JP2022130933A - ゴム補強用合成繊維コード - Google Patents

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Abstract

【課題】ゴム中へ埋め込まれた状態での長時間高温下における接着劣化が少なく、かつゴム中での繰り返し伸張圧縮を受けた時の劣化を抑制するゴム補強用合成繊維コードを提供する。【解決手段】合成繊維に接着剤樹脂が付着してなるゴム補強用合成繊維コードであって、フォーリンチオカルト法で分析した時の吸光度の没食子酸換算値が2.5μg以上であることを特徴とするゴム補強用合成繊維コード。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム補強用合成繊維コード、およびこのゴム補強用合成繊維コードを含むゴム製品に関するものである。
タイヤ、ホース、ベルトなどのゴム製品には、補強材としてナイロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維等の合成繊維が従来から広く使用されている。しかし、補強材としてゴム製品中に埋め込む加工時の熱や、ゴム製品として使用される際のゴムの発熱により、ゴムと合成繊維との接着性の低下が発生し、ゴム製品の故障に繋がる要因となっていた。近年、環境保護の観点からゴム製品の故障交換頻度抑制のため、ゴム製品の耐久性向上ニーズが高まっている。
上記問題に対して開示されている技術として、例えば特許文献1~4の先行技術がある。
特許文献1には、オキサゾリン基を含む化合物、エポキシ化合物、ゴムラテックスの3種を含む第1処理剤によって被覆され、さらにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤によって被覆されてなるゴム補強用ポリエステル繊維コードについて開示されている。
特許文献2には、アラミド合撚糸及び前記アラミド合撚糸の外表面に塗布された接着剤 を含み、前記アラミド合撚糸内への前記接着剤の浸透率を3.5%~9%とするコードについて開示されている。
特許文献3には、脂肪族エポキシド化合物、ブロックドポリイソシアネート化合物、ガラス転移点が-30~0℃であるビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックスの3種を含む第1処理剤によって被覆され、さらにその外層としてレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む第2処理剤によって被覆されてなるゴム補強用ポリエステル繊維コードであって、かつ、1浴目ホットストレッチ張力が0.05~0.40cN/dtexで処理されてなることを特徴とするゴム補強用ポリエステル繊維コードの製造方法が開示されている。
特許文献4には、下撚りと上撚りを有し、下撚りの撚り係数が1000~2500、上撚りの撚り係数が1500~3600で諸撚りコードがレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着剤で被覆されている有機繊維コードであって、コード圧縮率が83~97%であり、コード内部へのRFL含浸度が10~50%であることを特徴とする有機繊維コードについて開示されている。
特開2009-203594号公報 特表2014-530302号公報 特開2013-76186号公報 特開2017-150105号公報
しかしながら特許文献1によると初期接着力は改善されるが、耐熱接着力および耐久性については十分とはいえなかった。特許文献2によると耐疲労性が改善されるが、接着力が充分でないものであった。特許文献3および4によると接着力および耐疲労性も従来対比改善されたが、ますます要求レベルが上がる中での耐久性については充分とはいえなかった。
本発明は、上述した従来技術における問題点の解決を課題として検討した結果なされたものである。
本発明の目的は、タイヤ、ベルト、ホースなどのゴム中へ埋め込まれた状態での長時間高温下における接着劣化が少なく、かつゴム中での繰り返し伸張圧縮を受けた時の劣化を抑制するゴム補強用合成繊維コードを提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、
(1)合成繊維に接着剤樹脂が付着してなるゴム補強用合成繊維コードであって、フォーリンチオカルト法で分析した時の吸光度の没食子酸換算値が2.5μg以上であることを特徴とするゴム補強用合成繊維コード。
(2)フォーリンチオカルト法で分析した時の吸光度の没食子酸換算値が、3.5μg以上30μg以下であることを特徴とする(1)に記載のゴム補強用合成繊維コード。
(3)接着剤樹脂の赤外線吸収スペクトル分析(IR)で、波数1510~1550cm-1の範囲にN-H基の変角振動に由来するピークを示すことを特徴とする上記(1)または(2)に記載のゴム補強用合成繊維コード。
(4)コードに付着した樹脂単位当たりのガーレーコード硬さが70mN/%以下であり、かつ、加熱後のガーレーコード硬さ変化率が90%~230%であることを特徴とする上記(1)~(3)のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コード。
(5)レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着処理剤が付着してなることを特徴とする(1)~(4)のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コード。
(6)合成繊維が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする(1)~(5)のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コード。
(7)(1)~(6)のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コードを含むゴム製品。
本発明によれば、ゴム加硫工程やゴム製品として使用中に、長時間高温に曝された時の耐熱接着性および高温雰囲気下での耐疲労性が著しく改善されるゴム補強用合成繊維コードが得られる。本発明によるゴム補強用合成繊維コードで補強されたゴム製品は、タイヤ、ベルト、ホースとして用いた時に従来以上に長時間の過酷な仕様に耐えることができる。
「Gurley’s stiffness tester」の斜視図である。
以下に、本発明について詳述する。
本発明のゴム補強用合成繊維コードは、合成繊維、特に有機繊維からなるコードである。本発明のゴム補強用合成繊維コードは、タイヤ、ベルト、ホース等、自動車用をはじめとする各種ゴム部材に用い、ゴム部材の軽量化、耐久性向上が図ることができる。
上記ゴム補強用合成繊維コードに用いる有機繊維としては、マルチフィラメントの形態であることが好ましい。また、有機繊維としては特に制約はないが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル繊維、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン46などのポリアミド繊維、ポリビニルアルコール繊維、レーヨン繊維、芳香族ポリアミド(アラミド)繊維から選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で好ましい。なかでもポリエチレンテレフタレート、ナイロン66、アラミドから選ばれる少なくとも1つを含むことが汎用性、耐久性、工業生産性の面で好ましい。
また、本発明で用いる有機繊維は、あらかじめ製糸工程においてポリエポキシド化合物が付与されたものであってもよい。本発明で使用することのできるポリエポキシド化合物は、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を、該化合物100gあたり0.1g当量以上含有する化合物を挙げることができる。具体的には、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酸化または過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチル-シクロヘキシルメチル)アジペート、フェノールノボラック型、ハイドロキノン型、ビフェニル型、ビスフェノールS型、臭素化ノボラック型、キシレン変性ノボラック型、フェノールグリオキザール型、トリスオキシフェニルメタン型、トリスフェノールPA型、ビスフェノール型のポリエポキシド等の芳香族ポリエポキシド等が挙げられる。特に好ましいのは、ソルビトールグリシジルエーテル型やクレゾールノボラック型のポリエポキシドである。
これらの化合物は、通常は乳化液、溶液として使用される。すなわち、上記化合物を溶媒に溶解して溶液として用いるか、通常の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化し、乳化液として用いる。
該ポリエポキシド化合物は、有機繊維の製糸工程において紡糸油剤と共に付与される。この際の該ポリエポキシド化合物の付着量は、好ましくは0.1~5重量%の範囲である。該ポリエポキシド化合物の付着量が上記範囲であれば、ポリエポキシド化合物の効果が十分に発揮され、有機繊維とゴムとの間で満足できる接着性が得られる。また、上記範囲であれば、繊維が硬くなりすぎず、次工程以降で撚糸する際に強力が低下しにくい。
本発明で用いる有機繊維は、繊度、フィラメント数、断面形状等の制約を受けないが、通常、総繊度200~5000dtex、30~1000フィラメントが好ましく、250~3000dtex、50~500フィラメントが特に好ましい。総繊度200dtex未満であるとコードの強度が不足する恐れがあり、5000dtexを超えるとコードが太くなり、取り扱い性が低下することがある。また、30フィラメント未満であるとコードが硬くなり、取り扱い性が悪化することがあり、500フィラメントを超えると毛羽が多くなり品質が低下することがある。
本発明のゴム補強用合成繊維コードは、耐疲労性向上の観点から、上記有機繊維を撚糸して撚糸コードとし、撚糸コードをそのまま、またはスダレ状に製織した後に、接着処理剤でディップ処理し熱処理して得ることができる。例えばカーカス用タイヤコードに用いる撚糸コードは、SまたはZ方向に下撚りした後、2本または3本の下撚りコードを合わせて下撚りと反対方向に通常同数の上撚りをかけ諸撚りの撚糸コードとしたものが使用できる。該撚糸コードを経糸とし、緯糸に綿糸、または有機繊維に綿糸をカバリングして緯糸とし、スダレ状に製織して生簾反となし、次に、該生簾反を接着処理剤でディップ処理し熱処理してディップ反が得られる。
一方、ホース用コードの場合には、例えば、ストランド1本またはストランド2本を引き揃えたものを下撚りして片撚りの撚糸コードとし、ベルト用コードの場合には、片撚りコード2本または3本の下撚りコードを合わせて下撚りと反対方向に通常同数の上撚りをかけ諸撚りの撚糸コードとし、それぞれ撚糸コード形態のまま接着処理剤でディップ処理し熱処理することでディップコードが得られる。
本発明のゴム補強用合成繊維コードとは、上記ディップ反およびディップコードの両者を指す。
接着処理剤としては特に限定されないが、エポキシ化合物を含むプライマー処理剤、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着処理剤、フェノール系水酸基を有する化合物を含む接着処理剤等が挙げられ、本発明ではこれらを単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。
プライマー処理剤に使用できるエポキシ化合物としては、一分子中に少なくとも2個以上のエポキシ基を、該化合物100gあたり0.1g当量以上含有する化合物を挙げることができる。具体的には、ペンタエリスリトール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロール、ソルビトールなどの多価アルコール類とエピクロルヒドリンの如きハロゲン含有エポキシド類との反応生成物、過酸化または過酸化水素などで不飽和化合物を酸化して得られるポリエポキシド化合物、例えば、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチル-シクロヘキシルメチル)アジペート、フェノールノボラック型、ハイドロキノン型、ビフェニル型、ビスフェノールS型、臭素化ノボラック型、キシレン変性ノボラック型、フェノールグリオキザール型、トリスオキシフェニルメタン型、トリスフェノールPA型、ビスフェノール型のポリエポキシド等の芳香族ポリエポキシド等が挙げられる。特に好ましいのは、ソルビトールグリシジルエーテル型やクレゾールノボラック型のポリエポキシドである。
これらの化合物は、通常は乳化液、溶液として使用される。すなわち、上記化合物を溶媒に溶解して溶液として用いるか、通常の乳化剤、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ、ジオクチルスルホサクシネートナトリウム塩、ノニルフェノールエチレンオキサイド付加物等を用いて乳化し、乳化液として用いる。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着処理剤におけるRFLとはレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスからなる混合物である。該レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスは、特にアルカリ触媒下で初期縮合して得たレゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物を用いて調製することが好ましい。例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルムアルデヒドを添加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマルジョンとする方法により調製される。
レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物は、レゾルシンとホルムアルデヒドのモル比が1:0.3~1:5、好ましくは1:0.75~1:2.0の範囲のものが好ましく用いられる。ホルムアルデヒドのモル比が前記範囲よりも少ないと、ディップコードが粘着性を帯び、ディップ処理機の汚れを招くことがあり、一方、ホルムアルデヒドのモル比がこの範囲よりも多いと、接着力が低下することがある。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスの調製に用いるゴムラテックスとしては、例えば、天然ゴムラテックス、ブタジエンゴムラテックス、スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン・スチレン・ブタジエンゴムラテックス、ニトリルゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、クロロスルホン化ゴムラテックス、エチレン・プロピレン・ジエンゴムラテックス等が挙げられ、これらを単独、又は併用して使用することができる。
レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックスは、レゾルシン・ホルムアルデヒド初期縮合物とゴムラテックスの配合比を固形分重量で、2/1~1/12にすることが好ましい。この範囲を外れると接着力が低下する可能性がある。
フェノール系水酸基を有する化合物を含む接着処理剤は、例えば、カテコール、ヒドロキノン、ヒドロキシキノール、ベンゼンテトラオール、チロソール、ヒドロキシチロソール、カテキン、グルコシルルチン、フェニルプロパノイド類、バニリン類などが挙げられ、これらの単独または複数の化合物と、ラテックスが少なくとも混合されたものである。
本発明のゴム補強用合成繊維コードは、フォーリンチオカルト法で分析した時の吸光度の没食子酸換算値が、2.5μg以上であることが必要であり、3.5μg以上30μg以下となることが好ましい。2.5μg以上とすることで、熱劣化等により切断された分子を修復する機能が十分に得られて接着力の低下を抑制することができ、3.5μg以上でその効果がさらに高まる。一方、30μgよりも大きくなると初期接着力の低下が観察されるようになるため、30μg以下が好ましい。
これを満たすための手段としては特に限定されないが、例えば、ゴム補強用合成繊維コードが、フェノール系水酸基を有する化合物を含む接着処理剤で処理したゴム補強用合成繊維コードとすることによって本発明で規定した範囲の吸光度にすることができ、好ましい。また、接着処理剤の成分の内、フェノール系水酸基を有する化合物の含有量によっても吸光度を調整することができる。本発明で規定した範囲の吸光度を達成するためのフェノール系水酸基を有する化合物の含有量は、フェノール系水酸基を有する化合物の種類や、接着処理剤の他の成分との混合比、ディップ処理条件等により異なるが、その一例は本明細書の実施例に記載のとおりである。本発明に使用されるフェノール系水酸基を有する化合物の例は上述のとおりであるが、取扱性、安全性、接着力への効果からバニリン類が好ましく、例えば、バニリン、バニリン酸、イソバニリン、イソバニリン酸、オルトバニリン、バニリルアルコール、バニリルマンデル酸等が挙げられる。
本発明のゴム補強用繊維コードは、コードに付着した樹脂単位当たりのガーレーコード硬さが70mN/%以下であり、かつ、加熱後のガーレーコード硬さ変化率が90%~230%であることが好ましく、より好ましくは、下撚りと上撚りを有する諸撚りコードでは、ガーレーコード硬さが30mN/%~70mN/%でかつ、加熱後のガーレーコード硬さ変化率が90%~130%であるのが良く、下撚りのみを有する片撚りコードでは、ガーレーコード硬さが10mN/%以下でかつ、加熱後のガーレーコード硬さ変化率が120%~230%であるのが好ましい。この範囲とすることで、ゴムとコードの複合体においてコードのゴムへの追従性が向上し、良好な接着力を得ることができる。この範囲とする方法は特に限定されないが、例えば、接着剤付与後の熱処理温度を200~250℃とした上で、機械的ソフニング処理時の張力を0.5cN~5.0cN/dtexとすることで達成できる。
また、本発明のゴム補強用合成繊維コードは、接着剤樹脂の赤外線吸収スペクトル分析(IR)で、波数1510~1550cm-1の範囲にN-H基の変角振動に由来するピークを示すことが好ましい。この範囲とすることで、耐熱接着性および高温雰囲気下での耐疲労性が良好なコードを得ることができる。この範囲の吸収はポリウレタンウレアの吸収であり、ウレタン結合、ウレア結合のN-H基の変角振動と芳香環の吸収が重なった吸収である。この吸収を得るための手段としては特に限定されないが、例えば、ゴム補強用合成繊維コードを構成する接着剤成分の中に、フェノール系水酸基を有する化合物が配合され、かつ、同じ接着剤の中の他の成分としてブロックドイソシアネート化合物が、固形分比率としてフェノール系水酸基を有する化合物/ブロックドイソシアネート化合物=20/80~80/20の範囲で配合されていることで達成することができる。ここに、ゴムラテックスを含むと好ましく、ここで用いるゴムラテックスの例としては、前述のRFLに用いるゴムラテックスが好ましい。ゴムラテックスの比率は、フェノール系水酸基を有する化合物+ブロックドイソシアネート化合物/ゴムラテックス=5/95~70/30(固形分比率)であることが好ましい。
ブロックドイソシアネート化合物とは、加熱によりブロック剤が遊離して活性なイソシアネート化合物が生じるものであり、具体的にはトリレンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチリンジイソシアネート、トリフェニールメタントリイソシアネートなどのポリイソシアネート化合物とフェノール、クレゾール、レゾルシンなどのフェノール類、ε-カプロラクタム、バレロラクタムなどのラクタム類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサンオキシムなどのオキシム類などのブロック化剤との反応生成物が挙げられる。
これらのブロックドポリイソシアネート化合物の中では、特にε-カプロラクタムでブロックされた芳香族ポリイソシアネート化合物、およびジフェニルメタンジイソシアネートの芳香族化合物が良好な結果を与える。
本発明のゴム補強用合成繊維コードは後述する引抜接着力の測定方法において、100N/cm~250N/cmであることが好ましく、例えばポリエステルでは175N/cm~250N/cm、パラアラミドでは140N/cm~200N/cmであることがより好ましい。これらの範囲とすることで、ゴム製品としたときに実用に耐えうるものになる。
上記によって特徴づけられる本発明のゴム補強用合成繊維コードは、ゴム加硫工程やゴム製品として使用中の接着性低下が著しく改善される。本発明によるゴム補強用合成繊維コードで補強されたゴム製品は、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に従来以上の長期間の過酷な使用に耐えることができるため、ゴム補強用として極めて有用である。
次に、本発明のゴム補強用合成繊維コードの製造方法について述べる。
本発明のゴム補強用合成繊維コードの製造方法の例としては、有機繊維の撚糸コードを接着処理剤にディップし、引き続いて好ましくは100~150℃の温度で水分を乾燥し、続いて200~255℃の熱処理を施す方法である。
ここでディップとは、内部にローラーが設置されかつ接着処理剤が満たされたディップ槽内に撚糸コードを走行させることで、撚糸コードに接着処理剤を付与することを指す。熱処理とは、ローラーが設置されかつ所定の温度に設定できるオーブン内に撚糸コードを走行させて撚糸コードを加熱することを指す。このようなディップおよび熱処理を施すディップ処理機としては、例えばリッツラー社から市販されている。なお、接着処理剤を有機繊維に付着させる他の方法としては、例えばノズルからの接着処理剤噴霧による塗布など、任意の方法を採用することができる。
また、有機繊維に対する接着処理剤の固形分付着量を制御するために、圧接ローラーによる絞り、スクレーパーによるかき落とし、空気吹きつけによる吹き飛ばしおよび吸引などの手段を用いてもよい。
さらには、上記の乾燥、熱処理後に合成繊維コードをエッジに摺接させることにより任意のコード剛さを得るための柔軟化処理を施すこともできる。
接着処理剤としては特に限定されないが、前述のとおり、エポキシ化合物を含むプライマー処理剤、レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着処理剤、フェノール系水酸基を有する化合物を含む接着処理剤等が挙げられ、本発明ではこれらを単独あるいは複数組み合わせて使用することができる。例えば、プライマー処理剤でディップ処理した後、RFLで処理する二浴処理化する手法、プライマー処理剤でディップ処理した後、フェノール系水酸基を有する化合物を含む接着処理剤で処理する二浴処理化する手法等、適宜選定することができる。
ここでエポキシ化合物を含むプライマー処理剤は、固形分濃度が1~10重量%であるのが好ましく、合成繊維100重量部に対するプライマー処理剤の樹脂付着量は、0.2~6重量部の範囲であることが接着性や耐疲労性の点から好ましい。
RFLを含む接着処理剤は、固形分濃度が3~20重量%であることが好ましく、合成繊維100重量部に対するRFLを含む接着処理剤の樹脂付着量は、0.5~10重量部の範囲であることが接着性や耐疲労性の点から好ましい。10重量部を超えると、ディップ処理機の汚れを招くことがある。フェノール系水酸基を有する化合物を含む接着処理剤は、固形分濃度が2~20重量%であるのが好ましく、合成繊維100重量部に対するプライマー処理剤の樹脂付着量は、0.2~20重量部の範囲であることが接着性や耐疲労性の点から好ましい。
このようにして得られる本発明のゴム補強用合成繊維コードは、ゴム加硫工程やゴム製品として使用中、長時間高温に曝された時の耐熱接着性が著しく改善される。本発明によるゴム補強用合成繊維コードで補強されたゴム製品は、タイヤ、ベルトおよびホースとして用いた時に従来以上の長期間の過酷な使用に耐えることができるため、ゴム補強用として極めて有用である。
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下に具体的に記載する実施例において、各測定値は次の方法により求めたものである。
(1)接着処理剤の付着量
一定長さあたりの撚糸コードの重量を予め測定しておき、接着剤付着後の同一長さの合成繊維コード重量を測定することで、差分としての接着処理剤の付着量を計算した。
(2)フォーリンチオカルト法で分析したときの吸光度の没食子酸換算値
本作業は気温20℃、湿度65%下で実施する。(式1)に示す糸長のゴム補強用合成繊維コードを長さ1cmずつに切り、内径15mm程度の試験管に入れる。そこにフェノール試薬(メーカー:Merck、製品番号:109001)の10.0wt%水溶液を3.5g滴下し、コード全体を試薬に浸けて、コードと試薬がなじむよう5秒程度攪拌する。3~5分経過後、炭酸ナトリウム(メーカー:関東化学、規格:37141)の7.5wt%水溶液を2.8g滴下し、コード全体を試薬に浸けて、2種の試薬が混合されるよう5秒程度攪拌する。1.0時間静置後、斑がなくなるよう5秒程度攪拌した後、試薬からコードを分離し、5時間以内に分光光度計(メーカー:日立製作所、型番:U-3900H)で波長765nmの吸光度を測定する。測定直前にも、斑がなくなるよう5秒程度攪拌する。別途作成した没食子酸量と吸光度の検量線より、吸光度を没食子酸量換算した。
没食子酸量と吸光度の検量線は、以下のように作成した。没食子酸一水和物(メーカー:関東化学、規格:鹿1級)1.10gを水498.90gに溶かして0.20wt%没食子酸水溶液を調製し、これを水でさらに希釈して0.002、0.004、0.006、0.008、0.010wt%没食子酸水溶液をそれぞれ調製する。各水溶液0.30gおよび純水(没食子酸濃度0.000wt%に相当)0.30gを内径15mm程度の試験管にそれぞれ入れ、そこにフェノール試薬(メーカー:Merck、製品番号:109001)の10.94wt%水溶液を3.2g滴下し、5秒程度攪拌する。3~5分経過後、炭酸ナトリウム(メーカー:関東化学、規格:37141)の7.5wt%水溶液を2.8g滴下し、2種の試薬が混合されるよう5秒程度攪拌する。1.0時間経過後、斑がなくなるよう5秒程度攪拌した後、5時間以内に分光光度計(メーカー:日立製作所、型番:U-3900H)で波長765nmの吸光度を測定する。測定直前にも、斑がなくなるよう5秒程度攪拌する。こうして得られた6点の吸光度の値を縦軸、没食子酸量(μg)の値を横軸としてグラフにプロットし、最小二乗法を用いて直線近似することで、没食子酸量と吸光度との一次関数(吸光度=a×没食子酸量+b)を得ることができる。ここで、係数aとbはいずれも有効数字4桁とした。なお、近似直線の相関係数(R)が0.995未満の場合はバラツキが大きくデータが妥当でないため再評価した。また、係数bの値が0.01以上の場合は、不純物の混入が疑われるため再評価した。また、係数bの値が0未満の場合は、ベースラインの適性が疑われるため再評価した。
糸長(m)=(1600/繊度(dtex))0.5 ・・・(式1)。
(3)初期接着力および耐熱接着力
合成繊維コードとゴムとの接着力を示すものである。JIS L-1017(2002)附属書1の3.1Tテスト(A法)に準拠して、合成繊維コードを未加硫ゴムに埋め込み、加圧下(初期接着力は150℃で30分、耐熱接着力は170℃で70分間)でプレス加硫を行い、放冷後、合成繊維コードをゴムブロックから300mm/minの速度で引き抜き、その引き抜きに要した加重をN/cmで表示した。測定n数10回の平均値を接着力数値とした。
(4)ゴム中耐疲労性(保持率)
JIS-L1017(2002)附属書1の2.2.2ディスク疲労強さ(グッドリッチ法)に準拠して評価した。合成繊維コード2本を未加硫ゴムに埋め込み、150℃で30分間加硫して、ゴムコンポジットを作成する。この試験片を圧縮6.3%、伸張12.6%を1サイクルとする変形を2600サイクル/分で、100℃雰囲気下12時間与えた後、ゴムから合成繊維コードを取り出して疲労後の引張強さを測定し、該疲労試験前後の保持率で表したものである。測定n数8回の平均値を保持率数値とした。引張強さの測定はJIS-L1017(2002)8.5引張強さ及び伸び率a)標準時試験に基づいて実施した。
なお、T-初期接着力、T-耐熱接着力、ゴム中耐疲労性の測定に使用した未加硫ゴムコンパウンドの組成は下記のとおりである。
天然ゴム (RSS#1):70(重量部)
SBR (JSR1501):30(重量部)
RFカーボンブラック:40(重量部)
ステアリン酸:2(重量部)
硫黄:2(重量部)
亜鉛華:5(重量部)
2,2’-ジチオベンゾチアゾール:3(重量部)
ナフテン酸プロセスオイル:3(重量部)。
(5)コードに付着した樹脂単位当たりのガーレーコード硬さ
合成繊維コードを長さ1mに切り出して、その一端に金属製フックを結びつけ、他端に300gの重りを結びつけ、温度25℃、相対湿度40%に調節された環境下、空中に24時間吊してコードを鉛直に保持し、測定試料を得た。
これを38.1mm(1.5インチ)に切断して試験片とし、安田精機株式会社製の「Gurley’s stiffness tester」でガーレーコード硬さを測定した。図1に「Gurley’s stiffness tester」の斜視図を示す。
試験片の取付けおよび測定法は、(ア)試料長さに合わせてチャック1を設定位置に固定させ、試験片2を取付ける。(イ)回転棒3の下部(軸受より下部)に荷重任意設定孔が軸より25.4mm(1インチ)(図1中のW1)、50.8mm(2インチ)(図1中のW2)、および101.6mm(4インチ)(図1中のW3)の位置にあるので試験片2の柔軟性に応じ荷重の重さおよび孔の位置を設定する。この場合、目盛板4に針5が2~4に指示するように、荷重および孔の位置を選ばなければならない。(ウ)試験片2に見合う設定ができたならば、駆動ボタンを押し、駆動軸を左右に動かし、針が指す目盛板4の数値を0.1単位まで読取る。(エ)1つの試験片2につき、左右1回、試験片10本、計20回の値を求め、1試料の平均値を求める。計算法は次のとおりである。各測定値の平均値を、次式で計算した。最後にガーレーコード硬さ(mg)を樹脂付着量(%)で除した値を、コードに付着した樹脂単位当たりのガーレーコード硬さ(mg/%)とした。
・ガーレーコード硬さ(mg)=R×{(W1×1)+(W2×2)+(W3×4)}/5×(L-12.7)/W×19.8
ただし、
R :測定値の平均値
W1:25.4mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W2:50.8mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
W3:101.6mmの荷重位置(孔)に掛ける荷重(単位g)
L :試料長さ(mm)
W :試験片の幅(コードゲージ)(mm)。
(6)加熱後のガーレーコード硬さ変化率(加熱後変化率)
合成繊維コードを長さ1mに切り出して、その一端に金属製フックを結びつけ、他端に300gの重りを結びつけ、温度160℃に調節された環境下、空中に2時間吊してコードを鉛直に保持して、合成繊維コードを加熱した。その後、上記(5)と同様にしてガーレーコード硬さを求めた。(6)の値を(5)の値で除した値を加熱後のガーレーコード硬さ変化率(%)とした。
(7)接着剤樹脂の赤外線吸収スペクトル分析(IR)
接着剤樹脂が付着したゴム補強用合成繊維コードと、接着剤樹脂処理を行う前の撚糸コード両方のFT-IR測定を行い、合成繊維コードのスペクトルから下地の撚糸コード(繊維材料)のスペクトルを差し引いた、差スペクトルを求めて、接着剤樹脂のスペクトルを得た。得られたスペクトルからN-H吸収(波数1510~1550cm-1)の有無を確認した。
(実施例1~7)
グリセロールポリグリシジルエーテル(“デナコール”EX313(ナガセ化成社製))、を水で希釈し総固形分量6.0重量%のプライマー処理剤を得た。
また、水に、フェノール系水酸基を有する化合物(A)、ブロックドイソシアネート化合物(B)、ゴムラテックス(C)のそれぞれの固形分が表1に示す比率となるように混合し、総固形分濃度15重量%となる接着処理剤を得た。
1670dtexの円断面ポリエステルマルチフィラメント糸(東レ株式会社製、“テトロン”1670T-360-705M)2本を、下撚り40回/10cm、上撚り40回/10cmの撚り数で撚糸し、撚糸コードを得た。
該撚糸コードを、コンピュートリーター処理機(リッツラー株式会社製)を用いて、前記のプライマー処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し、続いて245℃で1分間の熱処理を行った。
続いて、コンピュートリーター処理機(リッツラー株式会社製)を用いて、前記の成分(A)、(B)及び(C)を含む接着処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し、続いて245℃で1分間の熱処理を行い、合成繊維コードを得た。
得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、プライマー処理剤が合成繊維100重量部に対して1.2重量部、(A)、(B)及び(C)を含む接着剤が、合成繊維100重量部に対して4.0重量部であった。
(実施例8)
1400dtexの円断面ポリアミドマルチフィラメント糸(東レ株式会社製、“アミラン”1400T-204-1783)2本を、下撚り40回/10cm、上撚り40回/10cmの撚り数で撚糸し、撚糸コードを得た。これをポリエステルマルチフィラメント糸の代わりに用いた以外は実施例1と同じ処理を行って、合成繊維コードを得た。
得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、プライマー処理剤が合成繊維100重量部に対して1.2重量部、(A)、(B)及び(C)を含む接着剤が、合成繊維100重量部に対して4.0重量部であった。
(実施例9)
1670dtexの円断面ケブラーマルチフィラメント糸2本を、下撚り40回/10cm、上撚り40回/10cmの撚り数で撚糸し、撚糸コードを得た。これをポリエステルマルチフィラメント糸の代わりに用い、プライマー処理剤の総固形分量を10重量%とし、(A)、(B)及び(C)を含む接着剤の総固形分量を15重量%とした以外は実施例1と同じ処理を行って、合成繊維コードを得た。
得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、プライマー処理剤が合成繊維100重量部に対して1.8重量部、(A)、(B)及び(C)を含む接着剤が、合成繊維100重量部に対して6.0重量部であった。
Figure 2022130933000001
(実施例10~12)
水に、フェノール系水酸基を有する化合物(A)、ブロックドイソシアネート化合物(B)、ゴムラテックス(C)のそれぞれの固形分が表2に示す比率となるように混合し、総固形分濃度8重量%となる接着処理剤を得た。
また、レゾルシン/ホルマリンのモル比を1/1.4の割合で、苛性ソーダの存在下混合し、固形分濃度が10%となるように調整し、2時間熟成することで、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物を得た。次にこの初期縮合物(RF)と、ゴムラテックス(ニッポ-ル2518FS、日本ゼオン株式会社製)を、RF/L=1/5(固形分重量比)の割合で混合し、24時間熟成した。この混合物を水で希釈し、固形分重量15%のRFL接着処理剤を得た。
1670dtexの円断面ポリエステルマルチフィラメント糸(東レ株式会社製、“テトロン”1670T-360-705M)2本を、下撚り40回/10cm、上撚り40回/10cmの撚り数で撚糸し、撚糸コードを得た。
該撚糸コードを、コンピュートリーター処理機(リッツラー株式会社製)を用いて、前記の成分(A)、(B)及び(C)を含む接着処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し、続いて245℃で1分間の熱処理を行った。
続いて、コンピュートリーター処理機(リッツラー株式会社製)を用いて前記RFL接着処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し、続いて245℃で1分間の熱処理を行い、合成繊維コードを得た。
得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、(A)、(B)及び(C)を含む接着剤が、合成繊維100重量部に対して3.0重量部、RFLを含む接着剤が合成繊維100重量部に対して4重量部であった。
(比較例1)
実施例10で、(A)、(B)及び(C)を含む接着処理剤に浸漬して乾燥熱処理をする工程を行わないこと以外は同じ処理を行って、合成繊維コードを得た。得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、RFLを含む接着剤が合成繊維100重量部に対して4重量部であった。
(比較例2)
実施例1で、(A)、(B)、(C)のそれぞれの固形分が表2に示す比率としたこと以外は同じ処理をおこなって、合成繊維コードを得た。得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、プライマー処理剤が合成繊維100重量部に対して1.2重量部、(A)、(B)及び(C)を含む接着剤が、合成繊維100重量部に対して4.0重量部であった。
(比較例3)
グリセロールポリグリシジルエーテル(“デナコール”EX313(ナガセ化成社製))、を水で希釈し総固形分量6.0重量%のプライマー処理剤を得た。
また、レゾルシン/ホルマリンのモル比を1/1.4の割合で、苛性ソーダの存在下混合し、固形分濃度が10%となるように調整し、2時間熟成することで、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物を得た。次にこの初期縮合物(RF)と、ゴムラテックス(ニッポ-ル2518FS、日本ゼオン株式会社製)を、RF/L=1/5(固形分重量比)の割合で混合し、24時間熟成した。この混合物を水で希釈し、固形分重量15%のRFL接着処理剤を得た。
1670dtexの円断面ポリエステルマルチフィラメント糸(東レ株式会社製、“テトロン”1670T-360-705M)2本を、下撚り40回/10cm、上撚り40回/10cmの撚り数で撚糸し、撚糸コードを得た。
該撚糸コードを、コンピュートリーター処理機(リッツラー株式会社製)を用いて、前記のプライマー処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し、続いて245℃で1分間の熱処理を行った。
続いて、コンピュートリーター処理機(リッツラー株式会社製)を用いて前記RFL接着処理剤に浸漬した後、120℃で2分間乾燥し、続いて245℃で1分間の熱処理を行い、合成繊維コードを得た。
得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、プライマー処理剤が、合成繊維100重量部に対して1.2重量部、RFLを含む接着剤が合成繊維100重量部に対して4重量部であった。
(比較例4)
プライマー処理剤として、グリセロールポリグリシジルエーテル(“デナコール”EX313(ナガセ化成社製))と、ブロックドイソシアネート化合物((B)-1)とゴムラテックス((C)-1)を固形分比で15/15/70の比となるように混合し、水で希釈し総固形分量6.0重量%としたものを用いたこと以外は、比較例3と同じ処理をおこなって、合成繊維コードを得た。得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、プライマー処理剤が合成繊維100重量部に対して1.2重量部、RFLを含む接着剤が合成繊維100重量部に対して4.0重量部であった。
(比較例5)
比較例4で、RFL処理剤を以下記載のPRFL処理剤に変更する以外は比較例4と同じ処理をおこなって合成繊維コードを得た。得られた合成繊維コードの接着剤固形分付着量は、プライマー処理剤が合成繊維100重量部に対して1.2重量部、RFLを含む接着剤が合成繊維100重量部に対して4.0重量部であった。レゾルシン/ホルマリンのモル比を1/1.4の割合で、苛性ソーダの存在下混合し、固形分濃度が10%となるように調整し、2時間熟成することで、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物を得た。次にこの初期縮合物(RF)と、ゴムラテックス(ニッポ-ル2518FS、日本ゼオン株式会社製)を、RF/L=1/5(固形分重量比)の割合で混合し、24時間熟成した。ここに、クロロ変性レゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物(デナボンド-E(ナガセケムテックス株式会社製))を、上記レゾルシン・ホルマリン・ラテックスの固形分重量100重量部に対し、20部混合させ、さらに20時間熟成した。この混合物を水で希釈し、固形分量15重量%としたものをPRFL処理剤とした
Figure 2022130933000002
表1及び2中に示した、接着処理剤の各成分は以下の通りである。
(A)-1:バニリン(富士フィルム和光純薬(株))
(A)-2:バニリン酸(富士フィルム和光純薬(株))
(A)-3:オルトバニリン(東京化成株式会社製)
(B)-1:ブロックドイソシアネート(明成化学製、DM-6400)
(C)-1:ゴムラテックス(日本エイアンドエル株式会社製、ピラテックス)
このようにして得られた合成繊維コードを、未加硫ゴムに埋め込み加硫を行った後、初期接着力、耐熱接着力、ゴム中耐疲労性をそれぞれ測定した。また、合成繊維コードフォーリンチオカルト法分析、IR測定、ガーレーコード硬さ、加熱後ガーレーコード硬さをそれぞれ前記記載の方法にて測定した。結果を表1及び2に示す。
表1及び2の結果のように、本発明による実施例1~12の場合、ゴムとの接着性、耐熱接着性が良好であり、さらに高温雰囲気下での耐疲労性が顕著に改善されることがわかる。
1 チャック
2 試験片
3 回転棒
4 目盛板
5 針
W1 荷重設定孔(軸より25.4mm(1インチ))
W2 荷重設定孔(軸より50.8mm(2インチ))
W3 荷重設定孔(軸より101.6mm(4インチ))

Claims (7)

  1. 合成繊維に接着剤樹脂が付着してなるゴム補強用合成繊維コードであって、フォーリンチオカルト法で分析した時の吸光度の没食子酸換算値が2.5μg以上であることを特徴とするゴム補強用合成繊維コード。
  2. フォーリンチオカルト法で分析した時の吸光度の没食子酸換算値が、3.5μg以上30μg以下であることを特徴とする請求項1に記載のゴム補強用合成繊維コード。
  3. 接着剤樹脂の赤外線吸収スペクトル分析(IR)で、波数1510~1550cm-1の範囲にN-H基の変角振動に由来するピークを示すことを特徴とする請求項1または2に記載のゴム補強用合成繊維コード。
  4. コードに付着した樹脂単位当たりのガーレーコード硬さが70mN/%以下であり、かつ、加熱後のガーレーコード硬さ変化率が90%~230%であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コード。
  5. レゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(RFL)を含む接着処理剤が付着してなることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コード。
  6. 合成繊維が、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、芳香族ポリアミド繊維から選ばれる少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コード。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載のゴム補強用合成繊維コードを含むゴム製品。
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