JP2022118459A - Liドープp型NiO薄膜の製造方法 - Google Patents

Liドープp型NiO薄膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低抵抗のLiドープp型NiO薄膜を得ることのできるLiドープp型NiO薄膜の製造方法を提供する。【解決手段】気相成長法によりLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を成膜し、得られた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)をアニールする、Liドープp型NiO薄膜の製造方法において、多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)の成膜温度と、その後のアニール温度とを、特定の範囲とする。具体的には、成膜を100℃以下の温度で実施し、アニールを100~300℃の温度で実施する。【選択図】図1

Description

本発明は、Liドープp型NiO薄膜の製造方法に関する。
正孔を荷電担体とするp型酸化物半導体の1種であるp型NiOの薄膜は、各種の表示デバイス等のホール注入電極や、発光ダイオード(LED)、レーザーダイオード(LD)、紫外線検出器等のp型層として使用されている。
p型NiO薄膜の製造方法としては、例えば、耐熱性単結晶基板を用いて、気相成長法により、基板温度を100℃以下に保持した状態で、アクセプタとしてのLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を基板上に成膜し、次いで、得られた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を600~1500℃でアニールすることにより、単結晶化薄膜を得る方法が提案されている(特許文献1参照)。
特許文献1の方法によれば、アクセプタがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を得た後に、アニールによりp型NiO薄膜を結晶化さることで、表面の凹凸を小さくすることが可能となり、その結果、原子レベルで平坦なテラスとサブナノメータ(nm)のステップから構成された、原子オーダーで平坦な表面を有するp型NiO薄膜が形成できるとされている。
特開2004-091253号公報
しかしながら、特許文献1の方法によって得られるp型NiO結晶薄膜は、未だ十分に低抵抗なものではなく、更なる低抵抗化が求められていた。
本発明は、上記の背景に鑑みてなされたものであり、低抵抗のp型NiO薄膜を得ることのできるLiドープp型NiO薄膜の製造方法を提供することにある。
本発明者は、上記の課題を解決するため、Liドープp型NiO薄膜の製造の際の多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)の成膜温度と、その後のアニール温度について詳細に検討した。そして、これらの温度を特定の範囲とすれば、低抵抗のLiドープp型NiO結晶薄膜が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
《態様1》
気相成長法によりLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜を成膜し、前記多結晶p型NiO薄膜をアニールする、Liドープp型NiO薄膜の製造方法であって、
前記成膜を、100℃以下の温度で実施し、
前記アニールを、100~300℃の温度で実施する、
Liドープp型NiO薄膜の製造方法。
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法によれば、低抵抗のLiドープp型NiO薄膜を得ることができる。
実験例1のアニール温度と抵抗率との関係を示す図である。 実験例2のアニール温度と抵抗率との関係を示す図である。 実験例3のアニール温度と抵抗率との関係を示す図である。 実験例4のアニール温度と抵抗率との関係を示す図である。 実験例5の成膜温度と抵抗率との関係を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について詳述する。なお、本発明は、以下の実施の形態に限定されるのではなく、種々変形して実施することができる。
《Liドープp型NiO薄膜の製造方法》
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法は、気相成長法によりLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を成膜し、多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)をアニールする、Liドープp型NiO薄膜の製造方法である。そして、多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)の成膜温度と、その後のアニール温度とを、特定の範囲とするものである。
<Liドープp型NiO>
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法で得られるLiドープp型NiOは、NiO半導体を主成分とするp型酸化物半導体であって、ニッケル(Ni)の金属酸化物を含むものである。
「主成分」とは、Liドープp型NiOの全成分に対し、ニッケル(Ni)の金属酸化物が、原子比で、好ましくは50mol%以上、70mol%以上、又は90mol%以上含まれることを意味する。したがって、Liドープp型NiOは、アクセプタであるLi以外の成分が、ニッケル(Ni)の金属酸化物のみであってもよい。
なお、Liドープp型NiOが混晶である場合には、ニッケル(Ni)と、周期律表の第2族金属、第9族金属、又は第13族金属を含有する混晶であることが好ましい。これらの金属を含有する混晶であれば、例えば、移動度が高く、あるいはバンドギャップ大きいp型NiOを得ることができ、より広いバンドギャップやより優れた電気特性を有するp型NiO薄膜を得ることができる。
(Li)
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法で得られるLiドープp型NiOは、アクセプタとしてLiを含有している。Liを有することにより、p型NiO薄膜の抵抗を低下させることが可能となり、Liのドープ濃度を変化させることにより、得られるp型NiO薄膜の導電率を変化させることができる。
Liをドーピングさせる方法は、特に限定されるものではないが、例えば、スパッタリング等に用いるターゲット中にLi化合物を存在させておく方法が挙げられる。この場合には、ターゲットにおけるLi濃度を変化させることで、Liのドープ濃度を変化させることができる。
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法において、アクセプタとなるLiのドープ濃度は、目標とする電導度に応じて適宜設定することができる。例えば、Niに対してLiを30at%以下とすることが好ましい。30at%を越える場合には、例えばLiNiO等、NiOではない化合物に変化してしまう場合がある。
Liのドープ濃度は、Niに対してLiが0.1~5at%の範囲であってよく、更には0.1~1at%の範囲であってよい。
<基板>
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法において、Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を気相成長させる基板は、特に限定されるものではなく、例えば、耐熱性を有する単結晶基板を用いることができる。
このような基板としては、例えば、酸化物単結晶基板、Si基板、SiC基板、CaF基板等が挙げられる。酸化物単結晶基板としては、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、サファイア、MgO、ZnO等が挙げられる。
基板としては、加熱処理や化学的エッチングを実施して、表面が平坦化されたものを用いてもよい。
<成膜>
基板上にLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を形成するための成膜方法は、特に限定されるものではなく、公知の気相成長法を適用してよい。例えば、スパッタリング法、CVD法、MO-CVD法、MBE法、パルス・レーザー蒸着法等を挙げることができる。
(成膜温度)
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法においては、Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)の成膜を、100℃以下の温度で実施する。
Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)は、その成膜温度の上昇とともに、抵抗率が上昇する傾向にある。これは、NiO結晶の成長が関係していると考えられる。成膜を100℃以下の温度で実施すれば、最終的に、十分に低抵抗のp型NiO薄膜を得ることができる。
なお、作業性の観点から、成膜は0℃以上の温度で実施することが好ましい。より好ましい成膜温度は、10~50℃の範囲であり、例えば、室温で成膜を実施してもよい。
成膜温度は、基板温度の設定を変更することで、制御することができる。
(成膜雰囲気)
成膜の雰囲気は、特に限定されるものではなく、例えば、大気下、又は酸素ガス雰囲気下、あるいは大気と酸素ガスとの混合雰囲気下であってよい。大気と酸素ガスとの混合雰囲気下とする場合には、その分圧は特に限定されるものではなく、例えば、大気:酸素=70:30~40:60の範囲であってもよい。
(その他の成膜条件)
成膜温度以外の成膜条件については、特に限定されるものではない。適用する成膜方法や、目標とする成膜厚み等に応じて、適宜設定することができる。
(成膜厚み)
Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)の成膜厚みは、特に限定されるものではなく、用途に応じて適宜設定することができる。
<アニール>
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法は、Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)に対して、アニールを実施する。本発明においては、特定の成膜温度で形成されたLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)に、特定の温度範囲でアニールを実施することで、最終的に十分に低抵抗のp型NiO薄膜を得る。
(アニール温度)
本発明のLiドープp型NiO薄膜の製造方法においては、Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)のアニールを、100~300℃の温度範囲で実施する。
Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)は、例えば400℃以上の高温にてアニールを実施すると、単結晶化する。理論に拘束されるものではないが、本発明者は、この単結晶化が、NiO薄膜の高抵抗化に影響を及ぼしていると考えている。
高抵抗化のメカニズムとしては、伝導機構の変化によりホールの移動度が低下する、アクセプタとして作用していた点欠陥が減少する、あるいは、バンド構造の変化によってアクセプタ順位が深くなる等が考えられる。
そして、Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)のアニール温度を、100~300℃の範囲とすれば、単結晶化によって生じる上記の現象を回避しつつ、アクセプタであるLiを、ホール生成可能なNi置換サイトに拡散させることができると考えられる。
アニール温度は、100~250℃の範囲であってもよく、150~250℃の範囲であってもよく、150~200℃の範囲であってもよい。
(アニール時間)
アニール時間は、特に限定されるものではなく、アニール温度やアニール実施場所の圧力等に応じて、適宜設定することができる。例えば、5~10分等であってよい。
(アニール雰囲気)
アニールの雰囲気は、特に限定されるものではなく、例えば、大気下、窒素ガス雰囲気下、又は酸素ガス雰囲気下であってよい。真空下や不活性ガス雰囲気下でアニールを実施した場合には、アクセプタとなるLiの蒸発が起こりやすくなる。
以下、実験結果を示して、本発明を更に詳細に説明する。
実験例1~4は、成膜条件を異ならせて得たLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)に対して、アニールを実施した実験例である。実験例5は、成膜温度を異ならせて、Liがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を成膜した実験例である。
《実験例1》
<成膜>
高周波スパッタリングにより、基板上にLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を作製した。基板としては、サファイアを用い、ターゲットとしては、LiNiOとNiOの粉末を混合して焼結させた、Niに対してLiを1at%含むターゲットを用いた。成膜時の酸素分圧は30%、出力200W、チャンバー内圧力は0.2Paとして、厚み100nmのLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)を堆積させた。なお、成膜時の基板温度は、室温とした。
<アニール>
多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)が堆積した基板をチャンバーから取り出し、窒素雰囲気下又は大気下で、設定した温度にてアニールを実施し、室温まで冷却した。設定温度は、100℃、200℃、400℃、600℃、800℃とした。加熱方法はランプ加熱、アニール時の圧力は1atm、それぞれの温度におけるアニール時間は5分とした。
<抵抗率の測定>
アニールを実施する前の多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)、及びそれぞれの温度においてアニールを実施した後のLiドープp型NiO薄膜について、抵抗率を測定した。結果を、図1に示す。
《実験例2》
成膜時の酸素分圧を60%とした以外は、実験例1と同様にしてLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grownの薄膜)を成膜し、実験例1と同様にアニールを実施した。アニールを実施する前の多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)、及びそれぞれの温度においてアニールを実施した後のLiドープp型NiO薄膜について、抵抗率を測定した。結果を、図2に示す。
《実験例3》
成膜時の酸素分圧を100%とした以外は、実験例1と同様にしてLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grownの薄膜)を成膜し、実験例1と同様にアニールを実施した。アニールを実施する前の多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)、及びそれぞれの温度においてアニールを実施した後のLiドープp型NiO薄膜について、抵抗率を測定した。結果を、図3に示す。
《実験例4》
Niに対してLiが0.1at%のターゲットを用い、成膜時の酸素分圧を60%とした以外は、実験例1と同様にしてLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grownの薄膜)を成膜し、実験例1と同様にアニールを実施した。アニールを実施する前の多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)、及びそれぞれの温度においてアニールを実施した後のLiドープp型NiO薄膜について、抵抗率を測定した。結果を、図4に示す。実験例4において、800℃でアニールして得られたLiドープp型NiO薄膜は、抵抗値が高すぎて測定不可となった。
《実験例5》
Niに対してLiを0.1at%含むターゲットを用いて、成膜時の酸素分圧を、30%、60%、100%とするとともに、それぞれの酸素分圧における基板温度を、室温、200℃、400℃として、実験例1と同様にしてLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜(as-grownの薄膜)を成膜した。得られた多結晶p型NiO薄膜(as-grown薄膜)について、抵抗率を測定した。結果を、図5に示す。

Claims (1)

  1. 気相成長法によりLiがドープされた多結晶p型NiO薄膜を成膜し、前記多結晶p型NiO薄膜をアニールする、Liドープp型NiO薄膜の製造方法であって、
    前記成膜を、100℃以下の温度で実施し、
    前記アニールを、100~300℃の温度で実施する、
    Liドープp型NiO薄膜の製造方法。
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