JP2022115808A - 表面処理用液状組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】より良好な摩擦耐久性を有する表面処理層の形成に寄与できる表面処理剤の提供。【解決手段】フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と、フルオロアルキル基含有シラン化合物と、溶媒とを含む表面処理用液状組成物であって、動的光散乱法による、前記液状組成物中の前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物の平均流体力学径は、1~1500nmであり、前記平均流体力学径は、前記溶媒中に前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を50質量%含む液状混合物と、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物とを、前記液状組成物におけるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とフルオロアルキル基含有シラン化合物の割合と同じ割合になるように混合し、25℃になるまで静置して測定した場合に得られる値である、表面処理用液状組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理用液状組成物に関する。
ある種のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、基材の表面処理に用いると、優れた撥水性、撥油性、防汚性などを提供し得ることが知られている。フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理用液状組成物から得られる層(以下、「表面処理層」とも言う)は、いわゆる機能性薄膜として、例えばガラス、プラスチック、繊維、建築資材など種々多様な基材に施されている。
そのようなフルオロポリエーテル基含有シラン化合物として、パーフルオロポリエーテル基を分子主鎖に有し、Si原子に結合した加水分解可能な基を分子末端または末端部に有するパーフルオロポリエーテル基含有シラン化合物が知られている(特許文献1、2)。
特表2008-534696号公報 国際公開第97/07155号
上記のようなフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む表面処理用液状組成物から形成された表面処理層には、より良好な摩擦耐久性を有することが求められる。
本開示は、以下の[1]~[16]を提供するものである。
[1] フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と、
下記式:
Figure 2022115808000001
で表される基を有するフルオロアルキル基含有シラン化合物と、
溶媒と
を含む表面処理用液状組成物であって、
動的光散乱法による、前記液状組成物中の前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物の平均流体力学径は、1~1500nmであり、
前記平均流体力学径は、前記溶媒中に前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を50質量%含む液状混合物と、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物とを、前記液状組成物におけるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とフルオロアルキル基含有シラン化合物の割合と同じ割合になるように混合し、25℃になるまで静置して測定した場合に得られる値である、
表面処理用液状組成物。
[式中:
31は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
32は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
n3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物において、少なくとも1のn3は1以上である。]
[2] 動的光散乱法による散乱強度基準の粒子径分布における60%累積分布径は1~700nmである、[1]に記載の表面処理用液状組成物。
[ここで、
前記粒子径分布の測定条件は、前記平均流体力学径の測定条件と同じである。]
[3] 前記溶媒は、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、およびパーフルオロヘキシルメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の表面処理用液状組成物。
[4] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物のモル数に対する、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率は、0.001~1.5である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[5] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(1)または(2):
Figure 2022115808000002
で表される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[式中:
F1は、Rf-R-O-であり;
F2は、-Rf -R-O-であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
で表される基であり;
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり;
pは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解可能な基、水素原子または1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解可能な基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
[6] Xは、以下の式:
Figure 2022115808000003
で表され、
α、βおよびγは1であり、
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、以下の式(S1)~(S2):
Figure 2022115808000004
で表される基のいずれかである、[5]に記載の表面処理用液状組成物。
[式中:
は、各出現においてそれぞれ独立して、-X-RSiで表される基、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR41 r142 r243 r3であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
41は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’であり;
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
41’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR41” r1”42” r2”であり;
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
41”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
42”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
42’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
43’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r3’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
42は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
43は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、式(S1)において、水酸基または加水分解可能な基に結合したSi原子が少なくとも1つ存在し;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR51 s152 s253 s3であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
51は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR51’ s1’52’ s2’であり;
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
51’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
51”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
52”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
m1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
52’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
s1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
s2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
52は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
s1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
s2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
s3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、式(S2)において、m1”が1~3である-SiR51” m1”52” 3-m1”が少なくとも1つ存在する。]
[7] 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物が、式(B1):
Figure 2022115808000005
で表され、
Rfが、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていているC1-6アルキル基であり、
31が、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
32は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
n3は、1~3の整数である、
[1]~[6]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[8] Rfが、C1-6パーフルオロアルキル基である、[7]に記載の表面処理用液状組成物。
[9] X31が、-(X311z11-(Zz12-で表され、
311が、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていていてもよいC1-6アルキレン基であり、
が、それぞれ独立して、酸素原子、または硫黄原子であり、
z11が、1~3の整数であり、
z12が、0~2整数であり、
ただし、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、X31において任意である、
[7]または[8]に記載の表面処理用液状組成物。
[10] 含フッ素オイルをさらに含有する、[1]~[9]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[11] 前記含フッ素オイルは、式:
Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf
で表され、
RfおよびRfは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基であり、
a’、およびb’は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c’およびd’は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも5以上であり、添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である、[10]に記載の表面処理用液状組成物。
[12] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物の合計に対して、前記含フッ素オイルが、0.001~50モル%含まれる、[10]または[11]に記載の表面処理用液状組成物。
[13] フルオロポリエーテル基含有シラン化合物として、式(1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物および式(2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含み、
さらに含フッ素オイルを含む、
[5]~[12]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[14] 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物からなる群より選ばれる化合物のオリゴマーを含まない、[1]~[13]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[15] 湿潤被覆用である、[14]に記載の表面処理用液状組成物。
[16] 基材と、該基材表面に[1]~[15]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物より形成された層とを有する物品。
本開示は、より良好な摩擦耐久性を有する表面処理層の形成に寄与できる表面処理剤を提供することができる。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」とは、炭素および水素を含む基であって、炭化水素から1個の水素原子を脱離させた基を意味する。かかる炭化水素基としては、特に限定されるものではないが、1つまたはそれ以上の置換基により置換されていてもよい、炭素数1~20の炭化水素基、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。上記「脂肪族炭化水素基」は、直鎖状、分枝鎖状または環状のいずれであってもよく、飽和または不飽和のいずれであってもよい。また、炭化水素基は、1つまたはそれ以上の環構造を含んでいてもよい。尚、かかる炭化水素基は、その末端または分子鎖中に、1つまたはそれ以上のN、O、S、Si、アミド、スルホニル、シロキサン、カルボニル、カルボニルオキシ等を有していてもよい。
本明細書において用いられる場合、「炭化水素基」の置換基としては、特に限定されないが、例えば、ハロゲン原子;1個またはそれ以上のハロゲン原子により置換されていてもよい、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、C2-6アルキニル基、C3-10シクロアルキル基、C3-10不飽和シクロアルキル基、5~10員のヘテロシクリル基、5~10員の不飽和ヘテロシクリル基、C6-10アリール基および5~10員のヘテロアリール基から選択される1個またはそれ以上の基が挙げられる。
本明細書において用いられる場合、「有機基」とは、炭素を含有する基を意味する。有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基であり得る。また、「2~10価の有機基」とは、炭素を含有する2~10価の基を意味する。かかる2~10価の有機基としては、特に限定されないが、炭化水素基からさらに1~9個の水素原子を脱離させた2~10価の基が挙げられる。例えば、2価の有機基としては、特に限定されるものではないが、炭化水素基からさらに1個の水素原子を脱離させた2価の基が挙げられる。
本明細書において、「加水分解可能な基」とは、本明細書において用いられる場合、加水分解反応を受け得る基を意味し、すなわち、加水分解反応により、化合物の主骨格から脱離し得る基を意味する。加水分解可能な基の例としては、-ORh1、-OCORh1、-O-N=CRh1 、-NRh1 、-NHRh1、-NCO、ハロゲン(これら式中、Rh1は、置換または非置換の炭素数1~4のアルキル基を示す)などが挙げられ、好ましくは-ORh1(即ち、アルコキシ基)である。Rh1の例には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が含まれる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。一の態様において、加水分解可能な基はメトキシ基である。別の態様において、加水分解可能な基はエトキシ基である。
(表面処理用液状組成物)
本開示の表面処理用液状組成物(以下、「液状組成物」と称することもある)は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と、
下記式:
Figure 2022115808000006
で表される基を有するフルオロアルキル基含有シラン化合物と、
溶媒と
を含む。
本開示において、液状組成物とは、液状の溶媒と、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物およびフルオロアルキル基含有シラン化合物との混合物をいい、溶液、懸濁液、乳濁液を含む。
本開示の液状組成物中のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物およびフルオロアルキル基含有シラン化合物の平均流体力学径は、1~1500nmである。ここで、平均流体力学径は、溶媒中にフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を50質量%含む液状混合物と、フルオロアルキル基含有シラン化合物とを、液状組成物におけるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とフルオロアルキル基含有シラン化合物の割合と同じ割合になるように混合し、25℃になるまで静置して測定した場合に得られる値である。上記平均流体力学径は、好ましくは1~1400nmであり、より好ましくは1~1000nmであり、例えば1~600nmである。
なお、溶媒中にフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を50質量%含む液状混合物(以下、「液状混合物」と称することがある)と、フルオロアルキル基含有シラン化合物とを、液状組成物におけるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とフルオロアルキル基含有シラン化合物の割合と同じ割合になるように混合した組成物を、測定用組成物と称することがある。
なお、液状混合物は、例えば、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含む混合物を濃縮して得ることができる。
平均流体力学径の測定用組成物において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物はミセルを形成していると考えられ、このミセルの径が平均流体力学径として検出されると考えられる。平均流体力学径が上記の範囲にある場合、液状組成物を用いて形成された表面処理層は、良好な摩擦耐久性を示す。これは、上記のような平均流体力学径を有する場合、液状組成物のレベリング性が向上すると考えられる。その結果、形成される表面処理層の表面がより平坦になり、摩擦耐久性の低下を抑制し得ると考えられる。なお、測定用組成物は、液状の溶媒と、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物およびフルオロアルキル基含有シラン化合物との混合物をいい、溶液、懸濁液、乳濁液を含む。
一の態様において、上記平均流体力学径の下限値は、10nmであってもよく、25nmであってもよい。
平均流体力学径の測定は、動的光散乱法を用いて行う。測定は、測定用組成物が25℃になるまで静置して行うが、この静置は、例えば2分間である。
液状混合物において、溶媒として、好ましくは、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、およびパーフルオロヘキシルメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。
測定用組成物において、動的光散乱法による散乱強度基準の粒子径分布における60%累積分布径は、好ましくは1~700nm、より好ましくは1~500nm、さらに好ましくは1~100nmである。ここで、粒子径分布の測定条件は、平均流体力学径の測定条件と同じである。上記60%累積分布径は、動的光散乱法において得られる粒子径分布において、粒子径が小さいものから順に累積した場合に、全粒子100%に占める割合が60%になるときの径を示す。
60%累積分布径が上記の範囲にあることにより、本開示の液状組成物においてミセル形状の形成をより抑制し得る。
(フルオロポリエーテル基含有シラン化合物)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、例えば、下記式(1)または(2):
Figure 2022115808000007
で表される。
上記式(1)において、RF1は、Rf-R-O-である。
上記式(2)において、RF2は、-Rf -R-O-である。
上記式において、Rfは、各出現においてそれぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基である。
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基における「C1-16アルキル基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6アルキル基、特にC1-3アルキル基である。
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-16アルキル基であり、より好ましくはCFH-C1-15パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-16パーフルオロアルキル基である。
上記C1-16パーフルオロアルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基であり、より好ましくは直鎖のC1-6パーフルオロアルキル基、特にC1-3パーフルオロアルキル基、具体的には-CF、-CFCF、または-CFCFCFである。
上記式において、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基である。
上記1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基における「C1-6アルキレン基」は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3アルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3アルキレン基である。
上記Rfは、好ましくは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されているC1-6アルキレン基であり、より好ましくはC1-6パーフルオロアルキレン基であり、さらに好ましくはC1-3パーフルオロアルキレン基である。
上記C1-6パーフルオロアルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよく、好ましくは、直鎖または分枝鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基であり、より好ましくは直鎖のC1-3パーフルオロアルキレン基、具体的には-CF-、-CFCF-、または-CFCFCF-である。
上記式において、pは、0または1である。一の態様において、pは0である。別の態様においてpは1である。
上記式において、qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1である。一の態様において、qは0である。別の態様においてqは1である。
上記式において、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、2価のフルオロポリエーテル基である。Rは、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
で表される基である。本明細書において、Rとして記載している基は、左がRfまたはRfに、右がO(qが0であるときにはX)に、それぞれ結合する。
上記式において、RFaは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり、好ましくは水素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。
上記式において、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して、0以上100以下の整数である。好ましくは、a、b、c、d、eおよびfの和は5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。
これら繰り返し単位は、直鎖状であっても、分枝鎖状であってもよいが、好ましくは直鎖状である。例えば、-(OC12)-は、-(OCFCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCFCF(CF))-等であってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCFCFCF)-である。-(OC10)-は、-(OCFCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCFCF)-、-(OCFCF(CF)CFCF)-、-(OCFCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCFCF(CF))-等であってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-および-(OCFCF(C))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCF)-である。-(OC)-(即ち、上記式中、RFaはフッ素原子である)は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-および-(OCFCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCF)-である。また、-(OC)-は、-(OCFCF)-および-(OCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCF)-である。
一の態様において、Rは、各出現においてそれぞれ独立して、下記式(f1)、(f2)、(f3)、(f4)または(f5):
-(OC-(OC- (f1)
[式中、dは、1~200の整数であり、eは0または1である。]
-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f2)
[式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、
c、d、eおよびfの和は2以上であり、
添字c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。]
-(R-R- (f3)
[式中、Rは、OCFまたはOCであり、
は、OC、OC、OC、OC10およびOC12から選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、
gは、2~100の整数である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f4)
[式中、eは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
-(OC12-(OC10-(OC-(OC-(OC-(OCF- (f5)
[式中、fは、1以上200以下の整数であり、a、b、c、dおよびeは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、また、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意である。]
で表される基である。
上記式(f1)において、dは、好ましくは5~200、より好ましくは10~100、さらに好ましくは15~50、例えば25~35の整数である。上記式(f1)における(OC)は、好ましくは、(OCFCFCF)または(OCF(CF)CF)で表される基であり、より好ましくは、(OCFCFCF)で表される基である。上記式(f1)における(OC)は、好ましくは、(OCFCF)または(OCF(CF))で表される基であり、より好ましくは、(OCFCF)で表される基である。一の態様において、eは0である。別の態様において、eは1である。
上記式(f2)において、eおよびfは、それぞれ独立して、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10~200の整数である。また、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上であり、例えば15以上または20以上であってもよい。一の態様において、上記式(f2)は、好ましくは、-(OCFCFCFCF-(OCFCFCF-(OCFCF-(OCF-で表される基である。別の態様において、式(f2)は、-(OC-(OCF-で表される基であってもよい。
上記式(f3)において、Rは、好ましくは、OCである。上記(f3)において、Rは、好ましくは、OC、OCおよびOCから選択される基であるか、あるいは、これらの基から独立して選択される2または3つの基の組み合わせであり、より好ましくは、OCおよびOCから選択される基である。OC、OCおよびOCから独立して選択される2または3つの基の組み合わせとしては、特に限定されないが、例えば-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、-OCOCOC-、および-OCOCOC-等が挙げられる。上記式(f3)において、gは、好ましくは3以上、より好ましくは5以上の整数である。上記gは、好ましくは50以下の整数である。上記式(f3)において、OC、OC、OC、OC10およびOC12は、直鎖または分枝鎖のいずれであってもよく、好ましくは直鎖である。この態様において、上記式(f3)は、好ましくは、-(OC-OC-または-(OC-OC-である。
上記式(f4)において、eは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
上記式(f5)において、fは、好ましくは、1以上100以下、より好ましくは5以上100以下の整数である。a、b、c、d、eおよびfの和は、好ましくは5以上であり、より好ましくは10以上、例えば10以上100以下である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f1)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f2)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f3)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f4)で表される基である。
一の態様において、上記Rは、上記式(f5)で表される基である。
好ましい態様において、Rは、式(f2):
-(OC-(OC-(OC-(OCF
で表される基である。式中、cおよびdは、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、eおよびfは、それぞれ独立して1以上200以下、好ましくは5以上200以下、より好ましくは10以上200以下の整数であり、添字eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。Rは、より具体的には、-(OC-(OCF-で表される基である。
において、fに対するeの比(以下、「e/f比」という)は、0.1~10であり、好ましくは0.2~5であり、より好ましくは0.2~2であり、さらに好ましくは0.2~1.5であり、さらにより好ましくは0.2~0.85である。e/f比を10以下にすることにより、液状組成物から得られる硬化層(例えば表面処理層)の滑り性、摩擦耐久性および耐ケミカル性(例えば、人工汗に対する耐久性)がより向上する。e/f比がより小さいほど、硬化層の滑り性および摩擦耐久性はより向上する。一方、e/f比を0.1以上にすることにより、化合物の安定性をより高めることができる。e/f比がより大きいほど、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の安定性はより向上する。この場合、fの値は1以上である。
一の態様において、上記e/f比は、好ましくは0.2~0.95であり、より好ましくは0.2~0.9である。
一の態様において、e/f比は、0.9未満、好ましくは0.8以下、0.7以下であり、0.65以下であってもよい。e/f比は、例えば0.2以上、0.3以上、0.4以上、0.5以上、0.55以上である。e/f比は、例えば、0.2以上0.9未満、具体的には0.4以上0.8以下、より具体的には0.5以上0.8以下を挙げることができる。上記のようなe/f比を有することにより、本開示の液状組成物は、より良好な滑り性を有する表面処理層を形成し得る。
一の態様において、e/f比は、0.4以上0.7以下であってもよく、0.5以上0.7以下であってもよく、0.55以上0.7以下であってもよく、0.55以上0.65以下であってもよい。
一の態様において、耐熱性の観点から、上記e/f比は、1.0以上が好ましく、1.0以上2.0以下であることがより好ましい。
-R-部分の数平均分子量は、特に限定されるものではないが、例えば500~30,000、好ましくは1,500~30,000、より好ましくは2,000~10,000である。上記数平均分子量は、19F-NMRにより測定される値とする。
別の態様において、-R-部分の数平均分子量は、500~30,000、好ましくは1,000~20,000、より好ましくは2,000~15,000、さらにより好ましくは2,000~10,000、例えば3,000~6,000であり得る。
別の態様において、-R-部分の数平均分子量は、4,000~30,000、好ましくは5,000~10,000、より好ましくは6,000~10,000であり得る。
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解可能な基、水素原子または1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり、少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解可能な基が結合したSi原子を含む1価の基である。
Siは、例えば、各出現においてそれぞれ独立して、以下の式(S1)~(S3)で表される基のいずれかである。
Figure 2022115808000008
一の態様において、RSiは、式(S1)で表される。
一の態様において、RSiは、式(S2)で表される。
一の態様において、RSiは、式(S3)で表される。
式(S1)において、
上記Ra1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR41 r142 r243 r3である。
上記Zは、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基である。なお、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR41 r142 r243 r3)に結合する。
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
好ましい態様において、Zは、Zが結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。即ち、式(S1)において、(Si-Z-Si)は、シロキサン結合を含まない。
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1-O-(CHz2-(式中、z1は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz3-フェニレン-(CHz4-(式中、z3は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基または-(CHz3-フェニレン-(CHz4-、好ましくは-フェニレン-(CHz4-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基であり、好ましくはC1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
上記R41は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’である。
上記Z1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z1’として記載する構造は、右側が(SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’)に結合する。
好ましい態様において、Z1’は、2価の有機基である。
好ましい態様において、Z1’は、Z1’が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。即ち、式(S1)において、(Si-Z1’-Si)は、シロキサン結合を含まない。
上記Z1’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1’-O-(CHz2’-(式中、z1’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-(式中、z3’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z1’は、C1-6アルキレン基または-(CHz3’-フェニレン-(CHz4’-、好ましくは-フェニレン-(CHz4’-である。Z1’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Z1’は、C1-6アルキレン基であり、好ましくはC1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1’は、-CHCH-であり得る。
上記R41’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR41” r1”42” r2”である。
上記Z1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基である。
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Z1”として記載する構造は、右側が(SiR41” r1”42” r2”)に結合する。
好ましい態様において、Z1”は、2価の有機基である。
好ましい態様において、Z1”は、Z1”が結合しているSi原子とシロキサン結合を形成するものを含まない。即ち、式(S1)において、(Si-Z1”-Si)は、シロキサン結合を含まない。
上記Z1”は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz1”-O-(CHz2”-(式中、z1”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z2”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-(式中、z3”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z4”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z1”は、C1-6アルキレン基または-(CHz3”-フェニレン-(CHz4”-、好ましくは-フェニレン-(CHz4”-である。Z1”がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Z1”は、C1-6アルキレン基、好ましくはC1-3アルキレン基である。一の態様において、Z1”は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z1”は、-CHCH-であり得る。
上記R41”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である。
41”は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
上記R42”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
上記R42”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記r2”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、r1”とr2”の合計は、(SiR41” r1”42” r2”)単位において、3である。
r1”は、(SiR41” r1”42” r2”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
上記R42’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である。
42’は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
上記R43’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
上記R43’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記r3’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、r1’、r2’およびr3’の合計は(SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’)単位において3である。
一の態様において、r1’は、0である。
一の態様において、r1’は、0、r2’は、0~3の整数、r3’は0~3も整数である。
一の態様において、r1’は、(SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、または3であってもよい。好ましい態様において、r1’は、3である。
一の態様において、r2’は、(SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、(SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’)単位毎にそれぞれ独立して、r1’は0、r2’は1~3の整数、r3’は0~2の整数、好ましくは、r1’は0、r2’は2~3の整数、r3’は0~1の整数、より好ましくは、r2’は3である。
一の態様において、r2’は0であり、r3’は、(SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
上記R42は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である。
42は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
上記R43は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
上記R43において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記r3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、r1、r2およびr3の合計は(SiR41 r142 r243 r3)単位において3である。
一の態様において、r1は、0である。
一の態様において、r1は、0、r2は、0~3の整数、r3は、0~3の整数である。
一の態様において、r1は、(SiR41 r142 r243 r3)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、または3であってもよい。好ましい態様において、r1は、3である。
一の態様において、(SiR41 r142 r243 r3)単位毎にそれぞれ独立して、r1は、1~3の整数、r2は、0~2の整数、r3は、0~2の整数であり;別の態様におおいて、r1は、2~3の整数、r2は、0または1、r3は、0または1である。
一の態様において、r2は、(SiR41 r142 r243 r3)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、(SiR41 r142 r243 r3)単位毎にそれぞれ独立して、r1は、0~2の整数、r2は、1~3の整数、r3は、0~2の整数であり;別の態様において、r1は、0または1、r2は、2または3、r3は、0または1であり;別の態様において、r2は、3である。
一の態様において、r1は0であり、r2は、(SiR41 r142 r243 r3)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
一の態様において、r1は、0であり、r2は、1~3の整数であり、r3は、0~2の整数であり、好ましくは、r1は、0であり、r2は、2または3であり、r3は、0または1であり、より好ましくは、r1およびr3は、0であり、r2は、3である。
上記式中、Rb1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である。
上記Rb1は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
上記式中、Rc1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
上記Rc1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k1、l1およびm1の合計は(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位において3である。
一の態様において、k1は(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。好ましい態様において、k1は3である。
一の態様において、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、k1は、1~3の整数、l1は、0~2の整数、m1は、0~2の整数であり;別の態様において、k1は、2または3、l1は、0または1、m1は0または1であり;別の態様において、k1は、3である。
一の態様において、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、k1は1または2であり、l1は2または1であり、m1は0である。
一の態様において、(SiRa1 k1b1 l1c1 m1)単位毎にそれぞれ独立して、k1は1または2であり、l1は0であり、m1は2または1である。
一の態様において、k1は0である。言い換えると、-SiRa1 k1b1 l1c1 m1で表される基は、-SiRb1 l1c1 m1であり、l1とm1との合計は3である。ただし、本態様において、式(1)および式(2)の末端のRSi部分(以下、単に式(1)および式(2)の「末端部分」ともいう)において、水酸基または加水分解可能な基に結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
上記l1は、各出現においてそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2または3、さらに好ましくは3である。
一の態様において、k1は0であり、l1は、好ましくは、2または3、より好ましくは、k1は0、l1は3である。
式(S1)において、水酸基または加水分解可能な基に結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。すなわち、式(S1)で表される基は、-SiRb1 l1c1 m1(式中、l1は1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、l1とm1との合計は3である。)、-SiR42 r243 r3(式中、r2は1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、r2とr3との合計は3である。)、-SiR42’ r2’43’ r3’(式中、r2’は1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、r2’とr3’との合計は3である。)、または-SiR41” r1”42” r2”(式中、r1”は1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3であり、r1”とr2”との合計は3である。)のいずれか1つを有する。
好ましい態様において、式(1)および式(2)の末端部分において、RSiが(S1)で表される場合、水酸基または加水分解可能な基に結合したSi原子が少なくとも2つ存在する。
好ましい態様において、式(S1)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、r2は1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S1)において、Ra1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRa1において、r1は0~2の整数、r2は1~3の整数、r3は0~2の整数であり、好ましくは、r1は0または1、r2は2または3、r3は0または1、より好ましくは、r2は3である。
好ましい態様において、式(S1)において、R41が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR41において、r2’は1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S1)において、R41が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR41において、r1’は0~2の整数、r2’は1~3の整数、r3’は0~2の整数であり、好ましくは、r1’は0または1、r2’は2または3、r3’は0または1であり、より好ましくは、r2’は3である。
好ましい態様において、式(S1)において、R41’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR41’において、r1”は1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S1)において、k1は2または3、好ましくは3であり、r1は0であり、r2は2または3、好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S1)において、k1は2または3、l1は0または1、m1は0または1、r1は0、r2は2または3、r3は0または1;好ましくは、k1は3、r1は0、r2は2または3、r3は0または1;より好ましくは、k1は3、r2は3である。
式(S2)において、
上記Rd1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR51 s152 s253 s3である。
上記Zは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。なお、以下Zとして記載する構造は、右側が(CR51 s152 s253 s3)に結合する。
好ましい態様において、Zは、2価の有機基である。
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5-O-(CHz6-(式中、z5は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz7-フェニレン-(CHz8-(式中、z7は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基または-(CHz7-フェニレン-(CHz8-、好ましくは-フェニレン-(CHz8-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基であり、好ましくはC1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
上記R51は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR51’ s1’52’ s2’である。
上記Z2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。なお、以下Z2’として記載する構造は、右側が(CR51’ s1’52’ s2’)に結合する。
2’は、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5’-O-(CHz6’-(式中、z5’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-(式中、z7’は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8’は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Z2’は、C1-6アルキレン基または-(CHz7’-フェニレン-(CHz8’-、好ましくは-フェニレン-(CHz8’-である。Z2’がかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Z2’は、C1-6アルキレン基であり、好ましくはC1-3アルキレン基である。一の態様において、Z2’は、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Z2’は、-CHCH-であり得る。
上記R51’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”である。
上記Zは、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基である。尚、以下Zとして記載する構造は、右側が(SiR51” m1”52” 3-m1”)に結合する。
一の態様において、Zは酸素原子である。
一の態様において、Zは2価の有機基である。
上記Zは、好ましくは、C1-6アルキレン基、-(CHz5”-O-(CHz6”-(式中、z5”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z6”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)または、-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-(式中、z7”は、0~6の整数、例えば1~6の整数であり、z8”は、0~6の整数、例えば1~6の整数である)である。かかるC1-6アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。これらの基は、例えば、フッ素原子、C1-6アルキル基、C2-6アルケニル基、およびC2-6アルキニル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよいが、好ましくは非置換である。
好ましい態様において、Zは、C1-6アルキレン基または-(CHz7”-フェニレン-(CHz8”-、好ましくは-フェニレン-(CHz8”-である。Zがかかる基である場合、光耐性、特に紫外線耐性がより高くなり得る。
別の好ましい態様において、上記Zは、C1-6アルキレン基であり、好ましくはC1-3アルキレン基である。一の態様において、Zは、-CHCHCH-であり得る。別の態様において、Zは、-CHCH-であり得る。
上記R51”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である。
51”は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
上記R52”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
上記R52”において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記m1”は、(SiR51” m1”52” 3-m1”)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。式(S2)において、m1”が1~3である-SiR51” m1”52” 3-m1”が少なくとも1つ存在する。すなわち、かかる末端部分において、全てのm1”が0になることはない。換言すれば、式(1)および(2)の末端部分において、水酸基または加水分解可能な基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
m1”は、(SiR51” m1”52” 3-m1”)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
上記R52’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
52’において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
一の態様において、R52’は、水酸基である。
別の態様において、R52’は、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
上記s1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記s2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。なお、s1’とs2’との合計は(CR51’ s1’52’ s2’)単位において3である。
s1’は(CR51’ s1’52’ s2’)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
上記R52は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”である。かかる-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”は、上記R51’における-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”と同意義である。
上記R53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
上記R53において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
一の態様において、R53は、水酸基である。
別の態様において、R53は、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基である。
上記s1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記s2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;上記s3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。なお、s1、s2およびs3の合計は、(CR51 s152 s253 s3)単位において、3である。
一の態様において、s1は、0である。
一の態様において、s1は、0、s2は、0~3の整数、s3は、0~3の整数である。一の態様において、s1は、0、s2は、2~3の整数、s3は、0~1の整数であり、別の態様において、s1は、0、s2は、3の整数、s3は、0である。
一の態様において、s1は、(CR51 s152 s253 s3)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数、2~3の整数、または3であってもよい。好ましい態様において、s1は、3である。
一の態様において、s2は、(CR51 s152 s253 s3)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、より好ましくは3である。
一の態様において、s1は0であり、s2は、(CR51 s152 s253 s3)単位毎にそれぞれ独立して、1~3の整数であり、好ましくは2~3の整数、さらに好ましくは3である。
上記Re1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”である。かかる-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”は、上記R51’における-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”と同意義である。
上記Rf1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
上記Rf1において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
一の態様において、Rf1は、水酸基である。
別の態様において、Rf1は、-O(Rf11O)n1f12で表される基である。Rf11は、C1-6アルキレン基、好ましくはC1-3アルキレン基、n1は、1~10の整数、好ましくは、1~6の整数、Rf12は、C1-10アルキル基、好ましくはC1-3アルキル基、例えばメチル基である。
上記k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり、m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。尚、k2、l2およびm2の合計は、(CRd1 k2e1 l2f1 m2)単位において、3である。
一の態様において、RSiが式(S2)で表される基である場合、m1”が1~3、好ましくは2または3、より好ましくは3である(SiR51” m1”52” 3-m1”)単位は、式(1)および式(2)の各末端部分において、2個以上、例えば2~27個、好ましくは2~9個、より好ましくは2~6個、さらに好ましくは2~3個、特に好ましくは3個存在する。
好ましい態様において、式(S2)において、R51’が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR51’において、m1”は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S2)において、R52が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのR52において、m1”は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S2)において、Re1が存在する場合、少なくとも1つの、好ましくは全てのRe1において、m1”は、1~3の整数であり、好ましくは2または3、より好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S2)において、k2は0であり、l2は2または3、好ましくは3であり、m1”は、2または3、好ましくは3である。
好ましい態様において、式(S2)において、k2は0であり、l2は2または3、m2は0または1、好ましくは、l2は3である。本態様において、m1”は、2または3、好ましくは3である。
一の態様において、式(S2)において、k2は0、m2は1であり、l2は2であり、m1”は、2または3、好ましくは3である。例えば、Rは、-O(Rf11O)n1f12で表される基である。Rf11、n1、Rf12は上記と同意義である。
式(S3)において、
上記式中、R11は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である。
11は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、加水分解可能な基である。
11は、好ましくは、各出現においてそれぞれ独立して、-OR、-OCOR、-O-N=CR 、-NR 、-NHR、またはハロゲン(これら式中、Rは、置換または非置換のC1-4アルキル基を示す)であり、より好ましくは-OR(即ち、アルコキシ基)である。Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基などの非置換アルキル基;クロロメチル基などの置換アルキル基が挙げられる。それらの中でも、アルキル基、特に非置換アルキル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。一の態様において、Rは、メチル基であり、別の態様において、Rは、エチル基である。
上記式中、R12は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
12において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記式中、n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、RSiが式(S3)で表される基である場合、式(1)および式(2)の末端部分において、n1が1~3である(SiR11 n112 3-n1)単位が少なくとも1つ存在する。即ち、かかる末端部分において、すべてのn1が同時に0になることはない。換言すれば、式(1)および式(2)の末端部分において、水酸基または加水分解可能な基が結合したSi原子が少なくとも1つ存在する。
n1は、(SiR11 n112 3-n1)単位毎にそれぞれ独立して、好ましくは1~3の整数であり、より好ましくは2~3、さらに好ましくは3である。
上記式中、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基である。かかる2価の有機基は、好ましくはC1-20アルキレン基である。かかるC1-20アルキレン基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
好ましい態様において、X11は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または直鎖のC1-6アルキレン基であり、好ましくは単結合または直鎖のC1-3アルキレン基、より好ましくは単結合または直鎖のC1-2アルキレン基であり、さらに好ましくは直鎖のC1-2アルキレン基である。
上記式中、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基である。かかるC1-20アルキル基は、直鎖であっても、分枝鎖であってもよいが、好ましくは直鎖である。
好ましい態様において、R13は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または直鎖のC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子または直鎖のC1-3アルキル基、好ましくは水素原子またはメチル基である。
上記式中、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2~10の整数である。
好ましい態様において、tは、各出現においてそれぞれ独立して、2~6の整数である。
上記式中、R14は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子またはハロゲン原子である。かかるハロゲン原子は、好ましくはヨウ素原子、塩素原子またはフッ素原子であり、より好ましくはフッ素原子である。好ましい態様において、R14は、水素原子である。
一の態様において、R14は、各出現においてそれぞれ独立して、-X11-SiR11 n112 3-n1である。
上記式中、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
一の態様において、R15は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子、炭素数1~6のアルキレン基または炭素数1~6のアルキレンオキシ基である。
好ましい態様において、R15は、単結合である。
一の態様において、式(S3)は、下記式(S3-a)である。
Figure 2022115808000009
[式中、
11、R12、R13、X11、およびn1は、上記式(S3)の記載と同意義であり;
t1およびt2は、各出現においてそれぞれ独立して、1以上の整数である。t1およびt2の合計は、tである。]
好ましい態様において、式(S3)は、下記式(S3-b)である。
Figure 2022115808000010
[式中、R11、R12、R13、X11、n1およびtは、上記式(S3)の記載と同意義である]
上記式(1)および(2)において、Xは、主に撥水性および表面滑り性等を提供するフルオロポリエーテル部(RF1およびRF2)と基材との結合能を提供する部(RSi)とを連結するリンカーと解される。従って、当該Xは、式(1)および(2)で表される化合物が安定に存在し得るものであれば、単結合であってもよく、いずれの基であってもよい。
上記式(1)において、αは1~9の整数であり、βは1~9の整数である。これらαおよびβは、Xの価数に応じて変化し得る。αおよびβの和は、Xの価数と同じである。例えば、Xが10価の有機基である場合、αおよびβの和は10であり、例えばαが9かつβが1、αが5かつβが5、またはαが1かつβが9となり得る。また、Xが2価の有機基である場合、αおよびβは1である。
上記式(2)において、γは1~9の整数である。γは、Xの価数に応じて変化し得る。即ち、γは、Xの価数から1を引いた値である。
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基である。
上記Xにおける2~10価の有機基は、好ましくは2~8価の有機基である。一の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは2~4価の有機基であり、より好ましくは2価の有機基である。別の態様において、かかる2~10価の有機基は、好ましくは3~8価の有機基、より好ましくは3~6価の有機基である。
一の態様において、Xは、単結合または2価の有機基であり、αは1であり、βは1である。
一の態様において、Xは、単結合または2価の有機基であり、γは1である。
一の態様において、Xは3~6価の有機基であり、αは1であり、βは2~5である。
一の態様において、Xは3~6価の有機基であり、γは2~5である。
一の態様において、Xは、3価の有機基であり、αは1であり、βは2である。
一の態様において、Xは、3価の有機基であり、γは2である。
一の態様において、Xは単結合である。
一の態様において、Xは2価の有機基である。
が、単結合または2価の有機基である場合、式(1)および(2)は、下記式(1’)および(2’)で表される。
Figure 2022115808000011
は、例えば、単結合または下記式:
-(R201p0-(Xa0q0
で表される2価の有機基が挙げられる。
201は、単結合、-(CHp10-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CHp10-であり、
p10は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
a0は、-(Xb0q10-を表し、
b0は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-(OR305n40-、-C(O)O-、-Si(R303-、-(Si(R303O)m0’-Si(R303-、-CONR304-、-O-CONR304-、-NR304-および-(CHn0’-からなる群から選択される基を表し、
303は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
304は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
305は、各出現においてそれぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、
n40は、各出現においてそれぞれ独立して、1~5の整数であり、
m0’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n0’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
q10は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p0は、0または1であり、
q0は、0または1であり、
p0またはq0を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。
ここで、p0およびq0の少なくとも一方は1である。
ここに、X(典型的にはXの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、Xは、これらの基により置換されていない。
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
-(R201p0-(Xa0q0-R202
である。R202は、単結合、-(CHp11-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHp11-である。p11は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R202(典型的にはR202の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R202は、これらの基により置換されていない。R201、p0、Xa0、q0は上記と同意義である。
一の態様において、Xは以下の式で表される基である。
Figure 2022115808000012
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基である。
上記Xとしては、例えば、単結合または下記式:
-(R21p1-(Xq1
で表される2価の有機基が挙げられる。
21は、単結合、-(CHp2-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基であり、好ましくは-(CHp2-であり、
p2は、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数、さらにより好ましくは1または2であり、
は、-(Xq2-を表し、
は、各出現においてそれぞれ独立して、-O-、-S-、o-、m-もしくはp-フェニレン基、-(OR35n4-、-C(O)O-、-Si(R33-、-(Si(R33O)m’-Si(R33-、-CONR34-、-O-CONR34-、-NR34-および-(CHn’-からなる群から選択される基を表し、
33は、各出現においてそれぞれ独立して、フェニル基、C1-6アルキル基またはC1-6アルコキシ基を表し、好ましくはフェニル基またはC1-6アルキル基であり、より好ましくはメチル基であり、
34は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基(好ましくはメチル基)を表し、
35は、各出現においてそれぞれ独立して、C1-6アルキレン基であり、
n4は、各出現においてそれぞれ独立して、1~5の整数であり、
m’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~100の整数、好ましくは1~20の整数であり、
n’は、各出現においてそれぞれ独立して、1~20の整数、好ましくは1~6の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
q2は、1~10の整数、好ましくは1~5の整数、より好ましくは1~3の整数であり、
p1は、0または1であり、
q1は、0または1であり、
p1またはq1を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は任意である。
ここで、p1およびq1の少なくとも一方は1である。
ここに、X(典型的にはXの水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、Xは、これらの基により置換されていない。
好ましい態様において、上記Xは、それぞれ独立して、
-(R21p1-(Xq1-R22
である。R22は、単結合、-(CHp3-またはo-、m-もしくはp-フェニレン基を表し、好ましくは-(CHp3-である。p3は、1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。ここに、R22(典型的にはR22の水素原子)は、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。好ましい態様において、R22は、これらの基により置換されていない。R21、p1、X、q1は上記と同意義である。
好ましくは、上記Xは、それぞれ独立して、
単結合、
1-20アルキレン基、
-R21-X-R22-、または
-Xa1-R22
[式中、R21およびR22は、上記と同意義であり、
は、
-O-、
-S-、
-C(O)O-、
-CONR34-、
-O-CONR34-、
-Si(R33-、
-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-O-(CHu5-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-O-(CHu5-Si(R33-O-Si(R33-CHCH-Si(R33-O-Si(R33-、
-O-(CHu5-Si(OCHOSi(OCH-、
-CONR34-(CHu5-(Si(R33O)m’-Si(R33-、
-CONR34-(CHu5-N(R34)-、または
-CONR34-(o-、m-またはp-フェニレン)-Si(R33
(式中、R33、R34およびm’は、上記と同意義であり、
u5は1~20の整数、好ましくは2~6の整数、より好ましくは2~3の整数である。)を表し、
a1は、
-S-、
-C(O)O-、または
-O-CONR34-、
(式中、各記号は、上記と同意義である。)
を表す。]
であり得る。
一の態様において、Xは、それぞれ独立して、単結合、またはC1-6アルキレン基であり、好ましくは、C1-6アルキレン基であり、より好ましくは、C1-3アルキレン基、例えば、メチレン基である。
上記Xは、それぞれ独立して、フッ素原子、C1-3アルキル基およびC1-3フルオロアルキル基(好ましくは、C1-3パーフルオロアルキル基)から選択される1個またはそれ以上の置換基により置換されていてもよい。一の態様において、Xは、非置換である。
の具体的な例としては、例えば:
単結合、
-CHOCH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHOSi(CHOSi(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)10Si(CH(CH-、
-CHO(CHSi(CHO(Si(CHO)20Si(CH(CH-、
-CHOCFCHFOCF-、
-CHOCFCHFOCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF-、
-CHOCHCFCFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCFCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCF-、
-CHOCHCHFCFOCF(CF)CFOCFCFCF-、
-CHOCFCHFOCFCFCF-C(O)NH-CH-、
-CHOCH(CHCHSi(OCHOSi(OCH(CHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHOSi(OCH(CH-、
-CHOCHCHCHSi(OCHCHOSi(OCHCH(CH-、
-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CO-、
-S-(CH-、
-(CHS(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-C(O)O-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-(CH-、
-CH-O-(CH-Si(CH-(CH-Si(CH-CH(CH)-CH-、
-OCH-、
-O(CH-、
-OCFHCF-、
Figure 2022115808000013

などが挙げられる。
上記Rは、各出現においてそれぞれ独立して、-X-RSiで表される基、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基である。
一の態様において、Rは、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基であり、好ましくは水素原子またはメチル基、より好ましくは水素原子である。
一の態様において、Rは、水素原子である。一の態様において、Rは、フェニル基である。一の態様において、Rは、C1-6アルキル基である。
一の態様において、Rは、-X-RSiで表される基である。ここで、Xは上記と同意義であり、RSiは、水酸基、加水分解可能な基、水素原子または1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基である。
一の態様において、Rは、水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子であり;RSiは、式(S1)で表される基である。
式(S1)において、好ましくは、k1は2または3、l1は0または1、m1が0または1(ただし、k1、l1およびm1の合計は3)、より好ましくは、k1は3である。ここで、r2は2または3、好ましくは3である。なお、r1、r2およびr3の合計は3である。
一の態様において、Rは、水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子であり;RSiは、式(S2)で表される基である。
式(S2)において、好ましくは、l2は2または3、m2は0または1(ただし、l2およびm2の合計は3)、より好ましくは、l2は3である。ここで、m1”は2または3、好ましくは3である。
一の態様において、Rは、水素原子またはメチル基であり、好ましくは水素原子であり;RSiは、式(S2)で表される基である。
式(S2)において、好ましくは、l2は2、m2は1である。ここで、m1”は2または3、好ましくは3である。
一の態様において、Rは、-X-RSiで表される基であり、RSiは、式(S1)で表される基である。
式(S1)において、好ましくは、k1は2または3、l1は0または1、m1が0または1(ただし、k1、l1およびm1の合計は3)、より好ましくは、k1は3である。ここで、r2は2または3、好ましくは3である。なお、r1、r2およびr3の合計は3である。
一の態様において、Rは、-X-RSiで表される基であり、RSiは、式(S2)で表される基である。
式(S2)において、好ましくは、l2は2または3、m2は0または1(ただし、l2およびm2の合計は3)、より好ましくは、l2は3である。ここで、m1”は2または3、好ましくは3である。
一の態様において、Rは、-X-RSiで表される基であり、RSiは、式(S3)で表される基である。
一の態様において、Rは、-X-RSiで表される基であり、式(1)または(2)においてRSiは、式(S1)で表される基であり、k1は0である。好ましくは、l1は2または3、より好ましくは、l1は3である。
一の態様において、本開示の液状組成物中、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(1)で表される化合物である。
別の態様において、本開示の液状組成物中、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、式(2)で表される化合物である。
上記式(1)または式(2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、特に限定されるものではないが、5×10~1×10の平均分子量を有し得る。かかる範囲のなかでも、2,000~32,000、より好ましくは2,500~12,000の平均分子量を有することが、摩擦耐久性の観点から好ましい。なお、かかる「平均分子量」は、数平均分子量を言い、「平均分子量」は、19F-NMRにより測定される値とする。
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の含有量は、液状組成物に対して、例えば、10質量%以下であってもよく、3質量%以下であってもよい。上記含有量は、例えば、0.5質量%以上であってもよく、0.01質量%以上であってもよい。液状組成物において、上記の含有量含まれることにより、フルオロアルキル基含有シラン化合物のミセルの形成が抑制され、その結果形成される表面処理層の表面がより平坦になり、摩擦耐久性がより良好になると考えられる。
なお、液状組成物においてミセルの形成が抑制されるとは、例えば、動的光散乱法において、本開示の液状組成物における溶質の平均流体力学径を測定した場合に、該平均流体力学径100nm以上において散乱強度のピークが存在しないことをいう。具体的には、平均流体力学径100nm以上において、散乱強度が存在しないことをいう。
(フルオロアルキル基含有シラン化合物)
フルオロアルキル基含有シラン化合物は、式:
Figure 2022115808000014
で表される基を有する。フルオロアルキル基含有シラン化合物の分子量は、例えば、300~500である。
好ましくは、フルオロアルキル基含有シラン化合物は、式(B1)で表される。
Figure 2022115808000015
上記R31は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基である。加水分解可能な基は、上記と同意義である。
上記R32は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基である。かかる1価の有機基は、上記加水分解可能な基を除く1価の有機基である。
32において、1価の有機基は、好ましくはC1-20アルキル基であり、より好ましくはC1-6アルキル基、さらに好ましくはメチル基である。
上記n3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数である。ただし、フルオロアルキル基含有シラン化合物において、少なくとも1のn3は1以上である。
n3は、好ましくは、1~3の整数、より好ましくは、2または3、さらに好ましくは3である。
上記Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていているC1-6アルキル基であり、好ましくはC1-6パーフルオロアルキル基、より好ましくはC2-6パーフルオロアルキル基である。
一の態様においてRfは、C2-5パーフルオロアルキル基である。一の態様においてRfは、C3-5パーフルオロアルキル基である。
上記X31は、単結合、酸素原子または2価の有機基である。
一の態様において、X31は、単結合である。
一の態様において、X31は、酸素原子である。
一の態様において、X31は、2価の有機基である。
31は、好ましくは-(X311z11-(Z31z12-である。括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、X31において任意である。なお、X31において、左側がRfに結合する。
上記X311は、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていていてもよいC1-6アルキレン基であり、好ましくは、フッ素原子により置換されていないC1-3アルキレン基である。
上記Z31は、それぞれ独立して、酸素原子、または硫黄原子であり、好ましくは、酸素原子である。
上記z11は、1~3の整数である。一の態様において、z11は1である。一の態様において、z11は2である。一の態様において、z11は3である。
上記z12は、0~2の整数である。一の態様において、z12は0である。一の態様において、z12は1である。
31は、好ましくは、-X311-Z31-X311-、または-X311-で表される。一の態様において、C1-5アルキレン基-O-C1-5アルキレン基、C1-5アルキレン基を挙げることができる。
31は具体的には、以下の構造を挙げることができる。
-CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-(CH-、
-CH-O-(CH-、
-CH-O-(CH-、
-CH-O-(CH
フルオロアルキル基含有シラン化合物としては、例えば以下の構造を挙げることができる。
CHO(CHSi(OCH
(CHSi(OCH
CHO(CHSi(OCH
CHO(CHSi(OCH
11(CHSi(OCH
11CHO(CHSi(OCH
11CHO(CHSi(OCH
13(CHSi(OCH
13CHO(CHSi(OCH
13CHO(CHSi(OCH
フルオロアルキル基含有シラン化合物の含有率は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物に対して、モル比([フルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数]/[フルオロポリエーテル基含有シラン化合物のモル数])で、好ましくは0.001~1.5であり、より好ましくは、0.001~0.5、さらに好ましくは0.001~0.1、特に好ましくは0.001~0.02である。
フルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量は、液状組成物に対して、例えば、0.2質量%以下であってもよく、0.1質量%以下であってもよく、0.02質量%以下であってもよく、0.0002質量%以下であってもよい。上記含有量は、例えば、0.00002質量%以上であってもよく、0.000002質量%以上であってもよい。
一の態様において、フルオロアルキル基含有シラン化合物の含有量は、液状組成物に対して、例えば、0.0002質量%以上であってもよく、0.002質量%以上であってもよい。
一の態様において、本開示の液状組成物は、フルオロアルキル基含有シラン化合物のオリゴマーを含まない。
(溶媒)
溶媒は、フッ素含有溶媒が好ましく、ヒドロフルオロエーテルがより好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、およびパーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)からなる群より選ばれる少なくとも1つがさらに好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテルおよび/またはパーフルオロブチルエチルエーテルが特に好ましい。
なお、溶媒としては、以下の溶媒をさらに含んでいてもよい。例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、ミネラルスピリット等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ナフタレン、ソルベントナフサ等の芳香族炭化水素類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸-n-ブチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸セロソルブ、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、酢酸カルビトール、ジエチルオキサレート、ピルビン酸エチル、エチル-2-ヒドロキシブチレート、エチルアセトアセテート、酢酸アミル、乳酸メチル、乳酸エチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、3-メトキシプロピオン酸エチル、2-ヒドロキシイソ酪酸メチル、2-ヒドロキシイソ酪酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-ヘキサノン、シクロヘキサノン、メチルアミノケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチルセルソルブ、メチルセロソルブ、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノアルキルエーテル等のグリコールエーテル類;メタノール、エタノール、iso-プロパノール、n-ブタノール、イソブタノール、tert-ブタノール、sec-ブタノール、3-ペンタノール、オクチルアルコール、3-メチル-3-メトキシブタノール、tert-アミルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジオキサン等の環状エーテル類;N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド等のアミド類;メチルセロソルブ、セロソルブ、イソプロピルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノメチルエーテル等のエーテルアルコール類;ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート;1,1,2-トリクロロ-1,2,2-トリフルオロエタン、1,2-ジクロロ-1,1,2,2-テトラフルオロエタン、ジメチルスルホキシド、1,1-ジクロロ-1,2,2,3,3-ペンタフルオロプロパン(HCFC225)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H)等のフッ素含有溶媒等。あるいはこれらの2種以上の混合溶媒等を含んでいてもよい。
溶媒は、本開示の液状組成物に対して、50~99.8質量%含まれていてもよく、90~99.8質量%含まれていてもよい。
(その他の化合物)
本開示の液状組成物は、さらに、含フッ素オイルとして理解され得る(非反応性の)フルオロポリエーテル化合物、好ましくはパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物(以下、まとめて「含フッ素オイル」と言う)、シリコーンオイルとして理解され得る(非反応性の)シリコーン化合物(以下、「シリコーンオイル」と言う)、触媒、界面活性剤、重合禁止剤、増感剤等を含み得る。
上記含フッ素オイルとしては、特に限定されるものではないが、例えば、以下の一般式(3)で表される化合物(パーフルオロ(ポリ)エーテル化合物)が挙げられる。
Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf ・・・(3)
式中、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1―16のパーフルオロアルキル基)を表し、Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基(好ましくは、C1-16パーフルオロアルキル基)、フッ素原子または水素原子を表し、RfおよびRfは、より好ましくは、それぞれ独立して、C1-3パーフルオロアルキル基である。
a’、b’、c’およびd’は、ポリマーの主骨格を構成するパーフルオロ(ポリ)エーテルの4種の繰り返し単位数をそれぞれ表し、互いに独立して0以上300以下の整数であって、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも1、好ましくは1~300、より好ましくは20~300である。添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。これら繰り返し単位のうち、-(OC)-は、-(OCFCFCFCF)-、-(OCF(CF)CFCF)-、-(OCFCF(CF)CF)-、-(OCFCFCF(CF))-、-(OC(CFCF)-、-(OCFC(CF)-、-(OCF(CF)CF(CF))-、-(OCF(C)CF)-および(OCFCF(C))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCFCF)-、-(OCF(CF)CF)-および(OCFCF(CF))-のいずれであってもよく、好ましくは-(OCFCFCF)-である。-(OC)-は、-(OCFCF)-および(OCF(CF))-のいずれであってもよいが、好ましくは-(OCFCF)-である。
上記一般式(3)で表されるパーフルオロ(ポリ)エーテル化合物の例として、以下の一般式(3a)および(3b)のいずれかで示される化合物(1種または2種以上の混合物であってよい)が挙げられる。
Rf-(OCFCFCFb”-Rf ・・・(3a)
Rf-(OCFCFCFCFa”-(OCFCFCFb”-(OCFCFc”-(OCFd”-Rf ・・・(3b)
これら式中、RfおよびRfは上記の通りであり;式(3a)において、b”は1以上100以下の整数であり;式(3b)において、a”およびb”は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c”およびd”はそれぞれ独立して1以上300以下の整数である。添字a”、b”、c”、d”を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である。
また、別の観点から、含フッ素オイルは、一般式Rf-F(式中、RfはC5-16パーフルオロアルキル基である。)で表される化合物であってよい。また、クロロトリフルオロエチレンオリゴマーであってもよい。
上記含フッ素オイルは、500~10000の平均分子量を有していてよい。含フッ素オイルの分子量は、GPCを用いて測定し得る。
含フッ素オイルは、本開示の液状組成物に対して、例えば0~50質量%、好ましくは0~30質量%、より好ましくは0~5質量%含まれ得る。一の態様において、本開示の液状組成物は、含フッ素オイルを実質的に含まない。含フッ素オイルを実質的に含まないとは、含フッ素オイルを全く含まない、または極微量の含フッ素オイルを含んでいてもよいことを意味する。
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を大きくしてもよい。このような平均分子量とすることにより、特に真空蒸着法により表面処理層を形成する場合において、より優れた摩擦耐久性と表面滑り性を得ることができる。
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物の平均分子量よりも、含フッ素オイルの平均分子量を小さくしてもよい。このような平均分子量とすることにより、かかる化合物から得られる表面処理層の透明性の低下を抑制しつつ、高い摩擦耐久性および高い表面滑り性を有する硬化物を形成できる。
含フッ素オイルは、本開示の液状組成物によって形成された層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
一の態様において、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物およびフルオロアルキル基含有シラン化合物の合計に対して、含フッ素オイルは、0.001~50モル%含まれ、例えば、0.01~40モル%含まれていてもよい。
一の態様において、本開示の液状組成物は、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物として、式(1)で表される化合物および式(2)で表される化合物を含み、さらに含フッ素オイルを含む。
一の態様において、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、フルオロアルキル基含有シラン化合物、および含フッ素オイルの合計に対して、式(2)で表される化合物は0.001~70モル%、および含フッ素オイルは0.001~50モル%含まれることが好ましく、式(2)で表される化合物は0.01~60モル%、および含フッ素オイルは0.01~40モル%含まれることがより好ましく、式(2)で表される化合物は0.1~50モル%、および含フッ素オイルは0.1~30モル%含まれることがさらに好ましい。なお、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物のモル数に対する、フルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率は0.001~1.5である。
一の態様において、式(1)で表される化合物、式(2)で表される化合物、フルオロアルキル基含有シラン化合物、および含フッ素オイルの合計に対して、式(1)で表される化合物が0.001~70モル%、および含フッ素オイルが0.001~50モル%含まれることが好ましく、式(1)で表される化合物が0.01~60モル%、および含フッ素オイルが0.01~40モル%含まれることがより好ましく、式(1)で表される化合物が0.1~50モル%、および含フッ素オイルが0.1~30モル%含まれることがさらに好ましい。なお、フルオロポリエーテル基含有シラン化合物のモル数に対する、フルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率は0.001~1.5である。
上記シリコーンオイルとしては、例えばシロキサン結合が2,000以下の直鎖状または環状のシリコーンオイルを用い得る。直鎖状のシリコーンオイルは、いわゆるストレートシリコーンオイルおよび変性シリコーンオイルであってよい。ストレートシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、メチルハイドロジェンシリコーンオイルが挙げられる。変性シリコーンオイルとしては、ストレートシリコーンオイルを、アルキル、アラルキル、ポリエーテル、高級脂肪酸エステル、フルオロアルキル、アミノ、エポキシ、カルボキシル、アルコールなどにより変性したものが挙げられる。環状のシリコーンオイルは、例えば環状ジメチルシロキサンオイルなどが挙げられる。
本開示の液状組成物(例えば、表面処理剤)中、かかるシリコーンオイルは、上記本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の合計100質量部(2種以上の場合にはこれらの合計、以下も同様)に対して、例えば0~300質量部、好ましくは50~200質量部で含まれ得る。
シリコーンオイルは、表面処理層の表面滑り性を向上させるのに寄与する。
上記触媒としては、酸(例えば酢酸、トリフルオロ酢酸等)、塩基(例えばアンモニア、トリエチルアミン、ジエチルアミン等)、遷移金属(例えばTi、Ni、Sn等)等が挙げられる。
触媒は、本開示のフルオロポリエーテル基含有シラン化合物の加水分解および脱水縮合を促進し、本開示の液状組成物(例えば、表面処理剤)により形成される層の形成を促進する。
他の成分としては、上記以外に、例えば、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン等も挙げられる。
(表面処理剤)
本開示の液状組成物は、基材の表面処理を行う表面処理剤として用いる。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、多孔質物質、例えば多孔質のセラミック材料、金属繊維、例えばスチールウールを綿状に固めたものに含浸させて、ペレットとすることができる。当該ペレットは、例えば、真空蒸着に用いることができる。
一の態様において、本開示の表面処理剤は、湿潤被覆用で用いる。
(物品)
以下、本開示の物品について説明する。
本開示の物品は、基材と、該基材表面に本開示の液状組成物より形成された層(表面処理層)とを含む。
本開示において使用可能な基材は、例えば、ガラス、樹脂(天然または合成樹脂、例えば一般的なプラスチック材料であってよく、板状、フィルム、その他の形態であってよい)、金属、セラミックス、半導体(シリコン、ゲルマニウム等)、繊維(織物、不織布等)、毛皮、皮革、木材、陶磁器、石材等、建築部材等、任意の適切な材料で構成され得る。
例えば、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面を構成する材料は、光学部材用材料、例えばガラスまたは透明プラスチックなどであってよい。また、製造すべき物品が光学部材である場合、基材の表面(最外層)に何らかの層(または膜)、例えばハードコート層や反射防止層などが形成されていてもよい。反射防止層には、単層反射防止層および多層反射防止層のいずれを使用してもよい。反射防止層に使用可能な無機物の例としては、SiO、SiO、ZrO、TiO、TiO、Ti、Ti、Al、Ta、CeO、MgO、Y、SnO、MgF、WOなどが挙げられる。これらの無機物は、単独で、またはこれらの2種以上を組み合わせて(例えば混合物として)使用してもよい。多層反射防止層とする場合、その最外層にはSiOおよび/またはSiOを用いることが好ましい。製造すべき物品が、タッチパネル用の光学ガラス部品である場合、透明電極、例えば酸化インジウムスズ(ITO)や酸化インジウム亜鉛などを用いた薄膜を、基材(ガラス)の表面の一部に有していてもよい。また、基材は、その具体的仕様等に応じて、絶縁層、粘着層、保護層、装飾枠層(I-CON)、霧化膜層、ハードコーティング膜層、偏光フィルム、相位差フィルム、および液晶表示モジュールなどを有していてもよい。
基材の形状は特に限定されない。また、表面処理層を形成すべき基材の表面領域は、基材表面の少なくとも一部であればよく、製造すべき物品の用途および具体的仕様等に応じて適宜決定され得る。
かかる基材としては、少なくともその表面部分が、水酸基を元々有する材料から成るものであってよい。かかる材料としては、ガラスが挙げられ、また、表面に自然酸化膜または熱酸化膜が形成される金属(特に卑金属)、セラミックス、半導体等が挙げられる。あるいは、樹脂等のように、水酸基を有していても十分でない場合や、水酸基を元々有していない場合には、基材に何らかの前処理を施すことにより、基材の表面に水酸基を導入したり、増加させたりすることができる。かかる前処理の例としては、プラズマ処理(例えばコロナ放電)や、イオンビーム照射が挙げられる。プラズマ処理は、基材表面に水酸基を導入または増加させ得ると共に、基材表面を清浄化する(異物等を除去する)ためにも好適に利用され得る。また、かかる前処理の別の例としては、炭素-炭素不飽和結合基を有する界面吸着剤をLB法(ラングミュア-ブロジェット法)や化学吸着法等によって、基材表面に予め単分子膜の形態で形成し、その後、酸素や窒素等を含む雰囲気下にて不飽和結合を開裂する方法が挙げられる。
またあるいは、かかる基材としては、少なくともその表面部分が、別の反応性基、例えばSi-H基を1つ以上有するシリコーン化合物や、アルコキシシランを含む材料から成るものであってもよい。
次に、かかる基材の表面に、上記の本開示の液状組成物の層を形成し、この層を必要に応じて後処理し、これにより、本開示の液状組成物から層を形成する。
本開示の液状組成物の層形成は、上記の液状組成物を基材の表面に対して、該表面を被覆するように適用することによって実施できる。被覆方法は、特に限定されない。例えば、湿潤被覆法および乾燥被覆法を使用できる。
湿潤被覆法の例としては、浸漬コーティング、スピンコーティング、フローコーティング、スプレーコーティング、ロールコーティング、グラビアコーティングおよび類似の方法が挙げられる。
乾燥被覆法の例としては、蒸着(通常、真空蒸着)、スパッタリング、CVDおよび類似の方法が挙げられる。蒸着法(通常、真空蒸着法)の具体例としては、抵抗加熱、電子ビーム、マイクロ波等を用いた高周波加熱、イオンビームおよび類似の方法が挙げられる。CVD方法の具体例としては、プラズマ-CVD、光学CVD、熱CVDおよび類似の方法が挙げられる。
更に、常圧プラズマ法による被覆も可能である。
湿潤被覆法を使用する場合、本開示の液状組成物は、溶媒で希釈されてから基材表面に適用され得る。本開示の液状組成物の安定性および溶媒の揮発性の観点から、次の溶媒が好ましく使用される:炭素数5~12のパーフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、パーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサンおよびパーフルオロ-1,3-ジメチルシクロヘキサン);ポリフルオロ芳香族炭化水素(例えば、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン);ポリフルオロ脂肪族炭化水素(例えば、C13CHCH(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AC-6000)、1,1,2,2,3,3,4-ヘプタフルオロシクロペンタン(例えば、日本ゼオン株式会社製のゼオローラ(登録商標)H);ヒドロフルオロエーテル(HFE)(例えば、パーフルオロプロピルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7000)、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7100)、パーフルオロブチルエチルエーテル(COC)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7200)、パーフルオロヘキシルメチルエーテル(CCF(OCH)C)(例えば、住友スリーエム株式会社製のNovec(商標)7300)などのアルキルパーフルオロアルキルエーテル(パーフルオロアルキル基およびアルキル基は直鎖または分枝状であってよい)、あるいはCFCHOCFCHF(例えば、旭硝子株式会社製のアサヒクリン(登録商標)AE-3000))など。これらの溶媒は、単独で、または、2種以上の混合物として用いることができる。なかでも、ヒドロフルオロエーテルが好ましく、パーフルオロブチルメチルエーテル(COCH)および/またはパーフルオロブチルエチルエーテル(COC)が特に好ましい。
好ましくは、湿潤被覆法で用いる溶媒として、本開示の液状組成物の溶媒と同じ溶媒を用いる。
乾燥被覆法を使用する場合、本開示の液状組成物は、そのまま乾燥被覆法に付してもよく、または、上記した溶媒で希釈してから乾燥被覆法に付してもよい。
本開示の液状組成物は、良好に分散性し得る観点からは、湿潤被覆法、特にスプレーコーティングにおける使用において有効に使用し得る。
液状組成物の層形成は、層中で本開示の液状組成物が、加水分解および脱水縮合のための触媒と共に存在するように実施することが好ましい。簡便には、湿潤被覆法による場合、本開示の液状組成物を溶媒で希釈した後、基材表面に適用する直前に、本開示の液状組成物の希釈液に触媒を添加してよい。乾燥被覆法による場合には、触媒添加した本開示の液状組成物をそのまま蒸着(通常、真空蒸着)処理するか、あるいは鉄や銅などの金属多孔体に、触媒添加した本開示の液状組成物を含浸させたペレット状物質を用いて蒸着(通常、真空蒸着)処理をしてもよい。
触媒には、任意の適切な酸または塩基を使用できる。酸触媒としては、例えば、酢酸、ギ酸、トリフルオロ酢酸などを使用できる。また、塩基触媒としては、例えばアンモニア、有機アミン類などを使用できる。
上記のようにして、基材の表面に、本開示の液状組成物に由来する層が形成され、本開示の物品が製造される。これにより得られる上記層は、高い表面滑り性と高い摩擦耐久性の双方を有する。また、上記層は、高い摩擦耐久性に加えて、使用する液状組成物の組成にもよるが、撥水性、撥油性、防汚性(例えば指紋等の汚れの付着を防止する)、防水性(電子部品等への水の浸入を防止する)、表面滑り性(または潤滑性、例えば指紋等の汚れの拭き取り性や、指に対する優れた触感)などを有し得、機能性薄膜として好適に利用され得る。
すなわち本開示はさらに、上記表面処理層を最外層に有する光学材料にも関する。
光学材料としては、後記に例示するようなディスプレイ等に関する光学材料のほか、多種多様な光学材料が好ましく挙げられる:例えば、陰極線管(CRT;例えば、パソコンモニター)、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機薄膜ELドットマトリクスディスプレイ、背面投写型ディスプレイ、蛍光表示管(VFD)、電界放出ディスプレイ(FED;Field Emission Display)などのディスプレイまたはそれらのディスプレイの保護板、またはそれらの表面に反射防止膜処理を施したもの。
本開示によって得られる層を有する物品は、特に限定されるものではないが、光学部材であり得る。光学部材の例には、次のものが挙げられる:眼鏡などのレンズ;PDP、LCDなどのディスプレイの前面保護板、反射防止板、偏光板、アンチグレア板;携帯電話、携帯情報端末などの機器のタッチパネルシート;ブルーレイ(Blu-ray(登録商標))ディスク、DVDディスク、CD-R、MOなどの光ディスクのディスク面;光ファイバー;時計の表示面など。
また、本開示によって得られる層を有する物品は、医療機器または医療材料であってもよい。
また、本開示によって得られる層を有する物品は、自動車内外装部材であってもよい。外装材の例には、次のものが挙げられる:ウィンドウ、ライトカバー、社外カメラカバー。内装材の例には、次のものが挙げられる:インパネカバー、ナビゲーションシステムタッチパネル、加飾内装材。
上記層の厚さは、特に限定されない。光学部材の場合、上記層の厚さは、1~50nm、1~30nm、好ましくは1~15nmの範囲であることが、光学性能、表面滑り性、摩擦耐久性および防汚性の点から好ましい。
以上、本開示の液状組成物(例えば、表面処理剤)を使用して得られる物品について詳述した。なお、本開示の液状組成物の用途、使用方法ないし物品の製造方法などは、上記で例示したものに限定されない。
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。
本発明の液状組成物について、以下の実施例を通じてより具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお、本実施例において、以下に示される化学式はすべて平均組成を示す。本実施例において、パーフルオロポリエーテルを構成する繰り返し単位の存在順序は任意である。なお、Meはメチル基を意味する。
(実施例1~7)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A1)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させた。さらに、該溶液にフルオロアルキル基含有シラン化合物(化合物B1~B3)を表1に記載の比率で添加し、液状組成物を調製した。なお、表において「モル比」と記載している数値は、化合物A1のモル数に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率(モル比)を意味する。

化合物A1:
Figure 2022115808000016
(m≒21、n≒35)

化合物B1:
CHOCHCHCHSi(OCH

化合物B2:
CHCHSi(OCH

化合物B3:
13CHCHSi(OCH
(実施例8~14)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A2)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させた。さらに、該溶液にフルオロアルキル基含有シラン化合物(化合物B1~B3)を表2に記載の比率で添加し、液状組成物を調製した。なお、表において「モル比」と記載している数値は、化合物A2のモル数に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率(モル比)を意味する。

化合物A2:
Figure 2022115808000017
(m≒21、n≒35)
(実施例15~16)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A3)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させた。さらに、該溶液にフルオロアルキル基含有シラン化合物(化合物B2)を表3に記載の比率で添加し、液状組成物を調製した。なお、表において「モル比」と記載している数値は、化合物A3のモル数に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率(モル比)を意味する。

化合物A3:
Figure 2022115808000018

(m≒27、n≒29)
(実施例17~18)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A4)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させた。さらに、該溶液にフルオロアルキル基含有シラン化合物(化合物B2)を表3に記載の比率で添加し、液状組成物を調製した。なお、表において「モル比」と記載している数値は、化合物A4のモル数に対するフルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率(モル比)を意味する。

化合物A4:
Figure 2022115808000019

(n≒13)
(比較例1)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A1)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させ、液状組成物を調製した。
(比較例2)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A1)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させた。さらに、該溶液にフルオロアルキル基含有シラン化合物(化合物B2)を表1に記載の量添加し、表面処理剤を調製した。
(比較例3)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A2)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させ、液状組成物を調製した。
(比較例4)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A2)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させた。さらに、該溶液にフルオロアルキル基含有シラン化合物(化合物B2)を表2に記載の量添加し、表面処理剤を調製した。
(比較例5)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A3)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させ、液状組成物を調製した。
(比較例6)
フルオロポリエーテル基含有シラン化合物(化合物A4)を固形分濃度0.06質量%になるように、ハイドロフルオロエーテル(スリーエム社製、ノベックHFE-7200)に溶解させ、液状組成物を調製した。
(表面処理層の形成)
2流体ノズルを搭載したスプレー塗布装置(東邦化成社製)を用いて、上記で調製した液状組成物を基材(化学強化ガラス(コーニング社製、「ゴリラ」ガラス、厚さ0.7mm)の表面に均一にスプレー塗布した。液状組成物の塗布量は48g/mとした。塗布後の基材を150℃30分間加熱し、硬化膜を形成した。
(平均流体力学径の測定)
濃度50%に調整したフルオロポリエーテル基含有シラン化合物にフルオロアルキル基含有シラン化合物を配合し、25±2℃の環境下試験管ミキサーで3分間攪拌後、専用のセルに得られた混合物を投入した。セルを動的光散乱(DLS)測定装置(Malvern社 ゼータサイザー ナノS)に設置し、2分間静置させたのちに測定を開始し、粒径分布データを得た。1検体につき3回操作を行い、その平均値をもって平均流体力学径及び60%累積分布径とした。
(評価)
上記実施例1~18および比較例1~6で得られた硬化膜の摩耗耐久性を測定した。
(消しゴム摩擦耐久性試験)
ラビングテスター(新東科学社製)を用いて、下記条件で2500回擦る毎に対水接触角を測定し、100°未満となるまで試験を続けた。試験環境条件は25℃、湿度40%RHである。100°未満となったときの摩擦回数を、消しゴム摩擦耐久性試験の結果として表1~3に示す。
消しゴム:Raber Eraser(Minoan社製)
接地面積:6mmφ
移動距離(片道):30mm
移動速度:40往復/分
荷重:1kg/6mmφ
Figure 2022115808000020

Figure 2022115808000021
Figure 2022115808000022


本開示の液状組成物は、種々多様な基材、特に透過性が求められる光学部材の表面に、表面処理層を形成するために好適に利用され得る。
本開示は、以下の[1]~[16]を提供するものである。
[1] フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と、
下記式:
Figure 2022115808000032
で表される基を有するフルオロアルキル基含有シラン化合物と、
溶媒と
を含む表面処理用液状組成物であって、
動的光散乱法による、前記液状組成物中の前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物の平均流体力学径は、1~1500nmであり、
前記平均流体力学径は、前記溶媒中に前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を50質量%含む液状混合物と、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物とを、前記液状組成物におけるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とフルオロアルキル基含有シラン化合物の割合と同じ割合になるように混合し、25℃になるまで静置して測定した場合に得られる値である、
表面処理用液状組成物。
[式中:
31は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
32は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
n3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物において、少なくとも1のn3は1以上である。]
[2] 動的光散乱法による散乱強度基準の粒子径分布における60%累積分布径は1~700nmである、[1]に記載の表面処理用液状組成物。
[ここで、
前記粒子径分布の測定条件は、前記平均流体力学径の測定条件と同じである。]
[3] 前記溶媒は、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、およびパーフルオロヘキシルメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]または[2]に記載の表面処理用液状組成物。
[4] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物のモル数に対する、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率は、0.001~1.5である、[1]~[3]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[5] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(1)または(2):
Figure 2022115808000033
で表される、[1]~[4]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[式中:
F1は、Rf-R-O-であり;
F2は、-Rf -R-O-であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、式:
-(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
で表される基であり;
a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり;
pは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解可能な基、水素原子または1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解可能な基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
αは、1~9の整数であり;
βは、1~9の整数であり;
γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
[6] Xは、以下の式:
Figure 2022115808000034
で表され、
α、βおよびγは1であり、
Siは、各出現においてそれぞれ独立して、以下の式(S1)~(S2):
Figure 2022115808000035
で表される基のいずれかである、[5]に記載の表面処理用液状組成物。
[式中:
は、各出現においてそれぞれ独立して、-X-RSiで表される基、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり;
a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR41 r142 r243 r3であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
41は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’であり;
1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
41’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR41” r1”42” r2”であり;
1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
41”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
42”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
42’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
43’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r3’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
42は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
43は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
r3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、式(S1)において、水酸基または加水分解可能な基に結合したSi原子が少なくとも1つ存在し;
d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR51 s152 s253 s3であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
51は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR51’ s1’52’ s2’であり;
2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
51’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
51”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
52”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
m1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
52’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
s1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
s2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
52は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
s1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
s2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
s3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
ただし、式(S2)において、m1”が1~3である-SiR51” m1”52” 3-m1”が少なくとも1つ存在する。]
[7] 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物が、式(B1):
Figure 2022115808000036
で表され、
Rfが、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていているC1-6アルキル基であり、
31が、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
31は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
32は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
n3は、1~3の整数である、
[1]~[6]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[8] Rfが、C1-6パーフルオロアルキル基である、[7]に記載の表面処理用液状組成物。
[9] X31が、-(X311z11-( 31 z12-で表され、
311が、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていていてもよいC1-6アルキレン基であり、
31 が、それぞれ独立して、酸素原子、または硫黄原子であり、
z11が、1~3の整数であり、
z12が、0~2整数であり、
ただし、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、X31において任意である、
[7]または[8]に記載の表面処理用液状組成物。
[10] 含フッ素オイルをさらに含有する、[1]~[9]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[11] 前記含フッ素オイルは、式:
Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf
で表され、
RfおよびRfは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基であり、
a’、およびb’は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c’およびd’は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも5以上であり、添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である、[10]に記載の表面処理用液状組成物。
[12] 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物の合計に対して、前記含フッ素オイルが、0.001~50モル%含まれる、[10]または[11]に記載の表面処理用液状組成物。
[13] フルオロポリエーテル基含有シラン化合物として、式(1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物および式(2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含み、
さらに含フッ素オイルを含む、
[5]~[12]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[14] 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物からなる群より選ばれる化合物のオリゴマーを含まない、[1]~[13]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物。
[15] 湿潤被覆用である、[14]に記載の表面処理用液状組成物。
[16] 基材と、該基材表面に[1]~[15]のいずれか1つに記載の表面処理用液状組成物より形成された層とを有する物品。

Claims (16)

  1. フルオロポリエーテル基含有シラン化合物と、
    下記式:
    Figure 2022115808000023
    で表される基を有するフルオロアルキル基含有シラン化合物と、
    溶媒と
    を含む表面処理用液状組成物であって、
    動的光散乱法による、前記液状組成物中の前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物の平均流体力学径は、1~1500nmであり、
    前記平均流体力学径は、前記溶媒中に前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物を50質量%含む液状混合物と、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物とを、前記液状組成物におけるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物とフルオロアルキル基含有シラン化合物の割合と同じ割合になるように混合し、25℃になるまで静置して測定した場合に得られる値である、
    表面処理用液状組成物。
    [式中:
    31は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
    32は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
    n3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    ただし、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物において、少なくとも1のn3は1以上である。]
  2. 動的光散乱法による散乱強度基準の粒子径分布における60%累積分布径は1~700nmである、請求項1に記載の表面処理用液状組成物。
    [ここで、
    前記粒子径分布の測定条件は、前記平均流体力学径の測定条件と同じである。]
  3. 前記溶媒は、パーフルオロブチルメチルエーテル、パーフルオロブチルエチルエーテル、およびパーフルオロヘキシルメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1または2に記載の表面処理用液状組成物。
  4. 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物のモル数に対する、前記フルオロアルキル基含有シラン化合物のモル数の比率は、0.001~1.5である、請求項1~3のいずれか1項に記載の表面処理用液状組成物。
  5. 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物は、下記式(1)または(2):
    Figure 2022115808000024
    で表される、請求項1~4のいずれか1項に記載の表面処理用液状組成物。
    [式中:
    F1は、Rf-R-O-であり;
    F2は、-Rf -R-O-であり;
    Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-16アルキル基であり;
    Rfは、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよいC1-6アルキレン基であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、式:
    -(OC12-(OC10-(OC-(OCFa -(OC-(OCF
    で表される基であり;
    a、b、c、d、eおよびfは、それぞれ独立して0以上200以下の整数であって、a、b、c、d、eおよびfの和は少なくとも1であり、a、b、c、d、eまたはfを付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は式中において任意であり;
    Faは、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、フッ素原子または塩素原子であり;
    pは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
    qは、各出現においてそれぞれ独立して、0または1であり;
    Siは、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基、加水分解可能な基、水素原子または1価の有機基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
    少なくとも1つのRSiは、水酸基または加水分解可能な基が結合したSi原子を含む1価の基であり;
    は、それぞれ独立して、単結合または2~10価の有機基であり;
    αは、1~9の整数であり;
    βは、1~9の整数であり;
    γは、それぞれ独立して、1~9の整数である。]
  6. は、以下の式:
    Figure 2022115808000025
    で表され、
    α、βおよびγは1であり、
    Siは、各出現においてそれぞれ独立して、以下の式(S1)~(S2):
    Figure 2022115808000026
    で表される基のいずれかである、請求項5に記載の表面処理用液状組成物。
    [式中:
    は、各出現においてそれぞれ独立して、-X-RSiで表される基、水素原子、フェニル基またはC1-6アルキル基であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合または2価の有機基であり;
    a1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR41 r142 r243 r3であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
    41は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1’-SiR41’ r1’42’ r2’43’ r3’であり;
    1’は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
    41’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z1”-SiR41” r1”42” r2”であり;
    1”は、各出現においてそれぞれ独立して、酸素原子または2価の有機基であり;
    41”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
    42”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
    r1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r2”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    42’は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
    43’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
    r1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r3’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    42は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
    43は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
    r1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    r3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    b1は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
    c1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
    k1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    l1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    m1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    ただし、式(S1)において、水酸基または加水分解可能な基に結合したSi原子が少なくとも1つ存在し;
    d1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-CR51 s152 s253 s3であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
    51は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z2’-CR51’ s1’52’ s2’であり;
    2’は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
    51’は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
    は、各出現においてそれぞれ独立して、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
    51”は、各出現においてそれぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
    52”は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
    m1”は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    52’は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
    s1’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    s2’は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    52は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
    53は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
    s1は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    s2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    s3は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    e1は、各出現においてそれぞれ独立して、-Z-SiR51” m1”52” 3-m1”であり;
    f1は、各出現においてそれぞれ独立して、水素原子、水酸基または1価の有機基であり;
    k2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    l2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    m2は、各出現においてそれぞれ独立して、0~3の整数であり;
    ただし、式(S2)において、m1”が1~3である-SiR51” m1”52” 3-m1”が少なくとも1つ存在する。]
  7. 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物が、式(B1):
    Figure 2022115808000027
    で表され、
    Rfが、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていているC1-6アルキル基であり、
    31が、単結合、酸素原子または2価の有機基であり;
    31は、それぞれ独立して、水酸基または加水分解可能な基であり;
    32は、それぞれ独立して、水素原子または1価の有機基であり;
    n3は、1~3の整数である、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の表面処理用液状組成物。
  8. Rfが、C1-6パーフルオロアルキル基である、請求項7に記載の表面処理用液状組成物。
  9. 31が、-(X311z11-(Zz12-で表され、
    311が、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていていてもよいC1-6アルキレン基であり、
    が、それぞれ独立して、酸素原子、または硫黄原子であり、
    z11が、1~3の整数であり、
    z12が、0~2整数であり、
    ただし、括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、X31において任意である、
    請求項7または8に記載の表面処理用液状組成物。
  10. 含フッ素オイルをさらに含有する、請求項1~9のいずれか1項に記載の表面処理用液状組成物。
  11. 前記含フッ素オイルは、式:
    Rf-(OCa’-(OCb’-(OCc’-(OCFd’-Rf
    で表され、
    RfおよびRfは、それぞれ独立して、1個またはそれ以上のフッ素原子により置換されていてもよい炭素数1~16アルキル基であり、
    a’、およびb’は、それぞれ独立して0以上30以下の整数であり、c’およびd’は、それぞれ独立して1以上200以下の整数であり、a’、b’、c’およびd’の和は少なくとも5以上であり、添字a’、b’、c’またはd’を付して括弧でくくられた各繰り返し単位の存在順序は、式中において任意である、請求項10に記載の表面処理用液状組成物。
  12. 前記フルオロポリエーテル基含有シラン化合物および前記フルオロアルキル基含有シラン化合物の合計に対して、前記含フッ素オイルが、0.001~50モル%含まれる、請求項10または11に記載の表面処理用液状組成物。
  13. フルオロポリエーテル基含有シラン化合物として、式(1)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物および式(2)で表されるフルオロポリエーテル基含有シラン化合物を含み、
    さらに含フッ素オイルを含む、
    請求項5~12のいずれか1項に記載の表面処理用液状組成物。
  14. 前記フルオロアルキル基含有シラン化合物からなる群より選ばれる化合物のオリゴマーを含まない、請求項1~13のいずれか1項に記載の表面処理用液状組成物。
  15. 湿潤被覆用である、請求項14に記載の表面処理用液状組成物。
  16. 基材と、該基材表面に請求項1~15のいずれか1項に記載の表面処理用液状組成物より形成された層とを有する物品。
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