JP2022106122A - ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムの製造方法 - Google Patents

ガスバリアフィルム及びガスバリアフィルムの製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2022106122000001
【課題】環境負荷が小さく、包装材料として十分なガスバリア性能を有する、ガスバリアフィルムおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】分子材料を主成分とする基材10と、基材の第一面上に形成されたガスバリア層30と、ガスバリア層上に形成された被覆層40とを備え、基材の第一面上における1μm×1μmの範囲での原子間力顕微鏡測定から得られるパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.002nm/Hz以下、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以下、波長100nmにおいて0.300nm/Hz以下のいずれか、もしくは複数を満たすことを特徴とする、ガスバリアフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明は、食品、医薬品、精密電子部品等の包装に適しているガスバリアフィルムおよびガスバリアフィルムの製造方法に関するものである。
食品や医薬品に用いられる包装材料において、内容物の変質を抑制し、それらの機能や性質を保持する観点から、内容物を変質させ、包装材料を透過する酸素や水蒸気、その他の気体を遮断するガスバリア性が求められることがある。また、ガスバリア性を有する包装材料として、温度、湿度などの影響が少ないアルミ等の金属箔をガスバリア層として用いたガスバリアフィルムが知られている。
ガスバリアフィルムの他の構成として、高分子材料で形成された基材フィルム上に、酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着膜を真空蒸着やスパッタ等により形成したフィルムが知られている(例えば特許文献1参照。)。これらのガスバリアフィルムは、透明性及び酸素、水蒸気等のガス遮断性を有する。また、基材フィルムとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)製のものがよく用いられている。
特開昭60-49934号公報 特開2008-23898号公報
これまで、ガスバリアフィルムには、基材フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)がよく用いられてきた。しかし、近年は環境への負荷を抑制するため、ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)製の基材フィルムを使用したガスバリアフィルムの要請が高まっている。特許文献1にもPP製の基材フィルムを使用できることが記載されている。しかし、発明者の検討により、PP製の基材フィルムに単に酸化アルミニウム(AlOx)をバリア層として形成しただけのガスバリアフィルムでは、ガスバリア性能が十分でないことが明らかになった。
上記問題を踏まえ、本発明は、環境負荷が小さく、包装材料として十分なガスバリア性能を有する、ガスバリアフィルムおよびその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、ポリプロピレンを主成分とする基材と、前処理層と基材上に形成されたガスバリア層と、ガスバリア層上に形成された被覆層とを備えるガスバリアフィルムである。このガスバリアフィルムは、基材表面から得られるパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.002nm/Hz以下、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以下、波長100nmにおいて0.300nm/Hz以下のいずれか、もしくは複数を満たすことを特徴とするガスバリアフィルムである。
本発明の第二の態様は、高分子材料を主成分とする基材の表面を処理して、前記表面における1μm×1μmの範囲での原子間力顕微鏡測定から得られるパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.002nm/Hz以下、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以下、波長100nmにおいて0.300nm/Hz以下のいずれか、もしくは複数を満たす処理面を作成し、処理面上にガスバリア層を形成し、ガスバリア層上に被覆層を形成する、ガスバリアフィルムの製造方法である。
本発明によれば、環境負荷が小さく、包装材料として十分なガスバリア性能を有するガスバリアフィルムを提供できる。
本発明の一実施形態に係るガスバリアフィルムの模式断面図である。 実施例1と比較例1におけるパワースペクトル密度を示すグラフである。
以下、本発明の一実施形態について、図1を参照して説明する。
図1は本実施形態に係るガスバリアフィルム1の模式断面図である。ガスバリアフィルム1は基材10と、前処理層20と、蒸着層30と、被覆層40と、接着剤層50と、シーラント層60とを備えている。
本発明で用いられる基材10は、ポリプロピレンを主成分とする2以上の樹脂層を有する。本実施形態の基材10は、基層と、基層に積層された表層との2つの樹脂層を有する。
2以上の樹脂層を有する基材10は、例えば、共押出により形成できる。基層および表層の合計である基材10の総厚は、例えば3~200μmとでき、15~60μmが好ましい。
基材10の各層の原料となる樹脂としては、入手の平易さ、水蒸気バリア性、および環境への付加を抑制する観点から、ポリプロピレンを主成分とする。ポリプロピレンは、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマーのいずれであってもよい。ホモポリマーはプロピレン単体のみからなるポリプロピレンである。ランダムコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと、プロピレンとは異なる種類のコモノマーがランダムに共重合し均質的な相をなすポリプロピレンである。ブロックコポリマーは、主モノマーであるプロピレンと上記コモノマーがブロック的に共重合したり、ゴム状に重合したりすることによって不均質な相をなすポリプロピレンである。ターポリマーは、主モノマーであるプロピレンと、プロピレンとは異なる2種類のコモノマーが共重合したポリプロピレンである。これらのポリオレフィン系樹脂は、いずれか1種を単独で用いてもよく、2種以上をブレンドして用いてもよい。基層11の原料は、ホモポリマー、ランダムコポリマー、ブロックコポリマーのいずれかが好ましい。表層12の原料は、ランダムコポリマー、ブロックコポリマー、ターポリマーのいずれかが好ましい。
基材10上に形成される各層は、基材10の両面に形成されてもよい。基材10の片面もしくは両面に周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、酸化防止剤、可塑剤、滑剤などがあってもよい。
基材表面のパワースペクトルは原子間力顕微鏡(AFM)によって求めることができ、AFMから得た表面粗さの断面プロファイルをフーリエ変換で処理し、周波数分析を行うことで、各波長でのパワースペクトルを算出することができる。発明者らは、基材10表面のパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.001nm/Hz以下、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以下、波長100nmにおいて0.200nm/Hz以下であると、良好なガスバリア性が得られることを見出した。
本実施形態のガスバリアフィルム1は、良好なガスバリア性能を発揮するガスバリア層(蒸着層30)を有する。
蒸着層30を形成する前に、基材10に前処理層20を形成する。前処理層20は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化樹脂などのコーティング層やプラズマ処理の処理層とする。生産性の観点からインラインで行うことが可能なプラズマ処理が好ましい。プラズマ処理の方法としてはグロー放電など特に限定されず、プラズマ密度を高めるために磁石を用いても良い。またプラズマ処理を行う際に使用するガスは酸素、窒素、アルゴンのいずれかもしくは複数から選択することができる。
蒸着層30は、酸化アルミニウムを主成分としており、酸素、水蒸気等の所定の気体に対してバリア性を発揮する層である。蒸着層30は、透明でも、不透明でもいずれでもよい。
蒸着層30の厚さは、用いられる無機化合物の種類・構成・成膜方法により異なるが、一般的には3~300nmの範囲内で適宜設定できる。蒸着層30の厚さが3nm未満であると、均一な膜が得られないことや膜厚が十分ではないことがあり、ガスバリア層としての性能が不十分になる可能性がある。蒸着層30の厚さが300nmを越えると、蒸着層30が硬くなり、成膜後に折り曲げ、引っ張りなどの外的要因により、蒸着層30に亀裂を生じてバリア性を失う可能性があるため、蒸着層30の厚さは、6~150nmの範囲内が好ましい。
蒸着層30の形成方法に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)などを使用できる。
被覆層40は、蒸着層30のバリア性をさらに高める。被覆層40は、水溶性高分子と1種以上の金属アルコキシドまたはその加水分解物を含む水溶液或いは水/アルコール混合溶液を主剤とするコーティング剤を用いて形成される。例えば、水溶性高分子を水系(水或いは水/アルコール混合)溶媒で溶解させたものに金属アルコキシドを直接、或いは予め加水分解させるなどの処理を行ったものを混合してコーティング剤を調製する。このコーティング剤を蒸着層30上に塗布した後、乾燥させることで、被覆層40を形成できる。
被覆層40を形成するためのコーティング剤に含まれる各成分について更に詳細に説明する。コーティング剤に用いられる水溶性高分子として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン、デンプン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム等を例示できる。特に、PVAを用いると、優れたガスバリア性が得られるため好ましい。PVAは、一般にポリ酢酸ビニルをけん化することで得られる。PVAとして、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分けん化PVA、酢酸基が数%しか残存していない完全PVAのいずれも用いることができる。両者の中間のPVAを用いてもよい。
コーティング剤に用いられる金属アルコキシドは、一般式、M(OR)n(M:Si、Alの金属、R:CH、C等のアルキル基)で表せる化合物である。具体的にはテトラエトキシシラン〔Si(OC〕、トリイソプロポキシアルミニウムAl[OCH(CHなどを例示できる。シランカップリング剤としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどのエポキシ基を有するもの、3-アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノ基を有するもの、3-メルカプトプロピルトリメトキシシランなどのメルカプト基を有するもの、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシランなどのイソシアネート基を有するもの、トリス-(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレートなどを例示できる。
コーティング剤の塗布方法に制限はなく、通常用いられるディッピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、スプレー法、グラビア印刷法などの従来公知の方法を適宜選択できる。
また、被覆層40の別の好ましい例として、ポリカルボン酸系重合体(A)のカルボキシ基と多価金属化合物(B)との反応生成物であるカルボン酸の多価金属塩を含む皮膜(ポリカルボン酸の多価金属塩皮膜)が挙げられる。この場合、ポリカルボン酸系重合体(A)と多価金属化合物(B)を混合したコーティング剤を塗布、加熱乾燥することで形成されるポリカルボン酸の多価金属塩皮膜であっても、ポリカルボン酸系重合体(A)を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥してA皮膜を形成した上に、多価金属化合物(B)を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥してB皮膜を形成し、A/B層間で架橋反応させて形成されるポリカルボン酸の多価金属塩皮膜であっても構わない。
[ポリカルボン酸系重合体(A)]
ポリカルボン酸系重合体とは、分子内に2個以上のカルボキシ基を有する重合体である。ポリカルボン酸系重合体としては、たとえば、エチレン性不飽和カルボン酸の(共)重合体;エチレン性不飽和カルボン酸と他のエチレン性不飽和単量体との共重合体;アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、ペクチン等の分子内にカルボキシル基を有する酸性多糖類が挙げられる。
上記の中でも、得られるガスバリア性フィルムのガスバリア性の観点から、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸及びクロトン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が好ましく、アクリル酸、マレイン酸、メタクリル酸及びイタコン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性単量体から誘導される構成単位を含む重合体が特に好ましい。
ポリカルボン酸系重合体(A)を主成分とするコーティング剤を塗布、乾燥してA皮膜を形成した後に前記B皮膜を形成する場合には、ポリカルボン酸系重合体は、カルボキシ基の一部が予め塩基性化合物で中和されていてもよい。ポリカルボン酸系重合体の有するカルボキシ基の一部を予め中和することにより、A皮膜の耐水性や耐熱性をさらに向上させることができる。
塩基性化合物としては、多価金属化合物、一価金属化合物およびアンモニアからなる群から選択される少なくとも1種の塩基性化合物が好ましい。多価金属化合物としては、後述する多価金属化合物(B)の説明で例示する化合物を用いることができる。一価金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
[多価金属化合物(B)]
多価金属化合物は、ポリカルボン酸系重合体のカルボキシル基と反応してポリカルボン酸の多価金属塩を形成する化合物であれば特に限定されず、酸化亜鉛粒子、酸化マグネシウム粒子、マグネシウムメトキシド、酸化銅、炭酸カルシウム等が挙げられる。これらを単独或いは複数を混合して用いてもよい。なお酸素バリア性の観点から酸化亜鉛が好ましい。
多価金属化合物(B)を主成分とするコーティング剤に用いる溶媒としては、例えば、水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、n-ペンチルアルコール、ジメチルスルフォキシド、ジメチルフォルムアミド、ジメチルアセトアミド、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、酢酸ブチルが挙げられる。また、これらの溶媒は1種単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でも、塗工性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、水が好ましい。また製造性の観点から、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、水が好ましい。
ポリカルボン酸系重合体(A)と多価金属化合物(B)を混合したコーティング剤を塗布、乾燥してポリカルボン酸の多価金属塩皮膜を形成する場合には、前記したポリカルボン酸系重合体(A)と前記した多価金属化合物(B)と、水またはアルコール類を溶媒として、該溶媒に溶解或いは分散可能な樹脂や分散剤、および必要に応じて添加剤を混合して、コーティング剤として、公知のコーティング方法にて塗布、乾燥することで、ポリカルボン酸の多価金属塩皮膜を形成することができる。コート法として、例えばキャスト法、ディッピング法、ロールコート法、グラビアコート法、スクリーン印刷法、リバースコート法、スプレーコート法、キットコート法、ダイコート法、メタリングバーコート法、チャンバードクター併用コート法、カーテンコート法等が挙げられる。
被覆層40の厚さは、コーティング剤の組成や塗工条件等に基づいて適宜決定でき、特に制限はない。ただし、被覆層40の乾燥後膜厚が0.01μm以下の場合は、均一な塗膜にならず十分なガスバリア性を得られない場合がある。乾燥後膜厚が50μmを超える場合は被覆層40にクラックが生じ易くなる。したがって、被覆層40の好適な厚さは、例えば0.01~50μmの範囲である。被覆層40の最適な厚さは、例えば0.1~10μmの範囲である。
シーラント層60は、ガスバリアフィルム1を用いて袋状包装体などを形成する際に熱融着により接合される層である。シーラント層60の材料として、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-メタクリル酸共重合体、エチレン-メタクリル酸エステル共重合体、エチレン-アクリル酸共重合体、エチレン-アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹脂材料を例示できる。シーラント層60の厚さは目的に応じて決められるが、例えば15~200μmの範囲である。
接着剤層50は、シーラント層60と被覆層40とを接合する。接着剤層50を用いることで、シーラント層60となる樹脂フィルムと、蒸着層30および被覆層40を形成した基材10とを、ドライラミネーションにより貼り合わせることができる。接着剤層50の材料の例としては、二液硬化型ポリウレタン系接着剤があり、被覆層40の上に印刷層、シーラント層60を積層して、包装材料とすることが出来る。被覆層40とシーラント層60との間に他のフィルムを介在させても良い。
本実施形態のガスバリアフィルムについて、実施例および比較例を用いてさらに説明する。本発明は実施例および比較例の具体的内容により、何ら限定されない。
(実施例1)
基材10として、厚み20μmの二軸延伸ポリプロピレンフィルムを用い、前処理層20として、Oガスでのプラズマ処理層を100W・sec/mの処理強度で形成した。処理強度の算出は以下の通りである。
電力密度 [W/m2] = 投入電力 [W] / カソード面積 [m2
処理時間 [sec] = 電極MD幅 [m] / 処理速度 [m/sec]
処理強度 = 電力密度 [W/m2] ・ 処理時間 [sec]
以上の条件でプラズマ処理を施した後、連続で真空装置内において、電子ビーム蒸着法により、酸化アルミニウムからなる、厚み10nmの蒸着層30を形成した。
蒸着層30上に、テトラエトキシシラン10.4gに塩酸(0.1N)89.6gを加え、30分間撹拌し加水分解させた固形分3wt%(SiO換算)の加水分解溶液をグラビアコート法により塗布、乾燥し、厚さ0.4μmの被覆層40を形成した。
最後に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートにより、被覆層40上に未延伸ポリプロピレンフィルム(厚さ30μm)を貼り合わせ、実施例1のガスバリアフィルムを得た。
(実施例2)
前処理層20として、Oガスでのプラズマ処理層を750W・sec/mの処理強度で形成した点を除き、実施例1と同様にして、実施例2のガスバリアフィルムを作成した。
(実施例3)
前処理層20として、Arガスでのプラズマ処理層を100W・sec/mの処理強度で形成した点を除き、実施例1と同様にして、実施例3のガスバリアフィルムを作成した。
(実施例4)
前処理層20として、Arガスでのプラズマ処理層を750W・sec/mの処理強度で形成した点を除き、実施例1と同様にして、実施例4のガスバリアフィルムを作成した。
(比較例1)
前処理層20を形成しない点を除き、実施例1と同様にして、比較例1のガスバリアフィルムを作成した。
各実施例、比較例における評価項目および測定方法を以下に示す。
(基材表面のパワースペクトル解析)
基材表面のパワースペクトル解析は、日立ハイテクサイエンス社製の原子間力顕微鏡(AFM5400L)を使用し、1μm×1μmの範囲で断面プロファイルデータ(単位はnm)を取得した。得られた断面の波形をフーリエ変換で各周波数成分に分割し、単位周波数幅ごとに、各範囲に含まれる周波数でのパワースペクトル強度を積算する。そして、得られたパワースペクトル強度をデータの個数で割り、単位周波数当たりのパワースペクトルであるパワースペクトル密度を算出した。パワースペクトル密度算出の式を以下に示す。
断面プロファイルの波形は不規則変動であり、様々な周波数の波の重ね合わせであるため、以下のフーリエ積分(1)式で表すことができる。フーリエ成分X(f)は周波数fの波ei2πftの振幅(単位はnm)を表している。
Figure 2022106122000002
得られたフーリエ成分は各周波数成分の複素数成分の大きさと位相を表しており、フーリエ変換の周波数分解能Δfに依存しないように単位周波数幅(1Hz幅)当たりのパワー値として表現するため、フーリエ成分をエネルギー(パワー)に変換して比較する。周波数分解能Δfは以下の(2)式で表される。
Δf=1/T=f/N・・・(2)
周波数分解能を高くする(Δfを小さくする)ためにはサンプリング周波数fを低くするか、サンプリング点数Nを大きくするかのいずれかとなる。
フーリエ変換から求めた複素数Zは実数成分をa、虚数成分をbi、実数をAとすると以下の(3)式で表される。
Z=a+bi=Aeiθ ・・・(3)
したがって、パワースペクトルは複素数の絶対値|Z|で表すことができる。
パワースペクトル A=|Z|=√(a+b) ・・・(4)
そして、このパワースペクトルを単位周波数当たりの値にするため、パワースペクトルをデータの個数で割り、単位周波数当たりのパワースペクトルであるパワースペクトル密度を得た。
(製造直後の蒸着層密着性評価)
各例のガスバリアフィルムにおいて、JIS Z1707に準拠して試験片を切り出し、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC-1250を用いて測定した蒸着層30の剥離強度を密着性の指標として測定した。測定は、T形剥離と180°剥離の2種類を、それぞれ常態(Dry)および測定部位湿潤(Wet)で行った。
(熱水処理後のガスバリア層密着性評価)
各例のガスバリアフィルム2枚を、シーラント層60を対向させて重ね、三辺を熱融着により接合して、各例のパウチ(包装容器)を作製した。各例のパウチに内容物として水を充填した後、開放している一辺を熱融着により封止した。その後、熱水処理として、ボイル処理(90℃30分)を行った。
熱水処理後、JIS Z1707に準拠して各例のパウチの内容物と接していた部位から試験片を切り出し、オリエンテック社テンシロン万能試験機RTC-1250を用いて測定した蒸着層30の剥離強度を密着性の指標として測定した。測定は、T形剥離と180°剥離の2種類を、それぞれ常態(Dry)および測定部位湿潤(Wet)で行った。
(製造直後および熱水処理後のガスバリア性能評価)
上記手順で作製した各例のパウチを製造直後および熱水処理した後、パウチを開封してガスバリアフィルムの酸素透過度(OTR)(単位:cc/m・day・atm、測定条件:30℃-70%RH)、および水蒸気透過度(WVTR)(単位:g/m・day、測定条件:40℃-90%RH)を評価した。
結果を表1に示す。
Figure 2022106122000003
実施例1-4に係るガスバリアフィルムは、基材表面から得られるパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.002nm/Hz以下、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以下、波長100nmにおいて0.300nm/Hz以下であったため、緻密なバリア層が形成され、被覆層形成後の水蒸気バリア性に優れていた。
比較例1に係るガスバリアフィルムは、基材表面から得られるパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.002nm/Hz以上、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以上、波長100nmにおいて0.300nm/Hz以上であったため、実施例1-4と比べて、被覆層形成後の水蒸気バリア性が劣っていた。
実施例1と比較例1におけるパワースペクトル密度の比較を図2に示す。
本発明は、包装等に用いるガスバリアフィルムに利用できる。
1 ガスバリアフィルム
10 基材
20 前処理層
30 蒸着層
40 被覆層
50 接着剤層
60 シーラント層

Claims (9)

  1. 高分子材料を主成分とする基材と、前記基材の第一面上に形成されたガスバリア層と、前記ガスバリア層上に形成された被覆層とを備え、前記基材の第一面上における1μm×1μmの範囲での原子間力顕微鏡測定から得られるパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.002nm/Hz以下、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以下、波長100nmにおいて0.300nm/Hz以下のいずれか、もしくは複数を満たすことを特徴とする、ガスバリアフィルム。
  2. 前記第一面にガスバリア層を形成する前に、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂またはプラズマ処理による前処理層を有する、請求項1に記載のガスバリアフィルム。
  3. 前記ガスバリア層はアルミニウム、酸化アルミニウム、酸化珪素、炭素を含む酸化珪素のいずれかを主成分とし、平均膜厚が3nm以上300nm以下である、請求項1または2に記載のガスバリアフィルム。
  4. 前記被覆層は、1種類以上のアルコキシドまたはその加水分解物と、水溶性高分子、多価金属化合物、カルボン酸の多価金属塩のいずれかを含有する、請求項1から3のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  5. 前記被覆層形成後の水蒸気透過度が2.0g/m・day以下、かつ酸素透過度が3.0cc/m・day・atm以下である、請求項1から4のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  6. 熱融着可能なシーラント層をさらに備え、前記シーラント層が接着剤層により前記被覆層に接合されている、請求項1から5のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  7. 前記基材と前記ガスバリア層もしくはシーラント層との剥離強度が1.0N/15mm以上である、請求項1から6のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  8. 95℃30分の熱水処理後において、
    酸素透過度が5.0cc/m・day以下、かつ水蒸気透過度が2.0g/m2・day以下であり、
    前記基材と前記ガスバリア層もしくはシーラント層との剥離強度が1.0N/15mm以上である、請求項1から7のいずれかに記載のガスバリアフィルム。
  9. 高分子材料を主成分とする基材の表面を処理して、前記表面における1μm×1μmの範囲での原子間力顕微鏡測定から得られるパワースペクトル密度が、波長1nmにおいて0.002nm/Hz以下、波長10nmにおいて0.020nm/Hz以下、波長100nmにおいて0.300nm/Hz以下のいずれか、もしくは複数を満たす処理面を作成し、
    前記処理面上にガスバリア層を形成し、
    前記ガスバリア層上に被覆層を形成する、ガスバリアフィルムの製造方法。
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