JP2022130302A - 電波吸収体用部材 - Google Patents

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健史 小山
Takeshi Koyama
勝紀 武藤
Katsunori Muto
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Abstract

【課題】剥離基材剥離後の抵抗変化が抑制される電波吸収体用部材、電波吸収体、電波吸収性物品、電波吸収性物品の製造方法、粘着性電波吸収体及び粘着性電波吸収体の製造方法、を提供すること。【解決手段】電波吸収体用部材は、導電性基材3、粘着剤層4及び剥離基材5が、導電性基材、粘着剤層、剥離基材の順に積層されており、導電性基材が金属層を含み、且つ、剥離基材の剛軟度Aから導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度Bを減じてなる差(A-B)が60mm以下である。【選択図】図2

Description

本発明は、電波吸収体用部材等に関する。
従来、電子機器、家庭用電化製品等では、電波の漏洩や侵入を防止するために、電波吸収材料を施した部材が用いられている。近年では、特に電波を利用した電子機器(情報通信機器)においては、他の電子機器の誤作動及び信号劣化の防止、並びに、人体への悪影響の防止の観点から、不要な電磁波を吸収する電波吸収体が広く採用されている。電波吸収体としては、各種ゴムや樹脂材料に磁性体金属粉を分散させてなるものが用いられている。また、例えば、布帛の表面上に金属が付着されたノイズ吸収布帛が報告されている(特許文献1)。
特許第5722608号
導電性基材を電波吸収体として使用する場合、筐体や電波ノイズの発生源に貼り付けて使用することがある。この場合、通常は、導電性基材、粘着層、及び剥離基材を含む電波吸収体用部材を用意し、剥離基材を剥離させて、対象物品に貼り付ける作業が行われる。
本発明者は、研究を進める中で、上記作業によって電波吸収体の抵抗値が変化してしまうことを見出した。
本発明は、剥離基材剥離後の抵抗変化が抑制される電波吸収体用部材を提供することを課題とする。
本発明者は研究を進める中で、剥離基材剥離後の抵抗変化は、剥離基材を剥離させる際に、導電性基材の金属を含む層にクラックが生じてしまい、これにより抵抗変化が起こることを見出した。本発明者は、この知見に基づいて鋭意研究を重ねた結果、導電性基材、粘着剤層、及び剥離基材を含み、導電性基材、粘着剤層、剥離基材の順に積層されており、導電性基材が金属層を含み、且つ剥離基材の剛軟度Aから導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度Bを減じてなる差(A-B)が60mm以下である、電波吸収体用部材、であれば、上記課題を解決できることを見出した。本発明者はこの知見に基づいてさらに研究を進めた結果、本発明を完成させた。即ち、本発明は、下記の態様を包含する。
項1. 導電性基材、粘着剤層、及び剥離基材を含み、
導電性基材、粘着剤層、剥離基材の順に積層されており、
導電性基材が金属層を含み、且つ
剥離基材の剛軟度Aから導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度Bを減じてなる差(A-B)が60mm以下である、
電波吸収体用部材.
項2. 前記剥離基材の剛軟度Aが80mm以下である、項1に記載の電波吸収体用部材.
項3. 前記剥離基材の180°ピール強度が0.01~4.5N/25mmである、項1又は2に記載の電波吸収体用部材.
項4. 前記導電性基材のシート抵抗が50~600Ω/□である、項1~3のいずれかに記載の電波吸収体用部材.
項5. 前記導電性基材が繊維基材を含む、項1~4のいずれかに記載の電波吸収体用部材.
項6. 前記繊維基材が不織布を含む、項5に記載の電波吸収体用部材.
項7. 項1~6のいずれかに記載の電波吸収体用部材から前記剥離基材を剥離させる工程を含む、粘着性電波吸収体の製造方法.
項8. 項1~6のいずれかに記載の電波吸収体用部材を、前記剥離基材を剥離させて、対象物品に貼り付ける工程を含む、電波吸収性物品の製造方法.
項9. 項1~6のいずれかに記載の電波吸収体用部材から前記剥離基材を剥離させてなる、粘着性電波吸収体.
項10. 項9に記載の粘着性電波吸収体と反射層を含む電波吸収体。
項11. 項9に記載の粘着性電波吸収体を含む、電波吸収性物品.
本発明によれば、剥離基材剥離後の抵抗変化が抑制される電波吸収体用部材を提供することができる。
金属層及び基材を含む導電性基材の一例を示す概略断面図である。 本発明の電波吸収体用部材の一例を示す概略断面図である。 本発明の粘着性電波吸収体の一例を示す概略断面図である。 本発明の粘着性電波吸収体が筐体の開口部及び筐体内壁に配置された場合の一例を示す概略断面図である。 本発明の粘着性電波吸収体を電波ノイズの発生源を覆うようにして使用する場合の一例を示す概略断面図である。 本発明の粘着性電波吸収体に加えてさらに誘電体層、粘着剤層及び反射層を有する反射層積層型の電波吸収体の一例を示す概略断面図である。
本明細書中において、「含有」及び「含む」なる表現については、「含有」、「含む」、「実質的にからなる」及び「のみからなる」という概念を含む。
本発明は、その一態様において、導電性基材、粘着剤層、及び剥離基材を含み、導電性基材、粘着剤層、剥離基材の順に積層されており、導電性基材が金属層を含み、且つ剥離基材の剛軟度Aから導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度Bを減じてなる差(A-B)が60mm以下である、電波吸収体用部材(本明細書において、「本発明の電波吸収体用部材」と示すこともある。)に関する。以下に、これについて説明する。
<1.導電性基材>
導電性基材は、金属層を含み、且つ導電性を有する基材である限り特に制限されない。導電性基材は、通常、基材及び金属層を含む。金属層は、基材の少なくとも一方の面に配置されてなることができる。
<1-1.基材>
基材は、シート状のものである限り、特に制限されない。基材としては、特に制限されないが、例えば繊維基材、樹脂基材等が挙げられる。これらの中でも、本発明の電波吸収体用部材の柔軟性、、追従性、電波吸収性等の観点から、繊維基材が好ましい。
基材の目付(坪量)は、後述の剛軟度差を満たすことができる限り特に制限されず、例えば1~500g/m、好ましくは2~200g/m、より好ましくは3~100g/m、さらに好ましくは4~50g/mでである。
基材の層構成は特に制限されない。基材は、1種単独の基材から構成されるものであってもよいし、2種以上の基材が複数組み合わされたものであってもよい。
基材の厚みは、後述の剛軟度差を満たすことができる限り特に制限されず、例えば1~3000μm、好ましくは2~1000μm、より好ましくは5~500μm、さらに好ましくは10~200μmである。
<1-1-1.繊維基材>
繊維基材は、繊維又は繊維束を素材として含む基材であって、シート状のものである限り、特に制限されない。繊維基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、繊維及び繊維束以外の成分が含まれていてもよい。その場合、繊維基材中の繊維及び繊維束の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
繊維を構成する素材は、繊維状である又は繊維状に成形可能な素材である限り、特に制限されない。繊維の素材としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド(PPA)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂等の合成樹脂、天然樹脂、セルロース、ガラス等が挙げられる。繊維素材は樹脂であることが好ましい。繊維は、1種単独の繊維素材から構成されるものであってもよいし、2種以上の繊維素材が複数組み合わされたものであってもよい。
繊維基材としては、例えば、不織布、メッシュ、織物、編物等が挙げられる。これらの中でも、柔軟性、追従性等の観点から、好ましくは不織布が挙げられる。
繊維基材は、本発明の電波吸収体用部材の耐熱性の観点から、融点250℃以上の樹脂を含むことが好ましい。当該樹脂は、繊維基材を構成する繊維の素材であってもよいし、繊維以外の成分であってもよい。このような樹脂としては、例えば各種PET樹脂、PAR樹脂、ポリアミド樹脂(ナイロン66)等が挙げられる。
繊維基材の層構成は特に制限されない。繊維基材は、1種単独の繊維基材から構成されるものであってもよいし、2種以上の繊維基材が複数組み合わされた(積層された)ものであってもよい。
なお、本明細書において、融点とは、JIS K7121に準拠して、示差走差熱量計(DSC;例えば、メトラー社製「TA3000」)を用いて測定し、観察される主吸収ピーク温度である。具体的には、DSC装置にて測定する際、測定サンプルを10~20mg取り、アルミ製パンへ封入した後、キャリアガスとして窒素を流量100mL/minで流し、20℃/minで昇温したときの1st runの吸収ピークを測定する。ポリマーの種類により上記の1st runで明確な吸収ピークが出現しない場合には、50℃/minの昇温速度で予想される融解温度より50℃ 高い温度まで昇温し、その温度で3分間以上保持し、完全に溶解した後、80℃/minの速度で50℃まで冷却し、しかる後、20℃/minの昇温速度で2nd runの吸熱ピークを測定する。
<1-1-2.樹脂基材>
樹脂基材は、樹脂を素材として含む基材であって、シート状のものである限り、特に制限されない。樹脂基材は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その場合、樹脂基材中の樹脂の合計量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
樹脂としては、特に制限されず、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリビニルブチラール(PVB)等のポリビニルアセタール樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリアミド(PPA)樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド(PAI)樹脂、ポリエーテルイミド(PEI)樹脂、ポリメチルペンテン(PMP)樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂、ポリアリレート(PAR)樹脂等が挙げられる。
<1-2.金属層>
金属層は、基材上に配置される、換言すれば基材の有する2つの主面の少なくとも1方の表面上に配置される。
金属層は、金属を素材として含む層である限り、特に制限されない。金属層は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、金属以外の成分が含まれていてもよい。その場合、金属層中の金属量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
金属層を構成する金属としては、電波吸収特性を発揮できるものであれば特に制限されない。金属としては、例えばニッケル、モリブデン、クロム、チタン、アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、スズ、白金、鉄、インジウム、これらの金属を含む合金、及び、これらの金属又はこれらの金属を含む合金の金属化合物等が挙げられる。金属層は、導電性基材の電波吸収特性の経時変化を抑制する(耐久性の)観点から、ニッケル、モリブデン、クロム、チタン、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有することが好ましい。
上記ニッケル、モリブデン、クロム、チタン、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の金属元素を含有する場合、その含有量は、例えば10質量%以上、好ましくは20質量%以上、より好ましくは40質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上であり、通常100質量%未満である。
金属層としては、耐久性、シート抵抗の調整が容易である観点から、モリブデンを含有する金属層が好ましく用いられる。モリブデンの含有量の下限は特に限定されないが、より耐久性を高める観点から、5重量%が好ましく、7重量%がより好ましく、9重量%が更に好ましく、11重量%がより更に好ましく、13重量%が特に好ましく、15重量%が非常に好ましく、16重量%が最も好ましい。また、上記モリブデンの含有量の上限は、シート抵抗の調整の容易化の観点から、70重量%が好ましく、30重量%がより好ましく、25重量%がさらに好ましく、20重量%が更に好ましい。
金属層は、モリブデンを含有している場合、さらにニッケル及びクロムを含有することがより好ましい。金属層にモリブデンに加えてニッケル及びクロムを含有することでより耐久性に優れた導電性基材とすることができる。ニッケル、クロム及びモリブデンを含有する合金としては、例えば、ハステロイB-2、B-3、C-4、C-2000、C-22、C-276、G-30、N、W、X等の各種グレードが挙げられる。
金属層がモリブデン、ニッケル及びクロムを含有する場合、モリブデンの含有量が5重量%以上、ニッケルの含有量が40重量%以上、クロムの含有量が1重量%以上であることが好ましい。モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量が上記範囲であることで、より耐久性に優れた導電性基材とすることができる。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が7重量%以上、ニッケル含有量が45重量%以上、クロム含有量が3重量%以上であることがより好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が9重量%以上、ニッケル含有量が47重量%以上、クロム含有量が5重量%以上であることが更に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が11重量%以上、ニッケル含有量が50重量%以上、クロム含有量が10重量%以上であることがより更に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が13重量%以上、ニッケル含有量が53重量%以上、クロム含有量が12重量%以上であることが特に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が15重量%以上、ニッケル含有量が55重量%以上、クロム含有量が15重量%以上であることが非常に好ましい。上記モリブデン、ニッケル及びクロムの含有量は、モリブデン含有量が16重量%以上、ニッケル含有量が57重量%以上、クロム含有量が16重量%以上であることが最も好ましい。また、上記ニッケルの含有量は、80重量%以下であることが好ましく、70重量%以下であることがより好ましく、65重量%以下であることが更に好ましい。上記クロム含有量の上限は、50重量%以下であることが好ましく、40重量%以下であることがより好ましく、35重量%以下であることが更に好ましい。
金属層は、上記モリブデン、ニッケル及びクロム以外の金属を含有してもよい。そのような金属としては、例えば、鉄、コバルト、タングステン、マンガン、チタン等が挙げられる。金属層がモリブデン、ニッケル及びクロムを含有する場合、上記モリブデン、ニッケル及びクロム以外の金属の合計含有量の上限は、金属層の耐久性の観点から、好ましくは45重量%、より好ましくは40重量%、更に好ましくは35重量%、より更に好ましくは30重量%、特に好ましくは25重量%、非常に好ましくは23重量%である。上記モリブデン、ニッケル及びクロム以外の金属の合計含有量の下限は、例えば1重量%以上である。
金属層が鉄を含有する場合、金属層の耐久性の観点から、含有量の好ましい上限は25重量%、より好ましい上限は20重量%、更に好ましい上限は15重量%であり、好ましい下限は1重量%である。金属層がコバルト及び/又はマンガンを含有する場合、金属層の耐久性の観点から、それぞれ独立して、含有量の好ましい上限は5重量%、より好ましい上限は4重量%、更に好ましい上限は3重量%であり、好ましい下限は0.1重量%である。上記金属層がタングステンを含有する場合、金属層の耐久性の観点から、含有量の好ましい上限は8重量%、より好ましい上限は6重量%、更に好ましい上限は4重量%であり、好ましい下限は1重量%である。
金属層は、ケイ素及び/又は炭素を含有してもよい。金属層がケイ素及び/又は炭素を含有する場合、上記ケイ素及び/又は炭素の含有量は、それぞれ独立して、1重量%以下であることが好ましく0.5重量%以下であることがより好ましい。また、金属層がケイ素及び/又は炭素を含有する場合、上記ケイ素及び/又は炭素の含有量は、0.01重量%以上であることが好ましい。
金属層に由来する金属元素及び/又は半金属元素付着量は、後述のシート抵抗を満たし得るものである限り特に制限されない。金属層に由来する金属元素及び/又は半金属元素付着量は、例えば5~150μg/cm、好ましくは10~100μg/cm、より好ましくは20~50μg/cmである。
金属層に由来する金属元素及び/又は半金属元素付着量は、蛍光X線分析により求めることができる。具体的には、走査型蛍光X線分析装置(例えば、リガク社製走査型蛍光X線分析装置 ZSX PrimusIII+もしくは、同等品)を用いて加速電圧は50kV、加速電流は50mA、積分時間は60秒として分析する。測定対象の成分のKα線のX線強度を測定し、ピーク位置に加えてバックグラウンド位置での強度も測定し、正味の強度が算出できるようにする。あらかじめ作成した検量線から、測定した強度値を付着量に換算することができる。同一のサンプルに5回分析を行い、その平均値を平均付着量とする。
金属層の層構成は特に制限されない。金属層は、1種単独の金属層から構成されるものであってもよいし、2種以上の金属層が複数組み合わされたものであってもよい。
<1-3.バリア層>
本発明の導電性基材は、金属層の少なくとも一方の面上(好ましくは両面上)にバリア層を有することが好ましい。
バリア層は、金属層を保護し、その劣化を抑えることができる層である限り、特に制限されないが、金属層とは異なる組成であることが好ましい。バリア層の素材としては、例えば金属、半金属、合金、金属化合物、半金属化合物等が挙げられる。バリア層は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、上記素材以外の成分が含まれていてもよい。その場合、バリア層中の上記素材量は、例えば80質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは95質量%以上、さらに好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
バリア層に好適に用いられる金属としては、例えばニッケル、チタン、アルミニウム、ニオブ、コバルト等が挙げられる。バリア層に好適に用いられる半金属としては、例えばケイ素、ゲルマニウム、アンチモン、ビスマス等が挙げられる。
バリア層に用いられる金属化合物及び半金属化合物の具体例としては、SiO、SiO(Xは酸化数を表し、0<X<2)、Al、MgAl、CuO、CuN、TiO、TiN、AZO(アルミニウムドープ酸化亜鉛)等が挙げられる。
バリア層は、好ましくはニッケル、ケイ素、チタン、及びアルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種の元素を含有する。これらの中でも、好ましくはケイ素が挙げられる。
バリア層に由来する金属元素及び/又は半金属元素付着量は、後述のシート抵抗を満たし得るものである限り特に制限されない。バリア層に由来する金属元素及び/又は半金属元素付着量は、例えば2~15μg/cm、好ましくは4~12μg/cm、より好ましくは6~10μg/cmである。
バリア層の層構成は特に制限されない。バリア層は、1種単独のバリア層から構成されるものであってもよいし、2種以上のバリア層が複数組み合わされたものであってもよい。
<2.粘着剤層>
粘着剤層は、粘着ポリマーを含み、一定以上の粘着力を有する層である限り、特に制限されない。
粘着ポリマーとしては、特に制限されず、例えばアクリル系粘着ポリマー、ウレタン系粘着ポリマー、ポリオレフィン系粘着ポリマー、ポリエステル系粘着ポリマー、ビニルアルキルエーテル系粘着ポリマー、ポリアミド系粘着ポリマー、ゴム系粘着ポリマー、シリコーン系粘着ポリマー、フッ素系粘着ポリマー等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系粘着ポリマーが好ましい。
アクリル系粘着ポリマーは、(モノ)アクリル酸エステルを主成分モノマーとして含有する粘着ポリマー組成物中のモノマーを重合させて(メタ)アクリル共重合体とすることにより得られる。
粘着剤層は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、粘着ポリマー以外の他の成分が含まれていてもよい。その場合、粘着剤層中の粘着ポリマー量は、例えば50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、又は90%質量以上であり、通常100質量%未満である。
他の成分としては、特に制限されないが、例えば光重合開始剤、熱重合開始剤、気体発生剤、ラジカル重合性の多官能オリゴマー又はモノマー、シリコーン化合物、無機フィラー、粘着付与剤等が挙げられる。
粘着剤層の層構成は特に制限されない。粘着剤層は、1種単独の粘着剤層から構成されるものであってもよいし、2種以上の粘着剤層が複数組み合わされたものであってもよい。
粘着剤層の厚みは、後述の剛軟度差を満たすことができる限り特に制限されず、例えば10~500μm、好ましくは20~400μm、より好ましくは30~300μm、さらに好ましくは35~250μmである。
粘着剤層の粘着力(N/25mm)は、特に制限されない。当該粘着力は、好ましくは後述の180°ピール強度を満たすことができる程度の粘着力である。粘着力は、例えば1~50N/25mm、好ましくは2~40N/25mm、より好ましくは5~30N/25mm、さらに好ましくは7~25N/25mmである。
<3.剥離基材>
剥離基材は、本発明の電波吸収体用部材から剥離させることができ、粘着剤層を露出させることができるものである限り、特に制限されない。
剥離基材の素材は特に限定されず、例えば、エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂(OPP、CPP)、ポリメチルペンテン樹脂、ポリビニルアセテート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリイミド樹脂等の樹脂; クラフト紙、グラシン紙、上質紙等の紙等が挙げられる。これらの中でも、樹脂が好ましい。
剥離基材の層構成は特に制限されない。剥離基材は、1種単独の剥離基材から構成されるものであってもよいし、2種以上の剥離基材が複数組み合わされたものであってもよい。例えば、紙と樹脂フィルムとを積層したラミネート紙、前記紙にクレーやポリビニルアルコールなどで目止め処理を施したもの等が挙げられる。
剥離基材の表面は、離型処理された表面であることができる。また、剥離基材の表面は、シリコーン樹脂等を含む離型剤が塗布された表面であることができる。
剥離基材の厚みは、後述の剛軟度差を満たすことができる限り特に制限されず、例えば2~90μm、好ましくは5~90μm、より好ましくは10~90μm、さらに好ましくは20~80μm、よりさらに好ましくは30~70μm、とりわけ好ましくは30~60μmである。
<4.層構成>
本発明の電波吸収体用部材は、導電性基材、粘着剤層、及び剥離基材を含み、導電性基材、粘着剤層、剥離基材の順に積層されている限りにおいて、特に制限されない。これら3つの層は、隣接して配置されていてもよいし、他の層を介して配置されていてもよいが、好ましくは隣接して(他の層を介さずに)配置されている。
<5.剛軟度、180°ピール強度、シート抵抗>
本発明の電波吸収体用部材は、剥離基材の剛軟度Aから導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度Bを減じてなる差(A-B:剛軟度差)が60mm以下であることを特徴としている。これにより、剥離基材を剥離させる際に、導電性基材の金属層にクラックが生じることを抑制できると考えられ、よって剥離基材剥離後の抵抗変化を抑制することができる。
剥離基材の剛軟度Aは、次のようにして測定される。JIS L-1096 45°カンチレバー法に基づき、カンチレバー形試験機を用いて測定を行う。
導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度(剛軟度B)は次のようにして測定される。JIS L-1096 45°カンチレバー法に基づき、カンチレバー形試験機を用いて測定を行う。なお、測定は導電性基材が試験機側となるように配置し、片面のみ測定する。
剛軟度差は、好ましくは55mm以下、より好ましくは50mm以下、さらに好ましくは45mm以下、よりさらに好ましくは40mm以下、とりわけ好ましくは30mm以下、とりわけより好ましくは20mm以下、とりわけさらに好ましくは10mm以下である。剛軟度差の下限は、特に制限されず、例えば-30mm、-20mm、又は-10mmである。
剛軟度Aは、好ましくは10mm以上85mm以下、より好ましくは20mm以上80mm以下、さらに好ましくは25mm以上75mm以下である。
剛軟度Bは、好ましくは1mm以上60mm以下、より好ましくは2mm以上50mm以下、さらに好ましくは5mm以上40mm以下、よりさらに好ましくは7mm以上40mm以下である。
本発明の電波吸収体用部材は、剥離基材剥離後の抵抗変化の抑制の観点から、剥離基材の180°ピール強度が0.01~4.5N/25mmであることが好ましい。当該ピール強度は、好ましくは0.01~2.5N/25mm、より好ましくは0.01~1.0N/25mm、さらに好ましくは0.01~0.1N/25mmである。
本発明の電波吸収体用部材における剥離基材の180°ピール強度は次のようにして測定される。JIS Z0237:2009に基づき、株式会社島津製作所製 卓上形精密万能試験機 AUTOGRAPH AGS―X 1kN又はその同等品を用いて測定を行う。
導電性基材のシート抵抗は、例えば10Ω/□以上1000Ω/□以下である。該シート抵抗は、剥離基材剥離後の抵抗変化の抑制、電波吸収性等の観点から、好ましくは50Ω/□以上600Ω/□以下、より好ましくは60Ω/□以上500Ω/□以下、さらに好ましくは70Ω/□以上200Ω/□以下、特に好ましくは80Ω/□以上150Ω/□以下である。
導電性基材のシート抵抗は次のようにして測定される。非接触式抵抗測定器(ナプソン株式会社製、EC-80P又はその同等品)を用いて渦電流法により測定することができる。
<6.性能>
本発明の電波吸収体用部材は、剥離基材剥離後の抵抗変化が抑制されたものである。実施例(3)の方法により測定される抵抗変化率は、好ましくは120%以下、より好ましくは115%以下、さらに好ましくは110%以下、よりさらに好ましくは105%以下である。当該抵抗変化率の下限は特に制限されず、例えば90%、95%、98%、99%、又は100%である。
<7.製造方法>
本発明の電波吸収体用部材は、例えば、基材の表面に金属、バリア層構成成分等を付着させて導電性基材を得る工程、及び導電性基材、粘着剤層、及び剥離基材を積層させる工程を含む方法により得ることができる。
特に限定されないが、前記付着は、例えば、スパッタリング法、真空蒸着法、イオンプレーティング法、化学蒸着法、パルスレーザーデポジション法等により行うことができる。これらの中でも、膜厚制御性、電波吸収特性等の観点から、スパッタリング法が好ましい。
スパッタリング法としては、特に限定されないが、例えば、直流マグネトロンスパッタ、高周波マグネトロンスパッタ及びイオンビームスパッタ等が挙げられる。また、スパッタ装置は、バッチ方式であってもロール・ツー・ロール方式であってもよい。
スパッタリング法により付着する場合、表面とその内部とにおける金属付着量の勾配は、スパッタ時のガス圧により調整することもできる。繊維基材を使用する場合、スパッタ時のガス圧を下げることで、繊維基材の内部、より深くまで金属を付着させることができ、緩やかな勾配で分布させることができる。これにより、電波吸収性がより向上する。
粘着剤層の積層方法は、特に制限されず、例えば溶液状の粘着剤組成物を塗布後、固化させる方法、固形状の粘着剤層を貼合する方法等が挙げられる。
導電性基材、粘着剤層、及び剥離基材の積層方法は、特に制限されず、例えば剥離基材上に粘着剤層を積層し、得られた積層体と導電性基材とを貼合する方法、導電性繊維基材上に粘着剤層を積層し、得られた積層体と剥離基材とを貼合する方法等が挙げられる。
<8.用途>
本発明の電波吸収体用部材は、その一態様において、不要な電磁波を吸収する性能を有するため、例えば、光トランシーバや、次世代移動通信システム(5G)における電波対策部材として好適に利用できる。また、その他の用途として自動車、道路、人の相互間で情報通信を行う高度道路交通システム(ITS)や自動車衝突防止システムに用いるミリ波レーダーにおいても、電波干渉抑制やノイズ低減の目的で用いることができる。本発明の電波吸収体用部材が対象とする電波の周波数は、例えば20GHz以上150GHz以下、好ましくは25GHz以上85GHz以下である。
本発明の一態様において、本発明の電波吸収体用部材の剥離基材を剥離させて(粘着剤層を露出させて)粘着性電波吸収体(本発明の粘着性電波吸収体)を得て、これを成形品や筐体等の対象物品に貼り付けることにより、電波吸収性物品を得ることができる。
本発明の粘着性電波吸収体は、その一態様において、電波吸収対象物の周囲に貼付することにより使用することができる。このため、対象物の形状に応じて、適宜成形される。成形されたものを、本明細書においては、「電波吸収成形体」と表す。
電波吸収対象物としては特に限定されない。電波吸収対象物としては例えば、LSI等の電子部品、ガラスエポキシ基盤及びFPC等の回路表面又はその裏面、部品間の接続ケーブル及びコネクター部、電子部品・装置を入れる筐体、保持体等の裏又は表、電源線、伝送線等のケーブル等が挙げられる。
本発明の粘着性電波吸収体は、その一態様において、筐体に貼付することにより、優れた電波吸収性を有する物品を得ることができる。本発明の粘着性電波吸収体を有する筐体もまた、本発明の1つである。
本発明の粘着性電波吸収体は、その一態様において、電子デバイス等を内蔵する筐体の内面(より好ましくは内壁)に貼付することにより、優れた電波吸収性を有する筐体を得ることができる。
本発明の粘着性電波吸収体は、電波ノイズの発生源から離れた位置に配置し、電波吸収対象物の周囲を覆うように用いられることで、不要な電波ノイズを吸収する性能をより効果的に発揮することができる。また、電波ノイズの発生源から離れた位置に配置することで、LSI等から発生する熱の放熱を妨げにくくなる。本発明の粘着性電波吸収体は電波吸収性の観点から、電波ノイズの発生源からλ/2π以上離れた位置に配置することが好ましい。なお、λは対象とする電波の波長を示す。また、筐体内部で電波ノイズが生じた場合、空洞共振現象により筐体自身も電波ノイズ源になりうる。本発明の粘着性電波吸収体を筐体内壁に配置することで、空洞共振現象を抑制し、筐体からのノイズ発生を抑制することもできる。
本発明の粘着性電波吸収体を筐体内面に有する筐体、及び、該筐体を有する電子デバイスもまた、本発明の1つである。
本発明の粘着性電波吸収体は、その一態様において、電子デバイス等を内蔵する筐体が開口部を有する場合、その開口部に貼付することにより、優れた電波吸収性を有する筐体を得ることができる。電子デバイス等を内蔵する筐体が開口部を有する場合、内部の電子デバイスから発生した電波ノイズが開口部から漏れ出たり、開口部がアンテナとして機能し電波ノイズを再放射したりする場合がある。このような場合に、筐体の開口部に本発明の粘着性電波吸収体を配置することで、筐体から発するノイズを低減することができる。
本発明の粘着性電波吸収体を筐体の開口部に有する筐体、及び、該筐体を有する電子デバイスもまた、本発明の1つである。
本発明の電波吸収成形体は、その一態様において、非導電性材料をさらに含む。該非導電性材料を含むことにより、電波吸収成形体の形状保持性を高めることができる。
本発明の粘着性電波吸収体は、種々の非導電性材料からなる部材に貼付することにより、優れた電波吸収性を有する電波吸収成形体を得ることができる。なかでも、電子デバイスを内蔵するための筐体の表面に貼着して電波吸収を付与する用途に好適である。非導電性材料からなる部材の表面に、本発明の粘着性電波吸収体が貼付されている電波吸収成形体もまた、本発明の1つである。非導電性材料からなる部材の表面に本発明の粘着性電波吸収体が貼付された筐体に、電子デバイスが内蔵されている電子デバイスもまた、本発明の1つである。
本発明の粘着性電波吸収体は、反射層を積層することにより、電波吸収体(反射層積層型電波吸収体)を構成することができる。反射層を有する場合、導電性基材の片面側にのみ金属層を有し、反射層は金属層とは反対側に配置される。上記構成を有する場合、電波吸収特性がより優れる。
この理由は特定の理論に束縛されないが、入射した電波は、導電性基材を通過する過程で吸収・減衰され、反射層にて反射される。反射された電波は、入射する電波との干渉によりさらに減衰する。この結果、入射面への電波の反射は抑制され、入射面とは逆側へは電波が透過しないことが考えられる。
反射層は、反射層積層型電波吸収体において電波の反射層として機能し得るものである限り、特に制限されない。反射層としては、特に制限されないが、例えば金属膜、金属箔、導電性材料等が挙げられる。
金属膜は、金属を素材として含む層である限り、特に制限されない。金属膜は、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、金属以外の成分が含まれていてもよい。その場合、金属膜中の金属の合計量は、例えば30質量%以上、好ましくは50質量%以上、より好ましくは75質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、さらにより好ましくは90質量%以上、特に好ましくは95質量%以上、非常に好ましくは99質量%以上であり、通常100質量%未満である。
金属としては、特に制限されず、例えばアルミニウム、銅、鉄、銀、金、クロム、ニッケル、モリブデン、ガリウム、亜鉛、スズ、ニオブ、インジウム等が挙げられる。また、金属化合物、例えばITO等も、金属膜の素材として使用することができる。これらは1種単独であってもよいし、2種以上の組み合わせであってもよい。
反射層の厚みは、特に制限されない。反射層の厚みは、例えば1μm以上500μm以下、好ましくは2μm以上200μm以下、より好ましくは5μm以上100μm以下である。
反射層の層構成は特に制限されない。反射層は、1種単独の反射層から構成されるものであってもよいし、2種以上の反射層が複数組み合わされたものであってもよい。
反射層積層型電波吸収体においては、粘着剤層が誘電体層として機能し得る。また、粘着剤層と反射層との間に誘電体層となる層を配置することもできる。
誘電体層は、反射層積層型電波吸収体において目的の波長に対して誘電体として機能し得るものである限り、特に制限されない。誘電体層としては、特に制限されないが、例えば樹脂シート、粘着剤等が挙げられる。
樹脂シートは、樹脂を素材として含むシート状のものである限り、特に制限されない。樹脂シートは、本発明の効果が著しく損なわれない限りにおいて、樹脂以外の成分が含まれていてもよい。その場合、樹脂シート中の樹脂の合計量は、例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上であり、通常100質量%未満である。
樹脂としては、特に制限されず、例えばエチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)、塩化ビニル、ウレタン、アクリル、アクリルウレタン、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、シリコーン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエステル、ポリスチレン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、エポキシ等の合成樹脂や、ポリイソプレンゴム、ポリスチレン・ブタジエンゴム、ポリブタジエンゴム、クロロプレンゴム、アクリロニトリル・ブタジエンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン・プロピレンゴムおよびシリコーンゴム等の合成ゴム材料を樹脂成分として用いることが好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上の組合せで使用することができる。
誘電体層は、発泡体や粘着剤であってもよい。
誘電体層は、粘着性を備えるものであってもよい。このため、粘着性を有しない誘電体を粘着剤層により他の層に積層させる場合、該誘電体と粘着剤層とを合わせたものが「誘電体層」となる。隣接する層と積層し易いという観点から、誘電体層は、好ましくは粘着剤層を含む。
誘電体層の層構成は特に制限されない。誘電体層は、1種単独の誘電体層から構成されるものであってもよいし、2種以上の誘電体層が複数組み合わされたものであってもよい。例えば、粘着性を有しない誘電体とその両面に配置された粘着剤層とからなる3層構造の誘電体層、粘着性を有する誘電体からなる1層構造の誘電体層等が挙げられる。
本発明の電波吸収体用部材、本発明の粘着性電波吸収体、及び反射層積層型電波吸収体において(特に、反射層積層型電波吸収体において)、導電性基材の厚みdが、式(1):λ/16≦d(好ましくはλ/16≦d≦λ/4、より好ましくはλ/8≦d≦λ/4)(式中、λは対象とする電波の波長を示す。)を満たすことが好ましい。上記厚みdであることで、電波吸収特性が一層向上する。
反射層積層型電波吸収体が、反射層に加えてさらに誘電体層を有する場合は、導電性基材の厚みと誘電体層の厚みとの合計d’が、式(1’):λ/16≦d’(好ましくはλ/16≦d≦λ/4、より好ましくはλ/8≦d’≦λ/4)(式中、λは対象とする電波の波長を示す。)を満たすことが好ましい。
λは、対象とする電波の波長であり、用途により適する値が選択される。λは、光速を周波数で除した値であり、例えば0.2cm以上1.5cm以下、好ましくは0.3cm以上1.2cm以下である。
以下に、実施例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(1)物性測定
後述の「(2)電波吸収体用部材の製造」で使用した材料及び製造された電波吸収体用部材の物性の測定方法は以下の通りである。以下に測定方法が示されていない物性の値は、入手元からの情報に基づく。
(1-1)剥離基材の剛軟度の測定
剥離基材の剛軟度(剛軟度A)を次のようにして測定した。JIS L-1096 45°カンチレバー法に基づき、カンチレバー形試験機を用いて測定を行った。
(1-2)導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度の測定
導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度(剛軟度B)を次のようにして測定した。JIS L-1096 45°カンチレバー法に基づき、カンチレバー形試験機を用いて測定を行った。なお、測定は導電性基材が試験機側となるように配置し、片面のみ測定した。
(1-3)電波吸収体用部材における剥離基材の180°ピール強度の測定
電波吸収体用部材における剥離基材の180°ピール強度を次のようにして測定した。JIS Z0237:2009に基づき、株式会社島津製作所製 卓上形精密万能試験機 AUTOGRAPH AGS―X 1kNを用いて測定を行った。
(2)電波吸収体用部材の製造
以下で使用した各基材(繊維基材A1、繊維基材A2)、粘着剤層(粘着剤層B1、粘着剤層B2、粘着剤層B3)、及び剥離基材(剥離基材C1、剥離基材C2、剥離基材C3、剥離基材C4、剥離基材C5)の物性は表1の通りである。
(実施例1)
繊維基材A1を真空装置内に設置し、5.0×10-4Pa以下となるまで真空排気した。続いて、アルゴンガスを導入して、DCマグネトロンスパッタリング法により、繊維基材の片面に、ケイ素からなるバリア層1、ハステロイからなる金属層、及びケイ素からなるバリア層2をこの順に積層させ、導電性基材を得た。作成した導電性基材と粘着材層B1つき剥離基材C1をテスター産業株式会社製 SA-1010小型卓上テストラミネータ特型を用いて線圧0.1MPa、搬送速度1.0m/minの条件で貼り合わせ、10×5cmの大きさにカットした。
(実施例2~13及び比較例1~5)
基材の種類、粘着剤層の種類、剥離基材の種類を表1に記載の通りに変更し、シート抵抗が表1の「剥離前のシート抵抗」通りになるように金属付着量を変更する以外は、実施例1と同様にして電波吸収体用部材を得た。
(3)抵抗変化率の評価
剥離基材剥離による抵抗変化率を次のようにして測定した。作成した積層体をナプソン株式会社製非接触式抵抗測定器EC-80Pを用いて、繊維基材側にプローブを当てて渦電流法により、剥離前シート抵抗を測定した。その後、繊維基材および粘着層と剥離基材の端部をそれぞれ両指で掴んで基材同士の剥離を行い、剥離基材剥離前の測定と同様の方法で剥離後シート抵抗を測定した。抵抗値変化率は、剥離後シート抵抗/剥離前シート抵抗より算出した。
(4)結果
電波吸収体用部材の構成及び評価結果を表1に示す。表中、ハステロイは、組成:モリブデン16.4重量%、ニッケル55.2重量%、クロム18.9重量%、鉄5.5重量%、タングステン3.5重量%、シリカ0.5重量%)の合金である。
Figure 2022130302000002
1 金属層
2 基材
3 導電性基材
4 粘着剤層
5 剥離基材
6 金属筐体
7 粘着性電波吸収体(金属筐体内壁に配置)
8 粘着性電波吸収体(開口部に配置)
9 ICチップ
10 粘着性電波吸収体(電波ノイズの発生源を覆うようにして配置)
11 粘着性電波吸収体
12 誘電体層
13 粘着剤層
14 反射層

Claims (11)

  1. 導電性基材、粘着剤層、及び剥離基材を含み、
    導電性基材、粘着剤層、剥離基材の順に積層されており、
    導電性基材が金属層を含み、且つ
    剥離基材の剛軟度Aから導電性基材及び粘着剤層からなる積層体の剛軟度Bを減じてなる差(A-B)が60mm以下である、
    電波吸収体用部材。
  2. 前記剥離基材の剛軟度Aが80mm以下である、請求項1に記載の電波吸収体用部材。
  3. 前記剥離基材の180°ピール強度が0.01~4.5N/25mmである、請求項1又は2に記載の電波吸収体用部材。
  4. 前記導電性基材のシート抵抗が50~600Ω/□である、請求項1~3のいずれかに記載の電波吸収体用部材。
  5. 前記導電性基材が繊維基材を含む、請求項1~4のいずれかに記載の電波吸収体用部材。
  6. 前記繊維基材が不織布を含む、請求項5に記載の電波吸収体用部材。
  7. 請求項1~6のいずれかに記載の電波吸収体用部材から前記剥離基材を剥離させる工程を含む、粘着性電波吸収体の製造方法。
  8. 請求項1~6のいずれかに記載の電波吸収体用部材を、前記剥離基材を剥離させて、対象物品に貼り付ける工程を含む、電波吸収性物品の製造方法。
  9. 請求項1~6のいずれかに記載の電波吸収体用部材から前記剥離基材を剥離させてなる、粘着性電波吸収体。
  10. 請求項9に記載の粘着性電波吸収体と反射層を含む電波吸収体。
  11. 請求項9に記載の粘着性電波吸収体を含む、電波吸収性物品。
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