以下、本発明の一形態に係る実施の形態を説明する。本発明は、以下の実施の形態のみには限定されない。
本明細書において、範囲を示す「X~Y」は、XおよびYを含み、「X以上Y以下」を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は室温(20~25℃)/相対湿度40~50%RHの条件で測定する。
<第2級アルコールアルコキシレートの製造方法>
本発明の一形態は、管型反応器の入口および前記入口以外のnか所(nは2以上の整数である)に設置されたアルキレンオキサイド供給部を介してアルキレンオキサイドを第2級アルコールアルコキシレート前駆体に添加して、前記管型反応器内で前記第2級アルコールアルコキシレート前駆体を前記アルキレンオキサイドと反応させることを有し、前記アルキレンオキサイド供給部は、下記式(1)を満たすように前記管型反応器に設置され、さらに前記アルキレンオキサイドを、下記式(2)を満たすように前記第2級アルコールアルコキシレート前駆体に添加する、第2級アルコールアルコキシレートの製造方法(第一の側面)である:
第2級アルコールアルコキシレート(特に第2級アルコールエトキシレート)を界面活性剤として使用する場合、水溶性を高めるために、第2級アルコールアルコキシレートのアルキレンオキサイド付加モル数を高めることが有用である。また、第2級アルコールアルコキシレートを大量生産する場合には、バッチ式ではなく、連続生産することが好ましい。連続生産方式として、管型反応器(反応管)を使用する方法がある。このため、本発明者らは、管型反応器(反応管)を用いて、付加モル数の多い第2級アルコールアルコキシレートを連続して製造することについて検討を行ったところ、第2級アルコールアルコキシレートの色相が上昇する(第2級アルコールアルコキシレートが着色する)場合があることが判明した。そこで、本発明者らは、上記連続生産方式における高アルキレンオキサイド付加モル数の第2級アルコールアルコキシレートの着色低減手段につき、鋭意検討を行った。その結果、第2級アルコールにアルキレンオキサイドを2段階(第2級アルコールにアルキレンオキサイドを付加する第一アルコキシ化反応および第一アルコキシ化反応で得られた第2級アルコールアルコキシレート前駆体にアルキレンオキサイドを付加する第二アルコキシ化反応)で付加する場合、第二アルコキシ化反応時での第2級アルコールアルコキシレート前駆体へのアルキレンオキサイドの局所的な付加反応が色相の上昇の一因であると推測した。このため、第2級アルコールアルコキシレート前駆体へのアルキレンオキサイドの付加反応の制御につき、鋭意検討を行った。その結果、管型反応器(反応管)にて複数の供給部で、第2級アルコールアルコキシレート前駆体(アルキレンオキサイド付加モル数の少ないアルキレンオキサイド低モル付加物)にアルキレンオキサイドを分割して供給(分割フィード)する際に、
(i)式(1):N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)>0.4を満たす、即ち、4割を超える割合でアルキレンオキサイド供給間隔が長くなるように、アルキレンオキサイドを供給し;かつ
(ii)式(2):N[Yn”,Yn”+1]/n≧0.3を満たす、即ち、3割以上の割合で供給量が多くなるように、アルキレンオキサイドを供給して、
最終産物である高アルキレンオキサイド付加モル数の第2級アルコールアルコキシレート(アルキレンオキサイド高モル付加物)を製造することが有効であることを知得した。上記したような特定の形式での分割フィードにより、アルキレンオキサイド付加反応を適切に制御することができ、その結果、最終産物である第2級アルコールアルコキシレート(アルキレンオキサイド高モル付加物)の着色を低減できると推測する。また、上記方法は連続生産方式である。このため、着色が低減された第2級アルコールアルコキシレート(アルキレンオキサイド高モル付加物)を大量生産することが可能である。したがって、上記構成によると、着色が低減した第2級アルコールアルコキシレート(アルキレンオキサイド高モル付加物)を大量生産できる。
なお、本発明の構成による上記作用効果の発揮のメカニズムは推測であり、本発明は上記推測に限定されるものではない。
以下、第一の側面の各工程について、図を参照しながら、説明する。すなわち、図1に示されるように、(i)第2級アルコールアルコキシレート前駆体(アルキレンオキサイド低モル付加物若しくは低AO付加物)を製造し(工程(i));(ii)前記工程(i)で製造された第2級アルコールアルコキシレート前駆体に管型反応器内でアルキレンオキサイドを付加して(工程(ii))、第2級アルコールアルコキシレートを製造する。なお、下記説明は、第一の側面の各工程の例を示すものであり、本発明は、下記に限定されない。
(工程(i))
本工程では、第2級アルコールアルコキシレート前駆体(アルキレンオキサイド低モル付加物若しくは低AO付加物)を製造する。第2級アルコールアルコキシレート前駆体の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。例えば、(i-1)触媒の存在下で第2級アルコールをアルキレンオキサイドと反応させてアルキレンオキサイド付加物を得(第一アルコキシ化反応工程:図1における「第一アルコキシ化反応」);(i-2)上記工程(i-1)で得られたアルキレンオキサイド付加物(反応液)を水と混合して水層および有機層に分離し(洗浄工程:図1における「反応液洗浄」);(i-3)上記工程(i-2)で分離した有機層を精製する(精製工程:図1における「軽質分離」および「精留」)ことを有する方法が使用できる。
以下では、上記形態を説明する。しかし、本発明は、下記形態に限定されない。
(工程(i-1))
本工程では、触媒の存在下で第2級アルコールをアルキレンオキサイドと反応させてアルキレンオキサイド付加物を得る(第一アルコキシ化反応工程:図1における「第一アルコキシ化反応」)。
上記アルキレンオキサイド付加反応における原料である、第2級アルコールは、下記式(A)で示される炭素数11~15の飽和脂肪族炭化水素(ノルマルパラフィン)の末端以外の炭素に水酸基が結合してなる第2級アルコールの混合物である。
上記式(A)中、xとyとの合計(x+y)は、8~12の整数である。
第2級アルコールは、炭素数11~15の飽和脂肪族炭化水素の末端以外の炭素に水酸基が結合してなる第2級アルコール(x+yが8~12の整数である上記式(A)の第2級アルコール)を主成分として含む混合物(以下、単に「第2級アルコール」とも称する)であり、好ましくは、炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素の末端以外の炭素に水酸基が結合してなる第2級アルコール(x+yが9~11の整数である上記式(A)の第2級アルコール)を主成分として含む混合物である。ここで、「第2級アルコールを主成分として含む」とは、所定の炭素数の第2級アルコールを第2級アルコールに対して90質量%超(好ましくは95質量%超)(上限:100質量%)の割合で含むことを意味する。また、第2級アルコールの平均分子量は、158以上228以下であり、好ましくは186以上214以下である。第2級アルコールは、合成してもまたは市販品であってもよい。
本発明の一形態において、上記式(A)で示される第2級アルコールの混合物の製造方法としては、例えば、特開昭48-34807号公報、特開昭56-131531号公報、特公昭48-37242号公報などの公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。例えば、第2級アルコールは、メタホウ酸の存在下で、飽和脂肪族炭化水素を分子状酸素含有ガスで液相酸化し、酸化物を含有する反応液を得(酸化反応工程);前記酸化物をエステル化してボレート化合物を含有する反応液を得(エステル化工程);前記ボレート化合物を含有する反応液を蒸留して未反応の飽和脂肪族炭化水素および蒸留残留物に分離し(未反応飽和脂肪族炭化水素回収工程);前記蒸留残留物を加水分解してオルトホウ酸と有機層とに分離し(加水分解工程);前記有機層をアルカリでケン化して、アルカリ水溶液層と粗製アルコール層に分離し(ケン化工程);さらに前記粗製アルコール層を精製する(精製工程)ことによって得ることができる。
本発明の一形態において、本工程(i-1)(第一アルコキシ化反応)としては、例えば、特開2003-221593号公報、特開昭48-34807号公報、特開昭56-131531号公報、油化学,24,7,p.p.427-434(1975)、特公昭51-046084公報などの公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。以下、アルキレンオキサイド付加反応の一例を示す。なお、本発明は、下記方法によって限定されない。
触媒としては、アルキレンオキサイド付加モル数を所望の程度に(低く)制御できるとの観点から、酸触媒が使用される。すなわち、本発明の好ましい形態では、触媒は、酸触媒である。酸触媒としては、三フッ化ホウ素、三フッ化ホウ素-錯体(エーテル錯体(エーテラート)、フェノール錯体(フェノラート)、アセテート錯体等)、五塩化アンチモン、四塩化スズ、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボラン、リン酸、硫酸などが挙げられるが、これらに限定されない。触媒の添加量は、第2級アルコールに対して、0.05~0.5質量%、好ましくは0.05質量%を超え0.3質量%未満等であるが、これに制限されない。
アルキレンオキサイド(AO)としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好適である。本発明の一形態において、アルキレンオキサイドを付加する際、窒素置換しておいてもよい。窒素置換する際の初期窒素圧は、0.05~1.0MPaが好ましく、0.05~0.4MPaがより好ましい。
アルキレンオキサイドの供給量は、第2級アルコールへのアルキレンオキサイドの所望の平均付加モル数に応じて適宜調節できる。例えば、アルキレンオキサイドの添加量は、第2級アルコール 1モル(第2級アルコールの水酸基 1個)に対して、1.0モル以上1.8モル未満、好ましくは1.0モルを超え1.7モル以下、より好ましくは1.1~1.5モル、特に好ましくは1.1~1.4モル等であるが、これに制限されない。なお、アルキレンオキサイドを分割して添加する場合には、上記アルキレンオキサイドの添加量はアルキレンオキサイドの合計添加量である。
第2級アルコールとアルキレンオキサイドとの反応は、第2級アルコール及び触媒を反応器に供給した後、アルキレンオキサイドを上記反応器に供給する;第2級アルコールを反応器に供給した後、触媒及びアルキレンオキサイドをいずれかの順番でまたは同時に上記反応器に供給する;第2級アルコール、アルキレンオキサイド及び触媒を反応器に供給するなどいずれの形式で行ってもよい。好ましくは、第2級アルコール及び触媒を反応器に供給した後、アルキレンオキサイドを供給する。また、第2級アルコール、触媒およびアルキレンオキサイドは、それぞれ、一括供給しても、連続して供給しても、または段階的に(分割して)供給してもよい。好ましくは、第2級アルコール及び触媒を反応器に一括して供給し、アルキレンオキサイドを段階的に(分割して)反応器に供給する。これにより、アルキレンオキサイドの付加モル数(下記式(C)中のm)を所望の範囲により容易に制御できる。
第2級アルコールとアルキレンオキサイドとの反応に使用される反応器は、槽型反応器(回分反応器)、管型反応器(連続反応器)、連続槽型反応器のいずれであってもよい。また、上記反応器を適宜組み合わせてもよい。
反応器は特に限定されず、各原料(第2級アルコール、アルキレンオキサイド、触媒)の供給量などに応じて適宜選択できる。アルキレンオキサイドを容易に分割して反応器に供給できるとの観点から、管型反応器(連続反応器)を少なくとも使用することが好ましい。すなわち、本発明の好ましい実施形態では、第2級アルコールとアルキレンオキサイドとの反応を管型反応器(連続反応器)で行い、当該管型反応器の入口以外の少なくとも1か所でアルキレンオキサイドを追加する(即ち、アルキレンオキサイドを分割して供給する)。これにより、アルキレンオキサイドの付加モル数(下記式(C)中のm)をより容易に制御できる。また、当該構成により、反応器内の温度変化を抑えて、エチレンオキサイド付加反応による局所的な温度上昇を抑制・防止できる。また、反応器には、温度計が設置される。これにより、反応中の温度を容易に制御できる。
または、本発明の他の好ましい実施形態では、第2級アルコールとアルキレンオキサイドとの反応を、槽型反応器(回分反応器)で行う。また、反応器には、温度計が設置される。これにより、反応中の温度を容易に制御できる。
または、好ましい別の実施形態では、管型反応器と槽型反応器とを組み合わせて使用する。ここで、管型反応器および槽型反応器の設置順序は、管型反応器の下流に槽型反応器が設置される(管型反応器の反応物が槽型反応器に供給される)ことが好ましい。当該構成により、アルキレンオキサイド付加反応による局所的な温度上昇をより効果的に抑制・防止しつつ、アルキレンオキサイドの付加モル数(下記式(C)中のm)をさらにより容易に制御できる。
反応器の形状/大きさは特に限定されず、各原料(第2級アルコール、アルキレンオキサイド、触媒)の供給量などに応じて適宜選択できる。例えば、管型反応器では、反応器(反応管)は、直線状であっても、一部屈曲部を有していても(例えば、J字型、U字型、Z字型等)、円形であってもよい。管型反応器(反応管)は、好ましくは少なくとも一部屈曲部を有し、より好ましくはU字形状の反応管が繰り返し接続する構造を有する。また、アルキレンオキサイドが反応器の複数個所に供給されてもよく、好ましくはアルキレンオキサイドが管型反応器の複数個所に供給される。反応器(特に管型反応器)にアルキレンオキサイド供給部が複数設置される場合の、各供給部でのアルキレンオキサイド供給量は、反応温度が局所的に上がらないような量または反応温度が下記好ましい範囲に制御されるような量であることが好ましい。または、アルキレンオキサイドの供給場所は、前段に(上流で)供給したアルキレンオキサイドが反応して、アルキレンオキサイドの濃度が低くなった箇所であることが好ましいが、これらに限定されない。上記したようなアルキレンオキサイドを分割して供給して反応温度を適切な範囲(特に70℃以下)に制御することにより、色相の低減を有効に抑制できる。加えて、管型反応器に、温度計を1か所のみに設置してもよいが、反応器内のピーク温度を捉えるために反応器に複数の温度計が設置されることが好ましい。当該構成により、反応中の温度変化を満遍なく確認できる。ここで、温度計の設置数は、反応器へのアルキレンオキサイドの供給箇所数以上で反応器内のピーク温度を捉えられるのが好ましく、例えば、管型反応器長100mあたり、5以上50以下、好ましくは7以上15以下であるが、これらに限定されない。また、温度計の設置間隔は、反応器へのアルキレンオキサイドの供給場所の直後(例えば、アルキレンオキサイドの供給場所から0m以上100m未満、好ましくは0~80m、より好ましくは温度計の総設置数の80%を超える割合で、0~50m)で反応により温度上昇してピーク温度を捉えられる箇所に設置するのが好ましく、1m以上50m以下、好ましくは5m以上10m以下であるが、これらに限定されない。上記したような温度計の設置により、反応温度を適切な範囲(特に70℃以下)に制御して、色相の低減を有効に抑制できる。
第2級アルコールとアルキレンオキサイドとの反応条件(アルコキシ化反応条件)は、公知と同様の条件が採用できる。例えば、反応温度は、30℃以上70℃以下、好ましくは45℃以上70℃以下であるが、これらに限定されない。上記反応温度に調節するために、反応器は、熱媒(例えば、温水)を流すシステムを有していてもよい。なお、管型反応器を使用する場合には、管型反応器の反応温度は、設置する全ての温度計を監視しピーク温度が超えていないか確認することが好ましい。反応時間は、30分以上150分以下、好ましくは50分以上120分以下であるが、これらに限定されない。このような条件であれば、アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加モルを所望の範囲により容易に制御できる。また、着色誘発物質の副生を有効に抑制・防止できる。なお、上記反応時間は、2以上の反応器で行う場合には、合計の反応時間である。または、反応中のアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加数を測定し、所望の値に到達した際に、反応を終了させてもよい。反応圧力は、常圧または加圧のいずれでもよいが、アルキレンオキサイドの溶解性、反応速度などの観点から、反応を窒素ガス等の不活性ガスにより加圧下で行うことが好ましい。
上記反応により、アルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)(アルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)を含む反応液)が得られる。
(工程(i-2))
本工程では、上記工程(i-1)で得られたアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)(アルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)を含む反応液;以下、同様)を水と混合して水層および有機層に分離する(洗浄工程:図1における「反応液洗浄」)。これにより、アルキレンオキサイド付加物を含む有機層が分離される。なお、本工程(i-2)の洗浄工程によっては、アルキレンオキサイド付加反応は実質的に進行しない(アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイド付加モル数(平均付加モル数)は実質的に変化しない)。
アルキレンオキサイド付加物は、水単独と混合されても、または水を含む溶液(以下、「洗浄水」とも称する)と混合されてもよい。ここで、洗浄水を使用する場合の、洗浄水は、水以外に、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化リチウム等の塩基、水酸化マグネシウムなどを含むが、これらに限定されない。好ましくは、洗浄水は水及び塩基(特に水酸化ナトリウム、水酸化カリウム)との混合液(アルカリ水溶液)である。また、洗浄水における上記塩基等の成分の含有量は、例えば、0.1~30質量%、好ましくは0.5~5質量%の濃度になるような量であるが、これらに限定されない。これにより、触媒(特に酸触媒)を効率よく除去できる。また、アルキレンオキサイド付加物と水または洗浄水との混合工程は、1回行われてもまたは2回以上繰り返し行われてもよい。後者の場合には、アルキレンオキサイド付加物は、洗浄水と混合し、水層と有機層(有機層1)とに分離した後、この有機層1を水単独と混合し、水層と有機層(有機層2)とに分離することが好ましい。すなわち、本発明の好ましい形態では、分離は、前記アルキレンオキサイド付加物を含む反応液をアルカリ水溶液と混合して水層および有機層1に分離した後、前記有機層1を水と混合して水層および有機層2に分離することによって行われる。これにより、着色誘発物質をさらに効率よく除去できる。
アルキレンオキサイド付加物と水または洗浄水(特にアルカリ水溶液)との混合比(アルキレンオキサイド付加物を含む反応液:水または洗浄水(混合体積比))は、好ましくは1~8:1、より好ましくは3~5:1であるが、これらに限定されない。すなわち、本発明の好ましい形態では、アルキレンオキサイド付加物を含む反応液をアルカリ水溶液と混合する際の、前記反応液と前記アルカリ水溶液との混合体積比は、1~8:1である。また、本発明の好ましい形態では、有機層1を水と混合する際の、有機層1と水との混合体積比は、1~8:1である。本発明のより好ましい形態では、アルキレンオキサイド付加物を含む反応液をアルカリ水溶液と混合する際の、前記反応液と前記アルカリ水溶液との混合体積比は、3~5:1である。また、本発明のより好ましい形態では、有機層1を水と混合する際の、有機層1と水との混合体積比は、3~5:1である。上記したように水または洗浄水をアルキレンオキサイド付加物を含む液(反応液または有機層1)と等量以下に(特により少量に)おさえることによって、洗浄効率は確保しつつ、反応液を水または洗浄水と混合する際の乳化状態(特に油中水型)(ゆえに、着色)をより有効に抑制・防止できる。
または、アルキレンオキサイド付加物をアルカリ水溶液(洗浄水)と混合し、水層と有機層(有機層1)とに分離し、必要であれば、その後有機層1を水単独と混合し、水層と有機層(有機層2)とに分離してもよい。
また、アルキレンオキサイド付加物と水または洗浄水との混合方法は、特に限定されず、公知の方法を使用することができる。例えば、アルキレンオキサイド付加物に水または洗浄水を加え、十分に撹拌・混合して有機層にアルキレンオキサイド付加物を溶解した後に静置し、水層と有機層とが分離したら、有機層を取り出す方法などが挙げられる。ここで、攪拌・混合条件は、特に制限されない。例えば、攪拌・混合温度は、40~100℃、好ましくは80℃以上100℃未満である。攪拌・混合時間は、5~120分間、好ましくは10分間以上30分間未満である。なお、アルキレンオキサイド付加物を水および洗浄水で洗浄する(水洗浄後洗浄水洗浄、または洗浄水洗浄後水洗浄)場合には、各洗浄工程での撹拌・混合条件は、同じであってもまたは異なるものであってもよい。
反応液を水または洗浄水と混合した後、静置して水層および有機層に分離する。ここで、静置条件もまた、特に制限されないが、静置温度が60℃を超えることが好ましい。静置温度を60℃超とすることにより、水層と有機層との間に乳化層が形成されることを抑制し、水層をうまく分離できる。その結果、水層中に含まれる着色誘発物質をさらに効率よく除去でき、最終産物(第2級アルコールアルコキシレート)の色相を向上できる。静置温度は、好ましくは60℃を超えて100℃未満、より好ましくは60℃を超え95℃以下、特に好ましくは65℃を超え85℃未満である。静置時間は、例えば、5~120分間、好ましくは30~60分間であるが、上記に制限されない。アルキレンオキサイド付加物と水または洗浄水との混合に用いられる装置は、特に制限されないが、ミキサー部分(混合槽)でアルキレンオキサイド付加物と水または混合用溶液(洗浄水)を攪拌・混合した後、セトラー部分(静置槽)で水層と有機層とを分離できるようなミキサー・セトラー形式の装置を使用できる。または、ラインミキサーや向流洗浄塔等の装置を用いてもよい。
本工程により、アルキレンオキサイド付加物を含む有機層が分離される。特にアルキレンオキサイド付加物を洗浄水と混合し、水層と有機層(有機層1)とに分離した後、この有機層1を水単独と混合し、水層と有機層(有機層2)とに分離する場合には、アルキレンオキサイド付加物が高純度で得られる。
上記により得られた有機層は、必要であれば、脱水してもよい。これにより、第2級アルコールアルコキシレート前駆体のアルキレンオキサイド付加モル数(下記式(C)中のm)を所望の範囲にさらに効果的に制御できる。ここで、脱水方法としては、特に制限されず、公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。例えば、有機層を蒸留または分留することによって、脱水できる。この際の脱水圧力(塔頂(トップ)の圧力)は、1~500hPa、好ましくは50~300hPa等であるが、これに制限されない。なお、本明細書中、圧力は、気相部の圧力を測定するために反応器の上部に設置された圧力計で測定される圧力の値を意味する。本明細書中、特記しない限り、全て同様の定義が適用される。脱水温度(ボトム温度)は、50~200℃、好ましくは100~150℃等であるが、これに制限されない。このような条件であれば、未反応のアルコールなどを効率よく除去して、第2級アルコールアルコキシレート前駆体のアルキレンオキサイド付加モル数(下記式(C)中のm)を所望の範囲にさらに効果的に制御できる。
本工程により得られるアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物B)のアルキレンオキサイドの平均付加モル数(下記式(B)中のk)は、0を超えて2.1未満であり、好ましくは2.0未満であり、より好ましくは1.8未満、さらにより好ましくは1.7以下、特に好ましくは1.7未満である。また、本工程により得られるアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物)のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、0超であるが、目的物(特に第2級アルコールアルコキシレート3モル付加物(アルキレンオキサイド付加物B))の収率向上の観点から、好ましくは1.2以上、より好ましくは1.5超である。このような付加モル数であれば、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色をさらに低減しつつ、第2級アルコールアルコキシレートをより効率よく生産できる(より大量に生産できる)。すなわち、本発明の好ましい形態では、本工程により得られるアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1.2以上2.0未満である。本発明のより好ましい形態では、本工程により得られるアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1.5を超え1.8未満である。本発明のより好ましい形態では、本工程により得られるアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1.5を超え1.7以下である。本発明の特に好ましい形態では、本工程により得られるアルキレンオキサイド付加物(アルキレンオキサイド付加物A)のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、1.5を超え1.7未満である。本明細書において、アルキレンオキサイドの平均付加モル数は、下記方法によって測定される値を採用する。
(アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドの平均付加モル数)
アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドの平均付加モル数(平均AO付加モル数)は、アルキレンオキサイド付加物の水酸基価の分析値から下記の計算式1を用いて算出される。なお、水酸基価は、JIS K1557-1:2007のB法を基に測定される。具体的には、試料を無水フタル酸を含むピリジン溶液とし、ピリジン還流下で、水酸基をフタル化する。過剰のフタル化試薬は水によって加水分解し、生成したフタル酸を水酸化ナトリウムの標準液で滴定する。水酸基価は、空試験と試料試験との滴定量の差から計算することによって測定される。
(工程(i-3))
本工程では、上記工程(i-2)で分離した有機層を精製する(精製工程:図1における「軽質分離」および「精留」)。これにより、第2級アルコールアルコキシレート前駆体が得られる。
ここで、精製方法としては、特に制限されず、公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。例えば、有機層を蒸留または分留することによって、精製できる。この際の精製圧力(塔頂(トップ)の圧力)は、1~100hPa、好ましくは3~50hPa等であるが、これに制限されない。精製温度(ボトム温度)は、150~250℃、好ましくは175~225℃等であるが、これに制限されない。このような条件であれば、軽質物、未反応のアルコール、アルキレンオキサイド付加モル数の低い(例えば、2.5モル未満)の第2級アルコールアルコキシレート画分などを効率よく除去して、所望の第2級アルコールアルコキシレート前駆体を適切に分離できる。なお、図1では、精製工程(蒸留/分留工程)が2回行われているが、上記精製工程は、1回であっても、または繰り返して行ってもよい。例えば、図1に示されるように、軽質分離工程(図1における「軽質分離」)により軽質物を除去した後、精留工程(図1における「精留」)により未反応アルコールやアルキレンオキサイド付加モル数の低い低AOモル付加画分(例えば、アルキレンオキサイド付加モル数=2.5未満)を除去してもよい。これにより、下記式(C)で示される第2級アルコールアルコキシレート前駆体が得られる。
上記式(C)において、xおよびyは、上記式(A)と同様の定義である。
上記式(C)において、Xは、炭素数1~3のアルキレン基を表す。ここで、炭素数1~3のアルキレン基は、メチレン基(-CH2-)、エチレン基(-CH2CH2-)、トリメチレン基(-CH2CH2CH2-)、プロピレン基(-CH(CH3)CH2-、-CH2CH(CH3)-)である。好ましくは、Xはエチレン基である。mは、第2級アルコールアルコキシレート前駆体のアルキレンオキサイドの平均付加モル数である。mは、好ましくは2.5以上3.5以下であり、より好ましくは2.7を超えて3.1未満であるが、これに制限されない。本明細書において、第2級アルコールアルコキシレート前駆体のアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、上記(アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドの平均付加モル数)中の「アルキレンオキサイド付加物」を「第2級アルコールアルコキシレート前駆体」と読み替えて、同様にして測定される値を採用する。
すなわち、本発明の好ましい形態では、第2級アルコールアルコキシレート前駆体は、下記式(C):
上記式(C)中、Xは炭素数1~3のアルキレン基を表し;xとyとの合計(x+y)は、8~12の整数であり;mは2.5以上3.5以下である、
で示され、触媒の存在下で第2級アルコールをアルキレンオキサイドと反応させてアルキレンオキサイド付加物Aを含む反応液を得、前記反応液を水と混合した後、60℃を超える温度で静置して水層および有機層に分離して、下記式(B):
上記式(B)中、Xならびにxおよびyは、上記式(C)と同様の定義であり;kは5以上50以下である、
で示されるアルキレンオキサイド付加物Bを含む液を得、前記液を精製することによって、得られる。また、上記好ましい形態において、式(B)において、kは1.5を超えて1.8未満であることが好ましい。上記好ましい形態において、前記分離は、前記反応液をアルカリ水溶液と混合して水層および有機層1に分離した後、前記有機層1を水と混合して水層および有機層2に分離することによって行われることが好ましい。上記形態において、前記反応液をアルカリ水溶液と混合する際の、前記反応液と前記アルカリ水溶液との混合体積比が、1~8:1であることが好ましい。上記形態において、前記有機層1を前記水と混合する際の、前記有機層1と前記水との混合体積比が、1~8:1であることが好ましい。
上記したような第2級アルコールアルコキシレート前駆体であれば、着色が低減された良好な色相を呈する。具体的には、第2級アルコールアルコキシレート前駆体の色相(APHA)は、45未満、好ましくは40以下、より好ましくは30以下である。ここで、第2級アルコールアルコキシレート前駆体の色相(APHA)の下限は、特に制限されないが、20以上あれば充分である。すなわち、第2級アルコールアルコキシレート前駆体の色相(APHA)は、好ましくは20~40、より好ましくは20~30である。本明細書において、第2級アルコールアルコキシレート前駆体の色相(APHA)は、下記実施例に記載される方法によって測定される値を採用する。
(工程(ii))
本工程では、管型反応器内で、上記工程(i)で製造された第2級アルコールアルコキシレート前駆体にアルキレンオキサイドを付加する(第二アルコキシ化反応工程:図1における「第二アルコキシ化反応」)。ここで、管型反応器は、入口および前記入口以外のnか所(nは2以上の整数である)にアルキレンオキサイド供給部を有し、これらのアルキレンオキサイド供給部を介してアルキレンオキサイドを第2級アルコールアルコキシレート前駆体に添加(分割供給)して、前記管型反応器内で前記第2級アルコールアルコキシレート前駆体を前記アルキレンオキサイドと反応させる。なお、本明細書では、アルキレンオキサイド供給部は、実際にアルキレンオキサイドが供給される供給部を意図する。このため、アルキレンオキサイド供給のために管型反応器に設置されている場合であっても、実際にはアルキレンオキサイドを供給しないアルキレンオキサイド供給部は、本発明に係る「アルキレンオキサイド供給部」とはみなさない。
管型反応器において、アルキレンオキサイド供給部(反応器入口を含む)は、下記式(1)を満たすように管型反応器に設置される。すなわち、第2級アルコールとアルキレンオキサイドとを反応させる際に、4割を超える割合でアルキレンオキサイド供給セットを設置する。
上記式(1)において、N[Xn’,Xn’+1]は、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのアルキレンオキサイド供給部セットの数を表わす。この際、Xn’は、管型反応器の入口側からn’番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn’と、管型反応器の入口側からn’+1番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn’+1と、の間隔(m)を表わす。n’は0以上n-2以下の整数である。また、Xn’+1は、アルキレンオキサイド供給部Pn’+1と、管型反応器の入口側からn’+2番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn’+2と、の間隔(m)を表わす。すなわち、N[Xn’,Xn’+1]は、以下に示されるように、隣接する3つのアルキレンオキサイド供給部(管型反応器入口側からPn’、Pn’+1およびPn’+2)を1セットとした場合、入口(反応上流)側の2つの隣接するアルキレンオキサイド供給部(Pn’およびPn’+1)の間隔(Xn’)より、出口(反応下流)側の2つの隣接するアルキレンオキサイド供給部(Pn’+1およびPn’+2)の間隔(Xn’+1)の方が大きい(Xn’<Xn’+1)アルキレンオキサイド供給部セットの個数を意味する。
すなわち、上記式(1)は、全てのアルキレンオキサイド供給部セット数(n-1)に対する、Xn’<Xn’+1を満たすアルキレンオキサイド供給部セット数(N[Xn’,Xn’+1])の割合(N[Xn’,Xn’+1]/(n-1))が、4割(4/10)超であることを意味する。本明細書において、「N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)」は、Xn’<Xn’+1を満たすアルキレンオキサイド供給部セット数(N[Xn’,Xn’+1])を、全てのアルキレンオキサイド供給部セット数(n-1)で除した値を小数点第2位まで求め、四捨五入して小数点第1位まで求めた値を採用する。
本明細書において、反応管は、管型反応器において、第2級アルコールアルコキシレート前駆体へのアルキレンオキサイドの付加反応が実質的に進行する部分を意図する。このため、例えば、図2では、管型反応器入口(図2中のP0)と、管型反応器出口(図2中のPoutlet)と、の間の反応管部分が、本実施形態に係る反応管である。
本明細書において、n’が0であるアルキレンオキサイド供給部(P0’)は、反応管に最初に設置されるアルキレンオキサイド供給部である管型反応器入口(図2中の「P0」)である。
本明細書において、2つの隣接するアルキレンオキサイド供給部(Pn’およびPn’+1)の間隔(Xn’)は、図3に示されるように、アルキレンオキサイドが供給されるアルキレンオキサイド供給部(Pn’)での反応管の中心(図3中の「Pn’」)と前記アルキレンオキサイド供給部(Pn’)の反応下流側で隣接するアルキレンオキサイド供給部(Pn’+1)での反応管の中心(図3中の「Pn’+1」)との間の距離(図3中の実線部分の長さ「Xn’」)をいう。この際、反応管の中心とは、反応管の長手方向と直角な面で管を切断した切断面の重心にあたる点である。例えば、反応管の断面が円形の場合は円の中心であり、円形以外の場合は、反応管の断面の内部に描ける円のうち最も大きい円の中心である。例えば、アルキレンオキサイド供給部(P0’)と当該P0’に隣接するアルキレンオキサイド供給部(P1’)との間隔(X1’)は、最初にアルキレンオキサイドが供給される反応管入口(管板面と反応管との境界部に相当する管板面中央部;図2参照)での反応管の中心と、次にアルキレンオキサイドが供給されるアルキレンオキサイド供給部での反応管の中心と、の間の距離である。
ここで、式(1)のN[Xn’,Xn’+1]/(n-1)が0.4以下であると、アルキレンオキサイドが頻繁に供給されすぎて、アルキレンオキサイドが第2級アルコールアルコキシレート前駆体に局所的に付加し、その結果、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートが着色してしまう(比較例1、3、4)。最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色のさらなる低減効果などの観点から、式(1)のN[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は、0.5以上であることが好ましく、0.7を超えることがより好ましく、0.8以上であることが特に好ましい。当該形態によれば、第2級アルコールアルコキシレート前駆体へのアルキレンオキサイドの局所的な付加反応を抑え、アルキレンオキサイド付加反応を適切に制御して、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色をさらに効果的に低減できる。なお、全てのアルキレンオキサイド供給部セットにおいてXn’<Xn’+1を満たすことが好ましいため、式(1)のN[Xn’,Xn’+1]/(n-1)の上限は1であることが好ましいが、例えば、0.95未満または0.9以下であってもよい。すなわち、本発明の好ましい形態では、アルキレンオキサイド供給部は、下記式(1’)を満たすように前記管型反応器に設置される:
上記式(1’)において、N[Xn’,Xn’+1]は、上記式(1)と同様の定義である。
上記式(1)において、4割を超える割合でアルキレンオキサイドを供給間隔が長くなるように供給するが、好ましくは8割を超える割合で、より好ましくはすべてのアルキレンオキサイド供給部セットにおいて、アルキレンオキサイドを供給間隔が同等以上である(Xn’≦Xn’+1)。当該構成により、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色をより有効に低減できる。
Xn’+1がXn’より大きい(Xn’<Xn’+1を満たす)場合、管型反応器の入口側からn’+1番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn’+1と、管型反応器の入口側からn’+2番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn’+2と、の間隔[Xn’+1(m)]に対する、管型反応器の入口側からn’番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn’と、管型反応器の入口側からn’+1番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn’+1と、の間隔[Xn’(m)]の比[Xn’+1/Xn’]は1超である。最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色のさらなる低減効果などの観点から、Xn’+1に対するXn’の比[Xn’+1/Xn’]は、好ましくは1.05を超え、より好ましくは1.10以上であるが、これに制限されない。なお、上記場合におけるXn’+1に対するXn’の比[Xn’+1/Xn’]は、例えば、1.50以下であり、好ましくは1.30未満であるが、これに制限されない。
アルキレンオキサイドの供給間隔(隣接するアルキレンオキサイド供給部間の距離、図3中の「Xn’」)は、例えば、10m以上200m以下、好ましくは20m以上150m以下、より好ましくは30mを超えて100m未満であるが、これらに限定されない。第2級アルコールアルコキシレート前駆体へのアルキレンオキサイドの局所的な付加反応をより有効に抑制・防止できる。ゆえに、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの色相を向上できる。
管型反応器のアルキレンオキサイド供給部の設置数は、管型反応器の下流方向で減少するように設置される。好ましくは、管型反応器の全管長の半分を超えて出口までの間のアルキレンオキサイド供給部の設置数(Noutlet)に対する管型反応器の入口から全管長の半分までの間のアルキレンオキサイド供給部の設置数(Ninlet)の割合(Ninlet/Noutlet)が、1.0/1を超え10.0/1以下、好ましくは1.5/1以上5.0/1未満である。本明細書において、「Ninlet」は、管型反応器の入口から出口までの全管長において、入口から全管長の半分までの領域(反応器入口および全管長の半分を含む)(「管型反応器上流領域」とも称する)におけるアルキレンオキサイド供給部の設置数である。このため、アルキレンオキサイド供給部が管型反応器入口に設置されている場合には、当該「Ninlet」には、管型反応器入口に設置されたエチレンオキサイド供給部の数を含む。また、「Noutlet」は、管型反応器の入口から出口までの全管長において、管型反応器の全管長の半分を超えて出口までの領域(「管型反応器下流領域」とも称する)におけるアルキレンオキサイド供給部の設置数である。「Ninlet/Noutlet」は、上記「Ninlet」を上記「Noutlet」で除した値を小数点第2位まで求め、四捨五入して小数点第1位まで求めた値を採用する。例えば、下記実施例1では、第二反応器に第二反応器入口を含め合計10個のエチレンオキサイド供給部が設置され、第二反応器の入口から全管長の半分までの領域(管型反応器上流領域)に設置されたアルキレンオキサイド供給部数が8(Ninlet=8)であり、第二反応器の管型反応器の全管長の半分を超えて出口までの領域(管型反応器下流領域)に設置されたアルキレンオキサイド供給部数が2(Noutlet=2)であるため、Ninlet/Noutletは4.0(=8/2)となる。
上記に加えて、管型反応器において、アルキレンオキサイドを、下記式(2)を満たすように前記第2級アルコールアルコキシレート前駆体に添加する。すなわち、第2級アルコールアルコキシレート前駆体とアルキレンオキサイドとを反応させる際に、3割以上の割合でアルキレンオキサイドを供給量が多くなるように供給する。
上記式(2)において、N[Yn”,Yn”+1]は、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのアルキレンオキサイド供給部セットの数を表わす。この際、Yn”は、管型反応器の入口側からn”番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn”におけるアルキレンオキサイドの供給量(kg/hr)を表わす。n”は0以上n-1以下の整数である。また、Yn”+1は、管型反応器の入口側からn”+1番目に設置されるアルキレンオキサイド供給部Pn”+1におけるアルキレンオキサイドの供給量(kg/hr)を表わす。すなわち、N[Yn”,Yn”+1]は、隣接する2つのアルキレンオキサイド供給部(入口側からPn”およびPn”+1)を1セットとした場合、入口(反応上流)側のアルキレンオキサイド供給部(Pn”)でのアルキレンオキサイド供給量(Yn”)より、出口(反応下流)側の隣接するアルキレンオキサイド供給部(Pn”+1)でのアルキレンオキサイド供給量(Yn”+1)の方が大きい(Yn”<Yn”+1)アルキレンオキサイド供給部セットの個数を意味する。
すなわち、上記式(2)は、全てのアルキレンオキサイド供給部セット数(n)に対する、Yn”<Yn”+1満たすアルキレンオキサイド供給部セット数(N[Yn”,Yn”+1])が、3割(3/10)以上であることを意味する。本明細書において、「N[Yn”,Yn”+1]/n」は、Yn”<Yn”+1を満たすアルキレンオキサイド供給部セット数(N[Yn”,Yn”+1])を、全てのアルキレンオキサイド供給部セット数(n)で除した値を小数点第2位まで求め、四捨五入して小数点第1位まで求めた値を採用する。
本明細書において、n”が0であるアルキレンオキサイド供給部(P0”)は、反応管に最初に設置されるアルキレンオキサイド供給部である管型反応器入口(図2中の「P0」)である。
ここで、式(2)のN[Yn”,Yn”+1]/(n-1)が0.3未満であると、反応器内の温度上昇により、アルキレンオキサイド付加反応を適切に制御できず、その結果、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートが着色してしまう(比較例1、2、3、5)。最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色のさらなる低減効果などの観点から、式(2)のN[Yn”,Yn”+1]/(n-1)は、0.6以上であることが好ましく、0.7を超すことがより好ましく、0.9以上であることが特に好ましい。なお、式(2)のN[Yn”,Yn”+1]/(n-1)の上限は1であることが好ましいが、例えば、0.97未満または0.95以下であってもよい。
上記式(2)において、3割以上の割合でアルキレンオキサイドを供給量が多くなるようにアルキレンオキサイドを供給するが、好ましくは8割を超える割合で、より好ましくは9割以上の割合で、アルキレンオキサイド供給部セットにおいて、アルキレンオキサイドの供給量が同等以上である(Yn”≦Yn”+1)。当該構成により、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色をより有効に低減できる。
Yn”+1がYn”より大きい(Yn”<Yn”+1)場合、入口(反応上流)側のアルキレンオキサイド供給部(Pn”)でのアルキレンオキサイド供給量(Yn”)と、出口(反応下流)側の隣接するアルキレンオキサイド供給部(Pn”+1)でのアルキレンオキサイド供給量(Yn”+1)と、の差(Yn”+1-Yn”(kg/hr))は、0(kg/hr)超である。最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色のさらなる低減効果などの観点から、Yn”+1がYn”より大きい(Yn”<Yn”+1)場合における、Yn”と、Yn”+1と、の差(Yn”+1-Yn”(kg/hr))は、好ましくは0.5(kg/hr)以上60(kg/hr)以下、より好ましくは1(kg/hr)以上40(kg/hr)未満であるが、これに制限されない。
第二アルコキシ化反応は、管型反応器で、上述したような条件下で、管型反応器の入口および前記入口以外の少なくとも1か所でアルキレンオキサイドを添加して、第2級アルコールアルコキシレート前駆体をアルキレンオキサイドと連続して反応させる。当該構成により、反応器内の局所的な温度変化を抑える(特に、アルキレンオキサイド付加反応による局所的な温度上昇を抑制・防止する)ことが可能である。ゆえに、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色を有効に低減できる。また、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートのアルキレンオキサイドの付加モル数を容易に制御することも可能である。なお、第2級アルコールアルコキシレート前駆体とアルキレンオキサイドとの反応は、管型反応器(連続反応器)で行われればよく、管型反応器の前後に、槽型反応器(回分反応器)、管型反応器(連続反応器)、連続槽型反応器を別途設けてもよい。
本発明の一形態において、アルキレンオキサイド付加反応としては、例えば、特開2003-221593号公報、特開昭48-34807号公報、特開昭56-131531号公報、油化学,24,7,p.p.427-434(1975)、特公昭51-046084公報などの公知の方法を同様にしてまたは適宜修飾して適用できる。以下、アルキレンオキサイド付加反応の一例を示す。なお、本発明は、下記方法によって限定されない。
触媒としては、所望のアルキレンオキサイド付加モル数を有する第2級アルコールアルコキシレートを製造できる(アルキレンオキサイド付加モル数を高く制御できる)との観点から、アルカリ触媒が使用される。すなわち、本発明の好ましい形態では、触媒は、アルカリ触媒である。アルカリ触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアルコキシドなどが挙げられるが、これらに限定されない。触媒の添加量は、第2級アルコールアルコキシレート前駆体に対して、0.01~1質量%、好ましくは0.02質量%を超え0.5質量%未満等であるが、これに制限されない。または、触媒の管型反応器への供給量は、0.1~5kg/hr、好ましくは0.5~2kg/hrであるが、これに限定されない。
なお、本工程において、触媒は、そのままの形態で添加されても、または溶液(例えば、水溶液)の形態で添加されてもよい。後者の場合の触媒の濃度は、触媒溶液において、30~70質量%程度であるが、これに限定されない。
アルキレンオキサイド(AO)としては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド等が好適である。本発明の一形態において、アルキレンオキサイドを付加する際、窒素置換しておいてもよい。窒素置換する際の初期窒素圧は、1.0~2.0MPaが好ましく、1.3~1.7MPaがより好ましい。
アルキレンオキサイドの管型反応器への供給量は、300~1500kg/hr、好ましくは700~1200kg/hrであるが、これに限定されない。または、アルキレンオキサイドの管型反応器への供給量は、第2級アルコールへのアルキレンオキサイドの平均付加モル数(最終産物である第2級アルコールアルコキシレートにおけるアルキレンオキサイドの平均付加モル数)が5~50モル(好ましくは6~15モル、より好ましくは7~9モル)となるように調節してもよい。例えば、アルキレンオキサイドの添加量は、第2級アルコールアルコキシレート前駆体 1モルに対して、5~15モル、好ましくは6~12モル等であるが、これに制限されない。なお、上記アルキレンオキサイドの添加量は、本工程におけるアルキレンオキサイドの合計添加量である。
第2級アルコールアルコキシレート前駆体とアルキレンオキサイドとの反応は、第2級アルコールアルコキシレート前駆体及び触媒を反応器に供給した後、アルキレンオキサイドを管型反応器に分割供給する;第2級アルコールアルコキシレート前駆体および触媒をいずれかの順番で(第2級アルコールアルコキシレート前駆体後触媒または触媒後第2級アルコールアルコキシレート前駆体の順番で)または同時に管型反応器に供給した後、アルキレンオキサイドを上記反応器に分割供給する;第2級アルコールアルコキシレート前駆体、アルキレンオキサイド及び触媒を管型反応器に供給した後、アルキレンオキサイドを上記反応器入口以外の少なくとも1か所で供給するなどいずれの形式で行ってもよい。好ましくは、第2級アルコールアルコキシレート前駆体、アルキレンオキサイド及び触媒を管型反応器に供給した後、上述した特定の条件でアルキレンオキサイドを上記反応器入口以外の少なくとも1か所で供給する。これにより、反応器内の局所的な温度変化をより効果的に抑える(特に、アルキレンオキサイド付加反応による局所的な温度上昇をより効果的に抑制・防止する)ことが可能である。ゆえに、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの着色をより有効に低減できる。また、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートのアルキレンオキサイドの付加モル数をより容易に制御できる。第2級アルコールおよび触媒は、それぞれ、一括供給しても、連続して供給しても、または段階的に(分割して)供給してもよい。
管型反応器の形状や大きさは特に限定されず、各原料(第2級アルコールアルコキシレート前駆体、アルキレンオキサイド、触媒)の供給量などに応じて適切に選択できる。例えば、管型反応器(反応管)は、直線状であっても、一部屈曲部を有していても(例えば、J字型、U字型、Z字型、らせん形状等)、円形であってもよい。管型反応器(反応管)は、好ましくは少なくとも一部屈曲部を有し、より好ましくはU字形状の反応管を有し、特に好ましくは、図2に示されるように、U字形状の反応管が繰り返し接続する構造を有する。すなわち、本発明の好ましい形態では、管型反応器は、少なくとも一部屈曲部を有する。本発明の好ましい形態では、管型反応器は、U字形状の反応管を有する。本発明の特に好ましい形態では、管型反応器は、U字形状の反応管が繰り返し接続する構造を有する。
管型反応器(反応管)の内径は、15mm以上65mm以下、好ましくは20mm以上50mm以下であるが、これらに限定されない。管型反応器(反応管)の外径は、10mm以上70mm以下、好ましくは25mm以上55mm以下であるが、これらに限定されない。管型反応器(反応管)の長さ(管長、全長)は、第2級アルコールアルコキシレートの生産量などに応じて適宜選択できる。例えば、管型反応器(反応管)の長さ(管長)は、100m以上3000m以下、好ましくは300mを超え2000m以下であるが、これらに限定されない。このような大きさの管型反応器であれば、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの色相をより有効に向上できる。
また、アルキレンオキサイドは、管型反応器の入口以外の少なくとも1か所で供給される(管型反応器の長手方向に沿って設置された供給部を介して連続的に導入される)。ここで、アルキレンオキサイドの供給数は、管型反応器長1000mあたり、反応器の入口以外に、例えば、2以上30以下、好ましくは3以上20以下、より好ましくは5以上18以下で設けられるが、これらに限定されない。すなわち、本発明の一形態では、管型反応器1000m当たり、2~30か所でアルキレンオキサイドを添加する。本発明の好ましい形態では、管型反応器1000m当たり、3~20か所でアルキレンオキサイドを添加する。本発明のより好ましい形態では、管型反応器1000m当たり、5~18か所でアルキレンオキサイドを添加する。ここで、アルキレンオキサイド供給部は、管型反応器のいずれの位置に設置されてもよいが、図2に示されるように、管型反応器の同一管板面に設置されることが好ましい。当該構成により、アルキレンオキサイドの供給量を制御でき、着色を低減できる。
管型反応器の各アルキレンオキサイド供給部に、アルキレンオキサイドの供給を円滑に行うための機構を設けてもよい。このような機構としては、例えば、供給部面に堰を設ける、一反応管出口から所望の反応管入口に選択的にアルキレンオキサイドを流通する機構を設ける、反応管の入口や出口の開口を維持する機構を設ける、などが挙げられるが、これらに限定されない。
管型反応器の各アルキレンオキサイド供給部には、図2に示されるように一のアルキレンオキサイド供給源からアルキレンオキサイドを供給しても、または異なる(複数の)アルキレンオキサイド源からアルキレンオキサイドを供給してもよい。
また、管型反応器には、温度計を1か所のみに設置してもよいが、反応器に複数の温度計が設置されることが好ましい。当該構成により、反応中の温度変化を満遍なく確認できる。すなわち、本発明の好ましい形態では、前記管型反応器の入口以外の少なくとも1か所で温度を測定する。ここで、温度計の設置数は、例えば、管型反応器長1000mあたり、5以上50以下、好ましくは7以上20以下であるが、これらに限定されない。また、また、温度計の設置間隔は、反応器へのアルキレンオキサイドの供給場所の直後(例えば、アルキレンオキサイドの供給場所から0m以上100m未満、好ましくは0~80m、より好ましくは温度計の総設置数の80%を超える割合で、0~50m)で反応により温度上昇してピーク温度を捉えられる箇所に設置するのが好ましく、1m以上50m以下、好ましくは5m以上10m以下であるが、これらに限定されない。上記したような温度計の設置により、第2級アルコールアルコキシレート前駆体へのアルキレンオキサイドの付加反応をより確実に制御できる。ゆえに、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの色相を向上できる。
第2級アルコールアルコキシレート前駆体とアルキレンオキサイドとの反応条件(アルコキシ化反応条件)は、公知と同様の条件が採用できる。例えば、反応温度は、120℃以上180℃以下、好ましくは130℃以上170℃以下であるが、これらに限定されない。また、反応中の最高温度が、170℃以下、より好ましくは165℃未満であることが好ましい。これにより、色相の低減をより有効に抑制できる。なお、管型反応器の反応温度は、設置する全ての温度計を監視しピーク温度が超えていないか確認することが好ましい。
一般的に、アルキレンオキサイド付加反応は発熱反応である。このため、上記反応温度に調節するために、反応器は、図2に示されるような熱媒(例えば、温水)を循環するシステムを有していてもよい。熱媒を流すシステムを設ける場合には、循環後の熱媒(例えば、熱水、水蒸気)を取り出し、他のプロセスに利用してもよい。当該形態は、既存のエネルギーの再利用、二酸化炭素排出量の低減などにつながり、地球環境の観点から好ましい。
反応時間は、0.1時間以上2時間以下、好ましくは0.3時間以上1時間以下であるが、これらに限定されない。このような条件であれば、第2級アルコールアルコキシレート前駆体に所望量のアルキレンオキサイドを付加できる。また、最終産物である第2級アルコールアルコキシレートの色相をさらに向上できる。なお、上記反応時間は、2以上の反応器で行う場合には、合計の反応時間である。または、反応により生成する第2級アルコールアルコキシレートのアルキレンオキサイド付加数を測定し、所望の付加モル数に到達した際に、反応を終了させてもよい。反応圧力は、常圧または加圧のいずれでもよいが、アルキレンオキサイドの溶解性、反応速度などの観点から、反応を窒素ガス等の不活性ガスにより加圧下で行うことが好ましい。
上記により、下記式(D)で示される第2級アルコールアルコキシレートを製造できる。また、上記方法は、管型反応器を使用するため、連続(大量)生産が可能である。また、上記により製造される第2級アルコールアルコキシレートは、色相に優れ、高純度を有する。このため、本開示による方法によれば、色相に優れる第2級アルコールアルコキシレートを連続して(大量に)生産できる。
上記式(D)において、xおよびyは、上記式(A)と同様の定義である。また、上記式(D)において、Xは、上記式(B)と同様の定義である。
上記式(D)において、nは、第2級アルコールアルコキシレートのアルキレンオキサイドの平均付加モル数である。nは、5以上50以下であり、好ましくは6以上15以下であり、より好ましくは7以上9以下である。このような第2級アルコールアルコキシレートは、高い水溶性を有し、界面活性剤として好適に使用できる。本明細書において、第2級アルコールアルコキシレートのアルキレンオキサイドの平均付加モル数は、上記(アルキレンオキサイド付加物のアルキレンオキサイドの平均付加モル数)中の「アルキレンオキサイド付加物」を「第2級アルコールアルコキシレート」と読み替えて、同様にして測定される値を採用する。
本発明に係る第2級アルコールアルコキシレートは、色相に優れる(着色が少ないまたはない)。具体的には、第2級アルコールアルコキシレートの色相(APHA)は、70以下である。ここで、第2級アルコールアルコキシレートの色相(APHA)は、好ましくは65以下、より好ましくは60以下である。ここで、第2級アルコールアルコキシレートの色相(APHA)の下限は、低いほど好ましく特に制限されないが、50以上あれば充分でありえ、55以上であってもよい。すなわち、第2級アルコールアルコキシレートの色相(APHA)は、好ましくは50~70、より好ましくは50~65、さらに好ましくは50~60である。本明細書において、第2級アルコールアルコキシレートの色相(APHA)は、下記実施例に記載される方法によって測定される値を採用する。
上述したように、本発明の方法によって製造される第2級アルコールアルコキシレートは、着色が起こりにくいまたは起こらない。また、本発明の方法によって製造される第2級アルコールアルコキシレートは、ゲル化しないまたはしにくく、洗浄力に優れ、臭気が少ないまたは発生しない。このため、第2級アルコールアルコキシレートおよび第2級アルコールアルキレンオキサイド高付加物は、洗剤(界面活性剤)組成物の原料として有用である。
ここで、第2級アルコールアルコキシレートを含む洗剤(界面活性剤)組成物は、単独で使用してもよいが、従来より公知の他の界面活性剤を併用してもよい。このような界面活性剤としては、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、脂肪族アミドスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテル硫酸エステル塩などの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、第4級アンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤、アルキルベタインなどの両性イオン界面活性剤などが挙げられる。
第2級アルコールアルコキシレートを含む洗剤(界面活性剤)組成物は、種々の添加剤を加えることができる。このような添加剤としては、例えば、アルカリ剤、ビルダー、香料、蛍光増白剤、着色剤、起泡剤、泡安定剤、つや出し剤、殺菌剤、漂白剤、酵素、防腐剤、染料、溶剤などが挙げられる。
第2級アルコールアルコキシレートを含む洗剤(界面活性剤)組成物は、衣類、繊維製品、食器、容器、雑貨器具、食品、ビルメインテナンス製品、住居、家具、自動車、航空機、金属製品などの洗浄剤、シャンプー、ボディシャンプーなどとして、洗浄剤用途に有効に用いることができる。
または、第2級アルコールアルコキシレートは、乳化剤として使用してもよい。この際用いることのできる油性物質については、特に制限はなく、鉱物油、動植物油、合成油などを使用することができる。これらは、単独でも、あるいは2種以上混合して使用することもできる。鉱物油の例としては、例えば、スピンドル油、マシン油、流動パラフィン油などを挙げることができる。動植物油の例としては、牛脂、豚脂、魚油、鯨油、ナタネ油、ゴマ油、ヤシ油、大豆油、パーム油、ツバキ油、ヒマシ油などを挙げることができる。本発明の一形態において、乳化剤は、農薬、金属加工油、塗料および乳化重合用乳化剤などに用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例および比較例に限定して解釈されるものではなく、各実施例に開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施例も本発明の範囲に含まれる。なお、下記実施例において、特記しない限り、操作は室温(25℃)で行われた。また、特記しない限り、「%」および「部」は、それぞれ、「質量%」および「質量部」を意味する。
実施例1
炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素の混合物(平均分子量:184)1000gと、メタホウ酸25gとを容量3Lの円筒形反応器に入れ、酸素濃度3.5vol%、窒素濃度96.5vol%のガスを1時間当たり430Lの割合で吹き込み、常圧下170℃で2時間、液相酸化反応を行行い、酸化反応混合液を得た(酸化反応工程)。なお、原料として使用される炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素の混合物は、炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素を炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素の混合物の全質量に対して95質量%を超える割合で含む。
この酸化反応混合液を200hPa、170℃にて処理して、それに含まれるアルコールをオルトホウ酸エステル化して、ボレート化合物(ホウ酸エステル混合物)を得た(エステル化工程)。次に、このボレート化合物(ホウ酸エステル混合物)を170℃(塔底温度)で7hPaでフラッシュ蒸留した(未反応飽和脂肪族炭化水素回収工程)。次いで、残留液を多量(残留液に対して2質量倍量)の95℃の熱水で加水分解し、オルトホウ酸を含む水層および有機層とに分離した(加水分解工程)。得られた有機層を水酸化ナトリウムを用いて140℃でケン化処理および水洗を行い、有機酸および有機酸エステルを除去した(ケン化工程)。この有機層を7hPaで分留し、第一留分として沸点範囲95~120℃留分および第二留分として沸点範囲120~150℃留分を得た(精製工程)。ここで、第一留分(95℃以上120℃未満留分)は、少量の飽和脂肪族炭化水素、カルボニル化合物および1価第1級アルコール(モノアルコール)の混合物であった。第二留分(沸点範囲120~150℃留分)は、微量のカルボニル化合物および第2級アルコール(モノアルコール)の混合物であり、この際、第2級アルコールの大部分は1価第2級アルコールであり、炭素数12~14の第2級アルコールを混合物の全質量に対して95質量%を超える割合で含む。この第二留分として、第2級アルコールの混合物(平均分子量:200)を得た。
管型の第一反応器(管型反応器、内容積:10L)に、上記で得られた第2級アルコールの混合物(平均分子量:200)を10kg/hrで投入し、三フッ化ホウ素エーテル錯体(酸触媒)を24g/hrで供給した。なお、第一反応器には、温度計が、反応器入口から、最高反応温度を捉える位置に計9本設置された。
次に、上記第一反応器に、エチレンオキサイドを、第一反応器の入口(1段目)、入口から20mの箇所(2段目)およびに入口から40mの箇所(3段目)の3段に分けて、3.3kg/hrで供給し、50℃で55分間、エトキシ化反応を行い、反応物を得た(第一アルコキシ化反応工程)。なお、上記エトキシ化反応温度は40~70℃の範囲であった。また、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの供給量は、第2級アルコールの混合物 1モルに対して、約1.5モルであった。上記反応物を第二反応器(槽型反応器、内容積:10L)に供給し、50℃で55分間、エトキシ化反応をさらに行い、エチレンオキサイド付加物Aを含む反応物を得た。
その後、90℃で上記反応物に1質量% NaOH水溶液を加え、有機層と水層とに分離した後、有機層に水を加え、第2級アルコールエトキシレート前駆体を含む有機層と水層とに分離し、平均エチレンオキサイド付加モル数が1.7であるエチレンオキサイド付加物Bを含む液を得た(洗浄工程)。
次に、上記にて得られたエチレンオキサイド付加物Bを含む液を初溜カット塔(軽質分離塔)に供給し、ボトム温度190℃、トップの圧力3hPaで軽質物を留去し、ボトム液を回収した。このボトム液をアルコール回収塔(精留塔)に供給し、ボトム温度190℃、トップの圧力 25hPaで蒸留を行い、未反応アルコール、低EOモル付加画分を留去して、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た(精製工程)。得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体について、下記方法に従って、第2級アルコールエトキシレート前駆体の平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、2.9であった。
(1)第2級アルコールエトキシレート前駆体の平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)の測定
上記にて単離した第2級アルコールエトキシレート前駆体の平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数(n))は、水酸基価の分析値から下記の計算式2を用いて算出される。なお、水酸基価は、JIS K1557-1:2007のB法を基に測定される。具体的には、試料を無水フタル酸を含むピリジン溶液とし、ピリジン還流下で、水酸基をフタル化する。イミダゾールを触媒にして、この反応を促進させる。過剰のフタル化試薬は水によって加水分解し、生成したフタル酸を水酸化ナトリウムの標準液で滴定する。水酸基価は、空試験と試料試験との滴定量の差から計算することによって測定される。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表1に示される位置(表1中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表1の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表1に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は6であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は約0.8(=6/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表1に示される位置(表1中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表1に示される量(表1中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、設置された10本の温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は160℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表1の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表1に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は8であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは約0.9(=8/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を酢酸でpHが6になるまで中和し、第2級アルコールエトキシレート(1)を得た。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレート(1)について、下記方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた第2級アルコールエトキシレート(1)について、下記方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、50~55であった。
(2)第2級アルコールエトキシレートの平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)の測定)
上記にて単離した第2級アルコールエトキシレートの平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数(n’))は、水酸基価の分析値から下記の計算式3を用いて算出される。なお、水酸基価は、JIS K1557-1:2007のB法を基に測定される。具体的には、試料を無水フタル酸を含むピリジン溶液とし、ピリジン還流下で、水酸基をフタル化する。イミダゾールを触媒にして、この反応を促進させる。過剰のフタル化試薬は水によって加水分解し、生成したフタル酸を水酸化ナトリウムの標準液で滴定する。水酸基価は、空試験と試料試験との滴定量の差から計算することによって測定される。
(3)色相の評価
第2級アルコールエトキシレートを比色管の標線まで入れ、白色紙上に置き、自然光の中で標準溶液と比較した。このとき、比色管の口から底面を覗き込むように比較し、試料の色相に相当するハーゼン単位色数(白金-コバルトスケール)(APHA No.)を選択した。なお、下記表1中の色相(APHA No.)は小さい値ほど着色が少ないことを示す。色相(APHA No.)は、70以下であれば実用上許容でき、65以下(特に60以下)であることが望ましい。
実施例2
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表2に示される位置(表2中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表2の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表2に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は4であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は約0.5(=4/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表2に示される位置(表2中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表2に示される量(表2中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は163℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表2の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表2に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は8であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは約0.9(=8/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、第2級アルコールエトキシレート(2)を得た。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレート(2)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた第2級アルコールエトキシレート(2)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、60~65であった。
実施例3
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表3に示される位置(表3中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表3の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表3に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は4であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は0.5(=4/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表3に示される位置(表3中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表3に示される量(表3中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は162℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表3の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表3に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は9であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは1.0(=9/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、第2級アルコールエトキシレート(3)を得た。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレート(3)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた第2級アルコールエトキシレート(3)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、55~60であったが、目視では実施例1より若干着色していた。
実施例4
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表4に示される位置(表4中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表4の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表4に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は6であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は約0.8(=6/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表4に示される位置(表4中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表4に示される量(表4中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は162℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表4の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表4に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は6であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは約0.7(=6/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、第2級アルコールエトキシレート(4)を得た。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレート(4)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた第2級アルコールエトキシレート(4)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、60~65であった。
実施例5
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表5に示される位置(表5中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表5の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表5に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は6であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は約0.8(=6/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表5に示される位置(表5中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表5に示される量(表5中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は167℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表5の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表5に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は4であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは約0.4(=4/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、第2級アルコールエトキシレート(5)を得た。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレート(5)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた第2級アルコールエトキシレート(5)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、65~70であった。
比較例1
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表6に示される位置(表6中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表6の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表6に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は0であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は0(=0/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表6に示される位置(表6中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表6に示される量(表6中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は175℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表6の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表6に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は0であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは0(=0/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、比較第2級アルコールエトキシレート(1)を得た。
上記にて得られた比較第2級アルコールエトキシレート(1)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた比較第2級アルコールエトキシレート(1)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、75~80であった。
比較例2
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表7に示される位置(表7中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表7の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表7に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は6であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は約0.8(=6/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表7に示される位置(表7中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表7に示される量(表7中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は175℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表7の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表7に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は0であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは0(=0/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、比較第2級アルコールエトキシレート(2)を得た。
上記にて得られた比較第2級アルコールエトキシレート(2)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた比較第2級アルコールエトキシレート(2)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、75~80であった。
比較例3
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表8に示される位置(表8中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表8の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表8に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は2であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は約0.3(=2/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表8に示される位置(表8中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表8に示される量(表8中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は172℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表8の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表8に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は2であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは約0.2(=2/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、比較第2級アルコールエトキシレート(3)を得た。
上記にて得られた比較第2級アルコールエトキシレート(3)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた比較第2級アルコールエトキシレート(3)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、70~75であった。
比較例4
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表9に示される位置(表9中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表9の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表9に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は2であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は約0.3(=2/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表9に示される位置(表9中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表9に示される量(表9中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は171℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表9の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表9に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は3であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは約0.3(=3/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、比較第2級アルコールエトキシレート(4)を得た。
上記にて得られた比較第2級アルコールエトキシレート(4)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた比較第2級アルコールエトキシレート(4)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、70~75であった。
比較例5
実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート前駆体を得た。
第二反応器(U字型反応器、外径:32mm、内径:28mm、管長:650m)に、上記で得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(平均EO付加モル数=2.9)を1050kg/hrで、48質量%水酸化ナトリウム水溶液を950g/hrで、およびエチレンオキサイドを850kg/hrで、それぞれ、供給した。なお、第二反応器は、一方の反応管の管長が10mであるU字形状の反応管が33本繰り返し接続する構造を有していた。また、第二反応器には、エチレンオキサイド供給部(EO供給部)が下記表10に示される位置(表10中のEO供給部位置)に設置された。なお、下記表10の「Xn’<Xn’+1」の欄では、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Xn’<Xn’+1を満たさない(即ち、Xn’>Xn’+1またはXn’=Xn’+1である)隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表10に示されるように、nは9であり、Xn’<Xn’+1を満たす隣接する3つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Xn’,Xn’+1])は4であるため、N[Xn’,Xn’+1]/(n-1)は0.5(=4/8)である。また、第二反応器には、温度計が各エチレンオキサイド供給付近に計10本設置された。
次に、上記第二反応器に、エチレンオキサイド(EO)を、下記表10に示される位置(表10中のEO供給部位置)に設置されたエチレンオキサイド供給部(EO供給部)を介して、下記表10に示される量(表10中のEO供給量)で供給し、初期窒素圧1.0~2.0MPa、140~160℃で0.5~1.0時間、エトキシ化反応をさらに行い、第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を得た。この際、10本全ての温度計で測定される管型反応器の最高反応温度は172℃であった。また、エチレンオキサイド(EO)は、第二反応器の管板面で供給された(エチレンオキサイド供給部は実質的に同一管板面に設置されていた)。さらに、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの全供給量は、第2級アルコールエトキシレート前駆体 1モルに対して、約6モルであった。なお、下記表10の「Yn”<Yn”+1」の欄では、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「〇」で、Yn”<Yn”+1を満たさない(即ち、Yn”>Yn”+1またはYn”=Yn”+1である)隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセットを「×」で、それぞれ、示す。下記表10に示されるように、nは9であり、Yn”<Yn”+1を満たす隣接する2つのエチレンオキサイド供給部のセット数(N[Yn”,Yn”+1])は2であるため、N[Yn”,Yn”+1]/nは約0.2(=2/9)である。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレートを含む反応物を実施例1と同様にして中和し、比較第2級アルコールエトキシレート(5)を得た。
上記にて得られた比較第2級アルコールエトキシレート(5)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた比較第2級アルコールエトキシレート(5)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、70~75であった。
上記実施例1~5および比較例1~5の第二反応器のN[Xn’,Xn’+1]/(n-1)およびN[Yn”,Yn”+1]/n、第二反応器の最高反応温度、ならびに各第2級アルコールエトキシレート色相を下記表11に要約する。
上記表11に示されるように、実施例の第2級アルコールエトキシレート(1)~(5)は、比較第2級アルコールエトキシレート(1)~(5)に比して、色相に優れることがわかる。なお、本例では、400m程度の管長の管型反応器で評価したが、より長い管長(例えば、700~1000m)の管型反応器等においても、上記と同様の結果が得られると考察される。
実施例6
炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素の混合物(平均分子量:184)1000gと、メタホウ酸25gとを容量3Lの円筒形反応器に入れ、酸素濃度3.5vol%、窒素濃度96.5vol%のガスを1時間当たり430Lの割合で吹き込み、常圧下170℃で2時間、液相酸化反応を行行い、酸化反応混合液を得た(酸化反応工程)。なお、原料として使用される炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素の混合物は、炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素を炭素数12~14の飽和脂肪族炭化水素の混合物の全質量に対して95質量%を超える割合で含む。
この酸化反応混合液を200hPa、170℃にて処理して、それに含まれるアルコールをオルトホウ酸エステル化して、ボレート化合物(ホウ酸エステル混合物)を得た(エステル化工程)。次に、このボレート化合物(ホウ酸エステル混合物)を170℃(塔底温度)で7hPaでフラッシュ蒸留した(未反応飽和脂肪族炭化水素回収工程)。次いで、残留液を多量(残留液に対して2質量倍量)の95℃の熱水で加水分解し、オルトホウ酸を含む水層および有機層とに分離した(加水分解工程)。得られた有機層を水酸化ナトリウムを用いて140℃でケン化処理および水洗を行い、有機酸および有機酸エステルを除去した(ケン化工程)。この有機層を7hPaで分留し、第一留分として沸点範囲95~120℃留分および第二留分として沸点範囲120~150℃留分を得た(精製工程)。ここで、第一留分(95℃以上120℃未満留分)は、少量の飽和脂肪族炭化水素、カルボニル化合物および1価第1級アルコール(モノアルコール)の混合物であった。第二留分(沸点範囲120~150℃留分)は、微量のカルボニル化合物および第2級アルコール(モノアルコール)の混合物であり、この際、第2級アルコールの大部分は1価第2級アルコールであり、炭素数12~14の第2級アルコールを混合物の全質量に対して95質量%を超える割合で含む。この第二留分として、第2級アルコールの混合物(平均分子量:200)を得た。
管型の第一反応器(管型反応器、内容積:10L)に、炭素数12~14の第2級アルコールの混合物(平均分子量:200)を10kg/hrで投入し、三フッ化ホウ素エーテル錯体(酸触媒)を24g/hrで供給した。なお、原料である第2級アルコールの混合物は、炭素数12~14の第2級アルコールを混合物の全質量に対して95質量%を超える割合で含む。また、第一反応器には、温度計が、反応器入口から、最高反応温度を捉える位置に計9本設置された。
次に、上記第一反応器に、エチレンオキサイドを、第一反応器の入口(1段目)、入口から20mの箇所(2段目)およびに入口から40mの箇所(3段目)の3段に分けて、3.0kg/hrで供給し、50℃で55分間、エトキシ化反応を行い、反応物を得た。なお、上記エトキシ化反応温度は40~70℃の範囲であった。また、上記エトキシ化反応における、エチレンオキサイドの供給量は、第2級アルコールの混合物 1モルに対して、約1.4モルであった。
上記反応物を第二反応器(槽型反応器、内容積:10L)に供給し、50℃で55分間、エトキシ化反応をさらに行い、エチレンオキサイド付加物を含む反応物を得た。
上記にて得られた反応物14.8L/hrおよび1質量%水酸化ナトリウム水溶液3.7L/hrをミキサー・セトラー形式の装置の第一混合槽に投入し、95℃で15分間、攪拌し、洗浄を行った。その後、この混合物をミキサー・セトラー形式の装置の第1静置槽に移し、第1静置槽にて、75℃で30分間静置し、エチレンオキサイド付加物を含む有機層(有機層1-1)と水層とに分離した。この有機層(有機層1-1)14.8L/hrおよび水3.7L/hrを、ミキサー・セトラー形式の装置の第二混合槽に投入し、95℃で15分間、攪拌し、洗浄を行った。その後、この混合物をミキサー・セトラー形式の装置の第二静置槽に移し、第二静置槽にて、70℃で30分間静置し、エチレンオキサイド付加物(1)を含む有機層(有機層1-2)と水層とに分離し、平均エチレンオキサイド付加モル数が1.6であるエチレンオキサイド付加物(1)(アルキレンオキサイド付加物B)を含む液(1)を得た。
また、得られた有機層(有機層1-2)について、第二静置槽での有機層と水層との界面について、乳化層の存在を目視にて判定した。その結果、乳化層が有機層と水層との界面で全く(液面全面積に対して5%未満)観察されなかった。また、得られた有機層(有機層1-2)について、第二静置槽での有機層中の結晶の存在を目視にて判定した。その結果、有機層中に結晶が全く観察されなかった。
次に、上記にて得られたエチレンオキサイド付加物(1)を含む液(1)を初溜カット塔(軽質分離塔)に供給し、ボトム温度190℃、トップの圧力3hPaで軽質物を留去し、ボトム液を回収した。このボトム液をアルコール回収塔(精留塔)に供給し、ボトム温度190℃、トップの圧力 25hPaで蒸留を行い、未反応アルコール、低EOモル付加画分を留去して、第2級アルコールエトキシレート前駆体(2)を得た。得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(2)の平均エチレンオキサイド付加モル数(式(2)中のp)を測定したところ、2.9であった。また、得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(2)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、20~30であった。
実施例1において、上記にて得られた第2級アルコールエトキシレート前駆体(2)を代わりに使用する以外は、実施例1と同様にして、第2級アルコールエトキシレート(6)を得た。
上記にて得られた第2級アルコールエトキシレート(6)について、実施例1に記載の方法に従って、平均エチレンオキサイド付加モル数(平均EO付加モル数)を測定したところ、9であった。また、得られた第2級アルコールエトキシレート(6)について、実施例1に記載の方法に従って、色相(APHA)を評価したところ、50~55であった。