JP2022131837A - シートスライド装置 - Google Patents

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貴行 小笠原
Takayuki Ogasawara
宏昭 兵藤
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【課題】アッパレールが摺動部材を備えているシートスライド装置に関し、摺動部材の底面外側のエッジがロアレールの底角の湾曲面に乗り上げる量を低減する。【解決手段】本明細書が開示するシートスライド装置は、車両に取り付け可能なロアレールと、シートに取り付け可能なアッパレールと、アッパレールに取り付けられている摺動部材を備えている。ロアレールは、底板と、底板のレール短手方向の両側から上方へ延びている外縦板を有する。アッパレールはロアレールに係合している。摺動部材は、ロアレールの底板に接しているとともに外縦板に対向している。ロアレールの内部にて底板と外縦板の境界には湾曲面または傾斜面が形成されている。摺動部材の外縦板に対向する面に突起が設けられている。【選択図】図2

Description

本明細書が開示する技術は、自動車のシートを移動させるシートスライド装置に関する。
シートスライド装置は、車両に取り付け可能なロアレールと、シートに取り付け可能であり、ロアレールに対して移動可能に係合しているアッパレールを備えている。ロアレールに対してアッパレールが移動し易いように、アッパレールにはローラあるいは摺動部材が取り付けられており、アッパレールはローラあるいは摺動部材を介してロアレールに接している。特許文献1、2には、アッパレールに摺動部材が取り付けられているシートスライド装置が開示されている。摺動部材は平坦な底面を有しており、その底面がロアレールの底板に接触する。
特開2018-065546号公報 特開2020-142562号公報
ロアレールは、底板のレール短手方向の両側から上方へ延びる外縦板を有している。製造の都合上、ロアレールの内部にて底板と外縦板の境界には湾曲面または傾斜面が形成されてしまう(湾曲面/傾斜面が残ってしまう)。アッパレールの移動中に摺動部材がロアレールの外縦板に近づくと、摺動部材の底面外側のエッジが底板と外縦板の境界の湾曲面または傾斜面に乗り上げてしまい、摺動抵抗が大きくなってしまうおそれがある。本明細書は、摺動部材を有するアッパレールがロアレールに係合しているシートスライド装置に関し、摺動部材の底面外側のエッジがロアレールの湾曲面または傾斜面に乗り上げる量を低減する技術を提供する。
本明細書が開示するシートスライド装置は、車両に取り付け可能なロアレールと、シートに取り付け可能なアッパレールと、アッパレールに取り付けられている摺動部材を備えている。ロアレールは、底板と、底板のレール短手方向の両側から上方へ延びている外縦板を有する。アッパレールは移動可能にロアレールに係合している。摺動部材は、ロアレールの底板に接しているとともに外縦板に対向している。ロアレールの内部にて底板と外縦板の境界には湾曲面または傾斜面が形成されている。摺動部材の外縦板に対向する面に突起が設けられている。
突起が外縦板に接触すると、摺動部材はそれ以上には外縦板に近づかない。突起が外縦板に接触することによって、摺動部材の底面外側のエッジが湾曲面または傾斜面に乗り上げる量が抑えられる。レール短手方向の幅が小さい突起であっても摺動部材の乗り上げ量を低減する効果が得られるが、レール短手方向の突起の幅が、湾曲面または傾斜面のレール短手方向の長さ以上であるとよい。突起の幅が湾曲面または傾斜面の長さ以上であると、摺動部材の底面外側のエッジが湾曲面と干渉しなくなる。
突起の外縦板に対向する面(頭頂面)が、上からみて湾曲しているとよい。突起の頭頂面はロアレールの外縦板に接触しつつアッパレールが移動する場合があるが、頭頂面が湾曲していれば、突起と外縦板の間の摺動抵抗を小さくすることができる。
摺動部材の上下方向における中央の下側と上側のそれぞれに突起が設けられていてもよい。上下の突起が外縦板に接することで、外縦板に対して摺動部材が傾かない。
本明細書が開示する技術の詳細とさらなる改良は以下の「発明を実施するための形態」にて説明する。
実施例のシートスライド装置の側面図である。 シートスライド装置の斜視図である(アッパレールをロアレールから分離した状態)。 レール長手方向に直交する平面でカットしたシートスライド装置の断面図である。 水平面でカットしたシートスライド装置の断面図である。 変形例のシートスライド装置の断面図である。
図面を参照して実施例のシートスライド装置2を説明する。図1に、自動車に取り付けられたシートスライド装置2の側面図を示す。シートスライド装置2は、ロアレール10とアッパレール20で構成されている。アッパレール20は、ロアレール10に対してその長手方向に沿って移動可能に取り付けられている。ロアレール10は車両のフロアパネル90に固定される。アッパレール20は、シート80のシートクッション81の下部に取り付けられる。シートスライド装置2は、シートクッション81の下部の左右にそれぞれ取り付けられる。図中の座標系のX方向がロアレール10とアッパレール20のレール長手方向に相当する。Y方向がレール短手方向に相当する。図中の座標系の+Z方向が上方を示す。説明の便宜上、+X方向を「前方」と称し、-X方向を「後方」と称する。座標系の各軸の意味は以降の図でも同じである。シートクッション81の下部の左右に取り付けられる1対のシートスライド装置は同じ構造を有しているので、以下では一方のシートスライド装置2を説明する。
図2に、シートスライド装置2の斜視図を示す。図2は、アッパレール20をロアレール10から分離した斜視図である。
図2を参照しつつ、ロアレール10の形状を説明する。ロアレール10は、車体に取り付けられる底板11と、一対の外縦板12と、一対の上板13と、一対の内縦板14を備えている。底板11は、レール長手方向(図中のX方向)からみて中央が端部よりもやや窪んでいる。レール長手方向からみて底板11の中央よりもやや高い端部は平坦であり、その上を、後述するアッパレール20の摺動部材30が移動する。
一対の外縦板12は、レール短手方向(図中のY方向)で底板11の両端のそれぞれから上方に向かって延びている。一対の上板13は、それぞれの外縦板12の上端から、底板11に対向するように、レール短手方向の中央へ向けて延びている。一対の内縦板14は、それぞれの上板13の内側端から下方へ延びている。一対の内縦板14は、互いに対向している。それぞれの内縦板14には、レール長手方向に沿って複数のロック孔15が設けられている。一対の内縦板14の間で、ロアレール10は上方に向けて開口している。ロアレール10は、上面がレール長手方向に沿って細長く開口している。
アッパレール20について説明する。アッパレール20は、本体下部22がロアレール10の内部に位置しており、ロアレール10の開口を通じて本体上部21がロアレール10よりも上方へ突き出ている。図2は、アッパレール20をロアレール10から分離した図であるので、本体下部22もロアレール10から離脱していることに留意されたい。
アッパレール20の本体下部22のレール長手方向の中央にはロックツメ25が配置されている。ロックツメ25は本体下部22からレール短手方向に突出している。ロックツメ25がロアレール10のロック孔15に係合することで、アッパレール20がロアレール10に対して固定される(ロックされる)。詳しい説明は省略するが、ロックツメ25は、ユーザが不図示のレバーを操作することによって、本体下部22の内部へ後退し、ロック孔15との係合が解除される。ロックツメ25の係合が解除されると、アッパレール20がロアレール10に対して移動可能となる。
アッパレール20の本体下部22は、レール長手方向からみてU字形状に湾曲している1対の側板24を有している。側板24の一部は、ロアレール10の外縦板12と内縦板14の間の空間に位置する。アッパレール20の1対の側板24のそれぞれに、摺動部材30が支持されている。摺動部材30も、ロアレール10の外縦板12と内縦板14の間の空間に位置する。それぞれの側板24の前部と後部に摺動部材30が取り付けられており、アッパレール20には合計4個の摺動部材30が取り付けられている。摺動部材30は、レール短手方向から見て台形をなしており、その底面がロアレール10の底板11に当接する。アッパレール20の移動に伴って、摺動部材30は底板11に対して摺動する。摺動部材30の形状は、台形に限らず、平坦な底面を有する形状であればよい。
摺動部材30の下面の前部と後部には、塵埃を除去するための溝が設けられている。摺動部材30がロアレール10の底板11から離れている状態では、摺動部材30の底面の前縁と後縁は底面よりも下がっている。摺動部材30が底板11に接すると、前縁と後縁は上方へ変形し、摺動部材30の底面の全体が底板11に接触する。
それぞれの摺動部材30は、レール短手方向に延びる軸32で揺動可能にアッパレール20に支持されている。ロアレール10の底板11がレール長手方向でうねりをともなっていても、アッパレール20が移動している間、摺動部材30は軸32を中心に揺動し、底板11との面接触を保持する。
摺動部材30の外側を向く面、すなわち、ロアレール10の外縦板12と対向する面に突起31a、31bが設けられている。突起31aは、摺動部材30の上下方向の中心よりも上に位置しており、突起31bは中心よりも下に位置している。突起31a、31bは、摺動部材30の本体(底板11と接する底面を有する本体)と外縦板12の間に所定の隙間を保つために設けられている。
摺動部材30を横断する平面でカットしたシートスライド装置2の断面を図3、4に示す。図3は、レール長手方向に直交する平面でカットしたシートスライド装置2の断面を示し、図4は、水平面でカットしたシートスライド装置2の断面を示す。図3では、シートスライド装置2の右半分のみを描いてある。また、図3では、アッパレール20の上部の図示は省略した。図4は、図3の水平面HL、すなわち、上側の突起31aを横断する水平面でシートスライド装置2をカットした断面を示している。
以下では、説明の便宜上、2個の突起31a、31bを合わせて突起31と総称する場合がある。図3、4に示されている符号WDは、突起31のレール短手方向の幅を意味している。
ロアレール10の内部にて、底板11と外縦板12の境界には湾曲面18が形成されており、図3の符号RDは、湾曲面18のレール短手方向の長さを意味している。湾曲面18のレール短手方向の長さRDは、湾曲面18の曲率半径に相当する。
突起31がレール短手方向に幅WDを有するので、摺動部材30の本体と外縦板12の間には最低でも幅WDの隙間が確保される。突起31の幅WDは、湾曲面18の長さRD以上である。摺動部材30が突起31を備えていない場合、アッパレール20がスライドしている間、摺動部材30の底面外側のエッジが湾曲面18に乗り上げてしまい、摺動抵抗が大きくなってしまうおそれがある。しかし、摺動部材30の外側面に設けられた突起31によって、摺動部材30の本体と外縦板12の間には最低でも幅WDの隙間が確保されるので、摺動部材30の底面外側のエッジが湾曲面18に乗り上げることがない。別言すれば、摺動部材30突起31を設けることによって、摺動部材30の底面は湾曲面18と干渉しない。突起31は、摺動部材30の摺動抵抗が大きくなってしまうことを防止する。
図3に示されているように、摺動部材30は、軸32の上側と下側のそれぞれに、同じ幅WDを有する突起31a/31bを備えている。軸32の上側と下側のそれぞれに突起31a/31bを配置することで、外縦板12に対して摺動部材30が平行を保つことができる。
図4に示されているように、突起31の頭頂面(外縦板12に対向する面)は、上からみて凸状に湾曲している。突起31の頭頂面が凸状に湾曲していることで、突起31と外縦板12の間の摺動抵抗を軽減することができる。
また、先に述べたように、摺動部材30は軸32でアッパレール20に支持されている。摺動部材30と軸32の間のクリアランスにより、摺動部材30は垂直軸まわりにもわずかに揺動し得る。突起31bの頭頂面が湾曲していることで、摺動部材30が垂直軸まわりに揺動しても、頭頂面と外縦板12の間には、ほぼWDの隙間が保持される。
ロアレール10の底板11と外縦板12の間には湾曲面ではなく傾斜面が形成される場合がある。図5に、傾斜面19が形成されたロアレール10aを有するシートスライド装置2aの断面図を示す。図5の断面は図3の断面に対応する。ロアレール10aの内部にて、底板11と外縦板12の間に傾斜面19が形成されている。傾斜面19は、レール短手方向にて、レールの中心から離れるにつれて高くなるように傾斜している。図中の記号LDは、傾斜面19のレール短手方向における長さを意味する。摺動部材30の突起31のレール短手方向の幅WDは、傾斜面19のレール短手方向の長さLD以上である。摺動部材30に突起31を設けることによって、摺動部材30の底面は湾曲面18と干渉しない。突起31は、摺動部材30の摺動抵抗が大きくなってしまうことを防止する。
実施例で説明した技術に関する留意点を述べる。ロアレールの底板と外縦板の境界には、いかに僅かであっても湾曲面または傾斜面が存在する。微小な湾曲面または傾斜面であっても、摺動部材が接すれば摺動抵抗が増してしまう。摺動部材に設ける突起は、ロアレールの微小な湾曲面または傾斜面に対しても効果を奏する。
実施例のシートスライド装置2は、4個の摺動部材30を有しており、全ての摺動部材30が上記した構造を有している。シートスライド装置は、一対の摺動部材と一対のローラを備えていてもよい。一対の摺動部材は、アッパレールの前部(あるいは後部)の左右に配置され、一対のローラはアッパレールの後部(あるいは前部)の左右に配置される。
シートスライド装置2の摺動部材30は、2個の突起31を備えている。摺動部材は1個のみの突起を備えていてもよいし、3個以上の突起を備えていてもよい。例えば、摺動部材の外側面(ロアレールの外縦板に対向する面)に複数の突起が分散配置されていてもよい。あるいは、レール短手方向からみて摺動部材の中央に1個の突起を設けてもよい。この場合、突起は、摺動部材を支持する軸の先端を覆うように設けられるとよい。
摺動部材が備える突起の幅(レール短手方向の幅)は、ロアレールの底板と外縦板の境界の湾曲面(または傾斜面)のレール短手方向の長さ以上であることが望ましい。しかしながら、突起の幅が湾曲面(または傾斜面)のレール短手方向の長さよりも小さくとも、突起は、摺動部材が湾曲面または傾斜面に乗り上げる量を低減する効果を奏する。その結果、ロアレールの底板に対する摺動部材の摺動抵抗が大きくなってしまうことを低減する効果が得られる。
ロアレールの底板と外縦板の間に、斜度の異なる複数の傾斜面が連なるように形成されている場合がある。そのような場合、突起のレール短手方向の幅は、複数の傾斜面のレール短手方向における合計長さ以上であるとよい。「レール短手方向における突起の幅が、湾曲面または傾斜面の前記レール短手方向の長さ以上である」とは、複数の傾斜面が連なっている場合も含む。
突起31は摺動部材30の本体とともに樹脂で一体に作られている。突起31は、樹脂以外の材料で作られていてもよい。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組合せによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組合せに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成し得るものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
2、2a:シートスライド装置
10、10a:ロアレール
11:底板
12:外縦板
13:上板
14:内縦板
15:ロック孔
18:湾曲面
19:傾斜面
20:アッパレール
21:本体上部
22:本体下部
24:側板
25:ロックツメ
30:摺動部材
31、31a、31b:突起
32:軸
80:シート
81:シートクッション
90:フロアパネル

Claims (4)

  1. 車両に取り付け可能なロアレールであって、底板と、前記底板のレール短手方向の両側から上方へ延びている外縦板とを有しているロアレールと、
    シートに取り付け可能であり、前記ロアレールに対して移動可能に係合しているアッパレールと、
    前記アッパレールに取り付けられており、前記底板に接しているとともに前記外縦板に対向している摺動部材と、を備えており、
    前記ロアレールの内部にて、前記底板と前記外縦板の境界に湾曲面または傾斜面が形成されており、
    前記摺動部材の前記外縦板に対向する面に突起が設けられている、シートスライド装置。
  2. 前記レール短手方向における前記突起の幅が、前記湾曲面または前記傾斜面の前記レール短手方向の長さ以上である、請求項1に記載のシートスライド装置。
  3. 前記突起の前記外縦板に対向する面が、上からみて湾曲している、請求項1または2に記載のシートスライド装置。
  4. 前記摺動部材の上下方向における中央の下側と上側のそれぞれに前記突起が設けられている、請求項1から3のいずれか1項に記載のシートスライド装置。
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