JP4984702B2 - 高防湿性バリアフィルム - Google Patents

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Description

本発明は、食品、医薬品、精密電子部品等の包装に際して用いられる包装材料として好適に用いられる高防湿性バリアフィルムに関するものである。
近年、食品や医薬品等の包装に用いられる包装材料は、内容物の変質を抑制してそれらの機能や性質を保持できるようにするため、酸素、水蒸気、その他内容物を変質させる気体による影響を阻止する機能を有している必要があり、これらを遮断するガスバリア性等を備えていることが求められている。そのため従来から、温度や湿度等による影響が少ないアルミニウム等からなる金属箔をガスバリア層として用いた包装材料が一般的に用いられてきた。
ところが、アルミニウム等からなる金属箔をガスバリア層として用いた包装材料は、そのガスバリア性が温度や湿度等により影響し難く、高度なガスバリア性を保持できるものの、使用後の廃棄の際には不燃物として処理しなければならない、包装された内容物を検査する際には金属探知器が使用できない、等々の欠点を有しており問題があった。
そこで、これらの欠点を克服した包装材料として、プラスチックフィルム上に、真空蒸着法やスパッタリング法等の薄膜形成手段により酸化珪素、酸化アルミニウム等の無機酸化物の蒸着薄膜層を形成した蒸着フィルムが開発されている。これらの蒸着フィルムは、酸素や水蒸気等に対する優れたガスバリア性を有していることが知られ、包装材料として広く使用されている。
一般的に、このような蒸着フィルムにおいては、その無機酸化物からなる蒸着薄膜層を完全結晶の構造のものとして形成することは困難であり、実際には部分的に不完全な結晶(またはアモルファス)構造をとる。このような構造の蒸着薄膜層においては、その不完全結晶部が長期間水分と接触すると、水分の影響で変質を起こす。例えば蒸着薄膜層が酸化アルミニウムからなる場合、その不完全結晶部が水と反応し、その部分において水酸化アルミニウムが生成されて体積が膨張し、マイクロクラックの発生を引き起こし、バリア性を劣化させることがある。
一方、上記のような蒸着フィルムを用いて包装容器や包装袋等の包装体が作成されることがあるが、このような包装体においては、包装体の外部からの水分と、包装体内に収納されている内容物からの水分によりアタックを受けるようになる。これらの水分は蒸着フィルムの無機酸化物からなる蒸着薄膜層のそれぞれの界面まで到達する。そのとき、蒸着薄膜層自体には水分バリア性があるため、無機酸化物からなる蒸着薄膜層の両界面で水分が一旦停滞する。しかし、この停滞が長期間に亘ると、上述したように無機酸化物からなる蒸着薄膜層が変質し、蒸着フィルムが水分にアタックされる前に有していたバリア性が劣化することになる。
従って、包装体を構成する蒸着フィルムは、その蒸着薄膜層が両面からの水分アタックに十分耐え得るバリア性を有している必要がある。
他方、包装材料として使われている透明蒸着フィルムとして、バリア性をさらに高めた、プラスチック基材/無機酸化物蒸着薄膜層/有機オーバーコート層の有機無機ハイブリッド構成のものが盛んに使われている。この透明蒸着フィルムの有機オーバーコート層の多くは、酸素バリア性に優れるポリビニルアルコールを主原料としたコーティング剤によ
り形成されており、また、プラスチック基材としてはポリエチレンフタレートフィルムが多く用いられている。従ってこのような構成の透明蒸着フィルムにおいては、そのプラスチック基材の表面に水酸基等の官能基が多く存在し、水分を呼び込んで蓄積し易くなっており、また、オーバーコート側もポリビニルアルコール等の親水性樹脂がよく使われているので、水分を呼び込んで蓄積し易くなっている。このため、無機酸化物からなる蒸着薄膜層の両界面は、水分を非常に蓄積しやすい環境となっており、水分のアタックをうけるとバリア性が劣化し易くなっている。
本発明は上記の課題点を解決するためになされたものであり、プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層とガスバリア性被膜層がこの相対的順序で少なくとも設けられているバリアフィルムであって、長期に亘って水分アタックを受けたとしても、当初有していた高い防湿バリア性を維持し続けるようにした高防湿性バリアフィルムの提供を目的とする。
以上のような状況に鑑みなされ、請求項1記載の発明は、プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層とガスバリア性被膜層がこの相対的順序で少なくとも設けられているバリアフィルムであって、プラスチック基材の無機酸化物から蒸着薄膜層が設けられている側の上層部分には、表層から内部に向かってO/C原子比が0.2から0.5へと漸次変化している層状の傾斜カーボン改質部が位置していると共に、ガスバリア性被膜層はSi(OR14およびR2Si(OR33(OR1、OR3は加水分解性基であり、R2は有機官能基である。)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子を主剤とする混合溶液からなる薄膜の加熱乾燥被膜であることを特徴とする高防湿性バリアアフィルムである。
また、請求項項2記載の発明は、請求項1記載の高防湿性バリアアフィルムにおいて、前記層状の傾斜カーボン改質部は、リアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマによりプラスチック基材の上層部分に改質処理を施すことによって得られたものであることを特徴とする。
さらにまた、請求項3記載の発明は、請求項1記載の高防湿性バリアフィルムにおいて、前記Si(OR14の加水分解性基(OR1)がテトラエトキシシランであることを特徴とする。
さらにまた、請求項4記載の発明は、請求項1記載の高防湿性バリアフィルムにおいて、前記R2Si(OR33の有機官能基(R2)が、ビニル、エポキシ、メタクリロキシ、ウレイド、イソシアネートのいずれかの非水性官能基を有することを特徴とする。
さらにまた、請求項5記載の発明は、請求項1記載の高防湿性バリアフィルムにおいて、前記有機官能基(R2)が、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)基のいずれかであることを特徴とする。
さらにまた、請求項6記載の発明は、請求項1記載の高防湿性バリアフィルムにおいて、前記混合溶液において、Si(OR14はSiO2に、R2Si(OR33をR2Si(OH)3に換算した場合、R2Si(OH)3の固形分が全固形分に対し1〜50重量%であることを特徴とする。
さらにまた、請求項7記載の発明は、請求項1記載の高防湿性バリアフィルムにおいて
、前記混合溶液において、Si(OR14はSiO2に、R2Si(OR33をR2Si(OH)3に換算した場合、固形分の配合比が重量比率でSiO2/(R2Si(OH)3/水溶性高分子)=100/100〜100/30の範囲内であることを特徴とする。
本発明によれば、無機酸化物からなる蒸着薄膜層のプラスチック基材側からの水分の浸入を層状の傾斜カーボン改質部により抑制でき、さらには水分の停滞をし難くすることができる。また、無機酸化物からなる蒸着薄膜層のもう一方の側からの水分はシランカップリング剤を含んだガスバリア性被膜層により、上記層状の傾斜カーボン改質部と同様に水分の浸入、滞留を低減することができる。従って、これらの傾斜カーボン改質部とガスバリア性被膜層との協働により、長期間に亘って優れた防湿性を維持することができ、延いては高いガスバリア性を確保することが可能となる。
以下に、本発明の実施の形態について、図面を参照にして詳細に説明する。
図1は本発明の高防湿性バリアフィルムの概略の断面構成を示している。この高防湿性バリアフィルム10は、図面からも分かるように、プラスチック基材1の一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3とガスバリア性被膜層4がこの相対的順序で設けられているバリアフィルムであって、プラスチック基材1の無機酸化物からなる蒸着薄膜層3が設けられている側の上層部分には、表層から内部に向かってO/C原子比が0.2から0.5へと漸次変化している厚さが0.1〜10nm程度の層状の傾斜カーボン改質部2が位置していると共に、その上にはガスバリア性被膜層4はSi(OR14およびR2Si(OR33(OR1、OR3は加水分解性基であり、R2は有機官能基である。)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子を主剤とする混合溶液からなる薄膜の加熱乾燥被膜が設けられている。
上述したプラスチック基材1はプラスチック材料からなり、後述する無機酸化物からなる蒸着薄膜層3の透明性を生かすために可能であれば透明なフィルム基材であることが好ましい。このプラスチック基材1の例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)等からなるポリエステルフィルム、ポリエチレンやポリプロピレン等からなるポリオレフィンフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリアミドフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリアクリルニトリルフィルム、ポリイミドフィルム等が挙げられる。これらは、延伸、未延伸のどちらでもよいが、機械的強度や寸法安定性に優れるものがよい。この中で、二軸方向に任意に延伸されたポリエチレンテレフタレートフィルムやポリアミドフィルムが好ましく用いられる。またこのプラスチック基材1の無機酸化物からなる蒸着薄膜層3が設けられる面とは反対側の面に、周知の種々の添加剤や安定剤、例えば帯電防止剤、紫外線防止剤、可塑剤、滑剤等からなる薄膜が設けられていてもよい。
プラスチック基材1の厚さはとくに制限を受けるものではないが、本発明の高防湿性バリアフィルム作製の際の、プライマー層、無機酸化物からなる蒸着薄膜層、ガスバリア性被膜層等の薄膜の形成工程における加工性を考慮すると、実用的には3〜200μmの範囲、特に好ましくは6〜30μmの範囲にあればよい。また包装材料用途としての適性を考慮して、単層フィルムだけではなく、異なる性質のフィルムを積層した多層フィルムであってもよい。
このようなプラスチック基材1の上層部分は、表面から内部に向かってO/C原子比が0.2〜0.5へと漸次変化している、厚さが0.1〜10nm程度の層状の傾斜カーボン改質部2となっている。プラスチック基材1の上層部分におけるこの層状の傾斜カーボ
ン改質層2のO/C原子比が0.2〜0.5へと漸次変化して傾斜した構造をとっていると、基材との密着性を維持したままプラスチック基材側からの水分浸入を遮断するといった効果を奏するようになる。因みに、O/C原子比がこの傾斜範囲から外れると、水分遮断効果が低くなってしまう。
この層状の傾斜カーボン改質部2は、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3がプラスチック基材1側から浸入してくる水分を抑制し、さらには水分の停滞をし難くする役目を担う部分である。そして、後述するガスバリア性被膜層4との協働により、本発明の高防湿性バリアフィルム10の長期間に亘る優れた防湿性の維持、延いては高いガスバリア性の維持を確保することを可能とするものである。
傾斜カーボン改質部2の厚さは、一般的には0.1〜10nmの範囲にあることが望ましく、具体的な値はこの範囲内で適宜選択され得る。層状の傾斜カーボン改質部2をプラスチック基材1の表面部分に形成、配置させるためには、例えば、アルゴンガス等を用いたRIEモードのプラズマからの強力なイオン衝撃によりプラスチック基材1の表面部分を炭化処理し、プラスチック基材1の表面から内部に向かってO/C原子比を、前述したように0.2〜0.5へと漸次変化させるようにすればよい。
この際の傾斜カーボン改質部の改質処理条件は、基材の種類、用途、放電装置特性等に応じて適宜設定すべきである。ただし、プラズマの自己バイアス値は200V以上、2000V以下、Ed=プラズマ密度×処理時間で定義されるEd値が100W・s・m-2以上、10000V・s・m-2以下にすることが望ましい。これ以下であると、有効なカーボン改質に必要なイオン衝撃が得られ難くなり、またこれ以上では安定なプラズマ放電自体が得られ難くなる。
一方、無機酸化物からなる蒸着薄膜層3は所期のガスバリア性の付与を目的に設けられているもので、その厚さは、一般的には3〜500nmの範囲内にあることが望ましい。ただし厚さが3nm未満であると均一な膜が得られないことやガスバリア性を確保するには厚さが不足となることがあるため、ガスバリア材としての機能を十分に果たすことができない場合がある。また厚さが300nmを越える場合は蒸着薄膜層にフレキシビリティを保持させることがし難くなり、成膜後に加わる折り曲げ、引っ張り等により、薄膜層に亀裂を生じるおそれがあるので問題がある。より好ましくは、10〜150nmの範囲内にあればよい。
この無機酸化物からなる蒸着薄膜層3をプラスチック基材1の上層部分に位置する傾斜カーボン改質部2上に形成する方法としては種々ある。具体的には、真空蒸着法や、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD)等を用いることが可能である。但し生産性を考慮すれば、現時点では真空蒸着法が最も優れている。真空蒸着法の加熱手段としては電子線加熱方式や抵抗加熱方式、誘導加熱方式のいずれかの方式を用いることが好ましいが、蒸着材料の選択性の幅広さを考慮すると電子線加熱方式を用いることがより好ましい。また蒸着薄膜層3とプラスチック基材1の密着性及び蒸着薄膜層の緻密性を向上させるために、プラズマシスト法やイオンビームアシスト法を用いて蒸着することも可能である。
次いでガスバリア性被膜層4について詳しく説明する。ガスバリア性被膜層4は、Si(OR14およびR2Si(OR33(OR1、OR3は加水分解性基であり、R2は有機官能基である。)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子を主剤とする混合溶液からなる薄膜の加熱乾燥被膜である。
ガスバリア性を有する被膜として、金属アルコキシドの加水分解後の縮合により得られ
るセラミック状の被膜はよく知られている。しかしこの被膜は硬く、さらに縮合時の体積縮小による歪みによりクラックが入りやすい為、基材上に薄くて透明な縮合体被膜として均一に形成することは非常に困難である。これに対し、金属アルコキシドに高分子を添加して混合溶液とし、この混合溶液によって薄膜を形成することにより、その薄膜に柔軟性を付与し、クラックの発生を防止することができる。しかし高分子を添加したこの混合溶液はその混合状態が目視観察では均一のように見えていても、微視的には金属酸化物と高分子部分とに分離していることが多く、それからなる薄膜においてバリアの孔になりやすい。
また、金属アルコキシドあるいはその加水分解物と水酸基を有する水溶性高分子の混合溶液により成膜される薄膜の加熱乾燥被膜からなるガスバリア性被膜層はその成膜が水素結合に基づくため、水に膨潤し溶解する。従って、前記した無機酸化物からなる蒸着薄膜層との積層構造による相乗効果により高いガスバリア性の効果が発現し得たとしても、その効果は過酷な環境下、特に水分によるアタックに晒される環境下においてはバリア性の劣化を免れることはできない。
そこで、本発明においては、ガスバリア性被膜層4を構成する混合溶液の一成分として、R2Si(OR33(OR3は加水分解性基であり、R2は有機官能基である。)で表される、いわゆるシランカップリング剤を添加することにより、それによって成膜される薄膜が水により膨潤しないようにすることができる。R2Si(OR33は加水分解基によりSi(OR14で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子と水素結合を形成するためにバリアの孔になり難く、また一方では有機官能基はネットワークをつくることで水素結合の膨潤を防ぐように働く。なかでも、ビニル基、エポキシ基、メタクリロキシ基、ウレイド基、イソシアネート基を持つものは、官能基が疎水性で非水性官能基のため耐水性はさらに向上する。
このガスバリア性被膜層4の成膜に用いられる混合溶液においては、Si(OR14はSiO2に、R2Si(OR33はR2Si(OH)3に換算したとき、R2Si(OR33の固形分が全固形分に対し1〜50重量%であることが望ましい。1重量%未満であると得られる被膜層の耐水性効果は低くなり、50重量%を超えると官能基がバリアの孔になり易くなるため好ましくない。また、包装材料やそれからなる包装体に対してはボイル、レトルト殺菌処理等が施されることがあるが、これらの処理に対して必要な耐水性と、高いバリア性を考慮すると、5〜30%であることがより望ましい。
一方、Si(OR14はSiO2に、R2Si(OR33はR2Si(OH)3に換算したとき、固形分の配合比が重量比率でSiO2/(R2Si(OH)3/水溶性高分子)=100/100〜100/30の範囲内であれば、ボイル・レトルト殺菌処理等に必要な耐水性と高いバリア性はもちろん、包装材料としての使用を考えた場合の被膜柔軟性によるフレキシブル性が十分付与されるようになる。
一方、Si(OR14において、R1としては、CH3、C25、C24OCH3等で表せるものであればいずれも使用することができる。なかでも、テトラエトキシシランが加水分解後、水系の溶媒中において比較的安定であるため好ましい。
また、上記組成の混合溶液の一成分である水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、でんぷん、セルロース類が好ましく用いられる。特にポリビニルアルコール(以下PVA)を用いた場合にはガスバリア性が最も優れるようになる。なぜならPVAはモノマー単位中に最も多く水酸基を含む高分子であるため加水分解後の金属アルコキシドの水酸基と非常に強固な水素結合をもつからである。ここで言うPVAとは、一般にポリ酢酸ビニルをケン化して得られるもので、酢酸基が数十%残存している、いわゆる部分ケン化P
VAから酢酸基が数%しか残存していない完全ケン化PVAまでを含む。PVAの分子量は重合度が300〜数千まで多種あるがどの分子量のものを用いても効果にあまり差はでてこない。しかし一般的にケン化度が高くまた重合度が高い高分子量のPVAは耐水性を向上させるので好ましい。
また、混合溶液においては、例えば、Si(OR14としてテトラエトキシシラン、水溶性高分子としてPVAを用いた場合、金属アルコキシドあるいは金属アルコキシドの加水分解物を金属酸化物(例えばSiO2)に換算したときの金属酸化物と水溶性高分子との重量比率は、特にSiO2/PVAが100/10〜100/100であることがより好ましい。PVAが100/10より少ないと被膜が硬くなってフレキシビリティーが低下し、ヒビ割れが発生し易くなり、バリア性が劣化し易くなってしまう。またPVAが100/100以上であれば耐水性を阻害することにもなる。
このような組成の混合溶液は、加水分解したSi(OR14と水酸基をもつ水溶性高分子、R2Si(OR33をどの順番で混合しても、それからなる被膜においても上記したような諸効果は発現する。特にSi(OR14とR2Si(OR33を別々に加水分解してから水溶性高分子に添加する方法は、SiO2の微分散およびSi(OR14の加水分解効率を考慮すると望ましい混合方法といえる。
また、混合溶液へ、インキや接着剤との密着性、濡れ性、収縮によるクラック発生防止性を考慮して、イソシアネート化合物、コロイダルシリカやスメクタイト等の粘土鉱物、安定化剤、着色剤、粘度調整剤等の公知の添加剤を、ガスバリア性や耐水性の発現を阻害しない範囲で添加することができる。
この混合溶液からなる薄膜を加熱乾燥して得られるガスバリア性被膜層の厚さは特に限定しない。但し乾燥後の厚さが、0.01μm未満の場合は、均一な被膜が得られ難く、十分なガスバリア性を得られない場合があるので好ましくない。また厚さが50μmを超える場合は被膜にクラックが生じ易くなるため問題となる場合がある。好ましくは0.01〜50μmの範囲にあればよい。より好ましくは0.1〜10μmの範囲にあればよい。
上記したような組成の混合溶液からなる薄膜の形成方法としては、通常のコーティング方法を用いることができる。例えばディッピング法、ロールコート、グラビアコート、リバースコート、エアナイフコート、コンマコート、ダイコート、スクリーン印刷法、スプレーコート、グラビアオフセット法等である。これらのコーティング方法を用いて無機酸化物からなる蒸着薄膜層3の上に形成すればよい。
ガスバリア性被膜層3の上には、必要に応じて印刷層、介在フィルム、シーラント層等を積層させて、包装材料とすることが出来る。
介在フィルムは、袋状包装材料として用いた時の破袋強度や突き刺し強度を高めるために設けられるもので、一般的に機械強度及び熱安定性の面から二軸延伸ナイロンフィルム、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム、二軸延伸ポリプロピレンフィルム等を積層して設けられるものである。その厚さは、材質や要求品質に応じて決められるが、一般的には10〜30μmの範囲にあればよい。
さらにシーラント層は袋状包装体等を形成する際に接着層となるように設けられるものである。例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体及びそれらの金属架橋物等の樹
脂により形成される層である。その厚さは目的に応じて決められるが、一般的には15〜200μmの範囲にあればよい。
本発明においては、ガスバリア性被膜層3の側のみならず、プラスチック基材1の反対面にも、必要に応じてこれらの印刷層、介在フィルム、シーラント層等を積層させることも可能である。
以下に本発明の高防湿性バリアフィルムの実施例を具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
プラスチック基材として厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを用いた。次に、この片面に、アルゴンガスのRIEモードのプラズマによるイオンの衝撃によりカーボン化改質処理を施し、表面から内部に向かって1nmの厚さの範囲で、O/C原子比が表層側から内部に向かって0.2〜0.5へと漸次傾斜して変化するようにし、厚さが1nmの層状の傾斜カーボン改質部を設けた。この時の電極には周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。次に、カーボン化改質処理によって得られた傾斜カーボン改質部の上に電子線加熱による反応性蒸着方式で、酸化アルミニウムからなる蒸着薄膜層を、15nmの厚さで成膜して、蒸着フィルムを得た。
続いて、下記に示すA液とB液とC液を配合比(wt%)で70/20/10に混合した混合溶液からなる薄膜を前記工程で得られた蒸着薄膜層上にグラビアコート法により成膜し、しかる後に加熱乾燥し、厚さ0.3μmのガスバリア性被膜層を形成することにより、実施例1に係る本発明の高防湿性バリアフィルムを得た。
A液:テトラエトキシシラン(以下TEOSとする)17.9gとメタノール10gに塩酸(0.1N)72.1gを加え、30分間攪拌し加水分解させた固形分5wt.%(SiO2換算)の加水分解溶液。
B液:ポリビニルアルコールの5wt.%水/メタノール溶液(水/メタノール重量比=95/5)。
C液:β−(3,4エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシランとイソプロピルアルコール(IPA溶液)に塩酸(1N)を徐々に加え、30分間攪拌し加水分解させた後、水/IPA=1/1溶液で加水分解を行い、固形分5wt.%(R2Si(OH)3換算)に調整した加水分解溶液。
傾斜カーボン改質部を設けていない厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムを使用した以外は実施例1と同様の方法で、比較のための実施例2に係るバリア性フィルムを得た。
厚さ12μmの二軸延伸PETフィルムからなるプラスチック基材上に化学的気相成長法(CVD)によりカーボン膜を1nmの厚さで成膜した以外は実施例1と同様の方法で、比較のための実施例3に係るバリア性フィルムを得た。
そして、実施例1〜3のバリア性フィルムのガスバリア性被膜層のそれぞれ上に、二液硬化型ポリウレタン系接着剤を用いて、ドライラミネートにより未延伸ポリエチレン(厚さ70μm)を積層し、包装材料をそれぞれ作製した。
<評価1>包装体からの水分気散量
上記各包装材料を用いて四方パウチを作製し、内容物として水道水を充填し、40℃38%RHの雰囲気下で3ヶ月間保存し、重量減少を測定し、水分気散量を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0004984702
実施例2、3に係るバリア性フィルムを用いて作製された四方パウチに比べ、実施例1に係る本発明の高防湿性バリアフィルムを用いて作製された四方パウチは高温高湿度下に長期間保存されても、その防湿バリア性が低下しないことが分かる。
本発明の高防湿バリア性フィルムの概略の断面構成を示す説明図である。
符号の説明
1…プラスチック基材
2…傾斜カーボン改質部
3…無機酸化物からなる蒸着薄膜層
4…ガスバリア性被膜層

Claims (7)

  1. プラスチック基材の少なくとも一方の面に、無機酸化物からなる蒸着薄膜層とガスバリア性被膜層がこの相対的順序で少なくとも設けられているバリアフィルムであって、プラスチック基材の無機酸化物からなる蒸着薄膜層が設けられている側の上層部分には、表面から内部に向かってO/C原子比が0.2から0.5へと漸次変化している層状の傾斜カーボン改質部が位置していると共に、ガスバリア性被膜層はSi(OR14およびR2Si(OR33(OR1、OR3は加水分解性基であり、R2は有機官能基である。)で表されるケイ素化合物あるいはその加水分解物と、水酸基を有する水溶性高分子を主剤とする混合溶液からなる薄膜の加熱乾燥被膜であることを特徴とする高防湿性バリアアフィルム。
  2. 前記層状の傾斜カーボン改質部は、リアクティブイオンエッチング(RIE)モードのプラズマによりプラスチック基材の上層部分に改質処理を施すことによって得られたものであることを特徴とする請求項1記載の高防湿性バリアフィルム。
  3. 前記Si(OR14の加水分解性基(OR1)が、テトラエトキシシランであることを特徴とする請求項1記載の高防湿性バリアフィルム。
  4. 前記R2Si(OR33の有機官能基(R2)が、ビニル、エポキシ、メタクリロキシ、ウレイド、イソシアネートのいずれかの非水性官能基を有することを特徴とする請求項1記載の高防湿性バリアフィルム。
  5. 前記有機官能基(R2)が、γ−グリシドキシプロピル基、β−(3,4エポキシシクロヘキシル)基のいずれかであることを特徴とする請求項1記載の高防湿性バリアフィルム。
  6. 前記混合溶液において、Si(OR14はSiO2に、R2Si(OR33はR2Si(OH)3に換算した場合、R2Si(OH)3の固形分が全固形分に対し1〜50重量%であることを特徴とする請求項1記載の高防湿性バリアフィルム。
  7. 前記混合溶液において、Si(OR14はSiO2に、R2Si(OR33はR2Si(OH)3に換算した場合、固形分の配合比が重量比率でSiO2/(R2Si(OH)3/水溶性高分子)=100/100〜100/30の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の高防湿性バリアフィルム。
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