が形成されている。インダクタ用導体層701,702,703,704,705,706の各々は、図6(a)における上下方向、すなわち図2に示したY方向に平行な方向に延在している。インダクタ用導体層701は、インダクタ用導体層701の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。
インダクタ用導体層701と同様に、インダクタ用導体層702は、インダクタ用導体層702の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。インダクタ用導体層705は、インダクタ用導体層705の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。インダクタ用導体層706は、インダクタ用導体層706の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。
インダクタ用導体層703は、インダクタ用導体層703の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。インダクタ用導体層704は、インダクタ用導体層704の長手方向の両端に位置する第1端および第2端を有している。
誘電体層69に形成されたスルーホール69T1は、インダクタ用導体層701の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T2は、インダクタ用導体層701の狭端部の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T3は、インダクタ用導体層702の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T4は、インダクタ用導体層702の狭端部の近傍部分に接続されている。
誘電体層69に形成されたスルーホール69T5は、インダクタ用導体層703の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T6は、インダクタ用導体層704の第1端の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T7は、インダクタ用導体層703の第2端の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T8は、インダクタ用導体層704の第2端の近傍部分に接続されている。
誘電体層69に形成されたスルーホール69T9は、インダクタ用導体層705の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T10は、インダクタ用導体層705の狭端部の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T11は、インダクタ用導体層706の広端部の近傍部分に接続されている。誘電体層69に形成されたスルーホール69T12は、インダクタ用導体層706の狭端部の近傍部分に接続されている。
図6(c)は、21層目の誘電体層71のパターン形成面を示している。誘電体層71のパターン形成面には、導体層よりなるマーク711が形成されている。
図2に示した積層体50は、1層目の誘電体層51のパターン形成面が積層体50の底面50Aになり、21層目の誘電体層71のパターン形成面とは反対側の面が積層体50の上面50Bになるように、1層目ないし21層目の誘電体層51~71が積層されて構成される。
図7は、1層目ないし20層目の誘電体層51~71が積層されて構成された積層体50の内部を示している。図7に示したように、積層体50の内部では、図3ないし図6に示した複数の導体層と複数のスルーホールが積層されている。なお、図7では、マーク711を省略している。
以下、図1に示した電子部品1の回路の構成要素と、図3ないし図6に示した積層体50の内部の構成要素との対応関係について説明する。インダクタL1は、図3(c)ないし図6(b)に示した導体層561,571,681,682,691,692,701,702とスルーホール53T1,53T3,54T1,54T3,55T1,55T3,56T1~56T4,57T1~57T4,58T1~58T4,68T1~68T4,69T1~69T4によって構成されている。
インダクタL2は、図3(c)ないし図6(b)に示した導体層683,693,703とスルーホール53T7,54T7,55T7,56T7,57T5,57T7,58T5,58T7,68T5,68T7,69T5,69T7によって構成されている。
インダクタL3は、図3(c)ないし図6(b)に示した導体層684,694,704とスルーホール53T8,54T8,55T8,56T8,57T6,57T8,58T6,58T8,68T6,68T8,69T6,69T8によって構成されている。
インダクタL4は、図3(c)ないし図6(b)に示した導体層562,572,685,686,695,696,705,706とスルーホール53T9,53T11,54T9,54T11,55T9,55T11,56T9~56T12,57T9~57T12,58T9~58T12,68T9~68T12,69T9~69T12によって構成されている。
インダクタL5は、図3(a)および図3(b)に示したスルーホール51T2,52T2によって構成されている。インダクタL6は、図3(a)に示したスルーホール51T3,51T4によって構成されている。
キャパシタC1は、図3(b)および図3(c)に示した導体層521,531と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。キャパシタC2は、図3(b)および図3(c)に示した導体層522,532と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。
キャパシタC3は、図3(a)に示した端子111と、図3(c)に示した導体層537と、端子111と導体層537との間の誘電体層51,52とによって構成されている。キャパシタC4は、図3(b)および図3(c)に示した導体層523,533と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。キャパシタC5は、図3(b)および図3(c)に示した導体層524,534と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。キャパシタC6は、図3(a)に示した端子112と、図3(c)に示した導体層537と、端子112と導体層537との間の誘電体層51,52とによって構成されている。
キャパシタC7は、図3(b)および図3(c)に示した導体層521,535と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。キャパシタC8は、図3(c)および図4(a)に示した導体層533,541と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。キャパシタC9は、図3(c)および図4(a)に示した導体層534,541と、これらの導体層の間の誘電体層53とによって構成されている。キャパシタC10は、図3(b)および図3(c)に示した導体層522,536と、これらの導体層の間の誘電体層52とによって構成されている。
次に、図3ないし図8を参照して、本実施の形態に係る電子部品1の構造上の特徴について説明する。図8は、積層体50の内部の一部、具体的にはインダクタL1,L4を示す平面図である。始めに、インダクタL1について説明する。図8に示したように、インダクタL1は、第1のインダクタ構成部L1Aと、第2のインダクタ構成部L1Bと、接続用導体層561,571とによって構成されている。
第1のインダクタ構成部L1Aと第2のインダクタ構成部の各々は、複数の第1のスルーホール列と、複数の第2のスルーホール列とを含んでいる。複数の第1のスルーホール列は、2つ以上の第1のスルーホールが直列に接続されることによって構成される。複数の第2のスルーホール列は、2つ以上の第2のスルーホールが直列に接続されることによって構成される。第1および第2のインダクタ構成部L1A,L1Bの各々において、複数の第1のスルーホール列の数と、複数の第2のスルーホール列の数は、同じである。
第1のインダクタ構成部L1Aと第2のインダクタ構成部L1Bの各々において、複数の第1のスルーホール列は、誘電体層51~71の積層方向Tに直交する一方向に並んでいる。複数の第2のスルーホール列は、誘電体層51~71の積層方向Tに直交する他の一方向に並んでいる。本実施の形態では、複数の第1のスルーホール列は、第1のインダクタ構成部L1Aと第2のインダクタ構成部L1Bのいずれにおいても、第1の方向に並んでいる。また、本実施の形態では、複数の第2のスルーホール列は、第1のインダクタ構成部L1Aと第2のインダクタ構成部L1Bのいずれにおいても、第1の方向と交差する第2の方向に並んでいる。第1の方向と第2の方向は、互いに直交してもよい。本実施の形態では、第1の方向と第2の方向の一方は、インダクタ用導体層の長手方向(図5(c)ないし図6(b)における上下方向)すなわちY方向に平行であり、第1の方向と第2の方向の他方は、インダクタ用導体層の短手方向(図5(c)ないし図6(b)における左右方向)すなわちX方向に平行である。
本実施の形態では、第1のインダクタ構成部L1Aの複数の第1のスルーホール列は、2つの第1のスルーホール列T1a,T1bであり、第1のインダクタ構成部L1Aの複数の第2のスルーホール列は、2つの第2のスルーホール列T2a,T2bである。第1のインダクタ構成部L1Aでは、スルーホール52T1,53T1,54T1,55T1,56T1,57T1,58T1,68T1,69T1のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第1のスルーホール列T1a,T1bが構成される。また、第1のインダクタ構成部L1Aでは、スルーホール56T2,57T2,58T2,68T2,69T2のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第2のスルーホール列T2a,T2bが構成される。図8に示したように、2つの第1のスルーホール列T1a,T1bは、X方向に平行な方向に並んでいる。2つの第2のスルーホール列T2a,T2bは、Y方向に平行な方向に並んでいる。
また、本実施の形態では、第2のインダクタ構成部L1Bの複数の第1のスルーホール列は、2つの第1のスルーホール列T3a,T3bであり、第2のインダクタ構成部L1Bの複数の第2のスルーホール列は、2つの第2のスルーホール列T4a,T4bである。第2のインダクタ構成部L1Bでは、スルーホール53T3,54T3,55T3,56T3,57T3,58T3,68T3,69T3のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第1のスルーホール列T3a,T3bが構成される。また、第2のインダクタ構成部L1Bでは、スルーホール56T4,57T4,58T4,68T4,69T4のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第2のスルーホール列T4a,T4bが構成される。図8に示したように、2つの第1のスルーホール列T3a,T3bは、X方向に平行な方向に並んでいる。2つの第2のスルーホール列T4a,T4bは、Y方向に平行な方向に並んでいる。
第1のインダクタ構成部L1Aは、更に、インダクタ用導体層681,691,701を含んでいる。第2のインダクタ構成部L1Bは、更に、インダクタ用導体層682,692,702を含んでいる。インダクタ用導体層681,682,691,692,701,702の各々は、広端部を含む幅広部と、狭端部を含む細幅部と、細幅部と幅広部との間に介在する幅変化部分を含んでいる。図5(c)ないし図6(b)、図8では、幅広部と幅変化部分との境界と細幅部と幅変化部分との境界を、それぞれ点線で示している。図6(b)において、符号701a,701b,701cは、それぞれ、インダクタ用導体層701の幅広部、細幅部および幅変化部分を示している。符号702a,702b,702cは、それぞれ、インダクタ用導体層702の幅広部、細幅部および幅変化部分を示している。
ここで、インダクタ用導体層の短手方向すなわち図8に示したX方向に平行な方向における幅広部、細幅部および幅変化部分の各々の寸法を、幅と言う。インダクタ用導体層681,682,691,692,701,702の各々において、細幅部の幅は、幅広部の幅よりも小さい。また、インダクタ用導体層681,682,691,692,701,702の各々において、幅変化部分の幅は、細幅部から遠ざかるに従って大きくなる。インダクタ用導体層681,682,691,692,701,702の各々において、細幅部および幅広部の各々の幅は、幅変化部分からの距離によらずに一定であってもよい。あるいは、細幅部および幅広部の各々の少なくとも一部の幅は、幅変化部分からの距離に応じて変化してもよい。
インダクタ用導体層681,691,701の各々の幅広部と、インダクタ用導体層682,692,702の各々の細幅部は、所定の間隔を開けて隣接している。インダクタ用導体層681,691,701の各々の細幅部と、インダクタ用導体層682,692,702の各々の幅広部は、所定の間隔を開けて隣接している。
幅広部と細幅部の一方には、複数の第1のスルーホール列が接続され、幅広部と細幅部の他方には、複数の第2のスルーホール列が接続される。第1のインダクタ構成部L1Aでは、2つの第1のスルーホール列T1a,T1bは、インダクタ用導体層681,691,701の各々の幅広部に接続され、2つの第2のスルーホール列T2a,T2bは、インダクタ用導体層681,691,701の各々の細幅部に接続されている。第2のインダクタ構成部L1Bでは、2つの第1のスルーホール列T3a,T3bは、インダクタ用導体層682,692,702の各々の幅広部に接続され、2つの第2のスルーホール列T4a,T4bは、インダクタ用導体層682,692,702の各々の細幅部に接続されている。
接続用導体層561,571は、第1のインダクタ構成部L1Aの複数の第2のスルーホール列T2a,T2bのインダクタ用導体層681,691,701から離れた複数の部分と、第2のインダクタ構成部L1Bの複数の第2のスルーホール列T4a,T4bのインダクタ用導体層682,692,702から離れた複数の部分とを接続している。
次に、インダクタL4について説明する。インダクタL4の構造上の特徴は、インダクタL4を構成する導体層およびスルーホールがインダクタL1とは異なる点を除いて、インダクタL1の構造上の特徴と同じである。以下、インダクタL4の構造について説明する。図8に示したように、インダクタL4は、第1のインダクタ構成部L4Aと、第2のインダクタ構成部L4Bと、接続用導体層562,572とによって構成されている。
第1のインダクタ構成部L4Aは、2つの第1のスルーホール列T11a,T11bと、2つの第2のスルーホール列T12a,T12bとを含んでいる。第1のインダクタ構成部L4Aでは、スルーホール52T11,53T11,54T11,55T11,56T11,57T11,58T11,68T11,69T11のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第1のスルーホール列T11a,T11bが構成される。また、第1のインダクタ構成部L4Aでは、スルーホール56T12,57T12,58T12,68T12,69T12のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第2のスルーホール列T12a,T12bが構成される。図8に示したように、2つの第1のスルーホール列T11a,T11bは、X方向に平行な方向に並んでいる。2つの第2のスルーホール列T12a,T12bは、Y方向に平行な方向に並んでいる。
第2のインダクタ構成部L4Bは、2つの第1のスルーホール列T9a,T9bと、2つの第2のスルーホール列T10a,T10bを含んでいる。第2のインダクタ構成部L4Bでは、スルーホール53T9,54T9,55T9,56T9,57T9,58T9,68T9,69T9のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第1のスルーホール列T9a,T9bが構成される。また、第2のインダクタ構成部L4Bでは、スルーホール56T10,57T10,58T10,68T10,69T10のうち、上下に隣接するスルーホール同士が互いに接続されることによって、2つの第2のスルーホール列T10a,T10bが構成される。図8に示したように、2つの第1のスルーホール列T9a,T9bは、X方向に平行な方向に並んでいる。2つの第2のスルーホール列T10a,T10bは、Y方向に平行な方向に並んでいる。
第1のインダクタ構成部L4Aは、更に、インダクタ用導体層686,696,706を含んでいる。第2のインダクタ構成部L4Bは、更に、インダクタ用導体層685,695,705を含んでいる。インダクタ用導体層685,686,695,696,705,706の各々は、広端部を含む幅広部と、狭端部を含む細幅部と、細幅部と幅広部との間に介在する幅変化部分を含んでいる。図6(b)において、符号705a,705b,705cは、それぞれ、インダクタ用導体層705の幅広部、細幅部および幅変化部分を示している。符号706a,706b,706cは、それぞれ、インダクタ用導体層706の幅広部、細幅部および幅変化部分を示している。
インダクタ用導体層685,695,705の各々の幅広部と、インダクタ用導体層686,696,706の各々の細幅部は、所定の間隔を開けて隣接している。インダクタ用導体層685,695,705の各々の細幅部と、インダクタ用導体層686,696,706の各々の幅広部は、所定の間隔を開けて隣接している。
第1のインダクタ構成部L4Aでは、2つの第1のスルーホール列T11a,T11bは、インダクタ用導体層686,696,706の各々の幅広部に接続され、2つの第2のスルーホール列T12a,T12bは、インダクタ用導体層686,696,706の各々の細幅部に接続されている。第2のインダクタ構成部L4Bでは、2つの第1のスルーホール列T9a,T9bは、インダクタ用導体層685,695,705の各々の幅広部に接続され、2つの第2のスルーホール列T10a,T10bは、インダクタ用導体層685,695,705の各々の細幅部に接続されている。
接続用導体層562,572は、第1のインダクタ構成部L4Aの複数の第2のスルーホール列T12a,T12bのインダクタ用導体層686,696,706から離れた複数の部分と、第2のインダクタ構成部L4Bの複数の第2のスルーホール列T10a,T10bのインダクタ用導体層685,695,705から離れた複数の部分とを接続している。
次に、本実施の形態に係る電子部品1の特性の一例を示す。図9は、電子部品1の通過減衰特性の一例を示す特性図である。図10は、電子部品1の第1のポート2の反射減衰特性の一例を示す特性図である。図11は、電子部品1の第2のポート3の反射減衰特性の一例を示す特性図である。図9ないし図11において、横軸は周波数を示し、縦軸は減衰量を示している。
次に、本実施の形態に係る電子部品1の作用および効果について説明する。本実施の形態に係る電子部品1は、積層された複数の誘電体層51~71を含む積層体50と、積層体50に一体化された第1および第2のインダクタ構成部L1A,L1Bと、積層体50の内部において第1のインダクタ構成部L1Aと第2のインダクタ構成部L1Bとを接続する接続用導体層561,571とを備えている。第1および第2のインダクタ構成部L1A,L1Bと接続用導体層561,571は、1つのインダクタL1を構成する。なお、1つのインダクタとは、回路図上で1つのインダクタとして表されるインダクタを意味する。1つのインダクタの一端と他端の間には、分岐点は存在しない。
本実施の形態では、インダクタL1は、X方向に平行な軸の周りに約2回巻かれている。これにより、本実施の形態によれば、インダクタL1のインダクタンスを大きくすることができる。
また、本実施の形態では、第1のインダクタ構成部L1Aのインダクタ用導体層681,691,701の各々の幅広部と、第2のインダクタ構成部L1Bのインダクタ用導体層682,692,702の各々の細幅部は、所定の間隔を開けて隣接している。また、第1のインダクタ構成部L1Aのインダクタ用導体層681,691,701の各々の細幅部と、第2のインダクタ構成部L1Bのインダクタ用導体層682,692,702の各々の幅広部は、所定の間隔を開けて隣接している。これにより、本実施の形態によれば、インダクタL1の配置スペースを小さくすることができる。
また、第1のインダクタ構成部L1Aでは、2つの第1のスルーホール列T1a,T1bは、インダクタ用導体層681,691,701の各々の幅広部に接続され、2つの第2のスルーホール列T2a,T2bは、インダクタ用導体層681,691,701の各々の細幅部に接続されている。第2のインダクタ構成部L1Bでは、2つの第1のスルーホール列T3a,T3bは、インダクタ用導体層682,692,702の各々の幅広部に接続され、2つの第2のスルーホール列T4a,T4bは、インダクタ用導体層682,692,702の各々の細幅部に接続されている。このように、本実施の形態では、インダクタ用導体層681,691,701の各々の細幅部に接続されるスルーホール列の数を、インダクタ用導体層681,691,701の各々の幅広部に接続されるスルーホール列の数と同じにすると共に、インダクタ用導体層682,692,702の各々の細幅部に接続されるスルーホール列の数を、インダクタ用導体層682,692,702の各々の幅広部に接続されるスルーホール列の数と同じにしている。これにより、本実施の形態によれば、細幅部に接続されるスルーホール列の数が幅広部に接続されるスルーホール列の数よりも少ない場合に比べて、インダクタL1のQ値を大きくすることができる。
なお、積層体50は、例えば低温同時焼成法によって作製される。一般的に、誘電体層を構成する誘電体材料とスルーホールを構成する導電材料とでは、焼成時における収縮率が異なる。細幅部と幅広部の一方に接続されるスルーホール列の数が、細幅部と幅広部の他方に接続されるスルーホール列の数よりも多い場合、スルーホールの分布が一方に偏ってしまう。この場合、意図しない内部応力が焼成後の誘電体層に発生し、所望の特性を得ることが難しくなる。そのため、本実施の形態では、細幅部に接続されるスルーホール列の数と、幅広部に接続されるスルーホール列の数を同じにして、意図しない内部応力の発生を抑制している。
上記のインダクタL1についての説明は、インダクタL4にも当てはまる。
以上のことから、本実施の形態によれば、良好な特性を有しながら電子部品1の小型化に適したインダクタL1,L4を実現することができる。
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々の変更が可能である。例えば、本発明の電子部品は、バンドパスフィルタに代わりに、あるいはバンドパスフィルタに加えて、バンドパスフィルタ以外のフィルタを備えた電子部品であってもよい。後者の場合、バンドパスフィルタ以外のフィルタは、本発明のインダクタを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
また、請求の範囲の要件を満たす限り、インダクタ用導体層の平面形状(上方から見た形状)は、実施の形態に示した例に限られず、任意である。例えば、インダクタ用導体層の平面形状は、L字形状であってもよい。
また、第1のスルーホール列と第2のスルーホール列は、それぞれ、インダクタ用導体層の長手方向または短手方向と交差する方向に並んでいてもよい。また、第1および第2のスルーホール列の数は、3つ以上であってもよい。
図6(b)は、20層目の誘電体層70のパターン形成面を示している。誘電体層70のパターン形成面には、インダクタ用導体層701,702,703,704,705,706が形成されている。インダクタ用導体層701,702,703,704,705,706の各々は、図6(b)における上下方向、すなわち図2に示したY方向に平行な方向に延在している。インダクタ用導体層701は、インダクタ用導体層701の長手方向の両端に位置する広端部および狭端部を有している。