JP2022113448A - 抗菌性樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

抗菌性樹脂組成物及び成形体 Download PDF

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Hiroyuki Yashima
俊逸 藤井
Shunitsu Fujii
裕彦 安井
Hirohiko Yasui
旭 塚▲崎▼
Akira Tsukazaki
淳 高橋
Atsushi Takahashi
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Shimizu Construction Co Ltd
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Abstract

【課題】抗菌性及び機械的強度に優れた樹脂組成物、及び成形体を提供する。【解決手段】本発明の抗菌性樹脂組成物は、樹脂(A)100質量部に対し、リグノフェノール(B)を0.5~60質量部含むことを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、機械的物性に優れた抗菌性樹脂組成物及び成形体に関する。
例えば、ゴム含有スチレン系樹脂等のプラスチックは、成形加工性や機械的強度が高く、自動車部材、電気・電子部品、スポーツ用品、容器類、建材等様々な分野で使用されている。衛生面を考慮して抗菌性を付与するためには、抗菌剤を添加する必要があり(例えば、特許文献1および2参照)、コストアップや機械的物性の低下の原因となっていた。
特開2018-83886号公報 特開平7-233279号公報
本発明は、機械的強度に優れた抗菌性樹脂組成物、及び成形体を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討した結果、ゴム含有スチレン系樹脂等のプラスチックとリグノフェノールからなる樹脂組成物及びその成形体が、高い機械的強度を維持しながら抗菌性に優れることを発明した。
すなわち本発明は、樹脂(A)100質量部に対し、リグノフェノール(B)を0.5~60質量部含む抗菌性樹脂組成物及びその成形体に関する。本発明の抗菌性樹脂組成物は、上記発明において、樹脂(A)が、ゴム含有スチレン系樹脂(a1)またはポリオレフィン(a2)であることが好ましい。また、本発明の抗菌性樹脂組成物は、上記発明において、樹脂(A)は、ゴム含有スチレン系樹脂(a1)またはポリオレフィン(a2)の他にポリカーボネート(a3)、ポリアミド(a4)またはポリエステル(a5)を含むことが好ましい。更に、本発明の抗菌性樹脂組成物は、上記発明において、樹脂(A)とリグノフェノール(B)の合計量100質量部に対し、非ハロゲン系難燃剤(C)を1~40質量部含むことが好ましい。
本発明の抗菌性樹脂組成物、及び成形体は、抗菌性及び機械的強度に優れるという効果を有する。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、樹脂(A)100質量部に対し、リグノフェノール(B)を0.5~60質量部含むことを特徴とする。さらに樹脂(A)とリグノフェノール(B)の合計量100質量部に対し、非ハロゲン系難燃剤(C)1~40質量部を含むことが難燃性の観点で好適な態様である。
本発明の樹脂(A)は、特に限定されるものではなく、ポリフェニレンエーテル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル-スチレン共重合体、アクリロニトリル-スチレン-ブタジエン共重合体、メタクリル酸メチル-スチレン-ブタジエン共重合体、スチレン-ブタジエン共重合体、ポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、テトラフルオロエチレンポリマー、アルキッド樹脂、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレア樹脂、不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化樹脂等の公知のものを用いることができる。樹脂(A)は、ゴム含有スチレン系樹脂(a1)、またはポリオレフィン(a2)であることが好ましい。
本発明のゴム含有スチレン系樹脂(a1)は、共役ジエン系ゴム成分、不飽和ニトリル成分および芳香族ビニル成分を含む。本発明でいう共役ジエン系ゴムとは、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等の共役ジエン単量体の単独重合体または共重合体、不飽和ニトリル成分とはアクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル単量体の重合体、芳香族ビニル成分とはスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、t-ブチルスチレン、ブロモスチレン等のスチレン系単量体の重合体であることを示す。
また本発明のゴム含有スチレン系樹脂(a1)は、特に限定されるものではなく公知の樹脂を用いることができる。例えば、グラフト共重合体とマトリックス樹脂からなり、グラフト共重合体は共役ジエン系ゴムに、不飽和ニトリル単量体と芳香族ビニル単量体を含む2種以上の単量体の共重合体からなるグラフト枝がグラフト共重合した共重合体を使用することができる。マトリックッス樹脂は、グラフト共重合体のグラフト枝とは異なる組成を有する不飽和ニトリル単量体と芳香族ビニル単量体を含む2種以上の単量体の共重合体が挙げられる。
工業的に使用されるゴム含有スチレン系樹脂(a1)の製法は特に制限が無い。例えば、上述したグラフト共重合体とマトリックス樹脂からなるゴム含有スチレン系樹脂(a1)において、剛性、耐熱性、耐衝撃性、成形加工性等の性質を改良する目的で、共役ジエン系ゴム、グラフト枝またはマトリックス樹脂の製造時に、これらの重合体を構成する単量体として示した前記の単量体に、当該単量体以外の単量体を加えて共重合することが一般に行われており、必要に応じて、本発明でもこれらの技術を任意に適用しうる。ゴム含有スチレン系樹脂(a1)に加えうる単量体としては、たとえば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸エステル系単量体、マレイミド、N-ブチルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド等のマレイミド系単量体、(メタ)アクリルアミド、無水マレイン酸等がある。
本発明のゴム含有スチレン系樹脂(a1)中の共役ジエン系ゴム成分は2~40質量%、不飽和ニトリル成分は20~50質量%および芳香族ビニル成分は10~78質量%を含むものが好ましい。
本発明のゴム含有スチレン系樹脂(a1)は、アクリロニトリル、ブタジエン、スチレンを共重合体成分に含むもの、すなわちABS樹脂であることが好ましい。
本発明のポリオレフィン樹脂(a2)としては、例えば、エチレンの単独重合体、プロピレンの単独重合体、ブテンの単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、プロピレン-エチレン-非共役ジエン共重合体、エチレン-ヘキセン共重合体、エチレン-オクテン共重合体等が挙げられる。
本発明のポリオレフィン(a2)としては、ポリプロピレンやポリエチレンが好ましい。
本発明のポリオレフィン(a2)としては、ポリオレフィン系の主鎖と親水性の官能基を含む側鎖の2つのセグメントで構成される成分を含む変性ポリオレフィンであることがより好ましい。主鎖を構成するセグメントとしては例えば、ポリプロピレンやポリエチレンを挙げることができる。側鎖に含まれる親水性の官能基としては、例えば、フェノールやアルコール等由来の水酸基、無水マレイン酸、カルボン酸、ジカルボン酸、メタクリル酸、アクリル酸等由来のカルボキシル基、スルホン酸等由来のスルホ基、メタクリル酸グリシジル、アクリル酸グリシジル等由来のグリシジル基、オキサゾリル基、マレイミド基、カルボニル基、アミド基、エステル基、エーテル基、ニトリル基等が挙げられる。側鎖には上記に挙げた親水性の官能基の他にメタクリル酸メチル、メタクリル酸ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、エチレン、プロピレン、酢酸ビニル等を含むものでも構わない。側鎖に含まれる親水性の官能基としては無水マレイン酸やメタクリル酸グリシジル由来のカルボキシル基が好ましい。
親水性の官能基を含む側鎖は、ポリオレフィン(a2)中に1~20質量%含まれることが好ましい。1質量%未満であるとリグノフェノール(B)のポリオレフィン(a2)への分散性が不十分で抗菌性樹脂組成物の機械的強度が十分でない。20質量%を超えると抗菌性樹脂組成物の機械的強度が低下する。
本発明の樹脂(A)は、ゴム含有スチレン系樹脂(a1)またはポリオレフィン(a2)の他に、ポリカーボネート(a3)、ポリアミド(a4)またはポリエステル(a5)を含むことが好ましい。ポリアミド樹脂(a4)としては、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン7、ナイロン8、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン611及びナイロン612等の脂肪族ポリアミド、ポリ(ヘキサメチレンテレフタラミド)、ポリ(ヘキサメチレンイソフタラミド)及びポリ(m-キシリレンアジバミド)等の芳香族環を含むポリアミド、ナイロン6/66、ナイロン6/6T、ナイロン66/6T等のポリアミド系コポリマー、ポリアミド系エラストマー等が挙げられ、これらを単独で、または併用して用いることができる。本発明のポリアミド樹脂(a4)としては、ナイロン6、ナイロン66が物性のバランス等を考慮すると好ましい。
本発明のポリエステル(a5)は、特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の芳香族ポリエステル、ポリカプロラクトン、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンサクシネート、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートアジペート共重合体等の脂肪族ポリエステル等が挙げられる。
本発明のポリエステル(a5)としては、ポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートが好ましく、更には、機械的物性に優れたポリブチレンテレフタレートがより好ましい。
本発明の樹脂(A)が、ゴム含有スチレン系樹脂(a1)またはポリオレフィン(a2)の他に、ポリカーボネート(a3)、ポリアミド(a4)またはポリエステル(a5)を含む場合、ゴム含有スチレン系樹脂(a1)またはポリオレフィン(a2)とポリカーボネート(a3)、ポリアミド(a4)またはポリエステル(a5)の配合比率は、70:30~10:90(質量%)であることが好ましい。より好ましくは、50:50~15:85である。ゴム含有スチレン系樹脂(a1)またはポリオレフィン(a2)の割合が70質量%を超えると難燃性を付与することが困難になる。一方、10質量%未満になると成形加工性が悪くなる。
本発明のリグノフェノール(B)は、特に限定されるものではなく公知の方法で製造することができる。例えば、植物資源である木材資源に酸とフェノール誘導体を添加し、木材資源中のセルロース、ヘミセルロースを加水分解させ、また、木材資源中のリグニンをフェノール誘導体により安定化してリグノフェノールを製造する。木材資源に酸とフェノール誘導体を添加する方法としては、木材資源にフェノール誘導体を添加して含浸させた後、酸を添加し、系の粘度が低下したら、後述する疎水性の溶剤を添加し、さらに撹拌を行う方法が挙げられる。このようにすることで、セルロース及びヘミセルロース由来の糖成分と酸からなる層と、リグノフェノール、フェノール誘導体及び疎水性の溶剤からなる層に分離することが可能となる。
本発明において使用する木材資源は、セルロース、ヘミセルロース及びリグニンなどから構成されるものであり、例えば、木粉、木質チップなどを挙げることができる。また、使用する木材としては、針葉樹、広葉樹など任意の種類のものを使用することができる。
木材資源に添加する酸としては、無機酸、有機酸のいずれも用いることが可能である。酸は、セルロース及びヘミセルロースを加水分解するための触媒としてだけでなく、木材資源を構成するセルロース、ヘミセルロース及びリグニンの結合を解く役割も果たす。無機酸としては、硫酸、リン酸、塩酸などのいずれかを使用することができる。酸の濃度は、60~90質量%が望ましい。酸の濃度が60質量%より低いと、セルロースとリグニンの解緩反応が進行せず、酸の濃度が90質量%より高いとリグニン及び添加剤であるフェノール誘導体のベンゼン骨格がスルホン化されやすくなり、不具合が生じる傾向にある。酸の中では、濃度が60質量%以上90質量%以下の硫酸が好ましい。有機酸としては、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、トリクロロ酢酸、ギ酸などを使用することができる。
木材資源に添加する酸の添加量としては、木材資源100質量部に対して、好ましくは200~3000質量部、より好ましくは1000~2000質量部である。酸の添加量が少ないと、木材原料は膨潤するだけで液状にならず、撹拌が困難になり、新しいタイプの押出混練機が必要となる。また、酸の添加量が多すぎると、酸の回収系への負担が増え、経済性が損なわれる。
リグニンを構成するフェニルプロパン単位のα炭素は化学的に不安定であるが、フェノール誘導体を添加することで、成形体などの種々の用途に活用できるリグノフェノールを得ることができる。ここで、リグノフェノールとは、下記一般式(1)で表す構造単位を含む重合体をいう。
Figure 2022113448000001
一般式(1)中、Rは、メトキシ基であり、Rは炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコシキ基、または炭素数6~8のアリール基であり、Rは水酸基である。mは0~4の整数、nは0~4の整数、pは1~4の整数であり、n+p≦5である。
リグノフェノールは、リグニン中のp-クマリルアルコール、シナピルアルコール、コニフェリルアルコール等のフェニルプロパン単位のα炭素にフェノール誘導体が結合したジフェニルプロパン単位を含む重合体である。例えば、リグニンを構成するフェニルプロパン単位の一種である一般式(2)で表されるコニフェリルアルコールを、フェノール誘導体であるp-クレゾールでマスキングをした場合、一般式(3)で表されるリグノフェノール単量体が形成される。p-クマリルアルコール、シナピルアルコール等についても、同様にフェノール誘導体が結合して、α炭素が安定化したリグノフェノール単量体が得られる。
Figure 2022113448000002
Figure 2022113448000003
フェノール誘導体としては、1価のフェノール誘導体、2価のフェノール誘導体または3価のフェノール誘導体などが挙げられる。1価のフェノール誘導体としては、フェノール、ナフトール、アントロール、アントロキオールなどが挙げられる。これらの1価のフェノール誘導体は、さらに1以上の置換基を有していてもよい。2価のフェノール誘導体としては、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノンなどが挙げられる。これらの2価のフェノール誘導体はさらに1以上の置換基を有していてもよい。3価のフェノール誘導体としては、ピロガロールなどが挙げられる。ピロガロールはさらに1以上の置換基を有していてもよい。これらの1価から3価のフェノール誘導体が有する置換基の種類は特に限定されず、任意の置換基を有していてもよい。電子吸引性の基(ハロゲン原子など)以外の基であり、例えば、低級アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基など)、低級アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など)、アリール基(フェニル基など)などが挙げられる。また、リグニンを構成するフェニルプロパン単位のα炭素との反応性の点から、フェノール誘導体上のフェノール性水酸基の2つあるオルト位のうちの少なくとも片方は無置換であることが好ましい。
フェノール誘導体の好ましい例としては、p-クレゾール、2,6-キシレノール、2,4-キシレノール、2-メトキシフェノール(Guaiacol)、2,6-ジメトキシフェノール、カテコール、レゾルシノール、ホモカテコール、ピロガロール及びフロログルシノールなどが挙げられ、中でもp-クレゾールが好ましい。フェノール誘導体の添加量としては、木材資源100質量部に対して、好ましくは200~3000質量部、より好ましくは500~2000質量部である。フェノール誘導体は、リグニンのα-炭素をマスキングするのに必要な化学量論的な量以上を添加しなければならず、また相分離に必要な抽出剤としての量も加味して添加しなければならない。
木材資源に酸とフェノール誘導体を添加することで、主に酸とセルロース及びヘミセルロース由来の糖液とから構成される水層と、リグノフェノールとフェノール誘導体とから構成される油層に分離させる。より短時間で二層に分離させるために疎水性の溶剤をさらに添加することが好ましい。分離された油層は、濾過機にて固液分離され、固体のリグノフェノールと、液体のp-クレゾールと疎水性溶剤に分離される。固液分離はフィルタープレス等を用いて行うことができ、リグノフェノールはケーク状で得られる。得られたリグノフェノールは、乾燥機にて乾燥される。
本発明で使用するリグノフェノール(B)の数平均分子量は、特に限定されないが、300~8000であることが好ましく、500~6000であることがより好ましく、1800~4000であることがさらに好ましい。リグノフェノールの数平均分子量が8000を超えると、リグノフェノールのアルカリ性水溶液に対する溶解性が低下する傾向にある。また、リグノフェノールの重量平均分子量が300未満であると、得られる熱可塑性樹脂組成物の機械的強度が低下する傾向にある。リグノフェノールの分子量がこの範囲であることで、熱可塑性樹脂組成物の機械的強度及び耐熱性を維持しながら難燃性を向上することができる。なお、本発明における数平均分子量は、測定装置(東ソー株式会社製、HLC-8220GPC)を使用し、リグノフェノールをテトラヒドロフランに溶解させ、濾過し、その濾液をGPCで測定した。
本発明の抗菌性樹脂組成物中に含まれるリグノフェノール(B)は、樹脂(A)100質量部に対し、0.5~60質量部である。0.5質量部未満であれば、抗菌性樹脂組成物の機械的強度が不十分である。また、60質量部を超えると抗菌性樹脂組成物の成形加工性が悪くなる。
リグノフェノール(B)の好ましい添加量は、樹脂(A)100質量部に対し、1~30質量部である。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、非ハロゲン系難燃剤(C)を含むことが好ましい。非ハロゲン系難燃剤(C)としては、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛等の水和金属化合物、ホウ酸亜鉛、ポリホウ酸ナトリウム、ホウ酸等のホウ素化合物、リン系難燃剤、窒素系難燃剤を挙げることができ単独または2種類以上を併用することができる。
非ハロゲン系難燃剤(C)としては、リン系難燃剤及び/または窒素系難燃剤が好ましい。リン系難燃剤は、特に限定されるものではなく公知の技術を用いることができる。例えば、トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、ホスホン酸エステル等のリン酸エステル、ホスホン酸アルミニウム、ホスホン酸カルシウム、ホスホン酸亜鉛等の金属ホスホン酸塩、赤リン、リン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸アンモニウム、ポリリン酸メラミン、メラミンポリ(リン酸アルミニウム)、メラミンポリ(リン酸亜鉛)等の窒素含有リン系化合物等が挙げられる。窒素系難燃剤としては、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化マグネシウム、ヒンダードアミン化合物、メラミン、メラミン樹脂等のメラミン誘導体、メラミンシアヌレート等のメラミン塩等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上を併用することができる。
非ハロゲン系難燃剤(C)の添加量は、樹脂(A)とリグノフェノール(B)の合計量100質量部に対して1~45質量部であることが好ましい。非ハロゲン系難燃剤(C)の添加量が1質量部未満では高度な難燃性が得られない。45質量部を超えると難燃性樹脂組成物の機械的物性が悪くなる。より好ましい添加量は5~30質量部である。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、ガラス繊維を含むことが好ましい。ガラス繊維は、抗菌性樹脂組成物の機械的強度を向上させる目的で、樹脂(A)とリグノフェノール(B)の合計量100質量部に対し、1~40質量部添加することができる。ガラス繊維は特に限定されないが、Eガラス、ECRガラス、Cガラス、Sガラスなどを使用することができ、Eガラスが好適に使用される。ガラス繊維の形状は、ロービング、チョップストランド、ミルドファイバーなどがあげられるが、機械的強度の向上の観点からロービング、ガラスチョップストランドが好適に使用される。また樹脂(A)との界面親和性を向上させるため、シランカップリング剤や水溶性樹脂などの表面処理剤により表面処理されたガラス繊維が好適に使用される。ガラス繊維の直径は3~20μmが好ましく、7~16μmがより好ましく、9~13μmがさらに好ましい。ガラス繊維の添加量は、樹脂(A)とリグノフェノール(B)の合計量100質量部に対して、5~40質量部がより好ましく、10~30質量部がさらに好ましい。
本発明の抗菌性樹脂組成物には、炭素繊維等の繊維材料、セルロースナノファイバー、ウッドチップ、おが屑や竹材等の木質材料、タルク、クレー、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、ホウ酸亜鉛、窒化チタン、窒化ホウ素、窒化マグネシウム等の充填剤を使用することができる。
本発明の抗菌性樹脂組成物には、顔料、酸化防止剤、滑材、紫外線吸収剤、光安定剤等の添加剤が配合されていても良い。
本発明の抗菌性樹脂組成物において、樹脂(A)がポリエステル(a4)やポリカーボネート(a3)を含み、酸性雰囲気、高湿度や高温下でする場合は、加水分解を生じる場合がある。加水分解を防止する目的で、カルボジイミド単量体、カルボジイミド二量体や高分子量体のポリカルボジイミドや環状カルボジイミド等のカルボジイミドを添加しても構わない。
本発明の抗菌性樹脂組成物は、原料となる樹脂(A)、リグノフェノール(B)、および使用する場合は非ハロゲン系難燃剤(C)を、公知の溶融混練装置に供給して溶融混練することができる。使用できる溶融混練装置としては、例えば、押出機、バンバリーミキサー、インテンシブミキサー、コニーダー、ロール等を使用することができる。この中で二軸押出機が均一混合や操作性の点で好ましい。
本発明の成形体は抗菌性樹脂組成物を射出成形、ブロー成形、フィルム成形、シート成形、溶融防止等の公知の技術で得ることができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものではない。
評価方法
(1)機械特性
引張強度については、JIS K7161に準じて測定した。
曲げ強度及び曲げ弾性率については、JIS K7171に準じて測定した。
(2)抗菌性
JISZ2801に準じて測定した。抗菌活性値>2.0で抗菌性有りと判断した。抗菌活性値は、下記式により算出した。
抗菌活性値=log(ブランク生菌数/cm)-log(試験片生菌数/cm
(3)難燃性
UL94の垂直燃焼試験に準じて評価した。
使用した材料
(1)ABS樹脂(トヨラック700-314、東レ(株)製)
(2)ポリプロピレン(J106G、(株)プライムポリマー製)
(3)変性ポリプロピレン(ユーメックス1010 三洋化成(株)製)
(4)ポリカーボネート(ユーピロンH-2000、三菱エンジニアリングプラスチック社製)
(5)ポリアミド6(アミランCM1017、東レ(株)製)
(6)ポリブチレンテレフタレート(ノバデユラン5020、三菱エンジニアリングプラスチック(株)製)
(7)リグノフェノール
杉の木粉をp-クレゾールを含むアセトン溶液に浸漬して、木粉にp-クレゾールを吸着させた後、72質量%の硫酸を添加して激しく撹拌した。撹拌後の液に、ヘキサンを加え、更に撹拌した後に水を加え放置し、上澄みである水層、および油層を除去し、残った固形物を水洗し、メタノールに溶解させた。固形分を分離した後、得られたメタノール溶液に、塩を溶かした水を加えて水晶析してリグノフェノールを析出させた。析出したリグノフェノールを分離し、重曹水を用いて洗浄・ろ過を繰り返した。固形分を水に分散させたときのpHが中性になるまで重曹水での洗浄を繰り返した後、固形分を乾燥したもの使用した。
(8)縮合リン酸エステル系難燃剤(ADEKA製 アデカスタブFP-900)
(9)リン酸塩系難燃剤(クラリアントケミカル製 EXOLIT-OP1312)
下記表1、2に示す処方にて各材料を配合し、二軸混練押出機(東芝TEM-35)を使用して、溶融混練した後、射出成形して、実施例1~11および比較例1、2の評価試料を作製した。作製した試料について、機械特性等について評価した。結果を表1、2に示す。
Figure 2022113448000004
Figure 2022113448000005

Claims (9)

  1. 樹脂(A)100質量部に対しリグノフェノール(B)を0.5~60質量部含む抗菌性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(A)がゴム含有スチレン系樹脂(a1)である請求項1記載の抗菌性樹脂組成物。
  3. 前記ゴム含有スチレン系樹脂(a1)がアクリロニトリル-ブタジエン-スチレン共重合体(ABS樹脂)である請求項1または請求項2のいずれか1項記載の抗菌性樹脂組成物。
  4. 前記樹脂(A)がポリオレフィン(a2)である請求項1記載の抗菌性樹脂組成物。
  5. 前記樹脂(A)は、ポリカーボネート(a3)を30~90質量%含む請求項2から4のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  6. 前記樹脂(A)は、ポリアミド(a4)を30~90質量%含むことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  7. 前記樹脂(A)は、ポリエステル(a5)を30~90質量%含むことを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  8. 前記樹脂(A)と前記リグノフェノール(B)の合計量100質量部に対し、非ハロゲン系難燃剤(C)を1~45質量部含む請求項1から7のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物。
  9. 請求項1から8のいずれか1項に記載の抗菌性樹脂組成物を成形加工してなる成形体。
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