JP2022106578A - 切削インサート、ホルダおよび刃先交換式切削工具 - Google Patents

切削インサート、ホルダおよび刃先交換式切削工具 Download PDF

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Abstract

【課題】簡素かつコンパクトな構成であり、部品点数が低減され、切削インサートのインデックス時の位置合わせの精度および作業性を向上できる切削インサート、ホルダおよび刃先交換式切削工具を提供する。【解決手段】インサート中心軸を中心とする多段円柱状の切削インサート1であって、インサート中心軸を中心とする円形状の切刃11を有する頭部12と、インサート中心軸に沿うインサート軸方向において頭部12の下側に配置され、頭部12よりも外径寸法が小さい軸部13と、頭部12と軸部13とを繋ぐ段差部14と、段差部14の一部および頭部12の一部にわたって配置され、段差部14および頭部12の各外周面からインサート径方向の内側に窪むインデックス部15と、を備え、インデックス部15は、インサート周方向に並んで複数設けられ、各インデックス部15は、インサート径方向の外側を向く平面状の位置合わせ面15aを有する。【選択図】図2

Description

本発明は、切削インサート、ホルダおよび刃先交換式切削工具に関する。
従来、円形状の切刃を有するいわゆる丸駒タイプの切削インサートと、切削インサートが着脱可能に装着されるホルダと、を備える刃先交換式バイト等の刃先交換式切削工具として、例えば特許文献1、2に記載のものが知られている。この種の刃先交換式切削工具では、切削インサートの切刃の使用部分が摩耗やチッピング等で加工精度が確保できなくなった場合に、切削インサートをインサート中心軸回りに回転させてホルダに装着し直すことにより、切刃の未使用部分を切削加工に供することが行われている。このように、切削インサートをインサート中心軸回りに回転させて、インサート周方向に位置合わせしつつホルダに取り付けることを、以下の説明では単に「インデックス」と呼ぶ場合がある。
特許文献1では、丸駒形スローアウェイチップ(切削インサート)の外周面またはすくい面に、インサート中心軸回りに配列する複数の目印を設け、これらの目印の1つと、工具本体(ホルダ)の目印とを目視で位置合わせすることにより、チップをインデックスする。
特許文献2では、工具ビット(切削インサート)のシャンクが、工具ホルダーのソケットの凹形部分に対応する形状のスプラインで形成されている。工具ビットは、新しい切削エッジ(切刃)部分が要求される場合、インサート中心軸回りに固定量(所定角度)だけインデックスされる。また工具ビットは、細長いバー状のクランプ部材、調節ねじおよび締めつけねじを用いて、工具ホルダーに固定される。
実公昭55-53283号公報 特許第3283521号公報
特許文献1では、チップのインデックスを目視により行うため、位置合わせの精度や作業性を向上させる点に改善の余地があった。
特許文献2では、工具ビットのシャンクおよび工具ホルダーのソケットの各形状が複雑であり、各部材の製作が困難である。また、工具の構成部材にクランプ部材および複数のねじ部材を含むため、部品点数が多く、製造コストが嵩む。またクランプ構造上、工具ビットが配置される工具先端部の工具幅寸法を小さく抑えることが難しい。
本発明は、簡素かつコンパクトな構成であり、部品点数が低減され、切削インサートのインデックス時の位置合わせの精度および作業性を向上できる切削インサート、ホルダおよび刃先交換式切削工具を提供することを目的の一つとする。
本発明の一つの態様は、インサート中心軸を中心とする多段円柱状の切削インサートであって、前記インサート中心軸を中心とする円形状の切刃を有する頭部と、前記インサート中心軸に沿うインサート軸方向において前記頭部の下側に配置され、前記頭部よりも外径寸法が小さい軸部と、前記頭部と前記軸部とを繋ぐ段差部と、前記段差部の一部および前記頭部の一部にわたって配置され、前記段差部および前記頭部の各外周面から前記インサート中心軸と直交するインサート径方向の内側に窪むインデックス部と、を備え、前記インデックス部は、前記インサート中心軸回りのインサート周方向に並んで複数設けられ、各前記インデックス部は、前記インサート径方向の外側を向く平面状の位置合わせ面を有する。
また、本発明の一つの態様は、上述の切削インサートが着脱可能に装着されるホルダであって、前記インサート軸方向に延びる筒部と、前記筒部の前記インサート軸方向の上側に配置されるガイド壁部と、を備え、前記筒部は、前記軸部を嵌合により保持する軸穴部を有し、前記ガイド壁部は、前記インサート径方向の内側を向き、前記位置合わせ面と対向する平面状のガイド面を有する。
また、本発明の刃先交換式切削工具の一つの態様は、上述の切削インサートと、前記切削インサートが着脱可能に装着されるホルダと、を備え、前記ホルダは、前記軸部を嵌合により保持する軸穴部と、前記インサート径方向の内側を向き、前記位置合わせ面と対向する平面状のガイド面と、を有する。
本発明では、切削インサートをホルダに取り付ける際、軸穴部に軸部を嵌合させることで、切削インサートがホルダに保持される。またこの際、切削インサートの複数のインデックス部のうち、所定のインデックス部の平面状の位置合わせ面が、ホルダの平面状のガイド面によってガイドされることにより、切削インサートがインサート周方向に精度よく位置合わせされてインデックスされる。
本発明によれば、切削インサートをホルダに固定するためのねじ部材等は不要であり、部品点数が低減されて、製造コストを削減できる。また、切削インサートをインデックスするための位置合わせ面およびガイド面が簡素な構造を有しており、切削インサートおよびホルダの製作が容易であり、かつ、インデックス時の位置合わせの精度および作業性が向上する。
また、切削インサートのインデックス部が、頭部および段差部の各外周面からインサート径方向の内側に窪んでいる。このため位置合わせ面は、頭部および段差部の各外周面よりもインサート径方向の内側に位置する。位置合わせ面と対向するホルダのガイド面についても、インサート中心軸に近づけて配置することができる。これにより、例えば、ホルダのうちガイド面が位置するガイド壁部を、切削インサートの頭部の外周面よりもインサート径方向の内側に配置することなどが可能になる。本発明によれば、切削インサートが配置される工具先端部の工具幅寸法を小さく抑えてコンパクト化を図ることができ、これにより、種々の切削条件に対応可能である。
上記切削インサートにおいて、前記位置合わせ面の前記インサート周方向の寸法は、前記位置合わせ面の前記インサート軸方向の寸法よりも大きいことが好ましい。
この場合、位置合わせ面のインサート周方向の寸法が大きく確保されるため、切削インサートのインデックスがより容易となる。また、位置合わせ面のインサート軸方向の寸法が小さく抑えられるため、インデックス部を設けたことによる切削インサートの体積減少量を小さく抑えて、インサート強度を確保できる。
上記切削インサートにおいて、前記位置合わせ面は、前記インサート周方向の寸法が最も大きくなる最大周長部を有し、前記最大周長部の前記インサート軸方向の位置は、前記頭部と前記段差部との境界部分の前記インサート軸方向の位置と、同じであることが好ましい。
この場合、位置合わせ面のインサート周方向の寸法を大きく確保しやすい。これにより、インデックス容易性が向上する。
上記切削インサートにおいて、前記位置合わせ面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い前記インサート径方向の外側に位置することが好ましい。
この場合、位置合わせ面が、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に向けて延びる傾斜面状であり、インサート中心軸に対して傾斜している。このため、インデックス部を設けたことによる頭部側での体積減少量を小さく抑えることができ、切刃が配置される頭部において、インサート強度を安定して確保できる。
上記切削インサートにおいて、前記インデックス部は、前記位置合わせ面の前記インサート軸方向の上側に配置される上側面を有し、前記上側面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い前記インサート径方向の外側に位置し、前記インサート径方向から見た側面視で、前記上側面の前記インサート中心軸に対する傾斜角は、前記位置合わせ面の前記インサート中心軸に対する傾斜角よりも大きいことが好ましい。
この場合、インデックス部が、インサート中心軸に対する傾斜角が大きい上側面を有するため、インデックス部を設けたことによる頭部側での体積減少量を、さらに小さく抑えることができる。
上記切削インサートにおいて、前記軸部の外周面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状であり、前記インサート径方向から見た側面視で、前記軸部の外周面の前記インサート中心軸に対する傾斜角は、前記位置合わせ面の前記インサート中心軸に対する傾斜角よりも小さいことが好ましい。
この場合、製造時において、切削インサートの軸部を成形する加工、および、この軸部と嵌合するホルダの軸穴部を成形する加工が容易である。
上記切削インサートにおいて、前記頭部の外周面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状であり、前記インサート径方向から見た側面視で、前記頭部の外周面の前記インサート中心軸に対する傾斜角と、前記軸部の外周面の前記インサート中心軸に対する傾斜角との差が、5°以内であることが好ましい。
例えば、切削インサートの軸部を軸穴部で保持するとともに、頭部をホルダの他の一部で支持する場合に、上記構成のように、軸部の傾斜角と頭部の傾斜角とが互いに近似した値であると、製造時に焼結等により切削インサートが等方拡縮しても、切削インサートのホルダへの固定状態に影響が生じにくい。すなわち、切削インサートがホルダに安定して保持される。
上記切削インサートにおいて、前記位置合わせ面の上端部は、前記インサート軸方向において、前記頭部と前記段差部との境界部分よりも上側に位置し、かつ、前記境界部分と前記切刃との中間点よりも下側に位置することが好ましい。
この場合、切刃強度を安定して高めつつ、位置合わせ面のインサート周方向の寸法を大きく確保しやすくして、インデックスの作業性を向上できる。
上記切削インサートにおいて、複数の前記インデックス部は、前記インサート中心軸を中心として互いに180°回転対称位置に配置される一対の前記インデックス部を含むことが好ましい。
この場合、インサート径方向において互いに反対側を向く一対のインデックス部の各位置合わせ面が、ホルダの一対のガイド面によりそれぞれガイドされることで、インデックス時の位置合わせの精度および作業性がより向上する。
上記ホルダにおいて、前記筒部は、前記ホルダの工具先端側の端部に配置され、前記ガイド壁部は、前記筒部の上端部のうち前記工具先端側の端部以外の部分から上側に突出することが好ましい。
この場合、筒部のうち工具先端側の端部の直上に位置する切刃の使用部分(正面切刃部)と、筒部と、の間にガイド壁部が配置されないため、ガイド壁部が加工の邪魔になりにくい。また、切削インサートの下側から逃げ面上を通して、切刃の使用部分にクーラントを効率よく供給できる。
上記ホルダは、前記筒部よりも前記インサート軸方向の上側に配置され、前記頭部の外周面の少なくとも一部と接触する頭部拘束面を備えることが好ましい。
この場合、切削インサートは、軸部が軸穴部に嵌合され、かつ頭部が頭部拘束面に支持されて、ホルダに保持される。このため、ホルダに対する切削インサートの取り付け姿勢がより安定する。
上記刃先交換式切削工具において、前記位置合わせ面と前記ガイド面とは、互いに隙間をあけて対向することが好ましい。
この場合、インデックス時に、位置合わせ面がガイド面によって安定してガイドされつつ、軸部と軸穴部とが安定して嵌合させられる。このため、ホルダに対する切削インサートの取り付け姿勢つまり固定状態が、より安定する。
本発明の一つの態様の切削インサート、ホルダおよび刃先交換式切削工具によれば、簡素かつコンパクトな構成であり、部品点数が低減され、切削インサートのインデックス時の位置合わせの精度および作業性が向上する。
図1は、本実施形態の刃先交換式切削工具を示す斜視図である。 図2は、刃先交換式切削工具を示す正面図である。 図3は、刃先交換式切削工具の一部を示す上面図である。 図4は、刃先交換式切削工具の一部を示す側面図である。 図5は、図3のV-V断面を示す断面図である。 図6は、図4のVI-VI断面を示す断面図である。 図7は、本実施形態の切削インサートを示す斜視図である。 図8は、切削インサートを示す上面図である。 図9は、切削インサートを示す側面図である。 図10は、切削インサートを示す側面図であり、図9とは異なるインサート径方向から切削インサートを見た図である。 図11は、本実施形態のホルダの一部を示す斜視図である。 図12は、ホルダの一部を示す上面図である。 図13は、図12のXIII-XIII断面を示す断面図である。 図14は、図12のXIV-XIV断面を示す断面図である。
本発明の一実施形態の切削インサート1、ホルダ2および刃先交換式切削工具10について、図面を参照して説明する。刃先交換式切削工具10は、例えば、図示しない被削材を旋削加工(ターニング)する刃先交換式旋削工具等である。具体的に、本実施形態の刃先交換式切削工具10は、被削材の外周面や内周面などに粗倣い加工を施す、外径・内径加工用の刃先交換式バイトである。刃先交換式切削工具10は、図示しない旋盤などの工作機械の刃物台等に着脱可能に装着される。刃先交換式切削工具10が切削する被削材は、例えば、航空機エンジン部品などに用いられる耐熱合金製の金属材料等である。
図1~図6に示すように、刃先交換式切削工具10は、インサート中心軸Cを中心とする多段円柱状の切削インサート1と、切削インサート1が着脱可能に装着されるホルダ2と、を備える。
切削インサート1は、インサート中心軸Cを中心とする円形状の切刃11を有する頭部12と、頭部12よりも外径寸法が小さい軸部13と、頭部12と軸部13とを繋ぐ段差部14と、インデックス部15と、を備える。
ホルダ2は、略角柱状であり、図示しない工具中心軸に沿って延びる。ホルダ2は、筒部21と、ガイド壁部22と、頭部拘束壁部23と、前壁部24と、を備える。筒部21、ガイド壁部22、頭部拘束壁部23、および、前壁部24の一部は、ホルダ2の両端部すなわち第1端部2aおよび第2端部2bのうち、第1端部2aに配置される。
〔方向の定義〕
本実施形態では、ホルダ2の工具中心軸が延びる方向を、工具軸方向と呼ぶ。各図に示すXYZ直交座標系において、工具軸方向は、X軸方向に相当する。工具軸方向のうち、ホルダ2の第2端部2bから第1端部2aへ向かう方向(-X側)を工具先端側または単に先端側と呼び、第1端部2aから第2端部2bへ向かう方向(+X側)を工具後端側または単に後端側と呼ぶ。
工具中心軸と直交する方向のうち、ホルダ2の一対の側面2c,2dが向く方向を、工具幅方向(左右方向)と呼ぶ。工具幅方向は、Y軸方向に相当する。工具幅方向のうち、一方の側面2cから他方の側面2dへ向かう方向(+Y側)を左側と呼び、他方の側面2dから一方の側面2cへ向かう方向(-Y側)を右側と呼ぶ。
工具軸方向および工具幅方向と直交する方向を、上下方向と呼ぶ。上下方向は、Z軸方向に相当する。上下方向は、ホルダ2の頂面2eおよび底面2fが向く方向である。上下方向のうち、底面2fから頂面2eへ向かう方向(+Z側)を上側と呼び、頂面2eから底面2fへ向かう方向(-Z側)を下側と呼ぶ。
切削インサート1のインサート中心軸Cは、上下方向に沿って延びる。すなわち、インサート中心軸Cに沿うインサート軸方向は、上下方向と同一の方向である。このため本実施形態では、上下方向をインサート軸方向と呼ぶ場合がある。インサート軸方向において、頭部12と軸部13とは、互いに異なる位置に配置される。インサート軸方向のうち、軸部13から頭部12へ向かう方向(+Z側)は上側であり、頭部12から軸部13へ向かう方向(-Z側)は下側である。
インサート中心軸Cと直交する方向をインサート径方向と呼ぶ。インサート径方向のうち、インサート中心軸Cに近づく方向をインサート径方向の内側と呼び、インサート中心軸Cから離れる方向をインサート径方向の外側と呼ぶ。
インサート中心軸C回りに周回する方向をインサート周方向と呼ぶ。
なお本実施形態において、左側、右側、上側および下側とは、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係以外の配置関係等であってもよい。
〔切削インサート〕
切削インサート1は、例えば超硬合金製である。切削インサート1は、ホルダ2の第1端部2aつまり先端部に、取り外し可能に固定される。図7~図10に示すように、切削インサート1は、インサート軸方向の各部で互いに外径が異なる多段円柱状である。本実施形態の切削インサート1は、いわゆる丸駒インサートである。
頭部12は、インサート中心軸Cを中心とする円柱状である。頭部12の外周面は、インサート中心軸Cを中心とする環状であり、インサート周方向に延びる。頭部12の外周面は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状である。すなわち、頭部12の外径(外径寸法)は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い大きくなる。
頭部12は、切刃11と、すくい面12aと、被押圧面12bと、逃げ面12cと、を有する。
切刃11は、頭部12の外周面と上面とが接続される稜線部に配置される。切刃11は、インサート周方向に延びる。切刃11は、頭部12の上端外周部に全周にわたって配置される。切刃11は、頭部12において最もインサート径方向の外側に位置する。切刃11は、切削インサート1のうち最もインサート径方向の外側に位置する部分である。
すくい面12aは、頭部12の上面のうち外周部に位置する部分である。すくい面12aは、切刃11のインサート径方向の内側に配置され、切刃11と接続される。図5および図6に示すように、すくい面12aのうち切刃11と隣接する部分は、インサート径方向の内側へ向かうに従いインサート軸方向の下側に位置する傾斜面状である。すなわち、切刃11のすくい角は、ポジティブ角(正角)である。
図7および図8に示すように、被押圧面12bは、頭部12の上面のうちすくい面12aよりもインサート径方向の内側に位置する部分である。被押圧面12bは、インサート中心軸Cを中心とする円形面状である。被押圧面12bは、インサート中心軸Cと垂直な方向に拡がる平面状である。図9および図10に示すように、被押圧面12bは、切刃11よりもインサート軸方向の上側に位置する。被押圧面12bと切刃11との間のインサート軸方向の距離は、例えば、0.05mm以上1.0mm以下である。被押圧面12bは、頭部12において最もインサート軸方向の上側に位置する。被押圧面12bは、切削インサート1のうち最もインサート軸方向の上側に位置する部分である。
逃げ面12cは、頭部12の外周面のうち上端部に位置する部分である。逃げ面12cは、切刃11のインサート軸方向の下側に配置され、切刃11と接続される。逃げ面12cは、インサート軸方向の下側へ向かうに従いインサート径方向の内側に位置する傾斜面状である。すなわち切刃11には、逃げ角が付与されている。
軸部13は、インサート軸方向において頭部12の下側に配置される。軸部13は、インサート中心軸Cを中心とする円柱状である。軸部13のインサート軸方向の寸法は、頭部12のインサート軸方向の寸法よりも大きい。軸部13の外周面は、インサート中心軸Cを中心とする環状であり、インサート周方向に延びる。軸部13の外周面は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状である。すなわち、軸部13の外径は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い大きくなる。
図9に示すように、インサート径方向から見た側面視で、頭部12の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ1と、軸部13の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ2との差は、5°以内である。つまり、傾斜角θ1と傾斜角θ2とは、略同じ角度である。
なお、本実施形態で説明する「インサート径方向から見た側面視」は、適宜、「インサート中心軸Cを含む縦断面視」、「インサート中心軸Cに沿う縦断面視」等と言い換えてもよい。
軸部13は、下面13aを有する。下面13aは、インサート中心軸Cを中心とする円形面状である。下面13aは、インサート中心軸Cと垂直な方向に拡がる平面状である。下面13aは、軸部13において最もインサート軸方向の下側に位置する。下面13aは、切削インサート1のうち最もインサート軸方向の下側に位置する部分である。
図10に示すように、段差部14は、インサート軸方向において頭部12と軸部13との間に配置され、頭部12と軸部13とに接続される。すなわち、段差部14の上端部は、頭部12の下端部と接続され、段差部14の下端部は、軸部13の上端部と接続される。段差部14のインサート軸方向の寸法は、頭部12のインサート軸方向の寸法および軸部13のインサート軸方向の寸法よりも小さい。段差部14の外径寸法は、頭部12の外径寸法以下であり、軸部13の外径寸法以上である。
段差部14の外周面は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状である。すなわち、段差部14の外径は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い大きくなる。図9および図10に示すように、インサート径方向から見た側面視で、段差部14の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ3は、頭部12の傾斜角θ1および軸部13の傾斜角θ2よりも大きい。このため、段差部14の外周面は、インサート径方向の外側を向き、かつインサート軸方向の下側を向く。具体的に、傾斜角θ3は、例えば、15°以上60°以下である。
インデックス部15は、切削インサート1をインサート周方向に回転させてホルダ2に取り付け直す際、つまりインデックス時において、切削インサート1のインサート周方向の位置合わせに用いられる。
インデックス部15は、段差部14の一部および頭部12の一部にわたって配置され、段差部14および頭部12の各外周面からインサート径方向の内側に窪む。具体的に、インデックス部15は、インサート軸方向において、段差部14の下端部以外の部分と、頭部12の下端部とにわたって配置される。
インデックス部15は、インサート周方向に並んで複数設けられる。複数のインデックス部15は、インサート周方向に互いに間隔をあけて配置される。本実施形態ではインデックス部15が、インサート周方向に等ピッチで4つ配置される。複数のインデックス部15は、インサート中心軸Cを中心として互いに180°回転対称位置に配置される一対のインデックス部15を含む。本実施形態では、前記一対のインデックス部15の組が、2組設けられる。
各インデックス部15は、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に位置する面15a,15bを有する。具体的に、各インデックス部15は、インサート径方向の外側を向く平面状の位置合わせ面15aと、位置合わせ面15aのインサート軸方向の上側に配置される上側面15bと、を有する。
図9に示すように、インサート径方向からインデックス部15を正面に見て、位置合わせ面15aは、インサート軸方向の下側に凸となる略三角形状であり、具体的には、略二等辺三角形状である。位置合わせ面15aのインサート周方向の寸法は、位置合わせ面15aのインサート軸方向の寸法よりも大きい。位置合わせ面15aのインサート周方向の寸法は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い大きくなる。
位置合わせ面15aは、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に位置する。すなわち、位置合わせ面15aは、インサート中心軸Cに対して傾斜する傾斜面状である。インサート径方向から見た側面視で、軸部13の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ2は、位置合わせ面15aのインサート中心軸Cに対する傾斜角θ4よりも小さい。つまり位置合わせ面15aは、軸部13の外周面よりもインサート中心軸Cに対する傾きが大きい。なお具体的に、傾斜角θ4は、例えば5°以上20°以下である。
図10に示すように、位置合わせ面15aの上端部は、インサート軸方向において、頭部12と段差部14との境界部分16よりも上側に位置し、かつ、境界部分16と切刃11との中間点17よりも下側に位置する。
位置合わせ面15aは、インサート周方向の寸法が最も大きくなる最大周長部15aaを有する。最大周長部15aaのインサート軸方向の位置は、境界部分16のインサート軸方向の位置と、同じである。
図9に示すように、インサート径方向からインデックス部15を正面に見て、上側面15bは、インサート軸方向の上側に凸となる略三角形状であり、具体的には、略二等辺三角形状である。上側面15bのインサート周方向の寸法は、上側面15bのインサート軸方向の寸法よりも大きい。位置合わせ面15aのインサート周方向の寸法は、上側面15bのインサート周方向の寸法よりも大きい。位置合わせ面15aのインサート軸方向の寸法は、上側面15bのインサート軸方向の寸法よりも大きい。上側面15bのインサート周方向の寸法は、インサート軸方向の下側へ向かうに従い大きくなる。上側面15bは、インサート軸方向において、頭部12の下端部と同じ位置に配置される。
上側面15bは、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に位置する。すなわち、上側面15bは、インサート中心軸Cに対して傾斜する傾斜面状である。上側面15bは、平面状であり、インサート径方向の外側およびインサート軸方向の下側を向く。インサート径方向から見た側面視で、上側面15bのインサート中心軸Cに対する傾斜角θ5は、位置合わせ面15aのインサート中心軸Cに対する傾斜角θ4よりも大きい。つまり上側面15bは、位置合わせ面15aよりもインサート中心軸Cに対する傾きが大きい。なお具体的に、傾斜角θ5は、例えば20°以上60°以下である。
〔ホルダ〕
ホルダ2は、例えば鋼製である。図11および図12に示すように、ホルダ2の第1端部2aつまり先端部は、第1端部2a以外の部分よりも工具幅方向の寸法が小さい。本実施形態では、図2および図3に示すように、ホルダ2の先端部の工具幅方向の寸法が、切削インサート1の切刃11の外径寸法よりも小さい。このため、切刃11は、ホルダ2の先端部から左側および右側に突出する。切刃11のうち、ホルダ2の先端部から工具幅方向(左右方向)に突出する部分は、側面切刃部と言い換えてもよい。また図4に示すように、切刃11は、ホルダ2の先端部から工具先端側に突出する。切刃11のうち、ホルダ2の先端部から工具先端側に突出する部分は、正面切刃部と言い換えてもよい。切削時には、切刃11のうち主として正面切刃部が加工に供される。
詳しくは、図3に示すようにインサート軸方向から見て、切刃11のうち工具後端部以外の部分が、ホルダ2の先端部からインサート径方向の外側へ突出する。図示の例では、切刃11が、インサート中心軸Cを中心とする略240°の範囲にわたって、ホルダ2の先端部からインサート径方向の外側へ突出する。
図11~図14に示すように、筒部21は、ホルダ2の工具先端側の端部(第1端部2a)に配置される。筒部21は、ホルダ2のうち最も工具先端側に位置する部分である。筒部21は、インサート軸方向(上下方向)に延びる筒状である。筒部21の中心軸は、インサート中心軸Cと同軸である。筒部21は、貫通孔21aを有する。貫通孔21aは、ホルダ2の第1端部2aをインサート軸方向に貫通する。貫通孔21aは、軸穴部21bを有する。つまりホルダ2は、軸穴部21bを有する。
軸穴部21bは、貫通孔21aの内周面のうち少なくともインサート軸方向の上端部に配置される。つまり軸穴部21bは、筒部21の内周面の少なくとも一部を構成する。軸穴部21bは、インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状である。すなわち、軸穴部21bの内径(内径寸法)は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い大きくなる。図5および図6に示すように、インサート中心軸Cに沿う縦断面視で、軸穴部21bの内周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角は、軸部13の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ2と、略同じである(図9参照)。
図5および図6に示すように、軸穴部21bには、切削インサート1の軸部13が嵌合する。軸穴部21bは、軸部13を嵌合により保持する。詳しくは、軸部13を軸穴部21bに挿入し、図示しないクランプ作業工具等で切削インサート1の被押圧面12bを下側へ押圧することにより、軸部13と軸穴部21bとが嵌合により固定され、これにより、切削インサート1はホルダ2に保持される。
図11~図14に示すように、ガイド壁部22は、筒部21のインサート軸方向の上側に配置される。ガイド壁部22は、筒部21の上端部のうち工具先端側の端部以外の部分から上側に突出する。本実施形態では、ホルダ2にガイド壁部22が一対設けられ、一対のガイド壁部22は、筒部21の上端部のうち左端部および右端部から、上側に突出する。図12に示すようにインサート軸方向から見て、一対のガイド壁部22は、工具幅方向において、軸穴部21bを間に挟んで互いに間隔をあけて配置される。各ガイド壁部22は、板状である。各ガイド壁部22の一対の板面は、工具幅方向を向く。ガイド壁部22は、工具軸方向に延びる。
図6および図11に示すように、ガイド壁部22は、インサート径方向の内側を向き、切削インサート1の位置合わせ面15aと対向する平面状のガイド面22aを有する。つまりホルダ2は、ガイド面22aを有する。ガイド面22aは、ガイド壁部22の一対の板面のうち、インサート径方向の内側を向く一方の板面に配置される。ガイド面22aは、ガイド壁部22の一方の板面のうち、少なくとも上端部に配置される。
ガイド面22aは、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に位置する。すなわち、ガイド面22aは、インサート中心軸Cに対して傾斜する傾斜面状である。図6に示すように、インサート中心軸Cに沿う縦断面視で、ガイド面22aのインサート中心軸Cに対する傾斜角は、位置合わせ面15aのインサート中心軸Cに対する傾斜角θ4と、略同じである(図9参照)。本実施形態では、位置合わせ面15aとガイド面22aとが、互いに隙間をあけて対向する。
図13に示すように、ガイド面22aは、略四角形状である。ガイド面22aの上下方向の寸法は、工具軸方向に沿って一定である。ガイド面22aの工具軸方向の寸法は、上側へ向かうに従い大きくなる。本実施形態では、ガイド面22aのうちインサート中心軸Cの工具先端側に位置する前側部分22aaの工具軸方向の寸法が、ガイド面22aのうちインサート中心軸Cの工具後端側に位置する後側部分22abの工具軸方向の寸法よりも、大きい。また、ガイド面22aのうち前側部分22aaの表面積が、ガイド面22aのうち後側部分22abの表面積よりも、大きい。
図11~図13に示すように、頭部拘束壁部23は、インサート軸方向において、筒部21の上側に配置される。頭部拘束壁部23は、筒部21およびガイド壁部22よりも工具後端側に位置する。頭部拘束壁部23は、工具先端側を向く壁部である。頭部拘束壁部23は、頭部拘束面23aを有する。つまりホルダ2は、頭部拘束面23aを備える。
頭部拘束面23aは、筒部21よりもインサート軸方向の上側に配置され、工具先端側を向く。頭部拘束面23aは、ガイド壁部22よりも上側に位置する。頭部拘束面23aは、頭部拘束壁部23のうち、少なくとも上端部に配置される。頭部拘束面23aは、インサート径方向の内側を向き、インサート周方向に延びる凹曲面状である。頭部拘束面23aのインサート周方向の寸法は、頭部拘束面23aのインサート軸方向の寸法よりも大きい。
頭部拘束面23aは、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に位置する。頭部拘束面23aは、インサート中心軸Cを中心とするテーパ状である。図5に示すように、インサート中心軸Cに沿う縦断面視で、頭部拘束面23aのインサート中心軸Cに対する傾斜角は、頭部12の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ1と、略同じである(図9参照)。
図5に示すように、頭部拘束面23aは、切削インサート1の頭部12の外周面の少なくとも一部と接触する。本実施形態では頭部拘束面23aが、頭部12の外周面のうち工具後端側を向く部分と接触する。頭部拘束面23aは、頭部12の外周面のうち、インサート軸方向の上端部と下端部との間に位置する中間部分と接触する。頭部12の外周面と頭部拘束面23aとが接触することにより、切削インサート1の頭部12は、ホルダ2によって工具後端側から支持される。
図11~図14に示すように、前壁部24は、インサート軸方向において、筒部21、ガイド壁部22および頭部拘束壁部23の上側に配置される。前壁部24は、筒部21、ガイド壁部22および頭部拘束壁部23よりも工具後端側に位置する。前壁部24は、工具先端側を向く壁部である。前壁部24は、インサート軸方向の上側へ向かうに従い工具後端側に位置する。すなわち、前壁部24は、インサート中心軸Cに対して傾斜する傾斜面状である。本実施形態では、前壁部24のうち工具後端部以外の部分の工具幅方向の寸法が、前壁部24のうち工具後端部の工具幅方向の寸法よりも小さい。
〔本実施形態による作用効果〕
以上説明した本実施形態の切削インサート1、ホルダ2および刃先交換式切削工具10では、切削インサート1をホルダ2に取り付ける際、軸穴部21bに軸部13を嵌合させることで、切削インサート1がホルダ2に保持される。またこの際、切削インサート1の複数のインデックス部15のうち、所定のインデックス部15の平面状の位置合わせ面15aが、ホルダ2の平面状のガイド面22aによってガイドされることにより、切削インサート1がインサート周方向に精度よく位置合わせされてインデックスされる。本実施形態において、上記所定のインデックス部15は、工具幅方向の両側、つまり左側および右側を向く一対のインデックス部15である。
本実施形態によれば、切削インサート1をホルダ2に固定するためのねじ部材等は不要であり、部品点数が低減されて、製造コストを削減できる。また、切削インサート1をインデックスするための位置合わせ面15aおよびガイド面22aが簡素な構造を有しており、切削インサート1およびホルダ2の製作が容易であり、かつ、インデックス時の位置合わせの精度および作業性が向上する。
また、切削インサート1のインデックス部15が、頭部12および段差部14の各外周面からインサート径方向の内側に窪んでいる。このため位置合わせ面15aは、頭部12および段差部14の各外周面よりもインサート径方向の内側に位置する。位置合わせ面15aと対向するホルダ2のガイド面22aについても、インサート中心軸Cに近づけて配置することができる。これにより本実施形態のように、ホルダ2のうちガイド面22aが位置するガイド壁部22を、切削インサート1の頭部12の外周面よりもインサート径方向の内側に配置することが可能になる。本実施形態によれば、切削インサート1が配置される工具先端部の工具幅寸法を小さく抑えてコンパクト化を図ることができ、これにより、種々の切削条件に対応可能である。
また本実施形態では、位置合わせ面15aのインサート周方向の寸法が、位置合わせ面15aのインサート軸方向の寸法よりも大きい。
この場合、位置合わせ面15aのインサート周方向の寸法が大きく確保されるため、切削インサート1のインデックスがより容易となる。また、位置合わせ面15aのインサート軸方向の寸法が小さく抑えられるため、インデックス部15を設けたことによる切削インサート1の体積減少量を小さく抑えて、インサート強度を確保できる。
また本実施形態では、位置合わせ面15aの最大周長部15aaのインサート軸方向の位置が、頭部12と段差部14との境界部分16のインサート軸方向の位置と同じである。
この場合、位置合わせ面15aのインサート周方向の寸法を大きく確保しやすい。これにより、インデックス容易性が向上する。
また本実施形態では、位置合わせ面15aが、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に位置する。
この場合、位置合わせ面15aが、インサート軸方向の上側へ向かうに従いインサート径方向の外側に向けて延びる傾斜面状であり、インサート中心軸Cに対して傾斜している。このため、インデックス部15を設けたことによる頭部12側での体積減少量を小さく抑えることができ、切刃11が配置される頭部12において、インサート強度を安定して確保できる。
また本実施形態では、インサート径方向から見た側面視で、上側面15bのインサート中心軸Cに対する傾斜角θ5が、位置合わせ面15aのインサート中心軸Cに対する傾斜角θ4よりも大きい。
この場合、インデックス部15が、インサート中心軸Cに対する傾斜角θ5が大きい上側面15bを有するため、インデックス部15を設けたことによる頭部12側での体積減少量を、さらに小さく抑えることができる。
また本実施形態では、インサート径方向から見た側面視で、軸部13の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ2が、位置合わせ面15aのインサート中心軸Cに対する傾斜角θ4よりも小さい。
この場合、製造時において、切削インサート1の軸部13を成形する加工、および、この軸部13と嵌合するホルダ2の軸穴部21bを成形する加工が容易である。
また本実施形態では、インサート径方向から見た側面視で、頭部12の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ1と、軸部13の外周面のインサート中心軸Cに対する傾斜角θ2との差が、5°以内である。
本実施形態のように、切削インサート1の軸部13を軸穴部21bで保持するとともに、頭部12を頭部拘束面23aで支持する場合において、上記構成のように、軸部13の傾斜角θ2と頭部12の傾斜角θ1とが互いに近似した値であると、製造時に焼結等により切削インサート1が等方拡縮しても、切削インサート1のホルダ2への固定状態に影響が生じにくい。すなわち、切削インサート1がホルダ2に安定して保持される。
また本実施形態では、位置合わせ面15aの上端部が、インサート軸方向において、頭部12と段差部14との境界部分16よりも上側に位置し、かつ、境界部分16と切刃11との中間点17よりも下側に位置する。
この場合、切刃11の強度を安定して高めつつ、位置合わせ面15aのインサート周方向の寸法を大きく確保しやすくして、インデックスの作業性を向上できる。
また本実施形態では、複数のインデックス部15が、インサート中心軸Cを中心として互いに180°回転対称位置に配置される一対のインデックス部15を含む。
この場合、インサート径方向において互いに反対側を向く一対のインデックス部15の各位置合わせ面15aが、ホルダ2の一対のガイド面22aによりそれぞれガイドされることで、インデックス時の位置合わせの精度および作業性がより向上する。
また本実施形態では、ガイド壁部22が、筒部21の上端部のうち工具先端側の端部以外の部分から上側に突出する。
この場合、筒部21のうち工具先端側の端部の直上に位置する切刃11の使用部分(正面切刃部)と、筒部21と、の間にガイド壁部22が配置されないため、ガイド壁部22が加工の邪魔になりにくい。また、切削インサート1の下側から逃げ面12c上を通して、切刃11の使用部分にクーラントを効率よく供給できる。
また本実施形態では、ホルダ2が、切削インサート1の頭部12の外周面と接触する頭部拘束面23aを備える。
この場合、切削インサート1は、軸部13が軸穴部21bに嵌合され、かつ頭部12が頭部拘束面23aに支持されて、ホルダ2に保持される。このため、ホルダ2に対する切削インサート1の取り付け姿勢がより安定する。
また本実施形態では、切削インサート1の位置合わせ面15aと、ホルダ2のガイド面22aとが、互いに隙間をあけて対向する。
この場合、インデックス時に、位置合わせ面15aがガイド面22aによって安定してガイドされつつ、軸部13と軸穴部21bとが安定して嵌合させられる。このため、ホルダ2に対する切削インサート1の取り付け姿勢つまり固定状態が、より安定する。
〔本発明に含まれるその他の構成〕
なお、本発明は前述の実施形態に限定されず、例えば下記に説明するように、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において構成の変更等が可能である。
前述の実施形態では、インデックス部15の上側面15bが平面状である例を挙げたが、これに限らない。上側面15bは、例えば、インサート径方向の外側に膨出する凸曲面状や、インサート径方向の内側に窪む凹曲面状等であってもよい。
前述の実施形態では、インデックス部15が、インサート周方向に並んで4つ設けられる例を挙げたが、これに限らない。インデックス部15は、インサート周方向に並んで3つ以下や5つ以上設けられてもよい。
本発明は、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において、前述の実施形態および変形例等で説明した各構成を組み合わせてもよく、また、構成の付加、省略、置換、その他の変更が可能である。また本発明は、前述した実施形態等によって限定されず、特許請求の範囲によってのみ限定される。
本発明の切削インサート、ホルダおよび刃先交換式切削工具によれば、簡素かつコンパクトな構成であり、部品点数が低減され、切削インサートのインデックス時の位置合わせの精度および作業性が向上する。したがって、産業上の利用可能性を有する。
1…切削インサート
2…ホルダ
10…刃先交換式切削工具
11…切刃
12…頭部
13…軸部
14…段差部
15…インデックス部
15a…位置合わせ面
15aa…最大周長部
15b…上側面
16…境界部分
17…中間点
21…筒部
21b…軸穴部
22…ガイド壁部
22a…ガイド面
23a…頭部拘束面
C…インサート中心軸
θ1,θ2,θ3,θ4,θ5…傾斜角

Claims (14)

  1. インサート中心軸を中心とする多段円柱状の切削インサートであって、
    前記インサート中心軸を中心とする円形状の切刃を有する頭部と、
    前記インサート中心軸に沿うインサート軸方向において前記頭部の下側に配置され、前記頭部よりも外径寸法が小さい軸部と、
    前記頭部と前記軸部とを繋ぐ段差部と、
    前記段差部の一部および前記頭部の一部にわたって配置され、前記段差部および前記頭部の各外周面から前記インサート中心軸と直交するインサート径方向の内側に窪むインデックス部と、を備え、
    前記インデックス部は、前記インサート中心軸回りのインサート周方向に並んで複数設けられ、
    各前記インデックス部は、前記インサート径方向の外側を向く平面状の位置合わせ面を有する、
    切削インサート。
  2. 前記位置合わせ面の前記インサート周方向の寸法は、前記位置合わせ面の前記インサート軸方向の寸法よりも大きい、
    請求項1に記載の切削インサート。
  3. 前記位置合わせ面は、前記インサート周方向の寸法が最も大きくなる最大周長部を有し、
    前記最大周長部の前記インサート軸方向の位置は、前記頭部と前記段差部との境界部分の前記インサート軸方向の位置と、同じである、
    請求項1または2に記載の切削インサート。
  4. 前記位置合わせ面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い前記インサート径方向の外側に位置する、
    請求項1から3のいずれか1項に記載の切削インサート。
  5. 前記インデックス部は、前記位置合わせ面の前記インサート軸方向の上側に配置される上側面を有し、
    前記上側面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い前記インサート径方向の外側に位置し、
    前記インサート径方向から見た側面視で、前記上側面の前記インサート中心軸に対する傾斜角は、前記位置合わせ面の前記インサート中心軸に対する傾斜角よりも大きい、
    請求項4に記載の切削インサート。
  6. 前記軸部の外周面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状であり、
    前記インサート径方向から見た側面視で、前記軸部の外周面の前記インサート中心軸に対する傾斜角は、前記位置合わせ面の前記インサート中心軸に対する傾斜角よりも小さい、
    請求項4または5に記載の切削インサート。
  7. 前記頭部の外周面は、前記インサート軸方向の上側へ向かうに従い拡径するテーパ状であり、
    前記インサート径方向から見た側面視で、前記頭部の外周面の前記インサート中心軸に対する傾斜角と、前記軸部の外周面の前記インサート中心軸に対する傾斜角との差が、5°以内である、
    請求項6に記載の切削インサート。
  8. 前記位置合わせ面の上端部は、前記インサート軸方向において、前記頭部と前記段差部との境界部分よりも上側に位置し、かつ、前記境界部分と前記切刃との中間点よりも下側に位置する、
    請求項1から7のいずれか1項に記載の切削インサート。
  9. 複数の前記インデックス部は、前記インサート中心軸を中心として互いに180°回転対称位置に配置される一対の前記インデックス部を含む、
    請求項1から8のいずれか1項に記載の切削インサート。
  10. 請求項1から9のいずれか1項に記載の切削インサートが、着脱可能に装着されるホルダであって、
    前記インサート軸方向に延びる筒部と、
    前記筒部の前記インサート軸方向の上側に配置されるガイド壁部と、を備え、
    前記筒部は、前記軸部を嵌合により保持する軸穴部を有し、
    前記ガイド壁部は、前記インサート径方向の内側を向き、前記位置合わせ面と対向する平面状のガイド面を有する、
    ホルダ。
  11. 前記筒部は、前記ホルダの工具先端側の端部に配置され、
    前記ガイド壁部は、前記筒部の上端部のうち前記工具先端側の端部以外の部分から上側に突出する、
    請求項10に記載のホルダ。
  12. 前記筒部よりも前記インサート軸方向の上側に配置され、前記頭部の外周面の少なくとも一部と接触する頭部拘束面を備える、
    請求項10または11に記載のホルダ。
  13. 請求項1から9のいずれか1項に記載の切削インサートと、
    前記切削インサートが着脱可能に装着されるホルダと、を備え、
    前記ホルダは、
    前記軸部を嵌合により保持する軸穴部と、
    前記インサート径方向の内側を向き、前記位置合わせ面と対向する平面状のガイド面と、を有する、
    刃先交換式切削工具。
  14. 前記位置合わせ面と前記ガイド面とは、互いに隙間をあけて対向する、
    請求項13に記載の刃先交換式切削工具。
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