JP2022103615A - X線コンピュータ断層撮影装置、陽極劣化推定方法、および陽極劣化推定プログラム - Google Patents

X線コンピュータ断層撮影装置、陽極劣化推定方法、および陽極劣化推定プログラム Download PDF

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Abstract

【課題】X線管の劣化により変化したX線スペクトルとX線管の劣化度とのうち少なくとも一つを決定すること。【解決手段】本実施形態に係るX線CT装置は、第1のタイミングで取得され、X線検出器のチャネル方向の第1の位置の検出素子からの第1の出力および第1の位置よりもチャネル方向の端部側の第2の位置の検出素子からの第2の出力と、第1、第2の出力に基づく第1の出力比と、第1のタイミングでの第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶する記憶部と、第1のタイミング後の第2のタイミングでの第1の検出素子からの第3の出力と第2の検出素子からの第4の出力とを取得する取得部と、第1、第2の出力と第1の出力比と第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、第3、第4の出力とに基づいて、第2のタイミングにおけるX線管の第2の照射スペクトルとX線管の劣化度とのうち少なくとも一つを決定する決定部と、を備える。【選択図】図5

Description

本実施形態は、X線コンピュータ断層撮影装置、陽極劣化推定方法、および陽極劣化推定プログラムに関する。
光子計数(Photon Counting)型のX線コンピュータ断層撮影(Computed Tomography)装置(以下、PCCT装置と呼ぶ)は、複数のエネルギービン各々において、被検体を透過したX線光子のカウント数と、当該被検体を透過する前のX線光子のスペクトル(以下、空気照射スペクトルと呼ぶ)との比を演算する。当該演算により、PCCT装置は、複数のエネルギービン各々における線減弱係数を演算し、被検体の断面画像を再構成する。
一方で、PCCT装置におけるX線管の長期使用に伴って、当該X線管における陽極の素材(以下、陽極素材と呼ぶ)は劣化する。当該陽極素材の劣化により、X線管から照射されるX線の出力において軟X線側の出力が減衰する。このため、空気照射スペクトルは、変化する。空気照射スペクトルの変化により線減弱係数が正しく計算できないことは、再構成された断面画像においてCT値シフトなどのアーチファクトの原因となる。CT値シフトを回避するために、CTスキャン時において、正味の空気照射スペクトルを知る必要がある。
他方、PCCT装置におけるX線検出器におけるエネルギービンの幅は可変である。任意のエネルギービンの閾値設定により空気照射スペクトルの変化を知るためには、細かいエネルギービンでのスペクトルを取得する必要がある。このためには、X線光子の測定に関するエネルギービンの幅を細かく設定し、かつ少しずつ測定に関するエネルギービンの領域をシフトさせながら何度もX線光子の測定を行う必要があり、多大な時間を要する。
米国特許出願公開第2019/0099149号明細書
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、X線管の劣化により変化したX線スペクトルとX線管の劣化度とのうち少なくとも一つを簡便に決定することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
本実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、記憶部と、取得部と、決定部とを備える。記憶部は、第1のタイミングで取得され、X線検出器のチャネル方向の第1の位置における第1の検出素子からの第1の出力および前記第1のタイミングで取得され、前記第1の位置よりも前記チャネル方向の端部側である第2の位置における第2の検出素子からの第2の出力と、前記第1の出力と前記第2の出力とに基づく第1の出力比と、前記第1のタイミングにおけるX線管の第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶する。取得部は、前記第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、前記第1の検出素子からの第3の出力と、前記第2の検出素子からの第4の出力とを取得する。決定部は、前記第1の出力および前記第2の出力と、前記第1の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、前記第3の出力と、前記第4の出力とに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記X線管の第2の照射スペクトルと前記X線管の劣化度とのうち少なくとも一つを決定する。
図1は、実施形態に係るX線CT装置の構成例を示す図。 図2は、実施形態に係り、第1の位置における第1の検出素子と第2の位置における第2の検出素子との一例を示す図。 図3は、実施形態に係り、第1の出力比と、陽極素材の劣化の程度に応じた複数の第2の出力比との一例を示す図。 図4は、実施形態に係り、第1のタイミングおよび第2のタイミングに関する照射スペクトルRSの一例を示す図。 図5は、実施形態に係る劣化推定処理の手順の一例を示すフローチャート。
以下、図面を参照しながら、X線コンピュータ断層撮影装置、陽極劣化推定方法、および陽極劣化推定プログラムの実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。説明を具体的にするために、実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、フォトンカウンティングCTを実行可能な光子計数(Photon Counting)型のX線コンピュータ断層撮影装置(以下、X線CT(computed tomography)装置と呼ぶ)として説明する。X線CT装置は、フォトンカウンティング方式のX線検出器(以下、光子計数型X線検出器と呼ぶ)を用いて被検体を透過したX線を計数することで、SN比の高いX線CT画像データを再構成可能な装置である。なお、実施形態に係るX線コンピュータ断層撮影装置は、光子計数型X線検出器に代わりに、積分型(電流モード計測方式)のX線検出器を有していてもよい。
(実施形態)
図1は、本実施形態に係るX線CT装置1の構成例を示す図である。図1に示すように、X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。なお、本実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。図1では、説明の都合上、架台装置10を複数描画しているが、実際のX線CT装置1の構成としては、架台装置10は、一つである。
架台装置10及び寝台装置30は、コンソール装置40を介したユーザからの操作、或いは架台装置10、又は寝台装置30に設けられた操作部を介したユーザからの操作に基づいて動作する。架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とは互いに通信可能に有線または無線で接続されている。
架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮影系を有する装置である。架台装置10は、X線管11(X線発生部)と、X線検出器12と、回転フレーム13と、X線高電圧装置14と、制御装置15と、ボウタイフィルタ(bow-tie filter)16と、コリメータ17と、DAS(Data Acquisition System)18とを有する。
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加及びフィラメント電流の供給により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射することでX線を発生する真空管である。熱電子がターゲットに衝突することによりX線が発生される。X線管11における管球焦点で発生したX線は、X線管11におけるX線放射窓を通過して、コリメータ17を介してコーンビーム形に成形され、被検体Pに照射される。X線管11には、例えば、回転する陽極に熱電子を照射することでX線を発生させる回転陽極型のX線管がある。
X線検出器12は、例えば、光子計数型X線検出器である。光子計数型X線検出器12は、X線管11により発生したX線の光子を計数する。具体的には、光子計数型X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を光子単位で検出し、当該X線量に対応した電気信号をDAS18へと出力する。光子計数型X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数の検出素子が配列された複数の検出素子列を有する。光子計数型X線検出器12は、例えば、当該検出素子列がスライス方向(列方向、row方向)に複数配列された構造を有する。光子計数型X線検出器12は、被検体Pを透過したX線を検出する主検出器とも称される。
光子計数型X線検出器12は、具体的には、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有する。シンチレータは、入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽板を有する。光センサアレイは、複数の光センサ群を有する。光センサ群は、複数の光センサを有する。光センサは、シンチレータからの受けた光を増幅して電気信号に変換する機能を有する。光センサは、例えばAPD(Avalanche Photo-Diode)又はSiPM(Silicon Photo Multiplier)である。言い換えると、光センサは、シンチレータからの光を受けて、入射したX線光子に応じた電気信号(パルス)を出力する。なお、各検出素子が出力する電気信号のことを検出信号とも言う。この電気信号(パルス)の波高値(電圧)は、X線光子のエネルギー値と相関性を有する。なお、光子計数型X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
回転フレーム13は、X線管11と光子計数型X線検出器12とを回転軸回りに回転可能に支持する。具体的には、回転フレーム13は、X線管11と光子計数型X線検出器12とを対向支持し、後述する制御装置15によってX線管11と光子計数型X線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。回転フレーム13は、アルミニウム等の金属により形成された固定フレームに回転可能に支持される。詳しくは、回転フレーム13は、ベアリングを介して固定フレームの縁部に接続されている。回転フレーム13は、制御装置15の駆動機構からの動力を受けて回転軸Z回りに一定の角速度で回転する。
なお、回転フレーム13は、X線管11と光子計数型X線検出器12とに加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に備えて支持する。このような回転フレーム13は、撮影空間をなす開口(ボア)131が形成された略円筒形状の筐体に収容されている。開口131はFOVに略一致する。開口131の中心軸は、回転フレーム13の回転軸Zに一致する。なお、DAS18が生成した検出データは、例えば発光ダイオード(LED)を有する送信機から光通信によって架台装置10の非回転部分(例えば固定フレーム)に設けられた、フォトダイオードを有する受信機に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、前述の光通信に限らず、非接触型のデータ伝送であれば如何なる方式を採用しても構わない。
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器等の電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧及びX線管11に供給するフィラメント電流を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。
制御装置15は、CPU(Central Processing Unit)等を有する処理回路と、モータ及びアクチュエータ等の駆動機構とを有する。処理回路は、ハードウェア資源として、CPUやMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサとROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)等のメモリとを有する。また、制御装置15は、ASICやフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA)、他の複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)により実現されてもよい。制御装置15は、コンソール装置40からの指令に従い、X線高電圧装置14及びDAS18等を制御する。当該プロセッサは、当該メモリに保存されたプログラムを読み出して実現することで上記制御を実現する。
また、制御装置15は、コンソール装置40若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。例えば、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10をチルトさせる制御、及び寝台装置30及び天板33を動作させる制御を行う。なお、架台装置10をチルトさせる制御は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報により、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって実現されてもよい。また、制御装置15は架台装置10に設けられてもよいし、コンソール装置40に設けられても構わない。なお、制御装置15は、当該メモリにプログラムを保存する代わりに、当該プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むように構成しても構わない。この場合、当該プロセッサは、当該回路内に組み込まれたプログラムを読み出して実行することで上記制御を実現する。
ボウタイフィルタ16は、X線管11におけるX線放射窓の前面に配置される。ボウタイフィルタ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ボウタイフィルタ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。ボウタイフィルタ16は、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
コリメータ17は、ボウタイフィルタ16を透過したX線をX線照射範囲113に絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
DAS18は、複数の計数回路を有する。複数の計数回路各々は、光子計数型X線検出器12の各検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を行う増幅器と、増幅された電気信号をデジタル信号に変換するA/D変換器とを有し、光子計数型X線検出器12の検出信号を用いた計数処理の結果である検出データを生成する。計数処理の結果である検出データは、エネルギービンごとのX線の光子数を割り当てたデータである。例えば、DAS18は、X線管11から照射されて被検体Pを透過したX線に由来する光子(X線光子)を計数し、当該計数した光子のエネルギーを弁別して計数処理の結果とする。DAS18が生成した検出データは、コンソール装置40へと転送される。検出データは、生成元の検出器画素のチャネル番号、列番号、収集されたビュー(投影角度ともいう)を示すビュー番号、及び検出されたX線の線量を示す値のデータのセットである。なお、ビュー番号としては、ビューが収集された順番(収集時刻)を用いてもよく、X線管11の回転角度を表す番号(例、1~1000)を用いてもよい。DAS18における複数の計数回路各々は、例えば、検出データを生成可能な回路素子を搭載した回路群により実現される。
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、天板支持フレーム34とを備えている。基台31は、天板支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33を天板33の長軸方向に移動させるモータあるいはアクチュエータである。寝台駆動装置32は、コンソール装置40による制御、または制御装置15による制御に従い、天板33を移動する。天板支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、天板支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
コンソール装置40は、メモリ41(記憶部)と、ディスプレイ42(表示部)と、入力インターフェース43(入力部)と、処理回路44(処理部)とを有する。メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路44との間のデータ通信は、バス(BUS)を介して行われる。
メモリ41は、種々の情報を記憶するHDD(Hard disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、集積回路記憶装置等の記憶装置である。メモリ41は、例えば、投影データや再構成画像データを記憶する。メモリ41は、HDDやSSD等以外にも、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、フラッシュメモリ等の可搬性記憶媒体や、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリ素子等との間で種々の情報を読み書きする駆動装置であってもよい。また、メモリ41の保存領域は、X線CT装置1内にあってもよいし、ネットワークで接続された外部記憶装置内にあってもよい。
メモリ41は、本実施形態に係る各種プログラムを記憶する。例えば、メモリ41は、処理回路44により実行されるシステム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、取得機能444、決定機能445各々の実行に関するプログラムを記憶する。
また、メモリ41は、第1の出力および第2の出力と、第1の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶する。第1の出力は、第1のタイミングで取得され、X線検出器12のチャネル方向の第1の位置における第1の検出素子からの出力値である。第2の出力は、当該第1のタイミングで取得され、第1の位置よりもチャネル方向の端部側である第2の位置における第2の検出素子からの出力値である。第1のタイミングは、例えば、X線CT装置1の出荷前における任意のタイミングに相当する。第1の出力比は、例えば、第2の出力に対する第1の出力の比を示す値である。第1の照射スペクトルは、当該第1のタイミングにおいて、X線管11のから照射されたX線のスペクトルに対応する。すなわち、第1の照射スペクトルは、X線CT装置1の出荷前において生成される。
図2は、第1の位置における第1の検出素子121と第2の位置における第2の検出素子122との一例を示す図である。図2に示すように、第2の検出素子122は、第1の位置における第1の検出素子121よりもチャネル方向の端部側に位置する。また、第1の検出素子121へ入射するX線R1によるボウタイフィルタ16の透過距離sは、第2の検出素子122へ入射するX線R2によるボウタイフィルタ16の透過距離tより短い(s<t)。
メモリ41は、取得機能444により取得された第3の出力と第4の出力とを記憶する。第3の出力は、第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、第1の検出素子121からの出力値である。第4の出力は、第2のタイミングにおいて、第2の検出素子122からの出力値である。第2のタイミングは、例えば、被検体Pに対するスキャン実行前のキャリブレーションスキャン(エアーキャリブレーションなど)が実行されるタイミングである。なお、メモリ41は、第3の出力と第4の出力とを記憶する代わりに、第3の出力と第4の出力とに基づく第2の出力比を記憶してもよい。このとき、第2の出力比は、第3の出力と第4の出力とに基づいて、取得機能444により生成される。
メモリ41は、第1の出力および第2の出力と、第1の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、第3の出力と、第4の出力とに基づいて、第2のタイミングにおけるX線管11の第2の照射スペクトルとX線管11の劣化度とのうち少なくとも一つを決定する処理(以下、劣化推定処理と呼ぶ)に関するプログラムを記憶する。劣化推定処理については、決定機能445に関する記載などにおいて説明する。また、メモリ41は、劣化度に応じたX線管11のメンテナンスに関する警告の要否を判定するための所定の期間を、当該劣化度に応じて記憶する。
ディスプレイ42は、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路44によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。ディスプレイ42は、決定機能445による制御の元で、所定の警告を表示する。ディスプレイ42としては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、有機ELディスプレイ(OELD:Organic Electro Luminescence Display)、プラズマディスプレイ又は他の任意のディスプレイが、適宜、使用可能となっている。また、ディスプレイ42は、架台装置10に設けられてもよい。また、ディスプレイ42は、デスクトップ型でもよいし、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。ディスプレイ42は、表示部に相当する。
入力インターフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路44に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。入力インターフェース43としては、例えば、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等が適宜、使用可能となっている。
なお、本実施形態において、入力インターフェース43は、マウス、キーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック、タッチパッド及びタッチパネルディスプレイ等の物理的な操作部品を備えるものに限られない。例えば、装置とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を処理回路44へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース43の例に含まれる。また、入力インターフェース43は、入力部の一例である。また、入力インターフェース43は、架台装置10に設けられてもよい。また、入力インターフェース43は、コンソール装置40本体と無線通信可能なタブレット端末等で構成されることにしても構わない。入力インターフェース43は、入力部に相当する。
処理回路44は、入力インターフェース43から出力される入力操作の電気信号に応じて、X線CT装置1全体の動作を制御する。例えば、処理回路44は、ハードウェア資源として、CPUやMPU、GPU(Graphics Processing Unit)等のプロセッサとROMやRAM等のメモリとを有する。処理回路44は、メモリに展開されたプログラムを実行するプロセッサにより、システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、取得機能444、および決定機能445を実行する。システム制御機能441、前処理機能442、再構成処理機能443、取得機能444、および決定機能445各々を実現する処理回路44は、システム制御部、前処理部、再構成処理部、取得部、決定部に相当する。なお、各機能441~445は、単一の処理回路で実現される場合に限らない。複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより各機能441乃至445を実現するものとしても構わない。
システム制御機能441は、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。具体的には、システム制御機能441は、メモリ41に記憶されている制御プログラムを読み出して処理回路44内のメモリ上に展開し、展開された制御プログラムに従ってX線CT装置1の各部を制御する。例えば、処理回路44は、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路44の各機能を制御する。
前処理機能442は、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット補正処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正等の前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータを生データ、前処理後のデータを投影データと称する。
再構成処理機能443は、前処理機能442にて生成された投影データに対して、フィルタ補正逆投影法(FBP法:Filtered Back Projection)や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。再構成処理機能443は、再構されたCT画像データをメモリ41に格納する。フォトンカウンティングCTで得られる計数結果から生成された投影データには、被検体Pを透過することで減弱されたX線のエネルギーの情報が含まれている。このため、再構成処理機能443は、例えば、特定のエネルギー成分のX線CT画像データを再構成することができる。また、再構成処理機能443は、例えば、複数のエネルギー成分それぞれのX線CT画像データを再構成することができる。
また、再構成処理機能443は、例えば、各エネルギー成分のX線CT画像データの各画素にエネルギー成分に応じた色調を割り当て、エネルギー成分に応じて色分けされた複数のX線CT画像データを重畳した画像データを生成することができる。また、再構成処理機能343は、例えば、物質固有のK吸収端(Kエッジ)を利用して、当該物質の同定が可能となる画像データを生成することができる。再構成処理機能443が生成する他の画像データとしては、単色X線画像データや密度画像データ、実効原子番号画像データ等が挙げられる。
取得機能444は、第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、第1の検出素子121からの第3の出力と、第2の検出素子122からの第4の出力とを取得する。取得機能444は、第3の出力と第4の出力とに基づいて第2の出力比を計算する。なお、取得機能444は、DAS18として実現されてもよい。このとき、DAS18は、例えば、エアーキャリブレーションスキャンにおいて、第1の検出素子121から第3の出力を取得し、第2の検出素子122から第4の出力を取得する。
決定機能445は、第1のタイミングにより取得されたエネルギービンごとの検出データに基づいて、X線CT装置1の出荷前において第1の照射スペクトルを決定(生成)する。決定機能445は、劣化推定処理に関するプログラムを実行することにより、第1の出力および第2の出力と、第1の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、第3の出力と第4の出力とに基づいて、第2のタイミングにおけるX線管11の第2の照射スペクトルとX線管11の劣化度とのうち少なくとも一つを決定する。例えば、決定機能445は、第3の出力および第4の出力、または第2の出力比に基づいて第2のタイミングにおけるX線管11の陽極の素材(以下、陽極素材と呼ぶ)の線減弱係数を決定し、決定された線減弱係数と第1の照射スペクトルとに基づいて第2の照射スペクトルを決定する。なお、決定機能445は、第3の出力および第4の出力に基づいて、第2の出力比を計算してもよい。
具体的には、決定機能445は、第2の出力比に基づいてX線管11の陽極素材の厚み(以下、陽極厚と呼ぶ)を決定する。例えば、決定機能445は、第1の出力比すなわちX線管11ごとにメモリ41に記憶された第2の出力比に対する陽極厚の対応表(以下、出力比-厚みテーブルと呼ぶ)と、第2の出力比とを照合することにより、第2のタイミングにおける陽極厚を決定する。出力比-厚みテーブルは、X線CT装置1の出荷前において、シミュレーションや実測等により予め生成される。
決定機能445は、決定された陽極厚に基づいて劣化度を決定する。劣化度は、タングステンなどの陽極素材の厚みの増加に伴うX線の阻止能の増加に基づいてモデル化される。劣化度は、第1のタイミングから第2のタイミングまでの照射スペクトルの相対的な変化に関連する。このため、X線CT装置1の出荷前に実測した際の第1の照射スペクトルと、陽極素材の劣化が進んだ第2のタイミングにおける第2の出力比とから、劣化度のモデルを用いて、第2の照射スペクトルの推定が可能となる。なお、決定機能445は、第1の出力比に対する第2の出力比を指標化することにより、劣化度を決定してもよいし、第2の出力比を劣化度のモデルに適用することにより、X線管11の劣化度を決定してもよい。
加えて、決定機能445は、決定された厚みに基づいて陽極素材の線減弱係数(以下、陽極減弱係数と呼ぶ)を決定する。陽極厚に対する陽極減弱係数の分布は、例えば、テーブル(以下、厚み-減弱係数テーブルと呼ぶ)である。厚み-減弱係数テーブルは、陽極素材の厚みに応じて予めシミュレーション等を用いて予め決定され、メモリ41に記憶される。決定機能445は、決定された陽極減弱係数を第1の照射スペクトルに乗算することで、第2の照射スペクトルを決定する。決定機能445は、決定された第2の照射スペクトルをメモリ41に記憶させる。第2の照射スペクトルは、本スキャンにおける投影データの生成に用いられる。
決定機能445は、決定された劣化度に基づいて、第2のタイミングからX線管11に対するメンテナンスが推奨される時点までの期間(以下、メンテナンス推奨期間と呼ぶ)を決定する。決定機能445は、メンテナンス推奨期間が所定の期間以下か否かを判定する。メンテナンス推奨期間が所定の期間以下である場合、決定機能445は、所定の警告をディスプレイ42に表示させる。
なお、決定機能445は、第1の照射スペクトルがメモリ41に記憶されていない場合、第1の出力および第2の出力、または第1の出力比に基づいて第1の照射スペクトルを生成する。このとき、メモリ41は、第1の出力および第2の出力、または第1の出力比を記憶する。加えて、メモリ41は、第1の出力および第2の出力、または第1の出力比に基づいて照射スペクトルを導出するために予めモデル化されたテーブル(以下、出力比-スペクトルテーブルと呼ぶ)を記憶する。これらにより、決定機能445は、第1の出力および第2の出力、または第1の出力比と出力-スペクトルテーブルとに基づいて、第1の照射スペクトルを決定する。次いで、決定機能445は、第1の照射スペクトルと第3の出力と第4の出力とに基づいて第2の照射スペクトルを決定する。
また、決定機能445は、第1の出力、第2の出力、および第1の出力比がメモリ41に記憶されていない場合、第1の照射スペクトルに基づいて、第1の出力および第2の出力、または第1の出力比を生成する。例えば、決定機能445は、第1の照射スペクトルと出力-スペクトルテーブルとに基づいて、第1の出力および第2の出力、または第1の出力比を決定する。次いで、決定機能445は、第1の出力および前記第2の出力、または第1の出力比と、第3の出力と、第4の出力とに基づいて、X線管11の劣化度を決定する、
以上、実施形態に係るX線CT装置1の構成について説明した。以下、X線CT装置1により実行される劣化推定処理に関する概要について図2を用いて説明し、次いで劣化推定処理の手順について説明する。
第1のタイミングすなわち陽極素材の劣化前におけるX線束(以下、劣化前X線と呼ぶ)をXとする。また、劣化前X線のエネルギーに対応するボウタイフィルタ16の線減弱係数をμとする。このとき、第1のタイミングにおける第1の検出素子121からの第1の出力xは、図2を参照すると、ボウタイフィルタ16の透過距離sを用いて以下の式(1)で表される。
x=exp(-μs)X (1)
また、第1のタイミングにおける第2の検出素子122からの第2の出力x’は、図2を参照すると、ボウタイフィルタ16の透過距離tを用いて以下の式(2)で表される。
x’=exp(-μt)X (2)
式(1)と式(2)との比を取ると、第1の出力比として以下の式(3)が得られる。
x/x’=exp(-μ(s-t)) (3)
また、第2のタイミングすなわち陽極素材の劣化後におけるX線束(以下、劣化後X線と呼ぶ)をYとする。また、劣化後X線のエネルギーに対応するボウタイフィルタ16の線減弱係数をμ’とする。このとき、第2のタイミングにおける第1の検出素子121からの第2の出力yは、図2を参照すると、ボウタイフィルタ16の透過距離sを用いて以下の式(4)で表される。
y=exp(-μ’s)Y (4)
また、第2のタイミングにおける第2の検出素子122からの第2の出力y’は、図2を参照すると、ボウタイフィルタ16の透過距離tを用いて以下の式(5)で表される。
y’=exp(-μ’t)Y (5)
式(4)と式(5)との比を取ると、第2の出力比として以下の式(6)が得られる。
y/y’=exp(-μ’(s-t)) (6)
する。
式(3)と式(6)とにおいて、-(s-t)について解くと、以下の式(7)が得られる。
(1/μ)ln(x/x’)=-(s-t)=(1/μ’)ln(y/y’)
(x/x’)μ’=(y/y’)μ (7)
一般に、劣化後X線Yにおいて、劣化前X線Xに比べて、軟X線側の出力が減衰する。軟X線の減衰は、陽極素材の厚みの増大および陽極素材における細かな亀裂による軟X線の吸収に起因する。すなわち、劣化後X線は、劣化前X線に比べて硬くなる。これらのことから、例えば、X線の実効エネルギーの比較において、劣化後X線Yのエネルギーは、劣化前X線Xのエネルギーより大きくなる。一方、線減弱係数は、実効エネルギーに比例して小さくなる。これらのことから、劣化後X線のエネルギーに対応するボウタイフィルタ16の線減弱係数μ’は、劣化前X線のエネルギーに対応するボウタイフィルタ16の線減弱係数μより小さくなる(μ>μ’・・・(8))。
式(7)と式(8)とにより、第1の出力比(x/x’)と第2の出力比(y/y’)との関係は、以下のようになる。
(x/x’)>(y/y’)
すなわち、X線管11の陽極素材の劣化後の第2の出力比(y/y’)は、X線管11の陽極素材の劣化前の第1の出力比(x/x’)より小さくなる。このため、第2の出力比(y/y’)の減少の程度が、陽極素材の劣化度に対応するものとなる。
図3は、第1の出力比OR1と、陽極素材の劣化の程度(劣化度)に応じた複数の第2の出力比との一例を示す図である。図3に示すように、陽極素材の劣化に応じて、第2の出力比は減少する。すなわち、第1の出力比を基準として、第2の出力比の値が陽極素材の劣化度に対応することとなる。陽極素材の劣化度は、陽極素材の表面の厚みが増すことおよび陽極素材の表面が亀裂などで荒れることに相当する。換言すれば、例えば、第1の出力比に対する第2の出力比の割合は、陽極素材の劣化度すなわち陽極素材の厚みに対応するものとなる。
陽極素材の劣化は、式(8)に示すように、ボウタイフィルタ16の線減弱係数の減少に対応する。線減弱係数の減少程度は、軟X線の減衰に依存するため、検出素子におけるカウント数の低下に寄与する。第1のタイミングすなわち陽極素材の劣化前の線減弱係数に対する第2のタイミングすなわち陽極素材の劣化後の線減弱係数の割合に応じて、第1の照射スペクトルは変化する。
陽極素材の劣化度は、陽極素材の厚みの増加による軟X線の阻止能の増加によりモデル化することができる。具体的には、メモリ41は、第1の出力比に応じた、第2の出力比に対する陽極素材の劣化度の対応表(以下、出力比-劣化度テーブルと呼ぶ)を記憶する。第1の出力比に応じた出力比-劣化度テーブルは、X線管11の個体差を鑑みて、劣化度を推定するテーブルに相当する。決定機能445は、第3の出力および第4の出力または第2の出力比と、出力比-劣化度テーブルとに基づいて、陽極素材の劣化度を決定する。
図3に示すOR2Lは、第2の出力比を示している。また、図3に示すOR2Mは、第2の出力比OR2Lの取得時点より陽極素材がさらに劣化すなわち陽極厚がさらに増した時点における第2の出力比を示している。図3に示すように、陽極素材の劣化度が増すにつれて、第2の出力比は、第1の出力比OR1から減少するものとなる。陽極素材の劣化により当該陽極厚が増すと、陽極素材における線減弱係数が変化することとなる。線減弱係数の変化は、陽極素材で発生したX線のうち軟X線の減少に影響を及ぼす。これらのことから、X線管11から照射されるX線のスペクトルにおいて、軟X線におけるカウント数が減少することとなる。
図4は、第1のタイミングおよび第2のタイミングに関する照射スペクトルRSの一例を示す図である。図4において、第1の照射スペクトルRS1は実線で示されている。図4において、第2の出力比OR2Lに関する照射スペクトルRS2Lは、点線で示されている、また、図4において、第2の出力比OR2Mに関する照射スペクトルRS2Mは、破線で示されている、図4に示すように、陽極素材の劣化に伴って、照射スペクトルにおける軟X線に関するカウント数は減少している。劣化推定処理は、第2の出力比と第1の照射スペクトルRS1とに基づいて、第2のタイミングにおける第2の照射スペクトル(RS2LやRS2M)を推定する。
図5は、劣化推定処理の手順の一例を示すフローチャートである。劣化推定処理は、X線CT装置1の出荷後において、例えば、被検体Pに対する本スキャンの実行前のエアーキャリブレーション時に実施される。このため、劣化推定処理の実施において、第1の出力xおよび第2の出力x’と、第1の出力比OR1と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも一つは、すでにメモリ41に記憶されている。劣化推定処理は、例えば、X線CT装置1の出荷後から、半年後、一年後など、予め設定されたタイミングで適宜実行される。なお、劣化推定処理の実行の間隔や劣化推定処理の実行のタイミング等は、入力インターフェース43を介してユーザの指示により、適宜設定、変更が可能である。
(劣化推定処理)
(ステップS501)
システム制御機能441は、本スキャン前にエアーキャリブレーションを実行する。取得機能444は、エアーキャリブレーションにより、第3の出力と、第4の出力とを取得する。取得機能444は、第3の出力と第4の出力とを、メモリ41に記憶させる。第1の出力と第2の出力と第3の出力と第4の出力とにおけるエネルギービンは、例えば、複数のエネルギービンを合算した全エネルギービン、または当該複数のエネルギービンのうちX線管11の劣化の影響に関する軟X線を対応する低エネルギービン、または当該複数のエネルギービンのうちX線管11における陽極の素材に関するK吸収端のエネルギーを包含するエネルギービン(以下、Kエッジビンと呼ぶ)である。
(ステップS502)
取得機能444は、第3の出力と第4の出力とに基づいて第2の出力比を計算する。なお、取得機能444の代わりに、決定機能445が、第3の出力および第4の出力に基づいて、第2の出力比を計算してもよい。取得機能444は、第2の出力比とを、メモリ41に記憶させる。
(ステップS503)
決定機能445は、第2の出力比を陽極厚に換算する。具体的には、決定機能445は、第1の出力比に応じた出力比-厚みテーブルと、第2の出力比とを照合することにより、第2のタイミングにおける陽極厚を決定する。決定機能445は決定された陽極厚をメモリ41に記憶させる。
(ステップS504)
決定機能445は、決定された陽極厚と厚み-減弱係数テーブルとを照合することにより、陽極減弱係数を決定する。決定機能445は、決定された陽極減弱係数をメモリ41に記憶させる。なお、出力比-厚みテーブルと厚み-減弱係数テーブルとは、第1の出力比に応じた出力比-減弱係数テーブルとして統合されて、メモリ41に記憶されてもよい。このとき、決定機能445は、出力比-減弱係数テーブルと、第2の出力比と照合することにより、陽極減弱係数を決定する。この場合、ステップS503は不要となる。
(ステップS505)
決定機能445は、決定された陽極減弱係数を第1の照射スペクトルに乗算し、第2の照射スペクトルを決定する。決定機能445は、決定された第2の照射スペクトルをメモリ41に記憶させる。なお、メモリ41は、X線管11に関して、第1の出力比すなわち第1の照射スペクトルと第2出力比とに応じて、第2出力比に対する第2の照射スペクトルの対応表である出力比-スペクトルテーブルを記憶してもよい。このとき、決定機能445は、第2の出力比と出力比-スペクトルテーブルとを照合することにより、第2の照射スペクトルを決定する。この場合、ステップS503およびステップS504の処理は不要となる。なお、X線検出器12のタイプが積分型である場合、ステップS503乃至ステップS505の処理は不要となる。
(ステップS506)
決定機能445は、第1の出力比に応じた出力比-劣化度テーブルと、第2の出力比とを照合することにより、陽極素材の劣化度を決定する。決定機能445は決定された劣化度をメモリ41に記憶させる。なお、上述のステップS503乃至ステップS506において説明した各種テーブルは、当該テーブルに照合されるデータを入力として照合結果を出力する各種計算により実現されてもよい。例えば、第2の出力比の程度はX線管11の劣化の進行度合いに依存して減少するため、劣化の進行度合いに応じたスペクトルの変化をモデル化することにより、第2の出力比から第2の照射スペクトルを算出することができる。また、X線管11の劣化の度合いは、陽極厚の増加によるX線の阻止能の増加でモデル化することができるため、陽極圧の増加から劣化度を算出することができる。
(ステップS507)
決定機能445は、劣化度に基づいて、第2のタイミングにおけるX線管11に関するメンテナンス推奨期間を決定する。例えば、図3に示すように劣化度が大きくなるほど、メンテナンス推奨期間は短くなる。すなわち、第2の出力比が第1の出力比に近いほど、メンテナンス推奨期間は、長くなる。なお、メンテナンス推奨期間の最大値は、CT装置1の出荷後からの経過期間や、スキャン回数などにより予め設定されて、メモリ41に記憶される。
(ステップS508)
決定機能445は、メンテナンス推奨期間が所定の期間以下か否かを判定する。メンテナンス推奨期間が所定の期間以下である場合(ステップS508のYes)、ステップS509の処理が実行される。メンテナンス推奨期間が所定の期間以下でない場合(ステップS508のNo)、ステップS510の処理が実行される。
(ステップS509)
決定機能445は、所定の警告をディスプレイ42に表示させる。所定の警告は、例えば、ユーザにX線管11のメンテナンスを促す文字列(例えば、「X線管のメンテンナンス時期です」)などである。なお、所定の警告は、上記文字列に限定されず、例えば、所定の色相の光の明滅、音声などであってもよい。
(ステップS510)
システム制御機能441は、第2のタイミングよりも後の第3のタイミングにおいて、ユーザの指示に従って、被検体Pに対して本スキャンを実行する。DAS18は、本スキャンの実行により、検出データを生成する。DAS18は、生成された検出データを、コンソール装置40へ転送する。
(ステップS511)
前処理機能442は、検出データと第2の照射スペクトルとに基づいて、複数のエネルギービンに関する投影データを生成する。例えば、前処理機能442は、複数のエネルギービン各々において、検出データを第2の照射スペクトルで除算することなどの各種前処理を実行し、投影データを生成する。
(ステップS512)
再構成処理機能443は、投影データに基づいて、複数のエネルギービンに対応する複数の断面画像を生成する。具体的には、複数のエネルギービン各々における投影データに対して再構成を実行することで、当該エネルギービン各々におけるボリュームデータを生成する。再構成処理機能443は、生成されたボリュームデータに対する各種画像処理により、基づいて、複数のエネルギービンごとの断面画像を生成する。
以上に述べた実施形態に係るX線CT装置1は、第1の出力および第2の出力と、第1の出力比と、の第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶し、第3の出力と第4の出力とを取得し、第1の出力および第2の出力と、第1の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、第3の出力と、第4の出力とに基づいて、第2の照射スペクトルとX線管11の劣化度とのうち少なくとも一つを決定する。例えば、本X線CT装置1は、第3の出力と第4の出力とを用いた第2の出力比に基づいて第2のタイミングにおけるX線管11の陽極の線減弱係数を決定し、決定された線減弱係数と第1の照射スペクトルとに基づいて第2の照射スペクトルを決定する。
具体的には、実施形態に係るX線CT装置1は、第2の出力比に基づいて陽極の厚みを決定し、厚みに基づいて前記線減弱係数を決定し、厚みに基づいて劣化度を決定する。また、本X線CT装置1は、X線検出器12は光子計数型検出器であって、第3のタイミングにおいて実行された本スキャンにより生成された検出データと第2の照射スペクトルとに基づいて、複数のエネルギービンに関する投影データを生成し、投影データに基づいて複数のエネルギービンに対応する複数の断面画像を生成する。
これにより、実施形態に係るX線CT装置1によれば、エアーキャリブレーションを1スキャン実行する簡便な手法で照射スペクトルを短時間で推定することができ、画像再構成において正しい線減弱係数を計算することができる。これらのことから、X線CT装置1によれば、再構成された断面画像において、CT値シフトなどアーチファクトの発生を抑制することができる。また、実施形態に係るX線CT装置1によれば、X線管11の劣化度を推定するための新たな2チャネルのRef検出器が不要となるため、新たなコストをかけることなく、劣化推定処理を実行することができる。
また、実施形態に係るX線CT装置1によれば、X線管11の劣化度に基づいて、メンテナンス推奨期間を決定し、メンテンナンス推奨期間が所定の期間以下である場合、所定の警告をディスプレイ42に表示する。これにより、X線管11からの照射スペクトルに関して長期的な変化をモニタすることができ、X線管11の劣化度に応じた適切なタイミングで、X線管11のメンテナンスの必要性をユーザに報知することができる。
また、実施形態に係るX線CT装置1によれば、第1の出力と第2の出力と第3の出力と第4の出力とにおけるエネルギービンは、複数のエネルギービンを合算した全エネルギービン、または複数のエネルギービンのうちX線管11の劣化の影響に関する軟X線に対応する低エネルギービン、または複数のエネルギービンのうちX線管11における陽極素材に関するK吸収端のエネルギーを包含するエネルギービン(Kエッジビン)である。例えば、低エネルギービンやKエッジビンが用いられる場合、陽極の劣化に対してX線管11の劣化の影響をより鋭敏に検知することができ、劣化推定処理の実施タイミングにおける精度を向上させることができる。
以上のことから、本実施形態に係るX線CT装置1によれば、短時間および低コストでかつ簡便な方法で、X線管11の劣化の程度を推定しかつ画像再構成に用いられる照射スペクトルを調整することができ、X線管11の劣化に対するメンテナンス時期をユーザに報知し、CT値シフトによるアーチファクトを低減したCT画像を生成することができる。
(第1の変形例)
第1の変形例は、ボウタイフィルタ16の端部に配置されたレファレンス検出器からの出力により、劣化推定処理を実行することにある。すなわち、本変形例における劣化推定処理において、ステップS501乃至ステップS506用いられる出力は、レファレンス検出器からの出力となる。
X線CT装置1は、被検体Pを透過したX線を検出するX線検出器12に加えて、レファレンス検出器をさらに備える。レファレンス検出器は、X線管11におけるX線放射窓の前面に配置されるボウタイフィルタ16の端部に配置される。レファレンス検出器は、例えば、上述の光子計数型X線検出器により実現される。レファレンス検出器としての光子計数型X線検出器は、例えば、複数のエネルギービンでX線を検出可能な2つのチャネルを有する。なお、レファレンス検出器は、積分型のX線検出器であってもよい。
レファレンス検出器におけるX線の入射面側には、チャネルに応じて厚みが異なるフィルタが設けられる。具体的には、フィルタは、レファレンス検出器において、X線管11により発生するX線の入射側において第1の位置と前記第2の位置とに配置され、第1の位置と第2の位置とで異なる厚みを有する。
第1の変形例により実施される劣化推定処理は、実施形態における記載内容と同様なため、説明は省略する。また、第1の変形例における作用効果は、コスト低減を除いて実施形態と同様なため、説明を省略する。
(第2の変形例)
第2の変形例は、X線検出器12におけるチャネル方向に沿った複数の検出素子からの出力を用いて、劣化推定処理を実行することにある。
メモリ41は、第1のタイミングで取得され、第1の出力と前記第2の出力とを含み、X線検出器12においてチャネル方向に亘る複数の検出素子による複数の第5の出力と、第1の出力比を含み複数の第5の出力に基づく複数の第3の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも一つを記憶する。チャネル方向に亘る複数の検出素子は、チャネル方向に沿った3つ以上の検出素子であって、例えば、チャネル方向に沿った全ての検出素子でもよい。
取得機能444は、第2のタイミングにおいて、第3の出力と第4の出力とを含み、上記複数の検出素子による複数の第6の出力を取得する。複数の第6の出力に関する複数の検出素子は、複数の第5の出力に関する複数の検出素子と同位置である。例えば、取得機能445は、検出素子の位置が異なる複数の第5の出力と複数の第6の出力とに基づいて、第2の出力比を含む複数の出力比を計算してもよい。計算された出力比において、分母と分子とに関する検出素子の位置は異なる。
決定機能445は、複数の第5の出力と、複数の第3の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、複数の第6の出力とに基づいて、第2の照射スペクトルと劣化度とのうち少なくとも一つを決定する。実施形態において説明した各種テーブルは、複数の第5の出力と複数の第6の出力との組み合わせを含み、あらかじめメモリ41に記憶される。例えば、各種テーブルは、陽極素材の劣化に応じて、チャネル方向における出力分布をモデル化することにより設定される。
第2の変形例により実施される劣化推定処理は、実施形態における記載内容と同様なため、説明は省略する。また、第2の変形例における作用効果は、実施形態における作用効果に加えて、劣化推定処理に用いられるデータ数が増えるため、劣化度および第2の照射スペクトルに関する精度を向上させることができる。これにより、第2の変形例に係るX線CT装置1によれば、X線管11の劣化に対するメンテナンス時期の精度を向上し、かつCT値シフトによるアーチファクトをさらに低減したCT画像を生成することができる。
(第3の変形例)
第3の変形例は、X線検出器12におけるチャネル方向およびスライス方向に沿った複数の検出素子からの出力を用いて、劣化推定処理を実行することにある。すなわち、第3の変形例における劣化推定処理は、第2の変形例における記載に加えて、さらに、スライス方向に沿った複数の検出素子からの出力を用いることにある。
メモリ41は、第1のタイミングで取得され、X線検出器12におけるチャネル方向およびスライス方向に関する複数の検出素子による複数の第7の出力と、複数の第7の出力に基づく複数の第4の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも一つを記憶する。複数の第7の出力は、第1の出力と第2の出力とを含む。複数の第4の出力比は、第1の出力比を含む。チャネル方向およびスライス方向に関する複数の検出素子は、チャネル方向に沿った3つ以上の検出素子とスライス方向に沿った複数の検出素子であって、例えば、X線検出器12における全ての検出素子でもよい。
取得機能444は、第2のタイミングにおいて、チャネル方向およびスライス方向に関する複数の検出素子による複数の第8の出力を取得する。第8の出力は、第3の出力と第4の出力とを含む。複数の第8の出力に関する複数の検出素子は、複数の第7の出力に関する複数の検出素子と同位置である。例えば、取得機能445は、検出素子の位置が異なる複数の第7の出力と複数の第8の出力とに基づいて、複数の出力比を計算してもよい。計算された出力比における分母と分子とにおける検出素子の位置は異なる。
決定機能445は、複数の第7の出力と、複数の第4の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、第8の出力とに基づいて、第2の照射スペクトルと劣化度とのうち少なくとも一つを決定する。実施形態において説明した各種テーブルは、複数の第7の出力と複数の第8の出力との組み合わせを含み、あらかじめメモリ41に記憶される。例えば、各種テーブルは、陽極素材の劣化に応じて、チャネル方向およびスライス方向を含む出力分布をモデル化することにより設定される。
第3の変形例により実施される劣化推定処理は、実施形態における記載内容と同様なため、説明は省略する。また、第3の変形例における作用効果は、実施形態における作用効果に加えて、劣化推定処理に用いられるデータ数が増えるため、劣化度および第2の照射スペクトルに関する精度を向上させることができる。さらに、本変形例では、X線管11における陽極でのヒール効果により、コーン角方向によってもX線管11の劣化の出力比への影響の大きさが異なったとしても、劣化度および第2の照射スペクトルに関する精度を向上させることができる。すなわち、第3の変形例に係るX線CT装置1によれば、X線管11の劣化に対するメンテナンス時期の精度をさらに向上し、かつCT値シフトによるアーチファクトをより一層低減したCT画像を生成することができる。
実施形態における技術的思想を陽極劣化推定方法で実現する場合、当該陽極劣化推定方法は、第1のタイミングで取得され、X線検出器12のチャネル方向の第1の位置における第1の検出素子121による第1の出力および第1のタイミングで取得され、第1の位置よりもチャネル方向の端部側である第2の位置における第2の検出素子122による第2の出力と、第1の出力と第2の出力とに基づく第1の出力比と、第1のタイミングにおけるX線管11の第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶し、第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、第1の検出素子121による第3の出力と、第2の検出素子122による第4の出力とを取得し、第1の出力および第2の出力と、第1の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、第3の出力と、第4の出力とに基づいて、第2のタイミングにおけるX線管11の第2の照射スペクトルとX線管11の劣化度とのうち少なくとも一つを決定する。陽極劣化推定方法により実行される劣化推定処理の手順および効果は、実施形態と同様なため、説明は省略する。
実施形態における技術的思想を陽極劣化推定プログラムで実現する場合、陽極劣化推定プログラムは、コンピュータに、第1のタイミングで取得され、X線検出器12のチャネル方向の第1の位置における第1の検出素子121による第1の出力および第1のタイミングで取得され、第1の位置よりもチャネル方向の端部側である第2の位置における第2の検出素子122による第2の出力と、第1の出力と第2の出力とに基づく第1の出力比と、第1のタイミングにおけるX線管11の第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶し、第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、第1の検出素子121による第3の出力と、第2の検出素子122による第4の出力とを取得し、第1の出力および第2の出力と、第1の出力比と、第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、第3の出力と、第4の出力とに基づいて、第2のタイミングにおけるX線管11の第2の照射スペクトルとX線管11の劣化度とのうち少なくとも一つを決定すること、を実現させる。
例えば、X線CT装置に接続されサーバ装置(処理装置)などにおけるコンピュータに陽極劣化推定プログラムをインストールし、これらをメモリ上で展開することによっても、劣化推定処理を実現することができる。このとき、コンピュータに当該手法を実行させることのできるプログラムは、磁気ディスク(ハードディスクなど)、光ディスク(CD-ROM、DVDなど)、半導体メモリなどの記憶媒体に格納して頒布することも可能である。陽極劣化推定プログラムにおける処理手順および効果は、第1の実施形態と同様なため、説明は省略する。
その他の実施形態として、X線CT装置1は寝台装置30を有しなくてもよい。例えばX線CT装置1の架台装置10の開口131が鉛直方向に延びる略円筒形状を呈する場合、被検体Pを立位で撮影することとなるため、寝台装置30は不要である。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、X線管11の劣化により変化したX線スペクトルとX線管11の劣化度とのうち少なくとも一つを簡便に決定することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
1 X線CT装置
10 架台装置
11 X線管
12 X線検出器
13 回転フレーム
14 X線高電圧装置
15 制御装置
16 ボウタイフィルタ
17 コリメータ
18 DAS(Data Acquisition System)
30 寝台装置
31 基台
32 寝台駆動装置
33 天板
34 天板支持フレーム
40 コンソール装置
41 メモリ
42 ディスプレイ
43 入力インターフェース
44 処理回路
113 X線照射範囲
121 第1の検出素子
122 第2の検出素子
131 開口
441 システム制御機能
442 前処理機能
443 再構成処理機能
444 取得機能
445 決定機能

Claims (14)

  1. 第1のタイミングで取得され、X線検出器のチャネル方向の第1の位置における第1の検出素子からの第1の出力および前記第1のタイミングで取得され、前記第1の位置よりも前記チャネル方向の端部側である第2の位置における第2の検出素子からの第2の出力と、前記第1の出力と前記第2の出力とに基づく第1の出力比と、前記第1のタイミングにおけるX線管の第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶する記憶部と、
    前記第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、前記第1の検出素子からの第3の出力と、前記第2の検出素子からの第4の出力とを取得する取得部と、
    前記第1の出力および前記第2の出力と、前記第1の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、前記第3の出力と、前記第4の出力とに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記X線管の第2の照射スペクトルと前記X線管の劣化度とのうち少なくとも一つを決定する決定部と、
    を備えるX線コンピュータ断層撮影装置。
  2. 前記X線検出器は、前記X線管により発生したX線の光子を計数する光子計数型検出器であって、
    前記第2のタイミングよりも後の第3のタイミングにおいて実行されたスキャンにより生成された検出データと前記第2の照射スペクトルとに基づいて、複数のエネルギービンに関する投影データを生成する前処理部と、
    前記投影データに基づいて、前記複数のエネルギービンに対応する複数の断面画像を生成する再構成処理部と、
    をさらに備える請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  3. 前記決定部は、前記劣化度に基づいて、前記第2のタイミングから前記X線管に対するメンテナンスが推奨される時点までの期間を決定し、
    前記期間が所定の期間以下である場合、所定の警告を表示する表示部をさらに備える、
    請求項1または2に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  4. 前記第1の出力と前記第2の出力と前記第3の出力と前記第4の出力とにおけるエネルギービンは、複数のエネルギービンを合算した全エネルギービン、または前記複数のエネルギービンのうち前記X線管の劣化の影響に関する低エネルギービン、または前記複数のエネルギービンのうち前記X線管における陽極の素材に関するK吸収端のエネルギーを包含するエネルギービンである、
    請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  5. 前記決定部は、
    前記第3の出力と前記第4の出力とを用いた第2の出力比に基づいて前記第2のタイミングにおける前記X線管の陽極の線減弱係数を決定し、
    前記線減弱係数と前記第1の照射スペクトルとに基づいて前記第2の照射スペクトルを決定する、
    請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  6. 前記決定部は、
    前記第2の出力比に基づいて、前記陽極の厚みを決定し、
    前記厚みに基づいて前記線減弱係数を決定し、
    前記厚みに基づいて前記劣化度を決定する、
    請求項5に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  7. 前記決定部は、
    前記第1の照射スペクトルが前記記憶部に記憶されていない場合、前記第1の出力および前記第2の出力、または前記第1の出力比に基づいて前記第1の照射スペクトルを生成し、
    前記第1の照射スペクトルと前記第3の出力と前記第4の出力とに基づいて、前記第2の照射スペクトルを決定する、
    請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  8. 前記決定部は、
    前記第1の出力と前記第2の出力と前記第1の出力比とが前記記憶部に記憶されていない場合、前記第1の照射スペクトルに基づいて、前記第1の出力および前記第2の出力、または前記第1の出力比を決定し、
    前記第1の出力および前記第2の出力、または前記第1の出力比と、前記第3の出力と、前記第4の出力とに基づいて、前記劣化度を決定する、
    請求項1乃至6のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  9. 前記X線管におけるX線放射窓の前面に配置されるボウタイフィルタをさらに備え、
    前記X線検出器は、被検体を透過したX線を検出する主検出器である、
    請求項1乃至8のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  10. 前記X線検出器は、前記X線管におけるX線放射窓の前面に配置されるボウタイフィルタの端部に配置されたレファレンス検出器であって、
    前記レファレンス検出器において、前記X線管により発生するX線の入射側において前記第1の位置と前記第2の位置とに配置され、前記第1の位置と前記第2の位置とで異なる厚みを有するフィルタをさらに備える、
    請求項1に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  11. 前記記憶部は、前記第1のタイミングで取得され、前記第1の出力と前記第2の出力とを含み、前記X線検出器において前記チャネル方向に亘る複数の検出素子による複数の第5の出力と、前記第1の出力比を含み前記複数の第5の出力に基づく複数の第3の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも一つを記憶し、
    前記取得部は、前記第2のタイミングにおいて、前記第3の出力と前記第4の出力とを含み、前記複数の検出素子による複数の第6の出力を取得し、
    前記決定部は、前記複数の第5の出力と、前記複数の第3の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、前記複数の第6の出力とに基づいて、前記第2の照射スペクトルと前記劣化度とのうち少なくとも一つを決定する、
    請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  12. 前記記憶部は、前記第1のタイミングで取得され、前記X線検出器における前記チャネル方向およびスライス方向に関する複数の検出素子による複数の第7の出力と、前記複数の第7の出力に基づく複数の第4の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも一つを記憶し、
    前記取得部は、前記第2のタイミングにおいて、前記チャネル方向および前記スライス方向に関する前記複数の検出素子による複数の第8の出力を取得し、
    前記決定部は、前記複数の第7の出力と、前記複数の第4の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、前記第8の出力とに基づいて、前記第2の照射スペクトルと前記劣化度とのうち少なくとも一つを決定する、
    請求項1乃至10のうちいずれか一項に記載のX線コンピュータ断層撮影装置。
  13. 第1のタイミングで取得され、X線検出器のチャネル方向の第1の位置における第1の検出素子による第1の出力および前記第1のタイミングで取得され、前記第1の位置よりも前記チャネル方向の端部側である第2の位置における第2の検出素子による第2の出力と、前記第1の出力と前記第2の出力とに基づく第1の出力比と、前記第1のタイミングにおけるX線管の第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶し、
    前記第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、前記第1の検出素子による第3の出力と、前記第2の検出素子による第4の出力とを取得し、
    前記第1の出力および前記第2の出力と、前記第1の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、前記第3の出力と、前記第4の出力とに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記X線管の第2の照射スペクトルと前記X線管の劣化度とのうち少なくとも一つを決定すること、
    を備える陽極劣化推定方法。
  14. コンピュータに、
    第1のタイミングで取得され、X線検出器のチャネル方向の第1の位置における第1の検出素子による第1の出力および前記第1のタイミングで取得され、前記第1の位置よりも前記チャネル方向の端部側である第2の位置における第2の検出素子による第2の出力と、前記第1の出力と前記第2の出力とに基づく第1の出力比と、前記第1のタイミングにおけるX線管の第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つを記憶し、
    前記第1のタイミングよりも後の第2のタイミングにおいて、前記第1の検出素子による第3の出力と、前記第2の検出素子による第4の出力とを取得し、
    前記第1の出力および前記第2の出力と、前記第1の出力比と、前記第1の照射スペクトルとのうち少なくとも1つと、前記第3の出力と、前記第4の出力とに基づいて、前記第2のタイミングにおける前記X線管の第2の照射スペクトルと前記X線管の劣化度とのうち少なくとも一つを決定すること、
    を実現させる陽極劣化推定プログラム。
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