JP6782538B2 - 香酸柑橘類果汁含有飲料 - Google Patents

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本発明は、香酸柑橘類果実の果汁を含有する飲料に関し、より詳細には、香酸柑橘類のそれぞれの果実に特徴的な香味を維持しながら天然の果実らしさが感じられ、おいしく飲むことができる、香酸柑橘類果汁含有飲料に関する。
ライム、ユズ、カボス、シークワーサー、スダチ、レモンなどの香酸柑橘類果実は、通常、果肉の酸味や苦味が強く、そのままで食されることはあまりないが、果皮付近で見られるそれぞれの果実に特有の爽やかな香気や酸味、若干の苦味が好まれ、調理時の味付けや香りづけのために果汁や果皮が用いられている。また、香酸柑橘類果実は、それぞれの果実に特有の香味があるため、その香味をいかした飲料も製造されている。例えば、シークワーサーテイストの清涼飲料や、ライムやユズを用いたチューハイなどがある。
果汁を用いて容器詰飲料を製造する場合、保存性・衛生上の観点から、果汁は加熱殺菌処理せざるを得ないが、加熱殺菌及びその後の保存により、絞り立ての果汁が有していた本来のフレッシュな香気や香味は減少する。減少した香味を補うために、果実の香料を飲料に添加することが行われている。また、香酸柑橘類果実の果汁は強い酸味や苦味を有し、そのままで飲用することは通常行わないので、香酸柑橘類果実の香味をいかした飲料を製造するに際しては、少ない果汁に対し、香酸柑橘類果実に特有の香味を補うために香料を飲料に添加することが行われている。例えば、特許文献1には、4−メルカプト−4−メチル−2−ペンタノンを香酸柑橘類の果皮精油に加えることにより、香酸柑橘様の香味を増強することが記載されている。
特開2010−88348号公報
上記の通り、香酸柑橘類の果汁を用いて香酸柑橘類の香味を有する飲料を製造しようとすると、香料を加えて香酸柑橘類の香味を再現することになる。しかしながら、少ない果汁に従来の香料を加えただけの場合には、果実のフレッシュさや力強い香味、果皮の香気など、いわゆる「天然の果実らしさ」が感じられにくい飲料になるという問題があった。また、果汁の量を増やすと、香酸柑橘類果実に特有の酸味や苦味が強くなり、飲みにくい飲料になるという問題があった。本発明は、それぞれの香酸柑橘類果実に特徴的な香味を維持しながら、「天然の果実らしさ」を感じながら、おいしく飲むことができる香酸柑橘類果実の果汁を含有する飲料を製造することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、果汁率が1〜30%となる低濃度の果汁を含む、香酸柑橘類果汁含有飲料において、香酸柑橘類果実に多く含まれるフラボノイド成分であるヘスペリジン及びナリルチンの量をそれぞれ特定の範囲内とし、さらに、ナリルチンの量に対するヘスペリジンの量の比を一定範囲内とすると、香酸柑橘類果実らしさを有しながら、「天然の果実らしさ」を感じながら、おいしく飲むことができる飲料を製造できることを見出した。本発明は、これらに限定されないが、以下を含む。
[1]ヘスペリジンの濃度が3〜80mg/kgであり、
ナリルチンの濃度が3〜30mg/kgであり、
ナリルチンの量に対するヘスペリジンの量の比(質量比)が0.8〜6.5であり、
果汁率が1〜30%である、香酸柑橘類果汁を含有する飲料。
[2]オレンジ果汁を含有する、[1]に記載の飲料。
[3]グレープフルーツ果汁を含有する、[1]または[2]に記載の飲料。
[4]果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が94%未満であることを特徴とする、[1]〜[3]のいずれか1項に記載の飲料。
[5]香酸柑橘類果汁が、ユズ、カボス、シークワーサー、及びライムからなる群から選択される1以上の果実の果汁である、[1]〜[4]のいずれか1項に記載の飲料。
本発明により、香酸柑橘類果実に特徴的な香味を維持しながらも、「天然の果実らしさ」を感じながら、おいしく飲める香酸柑橘類果実の果汁を含有する飲料が得られる。本発明者らは、意外にも、フラボノイド成分であるヘスペリジン及びナリルチンの量および比率が、香酸柑橘類果実に特有の酸味や苦味に起因する飲みにくさの解消に有効であることを見出した。加えて、ヘスペリジン及びナリルチンの量や比率の調整に、香酸柑橘類果実果汁以外の果汁を用いることとで、香酸柑橘類果実らしさや天然の果実らしいフレッシュさがさらに向上することは、意外な結果であった。
(ヘスペリジン及びナリルチン)
ヘスペリジン(C283415)及びナリルチン(C273214)は、いずれも、フラボノイド骨格を有する柑橘類果実によくみられる成分である。ヘスペリジンは、レモン、オレンジ、ミカン、ユズ、ライム、ポンカン、ハッサク、キンカン、シークワーサー等で検出される成分であり、若干の苦味を有する成分である。ナリルチンは、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、ミカン、ユズ、ライム、ポンカン等、多くの柑橘類果実で検出される成分であり、柑橘類果実に含まれる他のフラボノイドと比べると苦味の少ない成分である。
本発明の飲料は、ヘスペリジンの濃度が3〜80mg/kg、ナリルチンの濃度が3〜30mg/kgであり、ナリルチンの量に対するヘスペリジンの量の比(質量比)が0.8〜6.5である。ヘスペリジンとナリルチンとがこれらの範囲内であると、香酸柑橘類果実の果実らしさを維持しながら、「天然の果実らしさ」が感じられ、おいしく飲める飲料となる。ナリルチンの量に対するヘスペリジンの量の比は、好ましくは0.8〜6.0である。
飲料中のヘスペリジン及びナリルチンの量の調整は、これら成分を含有する天然由来の材料の量を適宜調整することにより行うことができる。特に、飲料の自然な果実らしさを考慮すると、各種果実の果汁の1種または2種以上を香酸柑橘類果実の果汁と組み合せて用いることにより、ヘスペリジン及びナリルチンの量を調整することが好ましい。例えば、香酸柑橘類果実以外の柑橘類果実の果汁を香酸柑橘類果実の果汁と適量混合して、上記の量や比を特定範囲内に調整することができる。柑橘類果実におけるヘスペリジン及びナリルチンの量については、例えば、近畿中国四国農業研究センター研究報告第5号、2005、野方洋一、「カンキツ果実の機能性成分の検索とその有効利用に関する研究」などで報告されており、そのような資料を参考にして、用いる果汁を選択、検討することができる。香酸柑橘類果実の果汁と組み合わせて用いる柑橘類果実の果汁としては、特にオレンジ果汁が好ましい。
本発明の飲料は、さらにナリンギンの量が2〜60mg/kgであることが好ましい。ナリンギン(C273214)は、ヘスペリジンやナリルチンと同じく、柑橘類果実にみられるフラボノイドの一種であり、特にグレープフルーツに特徴的な苦味を呈する成分として知られている。ヘスペリジン及びナリルチンが上記の範囲内であることに加え、ナリンギンが上記範囲内の量で含まれると、香酸柑橘類果実らしさや天然の果実らしいフレッシュさが向上する。
飲料中のナリンギンの量の調整は、ヘスペリジン及びナリルチンの場合と同様に、ナリンギンを含有する天然由来の材料の量を適宜調整することにより行うことができる。柑橘類果実の果汁、特にグレープフルーツ果汁を用いて、ナリンギンの量を上記範囲内に調整すると、飲料の自然な果実らしさが損なわれず、好ましい。柑橘類果実におけるナリンギンの量は、ヘスペリジン及びナリルチンの場合と同様に、近畿中国四国農業研究センター研究報告第5号、2005、野方洋一、「カンキツ果実の機能性成分の検索とその有効利用に関する研究」などで報告されており、そのような資料を参考にして、用いる果汁を選択、検討することができる。
飲料中のヘスペリジン、ナリルチン、及びナリンギンの量は、高速液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS)等公知の手法を用いて測定することができる。例えば、以下の条件で測定することができる。
<各種フラボノイドの分析>
LC−MSを用いた各種フラボノイド量の分析方法を以下に示す。
(1)サンプルの調製
炭酸ガスを含む飲料溶液は、常法にて炭酸ガスを除く。まず、遠沈管(A)に飲料溶液10gを秤量する。飲料試料のBrixが20゜Bx以上の場合は5g、40゜Bx以上の場合は2gを秤量し、液体クロマトグラフィー用蒸留水で10mLに希釈する。液体クロマトグラフィー用エタノール20mLを加え、ボルテックスミキサーにて1分以上激しく混和する。粘性が高く混ざらない場合は、必要に応じて手などで激しく振り混ぜる。これを遠心器に供し(3000xg、30分、20℃)、上清を別の遠沈管(B)に移す。沈殿物に液体クロマトグラフィー用エタノール20mLを加え、固形分を薬匙などで十分に崩した後、ボルテックスミキサーにて1分以上激しく混和する。遠心器で遠心(3000xg、30分、20℃)し、上清を遠沈管(B)に加える。遠沈管(B)に集めた上清は、さらに遠心(3000xg、30分、20℃)し、得られた上清を50mLのメスフラスコに移し、エタノールでメスアップする。よく混和した上清液を、予めエタノールで洗浄したPTFE製フィルター(東洋濾紙社製、ADVANTEC DISMIC−25HP 25HP020AN,孔径0.20μm、直径25mm)で濾過し、分析試料とする。
(2)LC分析条件
HPLC装置:Nexera XRシリーズ(島津製作所社製、システムコントローラー:CBM−20A、送液ポンプ:LC−20ADXR、オンライン脱気装置:DGU−20A3、オートサンプラー:SIL−20ACXR、カラムオーブン:CTO−20A、及びUV/VIS検出器:SPD−20Aを有する)
カラム:CAPCELL CORE AQ(粒径2.7μm、内径2.1mmx 150mm、資生堂社製)
移動相A:ギ酸0.1%水溶液
移動相B:アセトニトリル
流量:0.6mL/min
濃度勾配条件:0.0〜0.5分(15%B)→6.0分(25%B)→10.0分(75%B)→10.1〜11.0分(100%B)、初期移動相による平衡化3.0分
カラム温度:40℃
試料注入:注入量2.0μL
質量分析装置への試料導入:1.8〜11.0分
(3)質量分析条件
質量分析装置:4000 Q TRAP(AB Sciex社製)
イオン化方法:ESI(Turbo Spray)、ネガティブモード
イオン化部条件:CUR:10、IS:−4500、TEM:650、GS1:80、GS2:60、ihe:ON、CAD:Medium
検出方法:MRMモード
検出条件(Q1→Q3、DP、CE、CXP、EP):
ナリルチンおよびナリンギン(579.2→271.1、−85、−42、−9、−10)
ヘスペリジン(609.2→301.1、−76、−50、−11、−10)
ピーク検出時間:標品による確認を要するが、概ね下記の通りである。
ナリルチン(4.14分)、ナリンギン(4.50分)、ヘスペリジン(5.16分)
(4)定量方法
濃度の異なる標品溶液3点以上を供し、得られたピーク面積による絶対検量線法で定量する。
(果汁率)
本発明の飲料は、果汁率が1〜30%である。ここで「果汁率」とは、果汁を搾汁して得られるストレート果汁を100%としたときの相対濃度をいう。例えば、JAS規格(果実飲料の日本農林規格)に示される各種果実のストレート果汁の糖用屈折計示度の基準又は酸度の基準(下記)に基づいて、換算できる:
(糖用屈折計示度の基準(゜Bx))
・オレンジ、ポンカン 11
・はっさく、いよかん 10
・うんしゅうみかん、グレープフルーツ、なつみかん 9
・シークワーサー 8
(酸度の基準(クエン酸換算)(%))
・レモン 4.5
・ライム 6
・カボス 3.5。
その他、ユズ及びスダチは、それぞれ、4.3及び6.6を酸度の基準(クエン酸換算)(%)として用いてもよい。
果汁率の計算方法は、例えば、JAS規格においてライム果汁の酸度の基準はクエン酸に換算して6%であるから、酸度30%の濃縮ライム果汁を飲料中に6重量%配合した場合、果汁率は30%となる。上記に記載のない果実についても同様に、ストレート果汁を100%としたときの相対濃度に換算することにより、果汁率を計算することができる。例えば、2倍濃縮果汁を飲料中に5重量%用いた場合には、飲料の果汁率は10%となる。
本発明の飲料において複数種類の果汁が用いられている場合には、果汁率は、上記に基づいてすべての果汁の果汁率を計算し、合計した値となる。なお、この計算により得られる果汁率は、通常、果汁含有飲料に示される果汁の割合(「果汁○%」の表示の数値)に相当する。
本発明の飲料の果汁率は、1%以上30%以下である。好ましくは1%以上20%以下、より好ましくは3%以上20%以下である。本発明の飲料は、上記の果汁率と、前述の柑橘フラボノイドの比により、香酸柑橘類果実に特徴的な香味が感じられつつ、酸味の抑えられた飲料となる。果汁、特に柑橘類果実の果汁は、貯蔵や加熱により劣化して異風味を生じやすいことが知られているが、果汁率が1〜30%のように低い場合には、相対的に、果汁の劣化による異風味が感じられにくくなるという利点がある。
(果汁)
本発明の飲料は、少なくとも香酸柑橘類果実の果汁を含有する。香酸柑橘類とは、一般的な柑橘類とは異なり、酸味が強くて生食には不向きであるが香りや酸味を利用する柑橘類の総称であり(「花図鑑野菜+果物」、平成21年6月25日第2刷発行、芦澤正和ら監修、草土出版)、代表品種は、「ユズ(学名Citrus junos)」、「ライム(学名 Citrus aurantiifolia)」、「シークワーサー(学名 Citrus depressa)」、「カボス(学名Citrus sphaerocarpa)」、「スダチ(学名 Citrus sudachi)」、「レモン(学名 Citrus limon)」などである。これらの香酸柑橘類果実の中でも、特に、ユズ、カボス、シークワーサー、及びライムは、本発明に適しており、好ましい。
本発明の飲料において、香酸柑橘類果実の果汁率は、好ましくは、0.5%以上30%以下であり、より好ましくは1%以上20%以下である。香酸柑橘類果実の果汁率が0.5%未満であると飲料の香酸柑橘類果実らしさが減少する恐れがあり、30%を超えると酸味と苦味が強くなりすぎて、飲用に向かない恐れがある。
本発明の飲料は、少なくとも香酸柑橘類果実の果汁を含有するが、香酸柑橘類果汁に加えて、他の果汁を含有していてもよい。他の果汁としては、オレンジ果汁、グレープフルーツ果汁、ミカン果汁、マンダリン果汁等の柑橘類果実の果汁のほか、リンゴ果汁、ブドウ果汁、モモ果汁、いちご果汁、バナナ果汁、さくらんぼ果汁、メロン果汁、スイカ果汁、マンゴー果汁、パパイヤ果汁、キウイ果汁、日本ナシ果汁、西洋ナシ果汁、カキ果汁、ウメ果汁、マスカット果汁、パイナップル果汁、パッションフルーツ果汁、グアバ果汁、アンズ果汁、スモモ果汁、クランベリー果汁、ザクロ果汁などを挙げることができる。特に、香酸柑橘類果実以外の柑橘類果実の果汁の1種または2種以上を含有することが好ましく、特に上述のヘスペリジン及びナリルチンの両方を含むオレンジ果汁を含有することが好ましい。香酸柑橘類果汁とオレンジ果汁とを組み合わせてヘスペリジン及びナリルチンの量及び比を上記の範囲に調整すると、香酸柑橘類果実らしさを維持しながら、苦味や酸味が強くなりすぎず、おいしい飲料とすることができる。また、ナリンギンを含むグレープフルーツ果汁を含有することも好ましい。香酸柑橘類果汁とグレープフルーツ果汁とは相性がよく、香酸柑橘類果実らしさと天然の果実らしさの感じられるおいしい飲料とすることができる。
香酸柑橘類果汁と他の果汁とを混合する際には、果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が、10%以上となるのが好ましく、20%以上がさらに好ましい。この場合の上限値は特に限定されないが、本発明の飲料では、例えば、果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が94%未満であり、60%以下のように低い場合であっても(すなわち、香酸柑橘類果実の果汁の使用割合が比較的少なくても)、意外にも香酸柑橘類果実の香味が維持されているように感じられるという特徴を有するから、果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が、10〜60%、または20〜60%となるものは本発明の好ましい態様の一部であるといえる。
果汁は、ストレート果汁、濃縮果汁等、製造方法によらず使用することができる。ハンドリングの良さを考慮すると濃縮還元果汁は好ましい。
(飲料)
本発明の飲料は、いわゆる「香酸柑橘類果実に特徴的な香味」または「香酸柑橘類果実の果実らしさ」を有し、「天然の果実らしさ」の感じられる飲料である。「香酸柑橘類果実に特徴的な香味」及び「香酸柑橘類果実の果実らしさ」を有する飲料とは、好ましくは消費者が香酸柑橘類果実を想起するような飲料全般を指し、例えば、その香酸柑橘類果実に近い香味を呈する飲料、すなわち、香酸柑橘類果実テイストの飲料が挙げられる。また、容器詰め飲料とされた際に、容器外面に、香酸柑橘類果実を想起させるような表示(例えば、「ユズ」の文字や図柄など)が付されてもよい。「天然の果実らしさ」としては、例えばフレッシュさ(フレッシュ感)が挙げられ、「フレッシュさ」とは、天然の果実のようなみずみずしさや爽やかさ、また、新鮮さを指す。例えば、香酸柑橘類果実の果皮を剥いたときに感じられるような爽やかさを呈する飲料が挙げられる。
本発明の飲料は、上述の特徴を損なわない範囲で、通常の飲料に配合するような、糖類、甘味料、酸味料、ビタミン、色素類、酸化防止剤、乳化剤、保存料、調味料、エキス類、pH調整剤、品質安定剤等を配合することができる。例えば、柑橘らしい甘酸味のバランスを考慮して、飲料に糖類、甘味料、酸味料等を適宜添加して、飲料の甘酸味を調整してもよい。例えば、糖酸比として、10〜40程度とすることが好ましく、また、飲みやすさを考慮すると15〜30程度がより好ましい。糖酸比は、当業者に知られる通り、飲料の糖用屈折計示度(゜Bx)と酸度(無水クエン酸換算)(%)との比により求めることができる。また、柑橘類果実の香料やエキス、また、柑橘類果実の果肉や果皮を配合してもよい。
本発明の飲料は、炭酸飲料であってもよい。炭酸による爽快感は香酸柑橘の爽やかな香味によくあい、また、炭酸により飲料の香気が感じられやすくなるので、本発明において炭酸飲料は好ましい態様の1つである。炭酸飲料とする場合のガス圧は、1〜3.8kgf/cmが好ましく、1.2〜2.4kgf/cmがさらに好ましい。炭酸ガス圧は、京都電子工業製ガスボリューム測定装置GVA−500Aを用いて測定することができる。例えば、試料温度を20℃にし、前記ガスボリューム測定装置において容器内空気中のガス抜き(スニフト)、振とう後、炭酸ガス圧を測定する。
本発明の飲料の形態は、特に限定されないが、好ましくは容器詰め飲料である。例えば、本発明の飲料は、殺菌、容器詰め、密封等の工程を経て、容器詰め飲料の形態とすることができる。殺菌方法は、容器や飲料の種類に応じて、決定することができる。例えば、容器の種類に応じて、飲料を容器に充填した後にレトルト殺菌等の加熱殺菌を行ってもよいし、飲料を殺菌してから容器に充填してもよい。より具体的には、ペットボトルや紙パック、瓶飲料、パウチ飲料とする場合には、例えば90〜130℃で1〜60秒保持するFP又はUHT殺菌を行うことができ、缶等の金属容器詰め飲料とする場合には、本発明の飲料を容器に所定量充填し、殺菌(例えば、65℃、10分)を行うことができる。本発明の飲料を容器詰め飲料とする場合は、ホットパック充填法又は無菌充填法のいずれも用いることができる。本発明の飲料は、果汁の含有率が比較的少ないことから、加熱殺菌を行っても異風味が生じにくく、柑橘類果実のフレッシュな香味が維持されやすいという利点も有する。
本発明の飲料はまた、別の一態様として、原料となる濃縮液を希釈して得られる飲料であってもよい。このようにして得られた飲料は、コップなどの容器に注いで提供することができる。また、当該濃縮液の希釈は、水(飲用水を含む)や炭酸水等を加えて混合することにより行うことができる。このような形態の飲料は、レストラン、ファーストフード店、喫茶店、食堂等の外食産業において提供可能であるが、その提供場所は特に限定されない。このようにして飲料が提供される場合、原料となる濃縮液を希釈した後の果汁率が本発明の飲料の果汁率に相当する。
以下に実施例に基づいて本発明の説明をするが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
香酸柑橘類果汁としてライム果汁を用いた。ライム果汁、オレンジ果汁、グレープフルーツ果汁、及び水の量を適宜変更して、以下の表1に示す比較例1及び2ならびに実施例1〜5の飲料を調製し、加熱殺菌をして、PETボトルに容器詰めした。
各飲料のヘスペリジン、ナリルチン、及びナリンギンの量(mg/kg)を測定した。また、各飲料について、6名のパネラーにより、飲料のライム感(ライムを想起するかどうか)、フレッシュ感(柑橘の果皮を剥いたときのようなフレッシュな香気が感じられるかどうか)、及び総合的な好意度(飲料として好ましく飲めるかどうか)に関して、5段階で官能評価を行った。評価は、ライム感及びフレッシュ感に関しては、1を「まったく感じない」、2を「ほとんど感じない」、3を「感じる」、4を「よく感じる」、5を「強く感じる」とした。また、総合的な好意度に関しては、1を「好きではない」、2を「あまり好きではない」、3を「好きでも嫌いでもない」、4を「好きである」、5を「とても好きである」とした。6名の評価結果の平均を、表1に示す。
表1の結果より、ヘスペリジン及びナリルチンの量及び比が本発明の範囲内にある飲料(実施例1〜)は、比較の飲料(比較例)に比べて、総合的な好意度が高いことがわかる。特にヘスペリジンとナリルチンの比が0.8〜6.0の範囲内にある飲料(実施例1〜4)は、ライム感を適度に維持しながら、ライム果汁単独の比較例1に比べて、フレッシュ感も高いことがわかる。
(実施例2)
実施例1のライム果汁をシークワーサー果汁に変えて、実施例1と同様にして、以下の表2に示す比較例3及び実施例6〜10の飲料を調製した。実施例1と同様にして評価した結果を表2に示す。
表2の結果より、ヘスペリジン及びナリルチンの量及び比が本発明の範囲内にある飲料(実施例6〜10)は、比較の飲料(比較例3)に比べて、総合的な好意度が高いことがわかる。特にヘスペリジンとナリルチンの比が0.8〜6.0の範囲内にある飲料(実施例6〜9)は、シークワーサー感を適度に維持しながら、シークワーサー果汁単独の比較例3に比べて、フレッシュ感が高いことがわかる。
(実施例3)
実施例1のライム果汁をカボス果汁に変えて、実施例1と同様にして、以下の表3に示す比較例4及び5ならびに実施例11〜14の飲料を調製した。実施例1と同様にして評価した結果を表3に示す。
表3の結果より、ヘスペリジン及びナリルチンの量及び比が本発明の範囲内にある飲料(実施例11〜14)は、比較の飲料(比較例4及び5)に比べて、総合的な好意度が高いことがわかる。また、実施例11〜14の飲料は、カボス感を適度に維持しながら、カボス果汁単独の比較例4に比べて、フレッシュ感が高いことがわかる。
(実施例4)
実施例1のライム果汁をユズ果汁に変えて、実施例1と同様にして、以下の表4に示す比較例6及び実施例15〜18の飲料を調製した。実施例1と同様にして評価した結果を表4に示す。
表4の結果より、ヘスペリジン及びナリルチンの量及び比が本発明の範囲内にある飲料(実施例15〜18)は、比較の飲料(比較例6)に比べて、総合的な好意度が高いことがわかる。また、実施例15〜18の飲料は、ユズ感を適度に維持しながら、ユズ果汁単独の比較例6に比べて、フレッシュ感が高いことがわかる。

Claims (3)

  1. 香酸柑橘類果汁として、ユズ果汁、シークワーサー果汁、及びライム果汁からなる群から選択される1以上の果汁(ただし、香酸柑橘類果汁がレモン果汁の場合を除く)を含有し、且つオレンジ果汁及びグレープフルーツ果汁を含有する飲料であって、
    ヘスペリジンの濃度が3〜29.6mg/kgであり、
    ナリルチンの濃度が3〜5.9mg/kgであり、
    ナリルチンの量に対するヘスペリジンの量の比(質量比)が0.8〜6.5であり、果汁率が1〜30%であり、果実全体の果汁率に対する香酸柑橘類果実の果汁率の割合が10〜60%である、上記飲料。
  2. ナリンギンの量が2〜60mg/kgである、請求項1に記載の飲料。
  3. 容器詰め飲料である、請求項1又は2に記載の飲料。
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