JP2022117920A - 熱転写シート、熱転写シートと被転写体との組合せ、及び印画物の製造方法 - Google Patents

熱転写シート、熱転写シートと被転写体との組合せ、及び印画物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本開示は、耐擦過性及び溶剤耐性に優れる熱転写画像を形成できる熱転写シートを提供することを課題とする。【解決手段】基材と転写層とを備える熱転写シートであって、転写層が、基材側から保護層と着色層とをこの順に備え、保護層が、結晶性ポリオレフィンを含有し、着色層が、フェノール樹脂成分を含有する、熱転写シート。【選択図】図1

Description

本開示は、熱転写シート、熱転写シートと被転写体との組合せ、及び印画物の製造方法に関する。
従来、被転写体上に画像を形成する方法として、熱溶融転写方式が知られている。熱溶融転写方式では、基材と、着色層を含む転写層とを備える熱転写シートに対して、サーマルヘッドを用いてエネルギーを印加し、被転写体上に着色層を含む転写層を転写することにより、画像を形成する。熱溶融転写方式により形成される画像は高濃度で鮮鋭性に優れているため、該方式は文字及び線画等の2値画像の形成に適している。
特許文献1には、プラスチックフィルム支持体、印字保護層及び感熱転写インキ層を備える感熱転写記録材料であって、印字保護層及び感熱転写インキ層が高純度ノボラック型フェノールを含有する材料が記載されている。
特開平11-048620号応報
従来の熱転写シートを用いて形成される熱転写画像は、擦れ又は引っ掻きに弱く、耐擦過性が低い場合がある。また、従来の熱転写シートを用いて形成される熱転写画像は、塩素系有機溶剤に対する耐性(以下「溶剤耐性」ともいう)が低い場合がある。例えば、従来の熱転写シートを用いて衣料品のケアタグ用基材に印画した後、得られたケアタグに対して塩素系有機溶剤を用いたドライクリーニングを行うと、熱転写画像が薄くなることがある。
本開示は、耐擦過性及び溶剤耐性に優れる熱転写画像を形成できる熱転写シートを提供することを課題とする。本開示は、上記熱転写シートと被転写体との組合せ、及び上記熱転写シートを用いた印画物の製造方法を提供することを課題とする。
本開示の熱転写シートは、基材と転写層とを備え、転写層が、基材側から保護層と着色層とをこの順に備え、保護層が、結晶性ポリオレフィンを含有し、着色層が、フェノール樹脂成分を含有する。
本開示の組合せは、上記熱転写シートと、被転写体との組合せである。
本開示の印画物の製造方法は、上記熱転写シート及び被転写体を準備する工程と、被転写体上に、熱転写シートが備える転写層を熱転写する工程とを含む。
本開示によれば、耐擦過性及び溶剤耐性に優れる熱転写画像を形成できる熱転写シートを提供できる。本開示によれば、上記熱転写シートと被転写体との組合せ、及び上記熱転写シートを用いた印画物の製造方法を提供できる。
図1は、本開示の熱転写シートの一実施形態を示す概略断面図である。 図2は、本開示の熱転写シートの一実施形態を示す概略断面図である。 図3は、本開示の熱転写シートの一実施形態を示す概略断面図である。
[熱転写シート]
本開示の熱転写シートは、基材と転写層とを備える。転写層は、基材側から保護層と着色層とをこの順に備える。
以下、本開示の熱転写シートの好ましい実施形態を挙げて、更に詳しく説明する。
図1は、本開示の熱転写シートの一実施形態を示す断面図である。図1において、熱転写シート1は、基材10と、基材10上に設けられた転写層20とを備える。転写層20は、保護層22及び着色層24を熱転写シート1の厚さ方向に基材10側からこの順に備える。着色層24は、転写層20の一方側の表層を構成している。
図2は、本開示の熱転写シートの他の実施形態を示す断面図である。図2において、転写層20は、剥離層26、保護層22及び着色層24を熱転写シート1の厚さ方向に基材10側からこの順に備える。
図3は、本開示の熱転写シートの他の実施形態を示す断面図である。図3において、転写層20は、剥離層26、保護層22及び着色層24を熱転写シート1の厚さ方向に基材10側からこの順に備える。熱転写シート1は、基材10と転写層20との間に、離型層12を備える。
図1、図2及び図3の実施形態の熱転写シートは、基材10における転写層20が設けられた面とは反対側の面上に、背面層30を備える。
本開示の熱転写シートを用いることにより、耐擦過性に優れ、ドライクリーニング用溶剤等の塩素系有機溶剤に対する耐性(溶剤耐性)に優れる熱転写画像を形成できる。本開示の熱転写シートを用いることにより、耐熱性にも優れる熱転写画像を形成できる。本開示の熱転写シートは、種々の被転写体に対する印画性にも優れている。本明細書において、熱転写画像は、文字、線画、模様、記号及びこれらの組合せ等から構成される。
以下、本開示の熱転写シートが備える各層について説明する。
<基材>
基材は、熱転写時に加えられる熱エネルギーに対する耐熱性を有し、基材上に設けられる転写層等を支持できる機械的強度を有するものであれば、特に制限なく使用できる。
基材としては、例えば、樹脂材料から構成されるフィルム(以下「樹脂フィルム」ともいう)を使用できる。樹脂材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、1,4-ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート及びテレフタル酸-シクロヘキサンジメタノール-エチレングリコール共重合体等のポリエステル;ポリアミド;ポリイミド;ポリカーボネート;ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリメチルペンテン等のポリオレフィン;ポリスチレン;塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール及びポリビニルピロリドン等のビニル樹脂;ポリビニルアセトアセタール及びポリビニルブチラール等のビニルアセタール樹脂;ポリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル樹脂;セロファン、セルロースアセテート、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート及びセルロースアセテートブチレート等のセルロース樹脂;並びにアイオノマーが挙げられる。
上記樹脂材料の中でも、耐熱性及び機械的強度という観点から、ポリエステルが好ましく、ポリエチレンテレフタレート(PET)及びポリエチレンナフタレート(PEN)がより好ましく、PETが更に好ましい。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含し、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び「メタクリレート」の両方を包含する。
基材として、樹脂フィルムの積層体を使用してもよい。樹脂フィルムの積層体は、例えば、ドライラミネーション法、ウェットラミネーション法又はエクストリュージョン法を利用することにより作製できる。
樹脂フィルムは、延伸フィルムであってもよく、未延伸フィルムであってもよい。強度という観点から、一軸方向又は二軸方向に延伸された延伸フィルムが好ましい。
基材の厚さは、好ましくは1μm以上50μm以下、より好ましくは3μm以上25μm以下である。これにより、例えば、基材の機械的強度及び熱転写時の熱エネルギーの伝達を良好なものとできる。
<転写層>
転写層は、基材側から保護層と着色層とを、熱転写シートの厚さ方向にこの順に備える。転写層は、熱転写によって基材から剥離可能な層である。一実施形態において、転写層は、剥離層を更に備える。剥離層は、転写層における基材側の表層を構成している。
(着色層)
着色層は、フェノール樹脂成分を含有する。フェノール樹脂成分は、着色層におけるバインダー成分である。フェノール樹脂成分を含有する着色層は、例えばポリエステル基材及びポリアミド基材等の被転写体に対する印画性に優れる。フェノール樹脂成分を含有する着色層により、形成される熱転写画像の耐熱性及び耐擦過性を向上できる。
フェノール樹脂成分としては、例えば、フェノール樹脂が挙げられる。
フェノール樹脂としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、フェノールジシクロペンタジエン樹脂が挙げられる。これらの中でも、印画性及び耐熱性のバランスという観点から、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂及びビスフェノールノボラック樹脂が好ましく、フェノールノボラック樹脂がより好ましい。
フェノール樹脂の軟化点は、好ましくは50℃以上200℃以下、より好ましくは70℃以上150℃以下、更に好ましくは80℃以上145℃以下、特に好ましくは100℃以上140℃以下である。これにより、例えば、着色層の耐熱性及び印画性のバランスをより向上できる。本開示において、フェノール樹脂の軟化点は、環球式軟化点試験法に準拠して、昇温速度3℃/分で測定される値である。
フェノール樹脂の水酸基当量は、好ましくは30g/eq以上500g/eq以下、より好ましくは50g/eq以上300g/eq以下である。これにより、例えば、着色層の耐熱性をより向上できる。フェノール樹脂の水酸基当量は、JIS K0070(1992)に規定される中和滴定法に準拠して測定される値である。
着色層は、フェノール樹脂を1種又は2種以上含有できる。
フェノール樹脂成分としては、例えば、フェノール樹脂の硬化物であってもよい。一実施形態において、上記硬化物として、フェノール樹脂とフェノール樹脂用硬化剤との反応物を用いてもよい。硬化剤を用いてフェノール樹脂を架橋して三次元網目構造を構築することにより、より優れた耐熱性を熱転写画像に付与できる。
フェノール樹脂用硬化剤としては、例えば、ヘキサメチレンテトラミン及びパラホルムアルデヒド等のホルムアルデヒド供給化合物;ポリイソシアネート化合物が挙げられる。これらの中でも、ポリイソシアネート化合物が好ましい。ポリイソシアネート化合物は、分子中に2個以上のイソシアネート基を有する化合物であり、例えば、トリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート;イソホロンジイソシアネート等の脂環式ポリイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート及びトリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート;これらのアダクト体、ビウレット体又はイソシアヌレート体等の変性ポリイソシアネートが挙げられる。
アダクト体とは、ポリイソシアネートとポリオールとの反応物をいう。アダクト体に用いられるポリオールとしては、例えば、分子中に2個以上の水酸基を有するアルコールが挙げられ、具体的には、エチレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ペンタエリスリトール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオール及びポリオレフィンポリオールが挙げられる。
フェノール樹脂に含まれる水酸基に対する、ポリイソシアネート化合物に含まれるイソシアネート基の比(NCO/OH)は、好ましくは0.05以上0.5以下、より好ましくは0.1以上0.25以下である。上記量比でフェノール樹脂とポリイソシアネート化合物とを組み合わせて得られた反応物を用いることにより、着色層の印画性をより向上できる。
着色層におけるフェノール樹脂成分の含有割合は、バインダー成分全体に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上、特に好ましくは80質量%以上である。
着色層は、フェノール樹脂成分以外のバインダー成分を含有してもよい。このようなバインダー成分としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリブデン等のポリオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、石油樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、ポリイソブチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルフォルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアセタール並びにセルロースエステルが挙げられる。
着色層は、フェノール樹脂成分以外のバインダー成分を1種又は2種以上含有できる。
着色層における、フェノール樹脂成分を含むバインダー成分の含有割合は、好ましくは30質量%以上90質量%以下、より好ましくは40質量%以上80質量%以下である。これにより、例えば、形成される熱転写画像の耐熱性をより向上できる。
着色層は、通常、着色剤を含有する。着色剤としては、例えば、無機顔料、有機顔料及び染料が挙げられる。例えば、充分な着色濃度を有し、光又は熱等により変色又は退色しない着色剤が好ましい。着色剤は、加熱により発色する物質や、被転写体の表面に塗布されている成分と接触することにより発色する物質であってもよい。
着色剤の色としては、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック、並びにその他の色が挙げられる。着色剤としては、具体的には、カーボンブラック、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜鉛、シリカ、酸化鉄、鉄黄、群青、アルミニウム粉末、メタリック顔料、パール顔料、有機顔料及び染料が挙げられる。
着色層は、着色剤を1種又は2種以上含有できる。
着色層における着色剤の含有割合は、好ましくは10質量%以上70質量%以下、より好ましくは20質量%以上60質量%以下である。これにより、例えば、形成される熱転写画像の画像濃度をより向上できる。
着色層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機粒子、有機粒子及び分散剤が挙げられる。着色層は、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
着色層の厚さは、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは0.3μm以上8μm以下、更に好ましくは0.5μm以上5μm以下である。これにより、例えば、熱転写シートの被転写体に対する印画性、及び形成される熱転写画像の溶剤耐性をより向上できる。
一実施形態において、着色層は、転写層における一方側の表層を構成する。この実施形態では、熱転写シートを用いて被転写体上に転写層を転写した場合、着色層が被転写体と接する。
着色層は、例えば、以上に説明した成分を水又は適当な有機溶剤に分散又は溶解させて塗工液を調製し、該塗工液を、公知の塗工方法により、基材上に設けられる任意の層(例えば保護層)上に塗布及び乾燥することにより形成できる。塗工方法としては、例えば、ロールコート法、リバースロールコート法、グラビアコート法、リバースグラビアコート法、バーコート法及びロッドコート法が挙げられる。
(保護層)
保護層は、着色層を保護するための層である。保護層は、着色層よりも基材に近い位置に設けられている。保護層は、結晶性ポリオレフィンを含有する。以下、結晶性ポリオレフィンを「ポリオレフィン(A)」ともいう。ポリオレフィン(A)を含有する保護層により、形成される熱転写画像の溶剤耐性を向上できる。例えばドライクリーニングでは、テトラクロロエチレン等の塩素系有機溶剤が使用されることが多いことから、本開示では、形成される熱転写画像のドライクリーニング耐性を向上できる。
ポリオレフィン(A)としては、例えば、1種のα-オレフィンの単独重合体、2種以上のα-オレフィンの共重合体、α-オレフィンと他の非極性モノマーとの共重合体、及び変性ポリオレフィンが挙げられる。共重合体の形態としては、例えば、ランダム共重合体及びブロック共重合体が挙げられる。
α-オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、3-メチル-1-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン及び1-デセンが挙げられる。α-オレフィンの炭素数は、好ましくは2以上20以下、より好ましくは2以上10以下である。α-オレフィンとしては、エチレン及びプロピレンが好ましい。
α-オレフィン以外の非極性モノマーとしては、例えば、スチレン等のスチレン系モノマー、ブタジエン等の共役ジエン、及びノルボルネン等の環状オレフィンが挙げられる。上記共重合体は、α-オレフィン以外の非極性モノマーに由来する構成単位を、10質量%以下の範囲で有していてもよい。本開示において、各構成単位の割合は、核磁気共鳴法(NMR)により測定される値である。
α-オレフィンの単独又は共重合体としては、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン及びポリ-4-メチル-1-ペンテンが挙げられる。本開示において、ポリエチレンは、エチレンの単独重合体に限られず、例えばエチレンと他のモノマーとの共重合体も包含する。ポリプロピレン等についても同様である。
ポリオレフィン(A)は、溶剤耐性、特にドライクリーニング耐性が高いという観点から、変性ポリオレフィンが好ましい。本開示において、変性ポリオレフィンとしては、例えば、α-オレフィンと極性モノマーとの共重合体や;上述したα-オレフィンの単独若しくは共重合体、α-オレフィンと他の非極性モノマーとの共重合体、又はα-オレフィンと極性モノマーとの共重合体の、極性モノマーによるグラフト変性体が挙げられる。共重合体の形態としては、例えば、ランダム共重合体及びブロック共重合体が挙げられる。
α-オレフィン及び他の非極性モノマーの具体例は、上述したとおりである。
極性モノマーとしては、例えば、不飽和カルボン酸及びその誘導体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル及びピバリン酸ビニル等のビニルエステルが挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸及びその誘導体が好ましい。極性モノマーは1種であっても2種以上であってもよい。
不飽和カルボン酸としては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、テトラヒドロフタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、ノルボルネンジカルボン酸及びビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸が好ましい。
不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、不飽和カルボン酸の酸無水物、酸ハライド、アミド、イミド、エステル又は塩が挙げられる。これらの中でも、不飽和カルボン酸の酸無水物が好ましい。不飽和カルボン酸の誘導体としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸無水物、塩化マレニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、マレニルイミド、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸モノエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジメチル、シトラコン酸ジエチル、テトラヒドロフタル酸ジメチル、ビシクロ[2.2.1]ヘプト-2-エン-5,6-ジカルボン酸ジメチル、アルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、及び不飽和カルボン酸のアンモニウム塩又はアミン塩が挙げられる。
α-オレフィンと極性モノマーとの共重合体としては、具体的には、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸-無水マレイン酸共重合体、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体、エチレン-アルキル(メタ)アクリレート-無水マレイン酸共重合体、プロピレン-(メタ)アクリル酸共重合体、プロピレン-(メタ)アクリル酸-無水マレイン酸共重合体、プロピレン-アルキル(メタ)アクリレート共重合体、プロピレン-アルキル(メタ)アクリレート-無水マレイン酸共重合体、及びエチレン-酢酸ビニル共重合体が挙げられる。これらの中でも、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体及びプロピレン-(メタ)アクリル酸共重合体が好ましい。
α-オレフィンと極性モノマーとの共重合体において、α-オレフィン由来の構成単位の割合は、好ましくは50質量%以上99.99質量%以下、より好ましくは75質量%以上99.9質量%以下であり;極性モノマー由来の構成単位の割合は、好ましくは0.01質量%以上50質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上25質量%以下である。
グラフト変性で使用される極性モノマー(グラフトモノマー)としては、上述した極性モノマーが挙げられ、不飽和カルボン酸及びその誘導体が好ましく、不飽和カルボン酸及びその酸無水物がより好ましい。グラフト変性体における極性モノマー(グラフトモノマー)由来の構成単位の割合は、好ましくは0.01質量%以上10質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上5質量%以下である。
変性ポリオレフィンとしては、溶剤耐性、特にドライクリーニング耐性が高いという観点から、酸変性ポリオレフィンが好ましく、カルボキシ基又は酸無水物基を有する酸変性ポリオレフィンがより好ましい。酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、α-オレフィンと不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種との共重合体、並びに、不飽和カルボン酸及びその誘導体から選ばれる少なくとも1種による上記グラフト変性体が挙げられる。特に、酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンが好ましく、マレイン酸変性ポリエチレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン、マレイン酸変性ポリプロピレン及び無水マレイン酸変性ポリプロピレンがより好ましい。
酸変性ポリオレフィンにおいて、不飽和カルボン酸及びその酸無水物に由来する構成単位の合計割合は、好ましくは0.01質量%以上25質量%以下、より好ましくは0.1質量%以上10質量%以下である。酸変性ポリオレフィンにおいて、不飽和カルボン酸及びその酸無水物に由来する構成単位は、共重合の形態でポリマー主鎖中に含まれていてもよく、グラフト変性の形態でポリマー側鎖中に含まれていてもよい。
変性ポリオレフィンの製造方法としては、公知の方法を採用でき、例えば、α-オレフィンと極性モノマーとを共重合する方法;変性対象のポリマー主鎖に極性モノマーを、有機過酸化物及びアゾ化合物等のラジカル開始剤の存在下、グラフトさせる方法が挙げられる。
酸変性ポリオレフィンの酸価は、好ましくは1mgKOH/g以上200mgKOH/g以下、より好ましくは5mgKOH/g以上100mgKOH/g以下、更に好ましくは10mgKOH/g以上50mgKOH/g以下である。本開示において、酸価は、JIS K0070に準拠して得られる値である。
ポリオレフィン(A)は、結晶性ポリオレフィンである。ポリオレフィン(A)の融点(Tm)は、好ましくは60℃以上250℃以下、より好ましくは70℃以上160℃以下、更に好ましくは80℃以上110℃以下、特に好ましくは85℃以上103℃以下である。これにより、溶剤耐性、特にドライクリーニング耐性を向上できる。例えば、Tmが上記上限値以下であると、印画性、耐擦過性および溶剤耐性をより向上でき、Tmが上記下限値以上であると、溶剤耐性をより向上できる。本開示において、Tmは、JIS K7121に準拠して、示差走査熱量測定(DSC)により得られる値である。
ポリオレフィン(A)のガラス転移温度(Tg)は、好ましくは0℃以下、より好ましくは-60℃以上0℃以下、更に好ましくは-50℃以上-10℃以下、特に好ましくは-45℃以上-20℃以下である。これにより、溶剤耐性、特にドライクリーニング耐性を向上できる。本開示において、Tgは、JIS K7121に準拠して、DSCにより得られる値である。
ポリオレフィン(A)の数平均分子量(Mn)は、好ましくは5,000以上100,000以下、より好ましくは10,000以上80,000以下、更に好ましくは15,000以上70,000以下、特に好ましくは20,000以上60,000以下である。Mnが上記上限値以下であると、例えば、転写層の印画感度をより向上できる。Mnが上記下限値以上であると、例えば、保護層の耐久性をより向上できる。本開示において、Mnは、JIS K7252-1に準拠して、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算により得られる値である。
保護層は、ポリオレフィン(A)を1種又は2種以上含有できる。
保護層におけるポリオレフィン(A)の含有割合は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上、より更に好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。これにより、例えば、形成される熱転写画像の溶剤耐性及び耐擦過性をより向上できる。
保護層は、ポリオレフィン(A)以外の熱可塑性樹脂を更に含有してもよい。このような熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリスチレン、ビニル樹脂、(メタ)アクリル樹脂及びセルロース樹脂が挙げられる。これらの中でも、熱転写シートの印画性をより向上できるという観点から、ポリエステルが好ましく、非結晶性ポリエステルがより好ましい。
ポリエステルとしては、例えば、ジカルボン酸化合物とジオール化合物とを含むモノマー成分の共重合体が挙げられる。
ジカルボン酸化合物としては、例えば、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸、エイコサンジオン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、アダマンタンジカルボン酸、ノルボルネンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、1,4-ナフタレンジカルボン酸、1,5-ナフタレンジカルボン酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、1,8-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ジフェニルジカルボン酸、4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸、5-ナトリウムスルホイソフタル酸、フェニルエンダンジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、フェナントレンジカルボン酸、9,9’-ビス(4-カルボキシフェニル)フルオレン酸及びこれらのエステル誘導体が挙げられる。
ジオール化合物としては、例えば、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジエタノール、デカヒドロナフタレンジメタノール、デカヒドロナフタレンジエタノール、ノルボルナンジメタノール、ノルボルナンジエタノール、トリシクロデカンジメタノール、トリシクロデカンエタノール、テトラシクロドデカンジメタノール、テトラシクロドデカンジエタノール、デカリンジメタノール、デカリンジエタノール、5-メチロール-5-エチル-2-(1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル)-1,3-ジオキサン、シクロヘキサンジオール、ビシクロヘキシル-4,4’-ジオール、2,2-ビス(4-ヒドロキシシクロヘキシルプロパン)、2,2-ビス(4-(2-ヒドロキシエトキシ)シクロヘキシル)プロパン、シクロペンタンジオール、3-メチル-1,2-シクロペンタジオール、4-シクロペンテン-1,3-ジオール、アダマンジオール、パラキシレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールS,スチレングリコール、トリメチロールプロパン及びペンタエリスリトールが挙げられる。
ポリエステルを形成するモノマー成分は、ジカルボン酸化合物及びジオール化合物以外の他の化合物を共重合成分として含んでいてもよい。ポリエステルにおける他の化合物由来の構成単位の割合は、好ましくは10質量%以下、より好ましくは5質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。
ポリエステルの数平均分子量(Mn)は、好ましくは2,000以上40,000以下、より好ましくは3,000以上25,000以下、更に好ましくは4,000以上15,000以下である。
ポリエステルのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは20℃以上90℃以下、より好ましくは50℃以上80℃以下である。これにより、例えば、耐ブロッキング性をより向上できる。
保護層は、ポリエステルを1種又は2種以上含有できる。
一実施形態において、保護層におけるポリエステルの含有量は、ポリオレフィン(A)100質量部に対して、好ましくは0質量部以上200質量部以下、より好ましくは5質量部以上150質量部以下、更に好ましくは10質量部以上100質量部以下である。これにより、例えば、熱転写性シートの印画性、及び形成される熱転写画像の耐擦過性のバランスをより向上できる。
保護層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機粒子、有機粒子及び分散剤が挙げられる。保護層は、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
保護層の厚さは、好ましくは0.1μm以上3μm以下、より好ましくは0.2μm以上2μm以下である。これにより、例えば、形成される熱転写画像の耐擦過性、溶剤耐性及び耐熱性をより向上できる。
保護層は、例えば、以上に説明した成分を水又は適当な有機溶剤に分散又は溶解させて塗工液を調製し、該塗工液を、上述した塗工方法により、基材又は基材上に設けられる任意の層(例えば剥離層)上に塗布及び乾燥することにより形成できる。
保護層用塗工液は、形成される熱転写画像のドライクリーニング耐性をより向上できるという観点から、好ましくは、ポリオレフィン(A)の粒子が水性媒体(分散媒)中に分散された水性分散体である。水性媒体としては、例えば、水及び水溶性アルコールが挙げられ、これらの2種以上の混合媒体であってもよい。水溶性アルコールとしては、例えば、炭素数1以上5以下のアルコールが挙げられる。このような観点から、変性ポリオレフィンとしては、水分散性を有する変性ポリオレフィンが好ましい。
ポリオレフィン(A)の粒子の数平均粒子径は、好ましくは1μm以下であり、より好ましくは10nm以上500nm以下である。数平均粒子径は、レーザ回折式粒度分布測定装置により測定される値である。
保護層用塗工液としての水性分散体中のポリオレフィン(A)の含有割合は、好ましくは1質量%以上50質量%以下、より好ましくは3質量%以上45質量%以下、更に好ましくは5質量%以上40質量%以下である。
(剥離層)
熱転写シートにおける転写層は、一実施形態において、転写層を構成する層のうち、基材の最も近くに位置する層として剥離層を備える。剥離層は、熱転写時に着色層及び保護層と共に転写される層である。剥離層を設けることにより、転写層の転写性をより向上できる。剥離層は、熱転写時に転写層の一部として転写され、転写後は熱転写画像の表層となり、熱転写画像の耐擦過性を向上させる作用をする。
剥離層における含有成分としては、例えば、樹脂材料及びワックスが挙げられる。
樹脂材料としては、例えば、(メタ)アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂及び塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体等のビニル樹脂、セルロース樹脂、ポリエステル、ポリウレタン、シリコーン樹脂及びフッ素樹脂、シリコーン又はフッ素で変性された各種樹脂が挙げられる。剥離層は、樹脂材料を1種又は2種以上含有できる。
ワックスとしては、例えば、蜜蝋、鯨蝋、木蝋、米ぬか蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス及びモンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、シリコーンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス及びポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸及びベヘニン酸等の高級飽和脂肪酸;ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等の高級飽和一価アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステル;ステアリン酸アミド及びオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミドが挙げられる。剥離層は、ワックスを1種又は2種以上含有できる。
以上の樹脂材料及びワックスは、剥離層に良好な剥離性を付与できるという観点から好ましい。これらの中でも、剥離層用塗工液の塗工性、並びに形成される熱転写画像のドライクリーニング耐性及び耐擦過性をより向上できるという観点から、樹脂材料が好ましく、(メタ)アクリル樹脂及びビニル樹脂がより好ましい。剥離層は、樹脂材料とともに、ワックスを含有してもよい。また、剥離層の構成材料として樹脂材料を用いた場合において、後述する離型層を設けることにより、高いドライクリーニング耐性等を維持しながら、印字濃度等の印字性を向上できる。
剥離層における樹脂材料及びワックスの合計含有割合は、好ましくは70質量%以上100質量%以下、より好ましくは80質量%以上100質量%以下である。剥離層における樹脂材料の含有割合は、一実施形態において、好ましくは50質量%以上100質量%以下、より好ましくは60質量%以上100質量%以下である。これにより、例えば、保護層の転写性を維持しつつ、熱転写画像のドライクリーニング耐性及び耐擦過性をより向上できる。
剥離層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、金属石鹸、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、無機粒子、有機粒子、離型剤及び分散剤が挙げられる。剥離層は、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
剥離層の厚さは、好ましくは0.1μm以上3μm以下、より好ましくは0.2μm以上2μm以下である。これにより、例えば、転写層の転写性をより向上できる。
剥離層は、例えば、以上に説明した成分を水又は適当な有機溶剤に分散又は溶解させて塗工液を調製し、該塗工液を、上述した塗工方法により、基材又は基材上に設けられる任意の層(例えば離型層)上に塗布及び乾燥することにより形成できる。一実施形態において、剥離層用塗工液として有機溶剤系塗工液を用いて剥離層を形成し、保護層用塗工液として上記水性分散体を用いて保護層を形成する。このようにして得られた熱転写シートを用いることで、例えば、熱転写画像の耐擦過性及び溶剤耐性をより向上できる。有機溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン等の芳香族系溶剤、酢酸エチル等のエステル系溶剤、及びこれらの混合溶剤が挙げられる。
<離型層>
一実施形態において、本開示の熱転写シートは、基材と転写層との間に、離型層を備える。離型層は、基材上に設けられた転写層の剥離性を向上させる層である。離型層は、転写層を構成しない層であり、転写層を被転写体上に転写したときに、基材側に残る層である。離型層を設けることにより、例えば、高いドライクリーニング耐性等を維持しながら、印字濃度等の印字性を向上できる。
離型層は、一実施形態において、ワックスを含有する。これにより、例えば、高いドライクリーニング耐性等を維持しながら、印字濃度等の印字性をより向上できる。ワックスとしては、例えば、蜜蝋、鯨蝋、木蝋、米ぬか蝋、カルナバワックス、キャンデリラワックス及びモンタンワックス等の天然ワックス;パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、シリコーンワックス、酸化ワックス、オゾケライト、セレシン、エステルワックス及びポリエチレンワックス等の合成ワックス;マルガリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、フロイン酸及びベヘニン酸等の高級飽和脂肪酸;ステアリルアルコール及びベヘニルアルコール等の高級飽和一価アルコール;ソルビタンの脂肪酸エステル等の高級脂肪酸エステル;ステアリン酸アミド及びオレイン酸アミド等の高級脂肪酸アミドが挙げられる。これらの中でも、高いドライクリーニング耐性等を維持しながら、印字濃度等の印字性をさらに向上できるという観点から、天然ワックスが好ましく、カルナバワックスがさらに好ましい。
ワックスの融点(Tm)は、一実施形態において135℃以下、好ましくは95℃以下である。ワックスの融点が95℃以下であると、例えば、印字濃度等の印字性をさらに向上できる。ワックスの融点の下限値は特に限定されないが、例えば50℃であり、好ましくは60℃、70℃又は80℃である。
離型層は、ワックスを1種又は2種以上含有できる。
離型層におけるワックスの含有割合は、例えば40質量%以上、好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上95質量%以下、特に好ましくは70質量%以上90質量%以下である。ワックスの含有割合が下限値以上であると、例えば、印字性をより向上できる。ワックスの含有割合が上限値以下であると、例えば、高い耐擦過性を維持できる。
離型層は、一実施形態において、ゴム成分を含有する。ゴム成分は、ワックスを基材上に保持する機能を有する。ゴム成分としては、例えば、天然ゴム、スチレンブタジエンゴム、イソプレンゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム及びニトリルゴムが挙げられる。
離型層は、ゴム成分を1種又は2種以上含有できる。
ゴム成分を用いる場合、離型層におけるゴム成分の含有割合は、例えば0質量%超60質量%以下、好ましくは5質量%以上40質量%以下、より好ましくは10質量%以上30質量%以下である。
離型層は、一実施形態において、樹脂材料を含有する。離型層を構成する樹脂材料としては、基材に対する密着性が高く、かつ転写層を容易に剥離できる適度な剥離性を有する樹脂材料であれば特に制限はない。このような樹脂材料としては、例えば、変性又は無変性のオレフィン系樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルアルコール、(メタ)アクリル樹脂、熱架橋性エポキシ-アミノ樹脂、熱架橋性アルキッド-アミノ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂及びセルロース樹脂が挙げられる。
離型層は、上記樹脂材料を1種又は2種以上含有できる。
離型層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、充填剤、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、離型剤及び分散剤が挙げられる。離型層は、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
離型層の厚さは、好ましくは0.1μm以上3μm以下、より好ましくは0.3μm以上2μm以下である。これにより、例えば、転写層の転写性をより向上できる。
離型層は、例えば、以上に説明した成分を水又は適当な有機溶剤に分散又は溶解させて塗工液を調製し、該塗工液を、上述した塗工方法により、基材上に塗布及び乾燥することにより形成できる。乾燥後、塗膜を加熱することにより、例えばシリコーン樹脂の硬化を効果的に進めることができ、転写層の転写性をより向上できる。
<背面層>
一実施形態において、熱転写シートは、基材の転写層が設けられた側とは反対側の面上に、背面層を備える。これにより、例えば、熱転写時の加熱によるスティッキング及び印画シワの発生を抑制できる。
一実施形態において、背面層は、樹脂材料を含有する。樹脂材料としては、例えば、シリコーン樹脂、(メタ)アクリル変性シリコーン樹脂、ビニル樹脂、ビニルアセタール樹脂、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリオレフィン、ポリスチレン、(メタ)アクリル樹脂、セルロース樹脂及びフェノール樹脂が挙げられる。背面層は、樹脂材料を1種又は2種以上含有できる。
一実施形態において、背面層は、水酸基等の反応性基を有する樹脂材料を、ポリイソシアネート化合物等の架橋剤を用いて架橋させて形成された層であってもよい。ポリイソシアネート化合物としては、例えば、キシレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートが挙げられる。架橋剤は1種又は2種以上用いることができる。
背面層は、添加剤を含有してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、帯電防止剤、紫外線吸収剤、有機粒子、無機粒子、離型剤及び分散剤が挙げられる。背面層は、添加剤を1種又は2種以上含有できる。
背面層の厚さは、好ましくは0.05μm以上3μm以下である。
背面層は、例えば、以上に説明した成分を水又は適当な有機溶剤に分散又は溶解させて塗工液を調製し、該塗工液を、上述した塗工手段により基材上に塗布して塗膜及び乾燥することにより形成できる。
[熱転写シートと被転写体との組合せ]
本開示の組合せは、本開示の熱転写シートと、被転写体との組合せである。
熱転写シートについては上述したため、説明を省略する。
被転写体としては、例えば、熱転写シートにおける基材として説明した上記樹脂フィルム、布基材及び紙基材、並びにこれらの積層基材が挙げられる。
布基材としては、例えば、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、レーヨン繊維、アセテート繊維、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリ塩化ビニリデン繊維等の人造繊維;綿、絹、麻及び羊毛等の天然繊維等の繊維から形成された基材が挙げられる。布基材としては、例えば、平織、綾織及び朱子織等の織布が挙げられ、具体的には、ポリエステルサテン、アセテートサテン及びナイロンタフタ等の織布が挙げられる。紙基材としては、例えば、上質紙、普通紙、アート紙、コート紙、レジンコート紙、キャストコート紙、板紙、合成紙及び含浸紙が挙げられる。
一実施形態において、熱転写シートからの転写層の定着性を高め、また受像面の平滑性を高める等のために、被転写体表面は、熱可塑性樹脂から構成される受容層であってもよく、塩素系有機溶剤等のドライクリーニング用溶剤に溶解しない熱可塑性樹脂から構成される受容層であってもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂及びフッ素樹脂が挙げられる。
被転写体の中でも、本開示の熱転写シートによる転写性が優れることから、布基材が好ましく、ポリエステル製布基材及びナイロン製布基材がより好ましく、ポリエステルサテン及びナイロンタフタが更に好ましい。
本開示の熱転写シートは、衣料品及びリネン製品等の布製品の品質、洗濯方法及びメーカー名等の情報が記載されているケアタグ、商品管理を行うための情報が記載されているラベルを製造するために好適に用いられる。例えば衣料品及びリネン製品はドライクリーニングされることがあることから、ケアタグ及びラベルはドライクリーニング耐性を有することが望まれる。本開示の熱転写シートを用いてケアタグ用基材又はラベル用基材に画像を形成することにより、上述したように、ドライクリーニング耐性、耐擦過性及び耐熱性に優れた熱転写画像(上記情報)を備えるケアタグ及びラベルを製造できる。
本開示の熱転写シートは、ケアタグ又はラベルの製造用途に限られず、例えば、電子部品用の商品タグ、製造工程管理用のタグ等、溶剤耐性、耐擦過性及び耐熱性等の各種耐性が要求される用途の被転写体に対する印画に使用できる。
[印画物の製造方法]
本開示の印画物の製造方法は、
本開示の熱転写シート及び被転写体を準備する工程(準備工程)と、
被転写体上に、上記熱転写シートが備える転写層を熱転写する工程(転写工程)と
を含む。
<準備工程>
熱転写シート及び被転写体の詳細は、上述したとおりである。
<転写工程>
本開示の印画物の製造方法は、被転写体上に、熱転写シートから転写層の少なくとも一部を熱転写する工程を含む。これにより、文字、線画、模様、記号及びこれらの組合せ等から構成される画像を、被転写体に形成できる。
具体的には、熱転写シートの転写層と被転写体の表面とを接触させ、次いで、熱転写シートにおいて、所望の領域に熱を印加し、該領域の転写層を被転写体上に転写する。このようにして、被転写体上に画像を形成できる。
一実施形態において、転写工程では、熱転写シートと被転写体とを重ね合わせ、熱転写プリンタが備えるサーマルヘッドとプラテンローラーとの間を通過させると共に、サーマルヘッドにより、熱転写シートを加熱することで行うことができる。
本開示は、例えば以下の[1]~[15]に関する。
[1]基材と転写層とを備える熱転写シートであって、転写層が、基材側から保護層と着色層とをこの順に備え、保護層が、結晶性ポリオレフィンを含有し、着色層が、フェノール樹脂成分を含有する、熱転写シート。
[2]結晶性ポリオレフィンの融点(Tm)が、60℃以上250℃以下である、上記[1]に記載の熱転写シート。
[3]結晶性ポリオレフィンが、融点(Tm)が60℃以上250℃以下の酸変性ポリオレフィンである、上記[1]又は[2]に記載の熱転写シート。
[4]酸変性ポリオレフィンが、酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種である、上記[3]に記載の熱転写シート。
[5]結晶性ポリオレフィンの融点(Tm)が、70℃以上160℃以下である、上記[1]~[4]のいずれか一項に記載の熱転写シート。
[6]保護層が、ポリエステルを更に含有する、上記[1]~[5]のいずれか一項に記載の熱転写シート。
[7]転写層が、剥離層を更に備え、剥離層が、転写層における基材側の表層を構成している、上記[1]~[6]のいずれか一項に記載の熱転写シート。
[8]剥離層が、樹脂材料及びワックスから選ばれる少なくとも1種を含有する、上記[7]に記載の熱転写シート。
[9]基材と転写層との間に、離型層を備える、上記[1]~[8]のいずれか一項に記載の熱転写シート。
[10]離型層が、ワックスを含有する、上記[9]に記載の熱転写シート。
[11]ワックスの融点(Tm)が、95℃以下である、上記[10]に記載の熱転写シート。
[12]上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の熱転写シートと、被転写体との組合せ。
[13]被転写体が、ポリエステル製布基材及びナイロン製布基材から選ばれる少なくとも1種である、上記[12]に記載の組合せ。
[14]被転写体が、衣料品又はリネン製品におけるケアタグ用基材である、上記[12]又は[13]に記載の組合せ。
[15]上記[1]~[11]のいずれか一項に記載の熱転写シート及び被転写体を準備する工程と、被転写体上に、熱転写シートが備える転写層を熱転写する工程とを含む、印画物の製造方法。
次に実施例を挙げて、本開示の熱転写シートを更に詳細に説明するが、本開示の熱転写シートはこれら実施例に限定されない。以下の記載において、「部」は「質量部」を意味する。以下の記載及び表1、表2に表示される配合量は、水及び有機溶剤を除き、固形分換算後の数値である。
[調製例]
以下の配合組成を有する剥離層用塗工液、保護層用塗工液、着色層用塗工液、背面層用塗工液及び離型層用塗工液をそれぞれ調製した。
<剥離層用塗工液(1)>
・カルナバワックス 30部
(WE-95、コニシ(株))
・ステアリン酸亜鉛 5部
(ハイミクロンF-930、中京油脂(株))
・水 32部
・イソプロピルアルコール(IPA) 32部
<剥離層用塗工液(2)>
・(メタ)アクリル樹脂 25部
(ダイヤナール(登録商標)BR-87、三菱ケミカル(株))
・ポリエステル 1部
(バイロン(登録商標)200、東洋紡(株))
・ポリエチレンワックス 15部
(スリップ剤C、昭和インク工業(株))
・メチルエチルケトン(MEK) 125部
・トルエン 125部
<剥離層用塗工液(3)>
・(メタ)アクリル樹脂 25部
(ダイヤナール(登録商標)BR-119、三菱ケミカル(株))
・ポリエステル 1部
(バイロン(登録商標)200、東洋紡(株))
・ポリエチレンワックス 15部
(スリップ剤C、昭和インク工業(株))
・MEK 125部
・トルエン 125部
<剥離層用塗工液(4)>
・(メタ)アクリル樹脂 12.5部
(ダイヤナール(登録商標)BR-119、三菱ケミカル(株))
・塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体 12.5部
(ソルバイン(登録商標)CNL、日信化学工業(株))
・ポリエステル 1部
(バイロン(登録商標)200、東洋紡(株))
・ポリエチレンワックス 15部
(スリップ剤C、昭和インク工業(株))
・MEK 125部
・トルエン 125部
<剥離層用塗工液(5)>
・ポリエチレンワックス 30部
(W300、三井化学(株))
・ステアリン酸亜鉛 5部
(ハイミクロンF-930、中京油脂(株))
・水 32部
・IPA 32部
<保護層用塗工液(1)>
・酸変性ポリエチレン 8部
(アローベース(登録商標)SA-1200、ユニチカ(株))
・ポリエステル 2部
(エリーテル(登録商標)KA-5034、Tg:67℃、Mn:9,000、
ユニチカ(株))
・水 22部
・IPA 68部
<保護層用塗工液(2)~(10)>
樹脂材料の種類及び量比を表1及び表2に記載したとおりに変更したこと以外は保護層用塗工液(1)と同様にして、保護層用塗工液(2)~(10)を調製した。使用した樹脂材料を以下に記載する。酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンの融点(Tm)を表1及び表2に記載する。
・酸変性ポリエチレン
(アローベース(登録商標)SB-1200、ユニチカ(株))
・酸変性ポリエチレン
(アローベース(登録商標)SD-1200、ユニチカ(株))
・酸変性ポリプロピレン
(アローベース(登録商標)DA-1010、ユニチカ(株))
・酸変性ポリプロピレン
(アローベース(登録商標)DB-4010、ユニチカ(株))
・ポリエステル
(エリーテル(登録商標)KA-1237、Tg:71℃、Mn:5,000、
ユニチカ(株))
<保護層用塗工液(11)>
・ノルボルネン系環状ポリオレフィン 16部
(アートン(登録商標)G7810、Tg:165℃、非晶性樹脂、JSR(株))
・トルエン 100部
・MEK 100部
<保護層用塗工液(12)>
・フェノールノボラック樹脂 10部
(フェノライト(登録商標)TD-2090、水酸基当量:105g/eq、軟化点:117~123℃、DIC(株))
・MEK 90部
<着色層用塗工液(1)>
・フェノールノボラック樹脂 19部
(フェノライト(登録商標)TD-2090、水酸基当量:105g/eq、軟化点:117~123℃、DIC(株))
・分散剤 1部
(プレンアクト(登録商標)AL-M、味の素ファインテクノ(株))
・カーボンブラック 10部
(三菱カーボンブラック#44、三菱ケミカル(株))
・硫酸バリウム 9部
・酢酸エチル 50部
・MEK 50部
<着色層用塗工液(2)>
・ポリエステル 33部
(バイロン(登録商標)200、Tg:67℃、Mn:17,000、東洋紡(株))
・ポリエステル 33部
(バイロン(登録商標)220、Tg:53℃、Mn:3,000、東洋紡(株))
・カーボンブラック 33部
(三菱カーボンブラック#44、三菱ケミカル(株))
・トルエン 150部
・MEK 150部
<背面層用塗工液(1)>
・アクリル変性シリコーン樹脂 10部
(ポリアロイNSA-X55、ナトコ(株))
・トルエン 20部
・MEK 20部
<離型層用塗工液(1)>
・カルナバワックス 8部
(WE-188、コニシ(株))
・スチレンブタジエンゴム 2部
(LX-430、日本ゼオン(株))
・水 30部
・IPA 60部
<離型層用塗工液(2)~(7)>
溶媒以外の材料の種類及び量比を表2に記載したとおりに変更したこと以外は離型層用塗工液(1)と同様にして、離型層用塗工液(2)~(7)を調製した。使用した材料を以下に記載する。
・カルナバワックス
(WE-95、融点:86℃、コニシ(株))
・ポリエチレンワックス
(W300、融点:132℃、三井化学(株))
・ポリエチレンワックス
(W500、融点:113℃、三井化学(株))
・ポリエチレン
(アローベース(登録商標)SD-1205J2、ユニチカ(株))
[実施例1]
厚さ4μmのPETフィルムの一方の面に、剥離層用塗工液(1)を塗布及び乾燥し、厚さ0.5μmの剥離層を形成した。剥離層上に、保護層用塗工液(1)を塗布及び乾燥し、厚さ0.2μmの保護層を形成した。保護層上に、着色層用塗工液(1)を塗布及び乾燥し、厚さ0.9μmの着色層を形成した。実施例1において、転写層は、剥離層、保護層及び着色層から構成される。PETフィルムの転写層が形成された側とは反対側の面上に、背面層用塗工液(1)を塗布及び乾燥し、厚さ0.06μmの背面層を形成した。このようにして、熱転写シートを得た。
[実施例2~14及び比較例1~3]
各塗工液を表1に記載したとおりに変更し、及び/又は剥離層の厚さを表1に記載したとおりに変更したこと以外は実施例1と同様にして、熱転写シートを作製した。表1において、剥離層の欄には、主成分のワックス又は樹脂材料の相対量のみを記載した。表1において、保護層及び着色層の欄には、樹脂材料の相対量のみを記載した。
[実施例15]
厚さ4μmのPETフィルムの一方の面に、離型層用塗工液(1)を塗布及び乾燥し、厚さ0.2μmの離型層を形成した。離型層上に、剥離層用塗工液(2)を塗布及び乾燥し、厚さ0.3μmの剥離層を形成した。剥離層上に、保護層用塗工液(4)を塗布及び乾燥し、厚さ0.2μmの保護層を形成した。保護層上に、着色層用塗工液(1)を塗布及び乾燥し、厚さ0.9μmの着色層を形成した。実施例15において、転写層は、剥離層、保護層及び着色層から構成される。PETフィルムの転写層が形成された側とは反対側の面上に、背面層用塗工液(1)を塗布及び乾燥し、厚さ0.06μmの背面層を形成した。このようにして、熱転写シートを得た。
[実施例16~23]
各塗工液を表2に記載したとおりに変更したこと以外は実施例15と同様にして、熱転写シートを作製した。表2において、離型層の欄には、主成分のワックス、樹脂材料又はゴム成分の相対量のみを記載した。表2において、剥離層の欄には、主成分のワックス又は樹脂材料の相対量のみを記載した。表2において、保護層及び着色層の欄には、樹脂材料の相対量のみを記載した。
[印字性評価]
実施例及び比較例で得られた熱転写シートと、ケアラベル印刷機である「片面2色印刷Vega2000」((株)中和)とを用いて、被転写体であるポリエステルサテン「CPS250」又はナイロンタフタ「CAN1600」(いずれも(株)中和)上に、印字速度:120mm/秒、印字エネルギー:19の条件で洗濯表示画像を形成し、印画物(印字ラベル)を得た。印字部を目視により観察し、下記評価基準に基づき評価した。
S:印字エネルギー19において良好に印字でき、ツブレ及びカスレは観測されなかった。さらに低い印字エネルギーである17においても実施したところ、ツブレ及びカスレは観測されなかった。
A:良好に印字でき、ツブレ及びカスレは観測されなかった。
B:印字濃度が薄いが、実用上問題のない程度であった。
C:ツブレ又はカスレが観測された。
NG:熱転写ができず、印字できなかった。
[耐久性評価(1):耐擦過性]
得られた印画物(印字ラベル)を摩擦試験機((株)スガ試験)に取り付け、綿布を用いて、荷重200gをかけて印字部を100回擦過処理した。綿布を目視により観察し、下記評価基準に基づき評価した。
<耐久評価(汚染)>
A:綿布にほとんど汚れがないことを確認した。
B:綿布の全体面積で汚れが半分未満であった。
C:綿布の全体面積で半分以上汚れていた。
NG:印字性評価において転写できなかったため、未評価である。
[耐久性評価(2):ドライクリーニング耐性]
得られた印画物(印字ラベル)を摩擦試験機((株)スガ試験)に取り付け、テトラクロロエチレンで浸した綿布を用いて、荷重200gをかけて印字部を10回擦過処理した。綿布及び印字部を目視により観察し、下記評価基準に基づき評価した。
<耐久評価(汚染)>
A:綿布にほとんど汚れがないことを確認した。
B:綿布の全体面積で汚れが半分未満であった。
C:綿布の全体面積で半分以上汚れていた。
NG:印字性評価において転写できなかったため、未評価である。
<耐久評価(変退色)>
A:良好な印字が保たれており、カスレが見られないことを確認した。
B:印字濃度が薄くなっているが、実用上問題のない程度であった。
C:印字濃度が明らかに薄くなっていたり、かすれていたりした。
NG:印字性評価において転写できなかったため、未評価である。
Figure 2022117920000002
Figure 2022117920000003
1 :熱転写シート
10:基材
12:離型層
20:転写層
22:保護層
24:着色層
26:剥離層
30:背面層

Claims (15)

  1. 基材と転写層とを備える熱転写シートであって、
    前記転写層が、基材側から保護層と着色層とをこの順に備え、
    前記保護層が、結晶性ポリオレフィンを含有し、
    前記着色層が、フェノール樹脂成分を含有する、
    熱転写シート。
  2. 前記結晶性ポリオレフィンの融点(Tm)が、60℃以上250℃以下である、請求項1に記載の熱転写シート。
  3. 前記結晶性ポリオレフィンが、融点(Tm)が60℃以上250℃以下の酸変性ポリオレフィンである、請求項1又は2に記載の熱転写シート。
  4. 前記酸変性ポリオレフィンが、酸変性ポリエチレン及び酸変性ポリプロピレンから選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の熱転写シート。
  5. 前記結晶性ポリオレフィンの融点(Tm)が、70℃以上160℃以下である、請求項1~4のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  6. 前記保護層が、ポリエステルを更に含有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  7. 前記転写層が、剥離層を更に備え、前記剥離層が、前記転写層における前記基材側の表層を構成している、請求項1~6のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  8. 前記剥離層が、樹脂材料及びワックスから選ばれる少なくとも1種を含有する、請求項7に記載の熱転写シート。
  9. 基材と転写層との間に、離型層を備える、請求項1~8のいずれか一項に記載の熱転写シート。
  10. 前記離型層が、ワックスを含有する、請求項9に記載の熱転写シート。
  11. 前記ワックスの融点(Tm)が、95℃以下である、請求項10に記載の熱転写シート。
  12. 請求項1~11のいずれか一項に記載の熱転写シートと、被転写体との組合せ。
  13. 前記被転写体が、ポリエステル製布基材及びナイロン製布基材から選ばれる少なくとも1種である、請求項12に記載の組合せ。
  14. 前記被転写体が、衣料品又はリネン製品におけるケアタグ用基材である、請求項12又は13に記載の組合せ。
  15. 請求項1~11のいずれか一項に記載の熱転写シート及び被転写体を準備する工程と、
    前記被転写体上に、前記熱転写シートが備える前記転写層を熱転写する工程と
    を含む、印画物の製造方法。
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