JP2022137855A - 白金ペースト - Google Patents
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Abstract
【課題】グリーンシートとの密着性が向上し、比抵抗が低い導電膜を形成できる新規な白金ペーストを提供する。【解決手段】白金粉末と、セラミック粉末と、界面活性剤と、樹脂と、溶剤とを含有し、前記白金粉末とセラミック粉末との合計中に占める前記白金粉末の比率が89~92mass%、前記セラミック粉末の比率が8~11mass%、前記セラミック粉末として、ジルコニア粉末がセラミック粉末全体の94.5~97.5mass%、残部がアルミナ粉末2.5~5.5mass%であり、前記界面活性剤がアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤であり、前記樹脂がエチルセルロースとポリビニルブチラールとロジン誘導体からなり、全ペースト中、エチルセルロースを0.7~1.0mass%、ポリビニルブチラールを0.2~0.5mass%、ロジン誘導体を0.5~1.5mass%含有する、ことを特徴とする導電膜形成用白金ペースト。【選択図】なし
Description
本発明は、セラミック基板上への導電回路、発熱体回路等を形成させるための導電膜形成用白金ペーストに関する。
セラミック基板上への導電回路、発熱体回路等の形成には、通常、白金等の貴金属粉末を含有するスクリーン印刷用ペーストが使用される。
スクリーン印刷用ペーストは、一般に、白金等の貴金属粉末、セラミック粉末、界面活性剤、樹脂、溶剤を含み、セラミックなどの基板上にスクリーン印刷等の方法で塗布された後、焼成することにより前記貴金属の導電膜が前記基材上に形成される。そして最終的に所定の電子部品となる。
このように形成される導電膜は膜中に高比抵抗のセラミックを有しているため、従来は、例えば一部の白金が前記セラミックに切断され、その比抵抗は白金の比抵抗よりも高くなる。導電膜の薄膜化・細線化を図り、高価な白金の使用量を低減させるため、上記セラミックによる白金の切断を抑制し、前記焼成導電膜中の白金の利用率を上げることにより、比抵抗が低い導電膜を形成できる白金ペーストが望まれている。
また、導電膜を形成するスクリーン印刷、乾燥、焼成工程中において、セラミックグリーンシート(以下、グリーンシート)とペースト乾燥膜の熱収縮率の差に起因とした応力によりグリーンシートからペースト膜の一部が脱落する問題があり、ペースト乾燥膜とグリーンシートとの密着力の向上が望まれている。
特許文献1には、湿式還元法で得られる、密度が理論密度より低い白金粉末の密度をより高め、理論密度の少なくとも92%の密度を有し且つ平均粒径が6μm以下である白金粉末を使用して作製された導電膜の電気抵抗が低減することが記載されている。
特許文献2には、白金粉末に、所定範囲のアルミナ粉末及びジルコニア粉末からなる骨材、樹脂、有機溶媒と、を含んで成る電極形成用のペーストにより低抵抗の電極膜を形成することができることが記載されている。
特許文献2には、白金粉末に、所定範囲のアルミナ粉末及びジルコニア粉末からなる骨材、樹脂、有機溶媒と、を含んで成る電極形成用のペーストにより低抵抗の電極膜を形成することができることが記載されている。
そこで、グリーンシートとの密着性が向上し、比抵抗が低い導電膜を形成できる新規な白金ペーストが望まれている。
本発明者らは、上記の課題を達成すべく鋭意検討した結果、アニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤を共に使用するともに、3種の樹脂を共に使用することで、グリーンシートとの密着力が向上し、かつ、ビヒクル中の白金粉末とセラミック粉末の固形分粒子を高分散させることを可能とすることで低比抵抗の導電膜を形成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち上記課題は、白金粉末と、セラミック粉末と、界面活性剤と、樹脂と、溶剤とを含有し、前記白金粉末とセラミック粉末との合計中に占める前記白金粉末の比率が89~92mass%、前記セラミック粉末の比率が8~11mass%、前記セラミック粉末として、ジルコニア粉末がセラミック粉末全体の94.5~97.5mass%、残部がアルミナ粉末2.5~5.5mass%であり、前記界面活性剤がアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤であり、前記樹脂がエチルセルロースとポリビニルブチラールとロジン誘導体からなり、全ペースト中、エチルセルロースを0.7~1.0mass%、ポリビニルブチラールを0.2~0.5mass%、ロジン誘導体を0.5~1.5mass%含有する、ことを特徴とする導電膜形成用白金ペーストにより達成される。
また、上記構成において、前記ロジン誘導体がマレイン酸変性ロジン、フェノール変性ロジンの一つ以上を含むようにしてもよい。
さらに、上記構成において、前記ジルコニアがイットリア安定化ジルコニアであるようにしてもよい。
また、上記構成において、前記ロジン誘導体がマレイン酸変性ロジン、フェノール変性ロジンの一つ以上を含むようにしてもよい。
さらに、上記構成において、前記ジルコニアがイットリア安定化ジルコニアであるようにしてもよい。
本発明に従うと、グリーンシートとの密着性が向上し、比抵抗が低い導電膜を形成できる白金ペーストを提供することができる。
以下、本発明の白金ペーストについて、さらに詳細に説明する。
本発明は、白金粉末と、セラミック粉末と、界面活性剤と、樹脂と、溶剤とを含有し、白金粉末とセラミック粉末との合計中に占める白金粉末の比率が89~92mass%、セラミック粉末の比率が8~11mass%、セラミック粉末として、ジルコニア粉末がセラミック粉末全体の94.5~97.5mass%、残部がアルミナ粉末2.5~5.5mass%であり、界面活性剤がアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤であり、樹脂がエチルセルロースとポリビニルブチラールとロジン誘導体からなり、全ペースト中、エチルセルロースを0.7~1.0mass%、ポリビニルブチラールを0.2~0.5mass%、ロジン誘導体を0.5~1.5mass%含有する、ことを特徴とする導電膜形成用白金ペースト。
本発明のペーストにかかる白金粉末は、その形状には特に制限はないが、一般に球状であることが好ましい。粒径にも特に制限はないが、例えば、粒径0.3~10μmの白金粉末を使用することができる。
このような白金粉末は、例えば、以下に述べる湿式還元法によって製造することができるが、その方法に限定されるものではない。白金化合物を、水に溶解又縣濁させた状態で還元剤を加えて還元することにより白金粉末にすることができる。還元に使用しうる還元剤としては、例えば、ヒドラジン水和物、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン等のヒドラジン化合物を挙げることができる。
また、白金錯体及び亜鉛錯体を水で溶解して混合水溶液を調製し、混合水溶液に酸を添加して白金水酸化物と亜鉛水酸化物を共晶出させることにより得られる晶出物を大気中で高温で焼成し、焼成後、焼成物から亜鉛酸化物を選択的に除去することにより、白金粉末を得ることができる。亜鉛酸化物の除去は、例えば、焼成物を酸で溶解処理することにより行なうことができる。この溶解処理に使用し得る酸としては、例えば、塩酸、硝酸、硫酸等が挙げられる。
セラミック粉末は、セラミック基板への白金等の貴金属膜の密着性の付与や貴金属膜の抵抗調整材及びヒーター使用時の貴金属導電膜中の貴金属の結晶粒の粗大化を抑制するなどの目的で使用されるものであり、本発明では、ジルコニア(ZrO2)粉末、アルミナ(Al2O3)粉末を使用することができる。ジルコニア粉末としては、純ジルコニア粉末、安定化ジルコニア粉末、部分安定化ジルコニアを使用することができる。セラミック粉末の粒径に特に制限はないが、例えば、粒径0.1~5.0μmのセラミック粉末を使用することができる。
白金粉末とセラミック粉末との全体中に占める白金粉末の比率は89~92mass%、セラミック粉末の比率は8~11mass%である。
セラミック粉末として、ジルコニア粉末がセラミック粉末全体の94.5~97.5mass%、残部がアルミナ粉末2.5~5.5mass%である。
界面活性剤としては、アニオン界面活性剤およびカチオン界面活性剤を用いることができる。アニオン界面活性剤としては、例えば、高級脂肪酸、アルキルエーテルカルボン酸、アルキルスルホン酸など、カチオン界面活性剤としては、例えば、脂肪族アミン、4級アンモニウム塩などを用いることができる。アニオン界面活性剤/カチオン界面活性剤の比は、0.5から2.0が好ましい。
ペースト中の界面活性剤含有比率が0.05mass%より少ないと粉末の分散性が低下しまい焼成後の膜の比抵抗が高くなってしまう。一方、5mass%を越えると膜中に空隙が生じやすくなり焼成後の膜の比抵抗が高くなってしまう。好ましくは、0.1mass%から3mass%である。
樹脂としては、エチルセルロースとポリビニルブチラールとロジン誘導体を同時に含むことができる。ロジン誘導体としては、マレイン酸変性ロジン、フェノール変性ロジンの一つ以上を使用することができる。全ペースト中、エチルセルロースを0.7~1.0mass%、ポリビニルブチラールを0.2~0.5mass%、ロジン誘導体を0.5~1.5mass%含むことができる。
エチルセルロースは、印刷性や流動性、溶剤への溶解性が良いことからスクリーン印刷用のバインダーとして好適に用いられる。グリーンシートに用いられるポリビニルブチラール(PVB)樹脂を併せて用いることで、グリーンシートへの接合性を高め、かつスクリーン印刷用として適した印刷性を持つペーストとすることができる。しかし、これら二つの樹脂は相溶性が低く乾燥膜としての強度が不足するため、以降の加工において乾燥膜の剥離や割れが発生する場合がある。ロジン誘導体はこれら二つの樹脂に適度に相溶し、つなぎの役割を果たすことができるため乾燥膜の強度を向上させることができ、ポリビニルブチラールの持つグリーンシートへの接合性を引き出すことができ、取り扱いの容易性と品質の安定性が得られる。また、白金粉末とセラミック粉末の固形分粒子をビヒクル中でより均一に分散させることができる。
白金粉末やセラミック粉末などの固形分粒子は、樹脂および溶剤からなるビヒクルの中で一様に分散することが好ましく、各粒子の凝集が生じてしまうと焼成後の導電パスが適切に形成されず、比抵抗が上昇する。エチルセルロースとポリビニルブチラールとロジン誘導体を同時に使用することで、樹脂間の相溶性が良く、ビヒクル内での樹脂が均一に分散する。加えてアニオン界面活性剤およびカチオン界面活性剤を共に使用することにより、固形分粒子がビヒクルの中でより均一に分散させることができ、比抵抗の低い焼成膜を得ることができる。
すなわち、上記の三種樹脂を用いるとともにアニオン界面活性剤およびカチオン界面活性剤を共に使用することで、グリーンシートにペーストを印刷し乾燥した乾燥膜とグリーンシートとの密着性が向上することで、導電膜を形成するためのスクリーン印刷、乾燥、焼成工程中において、グリーンシートからペースト膜の一部が脱落する現象を抑えることができ、かつ、分散性が向上したことより、焼成して形成された導電膜の比抵抗が低くなる。
溶剤としては、ターピネオール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、セロソルブなどを使用することができる。
白金ペーストにおいて、白金粉末の粒径及び量、セラミック粉末の粒径及び量、樹脂および溶剤の組成及び量、界面活性剤の組成及び量は、適宜変えることができる。白金粉末とセラミック粉末とから成る固形分に対するセラミック粉末は8~11mass%含むことができる。好ましくは9~11mass%である。8mass%未満である場合、下地セラミック基材とペーストとの焼成後の密着力が低くなり、また、ペースト焼成膜の耐熱性が十分でない。11mass%を超える場合、電気伝導に寄与する白金の割合が低くなり、焼成膜の比抵抗が高くなる。
白金ペーストが適用されるセラミック基板は、アルミナ基板、ジルコニア基板が挙げられるが、それらに限定されない。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
(実施例1~6)
実施例1~6は、セラミック粉末中に占めるジルコニア粉末とアルミナ粉末を表1に示す比率にしてペーストを製作した実施例である。
実施例1~6は、セラミック粉末中に占めるジルコニア粉末とアルミナ粉末を表1に示す比率にしてペーストを製作した実施例である。
白金粉末、ジルコニア粉末、アルミナ粉末、高級脂肪酸(アニオン界面活性剤)、脂肪族アミン(カチオン界面活性剤)、エチルセルロース(樹脂)ポリビニルブチラール(樹脂)、ロジン誘導体(樹脂)とターピネオール(溶剤)とを表1に示す成分組成となるように計量し、一次混練した後、3本ロールミルにて仕上げ混練を行い、白金ペースト20gを得た。
(比較例1~2)
比較例1は、ポリビニルブチラール(樹脂)、ロジン誘導体(樹脂)を使用せず、表1に示す成分組成となるように計量し、一次混練した後、3本ロールミルにて仕上げ混練を行い、白金ペースト20gを得た。
比較例2は、白金粉末、ジルコニア粉末、アルミナ粉末、高級脂肪酸(アニオン界面活性剤)、エチルセルロース(樹脂)ポリビニルブチラール(樹脂)、ロジン誘導体(樹脂)とターピネオール(溶剤)とを表1に示す成分組成となるように計量し、一次混練した後、3本ロールミルにて仕上げ混練を行い、白金ペースト20gを得た。
比較例1は、ポリビニルブチラール(樹脂)、ロジン誘導体(樹脂)を使用せず、表1に示す成分組成となるように計量し、一次混練した後、3本ロールミルにて仕上げ混練を行い、白金ペースト20gを得た。
比較例2は、白金粉末、ジルコニア粉末、アルミナ粉末、高級脂肪酸(アニオン界面活性剤)、エチルセルロース(樹脂)ポリビニルブチラール(樹脂)、ロジン誘導体(樹脂)とターピネオール(溶剤)とを表1に示す成分組成となるように計量し、一次混練した後、3本ロールミルにて仕上げ混練を行い、白金ペースト20gを得た。
実施例、比較例で得られたペーストをアルミナ基板に細線パターンでスクリーン印刷した後、80℃で30分間乾燥後、1500℃で10分間保持焼成して導電膜を形成した。得られた導電膜について、細線パターンの断面積Sを表面粗さ計を用いて計測し、細線パターンの長さは固定長Lとして扱い、マルチテスターにより細線パターンの抵抗値Rを測定し、比抵抗ρを求める既知の関係式、ρ=RS/Lより比抵抗を求めた。それらの結果を表2に示す。
また、実施例、比較例で得られたペーストについて、JIS H 8504:1999に従うテープ試験方法を用いて、グリーンシートに対するペースト乾燥膜の密着性を評価した。
実施例1~6で作製されたペーストを、グリーンシートに印刷、乾燥した膜に対してテープの貼付け及び引きはがしを行ったところ、乾燥膜の界面からの脱落は観察されなかった。比較例1で作製されたペーストを、グリーンシートに印刷、乾燥した膜に対してテープの貼付け及び引きはがしを行ったところ、乾燥膜は界面から容易に脱落した。比較例2で作製されたペーストを、グリーンシートに印刷、乾燥した膜に対してテープの貼付け及び引きはがしを行ったところ、乾燥膜の界面からの脱落は観察されなかった。
実施例1~6は、乾燥膜とグリーンシートとの接合強度が強く、かつ焼成して形成された導電膜は、比較例1~2に比べて低抵抗となることが確認された。
Claims (3)
- 白金粉末と、セラミック粉末と、界面活性剤と、樹脂と、溶剤とを含有し、
前記白金粉末とセラミック粉末との合計中に占める前記白金粉末の比率が89~92mass%、前記セラミック粉末の比率が8~11mass%、
前記セラミック粉末として、ジルコニア粉末がセラミック粉末全体の94.5~97.5mass%、残部がアルミナ粉末2.5~5.5mass%であり、
前記界面活性剤がアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤であり、
前記樹脂がエチルセルロースとポリビニルブチラールとロジン誘導体からなり、全ペースト中、エチルセルロースを0.7~1.0mass%、ポリビニルブチラールを0.2~0.5mass%、ロジン誘導体を0.5~1.5mass%含有する、
ことを特徴とする導電膜形成用白金ペースト。 - 前記ロジン誘導体がマレイン酸変性ロジン、フェノール変性ロジンの一つ以上を含むことを特徴とする請求項1に記載の導電膜形成用白金ペースト。
- 前記ジルコニアがイットリア安定化ジルコニアである請求項1または2に記載の導電膜形成用白金ペースト。
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JP2021037549A JP2022137855A (ja) | 2021-03-09 | 2021-03-09 | 白金ペースト |
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CN115925449A (zh) * | 2022-12-30 | 2023-04-07 | 浙江朗德电子科技有限公司 | 一种尾气传感器芯片用功能电极的制备方法 |
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CN115925449B (zh) * | 2022-12-30 | 2023-11-07 | 浙江朗德电子科技有限公司 | 一种尾气传感器芯片用功能电极的制备方法 |
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