JP2021075018A - 積層体、包装体及び包装物品 - Google Patents

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Abstract

【課題】酸素吸収性および層間密着力に優れた積層体、それを含む包装体及び包装物品を提供する。【解決手段】最外層と、酸素吸収物質を含む樹脂組成物層である酸素吸収層と、アルカリ物質を含む樹脂組成物層であるアルカリ層と、最内層とを順に積層して構成される酸素吸積層体であって、アルカリ層が、酸素吸収層と最内層とを接着する接着層である、積層体。酸素吸収層に使用する樹脂組成物のガラス転移温度が70℃以上であることが好ましい。【選択図】図1

Description

本発明は、積層体、包装体及び包装物品に関する。
食品の包装において包装体内に酸素が存在することにより、内容物である食品等が酸化して、劣化したり変色したりすることがある。包装された内容物の酸化劣化を防ぐには、包装体内の酸素を除去すること、及び外部の酸素が包装体内部に侵入しないよう遮断することで無酸素状態を作ることが有効である。
ところが、一般的には包装作業は大気中で行うため、包装時は包装体内に酸素が残存した状態になる。この問題を解決するために、酸素が包装体内に残らないように包装する手段として、脱気包装、真空包装、ガス置換包装などの手段を用いることがある。
しかし、このような特別な包装手段を用いると、特別な充填包装設備を別途用意する必要があり、高額な設備費用がかかったり、充填包装速度が上がらず生産効率が低下したりと、不利益が発生する。また、上記のような手段で包装時に酸素が残らないように包装したとしても、包装後に包装材を通して外部の酸素が経時で侵入してくるため、包装体内を無酸素状態に維持することは難しい。
そこで、包装体内の残存酸素及び包装後に経時で外部から浸入してくる酸素を除去する方法として、酸素吸収物質を充填した小袋からなる脱酸素剤を、内容物が収容された包装体内に同封する方法が用いられている。この方法では、一定期間、すなわち酸素吸収物質の酸素吸収能力が維持している期間は、酸素吸収物質が酸素を吸収することで酸素を除去することができる。そのため、包装時に包装体内に残った酸素や外部から経時で進入した酸素も除去することが可能であり、包装体内を無酸素状態に維持するのに非常に有効である。しかし、脱酸素剤を用いる場合、酸素吸収性物質を小袋に充填する際の手間やコストが発生する。また、消費者の誤飲の可能性やゴミの発生等の問題がある。
このような欠点を解消し、一定期間包装体内の酸素を除去及び遮断する手段として、包装材を構成するフィルムなどの一部に酸素吸収機能を設けた酸素吸収フィルムや、それを用いた酸素吸収包装材が考案され、一部実用化されている。
上記のような酸素吸収包装材は、現状では食品包装分野で用いられるケースが多く、特にレトルト食品(高温高圧殺菌食品)などの長期保存食品や、カビが発生しやすい高水分食品の包装に用いられる。
特に、長期保存食品の包装については、近年、輸送コストや容器の廃棄処理の観点から、缶や瓶の使用は減少し、一方で、包装材の一部に酸素吸収フィルムを設けたレトルトパウチ包装材の形態が主流となっている。
容器が缶や瓶の場合は、外部からの酸素の侵入がなく、包装時に残存した酸素のみ除去すれば良いため、真空包装や窒素ガス置換包装などの方法が用いられてきた。缶や瓶に替えて酸素吸収包装材を用いた場合、上述したような真空包装や窒素ガス置換包装などの特別な包装手段を用いることによる設備費用や生産効率の問題はない。しかしながら、従来の酸素吸収フィルムは、瓶・缶に比べると酸素を透過し易いため、缶・瓶と同等の消費期限をレトルトパウチ包装材に付与することは困難であった。そこで、レトルトパウチ包装材としても好適に使用することができる様々な酸素吸収フィルムやそれを用いた酸素吸収包装材が開発されている。
現在実用化されている酸素吸収包装材には、酸素吸収物質として鉄や酸素欠損酸化物を樹脂に添加したものや、樹脂組成物の構造の一部に不飽和結合を設けたものがある。
しかし、鉄系の酸素吸収物質を用いると金属探知機の使用に制限が生じる、また、酸素欠損酸化物や不飽和結合の構造を持つ樹脂組成物は材料そのものの価格が高いという問題がある。
一方で、アスコルビン酸類、グルコース等の還元糖類、グリセリン等の多価アルコール類、カテコールなどのフェノール類、ヒドロキシ安息香酸などのフェノールカルボン酸類などの有機系の物質は、脱酸素剤の酸素吸収物質として長い間検討されてきた物質であり、コストも安価で安全である。
フェノールカルボン酸類の没食子酸は塩基性の水溶液中で酸素と反応し酸化することが知られている。従って、没食子酸を酸素吸収物質として利用する場合は水分と塩基性材料が必要となり、水分については包装材中に何かしらの手段で含有させる、もしくは包装体に収容される内容物中の水分を利用することも考えられる。
塩基性材料は、包装材中に含有させることで、上記の水分により溶解し没食子酸と接触させることで、没食子酸の酸化反応を可能にすることが考えられる。
例えば、酸素吸収物質として没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)を使用した酸素吸収包装材として、特許文献1には、基材、没食子酸含有層、アルカリ層及びシーラント層がこの順で積層されてなる酸素吸収フィルムが開示されている。特許文献1の実施例においては、最外層である基材に、没食子酸含有層、アルカリ層をコーティングにより順に積層後、接着剤を用いて最内層であるシーラント層をアルカリ層に張り合わせている。
特許第3794075号公報
特許文献1に記載されるような酸素吸収性の積層体に必要な特性としては、酸素吸収性に優れていることの他、層間の密着性が良好であることが挙げられる。
それ故に、本発明は、酸素吸収性及び層間密着力に優れた積層体、それを含む包装体及び包装物品を提供することを目的とする。
本発明に係る積層体は、基材を含む最外層と、酸素吸収物質を含む樹脂組成物層である酸素吸収層と、アルカリ物質を含む樹脂組成物層であるアルカリ層と、最内層とを順に積層して構成され、アルカリ層が、酸素吸収層と最内層とを接着する接着層であることを特徴とする。
酸素吸収層に使用する樹脂組成物のTgが、70℃以上であることが好ましい。
酸素吸収物質がピロガロール基を有するフェノール化合物を少なくとも含有することが好ましい。
酸素吸収物質が、没食子酸及び没食子酸エステルの少なくとも1種を含有することが好ましい。
最内層はシーラントを含んでよい。
最外層は酸素および水蒸気のバリア性を有するものであってよい。
また、本発明に係る包装体は、上記積層体を含み、本発明に係る包装物品はこの包装体と、これに収容された内容物とを含む。
本発明によると、酸素吸収性および層間密着力に優れた積層体、それを含む包装体及び包装物品が提供される。
本発明の実施形態に係る積層体を概略的に示す断面図。
本実施形態に係る積層体は、酸素吸収フィルムとしてシート状で使用してもよいし、包装材として例えば袋状体にして使用してもよく、例えば、食品、薬剤、医薬品、化粧品、電子部品等の包装に好適に用いられる。
<積層体>
以下に、本実施形態に係る積層体について、図面を参照しながら説明する。
本実施形態に係る積層体について、代表的な構成例を図1に示す。図1は、本発明の実施形態に係る積層体1を概略的に示す断面図である。従来、最外層上に、酸素吸収層、アルカリ層及び最内層をこの順に積層した積層体においては、特許文献1に記載のように、アルカリ層と最内層とを接着剤層で接着することが一般的であった。本発明者らは、さらなる製造コスト及び材料コストの削減を図るため、鋭意研究を重ね、アルカリ層に接着層の機能を付与するという着想を得た。図1に示す、本実施形態に係る積層体1は、最外層10と、酸素吸収層11aと、アルカリ接着層11bと、最内層12とを備え、酸素吸収層11aと最内層12とがアルカリ接着層11bにより接着されている。
以下に、各層の材料や機能等について説明する。
(最外層)
最外層10は、本発明の積層体を形成するための基材として機能すれば特に限定されないが、包装材として使用して内容物と混入する酸素を吸収させる場合は、最外層からの酸素の侵入を抑制するため最外層は酸素バリア性に優れることが好ましい。
最外層10としては、ポリオレフィン(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリアミド(ナイロン(登録商標))、ポリエチレンナフタレートなど、あるいはこれら高分子の共重合体など通常包装材料として用いられるものが使用できる。最外層10は、上述の材料を含め多層構成でもよく、酸素や水蒸気などガスバリア性が必要な場合は、アルミニウムを主成分とする金属膜や、シリカやアルミニウムなどの金属酸化物の蒸着膜などのバリア層を基材上に形成したバリアフィルムを用いてもよい。
最外層10は、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤、帯電防止剤、アンチブロッキング剤などの公知の添加剤を含有してもよい。
最外層10の膜厚は適宜設定することができるが、10μm以上100μm以下の膜厚のものが好適に使用できる。良好な加工性、取り扱い性の観点からは、10μm以上50μm以下の膜厚とすることが好ましい。
以下において、最外層10を「基材層」又は「基材フィルム」ということがある。
(酸素吸収層)
酸素吸収層11aは、少なくとも酸素吸収物質と樹脂組成物を主成分とし、樹脂組成物には少なくとも樹脂、硬化剤を含有する。
酸素吸収層11aに含有される酸素吸収物質は、例えば、フェノール化合物、グルコース等の還元糖類、グリセリン等の多価アルコールであってよく、一形態においてフェノール化合物が好ましい。フェノール化合物としては、没食子酸、アスコルビン酸、カテコール、ヒドロキシ安息香酸等が挙げられる。その中でも、特にピロガロール基を有するフェノール化合物は、酸素吸収に使われる水酸基の数を多く持つ点で好ましい。ピロガロール基を有するフェノール化合物は、例えば、没食子酸(3,4,5−トリヒドロキシ安息香酸)、及び没食子酸エステル(例えば、没食子酸プロピル、没食子酸エチル、没食子酸オクチル等)であってよい。酸素吸収層11aは、一形態において、酸素吸収物質として、没食子酸及び没食子酸エステル(以下において、「没食子酸類」ともいう。)から選択される少なくとも一種を含有してよく、没食子酸及び没食子酸プロピルの少なくとも一方を含有してよい。これらは食品添加物で、比較的コストも安いため、安全かつ安価で、優れた酸素吸収性能を持つ包装材料を提供することができる。
酸素吸収層11aに使用する樹脂組成物は、少なくとも樹脂、硬化剤を含有する。樹脂は酸素吸収物質やアルカリ物質を固定するマトリックスとして機能すれば特に限定されないが、汎用性の点から、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリエーテル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、エポキシ系樹脂、エチレン−酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、シリコーン系樹脂、ゴム系樹脂等が好ましい。樹脂は、特に酸素透過性と水蒸気透過性がある方が、酸素吸収物質と酸素が反応し易くなる点で好ましい。これらの樹脂の中から1種類を単独で使用してもいいし、2種類以上を混合して用いることもできる。また、共重合体樹脂として使用してもよい。
ここで、一般に接着剤等、層間の接着を目的とした接着層をコーティングにより積層した場合、接着層中の有機溶剤等を除去するための乾燥工程が設けられる。この際、乾燥温度が低いと、乾燥工程に掛ける時間が延び生産性が低下したり、有機溶剤がコーティング膜中に残留し品質低下を引き起こしたりする。また、積層体に使用する樹脂のTgが低い場合、積層体を連続的に生産し、巻き取りの状態で保存する際に、積層体同士が密着しブロッキングを引き起こす可能性があり、積層体に使用する樹脂のTgは高い方が好ましい。
基材を含む最外層10の上に酸素吸収層11aを積層し、さらにアルカリ接着層11bをコーティングにより積層し最内層12と貼り合わせる場合、アルカリ接着層11bのコーティング後に乾燥工程を設ける。本願の発明者らが種々検討したところ、酸素吸収層11aに使用する樹脂組成物のTgが、アルカリ接着層11bの乾燥温度より低い場合、酸素吸収反応後にアルカリ接着層11bと最内層12の密着低下を起こすことが判明した。
アルカリ接着層11bと最内層12の密着低下は以下に示す機構により発生すると考えられる。酸素吸収層11aに使用する樹脂組成物のTgが、アルカリ接着層を積層し乾燥する際に加えた温度よりも低い場合、アルカリ接着層11bの乾燥過程において、酸素吸収層11aに使用する樹脂組成物の自由体積が増加する。そのため、酸素吸収層11aの上に積層したアルカリ接着層11bの樹脂組成物が、自由体積の増加した酸素吸収層11aに染み込み、最内層12との接着に必要な樹脂量が得られず、酸素吸収反応後にアルカリ接着層11bと最内層12の密着低下を引き起こすと考えられる。
本発明では、酸素吸収反応後のアルカリ接着層11bと最内層12との密着低下を抑制するため、酸素吸収層11aに使用する樹脂組成物のTgが、アルカリ接着層11bのコーティング時の乾燥温度よりも高いことを特徴とする。一般に溶剤系コーティング剤の乾燥は、70℃以上で行われることが多く、酸素吸収層11aに使用する樹脂組成物のTgは、70℃以上であることが好ましい。酸素吸収層11aに使用する樹脂組成物のTgが70℃以上であれば、アルカリ接着層11bの乾燥温度を70℃近くまで高くすることができるので、乾燥工程に要する時間を短縮でき、アルカリ接着層11b中の有機溶剤の残存を抑制することができる。
本発明の積層体を包装材として使用する場合、メチルエチルケトン(MEK)などのケトン系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤等の汎用溶剤で溶解する樹脂を使用することが好ましい。前述した樹脂は、単独もしくは2種以上を混合して使用しても良いし、共重合として使用しても良い。使用する樹脂の種類や混合比、共重合させるモノマーの組み合わせ等によって溶剤への可溶性および70℃以上のTgを得ることが可能となる。
酸素吸収層11aは、必要に応じて、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤などの任意の添加剤を含有してもよい。
酸素吸収層11aにおける酸素吸収性物質の含有率は、酸素吸収性能の観点から適宜設定することができ、例えば、酸素吸収層11aの全質量に対して20質量%〜70質量%であってよく、30質量%〜60質量%であってよい。
酸素吸収層11aの塗工の際に用いられるコーター及び印刷機の種類、並びにそれらの塗工方式としては特に限定されない。代表的なものとしては、ダイレクトグラビア方式、リバースグラビア方式、キスリバースグラビア方式、オフセットグラビア方式等のグラビアコーター、リバースロールコーター、マイクログラビアコーター、チャンバードクター併用コーター、エアナイフコーター、ディップコーター、バーコーター、コンマコーター、ダイコーター等を挙げることができる。
(アルカリ接着層)
図1に示す実施形態に係る積層体1は、酸素吸収層11aと最内層12との間にアルカリ接着層11bを備える。
積層体1において、アルカリ物質は、酸素吸収物質による酸素吸収を促進する助剤として機能する。例えば、没食子酸類は、アルカリ物質と水が存在する環境下で酸素と反応することで、優れた酸素吸収機能を発現することが知られている。没食子酸類の反応は、pH8以上で十分に進行する。
アルカリ接着層11bは、少なくともアルカリ物質と樹脂組成物を含み、樹脂組成物は樹脂、硬化剤を少なくとも含有する。アルカリ接着層の樹脂組成物としては、酸素吸収層11a及び最内層12との密着性を考慮し適宜選択してもよいし、市販されているドライラミネート剤を用いてもよい。ドライラミネート剤を用いる場合、一般に塗布時の乾燥温度が70℃以上となるため、前述の酸素吸収層11aの樹脂を選定する際には、70℃以上のTgを持ち、かつアルカリ接着層11bに用いるドライラミネート剤の乾燥温度より高いTgを持つ樹脂を使用すればよい。
アルカリ接着層11bに含有されるアルカリ物質としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化ルビジウム、水酸化ベリリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸マグネシウム、炭酸カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸ナトリウム、炭酸マグネシウムカリウム、リン酸カリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム等が挙げられる。安全面の観点からは、食品添加物であることが好ましい。
特に、単体でpH8以上を示す炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸カルシウム、炭酸水素カリウム、ピロリン酸カリウム、焼成カルシウム、リン酸カリウム、酒石酸ナトリウムを用いると、含有させるアルカリ物質を少なくしてコストを下げられる点で、より好ましい。
アルカリ接着層11bに含有されるアルカリ物質の添加量は、酸素吸収層11aに含有される酸素吸収物質100質量%に対し、10質量%〜100質量%であってよく、20質量%〜100質量%であってよい。アルカリ物質の添加量が10質量%未満では、没食子酸等の酸素吸収物質における酸素吸収反応を進行させるにはpHが必ずしも十分でなく、酸素吸収量が少なくなる場合がある。一方で、アルカリ物質の添加量が100質量%を超えpHが増加しても、酸素吸収量の増加は期待できない。
また、アルカリ接着層11bに含有されるアルカリ物質の添加量は、酸素吸収性能が得られ、かつ接着性が得られれば限定されないが、アルカリ接着層の全質量に対して10質量%〜40質量%であることが好ましい。アルカリ物質の添加量が10質量%より少ないと、接着性が得やすい反面、酸素吸収反応に必要なpHを得るためにアルカリ接着層を厚くする必要があり、塗布方法が限定されたり、生産速度が制限されたりと、生産性の低下がおこる。一方で、アルカリ物質の添加量が40質量%より多くなると、アルカリ接着層の樹脂組成物の減少により、接着性が低下する。
アルカリ接着層11bは、必要に応じて、接着促進剤、可塑剤、酸化防止剤、着色剤、充填材、紫外線吸収剤などの当該技術において知られている任意の添加剤を含有してもよい。
(最内層)
図1に示す実施形態に係る積層体1は、最内層12を備える。最内層12は、積層体1において、基材としての最外層10とは反対側の表面を構成する層である。
積層体1の用途が包装材であり、袋状等にして使用される場合には、最内層12はシーラント層を含むことが好ましい。シーラント層は積層体1にヒートシール性を付与する。この場合、例えば積層体1を、最内層12であるシートラント層を内側にして重ね合わせ、周縁部等をヒートシールすることによって容易に袋状に加工することができる。
シーラント層としては、熱可塑性樹脂のうちポリオレフィン系樹脂が一般的に使用され、具体的には、低密度ポリエチレン樹脂(LDPE)、中密度ポリエチレン樹脂(MDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン−αオレフィン共重合体、エチレン−メタクリル酸樹脂共重合体などのエチレン系樹脂や、ポリエチレンとポリブテンのブレンド樹脂や、ホモポリプロピレン樹脂(PP)、プロピレン−エチレンランダム共重合体、プロピレン−エチレンブロック共重合体、プロピレン−αオレフィン共重合体などのポリプロピレン系樹脂等を使用することができる。
(実施形態)
本発明の実施形態に係る積層体1は、図1に示すように、最外層10上に、酸素吸収層11a、アルカリ接着層11b、及び最内層12をこの順で積層してなる積層体である。この積層体により、最内層から酸素と水蒸気が積層体中に供給され、酸素吸収層11aとアルカリ接着層11b中に拡散する。この結果、酸素を吸収することが可能となる。
<包装体>
本実施形態に係る包装体は、上記の積層体を含む。具体的には、包装体の少なくとも一部が、上記の積層体で形成される。なお本実施形態に係る包装体には、印刷層、バリア層、表面保護層などの機能層を更に設けてもよい。
本実施形態の包装体の応用例は、たとえば袋、MA包材、蓋材(トップ材)、シート、チャック付き袋、カバーフィルムを含む。また、袋状体の包装体は、2枚の上述した積層体を、最内層12としてのシーラント層が内側となるよう配置した状態で周縁部を加熱して貼り合わせることによって形成してもよい。さらに、貼り合わせを行う周縁部に第3のフィルムを介在させて、いわゆる「マチ」付きの袋を形成してもよい。
袋状体の包装体は、矩形、円形、三角形を含む任意の形状を有してもよい。またチャック付き袋として、機械加工によって、袋状体の包装体の開口部に開閉自在の嵌合部を設けたものでもよい。
<包装物品>
本実施形態に係る包装物品は、上記の包装体と、これに収容された内容物とを含む。上記の包装体に収容される内容物の例は、特に限定しないが、例えば食品、飲料、化粧品、医薬品、産業資材、医療器具、電子機器、文化財を含む。
以下、本発明の具体例を以下の実施例によって具体的に述べるが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
<実施例1>
以下の方法により、最外層と酸素吸収層とアルカリ接着層と最内層とを備えた積層体を作製した。
まず、最外層として、酸化ケイ素蒸着層を有するポリエステルフィルム(厚み12μm)とポリエステルフィルム(厚み12μm)を、ウレタン系ドライラミネート剤を用いて張り合わせたフィルムを使用した。
次いで、ポリビニルアセタール系樹脂組成物に、酸素吸収物質である没食子酸を添加して作製したコーティング液を、最外層フィルム上にワイヤーバーで塗布し、10μmの酸素吸収層を作製した。ポリビニルアセタール系樹脂組成物にはTg74℃のものを使用し、酸素吸収層の全質量に対する没食子酸の含有率を30質量%とした。
次いで、ウレタン系2液硬化タイプの市販ドライラミネート剤に、アルカリ物質である炭酸ナトリウムを添加して作製したコーティング液を、上記酸素吸収層上にワイヤーバーで塗布し、4μmのアルカリ接着層を形成した。アルカリ接着層の全質量に対する炭酸ナトリウムの含有率を30質量%とし、アルカリ接着層コーティング時の乾燥温度を70℃とした。上記酸素吸収層に含有する没食子酸全質量に対する炭酸ナトリウムの含有率は40質量%であった。
次いで、上記アルカリ接着層上に、最内層としてポリエチレンフィルム(厚み30μm)を積層し、酸素吸収積層体を作製した。
<実施例2>
酸素吸収層に、Tg105℃のポリビニルアセタール系樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、酸素吸収積層体を作製した。
<実施例3>
酸素吸収層に、Tg105℃のポリビニルアセタール系樹脂組成物を用い、アルカリ接着層コーティング時の乾燥温度を100℃とした以外は実施例1と同様にして、酸素吸収積層体を作製した。
<比較例1>
酸素吸収層に、Tg67℃のポリビニルアセタール系樹脂組成物を用いた以外は実施例1と同様にして、酸素吸収積層体を作製した。
<評価方法>
(酸素吸収性能)
上記で作製した積層体について、全体寸法が横15cm×縦15cmとなるよう、25℃60%RHの環境下で包装袋を作製した。包装袋には1.5gのイオン交換水を湿らせたウェスを内包させ、袋内に400ccの空気を注入した。その後40℃20%RHの恒温槽で1週間保管し、保管後の袋内酸素濃度を測定し、初期酸素濃度との差からそれぞれの酸素吸収量を確認した。
(密着強度)
酸素吸収性能の評価方法と同様にして作製、保管した包装袋から、巾15mmの短冊片を切り出し、引っ張り試験機を用いて、300mm/分のスピードで90°剥離をして、アルカリ接着層と最内層間の密着強度を評価した。評価基準としては、3N/15mm以上の実用上十分な密着強度が出ている場合を「○」、1N/15mm以上3N/15mm未満の実用上問題ない密着強度の場合を「△」、1N/15mm未満の未接着又は実用上問題が発生する密着強度を「×」とした。
Figure 2021075018
表1に示すように、実施例1および実施例2において、酸素吸収層に使用する樹脂組成物のTgを70℃以上とすることにより、十分な酸素吸収性能を示しつつ、酸素吸収反応後の密着強度を維持していた。また実施例3においては、乾燥温度が100℃であっても、それ以上のTg(105℃)を持つ樹脂組成物を酸素吸収層に使用することにより、十分な酸素吸収能力を示しつつ、酸素吸収反応後の密着強度を維持していた。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の発明が含まれており、開示される複数の構成要件から選択された組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。例えば、実施形態に示される全構成要件からいくつかの構成要件が削除されても、課題が解決でき、効果が得られる場合には、この構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
本発明は、食品、薬剤、医薬品、化粧品、電子部品等の包装材として利用できる。
1 積層体
10 最外層
11a 酸素吸収層
11b アルカリ接着層
12 最内層

Claims (8)

  1. 基材を含む最外層と、酸素吸収物質を含む樹脂組成物層である酸素吸収層と、アルカリ物質を含む樹脂組成物層であるアルカリ層と、最内層とを順に積層して構成され、前記アルカリ層が、前記酸素吸収層と前記最内層とを接着する接着層であることを特徴とする、積層体。
  2. 前記酸素吸収層に使用する樹脂組成物のガラス転移温度Tgが、70℃以上であることを特徴とする、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記酸素吸収物質としてピロガロール基を有するフェノール化合物を少なくとも含有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の積層体。
  4. 前記酸素吸収物質として、没食子酸及び没食子酸エステルの少なくとも1種を含有することを特徴とする、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の積層体。
  5. 前記最内層がシーラント層を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の積層体。
  6. 前記最外層が酸素および水蒸気のガスバリア性を有することを特徴とする、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の積層体。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層体を含む、包装体。
  8. 請求項7に記載の包装体と、これに収容された内容物とを含む、包装物品。
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