JP2022127191A - シリケートプレポリマー - Google Patents
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Abstract
【課題】表面硬度が高く、かつ親水性を長期間維持できる塗膜を形成することのできるシリケートプレポリマーを提供する。【解決手段】対アニオンを有するイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)とテトラエトキシシラン(B)とのシリケートプレポリマーであって、重量比(A)/(B)=0.01~0.3である、シリケートプレポリマー。【選択図】なし
Description
本発明は、シリケートプレポリマーに関する。
高い表面硬度を有する塗膜を形成するための無機バインダーとしてシリケートプレポリマーが知られている。特に、エチルシリケートやメチルシリケートオリゴマーの加水分解と縮合により形成されるシリケートプレポリマーは、形成される塗膜の表面硬度が高く、さらに親水性が良好であるため、防汚塗料等に利用されている。しかし、これらのシリケートプレポリマーで形成される塗膜は親水性を長期間維持することが難しく、経時的に親水性が低下して防汚性能も損なわれるという課題があった。
特許文献1には、イミダゾリウム基含有トリアルコキシシランを加水分解せずに基材に塗布する発明が開示されており、使用するアニオン種によって表面処理後の濡れ性を任意に調節できることが記載されている。しかし、この表面処理によっては高い表面硬度を得ることはできない。また、特許文献1では湿熱条件での耐久性も検討されていない。
特許文献2には、イミダゾリウム基含有トリアルコキシシランとテトラエトキシシランのシリケートプレポリマーにより、半導体基板とフォトレジストの間の中間膜を形成する発明が開示されており、当該中間膜はハードマスクや反射防止膜として機能することが記載されている。しかし、塗膜の親水性は検討されていない。
表面硬度が高く、かつ親水性を長期間維持できる塗膜を形成することのできるシリケートプレポリマーを提供することを目的とする。
本発明者らは、種々の成分を検討した結果、特定のイオン液体成分をシロキサン骨格に導入したシリケートプレポリマーが硬化後の塗膜の親水性を長期間維持できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、対アニオンを有するイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)とテトラエトキシシラン(B)とのシリケートプレポリマーであって、重量比(A)/(B)=0.01~0.3であるシリケートプレポリマーに関する。
対アニオンがCl-、Br-、I-、F-、NO3
-、NO2
-、BF4
-、PF6
-、CF3COO-、CF3SO3
-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、(C2F5SO2)2N-、(CN)2N-、CH3COO-、CH3SO3
-、C3H7SO3
-、およびHOOC(CH)2COO-からなる群から選択される1以上であることが好ましい。
トリアルコキシシラン(A)がトリメトキシシラン、またはトリエトキシシランであることが好ましい。
また、本発明は、前記シリケートプレポリマー、及び溶媒を含む硬化性樹脂組成物に関する。
前記硬化性樹脂組成物は親水性コーティング剤であることが好ましい。
また、本発明は、前記硬化性樹脂組成物を硬化してなる塗膜に関する。
また、本発明は、基材、及び前記塗膜を有する積層体に関する。
本発明のシリケートプレポリマーを硬化させてなる塗膜は、表面硬度が高く、かつ親水性を長期間維持できる。
<<シリケートプレポリマー>>
本発明は、対アニオンを有するイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)とテトラエトキシシラン(B)とのシリケートプレポリマーであって、重量比(A)/(B)=0.01~0.3である、シリケートプレポリマーに関する。イミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)をテトラエトキシシラン(B)に対し所定の重量比で反応させることにより、このシリケートプレポリマーを硬化させた塗膜は親水性を長期間維持できる。
本発明は、対アニオンを有するイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)とテトラエトキシシラン(B)とのシリケートプレポリマーであって、重量比(A)/(B)=0.01~0.3である、シリケートプレポリマーに関する。イミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)をテトラエトキシシラン(B)に対し所定の重量比で反応させることにより、このシリケートプレポリマーを硬化させた塗膜は親水性を長期間維持できる。
式(1)中、R1、R2は独立に、炭素数1~8のアルキル基を表し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基が挙げられる。これらの中でもメチル基、エチル基が好ましい。R2は環の2位に付加されていることが好ましい。n=0~3であるが、0または1が好ましい。
式(1)中、R3は炭素数1~12のアルキレン基、炭素数6~20のアリーレン基、を表す。
R3がアルキレン基である場合、炭素数は1~6が好ましい。アルキレン基の具体例としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基が挙げられる。
R3がアリーレン基である場合、炭素数は6~10が好ましい。アリーレン基の具体例としてはフェニレン基、ベンジレン基、ナフチレン基が挙げられる。
式(1)中、OR4で表されるアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1~4のアルコキシ基が挙げられる。これらの中でも、メトキシ基、エトキシ基が好ましい。
式(1)中、X-は、イミダゾリウム基の対アニオンであり、特に限定されないが、例えばCl-、Br-、I-、F-、NO3
-、NO2
-、BF4
-、PF6
-、CF3COO-、CF3SO3
-、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、(C2F5SO2)2N-、(CN)2N-、CH3COO-、CH3SO3
-、C3H7SO3
-、HOOC(CH)2COO-が挙げられる。これらの中でもCl-、Br-、I-、F-、CF3SO3
-、CF3COO-が好ましく、Cl-、Br-、I-がより好ましい。
対アニオンを有するイミダゾリウム基含有トリアルコキシシランは、イミダゾリウム化合物と、イミダゾリウム化合物に結合しうる反応性官能基Xを有するトリアルコキシシランとの反応により得ることができる。イミダゾリウム化合物は、下記式(4)で表される。
式(4)中、R1、R2、nは、式(1)について前述した通りである。イミダゾリウム化合物の具体例としては、1-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、1―エチルイミダゾール、1―プロピルイミダゾール、1-ブチルイミダゾール、1-ヘキシルイミダゾールなどが挙げられる。
イミダゾリウム化合物に結合しうる反応性官能基Xを有するトリアルコキシシランは、下記一般式(5):
X-R3-Si-(OR4)3(5)
で表される。式(5)中、R3、R4、Xは式(1)について前述した通りである。
X-R3-Si-(OR4)3(5)
で表される。式(5)中、R3、R4、Xは式(1)について前述した通りである。
式(5)中、Xはイミダゾリウム化合物に結合しうる反応性官能基であり、具体例としては式(1)について前述したXと同じものが挙げられるが、Cl、Br、Iが好ましい。イミダゾリウム化合物とトリアルコキシシランの反応と同時に所望の対アニオンを生成させることができない場合は、さらなる工程において公知の方法により対アニオンを交換することができる。
イミダゾリウム化合物に結合しうる反応性官能基Xを有するトリアルコキシシランとしては、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、3-クロロプロピルトリエトキシシラン、3-クロロメチルトリメトキシシラン、3-クロロメチルトリエトキシシラン、((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン、4-(クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、3―ブロモプロピルトリメトキシシラン、3-ブロモプロピルトリメトキシシラン、3―ブロモヘプチルトリメトキシシラン、3―ブロモウンデシルトリメトキシシラン、3-ヨードプロピルトリメトキシシラン、3-ヨードプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
イミダゾリウム化合物とトリアルコキシシランを、例えば無溶媒系で撹拌しながら70~120℃で10~48時間反応させることにより、イミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)を得ることができる。
対アニオンを有するイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)とテトラエトキシシラン(B)との反応は、例えば、両成分が有するアルコキシ基の加水分解による水酸基の形成、及び、形成された水酸基同士の縮合反応により行われる。これらの反応は、(A)成分と(B)成分を共存させて一段階で行うことができる。両成分中に水酸基が存在する場合には、その水酸基が直接、縮合反応に用いられる。反応時の温度条件は特に限定されないが、好ましくは20~100℃、より好ましくは40~60℃である。時間条件は特に限定されないが、好ましくは10~60時間、より好ましくは15~50時間である。
反応時の(A)成分と(B)成分の重量比(A)/(B)は、0.01~0.3であるが、0.05~0.3がより好ましく、0.1~0.3がさらに好ましい。0.01未満ではシリケートプレポリマーの硬化物である塗膜の親水性が維持されにくい傾向がある。0.3を超えるとシリケートプレポリマーが硬化不良となる傾向がある。
(A)成分と(B)成分の反応は酸性条件、または塩基性条件で行われる。酸性条件はpH2~5が好ましく、pH3~4がより好ましい。pH調整のためには塩酸、硫酸、硝酸、酢酸、リン酸、ホウ酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルフォン酸、及びp-トルエンスルホン酸等の水溶液を添加することができる。この時、反応液中の水分量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対し、5~1000質量部が好ましく、10~500質量部がより好ましい。なお、(A)成分と(B)成分の反応後の、シリケートプレポリマーの硬化は一般的に酸性条件で行われるため、別途のpH調整が不要となる点で、(A)成分と(B)成分の反応は酸性条件で行うことが好ましい。
塩基性条件はpH8~12が好ましく、pH8~10がより好ましい。pH調整のために水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム等の水溶液を添加することができる。
(A)成分と(B)成分との反応によりシリケートプレポリマーが得られるが、シリケートプレポリマー中には、未反応のアルコキシ基、アルコキシ基が加水分解した水酸基が一部残存していてもよい。
(A)成分と(B)成分との反応は、溶媒、シリケートオリゴマー、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシラン等の任意成分の存在下で行ってもよい。
溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類を挙げることができる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、シリケートプレポリマーを効率的に形成でき、得られたシリケートプレポリマーのポットライフを向上させられることから、アルコール類、エーテル類、ケトン類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類が好ましい。溶媒の配合量は、(A)成分と(B)成分の合計量100質量部に対し、50~2000質量部が好ましく、100~1000質量部がより好ましい。
シリケートオリゴマーは、アルコキシシラン単量体の縮合物である。例えば、下記式(6)により表されるアルコキシシランの単量体同士の縮合物であって、シロキサン結合(Si-O-Si)を1分子内に1個以上有するオリゴマーが挙げられる。
SiR5 4 (6)
式中、R5は、水素、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数1~12のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数6~20のアリール基である。但し、4つのR5のうち少なくとも2個は炭素数1~4のアルコキシ基又は水酸基である。
SiR5 4 (6)
式中、R5は、水素、水酸基、炭素数1~4のアルコキシ基、置換基を有しても良い炭素数1~12のアルキル基、置換基を有しても良い炭素数6~20のアリール基である。但し、4つのR5のうち少なくとも2個は炭素数1~4のアルコキシ基又は水酸基である。
式(6)により表される単量体としては、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等の反応性官能基を有するアルコキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリメトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-ヘキシルトリメトキシシラン、n-ヘキシルトリエトキシシラン、n-オクチルトリエトキシシラン、n-デシルトリメトキシシラン等のトリアルコキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、ジイソブチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシランが挙げられる。これらの中でも、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランが好ましい。
シリケートオリゴマーの構造は特に限定されず、直鎖状であっても良く、分岐状でも良い。また、シリケートオリゴマーは、式(6)により表される1種の単量体の縮合物であっても良いし、式(6)により表される2種以上の単量体の縮合物であっても良いし、式(6)により表される1種または2種以上の単量体とモノアルコキシシランの縮合物であってもよい。
シリケートオリゴマーの具体例として、メチルシリケートオリゴマー、エチルシリケートオリゴマーなどが挙げられる。
シリケートオリゴマーの重量平均分子量は特に限定されないが、200~10000が好ましく、400~5000がより好ましい。
モノアルコキシシランとしては、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、メトキシジメチル(フェニル)シラン、トリフェニルメトキシシラン、メトキシ(ジメチル)オクタデシルシラン、メトキシ(ジメチル)-n-オクチルシランが挙げられる。ジアルコキシシラン、トリアルコキシシランとしては、上述した式(6)により表される単量体が挙げられる。
(A)成分と(B)成分との反応を、シリケートオリゴマー、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシランの存在下で行う場合、シリケートオリゴマー、モノアルコキシシラン、ジアルコキシシラン、トリアルコキシシランの合計量は、テトラエトキシシラン(B)100重量部に対し0.5~10重量部が好ましく、1~5重量部がより好ましい。
(A)成分と(B)成分との反応の終了後は、必要に応じて反応溶液のpHの調整や溶媒の留去を行ってもよい。
シリケートプレポリマーの重量平均分子量は1,000~30,000が好ましく、1,000~20,000がより好ましい。1,000未満ではプレポリマーが硬化不良となる傾向があり、30,000を超えるとプレポリマーのゲル化が生じやすく安定性が低下する傾向がある。
<<硬化性樹脂組成物>>
硬化性樹脂組成物は、上記シリケートプレポリマー、及び溶媒を含む。
硬化性樹脂組成物は、上記シリケートプレポリマー、及び溶媒を含む。
溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、2-プロパノール、ブタノール等のアルコール類;テトラヒドロフラン等のエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等のグリコールエーテル類;メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、3-メトキシブチル-1-アセテート等のアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メチルアミルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類が挙げられる。これらの溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これらの中では、シリケートプレポリマーのポットライフを向上させられることから、エーテル類、ケトン類、アルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類、またはそれらと水の混合溶媒が好ましい。
硬化性樹脂組成物中、シリケートプレポリマーの含有量は0.5~50重量%が好ましく、1~20重量%がより好ましい。
硬化性樹脂組成物は、シリケートプレポリマーと溶媒に加えて、任意に他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、例えば、エポキシ樹脂やアクリレート、メラミン等の硬化性樹脂、アクリル樹脂やポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の熱可塑性樹脂、アルコキシシラン、無機微粒子、導電性高分子、炭素材料、重合開始剤、レベリング剤、界面活性剤、光増感剤、消泡剤、中和剤、酸化防止剤、離型剤、紫外線吸収剤、増粘剤等が挙げられる。
硬化性樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、フェノールノボラック型、ベンゼン環を多数有した多官能型であるテトラキス(ヒドロキシフェニル)エタン型又はトリス(ヒドロキシフェニル)メタン型、ビフェニル型、トリフェノールメタン型、ナフタレン型、オルソノボラック型、ジシクロペンタジエン型、アミノフェノール型、脂環式等のエポキシ樹脂、シリコーンエポキシ樹脂等のエポキシ樹脂;ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエーテル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、レゾルシンジグリシジルエーテル、カテコールジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、t-ブチルフェニルグリシジルエーテル、t-ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、2,5-ジ-t-ブチルヒドロキノンジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、テトラメチルビス(4-ヒドロキシフェニル)メタンジグリシジルエーテル、テトラメチルビス(4-ヒドロキシフェニル)エタンジグリシジルエーテル、テトラメチルビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパンジグリシジルエーテル、テトラメチルビス(4-ヒドロキシフェニル)エーテルジグリシジルエーテル、ジメチルジ-t-ブチルビス(4-ヒドロキシフェニル)スルフィドジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンのジグリシジルエーテル等の芳香族エポキシ化合物;3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル、3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシシクロヘキセニルメチル-3’,4’-エポキシシクロヘキセンカルボキシレート、リモネンジオキシド、ジシクロペンタジエンジオキシド等の脂環式エポキシ化合物;ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ジメチロールシクロヘキサンジグリシジルエーテル、1,4-シクロヘキサンジグリシジルエーテル、1,3-シクロヘキサンジグリシジルエーテル、1,2-シクロヘキサンジグリシジルエーテル、ジメチロールジシクロペンタジエンジグリシジルエーテル、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジルエステル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル等の脂肪族エポキシ化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、イソボルニルアクリレート等のアクリレート;メラミン等が挙げられる。
硬化性樹脂の配合量は、シリケートプレポリマー100重量部に対して1~500重量部が好ましく、5~250重量部がより好ましく、さらに好ましくは10~200重量部である。
アルコキシシランとしては、シリケートプレポリマーの合成で用いた化合物を使用することができる。
無機微粒子としては特に限定されないが、例えば、金属酸化物微粒子、窒化物、2種以上の金属元素から構成される複合酸化物、金属酸化物に異種の元素がドープされた化合物等が挙げられる。金属酸化物微粒子として、具体的には、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化アルミニウム(Al2O3)、酸化鉄(Fe2O3、FeO、Fe3O4)、酸化銅(CuO、Cu2O)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化イットリウム(Y2O3)、酸化ニオブ(Nb2O5)、酸化モリブデン(MoO3)、酸化インジウム(In2O3、In2O)、酸化スズ(SnO2)、酸化タンタル(Ta2O5)、酸化タングステン(WO3、W2O5)、酸化鉛(PbO、PbO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)、酸化セリウム(CeO2、Ce2O3)、酸化アンチモン(Sb2O5、Sb2O5)、酸化ゲルマニウム(GeO2、GeO)等が挙げられる。
導電性高分子としては特に限定されず、従来公知の導電性高分子を用いることができ、具体例としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、これらの誘導体、及び、これらとドーパントとの複合体等が挙げられる。これらの導電性高分子は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子としては、分子内にチオフェン環を少なくとも1つ含む導電性高分子が好ましい。その理由は、チオフェン環を分子内に含むことで導電性が高い分子ができやすいからである。さらに、導電性高分子はポリ(3,4-二置換チオフェン)、又は、ポリ(3,4-二置換チオフェン)とポリ陰イオンとの複合体がより好ましい。導電性や化学的安定性に極めて優れているからである。また、ポリ(3,4-二置換チオフェン)、又は、ポリ(3,4-二置換チオフェン)とポリ陰イオンとの複合体を含有する場合、低温短時間で帯電防止層を形成することができ、生産性にも優れる。
炭素材料としては、特に限定されず、例えば、カーボンナノ材料、グラフェン、フラーレン等が挙げられる。これらの炭素材料は、単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤、熱ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤等を使用できる。これらの重合開始剤は単独で使用してもよく、併用してもよい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等を挙げることができる。
熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、ジクミルパーオキサイド、ジ-t-ブチルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5-ジメチル-2,5-ビス(t-ブチルパーオキシ)ヘキシン-3、1,3-ビス(t-ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)バラレート、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシベンゾエート、アセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、3,3,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、m-トルイルパーオキサイド等を挙げることができる。
ラジカル重合開始剤の配合量は、シリケートプレポリマーと硬化性樹脂の合計量100重量部に対して、0.1~25重量部が好ましく、0.5~15重量部がより好ましく、1~10重量部がさらに好ましい。
光カチオン重合開始剤としては、例えば、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸化合物などの、放射線により酸を発生する光酸発生剤を用いることができる。オニウム塩としては、例えばトリフレートあるいはヘキサフレートとのヨードニウム塩、スルホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等が挙げられ、ハロゲン含有化合物としては、ハロアルキル基含有炭化水素化合物あるいはハロアルキル基含有複素環式化合物、例えば、フェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、メトキシフェニル-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジンなどの(トリクロロメチル)-s-トリアジン誘導体や、トリブロモネオペンチルアルコール、ヘキサブロモヘキサンなどの臭素化合物、ヘキサヨードヘキサンなどのヨウ素化合物などが挙げられる。また、ジアゾメタン化合物としては、例えばビス(トリフルオロメチルスルホニウム)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニウム)ジアゾメタンなどが挙げられる。スルホン化合物としては、例えばβ-ケトスルホン、β-スルホニルスルホン等が挙げられ、スルホン酸化合物としては、アルキル(C1-12)スルホン酸エステル、ハロアルキル(C1-12)スルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホナート等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
光カチオン重合開始剤の配合量は、シリケートプレポリマーと硬化性樹脂の合計量100重量部に対して、0.01~15重量部が好ましく、0.05~10重量部がより好ましく、0.1~5重量部がさらに好ましい。
レベリング剤としては特に限定されず、例えば、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性シロキサン、ポリエーテルエステル変性水酸基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエーテル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性アクリル基含有ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン、パーフルオロポリエステル変性ポリジメチルシロキサン等のシロキサン系化合物;パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルポリオキシエチレンエタノール等のフッ素系化合物;ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、プロピレンオキシド重合体、エチレンオキシド重合体などのポリエーテル系化合物;ヤシ油脂肪酸アミン塩、ガムロジン等のカルボン酸;ヒマシ油硫酸エステル類、リン酸エステル、アルキルエーテル硫酸塩、ソルビタン脂肪酸エステル、スルホン酸エステル、コハク酸エステル等のエステル系化合物;アルキルアリールスルホン酸アミン塩、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム等のスルホン酸塩化合物;ラウリルリン酸ナトリウム等のリン酸塩化合物;ヤシ油脂肪酸エタノールアマイド等のアミド化合物;アクリル系化合物等が挙げられる。
レベリング剤の配合量は、硬化性樹脂組成物の固形分中、0.001~5重量%が好ましく、0.01~1重量%がより好ましく、0.05~0.5重量%がさらに好ましい。
上記の硬化性樹脂組成物は、親水性コーティング剤、防汚コーティング剤等として使用することができる。
<<塗膜>>
本発明の硬化性樹脂組成物を基材に塗布した後、硬化させることにより塗膜が得られる。基材への塗布は、一般的な方法により行うことができる。硬化条件は特に限定されないが、シリケートプレポリマーの末端の水酸基の脱水縮合を生じさせるために、70~130℃で1~30分間の条件が挙げられる。硬化させるために露光が必要な場合、その条件は特に限定されないが5~2000mJ/cm2の光照射量が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物を基材に塗布した後、硬化させることにより塗膜が得られる。基材への塗布は、一般的な方法により行うことができる。硬化条件は特に限定されないが、シリケートプレポリマーの末端の水酸基の脱水縮合を生じさせるために、70~130℃で1~30分間の条件が挙げられる。硬化させるために露光が必要な場合、その条件は特に限定されないが5~2000mJ/cm2の光照射量が挙げられる。
本発明の塗膜は、上記シリケートプレポリマーの硬化物であるため、優れた硬度と耐擦傷性を有する。硬度は、鉛筆硬度が7H以上であることが好ましく、8H以上であることがより好ましい。
本発明の塗膜は、親水性を長期にわたって維持できる。親水性は、塗膜の水との接触角により評価できる。本発明の塗膜は、塗膜形成直後の水との接触角が5~40°であることが好ましい。また、塗膜を形成して長時間を経た後も、水との接触角が55°以下であることが好ましい。水との接触角は、実施例に記載の方法により測定できる。
本発明は、また、基材、及び前記塗膜を有する積層体に関する。基材の材質としては、例えば、ガラス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。基材の厚みは50~200μmが好ましい。必要に応じて、基材に事前にコロナ処理やプライマー処理を施してから、塗膜を形成してもよい。積層体は、基材と塗膜の他に、粘着層、導電層、反射防止層等を有していてもよい。
以下、実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されない。「部」又は「%」は特記ない限り、それぞれ「重量部」又は「重量%」を意味する。
(1)使用した薬品
(1-1)イミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン
IL-S1(製造例1で作製)
IL-S2(製造例2で作製)
(1-2)テトラエトキシシラン
テトラエトキシシラン(東京化成工業製、TEOS)
(1-3)シリケートオリゴマー
メチルシリケート(SiO2含有量52%)(三菱ケミカル製、MS-51)
(1-4)溶媒
イソプロピルアルコール(富士フィルム和光純薬製)
(1-5)触媒
酢酸(富士フィルム和光純薬製)
(1-1)イミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン
IL-S1(製造例1で作製)
IL-S2(製造例2で作製)
(1-2)テトラエトキシシラン
テトラエトキシシラン(東京化成工業製、TEOS)
(1-3)シリケートオリゴマー
メチルシリケート(SiO2含有量52%)(三菱ケミカル製、MS-51)
(1-4)溶媒
イソプロピルアルコール(富士フィルム和光純薬製)
(1-5)触媒
酢酸(富士フィルム和光純薬製)
(2)評価方法
(2-1)鉛筆硬度
JIS-K-5400試験法に準じて測定した。鉛筆硬度試験機を用いて750gの荷重をかけた際に塗膜に傷が付かない最高硬度を鉛筆硬度とした。結果を表1に示す。
(2-2)接触角
塗膜の形成直後に、水との接触角を測定した。また、塗膜製造後に温度85℃、相対湿度85%の条件で100時間静置した後の水との接触角を測定した。水との接触角は、塗膜上に純水を約20μL滴下し、接触角測定器(協和界面科学社製CA-DT)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(2-1)鉛筆硬度
JIS-K-5400試験法に準じて測定した。鉛筆硬度試験機を用いて750gの荷重をかけた際に塗膜に傷が付かない最高硬度を鉛筆硬度とした。結果を表1に示す。
(2-2)接触角
塗膜の形成直後に、水との接触角を測定した。また、塗膜製造後に温度85℃、相対湿度85%の条件で100時間静置した後の水との接触角を測定した。水との接触角は、塗膜上に純水を約20μL滴下し、接触角測定器(協和界面科学社製CA-DT)を用いて測定した。結果を表1に示す。
(3)イミダゾリウム基含有トリアルコキシシランの製造
(製造例1)IL-S1の製造
50mLナスフラスコに3-クロロプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業製)10.0g(0.050mol)、1-メチルイミダゾール(東京化成工業製)4.1g(0.050mol)を仕込み、窒素気流下100℃で24時間撹拌し、下記式(2)の化合物を得た。反応の終点は、ガスクロマトグラフィー分析による原料ピークの消失で確認した。
(製造例1)IL-S1の製造
50mLナスフラスコに3-クロロプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業製)10.0g(0.050mol)、1-メチルイミダゾール(東京化成工業製)4.1g(0.050mol)を仕込み、窒素気流下100℃で24時間撹拌し、下記式(2)の化合物を得た。反応の終点は、ガスクロマトグラフィー分析による原料ピークの消失で確認した。
(製造例2)IL-S2の製造
50mLナスフラスコに3-クロロプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業製)10.0g(0.050mol)、1,2-ジメチルイミダゾール(東京化成工業製)4.8g(0.050mol)を仕込み、窒素気流化100℃で24時間撹拌し、下記式(3)の化合物を得た。反応の終点は、ガスクロマトグラフィー分析による原料ピークの消失で確認した。
50mLナスフラスコに3-クロロプロピルトリメトキシシラン(東京化成工業製)10.0g(0.050mol)、1,2-ジメチルイミダゾール(東京化成工業製)4.8g(0.050mol)を仕込み、窒素気流化100℃で24時間撹拌し、下記式(3)の化合物を得た。反応の終点は、ガスクロマトグラフィー分析による原料ピークの消失で確認した。
(4)シリケートプレポリマーの製造
(実施例1~3、比較例3~4)
室温条件下、2Lセパラブルフラスコの溶媒(イソプロピルアルコール450質量部、水450質量部の混合溶媒)中に、表1に記載の質量部の、製造例1および2で得られたイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)、テトラエトキシシラン(B)を仕込み、室温で5分攪拌した。次に、触媒として0.5N酢酸水溶液を滴下してpH3に調整し、45℃に昇温してから40時間熟成させてシリケートプレポリマーを得た。比較例3では、テトラエトキシシラン(B)に代えてシリケートオリゴマーを表1に記載の質量部で使用した。
(実施例1~3、比較例3~4)
室温条件下、2Lセパラブルフラスコの溶媒(イソプロピルアルコール450質量部、水450質量部の混合溶媒)中に、表1に記載の質量部の、製造例1および2で得られたイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)、テトラエトキシシラン(B)を仕込み、室温で5分攪拌した。次に、触媒として0.5N酢酸水溶液を滴下してpH3に調整し、45℃に昇温してから40時間熟成させてシリケートプレポリマーを得た。比較例3では、テトラエトキシシラン(B)に代えてシリケートオリゴマーを表1に記載の質量部で使用した。
(比較例1)
室温条件下、2Lセパラブルフラスコの溶媒(イソプロピルアルコール450質量部、水450質量部の混合溶媒)中にテトラエトキシシラン100質量部を仕込み、室温で5分攪拌した。次に、触媒として0.5N酢酸水溶液を滴下してpH3に調整し、45℃に昇温してから15時間熟成させてシリケートプレポリマーを得た。
室温条件下、2Lセパラブルフラスコの溶媒(イソプロピルアルコール450質量部、水450質量部の混合溶媒)中にテトラエトキシシラン100質量部を仕込み、室温で5分攪拌した。次に、触媒として0.5N酢酸水溶液を滴下してpH3に調整し、45℃に昇温してから15時間熟成させてシリケートプレポリマーを得た。
(比較例2)
室温条件下、2Lセパラブルフラスコの溶媒(イソプロピルアルコール450質量部、水450質量部の混合溶媒)中にシリケートオリゴマーを100質量部仕込み、室温で5分攪拌した。次に、触媒として0.5N酢酸水溶液を滴下してpH3に調整し、45℃に昇温してから3時間熟成させてシリケートプレポリマーを得た。
室温条件下、2Lセパラブルフラスコの溶媒(イソプロピルアルコール450質量部、水450質量部の混合溶媒)中にシリケートオリゴマーを100質量部仕込み、室温で5分攪拌した。次に、触媒として0.5N酢酸水溶液を滴下してpH3に調整し、45℃に昇温してから3時間熟成させてシリケートプレポリマーを得た。
(5)塗膜の製造
前述のシリケートプレポリマーを、青板ガラス製の基板上にバーコーターにより塗布した。120℃で20分間硬化させ、膜厚0.1μmの塗膜を形成した。形成された塗膜の鉛筆硬度、接触角の評価結果を表1に示す。
前述のシリケートプレポリマーを、青板ガラス製の基板上にバーコーターにより塗布した。120℃で20分間硬化させ、膜厚0.1μmの塗膜を形成した。形成された塗膜の鉛筆硬度、接触角の評価結果を表1に示す。
比較例1~2はイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)を含まないため、塗膜の製膜直後から親水性が低かった。比較例3はイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)を含むが、シリケートバインダーとしてシリケートオリゴマーのみを使用したため、塗膜におけるイミダゾリウム基の分布が不均一となり、耐久試験後に親水性が低下した。比較例4はイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)の含有量が多いため塗膜が硬化できず、水との接触角を測定できなかった。実施例1~3では製膜直後から耐久性試験後まで、塗膜の親水性が維持された。
Claims (7)
- 対アニオンを有するイミダゾリウム基含有トリアルコキシシラン(A)とテトラエトキシシラン(B)とのシリケートプレポリマーであって、重量比(A)/(B)=0.01~0.3である、シリケートプレポリマー。
- 対アニオンがCl-、Br-、I-、F-、NO3 -、NO2 -、BF4 -、PF6 -、CF3COO-、CF3SO3 -、(CF3SO2)2N-、(CF3SO2)3C-、(C2F5SO2)2N-、(CN)2N-、CH3COO-、CH3SO3 -、C3H7SO3 -、およびHOOC(CH)2COO-からなる群から選択される1以上である、請求項1に記載のシリケートプレポリマー。
- トリアルコキシシラン(A)がトリメトキシシラン、またはトリエトキシシランである、請求項1または2に記載のシリケートプレポリマー。
- 請求項1~3のいずれか1項に記載のシリケートプレポリマー、及び溶媒を含む硬化性樹脂組成物。
- 親水性コーティング剤である、請求項4に記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項4または5に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる塗膜。
- 基材、及び請求項6に記載の塗膜を有する積層体。
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