JP2022107895A - 硫酸及び水素生成システム - Google Patents
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Abstract
【課題】亜硫酸ガスと酸素との反応により三酸化硫黄を効率よく生成し、その上で、この反応により生じる熱をシステム内で有効に利用する。【解決手段】硫黄分を燃焼させて亜硫酸ガスS1を生成する亜硫酸ガス生成装置2と、亜硫酸ガスS3と酸素との発熱反応により三酸化硫黄SO3を生成する転化装置4と、転化装置4の内部に設けられることにより、転化装置4の内部における熱を回収して上記発熱反応の反応温度を調整する熱交換装置5と、亜硫酸ガスS4、水H2O及びヨウ素I2のブンゼン反応によりヨウ化水素HI及び硫酸H2SO4を生成し、ヨウ化水素HIの分解反応により水素H2及びヨウ素I2を生成するISサイクル装置7とを備える。ISサイクル装置7は、熱交換装置5により回収した熱をブンゼン反応又は/及び分解反応の熱源として利用する。【選択図】図1
Description
本発明は、硫酸及び水素を生成するシステムに関するものである。
下記特許文献1には、硫黄炉から排出される亜硫酸ガスを利用して硫酸及び水素を生成するシステムが記載されている。このシステムにおいては、硫黄炉から排出される亜硫酸ガスを第1の亜硫酸ガスと第2の亜硫酸ガスとに分ける。そして、第1の亜硫酸ガスを酸素と反応させて三酸化硫黄を生成し、この三酸化硫黄を硫酸に吸収させて濃硫酸を生成する。さらに、第2の亜硫酸ガスを水及びヨウ素とブンゼン反応させてヨウ化水素及び硫酸を生成し、このヨウ化水素を分解して水素とヨウ素とを生成する。水素とヨウ素はまたブンセン反応に利用されサイクルとして繰り返す(ISサイクル)。
その一方で、下記特許文献1に記載の技術においては、第1の亜硫酸ガスと酸素との反応に伴う発熱によって、第1の亜硫酸ガスと酸素との反応温度が急激に上昇して三酸化硫黄の生成効率が低下するおそれがある。そして、この発熱により生じる熱は何ら有効に利用されていない。
本発明の目的は、亜硫酸ガスと酸素との反応により三酸化硫黄を効率よく生成し、その上で、この反応により生じる熱をシステム内で有効に利用することである。
本発明の第一項目に係る硫酸及び水素生成システムは、硫黄分を燃焼させて亜硫酸ガスを生成する亜硫酸ガス生成装置と、前記亜硫酸ガスと酸素との発熱反応により三酸化硫黄を生成する転化装置と、前記転化装置の内部に設けられることにより、当該転化装置の内部における熱を回収して前記発熱反応の反応温度を調整する熱交換装置と、前記亜硫酸ガス、水及びヨウ素のブンゼン反応によりヨウ化水素及び硫酸を生成し、前記ヨウ化水素の分解反応により水素及びヨウ素を生成するISサイクル装置とを備える。前記ISサイクル装置は、前記熱交換装置により回収した前記熱を前記ブンゼン反応又は/及び前記分解反応の熱源として利用する。
第一項目によれば、転化装置の内部において熱交換装置により熱を回収することによって、亜硫酸ガスと酸素との反応に伴う発熱による反応温度の著しい上昇を防止し、この反応温度を適正な範囲に維持することができる。これにより、転化装置において三酸化硫黄を効率よく生成することができる。さらに、熱交換装置によって回収した熱を有効に利用し、ISサイクル装置におけるブンゼン反応及び/又は分解反応を促進させることができるため、ISサイクル装置において効率よく硫酸及び水素を生成することができる。
本発明の第二項目に係る硫酸及び水素生成システムは、有機廃棄物を加熱処理する廃棄物処理装置と、前記水素と前記廃棄物処理装置において前記有機廃棄物から発生する二酸化炭素とを反応させることにより、生成水とメタン又はメタノールとを生成する有価物生成装置とをさらに備える。
第二項目によれば、有機廃棄物を加熱処理しつつ、これにより生じる二酸化炭素を有価物(水、メタン又はメタノール)の生成に利用することができる。
本発明の第三項目に係る硫酸及び水素生成システムは、前記ISサイクル装置が前記生成水を前記ブンゼン反応に利用するものである。
第三項目によれば、有価物生成装置において生成した水(有価物)をISサイクル装置において硫酸及び水素の生成に利用することができる。
本発明の第四項目に係る硫酸及び水素生成システムにおいては、前記亜硫酸ガス生成装置を、銅精鉱を熔錬して粗銅を製造しつつ前記亜硫酸ガスを発生させる銅熔錬装置とした。前記有機廃棄物には銅が混入している。前記銅熔錬装置は、前記廃棄物処理装置において前記有機廃棄物から生じた灰分を前記銅精鉱と共に熔錬する。
この第四項目によれば、銅熔錬により発生する亜硫酸ガスを硫酸及び水素の生成に利用することができ、かつ、有機廃棄物に混入している銅を粗銅の製造に利用することができる。
以上のように、本発明によれば、亜硫酸ガスと酸素との反応により三酸化硫黄を効率よく生成し、その上で、この反応により生じる熱をシステム内で有効に利用することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る硫酸及び水素生成システムを示す全体構成図である。図1に示すように、このシステム1は、銅熔錬装置2と、洗浄装置3と、転化装置4と、熱交換装置5と、吸収装置6と、ISサイクル装置7と、廃棄物処理装置8と、有価物生成装置9とから構成されている。
銅熔錬装置2は、銅精鉱C1を熔錬して粗銅C2を製造しつつ亜硫酸ガスS1を発生させる。このように、銅熔錬装置2は、銅精鉱C1に含まれる硫黄(硫黄分)を燃焼させて亜硫酸ガスS1を生成する亜硫酸ガス生成装置として機能する。
洗浄装置3は、亜硫酸ガスS1の一部S2を洗浄水によって冷却しながら洗浄することにより、亜硫酸ガスS2に含まれるダスト及び不純物を除去して亜硫酸ガスS3を生成する。
転化装置4は、亜硫酸ガスS3と酸素との発熱反応により三酸化硫黄SO3を生成する。この発熱反応の触媒として五酸化バナジウムが使用される。
熱交換装置5は、転化装置4の内部に設けられることにより、この内部における熱を熱媒体によって回収して亜硫酸ガスS3と酸素との発熱反応の反応温度を調整する。さらに、熱交換装置5は、この熱媒体をISサイクル装置7に供給することにより、この熱媒体によって回収した熱HをISサイクル装置7に供給する。
吸収装置6は、転化装置4において生成した三酸化硫黄SO3を硫酸に吸収させて濃硫酸H2SO4を生成する。
ISサイクル装置7は、ブンゼン反応を生じさせるブンゼン反応装置7aと、分解反応を生じさせる分解反応装置7bとを備える。具体的には、ブンゼン反応装置7aは、亜硫酸ガスS1の残部S4、水H2O及びヨウ素I2のブンゼン反応によりヨウ化水素HI及び硫酸H2SO4を生成する。分解反応装置7bは、ブンゼン反応装置7aから供給されるヨウ化水素HIの分解反応により水素H2及びヨウ素I2を生成する。分解反応装置7bは、生成したヨウ素I2をブンゼン反応装置7aに供給する。ここで、分解反応装置7bは、熱交換装置5から供給される熱Hを分解反応の熱源として使用する。
廃棄物処理装置8は、有機廃棄物Wを加熱処理して燃焼させる。これにより、灰分Aと二酸化炭素CO2とが発生する。ここで、有機廃棄物Wとしては銅が混入しているものを使用する。このため、灰分Aには、有機廃棄物Wに含まれていた銅が含まれる。銅熔錬装置2は、銅精鉱C1と共に銅を含む灰分Aを熔錬する。
有価物生成装置9は、分解反応装置7bから排出される水素H2と廃棄物処理装置8から排出される二酸化炭素CO2とを反応させる。これにより、有価物生成装置9は、有価物Vである水(生成水)とメタンとを生成する。
次に、図1に示す硫酸及び水素生成システム1の動作について説明する。まず、銅精鉱C1を銅熔錬装置2において熔錬することにより粗銅C2を製造する。ここで、銅精鉱C1に含まれる硫黄が燃焼することにより亜硫酸ガスS1が発生する。
亜硫酸ガスS1の一部S2を洗浄装置3において洗浄水で洗浄することにより、亜硫酸ガスS2からダスト及び不純物を除去して亜硫酸ガスS3を生成する。さらに、転化装置4において亜硫酸ガスS3と酸素とを反応させることにより三酸化硫黄SO3を生成する。ここで、転化装置4の内部において、亜硫酸ガスS3と酸素との発熱反応により生じる熱を熱交換装置5により回収する。さらに、この三酸化硫黄SO3を吸収装置6において硫酸に吸収させて濃硫酸H2SO4を生成する。
一方、ISサイクル装置7においては、亜硫酸ガスS1の残部S4がブンゼン反応装置7aに供給される。これにより、ブンゼン反応装置7aにおいて、亜硫酸ガスS4、水H2O及びヨウ素I2を反応させてヨウ化水素HI及び硫酸H2SO4を生成する。さらに、分解反応装置7bにおいて、熱交換装置5から供給される熱Hを熱源として、ブンゼン反応装置7aから供給されるヨウ化水素HIを分解して水素H2及びヨウ素I2を生成する。これ以降、分解反応装置7bで生成されるヨウ素I2をブンゼン反応装置7aに供給し、ISサイクル装置7においてブンゼン反応装置7a及び分解反応装置7bにおける反応を並行かつ連続的に行う。
廃棄物処理装置8において、有機廃棄物Wを加熱処理して燃焼させることにより灰分Aと二酸化炭素CO2とが発生する。さらに、有価物生成装置9において、分解反応装置7bから供給される水素H2と廃棄物処理装置8から排出される二酸化炭素CO2とを反応させて有価物Vを生成する。有価物Vは、水及びメタンの混合物である。
以上のように、上記実施の形態によれば、転化装置4の内部において熱交換装置5により熱を回収することによって、亜硫酸ガスS3と酸素との反応に伴う発熱による反応温度の著しい上昇を防止し、この反応温度を適正な範囲に維持することができる。これにより、転化装置4において三酸化硫黄SO3を効率よく生成することができるため、吸収装置6において効率よく濃硫酸H2SO4を生成することができる。さらに、熱交換装置5によって回収した熱Hを有効に利用し、ISサイクル装置7におけるブンゼン反応及び/又は分解反応を促進させることができるため、ISサイクル装置7において効率よく硫酸H2SO4及び水素H2を生成することができる。
また、上記実施の形態によれば、有機廃棄物Wを加熱処理しつつ、これにより生じる二酸化炭素CO2をシステム1の外部に排出せずにシステム1の内部において有価物V(水及びメタン)の生成に利用することができる。さらに、有機廃棄物Wに混入している銅を銅精鉱C1と共に粗銅C2の製造に利用することができる。
上記実施の形態において、銅熔錬装置2に代えて、銅熔錬装置2以外の亜硫酸ガス生成装置(例えば硫黄炉)を用いることができる。また、熱Hをブンゼン反応装置7aにおけるブンゼン反応の熱源として使用することもできる。さらに、熱Hをブンゼン反応装置7aにおけるブンゼン反応及び分解反応装置7bにおける分解反応の両方の熱源として使用することもできる。
上記実施の形態において、有価物生成装置9により有価物Vとして水及びメタンを生成したが、これに代えて有価物Vとして水及びメタノールを生成することができる。また、有価物Vに含まれる水をブンゼン反応装置7aにおいて水H2Oとして使用することができる。この場合、有価物Vから水以外の物質を除去しておく必要がある。
さらに、上記実施の形態において、亜硫酸ガスS1を亜硫酸ガスS2と亜硫酸ガスS4とに分割したが、亜硫酸ガスS1を3つ以上のガス流に分割することができる。さらに、亜硫酸ガスの発生源を複数設け、一方の発生源から排出される亜硫酸ガスを洗浄装置3に供給し、他方の発生源から排出される亜硫酸ガスをISサイクル装置7に供給することもできる。
1 硫酸及び水素生成システム
2 銅熔錬装置(亜硫酸ガス生成装置)
3 洗浄装置
4 転化装置
5 熱交換装置
6 吸収装置
7 ISサイクル装置
7a ブンゼン反応装置
7b 分解反応装置
8 廃棄物処理装置
9 有価物生成装置
A 灰分
C1 銅精鉱
C2 粗銅
H 熱
S1~S4 亜硫酸ガス
V 有価物
W 有機廃棄物
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Claims (5)
- 硫黄分を燃焼させて亜硫酸ガスを生成する亜硫酸ガス生成装置と、
前記亜硫酸ガスと酸素との発熱反応により三酸化硫黄を生成する転化装置と、
前記転化装置の内部に設けられることにより、当該転化装置の内部における熱を回収して前記発熱反応の反応温度を調整する熱交換装置と、
前記亜硫酸ガス、水及びヨウ素のブンゼン反応によりヨウ化水素及び硫酸を生成し、前記ヨウ化水素の分解反応により水素及びヨウ素を生成するISサイクル装置とを備え、
前記ISサイクル装置は、前記熱交換装置により回収した前記熱を前記ブンゼン反応又は/及び前記分解反応の熱源として利用することを特徴とする硫酸及び水素生成システム。 - 有機廃棄物を加熱処理する廃棄物処理装置と、
前記水素と前記廃棄物処理装置において前記有機廃棄物から発生する二酸化炭素とを反応させることにより、生成水とメタン又はメタノールとを生成する有価物生成装置とをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の硫酸及び水素生成システム。 - 前記ISサイクル装置は、前記生成水を前記ブンゼン反応に利用することを特徴とする請求項2に記載の硫酸及び水素生成システム。
- 前記亜硫酸ガス生成装置は、銅精鉱を熔錬して粗銅を製造しつつ前記亜硫酸ガスを発生させる銅熔錬装置であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の硫酸及び水素生成システム。
- 前記亜硫酸ガス生成装置は、銅精鉱を熔錬して粗銅を製造しつつ前記亜硫酸ガスを発生させる銅熔錬装置であり、
前記有機廃棄物には銅が混入しており、
前記銅熔錬装置は、前記廃棄物処理装置において前記有機廃棄物から生じた灰分を前記銅精鉱と共に熔錬することを特徴とする請求項2又は3に記載の硫酸及び水素生成システム。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115520835A (zh) * | 2022-11-24 | 2022-12-27 | 浙江百能科技有限公司 | 一种硫碘循环制氢中能量回收利用的方法与装置 |
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2021
- 2021-01-12 JP JP2021002570A patent/JP2022107895A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN115520835A (zh) * | 2022-11-24 | 2022-12-27 | 浙江百能科技有限公司 | 一种硫碘循环制氢中能量回收利用的方法与装置 |
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