JP2022122586A - 強化ガラス板、および強化ガラス板の製造方法 - Google Patents

強化ガラス板、および強化ガラス板の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ガラスの端部からの割れを抑制できる強化ガラス板の提供を目的とする。【解決手段】相互に対向する第1の主面と第2の主面を有する強化ガラス板であって、前記第1の主面における対角線に沿って、前記第1の主面の側から複屈折位相差測定装置により測定される主面応力差分布が、前記対角線の中央の領域に、応力差の平均値が3MPa以下である中央領域を有し、前記対角線の長さdに対して、前記対角線の始点から0.15×d以内の領域、及び前記対角線の終点から0.15×d以内の領域の少なくとも一方の領域に、応力差の第1のピークと第2のピークを含む端部領域を有する、強化ガラス板。【選択図】図1

Description

本発明は、強化ガラス板、および強化ガラス板の製造方法に関する。
従来、ガラス板の強化方法として、下記特許文献1に示されるように、イオン交換を用いてガラス板の表層に化学強化層を形成する化学強化法、或いは、下記特許文献2に示されるように、加熱したガラス基板の表面を急冷することで該ガラス板の表層に圧縮応力層を形成する物理強化法が知られている。
特開2018-65744号公報 特許第5155873号公報
しかしながら、これらの方法では、ガラスの面方向の強度を等しく高められる一方、ガラスの辺や頂点といった端部から発生する割れを十分に防ぐことができなかった。
特に、ガラス板をスマートフォンの液晶表示装置のカバーガラスなどに用いる場合、カバーガラスの割れはカバーガラス頂点を起点とするものがほとんどであるため、頂点からの割れを有意に抑制する技術が求められている。
以上の背景を鑑みて、本発明は、ガラスの端部からの割れを抑制できる強化ガラス板、及びその製造方法の提供を目的とする。
本発明は、相互に対向する第1の主面と第2の主面を有する強化ガラス板であって、
前記第1の主面における対角線に沿って、前記第1の主面の側から複屈折測定装置により測定される主面応力差分布が、
前記対角線の中央の領域に、応力差の平均値が3MPa以下である中央領域を有し、
前記対角線の長さdに対して、前記対角線の始点から0.15×d以内の領域、及び前記対角線の終点から0.15×d以内の領域の少なくとも一方の領域に、応力差の第1のピークと第2のピークを含む端部領域を有する、強化ガラス板を提供する。
本発明は、相互に対向する第1の主面と第2の主面を有するガラス板の端部を局所加熱することにより強化する局所加熱工程を備えた強化ガラス板の製造方法を提供する。
本発明の強化ガラス板によれば、ガラスの端面からの割れ発生を抑制できる。
図1は、本発明の一実施形態における強化ガラス板の主面応力差分布を概略的に表した模式図である。 図2は、本発明の一実施形態における強化ガラス板を概略的に表した上面図である。 図3(a)および(b)はそれぞれ、従来の技術による強化ガラス板の応力分布の概略的な断面図および上面図であり、図3(c)は、従来の技術による強化ガラス板の主面応力差分布を概略的に表した模式図である。 図4(a)および(b)はそれぞれ、従来の技術による強化ガラス板の応力分布の概略的な断面図および上面図であり、図4(c)は、従来の技術による強化ガラス板の主面応力差分布を概略的に表した模式図である。 図5(a)および(b)はそれぞれ、本発明の実施形態1における強化ガラス板の応力分布の概略的な断面図および上面図であり、図5(c)は、本発明の実施形態1における強化ガラス板の主面応力差分布を概略的に表した模式図である。 図6は、本発明の実施形態1における強化ガラス板の製造方法のフローである。 図7(a)および(b)はそれぞれ、本発明の実施形態1の製造方法において、マイクロ波が照射される様子を概略的に表した模式上面図および模式断面図である。 図8(a)および(b)はそれぞれ、本発明の実施形態2における強化ガラス板の応力分布の概略的な断面図および上面図であり、図8(c)は、本発明の実施形態2における強化ガラス板の主面応力差分布を概略的に表した模式図である。 図9は、本発明の実施形態2における強化ガラス板の製造方法のフローである。 図10(a)および(b)はそれぞれ、本発明の実施形態3における強化ガラス板の応力分布の概略的な断面図および上面図であり、図10(c)は、本発明の実施形態3における強化ガラス板の主面応力差分布を概略的に表した模式図である。 図11は、本発明の実施形態3における強化ガラス板の製造方法のフローである。 図12は、本発明の実施例1における強化ガラス板の主面応力差分布測定結果である。 図13は、本発明の実施例1および比較例1における強化ガラス板のグラナイト板上落下試験結果である。 図14は、本発明の参考例1~5における強化ガラス板のグラナイト板上落下試験結果である。
本発明の強化ガラス板は、第1の主面における対角線に沿って第1の主面の側から複屈折位相差測定装置により測定される主面応力差分布が、対角線の中央の領域に、応力差の平均値が3MPa以下である中央領域を有し、上記対角線の長さdに対して、対角線の始点から0.15×d以内の領域、及び対角線の終点から0.15×d以内の領域の少なくとも一方の領域に、応力差の第1のピークと第2のピークを含む端部領域を有することを特徴とする。
図1には、本発明の一実施形態における強化ガラス板の主面応力差分布の模式図を示した。
本発明の強化ガラス板は、第1の主面における対角線の一端を始点A、もう一端を終点Bとすると、対角線AB間に、図1に示す模式図のような主面応力差分布110を有する。主面応力差分布は、対角線の長さの値をd(mm)とすると、始点Aから0.15×d(mm)以内の領域、または終点Bから0.15×d(mm)以内の領域にそれぞれ応力差の第1のピーク113と、第2のピーク114を有し、この領域をそれぞれ端部領域112と称する。端部領域112は、始点Aの側、または終点Bの側の片方に設けられてもよく、始点Aの側および終点Bの側の両方に設けられてもよい。
更に、本発明の強化ガラス板の主面応力差分布110は、上記端部領域112に加え、対角線ABの略中央の領域に、上記方法で測定される応力差の平均値が3MPa以下である中央領域111を有することを特徴とする。
ここで、本発明の強化ガラス板の主面応力差分布は、複屈折位相差測定装置により測定される。複屈折位相差測定では、試料への入射光と透過光の位相差を測定し、試料厚さとの関係から複屈折を算出し、応力差に変換することができる。
本発明では、強化ガラス板の第2の主面の側から光を入射させ、第1の主面の側からの透過光を観察することにより応力差を測定する。この方法により各点で測定される応力差の値とは、その点において板厚方向に分布する応力差を積算した値の絶対値である。
また、本発明の強化ガラス板の主面応力差分布は、強化ガラス板の第1の主面における対角線に沿って測定されたものである。ここで、対角線とは、第1の主面の形状である多角形の頂点と頂点を結んだ線分のうち、辺でないものを指す。図2(a)~図2(c)には、本発明の一様態における強化ガラス板の上面である第1の主面の模式図を示した。図2(a)では、強化ガラス板200は例えば矩形状であり、頂角201、202、203、204を有する。この時、対角線は、頂角201と203を結んだ対角線205、および頂角202と頂角204を結んだ対角線206を指す。
図2(b)、図2(c)にはそれぞれ、矩形状の頂角がR面取りされた強化ガラス板、矩形状の頂角がC面取りされた強化ガラス板の上面である第1の主面の模式図を示した。
図2(b)では、強化ガラス板210は略矩形状であり、R面取りされた頂角211、212、213、214を有する。この時、頂角211と212を結ぶ辺を辺211-212とすると、辺211-212の延長線と、同様に定義された辺211-214の延長線との交点を仮想頂角211’とし、辺212-213の延長線と、辺213-214の延長線との交点を仮想頂角213’として、仮想頂角211’と仮想頂角213’を結んだ直線のうち、強化ガラス板の外周に切り取られる線分、すなわち、図2(b)のA、Bを始点、終点とする線分を対角線215とする。同様にして、仮想頂角212’と仮想頂角214’を結んだ直線のうち、強化ガラス板の外周に切り取られる線分を対角線216とする。
図2(c)では、強化ガラス板220は略矩形状であり、C面取りされた頂角221、222、223、224を有する。この時、頂角221と222を結ぶ辺を辺221-222とすると、辺221-222の延長線と、同様に定義された辺221-224の延長線との交点を仮想頂角221’とし、辺222-223の延長線と、辺223-224の延長線との交点を仮想頂角223’として、仮想頂角221’と仮想頂角223’を結んだ直線のうち、強化ガラス板の外周に切り取られる線分、すなわち、図のA、Bを始点、終点とする線分を対角線225とする。同様にして、仮想頂角222’と仮想頂角224’とを結んだ直線のうち、強化ガラス板の外周に切り取られる線分を対角線226とする。
本発明の強化ガラス板の主面応力差分布において、端部領域112は、以下の実施形態で述べるような局所加熱工程により形成される応力差ピーク、すなわち、第1のピーク113と第2のピーク114を有する。これらの応力差ピークは、その点において圧縮応力が支配的であることに起因すると考えられる。従って、応力差ピークが存在することにより、ガラス端部において圧縮応力を大きくすることができ、端部を起点とした割れ発生を抑制することができる。
端部領域112に含まれる応力差ピークは2つに限られず、2つ以上であればよい。この時、端部領域の応力差ピークを、始点Aまたは終点Bに近い方から第1、第2、・・・と数えることとする。すなわち、始点Aから近い側のピークから第1のピーク、第2のピーク、・・・と称し、終点Bから近い側のピークから第1のピーク、第2のピーク、・・・と称する。
対角線の略始点A上、略終点B上に応力のピークが観測されることがあるが、実際に応力のピークが存在するわけではなく、測定法によるものであるので、このピークはカウントしない。なお、略始点A上および略終点B上とはそれぞれ、始点Aおよび終点Bから0.5mm以内の範囲を意味する。
また、端部領域と中央領域の境界は、次のように求められる。
まず、対角線の中央の領域において、応力差の平均値が3.0MPa以下の中央領域を特定する。次に、中央領域から始点Aまたは終点Bに向かい、始点Aまたは終点Bから0.15×d以内の領域に入って初めにぶつかるピークを特定する。そして、中央領域から該ピークに向かい応力差が増加する途中で、初めに3.0MPa超となった地点を、端部領域と中央領域の境界として認定する。例えば図1であれば、中央領域111と第2のピーク114の間の曲線上において、最初に応力差が3.0MPa超となった地点が境界である。
端部領域の第1のピークのピーク値は、端部領域に存在する応力差ピークの中で最大となることが好ましい。ここで、ピーク値とは、各応力差ピークの最大値を意味する。第1のピークのピーク値が端部領域において最大であると、強化ガラス板の最外部の圧縮応力を大きくできるため、端部を起点とした割れ発生を抑制しやすい。従って、端部領域の応力差ピーク数が2つである時、第1のピークのピーク値は第2のピークのピーク値より大きいことが好ましい。
端部領域の第1のピークのピーク値は、6MPa以上であることが好ましく、9MPa以上であることがより好ましく、12MPa以上であることが更に好ましい。第1のピークのピーク値がこの範囲であると、端部領域の圧縮応力層を十分に確保でき、強化ガラス板の端部からの割れを抑制できる。一方、第1のピークのピーク値は、30MPa以下であることが好ましい。第1のピークのピーク値がこの範囲であると、応力発生部の変形を抑えることができるため好ましい。
端部領域の第2のピークのピーク値は、5MPa以上であることが好ましく、8MPa以上であることが好ましく、10MPa以上であることがより好ましい。第2のピークのピーク値がこの範囲であると、端部領域の圧縮応力層を十分に確保でき、強化ガラス板の端部からの割れを抑制できるであるため好ましい。一方、第2のピークのピーク値は、20MPa以下であることが好ましい。第2のピークのピーク値がこの範囲であると、応力発生部の変形を抑えることができるため好ましい。
また、端部領域の応力差の積分値は、6kN以上であることが好ましく、10kN以上であることがより好ましく、15kN以上であることが更に好ましい。端部領域の応力差の積分値が上記範囲であると、端部領域に圧縮応力層を十分に形成できるため、強化ガラス板の端部からの割れを有意に抑制できる。一方、端部領域の応力差の積分値は、30kN以下であることが好ましい。端部領域の応力差の積分値が上記範囲であると、応力発生部の変形を抑えることができる。
ここで、端部領域における、各応力差ピークの間、すなわち第1のピーク113と第2のピーク114の間を応力差の谷115とすると、応力差の谷115の最小値は、5MPa以下であることが好ましく、3MPa以下であることがより好ましい。応力差の谷の最小値がこの範囲であると、前記応力差の積分値が一定の値であるとき、応力差の谷の最小値が上記範囲外である場合に比べて、第1のピークと第2のピークを大きくできるため好ましい。一方、応力差の谷の最小値は、0MPa以上であり、0.5MPa以上であることが好ましい。
端部領域は、始点Aまたは終点Bから0.15×d(mm)以内の距離にあり、より好ましくは、0.12×d(mm)以内であり、更に好ましくは0.10×d(mm)以内にある。端部領域が上記範囲であると、ガラス端部からの割れ発生を効果的に抑制できる。
または、端部領域は、始点Aまたは終点Bから好ましくは5mm以内、より好ましくは3mm以内の距離であると、ガラス端部からの割れ発生を効果的に抑制できる。
第1のピーク113のピーク値をとる位置は、好ましくは始点Aまたは終点Bから0.05×d(mm)以内であり、これにより強化ガラス板の端部の最外部の応力差を大きくできるため、起点となる割れ欠けの発生を抑制できる。
第2のピーク114のピーク値をとる位置は、好ましくは始点Aまたは終点Bから0.1×d(mm)以内であり、一方、好ましくは始点Aまたは終点Bから0.05×d(mm)超であり、これによりクラックの内部への進展を防ぐことができるため、好ましい。
一方、中央領域の応力差の平均値は3MPa以下であり、好ましくは2.0MPa以下であり、より好ましくは1.5MPa以下である。中央領域の応力差の平均値が上記範囲であると、クラックの内部への進展を抑制できるため好ましい。一方、中央領域の応力差の平均値は0MPa以上である。ここで、応力差の平均値とは、中央領域内で、対角線に沿って測定される各点での応力差の値の算術平均値を意味する。
中央領域は、対角線の始点Aおよび終点Bから、0.15×d(mm)超の領域である。好ましくは0.12×d(mm)超の領域であり、より好ましくは0.10×d(mm)超の領域である。
強化ガラス板の第1の主面および第2の主面の圧縮応力の値は、200MPa以上であることが好ましい。より好ましくは400MPa以上、更に好ましくは600MPa以上である。強化ガラス板の表面の圧縮応力の値が上記範囲であると、強化ガラス板の主面への衝撃に対する割れを抑制できるため好ましい。また表面の圧縮応力値を上記範囲にすることにより、強化ガラス板の曲げ強度も高めることができる。一方、強化ガラス板の第1の主面および第2の主面の圧縮応力の値は、例えば1000MPa以下であることが好ましい。なお、強化ガラス板の主面の圧縮応力値とは、複屈折位相差測定装置によって第1の主面の側で測定される主面応力差とは異なる点に留意する。
強化ガラス板の中央領域における引張応力の絶対値は、例えば100MPa以下であると、ガラス内部にクラックが伸展した際に、粉々に砕ける現象を抑制できるため好ましい。
以下では、本発明の強化ガラス板の詳細の様態について説明する。
(従来の実施形態)
まず、従来の強化ガラス板について説明する。図3(a)~図3(c)、図4(a)~図4(c)には、従来の化学強化法によって製造された強化ガラス板300、400における応力分布の模式的な断面図及び上面図と、測定されうる主面応力差分布310、410を示した。
図3(a)は、強化ガラス板300における、図3(b)の線分AB断面における応力分布の模式図である。また、図3(b)は、図3(a)におけるCC’断面における応力分布の模式図である。符号301は圧縮応力層の領域を表し、符号302は引張応力層の領域を表し、線分ABは始点をA、終点をBとする第1の主面における対角線(対角線AB)を表す。図3(c)は対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置によって測定した主面応力差分布310の模式図であり、符号311は中央領域を表し、符号312は端部領域を表す。
図3(a)~図3(c)に示すような応力分布および主面応力差分布は、化学強化を実施した強化ガラス板300に見られる。このような強化ガラス板300は、強化ガラス板300の表層全体に圧縮応力層301を有する。また、強化ガラス板全体で、圧縮応力の積分値と引張応力の積分値が釣り合うように、強化ガラス板は板厚方向かつ面方向の中央部に引張応力層302を有する。
このような応力分布を有する強化ガラス板300を、対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置を用いて測定すると、図3(c)に示すような主面応力差分布310が観測される。この時、対角線上の各点において測定される応力差の値は、その点における強化ガラス板の応力値を、板厚方向に積算した値である。ここで、圧縮応力の値は正に、引張応力の値は負に積算される。従って、中央領域311では、強化ガラス板の板厚方向に圧縮応力層301と、引張応力層302が存在するため、積算されると相殺され、測定される応力差の値は小さくなる。一方、端部領域では、板厚方向に圧縮応力層が支配的に存在するため、積算され高い応力差の値が測定されると考えられる。
従って、図3(c)に示すように、このような化学強化により得られる強化ガラス板300の主面応力差分布310は、端部領域に1つのピークを有すると考えられる。
また、例えば国際公開第2018/056329号のように、ガラス板の第1の主面および第2の主面の一部を被覆し化学強化することにより、ガラス板の面方向の応力分布を制御する技術が知られている。図4(a)~図4(c)は、ガラス板の面方向中央部を被覆して化学強化を実施し、製造された強化ガラス板400の応力分布および主面応力差分布の模式図である。
図4(a)は、強化ガラス板400における、図4(b)の線分AB断面における応力分布の模式図である。また、図4(b)は、図4(a)におけるCC’断面における応力分布の模式図である。符号401は圧縮応力層の領域を表し、符号402は引張応力層の領域を表し、線分ABは始点をA、終点をBとする第1の主面における対角線(対角線AB)を表す。図4(c)は対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置によって測定した主面応力差分布410の模式図であり、符号411は中央領域を表し、符号412は端部領域を表す。
この方法では、ガラス板の第1の主面および第2の主面のうち、被覆して化学強化した部分は、圧縮応力層401の深さが、被覆していない部分に比べ浅くなる。しかしながら、図4(c)に示すように、端部領域に観測されるピークは1つであると考えられる。
(実施形態1)
次に、本発明における強化ガラス板の実施形態1について説明する。
本発明の強化ガラス板500は、例えば図5(a)及び図5(b)のような応力分布と、図5(c)のような対角線に沿って測定される主面応力差分布を有している。
図5(a)は、強化ガラス板500における、図5(b)の線分AB断面における応力分布の模式図である。また、図5(b)は、図5(a)におけるCC’断面における応力分布の模式図である。符号501は圧縮応力層の領域を表し、符号502は引張応力層の領域を表し、線分ABは始点をA、終点をBとする第1の主面における対角線(対角線AB)を表す。図5(c)は対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置によって測定した主面応力差分布510の模式図であり、符号511は中央領域を表し、符号512は端部領域を表す。
図5(a)~図5(c)に示すような応力分布および主面応力差分布は、化学強化を実施せず、各頂点を局所加熱により強化した強化ガラス板500に見られる。ガラス板の各頂点を局所加熱すると、局所加熱された領域が、外周から冷却されていくため、局所加熱された領域の外周に圧縮応力層が形成され、局所加熱された領域の中央部に引張応力層が形成されるため、図5(a)及び図5(b)のような応力分布が形成されると考えられる。
このような応力分布を有する強化ガラス板500を、対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置を用いて測定すると、図5(c)に示すような主面応力差分布510が観測される。主面応力差分布510では、対角線の始点Aまたは終点Bから出発し中央領域に向かうと、板厚方向に圧縮応力領域が支配的な領域と、圧縮応力領域および引張応力領域が存在する領域と、再び圧縮応力領域が支配的な領域が交互に現れる。これにより、主面応力差分布510は、端部領域に第1のピーク513と第2のピーク514の2つのピークを有する。一方、強化されていない領域を符号503で示すが、中央領域は強化されていないため、応力差の平均値が3MPa以下となる。
(実施形態1の製造方法)
続いて、実施形態1の強化ガラス板の製造方法について説明する。図6には実施形態1の強化ガラス板の製造方法のフロー図を模式的に示す。図6に示すように、本発明の実施形態1の強化ガラス板の製造方法では、下記の工程S610、工程S620、及び工程S630を有する。
(工程S610)相互に対向する第1の主面と第2の主面を有するガラス板を準備する工程(ガラス板準備工程)
(工程S620)前記ガラス板の頂角を局所加熱する工程(局所加熱工程)
(工程S630)前記ガラス板の表面を急冷する工程(冷却工程)
以下、図7(a)及び図7(b)を参照して、各工程について説明する。
(工程S610)
まず、被加工用のガラス板700が準備される。ガラス板700は、相互に対向する第1の主面と第2の主面を有し、例えば矩形状である。ガラス板700の第1の主面、第2の主面は研磨されてもよく、被加工用ガラス板700の頂角は面取りされてもよい。
(工程S620)
次に、ガラス板700の頂角が局所加熱される。本明細書において、ガラス板の頂角とは、ガラス板の端部に含まれる概念であり、ガラス板の頂角に代えて、又は頂角と共に、ガラス板の辺を局所加熱してもよい。すなわち、本工程S620は、ガラス板の端部を局所加熱することにより強化する局所加熱工程と読み替えることができる。
局所加熱とは、被加熱部分の温度を上昇させ、周囲との温度差を発生させる加熱方法である。一般的な加熱方法として、例えばバーナーによる加熱や、レーザ照射による吸収熱の利用等、伝熱による方法が挙げられる。しかしながら、伝熱による方法では、周囲との温度差が発生させにくいため、局所加熱を実施するには、ガラス板全体を冷却しつつ、目的の箇所を加熱するなどの工夫が必要である。
一方、以下で説明する誘電加熱法であると、被加熱部分と周囲の温度差を増大させやすく、好ましい。誘電加熱法としては、例えばMHzの周波数帯を利用する高周波誘電加熱法、GHz帯の周波数帯を利用するマイクロ波誘電加熱法が挙げられる。
誘電加熱法では、誘電体に高周波電圧を加えることで、誘電体内に発生した双極子が回転し、周囲の分子と摩擦することにより発熱する。従って、誘電加熱法では、物質の誘電損失と比誘電率が大きいほど加熱されやすい。ガラスでは、温度が高いほどこれらの値が増大するため、一度温度の上昇が始まると、その部分が重点的に加熱されることになり、周囲との温度差が増大しやすい。そのため、局所的な加熱に適している。また、ガラスの圧縮応力層と内部の引張応力層は、冷却時の温度差に応じて生じるため、誘電加熱のように加熱部と周囲の温度差を増大できる方法であると、高い応力値を有する圧縮応力層が得られるため、好ましい。
誘電加熱法の中でも、特にマイクロ波を照射することにより加熱する、マイクロ波誘電加熱法が好ましい。マイクロ波誘電加熱法は、高周波誘電加熱法に比べ高い出力を実現でき、より効率的に加熱できるため好ましい。また、マイクロ波誘電加熱法であると、ガラスの組成に関わらず効率的な局所加熱が可能であるため、好ましい。
マイクロ波の波長の範囲は、好ましくは2.45GHz以上であると、使用制限のないISM周波数体であるため好ましい。
図7(a)及び図7(b)は、ガラス板700の頂角に、マイクロ波を照射する際の設置形態の模式図である。ここで、図7(a)は設置形態の上面図を、図7(b)は設置形態の側面図を示している。図7(a)及び図7(b)において、ガラス板700は支持板である窒化アルミボード710上に設置され、ガラス板700の一つの角が導波管720の管内に挿入されている。導波管720は、マイクロ波を発生し、マイクロ波は、ガラス板700の導波管720内に挿入されている領域に照射される。マイクロ波の照射領域は、特に限られないが、対角線の始点または終点から0.15×d(mm)以内であり、より好ましくは0.12×d(mm)以内であり、更に好ましくは0.10×d(mm)以内に照射される。照射領域が上記範囲であると、第1のピークおよび第2のピークのピーク値を大きくでき、強化ガラス板表面の硬度を高めることができる。
マイクロ波の照射方向は特に限られないが、例えばガラス板700の主面に垂直な方向から照射してもよく、主面に平行な方向から照射してもよい。好ましくは、主面に垂直な方向から照射することにより、ガラス板700を均一に加熱できる。
マイクロ波の出力は、好ましくは100W以上であり、より好ましくは300W以上であり、更に好ましくは500W以上である。マイクロ波の出力が上記範囲であると、短時間の加熱処理が可能である。
マイクロ波の照射時間は、好ましくは15秒以上であり、より好ましくは30秒以上であり、更に好ましく45秒以上である。マイクロ波の照射時間が上記範囲であると、照射領域の温度が十分に上昇する。一方、マイクロ波の照射時間は好ましくは300秒以下であり、より好ましくは240秒以下であり、更に好ましくは180秒以下であり、これにより、ガラス板の変形を防ぐことができる。
マイクロ波の照射中、ガラス板700に冷却媒体を吹き付けてもよい。冷却媒体は特に限られないが、空気などが挙げられる。冷却媒体を吹き付けることでガラス板の変形を抑制できる。
(工程S630)
加熱を完了したガラス板700の表面を急冷する工程が実施される。ガラス板表面を急冷することで、局所加熱領域において、ガラス板内部とガラス板表面で温度差が生じ、ガラス板表面に圧縮応力層が、ガラス板内部に引張応力層がそれぞれ形成される。冷却方法は特に限られないが、例えば送風機や高圧装置による空冷の他、液冷、ミスト冷却、その他接触式の冷却装置を使用する方法などが挙げられる。特に空冷であると安価であるため好ましい。
以上の工程により、本発明の実施形態1の強化ガラス板が製造できる。
(実施形態2)
次に、本発明における強化ガラス板の実施形態2について説明する。
本発明の強化ガラス板800は、例えば図8(a)及び図8(b)のような応力分布と、図8(c)のような対角線に沿って測定される主面応力差分布810を有している。
図8(a)は、強化ガラス板800における、図8(b)の線分AB断面における応力分布の模式図である。また、図8(b)は、図8(a)におけるCC’断面における応力分布の模式図である。符号801は圧縮応力層の領域を表し、符号802は引張応力層の領域を表し、線分ABは始点をA、終点をBとする第1の主面における対角線(対角線AB)を表す。図8(c)は対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置によって測定した主面応力差分布810の模式図であり、符号811は中央領域を表し、符号812は端部領域を表す。
図8(a)~図8(c)に示すような応力分布および主面応力差分布は、化学強化を実施し、更に各頂点を局所加熱により強化した強化ガラス板800に見られる。すなわち、本発明における強化ガラス板は、化学強化ガラスであることが好ましい。ガラス板を化学強化することにより、ガラス板のガラス板の各頂点を局所加熱すると、局所加熱された領域が、外周から冷却されていく。そのため、局所加熱された領域の外周には圧縮応力層が形成され、局所加熱された領域の中央部には引張応力層が形成されるため、図8(a)及び図8(b)のような応力分布が形成されると考えられる。
このような応力分布を有する強化ガラス板800を、対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置を用いて測定すると、図8(c)に示すような主面応力差分布810が観測される。主面応力差分布810では、対角線の始点Aまたは終点Bから出発し中央領域に向かうと、板厚方向に圧縮応力領域が支配的な領域と、圧縮応力領域および引張応力領域が存在する領域と、再び圧縮応力領域が支配的な領域が交互に現れる。これにより、主面応力差分布810は、端部領域に第1のピーク813と第2のピーク814の2つのピークを有する。一方、中央領域は強化されていないため、応力差の平均値が3MPa以下となる。
実施形態2の強化ガラス板では、強化ガラス板の第1の主面および第2の主面の圧縮応力の平均値を200MPa以上にしやすく、強化ガラス板全体の表面強度を高めることができ、強化ガラス板の主面への衝撃に対する割れを抑制できるため好ましい。また表面の圧縮応力値を上記範囲にすることにより、強化ガラス板の曲げ強度も高めることができる。更に、実施形態2の強化ガラス板では、中央領域の引張応力の絶対値は、例えば60MPa以下であると好ましい。
(実施形態2の製造方法)
続いて、実施形態2の強化ガラス板の製造方法について説明する。図9には実施形態2の強化ガラス板の製造方法のフロー図を模式的に示す。図9に示すように、本発明の実施形態2の強化ガラス板の製造方法では、下記の工程S910、工程S920、工程S930及び工程S940を有する。
(工程S910)相互に対向する第1の主面と第2の主面を有するガラス板を準備する工程(ガラス板準備工程)
(工程S920)ガラス板を化学強化する工程(化学強化工程)
(工程S930)前記ガラス板の頂角を局所加熱する工程(局所加熱工程)
(工程S940)前記ガラス板の表面を急冷する工程(冷却工程)
以下で、各工程について説明する。
(工程S910)
実施形態1の工程S610と同様に、ガラス板を準備する。
(工程S920)
次に、工程S930の局所加熱工程の前に、ガラス板を化学強化する。化学強化処理とは、ガラス板の表面のイオン半径が小さいアルカリ金属イオン(例えば、ナトリウムイオン、または、リチウムイオン)をイオン半径の大きなアルカリ金属イオン(例えば、カリウムイオン、または、ナトリウムイオン)に置換する処理をいう。例えば、ナトリウムイオンを含有するガラスを、カリウムイオンを含む溶融処理塩で処理することにより行うことができる。また、リチウムイオンを含有するガラスを、ナトリウムイオンを含む溶融処理塩で処理することにより行うことができる。このような化学強化処理を行う事により、ガラス板表面に圧縮応力層が形成され、ガラス板表面全体の強度を高められるため、カバーガラスなどに適用した際、衝撃による割れを防ぐことができるため、好ましい。
なお、このようなイオン交換処理が行われることにより、ガラス板表面の圧縮応力層の組成はイオン交換処理前の組成と若干異なるが、ガラス板深層部の組成はイオン交換処理前の組成とほぼ同じである。
溶融塩は、単一の塩でもよく、複数の塩や添加剤を含んでいてもよい。また、化学強化工程は、多段階で実施されてもよい。例えば、ガラス板をナトリウムイオンを含む塩に浸漬した後、カリウムイオンを含む塩に浸漬してもよい。
ガラス板とアルカリ金属イオンを含む溶融塩とを接触させる処理温度および処理時間は、ガラス板および溶融塩の組成に応じて適宜調整する。溶融塩の加熱温度は、通常350℃以上が好ましく、370℃以上がより好ましい。また、通常500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。溶融塩の加熱温度を350℃以上とすることにより、イオン交換速度の低下により化学強化が入りにくくなるのを防ぐことができる。また、500℃以下とすることにより溶融塩の分解・劣化を抑制することができる。
ガラス板を溶融塩に接触させる時間は、十分な圧縮応力を付与するためには、通常10分以上が好ましく、15分以上がより好ましい。また、長時間のイオン交換では、生産性が落ちるとともに、緩和により圧縮応力値が低下するため、12時間以下が好ましく、8時間以下がより好ましく、2時間以下がさらに好ましい。
化学強化工程の後に、水による洗浄やガラス板の表面の酸、アルカリ処理などを行ってもよい。
(工程S930)・(工程S940)
次に、実施形態1の工程S620及び工程S630と同様に、局所加熱工程と冷却工程が実施される。
以上の工程により、実施形態2のような主面応力差分布を有する強化ガラス板を製造できる。
(実施形態3)
次に、本発明における強化ガラス板の実施形態3について説明する。
本発明の強化ガラス板1000は、例えば図10(a)及び図10(b)のような応力分布と、図10(c)のような対角線に沿って測定される主面応力差分布1010を有している。
図10(a)は、強化ガラス板1000における、図10(b)の線分AB断面における応力分布の模式図である。また、図10(b)は、図10(a)におけるCC’断面における応力分布の模式図である。符号1001は圧縮応力層の領域を表し、符号1002は引張応力層の領域を表し、線分ABは始点をA、終点をBとする第1の主面における対角線(対角線AB)を表す。図10(c)は対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置によって測定した主面応力差分布1010の模式図であり、符号1011は中央領域を表し、符号1012は端部領域を表す。
図10(a)~図10(c)に示すような応力分布および主面応力差分布は、1回目の化学強化(プレ化学強化)を実施し、各頂点を局所加熱により強化した後、更に2回目の化学強化(本化学強化)を実施した強化ガラス板1000に見られる。ガラス板をプレ化学強化することによりガラス板表面全体に圧縮応力層を形成できる。更に、ガラス板の各頂点を局所加熱すると、局所加熱された領域が、外周から冷却されていくため、局所加熱された領域の外周には圧縮応力層が形成され、局所加熱された領域の中央部には引張応力層が形成される。更に追加で本化学強化を実施することで、局所加熱・冷却により形成した圧縮応力層の応力の値は1/3になる一方、ガラス板表面全体の圧縮応力値を再び大きくすることができるため、強化ガラス板全体の表面強度を高めつつ、更に端面からの割れを有意に抑制した強化ガラス板が得られる。
このような応力分布を有する強化ガラス板1000を、対角線ABに沿って、第1の主面の側から複屈折位相差測定装置を用いて測定すると、図10(c)に示すような主面応力差分布1010が観測される。主面応力差分布1010では、対角線の始点Aまたは終点Bから出発し中央領域に向かうと、板厚方向に圧縮応力領域が支配的な領域と、圧縮応力領域および引張応力領域が存在する領域と、再び圧縮応力領域が支配的な領域が交互に現れる。これにより、主面応力差分布1010は、端部領域に2つのピークを有する。一方、中央領域は強化されていないため、応力差の平均値が3MPa以下となる。
実施形態3の強化ガラス板では、強化ガラス板の第1の主面および第2の主面の圧縮応力の平均値を400MPa以上にしやすいため、強化ガラス板全体の表面強度を高めることができ、強化ガラス板の主面への衝撃に対する割れを抑制できるため好ましい。また表面の圧縮応力値を上記範囲にすることにより、強化ガラス板の曲げ強度も高めることができる。
実施形態3の強化ガラス板では、端部領域の第1のピーク1013のピーク値は、端部領域に存在する応力ピークの中で最大となりやすく、好ましい。すなわち、端部領域の応力ピークが2つである時、第1のピーク1013は第2のピーク1014より大きくなりやすい。第1のピークを最大とすることで、強化ガラス板の最外部の圧縮応力を大きくできるため、端部を起点とした割れ発生を特に抑制しやすい。
(実施形態3の製造方法)
続いて、実施形態3の強化ガラス板の製造方法について説明する。図11には実施形態3の強化ガラス板の製造方法のフロー図を模式的に示す。図11に示すように、本発明の実施形態3の強化ガラス板の製造方法では、下記の工程S1110、工程S1120、S1130、工程S1140、及び工程S1150を有する。
(工程S1110)相互に対向する第1の主面と第2の主面を有するガラス板を準備する工程(ガラス板準備工程)
(工程S1120)ガラス板を化学強化する工程(プレ化学強化工程)
(工程S1130)前記ガラス板の頂角を局所加熱する工程(局所加熱工程)
(工程S1140)前記ガラス板の表面を急冷する工程(冷却工程)
(工程S1150)前記ガラス板を再び化学強化する工程(本化学強化工程)
以下で、各工程について説明する。
(工程S1110)
実施形態1の工程S610と同様に、ガラス板を準備する。
(工程S1120)
次に、ガラス板を化学強化する。
実施形態3では、局所加熱工程の後に本化学強化を実施するため、工程S1120ではプレ化学強化として比較的短時間でよい。強化時間は例えば4時間以下であり、好ましくは3時間以下であり、より好ましくは1時間以下である。プレ化学強化工程により、局所加熱工程時の割れ抑制という効果が得られる。
(工程S1130)・(工程S1140)
次に、実施形態1の工程S620及び工程S630と同様に、局所加熱工程と冷却工程が実施される。
(工程S1150)
工程S1130の局所加熱工程の後に、本化学強化工程が実施される。
本化学強化工程を実施することにより、強化ガラス板の第1の主面および第2の主面の最表面における圧縮応力値を高め、ガラス板の強度を向上でき、また、端部領域の第1のピークを第2のピークより大きくしやすいため、好ましい。本化学強化工程では、ガラス板はプレ化学強化よりも長い時間浸漬されることが好ましい。好ましくは4時間以上であり、より好ましくは5時間以上であり、更に好ましくは10時間以上であり、これによりガラス板表層に圧縮応力層を形成できる。また、本化学強化工程は、2段階のイオン交換により実施されることが好ましい。2段階のイオン交換の実施により、ガラス板の強度をより高められる。
以上の工程により、実施形態3における強化ガラス板が製造される。
(その他の構成)
次に、本発明の強化ガラス板の応力分布以外の構成について説明する。
(ガラス組成)
本発明の強化ガラス板の母組成は特に限られないが、例えば、アルミノシリケートガラス、ソーダライムガラス、ボロシリケートガラス(ホウ珪酸ガラス)、鉛ガラス、アルカリバリウムガラス、アルミノボロシリケートガラス(アルミノホウ珪酸ガラス)等が挙げられる。
化学強化処理に供する場合、イオン半径の小さなアルカリ金属イオン(例えば、イオン半径がカリウムより小さいアルカリ金属イオン、またはナトリウムより小さいアルカリ金属イオン)を含有するガラスを用いることが好ましく、リチウムを含有することがより好ましい。当該ガラスの組成は、表面圧縮応力を十分付与するとともに、圧縮応力層の厚みを短時間で入れることができるようにするという観点から、SiO、Al、NaO、およびMgO、または、SiO、Al、LiO、およびMgOを含むことが好ましい。以下で、各成分について説明する。
SiOは、ガラス骨格を形成する必須成分である。
NaOは、イオン交換処理において主としてカリウムイオンと置換されることによってガラスを化学強化するとともに、熱膨張係数を制御し、ガラスの高温粘度を低下させて溶融性や成形性を高める成分である。
LiOは、イオン交換処理において主としてナトリウムイオンと置換されることによってガラスを化学強化するとともに、熱膨張係数を制御し、ガラスの高温粘度を低下させて溶融性や成形性を高める成分である。
Alは、ガラス転移温度(Tg)、耐候性、ヤング率を高くする効果を有し、さらにガラス表面のイオン交換性能を向上させる成分である。
MgOは、ガラスを傷つきにくくするとともに、ガラスの溶解性を向上させる成分である。
ZrOは、イオン交換速度を向上させ、ガラスの化学的耐久性や硬さを向上させる成分であり、含有した方が好ましい場合がある。
また、化学強化処理に供するガラスとしては、例えば、以下の組成のガラスが使用される。
(i)酸化物基準のモル%で表示した組成で、SiOを50~80%、Alを2~25%、LiOを0~10%、NaOを0~18%、KOを0~10%、MgOを0~15%、CaOを0~5%およびZrOを0~5%を含むガラス。
(ii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを50~74%、Alを1~10%、NaOを6~14%、KOを3~11%、MgOを2~15%、CaOを0~6%およびZrOを0~5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が75%以下、NaOおよびKOの含有量の合計が12~25%、MgOおよびCaOの含有量の合計が7~15%であるガラス。
(iii)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを68~80%、Alを4~10%、NaOを5~15%、KOを0~1%、MgOを4~15%およびZrOを0~1%含有するガラス。
(iv)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを67~75%、Alを0~4%、NaOを7~15%、KOを1~9%、MgOを6~14%およびZrOを0~1.5%含有し、SiOおよびAlの含有量の合計が71~75%、NaOおよびKOの含有量の合計が12~20%であり、CaOを含有する場合その含有量が1%未満であるガラス。
(v)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを60~75%、Alを5~15%、MgOを0~12%、CaOを0~3%、ZrOを0~3%、LiOを10~20%、NaOを0~8%、KOを0~5%含有し、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが25%以下、LiOの含有量とROの比LiO/ROが0.5~1.0であるガラス。
(vi)酸化物基準のモル%で表示した組成が、SiOを61~72%、Alを8~17%、LiOを6~18%、NaOを2~15%、KOを0~8%、MgOを0~6%、CaOを0~6%、TiOを0~4%、ZrOを0~2.5%含有し、LiO、NaOおよびKOの含有量の合計ROが15~25%、LiOの含有量とROの比LiO/ROが0.35~0.8、MgOおよびCaOの含有量の合計が0~9%であるガラス。
下記実施例で記載した組成比率は、原料として投入した量を元に記載している。一方、強化済みガラス板の母組成を測定する場合は、例えばガラス板の表面から50~200μmを除去した後、湿式法や蛍光X線により測定すればよい。蛍光X線は簡便であるが、湿式法を用いることにより、より精度の高い測定が可能である。湿式法は、例えばICP-AESやICP-MSなどが用いられる。
(強化ガラス板の形状)
本発明の強化ガラス板は、相互に対向する第1の主面と第2の主面を有する。各主面は、例えば図2(a)~図2(c)の上面図に示すように矩形状に形成されている。ここで、「矩形状」とは、正方形状や長方形状をいい、コーナ部分が丸みを帯びた形状を含む。なお、強化ガラス板の第1の主面と第2の主面は矩形状であることが好ましいものの、かかる主面の形状に制限はなく、例えば三角形状などの多角形状であってもよいし、円形状や楕円形状などであってもよい。
本発明の強化ガラス板は、第1の主面と第2の主面を接続する端面を有してもよい。この時、強化ガラス板は主面と端面からなる多面体となるが、多面体の一部の辺は面取りされてもよい。面取り形状は、例えばC面取り、R面取り、楕円形状などで合ってもよく、複数のC面取りやR面取りを組み合わせた形状でもよい。
本発明の強化ガラス板の厚さは、特に限られないが、好ましくは2mm以下であると、マイクロ波による局所加熱の効果を有意に得ることができる。1mm以下であると、化学強化しやすくより好ましい。カバーバラスに適用する場合、好ましくは0.7mm以下、より好ましくは0.5mm以下である。一方、厚さは0.05mm以上であると、強化ガラス板の強度を担保できるため好ましい。
(その他の実施形態)
本発明の強化ガラス板は、ガラス板の各辺が強化されていてもよい。
本発明の強化ガラス板は、略円形であり、円周に沿って強化されていてもよい。この場合、対角線として円の直径が定義される。
(評価方法)
本発明の強化ガラス板の強度は、下記方法で評価する。
(グラナイト板上落下試験方法)
硬質ナイロン製のモック板(120mm×60mm)の片面に強化ガラス板(120mm×60mm×板厚t(mm))を発泡体基材の両面テープ(120mm×60mm×テープ厚0.3(mm)、例えばDIC社の型番DIC#84030SP)を介して貼り合わせ、モック板の反対の面におもり(110mm×40mm×厚さ2.3mm)を両面テープ(厚さ0.24mm、例えば恵比寿化成製#729N)を介して張り合わせ、測定試料を作製する。次に、グラナイト板(表面粗さNo.12)上に、作製した測定試料を、強化ガラス板を下向きにして、グラナイト板の表面に所定の高さ(落下高さ)から落下させる。落下試験は、測定試料のガラス面がグラナイト板と平行な状態での落下と、測定試料の角のうち1つと測定試料の中央を結ぶ線分と、グラナイト板のなす角度が11度となる状態での落下を各角に対して行った。落下高さ:10mmから開始して、5mmずつ高さを上げて実施し、強化ガラス板が割れた高さを割れ高さ(単位mm)とする。
(組成)
本発明の実施形態では、下記表1に記載の組成A~組成Eを有するガラスを用いて実験を行った。表1中の数値はモル%表示での含有量である。
Figure 2022122586000002
(実施例1)
本発明の実施例1における強化ガラス板は、上記実施形態3の製造方法に沿って作製した。各工程の実際の条件について、以下で詳細を説明する。
(工程S1110)相互に対向する第1の主面と第2の主面を有するガラス板を準備する工程(ガラス板準備工程)
実施例1では、表1の組成Aを有するガラスを用いてガラス板を準備した。ガラス板の形状は矩形であり、長辺120mm、短辺60mm、厚さ0.7mmであった。ガラス板の4辺は面取りした。
(工程S1120)ガラス板を化学強化する工程(プレ化学強化工程)
前記ガラス板を硝酸カリウム溶融塩に450℃で1時間浸漬し、ガラス板表面を化学強化した。
(工程S1130)前記ガラス板の頂角を局所加熱する工程(局所加熱工程)
前記ガラス板を図7(a)及び図7(b)のように設置し、ガラス板の四隅にマイクロ波を照射することで四隅を局所加熱した。支持板として窒化アルミボード710を用い、マイクロ波は出力0.3kWで、1分間、ガラス板の頂点と、頂点から長辺方向に5mmの点と、短辺方向に5mmの点を結んだ三角形の領域に照射した。マイクロ波の照射中、窒化アルミボードは300℃に加熱され、同時に、ガラス板の四隅に向けて空気を噴射することによりガラス板を空冷した。
(工程S1140)前記ガラス板の表面を急冷する工程(冷却工程)
マイクロ波の照射後、ガラス板の四隅に向けた空気の噴射を継続し、室温に戻るまで冷却した。工程S1130および工程S1140により、ガラス板の四隅が局所強化された。
(工程S1150)前記ガラス板を再び化学強化する工程(本化学強化工程)
マイクロ波強化されたガラス板を、硝酸カリウム35重量%と、硝酸ナトリウム55wt%とを混合した溶融塩に450℃で14時間浸漬した後、更に硝酸カリウム溶融塩に400℃で12分間浸漬することで化学強化した。以上の工程により、実施例1における強化ガラス板のサンプルを作製した。
得られたサンプルの一方の主面を第1の主面とし、第1の主面の側の対角線に沿って複屈折位相差測定を行い、得られた主面応力差分布を図12に示した。図12に示すように、実施例1における強化ガラス板は、対角線の中央の領域に、応力の平均値が3MPa以下である中央領域を有し、対角線の長さdに対して、対角線の始点及び終点から0.15×d以内の両領域に、応力の第1のピークと第2のピークを含む端部領域が共に形成されていることが分かる。なお、図12内の破線の位置は、ガラスの端部を意味している。
(グラナイト板上落下試験)
次に、実施例1の方法で同様の強化ガラス板のサンプルを13枚作製し、上述のグラナイト板上落下試験方法に記載の方法で評価した。測定された割れ高さの分布を、図13の箱ひげ図に示した。なお、本明細書における箱ひげ図では、箱下端は第1四分位点を、箱上端は第3四分位点を表し、ひげの上端、下端はそれぞれ最大値、最小値を表す。
(比較例1)
次に、比較例1のサンプルを作製する。比較例1では、工程S1130(局所加熱工程)を実施しなかったこと以外は実施例1と同様の条件でサンプルを作製した。サンプルは12枚作製し、グラナイト板上落下試験を実施した。測定された割れ高さの分布を、図13の箱ひげ図に示した。
図13に示すように、マイクロ波により局所強化を施した実施例1と、局所強化を実施しなかった比較例1の間にはグラナイト板上落下試験における割れ高さに有意な差がみられた。このように、化学強化だけを施した強化ガラス板(比較例1)に対し、局所加熱強化を行った強化ガラス板(実施例1)は、グラナイト板上落下試験における割れ耐性が向上する。
(参考例1~5)
次に、組成B~組成Eのガラスを用い、強化条件を変更して参考例1~5の強化ガラス板を作製した。実施例1からの変更点を下記表2にまとめた。
Figure 2022122586000003
参考例1~5で作製した強化ガラス板のサンプルを各15枚準備し、グラナイト板上落下試験を実施した。測定された割れ高さの分布を図14の箱ひげ図に示した。参考例1~5で作製したサンプルは、硝材や化学強化の条件を工夫することで比較例1よりも割れ耐性を高められたが、いずれも実施例1で作製した局所加熱工程を実施したサンプルよりも割れ耐性が低くなった。
200、210、220、300、400、500、800、1000 強化ガラス板
700 ガラス板
301、401、501、801、1001 圧縮応力層
302、402、502、802、1002 引張応力層
503 強化されていない領域
110、310、410、510、810、1010 主面応力差分布
111、311、411、511、811、1011 中央領域
112、312、412、512、812、1012 端部領域
113、513、813、1013 第1のピーク
114、514、814、1014 第2のピーク
115、515、815、1015 応力差の谷
201~204、211~214、221~224 頂角
205、206、215、216、225、226 対角線
710 窒化アルミボード
720 導波管

Claims (13)

  1. 相互に対向する第1の主面と第2の主面を有する強化ガラス板であって、
    前記第1の主面における対角線に沿って、前記第1の主面の側から複屈折位相差測定装置により測定される主面応力差分布が、
    前記対角線の中央の領域に、応力差の平均値が3MPa以下である中央領域を有し、
    前記対角線の長さdに対して、前記対角線の始点から0.15×d以内の領域、及び前記対角線の終点から0.15×d以内の領域の少なくとも一方の領域に、応力差の第1のピークと第2のピークを含む端部領域を有する、強化ガラス板。
  2. 前記第1のピークのピーク値は6MPa以上であり、前記第2のピークのピーク値は5MPa以上である、請求項1に記載の強化ガラス板。
  3. 前記第1のピークのピーク値は、前記第2のピークのピーク値より大きい、請求項1または2に記載の強化ガラス板。
  4. 前記第1の主面の圧縮応力の値が200MPa以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の強化ガラス板。
  5. 化学強化ガラスである、請求項1~4のいずれか1項に記載の強化ガラス板。
  6. 前記第1の主面は矩形状である、請求項1~5のいずれか1項に記載の強化ガラス板。
  7. 厚さが0.05mm~1mmである、請求項1~6のいずれか1項に記載の強化ガラス板。
  8. リチウムを含有する、請求項1~7のいずれか1項に記載の強化ガラス板。
  9. 相互に対向する第1の主面と第2の主面を有するガラス板の端部を局所加熱することにより強化する局所加熱工程を備えた強化ガラス板の製造方法。
  10. 前記局所加熱は、誘電加熱である、請求項9に記載の強化ガラス板の製造方法。
  11. 前記誘電加熱は、マイクロ波を照射することにより実施される、請求項10に記載の強化ガラス板の製造方法。
  12. 前記局所加熱工程の前に、化学強化工程を有する、請求項9~11のいずれか1項に記載の強化ガラス板の製造方法。
  13. 前記局所加熱工程の後に、化学強化工程を有する、請求項9~12のいずれか1項に記載の強化ガラス板の製造方法。
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