JP2022126750A - はんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手 - Google Patents

はんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手 Download PDF

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Abstract

【課題】融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手を提供する。【解決手段】鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金を採用する。はんだ合金は、Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、Co:0.001~0.1質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する。合金組成は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たし、前記合金組成は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たす。【選択図】なし

Description

本発明は、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手に関する。本願は、2020年11月19日に、米国に仮出願された米国特許出願第63/115,611号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、電子機器には、高集積化、大容量化、高速化が要求されている。例えば、QFP(Quad Flat Package)等の半導体パッケージが用いられており、半導体チップレベルでの高集積化、高機能化が図られている。
QFPの製造では、シリコンウエハから切り出されたシリコンチップをリードフレームにダイボンディングするパッケージングプロセスが採用されている。
BGA(Ball Grid Array)のような微小電極を接合して得られるQFPでは、シリコンチップとリードフレームとがはんだ合金でダイボンディングされて、はんだ継手が形成される。
BGAのような微小電極では、はんだボールを用いて、はんだバンプが形成される。はんだボールを用いる場合には、粘着性のフラックスを微小電極に塗布し、フラックスが塗布された電極上にはんだボールを載置する。その後、リフロー炉で加熱してはんだボールが溶融し、溶融はんだが微小電極と濡れることにより、微小電極にはんだバンプが形成される。
ところで、従来、Sn-Ag-Cuはんだ合金は、広く用いられており、はんだボールの形態で使用される他、ダイボンディングにも使用されている。
このはんだ合金を用いた場合には、近年の種々の要求の中で、耐ヒートサイクル性、耐衝撃性、耐変色性を改善する必要が生じることがある。そこで、従来、広く使用されてきたSn-Ag-Cuはんだ合金に関して、これらの特性を改善するために種々の検討がなされている。
例えば、特許文献1には、Sn-Ag-Cuはんだ合金に、Ni及びGeを任意元素として含有するはんだ合金が開示されている。このはんだ合金は、Niを含有する場合には、耐ヒートサイクル性を示し、Geを含有する場合には、耐衝撃性や耐変色性を示すことが開示されている。
特許第4144415号公報
上述のように、特許文献1に開示されたはんだ合金(Sn-Ag-Cu-Ni-Geはんだ合金)は、耐衝撃性、耐変色性、及び耐ヒートサイクル性の3種の効果を同時に発揮することができる優れた合金である。
しかしながら、合金設計においては更なる改善の余地があると考えられる。
はんだ合金は、各元素に固有の添加意義が存在するものの、すべての構成元素が組み合わされた一体のものであり、各構成元素が相互に影響を及ぼすため、構成元素が全体としてバランスよく含有される必要がある。
特許文献1に記載のはんだ合金は、各構成元素の含有量の各々が個別に最適化されており、特許文献1の出願時において特許文献1に記載されている効果が得られるためには十分な合金組成であったと考えられる。
しかしながら、同様の構成元素を有するはんだ合金において、近年の要求に対応できるように別の特性を向上させたい場合、更に、各構成元素の含有量を個々に最適化した上で、構成元素を全体としてバランスよく含有する必要がある。
特許文献1に記載の発明では、BGAのような微小電極にはんだボールを載置する場合を想定した合金設計が行われている。
このため、Sn-Ag-Cu-Ni-Geはんだ合金を用いてはんだ付けを行う場合には、機械的強度の向上が要求される。
なお、本明細書において、機械的強度は、シェア強度、引張強度と記載される場合がある。
このように、近年の高集積化、大容量化、高速化した電子機器においては、BGAだけではなく、QFPで採用されているダイボンディングにも適用できるはんだ合金が求められる。
そこで、本発明は、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手を提供することを目的とする。
はんだ合金は2種以上の元素で構成されており、各々単独の効果がはんだ合金全体の特性に影響を及ぼすこともあるが、前述のように、すべての構成元素で一体のものになるため各構成元素が相互に関係している。
本発明者らは、特許文献1に記載のはんだ合金と同じ構成元素であってもBGAに限らずQFPにも対応可能なように、シェア強度が向上した合金設計を行うことに着目した。
従来、Pbが使用された基板が廃棄されると、酸性雨により基板から溶出したPbが地下水に流れ込むことがある。そして、地下水から家畜や人に蓄積されることにより人体に影響することがある。このため、RoHS指令によりPbは規制対象物質に指定されている。更に、近年、Pbだけでなく、Sn系はんだ合金のヒートサイクル性を向上させるSbについても、環境及び健康上の理由から使用を避ける要求が高まりつつあるため、鉛フリーかつアンチモンフリーで所望の特性が得られるように検討した。
BGA(Ball Grid Array)のような微小電極を接合して得られるQFPでは、シリコンチップとリードフレームとがはんだ合金でダイボンディングされてはんだ継手が形成される。
シリコンチップには、はんだとの濡れ性を改善して密着強度を向上させるため、例えば、最外層にNi層を備えるバックメタルが形成されている。
最外層のNi層は、溶融はんだと接すると、Ni層が溶融はんだ中に溶融してNi食われが発生する。ここで、バックメタルには、通常、Niがシリコンチップへ拡散することを抑制するため、Ti等のバリア層が形成されている。Ni食われが進行してTi層が露出すると、はんだ合金のTiへの濡れ性が非常に悪いため、バックメタルが溶融はんだを濡れはじいてしまう。また、Ni層がわずかに残存したとしても、Ni原子が溶融はんだ中へ拡散する一方で、TiがNi中にほとんど拡散しない。このため、バリア層であるTi層とNi層との界面に原子レベルでボイドが増加してしまい、わずかに残ったNi層とTi層との界面の密着強度は極端に低下する。この結果、ダイボンディング後の接合部は耐衝撃性や耐ヒートサイクル性に劣ることがある。このように、バックメタルのNi層を残存させることはダイボンディングでは極めて重要である。
本発明において、発明者らは、各構成元素の添加意義を再検討した上で、各構成元素のバランスを考慮して詳細に組成探索を行った。
本発明において、発明者らは、Ag、Cu、Bi及びNi含有量が適正であると、はんだ合金の液相線温度と固相線温度との差(以下、これをΔTという場合がある)が適度な範囲になることを知見した。
本発明において、発明者らは、はんだ継手の接合強度を向上させるため、接合界面に形成される金属間化合物の微細化への検討も行った。
接合界面にはCuとSnの化合物が形成されるため、CuとSnの含有比が所定の範囲であることが必要である。
また、CuとSnの化合物において、Cuの一部がNiに置換されることにより化合物の微細化が実現されることに着目した。
更に、CuとNiの含有量によりはんだ合金の液相線温度は大きく変動することから、ΔTが大きくなり過ぎないようにして溶融時の粘性を制御し、Sn化合物の成長を抑制するために検討を行った。
この結果、Sn-Ag-Cu-Bi-Ni-Geはんだ合金において、Sn、Cu及びNi含有量がバランスよく含有されることにより、ΔTが制御されて接合界面に形成される金属間化合物が微細になり、シェア強度、信頼性が向上する知見も得られた。
更に、本発明において、発明者らは、Agの含有量を所定の範囲に調整することにより、粗大なAgSnの析出を抑制し、かつ、結晶粒界において微細なAgSnの析出させることができ、これにより、引張強度、信頼性を向上させることができる知見を得た。
更に、本発明において、発明者らは、Biの含有量を所定の範囲に調整することにより、はんだボールに最適な機械的強度を与えることができるとの知見を得た。
また、発明者らは、Biが過剰に添加されると、液相線温度が低下してΔTが大きくなり、偏析により機械的強度等が低下する知見を得た。
更に、本発明者らは、Coの含有量を所定の範囲に調整することにより、ΔTが低減され、引張強度が50MPa以上であり、伸び、ポアソン比、線膨張係数を向上させることができる知見を得た。
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.1~1.0質量%、Bi:0.1~9.0質量%、Ni:0.005~0.3質量%、Ge:0.001~0.015質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[2]前記合金組成は、Ag:1.0~3.5質量%である、[1]に記載のはんだ合金。
[3]前記合金組成は、Ag:2.0~3.5質量%である、[1]又は[2]に記載のはんだ合金。
[4]前記合金組成は、Ag:3.0~3.5質量%である、[1]~[3]のいずれかに記載のはんだ合金。
[5]前記合金組成は、Cu:0.5~0.85質量%である、[1]~[4]のいずれかに記載のはんだ合金。
[6]前記合金組成は、Cu:0.7~0.8質量%である、[1]~[5]のいずれかに記載のはんだ合金。
[7]前記合金組成は、Cu:0.75~0.8質量%である、[1]~[6]のいずれかに記載のはんだ合金。
[8]前記合金組成は、Bi:0.2~5.0質量%である、[1]~[7]のいずれかに記載のはんだ合金。
[9]前記合金組成は、Bi:0.5~4.0質量%である、[1]~[8]のいずれかに記載のはんだ合金。
[10]前記合金組成は、Bi:1.0~3.0質量%である、[1]~[9]のいずれかに記載のはんだ合金。
[11]前記合金組成は、Ni:0.02~0.09質量%である、[1]~[10]のいずれかに記載のはんだ合金。
[12]前記合金組成は、Ni:0.03~0.08質量%である、[1]~[11]のいずれかに記載のはんだ合金。
[13]前記合金組成は、Ni:0.04~0.06質量%である、[1]~[12]のいずれかに記載のはんだ合金。
[14]前記合金組成は、Ge:0.002~0.012質量%である、[1]~[13]のいずれかに記載のはんだ合金。
[15]前記合金組成は、Ge:0.003~0.010質量%である、[1]~[14]のいずれかに記載のはんだ合金。
[16]前記合金組成は、Ge:0.003~0.009質量%である、[1]~[15]のいずれかに記載のはんだ合金。
[17]更に、前記合金組成は、0.3≦Ag/Bi≦3.0を満たす、[1]~[16]のいずれかに記載のはんだ合金。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[18]更に、前記合金組成は、Co:0.001~0.1質量%を含有する、[1]~[16]のいずれかに記載のはんだ合金。
[19]前記合金組成は、Co:0.002~0.015質量%である、[18]に記載のはんだ合金。
[20]前記合金組成は、Co:0.004~0.012質量%である、[18]又は[19]に記載のはんだ合金。
[21]前記合金組成は、Co:0.006~0.009質量%である、[18]~[20]のいずれかに記載のはんだ合金。
[22]更に、前記合金組成は、1<Ag/Biを満たす、[1]~[17]のいずれかに記載のはんだ合金。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[23]Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:1.0~2.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[24]Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:1.5質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[25]Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:1.8質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%である、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[26]更に、前記合金組成は、1.2≦Ag/Bi≦3.0を満たす、[1]~[17]、[22]~[25]のいずれかに記載のはんだ合金。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[27]更に、前記合金組成は、Ag/Bi≦1を満たす、[1]~[17]のいずれかに記載のはんだ合金。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[28]Ag:2.0質量%、Cu:0.8質量%、Bi:3.0~5.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[29]Ag:1.0~3.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:4.0質量%、Ni:0.04~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[30]更に、前記合金組成は、0.3≦Ag/Bi≦0.7を満たす、[1]~[17]、[27]~[29]のいずれかに記載のはんだ合金。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[31]Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:0.3~0.7質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、Co:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[32]Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:0.5質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%、Co:0.004~0.012質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[33]前記合金組成は、Bi:0.3~1.0質量%であり、
更に、5≦Ag/Bi≦15を満たす、[18]~[21]、[31]~[32]のいずれかに記載のはんだ合金。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[34]Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
[35]更に、前記合金組成は、Co:0.001~0.1質量%を含有する、[34]に記載のはんだ合金。
[36]更に、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たす、[34]又は[35]に記載のはんだ合金。
Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[37]更に、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たす、[34]~[36]のいずれかに記載のはんだ合金。
Cu、Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[38][1]~[37]のいずれかに記載のはんだ合金からなるはんだボール。
[39]平均粒径が1~1000μmである、[38]に記載のはんだボール。
[40]真球度が0.95以上である、[38]又は[39]に記載のはんだボール。
[41]真球度が0.99以上である、[38]~[40]のいずれかに記載のはんだボール。
[42][38]~[41]のいずれかに記載のはんだボールを用いて形成されたBall Grid Array。
[43][1]~[37]のいずれかに記載のはんだ合金を用いてなるはんだ継手。
[D1]Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、Co:0.001~0.1質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、前記合金組成は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たし、前記合金組成は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たす、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
Cu、Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[D2]Ag:3.0~3.5質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.3~0.7質量%、Ni:0.040~0.060質量%、Ge:0.007~0.010質量%、Co:0.005~0.010質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、前記合金組成は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たし、前記合金組成は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たす、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
Cu、Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[D3]Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、Co:0.001~0.1質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、前記合金組成は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たし、
前記合金組成は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たし、
前記合金組成は、5≦Ag/Bi≦15を満たす、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
Cu、Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
[D4][D1]~[D3]のいずれかに記載のはんだ合金からなるはんだボール。
[D5]平均粒径が1~1000μmである、[D4]に記載のはんだボール。
[D6]真球度が0.95以上である、[D4]又は[D5]に記載のはんだボール。
[D7]真球度が0.99以上である、[D4]~[D6]のいずれかに記載のはんだボール。
[D8][D4]~[D7]のいずれかに記載のはんだボールを用いて形成されたBall Grid Array。
[D9][D1]~[D3]のいずれかに記載のはんだ合金を用いてなるはんだ継手。
本発明によれば、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手を提供することができる。
本発明の実施形態にかかるはんだ合金は、融点が230℃近傍である。
本発明の実施形態にかかるはんだ合金において、主成分は、融点が232℃のSnである。本発明の実施形態にかかるはんだ合金は、Sn以外の元素を含有しても、融点が230℃近傍である。
ここで、はんだ合金の「融点」とは、そのはんだ合金の、固相線温度以上液相線温度以下の温度を意味する。
「230℃近傍」とは、170~230℃を意味する。
「はんだ合金の融点が230℃近傍である」とは、「はんだ合金の固相線温度が170~225℃であり、かつ、はんだ合金の液相線温度が210~230℃である」ことを意味する。
1.はんだ合金の組成
本実施形態のはんだ合金は、Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.1~1.0質量%、Bi:0.1~9.0質量%、Ni:0.005~0.3質量%、Ge:0.001~0.015質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーである。
(1)Ag:1.0~4.0質量%
Agは結晶粒界で微細なAgSnを析出させることによりはんだ合金の強度を向上させる元素である。
Agの含有量は、2.0質量%以上であることがより好ましく、3.0質量%以上であることが更に好ましい。
Agの含有量は、3.5質量%以下であることが好ましい。
Agの含有量は、1.0~4.0質量%であり、1.0~3.5質量%であることが好ましく、2.0~3.5質量%であることがより好ましく、3.0~3.5質量%であることが更に好ましい。
Agの含有量が前記下限値以上であることにより、微細なAgSnを十分に析出させることができる。
Agの含有量が上記上限値以下であることにより、粗大なAgSnの析出量を低減させることができる。
あるいは、他の側面として、Agの含有量が前記下限値以上であることにより、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
Agの含有量が前記上限値以下であることにより、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
更に、Agの含有量が3.5質量%以下であることにより、粗大なAgSnの析出量を低減させる効果をより高めることができる。
(2)Cu:0.1~1.0質量%
Cuは、Cu食われを抑制するとともにCuSnの析出量を向上できる元素である。
Cuの含有量は、0.5質量%以上であることが好ましく、0.7質量%以上であることがより好ましく、0.75質量%以上であることが更に好ましい。
Cuの含有量は、0.85質量%以下であることが好ましく、0.8質量%以下であることがより好ましい。
Cuの含有量は、0.1~1.0質量%であり、0.5~0.85質量%であることが好ましく、0.7~0.8質量%であることがより好ましく、0.75~0.8質量%であることが更に好ましい。
Cuの含有量が前記下限値以上であることにより、Cu食われを抑制するとともにCuSnを十分に析出させることができ、脆いSnNi化合物の析出量を低減することができる。
Cuの含有量が前記上限値以下であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。
あるいは、他の側面として、更に、Cuの含有量が0.7質量%以上であることにより、接合界面における金属間化合物層の厚さを薄くすることができる。
Cuの含有量が前記上限値以下であることにより、接合界面における金属間化合物層の厚さを薄くすることができる。
Cuの含有量が0.7質量%以上であることにより、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
Cuの含有量が前記上限値以下であることにより、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
Cuの含有量が前記上限値以下であることにより、濡れ性を向上することができる。
Cuの含有量は、0.7~1.0質量%であることが好ましく、0.7~0.85質量%であることがより好ましく、0.75~0.8質量%であることが更に好ましい。
(3)Bi:0.1~9.0質量%
Biの含有量は、0.2質量%以上であることが好ましく、0.5質量%以上であることがより好ましく、1.0質量%以上であることが更に好ましい。
Biの含有量は、5.0質量%以下であることが好ましく、4.0質量%以下であることがより好ましく、3.0質量%以下であることが更に好ましい。
Biの含有量は、0.1~9.0質量%であり、0.2~5.0質量%であることが好ましく、0.5~4.0質量%であることがより好ましく、1.0~3.0質量%であることが更に好ましい。
Biの含有量が前記下限値以上であることにより、BGAとして用いられるはんだボールの形態に最適な機械的強度を得ることができ、耐クリープ性や濡れ性も改善できる。更に、Biは、Snに固溶するため(Cu、Ni)Snの結晶構造を歪ませ、Cu食われを抑制するとともにCuSnを十分に析出させることができ、脆いSnNi化合物の析出量を低減することができる。
Biの含有量が前記上限値以下であることにより、固相線温度の過度な低下を抑制してΔTを狭くすることができる。これにより、接合界面におけるBiの偏析が抑制され、機械的強度等の低下を抑制することができる。
あるいは、他の側面として、Biの含有量が前記下限値以上であることにより、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
更に、Biの含有量が7.0質量%以下であることにより、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
Biの含有量が前記下限値以上であることにより、濡れ性を向上することができる。
Biの含有量は、0.1~7.0質量%であることが好ましく、0.2~5質量%であることがより好ましく、0.5~4質量%であることが更に好ましい。
(4)Ni:0.005~0.3質量%
Niの含有量は、0.02質量%以上であることが好ましく、0.03質量%以上であることがより好ましく、0.04質量%以上であることが更に好ましい。
Niの含有量は、0.09質量%以下であることが好ましく、0.08質量%以下であることがより好ましく、0.06質量%以下であることが更に好ましい。
Niの含有量は、0.005~0.3質量%であり、0.02~0.09質量%であることが好ましく、0.03~0.08質量%であることがより好ましく、0.04~0.06質量%であることが更に好ましい。
Niの含有量が前記下限値以上であることにより、Cuと同様にはんだ合金の液相線温度を制御するとともにNi食われを抑制することができる。
Niの含有量が前記上限値以下であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。
あるいは、他の側面として、更に、Niの含有量が0.04質量%以上であることにより、接合界面における金属間化合物層の厚さを薄くすることができる。また、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
更に、Niの含有量が0.095質量%以下であることにより、接合界面における金属間化合物層の厚さを薄くすることができる。また、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
Niの含有量は、0.04~0.095質量%であることが好ましく、0.04~0.08質量%であることがより好ましく、0.05~0.07質量%であることが更に好ましい。
(5)Ge:0.001~0.015質量%
Geの含有量は、0.002質量%以上であることが好ましく、0.003質量%以上であることがより好ましい。
Geの含有量は、0.012質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以下であることがより好ましく、0.009質量%以下であることが更に好ましい。
Geの含有量は、0.001~0.015質量%であり、0.002~0.012質量%であることが好ましく、0.003~0.01質量%であることがより好ましく、0.003~0.009質量%であることが更に好ましい。
Geの含有量が前記下限値以上であることにより、酸化したSnの生成が抑制され、(Cu、Ni)Snの化合物の結晶構造を歪ませて、化合物中でのNiの移動を抑制し、はんだ合金へのNiの移動が阻害されるため、Ni食われを抑制することができる。
Geの含有量が前記上限値以下であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。
あるいは、他の側面として、更に、Geの含有量が0.007質量%以上であることにより、合金の変色を抑制することができる。
Geの含有量が上記上限値以下であることにより、濡れ性を向上することができる。また、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
Geの含有量は、0.007~0.015質量%であることが好ましく、0.007~0.012質量%であることがより好ましく、0.007~0.009質量%であることが更に好ましい。
(6)Co:0.001~0.1質量%
本実施形態のはんだ合金は、Coを含有してもよい。
Coの含有量は、0.001質量%以上であることが好ましく、0.002質量%以上であることがより好ましく、0.004質量%以上であることが更に好ましく、0.006質量%以上であることが特に好ましい。
Coの含有量は、0.1質量%以下であることが好ましく、0.015質量%以下であることがより好ましく、0.012質量%以下であることが更に好ましく、0.009質量%以下であることが特に好ましい。
Coの含有量は、0.001~0.1質量%であることが好ましく、0.002~0.015質量%であることがより好ましく、0.004~0.012質量%であることが更に好ましく、0.006~0.009質量%であることが特に好ましい。
Coの含有量が前記範囲内であることにより、引張強度を向上させ、伸び、ポアソン比、線膨張係数を向上させることができる。
(7)残部:Sn
本実施形態のはんだ合金の残部はSnである。前述の元素の他に不可避的不純物を含有してもよい。不可避的不純物を含有する場合であっても、前述の効果に影響することはない。不可避的不純物の具体例としては、AsやCdが挙げられる。また、本発明は鉛フリーかつアンチモンフリーではあるが、不可避的不純物としてのPbやSbの含有を除外するものではない。
(8)Ag/Bi
Ag/Biで表される比において、Ag及びBiは、各々合金組成での含有量(質量%)を表す。
本実施形態のはんだ合金がCoを含まない場合、本実施形態のはんだ合金は、0.3≦Ag/Bi≦3.0を満たすことが好ましい。Ag/Biが上記範囲内であることにより、引張強度を向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金がCoを含まない場合、Ag/Bi≦1であってもよい。この場合、0.3≦Ag/Bi≦0.7であることにより、引張強度を更に向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金がCoを含まない場合、1<Ag/Biであってもよい。この場合、1.2≦Ag/Bi≦3.0であることにより、ΔTを低減させると共に、引張強度を向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金がCoを含む場合、5≦Ag/Bi≦15を満たすことが好ましい。Ag/Biが上記範囲内であることにより、ΔTが低減され、引張強度が50MPa以上であり、伸び、ポアソン比、線膨張係数を向上させることができる。
(9)液相線温度と固相線温度との差(ΔT)
本実施形態のはんだ合金は、ΔTが所定の範囲内であれば固液共存領域が狭くなり、溶融はんだの粘度上昇を抑え、接合界面におけるBiの偏析を抑制して機械的強度の低下を抑制できる点で好ましい。
本実施形態のはんだ合金の固相線温度は、170~225℃であり、172~223℃ることが好ましく、174~221℃であることがより好ましく、176~219℃であることが更に好ましい。
本実施形態のはんだ合金の液相線温度は、210~230℃であり、212~230℃であることが好ましく、212~228℃であることがより好ましく、214~226℃であることが更に好ましい。
ΔTは、50℃以下であることが好ましく、45℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましく、30℃以下であることが特に好ましく、15℃以下であることが最も好ましい。ΔTの下限値は特に限定されないが、例えば、1℃であってもよい。
(10)Ni/(Ag+Bi)
ここでの比において、Ni、Ag及びBiは各々合金組成での含有量(質量%)を表す。
Ni/(Ag+Bi)は、Niを、Ag及びBiの合計で除したものである。
本実施形態のはんだ合金は、Ni/(Ag+Bi)が、0.007超であることが好ましい。0.007<Ni/(Ag+Bi)であることにより、金属間化合物の粗大化を抑制するとともに、固相線温度の過度な低下を抑制することができる。
本実施形態のはんだ合金は、Ni/(Ag+Bi)が、0.017未満であることが好ましい。Ni/(Ag+Bi)<0.017であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。これにより、濡れ性を十分なものとすることができる。
本実施形態のはんだ合金は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たすことが好ましい。
(11)(Cu/Ni)×(Ag+Bi)
ここでの比において、Cu、Ni、Ag及びBiは各々合金組成での含有量(質量%)を表す。
(Cu/Ni)×(Ag+Bi)は、CuをNiで除した値に対して、Ag及びBiの合計を乗じたものである。
本実施形態のはんだ合金は、(Cu/Ni)×(Ag+Bi)が、46超であることが好ましい。46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。これにより、濡れ性を十分なものとすることができる。
本実施形態のはんだ合金は、(Cu/Ni)×(Ag+Bi)が、120未満であることが好ましい。(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120であることにより、金属間化合物の粗大化を抑制するとともに、固相線温度の過度な低下を抑制することができる。
本実施形態のはんだ合金は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たすことが好ましい。本実施形態のはんだ合金は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<110を満たす組成であってもよいし、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<100を満たす組成であってもよい。
以上説明した実施形態のはんだ合金においては、Ag、Cu、Bi、Ni、Ge及びSnからなる特定の合金組成を有することにより、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金を提供することができる。
また、以上説明した実施形態のはんだ合金は、Ag、Biの含有量を所定の範囲内にすることにより、ΔTを低減することができる。
以上説明したはんだ合金がCoを含有する実施形態の場合、Coの含有量を所定の範囲に調整することにより、ΔTが低減され、はんだ合金の伸び、ポアソン比、線膨張係数を向上させることができる。
本実施形態のはんだ合金としては、例えば、以下の第1~第5実施形態のものが挙げられる。
<第1実施形態>
第1施形態のはんだ合金は、Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.1~1.0質量%、Bi:0.1~9.0質量%、Ni:0.005~0.3質量%、Ge:0.001~0.015質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であり、かつ、1<Ag/Biである。
Ag、Cu、Bi、Ni、Geの含有量は、それぞれ、上記したものであってもよい。
ここでの比において、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:1.0~2.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:1.5質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:1.8質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:1.5~3.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.003質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:2.0質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.002~0.004質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:2.5質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.002~0.004質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、1.2≦Ag/Bi≦3.0を満たすことが好ましく、1.3≦Ag/Bi≦1.9を満たすことがより好ましい。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
Ag/Biが上記範囲内であることにより、ΔTを低減させると共に、引張強度を向上させることができる。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:1.5質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:1.8質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:2.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.003質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:2.5質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.003質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金においては、Ag、Cu、Bi、Ni、Ge及びSnからなる特定の合金組成を有することにより、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金を提供することができる。
第1実施形態のはんだ合金は、BGAだけではなく、ダイボンディングにも適用することができる。
第1実施形態のはんだ合金は、1<Ag/Biである。
第1実施形態の実施形態のはんだ合金は、Ag、Biの含有量を所定の範囲内にすることにより、ΔTを低減することができる。
第1実施形態のはんだ合金は、固相線温度が、208~223℃であることが好ましく、210~221℃であることがより好ましく、212~219℃であることが更に好ましい。
第1実施形態のはんだ合金は、液相線温度が、213~227℃であることが好ましく、215~225℃であることがより好ましく、217~223℃であることが更に好ましい。
第1実施形態のはんだ合金は、ΔTが、10℃以下であることが好ましく、8℃以下であることがより好ましく、7℃以下であることが更に好ましい。ΔTの下限値は特に限定されないが、例えば、1℃であってもよい。
第1実施形態のはんだ合金は、1.2≦Ag/Bi≦3.0であることが好ましく、1.3≦Ag/Bi≦1.9であることがより好ましい。第1実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
あるいは、他の側面として、第1実施形態のはんだ合金は、1.0≦Ag/Bi≦50.0であることが好ましく、1.0≦Ag/Bi≦3.0であることがより好ましく、1.5≦Ag/Bi≦3.0であることが更に好ましい。第1実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
あるいは、他の側面として、第1実施形態のはんだ合金は、10.0≦Ag/Bi≦50.0であることが好ましく、20.0≦Ag/Bi≦40.0であることがより好ましい。第1実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
<第2実施形態>
第2施形態のはんだ合金は、Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.1~1.0質量%、Bi:0.1~9.0質量%、Ni:0.005~0.3質量%、Ge:0.001~0.015質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であり、Ag/Bi≦1を満たすものである。
Ag、Cu、Bi、Ni、Geの含有量は、それぞれ、上記したものであってもよい。
ここでの比において、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
第2実施形態のはんだ合金は、Ag:2.0質量%、Cu:0.8質量%、Bi:3.0~5.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第2実施形態のはんだ合金は、Ag:1.0~3.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:4.0質量%、Ni:0.04~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第2実施形態のはんだ合金は、0.3≦Ag/Bi≦0.7を満たすことが好ましい。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
Ag/Biが上記範囲内であることにより、引張強度を更に向上させることができる。
第2実施形態のはんだ合金は、Ag:2.0質量%、Cu:0.8質量%、Bi:4.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であることが好ましい。
第2実施形態のはんだ合金においては、Ag、Cu、Bi、Ni、Ge及びSnからなる特定の合金組成を有することにより、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金を提供することができる。
第2実施形態のはんだ合金は、BGAだけではなく、ダイボンディングにも適用することができる。
第2実施形態のはんだ合金は、Ag/Bi≦1である。
第2実施形態の実施形態のはんだ合金は、Ag、Biの含有量を所定の範囲内にすることにより、ΔTを低減することができる。
第2実施形態のはんだ合金は、固相線温度が、175~220℃であることが好ましく、175~218℃であることがより好ましく、176~216℃であることが更に好ましい。
第2実施形態のはんだ合金は、液相線温度が、210~230℃であり、211~229℃であることが好ましく、213~227℃であることがより好ましい。
第2実施形態のはんだ合金は、ΔTが、50℃以下であることが好ましく、45℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。ΔTの下限値は特に限定されないが、例えば、1℃であってもよい。
第2実施形態のはんだ合金は、0.3≦Ag/Bi≦0.7であることが好ましい。第2実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
あるいは、他の側面として、第2実施形態のはんだ合金は、0.1≦Ag/Bi≦0.8であることが好ましく、0.15≦Ag/Bi≦0.7であることがより好ましく、0.2≦Ag/Bi≦0.6であることが更に好ましい。第2実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
第1実施形態のはんだ合金は、第2実施形態のはんだ合金よりも、固相線温度の低下を抑制することができる。
第1実施形態のはんだ合金は、第2実施形態のはんだ合金よりも、ΔTを低減することができる。
第2実施形態のはんだ合金は、第1実施形態のはんだ合金よりも、引張強度を向上することができる。
<第3実施形態>
第3実施形態のはんだ合金は、Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.1~1.0質量%、Bi:0.1~9.0質量%、Ni:0.005~0.3質量%、Ge:0.001~0.015質量%、Co:0.001~0.1質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金である。
Ag、Cu、Bi、Ni、Ge、Coの含有量は、それぞれ、上記したものであってもよい。
第3実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:0.3~0.7質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、Co:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第3実施形態のはんだ合金は、Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~0.9質量%、Bi:0.5質量%、Ni:0.03~0.08質量%、Ge:0.006~0.009質量%、Co:0.004~0.012質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第3実施形態のはんだ合金は、Bi:0.3~1.0質量%であり、更に、5≦Ag/Bi≦15を満たすことが好ましい。
Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
Ag/Biが上記範囲内であり、Coの含有量を所定の範囲に調整することにより、ΔTが低減され、引張強度、伸び、ポアソン比、線膨張係数を向上させることができる。
第3実施形態のはんだ合金は、Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:0.5質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、Co:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であることが好ましい。
第3実施形態のはんだ合金は、Coの含有量が、0.001~0.1質量%である。
第3実施形態のはんだ合金においては、Ag、Cu、Bi、Ni、Ge、Co及びSnからなる特定の合金組成を有することにより、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金を提供することができる。
第3実施形態のはんだ合金は、BGAだけではなく、ダイボンディングにも適用することができる。
第3実施形態のはんだ合金は、固相線温度が、212~222℃であることが好ましく、214~220℃であることがより好ましく、216~218℃であることが更に好ましい。
第3実施形態のはんだ合金は、液相線温度が、216~226℃であることが好ましく、218~224℃であることがより好ましく、220~222℃であることが更に好ましい。
第3実施形態のはんだ合金は、ΔTが、10℃以下であることが好ましく、8℃以下であることがより好ましく、7℃以下であることが更に好ましい。ΔTの下限値は特に限定されないが、例えば、1℃であってもよい。
第3実施形態のはんだ合金は、5≦Ag/Bi≦15であることが好ましい。第3実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。また、第3実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、伸び、ポアソン比、線膨張係数を向上させることができる。
あるいは、他の側面として、第3実施形態のはんだ合金は、0.2≦Ag/Bi≦15.0であることが好ましく、0.3≦Ag/Bi≦3.0であることがより好ましく、0.5≦Ag/Bi≦2.0であることが更に好ましく、0.6≦Ag/Bi≦1.0であることが特に好ましい。第3実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
第3実施形態のはんだ合金は、固相線温度が、200~223℃であることが好ましく、202~221℃であることがより好ましく、204~219℃であることが更に好ましい。
第3実施形態のはんだ合金は、液相線温度が、210~227℃であることが好ましく、211~225℃であることがより好ましく、213~223℃であることがより好ましい。
第3実施形態のはんだ合金は、ΔTが、30℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましく、15℃以下であることが更に好ましい。ΔTの下限値は特に限定されないが、例えば、1℃であってもよい。
<第4実施形態>
第4実施形態のはんだ合金は、Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金である。
Ag、Cu、Bi、Ni、Geの含有量は、それぞれ、上記したものであってもよい。
第4実施形態のはんだ合金は、Ag:3.0~3.5質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:1.0~2.0質量%、Ni:0.040~0.060質量%、Ge:0.007~0.010質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
あるいは、第4実施形態のはんだ合金は、Ag:1.5~2.5質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:3.0~5.0質量%、Ni:0.060~0.080質量%、Ge:0.007~0.010質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第4実施形態のはんだ合金においては、Ag、Cu、Bi、Ni、Ge及びSnからなる特定の合金組成を有することにより、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金を提供することができる。
第4実施形態のはんだ合金は、BGAだけではなく、ダイボンディングにも適用することができる。
第4実施形態のはんだ合金は、0.3≦Ag/Bi≦3.0であることが好ましく、1.2≦Ag/Bi≦3.0であることがより好ましく、1.3≦Ag/Bi≦1.9であることが更に好ましい。
第4実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
あるいは、第4実施形態のはんだ合金は、0.3≦Ag/Bi≦3.0であることが好ましく、0.3≦Ag/Bi≦0.7であることがより好ましい。
第4実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
第4実施形態のはんだ合金は、更に、次に述べるような効果を奏する。
第4実施形態のはんだ合金は、接合界面における金属間化合物層の厚さを薄くすることができる。
また、第4実施形態のはんだ合金は、微細なAgSnを十分に析出させることができ、かつ、粗大なAgSnの析出量を低減させることができる。
また、第4実施形態のはんだ合金は、合金の変色を抑制することができる。
また、第4実施形態のはんだ合金は、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
第4実施形態のはんだ合金は、Ni/(Ag+Bi)が、0.007超であることが好ましい。0.007<Ni/(Ag+Bi)であることにより、金属間化合物の粗大化を抑制するとともに、固相線温度の過度な低下を抑制することができる。
第4実施形態のはんだ合金は、Ni/(Ag+Bi)が、0.017未満であることが好ましい。Ni/(Ag+Bi)<0.017であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。これにより、濡れ性を十分なものとすることができる。
第4実施形態のはんだ合金は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たすことが好ましい。
Ni、Ag及びBiは各々合金組成での含有量(質量%)を表す。
第4実施形態のはんだ合金は、(Cu/Ni)×(Ag+Bi)が、46超であることが好ましい。46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。これにより、濡れ性を十分なものとすることができる。
第4実施形態のはんだ合金は、(Cu/Ni)×(Ag+Bi)が、120未満であることが好ましい。(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120であることにより、金属間化合物の粗大化を抑制するとともに、固相線温度の過度な低下を抑制することができる。
第4実施形態のはんだ合金は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たすことが好ましい。第4実施形態のはんだ合金は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<110を満たす組成であってもよいし、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<100を満たす組成であってもよい。
第4実施形態のはんだ合金は、1.0≦Ag/Bi≦50.0であることが好ましく、1.0≦Ag/Bi≦3.0であることがより好ましく、1.5≦Ag/Bi≦3.0であることが更に好ましい。第4実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
あるいは、他の側面として、第4実施形態のはんだ合金は、10.0≦Ag/Bi≦50.0であることが好ましく、20.0≦Ag/Bi≦40.0であることがより好ましい。第4実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
あるいは、第4実施形態のはんだ合金は、0.1≦Ag/Bi≦0.8であることが好ましく、0.15≦Ag/Bi≦0.7であることがより好ましく、0.2≦Ag/Bi≦0.6であることが更に好ましい。第4実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
第4実施形態のはんだ合金は、固相線温度が、170~225℃であり、172~223℃ることが好ましく、174~221℃であることがより好ましく、176~219℃であることが更に好ましい。
第4実施形態のはんだ合金は、液相線温度が、210~230℃であり、212~230℃であることが好ましく、212~228℃であることがより好ましく、214~226℃であることが更に好ましい。
ΔTは、50℃以下であることが好ましく、45℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることが更に好ましい。ΔTの下限値は特に限定されないが、例えば、1℃であってもよい。
<第5実施形態>
第5実施形態のはんだ合金は、Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、Co:0.001~0.1質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金である。
Ag、Cu、Bi、Ni、Ge、Coの含有量は、それぞれ、上記したものであってもよい。
第5実施形態のはんだ合金は、Ag:3.0~3.5質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.3~0.7質量%、Ni:0.040~0.060質量%、Ge:0.007~0.010質量%、Co:0.005~0.010質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金であってもよい。
第5実施形態のはんだ合金においては、Ag、Cu、Bi、Ni、Ge、Co及びSnからなる特定の合金組成を有することにより、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金を提供することができる。
第5実施形態のはんだ合金は、BGAだけではなく、ダイボンディングにも適用することができる。
第5実施形態のはんだ合金は、伸び、ポアソン比、及び線膨張係数を向上させることができる。
第5実施形態のはんだ合金は、5≦Ag/Bi≦15であることが好ましい。
第5実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。また、伸び、ポアソン比、及び線膨張係数を向上させやすくなる。
第5実施形態のはんだ合金は、更に、次に述べるような効果を奏する。
第5実施形態のはんだ合金は、接合界面における金属間化合物層の厚さを薄くすることができる。
また、第5実施形態のはんだ合金は、微細なAgSnを十分に析出させることができ、かつ、粗大なAgSnの析出量を低減させることができる。
また、第5実施形態のはんだ合金は、合金の変色を抑制することができる。
また、第5実施形態のはんだ合金は、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
第5実施形態のはんだ合金は、Ni/(Ag+Bi)が、0.007超であることが好ましい。0.007<Ni/(Ag+Bi)であることにより、金属間化合物の粗大化を抑制するとともに、固相線温度の過度な低下を抑制することができる。
第5実施形態のはんだ合金は、Ni/(Ag+Bi)が、0.017未満であることが好ましい。Ni/(Ag+Bi)<0.017であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。これにより、濡れ性を十分なものとすることができる。
第5実施形態のはんだ合金は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たすことが好ましい。
Ni、Ag及びBiは各々合金組成での含有量(質量%)を表す。
第5実施形態のはんだ合金は、(Cu/Ni)×(Ag+Bi)が、46超であることが好ましい。46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)であることにより、液相線温度の過度な上昇を抑制することができる。これにより、濡れ性を十分なものとすることができる。
第5実施形態のはんだ合金は、(Cu/Ni)×(Ag+Bi)が、120未満であることが好ましい。(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120であることにより、金属間化合物の粗大化を抑制するとともに、固相線温度の過度な低下を抑制することができる。
第5実施形態のはんだ合金は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たすことが好ましい。第5実施形態のはんだ合金は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<110を満たす組成であってもよいし、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<100を満たす組成であってもよい。
第5実施形態のはんだ合金は、0.2≦Ag/Bi≦15.0であることが好ましく、5≦Ag/Bi≦15であることがより好ましい。第5実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。また、第5実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、伸び、ポアソン比、線膨張係数を向上させることができる。
あるいは、第5実施形態のはんだ合金は、0.2≦Ag/Bi≦15.0であることが好ましく、0.3≦Ag/Bi≦3.0であることがより好ましく、0.5≦Ag/Bi≦2.0であることが更に好ましく、0.6≦Ag/Bi≦1.0であることが特に好ましい。第5実施形態のはんだ合金において、Ag/Biの比が上記範囲内であることにより、ΔTを低減させやすくなるとともに、引張強度を向上させやすくなる。
第5実施形態のはんだ合金は、固相線温度が、200~223℃であることが好ましく、202~221℃であることがより好ましく、204~219℃であることが更に好ましい。
第5実施形態のはんだ合金は、液相線温度が、210~227℃であることが好ましく、211~225℃であることがより好ましく、213~223℃であることがより好ましい。
第5実施形態のはんだ合金は、ΔTが、30℃以下であることが好ましく、20℃以下であることがより好ましく、15℃以下であることが更に好ましい。ΔTの下限値は特に限定されないが、例えば、1℃であってもよい。
2.はんだボール
以上説明した実施形態の鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金は、BGAに用いられるはんだボールの形態に最適である。
本実施形態のはんだボールの真球度は、0.90以上が好ましく、0.95以上がより好ましく、0.99以上が最も好ましい。
真球度は、例えば、最小二乗中心法(LSC法)、最小領域中心法(MZC法)、最大内接中心法(MIC法)、最小外接中心法(MCC法)等種々の方法で求められる。
本発明において、はんだボールの真球度は、最小領域中心法(MZC法)を用いるCNC画像測定システム(ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョンULTRA QV350-PRO測定装置)を使用して測定する。
本発明において、真球度とは真球からのずれを表し、例えば500個の各ボールの直径を長径で割った際に算出される算術平均値であり、値が上限である1.00に近いほど真球に近いことを表す。
本実施形態のはんだボールは、BGA(ボールグリッドアレイ)等の半導体パッケージの電極や基板のバンプ形成に用いられる。
本実施形態にかかるはんだボールの直径は1~1000μmの範囲内が好ましく、より好ましくは、50μm以上300μmである。
はんだボールは、一般的なはんだボールの製造法により製造することができる。
本実施形態での直径とは、ミツトヨ社製のウルトラクイックビジョン、ULTRA QV350-PRO測定装置によって測定された直径をいう。
3.はんだ継手
本実施形態のはんだ継手は、半導体パッケージにおけるICチップとその基板(インターポーザ)との接続、或いは半導体パッケージとプリント配線板との接続に使用するのに適している。
ここで、本発明に係る「はんだ継手」とは、上述した本発明に係るはんだ合金を用いて接続されており、ICチップと基板との接続部をいい、電極の接続部やダイと基板との接続部を含む。
4.その他
以上説明した実施形態のはんだ合金を用いた接合方法は、例えばリフロー法を用いて常法に従って行えばよい。加熱温度はチップの耐熱性やはんだ合金の液相線温度に応じて適宜調整してもよい。チップの熱的損傷を低く抑える観点から240℃程度であることが好ましい。フローソルダリングを行う場合のはんだ合金の溶融温度は概ね液相線温度から20℃程度高い温度でよい。
また、本実施形態に係るはんだ合金を用いて接合する場合には、凝固時の冷却速度を考慮した方が更に組織を微細にすることができる。例えば2~3℃/s以上の冷却速度ではんだ継手を冷却する。この他の接合条件は、はんだ合金の合金組成に応じて適宜調整することができる。
本発明に係るはんだ合金は、その原材料として低α線量材を使用することにより低α線量合金を製造することができる。このような低α線量合金は、メモリ周辺のはんだバンプの形成に用いられると、ソフトエラーを抑制することが可能となる。
以下、実施例により本発明を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
以下に示す組成で実施例1~4のはんだ合金を合成した。
それぞれのはんだ合金について、以下に示す方法により測定を行った。
(1)固相線温度と液相線温度の測定
固相線温度と液相線温度は、熱機械分析装置(EXSTAR 6000、Seiko Instruments社)を用いて、示差走査熱量測定(DSC:Differential scanning calorimetry)による方法で測定した。
固相線温度の測定は、JIS Z3198-1に準じた方法で行った。
液相線温度の測定は、JIS Z3198-1の固相線温度の測定方法と同様の、DSCによる方法で実施した。
(2)引張強度、伸びの測定
万能材料試験機(Instron社:5966)を用いて、平行部 30mm、直径 8mmの試験片について、引張試験を実施して、引張強度及び伸びを求めた。
(3)ポアソン比
シングアラウンド式音速測定装置(超音波工業社:UVM-2)を用いて、1辺15mmの立方体状の試験片について、ポアソン比を測定した。
(4)線膨張係数
熱機械分析装置(EXSTAR 6000、Seiko Instruments社)を用いて、直径8mm、長さ15mmの試験片について、線膨張係数を測定した。
(実施例1)
Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:1.5質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、はんだ合金を製造した。
実施例1のはんだ合金は、固相線温度が214℃であり、液相線温度が219℃であり、ΔTは5℃であった。
実施例1のはんだ合金は、引張強度が、66.2MPaであった。
(実施例2)
Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:1.8質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、はんだ合金を製造した。
実施例2のはんだ合金は、固相線温度が213℃であり、液相線温度が218℃であり、ΔTは5℃であった。
実施例2のはんだ合金は、引張強度が、69.9MPaであった。
(実施例3)
Ag:2.0質量%、Cu:0.75質量%、Bi:4.0質量%、Ni:0.07質量%、Ge:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、はんだ合金を製造した。
実施例3のはんだ合金は、固相線温度が206℃であり、液相線温度が219℃であり、ΔTは13℃であった。
実施例3のはんだ合金は、引張強度が、83.8MPaであった。
(実施例4)
Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:0.5質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.008質量%、Co:0.008質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、はんだ合金を製造した。
実施例4のはんだ合金は、固相線温度が217℃であり、液相線温度が221℃であり、ΔTは4℃であった。
実施例4のはんだ合金は、引張強度が、55.5MPaであった。
実施例4のはんだ合金は、伸びが33%であった。
実施例4のはんだ合金は、ポアソン比が0.35であった。
実施例4のはんだ合金は、線膨張係数が21.5ppm/Kであった。
(実施例5)
Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:2.0質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.003質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、はんだ合金を製造した。
実施例5のはんだ合金は、固相線温度が212℃であり、液相線温度が218℃であり、ΔTは6℃であった。
実施例5のはんだ合金は、引張強度が、72.3MPaであった。
(実施例6)
Ag:3.5質量%、Cu:0.8質量%、Bi:2.5質量%、Ni:0.05質量%、Ge:0.003質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有する、はんだ合金を製造した。
実施例6のはんだ合金は、固相線温度が211℃であり、液相線温度が216℃であり、ΔTは5℃であった。
実施例6のはんだ合金は、引張強度が、78.0MPaであった。
<はんだ合金粉末の調製>
(試験例A1~A15、試験例B1~B16)
以下の表1~5に示す組成で試験例のはんだ合金粉末を調合した。
はんだ合金粉末は、JIS Z 3284-1:2014における粉末サイズの分類(表2)において、記号6を満たすサイズ(粒度分布)である。このはんだ合金粉末においては、粒径が5~15μmである粉末の質量分率が、はんだ合金粉末全体の質量(100%)に対して、80%以上である。
試験例A1~A12、試験例A14は、第4実施形態に該当する。
試験例A13、試験例A15は、第5実施形態に該当する。
試験例B1~B16は、第4実施形態及び第5実施形態のいずれにも該当しない。
試験例B3、試験例B5~B6、試験例B8~B9、試験例B11~B16は、本発明の範囲内である。
試験例B1~B2、試験例B4、試験例B7、試験例B10は、本発明の範囲外である。
上記で調製したはんだ合金粉末を用いて、下記の<評価>に記載した評価方法にしたがって、《金属間化合物(IMC)層の厚さの評価》、《AgSnの大きさの評価》、《耐変色の評価》、《濡れ性の評価》、及び《はんだ接合部の強度の評価》を行った。これらの結果を表1~2に示した。
<評価>
《金属間化合物(IMC)層の厚さの評価》
各例のはんだ合金粉末を用いて、直径0.3mmのはんだボールを作製した。
CSP用のモジュール基板(S/F:電解Ni/Au、サイズ12×12mm)に対して、フラックス(千住金属工業株式会社製、WF-6400)を塗布した後、はんだボールを搭載した。
次いで、リフローはんだ付け(220℃以上、40秒、ピーク温度245℃)を行った。これにより、はんだボール電極付きCSPを得た。
また、ガラスエポキシ基板(FR-4、サイズ30×120mm、厚み0.8mm)に対して、ソルダペーストを用いて、電極パターン(S/F:Cu-OSP)を印刷した。ソルダペーストに含まれるはんだ合金粉末は、Agが3質量%、Cuが0.5質量%、残部がSnのはんだ合金であった。
次いで、上記のはんだボール電極付きCSP、及び印刷後ガラスエポキシ基板を用いて、リフローはんだ付け(220℃以上、40秒、ピーク温度245℃)を行うことにより、評価基板を作製した。
はんだ付け後の評価基板について、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製:JSM-7000F)を用いて、断面観察を実施した。観察箇所は、CSP側の接合界面のIMCである。IMC厚さの測定は、画像処理ソフト(Olympus社製:Scandium)により行った。
試験例A1~A15、試験例B1~B16の評価結果を、表1~2に示した。
判定基準:
A:IMC層の厚さが、1.4μm未満である。
B:IMC層の厚さが、1.4μm以上である。
《AgSnの大きさの評価》
各試験例のはんだ合金粉末を用いて、直径0.3mmのはんだボールを作製した。
フラックス(千住金属工業株式会社製:WF-6317)を電極上(S/F:Cu-OSP)に塗布した後、得られたはんだボールを搭載した。
リフロー装置(千住金属工業株式会社製:SNR-615)を用いて、リフローはんだ付け(ピーク温度245℃、冷却速度2℃/s)を行った。
はんだ付け後の試料について、電界放出形走査電子顕微鏡(日本電子株式会社製:JSM-7000F)を用いて、断面観察を実施した。
試験例A1~A15、試験例B1~B16の評価結果を、表1~2に示した。
判定基準:
A:AgSnの最大長さが、5μm未満である。
B:AgSnの最大長さが、5μm以上90μm未満である。
C:AgSnの最大長さが、90μm以上である。
《耐変色の評価》
各例のはんだ合金粉末を用いて、直径0.3mmのはんだボールを作製した。
高加速寿命試験装置(HASTチャンバー、ESPEC株式会社:EHS-211M)内に上記はんだボールを静置した。
125℃/100%RHに設定し、4時間後に、はんだボールの変色の有無を、目視で確認した。
試験例A1~A15、試験例B1~B16の評価結果を、表1~2に示した。
判定基準:
A:はんだボールが変色していない。
B:はんだボールが変色している。
《濡れ性の評価》
各例のはんだ合金粉末を用いて、直径0.3mmのはんだボールを作製した。
フラックス(千住金属工業株式会社製:WF-6317)を、基板(S/F:Cu-OSP)に塗布した後、得られたはんだボールを搭載した。
次いで、リフローはんだ付け(220℃以上、40秒、ピーク温度245℃)を行った。
リフロー後に、デジタルマイクロスコープ(株式会社キーエンス製:VHX-6000)を用いて、濡れ広がった長さを測定した。
試験例A1~A15、試験例B1~B16の評価結果を、表1~2に示した。
判定基準:
A:濡れ広がり長さが、1000μm以上である。
B:濡れ広がり長さが、1000μm未満である。
《はんだ接合部の強度の評価》
各例のはんだ合金粉末を用いて、直径0.76mmのはんだボールを作製した。
電解Ni/Au処理された基板上に対して、フラックス(千住金属工業株式会社製:WF-6400)を塗布した後、その上にはんだボールを搭載した。
次いで、リフローはんだ付け(220℃以上、40秒、ピーク温度245℃)を行った。
はんだ付け後の試料に対して、プル試験機(ノードソン・アドバンスト・テクノロジー株式会社製:Dage4000HS)を用いて、試験速度:1000μm/sで実施した。試験数はN=20とした。
試験例A1~A15、試験例B1~B16の評価結果を、表1~2に示した。
判定基準:
A:IMC層が破壊された試験数の割合が、全試験数に対して、50%以下であった。
B:IMC層が破壊された試験数の割合が、全試験数に対して、50%超であった。
Figure 2022126750000001
Figure 2022126750000002
表1に示すように、第4実施形態又は第5実施形態に該当する、試験例A1~A15は、IMC層の厚さの評価がAであった。
また、Cuの含有量が0.7~1.0質量%であり、かつ、Niの含有量が0.040~0.095質量%以下である、試験例B1~B2、試験例B7~B16は、IMC層の厚さの評価がAであった。
これに対して、Cu又はNiの含有量が上記範囲外である、試験例B3~B6は、IMC層の厚さの評価がBであった。
表1に示すように、第4実施形態又は第5実施形態に該当する、試験例A1~A15は、AgSnの大きさの評価が、A又はBであった。
Agの含有量が、3.5質量%以下である、試験例A1、試験例A3~A14、試験例B1、試験例B3~B15は、AgSnの大きさの評価がAであった。
また、Agの含有量が、4.0質量%である、試験例A2、試験例B16は、AgSnの大きさの評価がBであった。
これに対して、Agの含有量が、4.0質量%超である、試験例B2は、AgSnの大きさの評価がCであった。
表1に示すように、第4実施形態又は第5実施形態に該当する、試験例A1~A15は、耐変色の評価がAであった。
また、Geの含有量が、0.007質量%以上である、試験例B1~B8、試験例B10~B12は、耐変色の評価がAであった。
これに対して、Geの含有量が、0.007質量%未満である、試験例B9、B13~B16は、耐変色の評価がBであった。
表1に示すように、第4実施形態又は第5実施形態に該当する、試験例A1~A15は、濡れ性の評価がAであった。
また、試験例B2~B3、B5、B8~B9は、濡れ性の評価がAであった。
これに対して、0.017≦Ni/(Ag+Bi)であり、(Cu/Ni)×(Ag+Bi)≦46である、試験例B1、試験例B6、試験例B11~B13は、濡れ性の評価がBであった。
また、Cuの含有量が1.0質量%超である、試験例B4は、濡れ性の評価がBであった。
また、Biの含有量が0.1質量%未満である、試験例B7は、濡れ性の評価がBであった。
また、Geの含有量が0.015質量%超である、試験例B10は、濡れ性の評価がBであった。
また、Ag又はBiの含有量が十分ではない、試験例B14は、濡れ性の評価がBであった。
表1に示すように、第4実施形態又は第5実施形態に該当する、試験例A1~A15は、はんだ接合部の強度の評価がAであった。
また、Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.015質量%以下である、試験例B1~B8、試験例B9、試験例B11~B16は、はんだ接合部の強度の評価がAであった。
これに対して、Agの含有量が上記範囲外である、試験例B1、B2は、はんだ接合部の強度の評価がBであった。
また、Cuの含有量が上記範囲外である、試験例B3、B4は、はんだ接合部の強度の評価がBであった。
また、Niの含有量が上記範囲外である、試験例B5、B6は、はんだ接合部の強度の評価がBであった。
また、Biの含有量が所定の範囲外である、試験例B7、B8は、はんだ接合部の強度の評価がBであった。
また、Geの含有量が0.015質量%超である、試験例B10は、はんだ接合部の強度の評価がBであった。
以上示したように、第4実施形態及び第5実施形態のはんだ合金は、以下の効果を奏する。
前記はんだ合金は、接合界面における金属間化合物層の厚さを薄くすることができる。
また、前記はんだ合金は、微細なAgSnを十分に析出させることができ、かつ、粗大なAgSnの析出量を低減させることができる。
また、第5実施形態のはんだ合金は、合金の変色を抑制することができる。
また、第5実施形態のはんだ合金は、はんだ付け後の接合部の強度を高めることができる。
前記はんだ合金は、濡れ性を向上することができる。
また、上記で調製したはんだ合金粉末を用いて、上記の「(1)固相線温度と液相線温度の測定」の手順に従って、固相線温度と液相線温度を測定した。また、上記で調製したはんだ合金粉末を用いて、「(2)引張強度、伸びの測定」に記載の手順に従って、引張強度を測定した。測定結果を表3~4に示した。
試験例A1~A15は、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上であった。
Figure 2022126750000003
Figure 2022126750000004
本発明によれば、融点が230℃近傍であり、引張強度が50MPa以上である、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手を提供することができる。このはんだ合金、はんだボール、及びはんだ継手はQFPに好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. Ag:3.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、Co:0.001~0.1質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、
    前記合金組成は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たし、
    前記合金組成は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たす、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
    Cu、Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
  2. Ag:3.0~3.5質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.3~0.7質量%、Ni:0.040~0.060質量%、Ge:0.007~0.010質量%、Co:0.005~0.010質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、
    前記合金組成は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たし、
    前記合金組成は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たす、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
    Cu、Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
  3. Ag:1.0~4.0質量%、Cu:0.7~1.0質量%、Bi:0.1~7.0質量%、Ni:0.040~0.095質量%、Ge:0.007~0.015質量%、Co:0.001~0.1質量%、及び、残部がSnからなる合金組成を有し、
    前記合金組成は、0.007<Ni/(Ag+Bi)<0.017を満たし、
    前記合金組成は、46<(Cu/Ni)×(Ag+Bi)<120を満たし、
    前記合金組成は、5≦Ag/Bi≦15を満たす、鉛フリーかつアンチモンフリーのはんだ合金。
    Cu、Ni、Ag及びBiは各々前記合金組成での含有量(質量%)を表す。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載のはんだ合金からなるはんだボール。
  5. 平均粒径が1~1000μmである、請求項4に記載のはんだボール。
  6. 真球度が0.95以上である、請求項4又は5に記載のはんだボール。
  7. 真球度が0.99以上である、請求項4~6のいずれか一項に記載のはんだボール。
  8. 請求項4~7のいずれか一項に記載のはんだボールを用いて形成されたBall Grid Array。
  9. 請求項1~3のいずれか一項に記載のはんだ合金を用いてなるはんだ継手。
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