JP2022111406A - 燃料電池の活性化方法と燃料電池活性化システム - Google Patents

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Abstract

【課題】本開示は、燃料電池の電極に吸着された芳香族カルボニル化合物を電極から脱離させることによって、燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池の活性化方法を提供する。【解決手段】本開示における燃料電池の活性化方法は、電解質膜-電極-枠体接合体と、電極との間に反応ガスを流すためのガス流路が形成され電解質膜-電極-枠体接合体の両外側に配置された一対の板状のセパレータと、電極を囲むように配置され電解質膜-電極-枠体接合体とセパレータとの両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材と、を有し、シール部材が、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する燃料電池の活性化方法であって、ガス流路に芳香族カルボニル化合物をヒドリド還元するヒドリド還元剤を供給する。【選択図】図1

Description

本開示は、燃料電池の活性化方法と燃料電池活性化システムに関する。
特許文献1は、燃料電池の特性を回復させることができる燃料電池の特性回復方法を開示する。この燃料電池の特性回復方法は、燃料電池のアノードとカソードとの少なくとも一方の電極に、高加湿ガスや水を供給して、燃料電池内部に蓄積した不純物を除去する。
特開2008-235093号公報
本開示は、燃料電池の電極に吸着された芳香族カルボニル化合物を電極から脱離させることによって、燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池の活性化方法と燃料電池活性化システムを提供する。
本開示における燃料電池の活性化方法は、電解質膜-電極-枠体接合体と、一対の板状のセパレータと、電極を囲むように配置され枠体とセパレータとの両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材と、を有し、シール部材が、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する燃料電池の活性化方法である。
ここで、電解質膜-電極-枠体接合体は、高分子電解質膜と、高分子電解質膜を挟んで両主面に配置された一対の電極と、電極が露出するように高分子電解質膜の外周領域上に配置された環状の枠体と、を備えるものであり、一対の板状のセパレータは、電極との間に反応ガスを流すためのガス流路が形成され電解質膜-電極-枠体接合体の両外側に配置されるものである。
そして、本開示における燃料電池の活性化方法の特徴は、ガス流路に、芳香族カルボニル化合物をヒドリド還元するヒドリド還元剤を、供給することである。
本開示における燃料電池の活性化方法は、セパレータのガス流路にヒドリド還元剤を供給することによって、電極に吸着された芳香族カルボニル化合物を、アルコールに還元することができるので、芳香族カルボニル化合物を電極から脱離させて、燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる。
実施の形態1における燃料電池活性化システムの概略構成図 実施の形態1における燃料電池活性化システムの動作を示すフローチャート 実施の形態2における燃料電池活性化システムの概略構成図 実施の形態2における燃料電池活性化システムの動作を示すフローチャート
(本開示の基礎となった知見等)
発明者らが本開示に想到するに至った当時、電解質膜として高分子電解質膜を用いた電解質膜-電極-枠体接合体を、反応ガスを流すためのガス流路が形成されたセパレータで挟持する燃料電池において、電解質膜-電極-枠体接合体の外周部と、セパレータの外周部との間にシール部材を配置して、燃料電池に供給する反応ガスが燃料電池外部へリークすることを抑制する技術があった。
この技術は、アノード及びカソードにそれぞれ備えられる電極の触媒作用によって、燃料電池に供給する水素含有ガスと空気との電気化学反応を効率よく進めるものであった。
しかしながら、特に燃料電池組立直後において、燃料電池構成部材から放出される不純物が電極に吸着されて電極に含まれる触媒に付着し、反応ガスである燃料ガスと酸化剤ガスとの電気化学反応を阻害し、発電電圧を低下させていた。
そのため、燃料電池組立後に、電極に高加湿ガスや水を供給することで、電極に吸着された不純物を除去する工程を設け、燃料電池の発電性能を向上させていた。
そうした状況において、発明者らは、燃料電池構成部材から放出される不純物の同定と発生源の探索を行った。
そして、発明者らは、シール部材の製造過程において、シール部材であるゴムの架橋剤として有機過酸化物架橋剤の一種を使用すると、シール部材に架橋剤分解生成物である芳香族カルボニル化合物が残留し、シール部材は芳香族カルボニル化合物を放出していることを見出した。
また、シール部材が放出する芳香族カルボニル化合物は、セパレータに形成されたガス流路や電解質膜-電極-枠体接合体の電極の内部空間を浮遊する。そして、芳香族カルボニル化合物はカルボニル基を有するため、電極の内部空間に露出する触媒に付着することで、電気化学反応を阻害して発電電圧を低下させる課題があることを見出した。
また、電極にヒドリド還元剤を供給することで、電極に吸着されて触媒に付着した芳香族カルボニル化合物をヒドリド還元してアルコールに変えることにより、芳香族カルボニル化合物を電極から脱離させるという着想を得た。
これらの現象から、本課題の、燃料電池のシール部材から放出された芳香族カルボニル化合物が電極に吸着されて触媒に付着したことが原因で発電性能が低下することを解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
そこで、本開示は、燃料電池の電極にヒドリド還元剤を供給して、電極に吸着された芳香族カルボニル化合物をアルコールに還元して電極から脱離させることで、燃料電池の発電性能の低下を抑制することができる燃料電池の活性化方法と燃料電池活性化システムを提供する。
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
なお、添付図面及び以下の説明は、当事者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
(実施の形態1)
以下、図1および図2を用いて、実施の形態1を説明する。
[1-1.構成]
図1は、実施の形態1における燃料電池活性化システムの概略構成図である。
図1に示すように、燃料電池活性化システム200は、燃料電池100と、ヒドリド還元剤供給手段121と、水供給手段123と、乾燥ガス供給手段125と、供給経路切替手段130と、制御器150と、を備える。
燃料電池100は、電解質膜-電極-枠体接合体104と、アノード側のセパレータ105と、カソード側のセパレータ106と、アノード側のシール部材114と、カソード側のシール部材115と、を備える。
電解質膜-電極-枠体接合体104は、高分子電解質膜101と、高分子電解質膜101よりも面積が小さく高分子電解質膜101を挟んで高分子電解質膜101の両主面の略中央部に配置された一対の電極102,103と、電極102,103が露出するように高分子電解質膜101の外周領域上に配置された環状の枠体113と、を備える。
一対のセパレータ105,106は、電解質膜-電極-枠体接合体104と厚み以外は略同じ大きさの板状に形成されて、電解質膜-電極-枠体接合体104の両外側に配置される。
電解質膜-電極-枠体接合体104は、高分子電解質膜101の両主面が鉛直方向と略平行となる向きで、アノード側のセパレータ105とカソード側のセパレータ106との間に挟まれて、アノード側のセパレータ105がアノード側の電極102に接触し、カソード側のセパレータ106がカソード側の電極103に接触する。
アノード側のセパレータ105には、セパレータ105における外側の面から内側の面にわたって貫通するように、流路入口107と流路出口108が、それぞれ設けられる。
流路入口107は、反応ガスとしての燃料ガスをアノード側の電極102に供給するための孔である。流路出口108は、アノード側の電極102に供給された燃料ガスのうちで電極102において消費されなかったガスを電極102から排出するための孔である。
また、アノード側のセパレータ105におけるアノード側の電極102と対向する面には、上流側端部で流路入口107と連通し、下流側端部で流路出口108と連通する溝状のガス流路109が形成されている。
なお、アノード側のセパレータ105において、流路入口107はガス流路109の上端部に位置し、流路出口108はガス流路109の下端部に位置する。また、ガス流路109は、流路入口107からガス流路109に流入した燃料ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずに流路出口108に向かって流れるように形成されている。
一方、カソード側のセパレータ106には、セパレータ106における外側の面から内側の面にわたって貫通するように、流路入口110と流路出口111が、それぞれ設けられる。
流路入口110は、反応ガスとしての酸化剤ガスをカソード側の電極103に供給するための孔である。流路出口111は、カソード側の電極103に供給された酸化剤ガスの
うちで電極103において消費されなかったガスと、電気化学反応で生成された水と、を電極103から排出する孔である。
また、カソード側のセパレータ106におけるカソード側の電極103と対向する面には、上流側端部で流路入口110と連通し、下流側端部で流路出口111と連通する溝状のガス流路112が形成されている。
なお、カソード側のセパレータ106において、流路入口110はガス流路112の上端部に位置し、流路出口111はガス流路112の下端部に位置する。また、ガス流路112は、流路入口110からガス流路112に流入した酸化剤ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずに流路出口111に向かって流れるように形成されている。
アノード側のシール部材114は、一対のセパレータ105,106で電解質膜-電極-枠体接合体104を挟んだときに、アノード側の電極102を囲むように、且つ、枠体113と接触して弾性変形するようにアノード側のセパレータ105に設けられる。
カソード側のシール部材115は、一対のセパレータ105,106で電解質膜-電極-枠体接合体104を挟んだときに、カソード側の電極103を囲むように、且つ、枠体113と接触して弾性変形するようにカソード側のセパレータ106に設けられる。
燃料電池100は、アノード側のセパレータ105における流路入口107とガス流路109とを通ってアノード側の電極102に燃料ガスが供給され、カソード側のセパレータ106における流路入口110とガス流路112とを通ってカソード側の電極103に酸化剤ガスが供給されるように構成される。
そして、アノード側の電極102に供給された燃料ガスに含まれる水素と、カソード側の電極103に供給された酸化剤ガスに含まれる酸素と、により電気化学反応が進行して起電力が生じ、外部回路を通った電子が電流となり発電されるように構成される。
そして、アノード側の電極102に供給された燃料ガスのうちで電極102において消費されなかったガスを電極102から排出し、カソード側の電極103に供給された酸化剤ガスのうちで電極103において消費されなかったガスと電気化学反応で生成された水とを電極103から排出するように構成される。
高分子電解質膜101は、アノード側の電極102で生成する水素イオンをカソード側の電極103に輸送する機能を果たすものである。高分子電解質膜101は、水素イオン伝導性を有する高分子材料で構成される。具体的には、高分子電解質膜101は、水素イオン交換基としてスルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子材料で構成される。
アノード側の電極102は、アノード側のセパレータ105のガス流路109から電極102に供給される燃料ガスに含まれる水素を、水素イオンと電子とに解離する電気化学反応を促進する機能を果たす。
カソード側の電極103は、アノード側の電極102から高分子電解質膜101を通ってカソード側の電極103に移動する水素イオンと、アノード側の電極102から外部回路を通ってカソード側の電極103に移動する電子と、カソード側のセパレータ106のガス流路112から電極103に供給される酸化剤ガスに含まれる酸素と、から水を生成する電気化学反応を促進する機能を果たす。
電極102,103は、触媒層とガス拡散層とで構成される。触媒層は、触媒を担持した導電性材料と、水素イオン伝導性を有する高分子材料と、分散媒との混合物を、カーボン製フェルト上に塗布して乾燥させて分散媒を除去したものを用いる。触媒層は高分子電解質膜101と対向する面側に配置される。
具体的には、触媒は、白金で構成される。導電性材料は、ケッチェンブラックで構成される。水素イオン伝導性を有する高分子材料は、水素イオン交換基としてスルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子材料で構成される。
枠体113は、ハンドリング性の向上のため、比較的硬度が高い非導電性樹脂によって構成される。
セパレータ105,106は、ガス透過性のない導電性部材である圧縮カーボンによって構成される。
シール部材114,115は、反応ガスの燃料電池100から外部への漏出を遮断又は抑制するために、弾性変形可能なゴム材によって構成される。ゴム材は、耐久性に優れたフッ素ゴムを用いる。
アノード側のシール部材114は、アノード側のセパレータ105に圧接着される。アノード側のシール部材114は、燃料電池100の組立て時にアノード側のセパレータ105と枠体113との間で圧縮されて反力を発生して、燃料ガスが燃料電池100の外部に漏洩しないように燃料ガスを封止するシールとしての機能を果たす。
カソード側のシール部材115は、カソード側のセパレータ106に圧接着される。カソード側のシール部材115は、燃料電池100の組立て時にカソード側のセパレータ106と枠体113との間で圧縮されて反力を発生して、酸化剤ガスが燃料電池100の外部に漏洩しないように酸化剤ガスを封止するシールとしての機能を果たす。
セパレータ105,106にシール部材114,115を圧接着によって一体化する手法は、シール部材114,115の原料である未架橋のゴム材を、セパレータ105,106に直接形成して転写成型した後、加圧加熱処理をして架橋反応を行い、架橋したゴム材とする。
このとき、架橋反応を促進させるために、架橋剤をあらかじめゴム材中に配合しておくことが必要である。架橋剤は、高い架橋効率や反応性を考慮して、有機過酸化物架橋剤を用いる。架橋剤に有機過酸化物架橋剤を用いたシール部材114,115は、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する。
ヒドリド還元剤供給手段121は、ヒドリド還元剤供給経路122を介して供給経路切替手段130の第1の入口と連通する。ヒドリド還元剤供給経路122の入口はヒドリド還元剤供給手段121の出口と接続され、ヒドリド還元剤供給経路122の出口は供給経路切替手段130の第1の入口と接続されている。
水供給手段123は、水供給経路124を介して供給経路切替手段130の第2の入口と連通する。水供給経路124の入口は水供給手段123の出口と接続され、水供給経路124の出口は供給経路切替手段130の第2の入口と接続されている。
乾燥ガス供給手段125は、乾燥ガス供給経路126を介して供給経路切替手段130の第3の入口と連通する。乾燥ガス供給経路126の入口は乾燥ガス供給手段125の出
口と接続され、乾燥ガス供給経路126の出口は供給経路切替手段130の第3の入口と接続されている。
供給経路切替手段130の出口は、供給経路131を介して、アノード側のセパレータ105に設けられた流路入口107と連通する。さらに、供給経路切替手段130の出口は、供給経路131と、供給経路131から分岐した供給経路132とを介して、カソード側のセパレータ106に設けられた流路入口110と連通する。
アノード側のセパレータ105に設けられた流路出口108は、排出経路133を介して燃料電池100の外部と連通する。カソード側のセパレータ106に設けられた流路出口111は、排出経路134を介して燃料電池100の外部と連通する。
ヒドリド還元剤供給手段121は、シール部材114,115から放出されて電極102,103の触媒に付着した芳香族カルボニル化合物を、アルコールに還元して電極102,103から脱離させる時に、ヒドリド還元剤をガス流路109,112に供給するものである。
ヒドリド還元剤供給手段121は、ヒドリド還元剤を内部に貯蔵するタンクと、制御器150によってヒドリド還元剤の送液量を制御可能な送液ポンプと、により構成される。
ヒドリド還元剤は、金属水素化物と溶媒とを混合した金属水素化物溶液により構成される。本実施の形態では、金属水素化物として水素化ホウ素ナトリウムを用い、溶媒としてアルコールであるエタノールを用いた。
水供給手段123は、ヒドリド還元剤をガス流路109,112に供給し終えた後に、ガス流路109,112と電極102,103に残留している残留物を除去する時に、水をガス流路109,112に供給するものである。
水供給手段123は、水を内部に貯蔵するタンクと、制御器150によって水の送液量を制御可能な送液ポンプと、により構成される。
乾燥ガス供給手段125は、水をガス流路109,112に供給し終えた後に、ガス流路109,112と電極102,103に残留している余分な水分を除去する時に、乾燥ガスをガス流路109,112に供給するものである。
乾燥ガス供給手段125は、乾燥ガスを内部に貯蔵するガスボンベと、制御器150によってガス流量を制御可能なマスフローコントローラと、により構成される。本実施の形態では、乾燥ガスとして不活性な窒素ガスを用いた。
制御器150は、ヒドリド還元剤供給手段121と水供給手段123と乾燥ガス供給手段125のそれぞれの供給動作(する/しない)と、供給経路切替手段130の第1から第3の入口のそれぞれの開閉と、を制御することができる。制御器150は、時間を管理するためのタイマー機能を有している。
制御器150は、ガス流路109,112にヒドリド還元剤をそれぞれ供給する時は、供給経路切替手段130において、第1の入口が開で、第2の入口が閉で、第3の入口が閉の状態にして、ヒドリド還元剤供給手段121の送液ポンプを動作させるように構成される。
制御器150は、ガス流路109,112に水をそれぞれ供給する時は、供給経路切替
手段130において、第1の入口が閉で、第2の入口が開で、第3の入口が閉の状態にして、水供給手段123の送液ポンプを動作させるように構成される。
制御器150は、ガス流路109,112に乾燥ガスをそれぞれ供給する時は、供給経路切替手段130において、第1の入口が閉で、第2の入口が閉で、第3の入口が開の状態にして、乾燥ガス供給手段125のマスフローコントローラを動作させるように構成される。
[1-2.動作]
以上のように構成された燃料電池活性化システム200において、図1および図2に基づいて、その動作、作用を以下に説明する。
図2は、実施の形態1における燃料電池活性化システム200の動作を示すフローチャートである。
燃料電池活性化システム200の動作は、ガス流路109,112にヒドリド還元剤をそれぞれ供給するヒドリド還元剤供給モードと、ガス流路109,112に水をそれぞれ供給する水供給モードと、ガス流路109,112に乾燥ガスをそれぞれ供給する乾燥ガス供給モードと、の三つからなる。
この三つの供給モードは、最初にヒドリド還元剤供給モードを実施し、次に水供給モードを実施し、最後に乾燥ガス供給モードを実施する。
まず、ヒドリド還元剤供給モードついて説明する。
図2のフローチャートのスタートの時点では(ヒドリド還元剤供給モードを開始する前は)供給経路切替手段130の第1から第3の入口は全て閉状態であるので、制御器150は、供給経路切替手段130の第1の入口を開放(他の入口は閉状態を維持)することによって、供給経路切替手段130において、第1の入口が開で、第2の入口が閉で、第3の入口が閉の状態にする(S001)。
次に、制御器150は、ヒドリド還元剤供給手段121が所定流量(100mL/min)のヒドリド還元剤の供給を開始するように、ヒドリド還元剤供給手段121の送液ポンプを起動する(S002)。
S002を実行することにより、ヒドリド還元剤供給手段121からヒドリド還元剤供給経路122に排出されたヒドリド還元剤は、ヒドリド還元剤供給経路122の出口と接続された第1の入口が開状態の供給経路切替手段130を経て、供給経路切替手段130の出口に接続された供給経路131に流入する。
そして、供給経路131に流入したヒドリド還元剤の約半分は、供給経路131の出口からアノード側のセパレータ105の流路入口107を通って、ガス流路109に流入してアノード側の電極102に供給される。
また、供給経路131に流入したヒドリド還元剤の残りの約半分は、供給経路131の途中から供給経路132に分岐して、供給経路132の出口からカソード側のセパレータ106の流路入口110を通って、ガス流路112に流入してカソード側の電極103に供給される。
架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有するシール部材114,115
は、芳香族カルボニル化合物を放出する。
アノード側のシール部材114からセパレータ105と枠体113とシール部材114と電極102とによって囲まれた空間に放出された芳香族カルボニル化合物は、アノード側のセパレータ105に形成されたガス流路109やアノード側の電極102の内部空間を浮遊する。
カソード側のシール部材115からセパレータ106と枠体113とシール部材115と電極103とによって囲まれた空間に放出された芳香族カルボニル化合物は、カソード側のセパレータ106に形成されたガス流路112やカソード側の電極103の内部空間を浮遊する。
芳香族カルボニル化合物はカルボニル基を有するため、電極102,103の内部空間に露出する触媒に付着する。これにより、燃料電池100の電気化学反応を阻害して発電電圧を低下させている。
ここで、ガス流路109,112を介して電極102,103にヒドリド還元剤が供給されることによって、電極102,103の触媒に付着した芳香族カルボニル化合物が、ヒドリド還元されてアルコールに変わって、電極102,103から脱離する。
アノード側の電極102から脱離した芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)は、アノード側のセパレータ105のガス流路109に供給されたヒドリド還元剤とともにアノード側のセパレータ105のガス流路109を経由して流路出口108に排出される。
そして、流路出口108に排出された芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)は、流路出口108から排出経路133を経由して燃料電池100の外部に排出されて適切に処理される。
また、カソード側の電極103から脱離した芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)は、カソード側のセパレータ106のガス流路112に供給されたヒドリド還元剤とともにカソード側のセパレータ106のガス流路112を経由して流路出口111に排出される。
そして、流路出口111に排出された芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)は、流路出口111から排出経路134を経由して燃料電池100の外部に排出されて適切に処理される。
これにより、電極102,103に吸着されて電極102,103に付着した芳香族カルボニル化合物を、ヒドリド還元剤によってアルコールに還元して、電極102,103から脱離させ、ヒドリド還元剤とともに燃料電池100の外部に排出することができる。
次に、制御器150は、現在の状態(ヒドリド還元剤供給モードの状態)を所定時間(30秒間)継続する(S003)。
次に、制御器150は、ヒドリド還元剤供給モードを開始(S001を実施)してからの経過時間を測定し(S004)、S004で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えたかを確認する(S005)。
この確認の結果、S004で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えていなけれ
ば、所定時間(10分)を超えるまで、S005をNo側に分岐してS003に戻る。
やがて、S005において、S004で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えると、S005をYes側に分岐して、制御器150は、ヒドリド還元剤供給手段121の送液ポンプを停止し、供給経路切替手段130の第1の入口を閉鎖(他の入口は閉状態を維持)することによって、第1の入口が閉で、第2の入口が閉で、第3の入口が閉の状態にする(S006)。
これにより、ヒドリド還元剤供給モードは終了し、水供給モードに移行する。
次に、水供給モードについて説明する。
ヒドリド還元剤供給モードが終了した時点では(S006を実行後は)供給経路切替手段130の第1から第3の入口は全て閉状態であるので、制御器150は、供給経路切替手段130の第2の入口を開放(他の入口は閉状態を維持)することによって、供給経路切替手段130において、第1の入口が閉で、第2の入口が開で、第3の入口が閉の状態にする(S007)。
次に、制御器150は、水供給手段123が所定流量(100mL/min)の水の供給を開始するように、水供給手段123の送液ポンプを起動する(S008)。
S008を実行することにより、水供給手段123から水供給経路124に排出された水は、水供給経路124の出口と接続された第2の入口が開状態の供給経路切替手段130を経て、供給経路切替手段130の出口に接続された供給経路131に流入する。
そして、供給経路131に流入した水の約半分は、供給経路131の出口からアノード側のセパレータ105の流路入口107を通って、ガス流路109に流入してアノード側の電極102に供給される。
また、供給経路131に流入した水の残りの約半分は、供給経路131の途中から供給経路132に分岐して、供給経路132の出口からカソード側のセパレータ106の流路入口110を通って、ガス流路112に流入してカソード側の電極103に供給される。
ヒドリド還元剤供給モードが終了した時点の電極102,103には、ヒドリド還元剤供給モード時において電極102,103に供給されたヒドリド還元剤と電極102,103から脱離した芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とが残留している。
ここで、ガス流路109,112を介して電極102,103に水が供給されることによって、電極102,103における残留物が、電極102,103から流出する。
アノード側の電極102における残留物は、アノード側のセパレータ105のガス流路109に供給された水とともにアノード側のセパレータ105のガス流路109を経由して流路出口108に排出される。そして、流路出口108に排出された残留物は、流路出口108から排出経路133を経由して燃料電池100の外部に排出されて適切に処理される。
また、カソード側の電極103における残留物は、カソード側のセパレータ106のガス流路112に供給された水とともにカソード側のセパレータ106のガス流路112を経由して流路出口111に排出される。そして、流路出口111に排出された残留物は、
流路出口111から排出経路134を経由して燃料電池100の外部に排出されて適切に処理される。
これにより、ヒドリド還元剤供給モードが終了した時点で、電極102,103に残留していたヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とを、水とともに燃料電池100の外部に排出することができる。
次に、制御器150は、現在の状態(水供給モードの状態)を所定時間(30秒間)継続する(S009)。
次に、制御器150は、水供給モードを開始(S007を実施)してからの経過時間を測定し(S010)、S010で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えたかを確認する(S011)。
この確認の結果、S010で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えていなければ、所定時間(10分)を超えるまで、S011をNo側に分岐してS009に戻る。
やがて、S011において、S010で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えると、S011をYes側に分岐して、制御器150は、水供給手段123の送液ポンプを停止し、供給経路切替手段130の第2の入口を閉鎖(他の入口は閉状態を維持)することによって、第1の入口が閉で、第2の入口が閉で、第3の入口が閉の状態にする(S012)。
これにより、水供給モードは終了し、乾燥ガス供給モードに移行する。
次に、乾燥ガス供給モードについて説明する。
水供給モードが終了した時点では(S012を実行後は)供給経路切替手段130の第1から第3の入口は全て閉状態であるので、制御器150は、供給経路切替手段130の第3の入口を開放(他の入口は閉状態を維持)することによって、供給経路切替手段130において、第1の入口が閉で、第2の入口が閉で、第3の入口が開の状態にする(S013)。
次に、制御器150は、乾燥ガス供給手段125が所定流量(100mL/min)の乾燥ガスの供給を開始するように、乾燥ガス供給手段125のマスフローコントローラを起動する(S014)。
S014を実行することにより、乾燥ガス供給手段125から乾燥ガス供給経路126に排出された乾燥ガスは、乾燥ガス供給経路126の出口と接続された第3の入口が開状態の供給経路切替手段130を経て、供給経路切替手段130の出口に接続された供給経路131に流入する。
そして、供給経路131に流入した乾燥ガスの約半分は、供給経路131の出口からアノード側のセパレータ105の流路入口107を通って、ガス流路109に流入してアノード側の電極102に供給される。
また、供給経路131に流入した乾燥ガスの残りの約半分は、供給経路131の途中から供給経路132に分岐して、供給経路132の出口からカソード側のセパレータ106の流路入口110を通って、ガス流路112に流入してカソード側の電極103に供給される。
水供給モードが終了した時点の電極102,103には、水供給モード時において電極102,103に供給された水が残留している。また、水供給モードが終了した時点のガス流路109,112には、水供給モード時においてガス流路109,112に供給された水が残留している。
ここで、ガス流路109,112を介して電極102,103に乾燥ガスが供給されることによって、ガス流路109,112及び電極102,103に残留していた水が、乾燥ガスによって気化しながらガス流路109,112及び電極102,103から排出される。
アノード側の電極102に残留していた水は、乾燥ガスによって気化しながらアノード側のセパレータ105のガス流路109に供給された乾燥ガスとともにアノード側のセパレータ105のガス流路109を経由して流路出口108に排出される。そして、流路出口108に排出された水(水蒸気を含む)は、流路出口108から排出経路133を経由して燃料電池100の外部に排出されて適切に処理される。
また、カソード側の電極103に残留していた水は、乾燥ガスによって気化しながらカソード側のセパレータ106のガス流路112に供給された乾燥ガスとともにカソード側のセパレータ106のガス流路112を経由して流路出口111に排出される。そして、流路出口111に排出された水(水蒸気を含む)は、流路出口111から排出経路134を経由して燃料電池100の外部に排出されて適切に処理される。
これにより、水供給モードが終了した時点で、ガス流路109,112と電極102,103に残留していた水を、乾燥ガスとともに燃料電池100の外部に排出することができる。
次に、制御器150は、現在の状態(乾燥ガス供給モードの状態)を所定時間(30秒間)継続する(S015)。
次に、制御器150は、乾燥ガス供給モードを開始(S013を実施)してからの経過時間を測定し(S016)、S016で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えたかを確認する(S017)。
この確認の結果、S016で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えていなければ、所定時間(10分)を超えるまで、S017をNo側に分岐してS015に戻る。
やがて、S017において、S016で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えると、S017をYes側に分岐して、制御器150は、乾燥ガス供給手段125のマスフローコントローラを停止し、供給経路切替手段130の第3の入口を閉鎖(他の入口は閉状態を維持)することによって、第1の入口が閉で、第2の入口が閉で、第3の入口が閉の状態にする(S018)。
これにより、乾燥ガス供給モードは終了する。
[1-3.効果等]
以上のように、本実施の形態における、燃料電池の活性化方法は、電解質膜-電極-枠体接合体104と、一対の板状のセパレータ105,106と、電極102,103を囲むように配置され枠体113とセパレータ105,106との両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材114,115と、を有し、シール部材114,115
が、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する燃料電池100の活性化方法である。
ここで、電解質膜-電極-枠体接合体104は、高分子電解質膜101と、高分子電解質膜101を挟んで高分子電解質膜101の両主面に配置された一対の電極102,103と、電極102,103が露出するように高分子電解質膜101の外周領域上に配置された環状の枠体113と、を備えるものである。
また、一対の板状のセパレータ105,106は、電極102,103との間に反応ガスを流すためのガス流路109,112が形成され電解質膜-電極-枠体接合体104の両外側に配置されるものである。
そして、本実施の形態における燃料電池の活性化方法の特徴は、ガス流路109,112に、芳香族カルボニル化合物をヒドリド還元するヒドリド還元剤を、供給することである。
この方法により、シール部材114,115から放出されて電極102,103に吸着された芳香族カルボニル化合物を、アルコールに還元して、電極102,103から脱離させて、ヒドリド還元剤とともに燃料電池100の外部に排出することができる。
そのため、電極102,103に吸着された芳香族カルボニル化合物の量が減少し、燃料電池100の発電性能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態における、燃料電池活性化システム200は、燃料電池100と、ヒドリド還元剤供給手段121と、制御器150と、を備える。
ここで、燃料電池100は、電解質膜-電極-枠体接合体104と、一対の板状のセパレータ105,106と、電極102,103を囲むように配置され枠体113とセパレータ105,106との両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材114,115と、を有する。シール部材114,115は、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する。
ここで、電解質膜-電極-枠体接合体104は、高分子電解質膜101と、高分子電解質膜101を挟んで高分子電解質膜101の両主面に配置された一対の電極102,103と、電極102,103が露出するように高分子電解質膜101の外周領域上に配置された環状の枠体113と、を備えるものである。
また、一対の板状のセパレータ105,106は、電極102,103との間に反応ガスを流すためのガス流路109,112が形成され電解質膜-電極-枠体接合体104の両外側に配置されるものである。
また、ヒドリド還元剤供給手段121は、ヒドリド還元剤供給経路122と、供給経路切替手段130と、供給経路131と、アノード側のセパレータ105の流路入口107と、を介して、アノード側のガス流路109にヒドリド還元剤を供給する。
さらに、ヒドリド還元剤供給手段121は、ヒドリド還元剤供給経路122と、供給経路切替手段130と、供給経路131と、供給経路131の途中から分岐した供給経路132と、カソード側のセパレータ106の流路入口110と、を介して、カソード側のガス流路112にヒドリド還元剤を供給する。
制御器150は、燃料電池100を活性化させる時に、ヒドリド還元剤供給経路122と供給経路131とが連通するように供給経路切替手段130を制御するとともに、ヒドリド還元剤をヒドリド還元剤供給経路122に排出するようにヒドリド還元剤供給手段121を制御して、燃料電池100のガス流路109,112に、ヒドリド還元剤供給経路122と供給経路切替手段130と供給経路131を介してヒドリド還元剤を供給する。
これにより、シール部材114,115から放出されて電極102,103に吸着された芳香族カルボニル化合物を、アルコールに還元して、電極102,103から脱離させて、ヒドリド還元剤とともに燃料電池100の外部に排出することができる。
そのため、電極102,103に吸着された芳香族カルボニル化合物の量が減少し、燃料電池100の発電性能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態の燃料電池の活性化方法のように、ガス流路109,112にヒドリド還元剤を供給した後に、ガス流路109,112に水を供給してもよい。
これにより、ガス流路109,112にヒドリド還元剤を供給し終えた時点で、電極102,103に残留しているヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とを、水とともに燃料電池100の外部に排出することができる。
そのため、ガス流路109,112にヒドリド還元剤を供給後に、ガス流路109,112に水を供給しない場合よりも、燃料電池の活性化方法を実施した後に、電極102,103に残留するヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とが減少し、ヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とによる燃料電池100の発電性能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態の燃料電池活性化システム200のように、水供給経路124と供給経路切替手段130と供給経路131とを介して、ガス流路109,112に水を供給する水供給手段123を設け、ヒドリド還元剤供給手段121からガス流路109,112にヒドリド還元剤を供給した後に、制御器150が、水供給経路124と供給経路131とが連通するように供給経路切替手段130を制御するとともに、水を水供給経路124に排出するように水供給手段123を制御するように構成してもよい。
また、本実施の形態のように、ヒドリド還元剤は、少なくとも金属水素化物とアルコールとを混合した金属水素化物溶液を含んでもよい。
これにより、金属水素化物を含みアルコールを含まないヒドリド還元剤を電極102,103に供給する場合よりも、電極102,103に吸着された芳香族カルボニル化合物をアルコールに還元する反応をより促進することができる。
そのため、金属水素化物を含みアルコールを含まないヒドリド還元剤を電極102,103に供給する場合よりも、燃料電池100の発電性能の低下を抑制する効果をより高めることができる。
(実施の形態2)
以下、図3および図4を用いて、実施の形態2を説明する。
[2-1.構成]
図3は、実施の形態2における燃料電池活性化システムの概略構成図である。
図3に示すように、燃料電池活性化システム400は、燃料電池300と、ヒドリド還元剤供給手段321と、乾燥ガス供給手段325と、供給経路切替手段330と、制御器350と、を備える。
燃料電池300は、電解質膜-電極-枠体接合体304と、アノード側のセパレータ305と、カソード側のセパレータ306と、アノード側のシール部材314と、カソード側のシール部材315と、を備える。
電解質膜-電極-枠体接合体304は、高分子電解質膜301と、高分子電解質膜301よりも面積が小さく高分子電解質膜301を挟んで高分子電解質膜301の両主面の略中央部に配置された一対の電極302,303と、電極302,303が露出するように高分子電解質膜301の外周領域上に配置された環状の枠体313と、を備える。
一対のセパレータ305,306は、電解質膜-電極-枠体接合体304と厚み以外は略同じ大きさの板状に形成されて、電解質膜-電極-枠体接合体304の両外側に配置される。
電解質膜-電極-枠体接合体304は、高分子電解質膜301の両主面が鉛直方向と略平行となる向きで、アノード側のセパレータ305とカソード側のセパレータ306との間に挟まれて、アノード側のセパレータ305がアノード側の電極302に接触し、カソード側のセパレータ306がカソード側の電極303に接触する。
アノード側のセパレータ305には、セパレータ305における外側の面から内側の面にわたって貫通するように、流路入口307と流路出口308が、それぞれ設けられる。
流路入口307は、反応ガスとしての燃料ガスをアノード側の電極302に供給するための孔である。流路出口308は、アノード側の電極302に供給された燃料ガスのうちで電極302において消費されなかったガスを電極302から排出するための孔である。
また、アノード側のセパレータ305におけるアノード側の電極302と対向する面には、上流側端部で流路入口307と連通し、下流側端部で流路出口308と連通する溝状のガス流路309が形成されている。
なお、アノード側のセパレータ305において、流路入口307はガス流路309の上端部に位置し、流路出口308はガス流路309の下端部に位置する。また、ガス流路309は、流路入口307からガス流路309に流入した燃料ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずに流路出口308に向かって流れるように形成されている。
一方、カソード側のセパレータ306には、セパレータ306における外側の面から内側の面にわたって貫通するように、流路入口310と流路出口311が、それぞれ設けられる。
流路入口310は、反応ガスとしての酸化剤ガスをカソード側の電極303に供給するための孔である。流路出口311は、カソード側の電極303に供給された酸化剤ガスのうちで電極303において消費されなかったガスと、電気化学反応で生成された水と、を電極303から排出する孔である。
また、カソード側のセパレータ306におけるカソード側の電極303と対向する面に
は、上流側端部で流路入口310と連通し、下流側端部で流路出口311と連通する溝状のガス流路312が形成されている。
なお、カソード側のセパレータ306において、流路入口310はガス流路312の上端部に位置し、流路出口311はガス流路312の下端部に位置する。また、ガス流路312は、流路入口310からガス流路312に流入した酸化剤ガスが、蛇行しながら重力に逆らわずに流路出口311に向かって流れるように形成されている。
アノード側のシール部材314は、一対のセパレータ305,306で電解質膜-電極-枠体接合体304を挟んだときに、アノード側の電極302を囲むように、且つ、枠体313と接触して弾性変形するようにアノード側のセパレータ305に設けられる。
カソード側のシール部材315は、一対のセパレータ305,306で電解質膜-電極-枠体接合体304を挟んだときに、カソード側の電極303を囲むように、且つ、枠体313と接触して弾性変形するようにカソード側のセパレータ306に設けられる。
燃料電池300は、アノード側のセパレータ305における流路入口307とガス流路309とを通ってアノード側の電極302に燃料ガスが供給され、カソード側のセパレータ306における流路入口310とガス流路312とを通ってカソード側の電極303に酸化剤ガスが供給されるように構成される。
そして、アノード側の電極302に供給された燃料ガスに含まれる水素と、カソード側の電極303に供給された酸化剤ガスに含まれる酸素と、により電気化学反応が進行して起電力が生じ、外部回路を通った電子が電流となり発電されるように構成される。
そして、アノード側の電極302に供給された燃料ガスのうちで電極302において消費されなかったガスを電極302から排出し、カソード側の電極303に供給された酸化剤ガスのうちで電極303において消費されなかったガスと電気化学反応で生成された水とを電極303から排出するように構成される。
高分子電解質膜301は、アノード側の電極302で生成する水素イオンをカソード側の電極303に輸送する機能を果たすものである。高分子電解質膜301は、水素イオン伝導性を有する高分子材料で構成される。具体的には、高分子電解質膜301は、水素イオン交換基としてスルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子材料で構成される。
アノード側の電極302は、アノード側のセパレータ305のガス流路309から電極302に供給される燃料ガスに含まれる水素を、水素イオンと電子とに解離する電気化学反応を促進する機能を果たす。
カソード側の電極303は、アノード側の電極302から高分子電解質膜301を通ってカソード側の電極303に移動する水素イオンと、アノード側の電極302から外部回路を通ってカソード側の電極303に移動する電子と、カソード側のセパレータ306のガス流路312から電極303に供給される酸化剤ガスに含まれる酸素と、から水を生成する電気化学反応を促進する機能を果たす。
電極302,303は、触媒層とガス拡散層とで構成される。触媒層は、触媒を担持した導電性材料と、水素イオン伝導性を有する高分子材料と、分散媒との混合物を、カーボン製フェルト上に塗布して乾燥させて分散媒を除去したものを用いる。触媒層は高分子電解質膜301と対向する面側に配置される。
具体的には、触媒は、白金で構成される。導電性材料は、ケッチェンブラックで構成される。水素イオン伝導性を有する高分子材料は、水素イオン交換基としてスルホン酸基を有するパーフルオロカーボンスルホン酸系の高分子材料で構成される。
枠体313は、ハンドリング性の向上のため、比較的硬度が高い非導電性樹脂によって構成される。
セパレータ305,306は、ガス透過性のない導電性部材である圧縮カーボンによって構成される。
シール部材314,315は、反応ガスの燃料電池300から外部への漏出を遮断又は抑制するために、弾性変形可能なゴム材によって構成される。ゴム材は、耐久性に優れたフッ素ゴムを用いる。
アノード側のシール部材314は、アノード側のセパレータ305に圧接着される。アノード側のシール部材314は、燃料電池300の組立て時にアノード側のセパレータ305と枠体313との間で圧縮されて反力を発生して、燃料ガスが燃料電池300の外部に漏洩しないように燃料ガスを封止するシールとしての機能を果たす。
カソード側のシール部材315は、カソード側のセパレータ306に圧接着される。カソード側のシール部材315は、燃料電池300の組立て時にカソード側のセパレータ306と枠体313との間で圧縮されて反力を発生して、酸化剤ガスが燃料電池300の外部に漏洩しないように酸化剤ガスを封止するシールとしての機能を果たす。
セパレータ305,306にシール部材314,315を圧接着によって一体化する手法は、シール部材314,315の原料である未架橋のゴム材を、セパレータ305,306に直接形成して転写成型した後、加圧加熱処理をして架橋反応を行い、架橋したゴム材とする。
このとき、架橋反応を促進させるために、架橋剤をあらかじめゴム材中に配合しておくことが必要である。架橋剤は、高い架橋効率や反応性を考慮して、有機過酸化物架橋剤を用いる。架橋剤に有機過酸化物架橋剤を用いたシール部材314,315は、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する。
ヒドリド還元剤供給手段321は、ヒドリド還元剤供給経路322を介して供給経路切替手段330の第1の入口と連通する。ヒドリド還元剤供給経路322の入口はヒドリド還元剤供給手段321の出口と接続され、ヒドリド還元剤供給経路322の出口は供給経路切替手段330の第1の入口と接続されている。
乾燥ガス供給手段325は、乾燥ガス供給経路326を介して供給経路切替手段330の第2の入口と連通する。乾燥ガス供給経路326の入口は乾燥ガス供給手段325の出口と接続され、乾燥ガス供給経路326の出口は供給経路切替手段330の第2の入口と接続されている。
供給経路切替手段330の出口は、供給経路331を介して、アノード側のセパレータ305に設けられた流路入口307と連通する。アノード側のセパレータ305に設けられた流路出口308は、排出供給経路333を介して、カソード側のセパレータ306に設けられた流路入口310と連通する。カソード側のセパレータ306に設けられた流路出口311は、排出経路334を介して燃料電池300の外部と連通する。
ヒドリド還元剤供給手段321は、シール部材314,315から放出されて電極302,303の触媒に付着した芳香族カルボニル化合物を、アルコールに還元して、電極302,303から脱離させる時に、ヒドリド還元剤をアノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給するものである。
ヒドリド還元剤供給手段321は、ヒドリド還元剤を内部に貯蔵するタンクと、制御器350によってヒドリド還元剤の送液量を制御可能な送液ポンプと、により構成される。
ヒドリド還元剤は、金属水素化物と溶媒とを混合した金属水素化物溶液により構成される。本実施の形態では、金属水素化物として水素化アルミニウムリチウムを用い、溶媒としてジエチルエーテルを用いた。
乾燥ガス供給手段325は、ヒドリド還元剤をガス流路309,312に供給し終えた後に、ガス流路309,312と電極302,303に残留している残留物を除去する時に、乾燥ガスをアノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給するものである。
乾燥ガス供給手段325は、乾燥ガスを内部に貯蔵するガスボンベと、制御器350によってガス流量を制御可能なマスフローコントローラと、により構成される。本実施の形態では、乾燥ガスとして不活性な窒素ガスを用いた。
制御器350は、ヒドリド還元剤供給手段321と乾燥ガス供給手段325のそれぞれの供給動作(する/しない)と、供給経路切替手段330の第1の入口と第2の入口のそれぞれの開閉と、を制御することができる。制御器350は、時間を管理するためのタイマー機能を有している。
制御器350は、ヒドリド還元剤をアノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給する時は、供給経路切替手段330において、第1の入口が開で、第2の入口が閉の状態にして、ヒドリド還元剤供給手段321の送液ポンプを動作させるように構成される。
制御器350は、乾燥ガスをアノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給する時は、供給経路切替手段330において、第1の入口が閉で、第2の入口が開の状態にして、乾燥ガス供給手段325のマスフローコントローラを動作させるように構成される。
[2-2.動作]
以上のように構成された燃料電池活性化システム400において、図3および図4に基づいて、その動作、作用を以下に説明する。
図4は、実施の形態2における燃料電池活性化システム400の動作を示すフローチャートである。
燃料電池活性化システム400の動作は、ヒドリド還元剤をアノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給するヒドリド還元剤供給モードと、乾燥ガスをアノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給する乾燥ガス供給モードと、の二つからなる。
この二つの供給モードは、最初にヒドリド還元剤供給モードを実施し、次に乾燥ガス供
給モードを実施する。
まず、ヒドリド還元剤供給モードついて説明する。
図4のフローチャートのスタートの時点では(ヒドリド還元剤供給モードを開始する前は)供給経路切替手段330の第1の入口と第2の入口とは両方とも閉状態であるので、制御器350は、供給経路切替手段330の第1の入口を開放(第2の入口は閉状態を維持)することによって、供給経路切替手段330において、第1の入口が開で、第2の入口が閉の状態にする(S101)。
次に、制御器350は、ヒドリド還元剤供給手段321が所定流量(100mL/min)のヒドリド還元剤の供給を開始するように、ヒドリド還元剤供給手段321の送液ポンプを起動する(S102)。
S102を実行することにより、ヒドリド還元剤供給手段321からヒドリド還元剤供給経路322に排出されたヒドリド還元剤は、ヒドリド還元剤供給経路322の出口と接続された第1の入口が開状態の供給経路切替手段330を経て、供給経路切替手段330の出口に接続された供給経路331に流入する。
そして、供給経路331に流入したヒドリド還元剤は、供給経路331の出口からアノード側のセパレータ305の流路入口307を通って、ガス流路309に流入する。そして、アノード側のガス流路309に流入したヒドリド還元剤の一部は、ガス流路309からアノード側の電極302に供給される。
また、アノード側のガス流路309に流入したヒドリド還元剤のうちでアノード側の電極302に供給されずに流路出口308から排出されるヒドリド還元剤は、流路出口308とカソード側のセパレータ306の流路入口310とを連通させる排出供給経路333を経由して、カソード側のセパレータ306の流路入口310を通って、ガス流路312に流入してカソード側の電極303に供給される。
架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有するシール部材314,315は、芳香族カルボニル化合物を放出する。
アノード側のシール部材314からセパレータ305と枠体313とシール部材314と電極302とによって囲まれた空間に放出された芳香族カルボニル化合物は、アノード側のセパレータ305に形成されたガス流路309やアノード側の電極302の内部空間を浮遊する。
カソード側のシール部材315からセパレータ306と枠体313とシール部材315と電極303とによって囲まれた空間に放出された芳香族カルボニル化合物は、カソード側のセパレータ306に形成されたガス流路312やカソード側の電極303の内部空間を浮遊する。
芳香族カルボニル化合物はカルボニル基を有するため、電極302,303の内部空間に露出する触媒に付着する。これにより、燃料電池300の電気化学反応を阻害して発電電圧を低下させている。
ここで、ガス流路309,312を介して電極302,303にヒドリド還元剤が供給されることによって、電極302,303の触媒に付着した芳香族カルボニル化合物が、ヒドリド還元されてアルコールに変わって、電極302,303から脱離する。
アノード側の電極302から脱離した芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)は、アノード側のセパレータ305のガス流路309に供給されたヒドリド還元剤とともにアノード側のセパレータ305のガス流路309を経由して流路出口308に排出された後に、排出供給経路333を経由して、カソード側のセパレータ306の流路入口310を通って、ガス流路312に流入する。
また、カソード側の電極303から脱離した芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)は、カソード側のセパレータ306のガス流路312に供給されたヒドリド還元剤とともにカソード側のセパレータ306のガス流路312を経由して流路出口311に排出される。
そして、流路出口311に排出された芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)は、流路出口311から排出経路334を経由して燃料電池300の外部に排出されて適切に処理される。
これにより、電極302,303に吸着されて電極302,303に付着した芳香族カルボニル化合物を、ヒドリド還元剤によってアルコールに還元して、電極302,303から脱離させ、ヒドリド還元剤とともに燃料電池300の外部に排出することができる。
次に、制御器350は、現在の状態(ヒドリド還元剤供給モードの状態)を所定時間(30秒間)継続する(S103)。
次に、制御器350は、ヒドリド還元剤供給モードを開始(S101を実施)してからの経過時間を測定し(S104)、S104で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えたかを確認する(S105)。
この確認の結果、S104で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えていなければ、所定時間(10分)を超えるまで、S105をNo側に分岐してS103に戻る。
やがて、S105において、S104で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えると、S105をYes側に分岐して、制御器350は、ヒドリド還元剤供給手段321の送液ポンプを停止し、供給経路切替手段330の第1の入口を閉鎖(第2の入口は閉状態を維持)することによって、第1の入口が閉で、第2の入口が閉の状態にする(S106)。
これにより、ヒドリド還元剤供給モードは終了し、乾燥ガス供給モードに移行する。
次に、乾燥ガス供給モードについて説明する。
ヒドリド還元剤供給モードが終了した時点では(S106を実行後は)供給経路切替手段330の第1と第2の入口は両方とも閉状態であるので、制御器350は、供給経路切替手段330の第2の入口を開放(第1の入口は閉状態を維持)することによって、供給経路切替手段330において、第1の入口が閉で、第2の入口が開の状態にする(S107)。
次に、制御器350は、乾燥ガス供給手段325が所定流量(100mL/min)の乾燥ガスの供給を開始するように、乾燥ガス供給手段325のマスフローコントローラを起動する(S108)。
S108を実行することにより、乾燥ガス供給手段325から乾燥ガス供給経路326に排出された乾燥ガスは、乾燥ガス供給経路326の出口と接続された第2の入口が開状態の供給経路切替手段330を経て、供給経路切替手段330の出口に接続された供給経路331に流入する。
そして、供給経路331に流入した乾燥ガスは、供給経路331の出口からアノード側のセパレータ305の流路入口307を通って、ガス流路309に流入する。そして、アノード側のガス流路309に流入した乾燥ガスの一部は、ガス流路309からアノード側の電極302に供給される。
また、アノード側のガス流路309に流入した乾燥ガスのうちでアノード側の電極302に供給されずに流路出口308から排出される乾燥ガスは、流路出口308とカソード側のセパレータ306の流路入口310とを連通させる排出供給経路333を経由して、カソード側のセパレータ306の流路入口310を通って、ガス流路312に流入してカソード側の電極303に供給される。
ヒドリド還元剤供給モードが終了した時点の電極302,303には、ヒドリド還元剤供給モード時において電極302,303に供給されたヒドリド還元剤と電極302,303から脱離した芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とが残留している。
ここで、アノード側のガス流路309を介して電極302に乾燥ガスが供給されることによって、アノード側の電極302に残留していたヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とが、乾燥ガスとともに、ガス流路309を経由して流路出口308に排出された後に、排出供給経路333、カソード側のセパレータ306の流路入口310、ガス流路312、流路出口311、排出経路334を経由して燃料電池300の外部に排出されて適切に処理される。
また、カソード側のガス流路312を介して電極303に乾燥ガスが供給されることによって、カソード側の電極303に残留していたヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とが、乾燥ガスとともに、ガス流路312を経由して流路出口311に排出された後に、排出経路334を経由して燃料電池300の外部に排出されて適切に処理される。
これにより、ヒドリド還元剤供給モードが終了した時点で、電極302,303に残留していたヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物(アルコールに還元された状態のものを含む)とを、乾燥ガスとともに燃料電池300の外部に排出することができる。
次に、制御器350は、現在の状態(乾燥ガス供給モードの状態)を所定時間(30秒間)継続する(S109)。
次に、制御器350は、乾燥ガス供給モードを開始(S107を実施)してからの経過時間を測定し(S110)、S110で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えたかを確認する(S111)。
この確認の結果、S110で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えていなければ、所定時間(10分)を超えるまで、S111をNo側に分岐してS109に戻る。
やがて、S111において、S110で測定した経過時間が所定時間(10分)を超えると、S111をYes側に分岐して、制御器350は、乾燥ガス供給手段325のマス
フローコントローラを停止し、供給経路切替手段330の第2の入口を閉鎖(第1の入口は閉状態を維持)することによって、第1の入口が閉で、第2の入口が閉の状態にする(S112)。
これにより、乾燥ガス供給モードは終了する。
[2-3.効果等]
以上のように、本実施の形態における、燃料電池の活性化方法は、電解質膜-電極-枠体接合体304と、一対の板状のセパレータ305,306と、電極302,303を囲むように配置され枠体313とセパレータ305,306との両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材314,315と、を有し、シール部材314,315が、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する燃料電池300の活性化方法である。
ここで、電解質膜-電極-枠体接合体304は、高分子電解質膜301と、高分子電解質膜301を挟んで高分子電解質膜301の両主面に配置された一対の電極302,303と、電極302,303が露出するように高分子電解質膜301の外周領域上に配置された環状の枠体313と、を備えるものである。
また、一対の板状のセパレータ305,306は、電極302,303との間に反応ガスを流すためのガス流路309,312が形成され電解質膜-電極-枠体接合体304の両外側に配置されるものである。
そして、本実施の形態における燃料電池の活性化方法の特徴は、ガス流路309,312に、芳香族カルボニル化合物をヒドリド還元するヒドリド還元剤を、供給することである。
この方法により、シール部材314,315から放出されて電極302,303に吸着された芳香族カルボニル化合物を、アルコールに還元して、電極302,303から脱離させて、ヒドリド還元剤とともに燃料電池300の外部に排出することができる。
そのため、電極302,303に吸着された芳香族カルボニル化合物の量が減少し、燃料電池300の発電性能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態における、燃料電池活性化システム400は、燃料電池300と、ヒドリド還元剤供給手段321と、制御器350と、を備える。
ここで、燃料電池300は、電解質膜-電極-枠体接合体304と、一対の板状のセパレータ305,306と、電極302,303を囲むように配置され枠体313とセパレータ305,306との両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材314,315と、を有する。シール部材314,315は、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する。
ここで、電解質膜-電極-枠体接合体304は、高分子電解質膜301と、高分子電解質膜301を挟んで高分子電解質膜301の両主面に配置された一対の電極302,303と、電極302,303が露出するように高分子電解質膜301の外周領域上に配置された環状の枠体313と、を備えるものである。
また、一対の板状のセパレータ305,306は、電極302,303との間に反応ガスを流すためのガス流路309,312が形成され電解質膜-電極-枠体接合体304の
両外側に配置されるものである。
アノード側のセパレータ305に設けられた流路出口308は、排出供給経路333を介して、カソード側のセパレータ306に設けられた流路入口310と連通する。供給経路切替手段330の出口は、供給経路331を介して、アノード側のセパレータ305に設けられた流路入口307と連通する。
また、ヒドリド還元剤供給手段321は、ヒドリド還元剤供給経路322と、供給経路切替手段330と、供給経路331と、を介して、ヒドリド還元剤を、アノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給する。
制御器350は、燃料電池300を活性化させる時に、ヒドリド還元剤供給経路322と供給経路331とが連通するように供給経路切替手段330を制御するとともに、ヒドリド還元剤をヒドリド還元剤供給経路322に排出するようにヒドリド還元剤供給手段321を制御して、ヒドリド還元剤をアノード側のガス流路309、カソード側のガス流路312の順に連続して供給する。
これにより、シール部材314,315から放出されて電極302,303に吸着された芳香族カルボニル化合物を、アルコールに還元して、電極302,303から脱離させて、ヒドリド還元剤とともに燃料電池300の外部に排出することができる。
そのため、電極302,303に吸着された芳香族カルボニル化合物の量が減少し、燃料電池300の発電性能の低下を抑制することができる。
また、本実施の形態のように、ヒドリド還元剤は、少なくとも金属水素化物を含んでもよい。
これにより、金属水素化物を含まないヒドリド還元剤を電極302,303に供給する場合よりも、電極302,303に吸着された芳香族カルボニル化合物をアルコールに還元する反応を促進することができる。
そのため、金属水素化物を含まないヒドリド還元剤を電極302,303に供給する場合よりも、燃料電池300の発電性能の低下を抑制する効果を高めることができる。
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および実施の形態2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および実施の形態2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
実施の形態1および実施の形態2では、アノード側の電極102,302の触媒として白金を用いたが、アノード側の電極102,302の触媒は、白金に限定されず、水素を水素イオンと電子とに解離する電気化学反応を促進するものであればよい。
ただし、アノード側の電極102,302の触媒として白金を用いれば、白金以外の一般的な触媒を用いた場合よりも電気化学反応を促進する効果が高く、燃料電池100,300の発電電圧を高めることができる。また、電極102,302の触媒として、白金、
ルテニウム、パラジウム、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン等金属や、これらの合金を用いてもよい。
実施の形態1および実施の形態2では、カソード側の電極103,303の触媒として白金を用いたが、カソード側の電極103,303の触媒は、白金に限定されず、水素イオンと電子と酸素とから水を生成する電気化学反応を促進するものであればよい。
ただし、カソード側の電極103,303の触媒として白金を用いれば、白金以外の一般的な触媒を用いた場合よりも電気化学反応を促進する効果が高く、燃料電池100,300の発電電圧を高めることができる。また、電極103,303の触媒として、白金、ルテニウム、パラジウム、鉄、銅、クロム、コバルト、ニッケル、マンガン等金属や、これらの合金を用いてもよい。
実施の形態1および実施の形態2では、電極102,103,302,303の導電性材料としてケッチェンブラックを用いたが、電極102,103,302,303の導電性材料は、ケッチェンブラックに限定されず、連なることによって電子の経路を形成するものであればよい。
ただし、電極102,103,302,303の導電性材料としてケッチェンブラックを用いれば、ケッチェンブラック以外の一般的な導電性材料を用いた場合よりも電気伝導性が高く、燃料電池100,300の発電電圧を高めることができる。
また、電極102,103,302,303の導電性材料としてカーボンナノチューブなどの繊維状炭素、導電性酸化物、導電性窒化物、導電性炭化物等や、これらの混合物を用いてもよい。
実施の形態1および実施の形態2では、ヒドリド還元剤供給手段121,321のヒドリド還元剤として金属水素化物と溶媒とを混合した金属水素化物溶液を用いたが、ヒドリド還元剤供給手段121,321のヒドリド還元剤は、金属水素化物と溶媒とを混合した金属水素化物溶液に限定されず、芳香族カルボニル化合物を還元してアルコールに変えるものであればよい。
ただし、ヒドリド還元剤供給手段121,321のヒドリド還元剤として、金属水素化物と溶媒とを混合した金属水素化物溶液を用いれば、金属水素化物と溶媒とを混合した金属水素化物溶液を用いない場合よりも芳香族カルボニル化合物を還元する効果が高く、燃料電池100,300の発電電圧を高めることができる。
また、ヒドリド還元剤供給手段121,321のヒドリド還元剤として、粉末状の金属水素化物を用い、キャリアガスとともに供給してもよい。また、ヒドリド還元剤供給手段121,321のヒドリド還元剤として、金属水素化物、金属非含有ヒドリド供与体、遷移金属ヒドリド錯体や、これらの混合物を用いてもよい。
実施の形態1では、水供給手段123は水をガス流路109,112に供給したが、供給する水は液体に限定されず、電極102,103に残留したヒドリド還元剤と芳香族カルボニル化合物とを、水とともに燃料電池100の外部に排出することができる形態であればよい。また、供給する水として、気体を用いてもよい。
なお、上述の実施の形態は、本開示における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲またはその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本開示は、固体高分子形電解質を用いた燃料電池に適用可能である。具体的には、燃料電池車や定置型燃料電池等の燃料電池などに、本開示は適用可能である。
100 燃料電池
101 高分子電解質膜
102 電極
103 電極
104 電解質膜-電極-枠体接合体
105 セパレータ
106 セパレータ
107 流路入口
108 流路出口
109 ガス流路
110 流路入口
111 流路出口
112 ガス流路
113 枠体
114 シール部材
115 シール部材
121 ヒドリド還元剤供給手段
122 ヒドリド還元剤供給経路
123 水供給手段
124 水供給経路
125 乾燥ガス供給手段
126 乾燥ガス供給経路
130 供給経路切替手段
131 供給経路
132 供給経路
133 排出経路
134 排出経路
150 制御器
200 燃料電池活性化システム
300 燃料電池
301 高分子電解質膜
302 電極
303 電極
304 電解質膜-電極-枠体接合体
305 セパレータ
306 セパレータ
307 流路入口
308 流路出口
309 ガス流路
310 流路入口
311 流路出口
312 ガス流路
313 枠体
314 シール部材
315 シール部材
321 ヒドリド還元剤供給手段
322 ヒドリド還元剤供給経路
325 乾燥ガス供給手段
326 乾燥ガス供給経路
330 供給経路切替手段
331 供給経路
333 排出供給経路
334 排出経路
350 制御器
400 燃料電池活性化システム

Claims (5)

  1. 高分子電解質膜と、前記高分子電解質膜を挟んで両主面に配置された一対の電極と、前記電極が露出するように前記高分子電解質膜の外周領域上に配置された環状の枠体と、を備えた電解質膜-電極-枠体接合体と、
    前記電極との間に反応ガスを流すためのガス流路が形成され前記電解質膜-電極-枠体接合体の両外側に配置された一対の板状のセパレータと、
    前記電極を囲むように配置され前記枠体と前記セパレータとの両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材と、
    を有し、前記シール部材が、架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する燃料電池の活性化方法であって、
    前記ガス流路に、前記芳香族カルボニル化合物をヒドリド還元するヒドリド還元剤を、供給する燃料電池の活性化方法。
  2. 前記ガス流路に前記ヒドリド還元剤を供給した後に、前記ガス流路に水を供給する、請求項1に記載の燃料電池の活性化方法。
  3. 前記ヒドリド還元剤は少なくとも金属水素化物を含む、請求項1または2に記載の燃料電池の活性化方法。
  4. 前記ヒドリド還元剤は少なくとも金属水素化物とアルコールとを混合した金属水素化物溶液を含む、請求項1または2に記載の燃料電池の活性化方法。
  5. 高分子電解質膜、前記高分子電解質膜を挟んで両主面に配置された一対の電極、前記電極が露出するように前記高分子電解質膜の外周領域上に配置された環状の枠体、を備えた電解質膜-電極-枠体接合体と、前記電極との間に反応ガスを流すためのガス流路が形成され前記電解質膜-電極-枠体接合体の両外側に配置された一対の板状のセパレータと、前記電極を囲むように配置され前記枠体と前記セパレータとの両方に接触するように設けられた弾性変形可能なシール部材と、を有し、前記シール部材が架橋剤分解生成物として芳香族カルボニル化合物を含有する燃料電池と、
    前記ガス流路に、ヒドリド還元剤供給経路を介してヒドリド還元剤を供給するヒドリド還元剤供給手段と、
    前記燃料電池を活性化させる時に、前記ヒドリド還元剤供給手段を制御して、前記ガス流路に、ヒドリド還元剤供給経路を介してヒドリド還元剤を供給する制御器と、
    を備えた燃料電池活性化システム。
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