JP2022115638A - シート包装体 - Google Patents

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Abstract

【課題】シートの取り出しに優れる、包装袋が紙製のシート包装体を提供すること。【解決手段】積層された複数枚のシートが収容され、長手方向の両端に一対のシール部を有するピロー包装袋10と、前記ピロー包装袋10の上面11に形成され、前記ピロー包装袋10の長手方向に延びる取出口30と、を有し、前記ピロー包装袋10は、紙成分を含む紙層と、前記紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記紙成分の比率が50%以上であり、前記シートのプライ数が1プライのとき、前記上面11の前記長手方向における前記一対のシール部40、50間の距離に対して、前記取出口30の長さが80%以上100%以下であり、前記シートのプライ数が2プライ以上のとき、前記上面11の前記長手方向における前記一対のシール部40,50間の距離に対して、前記取出口30の長さが70%以上90%以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、シート包装体に関する。
ペーパータオルやティシューペーパー等のシートが収容されたシート包装体は、樹脂フィルム製の包装袋に複数枚のシートが収容された状態で流通され、使用される。シート包装体の包装袋にはミシン目が形成されており、このミシン目を開裂させることで、包装体が開封される。また、包装袋が開封された部分は、シートの取出口を構成する(例えば、特許文献1、2)。
近年、CO排出に伴う地球温暖化やマイクロプラスチック等の海洋汚染等の環境負荷を抑制する観点から、シート包装体における包装袋の材質を樹脂製から紙製にシフトする動きがある。
特開2008-183034号公報 特開2018-177364号公報
しかしながら、紙製の包装袋は樹脂製の包装袋に比べて柔軟性がないことから、シート包装体の包装袋を紙製にすると、シートを取り出す際に、シートが取出口で詰まったり、シートが包装袋内に落ち込むことがある。
本発明の課題は、シートの取り出しに優れる、包装袋が紙製のシート包装体を提供することである。
本発明に係る第1の態様は、積層された複数枚のシートが収容され、長手方向の両端に一対のシール部を有するピロー包装袋と、前記ピロー包装袋の上面に形成され、前記ピロー包装袋の長手方向に延びる取出口と、を有し、前記ピロー包装袋は、紙成分を含む紙層と、前記紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、前記紙成分の比率が50%以上であり、前記シートのプライ数が1プライのとき、前記上面の前記長手方向における前記一対のシール部間の距離に対して、前記取出口の長さが80%以上100%以下であり、前記シートのプライ数が2プライ以上のとき、前記上面の前記長手方向における前記一対のシール部間の距離に対して、前記取出口の長さが70%以上90%以下である、シート包装体である。
本明細書において、ピロー包装袋とは、筒状の包装袋用シートの開口端部がシール(封止)された包装袋を示す。ピロー包装袋の上面とは、ピロー包装袋の一対のシール部間に広がる領域を示す。紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層とは、紙層の片面に樹脂層が設けられた2層構造または紙層の両面に樹脂層が積層された3層構造のいずれかを示す。
第1の態様では、紙成分を含む紙層と、該紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層を有し、紙成分の比率が50%以上であるピロー包装袋を用いることで、シートが収容されるピロー包装袋に柔軟性が付与されたシート包装体を提供することができる。
また、このようなピロー包装袋の上面に、該ピロー包装袋の長手方向に延びる取出口を形成し、ピロー包装袋の上面の長手方向における一対のシール部間の距離に対する該取出口の長さの割合を、ピロー包装袋に収容されるシートのプライ数が1プライのときは80%以上100%以下にし、シートのプライ数が2プライ以上のときは70%以上90%以下にすることで、取出口からシートが取り出しやすくなり、またシートのピロー包装袋内への落ち込みを抑制することができる。
また、第1の態様では、ピロー包装袋が紙成分を含む紙層と該紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層を有することで、ピロー包装袋を柔らかくすることができる。これにより、シート包装体における包装袋のごわごわ感を抑制し、ピロー包装袋に追従性を付与することができる。そのため、包装袋の材質を樹脂製から紙製にシフトした場合でも、製造時や輸送時に包装袋が破れにくいシート包装体を提供することができる。
また、第1の態様では、紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層が熱可塑性樹脂を含むことから、ピロー包装袋をシール(または封止)する際にピロー包装袋の一部を加熱することで、溶けた樹脂層が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)。そのため、第1の態様では、ピロー包装袋のシールが容易なシート包装体を提供することができる。
さらに、第1の態様では、ピロー包装袋における紙成分の比率が50%以上であるため、環境負荷が抑制されたシート包装体を提供することができる。
本発明に係る第2の態様は、前記紙層の坪量が10g/m以上40g/m以下である、シート包装体である。第2の態様では、紙層の坪量を10g/m以上40g/m以下にすることで、ピロー包装袋の強度を維持することができる。そのため、第2の態様によれば、ピロー包装袋が破れにくいシート包装体を提供することができる。
本発明に係る第3の態様は、前記紙層がクラフト紙またはレーヨン紙で形成されている、シート包装体である。本明細書において、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙を示す。また、レーヨン紙は、木材パルプなどから化学合成して作られたレーヨン繊維をクラフトパルプに配合させたものを示す。なお、レーヨン紙は、包装袋の柔らかさと強度を両立させる観点から、レーヨン繊維の配合率が質量比で20%以下のものが好ましい。
第3の態様では、ピロー包装袋の紙層をクラフト紙またはレーヨン紙で形成することで、包装袋のごわごわ感を抑制しながらピロー包装袋の強度が維持されたシート包装体を提供することができる。
本発明に係る第4の態様は、前記樹脂層の厚みが5μm以上40μm以下である、シート包装体である。第4の態様では、ピロー包装袋の樹脂層の厚みを5μm以上40μm以下にすることで、包装袋における紙成分の比率を50%以上に維持しやすくなる。また、包装袋のごわごわ感を抑制しながら、ピロー包装袋のシール時における樹脂層の接着機能が維持されたシート包装体を提供することができる。
本発明に係る第5の態様は、前記熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレンである、シート包装体である。第5の態様では、樹脂層に含まれる熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いることにより、包装袋のごわごわ感をさらに抑制しながら、ピロー包装袋のシール時における樹脂層の接着機能を向上させたシート包装体を提供することができる。
本発明に係る第6の態様は、前記ピロー包装袋の縦方向のクラーク剛度が3cm/100以上20cm/100以下である、シート包装体である。本明細書において、クラーク剛度は、JIS P 8143の規定に準拠して測定される。縦方向とは、ピロー包装袋を構成する繊維の流れ方向を示す。
第6の態様では、ピロー包装袋の縦方向のクラーク剛度を3cm/100以上20cm/100以下にすることで、ピロー包装袋の柔軟性および追従性が向上する。これにより、第6の態様では、取出口からシートがさらに取り出しやすくなり、またシートのピロー包装袋内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本発明に係る第7の態様は、前記シートのプライ数が1プライであり、前記シートの坪量が5g/m以上80g/m以下である、シート包装体である。第7の態様では、ピロー包装袋に収容されるシートのプライ数が1プライであるため、ピロー包装袋の上面の長手方向における一対のシール部間の距離に対して80%以上100%以下となる取出口の長さが適用される。
その上で、第7の態様では、ピロー包装袋に収容される1プライのシートの坪量を5g/m以上80g/m以下にすることで、シート包装体に1プライのシートを収容する場合に、取出口からシートがさらに取り出しやすくなり、またシートのピロー包装袋内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本発明に係る第8の態様は、前記シートが、縦方向のソフトネスが50mN/100mm以上350mN/100mm以下であり、横方向のソフトネスが20mN/100mm以上320mN/100mm以下である、シート包装体である。
本明細書において、ソフトネスは、JIS L 1096 E法の規定に準拠して測定されるソフトネスを示す。縦方向は、シートを構成する繊維の流れ方向であり、横方向は、シートを構成する繊維の流れ方向と直交する方向である。
第8の態様では、ピロー包装袋に1プライのシートを収容する場合に、縦方向のソフトネスが50mN/100mm以上350mN/100mm以下で、横方向のソフトネスが20mN/100mm以上320mN/100mm以下のシートが用いられる。これにより、シート包装体において取出口から1プライのシートがさらに取り出しやすくなり、また1プライのシートのピロー包装袋内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本発明に係る第9の態様は、前記シートのプライ数が2プライであり、前記シートの坪量が1プライあたり1g/m以上50g/m以下である、シート包装体である。第9の態様では、ピロー包装袋に収容されるシートのプライ数が2プライであるため、ピロー包装袋の上面の長手方向における一対のシール部間の距離に対して70%以上90%以下となる取出口の長さが適用される。
その上で、第9の態様では、ピロー包装袋に収容される2プライのシートの坪量を1プライあたり1g/m以上50g/m以下にすることで、シート包装体に2プライのシートを収容する場合に取出口からシートがさらに取り出しやすくなり、またシートのピロー包装袋内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本発明に係る第10の態様は、前記シートが、縦方向のソフトネスが15mN/100mm以上45mN/100mm以下であり、横方向のソフトネスが10mN/100mm以上40mN/100mm以下である、シート包装体である。
第10の態様では、ピロー包装袋に2プライのシートを収容する場合に、縦方向のソフトネスが15mN/100mm以上45mN/100mm以下で、横方向のソフトネスが10mN/100mm以上40mN/100mm以下のシートが用いられる。これにより、シート包装体において取出口から2プライのシートがさらに取り出しやすくなり、また2プライのシートのピロー包装袋内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本発明の一態様によれば、シートの取り出しに優れる、包装袋が紙製のシート包装体を提供することができる。
実施形態のシート包装体を示す図である。 包装袋に収容されるシートを示す図である。 図1のシート包装体を上面側から見た図である。 図1のシート包装体を下面側から見た図である。 図1のシート包装体を正面側から見た図である。 図1のシート包装体を背面側から見た図である。 図1のシート包装体を左側面側から見た図である。 図1のシート包装体を右側面側から見た図である。 図3の領域R1における上面の部分断面図である。 図3の領域R1における上面の部分断面図(3層構造)である。 図3の領域R2の部分拡大図である。 図11の開裂用切目線に沿う断面図である。 図11の開裂用切目線に沿う断面図(3層構造)である。 包装袋に開裂用切目線を形成する器具の一例を示す図である。 図3のシート包装体の開裂用切目線が開裂した状態を示す図である。 図1のシート包装体の使用時の状態を示す図である。
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図において、共通する部分は、同一の符号を付して説明を省略する場合がある。また、各図において、各部材の縮尺は実際とは異なる場合がある。なお、各図では、3軸方向(X方向、Y方向、Z方向)の3次元直交座標系を用い、包装袋の長手方向をX方向とし、幅方向をY方向とし、高さ方向(上下方向または厚み方向)をZ方向とする。
図1は、実施形態のシート包装体を示す図である。図2は、包装袋に収容されるシートを示す図である。図3、図4、図5、図6、図7、図8は、図1のシート包装体を上面側、下面側、正面側、背面側、左側面側、右側面側からそれぞれ見た図である。
シート包装体100は、図1に示すように、包装袋10、シート積層体20(複数枚のシートS)を有する。シート包装体100は、本実施形態に係るシート包装体の一例である。また、包装袋10は、本実施形態のシート包装体におけるピロー包装袋の一例である。シート積層体20は、本実施形態のシート包装体において積層された複数枚のシートの一例である。
包装袋10には、図2に示すように、積層された複数枚(または複数組)のシートS(シート積層体20)が収容される。シート積層体20は、シートSの積層方向(SD方向)が高さ方向(Z方向)となるように包装袋10に収容されている。シート積層体20は、包装袋10に形成された後述の取出口30(開口OP)を通してシートSが1枚(1組)ずつ引き出せるようになっている(図16参照)。
シートSの積層体SL(シート積層体20)の形態は、特に限定されず、例えば、シートSが折りたたまれた状態で積層されたもの、各シートSが折り込まれた状態で互い違いに積層されたもの(いわゆるポップアップ式のシート積層体)、複数枚のシートSが単に積層されたもの等を採用することができる。
また、シートS(シート積層体20)の寸法は、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL2を150~260mm程度、包装袋10の長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)の幅W2を70~150mm程度、高さ方向(Z方向)の高さH2を20~100mm程度とすることができる。このような薄葉紙の積層体は、例えば、ロータリー式又はマルチスタンド式インタフォルダによって製造することができる。
シートSの態様は、特に限定されず、例えば、ペーパータオル、キッチンペーパー、ティシューペーパー、トイレットペーパー等の衛生薄葉紙に適用可能である。これらの衛生薄葉紙には、保湿成分を含んだ衛生薄葉紙(例えば、ローションティシュー等)も含まれる。
また、シートSの用途は、特に限定されず、産業用、家庭用、携帯用のいずれも適用できる。なお、本実施形態におけるシートとしては、これらの中でも、産業用・家庭用のペーパータオルが好適に用いられる。
シートSのプライ数は、特に限定されないが、1プライ以上にすることができ、好ましくは1プライまたは2プライ以上であり、より好ましくは1プライまたは2プライである。また、シートSの形状は、特に限定されないが、例えば、シートが折りたたまれた状態で輪郭形状が四角形(長方形、正方形等)のものであることが好ましい。
シートSの材質は、特に限定されないが、例えば、紙、不織布または布等のシートを用いることができ、好ましくは紙(紙シート)である。なお、シートSが紙シートの場合、パルプを主原料とする原紙が用いられる。パルプ組成は、紙シートにおける公知の組成を用いることができる。例えば、パルプの配合割合を、50質量%以上、好ましくは90質量%以上、より好ましくは100質量%とすることができる。
また、シートS(紙シート)におけるパルプ組成は、特に限定されない。例えば、NBKP(針葉樹クラフトパルプ)やNUKP(針葉樹未晒しパルプ)などの針葉樹パルプと、LBKP(広葉樹クラフトパルプ)やLUKP(広葉樹未晒しパルプ)などの広葉樹パルプとを、任意の比率で使用することができる。なお、広葉樹パルプと針葉樹パルプの比は、限定されないが、好ましくは10:90~80:20であり、より好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、シートS(紙シート)に含まれるパルプには、古紙パルプを用いても良い。
シートSの坪量は、特に限定されず、プライ数に応じて調整することができる。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
例えば、シートSのプライ数が1プライのとき、シートSの坪量は、5g/m以上80g/m以下であり、好ましくは10g/m以上60g/m以下、より好ましくは15g/m以上45g/m以下、さらに好ましくは20g/m以上40g/m以下、さらに好ましくは25g/m以上35g/m以下である。また、シートSのプライ数が2プライのとき、シートSの坪量は、1プライあたり1g/m以上50g/m以下であり、好ましくは2g/m以上40g/m以下、より好ましくは3g/m以上30g/m以下、さらに好ましくは5g/m以上25g/m以下、さらに好ましくは10g/m以上20g/m以下である。さらに、シートSが不織布の場合、シートSの坪量は、20g/m以上100g/m以下のものが望ましい。
また、シートS(紙シート)の厚み(紙厚)は、特に限定されず、JIS P 8111(1998)の環境下で測定された紙厚を採用することができる。例えば、シートSが紙の場合、紙厚は、2プライあたり、50μm以上600μm以下であり、好ましくは60μm以上550μm以下、より好ましくは100μm以上400μm以下である。
シートSのソフトネスは、特に限定されず、プライ数に応じて調整することができる。なお、ソフトネスは、L 1096 E法の規定に準拠して測定される。
例えば、シートSのプライ数が1プライのとき、シートSの縦方向のソフトネスは、10mN/100mm以上800mN/100mm以下、好ましくは30mN/100mm以上500mN/100mm以下、より好ましくは50mN/100mm以上350mN/100mm以下、さらに好ましくは100mN/100mm以上300mN/100mm以下、特に好ましくは150mN/100mm以上250mN/100mm以下である。
また、シートSの1プライのときの横方向のソフトネスは、5mN/100mm以上700mN/100mm以下、好ましくは、10mN/100mm以上500mN/100mm以下、より好ましくは20mN/100mm以上320mN/100mm以下、さらに好ましくは70mN/100mm以上270mN/100mm以下、特に好ましくは120mN/100mm以上220mN/100mm以下である。
なお、シートの縦方向は、シートを構成する繊維の流れ方向に対応し、シートの横方向は、シートを構成する繊維の流れ方向と直交する方向に対応する。
また、シートSのプライ数が2プライのとき、シートSの縦方向のソフトネスは、5mN/100mm以上100mN/100mm以下、好ましくは10mN/100mm以上70mN/100mm以下、より好ましくは15mN/100mm以上45mN/100mm以下であり、さらに好ましくは20mN/100mm以上40mN/100mm以下、特に好ましくは25mN/100mm以上35mN/100mm以下である。
また、シートSが2プライのときの横方向のソフトネスは、3mN/100mm以上100mN/100mm以下、好ましくは5mN/100mm以上70mN/100mm以下、より好ましくは10mN/100mm以上40mN/100mm以下、さらに好ましくは15mN/100mm以上35mN/100mm以下、特に好ましくは20mN/100mm以上30mN/100mm以下である。
また、シートS(紙シート)には、エンボス加工が施されていてもよい。このようなエンボス加工は、公知のエンボス付与方法により実施することができる。
図9は、図3の領域R1における上面の部分断面図である。包装袋10は、紙成分を含む紙層10Aと、紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)とを有する(図9、図10)。そして、包装袋10における紙成分の比率が50%以上となっている。
ここで、紙成分は、例えば、植物繊維を膠着させたもの(パルプ)である。紙成分におけるパルプ組成は、限定されないが、好ましくは広葉樹パルプに対して針葉樹パルプの比率がより多いパルプ組成である。また、パルプには、古紙パルプを用いても良い。
本実施形態では、紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層は、例えば、紙層10Aの片面に樹脂層10Bが設けられた2層構造(図9)、または紙層10Aの両面に樹脂層10B、10Cが積層された3層構造(図10)である。
包装袋10を構成する紙層10Aの材質は、特に限定されないが、例えば、クラフト紙またはレーヨン紙で形成することができる。ここで、クラフト紙は、クラフトパルプを原料とする紙である。また、レーヨン紙は、木材パルプなどから化学合成して作られたレーヨン繊維をクラフトパルプに配合させたものである。なお、レーヨン紙は、包装袋10の柔らかさと強度を両立させる観点から、レーヨン繊維の配合率が質量比で20%以下のものが好ましい。
包装袋10を構成する紙層10Aの坪量は、限定されないが、好ましくは10g/m以上40g/m以下であり、より好ましくは15g/m以上35g/m以下、さらに好ましくは20g/m以上30g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
包装袋10(紙層10A)の厚みは、限定されないが、例えば、好ましくは20μm以上100μm以下であり、より好ましくは25μm以上90μm以下、さらに好ましくは40μm以上75μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
包装袋10を構成する樹脂層10B、10Cに含まれる熱可塑性樹脂の材質は、特に限定されないが、好ましくは低密度ポリエチレンである。なお、低密度ポリエチレンとしては高圧法低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(L-LDPE)のいずれでもよい。
包装袋10を構成する樹脂層10B、10Cの厚みは、限定されないが、好ましくは5μm以上40μm以下であり、より好ましくは7μm以上35μm以下であり、さらに好ましくは9μm以上30μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
包装袋10の坪量は、限定されないが、好ましくは20g/m以上70g/m以下であり、より好ましくは25g/m以上65g/m以下、さらに好ましくは30g/m以上60g/m以下である。なお、坪量は、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定される。
包装袋10の厚みは、限定されないが、例えば、25μm以上105μm以下であり、好ましくは30μm以上95μm以下、より好ましくは45μm以上80μm以下である。なお、厚みは、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
包装袋10の密度は、限定されないが、例えば、0.1g/m以上1.5g/m以下0.3g/m以上1.2g/m以下、より好ましくは0.5g/m以上0.9g/m以下である。なお、密度は、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定される。
包装袋10の引張強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)に1kN/m以上6kN/m以下、好ましくは1.3kN/m以上5.5kN/m以下より好ましくは1.5kN/m以上5kN/m以下であり、横方向(流れ方向と直交する方向)に0.1kN/m以上2.5kN/m以下、好ましくは0.2kN/m以上2.4kN/m以下より好ましくは0.3kN/m以上2.3kN/m以下である。なお、引張強度は、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。
なお、引張強度は、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して測定される。また、包装袋の縦方向は、包装袋を構成する繊維の流れ方向に対応し、包装袋の横方向は、包装袋を構成する繊維の流れ方向と直交する方向に対応する。
包装袋10の引裂強度は、限定されないが、例えば、繊維の縦方向(流れ方向)に70mN以上350mN以下、好ましくは80mN以上340mN以下より好ましくは90mN以上330mN以下であり、横方向(流れ方向と直交する方向)に250mN以上950mN以下、好ましくは280mN以上930mN以下より好ましくは300mN以上920mN以下である。なお、引裂強度は、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して測定される。
包装袋10のクラーク剛度は、特に限定されないが、縦方向のクラーク剛度が好ましくは3cm/100以上20cm/100以下であり、より好ましくは4cm/100以上18cm/100以下、さらに好ましくは5cm/100以上16cm/100以下である。なお、クラーク剛度は、JIS P 8143の規定に準拠して測定される。
包装袋10は、上面11、下面12、側面13、側面14、妻面15、妻面16を有する。包装袋10では、上面11と下面12が上下方向(Z方向)に対向し、側面13と側面14が幅方向(Y方向)に対向し、妻面15と妻面16が長手方向(X方向)に対向する。
なお、上面11と下面12は、妻面15側でシール部40を介して接続され、妻面16側でシール部50を介して接続されている。すなわち、包装袋10の上面11は、包装袋10の一対のシール部40、50間に広がる領域である(図1、図3~図8)。
また、包装袋10の寸法は、任意であり、例えば、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL1を150~260mm程度、包装袋10の長手方向(X方向)に直交する幅方向(Y方向)の幅W1を70~150mm程度、高さ方向(Z方向)の高さH1を20~100mm程度とすることができる。なお、この包装袋10の寸法は、包装袋10にシート積層体20が収容された状態での寸法を示す。
包装袋10の上面11には、包装袋10の長手方向(X方向)に延びる取出口30が形成されている。具体的には、取出口30は、開裂用切目線30が形成されている。ここで、開裂用切目線30は、カットCとタイT(2つのカットC、C間のカットされていない部分)が交互に配置され、タイTが破断すると両隣のカットCが連続したカットになる切目線を示す(図1、図3、図11)。
図11は、図3の領域R2の部分拡大図である。開裂用切目線30は、カットCとタイTが交互に配置された直線状のミシン目Mで構成されている(図1、図3、図11)。開裂用切目線30は、包装袋10の上面11に形成されている。包装袋10では、このミシン目Mを開裂することで包装袋10の上面11に、シートSが引き出される開口OPとして形成される(図3、図15)。
開裂用切目線30の長さL3は、特に限定されず、例えば、本実施形態では、包装袋10の上面11の内側に納まる長さに調整されている(図3)。なお、開裂用切目線30は、本実施形態のシート包装体における開裂用切目線の一例である。
開裂用切目線30の形態は、特に限定されないが、紙層10Aの片面に樹脂層10Bが設けられた構成(2層構造)の場合、開裂用切目線30のカットCが紙層10Aと樹脂層10Bを貫通していることが好ましくは(図9、図12)。ここで、紙層10Aと樹脂層10Bを貫通するとは、開裂用切目線30のカットCが、積層された紙層10Aと樹脂層10Bを厚み方向に突き抜けることを示す(図12)。
また、紙層10Aの両面に樹脂層10B、10Cが積層された構造(3層構造)の場合、好ましくは開裂用切目線30のカットCが紙層10Aと樹脂層10B、10Cを貫通していることが好ましい(図10、図13)。ここで、紙層10Aと樹脂層10B、10Cを貫通するとは、開裂用切目線30のカットCが、積層された紙層10Aと樹脂層10B、10Cを厚み方向に突き抜けることを示す(図13)。
開裂用切目線30におけるカットCの長さD1は、特に限定されないが、好ましくは3mm以上8mm以下であり、より好ましくは2mm以上7.5mm以下であり、さらに好ましくは2.5mm以上7mm以下である。ここで、カットの長さは、開裂用切目線30の各カットCの長さを示す。
また、開裂用切目線30におけるタイTの長さは、特に限定されないが、好ましくは0.3mm以上2.5mm以下であり、より好ましくは0.5mm以上1.5mm以下であり、さらに好ましくは0.8mm以上1.2mm以下である。ここで、タイの長さは、開裂用切目線の各タイTの長さを示す。
本実施形態では、開裂用切目線30におけるカットCの比率は、特に限定されないが、好ましくは60%以上95%以下、より好ましくは65%以上90%以下、より好ましくは70%以上85%以下である。カットの比率は、開裂用切目線30中の隣り合うカットCとタイTの各長さD1、D2の合計に対するカットCの長さD1の割合を示す。
本実施形態のシート包装体100では、開裂用切目線30の長さL3が、シートSのプライ数によって調整される。具体的には、シートSのプライ数が1プライのとき、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL1に対して、開裂用切目線30の長さL3が80%以上100%以下であり、好ましくは82%以上100%以下、より好ましくは85%以上100%以下である。
また、シートSのプライ数が2プライ以上のとき、包装袋10の長手方向(X方向)の長さL1に対して、開裂用切目線30の長さL3が70%以上90%以下であり、好ましくは72%以上88%以下、より好ましくは75%以上85%以下である。
ここで、包装袋10の長手方向(X方向)の長さは、上面11の長手方向(X方向)における一対のシール部40、50間の距離L1に対応する。また、開裂用切目線30の長さL3は、取出口30の長さL3に対応する。
開裂用切目線30の作製方法は、任意であり、例えば、図14に示す器具90を用いて作製することができる。具体的には、器具90の針部91と台部92の間に包装袋10(包装袋用シート)を配置し、針部91の先端91Aを台部92の受溝92Aに向けて刺すことで、開裂用切目線30を形成することができる。
なお、シート包装体100では、包装袋10に通気孔(図示せず)を形成してもよい。通気孔は、包装袋10の空気穴として機能することができる。通気孔の作製方法は、任意であり、例えば、上述の開裂用切目線30の作製方法と同様の方法を用いることができる。
通気孔の位置は、限定されず、例えば、包装袋10の側面13、14に通気孔を設けることができる。通気孔の数は、限定されず、複数の通気孔を設けることができる。通気孔の形状は、限定されず、例えば、平面視で円形にし得る。通気孔の寸法は、限定されず、例えば、約2mmの径寸法にし得る。
本実施形態のシート包装体100では、包装袋10が長手方向(X方向)の両端に一対のシール部40、50を有するピロー包装袋で構成されている。具体的には、包装袋10の妻面15、16にシール部(エンドシール)40、50が形成され、包装袋10の下面12にシール部(ボトムシール)60が形成されて、シートS(シート積層体20)がピロー包装されている。
ここで、ピロー包装袋は、包装袋用シート(図示せず)が筒状に加工され、該筒状の包装袋用シートの開口端部がシール(封止)されたものである。なお、本実施形態において、ピロー包装袋10を構成する筒状の包装袋用シートは、ガセット状に折り込まれていてもよい。
シール部40、50、60の態様は、特に限定されない。例えば、包装袋10が紙層10Aのみで構成されている場合は、シール部40、50、60を接着剤(図示せず)で接着することができる(図9)。
なお、包装袋10は、シール部40、50、60が熱溶着されている。ここで、熱溶着は、包装袋用シートの一部を加熱して包装袋用シートの一部同士を溶着することを示す。
具体的には、図9に示す2層構造の包装袋(ピロー包装袋)10では、例えば、樹脂層10Bが包装袋10の内側又は外側に配置された状態で、シール部40、50、60が熱溶着されている。また、図10に示す3層構造の包装袋(ピロー包装袋)10では、樹脂層10Bまたは樹脂層10Cのいずれかが包装袋10の内側に配置された状態で、シール部40、50、60が熱溶着されている。
熱溶着における加熱温度は、任意である。例えば、図9に示す2層構造で樹脂層10Bが包装袋10の外側に配置されている場合は、シール部40、50を接着剤でシールし、接着剤が溶着する温度に調整すればよい。また、図9に示す2層構造で樹脂層10Bが包装袋10の内側に配置されている場合、図10に示す3層構造で樹脂層10B、10Cのいずれかが包装袋10の内側に配置されている場合、好ましくは140℃以上180℃以下、より好ましくは140℃以上170℃以下、さらに好ましくは140℃以上160℃以下に調整する。
本実施形態では、上述のように、紙成分を含む紙層10Aと、該紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層(樹脂層10B、または樹脂層10B、10C)を有し、紙成分の比率が50%以上であるピロー包装袋10を用いることで、シートSが収容されるピロー包装袋10に柔軟性が付与されたシート包装体100を提供することができる(図16)。
また、本実施形態では、このようなピロー包装袋10の上面11に、該ピロー包装袋10の長手方向(X方向)に延びる取出口30を形成し、ピロー包装袋10の上面11の長手方向(X方向)における一対のシール部40、50間の距離L1に対する該取出口30の長さL3の割合を、ピロー包装袋10に収容されるシートSのプライ数が1プライのときは80%以上100%以下にし、シートSのプライ数が2プライ以上のときは70%以上90%以下にすることで、取出口30からシートSが取り出しやすくなり、またシートSのピロー包装袋10内への落ち込みを抑制することができる。
また、本実施形態では、ピロー包装袋10が紙成分を含む紙層10Aと該紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層10B、または樹脂層10B、10Cを有することで、ピロー包装袋10を柔らかくすることができる。これにより、包装袋10のごわごわ感を抑制し、ピロー包装袋10に追従性を付与することができる。そのため、シート包装体100において包装袋10の材質を樹脂製からシフトした場合でも、製造時や輸送時に包装袋が破れにくいシート包装体100を提供することができる。
また、本実施形態では、紙層10Aの少なくともいずれか一方の面に設けられた樹脂層10B、または樹脂層10B、10Cが熱可塑性樹脂を含むことから、ピロー包装袋10をシール(または封止)する際にピロー包装袋10の一部を加熱することで、溶けた樹脂層が接着剤として機能し得る(接着機能を有する)。そのため、本実施形態では、ピロー包装袋10のシールが容易なシート包装体100を提供することができる。
さらに、本実施形態では、ピロー包装袋10における紙成分の比率が50%以上であるため、環境負荷が抑制されたシート包装体100を提供することができる。
本実施形態では、上述のように、紙層10Aの坪量を10g/m以上40g/m以下にすることで、ピロー包装袋の強度を維持することができる。そのため、本実施形態によれば、ピロー包装袋が破れにくいシート包装体を提供することができる。
本実施形態では、上述のように、紙層10Aをクラフト紙またはレーヨン紙で形成することで、包装袋10のごわごわ感を抑制しながらピロー包装袋10の強度が維持されたシート包装体100を提供することができる。
本実施形態では、上述のように、ピロー包装袋10の樹脂層10B、または樹脂層10B、10Cの厚みを5μm以上40μm以下にすることで、包装袋10における紙成分の比率を50%以上に維持しやすくなる。また、シート包装体100における包装袋10のごわごわ感を抑制しながら、ピロー包装袋10のシール時における樹脂層の接着機能が維持されたシート包装体を提供することができる。
本実施形態では、上述のように、ピロー包装袋10の樹脂層10B、または樹脂層10B、10Cに含まれる熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレンを用いることにより、ピロー包装袋10のごわごわ感をさらに抑制しながら、ピロー包装袋10のシール時における樹脂層の接着機能を向上させたシート包装体を提供することができる。
本実施形態では、上述のように、ピロー包装袋10の縦方向のクラーク剛度を3cm/100以上20cm/100以下にすることで、ピロー包装袋10の柔軟性および追従性が向上する。これにより、本実施形態では、取出口30からシートSがさらに取り出しやすくなり、またシートSのピロー包装袋10内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本実施形態では、上述のように、ピロー包装袋10に収容されるシートSのプライ数が1プライであるため、ピロー包装袋10の上面11の長手方向(X方向)における一対のシール部40、50間の距離L1に対して80%以上100%以下となる取出口30の長さL3が適用される。
その上で、本実施形態では、ピロー包装袋10に収容される1プライのシートSの坪量を5g/m以上80g/m以下にすることで、シート包装体100に1プライのシートSを収容する場合に、取出口30からシートSがさらに取り出しやすくなり、またシートSのピロー包装袋10内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本実施形態では、上述のように、ピロー包装袋10に1プライのシートSを収容する場合に、縦方向のソフトネスが50mN/100mm以上350mN/100mm以下で、横方向のソフトネスが20mN/100mm以上320mN/100mm以下のシートSが用いられる。これにより、シート包装体100において取出口30から1プライのシートSがさらに取り出しやすくなり、また1プライのシートSのピロー包装袋10内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本実施形態では、上述のように、ピロー包装袋10に収容されるシートSのプライ数が2プライであるため、ピロー包装袋10の上面11の長手方向(X方向)における一対のシール部40、50間の距離L1に対して70%以上90%以下となる取出口30の長さL3が適用される。
その上で、本実施形態では、ピロー包装袋10に収容される2プライのシートSの坪量を1プライあたり1g/m以上50g/m以下にすることで、シート包装体100に2プライのシートSを収容する場合に取出口30からシートSがさらに取り出しやすくなり、またシートSのピロー包装袋10内への落ち込みをさらに抑制することができる。
本実施形態では、上述のように、ピロー包装袋10に2プライのシートSを収容する場合に、縦方向のソフトネスが15mN/100mm以上45mN/100mm以下で、横方向のソフトネスが10mN/100mm以上40mN/100mm以下のシートSが用いられる。これにより、シート包装体100において取出口30から2プライのシートSがさらに取り出しやすくなり、また2プライのシートSのピロー包装袋10内への落ち込みをさらに抑制することができる。
以下、本発明について、さらに実施例を用いて具体的に説明する。実施例、比較例の評価は、以下の試験により行った。
[試験体]
試験体として、複数枚のシートS(シート積層体20)が包装袋10にピロー包装されたシート包装体100を用意した(図1~図8)。シート積層体20は、シートSが折りたたまれた状態で積層されたペーパータオルとして、シングル(1プライ)のペーパータオル(商品名「エルヴェールペーパータオル エコドライ(中判)」、大王製紙株式会社製、200枚、高さH1:67mm、長さL1:210mm、幅(奥行)W1:115mm、坪量:30g/m、ソフトネス縦206mN/100mm、ソフトネス横177mN/100mm)、及びダブル(2プライ)のペーパータオル(商品名「エリエールペーパータオル スマートタイプダブル(中判)」、大王製紙株式会社製、200組、高さH1:60mm、長さL1:210mm、幅(奥行)W1:115mm、坪量16g/m×2、ソフトネス縦31mN/100mm、ソフトネス横25mN/100mm)をそれぞれ用いた。ピロー包装袋10の上面11にミシン目M(開裂用切目線30)を形成した。
[坪量]
シート包装体100(試験体)における包装袋10の坪量を、JIS P 8124(2011)の規定に準拠して測定した。坪量の単位は、g/mである。
[厚み]
試験体における包装袋10の厚みを、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定した。厚みの単位は、μmである。
[密度]
試験体における包装袋10の密度を、JIS P 8118(2014)の規定に準拠して測定した。密度の単位は、g/mである。
[引張強度]
試験体における包装袋10について、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して、テンシロン万能試験機(A&D社製、RTG-1210)を使用し、縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の引張強度(mN)を測定した。
[伸び]
試験体における包装袋10について、JIS P 8113(2006)の規定に準拠して、テンシロン万能試験機(A&D社製、RTG-1210)を使用し、縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の伸び(%)を測定した。
[引裂強度]
試験体における包装袋10について、JIS P 8116(2000)の規定に準拠して、引裂強度試験機(熊谷理機工業社製、エルメンドルフ引裂度試験機(デジタル表示式))を使用し、繊維の縦方向(流れ方向)と横方向(流れ方向と直交する方向)の引裂強度を測定した。
[ベック平滑度]
試験体における包装袋10のベック平滑度を、JIS P 8119(1998)の規定に準拠して測定した。ベック平滑度の単位は、秒である。
[包装袋のソフトネス]
試験体の包装袋10について、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に従い、ハンドルオメータ(熊谷理機工業社製、手触り測定器)を用いて、ソフトネスを測定した。試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは20mmとした。包装袋のソフトネスは、表・縦方向(流れ方向)、表・横方向(流れ方向と直交する方向)の各々5回測定し、その5回の平均値を、mN/100mmを単位として表した。
[シートのソフトネス]
試験体におけるシートS(1プライ及び2プライ)について、JIS L 1096 E法に準じたハンドルオメータ法に従い、ハンドルオメータ(熊谷理機工業社製、手触り測定器)を用いて、ソフトネスを測定した。試験片は100mm×100mmの大きさとし、クリアランスは20mmとした。シートのソフトネスは、1プライについては、表・縦方向(流れ方向)、表・横方向(流れ方向と直交する方向)の各々5回ずつ測定し、2プライについては、縦方向(流れ方向)、横方向(流れ方向と直交する方向)の各々5回測定し、その5回の平均値を、mN/100mmを単位として表した。
[クラーク剛度]
試験体の包装袋10のクラーク剛度を、JIS P 8143(2009)の規定に準拠して測定した。クラーク剛度の単位は、cm/100である。
[初期取出性]
シート包装体100のピロー包装袋10に収容されたシート積層体20から、ピロー包装袋10の開封された取出口30(開口OP)を通じてシート積層体20の最初の1枚(1組)から10組までのシートSを取り出すときの取出しやすさ(初期取出性)を評価した。初期取出性の評価は、以下の基準で行い、3以上を良好、2以下を不良とした。
<シングル、ダブル共通>
5:とても取り出しやすい
4:取り出しやすい
3:取り出せる
2:取り出せるが取り出しにくい
1:取り出せない
[ポップアップ性]
シート包装体100のピロー包装袋10に収容されたシート積層体20から、ピロー包装袋10の開封された取出口30(開口OP)を通じてシート積層体20の最初の1枚(1組)から最後の1枚(1組)までのシートSを引き出したときに、シートSが取出口30に保持されているが、取出口からシートの一部が出てこなかった回数を測定した。ポップアップ性の評価は、以下の基準で行い、3以上を良好、2以下を不良とした。
<シングル>
5:0~25回
4:26~50回
3:51~75回
2:76~100回
1:101回以上
<ダブル>
5:0~10回
4:11~20回
3:21~30回
2:31~40回
1:41回以上
[非落込性]
シート包装体100のピロー包装袋10に収容されたシート積層体20から、ピロー包装袋10の開封された取出口30(開口OP)を通じてシート積層体20の最初の1枚(1組)から最後の1枚(1組)まで取り出したときに、シートSが取出口30に保持されずピロー包装袋10の中に落ち込んだ回数を測定した。なお、非落込性の評価は、以下の基準で行い、3以上を良好、2以下を不良とした。
<シングル>
5:0~10回
4:11~20回
3:21~30回
2:31~40回
1:41回以上
<ダブル>
5:0~5回
4:6~15回
3:16~25回
2:26~35回
1:36回以上
[起立性]
シート包装体100のピロー包装袋10に収容されたシート積層体20から、ピロー包装袋10の開封された取出口30(開口OP)を通じてシート積層体20の最初の1組から最後の1組まで引き出したときに、シートSが取出口30に保持された状態で立ち上がり続けた回数を測定した。起立性の評価は、ダブルのみを対象として、以下の基準で行い、3以上を良好、2以下を不良とした。
<ダブル>
5:80組以上まで
4:60組まで
3:40組まで
2:20組まで
1:0回
以下、実施例及び比較例に用いる素材について、説明する。
[素材1]
紙層10Aに坪量20g/mのレーヨン紙を用い、樹脂層10Bに厚み11μmの低密度ポリエチレンを用いた素材1を構成した。素材1の性状(坪量、厚み、密度、引張強度、伸び、引裂強度、ベック平滑度、ソフトネス、クラーク剛度)を、表1に示す。
[素材2]
紙層10Aに坪量30g/mのレーヨン紙を用いた以外は、素材1と同様に素材2を構成した。素材2の性状を、表1に示す。
[素材3]
紙層10Aに坪量30g/mのクラフト紙を用いた以外は、素材1と同様に素材3を構成した。素材3の性状を、表1に示す。
[素材4]
樹脂層10Bに厚み15μmの低密度ポリエチレンを用いた以外は、素材3と同様に素材4を構成した。素材4の性状を、表1に示す。
[素材5]
紙層を構成せず、樹脂層に厚み22μmの低密度ポリエチレンを用いた以外は、素材1と同様に素材5を構成した。素材5の性状を、表1に示す。
以下、実施例及び比較例について、説明する。
[実施例1]
包装袋10に素材2を用い、樹脂層10Bを包装袋10の内側に配置し、シートS(シート積層体20)としてシングルを用い、包装袋10のミシン目比率(包装袋10の長手方向(X方向)の長さL1に対する開裂用切目線30の長さL3の割合)を85%とした。結果を表2に示す。
[実施例2]
ミシン目比率を100%とした以外は、実施例1と同様に作製、評価した。結果を表2に示す。
[実施例3]
樹脂層10Bを包装袋10の外側に配置した以外は、実施例2と同様に作製、評価した。結果を表2に示す。
[実施例4]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
[実施例5]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、実施例2と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
[実施例6]
素材2の代わりに素材4を用いた以外は、実施例2と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
[実施例7]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、実施例3と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
[実施例8]
素材2の代わりに素材1を用いた以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
[実施例9]
素材2の代わりに素材1を用いた以外は、実施例2と同様に測定、評価した。結果を表2に示す。
[比較例1]
ミシン目比率を75%にした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
[比較例2]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、比較例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
[比較例3]
素材2の代わりに素材1を用い、ミシン目比率を65%にした以外は、比較例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
[比較例4]
素材2の代わりに素材1を用いた以外は、比較例1と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
[比較例5]
素材2の代わりに素材5を用いた以外は、実施例2と同様に測定、評価した。結果を表3に示す。
[実施例10]
シートS(シート積層体20)としてダブルを用い、ミシン目比率を75%にした以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[実施例11]
シートS(シート積層体20)としてダブルを用いた以外は、実施例1と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[実施例12]
樹脂層10Bを包装袋10の外側に配置した以外は、実施例11と同様に作製、評価した。結果を表4に示す。
[実施例13]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、実施例10と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[実施例14]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、実施例11と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[実施例15]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、実施例12と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[実施例16]
素材2の代わりに素材4を用いた以外は、実施例10と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[実施例17]
素材2の代わりに素材1を用いた以外は、実施例10と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[実施例18]
素材2の代わりに素材1を用いた以外は、実施例11と同様に測定、評価した。結果を表4に示す。
[比較例6]
ミシン目比率を65%にした以外は、実施例10と同様に測定、評価した。結果を表5に示す。
[比較例7]
ミシン目比率を100%にした以外は、比較例6と同様に測定、評価した。結果を表5に示す。
[比較例8]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、比較例6と同様に測定、評価した。結果を表5に示す。
[比較例9]
素材2の代わりに素材3を用いた以外は、比較例7と同様に測定、評価した。結果を表5に示す。
[比較例10]
素材2の代わりに素材1を用いた以外は、比較例7と同様に測定、評価した。結果を表5に示す。
[比較例11]
素材2の代わりに素材5を用いた以外は、比較例7と同様に測定、評価した。結果を表5に示す。
Figure 2022115638000002
Figure 2022115638000003
Figure 2022115638000004
Figure 2022115638000005
Figure 2022115638000006
表1、表2より、素材1~4を用いたピロー包装袋に、シングルのシート(シート積層体)を収容し、ピロー包装袋のミシン目比率を85%~100%にした試験体(シート包装体)は、初期取出性、ポップアップ性、非落込性のいずれも良好であった(実施例1~9)。
これに対して、表1、表3より、素材1~3を用いたピロー包装袋にシングルのシート(シート積層体)を収容し、包装袋のミシン目比率を75%以下にしたシート包装体(比較例1~4)は、初期取出性、ポップアップ性、非落込性の少なくともいずれかが不良であった。なお、素材5を用いたピロー包装袋にシングルのシート(シート積層体)を収容し、包装袋のミシン目比率を100%にしたシート包装体(比較例5)は、ピロー包装袋の材質が樹脂のみで形成されたものである。
また、表1、表4より、素材1~4を用いたピロー包装袋に、ダブルのシート(シート積層体)を収容し、ピロー包装袋のミシン目比率を75%~85%にしたシート包装体(実施例10~18)は、初期取出性、ポップアップ性、非落込性のいずれも良好であった。
これに対して、表1、表5より、素材1~3を用いたピロー包装袋にダブルのシート(シート積層体)を収容し、包装袋のミシン目比率を65%または100%にしたシート包装体(比較例6~10)は、初期取出性、ポップアップ性、非落込性、起立性の少なくともいずれかが不良であった。なお、素材5を用いたピロー包装袋にダブルのシート(シート積層体)を収容し、包装袋のミシン目比率を100%にしたシート包装体(比較例11)は、ピロー包装袋の材質が樹脂のみで形成されたものである。
これらの結果から、紙成分を含む紙層と該紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層とを有し、紙成分の比率が50%以上のピロー包装袋の上面に該ピロー包装袋の長手方向に延びる取出口を形成され、該上面の長手方向における一対のシール部間の距離に対する該取出口の長さが、収容されたシートのプライ数が1プライのときは80%以上100%以下であり、該シートのプライ数が2プライ以上のときは70%以上90%以下であるシート包装体は、包装袋が紙製のシート包装体としてシートの取り出しに優れることが判った。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
100 シート包装体
10 包装袋
10A 紙層
10B、10C 樹脂層
11 上面
12 下面
13、14 側面
15、16 妻面
20 シート積層体
S シート
30 開裂用切目線(取出口)
M ミシン目
C カット
T タイ
D1、D2 長さ
OP 開口(取出口)
40、50 シール部(エンドシール)
60 シール部(ボトムシール)
90 器具
91 針部
91A 先端
92 台部
92A 受溝
L1、L2、L3 長さ
W1、W2 幅
H1、H2 高さ
R1、R2 領域

Claims (10)

  1. 積層された複数枚のシートが収容され、長手方向の両端に一対のシール部を有するピロー包装袋と、
    前記ピロー包装袋の上面に形成され、前記ピロー包装袋の長手方向に延びる取出口と、を有し、
    前記ピロー包装袋は、
    紙成分を含む紙層と、
    前記紙層の少なくともいずれか一方の面に設けられた熱可塑性樹脂を含む樹脂層と、を有し、
    前記紙成分の比率が50%以上であり、
    前記シートのプライ数が1プライのとき、前記上面の前記長手方向における前記一対のシール部間の距離に対して、前記取出口の長さが80%以上100%以下であり、
    前記シートのプライ数が2プライ以上のとき、前記上面の前記長手方向における前記一対のシール部間の距離に対して、前記取出口の長さが70%以上90%以下である、
    シート包装体。
  2. 前記紙層の坪量が10g/m以上40g/m以下である、
    請求項1に記載のシート包装体。
  3. 前記紙層がクラフト紙またはレーヨン紙で形成されている、
    請求項1または2に記載のシート包装体。
  4. 前記樹脂層の厚みが5μm以上40μm以下である、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載のシート包装体。
  5. 前記熱可塑性樹脂が低密度ポリエチレンである、
    請求項1乃至4のいずれか一項に記載のシート包装体。
  6. 前記ピロー包装袋の縦方向のクラーク剛度が3cm/100以上20cm/100以下である、
    請求項1乃至5のいずれか一項に記載のシート包装体。
  7. 前記シートのプライ数が1プライであり、
    前記シートの坪量が5g/m以上80g/m以下である、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート包装体。
  8. 前記シートが、
    縦方向のソフトネスが50mN/100mm以上350mN/100mm以下であり、
    横方向のソフトネスが20mN/100mm以上320mN/100mm以下である、
    請求項7に記載のシート包装体。
  9. 前記シートのプライ数が2プライであり、
    前記シートの坪量が1プライあたり1g/m以上50g/m以下である、
    請求項1乃至6のいずれか一項に記載のシート包装体。
  10. 前記シートが、
    縦方向のソフトネスが15mN/100mm以上45mN/100mm以下であり、
    横方向のソフトネスが10mN/100mm以上40mN/100mm以下である、
    請求項9に記載のシート包装体。
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