JP2022134081A - 導電性ハニカム構造体の製造方法及び電気加熱式担体の製造方法 - Google Patents

導電性ハニカム構造体の製造方法及び電気加熱式担体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】簡便な方法でハニカム構造体内に所望の電気抵抗率分布を安定的に形成することが可能な導電性ハニカム構造体の製造方法及び電気加熱式担体の製造方法を提供する。【解決手段】導電性のセラミックス原料を含有する成形原料を押出成形して、外周壁と、流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム成形体を得る成形工程と、成形体を乾燥してハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、乾燥体を焼成してハニカム焼成体を得る焼成工程と、を備え、成形工程が、ハニカム焼成体における予め設定した所定の気孔率に対する、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、0.5%以内となるように、成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程を含み、所定の気孔率は、焼成体のセルの流路方向に垂直な断面において、所定の領域ごとに予め設定された気孔率である、導電性ハニカム構造体の製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、導電性ハニカム構造体の製造方法及び電気加熱式担体の製造方法に関する。
近年、エンジン始動直後の排気ガス浄化性能の低下を改善するため、電気加熱触媒(EHC)が提案されている。EHCは、例えば、導電性セラミックスからなる柱状のハニカム構造体に金属電極を接続し、通電によりハニカム構造体自体を発熱させることで、エンジン始動前に触媒の活性温度まで昇温できるようにしたものである。
特許文献1には、EHCにおいて電圧を印加して排ガスを浄化する際のエネルギーを低減するために、セルの延びる方向に直交する断面において、中央領域の電気抵抗率が、外周領域の電気抵抗率より低い構造を有するハニカム構造体が開示されている。
特許文献2には、EHCにおいて従来技術よりも発熱分布の偏りを抑制し均一に発熱させるために、ハニカム構造部が、側面を含む外周領域、中央の領域である中央領域、及び外周領域と中央領域を除いた中間領域から構成され、外周領域を構成する材料の平均電気抵抗率Aと、中央領域を構成する材料の平均電気抵抗率Bと、中間領域を構成する材料の平均電気抵抗率Cとが、A≦B<Cの関係を満たす構造を有するハニカム構造体が開示されている。
特許第6111122号公報 特開2019-173663号公報
特許文献1及び2に開示された技術では、ハニカム構造体の製造方法において、ハニカム構造体を構成する材料の制御、又は、焼成工程の焼成条件の制御によって、上述のようなハニカム構造体内の電気抵抗率の分布を制御している。しかしながら、焼成に使用する窯の内部及び窯間には、雰囲気または温度のばらつきが生じやすく、所望の電気抵抗率分布を安定的に形成されない場合があり、改善の余地があるものであった。
本発明は上記事情に鑑みて創作されたものであり、簡便な方法でハニカム構造体内に所望の電気抵抗率分布を安定的に形成することが可能な導電性ハニカム構造体の製造方法及び電気加熱式担体の製造方法を提供することを課題とする。
上記課題は、以下の本発明によって解決されるものであり、本発明は以下のように特定される。
(1)導電性のセラミックス原料を含有する成形原料を押出成形して、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム成形体を得る成形工程と、
前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、
前記ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を得る焼成工程と、
を備え、
前記成形工程が、前記ハニカム焼成体における予め設定した所定の気孔率に対する、前記ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、0.5%以内となるように、前記ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程を含み、
前記所定の気孔率は、前記ハニカム焼成体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、所定の領域ごとに予め設定された気孔率である、導電性ハニカム構造体の製造方法。
(2)導電性のセラミックス原料を含有する成形原料を押出成形して、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム成形体を得る成形工程と、
前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、
前記ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を得る焼成工程と、
を備え、
前記乾燥工程が、前記ハニカム焼成体における予め設定した所定の気孔率に対する、前記ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、0.5%以内となるように、前記ハニカム乾燥体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程を含み、
前記所定の気孔率は、前記ハニカム焼成体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、所定の領域ごとに予め設定された気孔率である、導電性ハニカム構造体の製造方法。
(3)前記ハニカム焼成体の側面に、セラミックス原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて、前記ハニカム焼成体の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの流路方向に帯状に延びるように一対の未焼成電極部を形成して、未焼成電極部付きハニカム焼成体を作製する工程と、
前記未焼成電極部付きハニカム焼成体を焼成して一対の電極部を有する導電性ハニカム構造体を作製する工程と、
を更に備えた、(1)または(2)に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
(4)(3)に記載の方法で製造された導電性ハニカム構造体の前記一対の電極部のそれぞれに、金属電極を電気的に接続する工程を備えた、電気加熱式担体の製造方法。
本発明によれば、簡便な方法でハニカム構造体内に所望の電気抵抗率分布を安定的に形成することが可能な導電性ハニカム構造体の製造方法及び電気加熱式担体の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態におけるハニカム構造体の外観模式図である。 本発明の実施形態におけるハニカム構造体(焼成体)の「中央領域」及び「外周領域」を説明するための断面模式図である。 本発明の実施形態における電気加熱式担体のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。 (a)及び(b)は、それぞれ本発明の実施形態における成形機から押し出されてハニカム成形体の先端の凹凸パターンが形成される様子を説明するための模式図である。 (a)~(d)は、それぞれ成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターンの例を示す断面模式図である。
次に本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
(1.ハニカム構造体)
図1は、本発明の実施形態におけるハニカム構造体10の外観模式図である。ハニカム構造体10は、柱状ハニカム構造部11と、電極部13a、13bとを備えている。なお、電極部13a、13bは、備えていなくてもよい。
(1-1.柱状ハニカム構造部)
柱状ハニカム構造部11は、外周壁12と、外周壁12の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセル18を区画形成する隔壁19とを有する。
柱状ハニカム構造部11の外形は柱状である限り特に限定されず、例えば、端面が円形の柱状(円柱形状)、端面がオーバル形状の柱状、端面が多角形(四角形、五角形、六角形、七角形、八角形等)の柱状等の形状とすることができる。また、柱状ハニカム構造部11の大きさは、耐熱性を高める(外周壁の周方向に入るクラックを抑制する)という理由により、端面の面積が2000~20000mm2であることが好ましく、5000~15000mm2であることが更に好ましい。
柱状ハニカム構造部11の材質としては、限定的ではないが、アルミナ、ムライト、ジルコニア及びコージェライト等の酸化物系セラミックス、炭化珪素、窒化珪素及び窒化アルミ等の非酸化物系セラミックスからなる群から選択することができる。また、炭化珪素-金属珪素複合材や炭化珪素/グラファイト複合材等を用いることもできる。これらの中でも、耐熱性と導電性の両立の観点から、柱状ハニカム構造部11の材質は、珪素-炭化珪素複合材又は炭化珪素を主成分とするセラミックスを含有していることが好ましい。柱状ハニカム構造部11の材質が、珪素-炭化珪素複合材を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。ここで、珪素-炭化珪素複合材は、骨材としての炭化珪素粒子、及び炭化珪素粒子を結合させる結合材としての珪素を含有するものであり、複数の炭化珪素粒子が、炭化珪素粒子間に細孔を形成するようにして、珪素によって結合されていることが好ましい。柱状ハニカム構造部11の材質が、炭化珪素を主成分とするものであるというときは、柱状ハニカム構造部11が、炭化珪素(合計質量)を、全体の90質量%以上含有していることを意味する。
柱状ハニカム構造部11が、珪素-炭化珪素複合材を含んでいる場合、柱状ハニカム構造部11に含有される「骨材としての炭化珪素粒子の質量」と、柱状ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」との合計に対する、柱状ハニカム構造部11に含有される「結合材としての珪素の質量」の比率が、10~40質量%であることが好ましく、15~35質量%であることが更に好ましい。
セル18の延伸方向に垂直な断面におけるセルの形状に制限はないが、四角形、六角形、八角形、又はこれらの組み合わせであることが好ましい。これらのなかでも、構造強度及び加熱均一性を両立させやすいという観点から、四角形及び六角形が好ましい。
セル18を区画形成する隔壁19の厚みは、0.1~0.3mmであることが好ましく、0.15~0.25mmであることがより好ましい。本発明において、隔壁19の厚みは、セル18の延伸方向に垂直な断面において、隣接するセル18の重心同士を結ぶ線分のうち、隔壁19を通過する部分の長さとして定義される。
柱状ハニカム構造部11は、セル18の流路方向に垂直な断面において、セル密度が40~150セル/cm2であることが好ましく、70~100セル/cm2であることが更に好ましい。セル密度をこのような範囲にすることにより、排気ガスを流したときの圧力損失を小さくした状態で、触媒の浄化性能を高くすることができる。セル密度は、外周壁12部分を除く柱状ハニカム構造部11の一つの端面部分の面積でセル数を除して得られる値である。
柱状ハニカム構造部11の外周壁12を設けることは、柱状ハニカム構造部11の構造強度を確保し、また、セル18を流れる流体が外周壁12から漏洩するのを抑制する観点で有用である。具体的には、外周壁12の厚みは好ましくは0.05mm以上であり、より好ましくは0.10mm以上、更により好ましくは0.15mm以上である。但し、外周壁12を厚くしすぎると高強度になりすぎてしまい、隔壁19との強度バランスが崩れて耐熱衝撃性が低下する。また、熱容量が増加することで外周壁の内周側及び外周側で温度差が発生し、耐熱衝撃性が低下する。このような観点から、外周壁12の厚みは好ましくは1.0mm以下であり、より好ましくは0.7mm以下であり、更により好ましくは0.5mm以下である。ここで、外周壁12の厚みは、厚みを測定しようとする外周壁12の箇所をセルの延伸方向に垂直な断面で観察したときに、当該測定箇所における外周壁12の接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
柱状ハニカム構造部11の隔壁19の平均細孔径は、2~15μmであることが好ましく、4~8μmであることが更に好ましい。平均細孔径は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
隔壁19は気孔を有する。隔壁19の気孔率は、35~60%であることが好ましく、35~45%であることが更に好ましい。気孔率は、水銀ポロシメータにより測定した値である。
ハニカム構造体10は、図2に示すように、セル18の流路方向に垂直な断面において、断面の半径をrとしたとき、断面の中心から1/2rまでの中央領域の気孔率に対する、1/2r~rまでの外周領域の気孔率の差の絶対値が、0.5%以内であってもよい。なお、図2は、ハニカム構造体10の断面の外形を簡略的に示すものであり、セル18、隔壁19及び外周壁12等の記載は省略している。このような構成によれば、ハニカム構造体10が、セル18の流路方向に垂直な断面において、径方向の中央から内側の領域(中央領域)の気孔率に対し、外側の領域(外周領域)の気孔率が所定の数値範囲内に制御されているため、当該中央領域の電気抵抗率に対し、当該外周領域の電気抵抗率を所定範囲内に制御することができる。このため、ハニカム構造体10をEHCに用いたときに、電圧を印加して排気ガスを浄化する際のエネルギーを低減する、または、発熱分布の偏りを抑制し均一に発熱させる等、所望の効果を適宜得ることができる。
また、前記断面の中心から1/2rまでの中央領域の気孔率に対し、1/2r~rまでの外周領域の気孔率の差異が、-0.5%以下、+0.5%以上であってもよく、-1%以下、+1%以上であってもよい。つまり、前記断面の中心から1/2rまでの中央領域の気孔率と1/2r~rまでの外周領域の気孔率との差の絶対値を、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上とすることを意味する。このように、中央領域と外周領域とで気孔率の差を設けることにより、冷熱耐久性の観点からハニカム構造体10内の強度分布の最適化が可能となる。上限としては、特に限定はないが、-5%以上、+5%以下であってよい。
柱状ハニカム構造部11は、セラミックス製であり、導電性を有する。導電性の柱状ハニカム構造部11が通電してジュール熱により発熱可能である限り、当該セラミックスの電気抵抗率については特に制限はないが、0.1~200Ωcmであることが好ましく、1~200Ωcmがより好ましい。本発明において、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
ハニカム構造体10内の電気抵抗率分布は、適宜所望の分布状態に制御されていてもよい。ハニカム構造体10内の電気抵抗率分布は、ハニカム構造体10のセル18の流路方向に垂直な断面において、断面の半径をrとしたとき、断面の中心から1/2rまでの中央領域の電気抵抗率に対し、1/2r~rまでの外周領域の電気抵抗率を所定範囲内に制御してもよい。このような構成によれば、ハニカム構造体10をEHCに用いたときに、電圧を印加して排気ガスを浄化する際のエネルギーを低減する、または、発熱分布の偏りを抑制し均一に発熱させる等、所望の効果を適宜得ることができる。また、ハニカム構造体10内の電気抵抗率分布は、例えば、特許文献1に開示されているように、電圧を印加して排気ガスを浄化する際のエネルギーを低減するために、セル18の延びる方向に直交する断面において、中央領域の電気抵抗率が、外周領域の電気抵抗率より低くなるように制御してもよい。また、特許文献2に開示されているように、発熱分布の偏りを抑制し均一に発熱させるために、ハニカム構造体10が、側面を含む外周領域、中央の領域である中央領域、及び外周領域と中央領域を除いた中間領域から構成され、外周領域を構成する材料の平均電気抵抗率Aと、中央領域を構成する材料の平均電気抵抗率Bと、中間領域を構成する材料の平均電気抵抗率Cとが、A≦B<Cの関係を満たすように制御してもよい。また、これらに限らず、ハニカム構造体10内の電気抵抗率分布を均一に制御してもよく、その他、種々の目的に合わせて様々な電気抵抗率分布に制御してもよい。本発明において、ハニカム構造体10内の各部位より試験片を採取し、その試験片の電気抵抗率を4端子法等で測定しマッピングすることで、面内の電気抵抗率分布を測定することができる。
(1-2.電極部)
本発明の実施形態に係るハニカム構造体10は、柱状ハニカム構造部11の中心軸を挟んで、外周壁12の外面上において、セル18の流路方向に帯状に延びるように、一対の電極部13a、13bが設けられている。一対の電極部13a、13bがこのように設けられていることで、ハニカム構造体の均一発熱性を高めることができる。電極部13a、13bは、ハニカム構造体の両端面間の80%以上の長さに亘って、好ましくは90%以上の長さに亘って、より好ましくは全長に亘って延びていることが、電極部13a、13bの軸方向へ電流が広がりやすいという観点から望ましい。なお、電極部13a、13bは設けなくてもよい。
電極部13a、13bの厚みは、0.01~5mmであることが好ましく、0.01~3mmであることが更に好ましい。このような範囲とすることにより均一発熱性を高めることができる。電極部13a、13bの厚みは、厚みを測定しようとする箇所をセル18の延伸方向に垂直な断面で観察したときに、電極部13a、13bの外面の当該測定箇所における接線に対する法線方向の厚みとして定義される。
電極部13a、13bの電気抵抗率を柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率より低くすることにより、電極部13a、13bに優先的に電気が流れやすくなり、通電時に電気がセル18の流路方向及び周方向に広がりやすくなる。電極部13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/10以下であることが好ましく、1/20以下であることがより好ましく、1/30以下であることが更により好ましい。但し、両者の電気抵抗率の差が大きくなりすぎると、対向する電極部の端部間に電流が集中して柱状ハニカム構造部11の発熱が偏ることから、電極部13a、13bの電気抵抗率は、柱状ハニカム構造部11の電気抵抗率の1/200以上であることが好ましく、1/150以上であることがより好ましく、1/100以上であることが更により好ましい。本発明において、電極部13a、13bの電気抵抗率は、四端子法により25℃で測定した値とする。
電極部13a、13bの材質は、導電性セラミックス、金属、又は金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)を使用することができる。金属としては、例えばCr、Fe、Co、Ni、Si又はTiの単体金属又はこれらの金属よりなる群から選択される少なくとも一種の金属を含有する合金が挙げられる。導電性セラミックスとしては、限定的ではないが、炭化珪素(SiC)が挙げられ、珪化タンタル(TaSi2)及び珪化クロム(CrSi2)等の金属珪化物等の金属化合物が挙げられる。金属及び導電性セラミックスとの複合材(サーメット)の具体例としては、金属珪素と炭化珪素の複合材、珪化タンタルや珪化クロム等の金属珪化物と金属珪素と炭化珪素の複合材、更には上記の一種又は二種以上の金属に熱膨張低減の観点から、アルミナ、ムライト、ジルコニア、コージェライト、窒化珪素及び窒化アルミ等の絶縁性セラミックスを一種又は二種以上添加した複合材が挙げられる。
(2.電気加熱式担体)
図3は、本発明の実施形態における電気加熱式担体30のセルの延伸方向に垂直な断面模式図である。電気加熱式担体30は、ハニカム構造体10と、ハニカム構造体10の電極部13a、13bに電気的に接続された金属電極33a、33bとを備えている。
(2-1.金属電極)
金属電極33a、33bは、ハニカム構造体10の電極部13a、13b上に設けられている。金属電極33a、33bは、一方の金属電極33aが、他方の金属電極33bに対して、柱状ハニカム構造部11の中心軸を挟んで対向するように配設される一対の金属電極であってもよい。金属電極33a、33bは、電極部13a、13bを介して電圧を印加すると通電してジュール熱により柱状ハニカム構造部11を発熱させることが可能である。このため、電気加熱式担体30はヒーターとしても好適に用いることができる。印加する電圧は12~900Vが好ましく、48~600Vが更に好ましいが、印加する電圧は適宜変更可能である。
金属電極33a、33bの材質としては、金属であれば特段の制約はなく、単体金属及び合金等を採用することもできるが、耐食性、電気抵抗率及び線膨張率の観点から例えば、Cr、Fe、Co、Ni及びTiよりなる群から選択される少なくとも一種を含む合金とすることが好ましく、ステンレス鋼及びFe-Ni合金がより好ましい。金属電極33a、33bの形状及び大きさは、特に限定されず、電気加熱式担体30の大きさや通電性能等に応じて、適宜設計することができる。
電気加熱式担体30に触媒を担持することにより、電気加熱式担体30を触媒体として使用することができる。ハニカム構造体10の複数のセル18の流路には、例えば、自動車排気ガス等の流体を流すことができる。触媒としては、例えば、貴金属系触媒又はこれら以外の触媒が挙げられる。貴金属系触媒としては、白金(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)といった貴金属をアルミナ細孔表面に担持し、セリア、ジルコニア等の助触媒を含む三元触媒や酸化触媒、又は、アルカリ土類金属と白金を窒素酸化物(NOx)の吸蔵成分として含むNOx吸蔵還元触媒(LNT触媒)が例示される。貴金属を用いない触媒として、銅置換又は鉄置換ゼオライトを含むNOx選択還元触媒(SCR触媒)等が例示される。また、これらの触媒からなる群から選択される二種以上の触媒を用いてもよい。なお、触媒の担持方法についても特に制限はなく、従来、ハニカム構造体に触媒を担持する担持方法に準じて行うことができる。
(3.ハニカム構造体の製造方法)
次に、本発明の実施形態に係るハニカム構造体10の製造方法について説明する。本発明の実施形態に係るハニカム構造体10は、成形工程で気孔率(気孔となり得る部分の体積率)を制御する実施形態1に係る製造方法、または、乾燥工程で気孔率(気孔となり得る部分の体積率)を制御する実施形態2に係る製造方法のいずれかによって製造することができる。
<実施形態1に係る製造方法>
本発明の実施形態1に係るハニカム構造体10の製造方法は、ハニカム成形体を得る成形工程と、ハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、ハニカム焼成体を得る焼成工程と、を備える。
(成形工程)
成形工程では、まず、導電性のセラミックス原料を含有する成形原料を準備する。成形原料は、例えば、炭化珪素粉末(炭化珪素)に、金属珪素粉末(金属珪素)、バインダ、界面活性剤、造孔材、水等を添加して作製する。炭化珪素粉末の質量と金属珪素の質量との合計に対して、金属珪素の質量が10~40質量%となるようにすることが好ましい。炭化珪素粉末における炭化珪素粒子の平均粒子径は、3~50μmが好ましく、3~40μmが更に好ましい。金属珪素(金属珪素粉末)の平均粒子径は、2~35μmであることが好ましい。炭化珪素粒子及び金属珪素(金属珪素粒子)の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。炭化珪素粒子は、炭化珪素粉末を構成する炭化珪素の微粒子であり、金属珪素粒子は、金属珪素粉末を構成する金属珪素の微粒子である。なお、これは、ハニカム構造体の材質を、珪素-炭化珪素系複合材とする場合の成形原料の配合であり、当該材質を炭化珪素とする場合には、金属珪素は添加しない。
バインダとしては、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロポキシルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール等を挙げることができる。これらの中でも、メチルセルロースとヒドロキシプロポキシルセルロースとを併用することが好ましい。バインダの含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、2.0~10.0質量部であることが好ましい。
水の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、20~60質量部であることが好ましい。
界面活性剤としては、エチレングリコール、デキストリン、脂肪酸石鹸、ポリアルコール等を用いることができる。これらは、一種単独で使用してもよいし、二種以上を組み合わせて使用してもよい。界面活性剤の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.1~2.0質量部であることが好ましい。
造孔材としては、焼成後に気孔となるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、グラファイト、澱粉、発泡樹脂、吸水性樹脂、シリカゲル等を挙げることができる。造孔材の含有量は、炭化珪素粉末及び金属珪素粉末の合計質量を100質量部としたときに、0.5~10.0質量部であることが好ましい。造孔材の平均粒子径は、10~30μmであることが好ましい。造孔材の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。造孔材が吸水性樹脂の場合には、造孔材の平均粒子径は吸水後の平均粒子径を指す。
次に、得られた成形原料を混練して坏土(以下、ホケとも称する)を形成した後、坏土を押出成形してハニカム成形体を作製する。ハニカム成形体は、外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有する。
成形工程では、ハニカム焼成体における予め設定した所定の気孔率に対する、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、0.5%以内となるように、ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程を含む。所定の気孔率とは、ハニカム焼成体のセルの流路方向に垂直な断面において、所定の領域ごとに予め設定された気孔率である。ここで、上述の予め設定する所定の気孔率は、最終的に得られる焼成工程後のハニカム構造体内の所定の領域における所望する気孔率とし、具体的には、気孔率が35~60%の範囲の中で設定される。このような構成によれば、成形工程で所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することで、最終的に得られる焼成工程後のハニカム構造体内の所定の領域における気孔率を制御することができる。その結果、所定の領域における電気抵抗率を制御することができる。このように、雰囲気または温度のばらつきの影響を受ける焼成工程での電気抵抗率の調整ではなく、成形工程において、ハニカム成形体内の気孔となり得る部分の体積率の分布を制御することで電気抵抗率を調整するため、簡便な方法でハニカム構造体内に所望の電気抵抗率分布を安定的に形成することができる。また、焼成工程においてハニカム焼成体内の気孔率を制御する必要がないため、焼成時に使用する、囲い、製品を載せる棚板、棚板の上に敷く砂(目砂)、及び、囲いの上に乗せる蓋(天板)等の焼成道具の消耗を抑制することができる。さらに、所定の領域ごとに予め所定の気孔率を設定し、予め設定した所定の気孔率に対する、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値が、0.5%以内となるように、当該体積率を制御することで、最終的に得られるハニカム構造体内に所望の気孔率分布を形成することができる。その結果、ハニカム構造体内に所望の電気抵抗率分布を形成することができる。更に、ハニカム構造体の気孔率を所定の形態に分布させるため、強度やヤング率等の材料特性の所望の分布状態も形成することができる。
上記ハニカム成形体内の気孔となり得る部分の体積率は、ハニカム成形体を乾燥し、さらに焼成することで作製した焼成体において、気孔となる部分の体積率(ハニカム焼成体の気孔率)をいう。当該焼成体において気孔となる部分は、ハニカム成形体の段階では、気孔、造孔材及び水分等に対応する。このように、ハニカム成形体内の気孔となり得る部分の体積率は、ハニカム成形体に含まれる気孔、造孔材及び水分の合計の、前記ハニカム成形体の所定の領域における体積率を示す。
ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の測定としては、まず、ハニカム成形体の所定の領域から試料を切り出し、これを乾燥、焼成して焼成体の試料を得る。次に、この焼成体の試料を、水銀ポロシメータによる測定、SEM(走査電子顕微鏡)による画像から気孔面積率の算出、などによって気孔率を測定し、これを上記のハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率とする。なお、焼成体の試料を作製する際の乾燥および焼成の条件としては、後述するハニカム焼成体を作製する際の、乾燥および焼成の条件と同様である。
上述の「所定の領域」については、特に限定されず、例えば、セルの流路方向に垂直な断面において、後述の中央領域と外周領域、一方の半円領域と他方の半円領域、または、複数の島状の領域とその他の領域等、目的に応じて適宜設計することができる。所定の領域は、細かく設定することにより、より精細な電気抵抗率分布を形成することができる。
また、上記所定の領域として、ハニカム焼成体のセルの流路方向に垂直な断面において、断面の半径をrとしたときの、断面の中心から1/2rまでの中央領域、及び、1/2r~rまでの外周領域を有してもよい。このように所定の領域を設定し、ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程が、ハニカム焼成体における予め設定した中央領域及び外周領域の所定の気孔率に対する、ハニカム成形体の中央領域及び外周領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、それぞれ0.5%以内となるように制御してもよい。このような構成によれば、最終的に得られるハニカム構造体が、セルの流路方向に垂直な断面において、径方向の中央から内側の領域(中央領域)の気孔率に対し、外側の領域(外周領域)の気孔となり得る部分の体積率が所定の数値範囲内に制御されているため、当該中央領域の電気抵抗率に対し、当該外周領域の電気抵抗率を所定範囲内に制御することができる。このため、ハニカム構造体をEHCに用いたときに、電圧を印加して排気ガスを浄化する際のエネルギーを低減する、または、発熱分布の偏りを抑制し均一に発熱させる等、所望の効果を適宜得ることができる。
上述のハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の制御は、以下に例示する、(1)ホケ内の密度分布の制御、または、(2)ハニカム成形体内の密度分布の制御等によって行うことができる。なお、当該(1)及び(2)の制御は、併用してもよい。
(1)ホケ内の密度分布の制御
ホケ内の密度分布を制御することによって、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。ホケは土と内在水分と内在空気で構成されており、土練機を用いて作製される。ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御する点から、ホケの密度としては、1.5~2.2g/cm3であることが好ましく、1.7~2.0g/cm3であることがより好ましい。ホケの密度を上記範囲に制御する方法としては、例えば、土練機で使用するスクリューの回転数、土練機内の真空度、及び/または、土練機内の温度分布を制御する方法が挙げられる。これらの方法により、ホケ内の内在空気の含有量を所定領域において制御することにより、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。また、土に含まれる造孔材をスクリューの回転数、土練機内の真空度、土練機内の温度分布を制御することでホケの中に意図的に偏在させ、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。土練機で使用するスクリューの回転数を制御することにより、ホケ内の所定の領域の気泡の割合を制御することができる。土練機で使用するスクリューの回転数としては、特に限定されず、所望のホケ内の密度分布によって適宜選択することが可能であるが、例えば、600~3000rpmとすることができる。
土練機内の真空度を制御することにより、ホケ内の所定の領域の内在空気の割合を制御することができる。土練機内の真空度としては、特に限定されず、所望のホケ内の密度分布によって適宜選択することが可能であるが、例えば、-0.09~-0.10Paとすることができる。
土練機内の温度分布を制御することにより、ホケ内の所定の領域の内在空気の割合を制御することができる。土練機内の温度分布は、土練機内のチラー(冷却水循環装置)の温度、または、冷却水の流量を調節することで制御することができる。土練機内のチラーの温度は、特に限定されないが、-10~20℃とすることができる。冷却水の流量は、特に限定されないが、5~30m3/sとすることができる。
(2)ハニカム成形体内の密度分布の制御
ハニカム成形体内の密度分布を制御することによって、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。成形原料を口金を含む成形機を用いて、成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターンを制御することで、成形機から押し出される土量や流速を制御し、ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターンを制御する方法としては、例えば、成形機内の温度分布、坏土の経路の口金の上流側に設けられている絞り治具の坏土の経路方向の長さ、バックプレートの穴径とピッチの配置、及び/または、ハニカム成形体の長さを制御する方法が挙げられる。
図4(a)、(b)に示すように、成形機40から坏土42を押し出して成形したハニカム成形体の先端の凹凸パターンを制御することで、成形機40から押し出されるハニカム成形体内に、押し出し方向における流速の差が生じる。成形機40から押し出されるハニカム成形体の先端が凸状であれば、図4(a)に示すように、セルの流路方向に垂直な断面において、口金41から押し出されるハニカム成形体の中央部分の流速及び土量が大きくなり、気孔率が小さくなる。一方、成形機40から押し出されるハニカム成形体の先端が凹状であれば、図4(b)に示すように、セルの流路方向に垂直な断面において、口金41から押し出されるハニカム成形体の中央部分の流速及び土量が小さくなり、気孔率が大きくなる。
成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターンは、特に限定されず、所望のハニカム成形体内の密度分布に応じて適宜設計することができる。成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターンの例を図5(a)~(d)に示す。図5(a)はハニカム成形体43の先端の中央が盛り上がったパターン、図5(b)はハニカム成形体43の先端の中央が陥没したパターン、図5(c)はハニカム成形体43の先端が傾斜したパターン、図5(d)はハニカム成形体43の先端に凹凸があるパターンを示している。
成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターンは、成形機の口金に取り付けるバックプレート、網、及び/または、口金の裏側の押え板(裏押え)の孔径の大きさ及びその分布状態を調節すること等によって適宜形成することができる。
成形機内の温度分布を制御することで、ハニカム成形体内の内在空気の割合を制御することができ、これによって密度分布を制御することができる。成形機内の温度分布は、成形機内のチラー(冷却水循環装置)の温度、または、冷却水の流量を調節することで制御することができる。成形機内のチラーの温度は、特に限定されないが、-10~20℃とすることができる。冷却水の流量は、特に限定されないが、5~30m3/sとすることができる。
坏土(成形原料)の経路の口金の上流側に設けられている絞り治具の坏土の経路方向の長さを制御することで、ハニカム成形体内の密度分布を制御することができる。絞り治具による絞り後の坏土の経路方向の長さを大きくすると、搬送時間が長くなり、特に外周領域の水分飛散率を大きくすることができ、これによってハニカム成形体内の密度分布を制御することができる。坏土の経路方向の長さは、特に限定されないが、10~20cmとすることができる。また、絞り後の坏土の径と、経路方向の長さとの比率を制御することで、成形体の外形を適宜設計することができ、これによって水分飛散率をより詳細に制御することで、ハニカム成形体内の密度分布をより詳細に制御することができる。絞り後の坏土の径(A)と、経路方向の長さ(B)との比率(A/B)は、特に限定されないが、0.8~1.5倍とすることができる。
ハニカム成形体の長さを制御することで、ハニカム成形体内の密度分布を制御することができる。ハニカム成形体を長くすると、搬送時間が長くなり、特に外周領域の水分飛散率を大きくすることができ、これによってハニカム成形体内の密度分布を制御することができる。
(乾燥工程)
次に、得られたハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する。乾燥方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30~99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、50~120℃とすることが好ましい。
(焼成工程)
次に、得られたハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製する。焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
ハニカム焼成体は、このままハニカム構造体としてもよく、ハニカム焼成体の側面に電極部を設けることで、電極部を有するハニカム構造体を作製してもよい。電極部を有するハニカム構造体の製造方法としては、まず、ハニカム焼成体の側面に、セラミックス原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて、ハニカム焼成体の中心軸を挟んで、外周壁の外面上において、セルの流路方向に帯状に延びるように一対の未焼成電極部を形成して、未焼成電極部付きハニカム焼成体を作製する。次に、未焼成電極部付きハニカム焼成体を焼成して一対の電極部を有するハニカム構造体を作製する。電極部の形成は、ハニカム焼成体ではなく、ハニカム乾燥体に電極部形成原料を塗布、乾燥させて、未焼成電極部を形成し、これを焼成して電極部付きハニカム焼成体を作製してもよい。
電極部形成原料は、電極部の要求特性に応じて配合した原料粉(金属粉末、及び/又は、セラミックス粉末等)に各種添加剤を適宜添加して混練することで形成することができる。電極部を積層構造とする場合、第一の電極部用のペースト中の金属粉末の平均粒子径に比べて、第二の電極部用のペースト中の金属粉末の平均粒子径を大きくすることにより、金属端子と電極部の接合強度が向上する傾向にある。金属粉末の平均粒子径はレーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
電極部形成原料を調合する方法、及び電極部形成原料をハニカム焼成体に塗布する方法については、公知のハニカム構造体の製造方法に準じて行うことができるが、電極部をハニカム構造部に比べて低い電気抵抗率にするために、ハニカム構造部よりも金属の含有比率を高める、または、金属粒子の粒径を小さくすることができる。
未焼成電極部付きハニカム焼成体を焼成する前に、未焼成電極部付きハニカム焼成体を乾燥してもよい。また、焼成の前に、バインダ等を除去するため、脱脂を行ってもよい。未焼成電極部付きハニカム焼成体の焼成条件としては、窒素、アルゴン等の不活性雰囲気において、1400~1500℃で、1~20時間加熱することが好ましい。また、焼成後、耐久性向上のために、1200~1350℃で、1~10時間、酸化処理を行うことが好ましい。脱脂及び焼成の方法は特に限定されず、電気炉、ガス炉等を用いて焼成することができる。
<実施形態2に係る製造方法>
本発明の実施形態2に係るハニカム構造体の製造方法は、ハニカム成形体を得る成形工程と、ハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、ハニカム焼成体を得る焼成工程と、を備える。
(成形工程)
成形工程では、上述の実施形態1に係るハニカム構造体の製造方法と同様の成形原料を使用し、当該成形原料を押出成形して、外周壁と、外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム成形体を作製する。実施形態2に係るハニカム構造体の製造方法では、成形工程において気孔となり得る部分の体積率の制御は実施せず、後段の乾燥工程にて気孔となり得る部分の体積率の制御を行う。
(乾燥工程)
次に、得られたハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を作製する。当該乾燥工程が、ハニカム焼成体における予め設定した所定の気孔率に対する、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、0.5%以内となるように、ハニカム乾燥体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程を含む。所定の気孔率とは、ハニカム乾燥体のセルの流路方向に垂直な断面において、所定の領域ごとに予め設定された気孔率である。このような構成によれば、乾燥工程で所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することで、最終的に得られるハニカム構造体内の所定の領域における気孔率を制御することができ、その結果、所定の領域における電気抵抗率を制御することができる。このように、雰囲気または温度のばらつきの影響を受ける焼成工程での電気抵抗率の調整ではなく、乾燥工程において、ハニカム乾燥体内の気孔となり得る部分の体積率の分布を制御することで電気抵抗率を調整するため、簡便な方法でハニカム構造体内に所望の電気抵抗率分布を安定的に形成することができる。また、焼成工程においてハニカム焼成体内の気孔率を制御する必要がないため、焼成時に使用する、囲い、製品を載せる棚板、棚板の上に敷く砂(目砂)、及び、囲いの上に乗せる蓋(天板)等の焼成道具の消耗を抑制することができる。さらに、所定の領域ごとに予め所定の気孔率を設定し、予め設定した所定の気孔率に対する、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値が、0.5%以内となるように、ハニカム乾燥体を作製することで、最終的に得られるハニカム構造体内に所望の気孔率分布を形成することができ、その結果、ハニカム構造体内に所望の電気抵抗率分布を形成することができる。更に、ハニカム構造体の気孔率を所定の形態に分布させるため、強度やヤング率等の材料特性の所望の分布状態も形成することができる。
上記ハニカム乾燥体内の気孔となり得る部分の体積率は、ハニカム乾燥体を焼成することで作製した焼成体において、気孔となる部分の体積率(ハニカム焼成体の気孔率)をいう。当該焼成体において気孔となる部分は、ハニカム乾燥体の段階では、気孔、造孔材及び水分等に対応する。このように、ハニカム乾燥体内の気孔となり得る部分の体積率は、ハニカム乾燥体に含まれる気孔、造孔材及び水分の合計の、前記ハニカム乾燥体の所定の領域における体積率を示す。
また、上記所定の領域として、ハニカム焼成体のセルの流路方向に垂直な断面において、断面の半径をrとしたときの、断面の中心から1/2rまでの中央領域、及び、1/2r~rまでの外周領域を有してもよい。このように所定の領域を設定し、ハニカム乾燥体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程が、ハニカム焼成体における予め設定した中央領域及び外周領域の所定の気孔率に対する、ハニカム乾燥体の中央領域及び外周領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、それぞれ0.5%以内となるように制御してもよい。このような構成によれば、最終的に得られるハニカム構造体が、セルの流路方向に垂直な断面において、径方向の中央から内側の領域(中央領域)の気孔率に対し、外側の領域(外周領域)の気孔率が所定の数値範囲内に制御されているため、当該中央領域の電気抵抗率に対し、当該外周領域の電気抵抗率を所定範囲内に制御することができる。このため、ハニカム構造体をEHCに用いたときに、電圧を印加して排気ガスを浄化する際のエネルギーを低減する、または、発熱分布の偏りを抑制し均一に発熱させる等、所望の効果を適宜得ることができる。
上述のハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の制御は、以下に例示する、(1)ハニカム成形体の水分飛散率の制御等により行ってもよい。また、(1)は、以下に例示する、(2)誘電加熱により乾燥する場合に使用する平行平板電極の電極間距離の制御、または、(3)ハニカム成形体の乾燥時間の制御等によって行うことができる。なお、以下に示す(2)、(3)の制御は、二種以上を併用してもよい。
(1)ハニカム成形体の水分飛散率の制御
ハニカム成形体の水分飛散率を制御することによって、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。具体的には、上記(2)および(3)の制御に加え、乾燥工程において、炉内の相対湿度や湿球温度の制御を行うことで、ハニカム成形体の所定領域の水分飛散率を制御し、これによって、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。
(2)誘電加熱により乾燥する場合に使用する平行平板電極の電極間距離の制御
誘電加熱により乾燥する場合に使用する平行平板電極の電極間距離を制御することによって、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。具体的には、平行平板電極の電極間距離を短くすることで、ハニカム成形体の水分飛散率を大きくすることができる。また、平行平板電極の電極間距離を長くすることで、ハニカム成形体の水分飛散率を小さくすることができる。このようにハニカム成形体内において水分飛散率を制御することにより、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。平行平板電極の電極間距離は、特に限定されず、所望の水分飛散率によって適宜設計することができるが、例えば、ハニカム乾燥体を覆うように設けたハニカムカバー部材より5~150mm高くなるように制御してもよく、ハニカムカバー部材より20~40mm高くなるように制御してもよい。
(3)ハニカム成形体の乾燥時間の制御
乾燥工程時におけるハニカム成形体の乾燥時間を制御することによって、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。具体的には、ハニカム成形体の乾燥時間を長くすると、特に外周領域の水分飛散率を大きくすることができる。また、ハニカム成形体の乾燥時間を短くすると、特に外周領域の水分飛散率を抑えることができる。このようにハニカム成形体内において水分飛散率を制御することにより、ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率を制御することができる。ハニカム成形体の乾燥時間は、特に限定されず、所望の水分飛散率によって適宜設計することができるが、例えば10~180分としてもよく、15~30分としてもよい。また、当該乾燥時間は、例えば、ハニカム成形体の搬送速度を制御することにより調整することができる。ハニカム成形体の搬送速度を低くすると、搬送時間が長くなり、乾燥時間が長くなる。また、ハニカム成形体の搬送速度を高くすると、搬送時間が短くなり、乾燥時間が短くなる。ハニカム成形体の搬送速度は、特に限定されず、所望の水分飛散率によって適宜設計することができるが、例えば50~400mm/分としてもよく、150~200mm/分としてもよい。
乾燥工程では、上述の(1)~(3)のいずれかの制御を行うこと以外は、乾燥方法は特に限定されず、例えば、マイクロ波加熱乾燥、高周波誘電加熱乾燥等の電磁波加熱方式と、熱風乾燥、過熱水蒸気乾燥等の外部加熱方式とを挙げることができる。これらの中でも、成形体全体を迅速かつ均一に、クラックが生じないように乾燥することができる点で、電磁波加熱方式で一定量の水分を乾燥させた後、残りの水分を外部加熱方式により乾燥させることが好ましい。乾燥の条件として、電磁波加熱方式にて、乾燥前の水分量に対して、30~99質量%の水分を除いた後、外部加熱方式にて、3質量%以下の水分にすることが好ましい。電磁波加熱方式としては、誘電加熱乾燥が好ましく、外部加熱方式としては、熱風乾燥が好ましい。乾燥温度は、50~130℃とすることが好ましく、より好ましくは80~130℃である。
(焼成工程)
次に、得られたハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を作製する。実施形態2における焼成工程は、実施形態1における焼成工程と同様の条件でハニカム焼成体の焼成を行うことができる。また、実施形態1と同様に、ハニカム焼成体は、このままハニカム構造体としてもよく、ハニカム焼成体の側面に電極部を設けることで、電極部を有するハニカム構造体を作製してもよい。
(4.電気加熱式担体の製造方法)
本発明の実施形態に係る電気加熱式担体30の製造方法は一実施形態において、ハニカム構造体10の一対の電極部のそれぞれに、金属電極を電気的に接続する。接続方法としては、例えば、レーザー溶接、溶射、超音波溶接などが挙げられる。より具体的には、柱状ハニカム構造部11の中心軸を挟んで、電極部の表面上において、一対の金属電極を設ける。このようにして、本発明の実施形態に係る電気加熱式担体30が得られる。このような構成によれば、電気加熱式担体のハニカム構造体内が所望の電気抵抗率分布に制御されているため、排気ガスを浄化する際のエネルギーを低減する、または、発熱分布の偏りを抑制し均一に発熱させること等の所望の効果を有する電気加熱式担体を製造することができる。
(5.排気ガス浄化装置)
上述した本発明の実施形態に係る電気加熱式担体は、排気ガス浄化装置に用いることができる。当該排気ガス浄化装置は、電気加熱式担体と、当該電気加熱式担体を保持する金属製の筒状部材とを有する。排気ガス浄化装置において、電気加熱式担体は、エンジンからの排気ガスを流すための排気ガス流路の途中に設置される。
以下、本発明及びその利点をより良く理解するための実施例を例示するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<実施例1~3、比較例1、2>
(1.坏土の作製)
炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末とを80:20の質量割合で混合してセラミックス原料を調製した。そして、セラミックス原料に、バインダとしてヒドロキシプロピルメチルセルロース、造孔材として吸水性樹脂を添加すると共に、水を添加して成形原料とした。そして、成形原料を真空土練機により混練し、円柱状の坏土を作製した。真空土練機のスクリュー回転数、真空度、内外温度差、ホケ密度を表1に示す。バインダの含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに7.0質量部とした。造孔材の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに3.0質量部とした。水の含有量は炭化珪素(SiC)粉末と金属珪素(Si)粉末の合計を100質量部としたときに42質量部とした。炭化珪素粉末の平均粒子径は20μmであり、金属珪素粉末の平均粒子径は6μmであった。また、造孔材の平均粒子径は20μmであった。炭化珪素粉末、金属珪素粉末及び造孔材の平均粒子径は、レーザー回折法で粒度の頻度分布を測定したときの、体積基準による算術平均径を指す。
(2.ハニカム成形体の作製)
得られた円柱状の坏土を碁盤目状の口金構造を有する押出成形機を用いて成形し、セルの流路方向に垂直な断面における各セル形状が六角形である円柱状ハニカム成形体を得た。このとき、押出成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凸度及び押出成形機の真空度を表1に記載の通り制御した。実施例1~3はハニカム成形体の先端の凸度が0mm、すなわち、先端が平坦なハニカム成形体であった。比較例1は成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターンが図5(a)に示した凸状(凸度:h1=5mm)であり、比較例2は図5(b)に示した凹状(凸度:h2=-5mm)であった。ハニカム成形体の気孔となる部分の体積率は、ハニカム成形体から中央領域と外周領域が含まれるように試料を切り出し、これを後述のハニカム焼成体を作製するときと同じ乾燥および焼成の条件で焼成体の試料を作製した。次に作製した焼成体の試料から、中央領域と外周領域において、気孔率を水銀ポロシメータにより測定し、これをハニカム成形体の気孔となる部分の体積率とした。ハニカム乾燥体の気孔となる部分の体積率についても、同様に焼成体の試料を作製して、焼成体の試料の気孔率を測定して、当該体積率とした。
(3.ハニカム乾燥体の作製)
次に、ハニカム成形体を高周波誘電加熱乾燥した後、熱風乾燥機を用いて120℃で2時間乾燥し、ハニカム乾燥体を作製した。乾燥工程のハニカム成形体の搬送速度、高周波誘電加熱乾燥に用いた電極の高さ、及び、当該高周波誘電加熱乾燥による誘電飛散率を表1に示す。表1の「電極高さ」は、誘電加熱の際の、ハニカム乾燥体を覆うように設けたハニカムカバー部材より電極がどれだけ高い位置にあるかを示している。また、「誘電飛散率」は、ハニカム成形体の質量とハニカム乾燥体の質量との差から飛散水分量を求め、これをハニカム成形体に含まれる内在水分で割ることにより求めた。
このようにして、ハニカム焼成体のセルの流路方向に垂直な断面において、断面の半径をrとしたとき、断面の中心から1/2rまでの中央領域、及び、1/2r~rまでの外周領域について、予め表2に記載の気孔率となるように制御した。なお、ハニカム乾燥体の気孔率は、中央領域及び外周領域について、それぞれ水銀ポロシメータにより測定した。
(4.ハニカム焼成体の作製)
次に、ハニカム乾燥体をAr雰囲気にて1400℃で3時間焼成し、ハニカム焼成体(柱状のハニカム構造体)を得た。得られたハニカム焼成体の気孔率を、中央領域及び外周領域について、それぞれ水銀ポロシメータにより測定した。
ハニカム構造体は、端面が直径100mmの円形であり、高さ(セルの流路方向における長さ)が100mmであった。セル密度は93セル/cm2であり、隔壁の厚みは101.6μmであり、隔壁の平均細孔径は8.6μmであった。
(5.抵抗率の評価)
ハニカム焼成体から棒状に切り出した試料に、銀ペーストと銀線とを軸方向に4箇所配置し、これを4端子法で測定した。測定結果である表2に記載の中央領域及び外周領域の各抵抗率は、中央領域の気孔率が38.0%である焼成体の抵抗率を100%としたときの抵抗率(%)、及び、外周領域の気孔率が38.0%である焼成体の抵抗率を100%としたときの抵抗率(%)をそれぞれ示している。
試験条件及び評価結果を表1及び2に示す。
Figure 2022134081000002
Figure 2022134081000003
(6.考察)
実施例1~3は、予め設定した所定の気孔率(ハニカム焼成体の気孔率)に対する、ハニカム乾燥体の中央領域及び外周領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値が、それぞれ0.5%以内となるように、ハニカム乾燥体を作製した。その結果、ハニカム構造体の中央領域と外周領域との間で、抵抗率のばらつき(表2における中央領域の抵抗率と外周領域の抵抗率との差分)が20%以下となり、抵抗率のばらつきの少ないハニカム構造体が得られた。
比較例1及び2は、いずれも、予め設定した所定の気孔率(ハニカム焼成体の気孔率)に対する、ハニカム乾燥体の中央領域及び外周領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値が、それぞれ0.5%の範囲外であった。その結果、ハニカム構造体の中央領域と外周領域との間で、抵抗率のばらつきが80%となり、所望の電気抵抗率分布が得られなかった。
なお、表2において、実施例1~3及び比較例1、2について、いずれも「乾燥体気孔率」が「焼成体気孔率」に対して大きく下回っているが、これは、乾燥体には気孔の他に造孔材が含まれており、当該造孔材が焼成体において気孔となっているためである。
10 ハニカム構造体
11 柱状ハニカム構造部
12 外周壁
13a、13b 電極部
18 セル
19 隔壁
30 電気加熱式担体
33a、33b 金属電極
40 成形機
41 口金
42 坏土
43 ハニカム成形体

Claims (14)

  1. 導電性のセラミックス原料を含有する成形原料を押出成形して、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム成形体を得る成形工程と、
    前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、
    前記ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を得る焼成工程と、
    を備え、
    前記成形工程が、前記ハニカム焼成体における予め設定した所定の気孔率に対する、前記ハニカム成形体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、0.5%以内となるように、前記ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程を含み、
    前記所定の気孔率は、前記ハニカム焼成体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、所定の領域ごとに予め設定された気孔率である、導電性ハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記所定の領域が、前記ハニカム焼成体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、前記断面の半径をrとしたときの、前記断面の中心から1/2rまでの中央領域、及び、1/2r~rまでの外周領域を有し、
    前記ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程が、前記ハニカム焼成体の予め設定した前記中央領域及び前記外周領域の前記所定の気孔率に対する、前記ハニカム成形体の前記中央領域及び前記外周領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、それぞれ0.5%以内となるように制御する工程である、請求項1に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率は、前記ハニカム成形体に含まれる気孔、造孔材及び水分の合計の体積率を示す、請求項1または2に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程は、前記セラミックス原料を含有する成形原料を、土練機を用いて、前記成形原料内の密度分布を1.5~2.2g/cm3に制御する工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程は、前記セラミックス原料を含有する成形原料を土練機を用いて、前記土練機で使用するスクリューの回転数、前記土練機内の真空度、及び/または、前記土練機内の温度分布を制御する工程を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記ハニカム成形体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程は、
    前記成形原料を口金を含む成形機を用いて、前記成形機から押し出されるハニカム成形体の先端の凹凸パターン、前記成形機内の温度分布、前記成形原料の経路の口金の上流側に設けられている絞り治具の成形原料の経路方向の長さ、及び/または、前記ハニカム成形体の長さを制御する工程を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  7. 導電性のセラミックス原料を含有する成形原料を押出成形して、外周壁と、前記外周壁の内側に配設され、一方の端面から他方の端面まで延びる流路を形成する複数のセルを区画形成する隔壁と、を有するハニカム成形体を得る成形工程と、
    前記ハニカム成形体を乾燥してハニカム乾燥体を得る乾燥工程と、
    前記ハニカム乾燥体を焼成してハニカム焼成体を得る焼成工程と、
    を備え、
    前記乾燥工程が、前記ハニカム焼成体における予め設定した所定の気孔率に対する、前記ハニカム乾燥体の所定の領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、0.5%以内となるように、前記ハニカム乾燥体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程を含み、
    前記所定の気孔率は、前記ハニカム焼成体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、所定の領域ごとに予め設定された気孔率である、導電性ハニカム構造体の製造方法。
  8. 前記所定の領域が、前記ハニカム焼成体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、前記断面の半径をrとしたとき、前記断面の中心から1/2rまでの中央領域、及び、1/2r~rまでの外周領域を有し、
    前記ハニカム乾燥体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程が、前記ハニカム焼成体の予め設定した前記中央領域及び前記外周領域の前記所定の気孔率に対する、前記ハニカム乾燥体の前記中央領域及び前記外周領域における気孔となり得る部分の体積率の差の絶対値を、それぞれ0.5%以内となるように制御する工程である、請求項7に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  9. 前記ハニカム乾燥体の気孔となり得る部分の体積率は、前記ハニカム乾燥体に含まれる気孔、造孔材及び水分の合計の体積率を示す、請求項7または8に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  10. 前記ハニカム乾燥体の気孔となり得る部分の体積率を制御する工程は、
    前記ハニカム成形体の水分飛散率、前記乾燥を誘電加熱により乾燥する場合に使用する平行平板電極の電極間距離、及び/または、前記ハニカム成形体の乾燥時間を制御する工程を含む、請求項7~9のいずれか一項に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  11. 前記導電性ハニカム構造体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、前記断面の半径をrとしたとき、前記断面の中心から1/2rまでの中央領域の気孔率に対する、1/2r~rまでの外周領域の気孔率の差の絶対値が、0.5%以内である、請求項1~10のいずれか一項に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  12. 前記導電性ハニカム構造体の前記セルの流路方向に垂直な断面において、前記断面の半径をrとしたとき、前記断面の中心から1/2rまでの中央領域の気孔率に対し、1/2r~rまでの外周領域の気孔率の差異が、-0.5%以下、+0.5%以上である、請求項1~10のいずれか一項に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  13. 前記ハニカム焼成体の側面に、セラミックス原料を含有する電極部形成原料を塗布し、乾燥させて、前記ハニカム焼成体の中心軸を挟んで、前記外周壁の外面上において、前記セルの流路方向に帯状に延びるように一対の未焼成電極部を形成して、未焼成電極部付きハニカム焼成体を作製する工程と、
    前記未焼成電極部付きハニカム焼成体を焼成して一対の電極部を有する導電性ハニカム構造体を作製する工程と、
    を更に備えた、請求項1~12のいずれか一項に記載の導電性ハニカム構造体の製造方法。
  14. 請求項13に記載の方法で製造された導電性ハニカム構造体の前記一対の電極部のそれぞれに、金属電極を電気的に接続する工程を備えた、電気加熱式担体の製造方法。
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