JP2022112543A - 電子写真感光体及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明の課題は、耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともにフィルミングの発生が抑制された接触帯電用の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法を提供することである。【解決手段】本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、第1電荷輸送層と、第2電荷輸送層とがこの順に積層された接触帯電用の電子写真感光体であって、前記第1電荷輸送層がガラス転移温度Tg1の第1の熱可塑性樹脂を含有し、前記第2電荷輸送層がガラス転移温度Tg2の第2の熱可塑性樹脂と金属酸化物粒子を含有し、前記Tg2は180℃超であり、かつ前記Tg1より高い温度であることを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、電子写真感光体及び画像形成方法に関する。より詳しくは、本発明は、耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともにフィルミングの発生が抑制された接触帯電用の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法に関する。
近年、電子写真画像形成装置における電子写真感光体(以下、単に「感光体」ともいう。)は、オゾンの発生などによる環境汚染に対応するために、帯電ローラーによる接触帯電方式が採用されることが多い。
しかしながら、帯電ローラーを用いる接触帯電方式では、感光体表面への放電エネルギーが大きく感光体の減耗が促進され、耐久性が低下するという問題がある。このような感光体の減耗を抑制するために感光体の表面層の検討がなされている。例えば、表面層に微粒子を添加する方法等により感光体の長寿命化が図られている。しかし、この手法では、感光体表面へのクラックが抑制できず、長寿命化には不十分であった。
そこで、感光体表面のクラック発生を抑制する方法が検討されている。例えば、特許文献1には、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を有する電子写真感光体において、該電荷輸送層中に、特定の電荷輸送物質、及びガラス転移温度(Tg)が170℃以上のバインダー樹脂を含有し、該電荷輸送層の弾性変形率が42%以上であることを特徴とする、接触帯電用電子写真感光体が記載されている。しかしながら、特許文献1に開示された技術によっても、耐摩耗性及び耐クラック性に改善の余地があった。
また、電子写真方式の画像形成システムでは、感光体と静電荷像現像用トナー(以下、単に「トナー」ともいう。)を用いて、帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を経て画像形成が行われる。さらに、転写工程後の感光体は、クリーニング工程を経て、次の画像形成に供される。このような画像形成を繰り返し行ううちに、感光体の表面にトナー等が付着してフィルミングが発生することが知られている。感光体においては、このフィルミングの抑制についても対応が求められていた。
特開2016-102943号公報
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともにフィルミングの発生が抑制された接触帯電用の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、感光体の表層を2層の電荷輸送層で構成し、外側の層に金属酸化物粒子を含有させるとともに、各層が含有する熱可塑性樹脂のガラス転移温度の関係を特定な関係とすることで、耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともにフィルミングの発生が抑制された接触帯電用の電子写真感光体等を提供できることを見いだし本発明に至った。すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、第1電荷輸送層と、第2電荷輸送層とがこの順に積層された接触帯電用の電子写真感光体であって、
前記第1電荷輸送層がガラス転移温度Tg1の第1の熱可塑性樹脂を含有し、前記第2電荷輸送層がガラス転移温度Tg2の第2の熱可塑性樹脂と金属酸化物粒子を含有し、前記Tg2は180℃超であり、かつ前記Tg1より高い温度であることを特徴とする電子写真感光体。
2.前記第1電荷輸送層の膜厚L1と前記第2電荷輸送層の膜厚L2の関係が下記式(1)で表されることを特徴とする第1項に記載の電子写真感光体。
式(1) 10μm≦L2<L1
3.前記第2電荷輸送層の弾性変形率が、40%以上であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の電子写真感光体。
4.前記金属酸化物粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
5.第1項から第4項までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いた画像形成方法であって、
前記電子写真感光体に接触するように設けられた帯電ローラーによって前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程及びトナー母体粒子と前記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤とを含有する静電荷像現像用トナーを用いて現像が行なわれる現像工程を有し、
前記外添剤が、前記金属酸化物粒子のモース硬度よりモース硬度が高い材料を含有することを特徴とする画像形成方法。
6.前記金属酸化物粒子がシリカ粒子であり、前記材料がアルミナであることを特徴とする第5項に記載の画像形成方法。
本発明の上記手段により、耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともにフィルミングの発生が抑制された接触帯電用の電子写真感光体及びそれを用いた画像形成方法を提供することができる。本発明の効果の発現機構又は作用機構については、以下のように考えている。
本発明の感光体は、導電性支持体上に電荷発生層、第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層をこの順に積層した積層構成である。表層となる第2電荷輸送層が、ガラス転移温度Tg2(以下、単に「Tg2」と記すこともある。)が180℃超の第2の熱可塑性樹脂と金属酸化物粒子を含有することで、帯電ローラー等により接触帯電される感光体の耐摩耗性が向上する。
本発明の感光体は、第2電荷輸送層の内側にガラス転移温度Tg1がTg2よりも低い第1の熱可塑性樹脂を含有する第1電荷輸送層を有することで、帯電ローラーの圧着による内部応力を緩和してクラックの発生を抑制できる。
さらに、感光体を上記構成とすることで、クリーニング工程における感光体表面とクリーニングブレード等のクリーニング手段との接触状態が改善されると想定され、これによりフィルミングの発生を抑制する(以下、フィルミングの発生を抑制する性質を「耐フィルミング性」ともいう。)ことができると考えている。
本発明に係る電子写真感光体の層構成の一例を示す断面図 本発明に係る電子写真感光体の層構成の別の一例を示す断面図 電子写真感光体(第2電荷輸送層)の押し込み深さに対する荷重曲線を示すグラフ 本発明の画像形成方法に用いられる電子写真画像形成装置の一例の断面概要図
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、第1電荷輸送層と、第2電荷輸送層とがこの順に積層された接触帯電用の電子写真感光体であって、前記第1電荷輸送層がガラス転移温度Tg1の第1の熱可塑性樹脂を含有し、前記第2電荷輸送層がガラス転移温度Tg2の第2の熱可塑性樹脂と金属酸化物粒子を含有し、前記Tg2は180℃超であり、かつ前記Tg1より高い温度であることを特徴とする。この特徴は、下記各実施形態に共通する技術的特徴である。
本発明の感光体の実施態様としては、前記第1電荷輸送層の膜厚L1と前記第2電荷輸送層の膜厚L2の関係が下記式(1)で表されることが好ましい。これにより、感光体の耐クラック性がより向上する。
式(1) 10μm≦L2<L1
本発明の感光体の実施態様としては、前記第2電荷輸送層の弾性変形率が、40%以上であることが好ましい。これにより、感光体の耐摩耗性が向上するとともに、耐フィルミング性もより高められる。
本発明の感光体の実施態様としては、本発明の効果をより高める観点から、前記金属酸化物粒子が、シリカ粒子であることが好ましい。
本発明の画像形成方法は、本発明の電子写真感光体を用いた画像形成方法であって、前記電子写真感光体に接触するように設けられた帯電ローラーによって前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程及びトナー母体粒子と前記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤とを含有する静電荷像現像用トナーを用いて現像が行なわれる現像工程を有し、前記外添剤が、前記金属酸化物粒子のモース硬度よりモース硬度が高い材料を含有することを特徴とする。
トナーの外添剤が前記金属酸化物粒子のモース硬度よりモース硬度が高い材料を含有すると、特に耐フィルミング性が良好である。これは、感光体表面の摩耗と擦過のバランスがよいために得られる効果と考えられる。
本発明の画像形成方法の実施態様としては、前記金属酸化物粒子がシリカ粒子であり、前記材料がアルミナであることが好ましい。
以下、図面を参照しながら、本発明とその構成要素及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。ただし、本発明の範囲は以下の実施形態及び図示例に限定されるものではない。また、本願において、「~」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。
[電子写真感光体]
本発明の感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、第1電荷輸送層と、第2電荷輸送層とがこの順に積層された接触帯電用の電子写真感光体である。本発明の感光体において、第1電荷輸送層がガラス転移温度Tg1の第1の熱可塑性樹脂を含有し、第2電荷輸送層がガラス転移温度Tg2の第2の熱可塑性樹脂と金属酸化物粒子を含有し、Tg2は180℃超であり、かつTg2>Tg1である。
図1は、導電性支持体101上に電荷発生層102と、第1電荷輸送層103aと、第2電荷輸送層103bがこの順に積層された感光体1Aの断面図を示す。本発明の感光体は、必要に応じて、導電性支持体と感光層の間に中間層を有してもよい。図2は、導電性支持体101上に、中間層104と、電荷発生層102と、第1電荷輸送層103aと、第2電荷輸送層103bがこの順に積層された感光体1Bの断面図を示す。
感光体1A及び感光体1Bにおいては、第2電荷輸送層103bが感光体の最表面を構成する最表層であり、接触帯電手段、例えば、帯電ローラーと接触する層である。以下の説明において、最表層からみて導電性支持体が位置する側を「内側」といい、導電性支持体からみて最表層が位置する側を「外側」ということもある。
なお、本発明の感光体は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて上記した各層以外の層を有してもよい。ただし、感光体の最表層は第2電荷輸送層であり、その内側に接する層は、第1電荷輸送層であることが好ましい。
本発明の感光体において、電荷発生層102は、光を吸収して電荷を発生する機能を有する。以下の説明において、必要に応じて第1電荷輸送層103aと、第2電荷輸送層103bを合わせて電荷輸送層103という。本発明の感光体において、電荷輸送層103は、電荷を輸送する機能を有する。
本発明の感光体は、上記構成層のうち電荷輸送層103(第1電荷輸送層103a及び第2電荷輸送層103b)に特徴を有する。したがって、まず電荷輸送層103について、説明し、次いでその他の層について説明する。
〔電荷輸送層〕
感光体1A及び感光体1Bが有する電荷輸送層103(第1電荷輸送層103a及び第2電荷輸送層103b)は、電荷を輸送する機能を有し、典型的には、電荷輸送物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷輸送層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
(第1電荷輸送層)
感光体1A及び感光体1Bの電荷輸送層103において、第1電荷輸送層103aは、最表層である第2電荷輸送層103bの内側に接する層である。第1電荷輸送層103aは、電荷輸送物質と、電荷輸送層用バインダー樹脂として、第1の熱可塑性樹脂を含有する。
電荷輸送物質としては、例えば、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリ-1-ビニルピレン及びポリ-9-ビニルアントラセン、トリフェニルアミン誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1の熱可塑性樹脂の例には、ポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等が含まれる。これらの中でもポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂が耐摩耗性の観点から好ましい。
上記熱可塑性樹脂は、特に溶媒に可溶なポリイミド樹脂(以下、「溶媒可溶性ポリイミド樹脂」とも称する)が好ましい。溶媒に可溶とは、対象となるポリイミド樹脂10gを、25℃において、適切な有機溶媒100gに溶解させたとき、当該溶液の可視光領域における全光線透過率が80%以上となり、かつ当該有機溶媒中で、100nm以上の粒子が形成されないこと、をいう。
上記熱可塑性樹脂として使用可能な、溶媒可溶性ポリイミド樹脂は市販品であってもよく、その具体例には、Sixef-44(Tg;320℃、Hoechst Celanese社製)、KPI-MX300F(Tg;297℃、河村産業株式会社製)、PI-100(Tg;320℃、丸善石油化学株式会社製)、Q-AD-X1390(Tg;150℃、株式会社ピーアイ技術研究所製)等が含まれる。同様に、ポリカーボネート樹脂も市販品であってよく、その具体例には、C-1400(Tg;157℃、帝人化成株式会社製)、TS-2050(Tg;181℃、帝人化成株式会社製)等が含まれる。ポリエーテルスルホン樹脂も市販品であってよく、スミカエクセルPES(Tg;225℃、住友化学社製)等が挙げられる。
なお、第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度であるTg1と第2の熱可塑性樹脂のガラス転移温度であるTg2は、Tg2>Tg1の関係である。以下に説明する第2電荷輸送層が含有する第2の熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg2によるが、Tg1は、Tg2よりも低ければよく、130~180℃の範囲にあることが耐クラック性の点で好ましい。
熱可塑性樹脂のガラス転移温度は、例えば、市販の示差走査熱量計(DSC、例えば、株式会社日立ハイテクサイエンスのDSC-7000X)を用い10℃/minの昇温条件で測定して得られる。第1の熱可塑性樹脂として2種以上を用いる場合、第1電荷輸送層103aにおける含有割合で混合した第1の熱可塑性樹脂の混合物を、DSC測定した際のガラス転移温度を当該第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度とする。
第1電荷輸送層103a中の電荷輸送物質の含有割合は、メモリ性能と耐クラック性の両立の観点から、電荷輸送層用バインダー樹脂(第1の熱可塑性樹脂)100質量部に対して10~500質量部であることが好ましく、より好ましくは20~100質量部である。
第1電荷輸送層の膜厚L1は、第2電荷輸送層の膜厚L2との関係、及び電荷輸送物質の特性、電荷輸送層用バインダー樹脂(第1の熱可塑性樹脂)の特性及び含有割合等によって異なる。本発明の感光体においては膜厚L1と膜厚L2は、式(1);10μm≦L2<L1の関係を満たすことが好ましい。L1は式(1)の関係を満たしながら、例えば、10μm超30μm以下であることが好ましく、より好ましくは15~25μmである。これにより、より高いレベルで耐クラック性が達成できるとともに、膜厚の均一性が担保できる。
第1電荷輸送層中には、電荷輸送物質及び第1の熱可塑性樹脂以外に酸化防止剤、電子導電剤、安定剤、シリコーンオイル等を添加してもよい。酸化防止剤については特開2000-305291号公報、電子導電剤は特開昭50-137543号公報、同58-76483号公報等に開示されているものが好ましい。
(第2電荷輸送層)
第2電荷輸送層103bは、電荷輸送層103において、第1電荷輸送層103aの外側に層接する層であり、感光体1A及び感光体1Bの最表層を構成する層である。第2電荷輸送層103bは、電荷輸送物質と、電荷輸送層用バインダー樹脂として、第2の熱可塑性樹脂を含有し、さらに、金属酸化物粒子を含有する。
第2電荷輸送層103bが含有する電荷輸送物質としては、第1電荷輸送層103aが含有する電荷輸送物質と同様のものが使用可能である。第2電荷輸送層103bにおける、電荷輸送物質の含有量は、メモリ性能と耐摩耗性、耐フィルミング性の両立の観点から、電荷輸送層用バインダー樹脂(第2の熱可塑性樹脂)100質量部に対して、10~500質量部が好ましく、20~100質量部がより好ましい。
第2の熱可塑性樹脂の種類としては、第1の熱可塑性樹脂と同様の種類の熱可塑性樹脂が挙げられる。ただし、第2の熱可塑性樹脂はそのガラス転移温度であるTg2が180℃超である。
すなわち、第2の熱可塑性樹脂の例には、ガラス転移温度が180℃超のポリイミド樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルサルファイド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂等が含まれる。これらの中でもポリイミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂が耐摩耗性の観点から好ましい。
第2の熱可塑性樹脂は市販品を用いてもよい。溶媒可溶性ポリイミド樹脂の市販品には、Sixef-44(Tg;320℃、Hoechst Celanese社製)、KPI-MX300F(Tg;297℃、河村産業株式会社製)、PI-100(Tg;320℃、丸善石油化学株式会社製)等が含まれる。ポリカーボネート樹脂の市販品には、TS-2050(Tg;181℃、帝人化成株式会社製)等が含まれる。ポリエーテルスルホン樹脂の市販品には、スミカエクセルPES(Tg;225℃、住友化学社製)等が挙げられる。
なお、上記のとおり第2の熱可塑性樹脂のガラス転移温度であるTg2は、180℃超であり、かつ第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度であるTg1と、Tg2>Tg1の関係である。上に説明した第1電荷輸送層が含有する第1の熱可塑性樹脂のガラス転移温度Tg1によるが、Tg2は、180℃超250℃以下の範囲にあることが好ましい。Tg2が250℃超であると接着性等が低下することがある。
また、Tg1とTg2との差は、1~100℃の範囲内が好ましく、10~50℃の範囲内がより好ましい。Tg1とTg2との差が1℃以上、特には10℃以上であると耐クラック性の効果がより顕著であり、100℃以下、特には50℃以下であると、第1電荷輸送層103aと第2電荷輸送層103bの間の接着性が良好である。
第2電荷輸送層103bが含有する金属酸化物粒子は遷移金属も含めた金属酸化物粒子が好ましい。金属酸化物粒子を構成する金属酸化物としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化鉛、アルミナ(酸化アルミニウム)、酸化タンタル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化イットリウム、酸化コバルト、酸化銅、酸化マンガン、酸化セレン、酸化鉄、酸化ジルコニウム、酸化ゲルマニウム、酸化スズ、チタニア(酸化チタン)、酸化ニオブ、酸化モリブデン及び酸化バナジウム等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
金属酸化物粒子としては、中でも、シリカ粒子、酸化スズ粒子、チタニア粒子及びアルミナ粒子から選ばれる少なくとも1種を含むことが、第2電荷輸送層103bの耐摩耗性及び耐フィルミング性の向上の観点から好ましく、同様の観点からシリカ粒子を含むことがより好ましい。
なお、耐フィルミング性の観点からは、第2電荷輸送層103bが含有する金属酸化物粒子のモース硬度をMh1とし、後述するトナーの外添剤として使用する材料のモース硬度をMh2とした場合、Mh2>Mh1の関係を満たすことが好ましい。
モース硬度は、F.Mohsにより案出されたものであり、次の10種の鉱物を選定し、選定した鉱物で、準備した酸化チタンのペレットを、順次引っ掻いて傷がつけば、その鉱物よりも硬さが低いとする。引っ掻き傷の有無の判定は目視で行う。鉱物は硬度の低い順から1:滑石、2:石膏、3:方解石、4:蛍石、5:リン灰石、6:正長石、7:水晶、8:黄玉、9:鋼玉、10:ダイヤモンドである。具体的には、モース硬度は、0.5刻みの数値で評価される。例えば、モース硬度が7とは、測定対象を水晶とすり合わせた時に両方に傷がつく場合であり、7.5とは、測定対象と水晶をすり合わせた時に水晶のみに傷がつき、測定対象と黄玉をすり合わせた時に測定対象のみに傷がつく場合をいう。
上記金属酸化物のモース硬度は、例えば、酸化亜鉛は5、シリカは7、アルミナは8~9である。なお、金属酸化物粒子が表面修飾されている場合、得られるモース硬度は、表面修飾金属酸化物粒子のモース硬度である。ただし、通常、表面修飾層の厚さは5~20nm程度又はそれ以下であって、上記における目視では表面修飾層の引っ掻き傷は判定できないため、実質的に、表面修飾層を有しない金属酸化物粒子のモース硬度を測定しているのと同じと言える。
上記金属酸化物粒子は、公知の方法、例えば気相法、塩素法、硫酸法、プラズマ法及び電解法等の一般的な製造法で作製されたものが好ましい。
上記金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、1~300nmの範囲が好ましい。特に好ましくは3~100nmの範囲である。
(金属酸化物粒子の粒径の測定法)
上記金属酸化物粒子の粒径(数平均一次粒径)は、走査型電子顕微鏡(日本電子社製)により10000倍の拡大写真を撮影し、ランダムに300個の粒子をスキャナーにより取り込んだ写真画像(凝集粒子は除いた)を自動画像処理解析装置「ルーゼックス AP(LUZEX(登録商標)AP)」((株)ニレコ製)ソフトウエアVer.1.32を使用して、2値化処理し、それぞれ水平方向フェレ径を算出、その平均値を数平均一次粒径として算出する。ここで水平方向フェレ径とは、金属酸化物粒子の画像を2値化処理したときの外接長方形の、x軸に平行な辺の長さをいう。
上記金属酸化物粒子は、必要に応じて、公知の表面修飾剤により表面の疎水化等の処理が施されていてもよい。用いる表面修飾剤は、1種でも2種以上でもよい。表面修飾剤としては、シランカップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミネート系カップリング剤、脂肪酸、脂肪酸金属塩、そのエステル化物及びロジン酸が含まれる。
上記シランカップリング剤の例には、ジメチルジメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)、メチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン及びデシルトリメトキシシランが含まれる。上記シリコーンオイルの例には、環状化合物や、直鎖状あるいは分岐状のオルガノシロキサンなどが含まれ、より具体的には、オルガノシロキサンオリゴマー、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサン及びテトラビニルテトラメチルシクロテトラシロキサンが含まれる。
表面の疎水化処理に用いる表面修飾剤の量は、疎水化処理後の金属酸化物粒子における炭素含有率が0.1~10質量%の範囲内となる量が好ましい。
第2電荷輸送層103bにおける金属酸化物粒子の含有量は、本発明の効果を損なうことなく、第2電荷輸送層103bに耐摩耗性及び耐フィルミング性を付与する観点から、電荷輸送層用バインダー樹脂(第2の熱可塑性樹脂)100質量部に対して5~40質量部の範囲が好ましく、10~30質量部の範囲がより好ましい。
本発明に係る第2電荷輸送層103bは、電荷輸送物質、第2の熱可塑性樹脂、及び金属酸化物粒子の他に、その他の成分を含有していてもよい。その他の成分としては、例えば、酸化防止剤、安定剤、シリコーンオイル等が挙げられる。酸化防止剤については特開2000-305291号公報等に開示されているものが好ましい。
第2電荷輸送層103bの膜厚L2は、上記のとおり第1電荷輸送層の膜厚L1との関係が式(1);10μm≦L2<L1の関係を満たすことが好ましい。L2は式(1)の関係を満たしながら、例えば、10~30μmが好ましく、10~20μmであることがより好ましい。これにより、より高いレベルで耐摩耗性が達成できるとともに、膜厚の均一性が担保できる。
なお、第2電荷輸送層の膜厚L2と第1電荷輸送層の膜厚L1との関係は、さらに、1<L1/L2<4.5を満たすことが好ましく、1.1<L1/L2<2.5がより好ましい。L1/L2が上記範囲内であれば、より高いレベルで耐摩耗性が達成できる。
第2電荷輸送層103bは、耐摩耗性及び耐フィルミング性を高める観点から、弾性変形率が40%以上であることが好ましく、45%以上であることがより好ましい。なお、第2電荷輸送層の弾性変形率は、例えば、以下の方法で感光体の形態で第2電荷輸送層に対して測定される弾性変形率として求めることができる。
<弾性変形率測定>
弾性変形率の測定は、Fischer社製微小硬度計FISCHERSCOPE HM2000(H100C同等機)を用いて、温度25℃、相対湿度50%の環境下で行う。まず、感光体の第2電荷輸送層に対して、対面角136°のビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いて、以下の測定条件で圧子に荷重をかけた際の、圧子にかかる荷重とその荷重下における押し込み深さとを連続的に測定する。
(測定条件)
最大押込み加重 2mN
負荷所要時間 10秒
除荷所要時間 10秒
そして、圧子にかかる荷重をY軸に、その荷重下における押し込み深さをX軸にプロットした図3に示すようなプロファイルを取得する。図3は、電子写真感光体(第2電荷輸送層)の押し込み深さに対する荷重曲線を示す模式的なグラフである。図3に示す押し込み深さの数値は例示である。
上記の弾性変形率は下記式(2)により定義される値であり、押し込みに要した全仕事量に対して、除荷の際に膜が弾性によって行う仕事の割合である。
式(2) 弾性変形率(%)=(We/Wt)×100
上記式(2)中、全仕事量Wt(nJ)は図3中のA-B-D-Aで囲まれる面積を示し、弾性変形仕事量We(nJ)はC-B-D-Cで囲まれる面積を示す。弾性変形率が大きいほど、負荷に対する変形が残留しにくく、弾性変形率が100(%)の場合には変形が残らないことを意味する。
〔導電性支持体〕
感光体1A及び感光体1Bが有する導電性支持体101は、導電性を有する支持体であればよい。導電性支持体101としては、例えば、アルミニウム、銅、クロム、ニッケル、亜鉛及びステンレス等の金属をドラム又はシート状に成形したものが挙げられる。また、アルミニウム又は銅等の金属からなる金属箔をプラスチックフィルムにラミネートしたもの、アルミニウム、酸化インジウム又は酸化スズ等をプラスチックフィルムに蒸着したもの、導電性物質を単独又はバインダー樹脂と共に塗布して導電層を設けた金属、プラスチックフィルム及び紙等が挙げられる。
〔中間層〕
感光体1Bが導電性支持体101と電荷発生層102の間に有する中間層104は、導電性支持体101と電荷発生層102の間のバリアー性又は接着性を高める機能を有する。本発明に係る感光体において中間層は必須の構成ではないが種々の故障防止等を考慮すると、中間層を設けることが好ましい。
このような中間層は、例えば、バインダー樹脂(以下、「中間層用バインダー樹脂」ともいう。)及び必要に応じて導電性粒子や金属酸化物粒子が含有されてなるものである。
中間層用バインダー樹脂としては、例えば、カゼイン、ポリビニルアルコール、ニトロセルロース、エチレン-アクリル酸コポリマー、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ゼラチン等が挙げられる。これらのなかでもアルコール可溶性のポリアミド樹脂が好ましい。
中間層には、抵抗調整の目的で各種の導電性粒子又は金属酸化物粒子を含有させることができる。金属酸化物粒子としては、例えば、アルミナ、酸化亜鉛、チタニア、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化ジルコニウム等の各種金属酸化物粒子を用いることができる。スズをドープした酸化インジウム、アンチモンをドープした酸化スズのように複合金属酸化物の粒子を用いてもよい。
このような金属酸化物粒子の数平均一次粒径は、10~300nmであることが好ましく、より好ましくは20~100nmである。また、これらの金属酸化物粒子は、無機化合物や有機化合物で一重又は多重に表面修飾されていてもよい。表面修飾に用いられる表面修飾剤としては、第2電荷輸送層103bが含有する金属酸化物粒子を表面修飾する際に用いるのと同様の表面修飾剤が挙げられ、表面修飾の度合いも上記と同様にすることができる。
導電性粒子又は金属酸化物粒子は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を混合した場合には、固溶体又は融着の形をとってもよい。
導電性粒子又は金属酸化物粒子の含有割合は、バインダー樹脂100質量部に対して20~400質量部であることが好ましく、より好ましくは50~350質量部である。
中間層の厚さは、0.1~30μmであることが好ましく、より好ましくは0.3~15μmである。
〔電荷発生層〕
感光体1A及び感光体1Bが有する電荷発生層102は、光を吸収して電荷を発生する機能を有し、典型的には、電荷発生物質及びバインダー樹脂(以下、「電荷発生層用バインダー樹脂」ともいう。)が含有されてなるものである。
電荷発生物質としては、例えば、スーダンレッド、ダイアンブルー等のアゾ顔料、ピレンキノン、アントアントロン等のキノン顔料、キノシアニン顔料、ペリレン顔料、インジゴ及びチオインジゴ等のインジゴ顔料、ピランスロン、ジフタロイルピレン等の多環キノン顔料、フタロシアニン顔料等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、多環キノン顔料、チタニルフタロシアニン顔料が好ましい。これらの電荷発生物質は1種単独で又は2種以上を混合して用いてもよい。
電荷発生層用バインダー樹脂としては、公知の樹脂を用いることができ、例えば、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、並びにこれらの樹脂の内2つ以上を含む共重合体樹脂(例えば、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル-無水マレイン酸共重合体樹脂)、ポリ-ビニルカルバゾール樹脂等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのなかでも、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。
電荷発生層中の電荷発生物質の含有割合は、電荷発生層用バインダー樹脂100質量部に対して1~600質量部であることが好ましく、より好ましくは50~500質量部である。
電荷発生層の厚さは、電荷発生物質の特性、電荷発生層用バインダー樹脂の特性、含有割合等により異なるが、0.01~5μmであることが好ましく、より好ましくは0.05~3μmである。
〔感光体の製造〕
本発明に係る感光体は、例えば、導電性支持体上に、感光体を構成する各層を順次形成することで製造できる。各層の形成は、各層を構成する固形分と溶媒を含む塗布液からなる塗膜を形成する工程と、当該塗膜を乾燥させる工程により行われる。本発明に係る感光体の具体的な製造方法について、図2に示す感光体1Bの製造方法を例にして、以下に説明する。
感光体1Bは、例えば、下記工程を経ることにより製造することができる。
工程(1):導電性支持体101の表面に中間層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより、中間層104を形成する工程。
工程(2):導電性支持体101上に形成された中間層104の表面に電荷発生層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより電荷発生層102を形成する工程。
工程(3):中間層104上に形成された電荷発生層102の表面に第1電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより第1電荷輸送層103aを形成する工程。
工程(4):電荷発生層102上に形成された第1電荷輸送層103aの表面に、第2電荷輸送層形成用の塗布液を塗布し、乾燥することにより第2電荷輸送層103bを形成する工程。
〔工程(1):中間層の形成〕
中間層104は、溶媒中に中間層用バインダー樹脂を溶解させて塗布液(以下、「中間層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、必要に応じて導電性粒子又は金属酸化物粒子を分散させた後、当該塗布液を導電性支持体101上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
中間層形成用塗布液中に導電性粒子又は金属酸化物粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。なお、円形スライドホッパー法は、円筒状又は円柱状の物品の外周面を被塗布面とする塗布に用いられる方法である。円形スライドホッパー法は、ドラム状の導電性支持体の外周面に中間層形成用塗布液を塗布する方法として用いることができる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
中間層104の形成工程において使用する溶媒としては、導電性粒子又は金属酸化物粒子を良好に分散し、中間層用バインダー樹脂を溶解するものであればよい。具体的には、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n-ブタノール、t-ブタノール、sec-ブタノール等の炭素原子数1~4のアルコール類が、バインダー樹脂の溶解性と塗布性能に優れ好ましい。また、保存性、粒子の分散性を向上するために、前記溶媒と併用でき、好ましい効果を得られる助溶媒としては、ベンジルアルコール、トルエン、メチレンクロライド、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン等が挙げられる。
中間層形成用塗布液中の中間層用バインダー樹脂の濃度は、中間層104の厚さや生産速度に合わせて適宜選択される。
〔工程(2):電荷発生層の形成〕
電荷発生層102は、溶媒中に電荷発生層用バインダー樹脂を溶解させた溶液中に、電荷発生物質を分散して塗布液(以下、「電荷発生層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を中間層104上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
電荷発生層形成用塗布液中に電荷発生物質を分散する手段としては、例えば、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等が使用できるが、これらに限定されるものではない。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
電荷発生層102の形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサン、酢酸エチル、酢酸t-ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、メチルセロソルブ、4-メトキシ-4-メチル-2-ペンタノン、エチルセロソルブ、テトラヒドロフラン、1-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
〔工程(3):第1電荷輸送層の形成〕
第1電荷輸送層103aは、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂(第1の熱可塑性樹脂)及び電荷輸送物質を溶解させた塗布液(以下、「第1電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を電荷発生層102上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
第1電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
第1電荷輸送層103aの形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
〔工程(4):第2電荷輸送層の形成〕
第2電荷輸送層103bは、溶媒中に電荷輸送層用バインダー樹脂(第2の熱可塑性樹脂)、電荷輸送物質及び金属酸化物粒子をそれぞれ溶解又は分散させた塗布液(以下、「第2電荷輸送層形成用塗布液」ともいう。)を調製し、当該塗布液を第1電荷輸送層103a上に一定の厚さに塗布して塗膜を形成し、当該塗膜を乾燥することにより形成することができる。
第2電荷輸送層形成用塗布液中に金属酸化物粒子を分散する手段としては、超音波分散機、ボールミル、サンドミル、ホモミキサー等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
第2電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、スピンナーコーティング法、ビードコーティング法、ブレードコーティング法、ビームコーティング法、スライドホッパー法、円形スライドホッパー法等の公知の方法が挙げられる。
塗膜の乾燥方法は、溶媒の種類、塗膜の厚さに応じて適宜選択することができるが、熱乾燥が好ましい。
第2電荷輸送層103bの形成に用いられる溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メチレンクロライド、1,2-ジクロロエタン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン、1,3-ジオキソラン、ピリジン、ジエチルアミン、N,N-ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
以上説明した本発明の感光体は、耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともに耐フィルミング性も有する接触帯電用の電子写真感光体である。
[画像形成方法]
本発明の感光体は、例えば、接触式の帯電手段により感光体を帯電する方式の電子写真画像形成装置の感光体として好適に用いられる。そして、本発明の感光体を当該電子写真画像形成装置に用いて行われる画像形成方法によれば、感光体が耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともに耐フィルミング性も有することから、長期において得られる画像の品質が保持される。本発明の感光体は、以下に説明する本発明の画像形成方法に用いると、上記効果がより顕著である。
本発明の画像形成方法は、本発明の接触帯電用の電子写真感光体を用いた画像形成方法であり、以下の帯電工程及び現像工程を有する。
帯電工程;感光体に接触するように設けられた帯電ローラーによって感光体の表面を帯電させる工程
現像工程;トナー母体粒子とトナー母体粒子の表面に付着される外添剤とを含有するトナーを用いて現像が行なわれる工程
本発明の画像形成方法においては、上記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤が、上記感光体の第2の電荷輸送層が含有する金属酸化物粒子のモース硬度よりモース硬度が高い材料を含有することを特徴とする。トナーの詳細については後述する。
本発明の画像形成方法は、上記帯電工程及び現像工程の他に、例えば、帯電工程と現像工程の間に、上記感光体を露光して静電荷像を形成させる露光工程、現像工程後に現像されたトナー像を転写する転写工程を有する。画像形成方法は、通常、さらに、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着工程及び転写工程後の感光体をクリーニングするクリーニング工程等を有する。
本発明の画像形成方法は、上記帯電工程が可能なように接触帯電ローラーを備え、感光体として本発明の感光体を備える電子写真画像形成装置と、上記トナーを用いて行うことができる。本発明の画像形成方法を、これが適用可能な画像形成装置と共に説明する。
本発明の画像形成方法が適用可能な画像形成装置としては、例えば、上記各工程に対応して、本発明の感光体と、この感光体の表面を接触帯電させる帯電手段としての帯電ローラーと、当該感光体の表面に静電荷像を形成する露光手段と、静電荷像を上記本発明に係るトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、トナー像を転写材に転写する転写手段と、転写材に転写されたトナー像を定着させる定着手段と、感光体上の残留トナーを除去するクリーニング手段とを備えたものが挙げられる。
図4は、上記各手段を有する、本発明の画像形成方法に用いられる電子写真画像形成装置の一例の断面概要図を示す。図4に示す画像形成装置110は、タンデム型カラー画像形成装置と称せられるもので、4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkと、中間転写体ユニット7と、給紙手段21及び定着手段24とからなる。画像形成装置110の本体Aの上部には、原稿画像読み取り装置SCが配置されている。
4組の画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、ドラム状の感光体1Y、1M、1C及び1Bkの周囲に感光体1Yの回転方向に沿って順次配置された、帯電手段2Y、2M、2C及び2Bkと、露光手段3Y、3M、3C、3Bkと、現像手段4Y、4M、4C及び4Bkと、一次転写ローラー5Y、5M、5C及び5Bkからなる一次転写手段並びに感光体1Y、1M、1C及び1Bkをクリーニングするクリーニング手段6Y、6M、6C及び6Bkより構成されている。画像形成装置110は、感光体1Y、1M、1C及び1Bkとして、上記の本発明の感光体を用いる。
画像形成ユニット10Y、10M、10C及び10Bkは、感光体1Y、1M、1C及び1Bk上に形成されるトナー像の色がそれぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒色(Bk)と異なるだけで同じ構成を有する。以下では、画像形成ユニット10Yを例にして構成を説明し、画像形成ユニット10M、10C及び10Bkについては説明を省略する。また、同様に、Y、M、C、Bkの各色毎に設けられた手段についても、用いるトナーの色が異なるのみで構成は同じであり、符号にYが付された手段を例に説明する。
画像形成ユニット10Yは、像形成体である感光体1Yの周囲に、帯電手段2Y、露光手段3Y、現像手段4Y、一次転写ローラー5Y及びクリーニング手段6Yを配置し、感光体1Y上にイエロー(Y)のトナー像を形成するものである。以下、本発明の画像形成方法に係る各工程について、それを行うための上記各手段と共に説明する。
<帯電工程・帯電手段>
帯電工程は、感光体に接触するように設けられた帯電ローラーによって感光体の表面を帯電させる工程である。画像形成装置110においては、帯電工程は帯電手段2Yにより行われる。
帯電手段2Yは、感光体1Yに対して一様な電位を与える接触帯電ローラーである。接触帯電ローラーは、オゾンが生じるなどの環境汚染が発生せず、さらには、汚れが付きにくいという利点を有する。
<露光工程・露光手段>
露光工程は、帯電工程によって一様な電位を与えられた感光体上に、画像信号に基づいて露光を行い、画像に対応する静電荷像を形成する工程である。画像形成装置110においては、露光工程は露光手段3Yにより行われる。
露光手段3Yは、帯電手段2Yによって一様な電位を与えられた感光体1Y上に、画像信号(イエロー)に基づいて露光を行い、イエローの画像に対応する静電荷像を形成する手段である。露光手段3Yとしては、感光体1Yの軸方向にアレイ状に発光素子を配列したLEDと結像素子とから構成されるもの、又は、レーザー光学系などが用いられる。
<現像工程・現像手段>
現像工程は、静電荷像を、本発明に係るトナーを含む現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。画像形成装置110においては、現像工程は現像手段4Yにより行われる。
現像手段4Yは、例えばマグネットを内蔵し現像剤を保持して回転する現像スリーブ及び感光体1Yとこの現像スリーブとの間に直流又は交流バイアス電圧を印加する電圧印加装置よりなるものである。
現像手段4Yにおいては、現像スリーブにおいて、例えば、トナーとキャリアからなる現像剤が混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転する現像スリーブの表面に保持され、磁気ブラシが形成される。感光体1Yと現像スリーブとの間には電圧印加装置により電圧が印加される。現像スリーブは、感光体1Y近傍に配置されるため、現像スリーブの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって感光体1Yの表面に移動する。その結果、静電荷像がトナーにより現像されて感光体1Yの表面にトナー像が形成される。
<転写工程・転写手段>
転写工程では、トナー像を転写材に転写する。トナー像の転写材への転写は、トナー像を転写材に剥離帯電することにより行われる。転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラーなどを用いることができる。また、転写工程は、例えば、中間転写体を用い、中間転写体上にトナー像を一次転写した後、このトナー像を転写材上に2次転写する態様の他、感光体上に形成されたトナー像を直接転写材に転写する態様などによって行うこともできる。
画像形成装置110においては、転写工程は、一次転写ローラー5Y、中間転写体70、及び二次転写ローラー5bを備える転写手段により行われる。一次転写ローラー5Yは、感光体1Y上に形成されたトナー像を無端ベルト状の中間転写体70に転写する手段であって、中間転写体70と当接するよう配置されている。
画像形成装置110においては、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkは、垂直方向に縦列配置されており、感光体1Y、1M、1C、1Bkの図示左側方には中間転写体ユニット7が配置されている。中間転写体ユニット7は、複数のローラー71、72、73、74によって巻回され、回動可能に支持された半導電性の無端ベルト状の中間転写体70と、この中間転写体70の内部に配置された一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkを備える。
画像形成装置110においては、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkによって形成された各色のトナー像は、一次転写ローラー5Y、5M、5C、5Bkにより循環移動する中間転写体70上に逐次転写されて重畳され、これによりカラートナー像が形成される。
中間転写体70上のカラートナー像は、二次転写ローラー5bを中間転写体70と当接させることで、二次転写ローラー5b上に搬送された、転写材(定着された最終画像を担持する画像支持体:例えば普通紙、透明シートなど)P上に一括して転写される。
画像形成処理中、一次転写ローラー5Bkは常時、感光体1Bkに当接されており、他の一次転写ローラー5Y、5M、5Cは、カラートナー像の形成時にのみ、それぞれ対応する感光体1Y、1M、1Cに当接される。また、二次転写ローラー5bは、二次転写が行われるときにのみ中間転写体70に当接される。
なお、画像形成装置110において、転写材Pは、給紙カセット20内に収容されている。画像形成処理に際して、転写材Pは、給紙手段21により給紙され、複数の中間ローラー22A、22B、22C、22D、レジストローラ23を経て、二次転写ローラー5b上に搬送される。
転写材としては、特に限定されず、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙又はコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができる。
<定着工程・定着手段>
定着工程は、トナー像が転写された転写材を、例えば、熱定着等により定着させる工程である。画像形成装置110においては、定着工程は定着手段24により行われる。
定着手段24は、例えば、内部に加熱源を備えた加熱ローラーと、この加熱ローラーに定着ニップ部が形成されるよう圧接された状態で設けられた加圧ローラーとにより構成されてなる熱ローラー定着方式のものが挙げられる。
上記転写工程において、カラートナー像が転写された転写材Pは、中間転写体70の曲率が高い部位で分離されて定着手段24に搬送され、当該定着手段24により定着処理され、排紙ローラー25に挟持されて機外の排紙トレイ26上に載置される。
<クリーニング工程・クリーニング手段>
転写工程後の、感光体上には、画像形成に使用されなかった又は転写されずに残ったトナーが存在する。本明細書においては、クリーニング工程は、主として、感光体から残留トナーを除去する工程をいう。クリーニング工程では、例えば、先端が感光体に当接して設けられた、感光体表面を擦過するブレード等で上記トナーが除去される。画像形成装置110においては、クリーニング工程はクリーニング手段6Yにより行われる。
クリーニング手段6Yは、例えば、先端が感光体1Yの表面に当接するよう設けられたクリーニングブレードと、このクリーニングブレードより上流側に設けられた、感光体1Yの表面に接触するブラシローラとにより構成される。クリーニングブレードは、感光体1Yに付着した残留トナーを除去する機能と共に、感光体1Yの表面を擦過する機能を有する。
ブラシローラは、感光体1Yに付着した残留トナーの除去、クリーニングブレードで除去された残留トナーの回収機能と共に、感光体1Y表面を擦過する機能を有する。すなわち、ブラシローラは、感光体1Y表面と接触し、その接触部においては、感光体1Yと進行方向が同方向に回転し、感光体1Y上の残留トナーや紙粉を除去すると共に、クリーニングブレードで除去された残留トナーを搬送し回収する。
一方、二次転写手段としての二次転写ローラー5bにより転写材Pにカラー画像を転写した後、転写材Pを曲率分離した無端ベルト状中間転写体70は、クリーニング手段6bにより残留トナーが除去される。
なお、画像形成装置110においては、画像形成ユニット10Yのうち、感光体1Y、帯電手段2Y、現像手段4Y及びクリーニング手段6Yが一体に支持されてプロセスカートリッジとして備えられており、このプロセスカートリッジはレールなどの案内手段を介して装置本体Aに対して着脱自在に構成されていてもよい。
また、画像形成ユニット10Y、10M、10C、10Bkと、中間転写体ユニット7とは、筐体8に収納されており、筐体8は、支持レール82L、82Rを介して装置本体Aから引き出し可能に構成されている。
なお、図4に示す画像形成装置110を用いて、カラーのレーザプリンタにおける画像形成方法を説明したが、本発明の画像形成方法は、モノクローのレーザプリンタやコピー機にも同様に適用可能である。また、露光光源もレーザー以外の光源、例えばLED光源を用いてもよい。
本発明においては、このような画像形成方法において、感光体として本発明の感光体を用い、トナーとして、トナー母体粒子の表面に付着される外添剤が、本発明の感光体の第2の電荷輸送層が含有する金属酸化物粒子のモース硬度よりモース硬度が高い材料を含有するトナーを用いるものである。本発明の画像形成方法は、長期間の適用においても、得られる画像の画質が維持された画像形成方法である。以下に、当該トナーについて詳細に説明する。
〔トナー〕
本発明に用いるトナーは、外添剤として、上記感光体の第2の電荷輸送層が含有する金属酸化物粒子(以下、「金属酸化物粒子L」ともいう。)のモース硬度よりモース硬度が高い材料(以下、「高硬度材料H」ともいう。)を含有する。本発明に用いるトナーは、例えば、トナー母体粒子とトナー母体粒子の表面に付着される外添剤からなり、外添剤が高硬度材料Hを含有するものである。
本発明に係るトナー母体粒子は、結着樹脂を主体として含有する粒子であり、結着樹脂の他に、例えば、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の内添剤を含有してなる。
<トナー母体粒子>
本発明に用いるトナーに係るトナー母体粒子は、結着樹脂を主体として含有する粒子であり、結着樹脂の他に、任意に、着色剤、離型剤、荷電制御剤等の内添剤を含有してなる。トナー母体粒子に使用する結着樹脂に特に制限はないが、結晶性樹脂が含まれていることが望ましい。
(結着樹脂)
本発明に係るトナー母体粒子には、結着樹脂として、非晶性樹脂と結晶性樹脂を含有することが好ましい。
〔非晶性樹脂〕
本発明に係る非晶性樹脂としては、公知の非晶性樹脂を用いることができる。その具体例としては、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、ポリエステル樹脂などが挙げられる。なかでも、環境差による変動が小さいという理由から、ビニル樹脂が好ましい。
本発明に係る非晶性樹脂とは、当該樹脂について示差走査熱量測定(DSC)を行った時に、融点を有さず、比較的高いガラス転移温度(Tg)を有する樹脂である。
結着樹脂における非晶性樹脂の含有量は、結着樹脂の全量に対して、80~95質量%の範囲内であることが好ましい。
ビニル樹脂としては、ビニル化合物を重合したものであれば特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂、エチレン-酢酸ビニル樹脂などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なお、本明細書中、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸及びメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を意味する。
上記のビニル樹脂のなかでも、熱定着時の可塑性を考慮すると、スチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂が好ましい。したがって、以下では、非晶性樹脂としてのスチレン-(メタ)アクリル酸エステル樹脂(以下、「スチレン-(メタ)アクリル樹脂」とも称する)について説明する。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、少なくとも、スチレン系単量体と(メタ)アクリル酸エステル単量体とを付加重合させて形成されるものである。ここでいうスチレン系単量体は、CH=CH-Cの構造式で表されるスチレンの他に、スチレン構造中に公知の側鎖や官能基を有する構造のものを含むものである。また、ここでいう(メタ)アクリル酸エステル単量体は、CH=CHCOOR(Rはアルキル基)で表されるアクリル酸エステル化合物やメタクリル酸エステル化合物の他に、アクリル酸エステル誘導体やメタクリル酸エステル誘導体等の構造中に公知の側鎖や官能基を有するエステル化合物を含むものである。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の形成が可能なスチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体の一例を以下に示す。
スチレン系単量体の具体例としては、例えば、スチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、p-フェニルスチレン、p-エチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン等が挙げられる。これらスチレン系単量体は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いることができる。
また、(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等が挙げられる。これら(メタ)アクリル酸エステル単量体は、単独でも又は2種以上を組み合わせても使用することができる。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂中のスチレン系単量体に由来する構成単位の含有率は、当該樹脂の全量に対し、40~90質量%であると好ましい。また、当該樹脂中の(メタ)アクリル酸エステル単量体に由来する構成単位の含有率は、当該樹脂の全量に対し、10~60質量%であると好ましい。さらに、スチレン-(メタ)アクリル樹脂は、上記スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸エステル単量体に加え、以下の単量体化合物を含んでいてもよい。
このような単量体化合物としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル等のカルボキシ基を有する化合物;2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基を有する化合物が挙げられる。これら単量体化合物は、単独でも又は2種以上を組み合わせても使用することができる。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂中の上記単量体化合物に由来する構成単位の含有率は、当該樹脂の全量に対し、0.5~20質量%であると好ましい。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10000~100000であることが好ましい。スチレン-(メタ)アクリル樹脂の製造方法は、特に制限されず、上記単量体の重合に通常用いられる過酸化物、過硫化物、過硫酸塩、アゾ化合物などの任意の重合開始剤を用い、塊状重合、溶液重合、乳化重合法、ミニエマルション法、分散重合法など公知の重合手法により重合を行う方法が挙げられる。また、分子量を調整することを目的として、一般的に用いられる連鎖移動剤を用いることができる。連鎖移動剤としては特に限定されるものではなく、例えばn-オクチルメルカプタン等のアルキルメルカプタン、メルカプト脂肪酸エステルなどを挙げることができる。
スチレン-(メタ)アクリル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、特に制限されないが、低温定着性などの定着性、並びに、耐熱保管性及び耐ブロッキング性などの耐熱性を確実に得る観点から、25~60℃であることが好ましい。
さらには、トナーの機械的強度を和らげ外添剤の埋没を抑制するために、非晶性のポリエステル樹脂(以下、単に「ポリエステル樹脂」という場合は、)を併用することが好ましい。
本発明に係るポリエステル樹脂は、多価カルボン酸(誘導体)及び多価アルコール(誘導体)を原料として適宜の触媒の存在下で重縮合反応によって製造されたものである。
多価カルボン酸とは、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。多価カルボン酸誘導体としては、多価カルボン酸のアルキルエステル、酸無水物及び酸塩化物を用いることができ、多価アルコール誘導体としては、多価アルコールのエステル化合物及びヒドロキシカルボン酸を用いることができる。
多価カルボン酸としては、例えばシュウ酸、コハク酸、マレイン酸、アジピン酸、β-メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン-3,5-ジエン-1,2-ジカルボン酸、リンゴ酸、クエン酸、ヘキサヒドロテレフタール酸、マロン酸、ピメリン酸、酒石酸、粘液酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシフェニル酢酸、p-フェニレン二酢酸、m-フェニレンジグリコール酸、p-フェニレンジグリコール酸、o-フェニレンジグリコール酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル-p,p′-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、ドデセニルコハク酸などの2価のカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、及びピレンテトラカルボン酸などの3価以上のカルボン酸などを挙げることができる。
多価カルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、メサコン酸などの不飽和脂肪族ジカルボン酸を用いることが好ましい。また、本発明においては無水マレイン酸などのジカルボン酸の無水物を用いることもできる。
多価アルコールとは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。多価アルコールとしては、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、オクタンジオール、デカンジオール、ドデカンジオール、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物などの2価のアルコール;グリセリン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、及びテトラエチロールベンゾグアナミンなどの3価以上のポリオールなどを挙げることができる。
また上記非晶性樹脂に関わらず、低温定着性の観点から結晶性樹脂を併用していてもよい。結着樹脂が非晶性樹脂と結晶性樹脂を含有する場合、得られるトナー母体粒子において、非晶性樹脂が連続相であるマトリクスを形成し、結晶性樹脂がマトリクス中に孤立・分散したドメインを形成した構成となる。
〔結晶性樹脂〕
本発明に係る結晶性樹脂としては、本技術分野における従来公知の結晶性樹脂が用いられうる。結晶性樹脂としては、結晶性ポリエステル樹脂が好ましい。
本発明に係る結晶性樹脂とは示差走査熱量測定(DSC)において、階段状の吸熱変化ではなく、明確な吸熱ピークを有する樹脂を指し示す。明確な吸熱ピークとは、具体的には示差走査熱量測定(DSC)において、例えば、昇温速度10℃/分で測定した際、吸熱ピークの半値幅が15℃以内となるピークを示すものを意味する。
当該結晶性樹脂の例には、結晶性ポリエステル樹脂及び結晶性ビニル系樹脂が含まれる。特に限定されないが、低温定着性実現のためには結晶性ポリエステル樹脂が好ましく、2価以上のカルボン酸(多価カルボン酸)と、2価以上のアルコール(多価アルコール)との重縮合反応によって得られる公知の結晶性ポリエステル樹脂を用いることができる。
結着樹脂における結晶性樹脂、例えば、結晶性ポリエステル樹脂の含有量は、結着樹脂の全量に対して、5~20質量%の範囲内であることが好ましい。結晶性樹脂の含有量が、5質量%未満であると、低温定着性が得られづらくなる。また、結晶性樹脂の含有量が、20質量%を超えるとトナー母体粒子が作製しづらい。
(結晶性ポリエステル樹脂)
結着樹脂に用いる結晶性ポリエステル樹脂については特に制限はなく、本技術分野における従来公知の結晶性ポリエステル樹脂が用いられうる。
結晶性ポリエステル樹脂の製造に用いる多価カルボン酸として、具体的には、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、n-ドデシルコハク酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、テトラダカンジオールなどの飽和脂肪族ジカルボン酸;シクロヘキサンジカルボン酸などの脂環式ジカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸などの芳香族ジカルボン酸;トリメリット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸;及びこれらカルボン酸化合物の無水物、あるいは炭素数1~3のアルキルエステルなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
結晶性ポリエステル樹脂の製造に用いる多価アルコールとして、具体的には、例えば、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-へキサンジオール、1,7-へプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,12-ドデカンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-ブテンジオールなどの脂肪族ジオール;グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどの3価以上の多価アルコールなどが挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明では、結晶性ポリエステル樹脂のドメインの観点から、結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価アルコールに由来する構造単位の主鎖の炭素数をCalcohol、結晶性ポリエステル樹脂を形成するための多価カルボン酸に由来する構造単位の主鎖の炭素数をCacidとしたとき、下記関係式(3)及び関係式(4)を満たすことが好ましい。
関係式(3):5≦|Cacid-Calcohol|≦12
関係式(4):Cacid>Calcohol
多価アルコールと多価カルボン酸のアルキル鎖の長さの差が大きくなるほど、結晶性ポリエステル樹脂が凝集しづらくなり、結晶の微分散化が可能となる。このため、|Cacid-Calcohol|が5より小さい場合には、マトリクス中に大きめのドメインが形成される。|Cacid-Calcohol|が12より大きい場合には、マトリクス中に小さめのドメインが形成される。
なお、結晶性ポリエステル樹脂の融点Tmは、65~90℃の範囲内であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂の融点Tmが、65~90℃の範囲内であれば、低温定着性を阻害することなく、また、耐熱保管性が向上する。
本発明において、結晶性ポリエステル樹脂の融点は、以下のようにして測定される値である。すなわち、示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」(パーキンエルマー社製)を用い、昇降速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第1昇温過程、冷却速度10℃/分で200℃から0℃まで冷却する冷却過程、及び昇降速度10℃/分で0℃から200℃まで昇温する第2昇温過程をこの順に経る測定条件(昇温・冷却条件)によって測定されるものである。この測定によって得られるDSC曲線に基づいて、第1昇温過程における結晶性ポリエステル樹脂に由来の吸熱ピークトップ温度を、融点(Tm)とするものである。測定手順としては、測定試料(結晶性ポリエステル樹脂)3.0mgをアルミニウム製パンに封入し、ダイヤモンドDSCサンプルホルダーにセットする。リファレンスは空のアルミニウム製パンを使用する。
(ハイブリッド樹脂)
トナー母体粒子において、マトリクス中のドメインを形成する結晶性樹脂は、ビニル系重合セグメント、例えば、スチレン-(メタ)アクリル系重合セグメントとポリエステル重合セグメントとが化学結合して形成された結晶性樹脂(単に「ハイブリッド樹脂」とも称する。)を含むことが好ましい。この際、ビニル系重合セグメント、好ましくは、スチレン-(メタ)アクリル系重合セグメントとポリエステル重合セグメントとは、両反応性単量体を介して結合された結晶性樹脂であることが好ましい。結晶性ポリエステル樹脂をビニル系重合セグメント、好ましくは、スチレン-(メタ)アクリル系重合セグメントでハイブリッド化することで、ドメインとマトリクスの界面が滑らかになり、結晶性樹脂の分散性が良好となる。
ハイブリッド樹脂を構成するビニル系重合セグメントは、ビニル系単量体を重合して得られた樹脂、例えば、スチレン-(メタ)アクリル樹脂から構成される。ここで、ビニル系単量体としては、ビニル系樹脂を構成する単量体として上述したものが同様に用いられうるため、ここでは詳細な説明を省略する。なお、ハイブリッド樹脂中におけるビニル系重合セグメントの含有量は、0.5~20質量%の範囲内であることが好ましい。
ハイブリッド樹脂を構成するポリエステル重合セグメントは、多価カルボン酸と多価アルコールとを触媒の存在下で、重縮合反応を行うことにより製造された結晶性ポリエステル樹脂から構成される。ここで、多価カルボン酸及び多価アルコールの具体的な種類については、上述した通りであるため、ここでは詳細な説明を省略する。
「両反応性単量体」とは、ポリエステル重合セグメントとビニル系重合セグメントとを結合する単量体で、分子内に、ポリエステル重合セグメントを形成するヒドロキシ基、カルボキシ基、エポキシ基、第1級アミノ基及び第2級アミノ基から選択される基と、ビニル系重合セグメントを形成するエチレン性不飽和基との双方を有する単量体である。両反応性単量体は、好ましくはヒドロキシ基又はカルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましい。さらに好ましくは、カルボキシ基とエチレン性不飽和基とを有する単量体であることが好ましい。すなわち、ビニル系カルボン酸であることが好ましい。
両反応性単量体の具体例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸、等が挙げられ、さらにこれらのヒドロキシアルキル(炭素原子数1~3個)のエステルであってもよいが、反応性の観点からアクリル酸、メタクリル酸又はフマル酸が好ましい。この両反応性単量体を介してポリエステル重合セグメントとビニル系重合セグメントとが結合される。
両反応性単量体の使用量は、トナーの低温定着性、耐高温オフセット性及び耐久性を向上させる観点から、ビニル系重合セグメントを構成するビニル系単量体の総量100質量部に対して1~10質量部が好ましく、4~8質量部がより好ましい。
ハイブリッド樹脂を製造する方法としては、既存の一般的なスキームを使用することができる。代表的な方法としては、次の三つが挙げられる。
(1)ポリエステル重合セグメントを予め重合しておき、当該ポリエステル重合セグメントに両反応性単量体を反応させ、さらに、ビニル系重合セグメント、例えば、スチレン-(メタ)アクリル樹脂を形成するためのスチレン系ビニル単量体及び(メタ)アクリル酸エステル系単量体を反応させることにより、ハイブリッド樹脂を形成する方法。
(2)ビニル系重合セグメントを予め重合しておき、当該ビニル系重合セグメントに両反応性単量体を反応させ、さらに、ポリエステル重合セグメントを形成するための多価カルボン酸及び多価アルコールを反応させることにより、ポリエステル重合セグメントを形成する方法。
(3)ポリエステル重合セグメント及びビニル系重合セグメントをそれぞれ予め重合しておき、これらに両反応性単量体を反応させることにより、両者を結合させる方法。
本発明においては、上記製造方法のうち、いずれも用いることができるが、好ましくは、上記(2)項の方法が好ましい。具体的には、ポリエステル重合セグメントを形成する多価カルボン酸及び多価アルコール、並びにビニル系重合セグメントを形成するビニル系単量体及び両反応性単量体を混合し、重合開始剤を加えてビニル系単量体と両反応性単量体を付加重合させてビニル系重合セグメントを形成した後、エステル化触媒を加えて、重縮合反応を行うことが好ましい。
ここで、ポリエステル重合セグメントを合成するための触媒としては、従来公知の種々の触媒を使用することができる。また、エステル化触媒としては、酸化ジブチルスズ、2-エチルヘキサン酸スズ(II)等のスズ化合物、チタンジイソプロピレートビストリエタノールアミネート等のチタン化合物等が挙げられ、エステル化助触媒としては、没食子酸等が挙げられる。
(着色剤)
本発明に係るトナー母体粒子は着色剤を含有することができる。着色剤としては、トナーの色に応じて、以下に示すような公知の着色剤を使用できる。トナー母体粒子に含有される着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは2~8質量部である。
イエロートナーに用いられる着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントイエロー19、同44、同77、同79、同81、同82、同93、同98、同103、同104、同112、同162、C.I.ピグメントイエロー14、同17、同74、同93、同94、同138、同155、同180、同185などが挙げられる。これらは、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特にC.I.ピグメントイエロー74が好ましい。
マゼンタトナーに用いられる着色剤としては、例えば、C.I.ソルベントレッド1、同49、同52、同58、同63、同111、同122、C.I.ピグメントレッド5、同48:1、同53:1、同57:1、同122、同139、同144、同149、同166、同177、同178、同222などが挙げられる。これらは1種単独又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも特にC.I.ピグメントレッド122が好ましい。
シアントナーに用いられる着色剤としては、例えばC.I.ピグメントブルー15:3などが挙げられる。
ブラックトナーに用いられる着色剤としては、例えばカーボンブラック、磁性体、チタンブラックなどが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えばチャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどが挙げられる。磁性体としては、例えば鉄、ニッケル、コバルトなどの強磁性金属、これら強磁性金属を含む合金、フェライト、マグネタイトなどの強磁性金属の化合物、強磁性金属を含まないが熱処理することにより強磁性を示す合金などが挙げられる。熱処理することにより強磁性を示す合金としては、例えばマンガン-銅-アルミニウム、マンガン-銅-スズなどのホイスラー合金、二酸化クロムなどが挙げられる。
(離型剤)
本発明に係るトナー母体粒子は、必要に応じて離型剤を含有することができる。
離型剤としては、例えば、ポリエチレンワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、フィッシャートロプシュワックス、ジステアリルケトンなどのジアルキルケトン系ワックス、カルナバワックス、モンタンワックス、ベヘニルベヘネート、ベヘン酸ベヘネート、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスルトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18-オクタデカンジオールジステアレート、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなどのエステル系ワックス、エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどのアミド系ワックスなどが挙げられる。
トナー母体粒子中における離型剤の含有割合としては、結着樹脂100質量部に対して2~30質量部の範囲内が好ましく、5~20質量部の範囲内がより好ましい。
(荷電制御剤)
本発明に係るトナー母体粒子には、必要に応じて荷電制御剤を添加することができる。荷電制御剤としては、種々の公知のものを使用することができる。荷電制御剤としては、水系媒体中に分散することができる公知の種々の化合物を用いることができ、具体的には、ニグロシン系染料、ナフテン酸又は高級脂肪酸の金属塩、アルコキシル化アミン、第4級アンモニウム塩化合物、アゾ系金属錯体、サリチル酸金属塩あるいはその金属錯体などが挙げられる。荷電制御剤の含有割合は、結着樹脂100質量部に対して0.1~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5~5質量部とされる。
<外添剤>
本発明に用いるトナーは、外添剤として、高硬度材料Hを含有する。本発明に係るトナーは、外添剤として高硬度材料Hのみを含んでもよく、高硬度材料H以外の成分を含んでもよい。
高硬度材料Hは、上記感光体の第2の電荷輸送層が含有する金属酸化物粒子(金属酸化物粒子L)のモース硬度よりモース硬度が高い材料であればよい。金属酸化物粒子Lの種類は上に説明したとおりであり、高硬度材料Hは、金属酸化物粒子Lの種類に応じて適宜選択される。
外添剤としての高硬度材料Hは、通常粒子の形態でトナー母体粒子に外添される。高硬度材料H粒子の形状に関しては、球状だけではなく、ルチル型結晶構造を有する酸化チタン(チタニア)に代表される針状のもの他、不定形状、紡錘形状、金平糖状、板状、鱗片状など、制限なく用いることができる。
高硬度材料H粒子の例には、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、炭化ケイ素粒子、酸化亜鉛粒子、酸化クロム粒子、酸化セリウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化タングステン粒子、酸化スズ粒子、酸化テルル粒子、酸化マンガン粒子及び酸化ホウ素粒子が含まれる。ただし、金属酸化物粒子Lのモース硬度よりモース硬度が高いことが高硬度材料H粒子の必須条件である。
金属酸化物粒子Lの種類によるが、高硬度材料Hとしては、好ましくは、シリカ(モース硬度7)、アルミナ(モース硬度8~9)、炭化ケイ素(モース硬度9)等が用いられる。
本発明に係るトナーにおける高硬度材料H粒子の含有量は、求められるトナーの性能を勘案して適宜選択される。高硬度材料H粒子の含有量は、トナー母体粒子と外添剤の総量であるトナー全量に対して0.1~1.5質量%の範囲内であることが好ましく、0.1~1.0質量%の範囲内であることがより好ましい。高硬度材料H粒子の含有量が上記範囲内であれば、高い耐フィルミング性を得ることができる。
本発明に係るトナーには、その効果を阻害しない限り、高硬度材料H粒子以外に、流動性や帯電性を改善する目的でその他の外添剤を添加することもできる。その他の外添剤としては、公知の無機粒子や有機粒子が挙げられる。高硬度材料H粒子以外に無機粒子や有機粒子を外添する場合、その量は、トナー全量に対して、0.1~10質量%程度が好ましい。
本発明に係るトナーにおいて使用する外添剤は、高硬度材料H粒子を含有する限り、1種でも2種以上でもよい。粒径の異なる外添剤の2種以上を用いてもよい。粒径が異なると外添剤としての役割は異なり、一般に、大径であるほどスペーサー効果を発揮してトナー同士の付着力を低下させ、小径であるほどトナー母体粒子の表面を被覆しやすいため流動性を底上げすることができる。
外添剤は、高硬度材料H粒子として又はその他の無機粒子としてシリカ粒子を含有することが好ましい。シリカ粒子は、ゾルゲル法によって製造されたシリカ粒子であることが好ましい。ゾルゲル法で製造されたシリカ粒子は、一般的な製造方法であるヒュームドシリカに比べて、粒度が揃う(粒度分布が狭い、即ち単分散である)ため、粒径を調整しやすく好ましい。
外添剤として用いる高硬度材料H粒子を含む無機粒子の数平均一次粒径は、3~200nmの範囲内にあるのが好ましく、5~100nmの範囲内にあるのがより好ましい。無機粒子の数平均一次粒径は、例えば、以下の方法で測定できる。
走査型電子顕微鏡(SEM)「JEM-7401F」(日本電子社製)を用いて、4万倍に拡大したトナーのSEM写真を撮影し、当該SEM写真を観察して無機粒子の一次粒子の粒径(フェレ径)を測定する。粒径の測定は、SEM画像において粒子の総数が100~200個程度となるような領域を選択して行い、その中から100個の粒子を測定し、平均値を数平均一次粒径とする。
外添剤として用いる高硬度材料H粒子を含む無機粒子は、必要に応じて、公知の表面修飾剤により表面の疎水化処理が施されていてもよい。疎水化処理により、例えば、無機粒子の表面に存在するヒドロキシ基に起因して発生する、水分吸着によるトナー母体粒子同士の付着を抑制することができる。用いる表面修飾剤は、1種でも2種以上でもよい。表面修飾に用いられる表面修飾剤としては、金属酸化物粒子Lを表面修飾する際に用いるのと同様の表面修飾剤が挙げられ、表面修飾の度合いも上記と同様にすることができる。
上記有機粒子としては、数平均一次粒径が10~2000nm程度の球形の有機粒子が含まれる。具体的には、スチレンやメチルメタクリレートなどの単独重合体やこれらの共重合体による有機粒子を使用することができる。
また、感光体とクリーニングブレードの間の摩擦力を低減させる目的で、滑剤をトナー母体粒子に外添してもよい。滑剤を外添する場合、その量は、トナー全量に対して、0.1~2.0質量%程度が好ましい。
滑剤としては、公知の脂肪酸金属塩を用いることができる。延展性の観点からモース硬度が2以下である脂肪酸金属塩が好ましく、このような脂肪酸金属塩としては、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、リチウムから選ばれる金属の塩が好ましい。
これらの中でも脂肪酸亜鉛、脂肪酸カルシウム、脂肪酸リチウム又は脂肪酸マグネシウムが特に好ましい。また、脂肪酸金属塩の脂肪酸としては、炭素数12以上22以下の高級脂肪酸が好ましい。炭素数12以上の脂肪酸を用いると遊離脂肪酸の発生を抑えることができ、また、脂肪酸の炭素数が22以下であれば、脂肪酸金属塩の融点が高くなりすぎず、良好な定着性を得ることができる。脂肪酸としては、ステアリン酸が特に好ましく、本発明に用いられる脂肪酸金属塩としては、延展性の観点から、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸リチウムが好ましく、ステアリン酸亜鉛であることがより好ましい。これらの脂肪酸金属塩は2種以上併用してもよい。
脂肪酸金属塩の数平均粒径としては、20μm以下の範囲が好ましく、2.0μm以下が特に好ましい。
<トナーの製造>
本発明に係るトナーは、上記トナー母体粒子の表面に上記外添剤を付着させることで得られる。
本発明に係るトナー母体粒子は、混練粉砕法、懸濁重合法、乳化凝集法、溶解懸濁法、ポリエステル伸長法、分散重合法等の公知の方法で製造できる。これらの中でも、乳化凝集法を採用することが好ましい。乳化凝集法によれば、粒度分布がシャープであり、粒径やトナー円形度が高度に制御されたトナー母体粒子を得ることができる。
乳化凝集法は、界面活性剤や分散安定剤によって分散された結着樹脂の微粒子(以下、「結着樹脂微粒子」ともいう。)の分散液を、トナー母体粒子に含有させる各種微粒子の分散液、例えば、着色剤の微粒子の分散液及び任意成分としての各種成分の微粒子の分散液と混合し、凝集剤を添加することによって所望のトナー母体粒子の粒径となるまで凝集させ、その後又は凝集と同時に、結着樹脂微粒子間の融着を行い、形状制御を行うことにより、トナー母体粒子を形成する方法である。
本発明に係るトナーの製造において、着色剤を含有するトナー母体粒子を乳化凝集法により製造する製造方法の一例を以下に示す。トナー母体粒子を乳化凝集法により製造する方法では、以下の(1)~(5)の工程を有し、(6)によりトナー母体粒子に外添剤を外添する。
(1)水系媒体中に着色剤微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(2)水系媒体中に、必要に応じて内添剤を含有した結着樹脂微粒子が分散されてなる分散液を調製する工程
(3)着色剤微粒子の分散液と結着樹脂微粒子の分散液とを混合して、着色剤微粒子及び結着樹脂微粒子を凝集、会合、融着させてトナー母体粒子を形成する工程
(4)トナー母体粒子の分散系(水系媒体)からトナー母体粒子を濾別し、界面活性剤などを除去する工程
(5)トナー母体粒子を乾燥する工程
(6)トナー母体粒子に外添剤を添加する工程
上記製造方法の(1)及び(2)で調製される分散液は、必要に応じて界面活性剤や分散安定剤を含んでもよい。分散液の調製は機械的エネルギーを利用して行うことができる。分散を行うための分散機としては、特に限定されるものではなく、低速せん断式分散機、高速せん断式分散機、摩擦式分散機、高圧ジェット式分散機、超音波ホモジナイザーなどの超音波分散機、高圧衝撃式分散機アルティマイザーなどが挙げられる。
また、本発明に係るトナー母体粒子において、結着樹脂が非晶性樹脂と結晶性樹脂を含有する場合、上記結着樹脂粒子の分散液として、非晶性樹脂の粒子(以下、「非晶性樹脂粒子」ともいう。)の分散液及び結晶性樹脂の粒子(以下、「結晶性樹脂粒子」ともいう。)の分散液を、非晶性樹脂粒子と結晶性樹脂粒子の割合が上に説明した割合となるように混合した分散液が用いられる。
トナー母体粒子に用いる結着樹脂粒子の粒径は、非晶性樹脂粒子及び結晶性樹脂粒子のいずれにおいても、体積基準のメジアン径で概ね50~300nmの範囲内にあることが好ましい。なお、結着樹脂粒子の体積基準のメジアン径は、電気泳動光散乱光度計、例えば、「ELS-800(大塚電子社製)」により測定できる。
上記製造方法の(3)工程では、pH調整による微粒子表面の反発力と電解質体よりなる凝集剤の添加による凝集力とのバランスを取りながら緩慢に凝集させ、平均粒径及び粒度分布を制御しながら会合を行うと同時に、加熱撹拌することで微粒子間の融着を行って形状制御を行うことにより、トナー母体粒子を形成する。
本発明に用いられる凝集剤としては、特に限定されるものではないが、金属の塩から選択されるものが好適に使用される。例えば、ナトリウム、カリウム、リチウムなどのアルカリ金属の塩などの一価の金属の塩、例えばカルシウム、マグネシウム、マンガン、銅などの二価の金属の塩、鉄、アルミニウムなどの三価の金属の塩などが挙げられ、具体的な塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化リチウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、硫酸銅、硫酸マグネシウム、硫酸マンガンなどを挙げることができる。これらの中で特に好ましくは二価の金属の塩である。二価の金属の塩を使用すると、より少量で凝集を進めることができる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(4)においては、トナー母体粒子の分散液から、水等の溶媒を用いて、トナー母体粒子を固液分離する。濾別されたトナー母体粒子を含むケーキ状の集合物から界面活性剤などの付着物を除去するための洗浄を行う。具体的な固液分離及び洗浄の方法としては、遠心分離法、アスピレータ、ヌッチェなどを使用する減圧濾過法、フィルタープレスなどを使用する濾過法などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。この際、適宜、pH調整や粉砕などを行ってもよい。このような操作は繰り返し行ってもよい。
(5)の乾燥工程で使用される乾燥機としては、オーブン、スプレードライヤー、真空凍結乾燥機、減圧乾燥機、静置棚乾燥機、移動式棚乾燥機、流動層乾燥機、回転式乾燥機、撹拌式乾燥機などが挙げられ、これらは特に限定されるものではない。なお、乾燥処理されたトナー母体粒子中のカールフィッシャー電量滴定法にて測定される水分量は、5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
本発明に係るトナー母体粒子は、当該トナー母体粒子をコア粒子として当該コア粒子とその表面を被覆するシェル層とを備えるコア・シェル構造のような多層構造のトナー母体粒子としてもよい。シェル層は、コア母体粒子の全表面を被覆していなくてもよく、部分的にコア粒子が露出していてもよい。コア・シェル構造の断面は、例えば、透過型電子顕微鏡(TEM:Transmission Electron Microscope)、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)等の公知の観察手段によって、確認することができる。
コア・シェル構造の場合は、コア粒子とシェル層でガラス転移点、融点、硬度等の特性を異ならせることができ、目的に応じたトナー母体粒子の設計が可能である。例えば、結着樹脂と金属微粒子を含有し、ガラス転移点(Tg)が比較的低いコア粒子の表面に、ガラス転移点(Tg)が比較的高い樹脂を凝集、融着させて、シェル層を形成することができる。シェル層は、非晶性樹脂を含有することが好ましい。
コア・シェル構造を有するトナー母体粒子は、例えば、上記乳化凝集法によって得ることができる。具体的にコア・シェル構造を有するトナー母体粒子は、まず、コア粒子用の結着樹脂粒子と金属微粒子の粒子を凝集、会合、融着させてコア粒子を作製し、次いで、コア粒子の分散液中にシェル層用の結着樹脂粒子を添加してコア粒子表面にシェル層用の結着樹脂粒子を凝集、融着させてコア粒子表面を被覆するシェル層を形成することにより得ることができる。任意に用いる内添剤はコア粒子に含有させることが好ましい。
また、コア粒子は、組成の異なる結着樹脂よりなる2層以上の多層構造を有するように作製してもよい。例えば3層構造を有する結着樹脂粒子を作製する場合、第1段重合(内層の形成)、第2段重合(中間層の形成)及び第3段重合(外層の形成)の3段階に分けて結着樹脂を合成する重合反応を行うことで、作製することができる。また、ここで、第1段重合~第3段重合のそれぞれの重合反応において、重合性単量体の組成を変更することで、組成の異なる3層構成の結着樹脂粒子を作製できる。また、例えば、第1段重合~第3段重合のいずれかにおいて、離型剤等の適宜の内添剤を含有した状態で結着樹脂の合成反応を行うことで、適宜の内添剤を含有する3層構成の結着樹脂粒子を形成することができる。
(トナー母体粒子の粒径)
本発明に係るトナー母体粒子の体積平均粒径は、4.5~8μmの範囲であることが好ましい。画質を向上の観点ではより小径であることが好ましいが、粒径が小さいとトナー母体粒子の付着力が高まり、流動化度は低くなり易い。トナー母体粒子の体積平均粒径が上記範囲内であれば、出力画像の画質と帯電、現像、転写、クリーニングなどの機能も両立させることができる。なお、トナー母体粒子の粒径は、5~6.2μmの範囲であれば、上記観点においてより好ましく、ドット再現性も高まるためより高画質な画像が得られる。
トナー母体粒子の体積平均粒径は、体積基準メジアン径(D50%径)として、例えば、「マルチサイザー3(ベックマン・コールター社製)」に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステム(ベックマン・コールター製)を接続した装置を用いて、前述と同様に測定、算出することができる。
測定手順としては、トナー母体粒子0.02gを、界面活性剤溶液20mLに分散させ、馴染ませた後超音波分散を1分間行い、トナー母体粒子分散液を作製する。上記界面活性剤溶液としては、例えば、界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈したものを用いるとよい。このトナー母体粒子分散液を、ISOTONII(ベックマン・コールター社製)のビーカーに測定濃度5~10%になるまで滴下していき、測定機カウントを25000個に設定して測定する。ここで、マルチサイザー3のアパチャー径は100μmのものを使用する。測定は、2~60μmの範囲を256分割しての頻度数を算出し、体積積算分率が大きい方から50%の粒径を体積基準メジアン径(D50%径)として得て、トナー母体粒子の体積平均粒径とする。
(トナー母体粒子の平均円形度)
本発明に用いるトナー母体粒子の円形度は、帯電性の安定性及び低温定着性を高める観点から、下記式(5)で示される平均円形度が0.920~1.000であることが好ましい。トナー母体粒子の円形度が上記範囲内であれば、トナー母体粒子同士の接触点が小さくなる。これにより、外力応答性が向上し流動化度が高まり好ましい。なお、この範囲にあれば転写効率も十分確保可能である。
式(5) 平均円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)
上記平均円形度を求める測定例としては、平均円形度の測定装置「FPIA-2100」(Sysmex社製)を用いた測定が挙げられる。具体的な操作としては、トナー母体粒子を界面活性剤水溶液に湿潤させ、超音波分散を1分間行って分散した後、「FPIA-2100」を用い測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3000~10000個の適正濃度で測定を行う。
(1)~(5)の工程で得られた上記トナー母体粒子の表面に(6)の工程で上記の量で上記外添剤を付着させることで本発明に係るトナーが得られる。(6)工程としては、具体的には、以下の方法が用いられる。
トナー母体粒子に対する外添剤の外添混合処理は、機械式混合装置を用いることができる。機械式混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、タービュラーミキサー等が使用できる。これらの中で、ヘンシェルミキサーのように処理される粒子に剪断力を付与できる混合装置を用いて、混合時間を長くする又は撹拌羽根の回転周速を上げる等の混合処理を行うことが好ましい。また、複数種類の外添剤を使用する場合、トナー母体粒子に対して全ての外添剤を一括で混合処理するか、又は外添剤に応じて複数回に分けて分割して混合処理してもよい。
また、外添剤の混合方法は、例えば上記機械式混合装置を用いて、混合強度、すなわち撹拌羽根の周速、混合時間、又は、混合温度等を制御することによって外添剤の解砕度合いや付着強度を制御することができる。
上記のトナーの製造方法では、上記機械式混合装置及び混合方法により、外添剤としてのチタン酸化合物粒子の解砕度合いやトナー母体粒子への付着強度を制御することができる。
(静電荷像現像用二成分現像剤)
本発明の画像形成方法において、本発明に係るトナーは、例えば、当該トナーとキャリアとを含有する、静電荷像現像用の二成分現像剤として使用することができる。二成分現像剤は、例えば、本発明に係るトナーとキャリアとを混合することにより、得ることができる。混合の際に用いられる混合装置としては特に制限されないが、例えば、ナウターミキサー、Wコーン及びV型混合機等が挙げられる。二成分現像剤中のトナーの含有量(トナー濃度)は、特に制限されないが、4.0~8.0質量%であると好ましい。
<キャリア>
キャリアは、磁性体により構成される粒子であり、公知のものを用いることができる。例えば、キャリアとしては、磁性体からなる芯材粒子の表面に樹脂被覆が施されてなる被覆型キャリア、又は、樹脂中に磁性体微粉末が分散されてなる分散型キャリアなどにより構成することができる。キャリアは、感光体に対するキャリアの付着を抑制する観点から、被覆型キャリアであることが好ましい。以下、被覆型キャリアについて説明する。
(芯材組成)
本発明で用いられるキャリア芯材(磁性体粒子)としては、鉄粉、マグネタイト、各種フェライト系粒子又はそれらを樹脂中に分散したものを挙げることができる。好ましくはマグネタイトや各種フェライト系粒子である。フェライトとしては、銅、亜鉛、ニッケル、マンガン等の重金属を含有するフェライトやアルカリ金属及び/又はアルカリ土類金属を含有する軽金属フェライトが好ましい。
また、芯材として、Srを含有することが好ましい。Srを含有することで、芯材の表面の凹凸を大きくすることができ、樹脂を被覆しても、表面が露出しやすくなり、キャリアの抵抗を調整しやすくなる。
(芯材形状)
芯材の形状係数(SF-1)としては、110~150が好ましい。上記Srの量でも変えることは可能であるが、後述の製造過程の焼結温度を変えることでも調整は可能である。ここで、芯材粒子の形状係数(SF-1)とは、下記式(6)により算出される数値である。
式(6) SF-1=(芯材粒子の最大長)/(芯材粒子の投影面積)×(π/4)×100
芯材粒子のSF-1の測定にあたっては、キャリアを準備するが、キャリア単体でなく二成分現像剤である場合には、前準備を行う。ビーカーに、二成分現像剤、少量の中性洗剤、純水を添加してよくなじませ、ビーカー底に磁石を当てながら上澄み液を捨てる。さらに、純水を添加し上澄み液を捨てることで、トナー及び中性洗剤を除くことで、キャリアのみを分離する。40℃にて乾燥し、キャリア単体を得る。
続いて、樹脂被覆層を除去するために被覆樹脂層を溶媒にとかして除去する。キャリア2gを20mLのガラス瓶に投入し、次に、ガラス瓶にメチルエチルケトン15mL投入し、ウェーブロータで10分間撹拌し、溶媒にて樹脂被覆層を溶解させる。磁石を用いて溶媒を除去し、さらにメチルエチケトン10mLにて芯材を3回洗浄する。洗浄した芯材を乾燥し、芯材を得る。本発明における芯材とは、この前処理を行った後の粒子を指すものとする。
芯材を、走査型電子顕微鏡により、150倍にてランダムに100個以上の粒子の写真を撮影し、スキャナーにより取り込んだ写真画像を、画像処理解析装置LUZEX AP((株)ニレコ)を用いて測定した。数平均粒径は水平方向フェレ径の平均値として算出し、形状係数は、式(6)によって算出される形状係数SF-1の平均値によって算出される値とする。
(芯材粒径と磁化)
粒径としては、体積平均粒径で10~100μm、好ましくは20~80μmである。更に磁性体自体が有する磁化特性としては、飽和磁化で2.5×10-5~15.0×10-5Wb・m/kgGが好ましい。磁性体粒子の体積平均粒径は、湿式分散器を備えてなるレーザー回折式粒度分布測定装置「HELOS」(シンパティック社製)により測定される体積基準の平均粒径である。飽和磁化は、「直流磁化特性自動記録装置3257-35」(横河電気株式会社製)により測定される。
(芯材作製法)
原材料を適量秤量した後、湿式メディアミル、ボールミル又は振動ミル等で好ましくは0.5時間以上、より好ましくは1~20時間粉砕混合する。このようにして得られた粉砕物を、加圧成型機等を用いてペレット化した後、好ましくは700~1200℃の温度で、好ましくは0.5~5時間仮焼成する。
加圧成型機を使用せずに、粉砕した後、水を加えてスラリー化し、スプレードライヤーを用いて粒状化してもよい。仮焼成後、さらにボールミル又は振動ミル等で粉砕した後、水、及び必要に応じ分散剤、ポリビニルアルコール(PVA)等のバインダー等を添加して粘度調整をして造粒して、本焼成が行われる。本焼成の温度は、好ましくは1000~1500℃の温度であり、本焼成の時間は、好ましくは1~24時間である。仮焼成後に粉砕する際は、水を加えて湿式ボールミルや湿式振動ミル等で粉砕してもよい。
上記のボールミルや振動ミル等の粉砕機は特に限定されないが、原料を効果的かつ均一に分散させるために、使用するメディアに1cm以下の粒径を有する微細なビーズを使用することが好ましい。また、使用するビーズの径、組成、粉砕時間を調整することによって、粉砕度合いをコントロールすることができる。
このようにして得られた焼成物を、粉砕し、分級する。分級方法としては、既存の風力分級法、メッシュ濾過法、沈降法等を用いて所望の粒径に粒度調整する。
その後、必要に応じて、表面を低温加熱することで酸化皮膜処理を施し、抵抗調整を行うことができる。酸化被膜処理は、一般的なロータリー式電気炉、バッチ式電気炉等を用い、例えば300~700℃で熱処理を行うことができる。この処理によって形成された酸化被膜の厚さは、0.1nm~5μmであることが好ましい。酸化被膜の厚さを上記範囲とすることで、酸化被膜層の効果が得られ、高抵抗になりすぎず所望の特性を得やすく好ましい。必要に応じて、酸化被膜処理の前に還元を行ってもよい。また、分級の後、さらに磁力選鉱により低磁力品を分別してもよい。
(被覆樹脂)
キャリアの被覆層形成に好適な樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリエチレン、クロルスルホン化ポリエチレン等のポリオレフィン系樹脂;ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート等のポリアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルエーテル、ポリビリケトン等のポリビニル及びポリビニリデン系樹脂;塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体やスチレンアクリル酸共重合体等の共重合体;オルガノシロキサン結合からなるシリコーン樹脂又はその変成樹脂(例えばアルキッド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン等による変成樹脂);ポリテトラクロルエチレン、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリクロルトリフルロルエチレン等のフッ素樹脂;ポリアミド;ポリエステル;ポリウレタン;ポリカーボネート;尿素-ホルムアルデヒド樹脂等のアミノ樹脂;エポキシ樹脂等である。
なお、好ましいのは、ポリアクリレート樹脂で、中でも脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物を含む単量体を重合させて得られるものである。かような構成単位を含むことで、被覆材の疎水性が高くなり、特に高温高湿下においてキャリア粒子の水分吸着量が減少する。ゆえに、高温高湿下でのキャリアの帯電量の低下が抑制される。また、当該構成単位は剛直な環状骨格を有するため、被覆材の膜強度が向上し、キャリアの耐久性が良好となる。また、脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物とメタクリル酸メチルの共重合体がさらに好ましい。メタクリル酸メチルを用いることで、膜強度がより一層高くなるためである。
脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物は、機械的強度、帯電量の環境安定性(帯電量の環境差が小さい)、重合容易性及び入手容易性の観点から、炭素数5~8のシクロアルキル基を有することが好ましい。脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物は、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘプチル及び(メタ)アクリル酸シクロオクチルからなる群より選択される少なくとも1つであることが好ましい。中でも、機械的強度及び帯電量の環境安定性の観点から、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルを含むことが好ましい。
樹脂中、脂環式(メタ)アクリル酸エステル化合物由来の構成単位の含有量は、10~100質量%であることが好ましく、20~100質量%であることがより好ましい。かような範囲であれば、キャリアの帯電量の環境安定性及び耐久性が一層向上する。
コア粒子に対する樹脂の添加部数としては、1部以上5部以下が好ましい。1.5部以上4部以下がさらに好ましい。少なすぎると、帯電量を保持しづらくなる。また、多い場合には抵抗が高くなりすぎる。
(被覆(コート)方法)
被覆層の具体的作製法としては、湿式コート法、乾式コート法が挙げられる。以下に各方法について述べるが、乾式コート法は本発明に適用するのに特に望ましい方法である。
湿式コート法としては、下記のものがある。
(1)流動層式スプレーコート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液を、流動層を用いて磁性体粒子の表面にスプレー塗布し、次いで乾燥して被覆層を作製する方法。
(2)浸漬式コート法
被覆用樹脂を溶剤に溶解した塗布液中に、磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで乾燥して被覆層を作製する方法。
(3)重合法
反応性化合物を溶剤に溶解した塗布液中に、磁性体粒子を浸漬して塗布処理し、次いで熱等を加えて重合反応を行い、被覆層を作製する方法等を挙げることができる。
乾式コート法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。被覆しようとする粒子の表面に樹脂粒子を被着させ、その後機械的衝撃力を加えて、被覆しようとする粒子表面に被着した樹脂粒子を溶融或いは軟化させて固着し被覆層を作製する方法である。キャリア芯材、樹脂及び低抵抗微粒子等を非加熱下、もしくは加熱下で機械的衝撃力が付与できる高速撹拌混合機を用い、高速撹拌して当該混合物に衝撃力を繰り返して付与し、磁性体粒子の表面に溶解あるいは軟化させて固着したキャリアを作製するのである。
被覆(コート)条件として、加熱する場合には、80~130℃が好ましく、衝撃力を起こす風速としては、加熱中は10m/s以上が好ましく、冷却時にはキャリア粒子同士の凝集を抑制するため5m/s以下が好ましい。衝撃力を付与する時間としては、20~60分が好ましい。
前述した、樹脂の被覆工程もしくは被覆後の工程において、キャリアにストレスを加えることで芯材の凸部の樹脂を剥がし、芯材を露出させる手法について説明する。乾式コート法での樹脂被覆工程においては、加熱温度を60℃以下に低温化しつつ、冷却時の風速を高速せん断にすることで樹脂はがれを生じさせることが出来る。また、被覆後の工程としては、強制撹拌できる装置であれば可能であり、例えば、タービュラー、ボールミル、振動ミルなどで撹拌混合することが挙げられる。
次に、前述した、被覆樹脂に熱及び衝撃を加えることで凸部表面にある樹脂を凹部側に移動させることで芯材を露出させる手法としては、衝撃力を付与する時間を長くとることが有効となる。具体的には、1時間半以上にすることが好ましい。
(抵抗)
キャリアの抵抗は1.0×10~1.0×1011Ω・cmであることが好ましく、より好ましくは1.0×10~5.0×1010Ω・cmである。抵抗が低すぎる場合、二成分現像剤としての帯電した電荷がリークしやすくなる。また、抵抗が高いすぎる場合は、現像器内での撹拌時に帯電の立ち上がりが悪くなり易い。
本発明においてキャリアの抵抗とは初期のキャリアの抵抗を示し、そのキャリアの使用開始時の二成分現像剤からトナーを分離したキャリアの抵抗のことである。抵抗測定は、後述する抵抗測定方法により行う。本発明におけるキャリア抵抗とは、磁気ブラシによる現像条件下に動的に測定される抵抗である。感光体ドラムと同寸法のアルミ製電極ドラムを感光体ドラムに置き換え、現像スリーブ上にキャリア粒子を供給して磁気ブラシを形成させ、この磁気ブラシを電極ドラムと摺擦させ、このスリーブとドラムとの間に電圧(500V)を印加して両者間に流れる電流を測定することにより、キャリアの抵抗を下記式により求めた。
DVR(ΩCM)=(V/I)×(N×L/Dsd)
DVR:キャリア抵抗(Ωcm)
V:現像スリーブとドラム間の電圧(V)
I:測定電流値(A)
N:現像ニップ幅(cm)
L:現像スリーブ長(cm)
DSD:現像スリーブとドラム間距離(cm)
本発明においては、V=500V、N=1cm、L=6cm、Dsd=0.6mmにて測定を行うものとする。
(キャリアの粒径)
キャリアの体積平均粒径としては10~100μmであることが好ましく、更に好ましくは20~80μmである。キャリアの体積平均粒径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザー回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「部」又は「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量部」又は「質量%」を表す。
[感光体]
以下の方法で図2に示す感光体1Bの層構成と同様の層構成の感光体1~9(本発明)を製造した。また、比較例として、第2電荷輸送層を有しない感光体10、層構成は、図2に示す感光体1Bの層構成と同様の構成であるが、第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層の関係が本発明の範囲外である感光体11~13を製造した。各感光体の製造において、第1電荷輸送層又は第2電荷輸送層の形成には、表Iに製品名、製造元、種類及びTgを示す市販品の熱可塑性樹脂を用いた。
Figure 2022112543000002
<感光体1の製造>
(導電性支持体の作製)
ドラム状のアルミニウム支持体(外径30mm)の表面を切削加工して導電性支持体を作製した。
(中間層の形成)
中間層用バインダー樹脂として下記式(N-1)で表されるポリアミド樹脂の1質量部を、エタノールとn-プロピルアルコールとテトラヒドロフランの混合溶媒(体積比=45:20:35)20質量部に加え、撹拌して溶解させた。その後、質量比で5%のメチルハイドロジェンポリシロキサンによって表面修飾をしたルチル型酸化チタン粒子(数平均一次粒径;50nm)4.2質量部を混合し、この混合液をビーズミル及び平均粒径0.5mmのジルコニアビーズを用い、充填率80%、周速設定4m/sec、ミル滞留時間3時間の条件で分散することにより、中間層形成用塗布液を調製した。
この中間層形成用塗布液を、濾過精度5μmのポリプロピレン製の濾材を用いたフィルターによって濾過し、これを、上記の導電性支持体を洗浄した後の外周面に浸漬塗布法によって塗布し、120℃で20分間乾燥することにより、導電性支持体上に乾燥層厚2μmの中間層を形成した。
Figure 2022112543000003
(電荷発生層の形成)
次いで、下記成分を混合し、サンドミル分散機を用いて分散することにより、電荷発生層形成用塗布液を調製した。
〔電荷発生層形成用塗布液成分〕
・Y-チタニルフタロシアニン 20質量部
(Cu-Kα特性X線によるX線回折のスペクトルでブラッグ角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシン顔料)
・ポリビニルブチラール(「BX-1」(積水化学(株)製)) 10質量部
・メチルエチルケトン 700質量部
・シクロヘキサノン 300質量部
調製した電荷発生層形成用塗布液を浸漬塗布法によって中間層上に塗布して、乾燥層厚0.3μmの電荷発生層を形成した。
(第1電荷輸送層の形成)
次いで、下記成分を混合し、溶解させることにより、第1電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
〔第1電荷輸送層形成用塗布液成分〕
・下記式(CTM)で表される電荷輸送物質 50質量部
・樹脂A 100質量部
・酸化防止剤(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール) 8質量部
・テトラヒドロフラン/トルエン(体積比8/2) 750質量部
・シリコーンオイル「KF-96」(信越化学工業(株)製) 0.5質量部
Figure 2022112543000004
調製した第1電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法によって電荷発生層上に塗布し、乾燥膜厚20μmの第1電荷輸送層を形成した。
(第2電荷輸送層の形成)
次いで、下記第2電荷輸送層形成用塗布液成分1を、サンドミルを用いて10時間分散混合した後、これに下記第2電荷輸送層形成用塗布液成分2を加え混合撹拌して溶解させることにより、第2電荷輸送層形成用塗布液を調製した。
(第2電荷輸送層形成用塗布液成分1)
・式(CTM)で表される電荷輸送物質 50質量部
・シリカ粒子2(ヘキサメチルジシラザン(HMDS)表面修飾、数平均一次粒子径;40nm) 20質量部
・樹脂B 100質量部
・テトラヒドロフラン/トルエン(体積比8/2) 750質量部
なお、シリカ粒子2のモース硬度は7である。
(第2電荷輸送層形成用塗布液成分2)
・シリコーンオイル「KF-96」(信越化学工業(株)製) 0.5質量部
・酸化防止剤(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール) 8質量部
・式(CTM)で表される電荷輸送物質 50質量部
第2の電荷輸送層形成用塗布液を浸漬塗布法によって、第1電荷輸送層上に塗布し、120℃で70分間乾燥することにより、乾燥層厚15μmの第2電荷輸送層を形成した。
<感光体2~9及び感光体10~13(比較例)の製造>
感光体2~13において、導電体支持体、中間層及び電荷発生層については、感光体1と同様に作製した。第1電荷輸送層及び第2電荷輸送層については、表IIのとおり、熱可塑性樹脂の種類、溶媒の種類、膜厚、金属酸化物を変更した以外は感光体1と同様に作製した。
なお、表IIの溶媒種類欄の「THF」はテトラヒドロフランを示す。「THF/Toluene」は、テトラヒドロフラン/トルエン(体積比8/2)の混合溶媒を示す。「DMF」はN,N-ジメチルホルムアミド、「NMP」は、N-メチルピロリドンを示す。
また、表IIの金属酸化物欄の酸化亜鉛粒子1は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面修飾された、数平均一次粒子径が30nmの酸化亜鉛粒子であり、そのモース硬度は5である。アルミナ粒子2は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面修飾された、数平均一次粒子径が30nmのアルミナ粒子であり、そのモース硬度は9である。
得られた感光体1~13を用いて、各感光体が有する第2電荷輸送層の弾性変形率を上記の方法で測定した。結果を併せて表IIに示す。
Figure 2022112543000005
[画像形成方法;感光体の評価]
上記で得られた感光体1~13及び以下に示すトナー1~3を用いて画像形成を行い感光体及び画像形成方法の評価を行った。
<トナー1~3の製造>
(結着樹脂微粒子分散液及び着色剤微粒子分散液の調製)
トナー1の製造に用いる結着樹脂微粒子の分散液として、以下の方法により、スチレンアクリル樹脂微粒子分散液及び結晶性ポリエステル微粒子分散液を調製した。また、着色剤微粒子分散液を調製した。
〔スチレンアクリル樹脂微粒子分散液1の調製〕
(第一段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム4質量部及びイオン交換水3000質量部を仕込み、窒素気流下230rpmの撹拌速度で撹拌しながら、内温を80℃に昇温させた。昇温後、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させたものを添加し、液温75℃とし、以下の組成の単量体混合液1を1時間かけて滴下後、75℃にて2時間加熱・撹拌しながら重合を行うことにより、樹脂粒子[1]の分散液を調製した。
(単量体混合液1)
・スチレン 584質量部
・アクリル酸n-ブチル 160質量部
・メタクリル酸 56質量部
(第二段重合)
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、ポリオキシエチレン(2)ドデシルエーテル硫酸ナトリウム2質量部をイオン交換水3000質量部に溶解させた溶液を仕込み、80℃に加熱後、上記の樹脂粒子[1]42質量部(固形分換算)、マイクロクリスタリンワックス「HNP-0190」(日本精蝋社製)70質量部を、以下の組成の単量体溶液2に80℃にて溶解させた溶液を添加し、循環経路を有する機械式分散機「CLEARMIX」(エム・テクニック社製)により、1時間混合分散させることにより、乳化粒子(油滴)を含む分散液を調製した。
(単量体混合液2)
・スチレン 239質量部
・アクリル酸n-ブチル 111質量部
・メタクリル酸 26質量部
・n-オクチルメルカプタン 3質量部
次いで、上記で得られた分散液に、過硫酸カリウム5質量部をイオン交換水100質量部に溶解させた開始剤溶液を添加し、この系を80℃にて1時間にわたって加熱・撹拌して重合を行うことにより、樹脂粒子[2]の分散液を調製した。
(第三段重合)
上記の樹脂粒子[2]の分散液に、さらに、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水200質量部に溶解させた溶液を添加し、80℃の温度条件下に、以下の組成の単量体溶液3を1時間かけて滴下した。滴下終了後、2時間にわたって加熱・撹拌することにより重合を行った後、28℃まで冷却することにより、スチレンアクリル樹脂微粒子分散液1を得た。
(単量体混合液3)
・スチレン 380質量部
・アクリル酸n-ブチル 132質量部
・メタクリル酸 39質量部
・n-オクチルメルカプタン 6質量部
〔結晶性ポリエステル微粒子分散液1の調製〕
(結晶性ポリエステルの合成)
ポリエステル重合セグメントの材料として、多価カルボン酸化合物のセバシン酸(分子量202.25)220質量部と、多価アルコール化合物の1,12-ドデカンジオール(分子量202.33)298質量部を、窒素導入管、脱水管、撹拌器及び熱電対を装備した反応容器に入れ、160℃に加熱し、溶解させた。その後、2-エチルヘキサン酸スズ(II)2.5質量部、没食子酸0.2質量部を加えて210℃に昇温し、8時間反応を行った。さらに8.3kPaにて1時間反応を行い、結晶性ポリエステルを得た。
得られた結晶性ポリエステルは示差走査熱量計「ダイヤモンドDSC」((株)パーキンエルマー社製)を用い、昇温速度10℃/minの条件でDSC曲線を取得した。吸熱ピークトップ温度を測定する手法による融点(Tm)の測定結果は82.8℃であり、また、GPC「HLC-8120GPC」(東ソー社製)による分子量を測定の結果、標準スチレン換算の重量平均分子量Mwは28000であった。
(結晶性ポリエステル微粒子分散液の作製)
上記結晶性ポリエステルを100質量部、酢酸エチル400質量部に溶解させた。次いで、5.0質量%の水酸化ナトリウム水溶液25質量部を添加して、樹脂溶液を調製した。この樹脂溶液を、撹拌装置を有する容器へ投入し、樹脂溶液を撹拌しながら、0.26質量%のラウリル硫酸ナトリウム水溶液638質量部を30分間かけて滴下混合した。ラウリル硫酸ナトリウム水溶液の滴下途中、反応容器内の液が白濁し、さらに、ラウリル硫酸ナトリウム水溶液を全量滴下後、樹脂溶液粒子を均一に分散させた乳化液が調製された。次いで、上記乳化液を40℃に加熱し、ダイヤフラム式真空ポンプ「V-700」(BUCHI社製)を使用して、150hPaの減圧下で酢酸エチルを蒸留除去することにより、結晶性ポリエステル微粒子分散液1を得た。
〔着色剤微粒子分散液1の調製〕
n-ドデシル硫酸ナトリウム11.5質量部をイオン交換水160質量部に溶解させた溶液を撹拌しながら、当該溶液中に銅フタロシアニン24.5質量部を徐々に添加した。次いで、撹拌装置「クレアミックスWモーション CLM-0.8」(エム・テクニック(株)製)を用いて分散処理を行うことにより、体積基準のメジアン径が126nmである着色剤微粒子分散液1を調製した。
(トナー母体粒子の作製)
〔凝集・融着工程〕
撹拌装置、温度センサー、冷却管及び窒素導入装置を取り付けた反応容器に、スチレンアクリル樹脂微粒子分散液1の300質量部(固形分換算)と、結晶性ポリエステル微粒子分散液1の60質量部(固形分換算)と、イオン交換水1100質量部と、着色剤微粒子分散液1の40質量部(固形分換算)とを仕込み、液温を30℃に調整した後、5Nの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpHを10に調整した。
次いで、塩化マグネシウム60質量部をイオン交換水60質量部に溶解した水溶液を、撹拌下、30℃にて10分間かけて添加した。3分間保持した後に昇温を開始し、この系を60分間かけて85℃まで昇温し、85℃を保持したまま凝集し粒子成長反応を継続した。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)にて凝集粒子の粒径を測定し、体積基準のメジアン径が6.5μmになった時点で、塩化ナトリウム40質量部をイオン交換水160質量部に溶解した水溶液を添加して粒子成長を停止させ、さらに、熟成工程として液温度80℃にて1時間にわたって加熱撹拌することにより粒子間の融着を進行させ、これにより、トナー母体粒子1の分散液を調製した。
〔洗浄・乾燥工程〕
生成したトナー母体粒子1の分散液をバスケット型遠心分離機「MARKIII 型式番号60×40+M」((株)松本機械製作所製)で固液分離し、トナー母体粒子1のウェットケーキを形成した。このウェットケーキを、前記バスケット型遠心分離機で濾液の電気伝導度が5μS/cmになるまで40℃のイオン交換水で洗浄し、その後「フラッシュジェットドライヤー」((株)セイシン企業製)に移し、水分量が0.5質量%となるまで乾燥することにより、トナー母体粒子1を作製した。
(トナー1~3の作製)
上記のようにして作製した「トナー母体粒子1」に、表IIIに示す組成の外添剤1~3をそれぞれ添加した。表III中、シリカ粒子1は、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)で表面修飾された、数平均一次粒子径が80nmのシリカ粒子であり、そのモース硬度は7である。アルミナ粒子1は、イソブチルトリメトキシシランで表面修飾された、数平均一次粒子径が13nmのアルミナ粒子であり、そのモース硬度は9である。
次いで、ヘンシェルミキサー型式「FM20C/I」(日本コークス工業(株)製)に添加し、羽根先端周速が50m/sとなるようにして回転数を設定して20分間撹拌し、トナー母体粒子1の表面に上記外添剤1~3がそれぞれ付着したトナー1~3(シアントナー)を作製した。
また、外添剤混合時の品温は40℃±1℃となるように設定し、41℃になった場合は、ヘンシェルミキサーの外浴に冷却水を5L/分の流量で冷却水を流し、39℃になった場合は、1L/分となるように冷却水を流すことでヘンシェルミキサー内部の温度制御を実施した。
Figure 2022112543000006
(二成分現像剤の作製)
上記のようにして作製したトナー1~3について、それぞれシクロヘキシルメタクリレートとメチルメタクリレートの共重合樹脂(モノマー質量比=1:1)を被覆した体積平均粒径30μmのフェライトキャリアを用い、配合比をキャリア100質量部に対してトナー6質量部とし、常温常湿環境(温度20℃、湿度50%RH)下で、Vブレンダに添加した。Vブレンダの回転数を20rpm、撹拌時間を20分としてトナーとキャリアを混合した。さらに混合物を目開き125μmのメッシュで篩い分けて二成分現像剤1~3(以下、「現像剤1~3」)を作製した。
[評価]
市販のカラー複合機「bizhub C650i」(コニカミノルタ社製)に上記感光体1~13を設置し、各感光体に対して現像剤1~3から表IVに示すトナー番号のトナーを含有する現像剤(シアントナー含有現像剤)を組み合わせて用いて、常温常湿環境(温度20℃、湿度50%RH)で、A4紙にカバレッジ5%の文字チャートを30万枚印字する画像形成試験を行った。画像形成試験後、以下のとおり耐摩耗性、耐クラック性及び耐フィルミング性の評価を行った。結果を、用いた感光体の電荷輸送層の構成及びトナーの外添剤特性とともに表IVに示す。
なお、感光体は、シアン用の感光体のみを感光体1~13として試験を行い、トナーについても上記シアントナーを含有する現像剤のみを用いて、シアン単色文字チャートを上記条件で印字した。
<耐摩耗性>
上記画像形成試験後、試験に用いた感光体の減耗量をα値[μm/10万回転]として算出して耐摩耗性を評価した。α値が1.2以下であれば実用上問題なく、0.7以下であるとさらに良好である。
<耐クラック性>
上記画像形成試験後、ベタ画像シアン単色を出力し画像を確認した。加えて試験に用いた感光体の表面を観察し、目視にてクラックの有無を観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎:画像に異常なく、クラックの発生も無い。
〇:画像に異常ないが、感光体表面にクラックが軽微に発生した(実用上問題なし)。
×:画像に白抜けが発生し、感光体表面もクラックが発生した(実用上問題あり)。
<耐フィルミング性>
上記記画像形成試験後、ベタ画像シアン単色を出力し画像を確認した。加えて試験に用いた感光体の表面を観察し、目視にてフィルミングの有無を観察し、以下の基準で評価した。
(評価基準)
◎:画像に異常なく、フィルミングの発生も無い。
〇:画像に異常ないが、感光体表面にフィルミングが軽微に発生した(実用上問題なし)。
×:画像に白抜けが発生し、感光体表面もフィルミングが発生した(実用上問題あり)。
Figure 2022112543000007
表IVから分かるように、本発明の感光体は、接触帯電用の電子写真感光体として用いた際に、耐摩耗性及び耐クラック性に優れるとともにフィルミングの発生を抑制できる。また、本発明の感光体を用いた本発明の画像形成方法によれば、より顕著な効果が得られる。
101 導電性支持体
102 電荷発生層
103 電荷輸送層
103a 第1電荷輸送層
103b 第2電荷輸送層
104 中間層
110:画像形成装置
1A、1B、1Y、1M、1C、1Bk 感光体
2Y、2M、2C、2Bk 帯電手段
3Y、3M、3C、3Bk 露光手段
4Y、4M、4C、4Bk 現像手段
5Y、5M、5C、5Bk 一次転写ローラー
5b 二次転写ローラー
6Y、6M、6C、6Bk、6b クリーニング手段
7 中間転写体ユニット
8 筐体
10Y、10M、10C、10Bk 画像形成ユニット
20 給紙カセット
21 給紙手段
22A、22B、22C、22D 中間ローラー
23 レジストローラ
24 定着手段
25 排紙ローラー
26 排紙トレイ
70 中間転写体
71、72、73、74 ローラー
82L、82R 支持レール
A 本体
SC 原稿画像読み取り装置
P 転写材

Claims (6)

  1. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、第1電荷輸送層と、第2電荷輸送層とがこの順に積層された接触帯電用の電子写真感光体であって、
    前記第1電荷輸送層がガラス転移温度Tg1の第1の熱可塑性樹脂を含有し、前記第2電荷輸送層がガラス転移温度Tg2の第2の熱可塑性樹脂と金属酸化物粒子を含有し、前記Tg2は180℃超であり、かつ前記Tg1より高い温度であることを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記第1電荷輸送層の膜厚L1と前記第2電荷輸送層の膜厚L2の関係が下記式(1)で表されることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
    式(1) 10μm≦L2<L1
  3. 前記第2電荷輸送層の弾性変形率が、40%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記金属酸化物粒子が、シリカ粒子であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の電子写真感光体。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電子写真感光体を用いた画像形成方法であって、
    前記電子写真感光体に接触するように設けられた帯電ローラーによって前記電子写真感光体の表面を帯電させる帯電工程及びトナー母体粒子と前記トナー母体粒子の表面に付着される外添剤とを含有する静電荷像現像用トナーを用いて現像が行なわれる現像工程を有し、
    前記外添剤が、前記金属酸化物粒子のモース硬度よりモース硬度が高い材料を含有することを特徴とする画像形成方法。
  6. 前記金属酸化物粒子がシリカ粒子であり、前記材料がアルミナであることを特徴とする請求項5に記載の画像形成方法。
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