JP2022138765A - 容器詰飲料 - Google Patents

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Makoto Koseki
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Abstract

【課題】 外観の劣化を抑制すると共に、味覚を良好に維持できる容器詰飲料を提供すること。【解決手段】 0.1ppm~1000ppmの環状テアニンを含有することを特徴とする容器詰飲料によって達成される。このとき、飲料が、果汁成分含有飲料、コーヒー成分含有飲料及び茶成分含有飲料からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましく、飲料のpHが、2.0~8.6であることが好ましい。また、容器が、スチール缶、アルミ缶及びペットボトルからなる群から選択されるうちの一つであることが好ましい。【選択図】 図7

Description

本発明は、容器詰飲料に関する。
ペットボトルやアルミ缶などの容器に詰められた飲料の取引が多く行われている。このような容器詰飲料については、飲料を容器に詰めた後、加熱滅菌処理を行い、飲用までの間に比較的長期間に渡って保存される。保存中に成分が劣化したり、外観が変化したり、風味や味覚が低減してしまうことがある。
そこで、容器詰飲料を良好に保存するための研究開発が行われている(特許文献1,2)。
特開2018-023363号公報 特開2017-035087号公報
特許文献1は、クロロゲン酸類の保存安定性に優れ、風味の良好な容器詰飲料に関するものであり、タンニン、クロロゲン酸類及びカフェインを所定の割合で含有するものである。特許文献2は、ケルセチン配糖体の安定性が良好な容器詰飲料に関するものであり、所定量のアスコルビン酸とケルセチン配糖体を含有し、pHを5.6~6.4とするものである。
しかしながら、飲料の種類やpHによっては、安定した容器詰飲料を提供することが難しく、更なる研究開発の余地が残されていた。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、外観の劣化を抑制すると共に、味覚を良好に維持できる容器詰飲料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために鋭意検討した結果、所定量の環状テアニンを含有することにより、容器詰飲料を安定して維持できることを見出し、基本的には本発明を完成するに至った。
こうして、本願発明に係る容器詰飲料は、0.1ppm~1000ppmの環状テアニンを含有することを特徴とする。
環状テアニンとは、3-Amino-l-ethyl glutarimideのことを意味しており、化学式1に示す構造を有する。
Figure 2022138765000002
前記飲料が、果葉汁成分含有飲料、コーヒー成分含有飲料及び茶成分含有飲料からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
前記飲料のpHが、2.0~8.6であることが好ましい。
前記容器が、スチール缶、アルミ缶及びペットボトルからなる群から選択されるうちの一つであることが好ましい。
果葉汁成分とは、果汁または葉汁に含まれる成分の全部または一部を意味する。本発明の飲料においては、果葉汁成分を少なくとも0.1%以上(好ましくは1%以上、更に好ましくは5%以上)含むことが好ましい。果葉汁とは、果汁または葉汁を意味する。果汁とは、果物を絞って得られた汁(ジュース)のことを、葉汁とは、植物の葉を絞ったり、ミキサーなどにかけて得られた汁のことを、それぞれ意味する。本発明の飲料に使用される果葉汁としては、特に限定されるものではないが、例えばリンゴ、ナシ、オレンジ、レモン、ブドウ、グレープフルーツ、アセロラ、モモ、ザクロ、ブルーベリー、イチゴ、スイカ、プルーン、バナナ、パイナップル、マンゴー、トマト、アムラ、人参、セロリ、パッションフルーツ、うめ、キウイフルーツ、カムカム、カシス、ざくろ、クランベリー、ラズベリー、ローズヒップ、ライチ、西洋なし、あんず、タンカン、デコポン、ライム、ゆず、プルーン、うんしゅうみかん、さくらんぼ、アサイー、ケール、ブロッコリー、ほうれん草、アスパラガス、クレソン、パセリ、かぼちゃ、レタス、キャベツ、ビート、だいこん、はくさい、セロリ、しそ、しょうが、ピーマン、あしたば、チンゲンサイ、小松菜、とうもろこし、ごぼう、グリーンピース、いも、たまねぎ、カリフラワー、なすなどが含まれる。これらの果葉汁は、単独で用いても良いし、複数のものを混合して用いても良い。
コーヒー成分とは、コーヒー豆の抽出液または抽出乾燥物の中に含まれる成分の全部または一部を意味する。コーヒー成分としては、特に限定されるものではないが、例えばクロロゲン酸(ポリフェノール)、カフェイン、トリゴネリン、脂肪酸類などが含まれる。特定の成分(例えばカフェイン)を除いたコーヒー成分(脱カフェインコーヒー)を用いることができる。
茶成分とは、茶葉の抽出液中に含まれる成分の全部または一部を意味する。茶成分としては、特に限定されるものではないが、例えばカテキン類、カフェイン、アミノ酸、ビタミン、サポニンなどが含まれる。特定の成分を除いた茶成分を用いることができる。そのような例として、脱カフェイン茶、脱カテキン茶などが例示される。
本発明によれば、外観の劣化を抑制すると共に、味覚を良好に維持できる容器詰飲料を提供できる。
酸性果汁飲料の「おいしさ」を評価した結果を示すグラフである。 酸性果汁飲料の「調和度」を評価した結果を示すグラフである。 酸性果汁飲料の「甘さ」を評価した結果を示すグラフである。 酸性果汁飲料の「酸っぱさ」を評価した結果を示すグラフである。 酸性果汁飲料の「苦さ」を評価した結果を示すグラフである。 酸性果汁飲料の「外観」を評価した結果を示すグラフである。 酸性果汁飲料を総合的に評価した結果を示すグラフである。 中性飲料の「おいしさ」を評価した結果を示すグラフである。 中性飲料の「調和度」を評価した結果を示すグラフである。 中性飲料の「甘さ」を評価した結果を示すグラフである。 中性飲料の「酸っぱさ」を評価した結果を示すグラフである。 中性飲料の「苦さ」を評価した結果を示すグラフである。 中性飲料の「外観」を評価した結果を示すグラフである。 中性飲料を総合的に評価した結果を示すグラフである。 緑茶飲料の「おいしさ」を評価した結果を示すグラフである。 緑茶飲料の「うまみ」を評価した結果を示すグラフである。 緑茶飲料の「苦さ」を評価した結果を示すグラフである。 緑茶飲料の「外観」を評価した結果を示すグラフである。 緑茶飲料を総合的に評価した結果を示すグラフである。 紅茶飲料の「おいしさ」を評価した結果を示すグラフである。 紅茶飲料の「苦さ」を評価した結果を示すグラフである。 紅茶飲料の「外観」を評価した結果を示すグラフである。 紅茶飲料を総合的に評価した結果を示すグラフである。
次に、本発明の実施形態について、図表を参照しつつ説明する。本発明の技術的範囲は、これらの実施形態によって限定されるものではなく、発明の要旨を変更することなく様々な形態で実施できる。
<酸性飲料の製造と評価>
1.果汁飲料の製造
果汁飲料のベース飲料を下記の通りに作成した。
69.71kgのイオン交換水に10.04kgの果糖ブドウ糖液糖、20.00kgの100%果汁(イチゴ果汁)、0.15kgのクエン酸(結晶)、0.06kgのクエン酸三ナトリウム、0.04kgのビタミンCを溶解し、1gのイチゴ香料と1gの赤色色素を添加し、100kgのベース飲料を得た。
このベース飲料に環状テアニンを0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmとなるように溶解し、93℃達温にて殺菌を行い、250ml容量用透明ペットボトルに250mlを充填後、密封して酸性果汁飲料を作成した。果汁飲料のpHを測定したところ、pH2.3~4.0の範囲であった。それぞれの飲料は、冷暗所(4℃)と室温明所(10,000lux、37℃)で7日間保管し官能評価を行った。
2.果汁飲料の官能評価
実験協力者:男性6名(平均年齢40.3歳)、女住6名(平均年齢33.5歳)の合計12名において評価を行った。
評価の手続き:実施例の飲料の評価は、おいしさ、調和度、甘さ、酸っぱさ、苦さ、外観の6項目について、ビジュアルアナログスケールにより評価した。調和度とは果汁飲料の酸味、苦味、甘み、辛味、鹹味(かん未)の五味のバランスを意味する。おいしさ、調和度および外観は「悪い」を「0」、「大変良い」を「10」で、甘さは「弱い」を「0」、「強い」を「10」で、酸っぱさおよび苦さは「強い」を「0」、「弱い」を「10」で評定した。
図1に示すように「おいしさ」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件ではスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを0.1ppm以上含有すると酸性果汁飲料のおいしさの劣化が抑えられることが確認され、0.1ppm含有では冷暗所条件よりも風味は劣化するものの、無含有に比べ劣化を抑えられるという結果であった。以上の結果より、環状テアニンには酸性飲料の安定性を維持することが確認された。
図2に示すように「調和度」の項目については、環状テアニン無含有および0.1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件において「調和度」のスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを1ppm含有すると酸性果汁飲料の調和度の低下が抑えられることが確認され、環状テアニンには酸性飲料の安定性を維持することが確認された。
図3に示すように「甘さ」の項目については、冷暗所と室温明所といった保存時条件および環状テアニンの含有や無含有の条件でスコアの差は認められなかった。このことは、該酸性果汁飲料は甘味度が高いために差が見られなかったと考えられた。
図4に示すように「酸っぱさ」の項目については、冷暗所条件および室温明所条件共に環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmにおいてスコアが有意に高かった。以上の結果より、環状テアニンは、酸性果汁飲料の酸味を抑えることが確認された。
図5に示すように「苦さ」の項目については、室温明所条件の環状テアニンを1000ppm含有においてスコアが有意に高かった。冷暗所と室温明所といった保存時条件および環状テアニンの含有や無含有の条件でスコアの差は認められなかった。以上の結果より、酸性果汁飲料では甘味度が高く、苦味を感じにくかったために差が見られなかったと考えられた。
図6に示すように「外観」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件では色素の退色や変色が認められておりスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm以上含有すると酸性果汁飲料の外観の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには酸性飲料の安定性を維持することが確認された。
次に、「おいしさ」「調和度」「甘さ」「酸っぱさ」「苦さ」「外観」のスコアを平均し総合的に評価した結果を図7に示した。環状テアニン無含有および0.1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件においてスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを1ppm含有すると酸性果汁飲料の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには酸性飲料の安定性を維持することが確認された。
<中性飲料の製造と評価>
1.中性飲料の製造
カフェオレ飲料のベース飲料を下記成分量に従って作成した。
コーヒー固形 0.75質量%
砂糖 5.5質量%
全脂粉乳 2.2質量%
重曹 0.08質量%
ショ糖脂肪酸エステル(P-1670) 0.05質量%
乳化剤(サンソフトGB) 0.05質量%
乳風味香料 0.1質量%
水 91.27質量%
合計 100.00質量%
90℃以上の水91.27kgに粉末コーヒー豆1.6kg、重曹0.08kg、砂糖5.5kg、全脂粉乳2.2kgを添加し、調整液Aとした。これとは別に、水5kgにショ糖脂肪酸エステル(P-1670)0.05kgを溶解したものと、水5kgに乳化剤(サンソフトGB)0.05kgを溶解したものを用意し、これらを先の調整液Aに添加し、攪拌溶解した。粉末コーヒー豆をメッシュろ過により除去し、乳風味香料を0.1kg添加しホモジナイザーで均質化し、100kgの中性カフェオレ飲料のベース飲料を得た。このベース飲料に環状テアニンを0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmとなるように溶解し、180ml容量用スチール缶容器に180mlを分注密閉後、レトルト殺菌(121℃、30分間)してカフェオレ飲料を作成した。カフェオレ飲料のpHを測定したところ、pH6.5~7.9の範囲であった。それぞれの飲料は、冷暗所(4℃)と室温明所(40℃)で7日間保管し官能評価を行った。
2.中性飲料の官能評価
実験協力者:男性6名(平均年齢40.3歳)、女住6名(平均年齢33.5歳)の合計12名において評価を行った。
評価の手続き:実施例の飲料の評価は、おいしさ、調和度、甘さ、酸っぱさ、苦さ(えぐみも含む)、開封した中身の外観の6項目について、ビジュアルアナログスケールにより評価した。調和度とはカフェオレ飲料の酸味、苦味、甘み、辛味、鹹味(かん未)の五味のバランスを意味する。おいしさ、調和度および外観は「悪い」を「0」、「大変良い」を「10」で、甘さは「弱い」を「0」、「強い」を「10」で、酸っぱさとえぐみは「強い」を「0」、「弱い」を「10」で評定した。
図8に示すように「おいしさ」の項目については、環状テアニン無含有および0.1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件ではスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを0.1ppm以上含有すると中性カフェオレ飲料のおいしさの劣化が抑えられることが確認され、0.1ppm含有では冷暗所条件よりも風味は劣化するものの、無含有に比べ劣化を抑えられるという結果であった。環状テアニンには中性飲料の安定性を維持することが確認された。
図9に示すように「調和度」の項目については、環状テアニン無含有および0.1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件において「調和度」のスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを1ppm含有すると中性カフェオレ飲料の調和度の低下が抑えられることが確認され、環状テアニンには中性飲料の安定性を維持することが確認された。
図10に示すように「甘さ」の項目については、冷暗所と室温明所といった保存時条件および環状テアニンの含有や無含有の条件でスコアの差は認められなかった。一方、環状テアニン1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。冷暗所条件においては環状テアニン無含有に比べ1000ppm含有で有意にスコアが高かった。以上の結果より、室温明所条件では環状テアニン無含有に比べ100ppm、1000ppm含有で有意にスコアが高かった。環状テアニンの含有は中性カフェオレの甘さを強め、中性飲料の甘みを強める作用が確認された。
図11に示すように「酸っぱさ」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppm、1ppm、10ppm、および100ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件において「酸っぱさ」のスコアが有意に低くなっていた。一方、環状テアニン1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。冷暗所条件においては環状テアニン無含有に比べ1000ppm含有で有意にスコアが高かった。以上の結果より、保管において中性カフェオレ飲料の劣化に伴う酸っぱさの増加が認められたが、環状テアニンを1000ppm含有することにより酸っぱさの増強が抑えられることが確認され、環状テアニンには中性飲料の安定性を維持することが確認された。
図12に示すように、えぐみを伴う「苦さ」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件ではスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm以上含有すると中性カフェオレ飲料のえぐみを伴う苦味の増強が抑えられることが確認され、環状テアニンには中性飲料の安定性を維持することが確認された。
図13に示すように「外観」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件では乳脂の分離や変色が認められスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm以上含有すると中性カフェオレ飲料の外観の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには中性飲料の安定性を維持することが確認された。
次に、「おいしさ」「調和度」「甘さ」「酸っぱさ」「苦さ」「外観」のスコアを平均し総合的に評価した結果を図14に示した。環状テアニン無含有で冷暗所条件に比較し室温明所条件においてスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン0.1ppm、1ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmにおいて有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを1ppm含有すると中性カフェオレ飲料の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには中性飲料の安定性を維持することが確認された。
<緑茶飲料の製造と評価>
1.緑茶飲料の製造
次に示す方法によって、緑茶飲料のベース飲料を作成した。
43kgのイオン交換水に1kgの乾燥緑茶茶葉(煎茶 やぶきた種:鈴鹿市)、0.01kgのビタミンCを攪拌しながら85℃まで昇温し、20分間保持した後、約55℃まで冷却してメッシュにより茶葉を除去し、40kgの緑茶葉抽出物ベース飲料を得た。この緑茶飲料のベース飲料に環状テアニンを0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmとなるように溶解し、茶抽出物は141℃3秒のプレート殺菌後、80℃まで急速冷却して、250ml容量用透明ペットボトルに250mlを充填密封した。緑茶飲料のpHを測定したところ、pH5.5~6.5の範囲であった。それぞれの飲料は、冷暗所(4℃)と室温明所(10,000lux、37℃)で7日間保管し官能評価を行った。
2.緑茶飲料の官能評価
実験協力者:男性6名(平均年齢40.3歳)、女住6名(平均年齢33.5歳)の合計12名において評価を行った。
評価の手続き:実施例の飲料の評価は、おいしさ、苦さ(渋みも含む)、うまみ、外観の4項目について、ビジュアルアナログスケールにより評価した。おいしさ、調和度および外観は「悪い」を「0」、「大変良い」を「10」で、苦さは「強い」を「0」、「弱い」を「10」で、うまみは「強い」を「0」、「弱い」を「10」で評定した。
図15に示すように「おいしさ」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件ではスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm含有すると緑茶飲料の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには緑茶飲料の安定性を維持することが確認された。
図16に示すように、「うまみ」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件において「うまみ」のスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを1ppm含有すると緑茶飲料のうまみの低下が抑えられることが確認され、環状テアニンには緑茶飲料の安定性を維持することが確認された。また。冷暗所条件において環状テアニン無含有に比較し環状テアニンを含有してもスコアの差異は認められなかった。環状テアニンはうまみに寄与するという知見があるが、該評価では認められなかった。環状テアニンの緑茶飲料の安定性を維持する作用は環状テアニンが持つうまみの作用ではないことが認められた。
図17に示すように「苦さ」の項目については、環状テアニン無含有および0.1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件において「苦さ」のスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm含有すると緑茶飲料の渋みや苦みの増強が抑えられることが確認され、環状テアニンには緑茶飲料の安定性を維持することが確認された。また。冷暗所条件において環状テアニン無含有に比較し環状テアニンを含有してもスコアの差異は認められなかった。環状テアニンは苦味や渋みが強いという知見があるが、この評価では認められなかった。環状テアニンの緑茶飲料の安定性を維持する作用は環状テアニンが持つ渋み、苦味の作用ではないことが認められた。
図18に示すように「外観」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件では緑茶飲料の変色が認められスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm以上含有すると緑茶飲料の外観の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには緑茶飲料の安定性を維持することが確認された。
次に、「おいしさ」「調和度」「甘さ」「酸っぱさ」「苦さ」「外観」のスコアを平均し総合的に評価した結果を図19に示した。環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件においてスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm含有すると酸性果汁飲料の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには酸性飲料の安定性を維持することが確認された。
<紅茶飲料の製造と評価>
1.紅茶飲料の製造
次に示す方法によって、紅茶飲料のベース飲料を作成した。
50kgのイオン交換水に1kgの乾燥紅茶葉(セイロン紅茶)を攪拌しながら90℃まで昇温し、20分間保持した後、約55℃まで冷却してメッシュにより茶葉を除去し、42kgのベース飲料を得た。このベース飲料に環状テアニンを0.1ppm、1ppm、10ppm、100ppm、1000ppmとなるように溶解し、紅茶抽出物は180ml容量用アルミ缶容器に180mlを分注密閉後、レトルト殺菌(121℃、30分間)して紅茶飲料を作成した。紅茶飲料のpHを測定したところ、pH5.5~6.5の範囲であった。それぞれの飲料は、冷暗所(4℃)と室温明所(10,000lux、37℃)で7日間保管し官能評価を行った。
2.紅茶飲料の官能評価
実験協力者:男性6名(平均年齢40.3歳)、女住6名(平均年齢33.5歳)の合計12名において評価を行った。
評価の手続き:実施例の飲料の評価は、おいしさ、苦さ(渋みも含む)、外観の3項目について、ビジュアルアナログスケールにより評価した。おいしさおよび開封し別の容器に移して観察した外観は「悪い」を「0」、「大変良い」を「10」で、苦さは「強い」を「0」、「弱い」を「10」で、うまみは「強い」を「0」、「弱い」を「10」で評定した。
図20に示すように「おいしさ」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件ではスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm含有すると紅茶飲料の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには紅茶飲料の安定性を維持することが確認された。
図21に示すように「苦さ」の項目については、環状テアニン無含有および0.1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件において「苦さ」のスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン1ppm、10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm含有すると紅茶飲料の渋みや苦みの増強が抑えられることが確認され、環状テアニンには紅茶飲料の安定性を維持することが確認された。また。冷暗所条件において環状テアニン無含有に比較し環状テアニンを含有してもスコアの差異は認められなかった。環状テアニンは苦味や渋みが強いという知見があるが、該評価では認められなかった。環状テアニンの紅茶飲料の安定性を維持する作用は環状テアニンが持つ渋み、苦味の作用ではないことが認められた。
図22に示すように「外観」の項目については、環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比べ室温明所条件では紅茶飲料の変色が認められスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm以上含有すると紅茶飲料の外観の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには紅茶飲料の安定性を維持することが確認された。
次に、「おいしさ」「苦さ」「外観」のスコアを平均し総合的に評価した結果を図23に示した。環状テアニン無含有、0.1ppmおよび1ppm含有において冷暗所条件に比較し室温明所条件においてスコアが有意に低かった。一方、環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppm含有では、冷暗所条件と室温明所条件において両群でスコアは同等であった。また、室温明所条件においては、環状テアニン無含有に比べ環状テアニン10ppm、100ppm、1000ppmで有意にスコアが高かった。以上の結果より、環状テアニンを10ppm含有すると酸性果汁飲料の劣化が抑えられることが確認され、環状テアニンには酸性飲料の安定性を維持することが確認された。
このように本実施形態によれば、外観の劣化を抑制すると共に、味覚を良好に維持できる容器詰飲料を提供できた。

Claims (3)

  1. 0.1ppm~1000ppmの環状テアニンを含有することを特徴とする容器詰飲料。
  2. 前記飲料が、果葉汁成分含有飲料、コーヒー成分含有飲料及び茶成分含有飲料からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の容器詰飲料。
  3. 前記飲料のpHが、2.0~8.6である請求項1または2に記載の容器詰飲料。
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