JP2023083773A - 真空ポンプおよび良熱伝導性部品 - Google Patents

真空ポンプおよび良熱伝導性部品 Download PDF

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Abstract

【課題】ロータと協働してガスを排気する排気部を形成するステータの周方向の温度分布を均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を抑制できる真空ポンプおよび良熱伝導性部品を提供する。【解決手段】真空ポンプ100は、ケーシング210と、ケーシング210の内部に、回転自在に支持されたロータ軸113と、ロータ軸113に固定され、ロータ軸113と共に回転可能なロータ103と、ロータ103と協働して、ガスを排気する排気部を形成するねじ溝スペーサ131と、ねじ溝スペーサ131を支持して加熱するヒータスペーサ260と、ヒータスペーサ260に配置された少なくとも1つの加熱手段290と、を備えた真空ポンプ100であって、ねじ溝スペーサ131と加熱手段290との間の熱経路に、ヒータスペーサ260よりも熱伝導率が高い良熱伝導性部品280を備える。【選択図】図5

Description

本発明は、真空ポンプおよび良熱伝導性部品に関する。
半導体製造装置、液晶製造装置、電子顕微鏡、表面分析装置または微細加工装置等は、装置内の環境を高度の真空状態にすることが必要である。これらの装置の内部を高度の真空状態とするために、真空ポンプが用いられている。使用される真空ポンプの例として、例えば、ターボ分子ポンプとねじ溝ポンプとを組み合わせた複合ポンプが挙げられる。
ターボ分子ポンプとねじ溝ポンプとを組み合わせた真空ポンプは、例えば特許文献1に開示されるように、軸方向に交互に配列された回転翼および固定翼を有するターボポンプの下流側に、ねじ溝ポンプが配置される。吸気口より取込まれた排気ガスは、ターボ分子ポンプとねじ溝ポンプによって圧縮されて、排気口より真空ポンプの外部に排出される。
ねじ溝ポンプは、回転するロータ円筒部と、ロータを収容するケーシング側のねじ溝スぺーサにより構成される。ロータ円筒部またはねじ溝スぺーサの対向する表面には、ねじ溝が形成される。このため、ロータ円筒部がねじ溝スぺーサの内部で回転することで、気体を排気口側へ移送することができる。
排気ガスは、ターボ分子ポンプでは、分子流の挙動を示すが、ねじ溝ポンプおよびそれよりも下流の流路においては、比較的圧力が高くなっていることで、粘性流のような挙動を示す。このため、ねじ溝ポンプおよびそれよりも下流の流路の、排気ガスの流れが淀む箇所で、副生成物が析出しやすい。流路に副生成物が析出すると、本来接触しない箇所が接触するという事象が発生し、真空ポンプの損傷や、内部構造の伝熱性能の変化に伴う温度分布の変異が発生して安全性・生産性を損なう恐れがある。このため、排気ガス中の副生成物の析出により流路が閉塞しないように、ロータと協働してねじ溝ポンプの流路を形成するねじ溝スペーサをヒータなどの加熱手段で高温化することが行われている。ねじ溝スペーサの温度を上昇させる理由は、昇華曲線の関係により、物質の状態(気体・液体・個体)が温度と圧力に起因するためである。温度が上昇することで、物質の状態は固体よりも気体として安定しやすい。特許文献1には、加熱手段を配設したヒータスペーサをねじ溝スペーサに接触させて、ねじ溝スペーサの温度を高温化することが記載されている。
特開2019-90384号公報
ポンプ流路における副生成物の析出を防止するためには、ねじ溝スペーサの温度は、昇華曲線の気相側で定常化していることが望ましい。しかし、実際には、加熱手段がヒータスぺーサの周方向の複数箇所に配置されるため、ねじ溝スペーサは、同一の軸直交断面上であっても周方向に温度勾配が発生する。例えば、加熱手段に近い位置と、隣接する2つの加熱手段の中間位置とでは、温度が異なり、温度勾配が発生する。この温度勾配によって、ポンプ流路を流れるガスは、ある箇所では気相側、他の箇所では固相側という状態となる可能性がある。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、ロータと協働してガスを排気する排気部を形成するステータの周方向の温度分布を均一化し、排気部のポンプ流路へのガス分子の堆積を抑制できる真空ポンプおよび良熱伝導性部品を提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る真空ポンプは、ケーシングと、前記ケーシングの内部に、回転自在に支持された回転軸と、前記回転軸に固定され、前記回転軸と共に回転可能なロータと、前記ロータと協働して、ガスを排気する排気部を形成するステータと、前記ステータを支持して加熱する加熱部品と、前記加熱部品に配置された少なくとも1つの加熱手段と、を備えた真空ポンプであって、前記ステータと前記加熱手段との間の熱経路に、前記加熱部品よりも熱伝導率が高い良熱伝導性部品を備えたことを特徴とする。
上記目的を達成する本発明に係る良熱伝導性部品は、回転可能なロータと協働してガスを排気する排気部を形成するステータと、前記ステータを支持して加熱する加熱部品と、前記加熱部品に配置された少なくとも1つの加熱手段と、を備えた真空ポンプ用の良熱伝導性部品であって、前記良熱伝導性部品は、前記ステータと前記加熱手段との間の熱経路に配置可能であり、前記加熱部品よりも熱伝導率が高いことを特徴とする。
上記のように構成した真空ポンプは、加熱手段から加熱部品を介してステータへの熱伝導が良熱伝導性部品によって促されるため、ステータの周方向の温度分布が均一化されて、ポンプ流路へのガス分子の堆積を抑制できる。
上記のように構成した良熱伝導性部品は、加熱手段から加熱部品を介してステータへの熱伝導を促すことで、ステータの周方向の温度分布を均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を抑制できる。
前記良熱伝導性部品は、前記ステータと接触するように配置されてもよい。これにより、ステータの周方向の温度分布を効果的に均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
前記良熱伝導性部品は、リング状部品であってもよい。これにより、熱が良熱伝導性部品に沿って周方向へ伝わりやすくなるため、ステータの周方向の温度分布を効果的に均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
前記良熱伝導性部品の形状が周方向で不均一であってもよい。これにより、周方向の位置に応じて熱伝導性を変更できる。このため、例えば加熱手段から遠い位置への熱伝導性を、加熱手段から近い位置への熱伝導性よりも高めることで、ステータの周方向の温度分布を効果的に均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
前記加熱手段は前記加熱部品の周方向に離れた位置に複数設けられ、前記加熱手段の位相間隔によって、前記良熱伝導性部品の形状が異なってもよい。これにより、加熱手段の位相間隔が大きい位置では、熱が伝わり難くなるため、良熱伝導性部品の形状を、熱伝導性が高くなる形状とすることができる。また、加熱手段の位相間隔が小さい位置では、熱が伝わりやすいため、良熱伝導性部品の形状を、熱伝導性が低くなる形状とすることができる。
前記真空ポンプは、前記加熱部品に配置された少なくとも1つの温度検出部を有し、前記加熱手段は前記加熱部品の周方向に離れた位置に複数設けられ、少なくとも1つの前記温度検出部は、周方向に隣接する2つの前記加熱手段の中間位置よりも一方の前記加熱手段の近くに配置されてもよい。ステータの周方向の温度分布を均一化できることで、加熱位置から最も離れた位置で温度を検出して制御せずとも、温度を問題ない範囲に制御できる。このため、温度検出部を加熱手段に近づけることで、温度の制御幅を狭くして、ステータの周方向全体の温度を望ましい範囲内に効率よく制御できる。
真空ポンプの縦断面図である。 アンプ回路の回路図である。 電流指令値が検出値より大きい場合の制御を示すタイムチャートである。 電流指令値が検出値より小さい場合の制御を示すタイムチャートである。 第1実施形態に係る真空ポンプの縦断面図である。 図5のA-A線に沿うヒータスペーサ、排気口、加熱手段および温度検出部を示す横断面図である。 第1実施形態に係る真空ポンプの第1変形例を示す横断面図である。 第1実施形態に係る真空ポンプの第2変形例を示す横断面図である。 第1実施形態に係る真空ポンプの第3変形例を示す横断面図である。 第2実施形態に係る真空ポンプの縦断面図である。 図10のB-B線に沿うヒータスペーサ、排気口、加熱手段および温度検出部を示す横断面図である。 第2実施形態に係る真空ポンプの変形例を示す縦断面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
本発明の実施形態に係る真空ポンプ100は、高速回転する回転体の回転ブレードが気体分子を弾き飛ばすことによりガスを排気するターボ分子ポンプ100である。ターボ分子ポンプ100は、例えば半導体製造装置等のチャンバからガスを吸引して排気するために使用される。まず、ターボ分子ポンプ100の基本構成について説明する。
このターボ分子ポンプ100の縦断面図を図1に示す。図1において、ターボ分子ポンプ100は、円筒状の外筒127の上端に吸気口101が形成されている。そして、外筒127の内方には、ガスを吸引排気するためのタービンブレードである複数の回転翼102(102a、102b、102c・・・)を周部に放射状かつ多段に形成したロータ103が備えられている。このロータ103の中心にはロータ軸113が取り付けられており、このロータ軸113は、例えば5軸制御の磁気軸受により空中に浮上支持かつ位置制御されている。ロータ103は、一般的に、アルミニウム又はアルミニウム合金などの金属によって構成されている。
上側径方向電磁石104は、4個の電磁石がX軸とY軸とに対をなして配置されている。この上側径方向電磁石104に近接して、かつ上側径方向電磁石104のそれぞれに対応して4個の上側径方向センサ107が備えられている。上側径方向センサ107は、例えば伝導巻線を有するインダクタンスセンサや渦電流センサなどが用いられ、ロータ軸113の位置に応じて変化するこの伝導巻線のインダクタンスの変化に基づいてロータ軸113の位置を検出する。この上側径方向センサ107はロータ軸113、すなわちそれに固定されたロータ103の径方向変位を検出し、制御装置200に送るように構成されている。
この制御装置200においては、例えばPID調節機能を有する補償回路が、上側径方向センサ107によって検出された位置信号に基づいて、上側径方向電磁石104の励磁制御指令信号を生成し、図2に示すアンプ回路150(後述する)が、この励磁制御指令信号に基づいて、上側径方向電磁石104を励磁制御することで、ロータ軸113の上側の径方向位置が調整される。
そして、このロータ軸113は、高透磁率材(鉄、ステンレスなど)などにより形成され、上側径方向電磁石104の磁力により吸引されるようになっている。かかる調整は、X軸方向とY軸方向とにそれぞれ独立して行われる。また、下側径方向電磁石105及び下側径方向センサ108が、上側径方向電磁石104及び上側径方向センサ107と同様に配置され、ロータ軸113の下側の径方向位置を上側の径方向位置と同様に調整している。
さらに、軸方向電磁石106A、106Bが、ロータ軸113の下部に備えた円板状の金属ディスク111を上下に挟んで配置されている。金属ディスク111は、鉄などの高透磁率材で構成されている。ロータ軸113の軸方向変位を検出するために軸方向センサ109が備えられ、その軸方向位置信号が制御装置200に送られるように構成されている。
そして、制御装置200において、例えばPID調節機能を有する補償回路が、軸方向センサ109によって検出された軸方向位置信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bのそれぞれの励磁制御指令信号を生成し、アンプ回路150が、これらの励磁制御指令信号に基づいて、軸方向電磁石106Aと軸方向電磁石106Bをそれぞれ励磁制御することで、軸方向電磁石106Aが磁力により金属ディスク111を上方に吸引し、軸方向電磁石106Bが金属ディスク111を下方に吸引し、ロータ軸113の軸方向位置が調整される。
このように、制御装置200は、この軸方向電磁石106A、106Bが金属ディスク111に及ぼす磁力を適当に調節し、ロータ軸113を軸方向に磁気浮上させ、空間に非接触で保持するようになっている。なお、これら上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150については、後述する。
一方、モータ121は、ロータ軸113を取り囲むように周状に配置された複数の磁極を備えている。各磁極は、ロータ軸113との間に作用する電磁力を介してロータ軸113を回転駆動するように、制御装置200によって制御されている。また、モータ121には図示しない例えばホール素子、レゾルバ、エンコーダなどの回転速度センサが組み込まれており、この回転速度センサの検出信号によりロータ軸113の回転速度が検出されるようになっている。
さらに、例えば下側径方向センサ108近傍に、図示しない位相センサが取り付けてあり、ロータ軸113の回転の位相を検出するようになっている。制御装置200では、この位相センサと回転速度センサの検出信号を共に用いて磁極の位置を検出するようになっている。
回転翼102(102a、102b、102c・・・)とわずかの空隙を隔てて複数枚の固定翼123(123a、123b、123c・・・)が配設されている。回転翼102(102a、102b、102c・・・)は、それぞれ排気ガスの分子を衝突により下方向に移送するため、ロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成されている。固定翼123(123a、123b、123c・・・)は、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。
また、固定翼123も、同様にロータ軸113の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜して形成され、かつ外筒127の内方に向けて回転翼102の段と互い違いに配設されている。そして、固定翼123の外周端は、複数の段積みされた固定翼スペーサ125(125a、125b、125c・・・)の間に嵌挿された状態で支持されている。
固定翼スペーサ125はリング状の部材であり、例えばアルミニウム、鉄、ステンレス、銅などの金属、又はこれらの金属を成分として含む合金などの金属によって構成されている。固定翼スペーサ125の外周には、わずかの空隙を隔てて外筒127が固定されている。外筒127の底部にはベース部129が配設されている。ベース部129には排気口133が形成され、外部に連通されている。チャンバ(真空チャンバ)側から吸気口101に入ってベース部129に移送されてきた排気ガスは、排気口133へと送られる。
さらに、ターボ分子ポンプ100の用途によって、固定翼スペーサ125の下部とベース部129の間には、ねじ溝スぺーサ131(固定部材)が配設される。ねじ溝スぺーサ131は、アルミニウム、銅、ステンレス、鉄、又はこれらの金属を成分とする合金などの金属によって構成された円筒状の部材であり、その内周面に螺旋状のねじ溝131aが複数条刻設されている。ねじ溝131aの螺旋の方向は、ロータ103の回転方向に排気ガスの分子が移動したときに、この分子が排気口133の方へ移送される方向である。ロータ103の回転翼102(102a、102b、102c・・・)に続く最下部には円筒部102dが垂下されている。この円筒部102dの外周面は、円筒状で、かつねじ溝スぺーサ131の内周面に向かって張り出されており、このねじ溝スぺーサ131の内周面と所定のギャップ量を隔てて近接されている。回転翼102および固定翼123によってねじ溝131aに移送されてきた排気ガスは、ねじ溝131aに案内されつつベース部129へと送られる。
ベース部129は、ターボ分子ポンプ100の基底部を構成する円盤状の部材であり、一般には鉄、アルミニウム、ステンレスなどの金属によって構成されている。ベース部129はターボ分子ポンプ100を物理的に保持すると共に、熱の伝導路の機能も兼ね備えているので、鉄、アルミニウムや銅などの剛性があり、熱伝導率も高い金属が使用されるのが望ましい。
かかる構成において、回転翼102がロータ軸113と共にモータ121により回転駆動されると、回転翼102と固定翼123の作用により、吸気口101を通じてチャンバから排気ガスが吸気される。回転翼102の回転速度は通常20000rpm~90000rpmであり、回転翼102の先端での周速度は200m/s~400m/sに達する。吸気口101から吸気された排気ガスは、回転翼102と固定翼123の間を通り、ベース部129へ移送される。このとき、排気ガスが回転翼102に接触する際に生ずる摩擦熱や、モータ121で発生した熱の伝導などにより、回転翼102の温度は上昇するが、この熱は、輻射又は排気ガスの気体分子などによる伝導により固定翼123側に伝達される。
固定翼スペーサ125は、外周部で互いに接合しており、固定翼123が回転翼102から受け取った熱や排気ガスが固定翼123に接触する際に生ずる摩擦熱などを外部へと伝達する。
なお、上記では、ねじ溝スぺーサ131はロータ103の円筒部102dの外周に配設し、ねじ溝スぺーサ131の内周面にねじ溝131aが刻設されているとして説明した。しかしながら、これとは逆に円筒部102dの外周面にねじ溝が刻設され、その周囲に円筒状の内周面を有するスペーサが配置される場合もある。
また、ターボ分子ポンプ100の用途によっては、吸気口101から吸引されたガスが上側径方向電磁石104、上側径方向センサ107、モータ121、下側径方向電磁石105、下側径方向センサ108、軸方向電磁石106A、106B、軸方向センサ109などで構成される電装部に侵入することのないよう、電装部は周囲をステータコラム122で覆われ、このステータコラム122内はパージガスにて所定圧に保たれる場合もある。
この場合には、ベース部129には図示しない配管が配設され、この配管を通じてパージガスが導入される。導入されたパージガスは、保護ベアリング120とロータ軸113間、モータ121のロータとステータ間、ステータコラム122と回転翼102の内周側円筒部の間の隙間を通じて排気口133へ送出される。
ここに、ターボ分子ポンプ100は、機種の特定と、個々に調整された固有のパラメータ(例えば、機種に対応する諸特性)に基づいた制御を要する。この制御パラメータを格納するために、上記ターボ分子ポンプ100は、その本体内に電子回路部141を備えている。電子回路部141は、EEP-ROM等の半導体メモリ及びそのアクセスのための半導体素子等の電子部品、それらの実装用の基板143等から構成される。この電子回路部141は、ターボ分子ポンプ100の下部を構成するベース部129の例えば中央付近の図示しない回転速度センサの下部に収容され、気密性の底蓋145によって閉じられている。
ところで、半導体の製造工程では、チャンバに導入されるプロセスガスの中には、その圧力が所定値よりも高くなり、或いは、その温度が所定値よりも低くなると、固体となる性質を有するものがある。ターボ分子ポンプ100内部では、排気ガスの圧力は、吸気口101で最も低く排気口133で最も高い。プロセスガスが吸気口101から排気口133へ移送される途中で、その圧力が所定値よりも高くなったり、その温度が所定値よりも低くなったりすると、プロセスガスは、固体状となり、ターボ分子ポンプ100内部に付着して堆積する。
例えば、Alエッチング装置にプロセスガスとしてSiClが使用された場合、低真空(760[torr]~10-2[torr])かつ、低温(約20[℃])のとき、固体生成物(例えばAlCl)が析出し、ターボ分子ポンプ100内部に付着堆積することが蒸気圧曲線からわかる。これにより、ターボ分子ポンプ100内部にプロセスガスの析出物が堆積すると、この堆積物がポンプ流路を狭め、ターボ分子ポンプ100の性能を低下させる原因となる。そして、前述した生成物は、排気口133付近やねじ溝スぺーサ131付近の圧力が高い部分で凝固、付着し易い状況にあった。
そのため、この問題を解決するために、従来はベース部129等の外周に図示しないヒータや環状の水冷管149を巻着させ、かつ例えばベース部129に図示しない温度センサ(例えばサーミスタ)を埋め込み、この温度センサの信号に基づいてベース部129の温度を一定の高い温度(設定温度)に保つようにヒータの加熱や水冷管149による冷却の制御(以下TMSという。TMS;Temperature Management System)が行われている。
次に、このように構成されるターボ分子ポンプ100に関して、その上側径方向電磁石104、下側径方向電磁石105及び軸方向電磁石106A、106Bを励磁制御するアンプ回路150について説明する。このアンプ回路150の回路図を図2に示す。
図2において、上側径方向電磁石104等を構成する電磁石巻線151は、その一端がトランジスタ161を介して電源171の正極171aに接続されており、また、その他端が電流検出回路181及びトランジスタ162を介して電源171の負極171bに接続されている。そして、トランジスタ161、162は、いわゆるパワーMOSFETとなっており、そのソース-ドレイン間にダイオードが接続された構造を有している。
このとき、トランジスタ161は、そのダイオードのカソード端子161aが正極171aに接続されるとともに、アノード端子161bが電磁石巻線151の一端と接続されるようになっている。また、トランジスタ162は、そのダイオードのカソード端子162aが電流検出回路181に接続されるとともに、アノード端子162bが負極171bと接続されるようになっている。
一方、電流回生用のダイオード165は、そのカソード端子165aが電磁石巻線151の一端に接続されるとともに、そのアノード端子165bが負極171bに接続されるようになっている。また、これと同様に、電流回生用のダイオード166は、そのカソード端子166aが正極171aに接続されるとともに、そのアノード端子166bが電流検出回路181を介して電磁石巻線151の他端に接続されるようになっている。そして、電流検出回路181は、例えばホールセンサ式電流センサや電気抵抗素子で構成されている。
以上のように構成されるアンプ回路150は、一つの電磁石に対応されるものである。そのため、磁気軸受が5軸制御で、電磁石104、105、106A、106Bが合計10個ある場合には、電磁石のそれぞれについて同様のアンプ回路150が構成され、電源171に対して10個のアンプ回路150が並列に接続されるようになっている。
さらに、アンプ制御回路191は、例えば、制御装置200の図示しないディジタル・シグナル・プロセッサ部(以下、DSP部という)によって構成され、このアンプ制御回路191は、トランジスタ161、162のon/offを切り替えるようになっている。
アンプ制御回路191は、電流検出回路181が検出した電流値(この電流値を反映した信号を電流検出信号191cという)と所定の電流指令値とを比較するようになっている。そして、この比較結果に基づき、PWM制御による1周期である制御サイクルTs内に発生させるパルス幅の大きさ(パルス幅時間Tp1、Tp2)を決めるようになっている。その結果、このパルス幅を有するゲート駆動信号191a、191bを、アンプ制御回路191からトランジスタ161、162のゲート端子に出力するようになっている。
なお、ロータ103の回転速度の加速運転中に共振点を通過する際や定速運転中に外乱が発生した際等に、高速かつ強い力でのロータ103の位置制御をする必要がある。そのため、電磁石巻線151に流れる電流の急激な増加(あるいは減少)ができるように、電源171としては、例えば50V程度の高電圧が使用されるようになっている。また、電源171の正極171aと負極171bとの間には、電源171の安定化のために、通常コンデンサが接続されている(図示略)。
かかる構成において、トランジスタ161、162の両方をonにすると、電磁石巻線151に流れる電流(以下、電磁石電流iLという)が増加し、両方をoffにすると、電磁石電流iLが減少する。
また、トランジスタ161、162の一方をonにし他方をoffにすると、いわゆるフライホイール電流が保持される。そして、このようにアンプ回路150にフライホイール電流を流すことで、アンプ回路150におけるヒステリシス損を減少させ、回路全体としての消費電力を低く抑えることができる。また、このようにトランジスタ161、162を制御することにより、ターボ分子ポンプ100に生じる高調波等の高周波ノイズを低減することができる。さらに、このフライホイール電流を電流検出回路181で測定することで電磁石巻線151を流れる電磁石電流iLが検出可能となる。
すなわち、検出した電流値が電流指令値より小さい場合には、図3に示すように制御サイクルTs(例えば100μs)中で1回だけ、パルス幅時間Tp1に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をonにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、正極171aから負極171bへ、トランジスタ161、162を介して流し得る電流値iLmax(図示せず)に向かって増加する。
一方、検出した電流値が電流指令値より大きい場合には、図4に示すように制御サイクルTs中で1回だけパルス幅時間Tp2に相当する時間分だけトランジスタ161、162の両方をoffにする。そのため、この期間中の電磁石電流iLは、負極171bから正極171aへ、ダイオード165、166を介して回生し得る電流値iLmin(図示せず)に向かって減少する。
そして、いずれの場合にも、パルス幅時間Tp1、Tp2の経過後は、トランジスタ161、162のどちらか1個をonにする。そのため、この期間中は、アンプ回路150にフライホイール電流が保持される。
<第1実施形態>
次に、第1実施形態に係る真空ポンプ100について説明する。
真空ポンプ100は、図5および6に示すように、真空ポンプ100の外殻を形成するケーシング210が、複数の部品で構成されている。具体的には、ケーシング210は、上ケース220と、下ケース230と、ベース部129と、を備える。ケーシング210は、ベース部129を底部とする略円筒形状から成り、その内部空間に、後述する各種内装部品が設置される。これら各部品は同軸上に配置され、ボルト等の締結部材で一体に連結されている。
さらに、真空ポンプ100は、下ケース230の内側に、ヒータスペーサ260(加熱部品)と、ねじ溝スぺーサ131(ステータ)と、良熱伝導性部品280と、加熱手段290と、温度検出部300と、を備えている。上ケース220と下ケース230との間はシールリング271によりシールされ、下ケース230とベース部129との間はシールリング274によりシールされている。シールリング271、274は、一般的には、Oリングが用いられる。
上ケース220の上端部側には、吸気口101が配置され、ベース部129の上流側にあるヒータスペーサ260には、排気口133が配置されている。
下ケース230は、円筒状に形成されており、ヒータスペーサ260の外周面を覆うように、ヒータスペーサ260から離れて設けられている。
ヒータスペーサ260は、ステータ部品である、ねじ溝スぺーサ131を加熱するために設けられる。ヒータスペーサ260は、略円筒状に形成されており、下ケース230の内側に配置される。ヒータスペーサ260は、軸方向において、固定翼スペーサ125とベース部129との間に配置されている。ヒータスペーサ260は、上流側の面および内周面の一部に、ねじ溝スぺーサ131と接する加熱側接触面262を有している。加熱側接触面262は、上流側から見てリング状に形成される。
ヒータスペーサ260は、略円筒状であり、外周面に、複数の加熱手段290が挿入される所定の深さの複数の設置孔263と、温度検出部300が挿入される所定の深さの検出部設置孔264と、良熱伝導性部品280が配置される配置部265と、を備えている。
設置孔263は、周方向に沿って略均等に配置されている。設置孔263の数は、1つ以上であれば特に限定されないが、好ましくは4つ以下であり、本実施形態では4つである。加熱手段290は、特に限定されないが、設置孔263へ差し込める形態であることが好ましい。本実施形態において、加熱手段290は、金属パイプの内部に発熱体が配置され、発熱体に接続される両端子が金属パイプの一端側に配置されたカートリッジヒータである。加熱手段290にカートリッジヒータを採用する利点としては、被加熱部品であるヒータスペーサ260に対する加熱効率が高いことと、故障時の交換が容易であることが挙げられる。なお、加熱手段290は、カートリッジヒータに限定されず、例えば発熱体に接続される両端子が金属パイプの両端側に別々に配置されたシーズヒータであってもよい。また、図7に示す第1変形例のように、複数の設置孔263が周方向に沿って不均等に配置され、これらの設置孔263に、複数の加熱手段290が挿入されてもよい。
また、加熱手段は、ヒータスペーサ260に設置孔263ではなく、ヒータスペーサ260の外周面に接触するように配置される構造(例えば、バンドヒータ)であってもよい。この場合、ヒータスペーサ260に設置孔263が設けられなくてよい。
配置部265は、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262の近傍に形成される。配置部265は、ヒータスペーサ260の内部に、加熱側接触面262に沿ってリング状の中空を有するように形成されている。配置部265は、ヒータスペーサ260の外周面(設置孔263が形成される面)側には連通していない。このため、ポンプ流路の高真空が漏れることを抑制できる。
ヒータスペーサ260は、真空を維持するケーシングとしての役割も果たす必要があるため、ヒータスペーサ260の材料は、熱伝導率だけを考慮して決定できず、運転時の温度での材料強度も加味して選定される必要がある。以前よりポンプ内の高温化が求められる仕様においては、ヒータスペーサ260は、例えば、アルミニウムよりも高温時でも耐力の低下が少なく、熱による変形が起こり難いステンレス鋼により形成される。なお、ヒータスペーサ260の材料は、ステンレス鋼に限定されない。
良熱伝導性部品280は、図5および6に示すように、ヒータスペーサ260の配置部265に連通する図示しない開口部から、ヒータスペーサ260の配置部265に鋳込まれて形成される。良熱伝導性部品280は、加熱側接触面262の近傍に、加熱側接触面262に沿ってリング状に形成される。したがって、良熱伝導性部品280は、360度にわたって途切れないリング状部品である。良熱伝導性部品280のリング状の中心軸Zと直交する断面形状は、中心軸Zに沿って一定であることが好ましいが、一定でなくてもよい。良熱伝導性部品280の中心軸Zと直交する断面形状は、例えば円形であるが、円形でなくてもよい。
良熱伝導性部品280の材料は、ヒータスペーサ260の材料よりも熱伝導率が高い。ヒータスペーサ260の材料がステンレス鋼である場合、良熱伝導性部品280の材料は、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、金、銀等である。なお、良熱伝導性部品280は、ねじ溝スペーサ131の材料よりも熱伝導性が高い必要はない。
ねじ溝スぺーサ131は、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262に接触して連結されるリング状の連結部310と、連結部310の内周面側から下流に向かって延びる円筒状の延在部311とを備えている。ねじ溝スぺーサ131は、連結部310の上流側の面と、延在部311の内周面に、螺旋状のねじ溝131aが複数条刻設されている。また、ねじ溝スぺーサ131は、連結部310の上流側の面と、延在部311の内周面のうちの上流側の面に、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262に接触するねじ溝側接触面312が形成されている。
温度検出部300は、図6および7に示すように、周方向に隣接する2つの加熱手段290の中間位置に配置される検出部設置孔264に挿入されている。これにより、ヒータスペーサ260の外周面において加熱手段290が配置される位置から最も離れた位置で温度が検出される。このため、最も温度差が生じる位置までを含めた温度制御が可能である。
なお、温度検出部300は、図8に示す第2変形例のように、周方向に隣接する2つの加熱手段290の中間位置よりも一方の加熱手段290の近くに配置されてもよい。
また、図9に示す第3変形例のように、良熱伝導性部品280の形状が、周方向で不均一であってもよい。一例として、良熱伝導性部品280は、第1の部位281と、第1の部位281よりも中心軸Zと直交する断面積が大きい第2の部位282と、第2の部位282よりも中心軸Zと直交する断面積が大きい第3の部位283と、を備えている。第1の部位281は、隣接する2つの加熱手段290の間の位相差が最も小さい範囲に配置される。第2の部位282は、隣接する2つの加熱手段290の間の位相差が、第1の部位281の次に小さい範囲に配置される。第3の部位283は、隣接する2つの加熱手段290の間の位相差が、最も大きい範囲に配置される。これにより、周方向の位置に応じて熱伝導性を変更できる。このため、例えば加熱手段290から遠い位置への熱伝導性を、加熱手段290から近い位置への熱伝導性よりも高めることで、ヒータスペーサ260の周方向の温度分布を効果的に均一化できる。
次に、第1実施形態に係る真空ポンプ100の作用を説明する。
第1実施形態において、図5~6に示すように、ねじ溝スぺーサ131のねじ溝側接触面312は、ヒータスペーサ260の加熱側接触面262に接触している。そして、加熱側接触面262の近傍に、ヒータスペーサ260よりも熱伝導率が高い良熱伝導性部品280が配置されている。したがって、真空ポンプ100は、ねじ溝スぺーサ131(ステータ)と加熱手段290との間の熱経路に、ヒータスペーサ260(加熱部品)よりも熱伝導率が高い良熱伝導性部品280を備えている。このため、周方向の局所的な位置に配置された加熱手段290が作動すると、加熱手段290が発する熱は、ねじ溝側接触面312に伝わる前に良熱伝導性部品280に伝わる。良熱伝導性部品280に伝わった熱は、熱伝導率の高い良熱伝導性部品280によって周方向への熱伝導が促される。このため、周方向の局所的な位置にのみ加熱手段290がある場合であっても、良熱伝導性部品280の作用によって、加熱側接触面262における周方向の温度分布の均一化が促される。したがって、加熱側接触面262によって加熱されるねじ溝スペーサ131は、周方向の位置によって温度差が生じることが抑制される。これにより、ポンプ流路を流れるガスの液化や固化を防止でき、特に、ポンプ流路(特にねじ溝131a)内に固体の副生成物としてガス分子が堆積することを防止できる。本真空ポンプ100は、上記ポンプ流路における排気性能を向上させるため、ロータ103の円筒部102dとねじ溝スぺーサ131との隙間は非常に狭いギャップとなっているが、上述のねじ溝スぺーサ131の加熱により、ポンプ流路で固化し堆積するガス分子とロータ103の円筒部102dとの接触を防ぐことができる。その結果、ロータ103と堆積したガス分子との接触による不具合を防止できる。
また、真空ポンプ100に良熱伝導性部品280が設けられることで、例えば、加熱手段290が周方向に均等に4つのみ設けられる場合であっても、良熱伝導性部品280の作用により、加熱側接触面262における温度の周方向の分布をより均一化できる。このため、例えば加熱手段290が周方向へ略均等に8つ設けられる場合と比較しても、加熱側接触面262における周方向の位置によって温度差が生じることを抑制できる。したがって、ヒータスペーサ260に配置する加熱手段290の数を低減させて、製造コストおよび運用コストを低減できる。
また、真空ポンプ100に良熱伝導性部品280が設けられることで、例えば、図7に示す第1変形例のように加熱手段290が周方向に不均等に4つ設けられる場合であっても、加熱側接触面262における温度の周方向の分布をより均一化して、ねじ溝スペーサ131の周方向の位置によって温度差が生じることを抑制できる。
以上のように、本実施形態に係る真空ポンプ100は、ケーシング210と、ケーシング210の内部に、回転自在に支持されたロータ軸113と、ロータ軸113に固定され、ロータ軸113と共に回転可能なロータ103と、ロータ103と協働して、ガスを排気する排気部を形成するねじ溝スペーサ131(ステータ)と、ねじ溝スペーサ131を支持して加熱するヒータスペーサ260(加熱部品)と、ヒータスペーサ260に配置された少なくとも1つの加熱手段290と、を備えた真空ポンプ100であって、ねじ溝スペーサ131と加熱手段290との間の熱経路に、ヒータスペーサ260よりも熱伝導率が高い良熱伝導性部品280を備える。上記のように構成した真空ポンプ100は、加熱手段290からヒータスペーサ260を介してねじ溝スペーサ131への熱伝導が良熱伝導性部品280によって促されるため、ねじ溝スペーサ131の周方向の温度分布が均一化されて、ポンプ流路へのガス分子の堆積を抑制できる。
また、良熱伝導性部品280は、リング状部品である。これにより、ヒータスペーサ260の周方向の温度分布を効果的に均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
また、図9に示す第3変形例のように、良熱伝導性部品280の形状が周方向で不均一であってもよい。これにより、周方向の位置に応じて熱伝導性を変更できる。このため、例えば加熱手段290から遠い位置への熱伝導性を、加熱手段290から近い位置への熱伝導性よりも高めることで、ねじ溝スペーサ131の周方向の温度分布を効果的に均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
また、加熱手段290はヒータスペーサ260の周方向に離れた位置に複数設けられ、加熱手段290の位相間隔によって、良熱伝導性部品280の形状が異なってもよい。これにより、加熱手段290の位相間隔が大きい位置では、熱が伝わり難くなるため、良熱伝導性部品280の形状を、熱伝導性が高くなる形状とすることができる。また、加熱手段290の位相間隔が小さい位置では、熱が伝わりやすいため、良熱伝導性部品280の形状を、熱伝導性が低くなる形状とすることができる。
また、真空ポンプ100は、図8および9に示す第2および第3変形例のように、加熱部品に配置された少なくとも1つの温度検出部300を有し、加熱手段290はヒータスペーサ260の周方向に離れた位置に複数設けられ、少なくとも1つの温度検出部300は、周方向に隣接する2つの加熱手段290の中間位置よりも一方の加熱手段290の近くに配置されてもよい。ねじ溝スペーサ131の周方向の温度分布を均一化できることで、加熱位置から最も離れた位置で温度を検出して制御せずとも、温度を問題ない範囲に制御できる。このため、温度検出部300を加熱手段290に近づけることで、温度の制御幅を狭くして、ねじ溝スペーサ131の周方向全体の温度を望ましい範囲内に効率よく制御できる。
また、良熱伝導性部品280は、回転可能なロータ103と協働してガスを排気する排気部を形成するねじ溝スペーサ131と、ねじ溝スペーサ131を支持して加熱するヒータスペーサ260と、ヒータスペーサ260に配置された少なくとも1つの加熱手段290と、を備えた真空ポンプ100用の良熱伝導性部品280であって、良熱伝導性部品280は、ねじ溝スペーサ131と加熱手段290との間の熱経路に配置可能であり、ヒータスペーサ260よりも熱伝導率が高い。上記のように構成した良熱伝導性部品280は、加熱手段290からヒータスペーサ260を介してねじ溝スペーサ131への熱伝導を促すことで、ねじ溝スペーサ131の周方向の温度分布が均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を抑制できる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る真空ポンプ100は、図10および11に示すように、ヒータスペーサ260および良熱伝導性部品280の形態のみが、第1実施形態と異なる。
ヒータスペーサ260は、当該ヒータスペーサ260の下流側かつ内周面側に、良熱伝導性部品280を配置可能な段差状の配置部265が形成されている。配置部265に配置される良熱伝導性部品280は、一定の内径および一定の外径を備え、下流側の面および上流側の面が平滑な円筒状(リング状)の部品である。良熱伝導性部品280の下流側の面および内周面側の面に、ねじ溝スぺーサ131のねじ溝側接触面312と接触する加熱側接触面285が形成されている。良熱伝導性部品280は、ヒータスペーサ260に篏合して固定されている。すなわち、第1実施形態と異なり、第2実施形態では、良熱伝導性部品280が、ねじ溝側接触面312と直接的に接触する。
なお、良熱伝導性部品280は、ヒータスペーサ260およびねじ溝スペーサ131に挟まれることで固定されてもよい。または、良熱伝導性部品280は、ヒータスペーサ260ではなくねじ溝スペーサ131に固定されてもよい。ねじ溝スペーサ131が、例えば鋳造品である場合のように熱伝導性が高くない場合に、良熱伝導性部品280をねじ溝スペーサ131側に配置することが、ねじ溝スペーサ131の周方向の温度分布を均一化するために有効である。良熱伝導性部品280をねじ溝スペーサ131側に配置する例として、図12に示す変形例のように、ねじ溝スペーサ131のヒータスペーサ260と接触する面の少なくとも一部を形成するように、局所的に良伝熱性部品280がインサート成形等によってねじ溝スペーサ131に配置されてもよい。これにより、ねじ溝スペーサ131を鋳造品とすることでコストを低減しつつ、鋳造品とすることで低下する熱伝導率を良熱伝導性部品280によって高上させて、ねじ溝スペーサ131の周方向の温度分布を均一化できる。
以上のように、良熱伝導性部品280は、ねじ溝スぺーサ131(ステータ)と接触するように配置される。これにより、ねじ溝スぺーサ131の周方向の温度分布を効果的に均一化し、ポンプ流路へのガス分子の堆積を効果的に抑制できる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更や組合せが可能である。例えば、上述した第2実施形態に、第1実施形態の第1変形例のように加熱手段290が不均等に配置される構成や、第2変形例のように温度検出部300が1つの加熱手段290の近くに配置される構成や、第3変形例のように良熱伝導性部品280の形状が周方向において不均一な構成が適用されてもよい。すなわち、本明細書に記載された各々の構成は、適宜組み合わせることができる。
また、良熱伝導性部品280は、複数に分割されて配置されてもよい。
また、上述の各実施形態のねじ溝スぺーサ131のねじ溝131aは、ねじ溝スぺーサ131の内周面だけでなく、ねじ溝スぺーサ131の上流側の面にも形成されているが、どちらか一方の面のみに形成されてもよい。すなわち、上述の各実施形態において、ねじ溝ポンプ部は、軸方向の螺旋状溝によるホルベック型ねじ溝ポンプと、半径方向のスパイラル状溝によるシグバーン型ねじ溝ポンプを組み合わせた構成であるが、ホルベック型ねじ溝ポンプのみの構成であっても、シグバーン型ねじ溝ポンプのみの構成であってもよい。
100 真空ポンプ
101 吸気口
103 ロータ
113 ロータ軸
131 ねじ溝スぺーサ(ステータ)
133 排気口
210 ケーシング
260 ヒータスペーサ(加熱部品)
280 良熱伝導性部品
290 加熱手段
300 温度検出部

Claims (7)

  1. ケーシングと、
    前記ケーシングの内部に、回転自在に支持された回転軸と、
    前記回転軸に固定され、前記回転軸と共に回転可能なロータと、
    前記ロータと協働して、ガスを排気する排気部を形成するステータと、
    前記ステータを支持して加熱する加熱部品と、
    前記加熱部品に配置された少なくとも1つの加熱手段と、を備えた真空ポンプであって、
    前記ステータと前記加熱手段との間の熱経路に、前記加熱部品よりも熱伝導率が高い良熱伝導性部品を備えたことを特徴とする真空ポンプ。
  2. 前記良熱伝導性部品は、前記ステータと接触するように配置されることを特徴とする請求項1に記載の真空ポンプ。
  3. 前記良熱伝導性部品は、リング状部品であることを特徴とする請求項1または2に記載の真空ポンプ。
  4. 前記良熱伝導性部品の形状が周方向で不均一であることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
  5. 前記加熱手段は前記加熱部品の周方向に離れた位置に複数設けられ、
    前記加熱手段の位相間隔によって、前記良熱伝導性部品の形状が異なることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
  6. 前記加熱部品に配置された少なくとも1つの温度検出部を有し、
    前記加熱手段は前記加熱部品の周方向に離れた位置に複数設けられ、
    少なくとも1つの前記温度検出部は、周方向に隣接する2つの前記加熱手段の中間位置よりも一方の前記加熱手段の近くに配置されることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の真空ポンプ。
  7. 回転可能なロータと協働してガスを排気する排気部を形成するステータと、前記ステータを支持して加熱する加熱部品と、前記加熱部品に配置された少なくとも1つの加熱手段と、を備えた真空ポンプ用の良熱伝導性部品であって、
    前記良熱伝導性部品は、前記ステータと前記加熱手段との間の熱経路に配置可能であり、前記加熱部品よりも熱伝導率が高いことを特徴とする良熱伝導性部品。
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