JP2022110190A - 真空ポンプとその回転体 - Google Patents

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Abstract

【課題】回転体の応力腐食割れを効果的に防止することができ、耐食性に優れた真空ポンプとその回転体を提供する。【解決手段】回転体103の回転によりガスを排気する真空ポンプ(例えば、ターボ分子ポンプ100)において、回転体103は、その表面に、第1の表面処理層1Aで覆われた第1の領域1と第2の表面処理層2Aで覆われた第2の領域2とを有し、第1の領域1と第2の領域2との境界部3は、それぞれの表面処理層1A、2Aが重なった領域がある。【選択図】図6

Description

本発明は、半導体製造装置、フラット・パネル・ディスプレイ製造装置、ソーラー・パネル製造装置におけるプロセスチャンバその他のチャンバのガス排気手段として利用される真空ポンプとその回転体に関し、特に、回転体の応力腐食割れを効果的に防止することができ、耐食性に優れたものである。
従来、この種の真空ポンプとしては、例えば特許文献1に記載されたターボ分子ポンプが知られている。同文献のターボ分子ポンプ(以下「従来の真空ポンプ」という)は、複数の回転翼(動翼12)を備えた回転体(ポンプロータ10)の回転によりガスを排気する構造になっている。
ところで、従来の真空ポンプでは、回転体(ポンプロータ10)の表面に、黒Niめっきの表面処理層(S1)とNiめっきの表面処理層(S4)を設けることで、回転体表面の放射率に差異を設けるとともに、プロセスガスによる回転体の腐食を防止しようとしている。
しかしながら、従来の真空ポンプによると、黒Niめっきの表面処理層(S1)とNiめっきの表面処理層(S4)との境界部では、回転体(ポンプロータ10)の母材が露出している領域(S5)が存在する等、そのような境界部における母材の腐食対策が何ら施されておらず、回転体の応力腐食割れを効果的に防止できず、耐食性に優れたものとは言えない。
特開2015-229949号
本発明は前記問題点を解決するためになされたもので、その目的は、回転体の応力腐食割れを効果的に防止することができ、耐食性に優れた真空ポンプとその回転体を提供することである。
前記目的を達成するために、本発明は、回転体の回転によりガスを排気する真空ポンプにおいて、前記回転体は、その表面に、第1の表面処理層で覆われた第1の領域と第2の表面処理層で覆われた第2の領域とを有し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部は、それぞれの表面処理層が重なった領域があることを特徴とする。
前記本発明において、前記回転体は、円筒部の外周部に回転翼を形成した形状になっていて、前記境界部が、前記円筒部の内面に位置することを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記境界部が、前記円筒部の内面の端部付近に位置することを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記回転体の中心には、締結部を介してロータ軸が取付けられており、前記締結部では、前記ロータ軸の先端部が前記回転体側の第1の穴に嵌合した状態になっていて、前記境界部が、前記第1の穴の開口縁部若しくはその周囲に位置することを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記第1の穴の前記開口縁部若しくはその周囲と対向する部材の面に、前記境界部に対応する逃げ部を設けたこと特徴としてもよい。
前記本発明において、前記回転体の中心にはロータ軸の先端部が嵌合するための第1の穴が設けられ、前記境界部が前記第1の穴の内面に無いことを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記回転体の中心には、締結部を介してロータ軸が取付けられており、前記締結部では、前記回転体と前記ロータ軸とを締結するためのボルトが前記回転体側の第2の穴から挿入された状態になっていて、前記境界部が、前記第2の穴の内面に位置することを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記第1の領域は、前記円筒部の外面および前記回転翼の表面に設けられ、前記第2の領域は、前記円筒部の内面に設けられていることを特徴としてもよい。
前記本発明において、前記第2の表面処理層は、前記第1の表面処理層に比べて放射率が高いことを特徴としてもよい。
また、本発明は、ガスを排気する真空ポンプの回転体であって、前記回転体は、その表面に、第1の表面処理層で覆われた第1の領域と第2の表面処理層で覆われた第2の領域とを有し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部は、それぞれの表面処理層が重なった領域があることを特徴とする。
本発明では、真空ポンプとその回転体の具体的な構成として、回転体は、その表面に第1の表面処理層で覆われた第1の領域と、第2の表面処理層で覆われた第2の領域とを有し、第1の領域と第2の領域との境界部は、それぞれの表面処理層が重なった領域があるという構成を採用したため、境界部において回転体の母材が露出せず、露出した母材が腐食性ガスに曝されるおそれが殆どなくなる点で、回転体の応力腐食割れを効果的に防止することができ、耐食性に優れた真空ポンプとその回転体を提供し得る。
本発明に係る真空ポンプを適用したターボ分子ポンプの縦断面図。 アンプ回路の回路図。 電流指令値が検出値より大きい場合の制御を示すタイムチャート。 電流指令値が検出値より小さい場合の制御を示すタイムチャート。 (a)は図1のターボ分子ポンプを構成する回転体とロータ軸の説明図、(b)は(a)中のA矢視図。 (a)は図1のターボ分子ポンプで採用した表面処理構成の説明図、(b)は同(a)中のB部の拡大図、(c)は(a)中のC部の拡大図。 図1のD部の拡大図。
図1は、本発明に係る真空ポンプを適用したターボ分子ポンプの縦断面図、図2は、アンプ回路の回路図、図3は、電流指令値が検出値より大きい場合の制御を示すタイムチャート図、図4は、電流指令値が検出値より小さい場合の制御を示すタイムチャート図である。
図1を参照すると、同図のターボ分子ポンプ100において、円筒状の外筒127の上端には、吸気口101が形成されている。そして、外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードである複数の回転翼102(102a、102b、102c・・・)を周部に放射状かつ多段に形成した回転体103が備えられている。この回転体103の具体的な構成例として、図1のターボ分子ポンプ100では、かかる回転体103は第1の円筒部102eの外周部に回転翼102を形成した形状になっている(図5(a)参照)。
回転体103の中心には締結部CNを介してロータ軸113が取り付けられており、ロータ軸113は、例えば5軸制御の磁気軸受により空中に浮上支持かつ位置制御されている。回転体103は、一般的に、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属によって構成されている。
磁気軸受の具体的な構成例として、図1のターボ分子ポンプ100では、上側径方向電磁石104は、4個の電磁石がX軸とY軸とに対をなして配置されている。この上側径方向電磁石104に近接して、かつ上側径方向電磁石104のそれぞれに対応して、4個の上側径方向センサ107が備えられている。上側径方向センサ107は、例えば伝導巻線を有するインダクタンスセンサや渦電流センサなどが用いられ、ロータ軸113の位置に応じて変化するこの伝導巻線のインダクタンスの変化に基づいてロータ軸113の位置を検出する。この上側径方向センサ107はロータ軸113、すなわちそれに固定された回転体103の径方向変位を検出し、制御装置200に送るように構成されている。
制御装置200において、例えばPID調節機能を有する補償回路が、上側径方向センサ107によって検出された位置信号に基づいて、上側径方向電磁石104の励磁制御指令信号を生成し、図2に示すアンプ回路150(後述する)が、この励磁制御指令信号に基づいて、上側径方向電磁石104を励磁制御することで、ロータ軸113の上側の径方向位置が調整される。
ロータ軸113は、高透磁率材(鉄、ステンレスなど)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。かかる調整は、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ独立して行われる。また、下側径方向電磁石105及び下側径方向センサ108が、上側径方向電磁石104及び上側径方向センサ107と同様に配置され、ロータ軸113の下側の径方向位置を上側の径方向位置と同様に調整している。
さらに、磁気軸受の具体的な構成例として、図1のターボ分子ポンプ100では、軸方向電磁石106A、106Bが、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。ロータ軸113の軸方向変位を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向位置信号が制御装置200に送られるように構成されている。
そして、制御装置200において、例えばPID調節機能を有する補償回路が、軸方向センサ109によって検出された軸方向位置信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bのそれぞれの励磁制御指令信号を生成し、アンプ回路150が、これらの励磁制御指令信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bをそれぞれ励磁制御することで、軸方向電磁石106Aが磁力により金属ディスク111を上方に吸引し、軸方向電磁石106Bが金属ディスク111を下方に吸引し、ロータ軸113の軸方向位置が調整される。
以上のように、制御装置200は、軸方向電磁石106A、106Bが金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸113を軸方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。なお、これら上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150については、後述する。
図1のターボ分子ポンプ100において、モータ121は、ロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の磁極を備えている。各磁極は、ロータ軸113との間に作用する電磁力を介してロータ軸113を回転駆動するように、制御装置200によって制御されている。また、モータ121には図示しない例えばホール素子、レゾルバ、エンコーダなどの回転速度センサが組み込まれており、この回転速度センサの検出信号によりロータ軸113の回転速度が検出されるようになっている。
さらに、例えば下側径方向センサ108近傍に、図示しない位相センサが取り付けてあり、ロータ軸113の回転の位相を検出するようになっている。制御装置200では、この位相センサと回転速度センサの検出信号を共に用いて磁極の位置を検出するようになっている。
回転翼102(102a、102b、102c・・・)とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123(123a、123b、123c・・・)が配設されている。回転翼102(102a、102b、102c・・・)は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。固定翼123(123a、123b、123c・・・)は、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。そして、固定翼123の外周端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ125(125a、125b、125c・・・)の間に嵌挿された状態で支持されている。
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設されている。ベース部129には排気口133が形成され、外部に連通されている。チャンバ(真空チャンバ)側から吸気口101に入ってベース部129に移送されてきた排気ガスは、排気口133へと送られる。
さらに、ターボ分子ポンプ100の用途によって、固定翼スペーサ125の下部とベース部129の間には、ネジ付スペーサ131が配設される。ネジ付スペーサ131は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状のネジ溝131aが複数条刻設されている。ネジ溝131aの螺旋の方向は、回転体103の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、この分子が排気口133の方へ移送される方向である。回転体103の回転翼102(102a、102b、102c・・・)に続く最下部には第2の円筒部102dが第1の円筒部102eに繋がって垂下されている(図2(a)参照)。この第2の円筒部102dの外周面は、円筒状で、かつネジ付スペーサ131の内周面に向かって張り出されており、このネジ付スペーサ131の内周面と所定の隙間を隔てて近接されている。回転翼102および固定翼123によってネジ溝131aに移送されてきた排気ガスは、ネジ溝131aに案内されつつベース部129へと送られる。
ベース部129は、ターボ分子ポンプ100の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。ベース部129はターボ分子ポンプ100を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
かかる構成において、回転翼102がロータ軸113と共にモータ121により回転駆動されると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じてチャンバから排気ガスが吸気される。回転翼102の回転速度は通常20000rpm~90000rpmであり、回転翼102の先端での周速度は200m/s~400m/sに達する。吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。このとき、排気ガスが回転翼102に接触する際に生ずる摩擦熱や、モータ121で発生した熱の伝導などにより、回転翼102の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによる伝導により固定翼123側に伝達される。
固定翼スペーサ125は、外周部で互いに接合しており、固定翼123が回転翼102から受け取った熱や排気ガスが固定翼123に接触する際に生ずる摩擦熱などを外部へと伝達する。
なお、上記では、ネジ付スペーサ131は回転体103の円筒部102dの外周に配設し、ネジ付スペーサ131の内周面にネジ溝131aが刻設されているとして説明した。しかしながら、これとは逆に円筒部102dの外周面にネジ溝が刻設され、その周囲に円筒状の内周面を有するスペーサが配置される場合もある。
また、ターボ分子ポンプ100の用途によっては、吸気口101から吸引されたガスが上側径方向電磁石104、上側径方向センサ107、モータ121、下側径方向電磁石105、下側径方向センサ108、軸方向電磁石106A、106B、軸方向センサ109などで構成される電装部に侵入することのないよう、電装部は周囲をステータコラム122で覆われ、このステータコラム122内はパージガスにて所定圧に保たれる場合もある。
この場合には、ベース部129には図示しない配管が配設され、この配管を通じてパージガスが導入される。導入されたパージガスは、保護ベアリング120とロータ軸113間、モータ121のロータとステータ間、ステータコラム122と回転翼102の内周側円筒部の間の隙間を通じて排気口133へ送出される。
ここに、ターボ分子ポンプ100は、機種の特定と、個々に調整された固有のパラメータ(例えば、機種に対応する諸特性)に基づいた制御を要する。この制御パラメータを格納するために、上記ターボ分子ポンプ100は、その本体内に電子回路部141を備えている。電子回路部141は、EEP-ROM等の半導体メモリ及びそのアクセスのための半導体素子等の電子部品、それらの実装用の基板143等から構成される。この電子回路部141は、ターボ分子ポンプ100の下部を構成するベース部129の例えば中央付近の図示しない回転速度センサの下部に収容され、気密性の底蓋145によって閉じられている。
ところで、半導体の製造工程では、チャンバに導入されるプロセスガスの中には、その圧力が所定値よりも高くなり、或いは、その温度が所定値よりも低くなると、固体となる性質を有するものがある。ターボ分子ポンプ100内部では、排気ガスの圧力は、吸気口101で最も低く排気口133で最も高い。プロセスガスが吸気口101から排気口133へ移送される途中で、その圧力が所定値よりも高くなったり、その温度が所定値よりも低くなったりすると、プロセスガスは、固体状となり、ターボ分子ポンプ100内部に付着して堆積する。
例えば、Alエッチング装置にプロセスガスとしてSiClが使用された場合、低真空(760[torr]~10-2[torr])かつ、低温(約20[℃])のとき、固体生成物(例えばAlCl)が析出し、ターボ分子ポンプ100内部に付着堆積することが蒸気圧曲線からわかる。これにより、ターボ分子ポンプ100内部にプロセスガスの析出物が堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ100の性能を低下させる原因となる。そして、前述した生成物は、排気口133付近やネジ付スペーサ131付近の圧力が高い部分で凝固、付着し易い状況にあった。
そのため、この問題を解決するために、従来はベース部129等の外周に図示しないヒータや環状の水冷管149を巻着させ、かつ例えばベース部129に図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を埋め込み、この温度センサの信号に基づいてベース部129の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つようにヒータの加熱や水冷管149による冷却の制御(以下TMSという。TMS;Temperature Management System)が行われている。
次に、このように構成されるターボ分子ポンプ100に関して、その上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150について説明する。このアンプ回路150の回路図を図8に示す。
図8において、上側径方向電磁石104等を構成する電磁石巻線151は、その一端がトランジスタ161を介して電源171の正極171aに接続されており、また、その他端が電流検出回路181及びトランジスタ162を介して電源171の負極171bに接続されている。そして、トランジスタ161、162は、いわゆるパワーMOSFETとなっており、そのソース-ドレイン間にダイオードが接続された構造を有している。
このとき、トランジスタ161は、そのダイオードのカソード端子161aが正極171aに接続されるとともに、アノード端子161bが電磁石巻線151の一端と接続されるようになっている。また、トランジスタ162は、そのダイオードのカソード端子162aが電流検出回路181に接続されるとともに、アノード端子162bが負極171bと接続されるようになっている。
一方、電流回生用のダイオード165は、そのカソード端子165aが電磁石巻線151の一端に接続されるとともに、そのアノード端子165bが負極171bに接続されるようになっている。また、これと同様に、電流回生用のダイオード166は、そのカソード端子166aが正極171aに接続されるとともに、そのアノード端子166bが電流検出回路181を介して電磁石巻線151の他端に接続されるようになっている。そして、電流検出回路181は、例えばホールセンサ式電流センサや電気抵抗素子で構成されている。
以上のように構成されるアンプ回路150は、一つの電磁石に対応されるものである。そのため、磁気軸受が5軸制御で、電磁石104、105、106A、106Bが合計10個ある場合には、電磁石のそれぞれについて同様のアンプ回路150が構成され、電源171に対して10個のアンプ回路150が並列に接続されるようになっている。
さらに、アンプ制御回路191は、例えば、制御装置200の図示しないディジタル・シグナル・プロセッサ部(以下、DSP部という)によって構成され、このアンプ制御回路191は、トランジスタ161、162のon/offを切り替えるようになっている。
アンプ制御回路191は、電流検出回路181が検出した電流値(この電流値を反映した信号を電流検出信号191cという)と所定の電流指令値とを比較するようになっている。そして、この比較結果に基づき、PWM制御による1周期である制御サイクルTs内に発生させるパルス幅の大きさ(パルス幅時間Tp1、Tp2)を決めるようになっている。その結果、このパルス幅を有するゲート駆動信号191a、191bを、アンプ制御回路191からトランジスタ161、162のゲート端子に出力するようになっている。
なお、回転体103の回転速度の加速運転中に共振点を通過する際や定速運転中に外乱が発生した際等に、高速かつ強い力での回転体103の位置制御をする必要がある。そのため、電磁石巻線151に流れる電流の急激な増加(あるいは減少)ができるように、電源171としては、例えば50V程度の高電圧が使用されるようになっている。また、電源171の正極171aと負極171bとの間には、電源171の安定化のために、通常コンデンサが接続されている(図示省略)。
かかる構成において、トランジスタ161、162の両方をonにすると、電磁石巻線151に流れる電流(以下、電磁石電流iLという)が増加し、両方をoffにすると、電磁石電流iLが減少する。
また、トランジスタ161、162の一方をonにし他方をoffにすると、いわゆるフライホイール電流が保持される。そして、このようにアンプ回路150にフライホイール電流を流すことで、アンプ回路150におけるヒステリシス損を減少させ、回路全体としての消費電力を低く抑えることができる。また、このようにトランジスタ161、162を制御することにより、ターボ分子ポンプ100に生じる高調波等の高周波ノイズを低減することができる。さらに、このフライホイール電流を電流検出回路181で測定することで電磁石巻線151を流れる電磁石電流iLが検出可能となる。
すなわち、検出した電流値が電流指令値より小さい場合には、図9に示すように制御サイクルTs(例えば100μs)中で1回だけ、パルス幅時間Tp1に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をonにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、正極171aから負極171bへ、トランジスタ161、162を介して流し得る電流値iLmax(図示せず)に向かって増加する。
一方、検出した電流値が電流指令値より大きい場合には、図10に示すように制御サイクルTs中で1回だけパルス幅時間Tp2に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をoffにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、負極171bから正極171aへ、ダイオード165、166を介して回生し得る電流値iLmin(図示せず)に向かって減少する。
そして、いずれの場合にも、パルス幅時間Tp1、Tp2の経過後は、トランジスタ161、162のどちらか1個をonにする。そのため、この期間中は、アンプ回路150にフライホイール電流が保持される。
図5において、(a)は図1のターボ分子ポンプを構成する回転体とロータ軸の説明図、(b)は図5(a)中のA矢視図である。また、図6において、(a)は図1のターボ分子ポンプで採用した表面処理構成の説明図、(b)は図5(a)中のB部の拡大図、(c)は図5(a)中のC部の拡大図である。
図6(a)(b)および(c)を参照すると、回転体103の具体的な表面処理構成として、図1のターボ分子ポンプ100では、回転体103は、その表面に、第1の表面処理層1Aで覆われた第1の領域1と、第2の表面処理層2Aで覆われた第2の領域2とを有し、第1の領域1と第2の領域2との境界部3は、それぞれの表面処理層1A、2Aが重なった領域3(3A、3B、3C)を有している。
なお、境界部3の定義としては、各々の表面処理層の境界だけでなく、重なった領域3を示す際にも使用する。
第1および第2の領域1、2の具体的な実施形態として、図1のターボ分子ポンプ100では、第1の領域1は、円筒部102d、102eの外面と回転翼102(102a、102b、102c・・・)の表面に第1の表面処理層1Aを設けたものとし、第2の領域2は、円筒部102d、102eの内面に第2の表面処理層2Aを設けたものとしている。
ここで、『円筒部102d、102eの外面』とは、第1の円筒部102dの外面、第2の円筒部102eの外面、第2の円筒部102eの下端面、後述する凹部4の内底面と内側面を含む。
また、『円筒部102d、102eの内面』とは、第1の円筒部102dの内面、第2の円筒部102eの内面、後述する凹部4の外底面(締結面4A)、嵌合穴5(回転体103側の第1の穴)の内面、通し穴6(回転体103側の第2の穴)の内面を含む。
以上のような第1および第2の表面処理層1A、2Aの具体的な構成例として、図1のターボ分子ポンプでは、第2の表面処理層2Aは、第1の表面処理層1Aに比べて放射率が高くなるように構成している。このため、回転体103、具体的には回転翼102(102a、102b、102c・・・)や第1又は第2の円筒部102e、102dに蓄積される熱は、主に第2の表面処理層2Aからこれに対向する部材(具体的には、ステータコラム122)に向けて放射される。
前記のような放射率の差を設ける手段として、図1のターボ分子ポンプ100では、第1の表面処理層1Aは無電解ニッケル-リンめっきで形成し、第2の表面処理層2Aは無電解ニッケル-リンめっきの表面を酸化させることによって形成したが、これとは別の手段によって放射率に差を設けてもよい。また、そのめっき厚、すなわち第1および第2の表面処理層1Aの厚みは20μm程度としているが、これに限定されることはない。めっき厚は必要に応じて適宜変更することでき、また、第1の表面処理層1Aと第2の表面処理層2Bとでめっき厚が異なる構成も採用し得る。
ところで、回転翼102(102a、102b、102c・・・)からの熱の放射率を高め、回転翼102の応力腐食割れを防止するためには、回転翼102の第1の表面処理層1Aを第2の表面処理層2A同じく、無電解ニッケル-リンめっきの酸化によって形成することが望ましい。しかし、図1のターボ分子ポンプ100の場合、その回転翼102は腐食性のガスに曝されること、および、第2の表面処理層2Aのように最上層が酸化の被膜からなる表面処理層は腐食性ガスで浸食・劣化しやすいことから、図1のターボ分子ポンプ100では、回転体102全体の中で特に腐食性のガスに曝される箇所、具体的には、円筒部102d、102eの外面および回転翼102(102a、102b、102c・・・)の表面処理層(第1の表面処理層1A)は、無電解ニッケル-リンめっきで形成した。
図6(a)および(b)を参照すると、第1の境界部3(3A)は第2の円筒部102dの内面に位置する。さらに、そのような第1の境界部3(3A)の具体的な配置構成例として、図6(a)および(b)の例では、第2の円筒部102dの内面の端部付近に第1の境界部3(3A)が配置されるように構成している。これは、回転体103の遠心力を利用して、境界部3(3A)における第1の表面処理層1Aと第2の表面処理層2Aとの接合強度ないしは剥離強度を高めるためである。
すなわち、(1)回転体103の形状ないしは構造上、第2の円筒部102dの端部付近で回転体103の遠心力が大きくなること、および、(2)第1または第2の円筒部102e、102dの外面に境界部3(3A)を配置した場合は、その外面から離れる方向の遠心力が当該境界部3作用するのに対し、図6(a)および(b)のように第1または第2の円筒部102e、102dの内面に境界部3(3)を配置した場合は、その内面に向う方向の遠心力が当該境界部3に作用することで、第1または第2の円筒部102e、102dの内面に向って境界部3(3A)が押し付けられる。このことから、図6(a)および(b)の例では、前述の通り、第2の円筒部102dの内面の端部付近に第1の境界部3(3A)が配置されるように構成することで、第1の境界部3(3A)における第1の表面処理層1Aと第2の表面処理層2Aの剥離を効果的に防止できるようにした。
また、図6(a)および(b)の例では、回転体103からステータコラム122側への熱の放射量を増やすため、第1の境界部3(3A)では、第1の表面処理層1Aの上に第2の表面処理層2Aが重ねて配置される形態を採用することにより、第2の表面処理層2Aの表面積を可能な限り大きく設けるように構成している。しかし、これに限定されることはない。第2の表面処理層2Aの上に第1の表面処理層1Aが重ねて配置される形態を採用することも可能である。
図5(a)、図6(a)および図7を参照すると、回転体103の中心にロータ軸113を取付けるための締結部CNの具体的な構造例として、図1のターボ分子ポンプ100では、(1)回転体103の端部に凹部4を設け、この凹部4の内底面の中心部に回転体103側の第1の穴として嵌合穴5を形成し、その嵌合穴5の周囲に同回転体103側の第2の穴として通し穴6、6・・・を複数形成した構造、(2)凹部4の外底面を締結面4Aとし、この締結面4Aと対向するフランジ7がロータ軸113の外周に形成される構造、ロータ軸113の先端部が嵌合穴5に嵌合し、回転体103とロータ軸113とを締結するためのボルト8が通し穴6、6…に挿入された状態でフランジ7の図示しないネジ穴に締付け固定される構造、および(4)ボルト8の頭部とフランジ7との間に座金部材9が配置される構造を採用している。
締結部CNでは、前述の通り、ロータ軸113の先端部が回転体103側の嵌合穴5(第1の穴)に嵌合した状態になっているほか、その嵌合穴5の開口縁部若しくはその周囲に第2の境界部3(3B)が位置する構成になっており、嵌合穴5の内面に境界部3は何もない。
ここで、前記『嵌合穴5の開口縁部若しくはその周囲』とは、嵌合穴5(第1の穴)の開口縁部若しくはその周囲と対向する部材(具体的には、座金部材8)が凹部4の内底面に接触する範囲をいう。したがって、この範囲内で第2の境界部3(3B)が配置されるように構成してもよい。
ところで、第2の境界部3(3B)の配置場所に関する他の実施形態として、図示は省略するが、先に説明した第2の境界部3(3B)が嵌合穴5の内面に配置される構成も考え得る。しかし、第2の境界部3(3B)の厚さは、それ以外の第1の表面処理層1Aや第2の表面処理層2Aの部分の厚さに比べて厚い。このため、前記のように第2の境界部3(3B)が嵌合穴5の内面に配置される構成では、例えば、組立時の圧入の力を増加させたり、焼き嵌めの温度差をさらに大きくしたりする必要があり、組立作業性が低下する恐れがある。また、嵌合した後でも、その第2の境界部3(3B)を基点としてロータ軸113が傾くなど、嵌合穴5に対して精度よくロータ軸113を嵌合させることができない等の不具合が想定される。
しかしながら、図1で示す本願の実施形態のターボ分子ポンプでは、前述の通り嵌合穴5(第1の穴)の内面に第2の境界部3(3B)は無いから、第2の境界部3(3B)が嵌合穴5に対するロータ軸113の嵌合障害になることもなく、嵌合穴5に対して精度よくロータ軸113を嵌合させることができるという利点がある。
図7および図6(c)を参照すると、図1で示す本願の実施形態のターボ分子ポンプでは、嵌合穴5(第1の穴)の開口縁部若しくはその周囲と対向する部材の面(具体的に、凹部4の内底面に接触する座金部材9の下面)に、第2の境界部3(3B)に対応する逃げ部10を設けている。この逃げ部10は溝の形状でも段差の形状でもよい。
前述の通り、第2の境界部3(3B)では第1の表面処理層1Aと第2の表面処理層2Aとが重なった状態になっているので、第2の境界部3(3B)の厚さは、それ以外の第1の表面処理層1Aや第2の表面処理層2Aの部分の厚さに比べて厚い。このような部分的な増厚を何ら考慮せずに、締結部CNで回転体103とロータ軸113とを締結した場合は、例えば座金部材9が傾いて配置され、回転体103とロータ軸113の締結状態が安定しない等の不具合が想定される。しかし、図1で示す本願の実施形態のターボ分子ポンプ100では、前述の通り、第2の境界部3(3B)に対応する逃げ部10が設けられ、その逃げ部10内に第2の境界部3(3B)が収容されることで、第2の境界部3(3B)の厚みは吸収されるから、第2の境界部3(3B)の厚みが回転体103とロータ軸113の締結状態に影響を与えることはなく、安定な締結状態が得られ、また第2の境界部3(3B)の厚さを厳格に管理する必要もなく、その管理の手間も省くことができる。
さらに、締結部CNでは、前述の通り、ロータ軸113の先端部が嵌合穴5(回転体側の第1の穴)に嵌合した状態になっているほか、その回転体103とロータ軸113とを締結するためのボルト8が通し穴6(回転体側の第2の穴)から挿入された状態になっていて、その通し穴6の内面に第3の境界部3(3C)が位置するように構成してある(図6(c)参照)。この構成の場合、ボルト8の胴部と通し穴6との間に設けられる所定の隙間に、第3の境界部3(3C)が配置される構造になる。なお、通し穴6は、嵌合穴5と比べて、高い精度の寸法管理が必要とされる個所ではないため、表面処理層の重なり部である第3の境界部3(3C)が配置されていても、大きな問題とならない。
ところで、第3の境界部3(3C)の配置場所に関する他の実施形態として、図示は省略するが、通し穴6の開口縁部またはその周囲に第3の境界部3(3C)が配置される構成も考え得る。しかし、この構成では、前述の逃げ部10を設けなかった場合と同様の組立作業性の低下や不具合(回転体103とロータ軸113の締結状態が安定しない等)が想定される。この一方、図1で示す本願の実施形態のターボ分子ポンプ100では、前述の通り、第3の境界部3(3C)は通し穴6の内面に位置することで通り穴6とボルト8の胴部との隙間に配置される構造になるから、第3の境界部3(3C)が回転体103とロータ軸113との締結状態に影響を与えることはなく、この点でも、安定な締結状態が得られ、また、第3の境界部3(3C)の厚さを厳格に管理する必要もなく、その管理の手間も省くことができる。
以上説明したように、本実施形態の真空ポンプとその回転体によると、回転体103はその表面に第1の表面処理層1Aで覆われた第1の領域1と、第2の表面処理層2Aで覆われた第2の領域2とを有し、第1の領域1と第2の領域2との境界部3は、それぞれの表面処理層1A、2Aが重なった領域があるという構成を採用した。このため、境界部3において回転体103の母材(アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属)が露出せず、露出した母材が腐食性ガスに曝されるおそれが殆どなくなる点で、回転体103の応力腐食割れを効果的に防止することができ、優れた耐食性を備えるものである。
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内であれば、当業者の通常の創作能力によって多くの変形が可能である。
1 第1の領域
1A 第1の表面処理層
2 第2の領域
2A 第2の表面処理層
3 境界部
3A 第1の境界部
3B 第2の境界部
3C 第3の境界部
4 凹部
5 嵌合穴(回転体側の第1の穴)
6 通し穴
7 フランジ
8 ボルト
9 座金部材
100 ターボ分子ポンプ
101 吸気口
102 回転翼
102d 第2の円筒部
102e 第1の円筒部
103 回転体
104 上側径方向電磁石
106A、106B 軸方向電磁石
107 上側径方向センサ
109 軸方向センサ
111 金属ディスク
113 ロータ軸
120 保護ベアリング
121 モータ
122 ステータコラム
123 固定翼
125 固定翼スペーサ
127 外筒
129 ベース部
131 ネジ付スペーサ
131a ネジ溝
133 排気口
141 電子回路部
149 水冷管
143 基板
145 底蓋
150 アンプ回路
171 電源
181 電流検出回路
191 アンプ制御回路
200 制御装置
CN 締結部

Claims (10)

  1. 回転体の回転によりガスを排気する真空ポンプにおいて、
    前記回転体は、その表面に、第1の表面処理層で覆われた第1の領域と第2の表面処理層で覆われた第2の領域とを有し、
    前記第1の領域と前記第2の領域との境界部は、それぞれの表面処理層が重なった領域があること
    を特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記回転体は、円筒部の外周部に回転翼を形成した形状になっていて、
    前記境界部が、前記円筒部の内面に位置すること
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 前記境界部が、前記円筒部の内面の端部付近に位置すること
    を特徴とする請求項2に記載の真空ポンプ。
  4. 前記回転体の中心には、締結部を介してロータ軸が取付けられており、
    前記締結部では、前記ロータ軸の先端部が前記回転体側の第1の穴に嵌合した状態になっていて、
    前記境界部が、前記第1の穴の開口縁部若しくはその周囲に位置すること
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  5. 前記第1の穴の前記開口縁部若しくはその周囲と対向する部材の面に、前記境界部に対応する逃げ部を設けたこと
    を特徴とする請求項4に記載の真空ポンプ。
  6. 前記回転体の中心にはロータ軸の先端部が嵌合するための第1の穴が設けられ、
    前記境界部が前記第1の穴の内面に無いこと
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  7. 前記回転体の中心には、締結部を介してロータ軸が取付けられており、
    前記締結部では、前記回転体と前記ロータ軸とを締結するためのボルトが前記回転体側の第2の穴から挿入された状態になっていて、
    前記境界部が、前記第2の穴の内面に位置すること
    を特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  8. 前記第1の領域は、前記円筒部の外面および前記回転翼の表面に設けられ、
    前記第2の領域は、前記円筒部の内面に設けられていること
    を特徴とする請求項2に記載の真空ポンプ。
  9. 前記第2の表面処理層は、前記第1の表面処理層に比べて放射率が高いこと
    を特徴とする請求項1から請求項8のうちいずれか一項に記載の真空ポンプ。
  10. ガスを排気する真空ポンプの回転体であって、前記回転体は、その表面に、第1の表面処理層で覆われた第1の領域と第2の表面処理層で覆われた第2の領域とを有し、前記第1の領域と前記第2の領域との境界部は、それぞれの表面処理層が重なった領域があること
    を特徴とする真空ポンプの回転体。
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