JP2022108418A - 積層体、包装体、包装物品および積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】包装材として実用化するのに十分な積層体の層間密着性を酸素吸収後でも維持しつつ、酸素吸収性能にも優れ、かつ積層体の着色を均一にし、黒点発生などの著しい外観の劣化を抑制する積層体、それを含む包装体及び包装物品を提供する。【解決手段】少なくとも基材である最外層、アンカー層、酸素吸収層、最内層をこの順に備える積層体であって、前記酸素吸収層は少なくとも酸素吸収物質層とアルカリ層から成り、前記酸素吸収物質層は酸素吸収物質、バインダ樹脂を含み、前記アルカリ層はアルカリ性物質、バインダ樹脂を含み、前記バインダ樹脂は、有機溶剤に可溶であり、側鎖に親水基を有し、且つ非水溶性であり、前記アンカー層は非水溶性であり、且つ有機溶剤に可溶なバインダ樹脂を含むことを特徴とする積層体。【選択図】図1
Description
本発明は、包装材として実用化するのに十分な密着強度を維持しつつ、酸素吸収性能にも優れた積層体、それを含む包装体、包装物品および積層体の製造方法に関する。
食品の包装において包装体内に酸素が存在することにより、内容物である食品等が酸化して、劣化したり変色したりすることがある。包装された内容物の酸化劣化を防ぐには、従来は脱気・真空・窒素などのガス置換による包装体内部への酸素混入を抑制する手段や、酸素吸収物質を充填した小袋からなる脱酸素剤を、内容物が収容された包装体内に同梱して包装体内部の酸素を除去する手段が利用されてきた。
上記のガス置換などの手段では、特別な充填包装設備を別途用意する必要があり、高額な設備費用がかかったり、充填包装速度が上がらず生産効率が低下したりと、不利益が発生する。また、脱酸素剤を使用する場合は、一定期間、すなわち酸素吸収薬剤の酸素吸収能力が維持している期間は、酸素吸収薬剤が酸素を吸収することで酸素を除去することができる。そのため、包装時に包装体内に残った酸素や外部から経時で進入した酸素も除去することが可能であり、包装体内を無酸素状態に維持するのに非常に有効である。しかし、脱酸素剤は、酸素吸収性薬剤を充填する際の手間やコストが発生する。また、入れ忘れが発生したり、消費者が誤飲するなどの問題が発生した。
このような欠点を解消し、一定期間包装体内の酸素を除去及び遮断する手段として、包装材を構成するフィルムなどの一部に酸素吸収機能を設けた酸素吸収フィルムや、それを用いた酸素吸収包装材が考案され、一部実用化されている。
現在実用化されている酸素吸収包装材には、酸素吸収物質として鉄系材料や、樹脂組成物の構造の一部に不飽和結合を設けたものがあるが、鉄系の酸素吸収物質を用いると金属探知機の使用に制限が生じる、また、不飽和結合の構造を持つ樹脂組成物は材料そのものの価格が高いという問題がある。
一方で、アスコルビン酸類、グルコース等の還元糖類、グリセリン等の多価アルコール類、カテコールなどのフェノール類、ヒドロキシ安息香酸などのフェノールカルボン酸類などの有機系の物質は、脱酸素剤の酸素吸収物質として長い間検討されてきた物質であり、コストも安価で安全である。
例えば、酸素吸収物質としてフェノールカルボン酸類の中でも没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)を使用した酸素吸収包装材として、特許文献1には、熱可塑性樹脂中に没食子酸、アルカリ物質、酸化反応触媒を添加してなる樹脂組成物から形成された酸素吸収フィルムが開示されている。また、特許文献2には、基材、没食子酸含有層、アルカリ物質含有層及びシーラント層がこの順で積層されてなる酸素吸収フィルムが開示されている。
しかしながら、没食子酸等の酸素吸収物質を含有する酸素吸収層を備え、助剤としてアルカリ物質を含有してなる酸素吸収フィルムは、酸素吸収性能には優れるものの、ラミネート強度は必ずしも十分でなく、特に基材と酸素吸収層との間でデラミネーションを発生しやすい問題がある。
したがって、ラミネート強度を維持しつつ、酸素吸収性能を向上させることが可能な技術が求められる。
また、没食子酸を用いると外観が著しく低下することがある。この外観の劣化は、積層体が着色し、黒い点状もしくは斑状の模様が発現したりすることによって起こる。この現象は、着色の要因である没食子酸の酸化が進行すると顕著となる。
上記事情を踏まえ、本発明は包装材として実用化するのに十分な積層体の層間密着性を酸素吸収後でも維持しつつ、酸素吸収性能にも優れ、かつ積層体の着色を均一にし、黒点発生などの著しい外観の劣化を抑制する積層体、それを含む包装体及び包装物品を提供することを課題とする。
本発明に於いて上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、
少なくとも基材である最外層、アンカー層、酸素吸収層、最内層をこの順に備える積層体であって、
前記酸素吸収層は少なくとも酸素吸収物質層とアルカリ層から成り、前記酸素吸収物質層は酸素吸収物質、バインダ樹脂を含み、前記アルカリ層はアルカリ性物質、バインダ樹脂を含み、
前記バインダ樹脂は、有機溶剤に可溶であり、側鎖に親水基を有し、且つ非水溶性であり、
前記アンカー層は非水溶性であり、且つ有機溶剤に可溶なバインダ樹脂を含むことを特徴とする積層体である。
少なくとも基材である最外層、アンカー層、酸素吸収層、最内層をこの順に備える積層体であって、
前記酸素吸収層は少なくとも酸素吸収物質層とアルカリ層から成り、前記酸素吸収物質層は酸素吸収物質、バインダ樹脂を含み、前記アルカリ層はアルカリ性物質、バインダ樹脂を含み、
前記バインダ樹脂は、有機溶剤に可溶であり、側鎖に親水基を有し、且つ非水溶性であり、
前記アンカー層は非水溶性であり、且つ有機溶剤に可溶なバインダ樹脂を含むことを特徴とする積層体である。
酸素吸収層が酸素吸収物質層とアルカリ層を積層する理由は、没食子酸等の酸素吸収物質が酸素を吸収する反応がアルカリ環境下で発現するため、アルカリ成分が必要となるからである。また、アンカー層は、最外層と酸素吸収層間の密着性を向上させるために積層される。
また、請求項2に記載の発明は、
前記バインダ樹脂が23mol%以上の水酸基を有する非水溶性のポリビニルアセタール系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層体である。
前記バインダ樹脂が23mol%以上の水酸基を有する非水溶性のポリビニルアセタール系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層体である。
また、請求項3に記載の発明は、
前記アンカー層、酸素吸収物質層、前記アルカリ層は少なくとも積層体を形成する過程では有機溶剤に対する溶解性を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体である。
前記アンカー層、酸素吸収物質層、前記アルカリ層は少なくとも積層体を形成する過程では有機溶剤に対する溶解性を有していることを特徴とする請求項1または2に記載の積層体である。
酸素吸収物質層とアルカリ層を別々の塗液として作製し、異なる層として形成することで、塗液作製工程や塗工工程で即座に反応が開始することはなく、性能劣化を防ぐことが可能となる。一方、積層後は、酸素吸収物質層とアルカリ層は溶けあって酸素吸収反応を起こしやすくするため、有機溶剤は、酸素吸収物質層とアルカリ層の両方で同一のものが用いられ、界面形成を抑制させる。また、酸素吸収層は、最外層側から酸素吸収物質層、アルカリ層の順で積層しても良いし、その逆でもよい。
また、請求項4に記載の発明は、
前記酸素吸収物質、アルカリ性物質の少なくとも一方が粒子として酸素吸収物質層もしくはアルカリ層に分散していることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層体である。
前記酸素吸収物質、アルカリ性物質の少なくとも一方が粒子として酸素吸収物質層もしくはアルカリ層に分散していることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層体である。
前述したように、前記バインダ樹脂は非水溶性であること、及び各層は溶け合って形成する必要があることから酸素吸収物質層とアルカリ層は溶剤系の塗液で形成する。しかし、酸素吸収物質やアルカリ性物質には溶剤に不溶なものもあり、その場合は各層に粒子として分散させて使用することが望ましい。
また、請求項5に記載の発明は、
前記バインダ樹脂がエステル系溶剤に可溶であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の積層体である。酸素吸収物質に没食子酸を使用する場合、前記有機溶剤にはエステル系溶剤を使用する。
前記バインダ樹脂がエステル系溶剤に可溶であることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の積層体である。酸素吸収物質に没食子酸を使用する場合、前記有機溶剤にはエステル系溶剤を使用する。
また、請求項6に記載の発明は、
前記酸素吸収物質が多価フェノール化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の積層体である。
前記酸素吸収物質が多価フェノール化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の積層体である。
また、請求項7に記載の発明は、
前記多価フェノール化合物が没食子酸、没食子酸エステル、それらの水和物のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の積層体である。
前記多価フェノール化合物が没食子酸、没食子酸エステル、それらの水和物のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の積層体である。
また、請求項8に記載の発明は、
前記アルカリ性物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の積層体である。
前記アルカリ性物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の積層体である。
また、請求項9に記載の発明は、
前記酸素吸収物質が、前記酸素吸収層全量に対し、10~40重量%の添加量であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の積層体である。
前記酸素吸収物質が、前記酸素吸収層全量に対し、10~40重量%の添加量であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の積層体である。
また、請求項10に記載の発明は、
前記アルカリ性物質が、前記アルカリ層全量に対し、5~40重量%の添加量であり、かつアルカリ層が酸素吸収物質層の重量に対し20~100重量%であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の積層体である。
前記アルカリ性物質が、前記アルカリ層全量に対し、5~40重量%の添加量であり、かつアルカリ層が酸素吸収物質層の重量に対し20~100重量%であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の積層体である。
また、請求項11に記載の発明は、
前記積層体の酸素吸収層の厚みが、1~20μm、アルカリ層の厚みが0.5~10μmであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の積層体である。
前記積層体の酸素吸収層の厚みが、1~20μm、アルカリ層の厚みが0.5~10μmであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の積層体である。
また、請求項12に記載の発明は、
前記酸素吸収物質層が、前記酸素吸収物質、前記バインダ樹脂、有機溶剤を含む塗液組成物を塗布することにより形成されることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
前記酸素吸収物質層が、前記酸素吸収物質、前記バインダ樹脂、有機溶剤を含む塗液組成物を塗布することにより形成されることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
また、請求項13に記載の発明は、
前記アルカリ層が、前記アルカリ性物質、前記バインダ樹脂、有機溶剤を含む塗液組成物を塗布することにより形成されることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の積層体の製造方法。
前記アルカリ層が、前記アルカリ性物質、前記バインダ樹脂、有機溶剤を含む塗液組成物を塗布することにより形成されることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の積層体の製造方法。
また、請求項14に記載の発明は、
前記酸素吸収層が、パターン形成された層であることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の積層体である。
前記酸素吸収層が、パターン形成された層であることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の積層体である。
また、請求項15に記載の発明は、
前記最内層はシーラント層を含む、請求項1~14のいずれかに記載の積層体。
前記最内層はシーラント層を含む、請求項1~14のいずれかに記載の積層体。
また、請求項16に記載の発明は、
請求項1~15のいずれかに記載の積層体を含む包装体。
請求項1~15のいずれかに記載の積層体を含む包装体。
また、請求項17に記載の発明は、
請求項16に記載の包装体と、これに収容された内容物とを含んだ包装物品。
請求項16に記載の包装体と、これに収容された内容物とを含んだ包装物品。
本発明によれば、包装材として実用化するのに十分な積層体の層間密着性を酸素吸収後でも維持しつつ、酸素吸収性能にも優れ、かつ積層体の着色を均一にし、黒点発生などの著しい外観の劣化を抑制する積層体、それを含む包装体及び包装物品を提供することができる。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は、以下に記載する各実施の形態に限定されるものではない。本実施形態に係る積層体は、包装体として実用に供するが、例えば、食品、薬剤、医薬品、化粧品、電子部品等の包装物品に好適に用いられる。
<積層体>
以下に、本実施形態に係る積層体について、図面を参照しながら説明する。
以下に、本実施形態に係る積層体について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る積層体について、代表的な層構成例を図1に示す。この積層体1は、最外層10と、アンカー層11と、酸素吸収層12と、最内層13とをこの順に備えている。酸素吸収層12は、酸素吸収物質層12aと、アルカリ層12bの2層を有する。酸素吸収物質層12aと、アルカリ層12bの2層の位置は、図1のようでも良いし、逆でもよい。積層体1では、何れの層間においても接着層(図示せず)が設けられていてもよい。最内層13は、ヒートシール性を有するシーラント層を含む層である。
このような構成により、この積層体1を用いて包装体とした場合に、外部から水分が取り込まれ、この水分とアルカリ層12bのアルカリ性物質の作用により、酸素吸収物質層12aの酸素吸収物質が働き、酸素吸収性能を発現する。
以下に、各層の材料や機能等について説明する。
<最外層>
最外層10には、少なくとも酸素バリア性を有する基材を使用する。水蒸気バリア性は、内容物の水分活性等、本発明における酸素吸収剤の特徴及び内容物の水分に対する耐性等用途に応じて使い分ければよい。例えば、水分活性の高い内容物の場合は、内容物から放出する水分により酸素吸収が可能となるので、外部からの水蒸気の侵入を抑制するために酸素バリア性と水蒸気バリア性を有した基材を使用すればよい。最外層10は、図1に示すように単層からなる基材であってもよいし、酸素バリア層や水蒸気バリア層などを設けた多層構造からなる基材であってもよい。
最外層10には、少なくとも酸素バリア性を有する基材を使用する。水蒸気バリア性は、内容物の水分活性等、本発明における酸素吸収剤の特徴及び内容物の水分に対する耐性等用途に応じて使い分ければよい。例えば、水分活性の高い内容物の場合は、内容物から放出する水分により酸素吸収が可能となるので、外部からの水蒸気の侵入を抑制するために酸素バリア性と水蒸気バリア性を有した基材を使用すればよい。最外層10は、図1に示すように単層からなる基材であってもよいし、酸素バリア層や水蒸気バリア層などを設けた多層構造からなる基材であってもよい。
最外層10に用いる基材としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリエチレンナフタレートなど、あるいはこれら高分子の共重合体など通常包装材料として用いられるものが使用できる。また、樹脂フィルムの中で比較的バリア性の高いポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリ塩化ビニリデンなどの塗液をプラスチック基材上にコーティングしたものを用いることもできる。基材は用途や最外層の層構造等に応じて上記材料から適宜選択される。
また、酸素バリア性や水蒸気バリア性を得るために、基材上にアルミ、酸化物、フッ化物、窒化物などの無機化合物のCVDやスパッタなどによる蒸着層を設けたり、アルミ箔を貼り合わせたり、酸素バリア性や水蒸気バリア性を有するコーティング剤により酸素バリア層や水蒸気バリア層を形成してもよい。
最外層には、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤などの公知の添加剤を含有してもよい。
最外層10の膜厚は適宜設定することができる。良好な加工性、取り扱い性の観点からは、10μm以上50μm以下の膜厚であってよい。
また、基材層は、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤などの公知の添加剤を含有してもよい。
<アンカー層>
アンカー層11は、積層体1が酸素吸収性能を発現した後でも、酸素吸収層12と基材10との密着性を向上させるために使用される。アンカー層は形成後に非水溶性を示し且つ、バインダ成分は酸素吸収層12に含まれる有機溶剤に溶解性を有する以外は、最外層及び酸素吸収層と密着性が得られれば限定されない。バインダ成分の有機溶剤への溶解性は、酸素吸収層を形成する時点には少なくとも必要な物性である。
アンカー層11は、積層体1が酸素吸収性能を発現した後でも、酸素吸収層12と基材10との密着性を向上させるために使用される。アンカー層は形成後に非水溶性を示し且つ、バインダ成分は酸素吸収層12に含まれる有機溶剤に溶解性を有する以外は、最外層及び酸素吸収層と密着性が得られれば限定されない。バインダ成分の有機溶剤への溶解性は、酸素吸収層を形成する時点には少なくとも必要な物性である。
前述したように、酸素吸収物質層12aとアルカリ層12bを直接基材10上に積層した場合の積層体1は、酸素吸収性能には優れるものの、ラミネート強度は必ずしも十分でなく、特に基材10と酸素吸収層12との間でデラミネーションを発生する。さらにこの時、積層体に黒点が発生し、外観の劣化が見られることもある。この外観の劣化は、積層体1が着色し、黒い点状もしくは斑状の模様が発現したりすることによって起こる。この現象は、着色の要因である酸素吸収物質の酸化が進行すると顕著となる。
アルカリ層12bを透過する水分が、アルカリ溶液となり酸素吸収物質層12aに浸透することで、酸素吸収層12がアルカリ環境となり酸素吸収が促進され酸化物が生成される。この酸化物は水溶性の液状物質であり着色の要因となる。ラミネート強度の低下すなわち基材10と酸素吸収層12の密着強度の低下、および黒点の発生は、このアルカリ環境下での酸化反応によって生成した水及びアルカリ物質を含む水溶性酸化生成物が、酸素吸収層を透過して集合体を形成し、基材の界面に付着することで引き起こされていると推定される。
したがって、前記酸化生成物による外観劣化やラミネート強度の低下は、酸化生成物をバインダー樹脂中に均一に分散させ集合体の形成を抑制することで改善される。酸化生成
物が、酸素吸収層を透過して基材界面に付着するのは、酸素吸収層中のバインダ樹脂と水溶性の酸化生成物との親和性が低いことが原因と考えられるため、親水基として水酸基を有するバインダ樹脂を検討した。その結果、水酸基23mol%以上のバインダ樹脂を使用した場合に均一な着色が得られ、ラミネート強度も酸素吸収前の値を維持できた。但し、水酸基などの親水基を多量に含む水溶性バインダは、酸素吸収層に侵入する水分および酸化生成物に溶解してしまうため、バインダは非水溶性である必要がある。親水基を比較的多量に含み、且つ非水溶性のバインダ樹脂を検討した結果、ポリビニルアセタール系のバインダ樹脂を得た。また、硬化剤は、膜物性調整のため用いてもよいが、親水基と反応する硬化剤を使用する場合はその分親水基が減少し、バインダ樹脂成分の親水性が低下するので、使用量は親和性を損なわない程度とする必要がある。
物が、酸素吸収層を透過して基材界面に付着するのは、酸素吸収層中のバインダ樹脂と水溶性の酸化生成物との親和性が低いことが原因と考えられるため、親水基として水酸基を有するバインダ樹脂を検討した。その結果、水酸基23mol%以上のバインダ樹脂を使用した場合に均一な着色が得られ、ラミネート強度も酸素吸収前の値を維持できた。但し、水酸基などの親水基を多量に含む水溶性バインダは、酸素吸収層に侵入する水分および酸化生成物に溶解してしまうため、バインダは非水溶性である必要がある。親水基を比較的多量に含み、且つ非水溶性のバインダ樹脂を検討した結果、ポリビニルアセタール系のバインダ樹脂を得た。また、硬化剤は、膜物性調整のため用いてもよいが、親水基と反応する硬化剤を使用する場合はその分親水基が減少し、バインダ樹脂成分の親水性が低下するので、使用量は親和性を損なわない程度とする必要がある。
このアルカリ成分を含む酸化生成物が基材に浸透するのを防ぐために、基材10と酸素吸収層12との間にアンカー層11を設け、酸化生成物が非水溶性のポリビニルアセタール系のバインダ樹脂によりブロックされ、その結果、基材側に酸化生成物が浸透するのを防ぎ、外観の劣化を抑制し、基材と酸素吸収層間の密着強度を維持するが出来る。
<酸素吸収物質層>
酸素吸収層12は、酸素吸収物質を含んだ酸素吸収物質層12aとアルカリ性物質を含んだアルカリ層12bの少なくとも2層からなり、各層には酸素吸収物質もしくはアルカリ性物質を保持するためのバインダー樹脂を含む。酸素吸収物質層12aは、酸素吸収物質を含む樹脂層からなるが、含有酸素吸収物質の好ましい含有率は、酸素吸収性能とラミネート強度とのバランス、並びに成膜性の観点から適宜設定される。例えば、酸素吸収物質の含有率は、酸素吸収物質層12の全重量を基準として10~40重量%の添加量であってよい。
酸素吸収層12は、酸素吸収物質を含んだ酸素吸収物質層12aとアルカリ性物質を含んだアルカリ層12bの少なくとも2層からなり、各層には酸素吸収物質もしくはアルカリ性物質を保持するためのバインダー樹脂を含む。酸素吸収物質層12aは、酸素吸収物質を含む樹脂層からなるが、含有酸素吸収物質の好ましい含有率は、酸素吸収性能とラミネート強度とのバランス、並びに成膜性の観点から適宜設定される。例えば、酸素吸収物質の含有率は、酸素吸収物質層12の全重量を基準として10~40重量%の添加量であってよい。
酸素吸収物質層12aに含有される酸素吸収物質は、酸素吸収性を有する物質であればよく、例えば、フェノール化合物、グルコース等の還元糖類、グリセリン等の多価アルコールであってよく、本発明の実施形態においてはフェノール化合物が好ましい。
フェノール化合物としては、没食子酸、アスコルビン酸、カテコール、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。その中でも、特にピロガロール基を有するフェノール化合物は、酸素吸収に使われる水酸基の数を多く持つ点で好ましい。ピロガロール基を有するフェノール化合物は、例えば、没食子酸(3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸)、及び没食子酸エステル(例えば、没食子酸プロピル、没食子酸エチル、没食子酸オクチル等)であってよい。これらは食品添加物で、比較的コストも安いため、安全かつ安価で、優れた酸素吸収性能を持つ包装材料を提供することができる。
酸素吸収物質層12aは、酸素吸収物質(没食子酸)、側鎖に親水基を有し、且つ非水溶性のバインダー樹脂(ポリビニルアセタール系)、有機溶剤を含む塗液組成物を塗布することにより形成される。酸素吸収物質層12aのバインダ樹脂は、水酸基23mol%以上の側鎖を有する場合に、積層体は、均一な着色と良好なラミネート強度が得られる。酸素吸収物質は、アルカリ性物質と水が存在する環境下で優れた酸素吸収機能を発現し、没食子酸類の反応は、pH8以上のアルカリ環境で十分に進行する。
酸素吸収物質層12a、アルカリ層12bの塗工の際に用いられるコーター及び印刷機の種類、並びにそれらの塗工方式としては特に限定されず、酸素吸収物資層12a、アルカリ層12bの塗布量、パターニングの有無、等用途や仕様に応じて使い分ければよい。代表的なものとしては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式等のグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、チャンバードクター併用コーター、エアナイフコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ等の凸版印刷等を挙げることができる。
<アルカリ層>
アルカリ層12bは、酸素吸収物質層12aに積層して形成される。アルカリ層12bは、少なくともアルカリ性物質とバインダ樹脂からなり、このアルカリ層12bに含有されるアルカリ性物質が水分とともに水溶液となって直接接している酸素吸収層12aに浸透することで、酸素吸収層12a内がアルカリ環境となり、酸素吸収物質から水素を引き抜き易くなり、酸素吸収が促進され酸化物が生成される。前述したようにこの酸化物は水溶性の液状物質であり着色の要因となる。
アルカリ層12bは、酸素吸収物質層12aに積層して形成される。アルカリ層12bは、少なくともアルカリ性物質とバインダ樹脂からなり、このアルカリ層12bに含有されるアルカリ性物質が水分とともに水溶液となって直接接している酸素吸収層12aに浸透することで、酸素吸収層12a内がアルカリ環境となり、酸素吸収物質から水素を引き抜き易くなり、酸素吸収が促進され酸化物が生成される。前述したようにこの酸化物は水溶性の液状物質であり着色の要因となる。
アルカリ層12bに含有されるアルカリ性物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムカリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられるが、安全面から食品添加物であることが好ましい。また、酸素吸収物質として没食子酸を用いる場合、アルカリ性物質として炭酸ナトリウムを使用することが好ましい。
アルカリ層12bに含有されるバインダ樹脂は、側鎖に親水基を有し、且つ非水溶性樹脂が望ましい。酸素吸収物質層12aとの密着性を考慮すると、酸素吸収物質層12aと同系統のバインダ樹脂を用いることが望ましい。
前記アルカリ性物質が、アルカリ層12bの全重量を基準として5~40重量%の添加量であり、かつアルカリ層12bが酸素吸収物質層12aの重量の20~100重量%であることが望ましい。アルカリ性物質の添加量が5%未満では、酸素吸収物質における酸素吸収反応を進行させるにはpHが必ずしも十分でなく、酸素吸収量が少なくなる場合がある。一方で、アルカリ性物質の添加量が40%を超えpHが増加しても、酸素吸収量の増加はあまり期待できない。
酸素吸収物質層12aの厚みは、例えば1以上20μm以下、アルカリ層12bの厚みは、0.5μm以上10μm以下であってよい。この範囲内の膜厚を有することにより、良好なラミネート強度(密着強度)と、塗工性を得ることができる。酸素吸収層12は、積層体1の全面に形成されていても良いし、パターン形成された層であってもよい。
アルカリ層12bは、必要に応じて、接着促進剤、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤などの当該技術において知られている任意の添加剤を含有してもよい。
<最内層>
積層体1の用途が包装材であり、袋状体や蓋等ヒートシールが必要な場合は最内層13にはシーラントやHSニス等のヒートシール剤を利用するのが好ましい。袋状体等、積層体同士をシールして使用される場合には、最内層13はシーラント層を含むことが好ましい。シーラント層は積層体1にヒートシール性を付与する。この場合、例えば積層体1を、最内層13であるシートラント層を内側にして重ね合わせ、周縁部等をヒートシールすることによって容易に袋状に加工することができる。
積層体1の用途が包装材であり、袋状体や蓋等ヒートシールが必要な場合は最内層13にはシーラントやHSニス等のヒートシール剤を利用するのが好ましい。袋状体等、積層体同士をシールして使用される場合には、最内層13はシーラント層を含むことが好ましい。シーラント層は積層体1にヒートシール性を付与する。この場合、例えば積層体1を、最内層13であるシートラント層を内側にして重ね合わせ、周縁部等をヒートシールすることによって容易に袋状に加工することができる。
シーラント層としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-αオレフィン共重合体、エチレン-メタクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン-エチレンランダム共重合体、プロピレン-エチレンブロック共重合体、プロピレン-αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。また、アルカリ層12bとの密着を得る接着層を設けてもよい(図示せず)。
<包装体>
本実施形態に係る包装体は、上記の積層体を含む。具体的には、包装体の少なくとも一部が、上記の積層体で形成される。なお本実施形態に係る包装体には、印刷層、バリア層、表面保護層などの機能層を更に設けてもよい。
本実施形態に係る包装体は、上記の積層体を含む。具体的には、包装体の少なくとも一部が、上記の積層体で形成される。なお本実施形態に係る包装体には、印刷層、バリア層、表面保護層などの機能層を更に設けてもよい。
本実施形態の包装体の応用例は、たとえば袋、蓋材、シート、チャック付き袋、カバーフィルムを含む。また、袋状体の包装体は、2枚の上述した積層体を、最内層としてのシーラント層が内側となるよう配置した状態で周縁部を加熱して貼り合わせることによって形成してもよい。
袋状体の包装体は、矩形、円形、三角形を含む任意の形状を有してもよい。またチャック付き袋として、機械加工によって、袋状体の包装体の開口部に開閉自在の嵌合部を設けたものでもよい。
<包装物品>
本実施形態に係る包装物品は、上記の包装体と、これに収容された内容物とを含む。上記の包装体に収容される内容物の例は、特に限定しないが、例えば食品、飲料、化粧品、医薬品、産業資材、医療器具、電子機器、文化財を含む。本実施形態に係る包装物品において、包装体に収容された内容物が食品であるとき、当該食品は、水分活性が高い食品であってよい。
本実施形態に係る包装物品は、上記の包装体と、これに収容された内容物とを含む。上記の包装体に収容される内容物の例は、特に限定しないが、例えば食品、飲料、化粧品、医薬品、産業資材、医療器具、電子機器、文化財を含む。本実施形態に係る包装物品において、包装体に収容された内容物が食品であるとき、当該食品は、水分活性が高い食品であってよい。
以下、本発明の具体例を以下の実施例によって具体的に述べるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<実施例1>
以下の方法により、基材層と酸素吸収物質層とアルカリ層とシーラント層とを備えた積層体を製造した。
酸素バリア性と水蒸気バリア性を有するバリア層を形成したバリアフィルムGL-AE(凸版印刷製 厚み12μm)のバリア層側に、接着層を介して厚み12μmのポリエステルフィルムを貼り合わせたフィルムを、最外層である基材として使用した。後述する酸素吸収物質層との密着性を得るために、ウレタン系樹脂とイソシアネート系硬化剤を主成分としたアンカー層を貼り合わせたポリエステルフィルムの表面に3μmの厚みで形成した。酸素吸収物質層の形成には、バインダ樹脂としてポリビニルアセトアセタール系樹脂(水酸基含有量 25mol%)、酸素吸収物質として没食子酸水和物の粒子、溶剤としてNC401(主成分:酢酸エチル 東洋インキ製)を配合した塗液を作製した。没食子酸水和物は、SEM観察において粒径0.5~1.0μm程度に没食子酸水和物を粉砕処理した粒子分散液を使用した。粒子分散液は、溶剤をNC401として、分散剤にポリビニルブチラール系樹脂(水酸基含有量 21mol%)を使用し作製した。最外層のアンカー層上にワイヤーバーにより塗布し、乾燥を行った。酸素吸収物質層の厚み(乾燥後)を10μmとした。没食子酸の含有率は酸素吸収物質層の全質量(固形分)の30質量%とした。
以下の方法により、基材層と酸素吸収物質層とアルカリ層とシーラント層とを備えた積層体を製造した。
酸素バリア性と水蒸気バリア性を有するバリア層を形成したバリアフィルムGL-AE(凸版印刷製 厚み12μm)のバリア層側に、接着層を介して厚み12μmのポリエステルフィルムを貼り合わせたフィルムを、最外層である基材として使用した。後述する酸素吸収物質層との密着性を得るために、ウレタン系樹脂とイソシアネート系硬化剤を主成分としたアンカー層を貼り合わせたポリエステルフィルムの表面に3μmの厚みで形成した。酸素吸収物質層の形成には、バインダ樹脂としてポリビニルアセトアセタール系樹脂(水酸基含有量 25mol%)、酸素吸収物質として没食子酸水和物の粒子、溶剤としてNC401(主成分:酢酸エチル 東洋インキ製)を配合した塗液を作製した。没食子酸水和物は、SEM観察において粒径0.5~1.0μm程度に没食子酸水和物を粉砕処理した粒子分散液を使用した。粒子分散液は、溶剤をNC401として、分散剤にポリビニルブチラール系樹脂(水酸基含有量 21mol%)を使用し作製した。最外層のアンカー層上にワイヤーバーにより塗布し、乾燥を行った。酸素吸収物質層の厚み(乾燥後)を10μmとした。没食子酸の含有率は酸素吸収物質層の全質量(固形分)の30質量%とした。
次に、ポリビニルアセトアセタール系樹脂(水酸基含有量 25mol%)とアルカリ物質である炭酸ナトリウムとNC401(主成分:酢酸エチル 東洋インキ製)を配合した塗液を作製した。炭酸ナトリウムは、SEM観察において粒径0.5μm程度に炭酸ナトリウムを粉砕処理した粒子分散液を使用した。粒子分散液は、溶剤をNC401として、分散剤にカチオン系分散剤を使用した。作製した塗液を、上記酸素吸収物質層上にワイヤーバーにより塗布を行い、乾燥後の厚み6μmのアルカリ層を形成した。炭酸ナトリウムは酸素吸収物質100質量部に対して60%質量とし、アルカリ層の全質量の30質量%とした。
上記アルカリ層上に、ウレタン系接着剤を乾燥後の厚み3μmとなるようにワイヤーバーで塗工し、これにシーラント層としてLLDPEフィルム(膜厚30μm)を貼り合わせ、積層体を作製した。
<実施例2>
実施例1における、酸素吸収物質層とアルカリ層にイソシアネート系硬化剤(HDI系イソシアヌレート3官能)を使用し、バインダ樹脂/硬化剤の重量比を97/3とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
実施例1における、酸素吸収物質層とアルカリ層にイソシアネート系硬化剤(HDI系イソシアヌレート3官能)を使用し、バインダ樹脂/硬化剤の重量比を97/3とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
<実施例3>
実施例1における、酸素吸収物質層とアルカリ層にイソシアネート系硬化剤(HDI系イソシアヌレート3官能)を使用し、バインダ樹脂/硬化剤の重量比を90/10とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
実施例1における、酸素吸収物質層とアルカリ層にイソシアネート系硬化剤(HDI系イソシアヌレート3官能)を使用し、バインダ樹脂/硬化剤の重量比を90/10とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
<実施例4>
実施例1における、酸素吸収物質層のバインダ樹脂をポリビニルアセトアセタールとポリビニルブチラールの共重合樹脂(水酸基含有量 32mol%)とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
実施例1における、酸素吸収物質層のバインダ樹脂をポリビニルアセトアセタールとポリビニルブチラールの共重合樹脂(水酸基含有量 32mol%)とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
<比較例1>
実施例1における、酸素吸収物質層のバインダ樹脂をポリビニルブチラール(水酸基含有量 21mol%)とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
実施例1における、酸素吸収物質層のバインダ樹脂をポリビニルブチラール(水酸基含有量 21mol%)とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
<比較例2>
酸素吸収物質層とアルカリ層にイソシアネート系硬化剤(HDI系イソシアヌレート3官能)を使用し、バインダ樹脂/硬化剤の重量比を97/3とし、酸素吸収物質層を塗布して形成した後に、50℃7日間のエージングを行った後にアルカリ物質層を形成した以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
酸素吸収物質層とアルカリ層にイソシアネート系硬化剤(HDI系イソシアヌレート3官能)を使用し、バインダ樹脂/硬化剤の重量比を97/3とし、酸素吸収物質層を塗布して形成した後に、50℃7日間のエージングを行った後にアルカリ物質層を形成した以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
<比較例3>
実施例1におけるアンカー層を塗布して形成した後に50℃3日間のエージングを行った後に酸素吸収層を形成した以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
実施例1におけるアンカー層を塗布して形成した後に50℃3日間のエージングを行った後に酸素吸収層を形成した以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
<比較例4>
実施例1における、酸素吸収物質層及びアルカリ層のバインダ樹脂をポリビニルアセトアセタールとポリビニルブチラールの共重合樹脂(水酸基含有量 32mol%)とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
実施例1における、酸素吸収物質層及びアルカリ層のバインダ樹脂をポリビニルアセトアセタールとポリビニルブチラールの共重合樹脂(水酸基含有量 32mol%)とした以外は、実施例1と同様の積層体を作製した。
<評価方法>
(酸素吸収性能)
作製した積層体の最内層同士をヒートシールした袋を作製した。シール部分から内側の
面積を15cm2とした。袋内には、400ccの空気を充填させ、且つ擬似内容物として水1.5gを湿らせたウェスを入れてヒートシールを行った。その後、40℃7日間の保管を行い、袋内の酸素濃度を測定した。酸素濃度の測定は、酸素濃度計(CheckMate3Dansensor製)を使用した。酸素濃度測定後に袋内の気体量を測定した。気体量は、シリンジを使用して内部の気体を吸引し、シリンジの吸引が不可能になるまでの吸引量を測定した。測定した酸素濃度と気体量から袋内に残存する酸素量を算出した。保管前に充填した空気400ccに含まれる酸素量から残存する酸素量を差し引いた酸素量を積層体が吸収した酸素吸収量を算出した。酸素吸収量と酸素吸収層の面積450cm2(15cm×15cm×2)からを100cm2あたりの酸素吸収量を算出して酸素吸収性の指標とした。10cc/100cm2以上であれば十分に酸素吸収しているとした。
(酸素吸収性能)
作製した積層体の最内層同士をヒートシールした袋を作製した。シール部分から内側の
面積を15cm2とした。袋内には、400ccの空気を充填させ、且つ擬似内容物として水1.5gを湿らせたウェスを入れてヒートシールを行った。その後、40℃7日間の保管を行い、袋内の酸素濃度を測定した。酸素濃度の測定は、酸素濃度計(CheckMate3Dansensor製)を使用した。酸素濃度測定後に袋内の気体量を測定した。気体量は、シリンジを使用して内部の気体を吸引し、シリンジの吸引が不可能になるまでの吸引量を測定した。測定した酸素濃度と気体量から袋内に残存する酸素量を算出した。保管前に充填した空気400ccに含まれる酸素量から残存する酸素量を差し引いた酸素量を積層体が吸収した酸素吸収量を算出した。酸素吸収量と酸素吸収層の面積450cm2(15cm×15cm×2)からを100cm2あたりの酸素吸収量を算出して酸素吸収性の指標とした。10cc/100cm2以上であれば十分に酸素吸収しているとした。
(ラミネート強度)
積層体の酸素吸収前後のラミネート強度を測定した。積層体から幅15mm、長さ50~60mmを切り出して、長さ方向のラミネート強度を測定した。酸素吸収後のラミネート強度は、上記の酸素吸収性の評価における40℃7日間の保管を行ったサンプルを測定した。酸素吸収後のラミネート強度が酸素吸収前の50%以上であれば、密着性を維持しているとした。
(各層の溶剤溶解性)
酸素吸収層とアンカー層の溶剤溶解性の指標としてゲル分率を測定した。酸素吸収層、アンカー層をそれぞれ、PETフィルム上に塗布した。塗布厚は実施例及び比較例と同等とした。塗布サンプルを、積層体の形成に使用する溶剤に1分間浸漬した。浸漬前後の塗布サンプルの重量とPETフィルムを差し引いて浸漬前後の重量を算出した。浸漬前の重量に対する浸漬後の重量比率(%)を求め、100%に対する差分(各層の残存率)をゲル分率とした。塗布サンプルの面積は50mm×50mmとした。溶剤は、実施例及び比較例で使用しているNC401とした。
各積層体の評価結果を表1に示す。
積層体の酸素吸収前後のラミネート強度を測定した。積層体から幅15mm、長さ50~60mmを切り出して、長さ方向のラミネート強度を測定した。酸素吸収後のラミネート強度は、上記の酸素吸収性の評価における40℃7日間の保管を行ったサンプルを測定した。酸素吸収後のラミネート強度が酸素吸収前の50%以上であれば、密着性を維持しているとした。
(各層の溶剤溶解性)
酸素吸収層とアンカー層の溶剤溶解性の指標としてゲル分率を測定した。酸素吸収層、アンカー層をそれぞれ、PETフィルム上に塗布した。塗布厚は実施例及び比較例と同等とした。塗布サンプルを、積層体の形成に使用する溶剤に1分間浸漬した。浸漬前後の塗布サンプルの重量とPETフィルムを差し引いて浸漬前後の重量を算出した。浸漬前の重量に対する浸漬後の重量比率(%)を求め、100%に対する差分(各層の残存率)をゲル分率とした。塗布サンプルの面積は50mm×50mmとした。溶剤は、実施例及び比較例で使用しているNC401とした。
各積層体の評価結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例1~3においては、十分な酸素吸収性能を保持したが、比較例1~4ではラミネート強度の低下、もしくは外観劣化が見られた。
したがって、本発明によれば、包装材として実用化するのに十分な積層体の層間密着性を酸素吸収後でも維持しつつ、酸素吸収性能にも優れ、かつ積層体の着色を均一にし、黒点発生などの著しい外観の劣化を抑制する積層体、それを含む包装体及び包装物品を提供することが可能である。
1・・・積層体
10・・・最外層(基材)
11・・・アンカー層
12・・・酸素吸収層
12a・・・酸素吸収物質層
12b・・・アルカリ層
13・・・最内層
10・・・最外層(基材)
11・・・アンカー層
12・・・酸素吸収層
12a・・・酸素吸収物質層
12b・・・アルカリ層
13・・・最内層
Claims (17)
- 少なくとも基材である最外層、アンカー層、酸素吸収層、最内層をこの順に備える積層体であって、
前記酸素吸収層は少なくとも酸素吸収物質層とアルカリ層から成り、前記酸素吸収物質層は酸素吸収物質、バインダ樹脂を含み、前記アルカリ層はアルカリ性物質、バインダ樹脂を含み、
前記バインダ樹脂は、有機溶剤に可溶であり、側鎖に親水基を有し、且つ非水溶性であり、
前記アンカー層は非水溶性であり、且つ有機溶剤に可溶なバインダ樹脂を含むことを特徴とする積層体。 - 前記バインダ樹脂が23mol%以上の水酸基を有する非水溶性のポリビニルアセタール系樹脂であることを特徴とする請求項1に記載の積層体。
- 前記アンカー層、酸素吸収物質層、アルカリ層は少なくとも積層体を形成する過程では有機溶剤に対する溶解性を有していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
- 前記酸素吸収物質、アルカリ性物質の少なくとも一方が粒子として酸素吸収物質層もしくはアルカリ層に分散していることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の積層体。
- 前記バインダ樹脂がエステル系溶剤に可溶であることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の積層体。
- 前記酸素吸収物質が多価フェノール化合物であることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の積層体。
- 前記多価フェノール化合物が没食子酸、没食子酸エステル、それらの水和物のいずれかであることを特徴とする請求項6に記載の積層体。
- 前記アルカリ性物質が炭酸ナトリウムであることを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の積層体。
- 前記酸素吸収物質が、前記酸素吸収物質層全量に対し、10~40重量%の添加量であることを特徴とする請求項1~8のいずれかに記載の積層体。
- 前記アルカリ性物質が、前記アルカリ層全量に対し、5~40重量%の添加量であり、かつアルカリ層が酸素吸収物質層の重量に対し20~100重量%であることを特徴とする請求項1~9のいずれかに記載の積層体。
- 前記積層体の酸素吸収層の厚みが、1~20μm、アルカリ層の厚みが0.5~10μmであることを特徴とする請求項1~10のいずれかに記載の積層体。
- 前記酸素吸収物質層が、前記酸素吸収物質、前記バインダ樹脂、有機溶剤を含む塗液組成物を塗布することにより形成されることを特徴とする請求項1~11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記アルカリ層が、前記アルカリ性物質、前記バインダ樹脂、有機溶剤を含む塗液組成
物を塗布することにより形成されることを特徴とする請求項1~12のいずれかに記載の積層体の製造方法。 - 前記酸素吸収層が、パターン形成された層であることを特徴とする請求項1~13のいずれかに記載の積層体。
- 前記最内層はシーラント層を含む、請求項1~14のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1~15のいずれかに記載の積層体を含む包装体。
- 請求項16に記載の包装体と、これに収容された内容物とを含んだ包装物品。
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