JP2022131202A - 硬化性樹脂組成物及びその用途 - Google Patents

硬化性樹脂組成物及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】相溶性が良好で、基板密着性に優れる硬化膜を与えることができる硬化性樹脂組成物を提供する。また、このような硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜、並びに、上記硬化膜を有することで高精細化を実現できる表示装置用部材及び表示装置等の光学材料を提供する。【解決手段】数平均一次粒子径が30nm未満の金属酸化物粒子、アルカリ可溶性重合体、及び重合性単量体を含む硬化性樹脂組成物。上記金属酸化物粒子を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、Ce、及びSiから選ばれる少なくとも1種であることが好適であり、Zrを含むことが好適である。さらに上記金属酸化物粒子は、表面修飾されていることが好適である。また、上記硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜によって上記課題を解決できる。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性樹脂組成物及びその用途に関する。より好適には、金属酸化物粒子を含む硬化性樹脂組成物、硬化膜及び光学材料に関する。
熱や活性エネルギー線によって硬化し得る硬化性樹脂組成物は、例えば、タッチパネル式表示装置、液晶表示装置、固体撮像素子等に用いられる保護膜、絶縁膜、プリント配線板、カラーフィルター、スペーサー等の各種表示装置の構成部材等への適用が種々検討され、各用途で要求される特性に応じて硬化性樹脂組成物の開発がなされている。例えば、静電容量方式のタッチパネル式表示装置は、一般に、基板上にITO等の透明導電膜が形
成され、更に透明導電膜を保護するための保護膜又は絶縁膜が形成された構造からなり、保護膜や絶縁膜には、通常、透明導電膜との密着性や、耐久性及び表面硬度が高いことが求められている。また、液晶表示装置や固体撮像素子等の主要部材の1つに、カラーフィルターがある。カラーフィルターは、一般に、基材、画素及び樹脂ブラックマトリクス(BM)に加え、画素及び樹脂ブラックマトリクスを被覆・保護し、かつそれらの凹凸を平坦化するために設けられる保護膜等から構成される。このようなカラーフィルタ用保護膜にも、タッチパネル式表示装置における保護膜と同様に、充分な表面硬度及び密着性を安定して発揮できることが要望されている。
上記要求特性の一つである密着性や表面硬度を改善するためにシリカ微粒子等の金属酸化物粒子を添加した硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
さらに、表示装置の高精細化に伴い、アクティブ・マトリクス型液晶表示装置では電極に挟まれた層間絶縁膜の電気特性の向上も求められており、比誘電率の高い有機絶縁膜を得るために二酸化ジルコニウム粒子を添加した硬化性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献2参照)。
以上より、フォトリソグラフィーを適用する材料では種々の要求特性を発現するために金属酸化物粒子が添加されるが、活性エネルギー線照射の効率を上げるための分散性や透明性、微細なパターン形成のための現像性や密着性において更なる改善の余地がある。
特開2014-157265号公報 特開2016-155933号公報
種々の要求特性に応じて金属酸化物粒子を添加してもフォトリソグラフィーによる微細パターン加工に対応でき、透明硬化膜が得られ、優れたガラス密着性と残膜率を発現できる硬化性樹脂組成物及びその硬化膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、光学材料に好適な硬化性樹脂組成物及び硬化膜を見出した。すなわち、本発明の目的は、下記(1)~(15)により達成される。
(1)数平均一次粒子径が30nm未満の金属酸化物粒子、アルカリ可溶性重合体、及び重合性単量体を含む硬化性樹脂組成物。
(2)前記金属酸化物粒子を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、Ce、及びSiから選ばれる少なくとも1種である(1)に記載の硬化性樹脂組成物。
(3)前記金属酸化物粒子は、ZrO粒子を必須として含む(1)又は(2)に記載の硬化性樹脂組成物。
(4)前記金属酸化物粒子は、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して5~90質量%である(1)~(3)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(5)前記金属酸化物粒子は、表面修飾されている(1)~(4)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(6)前記金属酸化物粒子は、有機酸、シランカップリング剤、界面活性剤及びチタンカップリング剤から選ばれる少なくとも1種の有機化合物で表面修飾されている(5)に記載の硬化性樹脂組成物。
(7)前記有機化合物の修飾量は、金属酸化物粒子100質量部に対し1~40質量部である(6)に記載の硬化性樹脂組成物。
(8)前記アルカリ可溶性重合体は、主鎖に環構造を有する重合体である(1)~(7)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(9)前記アルカリ可溶性重合体は、(メタ)アクリル酸由来の構成単位を有する重合体である(1)~(8)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(10)前記アルカリ可溶性重合体は、二重結合当量が200~10000(g/mol)の重合体である(1)~(9)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(11)高屈折率透明膜形成用である(1)~(10)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(12)さらに陰イオン系界面活性剤が含まれる(1)~(11)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物。
(13)上記(1)~(12)の何れかに記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜。
(14)上記(13)に記載の硬化膜を有する光学材料用部材。
(15)上記(14)に記載の光学材料用部材を有する光学材料。
本発明の硬化性樹脂組成物を用いることで、顕著な分散性によりフォトリソグラフィーによる微細パターンを形成でき、ガラス基板等への密着性が高い硬化膜を得ることができた。高屈折率、高硬度、高い比誘電率を有する硬化膜となり得るので、このような硬化膜を有する部材や装置は、光学分野や電機・電子分野において非常に有用なものとなる。
実施例3におけるアルカリ現像後の基板の状態を示すパターン図である。 実施例4におけるアルカリ現像後の基板の状態を示すパターン図である。
以下に本発明を詳述する。
なお、以下において記載する本発明の個々の好ましい形態を2つ以上組み合わせた形態もまた、本発明の好ましい形態である。
また、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は、「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。
また、本明細書において、数値範囲「Min~Max」は、最小値Min以上、且つ、最大値Max以下を意味する。さらに、上限値および下限値について、好適な数値を段階的に記載する場合、各々分けて記載した上限値と下限値を、適宜組み合わせた数値範囲も好適な数値範囲である。
上述のとおり、本発明の硬化性樹脂組成物は、平均粒子径が1nmを超えて30nm未満の金属酸化物粒子、アルカリ可溶性重合体、及び重合性単量体とを含む。これらの成分を含むことで光学材料用硬化性樹脂組成物として好適であり、例えば、透明性、基板密着性、電気特性に優れた硬化膜を与えることができる。これら含有成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。また、必要に応じて、更に、他の成分を1種又は2種以上含んでいてもよい。
なお、本発明において、「光学材料」とは、フォトリソグラフィを適用する材料であって、光学分野や電機・電子分野における装置の構成部材等に使用される材料をいい、例えば、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等に用いられるカラーフィルター、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、光学レンズ、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜等の構成材料として使用されるものをいう。特に、高屈折、高硬度、高い透明性、高い比誘電率を有する硬化膜となり得るので、光学レンズの表面コート、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、タッチパネル用保護膜、量子ドット用の硬化性樹脂組成物であることが好ましい。また、金属酸化物粒子としてZrOが含まれる場合は、高屈折率材料用(好ましくは高屈折率光学材料用)の硬化性樹脂組成物であることが好ましく、高屈折率透明膜形成用の硬化性樹脂組成物であることが更に好ましい。
なお、上記高屈折率透明膜とは、589nmの光に対する屈折率が1.5以上、ヘイズ値が1.1%以下の透明膜を意味する。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について以下に説明する。なお、本明細書中、「固形分総量」とは、金属酸化物粒子、アルカリ可溶性重合体、重合性単量体及び表面修飾剤等の硬化膜を形成する溶媒を除いた成分の合計量を意味する。
[数平均一次粒子径が30nm未満の金属酸化物粒子]
金属酸化物粒子としては、例えば、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Sc、Y、La、Ce、Gd、Tb、Dy、Yb、Lu、Ti、Zr、Hf、Nb、Mo、W、Zn、B、Al、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi、Te等の原子を含む光透過性で屈折率の高い酸化物粒子が挙げられる。中でも金属酸化物粒子を形成する金属としては、Ti、Al、Zr、In、Zn、Sn、La、Y、Ce、Mg、Ba、Ca、Siが好ましい。高屈折率の硬化膜を提供できるという観点からはTi、Al、Zr、Zn、Sn及びCeよりなる群から選択される少なくとも1種がさらに好ましく、高い比誘電率の硬化膜を提供できるという観点からはZrが特に好ましく、高硬度の硬化膜を提供できるという観点からはSiが特に好ましい。よって、双方の良さを発現できる観点からは、上記金属酸化物粒子は、二酸化ジルコニウム粒子(ZrO粒子)及び/又は二酸化ケイ素粒子(SiO粒子)であることが最も好ましい。金属酸化物としては、単一金属の酸化物であっても良いし、2種以上の酸化物の固溶体であってもよいし、或いは複合酸化物であってもよい。単一金属酸化物には、例えば、酸化アルミニウム(Al23)、酸化チタン(TiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化インジウム(In23)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化スズ(SnO2)、酸化ランタン(La23)、酸化イットリウム(Y23)、酸化セリウム(CeO2)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ケイ素(SiO2)が含まれる。2種以上の酸化物の固溶体としては、ITO、ATOなどが挙げられる。複合酸化物は、例えばチタン酸バリウム(BaTiO3)、灰チタン石(CaTiO3)、スピネル(MgAl24)などである。
X線回折解析により算出される金属酸化物粒子の結晶子径は、例えば20nm以下である。このようにすることによって、上記金属酸化物粒子を含有する硬化性樹脂組成物の透明率を向上できる。上記結晶子径は、より好ましくは15nm以下であり、さらに好ましくは10nm以下である。上記結晶子径の下限は、通常1nm程度である。
金属酸化物粒子の粒子径は、各種電子顕微鏡観察によって得られた画像を処理することによって得られる数平均一次粒子径によって評価でき、その数平均一次粒子径は、30nm未満であり、25nm以下が好ましい。このようにすることによって、金属酸化物粒子を含有する硬化性樹脂組成物の透明率を向上できる。数平均一次粒子径は、より好ましくは20nm以下であり、さらに好ましくは15nm以下である。数平均一次粒子径の下限は、1nmを超える値が好ましい。さらに3nm以上、特に5nm以上が好ましい。
本発明の効果の一つである密着性が発現するのは数平均一次粒子径を小さくすることによるアンカー効果の可能性が考えられる。
推測ではあるが、基板表面の微細な凹凸に硬化性樹脂組成物に含まれる上記粒子径の金属酸化物粒子が全部または一部入り込んで硬化することで密着力を高めていると考えられる。
上記数平均一次粒子径は、金属酸化物粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)、電界放射型透過電子顕微鏡(FE-TEM)、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-SEM)などで拡大観察し、無作為に100個の粒子を選択してその長軸方向の長さを測定し、その算術平均を求めることで決定できる。本発明では実施例の評価方法(5)金属酸化物粒子の数平均一次粒子径の欄に記載の方法を用いた。
金属酸化物粒子の形状としては球状、粒状、楕円球状、立方体状、直方体状、ピラミッド状、針状、柱状、棒状、筒状、りん片状、板状、薄片状などが挙げられる。溶媒への分散性などを考慮すると、上記形状としては、球状、粒状、柱状などが好ましい。
金属酸化物粒子の屈折率としては、特に制限はないが、高屈折率を得る観点から、1.70~2.70であることが好ましく、1.90~2.70であることが更に好ましい。
また、金属酸化物粒子の比表面積は、10~400m2/gであることが好ましく、20~200m2/gであることが更に好ましく、30~150m2/gであることが最も好ましい。
上記金属酸化物粒子は、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対して1~90質量%の範囲で含まれることが好ましく、さらに好ましくは5~90質量%、より好ましくは20~90質量%、最も好ましくは30~80質量%の割合で含まれる。上記金属酸化物粒子が上記範囲内に含まれる場合、屈折率が高く優れた密着性を有する硬化膜の製造が可能となる。
なお、上記金属酸化物粒子は、表面修飾剤により表面修飾された粒子(被覆型金属酸化物粒子とも称する)及び表面無修飾の粒子のいずれも用いることができ、市販品を用いてもよい。なお粒子が表面修飾されている場合、金属酸化物粒子の質量には、表面修飾剤の質量を含めるものとする。後述の実施例(表1~表3)では、金属酸化物粒子の質量として、表面修飾剤を含めた質量を記載している。
上記金属酸化物粒子は、樹脂組成物中での分散性を高めるために、粒子が表面修飾されていることが好ましい。硬化膜の透明性が損なわれないように、凝集を防ぎ微分散させるためである。本発明においては、金属酸化物粒子の表面を修飾する有機化合物は化学結合および/または配位するか、或いは水素結合や塩の形成によって金属酸化物粒子に付着するか何れでもよく、本発明において「表面修飾」とは、有機基が金属酸化物に化学的に結合および/または配位した状態、または物理的に付着した状態の両方を包含する。
金属酸化物粒子は市販品を用いてもよく、または公知の製造方法により製造することも可能である。好ましい製造方法は、水存在下、金属成分とカルボン酸化合物等の有機化合物との水熱反応が挙げられる。例えば、特許6227013号、特許6251478号に記載されている金属酸化物粒子及びその製造方法を用いることが好ましい。
上記金属成分は、水熱反応により金属酸化物を生成する化合物に含まれている限り特に限定されない。金属成分を含む化合物としては、種々の金属酸化物前駆体が挙げられ、例えば各種金属の水酸化物、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、酢酸塩、有機酸塩、アルコキシド等が含まれ、さらには各種金属とカルボン酸の塩であってもよい。例えばジルコニウムでの例では、水酸化ジルコニウム、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニル、オキシ酢酸ジルコニル、オキシ硝酸ジルコニル、硫酸ジルコニウム、オクタン酸ジルコニウム、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム、オレイン酸酸化ジルコニウム、酢酸ジルコニウム、ステアリン酸酸化ジルコニウム、ラウリン酸酸化ジルコニウム、テトラブトキシジルコニウム等のジルコニウムアルコキサイド等が挙げられる。また、チタンでの例では、水酸化チタン、塩化チタン、オキシ塩化チタン、オキシ酢酸チタン、オキシ硝酸チタン、硫酸チタン、オクタン酸チタン、オレイン酸酸化チタン、酢酸チタン、ステアリン酸酸化チタン、ラウリン酸酸化チタン、テトラブトキシチタン(例えば、テトラ-n-ブトキシチタン)等のチタンアルコキサイド等が例示できる。
また、金属酸化物を形成する金属がSiであるSiO(シリカ)においては、特許6166055号、段落0014~0019に記載のシリカ微粒子が好ましい。
具体的にはシリカ粒子は、ケイ素原子を有する金属酸化物粒子であれば特に限定されるものではないが、ケイ素原子に加え、更に他の金属原子を含む複合金属酸化物であってもよい。
シリカ粒子の数平均一次粒子径は、例えば、1nm以上、30nm未満であることが好適である。より好ましくは1nm以上、20nm以下、特に好ましくは1nm以上、15nm以下である。上記シリカ粒子は、乾燥された粉末状のものを用いてもよいし、有機溶媒に分散された分散体形状(コロイダルシリカ等)のものを用いてもよいが、本発明の硬化性樹脂組成物の分散安定性や生産効率の観点からは、あらかじめ有機溶媒に分散された分散体形状のものを用いて混合することが好適である。すなわち、上記シリカ粒子は、有機溶媒分散体として他の成分と混合し、上記硬化性樹脂組成物中に含まれることが好ましい。
上記分散体の形成に使用される有機溶媒(分散媒)としては、例えば、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒等の他、アルコール系溶媒、アミド系溶媒、キシレン、トルエン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒及び/又はエーテル系溶媒を用いることが好ましい。より好ましくはケトン系溶媒及び/又はエステル系溶媒を用いることであり、これにより、高温暴露後にも変色や着色、クラック等の外観の経時変化がなく分散性を維持でき、かつ充分な表面硬度及び密着性を有する硬化膜を得ることができる、という本発明の効果をより一層発現することが可能になる。上記シリカ粒子として有機溶媒に分散してなる分散体を用いる場合、該有機溶媒(分散媒)の使用量は、シリカ粒子を充分に分散できる量とすることが好適である。例えば、シリカ粒子100質量部に対し、分散媒としての該有機溶媒の総量が50質量部以上であることが好適である。より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは100質量部以上である。また、効率性を考慮すると600質量部以下であることが好適である。より好ましくは550質量部以下、更に好ましくは500質量部以下である。
上記有機溶媒分散体は、シリカ粒子を、上述した有機溶媒に充分に分散することにより得ることができるが、市販品を使用することもできる。市販品としては例えば、MEK-ST-40、MEK-ST-L、MEK-ST-ZL、MEK-ST-UP、MEK-AC-2140Z、MEK-AC-4130Y、MEK-EC-2130Y、MEK-AC-5140Y等のメチルエチルケトンを分散媒とするオルガノシリカゾル;MIBK-ST、MIBK-ST-L、MIBK-SD-L等のメチルイソブチルケトンを分散媒とするオルガノシリカゾル;EAC-ST等の酢酸エチルを分散媒とするオルガノシリカゾル;メタノールシリカゾル、MA-ST-M等のメタノールを分散媒とするオルガノシリカゾル;IPA-ST、IPA-ST-L等のイソプロパノールを分散媒とするオルガノシリカゾル;EG-ST等のエチレングリコールを分散媒とするオルガノシリカゾル;NPC-ST-30、PGM-ST、PGM-AC-2140Y等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルを分散媒とするオルガノシリカゾル;DMAC-ST等のジメチルアセトアミドを分散媒とするオルガノシリカゾル;TOL-ST等のトルエンを分散媒とするオルガノシリカゾル;PMA-ST等のプロピレングリコールモノメチルアセテートを分散媒とするオルガノシリカゾル;等が挙げられる(いずれも日産化学社製)。
上記のような金属酸化物粒子は、親油化する表面修飾を施すことにより、凝集することを低減でき、さらに微分散できる点で好ましい。
表面修飾は、粒子表面を親油化できる方法であれば特に限定しないが、通常、シランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤のように、金属酸化物と結合形成可能な有機基及び親油化できる反応性官能基を有する化合物が用いられる。
上記反応性官能基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、チオール基、酸無水物基、フェノール基などが挙げられる。
従って、例えば、シランカップリング剤としては、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシ系シランカップリング剤;ジエトキシ(グリシディルオキシプロピル)メチルシラン、2-(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシ系シランカップリング剤;N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1、3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ系シランカップリング剤などを用いることができる。
このようなカップリング剤は、加水分解基であるアルコキシ基が加水分解により水酸基を生成し、この水酸基が金属酸化物粒子表面と結合を形成する。従って、このような表面修飾剤で処理された粒子の表面は、表面修飾に用いたカップリング剤由来の反応性官能基を有する。つまり、カップリング剤で表面修飾された金属酸化物粒子はカップリング剤由来の(メタ)アクリロイルオキシ基、エポキシ基、アミノ基、ビニル基、チオール基、酸無水物基、及びフェノール基から選ばれる少なくとも一種の反応性官能基を有する金属酸化物粒子である。
上記(シラン)カップリング剤処理における金属酸化物粒子に対する(シラン)カップリング剤の量としては、金属酸化物粒子100質量部に対して、0.1~100質量部の範囲内が好ましい。上記範囲にすることで組成物中での粒子の分散性、及び硬化後の光学性能が良好となる。上記修飾量は1~70質量部の範囲内がさらに好ましく、1~40質量部の範囲内が最も好ましい。
シランカップリング剤等のカップリング剤を用いる表面修飾の方法は、特に限定しないが、通常、シランカップリング剤の分散液に、金属酸化物粒子を添加混合、必要に応じて加熱等することにより反応させて行うことができる。
金属酸化物粒子は、粉末状の粒子を添加してもよいし、適宜分散媒に分散させたスラリー又は分散液として添加してもよい。
ここで用いることができる分散媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコールなどのアルコール類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸シクロヘ
キシル、エチレングリコールモノアセテート等のエステル類;エチレングリコール、ヘキシレングリコールなどのグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類を含む親水性溶媒、酢酸プロピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3-メトキシブチル、酢酸2-エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセテートなどのエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン等のケトン類;トルエン等の極性溶媒が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用してもよい。
表面修飾された金属酸化物粒子は、表面が反応性官能基で修飾されているので、有機溶媒と親和性を有する。よって、上記各種有機溶媒中でもナノ微粒子として安定的に分散された状態となっている。具体的には透明性の高い溶液状態として扱うことができる。
表面修飾された金属酸化物粒子(被覆型金属酸化物粒子)は、通常、表面修飾に用いた表面修飾液に、金属酸化物粒子が分散した分散液の状態で用いてもよいし、減圧留去して溶剤留去後の粉末として用いてもよい。
金属酸化物粒子の分散液中の固形分率は、特に限定しないが、20~90質量%であることが好ましく、より好ましくは50~80質量%である。
本発明で好適に用いる表面修飾された金属酸化物粒子は、上記カップリング剤以外の有機化合物でさらに表面修飾されていてもよい。表面修飾に用いられる有機化合物は、カルボキシル基、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アミン基、チオール基、アミド基等金属酸化物粒子の表面に配位および/または結合可能な置換基を有する有機化合物やシランカップリング剤、界面活性剤等が挙げられ、1種または2種以上を用いてもよい。金属酸化物粒子への結合力が強く、粒子への疎水性の付与および硬化膜の変色等の悪影響が少ないという点で、有機酸(好ましくはカルボキシル基を有する有機化合物)、他のカップリング剤、界面活性剤が好ましい。これらの有機化合物は、反応性官能基を有していても有していなくてもよい。
上記有機化合物の修飾量としては、金属酸化物粒子100質量部に対し0質量部~50質量部の範囲内が好ましく、1質量部~40質量部の範囲内がさらに好ましく、2質量部~30質量部の範囲内が最も好ましい。上記範囲にすることで、硬化膜の硬度、屈折率、及び比誘電率がさらに向上する。
上記有機化合物としては、炭素数5以上のカルボン酸(カルボキシル基を有する化合物)が金属酸化物粒子の媒体中での分散性が向上するため好ましい。上記カルボン酸の炭素数が5以上では、金属酸化物粒子の表面を十分に疎水化でき、媒体中での粒子の分散性がさらに向上する。上記炭素数が5以上の脂肪族カルボン酸としては、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、2-エチルヘキサン酸、2-メチルヘプタン酸、4-メチルオクタン酸、サリチル酸、ナフテン酸、デカン酸、ウンデシル酸、ネオデカン酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、ヘプタデシル酸、ピバリン酸、2,2-ジメチル酪酸、3,3-ジメチル酪酸、2,2-ジメチル吉草酸、2,2-ジエチル酪酸、3,3-ジエチル酪酸、ステアリン酸、プリスタン酸、2-アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸、メタクリル酸、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸などのC3-9脂肪族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類;2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸などのC8-14芳香族ジカルボン酸の(メタ)アクリロイロキシC1-6アルキルアルコールによるハーフエステル類等が挙げられ、1種のみで使用してもよく2種以上を併用してよい。
上記界面活性剤は、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤等のイオン性界面活性剤、あるいは非イオン系界面活性剤が好適に用いられる。
陰イオン系界面活性剤としては、例えば、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム等の脂肪酸ナトリウム、脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウム等の脂肪酸系、アルキルリン酸、アルキルリン酸エステル、アルキルリン酸エステルナトリウム等のリン酸系、アルファオレインスルフォン酸ナトリウム等のオレフィン系、アルキル硫酸ナトリウム等のアルコール系、アルキルベンゼン系等が挙げられる。
陽イオン系界面活性剤としては、例えば、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム等が挙げられる。
両性イオン界面活性剤としては、例えば、アルキルアミノカルボン酸塩等のカルボン酸系、フォスフォベタイン等のリン酸エステル系が挙げられる。
非イオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の脂肪酸系、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、脂肪酸アルカノールアミド等が挙げられる。
上記有機化合物を金属酸化物粒子の表面に修飾する方法としては、各種有機化合物と金属酸化物粒子を溶媒中で混合撹拌する方法やボールミル等による混合など公知のいずれの方法も用いることができる。有機化合物にカルボン酸を用いる場合には、混合のほかに水存在下、金属成分とカルボン酸化合物とを水熱反応を行なうことも好適な製造方法である。なお、カルボン酸化合物の場合にはエステル交換によりカルボン酸の種類を交換することも可能である。
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性重合体や重合性単量体の種類や含有量に応じて金属酸化物粒子の表面修飾剤を適宜選択することで硬化をより促進することができる。
このような表面修飾された金属酸化物粒子は、表面の反応性官能基の種類に応じて、ラジカル重合あるいは付加反応、付加縮合反応により、金属酸化物粒子同士を結着することができる。これにより、硬化膜の強度が増大し、硬度を高めることができる。
上述の金属酸化物粒子の中でも特開2018-119086号の無機粒子分散体に記載されている金属酸化物粒子が好ましい形態として挙げられる。具体的には、金属酸化物粒子の表面修飾剤として有機酸、シランカップリング剤、界面活性剤及びチタンカップリング剤の少なくとも1種を含むことが好ましく、少なくとも有機酸を含むことが好ましい。有機酸を含むことで、分散性を高めることができる。また、表面修飾することで、高濃度分散することがさらに容易となり、チクソトロピー性を向上させることができる。
有機酸としては、カルボキシル基を有する化合物(以下、「カルボン酸化合物」という場合がある。)が好ましく、上記カルボン酸化合物は、カチオン(例えばアルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン等の金属カチオン;アンモニウムイオン等の分子性カチオン)と塩を形成していてもよい。
上記金属酸化物粒子は、有機酸としてカルボン酸化合物を2種以上含むことが好ましい。2種以上のカルボン酸化合物で被覆された被覆型金属酸化物粒子は、各種媒体への分散性が極めて良好なものとなり、様々な用途への応用が可能となる。特にレジストに代表される精密微細構造を形成する用途には際立って有用であり、分散ムラや現像残渣の改善が可能となり得る。
金属酸化物粒子の表面修飾剤としては、上記界面活性剤及び/又はチタンカップリング剤を用いてもよい。
上記チタンカップリング剤としては、例えば、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリ(ドデシル)ベンゼンスルホニルチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ-トリ(ジオクチル)ホスフェイトチタネート、ネオペンチル(ジアリル)オキシ-トリネオドデカノイルチタネート等が挙げられる。
また、金属酸化物粒子がシランカップリング剤で表面修飾されていることが特に好ましい。シランカップリング剤で表面修飾されていると、組成物やその硬化膜の初期透過率を改善できるだけでなく、透過率を長時間維持することが容易となる。上記シランカップリング剤としては、1種又は2種以上を用いることができ、加水分解性基-Si-OR(ただし、Rはメチル基又はエチル基)を有する化合物が好ましい。シランカップリング剤としては、官能基を有するシランカップリング剤や、アルコキシシラン等が挙げられる。
官能基を有するシランカップリング剤としては、下記式(1):
Figure 2022131202000001
(式中、Xは官能基、Rは上記に同じ、mは0~4の整数、nは1~3の整数を表す。)で表されるシランカップリング剤が挙げられる。
Xとしては、ビニル基、アミノ基、(メタ)アクリロキシ基、メルカプト基、グリシドキシ基等が挙げられる。シランカップリング剤を具体的に例示すると、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等の官能基Xがビニル基であるシランカップリング剤;3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルトリメトキシシラン等の官能基Xがアミノ基であるシランカップリング剤;3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤;3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等の官能基Xがメルカプト基であるシランカップリング剤;2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等の官能基Xがグリシドキシ基であるシランカップリング剤;等が挙げられる。
また、アルコキシシランとしては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン等のアルキル基がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアルキル基含有アルコキシシラン;フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン等の芳香環がアルコキシシランのケイ素原子に直接結合しているアリール基含有アルコキシシラン;等が挙げられる。
シランカップリング剤としては官能基Xが(メタ)アクリロキシ基であるシランカップリング剤及びアルキル基含有アルコキシシランが好ましく、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシランがより好ましい。
上記シランカップリング剤の量(被覆量)は、金属酸化物粒子100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上、さらに好ましくは2質量部以上、よりいっそう好ましくは4質量部以上であり、好ましくは40質量部以下、より好ましくは20質量部以下、さらに好ましくは15質量部以下よりいっそう好ましくは12質量部以下である。シランカップリング剤の含有量を上記範囲とすることで、金属酸化物粒子やその組成物の屈折率を維持することができる。
表面修飾剤として有機酸及びシランカップリング剤を含む場合、シランカップリング剤と有機酸との質量比(シランカップリング剤/有機酸)は、好ましくは0.01~2.0、より好ましくは0.1~1.5、さらに好ましくは0.2~0.95である。シランカップリング剤の量が上記範囲内であれば、金属酸化物粒子の分散性が良好である。
金属酸化物粒子の濃度は用途に応じて適宜設定することができるが、本発明の硬化性樹脂組成物が未硬化の場合や重合体(樹脂)を含む場合、通常、上記組成物の全成分((被覆型)金属酸化物粒子、溶媒、重合性単量体、アルカリ可溶性重合体などのうち使用されているもの全ての合計)100質量%に対して、90質量%以下である。下限値は特に制限されないが、溶媒コストを考慮すると、例えば、1質量%以上である。より好ましくは5質量%以上、85質量%以下、さらに好ましくは10質量%以上、80質量%以下である。
本発明の硬化性樹脂組成物は分散性を更に向上するために分散剤や分散助剤を添加することが好ましい。これらは金属酸化物粒子を分散させるものであれば特に限定されないが、代表的には界面活性剤等が挙げられる。あらかじめ界面活性剤の種類や含有量を調整して金属酸化物粒子分散液を製造してから、他の成分と混合し、本発明の硬化性樹脂組成物を製造することで硬化性樹脂組成物の透明性が高くなり、製造の効率も向上する。
界面活性剤としては、陰イオン系界面活性剤、陽イオン系界面活性剤、両性イオン界面活性剤、非イオン系界面活性剤が挙げられる。陰イオン系界面活性剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウムなどの脂肪酸ナトリウム;脂肪酸カリウム、脂肪酸エステルスルフォン酸ナトリウムなどの脂肪酸系界面活性剤;アルキルリン酸エステルナトリウムなどのリン酸系界面活性剤;アルファオレインスルフォン酸ナトリウムなどのオレフィン系界面活性剤;アルキル硫酸ナトリウムなどのアルコール系界面活性剤;アルキルベンゼン系界面活性剤などが用いられる。陽イオン系界面活性剤としては、塩化アルキルメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムなどが用いられる。両性イオン界面活性剤としては、アルキルアミノカルボン酸塩などのカルボン酸系界面活性剤;フォスフォベタインなどのリン酸エステル系界面活性剤などが用いられる。非イオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンラノリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどの脂肪酸系界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル;脂肪酸アルカノールアミド;有機リン酸エステル、アルキルリン酸エステル、リン酸ポリエステル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルリン酸エステルなどのリン酸系界面活性剤などが用いられる。
また上記金属酸化物粒子は、表面修飾され、且つ上記界面活性剤を添加することで分散性が顕著に向上し、高濃度の組成物であっても、組成物は良好な透明性を有する。金属酸化物粒子が高濃度に分散された組成物は、例えば、屈折率の向上に有利であり、各種用途に応じた屈折率の調整が可能となる。金属酸化物粒子を、高濃度の金属酸化物粒子組成物として用いる場合には、該組成物中の金属酸化物粒子の量を、25質量%以上とすることが好ましく、より好ましくは30質量%以上であり、更に好ましくは60質量%以上である。上限は特に限定されないものの、上記組成物中の金属酸化物粒子の量は、90質量%以下とするのが好ましい。
また、本発明の金属酸化物粒子を含有する組成物を調製する場合には、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、ステアリン酸などの直鎖状カルボン酸;2-エチルヘキサン酸、2-メチルヘプタン酸、4-メチルオクタン酸、ネオデカン酸などの分枝鎖状カルボン酸;ナフテン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などの環状カルボン酸、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-メタクリロイロキシエチルフタル酸などの添加剤を添加することにより分散性をさらに高めることも可能であり、好ましい実施形態として挙げられる。
上述した界面活性剤または添加剤は通常、硬化性樹脂組成物の全成分100質量%に対して、0.01質量%以上10質量%以下添加するとよく、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下であり、さらに好ましくは0.3質量%以上3質量%以下である。これらを配合することにより、組成物の透明性や分散性の向上させることが可能となる。さらに組成物の低粘度化を達成することもできる。さらに界面活性剤が硬化性樹脂組成物の総量100質量%に対して0.3質量%~3質量%の範囲で含まれる硬化性樹脂組成物が最も好ましい形態として挙げられる。
また、金属酸化物粒子分散液をあらかじめ製造する際は、金属酸化物粒子分散液の全成分100質量%に対して、上述した界面活性剤または添加剤は0.1質量%以上20質量%以下添加するとよく、より好ましくは0.5質量%以上10質量%以下であり、さらに好ましくは1質量%以上5質量%以下である。
なお、金属酸化物粒子が表面修飾剤の無い金属酸化物粒子について、又は表面修飾剤があってもそれらを除いた金属酸化物粒子について、その含有量は硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%中、5質量%以上であることが好適である。これにより、硬化膜の物性がより向上する。より好ましくは10質量%以上、更に好ましくは15質量%以上である。また、現像性や分散安定性等の観点から、80質量%以下であることが好適である。より好ましくは70質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下、最も好ましくは45質量%以下である。
また、金属酸化物粒子についてZrO粒子とSiO粒子を併用する場合(複合酸化物ではなく各金属酸化物粒子を混合する場合)、(ZrO粒子/SiO粒子)の質量比は99/1~10/90であることが好ましく、90/10~30/70であることがより好ましく、80/20~40/60であることがさらに好ましく、70/30~50/50であることが特に好ましい。上記範囲にすることで、高屈折率、高硬度であり基板への密着性が高い硬化膜となる。
[アルカリ可溶性重合体]
アルカリ可溶性重合体は、アルカリ可溶性を示す重合体である。重量平均分子量が5000以上のものが好ましい。重量平均分子量が5000以上のものを用いると、現像性が著しく向上されることになる。好ましくは7000以上、より好ましくは1万以上、更に好ましくは1万2千以上である。また、粘性等の観点から、25万以下であることが好ましい。より好ましくは10万以下、更に好ましくは5万以下、特に好ましくは3万以下、最も好ましくは2万以下である。
なお、上記アルカリ可溶性重合体が高分子量である場合には、酸価が高い方が現像されやすくなる。
重量平均分子量は、例えば、ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液として、HLC-8320GPC(東ソー社製)、カラム TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法により求めることができる。
上記アルカリ可溶性重合体はまた、分子内に酸基を有する重合体(「酸基含有重合体」とも称す)であることが好適である。酸基としては、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基、スルホン酸基等、アルカリ水と中和反応する官能基が挙げられ、これらの1種のみを有していてもよいし、2種以上有していてもよい。中でも、カルボキシル基、カルボン酸無水物基が好ましく、カルボキシル基がより好ましい。
上記アルカリ可溶性重合体が酸基を有する重合体である場合、当該アルカリ可溶性重合体の酸価(AV)としては特に限定されないが、例えば、20mgKOH/g以上、300mgKOH/g未満であることが好適である。これにより、より充分なアルカリ可溶性が発現され、現像性により優れる硬化膜を得ることが可能になる。酸価の下限値としてより好ましくは30mgKOH/g以上、更に好ましくは40mgKOH/g以上、最も好ましくは100mgKOH/g以上である。また、250mgKOH/g以下がより好ましく、更に好ましくは200mgKOH/g以下である。
重合体の酸価は、例えば、0.1規定のKOH水溶液を滴定液として用いて、自動滴定装置(平沼産業社製、商品名「COM-1700A」)により、重合体溶液の酸価を測定し、溶液の酸価と溶液の固形分とから、固形分あたりの酸価を計算することで求めることができる。また、重合体溶液の固形分は、次のようにして求めることができる。
重合体溶液をアルミカップに約0.3g量り取り、アセトン約1gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させる。そして、熱風乾燥機(エスペック社製、商品名「PHH-101」)を用い、140℃で3時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定する。その質量減少量から、重合体溶液の固形分濃度を算出する。なお、評価は実施例の評価方法(2)及び(3)の欄に記載の方法で行った。
上記アルカリ可溶性重合体としては、例えば、酸基及び重合性二重結合を有する単量体を含む単量体成分を重合することにより得られる重合体(ベースポリマーとも称す)や、後述するように、当該ベースポリマーに、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物を反応させて得られる重合体(側鎖二重結合含有重合体とも称す)であることが好適である。より好ましくは、側鎖に重合性二重結合を有する重合体(側鎖二重結合含有重合体)である。
なお、使用される各単量体は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記アルカリ可溶性重合体として特に好ましくは、主鎖に環構造を有する重合体である。アルカリ可溶性重合体として主鎖に環構造を有する重合体を用いると、耐熱性や表面硬度、密着性により優れ、各種物性をより一層安定して発現できる硬化膜を得ることができる。このように、上記アルカリ可溶性重合体が主鎖に環構造を有する重合体である形態もまた、本発明の好適な形態の1つである。
したがって、上記ベースポリマーを形成する単量体成分は、酸基及び重合性二重結合を有する単量体とともに、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体を1種又は2種以上含むことが好適である。重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体としては、例えば、分子内に二重結合含有環構造を有する単量体や、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する単量体等が挙げられる。
上記酸基及び重合性二重結合を有する単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、ケイ皮酸、ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸等の不飽和多価カルボン酸類;コハク酸モノ(2-アクリロイルオキシエチル)、コハク酸モノ(2-メタクリロイルオキシエチル)等の不飽和基とカルボキシル基との間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和酸無水物類;ライトエステルP-1M(共栄社化学製)等のリン酸基含有不飽和化合物;等が挙げられる。これらの中でも、汎用性、入手性等の観点から、カルボン酸系単量体(不飽和モノカルボン酸類、不飽和多価カルボン酸類、不飽和酸無水物類)を用いることが好適である。より好ましくは、反応性、アルカリ可溶性等の点で、不飽和モノカルボン酸類を用いることが好ましく、更に好ましくは(メタ)アクリル酸(すなわちアクリル酸及び/又はメタクリル酸)であり、このうち特に好ましくはメタクリル酸である。すなわち、メタクリル酸由来の構成単位を有するアルカリ可溶性重合体であることが特に好ましい。なお、メタクリル酸由来の構成単位とは、メタクリル酸の重合反応や付加反応によってメタクリル酸由来の構造が導入された重合体における部位を意味する。
上記酸基及び重合性二重結合を有する単量体の含有割合は、例えば、上記ベースポリマー成分100質量%に対し、5質量%以上であることが好ましい。これにより、アルカリに対する溶解性がより充分となり、例えば、現像性が必要とされる用途に更に有用な硬化性樹脂組成物となる。また、硬化膜の優れた外観や密着性等をより維持できる点で、85質量%以下であることが好ましい。より好ましくは10~80質量%、更に好ましくは15~75質量%である。
上記単量体成分は、上述した酸基及び重合性二重結合を有する単量体に加えて、その他のラジカル重合性単量体(以下、「他の単量体」とも称す)を含むものであってもよい。
上記他の単量体としては、例えば、上述したように、重合体の主鎖骨格に環構造を導入し得る単量体として、分子内に二重結合含有環構造を有する単量体や、環化重合して環構造を主鎖に有する重合体を形成する単量体等の1種又は2種以上が好適である。このような単量体としては、N-置換マレイミド系単量体、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体、及び、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートからなる群より選択される少なくとも1種を用いることが好適である。このように上記アルカリ可溶性重合体が、N-置換マレイミド系単量体単位、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体単位、及び/又は、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート系単量体単位を有する重合体である形態は、本発明の好適な形態の1つである。
上記他の単量体としてはまた、その他の(メタ)アクリル酸エステル系単量体や芳香族ビニル系単量体等の1種又は2種以上も好適に使用される。
なお、特にN-置換マレイミド系単量体単位、及び/又は、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体単位を含む重合体は、耐熱性や分散性(金属酸化物粒子、顔料粒子等の分散性)に優れ、硬度等がより向上された硬化膜を与えることが可能になる。上述の単量体単位を含む重合体とは、例えば、単量体の重合反応や架橋反応によって当該単量体由来の構成単位を含む重合体を意味する。
上記単量体成分において、N-置換マレイミド系単量体としては、例えば、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-メチルマレイミド、N-エチルマレイミド、N-イソプロビルマレイミド、N-t-ブチルマレイミド、N-ドデシルマレイミド、N-ベンジルマレイミド、N-ナフチルマレイミド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、着色の少なさや分散性に優れる点で、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミドが好ましく、特にN-ベンジルマレイミドが好適である。
上記N-ベンジルマレイミドとしては、例えば、ベンジルマレイミド;p-メチルベンジルマレイミド、p-ブチルベンジルマレイミド等のアルキル置換ベンジルマレイミド;p-ヒドロキシベンジルマレイミド等のフェノール性水酸基置換ベンジルマレイミド;o-クロロベンジルマレイミド、o-ジクロロベンジルマレイミド、p-ジクロロベンジルマレイミド等のハロゲン置換ベンジルマレイミド等が挙げられる。
上記ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体としては、着色の少なさや分散性、工業的入手の容易さ等の観点から、例えば、ジメチル-2,2’-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート等を用いることが好適である。
上記α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートとしては、例えば、α-アリルオキシメチルアクリル酸、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸i-プロピル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-ブチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-アミル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンテル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-ヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-ヘプチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸n-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸s-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸t-オクチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸2-エチルヘキシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α-アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α-アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α-アリルオキシメチルアクリル酸メリシル等の鎖状飽和炭化水素基含有α-(アリルオキシメチル)アクリレートが好ましい。中でも、α-アリルオキシメチルアクリル酸メチル(「α-(アリルオキシメチル)メチルアクリレート」とも称す)が特に好適である。
上記α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートは、例えば、国際公開第2010/114077号パンフレットに開示されている製造方法により製造することができる。
上記N-置換マレイミド系単量体、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体、及び/又は、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレートの含有割合(2種以上用いる場合はその合計の割合)は、例えば、上記ベースポリマー成分100質量%に対し、1質量%以上であることが好ましく、また、40質量%以下であることが好ましい。この範囲にあると、耐熱性や分散性、表面硬度等がより向上された硬化膜を得ることが可能になる。なお、これらの単量体成分に由来する主鎖環構造の含有量が増加すると、密着性が向上する傾向にある。また、N-置換マレイミド系単量体の添加量をより増加させると、硬度の点でより優れる硬化膜が得られ、また、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体を用いることにより、耐熱着色性の点でより優れる硬化膜が得られる。なお、N-置換マレイミド系単量体の含有割合が多すぎると、現像速度がより適切なものとはならないことがある。上記N-置換マレイミド系単量体由来の構成単位、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体由来の構成単位、及び/又は、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート由来の構成単位の全単量体単位100質量%に対する含有割合として、より好ましくは2~40質量%、更に好ましくは3~35質量%である。
上記その他の(メタ)アクリル酸エステル系単量体とは、ジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体、及び、α-(不飽和アルコキシアルキル)アクリレート以外の(メタ)アクリル酸エステル系単量体を意味し、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸s-ブチル、(メタ)アクリル酸t-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸s-アミル、(メタ)アクリル酸t-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2-エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、α-ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α-ヒドロキシメチルアクリル酸エチル等の他、1,4-ジオキサスピロ[4,5]デク-2-イルメタアクリル酸、(メタ)アクリロイルモルホリン、テトラヒドロフルフリルアクリレート、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-イソブチル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2-メチル-2-シクロヘキシル-1,3-ジオキソラン、4-(メタ)アクリロイルオキシメチル-2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン、アルコキシ化フェニルフェノール(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの化合物の市販品としては、例えばMMDOL30、MEDOL30、MIBDOL30、CHDOL30、MEDOL10、MIBDOL10、MIBDOL10、CHDOL10、ビスコート150、ビスコート160(以上、大阪有機化学工業社製)、ACMO(興人社製)、A-LEN-10(新中村化学社製)等が挙げられる。中でも、耐熱性が優れる点で、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、アルコキシ化フェニルフェノール(メタ)アクリレートが好ましい。より好ましくは、耐熱性、密着性、現像性が優れる点で、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、及び/又は、アルコキシ化フェニルフェノール(メタ)アクリレートを用いることである。
さらに、溶解性の点から脂環式炭化水素基含有単量体(単位)、特に脂環式(メタ)アクリレート由来の構成単位が好ましい。脂環式炭化水素基含有単量体について以下に詳述する。
上記脂環式炭化水素基含有単量体としては、脂環式炭化水素基を有し、かつ重合性二重結合を有する単量体が挙げられる。上記脂環式炭化水素基としては、好ましくは炭素数が3~12、より好ましくは炭素数が7~10の脂環式炭化水素基が挙げられ、具体的には、シクロプロピル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロドデシル、シクロへプチル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル等の単環式炭化水素基;ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、トリシクロデカニル、アダマンチル、イソボルニル等の多環式炭化水素基が挙げられる。なかでも、より一層優れた溶解性と耐熱着色性を発揮することができる点で、上記脂環式炭化水素基は、多環式炭化水素基であることが好ましく、ジシクロペンタニル、ジシクロペンテニル、イソボルニルであることが更に好ましく、ジシクロペンタニルであることが特に好ましい。
上記重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられる。上記重合性二重結合を有する単量体としては、(メタ)アクリレート系単量体であることが好ましい。すなわち、上記脂環式炭化水素基含有単量体は、脂環式炭化水素基含有(メタ)アクリレート系単量体であることが好ましい。
上記芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、メトキシスチレン等が挙げられる。中でも、溶解性、重合体の耐熱着色性や耐熱分解性の点で、スチレン、ビニルトルエンが好適である。
なお、芳香族ビニル系単量体由来の構成単位について以下に詳述する。
芳香族ビニル系単量体は、芳香族基とビニル基を有する単量体である。芳香族基は主鎖近傍の立体障害を増加させ、酸基の会合を抑制できるため、合成時の白濁抑制に寄与する。また、芳香族基は分散安定性に寄与し、硬化性樹脂組成物とした際、現像時の残渣発生を抑制できる。芳香族基としては、ベンゼン環、ナフタレン環等を含む基が挙げられ、なかでもベンゼン環を含む基が好ましい。上記芳香族基は、置換基を有していてもよい。上記置換基としては、例えば、炭素数1~5のアルキル基、炭素数1~5のアルコキシ基等が挙げられる。上記芳香族ビニル系単量体としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン、キシレン、メトキシスチレン、エトキシスチレン等が挙げられ、なかでも、耐熱分解性が向上するという点で、好ましくはスチレン、ビニルトルエンが挙げられ、更に有機溶媒やアルカリに対する溶解速度が高く、メチル基が上述した立体障害と疎水性の向上に寄与することから、より好ましくはビニルトルエンが挙げられる。他の単量体との相溶性を考慮すると、重合時の全単量体総量100質量%に対して10~90質量%であることが好ましい。重合性を考慮すると全単量体総量100質量%に対して、15質量%以上であることがより好ましく、25質量%以上であることが更に好ましく、また、85質量%以下であることがより好ましく、80質量%以下であることが更に好ましい。上記ビニルトルエンは、o-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、m-ビニルトルエンがある。これらの中でも、工業的に入手しやすい、m-ビニルトルエン、p-ビニルトルエン、及び、m-ビニルトルエンとp-ビニルトルエンとの混合物が好ましく、特に工業的に入手しやすい、m-ビニルトルエンとp-ビニルトルエンとの混合物が好適である。
変性して側鎖二重結合を付与したアルカリ可溶性重合体の場合、全単量体単位中におけるビニルトルエン単位の割合は、特に制限されないが、全単量体単位中5~85質量%、好ましくは10~80質量%、さらに好ましくは20~70質量%であるのがよい。上記範囲にすることでアルカリに対する溶解性及び熱安定性がさらに良好となる。
上記その他の(メタ)アクリル酸エステル系単量体及び/又は芳香族ビニル系単量体の含有割合(2種以上用いる場合はその合計の割合)は、例えば、上記ベースポリマー成分100質量%に対し、1~80質量%であることが好適である。この範囲にあると、耐熱着色性、分散性、アルカリ可溶性等により優れる硬化膜を得ることができる。より好ましくは5~75質量%、更に好ましくは10~70質量%である。
上記他の単量体としてはまた、例えば、下記の化合物等の1種又は2種以上を用いることもでき、その含有割合は、上記ベースポリマー成分100質量%中、20質量%以下、好ましくは10質量%以下とすることが好適である。N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N-メチロール(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド類;ポリスチレン、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリシロキサン、ポリカプロラクトン、ポリカプロラクタム等の重合体分子鎖の片末端に(メタ)アクリロイル基を有するマクロモノマー類;1,3-ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2-エチルヘキシルビニルエーテル、n-ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2-ヒドロキシエチルビニルエーテル、4-ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;N-ビニルピロリドン、N-ビニルカプロラクタム、N-ビニルイミダゾール、N-ビニルモルフォリン、N-ビニルアセトアミド等のN-ビニル化合物類;(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネート等の不飽和イソシアネート類等。
上記単量体成分を重合する方法としては、バルク重合、溶液重合、乳化重合等の通常用いられる手法を用いることができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよい。中でも、溶液重合が、工業的に有利で、分子量等の構造調整も容易であるため好適である。また、上記単量体成分の重合機構は、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合等の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、ラジカル重合機構に基づく重合方法が、工業的にも有利であるため好ましい。
上記重合反応における重合開始方法は、熱や電磁波(赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー源から重合開始に必要なエネルギーを単量体成分に供給すればよく、更に重合開始剤を併用すれば、重合開始に必要なエネルギーを大きく下げることができ、また、反応制御が容易となるため好適である。また上記単量体成分を重合して得られる重合体の分子量は、重合開始剤の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整等により制御することができる。
上記単量体成分を溶液重合法により重合する場合、重合に使用する溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件に応じて適宜設定すればよいが、後に硬化性樹脂組成物とした際に、希釈剤等として溶剤を用いる場合には、該溶剤を含む溶媒を、単量体成分の溶液重合に用いることが、効率的で好ましい。
上記溶媒としては、例えば、下記の化合物等が好適に挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;等。
これらの溶媒の中でも、得られる重合体の溶解性、塗膜を形成する際の表面平滑性、人体及び環境への影響の少なさ、工業的入手のし易さから、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、乳酸エチルを用いることがより好適である。
上記溶媒の使用量としては、上記ベースポリマー成分100質量部に対し、50~1000質量部であることが好適である。より好ましくは、100~500質量部である。
上記単量体成分をラジカル重合機構により重合する場合には、熱によりラジカルを発生する重合開始剤を使用することが、工業的に有利で好ましい。このような重合開始剤としては、熱エネルギーを供給することによりラジカルを発生するものであれば特に限定されるものではなく、重合温度や溶媒、重合させる単量体の種類等の重合条件に応じて、適宜選択すればよい。また、重合開始剤とともに、遷移金属塩やアミン類等の還元剤を併用してもよい。
上記重合開始剤としては、例えば、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、ジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、過酸化水素、過硫酸塩等の通常重合開始剤として使用される過酸化物やアゾ化合物等が挙げられ、これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記重合開始剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。例えば、重量平均分子量が数千~数万の重合体を得るには、上記ベースポリマー成分100質量部に対して、0.1~20質量部とすることが好適である。より好ましくは0.5~15質量部である。オリゴマー(例えば、分子量500以下)濃度を低減し、分子量分布が小さい重合体を得ることができる点で、全単量体成分(全単量体総量100質量部)に対して0.1質量部以上10質量部以下、より好ましくは0.5質量部以上3質量部未満とするのがよい。
上記重合ではまた、必要に応じて、通常使用される連鎖移動剤を使用してもよい。好ましくは、重合開始剤と連鎖移動剤とを併用することである。なお、重合時に連鎖移動剤を使用すると、分子量分布の増大やゲル化を抑制できる傾向にある。
上記連鎖移動剤としては、例えば、メルカプト酢酸、3-メルカプトプロピオン酸等のメルカプトカルボン酸類;メルカプト酢酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸メチル、3-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシル、3-メルカプトプロピオン酸n-オクチル、3-メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、3-メルカプトプロピオン酸ステアリル、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)等のメルカプトカルボン酸エステル類;エチルメルカプタン、t-ブチルメルカプタン、n-ドデシルメルカプタン、1,2-ジメルカプトエタン等のアルキルメルカプタン類;2-メルカプトエタノール、4-メルカプト-1-ブタノール等のメルカプトアルコール類;ベンゼンチオール、m-トルエンチオール、p-トルエンチオール、2-ナフタレンチオール等の芳香族メルカプタン類;トリス〔(3-メルカプトプロピオニロキシ)-エチル〕イソシアヌレート等のメルカプトイソシアヌレート類;2-ヒドロキシエチルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類;ベンジルジエチルジチオカルバメート等のジチオカルバメート類;α-メチルスチレンダイマー等の単量体ダイマー類;四臭化炭素等のハロゲン化アルキル類等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、入手性、架橋防止能、重合速度低下の度合いが小さい等の点で、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類、アルキルメルカプタン類、メルカプトアルコール類、芳香族メルカプタン類、メルカプトイソシアヌレート類等のメルカプト基を有する化合物を用いることが好適である。より好ましくは、アルキルメルカプタン類、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類であり、更に好ましくは、n-ドデシルメルカプタン、メルカプトプロピオン酸である。
上記連鎖移動剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重量平均分子量が数千~数万の重合体を得るには、上記ベースポリマー成分100質量部に対し、0.1~20質量部とすることが好適である。より好ましくは0.5~15質量部である。
上記重合の条件に関し、重合温度としては、使用する単量体の種類や量、重合開始剤の種類や量等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、50~150℃が好ましく、70~120℃がより好ましい。また、重合時間も同様に適宜設定することができるが、例えば、1~5時間が好ましく、2~4時間がより好ましい。
上記アルカリ可溶性重合体はまた、側鎖に二重結合を有するものであることが好適である。具体的には、上記単量体成分を重合して得られる重合体(ベースポリマー)と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物と、を反応させて得られる重合体(側鎖に重合性二重結合含有重合体とも称す)であることが好ましい。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物において、重合性二重結合としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基、メタリル基等が挙げられ、当該化合物として、これらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、反応性の点で、(メタ)アクリロイル基が好ましい。また、酸基と結合し得る官能基としては、例えば、ヒドロキシ基、エポキシ基、オキセタニル基、イソシアネート基、オキサゾリン基等が挙げられ、当該化合物として、これらの1種又は2種以上を有するものが好適である。中でも、変成処理反応の速さ、耐熱性、分散性の点から、エポキシ基(グリシジル基を含む)が好ましい。
側鎖に二重結合を導入する場合、エポキシ基、オキサゾリン基、イソシアネート基、およびヒドロキシ基から選ばれる少なくとも1種と重合性不飽和二重結合を含む化合物を付加させることが特に好ましく、重合体(ベースポリマー)に対して、好ましくは5~120質量%、より好ましくは5~80質量%、特に好ましくは5~60質量%とするのがよい。上記範囲にすることで露光感度、現像性、及び保存安定性が良好となる。
上記酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物としては、好ましくは、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β-メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β-エチルグリシジル、ビニルベンジルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、(メタ)アクリル酸(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチル、ビニルシクロヘキセンオキシド等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。中でも、エポキシ基及び(メタ)アクリロイル基を有する化合物(単量体)を用いることが好適である。
上記側鎖二重結合含有重合体を得る方法としては、例えば、上記ベースポリマー成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる際に、該ベースポリマー成分の酸基(好ましくはカルボキシル基)の量を、該酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物の量より過剰にする方法;上記ベースポリマー成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させた後に、更に多塩基酸無水物基を有する化合物を反応させる方法;等が挙げられる。
上記ベースポリマー成分(好ましくはカルボキシル基を有する重合体)と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる工程は、良好な反応速度を確保し、かつゲル化を防ぐために、50~160℃の温度範囲で行うことが好ましい。より好ましくは70~140℃、更に好ましくは90~130℃である。また、反応速度を向上するために、触媒として、通常使用されるエステル化又はエステル交換用の塩基性触媒や酸性触媒を用いることができる。中でも、副反応が少なくなるため、塩基性触媒を用いることが好ましい。
上記塩基性触媒としては、例えば、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、トリ-n-オクチルアミン、テトラメチルエチレンジアミン等の3級アミン;テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラメチルアンモニウムブロマイド、テトラブチルアンモニウムブロマイド、n-ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩;テトラメチル尿素等の尿素化合物;テトラメチルグアニジン等のアルキルグアニジン;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド化合物;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の3級ホスフィン;テトラフェニルホスホニウムブロマイド、ベンジルトリフェニルホスホニウムブロマイド等の4級ホスホニウム塩;等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、反応性、取扱い性やハロゲンフリー等の点で、ジメチルベンジルアミン、トリエチルアミン、テトラメチル尿素、トリフェニルホスフィンが好ましい。
上記触媒の使用量は、上記ベースポリマー成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合基を有する化合物との合計量100質量部に対し、0.01~5.0質量部とすることが好ましい。より好ましくは0.1~3.0質量部である。
上記ベースポリマー成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物とを反応させる工程はまた、ゲル化を防ぐために、重合禁止剤を添加し、分子状酸素含有ガスの存在下で行うことが好ましい。分子状酸素含有ガスとしては、通常、窒素等の不活性ガスで希釈された空気又は酸素ガスが用いられ、反応容器内に吹き込まれる。
上記重合禁止剤としては、通常使用されるラジカル重合性単量体用の重合禁止剤を用いることができ、例えば、ハイドロキノン、メチルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、t-ブチルハイドロキノン、メトキノン、6-t-ブチル-2,4-キシレノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メトキシフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)等のフェノール系禁止剤、有機酸銅塩やフェノチアジン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。中でも、低着色、重合防止能力等の点でフェノール系禁止剤が好ましく、入手性、経済性から、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、メトキノン、6-t-ブチル-2,4-キシレノール、2,6-ジ-t-ブチルフェノールがより好ましい。
上記重合禁止剤の使用量としては、充分な重合防止効果の確保、及び、硬化性樹脂組成物としたときの硬化性等の観点から、上記ベースポリマー成分と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物との合計量100質量部に対し、0.001~1.0質量部であることが好ましい。より好ましくは0.01~0.5質量部である。
上記多塩基酸無水物基を有する化合物としては、例えば、無水コハク酸、ドデセニルコハク酸、ペンタデセニルコハク酸、オクタデセニルコハク酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
本発明の組成物に好適に含まれる側鎖に重合性二重結合を有するアルカリ可溶性重合体(側鎖二重結合含有重合体)は、二重結合当量が200~10000(g/mol)であることが好ましい。このような範囲とすることにより、重合体の充分な保存安定性と、本発明の硬化性樹脂組成物の現像性や密着性等における良好な製版特性等とを更に高いレベルで両立することが期待できる。より好ましくは250以上、更に好ましくは300以上、特に好ましくは350以上、一層好ましくは400以上であり、また、より好ましくは5000以下、更に好ましくは4000以下、特に好ましくは2500以下、一層好ましくは1500以下、より一層好ましくは1000以下、最も好ましくは800以下である。なお、二重結合当量とは、重合体の二重結合1molあたりの重合体溶液の固形分の質量(g)である。上記重合体溶液の固形分の質量とは、上記重合体を構成する単量体成分の質量と、連鎖移動剤の質量(ベースポリマー成分の質量と、酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合基を有する化合物の質量と、連鎖移動剤の質量)とを合計したものである。上記二重結合当量は、重合体溶液の重合体固形分の質量(g)を重合体の二重結合量(mol)で除することにより、求めることができる。上記重合体の二重結合量は、重合の際に使用した酸基含有単量体と、重合性二重結合を有する化合物(酸基と結合し得る官能基及び重合性二重結合を有する化合物)の構造を確認し、それらの量から求めることができる。また、滴定及び元素分析、NMR、IR等の各種分析や示差走査熱量計法を用いて測定することもできる。例えば、JIS K 0070:1992に記載のよう素価の試験方法に準拠して、重合体1gあたりに含まれるエチレン性二重結合の数を測定することにより算出してもよい。
また、側鎖二重結合含有重合体のガラス転移温度(Tg)が80℃以下であることが好ましい。これにより、密着性が向上する。より好ましくは70℃以下、更に好ましくは60℃以下、特に好ましくは50℃以下、最も好ましくは40℃以下である。下限値は特に限定されないが、耐熱性の観点から、-10℃以上であることが好ましい。より好ましくは0℃以上である。ガラス転移温度(Tg)は、例えば以下の方法で測定できる。
共重合体溶液を5cm角のガラス基盤に塗布し、ガラス基板上にスピンコートし、室温・減圧下にて4時間乾燥し、膜質量30mg以下の薄膜を形成することにより揮発成分を除去し、固形分を得る。得られた固形分をDSC(示差走査熱量計法、測定機器:ネッチDSC3500)を用いて、窒素気流下、昇温速度10℃/minでJIS-K7121に準拠し測定する。
上記硬化性樹脂組成物において、アルカリ可溶性重合体の含有割合は、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、5質量%以上であることが好ましく、また、70質量%以下であることが好適である。このような範囲にあることで、本発明の効果をより顕著に奏することが可能となる。より好ましくは10~65質量%、更に好ましくは10~50質量%、特に好ましくは10~40質量%、一層好ましくは10~35質量%、最も好ましくは15~35質量%である。
[重合性単量体]
重合性単量体とは、フリーラジカル、電磁波(例えば赤外線、紫外線、X線等)、電子線等の活性エネルギー線の照射等により重合し得る、重合性不飽和結合(重合性不飽和基とも称す)を有する低分子化合物である。例えば、重合性不飽和基を分子中に1つ有する単官能の化合物と、2個以上有する多官能の化合物が挙げられる。分子量としては特に限定されないが、取り扱いの観点から、例えば、3000以下が好ましく、2000以下が更に好ましい。
上記単官能の重合性単量体としては、例えば、上記アルカリ可溶性重合体の単量体成分に好ましく含有される他の単量体として例示した化合物のうち、N-置換マレイミドや(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリルアミド類;不飽和モノカルボン酸類;不飽和多価カルボン酸類;不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸類;不飽和酸無水物類;芳香族ビニル類;共役ジエン類;ビニルエステル類;ビニルエーテル類;N-ビニル化合物類;不飽和イソシアネート類;等が挙げられる。
上記多官能の重合性単量体としては、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート等の2官能(メタ)アクリレート化合物;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物;
エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル等の多官能ビニルエーテル類;(メタ)アクリル酸2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2-(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチル等のビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル等の多官能アリルエーテル類;(メタ)アクリル酸アリル等のアリル基含有(メタ)アクリル酸エステル類;トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート等の多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート類;トリアリルイソシアヌレート等の多官能アリル基含有イソシアヌレート類;トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル等の水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル類との反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレート類;ジビニルベンゼン等の多官能芳香族ビニル類;等。
特に好ましい重合性単量体である2官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物について以下に詳述する。
2官能以上の多官能(メタ)アクリレート化合物(以下、単に「多官能(メタ)アクリレート化合物」とも称す)とは、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物である。このような化合物を含むことで、硬化性樹脂組成物が感光性及び硬化性に優れたものとなり、極めて高硬度で高透明の硬化膜を得ることが可能になる。上記多官能(メタ)アクリレート化合物の官能数として好ましくは、3以上であり、より好ましくは4以上、更に好ましくは5以上である。また、硬化収縮をより抑制する観点から、官能数が10以下が好ましく、より好ましくは8以下であり、更に好ましくは6以下である。
なお、(メタ)アクリロイル基とは、メタクリロイル基及び/又はアクリロイル基を意味するが、反応性により優れる観点からアクリロイル基が好ましい。すなわち、上記多官能(メタ)アクリレート化合物は、アクリロイル基を2個以上有する多官能アクリレート化合物であることが特に好適である。
上記重合性単量体の含有割合としては、用いる重合性単量体や上記アルカリ可溶性重合体の種類の他、目的や用途等に応じて適宜設定すればよいが、現像性や製版性により優れる観点から、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、2質量%以上であることが好ましく、また、85質量%以下であることが好適である。下限値としてより好ましくは5質量%以上、更に好ましくは10質量%以上、特に好ましくは15質量%以上であり、上限値としてより好ましくは75質量%以下、更に好ましくは60質量%以下、特に好ましくは50質量%以下、最も好ましくは40質量%以下である。
また、上記重合性単量体の含有量は、アルカリ可溶性重合体100質量部に対し、50質量部以上500質量部以下であることが好ましい。重合性単量体の含有量がこの範囲であると、表面硬度がより高い硬化膜が得られるとともに、アルカリ可溶性重合体の好ましい重量平均分子量が5000以上であることと相まって、現像性がより向上されることになる。より好ましくは80質量部以上、更に好ましくは100質量部以上、特に好ましくは120質量部以上である。また、現像性をより向上させる観点から、400質量部以下であることがより好ましい。更に好ましくは300質量部以下、特に好ましくは200質量部以下、最も好ましくは150質量部以下である。
[光重合開始剤]
上記硬化性樹脂組成物は、更に、光重合開始剤を含有することが好適である。光重合開始剤として好ましくは、ラジカル重合性の光重合開始剤である。ラジカル重合性の光重合開始剤とは、電磁波や電子線等の活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生させるものであり、通常使用されるものを1種又は2種以上使用することができる。また、必要に応じて、光増感剤や光ラジカル重合促進剤等を1種又は2種以上併用してもよい。光重合開始剤とともに、光増感剤及び/又は光ラジカル重合促進剤を使用することにより、感度や硬化性がより向上される。
上記光重合開始剤として具体的には、例えば、下記の化合物等が挙げられる。
2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-〔4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}-2-メチルプロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、2-(ジメチルアミノ)-2-〔(4-メチルフェニル)メチル〕-1-〔4-(4-モルホリニル)フェニル〕-1-ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;
ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2-カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;
ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン系化合物;
チオキサントン、2-エチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;
2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシカルボキニルナフチル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;
2-トリクロロメチル-5-(2’-ベンゾフリル)-1,3,4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-〔β-(2’-ベンゾフリル)ビニル〕-1,3,4-オキサジアゾール、4-オキサジアゾール、2-トリクロロメチル-5-フリル-1,3,4-オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;
2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4,6-トリクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1-〔9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル〕-,1-(O-アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;
ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;
p-ジメチルアミノ安息香酸、p-ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;
9-フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;
2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン(「IRGACURE651」、BASF社製)、フェニルグリオキシリックアシッドメチルエステル(「DAROCUR MBF」、BASF社製)等のベンジルケタール系化合物;
1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン(「IRGACURE184」、BASF社製)、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン(「DAROCUR1173」、BASF社製)、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン(「IRGACURE2959」、BASF社製)、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]-フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン(「IRGACURE127」、BASF社製)、[1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン+ベンゾフェノン](「IRGACURE500」、BASF社製)等のハイドロケトン系化合物;
2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(「LUCIRIN TPO」、BASF社製)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド(「IRGACURE819」、BASF社製)等のホスフィンオキシド系化合物;
2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン(「IRGACURE907」、BASF社製)、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1(「IRGACURE369」、BASF社製)、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチル-ベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)-ブタン-1-オン(「IRGACURE379」、BASF社製)等のアミノケトン系化合物;
ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)-フェニル)チタニウム(「IRGACURE784」、BASF社製)等のチタノセン系化合物;
1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)] (「IRGACURE OXE01」、BASF社製)等のオキシムエステル系化合物;等。
上記の光重合開始剤の中でも、アミノケトン系化合物(アミノケトン系重合開始剤とも称す)を少なくとも用いることが特に好適である。すなわち上記硬化性樹脂組成物は、更に、アミノケトン系重合開始剤を含むことが好ましい。これにより、硬度及び現像性がより優れたものとなる。また、ハイドロケトン系化合物(ハイドロケトン系重合開始剤とも称す)や、ベンジルケタール系化合物(ベンジルケタール系重合開始剤とも称す)を用いることも好適である。
上記光重合開始剤と併用してもよい光増感剤や光ラジカル重合促進剤としては、例えば、キサンテン色素、クマリン色素、3-ケトクマリン系化合物、ピロメテン色素等の色素系化合物;4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル等のジアルキルアミノベンゼン系化合物;2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール等のメルカプタン系水素供与体等が挙げられる。
上記光重合開始剤の含有量は、目的、用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量部に対し、0.5質量部以上であることが好適である。これにより、密着性により優れた硬化膜を得ることができ、高温暴露後においても剥がれがより充分に抑制される。より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは2質量部以上である。また、光重合開始剤の分解物が与える影響や経済性等とのバランスを考慮すると、35質量部以下であることが好ましい。より好ましくは30質量部以下、更に好ましくは25質量部以下である。
本発明ではまた、上述したように重合開始剤としてアミノケトン系重合開始剤を使用することが好適であるが、この場合、重合開始剤の総量(すなわちアミノケトン系重合開始剤及び他の重合開始剤の合計量)100質量%に対し、アミノケトン系重合開始剤が20質量%以上であることが好適である。より好ましくは30質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、特に好ましくは55質量%以上、100質量%未満である。
また上記光増感剤及び光ラジカル重合促進剤の含有量(総量)としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、硬化性、分解物が与える影響及び経済性のバランスの観点から、本発明の硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.001~20質量%であることが好ましい。より好ましくは0.01~15質量%、更に好ましくは0.05~10質量%である。
[溶剤]
上記硬化性樹脂組成物はまた、溶剤を含むことが好適である。溶剤は、希釈剤等として好ましく使用される。すなわち具体的には、粘度を下げ取扱い性を向上する;乾燥により塗膜を形成する;色材の分散媒とする;等のために好適に使用されるものであり、硬化性樹脂組成物中の各含有成分を溶解又は分散することができる、低粘度の有機溶媒又は水である。
上記溶剤としては、通常使用するものを使用することができ、目的、用途に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、例えば、下記の化合物等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、s-ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン,ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3-メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3-メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド類;水;等。
上記溶剤の使用量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、本発明の硬化性樹脂組成物の総量100質量%中に、10~90質量%含まれるようにすることが好ましい。より好ましくは20~80質量%である。
[重合禁止剤]
上記硬化性樹脂組成物はまた、硬化反応をより適切に制御する観点から、1種又は2種以上の重合禁止剤を含んでもよい。重合禁止剤としては、例えば、通常、紫外線吸収剤、光安定剤(HALS)、酸化防止剤(老化防止剤も含む)等として使用されている化合物を用いることができる。具体的には例えば、下記の化合物等が挙げられる。
チヌビン400、チヌビン405(2-(2,4-ジヒドロキシフェニル)-4,6-ビス-(2,4-ジメチルフェニル)-1,3,5-トリアジンと、(2-エチルヘキシル)グリシド酸エステルとの反応生成物)、チヌビン460(2,4-ビス[2-ヒドロキシ-4-ブトキシフェニル]-6-(2,4-ジブトキシフェニル)-1,3-5-トリアジン)、チヌビン477(水分散したヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤)、チヌビン479(いずれもBASF社製)、アデカスタブLA-46(いずれもADEKA社製)等のヒドロキシフェニルトリアジン(HPT)系紫外線吸収剤;
チヌビンPS(2-(2-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール)、チヌビン99-2、チヌビン384-2、チヌビン900(2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ビス(1-メチル-1-フェニルエチル)フェノール)、チヌビン928(2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-(1-メチル-1-フェニルエチル)-4-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェノール)、チヌビン1130(いずれもBASF社製)、アデカスタブLA-29、アデカスタブLA-31、アデカスタブLA-32、アデカスタブLA-36(いずれもADEKA社製)等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤;
チヌビン111FDL、チヌビン123、チヌビン144(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)[{3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシフェニル}メチル]ブチルマロネート)、チヌビン292(ビス(1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジル)セバケートとメチル1,2,2,6,6-ペンタメチル-4-ピペリジルセバケートとの混合物)、チヌビン5100(いずれもBASF社製)、アデカスタブLA-52、アデカスタブLA-57、アデカスタブLA-63P、アデカスタブLA-68、アデカスタブLA-72、アデカスタブLA-77、アデカスタブLA-81、アデカスタブLA-82、アデカスタブLA-87、アデカスタブLA-402XP、アデカスタブLA-502XP(いずれもADEKA社製)等の光安定剤(HALS);
アンテージW-300(4,4’-ブチリデン-ビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール))、アンテージW-400(2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール))、アンテージW-500(2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-tert-ブチルフェノール))、アンテージクリスタル(4,4’-チオ-ビス(6-tert-ブチル-m-クレゾール))、アンテージBHT(2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール)、アンテージDAH(2,5-ジ-tert-アミルヒドロキノン)、アンテージDBH(2,5-ジ-tert-ブチル-ハイドロキノン)、アンテージSP(スチレネイティッドフェノール)、アンテージ2LX(フェノール誘導体)、アンテージ3LX(フェノール誘導体)、アンテージW-200(いずれも川口化学工業社製)、アデカスタブAO-20、アデカスタブAO-30、アデカスタブAO-40、アデカスタブAO-50、アデカスタブAO-60、アデカスタブAO-80、アデカスタブAO-330(いずれもADEKA社製)等のフェノール系酸化防止剤;
アデカスタブPEP-4C、アデカスタブPEP-8、アデカスタブPEP-8C、アデカスタブPEP-36、アデカスタブHP-10、アデカスタブ2112、アデカスタブ2112RG、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPP(いずれもADEKA社製)等のホスファイト系酸化防止剤;
アデカスタブAO-412S、アデカスタブAO-503(いずれもADEKA社製)等のチオエーテル系酸化防止剤;
アンテージ3C(N-イソプロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)、アンテージ6C(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン)、アンテージSTDP-N(フェノチアジン誘導体)、アンテージLDA(ジフェニルアミン誘導体)、アンテージOD(ジフェニルアミン誘導体)、アンテージDDA(ジフェニルアミン誘導体)、アンテージRD(重合された2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、アンテージAW(6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、アンテージF、アンテージD、アンテージDP、アンテージODPP(いずれも川口化学工業社製)等のアミン系酸化防止剤;等。
上記の重合禁止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤を少なくとも用いることが好適である。すなわち上記硬化性樹脂組成物は、更に、フェノール系酸化防止剤を含むことも好ましい。これにより、より一層優れた透明性、硬度及び現像性を、高温環境下に晒された後においても安定的に発揮できる硬化膜を得ることが可能になる。
上記重合禁止剤の含有量は、目的、用途等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、硬化性樹脂組成物の固形分総量100質量%に対し、0.001質量%以上であることが好ましい。より好ましくは0.01質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。また、5質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。
なお、本発明では、上述したように重合禁止剤としてフェノール系酸化防止剤を使用することが特に好適であるが、この場合、重合禁止剤の総量(すなわちフェノール系酸化防止剤及び他の重合禁止剤の合計量)100質量部に対し、フェノール系酸化防止剤が50質量部以上であることが好適である。より好ましくは70質量部以上、更に好ましくは90質量部以上である。特に好ましくは100質量部、すなわち重合禁止剤として、実質的にフェノール系酸化防止剤のみを使用することである。
[他の成分]
上記硬化性樹脂組成物は更に、それが適用される各用途の要求特性に応じて、例えば、顔料や染料等の色材(着色剤とも称す);量子ドット粒子(上述の金属酸化物粒子以外の量子ドット粒子);分散剤;界面活性剤;耐熱向上剤;レベリング剤;カップリング剤(上述の金属酸化物粒子の表面修飾剤として挙げたカップリング剤);現像助剤;フィラー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリビニルフェノール等の熱硬化性樹脂;硬化剤;離型剤;反応性希釈剤;安定化剤;難燃助剤;多官能チオール化合物等の硬化助剤;フッ素系添加剤;可塑剤;紫外線吸収剤;酸化防止剤;艶消し剤;消泡剤;帯電防止剤;スリップ剤;表面改質剤;揺変化剤;揺変助剤;キノンジアジド化合物;多価フェノール化合物;カチオン重合性化合物;酸発生剤;他の重合性単量体、架橋剤等の1種又は2種以上を、更に含んでいてもよい。
[硬化性樹脂組成物の製造方法]
上記硬化性樹脂組成物は、上述した含有成分を、従来使用されている各種の混合機や分散機を用いて混合分散することによって調製することができる。中でも、まず金属酸化物粒子を有機溶媒(分散媒)に分散させて、金属酸化物粒子の有機溶媒分散体(金属酸化物粒子分散液)を得た後、該分散体を、アルカリ可溶性重合体、重合性単量体及び必要に応じて含有される他の成分と混合することにより、硬化性樹脂組成物を得ることが好適である。このようにして得られる硬化性樹脂組成物であることにより、本発明の作用効果がより一層発揮される。このように、金属酸化物粒子を有機溶媒に分散させて金属酸化物粒子の有機溶媒分散体を得る工程(「分散工程」とも称す)と、該分散体を、アルカリ可溶性重合体等の他の含有成分と混合する工程(「混合工程」とも称す)とを含む、上記硬化性樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。なお、上記金属酸化物粒子は表面修飾剤により表面修飾する(「表面修飾工程」とも称す)ことが特に好ましく、上記分散工程前後又は分散工程中に表面修飾工程が含まれる硬化性樹脂組成物の製造方法もまた、本発明の好適な実施形態の1つである。表面修飾剤は上述した有機酸、シランカップリング剤、界面活性剤及びチタンカップリング剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
すなわち、数平均一次粒子径が30nm未満の金属酸化物粒子、アルカリ可溶性重合体、及び重合性単量体を混合する工程を有する硬化性樹脂組成物の製造方法において、上記金属酸化物粒子については、上記表面修飾工程、及び上記分散工程を有する工程を経た分散液を混合することが本発明の特に好適な実施形態の1つである。
上記分散工程及び混合工程は、特に限定されず、通常の手法により行えばよい。また、通常行われる他の工程を更に含むものであってもよい。
[硬化膜]
次に、本発明の硬化性樹脂組成物を用いて形成される硬化膜について説明する。
本発明の硬化性樹脂組成物は、活性エネルギー光線を照射(露光)することにより、硬化膜を形成することができる。具体的には、例えば、基材上に上記硬化性樹脂組成物を塗布して乾燥させ、その塗布面に活性エネルギー光線を照射(露光)することにより、硬化膜を形成することが好ましい。このように、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜もまた、本発明の1つである。
硬化膜の形状は特に制限されず、例えば、板、シート、フィルム、繊維などの成形体としても良い。被覆型ZrO粒子または被覆型Si0粒子が均一に分散している場合は、透明性がさらに高くなる。具体的には、100μmの厚さにおいて波長400nmの光の透過率を70%以上とすることができ、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上である。なお、ヘイズ値は、1.1%以下であることが好ましく、1.0%以下であることがより好ましく、0.9%以下であることがさらに好ましい。このように、本発明の硬化膜は、透明性が高いことが好ましい。これにより、本発明の硬化膜を含む積層体をタッチパネルに用いた場合であっても、その表示性能を低下させることがなく、鮮明な画像等を表示することができる。
被覆型ZrO粒子を所定量含有する場合(例えばZrO粒子が、硬化膜100質量%に対して40質量%~90質量%)は、屈折率も高い。具体的には、589nmの光に対する屈折率を1.5以上とすることができ、好ましくは1.6以上とすることができる。屈折率の上限は、例えば、1.8程度であってもよい。
なお、屈折率は、例えば、スライドグラス上に、硬化性樹脂組成物をアプリケーターで膜厚が100μmになるよう塗工を行い、窒素雰囲気下、高圧水銀ランプで1000mJ/cm2の紫外線を照射することにより硬化させ、硬化膜を得た後、屈折率計(アタゴ社製、DR-M2)を用いて、20℃において、得られた硬化膜の波長589nmの光の屈折率を測定することで確認できる。
上記硬化性樹脂組成物を塗布する基材としては、特に限定されず、例えば、白板ガラス、青板ガラス、シリカコート青板ガラス等の透明ガラス基板;ポリエステル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリスルホン、環状オレフィンの開環重合体やその水素添加物等の熱可塑性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂からなるシート、フィルム又は基板;アルミニウム板、銅板、ニッケル板、ステンレス板等の金属基板;セラミック基板;光電変換素子を有する半導体基板;表面に色材層を備えるガラス基板(LCD用カラーフィルタ)等の各種材料から構成される部材;等が挙げられる。また、上記基材には、必要に応じて、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤等による薬品処理等を行ってもよい。
上記硬化性樹脂組成物を基材に塗布する方法としては、特に限定されず、例えば、スピン塗布、スリット塗布、ロール塗布、流延塗布等が挙げられ、いずれの方法も好ましく用いることができる。
上記基材に塗布した後の塗膜の乾燥は、例えば、ホットプレート、IRオーブン、コンベクションオーブン等を用いて行うことができる。乾燥条件は、含まれる溶媒成分の沸点、硬化成分の種類、膜厚、乾燥機の性能等に応じて適宜選択されるが、通常、50~160℃の温度で、10秒~300秒間行うことが好適である。
上記活性エネルギー光線の光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が使用される。また、露光機の方式としては、プロキシミティー方式、ミラープロジェクション方式、ステッパー方式が挙げられるが、プロキシミティー方式が好ましく用いられる。
なお、活性エネルギー光線の照射工程では、用途によっては、所定のマスクパターンを介して活性エネルギー光線を照射することとしてもよい。この場合、露光部が硬化し、硬化部が現像液に対して不溶化又は難溶化されることになる。
また必要に応じて、上記活性エネルギー光線の照射工程後に、現像液によって現像処理し、未露光部を除去しパターンを形成する工程(「現像工程」とも称す)を行ってもよい。これによって、パターン化された硬化膜を得ることができる。
上記現像工程における現像処理は、通常、10~50℃の現像温度で、浸漬現像、スプレー現像、ブラシ現像、超音波現像等の方法で行うことができる。
なお、活性エネルギー光線としては、フォトマスクの微細な回路パターンを忠実にレジスト膜上に転写すべく、好ましくは、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)等の短波長の放射線、より好ましくは、ArFエキシマレーザが用いられるが、その他、g線(波長436nm)、i線(波長365nm)、X線(数nm~10数nm)、電子線(数100pm以下)等を用いてもよい。露光後のレジスト膜は、レジストパターン(レジスト側壁形状)の変形を軽減するため、必要に応じて、例えば熱板、オーブン、赤外線の照射等により比較的高温にて加熱処理を行うことでベーク(現像前ベーク、プリベーク)される。その後、該レジスト膜をさらに現像することにより、レジストパターンが形成される。上記現像前ベーク時におけるベーク温度は、特に限定されるものではないが、好ましくは120℃~250℃の範囲内である。また、ベーク時間は、ベーク温度やレジスト膜の種類等に応じて適宜設定される。尚、現像によりレジストパターンが形成された上記のレジスト膜は、該レジスト膜中または表面に残留した現像液やリンス液を蒸発除去し、基板との密着性強化を行うために、ポストベーク(最終的な焼成)が施される。該ポストベーク時のベーク温度、ベーク時間は、レジストパターン形状が軟化変形しない温度で設定すればよく、特に限定されるものではない。上記現像に用いられる現像液としては、例えば、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド(TMAH)やコリン等の有機アルカリ水溶液;水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等の無機アルカリ性水溶液;等のアルカリ性現像剤を用いることができる。なお、現像液としてアルカリ性水溶液を用いる場合には、現像後、水で洗浄することが好ましい。
上述の通り、現像液は、本発明の硬化性樹脂組成物を溶解するものであれば特に限定されないが、通常、有機溶媒やアルカリ性水溶液が用いられ、これらの混合物を用いてもよい。上記現像液として好適な有機溶媒としては、例えば、エーテル系溶媒やアルコール系溶媒等が挙げられる。具体的には、例えば、ジアルキルエーテル類、エチレングリコールモノアルキルエーテル類、エチレングリコールジアルキルエーテル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル類、トリエチレングリコールジアルキルエーテル類、アルキルフェニルエーテル類、アラルキルフェニルエーテル類、ジ芳香族エーテル類、イソプロパノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
上記アルカリ性水溶液には、アルカリ剤の他、必要に応じ、界面活性剤、有機溶媒、緩衝剤、染料、顔料等を含有させることができる。この場合の有機溶媒としては、上述した現像液として好適な有機溶媒等が挙げられる。
上記アルカリ剤としては、例えば、珪酸ナトリウム、珪酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、第三リン酸ナトリウム、第二リン酸ナトリウム、炭酸
ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等の無機のアルカリ剤;トリメチルアミン、ジエチルアミン、イソプロピルアミン、n-ブチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン類が挙げられ、これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
上記界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタン酸アルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類等のノニオン系界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類等のアニオン性界面活性剤;アルキルベタイン類、アミノ酸類等の両性界面活性剤等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を組み合わせてもよい。
上述の通り、上記現像工程の終了後に後硬化工程(ポストべーク)を行ってもよいが、後硬化工程とは、例えば、高圧水銀灯等の光源を使用して、例えば0.5~5J/cmの光量で後露光する工程や、例えば60~260℃の温度で10秒~120分間にわたって後加熱する工程等が挙げられる。このような後硬化工程を行うことにより、パターン化された硬化膜の硬度及び密着性を更に強固なものとすることが可能になる。
このようにして得られる硬化膜は、その膜厚(厚み)が0.1~20μmであることが好適である。これにより、上記硬化膜を用いた部材等や表示装置等の低背化要求に充分に応えることができる。より好ましくは0.5~10μm、更に好ましくは0.5~8μmである。
[硬化性樹脂組成物の用途等]
本発明の硬化性樹脂組成物は、上述したように、密着性や現像性に優れ、高屈折率で充分な表面硬度を有し、さらには電気特性を安定して発現できる硬化物(硬化膜)を与えるものである。したがって、このような硬化性樹脂組成物から形成される硬化物(硬化膜)は、例えば、液晶・有機EL・量子ドット・マイクロLED液晶表示装置や固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等の各種表示装置の構成部材、ブラックマトリクス、フォトスペーサー、ブラックカラムスペーサー、インキ、印刷版、プリント配線板、半導体素子、フォトレジスト、絶縁膜、フィルム、有機保護膜等、各種の光学材料用部材や電機・電子機器等の種々様々な用途に好ましく使用される。中でも、液晶表示装置や固体撮像素子等に用いられるカラーフィルタや、タッチパネル式表示装置に用いることが好ましく、特に、上記硬化性樹脂組成物を用いて、これら各種表示装置における保護膜(カラーフィルタ用保護膜、タッチパネル式表示装置用保護膜等)や、絶縁膜(タッチパネル式表示装置用絶縁膜等)を形成することが好適である。これにより、近年の高性能化の要望に充分に対応できる程度に各種表示装置の表示品位や撮像品位の信頼性を充分に高めることができる。このように上記硬化性樹脂組成物が保護膜又は絶縁膜形成用の硬化性樹脂組成物である形態は、本発明の好適な形態の1つである。また、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜、該硬化膜を有する表示装置用部材等の光学材料用部材及び該硬化膜を有する表示装置等の光学材料も、本発明に含まれる。
特に好ましい形態である表示装置用部材及び表示装置は、上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜を有する。上記硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜は、安定して密着性に優れ、かつ高硬度であるうえ、高平滑性を示し、高い透過率を有するものである。したがって、透明部材として特に好適であり、また、各種表示装置における保護膜や絶縁膜として非常に有用である。表示装置としては特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、固体撮像素子、タッチパネル式表示装置等が好適である。タッチパネル式表示装置としては、特に、静電容量方式のものが好ましい。
なお、上記表示装置用部材は、上記硬化膜から構成されるフィルム状の単層又は多層の部材であってもよいし、該単層又は多層の部材に更に他の層が組み合わされた部材であってもよいし、また、上記硬化膜を構成中に含む部材(例えば、カラーフィルタ等)であってもよい。
[好ましい用途]
本発明の硬化性樹脂組成物は平均一粒子径が30nm未満の金属酸化物粒子を含んでいるにも関わらず、顕著な分散性・保存安定性を示す。高分散性を要する用途としては、例えば、レジスト用途、光学用途、塗布用途、接着用途が挙げられ、光学レンズ、光学フィルム用粘着剤、光学フィルム用接着剤、ナノインプリント用樹脂組成物、マイクロレンズアレイ、透明電極に使用する反射防止層、反射防止フィルムや反射防止剤、光学レンズの表面コート、有機EL光取り出し層、各種ハードコート材、TFT用平坦化膜、カラーフィルター用オーバーコート、反射防止フィルム等の各種保護膜および、光学フィルター、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、カラーフィルター用フォトスペーサー、タッチパネル用保護膜等の光学材料に好適に用いられる。特に、顕著な分散性に加え、高屈折率、高硬度、高い比誘電率を有するため、光学レンズ、光学レンズの表面コート、層間絶縁膜、タッチセンサー用絶縁膜、TFT用絶縁膜、タッチパネル用保護膜等に使用することが好ましい。
上記金属酸化物粒子がZrO粒子である場合は、高屈折率光学材料用(好ましくは高屈折率透明膜形成用)の硬化性樹脂組成物として好適であり、特許6251478号の段落0072~0092に記載の用途が好ましい用途として挙げられる。例えば、その高い誘電率を生かして半導体のゲート絶縁膜やDRAMなどのメモリー用キャパシタ絶縁膜への適用が可能である。また、ハードコート用途に代表される塗布用途に用いる場合、本発明の硬化性樹脂組成物から得られるハードコート用材料は、OA機器、携帯電話等の通信機器、家庭用電化製品、自動車用内・外装部品、家具用外装部材、プラスチックレンズ、化粧品容器、飲料用容器、有機ELディスプレイ等のディスプレイ、家電製品等のタッチパネル、流し台、洗面台、さらにはショーウインドウ、窓ガラス等、などの用途に好適に使用される。
以下、実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術的範囲に包含される。
本発明に関し、実施例、比較例および特性評価により具体的に示す。なお、実施例および比較例では、特に記載しない限り%は質量%を、部は質量部を意味する。
以下の合成例や調製例等において、各種物性等は以下のようにして評価した。
[評価方法]
重量平均分子量(Mw)
ポリスチレンを標準物質とし、テトラヒドロフランを溶離液としてHLC-8320GPC(東ソー社製)、カラム:TSKgel SuperHZM-M(東ソー社製)によるGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー)法にて重量平均分子量(Mw)を測定した。
(2)酸価(AV)
重合体溶液を3g精秤し、アセトン90gと水10gの混合溶媒に溶解させ、0.1NのKOH水溶液を滴定液として用いて滴定した。滴定は、自動滴定装置(商品名:COM-1700A、平沼産業社製)を用いて行い、溶液の酸価と溶液の固形分から固形分1g当たりの酸価(mgKOH/g)を求めた。
(3)固形分(NV)
重合体溶液をアルミカップに約1gはかり取り、アセトン約3gを加えて溶解させた後、常温で自然乾燥させた。そして、熱風乾燥機(商品名:PHH-101、エスペック社製)を用い、真空下140℃で1.5時間乾燥した後、デシケータ内で放冷し、質量を測定した。その質量減少量から、重合体溶液の固形分(質量%)を計算した。
(4)金属酸化物粒子の結晶状態の同定
金属酸化物の結晶状態の同定は、X線回折装置(リガク社製、RINT-TTRIII)を用いて行った。
(5)金属酸化物粒子の数平均一次粒子径
金属酸化物粒子の数平均一次粒子径は、超高分解能電解放出型走査電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製、S-4800)で観察することによって測定した。倍率15万倍で金属酸化物粒子を観察し、無作為に選んだ100個の粒子について、各粒子の長軸方向の長さを測定し、その平均値を数平均一次粒子径とした。
(6)質量減少率の測定
TG-DTA(熱重量-示差熱分析)装置により、空気雰囲気下、室温から800℃まで10℃/分で表面修飾された金属酸化物粒子を昇温し、該粒子の質量減少率を測定した。この質量減少率により、金属酸化物粒子を表面修飾している化合物の割合、及び金属酸化物粒子の割合を知ることができる。
(7)1H-NMRの測定
被覆酸化ジルコニウム粒子を重クロロホルムに分散させて測定試料とし、Variann社製「Unity Plus」(共鳴周波数:400MHz、積算回数:16回)を用いて測定した。下記の化学シフト(テトラメチルシラン基準)のピークの積分比に基づき、各化合物のモル比を決定した。
i)2-エチルヘキサン酸(1.0-0.5ppm:6H)
ii)2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート(1.0-0.5ppm:6H)
iii)2-アクリロイルオキシエチルサクシネート(6.7-5.7ppm:3H、4.5-4.0ppm:4H)
iv)3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(6.5-5.5ppm:2H、4.5-4.0ppm:2H、4.0-3.5ppm:9H、1.0-0.5ppm:2H)
(8)蛍光X線分析
蛍光X線分析装置(ZSX PrimusII リガク社製)を用いて、被覆型酸化ジルコニウム粒子中のZr含有量、Si含有量を測定した。
(9)硬化膜の密着性
得られた硬化性樹脂組成物を無アルカリガラス基板(10cm×10cm、ジオマテック社製)にスピンコート法により塗布し、加熱処理(90℃3分間)した後、塗布膜から50μmの距離に1-100μmのライン幅の開口部を設けたフォトマスクを介して、超高圧水銀ランプを用いて60mJ/cm(365nm照度換算)の露光量で露光を行った。その後、硬化膜付きガラス基板を2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液40gに20秒もしくは60秒浸漬し、未露光部を溶解、除去し、残った露光部を純水で10秒間水洗することにより現像を行った。
上記のようにフォトマスクを介して現像された硬化膜を、表面粗さ計(菱化システム社製、商品名「VertScan2.0」)を用いて観察し、ガラス基板上に残存したフォトマスクの最小ライン幅を読み取った。
なお、上記現像では、未露光の塗布膜が溶けきる条件を基準とし、且つ、金属酸化物粒子の有無による効果を確認しやすい現像条件を選んだ。例えば、2.38%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液に20秒浸漬しても金属酸化物粒子の有無により硬化膜の密着性に明確な差が見られないときは、60秒浸漬した。
(10)硬化膜の残膜率
上記(9)で得られた硬化膜付きガラス基板を加熱処理(230℃30分)した後、加熱前の膜厚及び加熱後の膜厚を測定し、下記計算式により残膜率を算出した。
残膜率=(加熱後の膜厚/加熱前の膜厚)×100 (式)
(11)分散性
金属酸化物粒子分散液20mLを外径30mmの試験管に注ぎ、垂直にした状態で25℃雰囲気下で24時間放置した。放置後試験管の底を観察し、沈殿物がない場合を○、沈殿物がある場合を×として評価した。
(12)透明性
膜厚100ミクロンのPETフィルム(商品名:コスモシャインAS4300、東洋紡社製)上に、後で詳述する組成物をバーコーター#20で塗工を行い、80℃×5分乾燥後、高圧水銀ランプで1000mJ/cmの紫外線を照射することにより硬化させ、硬化物を得た(乾燥膜厚: 5ミクロン)。作製した硬化物の、厚み方向のヘイズを濁度計(日本電色工業社製NDH7000) を用いて測定した。
〇:1%以下、△: 1%~50%、×:50%以上
以下のジルコニア粒子分散液を用いた。
製造例1及び2(ジルコニア粒子分散液1の調製)
製造例1
2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートで被覆された被覆型酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO 2 粒子)の製造
2-エチルヘキサン酸ジルコニウムミネラルスピリット溶液(782g、2-エチルヘキサン酸ジルコニウム含有率44質量%、第一希元素化学工業社製)に純水(268g)を混合した。得られた混合液を、攪拌機付きオートクレーブ内に仕込み、該オートクレーブ内の雰囲気を窒素ガスで置換した。その後、混合液を180℃まで加熱し、該温度で16時間保持(オートクレーブ内圧力は0.94MPa)して反応させ、酸化ジルコニウム粒子を生成した。続いて、反応後の混合液を取り出し、底部に溜まった沈殿物を濾別してアセトンで洗浄した後に、乾燥した。乾燥後の前記沈殿物(100g)をトルエン(800mL)に分散させたところ、白濁溶液となった。次に、精製工程として、定量濾紙(アドバンテック東洋社製、No.5C)にて再度濾過し、沈殿物中の粗大粒子などを除去した。さらに、濾液を減圧濃縮してトルエンを除去することで白色の酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子)を回収した。
得られた被覆型ZrO2粒子の結晶構造を確認したところ、正方晶と単斜晶に帰属される回折線が検出され、回折線の強度から、正方晶と単斜晶の割合は54/46で、その粒子径(結晶子径)は5nmであった。
電子顕微鏡により測定して得られた被覆型ZrO2粒子の平均粒子径(数平均一次粒子径)は、12nmであった。また、得られた被覆型ZrO2粒子を、赤外吸収スペクトルによって分析したところ、C-H由来の吸収と、COOH由来の吸収が確認できた。当該吸収は、被覆型酸化ジルコニウム粒子に被覆されている2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートに起因するものと考えられる。
さらに上記した「(6)質量減少率の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子の質量減少率は、12質量%だった。従って、被覆型酸化ジルコニウム粒子を被覆する2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートは、被覆型酸化ジルコニウム粒子全体の12質量%であることが分かった。
製造例2
2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2-アクリロイルオキシエチルサクシネートと3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO 2 粒子1)の製造
上記で得られた被覆型ZrO2粒子(10g)を、メチルイソブチルケトン(40g)に分散させて白濁スラリーを調製した。当該溶液に表面処理剤として3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(2.0g、信越化学工業社製、KBM-503)、水(0.9g)を添加し、80℃で1時間加熱還流することで透明分散溶液を得た。次いで、50℃まで降温し、その後2-アクリロイルオキシエチルサクシネート(1.8g)を添加して30分撹拌混合した。次いでn-ヘキサンを添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させた。白濁液から凝集粒子を濾紙により分離後、室温で加熱乾燥し、2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2-アクリロイルオキシエチルサクシネートと3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子1)を調製した。
得られた被覆型ZrO2粒子1のTG-DTA(熱重量-示唆熱分析)により、空気雰囲気下10℃/分の速度で800℃まで昇温した時の被覆型酸化ジルコニウムナノ粒子の質量減少率を測定したところ、17質量%の減少率となった。このことから被覆型酸化ジルコニウムナノ粒子の有機分量が17質量%であることが確認された。
また、当該ナノ粒子を蛍光X線分析装置により分析し、Zr、Si含有量を測定することで3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン量は被覆型酸化ジルコニウムに対し8質量%であることがわかった。
得られた被覆型ZrO2粒子1を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H-NMRによる分析を行なった。その結果、2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと2-アクリロイルオキシエチルサクシネートの存在モル比率が27:35:38であることがわかった。
上記、TG-DTA、蛍光X線分析、1H-NMRによる分析結果から勘案して2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランと2-アクリロイルオキシエチルサクシネートは被覆型酸化ジルコニウム粒子全体(100質量%)の、それぞれ3質量%、8質量%、7質量%であることがわかった。
上記で得られた被覆型ZrO2粒子1(7g)、メチルエチルケトン(3g)、DISPER BYK-111(0.14g)を配合し、均一撹拌することで、ジルコニア粒子分散液1を得た。電子顕微鏡により測定した上記被覆型ZrO2粒子1の数平均一次粒子径は、12nmであった。
製造例3(ジルコニア粒子分散液2の調製)
2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2-アクリロイルオキシエチルサクシネートで被覆された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO 2 粒子2)の製造
製造例1にて得られた被覆型酸化ジルコニウムナノ粒子(10g)と2-アクリロイルオキシエチルサクシネート(1.5g)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(12g、以下「PGMEA」と称する)中で均一分散するまで撹拌混合した。次いで、n-ヘキサン(36g)を添加することで分散粒子を凝集させて溶液を白濁させ、白濁液から凝集粒子を濾紙により分離した。その後、分離した凝集粒子をn-ヘキサン(36g)中に添加、10分撹拌後、凝集粒子を濾紙により分離し、得られた粒子を室温で真空乾燥することで、2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2-アクリロイルオキシエチルサクシネートで表面処理された酸化ジルコニウムナノ粒子(被覆型ZrO2粒子2)を調製した。
得られた被覆型ZrO2粒子2を重クロロホルムに分散させて測定資料とし、1H-NMRによる分析を行なった。その結果、2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレートと2-アクリロイルオキシエチルサクシネートの存在モル比率が24:76であることがわかった。
さらに上記した「(6)質量減少率の測定」に従って測定した被覆型ZrO2粒子2の質量減少率は、18質量%だった。従って、被覆型酸化ジルコニウム粒子を被覆する2-エチルヘキサン酸及び/又は2-エチルヘキサン酸由来のカルボキシレート、及び2-アクリロイルオキシエチルサクシネートは、被覆型酸化ジルコニウム粒子全体の18質量%であることが分かった。
上記で得られた被覆型ZrO2粒子2(7g)、メチルエチルケトン(3g)、DISPER BYK-111(ビッグケミー・ジャパン社製、0.14g)を配合し、均一撹拌することで、ジルコニア粒子分散液2を得た。電子顕微鏡により測定した上記被覆型ZrO2粒子2の数平均一次粒子径は、12nmであった。
製造例4(酸化亜鉛粒子分散液3の調製)
酸化亜鉛(ZnO)粒子は1次粒子径35nmの粉体(TAYCA製、MT-100TV)を使用した。
製造例5(シリカ粒子分散液4の調製)
シリカ(SiO)粒子は1次粒子径12nmの微粒子分散液(分散媒プロピレングリコールモノメチルエーテル(日産化学製、PGM-AC-2140Y))を使用した。
以下のアルカリ可溶性重合体を用いた。
製造例6(アルカリ可溶性重合体1の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)637部を仕込み、窒素置換した後、90℃に昇温した。他方、滴下槽1にN-ベンジルマレイミド 120部、アクリル酸 125部、PGMEA 223部を混合した。また、滴下槽2に、ビニルトルエン(m-及びp- 60対40混合物)235部、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート(パーブチルO、商品名、日本油脂社製) 9.6部、n-ドデシルメルカプタン 13.4部を混合した。反応温度を90℃に保ちながら、滴下槽1及び2から、反応槽に4.0時間かけて等速で滴下を行った。滴下終了後、30分90℃を保った後、パーブチルO 2.4部を投入し、更に90℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続した。一旦室温まで冷却した後、メタクリル酸グリシジル 76部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール 0.8部、トリエチルアミン 1.7部を投入し、酸素濃度7%に調整した窒素・空気混合ガスをバブリングしながら110℃に昇温し、12時間反応を行った。その後室温まで冷却し、重合体溶液1を得た。
得られた重合体溶液1について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は12800、固形分濃度は32.1%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は129mgKOH/g、二重結合当量は1073g/molであった。
製造例7(アルカリ可溶性重合体2の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA394部、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)394部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した。他方、滴下槽1にメタクリル酸シクロヘキシル 251部、メタクリル酸メチル 5部、N-ベンジルマレイミド50部、メタクリル酸 194部、パーブチルO 10部、PGMEA 25部、PGME 25部を混合した。滴下槽2に、n-ドデシルメルカプタン 30部、PGMEA 45部、PGME 45部を混合した。それぞれ3時間かけて連続的に供給した。滴下終了後、30分90℃を保った後、パーブチルO 2.4部を投入し、更に90℃で30分、反応を継続した。その後、反応温度を115℃に昇温し、1.5時間反応を継続した。一旦室温まで冷却したのち、メタクリル酸グリシジル 123部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール 0.9部、トリエチルアミン 1.9部を投入し、酸素濃度7%に調整した窒素・空気混合ガスをバブリングしながら110℃に昇温し、2時間反応を行った。その後、115℃に昇温し5時間反応させ、反応を完結させ、室温まで冷却し、重合体溶液2を得た。
得られた重合体溶液2について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は8100、固形分濃度は38.5%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は131mgKOH/g、二重結合当量は754g/molであった。
製造例8(アルカリ可溶性重合体3の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA 449部、PGME 91部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した。他方、滴下槽1にメタクリル酸シクロヘキシル 198部、メタクリル酸メチル 5部、N-ベンジルマレイミド 150部、メタクリル酸 148部、パーブチルO 10部、PGMEA 213部、PGME 91部を混合した。滴下槽2に、n-ドデシルメルカプタン 3.5部、PGMEA 42部を混合した。それぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、パーブチルO 2.5部を投入し、更に90℃で30分、反応を継続した。その後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。一旦室温まで冷却したのち、メタクリル酸グリシジル 41部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール 0.8部、トリエチルアミン 1.6部を投入し、酸素濃度7%に調整した窒素・空気混合ガスをバブリングしながら110℃に昇温し、1時間反応を行った。その後、115℃に昇温し6時間反応させ、反応を完結させ、室温まで冷却し、重合体溶液3を得た。
得られた重合体溶液3について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は18900、固形分濃度は34.7%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は149mgKOH/g、二重結合当量は1884g/molであった。
製造例9(アルカリ可溶性重合体4の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA 557部、PGME 247部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した。他方、滴下槽1にメタクリル酸ベンシル 275部、メタクリル酸メチル 5部、N-ベンジルマレイミド 50部、メタクリル酸 170部、パーブチルO 10部、PGMEA 35部、PGME 15部を混合した。滴下槽2に、n-ドデシルメルカプタン 24部、PGMEA 67部、PGME 29部を混合した。それぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、パーブチルO 2.5部を投入し、更に90℃で30分、反応を継続した。その後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。一旦室温まで冷却したのち、メタクリル酸グリシジル 83部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール 0.90部、トリエチルアミン 1.7部を投入し、酸素濃度7%に調整した窒素・空気混合ガスをバブリングしながら110℃に昇温し、1時間反応を行った。その後、115℃に昇温し8時間反応させ、反応を完結させ、室温まで冷却し、重合体溶液4を得た。
得られた重合体溶液4について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は7600、固形分濃度は36.0%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は142mgKOH/g、二重結合当量は1049g/molであった。
製造例10(アルカリ可溶性重合体5の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA 513部、PGME 513部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した。他方、滴下槽1にメタクリル酸シクロヘキシル 270部、メタクリル酸メチル 5部、N-ベンジルマレイミド 50部、アクリル酸 175部、パーブチルO 10部、PGMEA 25部、PGME 25部を混合した。滴下槽2に、n-ドデシルメルカプタン 30部、PGMEA 45部、PGME 45部を混合した。それぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、パーブチルO 2.5部を投入し、更に90℃で30分、反応を継続した。その後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。一旦室温まで冷却したのち、メタクリル酸グリシジル 148部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール 1.0部、トリエチルアミン 1.9部を投入し、酸素濃度7%に調整した窒素・空気混合ガスをバブリングしながら110℃に昇温し、1時間反応を行った。その後、115℃に昇温し7時間反応させ、反応を完結させ、室温まで冷却し、重合体溶液5を得た。
得られた重合体溶液5について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は6500、固形分濃度は34.4%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は132mgKOH/g、二重結合当量は654g/molであった。
製造例11(アルカリ可溶性重合体6の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA 633部、PGME 322部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した。他方、滴下槽1にメタクリル酸シクロヘキシル 189部、アクリル酸2-エチルヘキシル 217部、メタクリル酸メチル 6部、N-ベンジルマレイミド 30部、アクリル酸 158部、パーブチルO 12部、PGMEA 151部、PGME 44部を混合した。滴下槽2に、n-ドデシルメルカプタン 6部、PGMEA 54部を混合した。それぞれ3時間かけて連続的に供給した。その後30分90℃を保持した後、パーブチルO 3部を投入し、更に90℃で30分、反応を継続した。その後、温度を115℃まで昇温し、1.5時間重合を継続した。一旦室温まで冷却したのち、メタクリル酸グリシジル 237部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール 1.3部、トリエチルアミン 2.5部、PGMEA 25部、PGME 11部を投入し、酸素濃度7%に調整した窒素・空気混合ガスをバブリングしながら110℃に昇温し、1時間反応を行った。その後、115℃に昇温し12時間反応させ、反応を完結させ、室温まで冷却し、重合体溶液6を得た。
得られた重合体溶液6について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は15600、固形分濃度は39.2%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は43mgKOH/g、二重結合当量は508g/molであった。
製造例12(アルカリ可溶性重合体7の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA 533部、PGME 222部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した。他方、モノマー滴下槽として、ジメチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート 42質量部、メタクリル酸シクロヘキシル 252質量部、メタクリル酸メチル 8質量部、メタクリル酸 119質量部、パーブチルO 8質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール 7質量部、PGMEA 43質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。一旦室温まで内温を冷却した後、セパラブルフラスコにガス導入管を付け、酸素/窒素=5/95(v/v)混合ガスのバブリングを開始した。次いで、反応槽に、メタクリル酸グリシジル 69部、6-t-ブチル-2,4-キシレノール 0.3部、トリエチルアミン 1.5部を仕込み、そのまま110℃で12時間反応させた。その後、PGMEA 96部を加えて室温まで冷却し、重合体溶液7を得た。
得られた重合体溶液7について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は11800、固形分濃度は36.1%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は118mgKOH/g、二重結合当量は1017g/molであった。
製造例13(アルカリ可溶性重合体8の製造)
反応槽としての冷却管付きセパラブルフラスコに、PGMEA 358部、PGME 153部を仕込み、窒素雰囲気下にて90℃に昇温した。他方、モノマー滴下槽として、ジメチル-2,2'-[オキシビス(メチレン)]ビス-2-プロペノエート 37質量部、メタクリル酸シクロヘキシル 201質量部、メタクリル酸メチル 69質量部、メタクリル酸 58質量部、パーブチルO 7質量部をよく攪拌混合したものを準備し、連鎖移動剤滴下槽として、n-ドデカンチオール 5質量部、PGMEA 50質量部をよく攪拌混合したものを準備した。
反応槽の温度が90℃に安定してから、モノマー滴下槽および連鎖移動剤滴下槽から滴下を開始した。滴下は、温度を90℃に保ちながら、それぞれ135分間かけて行った。滴下が終了してから60分後に昇温を開始して反応槽を110℃とし、3時間110℃を維持した。その後、PGMEA 96部を加えて室温まで冷却し、重合体溶液8を得た。
得られた重合体溶液8について各種物性を測定したところ、重量平均分子量は12200、固形分濃度は34.5%、滴定法により求めた固形分当たりの酸価は115mgKOH/gであった。
(実施例1~実施例11、及び比較例1~比較例8)
上記製造例で得られた金属酸化物粒子分散液、アルカリ可溶性重合体、市販の重合性単量体及び光重合開始剤を混合して硬化性樹脂組成物K1~K9、及びS1~S6を製造した。
配合(質量割合)は以下の通り。溶剤としてPGMEAを適宜添加して固形分濃度を調整した。固形分換算で、
アルカリ可溶性重合体/ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート/金属酸化物粒子/Irgacure907(BASF社製)=22.5/22.5/45/5
その後、上述した「(9)硬化膜の密着性」と「(10)硬化膜の残膜率」に従って硬化性樹脂組成物の密着性と残膜率の評価を実施した。
得られた上記硬化性樹脂組成物、その硬化膜について、評価結果を表1及び表2に示す。
Figure 2022131202000002
Figure 2022131202000003
(実施例12~実施例19、及び比較例9)
上記製造例で得られた金属酸化物粒子分散液、アルカリ可溶性重合体、及び市販の光重合開始剤を混合して硬化性樹脂組成物K10~K17、及びS7を製造した。
配合(質量割合)は以下の通り。溶剤としてMEKを適宜添加して固形分濃度を調整した。固形分換算で、
アルカリ可溶性重合体/金属酸化物粒子/Irgacure907(BASF社製)
=0.53/2.1/0.016
その後、上述した「(11)分散性」と「(12)透明性」に従って評価を実施した。
なお、上記評価においてジペンタエリスリトールヘキサアクリレートをさらに添加した場合、同様の評価結果が得られる。その結果を表3に示す。
Figure 2022131202000004
略称は下記のとおりである。
Irgacure907:IRGACURE907、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン
DPHA:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
MEK:メチルエチルケトン
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
TMAH:水酸化テトラメチルアンモニウム
BYK-111:共重合体の両末端にリン酸基を有するリン酸エステル分散剤

実施例(表1)と、比較例(表2)との比較より、本発明の硬化性樹脂組成物の優位性を確認できた。特に、厳しい現像条件で行った実施例4と比較例4との比較よりZrO2粒子を添加することで、剥離することなく密着性に優れる硬化膜を形成できることを確認できた。また、N-置換マレイミド系単量体単位やジアルキル-2,2’-(オキシジメチレン)ジアクリレート系単量体単位を含むアルカリ可溶性重合体は金属酸化物粒子の分散性及びそれらを含む組成物を硬化して得られる硬化膜は密着性を高めるのに有効であった。
実施例1と実施例8との比較、実施例9と実施例11との比較より、アルカリ可溶性重合体について、側鎖二重結合があること、さらには二重結合当量が小さい重合体を用いることで密着性が高い硬化膜が得られることを確認できた。なお、二重結合当量が小さいほど、側鎖の重合性二重結合量が多く、架橋密度が高くなり得るので、高屈折率の硬化膜が得られ易くなる。
実施例2と実施例10との比較より、金属酸化物粒子としてZrO2粒子とSiO粒子を併用することで密着性及び残膜率が向上している。
実施例1と実施例6との比較より、シランカップリング剤で表面処理された金属酸化物粒子を用いる方が密着性の高い硬化膜が得られる傾向があった。
表3より、金属酸化物粒子の数平均一次粒子径を制御する効果を確認できた。なお、表3では重合性単量体を含んでいない系での各成分の相溶性を確認したが、実施例12~19について、DPHA等の重合性単量体を添加した場合、分散性及び透明性を高く維持できる。
図1及び図2は、露光後の塗膜をアルカリ現像した後のガラス基板の状態を示す。フォトマスクを介して露光された露光部、その周囲がフォトマスクによって保護された未露光部の格子状のパターンを確認できる。図1及び図2に示す通り、露光部には塗膜が硬化することにより完全なパターンが形成され欠損はなかった。未露光部では、塗膜が溶解しており、溶け残りの残渣は認められなかった。なお、図1はライン幅が33μm、図2はライン幅が58μmであったことより、硬化性樹脂組成物K1の方がK2より密着性が高い硬化膜が得られることを確認できた。
本発明の硬化性樹脂組成物により形成される硬化膜により高精細化を実現できる表示装置用部材等の光学材料用部材は、光学分野や電機・電子分野で好適に使用できる。

Claims (8)

  1. 数平均一次粒子径が30nm未満の金属酸化物粒子、アルカリ可溶性重合体、及び重合性単量体を含む硬化性樹脂組成物。
  2. 前記金属酸化物粒子を形成する金属は、Ti、Al、Zr、Zn、Sn、Ce、及びSiから選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記金属酸化物粒子は、表面修飾されている請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. 前記アルカリ可溶性重合体は、主鎖に環構造を有する重合体である請求項1~3の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 高屈折率透明膜形成用である請求項1~4の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1~5の何れか1項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化して得られる硬化膜。
  7. 請求項6に記載の硬化膜を有する光学材料用部材。
  8. 請求項7に記載の光学材料用部材を有する光学材料。
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