次に本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、適宜設計の変更、改良等が加えられることが理解されるべきである。
図1は、本発明の焼成炉の一の実施の形態を模式的に示すブロックフロー図である。そして、図1において矢印は、各燃料、燃焼排ガス、水蒸気、その他の物質等の移動する状態を示している。
図1に示すように、本実施の形態の焼成炉100は、流入したメタンを含む燃料11を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼手段2と、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成するとともに、焼成後の前記燃焼ガスを外部に排出させる焼成炉本体1とを備え、内部にメタン改質触媒6が充填され、そこに流入したメタンを主成分とする改質用メタン副燃料21及び水蒸気22からなる改質原料23を、焼成炉本体1から外部に排出された燃焼ガス(燃焼排ガス12)により加熱しながらメタン改質触媒6に接触させることにより改質原料23の中のメタンと水蒸気22とを反応させて水素及び二酸化炭素とを含有する改質ガス24を生成させる(メタン改質反応をさせる)メタン改質器3を更に備えてなるものである。
本実施の形態の焼成炉100によると、メタン改質器3におけるメタン改質反応を燃焼排ガス12の有する熱を使用しながら行うことにより、燃焼排ガス12の有する熱を有効に再利用することができる。
更に図1に示すように、本実施の形態の焼成炉100は、メタン改質器3で生成した改質ガス24を内部に流入させて改質ガス24の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料25と二酸化炭素を含有する残留ガス26とに分離させる水素分離器4と、水素分離器4で分離された残留ガス26の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化させる二酸化炭素固定器5と、を更に備えてなるものである。
そして、本実施の形態の焼成炉100は、燃焼手段2が、流入した、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31と水素分離器4で分離された水素燃料25(混合用水素燃料28)との混合燃料32を燃焼させて、すなわち、メタンを含む燃料11として混合燃料32を使用して、燃焼ガスを発生させることにより、燃焼排ガス12中の二酸化炭素含有量を低減させることを可能としている。これにより、燃焼排ガス12をメタン改質器3で使用した後に、改質器排ガス43として外部に排出するときの二酸化炭素の外部への排出量を低減させることとなる。そして、メタン改質器3におけるメタン改質反応を燃焼排ガスの有する熱を使用しながら行うことにより、燃焼排ガスの有する熱を有効に再利用することができる。また、二酸化炭素固定器5は、内部に二酸化炭素を固定するための固定化剤41として水酸化ナトリウムを流入させ、内部で固定化剤41と残留ガス26とを接触させ、固定化剤41に残留ガス26中に含有される二酸化炭素を吸収させて、炭酸ナトリウムを生成させ、炭酸ナトリウムを含有する廃液42を外部に排出するように形成されている。ここで、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31において、「メタンを主成分とする」とは、メタンの含有率が80(体積%)以上であることをいう。また、固定化剤41としては、二酸化炭素と反応又は二酸化炭素を吸収することができれば特に制限されるものではなく、NaOH、Mg(OH)2等を挙げることができる。また、各機器間は、所定の配管で繋がれ、各燃料、水蒸気等はその配管内を流れて移動している。
このように、本実施の形態の焼成炉100によると、燃焼手段2で燃焼させるメタンを含む燃料11として、混合用メタン主燃料31と、水素燃料25(混合用水素燃料28)との混合燃料32を使用するようにしたため、混合燃料32(燃料11)が、燃焼させても二酸化炭素が発生しない水素(水素燃料25)を含有する分だけ、二酸化炭素の発生を低減することができる。このとき、混合燃料32に含まれる水素の含有率(水素/混合燃料)は、5〜95(体積%)が好ましく、25〜75(体積%)が更に好ましい。5(体積%)より少ないと、二酸化炭素低減効果が十分でないことがあり、95(体積%)より多いときは、メタン改質反応を行うときに、燃焼排ガスだけではなく、他にも熱源を必要とすることがある。また、上記改質原料23をメタン改質触媒6で反応させたときに生成する二酸化炭素は、二酸化炭素固定器5により固定されるため、改質原料23から生成する二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されることはない。更に、上記改質原料23をメタン改質触媒6で反応させるときの吸熱反応に必要な熱量として、焼成炉本体1から排出される燃焼排ガス12の熱量を使用するため、燃焼排ガス12の排熱の一部を利用して水素燃料とすることにより、燃料の燃焼熱として有効に回収することができ、これにより燃料の総使用量を削減することができる。ここで、メタン改質反応のための熱源は燃焼排ガス以外にも炉壁からの放熱やセラミック焼成時に用いる窯道具を冷却するときに廃棄される熱を使うことができる。
図1に示すように、本実施の形態の焼成炉100は、更に燃料電池7を備えている。燃料電池7は水素(燃料電池用水素)と酸素又は空気とを反応させることにより発電するものである。図1に示すように、水素分離器4で分離して得た水素燃料25の一部を燃料電池用水素28として分岐させ、これを燃料電池7に使用して発電することが好ましいが、改質器3から排出された改質ガス24を水素分離器4を通さずに、直接燃料電池7で使用してもよい。水素分離器4で分離して得た水素燃料25は含有される水素の純度が高いため、燃料電池7により効率的に発電を行うことができる。例えば、通常の水素を使用して燃料電池を発電させると電力効率が40%程度であったものが、本実施の形態で使用する燃料電池7においては、電力効率が60〜70%と飛躍的に高くなる。また、水素分離器4で分離して得た水素燃料25の一部を混合用水素燃料28として最終的に燃焼手段2で燃焼させ、その残りを燃料電池用水素27として燃料電池7での発電に利用することにより、燃焼排ガス12に含有される二酸化炭素量を低減させると同時に、燃焼排ガス12の有する熱を有効に回収して発電に利用することができる。
また、改質器3から排出された改質ガス24を水素分離器4を通さずに、直接燃料電池7で使用した場合には、改質ガス24中の水素が発電に使用されるが、残存ガスが燃料電池7から排出される。この残存ガスは、燃料に混合して燃焼手段で燃焼させることが好ましい。また、水素分離器4で分離して得た水素燃料25の一部又は全部を燃料電池7で使用する場合にも、残存ガスが燃料電池7から排出されるので、この残存ガスも燃料に混合して燃焼手段で燃焼させることが好ましい。
また、燃料電池から排出される残存ガスに二酸化炭素が含有され、二酸化炭素固定器を使用している場合には、燃料電池から排出される残存ガスを二酸化炭素固定器に通して二酸化炭素を除去してから、燃料に混合して燃焼手段で燃焼させることが好ましい。
水素燃料25は、その全量を混合用水素燃料28として使用してもよいし、混合用水素燃料28と燃料電池用水素27とに分けて使用してもよい。混合用水素燃料28と燃料電池用水素27とに分けるときの比率は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の排出量と発電量とを適宜最適値になるようにバランスさせるようにすればよい。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100において、焼成炉本体1としては、特に限定されるものではなく、被焼成体としてセラミック等を内部に搬入させ、燃焼手段2によりメタンを含む燃料11を燃焼させて発生させる燃焼ガスにより、セラミック等の被焼成体を焼成する、通常使用されるものである。被焼成体としては、セラミックハニカム構造体を好適に焼成することができる。ここで、セラミックハニカム構造体とは、セラミック製の、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造の構造体である。また、焼成炉本体1は、所定量の被焼成体を1回の焼成の単位として、1回ずつ断続的に焼成するバッチ式であってもよいが、セラミックハニカム構造体等の被焼成体を連続的にその内部に搬入し、その被焼成体を内部で加熱、焼成した後に連続的にその外部に搬出する連続式の焼成炉本体1であることが好ましい。連続的に焼成を行うことにより、定常的に安定して焼成炉本体1から燃焼排ガス12を排出することができるため、メタン改質器3において、燃焼排ガス12の熱によりメタン改質反応を安定して行うことができ、それにより水素燃料25を安定して供給することができ、水素燃料25と混合用メタン主燃料31とを混合させることにより得られる混合燃料32を安定して燃焼手段2に供給することができる。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100において、燃焼手段2は、メタン及び水素を含有する燃料11を効率的に燃焼させることができるものであれば特に限定されるものではない。燃焼手段2は、焼成炉本体1の外部に配設されて、配管により燃焼ガスが焼成炉本体1内に流入されるようにしてよいが、焼成炉本体1の内部に配設されていてもよい。また、燃焼手段2は、その能力や燃焼炉本体1の大きさ等により、焼成炉本体1に一つだけ配設されてもよいし、複数配設されてもよい。燃焼手段2としては、空気と燃料ガスを導入するラインを有するバーナーであれば、特にその形式は問わない。燃焼用の空気を予加熱するリジェネ形式バーナー等も好適に用いることができる。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100において、メタン改質器3は、ステンレス又はセラミックス等からなる容器の内部にメタン改質触媒6が充填され、そこに流入したメタンを主成分とする改質用メタン副燃料21及び水蒸気22からなる改質原料23を、燃焼排ガス12により加熱しながらメタン改質触媒6に接触させることにより改質原料23の中のメタンと水蒸気22とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス24を生成させる(メタン改質反応をさせる)。本実施の形態で用いられるメタン改質器3としては、メタンを反応させて水素を得ることができ、更にメタン中の炭素を最終的には外部に放出することなく固定化することができるものであればよい。メタン中の炭素の固定化はメタン改質器3の後の工程で行われてもよく、本実施の形態においては二酸化炭素固定器5において二酸化炭素を固定することがこれに相当する。メタン改質器3におけるメタンと水の反応率(投入した原料(メタンと水)に対して、発生すべき水素の量の理論値に対する実際に発生した水素の量の比率)は50(モル%)以上であることが好ましい。50(モル%)より低いと燃料の使用量が多くなることがある。また、メタンと水の反応率は高いほど好ましい。
メタン改質器3で生成される改質ガス24中の、水素の含有率は10〜80モル%であることが好ましく、二酸化炭素の含有率は1〜20モル%であることが好ましい。
メタン改質触媒6を充填する容器の形状は、特に限定されるものではなく、筒状、箱形等のいずれの形状でもよい。
メタン改質器3の具体例としては、例えば、「ICI法」と呼ばれる、メタン(1モル)と水(2モル)とを、ニッケル含有触媒下で温度700〜950(℃)、圧力1.01×105〜40.52×105(N/m2)の条件で吸熱反応させて、水素(4モル)と二酸化炭素(1モル)とを生成させる方法を利用したものを好適に使用することができる。ニッケル含有触媒としては、例えば、ジョンソンマッセイ社製のSynetix触媒などを好適に使用することができる。更に、有効な触媒としては、Ni系、Cu系、遷移金属系、白金系などを挙げることができる。
メタン改質器3において、メタンから水素を生成させる反応は吸熱反応であるため、加熱しながら反応させる必要がある。本実施の形態においては、この加熱を焼成炉本体1から排出される燃焼排ガス12により行っている。そのため、新たに熱を発生させることなく、燃焼排ガス12の有する熱を有効に回収することができる。これにより、燃料の総使用量を削減することができ、エネルギー資源を効率的に活用することができる。ここで、燃焼排ガス12の温度は200〜950(℃)が好ましい。200(℃)より低いとメタンと水蒸気とを反応させにくくなることがあり、950(℃)より高いと反応装置を構成する部材の耐久性が低下することがある。また、燃焼排ガス12の有する熱量は、焼成炉本体1の種類、大きさ等によって異なるため特に限定されるものではない。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100において、水素分離器4は、メタン改質器3で生成した水素と二酸化炭素とを含有する改質ガス24を内部に流入させて改質ガス24の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料25と二酸化炭素を含有する残留ガス26とに分離させるものである。水素分離器4は、水素を含有する混合ガスから水素を選択的に分離できるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、パラジウム又はパラジウムを含有する合金を膜状に形成したもの(水素分離膜)を筒状に形成し、その水素分離膜をステンレス等からなる筒状の容器内に配設し、水素分離膜の筒の内部側の空間と外周側の空間とが繋がらないように形成し、筒状の容器内に水素を含有する混合ガスを流入させ、それを水素分離膜の筒の内部側に導入し、水素だけを選択的に水素分離膜の内部側から外周側へ透過させ、水素分離膜の筒の外周側に流出した水素を筒状の容器の外部に水素燃料25として流出させ、その他のガスは残留ガス26として水素分離膜の筒の内部をそのまま通過させて筒状の容器の外部に流出させるように構成したものを好適に使用することができる。水素を含有する混合ガスは、水素分離膜の筒の外側に導入し、水素を水素分離膜の筒の内部側に流出するようにしてもよい。ここで、分離された水素は水素を主成分とする水素燃料25として使用され、その他の二酸化炭素を含有する残留ガス26は、二酸化炭素固定器5に送られる。上記水素を主成分とする水素燃料25の「水素を主成分とする」とは、水素の含有率が50(体積%)以上であることをいう。また、上記筒状の容器は筒状である必要はなく、内部に空間を有する形状であれば、例えば箱型等でもよい。水素分離膜は、その機械的強度を向上させるために、セラミック等からなる多孔質体の表面や内部に配設されるように形成されてもよい。また、水素分離膜は、筒状である必要はなく、平面状やその他いずれの形状であってもよい。
水素分離器4は、メタン改質器3と一体化して形成され、メタン改質器3において発生した水素を、メタン改質器3内に配設された水素分離器4により選択的に分離し、メタン改質器3からその水素を流出させて水素燃料25として使用してもよい。水素分離器4をメタン改質器3に配設する方法としては、例えば、筒状に形成した水素分離膜をメタン改質器3内に配設し、その筒の内部にメタン改質触媒6を配設することができる。この場合、水素分離膜が水素分離器4として機能し、水素分離器4をメタン改質器3内に配設したことになる。それにより、水素分離膜の筒の内部に改質原料23を導入し、水素分離膜の筒の内部に配設されたメタン改質触媒6により、水素を発生させ、発生した水素を水素分離膜の筒の外周側に流出させることができる。そして流出した水素を水素燃料25として使用する。
水素分離器4により改質ガス24から水素を分離するときの水素の分離効率としては、(改質ガス24に含有される水素の量:分離された水素の量)が50:50〜1:99(体積比)であることが好ましい。50:50(体積比)より低いと、効率的に燃料を使用することができないことがある。分離効率としては、高いほど好ましいが、1:99(体積比)であれば燃焼用水素の回収効率としては十分であり、これより高い分離効率を実現するためには、コストが高くなることがある。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100において、二酸化炭素固定器5は、水素分離器4で分離された残留ガス26の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化させるものである。二酸化炭素固定器5は、残留ガス26に含有される二酸化炭素を固定化し、二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないようにすることができれば、特に限定されるものではない。例えば、所定の容器の中に二酸化炭素を固定化する固定化剤41として水酸化ナトリウムの水溶液を入れておき、その中に、残留ガス26を導入し、水酸化ナトリウム水溶液を残留ガス26でバブリングするようにしながら、残留ガス26に含有される二酸化炭素を水酸化ナトリウムと反応させて炭酸ナトリウムを生成させることにより二酸化炭素を固定化させる方法を好適に使用することができる。ここで、二酸化炭素を固定化するとは、他の物質と反応させたり、他の物質に吸収させたりすることにより、二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されないようにすることをいう。
上述のように、固定化剤41として水酸化ナトリウムの水溶液等の水酸化ナトリウム含有物(溶液)を使用することにより、二酸化炭素固定器5で炭酸ナトリウムを生成させることができるため、二酸化炭素固定器5から排出される廃液42を炭酸ナトリウム含有溶液とすることができ、二酸化炭素固定器5を炭酸ナトリウム生成器として使用することができる。以下、炭酸ナトリウム生成器として使用する場合を例にして、二酸化炭素固定器5について更に詳細に説明する。
二酸化炭素固定器5を構成する上記所定の容器の構造は、その内部に水酸化ナトリウムを入れておき、二酸化炭素と反応させて炭酸ナトリウムを生成させることができれば特に限定されるものではない。例えば、残留ガス及び水酸化ナトリウムを導入するための少なくとも一つの導入管、廃液(以下、「炭酸ナトリウム含有溶液」ということがある。)を排出するための排出部を有する筒状の容器を使用することができる。容器の形状は、特に限定されるものではなく、円筒形、底面の形状が四角形等の多角形の筒(箱形を含む)、底面の形状が不定形の筒(箱形を含む)等とすることができる。また、二酸化炭素固定器5には、必要により撹拌機や、加熱、冷却のためのジャケットやコイルを設けてもよい。更に、二酸化炭素固定器5としては、一つの上記容器を設けて、水酸化ナトリウムがほぼ全て反応したところで、残留ガスの流入を停止し、炭酸ナトリウム含有溶液を排出した後に、水酸化ナトリウムを容器内に入れて再び残留ガスの流入を開始するようなバッチ式にしてもよいが、二つ以上の上記容器を設けて、一つの容器内で水酸化ナトリウムがほぼ全て反応したところで、残留ガスの流入をその容器から他の容器に切り換えて、他の容器内で炭酸ナトリウムの生成を開始し、その間に水酸化ナトリウムがほぼ全て反応した容器中の炭酸ナトリウム含有溶液の排出を行うようなセミバッチ式としてもよい。
また、二酸化炭素を固定化して炭酸ナトリウムを生成させる方法としては、固定化剤41として水酸化ナトリウム水溶液を使用し、その水酸化ナトリウム水溶液を循環させ、循環する水酸化ナトリウム水溶液中に残留ガス26を流入、混合させ、水酸化ナトリウムと二酸化炭素とを反応させるようにしてもよい。水酸化ナトリウム水溶液(炭酸ナトリウム生成後は炭酸ナトリウムも含有される)の循環方法としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液を容器に入れ、容器から配管を通じて排出された水酸化ナトリウム水溶液をポンプにより再びその容器に戻すようにすることができる。このとき、水酸化ナトリウム及び反応により生成した炭酸ナトリウムを含有する水溶液の循環系には、水酸化ナトリウムを連続的に送り込み、更にこの循環系から連続的に循環する炭酸ナトリウムを含有する水溶液を炭酸ナトリウム含有溶液(廃液)42として抜き出すようにして、二酸化炭素固定器5を連続的に運転するようにしてもよい。
二酸化炭素固定器5を炭酸ナトリウム生成器として使用する場合には、水素分離器4により改質ガス24から水素を分離した後の残留ガス26中の二酸化炭素含有率が、15〜99.9質量%であることが好ましく、60質量%以上であることが更に好ましい。15質量%より低いと、残留ガス26中の不純物が多くなるため、二酸化炭素固定器5から排出される炭酸ナトリウム含有溶液42を精製して取り出す炭酸ナトリウムの純度を高くし難いことがある。また、残留ガス26中の二酸化炭素含有率が低い場合又は残留ガス26中の二酸化炭素含有率をより高くしたい場合には、変成器(一酸化炭素変成器)を設置してもよい。この場合、水素分離器4から排出された残留ガス26を変成器に流入させ、変成されて二酸化炭素の含有率が高くなった残留ガス26を、二酸化炭素固定器5に流入させる。
また、残留ガス26中にメタン改質器3で副生物として生成された一酸化炭素が多く含有されている場合には、一酸化炭素変成器を設置して、残留ガス26を一酸化炭素変成器に流入させてもよい。一酸化炭素変成器としては、その内部で350℃〜360℃に調整された残留ガス26をFe−Cr系触媒に接触させることにより、一酸化炭素を変成させるものを好適に使用することができる。この場合、一酸化炭素変成器は、一酸化炭素と水とを原料として二酸化炭素と水素とを発生させる。これにより、残留ガス26中に含有された一酸化炭素が二酸化炭素に変成され、残留ガス26中の一酸化炭素含有率を低下させることができる。そして一酸化炭素含有率が低下した残留ガス26を二酸化炭素固定器5に流入させることができる。一酸化炭素変成器では、二酸化炭素以外に水素も発生するため、一酸化炭素変成器から流出した残留ガス26を水素分離器に通すことにより、水素を分離し、その水素を混合燃料32に混入させて使用してもよい。このとき、水素分離器を新たに設置して、残留ガス26の全量を流入させてもよいし、残留ガス26の一部を抜き出して、改質ガス24とともに水素分離器4に流入させることにより、残留ガス26の一部を循環させるようにしてもよい。変成されて、二酸化炭素の含有率が高くなった残留ガス26(変成後、水素分離器に通すときには、水素分離器から流出した残留ガス26)は、二酸化炭素固定器5に流入させる。
また、残留ガス26を上記一酸化炭素変成器で変成した後に、依然として残留ガス26中に一酸化炭素が残存する場合、又は一酸化炭素が残存する残留ガス26を一酸化炭素変成器で変成しない場合には、その残留ガス26を二酸化炭素固定器5に流入させ、二酸化炭素を反応させた後の排ガス(二酸化炭素固定器排ガス)44に、残留ガス26中に残存していた一酸化炭素が含有されることになる。二酸化炭素固定器排ガス44に含有される一酸化炭素を処理する方法としては、二酸化炭素固定器排ガス44を混合燃料32に混入させて、燃焼手段2により燃焼させることが好ましい。このとき、二酸化炭素固定器排ガス44に水素が含有されていた場合には、水素も燃料として燃焼手段2により燃焼させることになるため好ましい。
二酸化炭素固定器排ガス44には、二酸化炭素固定器5内の水酸化ナトリウムが飛散し、その飛沫が含有されることがあるため、二酸化炭素固定器排ガス44を混合燃料32に混入させた場合には、含有される水酸化ナトリウムが焼成炉本体1内に侵入し、焼成炉本体1を腐食させることがある。そのため、二酸化炭素固定器排ガス44を混合燃料32に混入させて燃焼させるときには、燃焼前に水酸化ナトリウムを除去することが好ましい。水酸化ナトリウムを除去するのは、二酸化炭素固定器排ガス44を混合燃料32と混合させる前でも混合させた後でもよい。例えば、二酸化炭素固定器排ガス44を、混合燃料32に混入させる前に、水酸化ナトリウム除去器(図示せず)に通して水酸化ナトリウムを除去することができる。水酸化ナトリウム除去器としては、水等を充填したトラップを使用することができ、配管途中に設置することが好ましい。
二酸化炭素固定器5内で残留ガス26中の二酸化炭素が完全に反応せず、二酸化炭素固定器排ガス44中に未反応の二酸化炭素が残存する場合には、二酸化炭素固定器排ガス44の一部を抜き出して再び二酸化炭素固定器5に流入させることが好ましい。これにより、残存する二酸化炭素を減少させることができる。また、二酸化炭素固定器をもう一つ設け、二酸化炭素固定器排ガス44をこの二つ目の二酸化炭素固定器に流入させて、炭酸ナトリウムを生成させてもよい。これにより、更に残存する二酸化炭素を減少させることができる。
上述した、残留ガス26を一酸化炭素変成器で処理する方法、二酸化炭素固定器排ガス44を混合燃料32に混入させる方法、及び二酸化炭素固定器排ガス44を二酸化炭素固定器に流入させる方法は、残留ガス26に含有される一酸化炭素量、並びに二酸化炭素固定器排ガス44に含有される一酸化炭素量及び二酸化炭素量によって、いずれかの操作を単独で使用してもよいし、それぞれを最適条件になるように組み合わせて使用してもよい。
二酸化炭素固定器5において生成させる炭酸ナトリウムは、炭酸ナトリウム含有溶液42として二酸化炭素固定器5から排出された後に、炭酸ナトリウム精製工程(図示せず)において精製され、高純度の炭酸ナトリウムとして取り出されることが好ましい。そのため、二酸化炭素固定器5内で生成する炭酸ナトリウム含有溶液42に含有される炭酸ナトリウムの、炭酸ナトリウム含有溶液42から水を除いた残りの物質に対する含有率を80〜99.9質量%とすることが好ましく、95質量%以上とすることが更に好ましい。80質量%より低いと、上記炭酸ナトリウム精製工程(図示せず)において精製されて得られる炭酸ナトリウムの純度が高くなり難くなる。
このように、精製して得られる炭酸ナトリウムを高純度にするために、二酸化炭素固定器5で二酸化炭素と反応させる水酸化ナトリウムとして高純度のものを使用することが好ましい。つまり、二酸化炭素固定器5の内部に入れる固定化剤41中の水酸化ナトリウムの、固定化剤41から水を除いた残りの物質(固定化剤41が水を含有していないときには固定化剤41全体)に対する含有率が、80〜99.9質量%であることが好ましく、95質量%以上であることが更に好ましい。80質量%より低いと精製して得られる炭酸ナトリウムの純度が高くなり難いことがある。固定化剤41としては、上述のように水酸化ナトリウムの水溶液を使用してもよいが、溶融した水酸化ナトリウムを使用してもよい。また、固定化剤41として、水酸化ナトリウム水溶液を使用したときには、水溶液全体に対する水酸化ナトリウムの含有率は、30〜95質量%が好ましい。30質量%より低いと、水酸化ナトリウムの濃度が低いため二酸化炭素と効率的に反応し難くなり二酸化炭素固定器排ガス44中に残存する二酸化炭素の含有率が高くなることがある。また、95質量%より高いと水酸化ナトリウム水溶液の粘度が高くなり、流動性が悪くなるため二酸化炭素と効率的に反応し難くなることがある。
二酸化炭素固定器5から排出された炭酸ナトリウム含有溶液42を、精製工程(図示せず)で精製することにより取り出す炭酸ナトリウムの純度は、98〜99.9質量%であることが好ましく、99.0質量%以上であることが更に好ましい。98質量%より高くすることにより、得られた高純度炭酸ナトリウムを、光学ガラス、医薬品等の高純度炭酸ナトリウムを原料として必要とする分野において使用することができる。炭酸ナトリウムの純度の上限としては高いほど好ましい。また、炭酸ナトリウム含有溶液42全体に対する炭酸ナトリウムの含有率は、60〜95質量%が好ましい。60質量%より低いと、炭酸ナトリウムの濃度が低いため、炭酸ナトリウム結晶を効率的に生成させ難くなることがある。また、95質量%より高いと、晶析器で炭酸ナトリウムを晶析したときに、炭酸ナトリウム結晶によるスラリー濃度が高くなるため流動性が悪くなることがある。
二酸化炭素固定器5から排出された炭酸ナトリウム含有溶液42を精製する精製方法としては、炭酸ナトリウム含有溶液42から炭酸ナトリウム結晶を析出させ、析出した炭酸ナトリウムを母液と分離することにより炭酸ナトリウム結晶を取り出す方法が好ましい。この精製方法は、炭酸ナトリウム含有溶液42から炭酸ナトリウム結晶を析出させる晶析器(図示せず)と、晶析器で析出した炭酸ナトリウムの結晶を母液から分離する濾過器(図示せず)とを備える精製工程(図示せず)で行われることが好ましい。
晶析器としては、通常工業的に使用される晶析器を使用することができ、例えば、撹拌機、ジャケット、コイル等を備え、溶液を冷却することにより結晶を析出させることができる円筒状の晶析器を使用することができる。炭酸ナトリウム含有溶液42の温度が低温で、含有される炭酸ナトリウムの一部がすでに析出している場合は、晶析器での晶析をせずに直接濾過器で濾過をするか、又は形式的に晶析器を経由させた後に濾過器で濾過をしてもよい。
濾過器としては、通常工業的に使用される、バスケット型の遠心濾過器、重力式の濾過器、減圧濾過器等を使用することができる。濾過器から排出される母液には炭酸ナトリウムが溶解されているので、更に他の晶析器を使用してその母液をより低温にすることにより、炭酸ナトリウムを析出させて、析出した炭酸ナトリウムの結晶を濾過器で濾別してもよい。また、濾過器から排出される母液には未反応の水酸化ナトリウムが含有されているため、この水酸化ナトリウムを有効に活用するために、水酸化ナトリウムを更に添加することにより水酸化ナトリウム濃度を調整して、二酸化炭素固定器5に戻してもよい。
一般には、炭酸ナトリウムを製造する方法としては、ソルベー法により合成する方法やワイミング州のGreen River鉱床から産出されるトロナ灰に代表される天然原料を使用して精製する方法等が知られているが、これらの方法では、炭酸ナトリウムを高純度化することが困難であり、これを高純度化しようとすると精製コストが高くなるという問題がある。例えば、ソルベー法では、原料として塩化ナトリウムを使用するため、炭酸ナトリウムを生成させた後に塩素の除去が必要になる。この塩素の除去が不十分であると炭酸ナトリウムの純度が低くなり、塩素を十分に除去して炭酸ナトリウムを高純度化しようとすると精製コストが高くなる。また、天然原料を使用すると、天然原料自体が多くの不純物を含んでいるため、それら不純物を除去するための精製コストが高くなる。これに対し、本実施の形態の焼成炉を構成する二酸化炭素固定器により炭酸ナトリウムを生成させれば、メタン改質により得られた二酸化炭素と高純度の水酸化ナトリウムとを原料とするため、精製工程を簡略化し精製コストを低くしながら高純度の炭酸ナトリウムを得ることができる。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100において、燃料電池7は、市販のシステムを用いることができる。高分子型、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質型などいずれでもよいが、排熱が高温であることから、リン酸型又は溶融炭酸塩型又は固体電解質型が好ましい。また発生できる電力容量は、現在の市販システムの性能から、1システム当たり100KWから200KW程度となるが、これを並列設置するなどの方法を採れば、電力容量は自由に設計できる。そして、水素燃料25の一部が燃料電池用水素27として配管を通じて送られ、燃料電池7において、燃料電池用水素27と空気(空気中の酸素)とが反応して発電される。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100においては、燃焼手段2で燃焼させる燃料として、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31と水素分離器4で分離された水素燃料25との混合燃料32を使用する。焼成炉100の運転のスタート時は、燃焼排ガス12が定常的に排出されていない状態(燃焼排ガス12がまだ発生していない状態や徐々に増加している状態)であるため、メタン改質器3による反応を燃焼排ガス12を使用しながら行うことが困難であるため、混合燃料32を使用するのは、焼成炉本体1内が安定化し、燃焼排ガス12が定常的に排出されるようになってからでもよい(後述する、メタン改質器が焼成炉本体内に配設される場合には、燃焼ガスの温度が安定するようになってからでもよい。)。この場合、焼成炉100の運転のスタート時には、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31だけで焼成を行う。また、スタート時のように焼成炉本体1内が安定化せず、燃焼排ガス12が定常的に排出されていない状態のときには、メタン改質器3に、蒸気や電気等による他の加熱装置(図示せず)を配設し、その加熱装置を使用しながらメタン改質器3を運転するようにしてもよい。
図1に示す本実施の形態の焼成炉100は、焼成するときに要する熱量が100万〜1億(kJ/Hr)の、セラミックを焼成する焼成炉として好適に使用することができる。
改質用メタン副燃料21と混合用メタン主燃料31との体積比(改質用メタン副燃料21:混合用メタン主燃料31)が5:95〜100:0(体積比)であることが好ましい。改質用メタン副燃料21の比が、5(体積比)より小さいと、二酸化炭素を十分削減されないことがある。また、混合用メタン主燃料31及び改質用メタン副燃料21の中の少なくとも一方は液化天然ガス(LNG)とすることができる。LNGとすることにより、LNGの燃焼性の良さにより効率的に燃焼させることができ、また、LNGはクリーンで安価な燃料であり、燃焼により硫黄酸化物やダスト等の有害物質を発生しないため好ましい。
次に、図1に示す本実施の形態の焼成炉100において、混合用メタン主燃料31と水素燃料25との混合燃料32を使用して燃焼手段2で燃焼させたとき(本実施の形態)と、メタンガス(メタン含有率が100(%)のガス)だけを燃料11として使用し燃焼手段2で燃焼させたとき(比較例)との、それぞれの燃料の使用量と発生熱量との違い及び、発生する二酸化炭素の量の違いについて説明する。
例えば、改質用メタン副燃料21及び混合用メタン主燃料31としてメタンガスを使用し、メタン改質器3による反応率が100(%)(1モルのメタンと2モルの水をメタン改質器3に導入すると4モルの水素が発生する)であり、水素分離器4における水素の分離効率が100(%)(改質ガス24に含有される水素の全てが水素分離器4で分離され、水素燃料25となる)であり、水素燃料25の全量を混合用水素燃料28として混合用メタン主燃料31と混合するとする。この場合、例えば、メタンガスだけを1(Nm3/Hr)使用して燃焼手段2で燃焼させたとすると、39800(kJ/Hr)の熱量が発生することになる(比較例)。これに対し、本実施の形態の一例として、混合用メタン主燃料として、メタンガスを0.5(Nm3/Hr)使用し、改質用メタン副燃料としてメタンガスを0.4(Nm3/Hr)使用したとすると、メタン改質器3から1.6(Nm3/Hr)の水素が発生し、それが水素分離器4により分離され、分離された水素が水素燃料25として上記改質用メタン副燃料(メタンガス)と混合されて混合燃料32(メタンガスが0.5(Nm3/Hr)、水素が1.6(Nm3/Hr)の混合ガス)となる。この混合燃料32を燃焼手段2で燃焼させると、メタンガス0.5(Nm3/Hr)より、19900(kJ/Hr)の熱量が発生し、水素1.6(Nm3/Hr)より、20480(kJ/Hr)の熱量が発生する。従って、混合燃料32を燃焼させることにより得られる熱量は40380(kJ/Hr)となる。
以上より、メタンガスだけを燃焼させると、メタンガスの使用量が1(Nm3/Hr)のときに、39800(kJ/Hr)の熱量が得られるのに対し、本実施の形態の場合には、メタンガスの総使用量(混合用メタン主燃料31と改質用メタン副燃料21との合計)が0.9(Nm3/Hr)のときに、40380(kJ/Hr)の熱量が得られることになる。また、メタンガス1モルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の量は1モルである(理論量)ため、上記比較例の場合、二酸化炭素の発生量が1(Nm3/Hr)となるのに対し、上記本実施の形態の一例の場合は、二酸化炭素の発生量が0.5(Nm3/Hr)となる。従って、本実施の形態と、比較例の場合とを比較すると、燃焼手段2での燃焼により発生する熱量をほぼ同等(本実施の形態のほうが若干大きい)にするために必要なメタンガスの使用量は、本実施の形態の場合が比較例の場合に対して10%削減され、更に発生する二酸化炭素の量は、本実施の形態の場合が比較例の場合に対して50%削減されたことになる。
次に、本発明の焼成炉の他の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図2は、本実施の形態の焼成炉を模式的に示すブロックフロー図である。そして、図2において矢印は、各燃料、燃焼排ガス、水蒸気、その他の物質等の移動する状態を示している。
図2に示すように、本実施の形態の焼成炉200は、流入したメタンを含む燃料61を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼手段52と、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成するとともに、焼成後の燃焼ガスを二酸化炭素を含む燃焼排ガス(外部に排出された燃焼ガス)62として外部に排出させる焼成炉本体51とを備え、更に、内部にメタン改質触媒56が充填され、そこに流入したメタンを主成分とする改質用メタン副燃料71及び水蒸気72からなる改質原料73を、燃焼排ガス62により加熱しながらメタン改質触媒56に接触させることにより改質原料73の中のメタンと水蒸気72とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス74を生成させる(メタン改質反応をさせる)メタン改質器53と、メタン改質器53で生成した改質ガス74を内部に流入させて改質ガス74の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料75と二酸化炭素を含有する残留ガス76とに分離させる水素分離器54と、水素分離器54で分離された残留ガス76の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化させる二酸化炭素固定器55と、水素分離器54で分離された水素燃料75を含有する燃料電池用水素77と酸素又は空気とを反応させることにより発電する燃料電池57とを更に備えてなるものである。
そして、本実施の形態の焼成炉200は、メタン改質器53におけるメタン改質反応を燃焼排ガス62の有する熱を使用しながら行うことにより、燃焼排ガス62の有する熱を有効に再利用することができる。また、二酸化炭素固定器55は、内部に二酸化炭素を固定するための固定化剤91として水酸化ナトリウムを流入させ、内部で固定化剤91と残留ガス76とを接触させ、固定化剤91に残留ガス76中に含有される二酸化炭素を吸収させて、炭酸ナトリウムを生成させ、炭酸ナトリウムを含有する廃液92を外部に排出するように形成されている。そして、未反応のガスは二酸化炭素固定器排ガス94として外部に排出される。また、固定化剤91としては、二酸化炭素と反応又は二酸化炭素を吸収することができれば特に制限されるものではなく、NaOH、Mg(OH)2等を挙げることができる。また、各機器間は、所定の配管で繋がれ、各燃料、水蒸気等はその配管内を流れて移動している。
このように、本実施の形態の焼成炉200は、燃料電池57を備え、水素燃料75を含有する燃料電池用水素77を使用して発電しているため、燃焼排ガス62が有する熱エネルギーを電気エネルギーに効率的に変換することができる。つまり、燃焼排ガス62が有する熱を使用してメタン改質器53で水素を含有する改質ガス74を発生させ、水素分離器54により改質ガス74から水素燃料75を分離し、分離された水素燃料75の全量を燃料電池用水素77として燃料電池57で発電に使用することにより、燃焼排ガス62が有する熱エネルギーを利用価値のより高い電気エネルギーに効率的に変換しているのである。燃料電池57は水素(燃料電池用水素)と酸素又は空気とを反応させることにより発電するものであるが、燃料電池用水素77として使用する水素燃料75は含有される水素の純度が高いため、効率的に発電を行うことができる。例えば、通常の水素を使用して燃料電池を発電させると電力効率が40%程度であったものが、本実施の形態で使用する燃料電池57においては、電力効率が60〜70%と飛躍的に高くなる。本実施の形態の焼成炉においては、改質ガス74を水素分離器54を通さずに、直接燃料電池57で使用するようにしてもよい。炭酸ガス排出量に関しては、燃料電池は、火力発電などと比較するとその熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率は2倍程度高い。ゆえに二酸化炭素排出量の低減のためには火力発電などに由来する電力ではなく、燃料電池由来の電力を用いれば、同じ電力量に対する炭酸ガス削減量は半減する。ゆえに、二酸化炭素の固定化をあえて行うこと無しに発生二酸化炭素の削減が可能である。二酸化炭素の固定化を行えば、更に高い二酸化炭素削減効果を生じる。
また、本実施の形態の焼成炉200によると、上記改質原料73をメタン改質触媒56で反応させたときに生成する二酸化炭素は、二酸化炭素固定器55により固定されるため、改質原料73から生成する二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されることはない。ここで、メタン改質反応のための熱源は燃焼排ガス以外にも炉壁からの放熱やセラミック焼成時に用いる窯道具を冷却するときに廃棄される熱を使うことができ、更に熱の有効回収を図ることができる。
本実施の形態の焼成炉200においては、残留ガス76に一酸化炭素等の燃焼可能な物質が含有されていることがあるため、このような燃焼可能な物質が含有されているときには、残留ガス76の一部又は全部を燃焼手段52で燃焼させてもよい。燃料の回収となるため好ましい。
図2に示す、本実施の形態の焼成炉200における、焼成炉本体51、燃焼手段52、メタン改質器53、水素分離器54、二酸化炭素固定器55、及び燃料電池57のそれぞれは、上述した図1に示す本発明の焼成炉の一の実施の形態における、焼成炉本体1、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4、二酸化炭素固定器5及び燃料電池7のそれぞれの場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。但し、メタンを含有する燃料61はメタンを主成分とすることが好ましく、燃焼手段52は、メタンを主成分とする燃料61を効率的に燃焼させることができるものであることが好ましい。ここで「メタンを主成分とする」とは、メタンの含有率が80(体積%)以上であることをいう。また、本実施の形態の焼成炉200は、水素燃料75の全量を燃料電池57における発電に使用するため、水素燃料75の一部を燃料61に混合するための分岐用の配管等は必要としない。
図2に示す本実施の形態の焼成炉200は、焼成するときに要する熱量が100万〜1億(kJ/Hr)の、セラミックを焼成する焼成炉として好適に使用することができる。また、被焼成体としては、上記本発明の焼成炉の一の実施の形態の場合と同様に、セラミックハニカム構造体を好適に焼成することができる。
次に、本発明の焼成炉の更に他の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態の焼成炉を模式的に示すブロックフロー図である。そして、図3において矢印は、各燃料、燃焼排ガス、水蒸気、その他の物質等の移動する状態を示している。
図3に示すように、本実施の形態の焼成炉300は、流入したメタンを含む燃料111を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼手段102と、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成するとともに、焼成後の燃焼ガスを二酸化炭素を含む燃焼排ガス(外部に排出された燃焼ガス)112として外部に排出させる焼成炉本体101とを備え、更に、燃焼炉本体101内に配設され、内部にメタン改質触媒106が充填され、そこに流入したメタンを主成分とする改質用メタン副燃料121及び水蒸気122からなる改質原料123を、燃料111の燃焼により発生した燃焼ガスにより加熱すると共に、焼成炉本体101内に発生する輻射伝熱により加熱しながらメタン改質触媒106に接触させることにより改質原料123の中のメタンと水蒸気122とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス124を生成させる(メタン改質反応をさせる)メタン改質器103と、メタン改質器103で生成した改質ガス124を内部に流入させて改質ガス124の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料125と二酸化炭素を含有する残留ガス126とに分離させる水素分離器104と、水素分離器104で分離された残留ガス126の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化させる二酸化炭素固定器105と、を更に備えてなるものである。
このように、本実施の形態の焼成炉によれば、メタン改質器103が、焼成炉本体101内に配設され、改質原料123を燃焼排ガス112の代わりに燃焼ガスにより加熱し、更に焼成炉本体101内に発生する輻射伝熱によっても加熱しながらメタン改質触媒106に接触させて改質ガス124を生成させるため、燃焼ガスの有する熱を焼成炉本体1内で直接使用することができ、燃焼ガスの有する熱をロスが少なく有効に利用することができる。これは、例えば、燃焼ガスを一度焼成炉本体1から外部に排出した後に、焼成炉本体1の外部に設置した機器で熱回収を行う場合と比較すると、その燃焼ガスが有する熱エネルギーの放熱等によるロスが著しく少なくなるものである。これにより、燃料の総使用量をより削減することができ、エネルギー資源をより効率的に活用することができる。また、焼成炉本体101内に発生する輻射伝熱は、焼成炉本体101内の被焼成物、焼成用治具、炉壁等が燃焼ガスにより加熱され、高熱になった被焼成物、焼成用治具及び炉壁等から発せられる輻射伝熱である。改質原料123及びメタン改質触媒106は、燃焼ガス及び/又は輻射伝熱によって加熱される。通常の改質反応が生じる温度(800℃以上)での、輻射伝熱(輻射熱)による加熱と燃焼ガスによる加熱のそれぞれの熱量の比としては、輻射熱:燃焼ガス=2:1〜4:1の範囲であることが好ましい。およそ800℃では、全加熱量に占める輻射熱の割合が60%、1000℃以上では輻射熱の割合が80%となることが好ましい。また、高温になればなるほど輻射熱が優勢になる。
そして、本実施の形態の焼成炉300は、燃焼手段102が、流入したメタンを主成分とする混合用メタン主燃料131と水素分離器104で分離された水素燃料125(混合用水素燃料128)との混合燃料132を燃焼させて、すなわち、メタンを含む燃料111として混合燃料132を使用して、燃焼ガスを発生させることにより、燃焼排ガス112中の二酸化炭素含有量を低減させ、二酸化炭素の外部への排出量を低減させることができる。また、二酸化炭素固定器105は、内部に二酸化炭素を固定するための固定化剤141として水酸化ナトリウムを流入させ、内部で固定化剤141と残留ガス126とを接触させ、固定化剤141に残留ガス126中に含有される二酸化炭素を吸収させて、炭酸ナトリウムを生成させ、炭酸ナトリウムを含有する廃液142を外部に排出するように形成されている。そして未反応のガスは、二酸化炭素固定器排ガス144として外部に排出される。ここで、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料131において、「メタンを主成分とする」とは、メタンの含有率が80(体積%)以上であることをいう。また、固定化剤141としては、二酸化炭素と反応又は二酸化炭素を吸収することができれば特に制限されるものではなく、NaOH、Mg(OH)2等を挙げることができる。また、各機器間は、所定の配管で繋がれ、各燃料、水蒸気等はその配管内を流れて移動している。
このように、本実施の形態の焼成炉300によると、燃焼手段102で燃焼させるメタンを含む燃料111として、混合用メタン主燃料131と、水素燃料125(混合用水素燃料128)との混合燃料132を使用するようにしたため、混合燃料132(燃料111)が、燃焼させても二酸化炭素が発生しない水素(水素燃料125)を含有する分だけ、二酸化炭素の発生を低減することができる。また、上記改質原料123をメタン改質触媒106で反応させたときに生成する二酸化炭素は、二酸化炭素固定器105により固定されるため、改質原料123から生成する二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されることはない。更に、上記改質原料123をメタン改質触媒106で反応させるときの吸熱反応に必要な熱量として、焼成炉本体101内の燃焼ガスの熱量(燃料111の燃焼熱)を使用して水素燃料とするため、燃焼ガスの有する熱量の一部を燃料111の燃焼熱として有効に回収し、再度利用することができ、これにより燃料の総使用量を削減することができる。ここで、メタン改質反応のための熱源としての燃焼ガスの有する熱とは、燃料111の燃焼熱のことであり、燃料111の燃焼時の放射熱や、被焼成物、炉壁等の焼成用治具等からの輻射伝熱も含まれる。また、セラミック焼成時に用いる窯道具を冷却するときに廃棄される熱等も使うことができる。
図3に示すように、本実施の形態の焼成炉300は、更に燃料電池107を備えている。水素分離器104で分離して得た水素燃料125の一部を燃料電池用水素127として分岐させ、これを燃料電池107に使用して発電するように構成されている。水素燃料125は含有される水素の純度が高いため、燃料電池107により効率的に発電を行うことができる。
水素燃料125は、その全量を混合用水素燃料128として使用してもよいし、混合用水素燃料128と燃料電池用水素127とに分けて使用してもよい。混合用水素燃料128と燃料電池用水素127とに分けるときの比率は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の排出量と発電量とを適宜最適値になるようにバランスさせるようにすればよい。
本実施の形態の焼成炉において、改質ガス124を水素分離器104を通さずに、直接燃料電池107で使用するようにしてもよい。
図5は、本実施の形態の焼成炉300を構成する焼成炉本体101を模式的に示し、その長手方向に垂直な平面で切断した断面図である。図5に示す焼成炉本体101は、連続式の焼成炉本体101であり、その長手方向とは、被焼成体mが焼成炉本体101内に搬入されて進行する方向である。被焼成体mはベルトコンベアBにより焼成炉本体101内を長手方向に沿って進行するように形成されている。図5に示すように、焼成炉本体101は、その外周壁101aの内側の面に沿ってメタン改質器3が配設されている形態が示してあるが、図6に示すように、内側炉壁101bの内側、すなわち被焼成体mを燃焼ガスにより焼成する空間に配設してもよい。また、これらの両方に配設してもよい。また、図5に示す焼成炉本体101の断面において、その断面全体の温度分布の中で、メタン改質反応を行うために最適温度となる位置にメタン改質器3が配設されることが好ましい。また、焼成炉本体101の長手方向においてメタン改質器103を配設させる位置としては、焼成炉本体101内の温度分布においてメタン改質反応に適した温度となる位置とすることが好ましい。また、メタン改質器103を配設する位置の温度状態を最適にするために、図5に示すように、メタン改質器103を配設させる空間と、被焼成体mを燃焼ガスにより焼成する空間とを、内側炉壁101bにより仕切ることが好ましい。内側炉壁101bで焼成炉本体101内を仕切ることにより、燃焼ガスがメタン改質器103に直接接触しないようにしたり、接触し難くすることができるため、メタン改質器103に伝わる熱量をより適切に調節することができ、メタン改質器103の温度をより適切なものとすることができる。これは、メタン改質器103を焼成炉本体101の高温領域に配設させる場合に有効である。
メタン改質器103は、筒状の改質反応管103a内にメタン改質触媒106が充填されて形成されている。メタン改質器103は、改質反応管103aの両端部が焼成炉本体101の外部に連通し、一方の端部から改質原料を流入させ、焼成炉本体101内で、燃焼ガスの熱及び輻射伝熱により加熱しながら及びメタン改質触媒によりメタン改質反応をさせ、得られた改質ガスを改質反応管103aの他方の端部から焼成炉本体101の外部に流出させるように形成されている。
メタン改質触媒106を充填する容器としては、本実施の形態においては、図5に示した管状の改質反応管を使用しているが、容器の形状は、管状(筒状)に限定されるものではなく、箱形や、その他内部にメタン改質触媒106を充填して焼成炉本体101内に配設でき、燃焼ガスによりメタン改質反応ができればいずれの形状でもよい。
図3に示す本実施の形態の焼成炉300における、焼成炉本体101、燃焼手段102、メタン改質器103、水素分離器104及び二酸化炭素固定器105、燃料電池107のそれぞれは、焼成炉本体101内にメタン改質記103が配設されていること以外は、上述した図1に示す本発明の焼成炉の一の実施の形態における、焼成炉本体1、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4、二酸化炭素固定器5及び燃料電池7のそれぞれの場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。
また、本実施の形態の焼成炉では、メタン改質器が焼成炉本体内に配設されているが、それに加えて、上述した図1に示す本発明の焼成炉の一の実施の形態におけるメタン改質器のような、焼成炉本体の外部に配設されるメタン改質器が更に備えられてもよい。つまり、焼成炉本体の内部と外部にメタン改質器が備えられ、内部では、燃焼ガスの熱及び輻射伝熱を利用してメタン改質を行い、外部では、燃焼排ガスの熱を利用してメタン改質を行うようにしてもよい。
次に、本発明の焼成炉の更に他の実施の形態について図面を参照しながら説明する。図4は、本発明の焼成炉の更に他の実施の形態を模式的に示すブロックフロー図である。そして、図4において矢印は、各燃料、燃焼排ガス、水蒸気、その他の物質等の移動する状態を示している。
図4に示すように、本実施の形態の焼成炉400は、流入したメタンを含む燃料161を燃焼させて燃焼ガスを発生させる燃焼手段152と、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成するとともに、焼成後の燃焼ガスを二酸化炭素を含む燃焼排ガス162として外部に排出させる焼成炉本体151とを備え、更に、焼成炉本体151内に配設され、内部にメタン改質触媒156が充填され、そこに流入したメタンを主成分とする改質用メタン副燃料171及び水蒸気172からなる改質原料173を、燃焼ガスにより加熱すると共に、焼成炉本体151内に発生する輻射伝熱により加熱しながらメタン改質触媒156に接触させることにより改質原料173の中のメタンと水蒸気172とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス174を生成させる(メタン改質反応をさせる)メタン改質器153と、メタン改質器153で生成した改質ガス174を内部に流入させて改質ガス174の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料175と二酸化炭素を含有する残留ガス176とに分離させる水素分離器154と、水素分離器154で分離された残留ガス176の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化させる二酸化炭素固定器155と、水素分離器154で分離された水素燃料175を含有する燃料電池用水素177と酸素又は空気とを反応させることにより発電する燃料電池157とを更に備えてなるものである。各機器間は、所定の配管で繋がれ、各燃料、水蒸気等はその配管内を流れて移動している。二酸化炭素固定器155で固定化されなかったガスは、二酸化炭素固定器排ガス194として外部に排出される。また、焼成炉本体151内に発生する輻射伝熱は、焼成炉本体151内の被焼成物、焼成用治具、炉壁等が燃焼ガスにより加熱され、高熱になった被焼成物、焼成用治具、炉壁等から発せられる輻射伝熱である。輻射伝熱は、焼成炉本体151内の温度が1000℃以上になると、特に大きくなる。また、改質原料173及びメタン改質触媒156は、燃焼ガスで加熱され、更に輻射伝熱によっても加熱される。
このように、本実施の形態の焼成炉400は、メタン改質器153を焼成炉本体151内に配設したため、メタン改質反応を焼成炉本体151内の燃焼ガスの有する熱及び/又は燃焼ガスにより加熱された被焼成物、焼成用治具及び炉壁からの輻射熱の一部を使用しながら行うことにより、燃焼ガスの有する熱を有効に利用することができる。そして、本実施の形態の焼成炉400は、燃料電池157を備え、水素燃料175を含有する燃料電池用水素177を使用して発電しているため、燃焼ガスが有する熱エネルギーの一部を電気エネルギーに効率的に変換することができる。つまり、燃焼ガスが有する熱を使用してメタン改質器153で水素を含有する改質ガス174を発生させ、水素分離器154により改質ガス174から水素燃料175を分離し、分離された水素燃料175の全量を燃料電池用水素177として燃料電池157で発電に使用することにより、燃焼ガスが有する熱エネルギーの一部を利用価値のより高い電気エネルギーに効率的に変換しているのである。燃料電池157は水素(燃料電池用水素)と酸素又は空気とを反応させることにより発電するものであるが、燃料電池用水素177として使用する水素燃料175は含有される水素の純度が高いため、効率的に発電を行うことができる。例えば、通常の水素を使用して燃料電池を発電させると電力効率が40%程度であったものが、本実施の形態で使用する燃料電池157においては、電力効率が60〜70%と飛躍的に高くなる。本実施の形態の焼成炉においては、改質ガス174を水素分離器154を通さずに、直接燃料電池157で使用するようにしてもよい。炭酸ガス排出量に関しては、燃料電池は、火力発電などと比較するとその熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率は2倍程度高い。ゆえに二酸化炭素排出量の低減のためには火力発電などに由来する電力ではなく、燃料電池由来の電力を用いれば、同じ電力量に対する炭酸ガス削減量は半減する。ゆえに、二酸化炭素の固定化をあえて行うこと無しに発生二酸化炭素の削減が可能である。二酸化炭素の固定化を行えば、更に高い二酸化炭素削減効果を生じる。
図4に示す、本実施の形態の焼成炉400における、焼成炉本体151、燃焼手段152、メタン改質器153、水素分離器154、二酸化炭素固定器155、及び燃料電池157のそれぞれは、焼成炉本体151内にメタン改質記153が配設されていること以外は、上述した図1に示す本発明の焼成炉の一の実施の形態における、焼成炉本体1、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4、二酸化炭素固定器5及び燃料電池7のそれぞれの場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。そして、焼成炉本体151の内部にメタン改質器153が配設されている構造としては、図5又は図6に示す焼成炉本体101と同様の構成にすることが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。但し、メタンを含有する燃料161はメタンを主成分とすることが好ましく、燃焼手段152は、メタンを主成分とする燃料161を効率的に燃焼させることができるものであることが好ましい。
次に、本発明の焼成方法の一の実施の形態について、上述した本発明の焼成炉の一の実施の形態を示す図1を参照しながら説明する。
本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉100としては、図1を参照しながら説明した上記本発明の焼成炉の一の実施の形態を好適に使用することができる。本実施の形態の焼成方法は、燃焼手段2にメタンを含む燃料11を流入させて燃焼させることにより燃焼ガスを発生させ、燃焼手段2で発生した燃焼ガスを焼成炉本体1内部に導入し、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成するとともに、焼成後の燃焼ガスを外部に排出させる焼成方法である。そして、更に内部にメタン改質触媒6が充填されたメタン改質器3に、メタンを主成分とする改質用メタン副燃料21及び水蒸気22からなる改質原料23を流入させ、改質原料23を燃焼排ガス12により加熱しながらメタン改質触媒6に接触させることにより改質原料23の中のメタンと水蒸気22とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス24を生成させるものである。
このように、本実施の形態の焼成方法によると、メタン改質器3におけるメタン改質反応を焼成炉本体1の外部に排出された燃焼ガス(燃焼排ガス12)の有する熱を使用しながら行うことにより、燃焼排ガス12の有する熱を有効に再利用することができる。
そして、更に本実施の形態の焼成方法は、メタン改質器3で生成した改質ガス24を水素分離器4の内部に流入させて改質ガス24の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料25と二酸化炭素を含有する残留ガス26とに分離させ、水素分離器4で分離された残留ガス26を二酸化炭素固定器5内に流入させ、残留ガス26の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化剤41により固定化させ、燃焼手段2に、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31と水素分離器4で分離された水素燃料25(混合用水素燃料28)との混合燃料32を流入、燃焼させて燃焼ガスを発生させることにより、燃焼排ガス12中の二酸化炭素含有量を低減させることが可能な焼成方法である。メタン改質器3において使用された燃焼排ガス12は、その後、改質器排ガス43として外部に排出される。また、固定化剤41により二酸化炭素を固定化した後には、廃液42として外部に排出される。
ここで、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31において、「メタンを主成分とする」とは、メタンの含有率が80(体積%)以上であることをいう。また、水素を主成分とする水素燃料25の「水素を主成分とする」とは、水素の含有率が50(体積%)以上であることをいう。
このように、本実施の形態の焼成方法によると、燃焼手段2で燃焼させるメタンを含む燃料11として、混合用メタン主燃料31と、水素燃料25(混合用水素燃料28)との混合燃料32を使用するようにしたため、混合燃料32(燃料11)が燃焼させても二酸化炭素が発生しない水素(混合用水素燃料28)を含有する分だけ、二酸化炭素の発生を低減することができる。このとき、混合燃料32に含まれる水素の含有率(水素/混合燃料)は、5〜95(体積%)が好ましく、25〜75(体積%)が更に好ましい。5(体積%)より少ないと、二酸化炭素低減効果が十分でないことがあり、95(体積%)より多いときは、メタン改質反応を行うときに、燃焼排ガスだけではなく、他にも熱源を必要とすることがある。また、上記改質原料23をメタン改質触媒6で反応させたときに生成する二酸化炭素は、二酸化炭素固定器5により固定されるため、改質原料23から生成する二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されることはない。更に、上記改質原料23をメタン改質触媒6で反応させるときの吸熱反応に必要な熱量として、焼成炉本体1から排出される燃焼排ガス12の熱量を使用するため、燃焼排ガス12の排熱の一部を水素燃料とすることにより燃料の燃焼熱として回収することになり、燃料の総使用量を削減することができる。
図1に示すように、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉100は、更に燃料電池7を備え、水素燃料25の一部を燃料電池用水素27として使用し、発電することが可能に構成されている。燃料電池7は水素(燃料電池用水素)と酸素又は空気とを反応させることにより発電するものであり、本実施の形態の焼成方法においては、水素分離器4で分離して得た水素燃料25の一部を燃料電池用水素27として分離し、これを燃料電池7に使用して発電することができる。水素燃料25は含有される水素の純度が高いため、その一部を燃料電池用水素27として使用することにより、燃料電池7で効率的に発電を行うことができる。例えば、通常の水素を使用して燃料電池を発電させると電力効率が40%程度であったものが、本実施の形態において燃料電池7で発電すると、電力効率が60〜70%と飛躍的に向上する。また、水素分離器4で分離して得た水素燃料25の一部を混合用水素燃料28として最終的に燃焼手段2で燃焼させ、その残りを燃料電池用水素27として燃料電池7での発電に利用することにより、燃焼排ガス12に含有される二酸化炭素量を低減させると同時に、燃焼排ガス12の有する熱を有効に回収して発電に利用することができ、利用価値の高い電気エネルギーを得ることができる。
炭酸ガス排出量に関しては、燃料電池は、火力発電などと比較するとその熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率は2倍程度高い。ゆえに二酸化炭素排出量の低減のためには火力発電などに由来する電力ではなく、燃料電池由来の電力を用いれば、同じ電力量に対する炭酸ガス削減量は半減する。ゆえに、二酸化炭素の固定化をあえて行うこと無しに発生二酸化炭素の削減が可能である。二酸化炭素の固定化を行えば、更に高い二酸化炭素削減効果を生じる。
水素燃料25は、その全量を混合用水素燃料28として使用してもよいし、混合用水素燃料28と燃料電池用水素27とに分けて使用してもよい。混合用水素燃料28と燃料電池用水素27とに分けるときの比率は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の排出量と発電量とを適宜最適値になるようにバランスさせるようにすればよい。
図1に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉100において、焼成炉本体1は、上記本発明の焼成炉における焼成炉本体の場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。また、焼成炉本体1は、所定量の被焼成体ずつを断続的に焼成するバッチ式であってもよいが、セラミック構造体等の被焼成体を連続的にその内部に搬入し、その被焼成体を内部で加熱、焼成した後に連続的にその外部に搬出する連続式の焼成炉本体1であることが好ましい。連続的に焼成を行うことにより、定常的に安定して焼成炉本体1から燃焼排ガス12を排出することができるため、メタン改質器3において、燃焼排ガス12の熱によりメタン改質反応を安定して行うことができ、それにより水素燃料25を安定して供給することができ、水素燃料25と混合用メタン主燃料31とを混合させることにより得られる混合燃料32を安定して燃焼手段2に供給することができる。
また、本実施の形態の焼成方法により焼成する被焼成体としては食器・タイル・衛生陶器・ガイシなどのセラミック、更にはセラミックハニカム構造体を好適に焼成することができる。ここで、セラミックハニカム構造体とは、セラミック製の、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造の構造体である。
図1に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉100において、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4及び二酸化炭素固定器5は、上述した本発明の焼成炉の一の実施の形態における、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4及び二酸化炭素固定器5の場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。二酸化炭素固定器を炭酸ナトリウム生成器として使用する場合にも、上述した本発明の焼成炉の一の実施の形態において、二酸化炭素固定器を炭酸ナトリウム生成器として使用する場合と同様にすることが好ましい。
本実施の形態の焼成方法においては、上述した本発明の焼成炉の一の実施の形態を使用して焼成する場合と同様に、燃焼手段2で燃焼させる燃料として、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31と水素分離器4で分離された水素燃料25(混合用水素燃料28)との混合燃料32を使用する。焼成炉100の運転のスタート時は、燃焼排ガス12が定常的に排出されていない状態(燃焼排ガス12がまだ発生していない状態や徐々に増加している状態)であるため、メタン改質器3による反応を燃焼排ガス12を使用しながら行うことが困難であり、混合燃料32を使用するのは、燃焼排ガス12が定常的に排出されるようになってからでもよい。この場合、焼成炉100の運転のスタート時には、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料31だけで焼成を行う。また、スタート時の燃焼排ガス12が定常的に排出されていない状態のときには、メタン改質器3に、蒸気や電気等による他の加熱装置(図示せず)を配設し、その加熱装置を使用しながらメタン改質器3を運転するようにしてもよい。
本実施の形態の焼成方法は、セラミックを100万〜1億(kJ/Hr)の熱量で焼成するときに好適に使用することができる。100万(kJ/Hr)よりも小さな設備の場合には、幾つかの小さな設備を組み合わせて本発明を用いることもできる。100万(kJ/Hr)以下の設備でも本発明は適用できるが、メタンの水蒸気改質設備が高額な現状では経済的ではない。
本実施の形態の焼成方法においては、上述した本発明の焼成炉の一の実施の形態を使用して焼成する場合と同様に、改質用メタン副燃料21と混合用メタン主燃料31との体積比(改質用メタン副燃料21:混合用メタン主燃料31)を5:95〜100:0(体積比)とすることが好ましい。改質用メタン副燃料21の比が、5(体積比)より小さいと、二酸化炭素が十分削減されないことがある。また、混合用メタン主燃料31及び改質用メタン副燃料21の中の少なくとも一方は液化天然ガス(LNG)とすることができる。LNGとすることにより、LNGの燃焼性の良さにより効率的に燃焼させることができ、また、LNGはクリーンで安価な燃料であり、燃焼により硫黄酸化物やダスト等の有害物質を発生しないため好ましい。
本実施の形態の焼成方法として混合用メタン主燃料31と水素燃料25(混合用水素燃料28)との混合燃料32を使用して燃焼手段2で燃焼させたとき(本実施の形態)と、メタンガス(メタン含有率が100(%)のガス)だけを燃料11として使用し、燃焼手段2で燃焼させたとき(比較例)との、それぞれの燃料の使用量と発生熱量との違い及び、発生する二酸化炭素の量の違いを示すと、上述した本発明の焼成炉の一の実施の形態において同様の比較をした場合と同様の結果が得られる。すなわち、メタンガスだけを燃料11として燃焼させると、メタンガス1(Nm3/Hr)の使用に対して39800(kJ/Hr)の熱量が得られるのに対し、本実施の形態の場合には、メタンガスの総使用量(混合用メタン主燃料31と改質用メタン副燃料21との合計)が0.9(Nm3/Hr)であるのに対して、得られる熱量が40380(kJ/Hr)となる。また、メタンガス1モルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の量は1モルである(理論量)ため、上記比較例の場合には、1(Nm3/Hr)の二酸化炭素が発生するのに対し、上記本実施の形態の場合は、0.5(Nm3/Hr)の二酸化炭素が発生することになる。従って、本実施の形態と、比較例の場合とを比較すると、燃焼手段2での燃焼により発生する熱量をほぼ同等(本実施の形態のほうが若干大きい)にするために必要なメタンガスの使用量は、本実施の形態の場合が比較例の場合に対して10%削減され、更に発生する二酸化炭素の量は、本実施の形態の場合が比較例の場合に対して50%削減されたことになる。
次に、本発明の焼成方法の他の実施の形態について、上述した本発明の焼成炉の他の実施の形態を示す図2を参照しながら説明する。
本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉200としては、図2を参照しながら説明した上記本発明の焼成炉の他の実施の形態と同様の焼成炉であることが好ましい。本実施の形態の焼成方法は、燃焼手段52にメタンを含む燃料61を流入させて燃焼させることにより燃焼ガスを発生させ、燃焼手段52で発生した燃焼ガスを焼成炉本体51内部に導入し、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成するとともに、焼成後の燃焼ガスを焼成炉本体51の外部に排出させる焼成方法である。そして、更に内部にメタン改質触媒56が充填されたメタン改質器53に、メタンを主成分とする改質用メタン副燃料71及び水蒸気72からなる改質原料73を流入させ、改質原料73を焼成炉本体51から排出された燃焼ガス(燃焼排ガス62)により加熱しながらメタン改質触媒56に接触させることにより改質原料73の中のメタンと水蒸気72とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス74を生成させるものである。
このように、本実施の形態の焼成方法によると、メタン改質器53におけるメタン改質反応を燃焼排ガス62の有する熱を使用しながら行うことにより、燃焼排ガス62の有する熱を有効に再利用することができる。
そして、更に本実施の形態の焼成方法は、メタン改質器53で生成した改質ガス74を水素分離器54の内部に流入させて改質ガス74の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料75と二酸化炭素を含有する残留ガス76とに分離させ、水素分離器54で分離された残留ガス76を二酸化炭素固定器55内に流入させ、残留ガス76の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化剤91により固定化させ、水素分離器54で分離された水素燃料75を燃料電池用水素77として、燃料電池57に流入させて、燃料電池用水素77と酸素又は空気とを反応させることにより発電させ、これにより、燃焼排ガス62が有する熱を使用してメタン改質器53で水素を含有する改質ガス74を発生させ、水素分離器54により改質ガス74から水素燃料75を分離し、水素燃料75を燃料電池用水素77として燃料電池57で発電に使用し、燃焼排ガス62が有する熱エネルギーを電気エネルギーに変換することが可能な焼成方法である。メタン改質器53において使用された燃焼排ガス62は、その後、改質器排ガス93として外部に排出される。また、固定化剤91により二酸化炭素を固定化した後には、廃液92として外部に排出される。
このように本実施の形態の焼成方法によれば、水素燃料75の全量を燃料電池用水素77として使用し、燃料電池57により発電するため、燃焼排ガス62の有する熱を有効に回収して発電に利用することができ、より利用価値の高い電気エネルギーを得ることができる。水素燃料75は含有される水素の純度が高いため、燃料電池用水素77として使用することにより、燃料電池57で効率的に発電を行うことができる。例えば、通常の水素を使用して燃料電池を発電させると電力効率が40%程度であったものが、本実施の形態において燃料電池57で発電すると、電力効率が60〜70%と飛躍的に向上する。
また、本実施の形態の焼成方法によると、上記改質原料73をメタン改質触媒56で反応させたときに生成する二酸化炭素は、二酸化炭素固定器55により固定されるため、改質原料73から生成する二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されることはない。
図2に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉200において、焼成炉本体51は、図1に示す、上記本発明の焼成炉の一の実施の形態における焼成炉本体1の場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。また、焼成炉本体51は、所定量の被焼成体ずつを断続的に焼成するバッチ式であってもよいが、セラミック構造体等の被焼成体を連続的にその内部に搬入し、その被焼成体を内部で加熱、焼成した後に連続的にその外部に搬出する連続式の焼成炉本体51であることが好ましい。連続的に焼成を行うことにより、定常的に安定して焼成炉本体51から燃焼排ガス62を排出することができるため、メタン改質器53において、燃焼排ガス62の熱によりメタン改質反応を安定して行うことができ、それにより水素燃料75を安定して供給することができ、安定して燃料電池57により発電することができる。
また、本実施の形態の焼成方法により焼成する被焼成体としては食器・タイル・衛生陶器・ガイシなどのセラミック、更にはセラミックハニカム構造体を好適に焼成することができる。ここで、セラミックハニカム構造体とは、セラミック製の、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造の構造体である。
図2に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉200において、燃焼手段52、メタン改質器53、水素分離器54及び二酸化炭素固定器55は、図1に示す、上記本発明の焼成炉の一の実施の形態における、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4及び二酸化炭素固定器5の場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。但し、メタンを含有する燃料61は、メタンを主成分とすることが好ましく、燃焼手段52は、メタンを主成分とする燃料61を効率的に燃焼させることができるものであることが好ましい。ここで、「メタンを主成分とする」とは、メタンの含有率が80(体積%)以上であることをいう。
本実施の形態の焼成炉200においては、残留ガス76に一酸化炭素等の燃焼可能な物質が含有されていることがあるため、このような燃焼可能な物質が含有されているときには、残留ガス76の一部又は全部を燃焼手段152で燃焼させてもよい。燃料の回収となるため好ましい。
本実施の形態の焼成方法は、セラミックを100万〜1億(kJ/Hr)の熱量で焼成するときに好適に使用することができる。100万(kJ/Hr)よりも小さな設備の場合には、幾つかの小さな設備を組み合わせて本発明を用いることもできる。100万(kJ/Hr)以下の設備でも本発明は適用できるが、メタンの水蒸気改質設備が高額な現状では経済的ではない。
次に、本発明の焼成方法の更に他の実施の形態について、上述した本発明の焼成炉の更に他の実施の形態を示す図3を参照しながら説明する。
本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉300としては、図3を参照しながら説明した上記本発明の焼成炉の更に他の実施の形態と同様の焼成炉であることが好ましい。本実施の形態の焼成方法は、燃焼手段102にメタンを含む燃料111を流入させて燃焼させることにより燃焼ガスを発生させ、燃焼手段102で発生した燃焼ガスを焼成炉本体101内部に導入し、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成する焼成方法である。そして、更に内部にメタン改質触媒106が充填され、焼成炉本体101内に配設されたメタン改質器103に、メタンを主成分とする改質用メタン副燃料121及び水蒸気122からなる改質原料123を流入させ、改質原料123を燃焼ガスにより加熱すると共に、焼成炉本体101内に発生する輻射伝熱により加熱しながらメタン改質触媒106に接触させることにより改質原料123の中のメタンと水蒸気122とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス124を生成させるものである。また、焼成炉本体101内に発生する輻射伝熱は、焼成炉本体101内の被焼成物、焼成用治具、炉壁等が燃焼ガスにより加熱され、高熱になった被焼成物、焼成用治具、炉壁等から発せられる輻射伝熱である。輻射伝熱は、焼成炉本体101内の温度が1000℃以上になると、特に大きくなる。また、改質原料123及びメタン改質触媒106は、燃焼ガスで加熱され、更に輻射伝熱によっても加熱される。
このように、本実施の形態の焼成方法によれば、上記改質原料123をメタン改質触媒106で反応させるときの吸熱反応に必要な熱量として、焼成炉本体101内で燃焼ガスの熱量及び/又は燃焼ガスにより加熱された被焼成物、焼成用治具及び炉壁からの輻射熱の熱量を使用するため、燃焼ガスの有する熱の一部を水素燃料生成に利用することにより燃料の燃焼熱として回収して再利用することになり、燃料の総使用量を削減することができる。
そして、本実施の形態の焼成方法は、更にメタン改質器103で生成した改質ガス124を水素分離器104の内部に流入させて改質ガス124の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料125と二酸化炭素を含有する残留ガス126とに分離させ、水素分離器104で分離された残留ガス126を二酸化炭素固定器105内に流入させ、残留ガス126の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化剤141により固定化させ、燃焼手段102に、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料131と水素分離器104で分離された水素燃料125(混合用水素燃料128)との混合燃料132を流入、燃焼させて燃焼ガスを発生させることにより、燃焼ガス中の二酸化炭素含有量を低減させ、外部に排出される燃焼排ガス112中の二酸化炭素含有量を低減させることが可能な焼成方法である。燃焼排ガス112は外部に排出される。また、固定化剤141により二酸化炭素を固定化した後には、廃液142として外部に排出される。
ここで、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料131において、「メタンを主成分とする」とは、メタンの含有率が80(体積%)以上であることをいう。また、水素を主成分とする水素燃料125の「水素を主成分とする」とは、水素の含有率が50(体積%)以上であることをいう。
このように、本実施の形態の焼成方法によると、燃焼手段102で燃焼させるメタンを含む燃料111として、混合用メタン主燃料131と、水素燃料125(混合用水素燃料128)との混合燃料132を使用するようにしたため、混合燃料132(燃料111)が燃焼させても二酸化炭素が発生しない水素(混合用水素燃料128)を含有する分だけ、二酸化炭素の発生を低減することができる。このとき、混合燃料132に含まれる水素の含有率(水素/混合燃料)は、5〜95(体積%)が好ましく、25〜75(体積%)が更に好ましい。5(体積%)より少ないと、二酸化炭素低減効果が十分でないことがあり、95(体積%)より多いときは、メタン改質反応を行うときに、燃焼ガスだけではなく、他にも熱源を必要とすることがある。また、上記改質原料123をメタン改質触媒106で反応させたときに生成する二酸化炭素は、二酸化炭素固定器105により固定されるため、改質原料123から生成する二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されることはない。
図3に示すように、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉300は、更に燃料電池107を備え、水素燃料125の一部を燃料電池用水素127として使用し、発電することが可能に構成されている。燃料電池107は水素(燃料電池用水素)と酸素又は空気とを反応させることにより発電するものであり、本実施の形態の焼成方法(第三の発明)においては、水素分離器104で分離して得た水素燃料125の一部を燃料電池用水素127として分離し、これを燃料電池107に使用して発電することができる。水素燃料125は含有される水素の純度が高いため、その一部を燃料電池用水素127として使用することにより、燃料電池107で効率的に発電を行うことができる。例えば、通常の水素を使用して燃料電池を発電させると電力効率が40%程度であったものが、本実施の形態において燃料電池107で発電すると、電力効率が60〜70%と飛躍的に向上する。また、水素分離器104で分離して得た水素燃料125の一部を混合用水素燃料128として最終的に燃焼手段102で燃焼させ、その残りを燃料電池用水素127として燃料電池107での発電に利用することにより、燃焼排ガス112に含有される二酸化炭素量を低減させると同時に、燃焼ガスの有する熱を有効に回収して発電に利用することができ、利用価値の高い電気エネルギーを得ることができる。
炭酸ガス排出量に関しては、燃料電池は、火力発電などと比較するとその熱エネルギーを電気エネルギーに変換する効率は2倍程度高い。ゆえに二酸化炭素排出量の低減のためには火力発電などに由来する電力ではなく、燃料電池由来の電力を用いれば、同じ電力量に対する炭酸ガス削減量は半減する。ゆえに、二酸化炭素の固定化をあえて行うこと無しに発生二酸化炭素の削減が可能である。二酸化炭素の固定化を行えば、更に高い二酸化炭素削減効果を生じる。
水素燃料125は、その全量を混合用水素燃料128として使用してもよいし、混合用水素燃料128と燃料電池用水素127とに分けて使用してもよい。混合用水素燃料128と燃料電池用水素127とに分けるときの比率は特に限定されるものではなく、二酸化炭素の排出量と発電量とを適宜最適値になるようにバランスさせるようにすればよい。
図3に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉300において、焼成炉本体101は、図1を参照しながら説明した本発明の焼成炉の一の実施の形態である焼成炉100における焼成炉本体1の場合と同様に構成することが好ましく、焼成炉本体101にメタン改質器103が配設されている構造としては、図5又は図6に示す焼成炉本体101と同様に構成することが好ましい。これにより、同様の効果を得ることができる。また、焼成炉本体101は、所定量の被焼成体ずつを断続的に焼成するバッチ式であってもよいが、セラミック構造体等の被焼成体を連続的にその内部に搬入し、その被焼成体を内部で加熱、焼成した後に連続的にその外部に搬出する連続式の焼成炉本体101であることが好ましい。連続的に焼成を行うことにより、燃焼ガスの温度を定常的に安定せることができるため、焼成炉本体101内のメタン改質器103において、燃焼ガスの熱及び輻射伝熱による加熱によりメタン改質反応を安定して行うことができ、それにより水素燃料125を安定して供給することができ、水素燃料125と混合用メタン主燃料131とを混合させることにより得られる混合燃料132を安定して燃焼手段102に供給することができる。
また、本実施の形態の焼成方法により焼成する被焼成体としては食器・タイル・衛生陶器・ガイシなどのセラミック、更にはセラミックハニカム構造体を好適に焼成することができる。ここで、セラミックハニカム構造体とは、セラミック製の、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造の構造体である。
図3に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉300において、燃焼手段102、メタン改質器103、水素分離器104、二酸化炭素固定器105、及び燃料電池107は図1に示す、上記本発明の焼成炉100(第一の発明)における、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4、二酸化炭素固定器5及び燃料電池7の場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。
本実施の形態の焼成方法においては、上述した本発明の焼成方法の一の実施の形態の場合と同様に、燃焼手段102で燃焼させる燃料として、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料131と水素分離器104で分離された水素燃料125(混合用水素燃料128)との混合燃料132を使用する。焼成炉300の運転のスタート時は、燃焼ガスの温度が安定していない状態(燃焼ガスがまだ発生していない状態や徐々に増加している状態)であるため、メタン改質器103による反応を燃焼ガスを使用しながら行うことが困難であり、混合燃料132を使用するのは、燃焼ガスが定常的に排出されるようになってからでもよい。この場合、焼成炉300の運転のスタート時には、メタンを主成分とする混合用メタン主燃料131だけで焼成を行う。また、スタート時の燃焼ガスが定常的に排出されず、温度が安定していない状態のときには、メタン改質器103に、蒸気や電気等による他の加熱装置(図示せず)を配設し、その加熱装置を使用しながらメタン改質器103を運転するようにしてもよい。
本実施の形態の焼成方法は、セラミックを100万〜1億(kJ/Hr)の熱量で焼成するときに好適に使用することができる。100万(kJ/Hr)よりも小さな設備の場合には、幾つかの小さな設備を組み合わせて本発明を用いることもできる。100万(kJ/Hr)以下の設備でも本発明は適用できるが、メタンの水蒸気改質設備が高額な現状では経済的ではない。
本実施の形態の焼成方法においては、上述した本発明の焼成方法の一の実施の形態の場合と同様に、改質用メタン副燃料121と混合用メタン主燃料131との体積比(改質用メタン副燃料121:混合用メタン主燃料131)を5:95〜100:0(体積比)とすることが好ましい。改質用メタン副燃料121の比が、5(体積比)より小さいと、二酸化炭素が十分削減されないことがある。また、混合用メタン主燃料131及び改質用メタン副燃料121の中の少なくとも一方は液化天然ガス(LNG)とすることができる。LNGとすることにより、LNGの燃焼性の良さにより効率的に燃焼させることができ、また、LNGはクリーンで安価な燃料であり、燃焼により硫黄酸化物やダスト等の有害物質を発生しないため好ましい。
本実施の形態の焼成方法として混合用メタン主燃料131と水素燃料125(混合用水素燃料128)との混合燃料132を使用して燃焼手段102で燃焼させたとき(本実施の形態)と、メタンガス(メタン含有率が100(%)のガス)だけを燃料111として使用し、燃焼手段102で燃焼させたとき(比較例)との、それぞれの燃料の使用量と発生熱量との違い及び、発生する二酸化炭素の量の違いを示すと、上述した図1に示す本発明の焼成炉100において同様の比較をした場合と同様の結果が得られる。すなわち、メタンガスだけを燃料111として燃焼させると、メタンガス1(Nm3/Hr)の使用に対して39800(kJ/Hr)の熱量が得られるのに対し、本実施の形態の場合には、メタンガスの総使用量(混合用メタン主燃料131と改質用メタン副燃料121との合計)が0.9(Nm3/Hr)であるのに対して、得られる熱量が40380(kJ/Hr)となる。また、メタンガス1モルを燃焼させたときに発生する二酸化炭素の量は1モルである(理論量)ため、上記比較例の場合には、1(Nm3/Hr)の二酸化炭素が発生するのに対し、上記本実施の形態の場合は、0.5(Nm3/Hr)の二酸化炭素が発生することになる。従って、本実施の形態と、比較例の場合とを比較すると、燃焼手段102での燃焼により発生する熱量をほぼ同等(本実施の形態のほうが若干大きい)にするために必要なメタンガスの使用量は、本実施の形態の場合が比較例の場合に対して10%削減され、更に発生する二酸化炭素の量は、本実施の形態の場合が比較例の場合に対して50%削減されたことになる。
また、本実施の形態の焼成方法では、メタン改質器が焼成炉本体内に配設されているが、それに加えて、図1を参照しながら説明した上記本発明の焼成方法の一の実施の形態で使用するメタン改質器のような、焼成炉本体の外部に配設されるメタン改質器が更に備えられてもよい。つまり、焼成炉本体の内部と外部にメタン改質器が備えられ、内部では、燃焼ガスの熱及び輻射伝熱を利用してメタン改質を行い、外部では、燃焼排ガスの熱を利用してメタン改質を行うようにしてもよい。
次に、本発明の焼成方法の更に他の実施の形態について、上述した本発明の焼成炉の更に他の実施の形態を示す図4を参照しながら説明する。
本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉400としては、図4を参照しながら説明した上記本発明の焼成炉の更に他の実施の形態と同様の焼成炉であることが好ましい。本実施の形態の焼成方法は、燃焼手段152にメタンを含む燃料161を流入させて燃焼させることにより燃焼ガスを発生させ、燃焼手段152で発生した燃焼ガスを焼成炉本体151内部に導入し、燃焼ガスにより、その内部に搬入された被焼成体を加熱して焼成する焼成方法である。そして、更に内部にメタン改質触媒156が充填され、焼成炉本体151内に配設されたメタン改質器153に、メタンを主成分とする改質用メタン副燃料171及び水蒸気172からなる改質原料173を流入させ、改質原料173を燃焼ガスにより加熱すると共に、焼成炉本体151内に発生する輻射伝熱により加熱しながらメタン改質触媒156に接触させることにより改質原料173の中のメタンと水蒸気172とを反応させて水素及び二酸化炭素を含有する改質ガス174を生成させるものである。また、焼成炉本体151内に発生する輻射伝熱は、焼成炉本体151内の被焼成物、焼成用治具、炉壁等が燃焼ガスにより加熱され、高熱になった被焼成物、焼成用治具、炉壁等から発せられる輻射伝熱である。輻射伝熱は、焼成炉本体151内の温度が1000℃以上になると、特に大きくなる。また、改質原料173及びメタン改質触媒156は、燃焼ガスで加熱され、更に輻射伝熱によっても加熱される。
このように、本実施の形態の焼成方法によれば、上記改質原料173をメタン改質触媒156で反応させるときの吸熱反応に必要な熱量として、焼成炉本体151内で燃焼ガスの熱量及び/又は燃焼ガスにより加熱された被焼成物、焼成用治具及び炉壁からの輻射熱の熱量を使用するため、燃焼ガスの有する熱の一部を燃料の燃焼熱として回収して再利用することになり、燃料の総使用量を削減することができる。
そして、本実施の形態の焼成方法は、更にメタン改質器153で生成した改質ガス174を水素分離器154の内部に流入させて改質ガス174の中の水素を選択的に分離して水素を主成分とする水素燃料175と二酸化炭素を含有する残留ガス176とに分離させ、水素分離器154で分離された残留ガス176を二酸化炭素固定器155内に流入させ、残留ガス176の中の二酸化炭素をガスの状態で外部に放出されないように固定化剤191により固定化させ、水素分離器154で分離された水素燃料175を燃料電池用水素177として、燃料電池157に流入させて、燃料電池用水素177と酸素又は空気とを反応させることにより発電させ、これにより、燃焼ガスが有する熱を使用してメタン改質器153で水素を含有する改質ガス174を発生させ、水素分離器154により改質ガス174から水素燃料175を分離し、水素燃料175を燃料電池用水素177として燃料電池157で発電に使用し、燃焼ガスが有する熱エネルギーの一部を電気エネルギーに変換することが可能な焼成方法である。燃焼排ガス162は外部に排出される。また、固定化剤191により二酸化炭素を固定化した後には、廃液192として外部に排出される。
このように本実施の形態の焼成方法によれば、水素燃料175の全量を燃料電池用水素177として使用し、燃料電池157により発電するため、燃焼ガスの有する熱を有効に回収して発電に利用することができ、より利用価値の高い電気エネルギーを得ることができる。水素燃料175は含有される水素の純度が高いため、燃料電池用水素177として使用することにより、燃料電池157で効率的に発電を行うことができる。例えば、通常の水素を使用して燃料電池を発電させると電力効率が40%程度であったものが、本実施の形態において燃料電池157で発電すると、電力効率が60〜70%と飛躍的に向上する。
また、本実施の形態の焼成方法によると、上記改質原料173をメタン改質触媒156で反応させたときに生成する二酸化炭素は、二酸化炭素固定器155により固定されるため、改質原料173から生成する二酸化炭素がガスの状態で外部に放出されることはない。
図4に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉400において、焼成炉本体151は、図1に示す、上記本発明の焼成炉の一の実施の形態における焼成炉本体1の場合と同様に構成することが好ましく、焼成炉本体151にメタン改質器153が配設されている構造としては、図5又は図6に示す焼成炉本体101と同様に構成することが好ましい。これにより、同様の効果を得ることができる。また、焼成炉本体151は、所定量の被焼成体ずつを断続的に焼成するバッチ式であってもよいが、セラミック構造体等の被焼成体を連続的にその内部に搬入し、その被焼成体を内部で加熱、焼成した後に連続的にその外部に搬出する連続式の焼成炉本体151であることが好ましい。連続的に焼成を行うことにより、焼成炉本体151内で燃焼ガスの温度を定常的に安定させることができるため、メタン改質器153において、燃焼ガスの熱及び輻射伝熱によりメタン改質反応を安定して行うことができ、それにより水素燃料175を安定して供給することができ、安定して燃料電池157により発電することができる。
また、本実施の形態の焼成方法により焼成する被焼成体としては食器・タイル・衛生陶器・ガイシなどのセラミック、更にはセラミックハニカム構造体を好適に焼成することができる。ここで、セラミックハニカム構造体とは、セラミック製の、隔壁によって区画された流体の流路となる複数のセルを有するハニカム構造の構造体である。
図4に示す、本実施の形態の焼成方法に使用する焼成炉400において、燃焼手段152、メタン改質器153、水素分離器154、二酸化炭素固定器155、及び燃料電池157は、図1に示す、上記本発明の焼成炉の一の実施の形態である焼成炉100における、燃焼手段2、メタン改質器3、水素分離器4、二酸化炭素固定器5及び燃料電池7の場合と同様に構成することが好ましく、これにより、同様の効果を得ることができる。但し、メタンを含有する燃料161は、メタンを主成分とすることが好ましく、燃焼手段152は、メタンを主成分とする燃料161を効率的に燃焼させることができるものであることが好ましい。ここで、「メタンを主成分とする」とは、メタンの含有率が80(体積%)以上であることをいう。
本実施の形態の焼成炉400においては、残留ガス176に一酸化炭素等の燃焼可能な物質が含有されていることがあるため、このような燃焼可能な物質が含有されているときには、残留ガス176の一部又は全部を燃焼手段152で燃焼させてもよい。燃料の回収となるため好ましい。
本実施の形態の焼成方法は、セラミックを100万〜1億(kJ/Hr)の熱量で焼成するときに好適に使用することができる。100万(kJ/Hr)よりも小さな設備の場合には、幾つかの小さな設備を組み合わせて本発明を用いることもできる。100万(kJ/Hr)以下の設備でも本発明は適用できるが、メタンの水蒸気改質設備が高額な現状では経済的ではない。
1,51,101,151…焼成炉本体、101a…外周壁、101b…内側炉壁、2,52,102,152…燃焼手段、3,53,103,153…メタン改質器、103a…改質反応管、4,54,104,154…水素分離器、5,55,105,155…二酸化炭素固定器、6,56,106,156…メタン改質触媒、7,57,107,157…燃料電池、11,61,111,161…燃料、12,62,112,162…燃焼排ガス、21,71,121,171…改質用メタン副燃料、22,72,122,172…水蒸気、23,73,123,173…改質原料、24,74,124,174…改質ガス、25,75,125,175…水素燃料、26,76,126,176…残留ガス、27,77,127,177…燃料電池用水素、28,128…混合用水素燃料、31,131…混合用メタン主燃料、32,132…混合燃料、41,91,141,191…固定化剤、42,92,142,192…廃液、43,93…改質器排ガス、44,94,144,194…二酸化炭素固定器排ガス、100,200,300,400…焼成炉、m…被焼成体、B…ベルトコンベア。