JP2022106677A - 金属含有コロイダルシリカ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コロイダルシリカの表面に金属が偏析せずに分散して保持されている金属含有コロイダルシリカを提供すること。【解決手段】コロイダルシリカの表面をシリカ中に金属Mが分散した混合層で被覆した金属含有コロイダルシリカであって、金属MがAu、Ag、Cu、Zn、Ti、Pt、Mg、Zr、Fe、Sr、Ca、V、Mo、Bi、Nb、Ga、Ge、Sn、Ba、W、Co、Ni又はMnから選ばれる一種以上であり、混合層における金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)が10以上5,000以下であり、金属Mが混合層中で均一に微分散している金属含有コロイダルシリカである。【選択図】図1

Description

本発明は、コロイダルシリカの表面を金属で改質した金属含有コロイダルシリカ及びその製造方法に関する。
従来からコロイダルシリカは、触媒担体、クロマト充填剤、シリカガラス、樹脂用フィラー、研磨組成物、ブラウン管製造における蛍光体の接着バインダー、電池中の電解液のゲル化剤および揺変剤や飛散防止剤、無機接着剤、塗料など様々な用途に用いられている。
これらの用途に適切な特性を与えることを目的としてシリカ粒子表面に金属を担持する技術が知られている。例えば特許文献1には、軽量性、分散性、価格等の観点から金属微粒子そのものではなく、プラズマ処理によりシリカ粒子表面に金属微粒子を担持させて使用する方法を提供している。特許文献2には、研磨用途のコロイダルシリカとして、研磨速度の向上及び表面の平滑性の向上を検討した結果、金属を担持したシリカ粒子を用いたところ、この目的を達成できたことが記載されている。その他にも金属を担持、被覆又は含有させたシリカ粒子を用いたコロイダルシリカに関する技術が開示されている(例えば特許文献3~10参照)。
一般的にコロイダルシリカは、その粒子径が5~300nm程度であるが、100nm以下の微小な領域になると、金属微粒子によるコロイダルシリカの改質の観点からは、金属微粒子を更に小さくする必要があり、また、金属微粒子の影響によりシリカ粒子の凝集が起きてしまい、金属により改質されたコロイダルシリカを得ることは困難であった。
特開2014-152079号公報 特開2015-193486号公報 特開平2-292201号公報 特開平4-210606号公報 特開平4-310235号公報 特開平8-253310号公報 特開2001-130910号公報 特開2005-119909号公報 特開2006-306708号公報 特表2010-505734号公報
上記従来技術を用いた金属によるコロイダルシリカの改質は、シリカ粒子に金属化合物を反応させることにより、シリカ粒子表面に改質を目的とする金属を担持又は被覆させる方法であり、シリカ粒子が小さくなればなるほど比表面積が大きくなり、金属を担持させるために多量の金属化合物を使用しなければならず非効率的であった。また、シリカ粒子表面への金属の担持又は被覆であるため、未反応や剥落により金属の分布が疎らになってしまうことから、例えば抗菌・殺菌剤や触媒としての用途に使用する場合、意図したほどの効果が得られない問題が生じていた。
したがって本発明の目的は、コロイダルシリカの表面に金属が偏析せずに分散して保持されている金属含有コロイダルシリカを提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、シリカ粒子の粒子成長過程において金属塩化合物を共存させることにより、少量の金属塩化合物であっても効率的にシリカ粒子に金属を保持させることができることを見出した。また、従来よりも微小なシリカ粒子であっても金属を均一に微分散させた状態で保持できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は、コロイダルシリカの表面をシリカ中に金属Mが分散した混合層で被覆した金属含有コロイダルシリカであって、金属MがAu、Ag、Cu、Zn、Ti、Pt、Mg、Zr、Fe、Sr、Ca、V、Mo、Bi、Nb、Ga、Ge、Sn、Ba、W、Co、Ni又はMnから選ばれる一種以上であり、混合層における金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)が10以上5,000以下であり、金属Mが混合層中で均一に微分散している金属含有コロイダルシリカである。
また本発明は、(a)活性珪酸水溶液に金属塩化合物を添加して金属塩化合物含有活性珪酸水溶液を調製する工程、(b)コロイダルシリカの存在下、前記金属塩化合物含有活性珪酸水溶液をアルカリ性条件で反応させて、コロイダルシリカの表面に、シリカ中に金属が均一に微分散している混合層を形成する工程、を有する金属含有コロイダルシリカの製造方法である。
本発明によれば、コロイダルシリカの表面に金属が偏析せずに微分散して保持されている金属含有コロイダルシリカを提供することができる。
実施例1で得られた銀含有コロイダルシリカのTEM-EDXによる元素マッピングの結果である。 実施例1で得られた銀含有コロイダルシリカのXPSスペクトルである。
本発明の金属含有コロイダルシリカは、コロイダルシリカの表面を、シリカ中に金属Mが均一に微分散している混合層で被覆したものである。
前記コロイダルシリカは、本発明の金属含有コロイダルシリカの芯材となり、前記混合層により被覆されるものである。該コロイダルシリカの粒子径は、得られる金属含有コロイダルシリカがコロイド状態を保てる程度の粒子径であればよく、例えば0.5nm以上100nm以下、特に1nm以上50nm以下であることが好ましい。
前記混合層は、シリカ及び金属Mにより構成されるものであり、シリカ中に金属Mが均一に微分散した形態をなす。
前記金属Mは、Au、Ag、Cu、Zn、Ti、Pt、Mg、Zr、Fe、Sr、Ca、V、Mo、Bi、Nb、Ga、Ge、Sn、Ba、W、Co、Ni又はMnから選ばれる一種以上であることが好ましく、金属含有コロイダルシリカの用途によって適宜選択することができる。例えば、金属含有コロイダルシリカを抗菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤及び殺ウイルス剤に用いる場合には、金属MがAg及びCuから選ばれる一種以上であることが好ましい。
本発明において、抗菌とは細菌の増殖を抑制することを意味し、殺菌とは細菌を死滅させることを意味する。また、抗ウイルス及び殺ウイルスとは、いずれもウイルスを不活化させることを意味する。
本発明の金属Mとは、単体の金属であってもよく、金属化合物であってもよい。すなわち、本発明の金属含有コロイダルシリカにかかる混合層は、シリカ中に単体の金属が均一に微分散している形態、金属化合物が均一に微分散している形態、又は単体の金属及び金属化合物が均一に微分散している形態をとる。
前記金属化合物としては、混合層のシリカ中に微分散しつつ安定して保持されやすい観点から、酸化物又は水酸化物であることが好ましい。例えば、本発明の金属含有コロイダルシリカを抗菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤又は殺ウイルス剤に用いる場合、金属MがAgであるときには金属銀、酸化銀(AgO、AgO、Ag)及び水酸化銀(AgOH)として混合層中に微分散していることが好ましく、金属MがCuであるときには金属銅、酸化銅(CuO、CuO)及び水酸化銅(CuO、Cu(OH))として混合層中に微分散していることが好ましい。
本発明において、「金属Mが混合層中で均一に微分散している」とは、「金属含有コロイダルシリカのX線光電子分光分析(XPS分析)による元素分析により金属Mの存在が確認され、かつ、透過型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光法(TEM-EDX)により、100万倍の倍率で金属含有コロイダルシリカを分析して得られる元素マッピング画像において混合層中に金属Mの存在が確認されない」ことをいう。言い換えれば、金属Mが均一に微分散している状態とは、TEM-EDXの解像度では確認できない大きさで金属Mが分散して存在しており、金属Mが凝集した部位が無いことを意味する。
本発明の金属含有コロイダルシリカの粒子径は、シリカ粒子がコロイド状態を保てれば一般的な粒子径である5~300nm程度で問題は無いが、例えば抗菌性、抗ウイルス性、或いは殺菌性、殺ウイルス性材料に使用する場合、菌やウイルスの大きさに近い100nm以下の領域であるとその効果が大きくなる。この観点から、本発明の金属含有コロイダルシリカの平均粒子径は1nm以上100nm以下、特に2nm以上80nmであることが好ましい。
前記混合層は、金属を含むシリカからなり、金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)が10以上5,000以下、さらには20以上3,000以下、特に50以上1,000以下である。このモル比が10未満であるとコロイダルシリカが不安定となりシリカ粒子の沈降、或いはゲル化の一因となり、また、5,000を超えると金属を含有することによる特性を活用することができない。
前記混合層をシリカ中に金属が均一に微分散しているものとすることで、シリカ粒子から金属が脱落することを防止できる。また、シリカ粒子の表面を前記混合層で被覆するため、少量の金属で効率的にシリカ粒子の改質を行うことができる。
前記混合層の厚さは、1nm以上50nm以下であることが、製造効率の観点から好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましい。
本発明の金属含有コロイダルシリカ中の金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)は、芯材となるコロイダルシリカの大きさにもよるが、好ましくは10以上20,000以下、さらに好ましくは20以上10,000以下、特に好ましくは30以上5,000以下である。このモル比が10未満であるとコロイダルシリカが不安定となりシリカ粒子の沈降、或いはゲル化の一因となり、また、20,000を超えると金属を含有することによる特性を活用することができない。
本発明の金属含有コロイダルシリカは、活性珪酸を用いてコロイダルシリカを成長させる反応を行う際に金属塩化合物を添加しておき、シリカ中に金属が均一に微分散している混合層をコロイダルシリカの表面に形成する方法で製造することができる。
具体的には、(a)活性珪酸水溶液に金属塩化合物を添加して金属塩化合物含有活性珪酸水溶液を調製する工程、(b)コロイダルシリカの存在下、前記金属塩化合物含有活性珪酸水溶液をアルカリ性条件で反応させて、コロイダルシリカの表面に、シリカ中に金属が均一に微分散している混合層を形成する工程、を有する製造方法が挙げられる。
前記(a)工程における活性珪酸水溶液は、珪酸アルカリ水溶液をカチオン交換樹脂に接触させて得られるものであることが好ましい。原料として用いる珪酸アルカリ水溶液としては、水ガラス(水ガラス1号~4号等)と呼ばれる珪酸ナトリウム水溶液が好適に用いられる。水ガラスは比較的安価であり、容易に手に入れることができる。珪酸アルカリ水溶液は、必要に応じて水で希釈して使用することができる。
前記カチオン交換樹脂は、公知のものを適宜選択して使用することができ、特に制限されない。珪酸アルカリ水溶液とカチオン交換樹脂との接触工程は、例えば珪酸アルカリ水溶液をシリカ濃度3~10重量%に水希釈し、次いでH型強酸性カチオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性アニオン交換樹脂に接触させて脱アニオンすることによって行うことができる。この工程により、活性珪酸が調製される。前記接触条件の詳細は、従来から既に様々な提案があり、本発明ではそれら公知のいかなる条件も採用することができる。
前記(a)工程における金属塩化合物は、硝酸塩、塩化物塩、酢酸塩、リン酸塩及び硫酸塩から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。また、前記金属塩化合物の金属は、Au、Ag、Cu、Zn、Ti、Pt、Mg、Zr、Fe、Sr、Ca、V、Mo、Bi、Nb、Ga、Ge、Sn、Ba、W、Co、Ni又はMnから選ばれる一種以上であることが好ましく、金属含有コロイダルシリカの用途によって適宜選択することができる。
活性珪酸水溶液に添加する金属塩化合物の濃度は、得られる金属含有コロイダルシリカの混合層における金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)が10以上5,000以下、さらには20以上3,000以下、特に50以上1,000以下となるように添加することが好ましい。
次いで前記(b)工程により混合層の形成を行う。この(b)工程では、コロイダルシリカの存在下、金属塩化合物含有活性珪酸水溶液にアルカリ剤を添加し、pHを8以上にして60~240℃の加熱を行い、コロイダルシリカの表面にシリカ中に金属が均一に微分散している混合層を形成させる。
前記アルカリ剤としては、水酸化ナトリウムのようなアルカリ金属水酸化物が最も安価な材料である。アルカリ金属を好まないときには、アミン類や水酸化第四アンモニウム等の含窒素有機アルカリ化合物が使用できる。アミン類としてはトリエタノールアミン等の揮発性の低い3級アミン、ピペラジン等の2級アミン、エチレンジアミン等の脂肪族アミンが使用できる。水酸化第四アンモニウムとしては、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化トリメチル-2-ヒドロキシエチルアンモニウム(別名、水酸化コリン)が挙げられる。
上記の含窒素有機アルカリ化合物を使用することで、シリカ当たりのアルカリ金属含有率は50ppm以下とすることができる。セラミック、触媒用バインダー、電子材料用研磨剤等の用途ではこの程度のアルカリ金属含有率とすることが好ましい。より好ましくは30ppm以下である。
前記コロイダルシリカとしては、例えばイオン交換法によるコロイダルシリカを使用することができる。イオン交換法によるコロイダルシリカの製造工程では、まず珪酸アルカリ水溶液をシリカ濃度3~10重量%に水で希釈し、次いでH型強酸性陽イオン交換樹脂に接触させて脱アルカリし、必要に応じてOH型強塩基性陰イオン交換樹脂に接触させて脱アニオンし、活性珪酸を作成する。イオン交換樹脂の種類や諸条件については既に様々な提案があり、それら公知のいかなる方法も適用できる。次いで、常法に準じてpHが8以上となるようアルカリ剤を添加し、60~240℃に加熱して、活性珪酸からコロイダルシリカを作製する。加熱温度に応じて5~300nmのコロイダルシリカが得られる。また、市販のコロイダルシリカを使用することもできる。
本発明の(b)工程により得られる混合層は、シリカ中に金属Mが均一に微分散したものとなる。
前記金属Mは、Au、Ag、Cu、Zn、Ti、Pt、Mg、Zr、Fe、Sr、Ca、V、Mo、Bi、Nb、Ga、Ge、Sn、Ba、W、Co、Ni又はMnから選ばれる一種以上であることが好ましく、金属含有コロイダルシリカの用途によって適宜選択することができる。例えば、金属含有コロイダルシリカを抗菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤又は殺ウイルス剤に用いる場合には、金属MがAg及びCuから選ばれる一種以上であることが好ましい。
本発明の金属Mとは、単体の金属であってもよく、金属化合物であってもよい。すなわち、本発明の金属含有コロイダルシリカにかかる混合層は、シリカ中に単体の金属が均一に微分散している形態、金属化合物が均一に微分散している形態、又は単体の金属及び金属化合物が均一に微分散している形態をとる。
前記金属化合物としては、混合層のシリカ中に微分散しつつ安定して保持されやすい観点から、酸化物又は水酸化物であることが好ましい。例えば、本発明の金属含有コロイダルシリカを抗菌剤、殺菌剤、抗ウイルス剤又は殺ウイルス剤に用いる場合、金属MがAgであるときには金属銀、酸化銀(AgO、AgO、Ag)及び水酸化銀(AgOH)として混合層中に微分散していることが好ましく、金属MがCuであるときには金属銅、酸化銅(CuO、CuO)及び水酸化銅(CuO、Cu(OH))として混合層中に微分散していることが好ましい。
前記混合層は、金属を含むシリカからなり、金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)が10以上、5,000以下、さらには20以上3,000以下、特に50以上1,000以下であることが好ましい。モル比が10未満であるとコロイダルシリカが不安定となりシリカ粒子の沈降、或いはゲル化の一因となり、また、5,000を超えると金属を含有することによる特性を活用することができない。
前記混合層をシリカ中に金属が均一に微分散しているものとすることで、シリカ粒子から金属が脱落することを防止できる。また、シリカ粒子の表面を前記混合層で被覆するため、少量の金属で効率的にシリカ粒子の改質を行うことができる。
前記混合層の厚さは、1nm以上50nm以下であることが、製造効率の観点から好ましく、1nm以上10nm以下であることがより好ましい。
本発明においては、前記(b)工程の後、金属含有コロイダルシリカを濃縮する工程を有していてもよい。この濃縮には限外濾過による濃縮を行う。水分の蒸発濃縮でもよいが、エネルギー的には限外濾過の方が有利である。
限外濾過によりシリカを濃縮するときに使用される限外濾過膜について説明する。限外濾過膜が適用される分離は対象粒子が1nmから数ミクロンであるが、溶解した高分子物質をも対象とするため、ナノメータ域では濾過精度を分画分子量で表現している。本発明では、分画分子量15,000以下の限外濾過膜を好適に使用することができる。この範囲の膜を使用すると1nm以上の粒子は分離することが出来る。更に好ましくは分画分子量3,000~15,000の限外濾過膜を使用する。3,000未満の膜では濾過抵抗が大きすぎて処理時間が長くなり不経済であり、15,000を超えると、精製度が低くなる。
膜の材質はポリスルホン、ポリアクリロニトリル、焼結金属、セラミック、カーボン等であり、いずれも使用できる。耐熱性や濾過速度等の観点からポリスルホン製の膜が使用しやすい。膜の形状は、スパイラル型、チューブラー型、中空糸型であり、いずれでも使用できるが、中空糸型がコンパクトで使用しやすい。この工程でシリカの濃度が5~50質量%となるように濃縮することが好ましい。
本発明の製造方法により得られる金属含有コロイダルシリカの粒子径は、シリカ粒子がコロイド状態を保てれば一般的な粒子径である5~300nm程度で問題は無いが、例えば抗菌剤、抗ウイルス剤、或いは殺菌剤、殺ウイルス剤に使用する場合、菌やウイルスの大きさに近い100nm以下の領域であるとその効果が大きくなる。この観点から、本発明の金属含有コロイダルシリカの平均粒子径は1nm以上100nm以下、特に2nm以上80nm以下であることが好ましい。
以上の操作により得られる金属含有コロイダルシリカは、芯材となるコロイダルシリカの大きさにもよるが、金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)が10以上20,000以下、好ましくは20以上10,000以下、特に好ましくは30以上5,000以下である。このモル比が10未満であるとコロイダルシリカが不安定となりシリカ粒子の沈降、或いはゲル化の一因となり、また、20,000を超えると金属を含有することによる特性を活用することができない。
前記製造方法により得られる本発明の金属含有コロイダルシリカは、抗菌性、抗ウイルス性、或いは殺菌性、殺ウイルス性を有するので、そのままでも抗菌剤、抗ウイルス剤、或いは殺菌剤、殺ウイルス剤として使用することが可能であるが、用途により更に溶剤を含むことが好ましい。該溶剤は特に限定されず、水又は有機溶剤が挙げられる。該有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、イソブタノール等が挙げられる。
本発明の金属含有コロイダルシリカは、種々の樹脂への分散性に優れており、しかも変色傾向も少ないので、各種樹脂に配合して、抗菌性、殺菌性、抗ウイルス性又は殺ウイルス性を有する樹脂組成物や樹脂成形品、例えば、繊維、フィルム、シート、パイプ、パネル、容器、建材、構造材等の分野に用いることができる。また、本発明の金属含有コロイダルシリカを塗料等に配合して、抗菌性、殺菌性、抗ウイルス性又は殺ウイルス性塗膜の分野に用いることができる。
本発明の金属含有コロイダルシリカが配合された樹脂組成物から成形される樹脂成形品には、いかなる形状のものも含まれる。例えば、織布、不織布、網布、編布等の布製品、紙、フィルム等のシート製品、板、棒、箱、多孔質体等の具形成形品が挙げられる。また、本発明の金属含有コロイダルシリカが配合された塗料には、いかなる性状のものも含まれる。例えば、散布剤、スプレー剤等の粉製品、刷毛塗り塗料、スプレー塗料、ローラー塗り塗料、接着剤、シーラント等の液体ないしペースト状製品が挙げられる。その他には、脱臭剤、制汗剤、石鹸、シャンプー、保湿剤、化粧品、歯磨き粉、口腔洗浄液、潤滑液、クリーム、ローション、表面洗浄剤、洗濯用洗剤等に配合することにより抗菌性、殺菌性、抗ウイルス性又は殺ウイルス性の目的を満たすことができる。
本発明の金属含有コロイダルシリカが配合された樹脂組成物から成形される樹脂成形品や、本発明の金属含有コロイダルシリカが配合された塗料を用いた物品としては、例えば、鮮度保持フィルムや衛生材料製品、台所浴用製品、トイレタリー、化粧用品、水処理用品、医療器具製品、建材製品、魚網等を挙げることができる。また、本発明の金属含有コロイダルシリカが配合された塗料を、セメントモルタルに添加、あるいはセメントコンクリートの成形体に塗装して、抗菌性、殺菌性、抗ウイルス性又は殺ウイルス性のセメントコンクリートの製品を造ることができる。本発明の金属含有コロイダルシリカが配合された樹脂組成物及び塗料は、その他、抗菌性、殺菌性、抗ウイルス性又は殺ウイルス性を目的として種々の製品に応用することができる。
以下、本発明を実施例により説明する。しかしながら本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。例中の特性は下記の方法により測定した。
(1)平均粒子径
試料を10g取り希塩酸を加えてpHを4とし、加熱して固化し純水で洗浄、再乾燥した後、150℃で乾燥して粉末試料とし、Quantachrome社製のNOVA4200にて窒素吸着BET比表面積SAを測定した。シリカの密度を2.2g/cmとして下記式(1)により平均粒子径を算出した。

粒子径D(nm)=6×10/[密度(g/cm)×SA(m/g)] (1)

(2)混合層中の金属に対するケイ素のモル比
金属含有コロイダルシリカ及び芯材となるコロイダルシリカ中のケイ素量は、塩酸と水酸化カリウム溶液を用いて逆滴定することにより測定した。金属含有コロイダルシリカ中の金属量は、アジレント社製のICP発光分析装置ICP-OES 5100により測定した。得られた測定値から下記式(2)により混合層中の金属Mに対するケイ素のモル比を算出した。

Si/M=(金属含有コロイダルシリカ中のSi量-芯材となるコロイダルシリカ中のSi量)/金属含有コロイダルシリカ中の金属M量 (2)

(3)混合層中の金属の観察
透過型電子顕微鏡-エネルギー分散型X線分光分析装置(TEM-EDX分析装置;日立ハイテク製、HD-2700)により、倍率100万倍の元素マッピング画像により金属の観察を行った。
(4)金属含有コロイダルシリカ中の含有金属の測定
X線光電子分光分析装置(XPS分析装置;ULVAC-PHI社製、PHI5000 VersaProbe)により、X線源を単色化AlKα(1486.6eV)として、得られたスペクトルのピークから、金属Mの確認を行った。
〔実施例1〕
(a)硝酸銀含有活性珪酸水溶液の調製
脱イオン水13,750gに3号珪酸ソーダ(SiO:28.8質量%、NaO:9.7質量%、HO:61.5質量%)2,200gを加えて均一に混合し、シリカ濃度4質量%の希釈珪酸ソーダを作製した。この希釈珪酸ソーダを、予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)を充填した4リットルのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度4質量%でpH3.1の活性珪酸水溶液14,000mLを得た。
得られた活性珪酸水溶液のうち9,074gに、撹拌しながら硝酸銀0.94gを加え硝酸銀含有活性珪酸水溶液を調製した。
(b)銀含有コロイダルシリカの調製
平均粒子径22.5nmのコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製、シリカドール40LK)600gに脱イオン水7,500gを加えて希釈後、95℃まで加熱して水性コロイダルシリカを得た。この水性コロイダルシリカに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.9とし、再度加熱して95℃を保持しながら、前記硝酸銀含有活性珪酸水溶液9,074gを3.2時間かけて添加し、コロイダルシリカの表面を混合層で被覆した。添加中は95℃を維持し、10質量%水酸化ナトリウムを同時添加してpH9.5~10.5を維持した。添加終了後、室温まで放冷して17,000gの銀含有コロイダルシリカを得た。
得られた銀含有コロイダルシリカを、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製、マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP-1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度35質量%まで濃縮し、銀含有コロイダルシリカ1,200gを回収した。この銀含有コロイダルシリカは、25℃でのpHが10であり、平均粒子径は26nmであった。また、ICP発光分析の測定結果により、得られた銀含有コロイダルシリカの混合層における銀に対するケイ素のモル比(Si/Ag)は1,982であった。また、得られた銀含有コロイダルシリカをTEM-EDXにより分析したところ、元素マッピング画像では混合層中に銀の存在が確認されなかった。この測定結果を図1に示す。一方、銀含有コロイダルシリカをXPS分析したところ、酸化銀(AgO)に由来するスペクトルが得られた。この測定結果を図2に示す。これらの結果から、金属Mとして酸化銀(AgO)が混合層中に均一に微分散していることが確認された。混合層の厚さは平均3.5nmであった。
〔実施例2〕
(a)塩化亜鉛含有活性珪酸水溶液の調製
脱イオン水13,750gに3号珪酸ソーダ(SiO:28.8質量%、NaO:9.7質量%、HO:61.5質量%)2,200gを加えて均一に混合しシリカ濃度4質量%の希釈珪酸ソーダを作製した。この希釈珪酸ソーダを、予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)を充填した4リットルのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度4質量%でpH3.1の活性珪酸水溶液14,000mLを得た。
得られた活性珪酸水溶液のうちに7,729gに撹拌しながら塩化亜鉛1.51gを加え塩化亜鉛含有活性珪酸水溶液を調製した。
(b)亜鉛含有コロイダルシリカの調製
平均粒子径22.5nmのコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製、シリカドール40LK)600gに脱イオン水7,500gを加えて希釈後、95℃まで加熱して水性コロイダルシリカを得た。この水性コロイダルシリカに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.9とし、再度加熱して95℃を保持しながら、前記塩化亜鉛含有活性珪酸水溶液7,729gを3.2時間かけて添加し、コロイダルシリカの表面を混合層で被覆した。添加中は95℃を維持し、10質量%水酸化ナトリウムを同時添加してpH9.5~10.5を維持した。添加終了後、室温まで放冷して約16,000gの亜鉛含有コロイダルシリカを得た。
得られた亜鉛含有コロイダルシリカを、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製、マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP-1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度35質量%まで濃縮し、亜鉛含有コロイダルシリカ1,200gを回収した。この亜鉛含有コロイダルシリカは、25℃でのpHが10であり、平均粒子径は28nmであった。また、ICP発光分析の測定結果により、得られた亜鉛含有コロイダルシリカの混合層における亜鉛に対するケイ素のモル比(Si/Zn)は948であった。また、得られた亜鉛含有コロイダルシリカをTEM-EDXにより分析したところ、元素マッピング画像では混合層中に亜鉛の存在が確認されなかった。一方、亜鉛含有コロイダルシリカをXPS分析したところ、酸化亜鉛(ZnO)に由来するスペクトルが得られた。これらの結果から、金属Mとして酸化亜鉛(ZnO)が混合層中に均一に微分散していることが確認された。混合層の厚さは平均5.5nmであった。
〔実施例3〕
(a)硫酸銅含有活性珪酸水溶液の調製
脱イオン水3,125gに3号珪酸ソーダ(SiO:28.8質量%、NaO:9.7質量%、HO:61.5質量%)500gを加えて均一に混合しシリカ濃度4質量%の希釈珪酸ソーダを作製した。この希釈珪酸ソーダを、予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)を充填した4リットルのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度4重量%でpH3.1の活性珪酸水溶液約3,600mLを得た。得られた活性珪酸水溶液に、撹拌しながら硫酸銅五水和物1.68gを加え硫酸銅含有活性珪酸水溶液を調製した。
(b)銅含有コロイダルシリカの調製
平均粒子径76.4nmのコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製、シリカドール40G-80)600gに脱イオン水8,000gを加えて希釈後、95℃まで加熱して水性コロイダルシリカを得た。この水性コロイダルシリカに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.9とし、再度加熱して95℃を保持しながら、前記硫酸銅含有活性珪酸水溶液1,123gを2.3時間かけて添加し、コロイダルシリカの表面を混合層で被覆した。添加中は95℃を維持し、10質量%水酸化ナトリウムを同時添加してpH9.5~10.5を維持した。添加終了後、室温まで放冷して10,000gの銅含有コロイダルシリカを得た。
得られた銅含有コロイダルシリカを、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製、マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP-1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度37質量%まで濃縮し、銅含有コロイダルシリカ700gを回収した。この銅含有コロイダルシリカは、25℃でのpHが9.7であり、平均粒子径は89nmであった。また、ICP発光分析の測定結果により、得られた銅含有コロイダルシリカの混合層における銅に対するケイ素のモル比(Si/Cu)は725であった。また、得られた銅含有コロイダルシリカをTEM-EDXにより分析したところ、元素マッピング画像では混合層中に銅の存在が確認されなかった。一方、銅含有コロイダルシリカをXPS分析したところ、酸化銅(CuO)に由来するスペクトルが得られた。これらの結果から、金属Mとして酸化銅(CuO)が混合層中に均一に微分散していることが確認された。混合層の厚さは平均12.6nmであった。
〔実施例4〕
(a)硫酸銅及び硫酸チタン含有活性珪酸水溶液の調製
脱イオン水3,125gに3号珪酸ソーダ(SiO:28.8質量%、NaO:9.7質量%、HO:61.5質量%)500gを加えて均一に混合しシリカ濃度4質量%の希釈珪酸ソーダを作製した。この希釈珪酸ソーダを、予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)を充填した4リットルのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度4重量%でpH3.1の活性珪酸水溶液約3,600mLを得た。得られた活性珪酸水溶液に、撹拌しながら硫酸銅五水和物1.68g・24%硫酸チタン水溶液6.3gを加え硫酸銅・硫酸チタン含有活性珪酸水溶液を調製した。
(b)銅及びチタン含有コロイダルシリカの調製
平均粒子径76.4nmのコロイダルシリカ(日本化学工業株式会社製、シリカドール40G-80)600gに脱イオン水8,000gを加えて希釈後、95℃まで加熱して水性コロイダルシリカを得た。この水性コロイダルシリカに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.9とし、再度加熱して95℃を保持しながら、前記硫酸銅及び硫酸チタン含有活性珪酸水溶液1,123gを2.3時間かけて添加し、コロイダルシリカの表面を混合層で被覆した。添加中は95℃を維持し、10質量%水酸化ナトリウムを同時添加してpH9.5~10.5を維持した。添加終了後、室温まで放冷して10,000gの銅及びチタン含有コロイダルシリカを得た。
得られた銅及びチタン含有コロイダルシリカを、分画分子量6,000の中空糸型限外濾過膜(旭化成(株)製、マイクローザ(登録商標)UFモジュールSIP-1013)を用いてポンプ循環送液による加圧濾過を行い、シリカ濃度37質量%まで濃縮し、銅及びチタン含有コロイダルシリカ700gを回収した。この銅及びチタン含有コロイダルシリカは、25℃でのpHが9.0であり、平均粒子径は82nmであった。また、ICP発光分析の測定結果により、得られた銅及びチタン含有コロイダルシリカの混合層における銅及びチタンに対するケイ素のモル比(Si/Cu及びSi/Ti)は、それぞれ728及び573であった。また、得られた銅及びチタン含有コロイダルシリカをTEM-EDXにより分析したところ、元素マッピング画像では混合層中に銅及びチタンの存在が確認されなかった。一方、銅含有コロイダルシリカをXPS分析したところ、酸化銅(CuO)及び酸化チタン(TiO)に由来するスペクトルが得られた。これらの結果から、金属Mとして酸化銅(CuO)及び酸化チタン(TiO)が混合層中に均一に微分散していることが確認された。混合層の厚さは平均5.6nmであった。
〔比較例1〕
実施例1で得られた銀含有コロイダルシリカを、H型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)を充填した0.15リットルのカラムに通してカチオン交換した。この銀含有コロイダルシリカをICP発光分析装置(アジレント社製ICP-OES 5100)により分析したところ、混合層中の銀に対するケイ素のモル比(Si/Ag)は7,526であった。
〔比較例2〕
(a)硝酸銀含有活性珪酸水溶液の調製
脱イオン水13,750gに3号珪酸ソーダ(SiO:28.8質量%、NaO:9.7質量%、HO:61.5質量%)2,200gを加えて均一に混合し、シリカ濃度4質量%の希釈珪酸ソーダを作製した。この希釈珪酸ソーダを、予め塩酸によって再生したH型強酸性カチオン交換樹脂(オルガノ(株)製アンバーライト(登録商標)IR120B)を充填した4リットルのカラムに通して脱アルカリし、シリカ濃度4質量%でpH3.1の活性珪酸水溶液14,000mLを得た。
得られた活性珪酸水溶液のうち9,074gに、撹拌しながら硝酸銀188.81gを加え硝酸銀含有活性珪酸水溶液を調製した。
(b)銀含有コロイダルシリカの調製
平均粒子径22.5nmのコロイダルシリカ(日本化学工業(株)製、シリカドール40LK)600gに脱イオン水7,500gを加えて希釈後、95℃まで加熱して水性コロイダルシリカを得た。この水性コロイダルシリカに10質量%水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを9.9とし、再度加熱して95℃を保持しながら、前記硝酸銀含有活性珪酸水溶液9,263gを3.2時間かけて添加し、コロイダルシリカの表面を混合層で被覆した。このときの硝酸銀含有活性珪酸水溶液の添加量は、計算上で、得られる銀含有コロイダルシリカにおける銀に対するケイ素のモル比(Si/Ag)が5となるようにした。添加中は95℃を維持し、10質量%水酸化ナトリウムを同時添加してpH9.5~10.5を維持した。添加終了後、室温まで放冷したところ、固形分が沈降してコロイド粒子を得ることができなかった。
〔殺菌効果試験〕
実施例1及び比較例1で得られた銀含有コロイダルシリカに脱イオン水を加えてシリカ濃度20質量%に調整した銀含有シリカゾルを用いて大腸菌及び黄色ブドウ球菌の殺菌効果試験を以下の方法で行った。
大腸菌(NBRC3972)及び黄色ブドウ球菌(NBRC12732)をそれぞれ普通寒天培地(栄研化学株式会社製)で35℃±1℃、24時間培養し、これを精製水で希釈して菌数が10~10/mLとなるように菌液を調製した。この菌液0.1mLを銀含有シリカゾル10mLと混合し撹拌した後、25℃で1分間及び5分間静置して試験液を得た。その後、この試験液をSCDLP培地(日本製薬株式会社製)により10倍希釈で接種して35℃±1℃で48時間培養した。培養後の生菌数をカウントした結果を表1に示す。
Figure 2022106677000002
本発明の金属含有コロイダルシリカは、表面に金属が偏析せずに分散して保持されており、特に抗菌性又は殺菌性が求められる用途に有用であることが判る。

Claims (12)

  1. コロイダルシリカの表面をシリカ中に金属Mが分散した混合層で被覆した金属含有コロイダルシリカであって、
    金属MがAu、Ag、Cu、Zn、Ti、Pt、Mg、Zr、Fe、Sr、Ca、V、Mo、Bi、Nb、Ga、Ge、Sn、Ba、W、Co、Ni又はMnから選ばれる一種以上であり、
    混合層における金属Mに対するケイ素のモル比(Si/M)が10以上5,000以下であり、
    金属Mが混合層中で均一に微分散している金属含有コロイダルシリカ。
  2. 金属Mが、Ag及びCuから選ばれる一種以上である、請求項1に記載の金属含有コロイダルシリカ。
  3. 混合層の厚さが1nm以上50nm以下である、請求項1又は2に記載の金属含有コロイダルシリカ。
  4. 請求項1~3の何れか一項に記載の金属含有コロイダルシリカを含有する剤。
  5. 請求項1~3の何れか一項に記載の金属含有コロイダルシリカを含有する樹脂組成物。
  6. 請求項1~3の何れか一項に記載の金属含有コロイダルシリカを含有する塗料。
  7. (a)活性珪酸水溶液に金属塩化合物を添加して金属塩化合物含有活性珪酸水溶液を調製する工程、
    (b)コロイダルシリカの存在下、前記金属塩化合物含有活性珪酸水溶液をアルカリ性条件で反応させて、コロイダルシリカの表面に、シリカ中に金属が均一に微分散している混合層を形成する工程、
    を有する金属含有コロイダルシリカの製造方法。
  8. 前記活性珪酸水溶液が、珪酸水溶液をカチオン交換樹脂に接触させて得られるものである、請求項7に記載の金属含有コロイダルシリカの製造方法。
  9. 前記金属塩化合物の金属が、Au、Ag、Cu、Zn、Ti、Pt、Mg、Zr、Fe、Sr、Ca、V、Mo、Bi、Nb、Ga、Ge、Sn、Ba、W、Co、Ni又はMnから選ばれる一種以上である、請求項7又は8に記載の金属含有コロイダルシリカの製造方法。
  10. 前記金属塩化合物が、硝酸塩、塩化物塩、酢酸塩、リン酸塩及び硫酸塩から選ばれる少なくとも一種である請求項7~9の何れか一項に記載の金属含有コロイダルシリカの製造方法。
  11. 前記(b)工程の後、金属含有コロイダルシリカを濃縮する工程を有する請求項7~10の何れか一項に記載の金属含有コロイダルシリカの製造方法。
  12. 請求項7~11の何れか一項に記載の製造方法により得られる金属含有コロイダルシリカ。

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