JP2022124318A - 磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法 - Google Patents

磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】一態様において、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成できる研磨液組成物を提供する。【解決手段】本開示は、一態様において、平均一次粒子径が25nm以上70nm以下であるシリカ粒子aと、平均一次粒子径が10nm以上24nm以下であるシリカ粒子bと、平均一次粒子径が1nm以上9nm以下であるシリカ粒子cと、を混合することを含むシリカ分散液の製造方法であって、前記シリカ分散液を300℃で90分間乾燥させた後の空隙径が5nm以上20nm未満である、磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法に関する。【選択図】なし

Description

本開示は、磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法、磁気ディスク用シリカ分散液、磁気ディスク基板用研磨液組成物、基板の研磨方法、及び、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
近年、磁気ディスクドライブは小型化・大容量化が進み、高記録密度化が求められている。高記録密度化するために、単位記録面積を縮小し、弱くなった磁気信号の検出感度を向上するため、磁気ヘッドの浮上高さをより低くするための技術開発が進められている。磁気ディスク基板には、磁気ヘッドの低浮上化と記録面積の確保に対応するため、表面粗さ、うねり、端面ダレ(ロールオフ)の低減に代表される平滑性・平坦性の向上とスクラッチ、突起、ピット等の低減に代表される欠陥低減に対する要求が厳しくなっている。
このような要求に対して、例えば、特許文献1には、非球状シリカ粒子、球状シリカ粒子、及び水を含み、pHが0.5以上6.0以下であり、非球状シリカ粒子の平均短径は105nm以上であり、かつ、球状シリカ粒子の平均短径より大きい、研磨液組成物が開示されている。
特許文献2には、平均粒子径1~30nmの研磨材と水とを含有し、充填率が79~90重量%である研磨液組成物を用いて基板を研磨する方法が開示されている。
特許文献3には、二種以上の研磨剤を含有してなる研磨液組成物であって、研磨時のpHにおけるゼータ電位が0mV超の研磨剤と0mV未満の研磨剤とを含有してなる研磨液組成物が開示されている。
国際公開第2017/094592号 特開2008-12668号公報 特開2006-306924号公報
磁気ディスクドライブの大容量化に伴い、基板の表面品質に対する要求特性はさらに厳しくなっており、研磨速度の向上とともに、基板表面のスクラッチ及びうねりの低減が達成可能な研磨液組成物が求められている。一般的に、研磨速度とスクラッチとうねりとは互いにトレードオフの関係にあり、例えば、研磨速度を向上させると、研磨後の基板表面のスクラッチ及びうねりが増加するという問題がある。
そこで、本開示は、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成できる磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法、磁気ディスク用シリカ分散液、磁気ディスク基板用研磨液組成物、並びにこれを用いた基板の研磨方法及び磁気ディスク基板の製造方法を提供する。
本開示は、一態様において、平均一次粒子径が25nm以上70nm以下であるシリカ粒子aと、平均一次粒子径が10nm以上24nm以下であるシリカ粒子bと、平均一次粒子径が1nm以上9nm以下であるシリカ粒子cと、を混合することを含むシリカ分散液の製造方法であって、前記シリカ分散液を300℃で90分間乾燥させた後の空隙径が5nm以上20nm未満である、磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の製造方法により得られる磁気ディスク用シリカ分散液に関する。
本開示は、一態様において、本開示の製造方法により得られるシリカ分散液を含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物に関する。
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法に関する。
本開示によれば、一又は複数の実施形態において、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成可能なシリカ分散液を製造できるという効果が奏されうる。
本開示は、平均一次粒子径の異なる3種類のシリカ粒子を含み、所定の空隙径を有するシリカ分散液を磁気ディスク基板の研磨に用いることで、研磨速度を向上でき、かつ、研磨後の基板表面のスクラッチ及びうねりを低減できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、平均一次粒子径が25nm以上70nm以下であるシリカ粒子aと、平均一次粒子径が10nm以上24nm以下であるシリカ粒子bと、平均一次粒子径が1nm以上9nm以下であるシリカ粒子cと、を混合することを含むシリカ分散液の製造方法であって、前記シリカ分散液を300℃で90分間乾燥させた後の空隙径が5nm以上20nm未満である、磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法(以下、「本開示の製造方法」)に関する。本開示の製造方法によれば、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成できるシリカ分散液を提供できる。
本開示の効果発現のメカニズムの詳細は明らかではないが、以下のように推察される。
一般的な研磨速度発現メカニズムとしては、粒子の基板に対する切削深さ、粒子の基板に対する移動速度が起因すると考えられる。しかし、粒子を大径化することで基板に対する切削深さを増加させると、研磨速度は向上するがスクラッチが増加するトレードオフの関係になる。さらに、粒子の移動速度は、主に研磨の際の定盤の回転数など外的因子による影響が大きい。
そこで、本開示で着目したのが、粒子の基板に対する接触面積である。通常、単一粒径の粒子同士では、粒子間の空隙が大きく、粒子の基板に対する接触面積が増えないために研磨速度としては低い値となる。一方で、本開示では、異なる粒径を有する3種類の粒子を混合させることで、大きな粒子の隙間に小さな粒子が入り込み、粒子と粒子との空隙が極めて小さくなると考えられる。そして、粒子間の空隙が小さくなり、特定の空隙径を有することで、基板に対する接触面積が向上し、研磨速度が向上すると推定される。加えて、接触面積が向上することで、混合している大径粒子1つ1つの切削深さが低下し、スクラッチ及びうねりが低減すると推定される。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において、基板の「うねり」とは、粗さよりも波長の長い基板表面の凹凸をいう。本開示において、例えば、60~160μmの波長により観測されるうねりを「短波長うねり」といい、例えば、500~5000μmの波長により観測されるうねりを「長波長うねり」という。研磨後の基板表面のうねり(短波長うねり、長波長うねり)が低減されることにより、磁気ディスクドライブにおいて磁気ヘッドの浮上高さを低くすることができ、磁気ディスクの記録密度の向上が可能となる。基板表面のうねり(短波長うねり、長波長うねり)は、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。本開示において、「うねりの低減」とは、短波長うねり及び長波長うねりの少なくとも一方が低減されることをいう。
本開示において、基板表面のスクラッチは、例えば、光学式欠陥検査装置により検出可能であり、スクラッチ数として定量評価できる。スクラッチ数は、具体的には実施例に記載した方法で評価できる。
[混合工程]
本開示の製造方法において、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合すること(以下、「混合工程」ともいう)は、一又は複数の実施形態において、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cと水と必要に応じてその他の成分とを混合することを含む。ここで、「混合する」とは、シリカ粒子a、b及びcと水と必要に応じてその他の成分とを同時に又は任意の順で混合することを含む。シリカ粒子a、b及びcはそれぞれ1種であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。なお、シリカ粒子a、b及びc、水、並びに、その他の成分については後述する。
前記混合工程は、一又は複数の実施形態において、シリカ分散液を300℃で90分間乾燥させた後の空隙径が5nm以上20nm未満となるように混合する工程であることが好ましい。ここで、上記乾燥条件(300℃、90分間)とは、水の影響を完全に除くための乾燥条件を意味する。
したがって、本開示は、一態様において、シリカ分散液の製造方法であって、シリカ分散液を300℃で90分間乾燥させた後の空隙径が5nm以上20nm未満となるように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合することを含む、磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法に関する。
前記シリカ分散液を300℃で90分間乾燥させた後の空隙径は、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、5nm以上であって、そして、同様の観点から、20nm未満であって、18nm以下が好ましく、15nm以下がより好ましく、12nm以下が更に好ましい。本開示において、空隙径は、実施例に記載の方法により測定できる。
前記混合工程は、一又は複数の実施形態において、シリカ分散液の乾燥後の空隙体積が0.1cm3/g以上3.5cm3/g以下となるように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合する工程であることが好ましい。
したがって、本開示は、一態様において、シリカ分散液の乾燥後の空隙体積が0.1cm3/g以上3.5cm3/g以下となるように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合することを含む、磁気ディスク基板用シリカ分散液の製造方法に関する。
前記シリカ分散液の乾燥後の空隙体積は、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、0.1cm3/g以上が好ましく、そして、同様の観点から、3.5cm3/g以下が好ましく、3cm3/g以下がより好ましく、2.5cm3/g以下が更に好ましく、2cm3/g以下が更に好ましい。本開示において、空隙体積は、実施例に記載の方法により測定できる。
前記混合工程は、一又は複数の実施形態において、シリカ分散液の60℃の環境下における水の蒸発速度が800mg/h以下となるように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合する工程であることが好ましい。
したがって、本開示は、一態様において、シリカ分散液の60℃の環境下における水の蒸発速度が800mg/h以下となるように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合することを含む、磁気ディスク基板用シリカ分散液の製造方法に関する。
前記シリカ分散液の60℃の環境下における水の蒸発速度は、スクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、100mg/h以上が好ましく、そして、同様の観点から、800mg/h以下が好ましく、795mg/h以下がより好ましく、790mg/h以下が更に好ましく、785mg/h以下が更に好ましい。本開示において、水の蒸発速度は、実施例に記載の方法により測定できる。
前記混合工程は、一又は複数の実施形態において、混合するシリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの個数をそれぞれa'、b'及びc'とした場合、個数比率c'/(a'+b')が下記式(I)を満たすように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合する工程であることが好ましい。本開示において、各シリカ粒子の個数は、実施例に記載の方法により測定できる。
c'/(a'+b')≧2.5 (I)
ここで、個数比率c'/(a'+b')の値は、一又は複数の実施形態において、粒子1個の体積(粒子体積)を用い、下記式で算出してもよい。前記粒子体積は、シリカ粒子の平均一次粒子径から算出してもよい。
c'/(a'+b')=(シリカ粒子cの含有量/シリカ粒子cの粒子体積)/{シリカ粒子aの含有量/シリカ粒子aの粒子体積)+(シリカ粒子bの含有量/シリカ粒子bの粒子体積)}
したがって、本開示は、一態様において、混合するシリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの個数比率が上記式(I)を満たすように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合することを含む、磁気ディスク基板用シリカ分散液の製造方法に関する。
前記個数比率c'/(a'+b')は、スクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、2.5以上が好ましく、5以上がより好ましく、7.5以上が更に好ましく、10以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が更に好ましい。
混合するシリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの個数比率が上記式(I)を満たすことで、前記空隙径、空隙体積、及び、水の蒸発速度が上述した好ましい範囲を満たしやすくなる。
前記混合工程は、一又は複数の実施形態において、さらに、シリカ分散液中のシリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの含有量がそれぞれ、シリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの合計含有量に対して10質量%以上となるように、シリカ粒子aとシリカ粒子bとシリカ粒子cとを混合する工程であることが好ましい。本開示において、シリカ粒子の含有量はSiO2換算した値である。本開示において、シリカ分散液中の各成分の含有量は、混合工程における各成分の配合量とみなすことができる。
前記混合工程において、混合するシリカ粒子aの配合量は、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、シリカ粒子a、b及びcの合計配合量に対して、10質量%以上が好ましく、14質量%以上がより好ましく、18質量%以上が更に好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。シリカ粒子aが2種以上の組合せである場合、シリカ粒子aの配合量はそれらの合計配合量である。
前記混合工程において、混合するシリカ粒子bの配合量は、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、シリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの合計配合量に対して、10質量%以上が好ましく、30質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下が更に好ましい。シリカ粒子bが2種以上の組合せである場合、シリカ粒子bの配合量はそれらの合計配合量である。
前記混合工程において、混合するシリカ粒子cの配合量は、スクラッチ低減の観点から、シリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの合計配合量に対して、10質量%以上が好ましく、12質量%以上がより好ましく、14質量%以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、30質量%以下が好ましく、25質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。シリカ粒子cが2種以上の組合せである場合、シリカ粒子cの配合量はそれらの合計配合量である。
混合するシリカ粒子a、b及びcの個数比率が上記式(I)を満たし、かつ、シリカ分散液中のシリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの含有量がそれぞれ、シリカ粒子a、b及びcの合計含有量に対して10質量%以上となるように混合することで、前記空隙径、前記空隙体積、及び前記水の蒸発速度が上述した好ましい範囲を満たしやすくなる。
[シリカ粒子a、b及びc]
前記混合工程において、混合するシリカ粒子a、b及びcとしては、コロイダルシリカ、ヒュームドシリカ、粉砕シリカ、それらを表面修飾したシリカ等が挙げられ、コロイダルシリカが好ましい。
シリカ粒子aの平均一次粒子径は、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、25nm以上であって、26nm以上が好ましく、27nm以上がより好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、70nm以下であって、50nm以下が好ましく、30nm以下がより好ましい。
シリカ粒子bの平均一次粒子径は、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、10nm以上であって、14nm以上が好ましく、18nm以上がより好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、24nm以下であって、23nm以下が好ましく、22nm以下がより好ましい。
シリカ粒子cの平均一次粒子径は、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、1nm以上であって、2nm以上が好ましく、3nm以上がより好ましく、そして、同様の観点から、9nm以下であって、8nm以下が好ましく、7nm以下がより好ましい。
本開示において、シリカ粒子の平均一次粒子径は、実施例に記載の方法により測定できる。
一般的に、シリカ粒子の水溶液はアルカリ性である。シリカ粒子a又はシリカ粒子bの10wt%水溶液のpHは、例えば、9以上10以下が挙げられる。シリカ粒子cの10wt%水溶液のpHは、分散性の観点から、10.5以上11.5以下であることが好ましい。
[シリカ分散液]
本開示は、一態様において、本開示の製造方法により得られる磁気ディスク用シリカ分散液(以下、単に「本開示のシリカ分散液」ともいう)に関する。本開示のシリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、シリカ粒子a、シリカ粒子b、シリカ粒子c及び水を含むものである。本開示のシリカ分散液の空隙径、空隙体積、水の蒸発速度、個数比率c'/(a'+b')、シリカ粒子の含有量及び含有割合は、上述した本開示の製造方法で記載したものであることが好ましい。
本開示のシリカ分散液中のシリカ粒子a、b及びcの合計含有量は、製造・輸送のしやすさの観点から、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、25質量%以上が更に好ましく、そして、安定性の観点から、60質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
[水]
本開示のシリカ分散液に含まれる水としては、蒸留水、イオン交換水、純水、超純水等が挙げられる。
本開示のシリカ分散液中の水の含有量は、安定性の観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、60質量%以上が更に好ましく、そして、製造・輸送のしやすさの観点から、85質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、75質量%以下が更に好ましい。
[その他の成分]
本開示のシリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、本開示の効果を損なわない範囲で、必要に応じてその他の成分をさらに含有することができる。その他の成分としては、防腐剤、pH調整剤等が挙げられる。
本開示のシリカ分散液のpHは、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、5以上が好ましく、6以上がより好ましく、7以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、11以下が好ましく、10.5以下がより好ましく、10以下が更に好ましい。本開示のシリカ分散液のpHは、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、5以上11以下が好ましく、6以上10.5以下がより好ましく、7以上10以下が更に好ましい。pHは、公知のpH調整剤等を用いて調整することができる。本開示において、上記pHは、25℃における研磨液組成物のpHであり、pHメータを用いて測定でき、例えば、pHメータの電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値とすることができる。
[研磨液組成物]
一般的に、研磨液組成物は、原料シリカ、水及び必要に応じて添加剤を配合することにより得ることができる。本開示の製造方法により得られる本開示のシリカ分散液は、一又は複数の実施形態において、磁気ディスク基板の研磨に用いられる研磨液組成物の原料シリカとして使用可能である。
したがって、本開示は、一態様において、本開示のシリカ分散液、水、及び、必要に応じて添加剤を公知の方法で配合する工程を含む、研磨液組成物の製造方法に関する。ここで、「配合する」とは、本開示のシリカ分散液、水、及び必要に応じて添加剤を同時又は任意の順に混合することを含む、前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。
また、本開示は、一態様において、本開示の製造方法により得られるシリカ分散液を含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)に関する。本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、水、及び、必要に応じて添加剤をさらに含むことができる。
本開示において、添加剤とは、磁気ディスク基板の研磨に用いる研磨液組成物に配合され得る、原料シリカ以外の他の成分をいい、例えば、水溶性高分子、酸、酸化剤、複素環芳香族化合物、脂肪族アミン化合物、脂環式アミン化合物、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、界面活性剤等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物中のシリカ粒子aの含有量は、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、0.6質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、4質量%以下が好ましく、3.5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中のシリカ粒子bの含有量は、研磨速度の向上とうねり低減とを達成する観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がより好ましく、1.5質量%以上が更に好ましく、そして、スクラッチ低減の観点から、6質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、4質量%以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中のシリカ粒子cの含有量は、スクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、0.6質量%以上が好ましく、0.7質量%以上がより好ましく、0.8質量%以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上の観点から、2質量%以下が好ましく、1.6質量%以下がより好ましく、1.2質量%以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中の水の含有量は、使用コストの観点から、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、98質量%以下が好ましく、97質量%以下がより好ましく、96質量%以下が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物において、シリカ粒子a、b及びcの個数比率c'/(a'+b')は、上述した本開示の製造方法で記載したものであることが好ましい。
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、使用時、すなわち、研磨液組成物の研磨への使用を開始する時点における前記各成分の含有量をいう。本開示の研磨液組成物は、その保存安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造及び輸送コストを更に低くできる点で好ましい。本開示の研磨液組成物の濃縮物は、使用時に、必要に応じて前述の水で適宜希釈して使用すればよい。希釈倍率は、希釈した後に上述した各成分の含有量(使用時)を確保できれば特に限定されるものではなく、例えば、10~100倍とすることができる。
本開示の研磨液組成物のpHは、スクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、0.5以上が好ましく、0.75以上がより好ましく、1以上が更に好ましく、そして、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、5以下が好ましく、4以下がより好ましく、3以下が更に好ましい。本開示の研磨液組成物のpHは、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成する観点から、0.5以上5以下が好ましく、0.75以上4以下がより好ましく、1以上3以下が更に好ましい。研磨液組成物のpHは公知のpH調整剤等を用いて調整できる。本開示において、研磨液組成物のpHは、上記シリカ分散液と同様の方法により測定できる。
本開示の研磨液組成物の実施形態は、すべての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型であってもよいし、使用時に混合される、いわゆる2液型であってもよい。
[研磨液キット]
本開示のシリカ分散液は、上述のとおり、研磨液組成物の原料シリカとして使用でき、原料シリカは容器に充填されることで、研磨液キットの製造に用いることが可能である。
したがって、本開示は、一態様において、本開示の製造方法により得られる本開示のシリカ分散液が容器に充填されたシリカ分散液を含む、研磨液キット(以下、「本開示の研磨液キット」)に関する。本開示の研磨液キットによれば、研磨速度の向上とスクラッチ低減とうねり低減とを達成可能な研磨液組成物を得ることができる。
本開示の研磨液キットとしては、例えば、本開示のシリカ分散液(第1液)と、前記添加剤を含有する添加剤水溶液(第2液)とを相互に混合されない状態で含む、研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記第1液と前記第2液とは、使用時に混合され、必要に応じて水を用いて希釈される。前記第1液に含まれる水は、研磨液組成物の調製に使用する水の全量でもよいし、一部でもよい。前記第2液には、研磨液組成物の調製に使用する水の一部が含まれていてもよい。前記第1液及び前記第2液における各成分の含有量は、これらを混合し更に必要に応じて水を用いて希釈されることにより得られる研磨液組成物中の各成分の含有量が、上述した本開示の研磨液組成物中における各成分の含有量と同じになるように設定されればよい。
[被研磨基板]
被研磨基板は、一又は複数の実施形態において、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である。一又は複数の実施形態において、被研磨基板の表面を本開示の研磨液組成物を用いて研磨する工程の後、スパッタ等でその基板表面に磁性層を形成する工程を行うことにより磁気ディスク基板を製造できる。
本開示において好適に使用される被研磨基板の材質としては、例えばシリコン、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅、タンタル、チタン等の金属若しくは半金属、又はこれらの合金や、ガラス、ガラス状カーボン、アモルファスカーボン等のガラス状物質や、アルミナ、二酸化珪素、窒化珪素、窒化タンタル、炭化チタン等のセラミック材料や、ポリイミド樹脂等の樹脂等が挙げられる。中でも、アルミニウム、ニッケル、タングステン、銅等の金属及びこれらの金属を主成分とする合金を含有する被研磨基板に好適である。被研磨基板としては、例えば、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板や、結晶化ガラス、強化ガラス、アルミノシリケートガラス、アルミノボロシリケートガラス等のガラス基板がより適しており、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板が更に適している。本開示において「Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板」とは、アルミニウム合金基材の表面を研削後、無電解Ni-Pメッキ処理したものをいう。
被研磨基板の形状としては、例えば、ディスク状、プレート状、スラブ状、プリズム状等の平面部を有する形状や、レンズ等の曲面部を有する形状が挙げられる。中でも、ディスク状の被研磨基板が適している。ディスク状の被研磨基板の場合、その外径は例えば2~95mm程度であり、その厚みは例えば0.4~2mm程度である。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、粗研磨後の基板の研磨に好適に用いることができる。被研磨基板としては、粗研磨後の基板が挙げられる。粗研磨に用いる砥粒は、アルミナ、シリカ等が挙げられる。
[基板の研磨方法]
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法(以下、「本開示の研磨方法」ともいう)に関する。本開示の研磨方法を使用することにより、研磨後の基板表面のスクラッチ及びうねりが低減された、高品質の磁気ディスク基板を高収率で、生産性よく製造できるという効果が奏されうる。本開示の研磨方法における前記被研磨基板としては、上述のとおり、磁気ディスク基板の製造に使用されるものが挙げられ、なかでも、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造に用いる基板が好ましい。研磨の方法及び条件は、後述する本開示の基板製造方法と同じ方法及び条件とすることができる。
本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することは、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨することであり、或いは、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨することである。
[磁気ディスク基板の製造方法]
一般に、磁気ディスクは、研削工程を経た被研磨基板が、粗研磨工程、仕上げ研磨工程を経て研磨され、記録部形成工程にて磁気ディスク化されて製造される。本開示における研磨液組成物は、磁気ディスク基板の製造方法における、被研磨基板を研磨する研磨工程、好ましくは仕上げ研磨工程に使用されうる。すなわち、本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程(以下、「研磨工程」ともいう)を含む、磁気ディスク基板の製造方法(以下、「本開示の基板製造方法」ともいう)に関する。本開示の基板製造方法は、とりわけ、垂直磁気記録方式用磁気ディスク基板の製造方法に適している。
本開示の基板製造方法における研磨工程は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を被研磨基板の研磨対象面に供給し、前記研磨対象面に研磨パッドを接触させ、前記研磨パッド及び前記被研磨基板の少なくとも一方を動かして研磨する工程である。また、本開示の基板製造方法における研磨工程は、一又は複数の実施形態において、不織布状の有機高分子系研磨布等の研磨パッドを貼り付けた定盤で被研磨基板を挟み込み、本開示の研磨液組成物を研磨機に供給しながら、定盤や被研磨基板を動かして被研磨基板を研磨する工程である。
被研磨基板の研磨工程が多段階で行われる場合は、本開示の基板製造方法における研磨工程は2段階目以降に行われるのが好ましく、最終研磨工程又は仕上げ研磨工程で行われるのがより好ましい。その際、前工程の砥粒や研磨液組成物の混入を避けるために、それぞれ別の研磨機を使用してもよく、またそれぞれ別の研磨機を使用した場合では、研磨工程毎に被研磨基板を洗浄することが好ましい。さらに、使用した研磨液を再利用する循環研磨においても、本開示の研磨液組成物を使用できる。研磨機としては、特に限定されず、基板研磨用の公知の研磨機が使用できる。
本開示で使用される研磨パッドとしては、特に制限はなく、例えば、スエードタイプ、不織布タイプ、ポリウレタン独立発泡タイプ、又はこれらを積層した二層タイプ等の研磨パッドを使用することができ、研磨速度の向上の観点から、スエードタイプの研磨パッドが好ましい。
本開示の基板製造方法の研磨工程における研磨荷重は、研磨速度の向上の観点から、好ましくは5.9kPa以上、より好ましくは6.9kPa以上、更に好ましくは7.5kPa以上であり、そして、スクラッチ低減の観点から、20kPa以下が好ましく、より好ましくは18kPa以下、更に好ましくは16kPa以下である。本開示の基板製造方法において、研磨荷重とは、研磨時に被研磨基板の研磨面に加えられる定盤の圧力をいう。また、研磨荷重の調整は、定盤及び被研磨基板のうち少なくとも一方に空気圧や重りを負荷することにより行うことができる。
本開示の基板製造方法の研磨工程における本開示の研磨液組成物の供給速度は、スクラッチ低減の観点から、被研磨基板1cm2当たり、好ましくは0.05mL/分以上15mL/分以下であり、より好ましくは0.06mL/分以上10mL/分以下、更に好ましくは0.07mL/分以上1mL/分以下、更に好ましくは0.07mL/分以上0.5mL/分以下である。
本開示の研磨液組成物を研磨機へ供給する方法としては、例えばポンプ等を用いて連続的に供給を行う方法が挙げられる。研磨液組成物を研磨機へ供給する際は、全ての成分を含んだ1液で供給する方法の他、研磨液組成物の安定性等を考慮して、複数の配合用成分液に分け、2液以上で供給することもできる。後者の場合、例えば供給配管中又は被研磨基板上で、上記複数の配合用成分液が混合され、本開示の研磨液組成物となる。
本開示の基板製造方法によれば、本開示における研磨液組成物を用いることで、研磨後の基板表面のスクラッチが低減された、高品質の磁気ディスク基板を高収率で、生産性よく製造できるという効果が奏されうる。
以下、実施例により本開示をさらに詳細に説明するが、これらは例示的なものであって、本開示はこれら実施例に制限されるものではない。
1.シリカ分散液の調製(実施例1~5及び比較例1~6)
表1に示す質量比になるよう表1に示すシリカ粒子a、シリカ粒子b、及びシリカ粒子cと水とを混合して実施例1~5及び比較例1~6のシリカ分散液(pH10)を調製した。各シリカ分散液中のシリカ粒子a、b及びcの合計含有量(有効分)は30質量%であり、各シリカ分散液中の水の含有量は70質量%であった。
シリカ分散液の調製において、シリカ粒子a、b及びcには以下のものを使用した。
(実施例1~5及び比較例1~5)
シリカ粒子a:コロイダルシリカ水分散液(カタロイドSI-50W、40質量%、pH 9.1)、日揮触媒化成製
シリカ粒子b:コロイダルシリカ水分散液(カタロイドSI-40W、40質量%、pH 9.1)、日揮触媒化成製
シリカ粒子c:コロイダルシリカ水分散液(カタロイドSI-550W、20質量%、pH 10.6)、日揮触媒化成製
(比較例6)
シリカ粒子a:コロイダルシリカ水分散液(40質量%、pH9)、デュポン社製
シリカ粒子b:コロイダルシリカ水分散液(40質量%、pH9)、デュポン社製
シリカ粒子c:コロイダルシリカ水分散液(20質量%、pH10)、日産化学工業社製
2.研磨液組成物の調製
実施例1~5及び比較例1~6のシリカ分散液、硫酸、過酸化水素、及び、水を配合して撹拌することにより、研磨液組成物(pH 1.2)を調製した。各研磨液組成物中の各成分の含有量(有効量)は、シリカ粒子が6質量%、硫酸が0.7質量%、過酸化水素が0.02質量%である。水の含有量は、シリカ粒子、硫酸、及び過酸化水素を除いた残余である。
各研磨液組成物の調製において、硫酸、過酸化水素には以下のものを使用した。
硫酸:テイカ社製62.5%精製希薄硫酸
過酸化水素:ADEKA製35%過酸化水素
3.各パラメータの測定
[シリカ粒子の平均一次粒子径の測定]
株式会社日立ハイテクノロジーズ社製の電解放出型走査型電子顕微鏡(S-4800)を用いて、走査電圧10kV、倍率200Kにおける画像を無作為に10視野撮影を実施した。撮影対象物としては、カーボン膜が蒸着している銅グリットに親水化処理を実施し、各シリカ粒子の水分散液を0.1質量%になるように希釈した水溶液を数滴滴下した。その後、室温において一晩乾燥させ、サンプルを得た。
上記方法により、得られた画像データを三谷商事株式会社製の画像解析ソフト(WinROOF2013)を用いて母数として1000個以上の粒子に対して、粒子形状を数値化して円相当径を算出した。その値を元にD50の値を平均一次粒子径とした。
[pHの測定]
研磨液組成物のpHは、pHメータ(東亜ディーケーケー社製)を用いて25℃にて測定し、電極を研磨液組成物へ浸漬して2分後の数値を採用した。
[個数比率]
まず、各シリカ粒子1個の体積(粒子体積)を、式:3/4πr3(ただし、π=3.14、r=平均一次粒子径/2)から算出した。ここで、平均一次粒子径は、表1に示すとおりである。算出の結果、実施例1~5及び比較例1~5では、シリカ粒子aの粒子体積(nm3、以下同じ)は6462、シリカ粒子bの粒子体積は2355、シリカ粒子cの粒子体積は37であり、比較例6では、シリカ粒子aの粒子体積は2726、シリカ粒子bの粒子体積は808、シリカ粒子cの粒子体積は150であった。
そして、混合するシリカ粒子a、b及びcの個数比率を下記式から算出した。結果を表1に示した。
(実施例1~5及び比較例1~5)
個数比率c'/(a'+b')=(シリカ粒子cの含有量/37)/{(シリカ粒子aの含有量/6462)+(シリカ粒子bの含有量/2355)}
(比較例6)
個数比率c'/(a'+b')=(シリカ粒子cの含有量/150)/{(シリカ粒子aの含有量/2726)+(シリカ粒子bの含有量/808)}
[空隙径及び総空隙体積の測定]
シリカ分散液を110℃の乾燥機で3日間静置し、大方の水分を揮発させる。その後、得られたシリカの粉体をメノウ乳鉢を用いて粉砕を実施した。粉砕したシリカ粉を細孔分析装置(ASAP-2020)を用いて300℃、90分間仮焼成を実施することで完全に水分を蒸発させた後に、窒素ガスを用いた物理吸着を利用し、細孔分布を算出した。吸着等温過程においては下記の式が成立する。
Ln(p/p0)=-2VLγcosθ/rRT
VLは毛管凝縮によって液化したガス分子のモル体積、γは表面張力、θは接触角、rは細孔の半径をそれぞれ示す。
上記式を元にある相対圧力p/p0における細孔体積と細孔半径rをガス吸着量から解析する。空隙径は最大細孔体積を与えている際の数値を示し、総空隙体積は得られたスペクトルを積分した値から算出した。
[60℃環境下における水蒸発速度の測定]
一般的な乾燥機の温度を60℃に設定し、10質量%に調整した各種シリカ分散液をガラス管に一定量取り、乾燥機に入れる。その後、10時間乾燥させた際の質量減少量を算出し、単位をmg/hで統一した。また、この作業は3回繰り返し実施し、その平均値を水蒸発速度として算出した。
4.研磨方法
前記のように実施例1~5及び比較例1~6のシリカ分散液を用いて調製した研磨液組成物を用い、以下に示す研磨条件にて下記被研磨基板を研磨した。次いで、研磨速度、うねり及びスクラッチ数を後述する測定方法により測定し、結果を表1に示した。
[被研磨基板]
被研磨基板として、Ni-Pメッキされたアルミニウム合金基板を予めシリカ砥粒を含有する研磨液組成物で粗研磨した基板を用いた。この被研磨基板は、厚さが0.8mm、外径が95mm、内径が25mmであり、AFM(Digital Instrument NanoScope IIIa Multi Mode AFM)により測定した中心線平均粗さRaが1nmであった。
[研磨条件]
研磨試験機:両面研磨機(スピードファム社製)
研磨パッド:Fujibo社製CF4303(スエードタイプ、発泡層:ポリウレタンエラストマー、厚さ0.69mm)
キャリア:アラミド厚み0.7nm(相模PCI製)
研磨液組成物供給量:100mL/分
下定盤回転数:31.4rpm
研磨荷重:140g/cm2
研磨時間:290秒
基板の枚数:10枚
研磨後、基板を両面研磨機より取り出し、自動洗浄機で基板表面の洗浄を実施。
5.評価
[研磨速度の評価]
研磨前後の各基板1枚当たりの重さを計り(Sartorius社製、「BP-210S」)を用いて測定し、各基板の質量変化から質量減少量を求めた。全10枚の平均の質量減少量を研磨時間で割った値を研磨速度とし、下記式により算出した。実施例1~5及び比較例1~6の研磨速度の測定結果を、比較例1を100とした相対値として表1に示す。
質量減少量(g)={研磨前の質量(g)- 研磨後の質量(g)}
研磨速度(mg/min)=質量減少量(mg)/ 研磨時間(min)
[短波長うねり及び長波長うねりの評価]
研磨後の10枚の基板から任意に2枚の基板を選択し、選択した各基板の両面を任意の4点(計16点)について、下記の条件で測定した。その16点の測定値の平均値を基板の短波長うねり及び長波長うねりとして算出した。そして、比較例1を100とした相対値を算出し、結果を表1に示した。
<測定条件>
測定機:New View 7300(Zygo社製)
レンズ:2.5倍
ズーム:0.5倍
短波長領域:60~160μm
長波長領域:50~500μm
解析ソフト:Zygo Metro Pro(Zygo社製)
[スクラッチの評価]
測定器:Candela OSA7100,6110(KLA Tencor社製)
測定レシピ:95T 基板回転速度:10000 rpm 測定モード:PSc, PScR
レーザー電圧:円周方向レーザー電圧650mV, 半径方向レーザー電圧600mV
評価:研磨試験機に投入した基板のうち、無作為に4枚を選択し、各々の基板を10,000rpmにてレーザーを照射してスクラッチ数を測定した。その4枚の基板の各々両面にあるスクラッチ数(本)の合計を8で除して、基板面当たりのスクラッチ数を算出した。実施例1~5及び比較例1~6のスクラッチ数の測定結果を、比較例1を100とした相対値として表1に示す。
Figure 2022124318000001
上記表1に示すとおり、実施例1~5のシリカ分散液は、比較例1~6のシリカ分散液に比べて、研磨速度が向上し、短波長うねり、長波長うねり及びスクラッチが低減していた。
本開示によれば、例えば、高記録密度化に適した磁気ディスク基板を提供できる。

Claims (8)

  1. 平均一次粒子径が25nm以上70nm以下であるシリカ粒子aと、平均一次粒子径が10nm以上24nm以下であるシリカ粒子bと、平均一次粒子径が1nm以上9nm以下であるシリカ粒子cと、を混合することを含むシリカ分散液の製造方法であって、
    前記シリカ分散液を300℃で90分間乾燥させた後の空隙径が5nm以上20nm未満である、磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法。
  2. 混合するシリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの個数をそれぞれa'、b'及びc'とした場合、個数比率c'/(a'+b')は下記の式(I)を満たす、請求項1に記載の磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法。
    c'/(a'+b')≧2.5 (I)
  3. 前記シリカ分散液中のシリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの含有量はそれぞれ、シリカ粒子a、シリカ粒子b及びシリカ粒子cの合計含有量に対して10質量%以上である、請求項1又は2に記載の磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法。
  4. 前記シリカ分散液の乾燥後の空隙体積が0.1cm3/g以上3.5cm3/g以下であり、かつ60℃の環境下における水の蒸発速度が800mg/h以下である、請求項1から3のいずれかに記載の磁気ディスク用シリカ分散液の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の製造方法により得られる磁気ディスク用シリカ分散液。
  6. 請求項1から4のいずれかに記載の製造方法により得られるシリカ分散液を含む、磁気ディスク基板用研磨液組成物。
  7. 請求項6に記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨することを含み、前記被研磨基板は、磁気ディスク基板の製造に用いられる基板である、基板の研磨方法。
  8. 請求項6に記載の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する研磨工程を含む、磁気ディスク基板の製造方法。
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