JP2022099653A - 封止用樹脂組成物、電子装置の製造方法、半導体装置および電子装置 - Google Patents

封止用樹脂組成物、電子装置の製造方法、半導体装置および電子装置 Download PDF

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Abstract

【課題】低温においても、粘度が低く、成形品の未充填やボイドの発生を抑制することのできる封止用樹脂組成物を提供する。【解決手段】(A)エポキシ樹脂と、(B)硬化剤と、(C)無機フィラーと、(D)脂肪酸エステルワックスと、(E)硬化促進剤と、を含む封止用樹脂組成物であって、ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される、当該封止用樹脂組成物の最低トルクが0.60N・m以上0.85N・m以下であり、当該封止用樹脂組成物を120℃で5分間の熱処理により得られる硬化体のショアD硬度が80以上100以下である、封止用樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、封止用樹脂組成物、電子装置の製造方法、半導体装置および電子装置に関する。
これまで封止用樹脂組成物において様々な開発がなされてきた。この種の技術として、例えば特許文献1に記載の技術が知られている。特許文献1には、エポキシ樹脂、硬化剤、無機充填材、離型剤及びカーボンブラックを構成材料とし、離型剤として、カルナバワックスと脂肪酸アミドとを含む封止用エポキシ樹脂組成物が記載されている。
特開2001-207030号公報
しかしながら、近年、電子装置パッケージにおいて電子部品を封止する際、熱に弱い部品を含む素子を一括封止するために、低温で成形することが増えている。
しかし、低温成形では、封止用樹脂組成物の溶融時の樹脂粘度が高くなるため、成形後に、金型内における樹脂の未充填や成形品にボイドが発生するという問題があった。
本発明者はさらに検討したところ、封止用樹脂組成物に、低温においても溶融時の樹脂を低粘度化できる新規ワックスを見出した。当該ワックスを使用することで、低温でも粘度を下げることができ、成形品の未充填やボイドの発生を抑制することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明によれば、
(A)エポキシ樹脂と、
(B)硬化剤と、
(C)無機フィラーと、
(D)脂肪酸エステルワックスと、
(E)硬化促進剤と、
を含む封止用樹脂組成物であって、
ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される、当該封止用樹脂組成物の最低トルクが0.60N・m以上0.85N・m以下であり、
当該封止用樹脂組成物を120℃で5分間の熱処理により得られる硬化体のショアD硬度が80以上100以下である、
封止用樹脂組成物が提供される。
また本発明によれば、
樹脂組成物を用いて電子部品を封止する工程を含む電子装置の製造方法であって、
上記樹脂組成物が、上記封止用樹脂組成物である、電子装置の製造方法が提供される。
また本発明によれば、
基板上に搭載された半導体素子と、
上記半導体素子を封止する封止部材と、を備える半導体装置であって、
上記封止部材が、上記封止用樹脂組成物の硬化物からなる、半導体装置が提供される。
また本発明によれば、
配線基板と、
上記配線基板の少なくとも一面上に搭載された複数の電子部品と、
上記複数の電子部品を封止する封止樹脂部材と、を備える電子装置であって、
上記封止樹脂部材が、上記封止用樹脂組成物の成形体で構成される、電子装置が提供される。
本発明によれば、低温においても粘度が低く、成形品の未充填やボイドの発生を抑制することができる封止用樹脂組成物を提供することができる。
本実施形態に係る半導体装置の一例を示す断面図である。 本実施形態に係る車載用電子制御装置の一例を示す断面模式図である。 ラボプラストミルを用いた測定により得られるトルク値と測定時間との関係を模式的に示すグラフである。 キュラストメーターを用いた測定により得られるトルク値と測定時間との関係を模式的に示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。尚、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、図は概略図であり、実際の寸法比率とは一致していない。
まず、本実施形態に係る封止用樹脂組成物について説明する。
<封止用樹脂組成物>
本実施形態において、封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)、無機フィラー(C)、脂肪酸エステルワックス(D)、および硬化促進剤(E)と、を含む。また、ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される封止用樹脂組成物の最低トルクは0.60N・m以上0.85N・m以下である。また、封止用樹脂組成物を120℃で5分間熱処理して得られる硬化体のショアD硬度は80以上、100以下である。
以下、封止用樹脂組成物の特性について説明する。
本実施形態の封止用樹脂組成物における、ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定されるトルク変化の挙動について説明する。図3は、ラボプラストミルを用いた測定により得られるトルク値と測定時間との関係を模式的に示すグラフである。本実施形態においては、図3に示すように、ラボプラストミル測定の測定開始点をPとし、トルク値が最低値(最低トルク値)となる点をPとし、Pを経た後にトルク値が最低トルク値の2倍となる点をPとする。また、ラボプラストミル測定の測定開始点は、ラボプラストミルに材料を投入し、急激にトルクが立ち上がった後、トルクが下がり始める点である。
また、ラボプラストミルとしては、例えば東洋精機製作所社製、4C150を用いることができる。
また、ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度120℃の条件でトルク値を経時的に測定した際の最低トルク値は、図3中、Pにおけるトルク値に該当する。
本実施形態の封止用樹脂組成物において、最低トルク値は、0.60N・m以上、好ましくは0.65N・m以上、より好ましくは0.70N・m以上、0.85N・m以下、好ましくは0.80N・m以下、より好ましくは0.75N・m以下である。
本実施形態の封止用樹脂組成物において、封止用樹脂組成物を120℃で5分間熱処理して得られる硬化体のショアD硬度は、80以上、好ましくは82以上、より好ましくは84以上、100以下、好ましくは94以下、より好ましくは88以下である。
本実施形態によれば、ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される封止用樹脂組成物の最低トルク値が適切な数値範囲内となり、かつ封止用樹脂組成物を120℃で5分間熱処理して得られる硬化体のショアD硬度を適切な範囲内とするよう封止用樹脂組成物を設計することで、低温において、低温成形性が良好であるとともに、低温硬化によって充分に良好な硬化物性が得られる。
ラボプラストミルを用いて回転数30rpm、測定温度120℃の条件でトルク値を経時的に測定した際に、最低トルク値に到達する時刻tとトルク値が最低トルク値の2倍に到達する時刻tとしたときに、(t-t)は、図3中、PからPまでの時間に該当する。
本実施形態の封止用樹脂組成物においては、充填性を向上させる観点から、(t-t)は、好ましくは50秒以上、さらに好ましくは55秒以上、最も好ましくは60秒以上である。
また、生産性を向上させる観点から、(t-t)は、好ましくは90秒以下、さらに好ましくは80秒以下、最も好ましくは70秒以下である。
本実施形態によれば、(t-t)を適切な範囲内とすることで、樹脂組成物の可使時間を充分に取ることができ、封止材の充填性を良好にすることができる。また、(t-t)を上記上限値以下とすることで、硬化むらを抑制でき、成形サイクルを短くして製造効率を向上させることができる。
さらに本実施形態によれば、ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される封止用樹脂組成物の最低トルクを適切な数値範囲内とし、120℃において5分硬化した場合のショアD硬度を適切な範囲内とし、さらに、(t-t)を適切な範囲内とするよう封止用樹脂組成物を設計することで、低温において、樹脂組成物を成形する際の生産性が良好となる。
本実施形態の封止用樹脂組成物における、キュラストメーターを用いて、測定温度120℃の条件で測定されるトルク変化の挙動について説明する。図4は、キュラストメーターを用いた測定によって得られるトルク値と測定時間との関係を模式的に示すグラフである。本実施形態においては、図4に示すように、トルク値が最大値となる点をP100とし、P100の10%のトルク値をとる点をP10とし、P10を経た後、P100の90%のトルク値をとる点をP90とする。
また、キュラストメーターとしては、例えばJSRトレーディング株式会社製、CURELASTOMETER7を用いることができる。
キュラストメーターを用いて、120℃にて当該封止用樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルクをTとし、Tの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10とし、T10に達した後、Tの90%のトルク値をT90とし、T90に達する時刻をt90としたとき、(t90-t10)は、図4中、P10からP90までの時間に該当する。
本実施形態の封止用樹脂組成物においては、(t90-t10)は、好ましくは90秒以上、より好ましくは95秒以上、最も好ましくは100秒以上、好ましくは300秒以下、より好ましくは150秒以下、最も好ましくは120秒以下である。
本実施形態によれば、(t90-t10)が適切な数値範囲内となるよう封止用樹脂組成物を設計することで、金型の隅々に樹脂組成物が充分に充填されるまでは硬化することなく、充填後速やかに硬化することで、金型への未充填やボイドの発生を抑制し、硬化むら等を抑制できる。
封止用樹脂組成物の120℃におけるスパイラルフローは、好ましくは130cm以上、より好ましくは140cm以上、最も好ましくは150cm以上、好ましくは200cm以下、より好ましくは190cm以下、最も好ましくは180cm以下である。
本実施形態によれば、樹脂組成物の120℃におけるスパイラルフローが適切な数値範囲内となるよう封止用樹脂組成物を設計することで、120℃で成形した場合にも、金型の隅々にまで樹脂組成物が充填される程度の適切な粘度となり、樹脂の未充填や成形品へのボイドの発生を抑制することができる。
本実施形態では、たとえば封止用樹脂組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、封止用樹脂組成物の調製方法等を適切に選択することにより、上記ラボプラストミルによって測定される最低トルクやショアD硬度を制御することが可能となり、低温で本実施形態における封止用樹脂組成物を用いて電子装置等を封止した場合にも、粘度を低く抑えることができ、成形品のボイドや未充填の発生を抑制することができる。
さらに、本実施形態では、封止用樹脂組成物中に含まれる各成分の種類や配合量、封止用樹脂組成物の調製方法等を適切に選択することにより、ラボプラストミルによって測定される最低トルクとなる時刻tと、最低トルクの2倍となる時刻tの差である(t-t)、キュラストメーターを用いて測定されるトルクが最大値の10%であるT10に達する時刻t10と、最大値の90%となるT90に達する時刻t90の差である(t90-t10)およびスパイラルフローについても制御することが可能となり、低温で本実施形態における封止用樹脂組成物を用いて電子装置等を封止した場合にも、粘度を低く抑えることができ、成形品のボイドや未充填の発生を抑制することができる。
以下、組成物が含むまたは含むことができる各成分や、組成物の各種性状について、より詳しく説明する。
・エポキシ樹脂(A)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含む。
エポキシ樹脂(A)は、具体的には、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般でありうる。エポキシ樹脂(A)の分子量や分子構造などは特に限定されない。
本実施形態において、エポキシ樹脂としては、たとえば、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂等のナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート等のトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂等の有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂;トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェニルメタン型エポキシ樹脂等の多官能エポキシ樹脂から選択される1種または2種以上を含むことができる。
封止用樹脂組成物を用いて得られるパワーモジュールの絶縁特性を向上させる観点から、エポキシ樹脂は、好ましくはo-クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂およびビフェニル型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上である。
また、本実施形態においては、エポキシ樹脂(A)は、分子内に2個のエポキシ基を有する2官能エポキシ樹脂と、分子内に3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、を含んでもよい。たとえば、2官能エポキシ樹脂であるビフェニル型エポキシ樹脂と、3官能エポキシ樹脂であるトリフェニルメタン型エポキシ樹脂を組み合わせて用いてもよい。
封止用樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
エポキシ樹脂(A)の量は、成形時に好適な流動性を得て充填性や成形性の向上を図る観点から、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、好ましくは2質量%以上、より好ましくは3質量%以上、最も好ましくは4質量%以上である。
別観点として、封止用樹脂組成物を用いて得られる封止材の絶縁特性向上の観点からエポキシ樹脂(A)の量は、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、好ましくは11質量%以下、より好ましくは10質量%以下、最も好ましくは9質量%以下である。
・硬化剤(B)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、硬化剤(B)を含む。硬化剤(B)は、エポキシ樹脂(A)と反応してそれを硬化させるものである限り、特に限定されない。
硬化剤(B)として具体的には、アミン系硬化剤(アミノ基を有する硬化剤)、フェノール樹脂系硬化剤などを挙げることができる。
アミン系硬化剤としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の炭素数2~20の脂肪族ジアミン、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、パラキシレンジアミン、4,4'-ジアミノジフェニルメタン、4,4'-ジアミノジフェニルプロパン、4,4'-ジアミノジフェニルエーテル、4,4'-ジアミノジフェニルスルホン、4,4'-ジアミノジシクロヘキサン、ビス(4-アミノフェニル)フェニルメタン、1,5-ジアミノナフタレン、メタキシレンジアミン、パラキシレンジアミン、1,1-ビス(4-アミノフェニル)シクロヘキサン等の芳香族ジアミン、ジシアノジアミド等を挙げることができる。
フェノール樹脂系硬化剤としては、一分子内にフェノール性水酸基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量、分子構造は特に限定されない。
このようなフェノール樹脂系硬化剤としては、たとえばフェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック等のノボラック型樹脂;ポリビニルフェノール;ビフェニルアラルキル型フェノール樹脂やトリフェニルメタン骨格を有するフェノール樹脂等の多官能型フェノール樹脂;テルペン変性フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン変性フェノール樹脂等の変性フェノール樹脂;フェニレン骨格及び/又はビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル樹脂、フェニレン及び/又はビフェニレン骨格を有するナフトールアラルキル樹脂等のアラルキル型樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノール化合物等が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。中でも、高温高湿環境条件下における半導体パッケージの耐湿信頼性を向上させる観点から、多官能型フェノール樹脂を含むことが好ましい。
その他、硬化剤(B)として、ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;ヘキサヒドロ無水フタル酸(HHPA)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸(MTHPA)などの脂環族酸無水物、無水トリメリット酸(TMA)、無水ピロメリット酸(PMDA)、ベンゾフェノンテトラカルボン酸(BTDA)などの芳香族酸無水物などを含む酸無水物等;ポリサルファイド、チオエステル、チオエーテルなどのポリメルカプタン化合物;イソシアネートプレポリマー、ブロック化イソシアネートなどのイソシアネート化合物;カルボン酸含有ポリエステル樹脂などの有機酸類等を挙げることができる。
電子装置の封止における耐湿性や信頼性等の点から、硬化剤(B)としては、1分子内に少なくとも2個のフェノール性水酸基を有する化合物が好ましい。より具体的には、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、tert-ブチルフェノールノボラック樹脂、ノニルフェノールノボラック樹脂等のノボラック型フェノール樹脂;レゾール型フェノール樹脂;ポリパラオキシスチレン等のポリオキシスチレン;フェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂、ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル樹脂等が好ましく挙げられる。
封止用樹脂組成物は、硬化剤(B)を一種のみ含んでもよいし、二種以上含んでもよい。
硬化剤(B)の含有量の下限値は、電子装置を封止する際の優れた流動性、充填性、成形性などの向上を図る観点から、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、好ましくは2.0質量%以上、より好ましくは3.0質量%以上、最も好ましくは4.0質量%以上である。
別観点として、電子装置の耐湿信頼性や耐リフロー性向上の観点から、好ましくは7.0質量%以下、より好ましくは6.0質量%以下、さらに好ましくは5.0質量%以下である。
・無機フィラー(C)
無機フィラー(C)として具体的には、シリカ、アルミナ、チタンホワイト、水酸化アルミニウム、タルク、クレー、マイカ、ガラス繊維等が挙げられる。
無機フィラー(C)は、シリカを含むことが好ましい。シリカとしては、溶融破砕シリカ、溶融球状シリカ、結晶シリカ、2次凝集シリカ等を挙げることができる。これらの中でも特に溶融球状シリカが好ましい。
無機フィラー(C)は、通常、粒子である。
無機フィラー(C)の平均粒径は、特に限定されないが、典型的には1~100μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは1~20μmである。平均粒径が適当であることにより、硬化時の適度な流動性を確保すること等ができる。
無機フィラー(C)の平均粒径は、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置(例えば、株式会社堀場製作所製の湿式粒度分布測定機LA-950)により体積基準の粒子径分布のデータを取得し、そのデータを処理することで求めることができる。測定は、通常、湿式で行われる。
シリカ等の無機フィラー(C)には、シランカップリング剤などのカップリング剤による表面修飾が行われていてもよい。これにより、無機フィラー(C)の凝集が抑制され、より良好な流動性を得ることができる。また、無機フィラー(C)と他の成分との親和性が高まり、無機フィラー(C)の分散性が向上する。このことは、硬化物の機械的強度の向上や、マイクロクラックの発生抑制などに寄与すると考えられる。
表面修飾のためのカップリング剤としては、後述のカップリング剤として挙げているもの等を用いることができる
封止用樹脂組成物は、無機フィラー(C)を1種のみ含んでもよいし、2種以上含んでもよい。
無機フィラー(C)の含有量の下限値は特に制限されないが、例えば、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して55質量%以上であることが好ましく、70質量%以上であることがより好ましく、85質量%以上であることがさらに好ましい。無機フィラー(C)の含有量を適度に多くすることにより、低吸湿性などを実現し、電子装置の耐湿信頼性や耐リフロー性をより効果的に向上させることができる。特に、無機フィラー(C)を適度に多くして、相対的に樹脂成分(エポキシ樹脂(A)や硬化剤(B)など)を少なくすれば、理論上は硬化収縮が少なくなるため、反りを一層低減しうる。また特に、無機フィラー(C)を適度に多くして、相対的に樹脂成分を少なくすることで、封止用樹脂組成物を硬化物とした後の熱膨張変化を小さくすることができる。熱膨張変化が小さいと、反りの「悪化」を抑えやすくなるため、好ましい。
無機フィラー(C)の含有量の上限値は特に制限されないが、例えば、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、98質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましく、92質量%以下であることがさらに好ましい。無機フィラー(C)の含有量を適度に少なくすることにより、成形時の流動性の低下にともなう成形性の低下等を抑制することが可能となる。
・脂肪酸エステルワックス(D)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、脂肪酸エステルワックス(D)を含む。このような脂肪酸エステルワックスとしては、例えばLicocare(登録商標) RBW102 VITA(融点:77℃、クラリアント社製)等を挙げることができる。このような脂肪酸エステルワックスを用いることにより、低温における封止用樹脂組成物の粘度を低下させることができる。
脂肪酸エステルワックス(D)の含有量の下限値は、十分な流動性を得る観点から、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上である。
脂肪酸エステルワックス(D)の含有量の上限値は、十分な硬化性等を得る観点から、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、好ましくは0.6質量%以下、より好ましくは0.5質量%以下である。
・硬化促進剤(E)
本実施形態の封止用樹脂組成物は、硬化促進剤(E)を含む。硬化促進剤(E)としては、熱硬化性樹脂(A)と硬化剤(B)との硬化反応を促進することができるものであれば、特に制限することなく使用することができ、例えば、テトラフェニルホスホニウム・4,4'-スルフォニルジフェノラート(住友ベークライト株式会社製)が挙げられる。
硬化促進剤(E)の含有量の下限値は、十分な硬化性等を得る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは0.3質量%以上、より好ましくは0.4質量%以上、最も好ましくは0.5%以上である。
硬化促進剤(E)の含有量の上限値は、十分な流動性を得る観点から、封止用樹脂組成物全体に対して、好ましくは1.0質量%以下、より好ましくは0.9質量%以下、最も好ましくは、0.8質量%以下である。
・離型剤
本実施形態の封止用樹脂組成物は、離型剤を含んでもよい。離型剤としては、例えば、カルナバワックス、脂肪酸アミド、ステアリン酸エステル、モンタン酸エステル、脂肪酸エステル、カルボキシル基含有ポリオレフィン等が挙げられる。
・カップリング剤
本実施形態の封止用樹脂組成物は、シランカップリング剤を含んでもよい。シランカップリング剤としては、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β-(3,4-エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-β(アミノエチル)γ-アミノプロピルメチルジエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等が挙げられる。
カップリング剤は、封止用樹脂組成物の全固形分100質量%に対して、0.01質量%以上1.0質量%以下の量で使用されることが好ましく、0.05質量%以上0.9質量%以下の量であることがより好ましく、0.08質量%以上0.8質量%以下の量であることがさらにより好ましい。
シランカップリング剤の含有量を上記範囲内とすることで、樹脂組成物の流動性と密着性を向上させ、樹脂組成物の成形品の機械強度と信頼性を向上することができる。
・その他の添加剤
本実施形態の樹脂組成物には、上記成分に加え、本発明の目的とする所望の特性を阻害しない範囲で、有機フィラーや、従来公知の添加剤、例えば、難燃剤、着色剤、シリコーン可とう剤、低応力剤及びイオントラップ剤等を必要に応じて使用してもよい。
(封止用樹脂組成物の形状)
本実施形態の封止用樹脂組成物の形状は、特に限定されない。形状は、例えば、粒子状、顆粒状、タブレット状またはシート状である。
(封止用樹脂組成物の製造方法)
本実施形態の封止用樹脂組成物の製造方法は特に限定されない。
例えば、上述の各成分を、公知の手段で混合し、さらにロール、ニーダーまたは押出機等の混練機で溶融混練し、冷却し、その後に粉砕する方法により得ることができる。
必要に応じて、粉砕後にタブレット状に打錠成形してもよい。
必要に応じて、粉砕後に例えば真空ラミネート成形または圧縮成形によりシート状にしてもよい。
必要に応じて、得られた封止用樹脂組成物の分散度や流動性等を調整してもよい。
(電子装置の製造方法)
本実施形態に係る電子装置の製造方法は、樹脂組成物を用いて電子部品を封止する工程を含む電子装置の製造方法であって、上記樹脂組成物が、上記の封止用樹脂組成物である、電子装置の製造方法である。
本実施形態に係る電子装置の製造方法について説明する。
本実施形態に係る電子装置の製造方法は、例えば、基材上に電子部品を配設する配設工程と、上述した封止用樹脂組成物を用いて、電子部品を封止する封止工程と、を含む。
(配設工程)
配設工程では、基材上に電子部品を配設する。
配設工程で配設される電子部品の数は限定されず、例えば、基材上に1個の電子部品を配設してもよく、基材上に複数の電子部品を配設してもよい。
配設工程では、例えば、ウエハなどの基材上に電子回路などの電子部品を形成してもよく、有機基材などの基材上に半導体素子などの電子部品を配置してもよい。
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、充填性に優れるため、例えば、複数のチップをスタックさせて配置する場合に好適に用いることができる。
(封止工程)
封止工程では、上述した封止用樹脂組成物を用いて、電子部品を封止する。これにより、上述した封止部材を封止用樹脂組成物の硬化物で形成することができる。
封止する方法としては、具体的には、トランスファー成形法、圧縮成形法、インジェクション成形などが挙げられる。これらの方法により、封止用樹脂組成物を、成形し、硬化させることにより封止部材を形成することができる。本実施形態の封止用樹脂組成物は、大面積の基材を封止する場合に好適に用いることができる。
本実施形態における封止用樹脂組成物を用いて電子部品を封止する際の成形温度は、好ましくは、100℃以上120℃以下である。これにより、熱に弱い部品を含む素子であっても、素子を痛めることなく封止することができる。このような低温で成形される場合にも、本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、粘度を低く抑えられ、流動性に優れるため、成形品の未充填やボイドの発生の抑制を抑えることが可能となる。
(用途)
本実施形態に係る封止用樹脂組成物は、半導体素子の封止に用いることができ、また、半導体素子の封止用に限定されず、その他の素子の封止、ECU(engine control unit)等の制御装置を備える電子装置の一括封止、ローターコアの磁石固定用封止等様々な封止用途に用いることができる。半導体素子の封止に用いる場合、上記半導体素子としては、例えば、集積回路、大規模集積回路、トランジスタ、サイリスタ、ダイオード、固体撮像素子等が挙げられる。半導体素子を備える半導体パッケージの構造としては、例えば、ボール・グリッド・アレイ(BGA)、MAPタイプのBGA等が挙げられる。また、チップ・サイズ・パッケージ(CSP)、クワッド・フラット・ノンリーデッド・パッケージ(QFN)、embedded WLP(eWLP)、Fan In WLPおよびFan Out WLP等のウエハ・レベルパッケージ(WLP)、スモールアウトライン・ノンリーデッド・パッケージ(SON)、リードフレーム・BGA(LF-BGA)等が挙げられる。
本実施形態に係る半導体装置は、基板上に搭載された半導体素子と、上記半導体素子を封止する封止部材と、を備える半導体装置であって、上記封止部材が、上記の封止用樹脂組成物の硬化物からなる、半導体装置である。
次に、半導体装置について説明する。
図1は、本実施形態に係る半導体装置100の一例を示す断面図である。本実施形態に係る半導体装置100は、基板30上に搭載された半導体素子20と、半導体素子20を封止する封止材50と、を備えている。半導体素子20は、たとえば、SiC、GaN、Ga、またはダイヤモンドにより形成されたパワー半導体素子である。また、封止材50は、本実施形態に係る半導体封止用樹脂組成物を硬化して得られる硬化物により構成されている。
本実施形態に係る半導体装置100において、半導体素子20は、上述したようにSiC、GaN、Ga、またはダイヤモンドにより形成されたパワー半導体素子であり、200℃以上という高温で動作することができる。このような高温環境での長時間使用においても、本実施形態に係る半導体封止用樹脂組成物を用いて形成した封止材50は、十分な密着性を示すことができる。このため、半導体装置100の信頼性を向上させることが可能となる。なお、半導体素子20は、たとえば入力電力が1.7W以上であるパワー半導体素子とすることができる。
図1においては、基板30が回路基板である場合が例示されている。この場合、図1に示すように、基板30のうちの半導体素子20を搭載する一面とは反対側の他面には、たとえば複数の半田ボール60が形成される。半導体素子20は、たとえば基板30上に搭載され、かつワイヤ40を介して基板30と電気的に接続される。一方で、半導体素子20は、基板30に対してフリップチップ実装されていてもよい。
ここで、ワイヤ40は、たとえば銅で構成される。
封止材50は、たとえば半導体素子20のうちの基板30と対向する一面とは反対側の他面を覆うように半導体素子20を封止する。図1に示す例においては、半導体素子20の上記他面と側面を覆うように封止材50が形成されている。封止材50は、たとえば半導体封止用樹脂組成物をトランスファー成形法または圧縮成形法等の公知の方法を用いて封止成形することにより形成することができる。
本実施形態に係る電子装置は、配線基板と、上記配線基板の少なくとも一面上に搭載された複数の電子部品と、上記複数の電子部品を封止する封止樹脂部材と、を備える電子装置であって、上記封止樹脂部材が、上記封止用樹脂組成物の成形体で構成される、電子装置である。
本実施形態に係る電子装置は、車載用途である、電子装置である。
次に、車載用電子制御装置10の製造方法について図2に基づいて説明する。
本実施形態に係る車載用電子制御装置10は、たとえば以下のように作製される。まず、配線基板12の少なくとも一面上に複数の電子部品16を搭載する。次いで、複数の電子部品16を、封止用樹脂組成物を用いて封止成形する。封止用樹脂組成物としては、上記に例示したものを用いることができる。
以下、車載用電子制御装置10の製造方法について詳述する。
まず、配線基板12の少なくとも一面上に複数の電子部品16を搭載する。本実施形態においては、たとえば複数の電子部品16を、配線基板12の一面と、当該一面とは反対の他面と、のそれぞれに搭載することができる。これにより、図3に示すような、配線基板12の両面に電子部品16が搭載された車載用電子制御装置10を形成することが可能となる。一方で、配線基板12の一面のみに電子部品16を搭載し、他面には電子部品16が搭載されなくともよい。なお、配線基板12および電子部品16としては、本技術分野において通常用いられるものを適用することができる。
なお、配線基板12は、図2に示すように、たとえば平板状の形状を有している。本実施形態においては、たとえばポリイミド等の有機材料により形成された有機基板を配線基板12として採用することができる。配線基板12は、たとえば配線基板12を貫通して一面と他面を接続するスルーホール120を有していてもよい。この場合、配線基板12のうちの一面に設けられた配線と、他面に設けられた配線と、がスルーホール120内に設けられた導体パターンを介して電気的に接続される。
次に、複数の電子部品16を、封止用樹脂組成物を用いて封止成形する。これにより、電子部品16を封止する封止樹脂14が形成されることとなる。本実施形態においては、たとえば電子部品16とともに配線基板12を封止するように封止用樹脂組成物の成形が行われる。図2に例示される車載用電子制御装置10は、たとえば配線基板12の一面および他面、ならびに配線基板12に搭載された電子部品16を封止用樹脂組成物によって封止成形することにより得ることができる。また、本実施形態においては、複数の電子部品16とともに配線基板12の一部または全部が封止用樹脂組成物を用いて封止される。図2に例示される車載用電子制御装置10は、たとえば接続端子18が露出するように、配線基板12のうちの接続端子18を封止せずに他の部分全体を封止するように封止用樹脂組成物の成形を行うことにより得られる。
以上、本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
以下、本発明を実施例および比較例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<封止用樹脂組成物の調製>
以下のようにして、実施例および比較例の封止用樹脂組成物を調製した。
まず、後掲の表1に記載の各成分を、ミキサーを用いて混合した。次いで、得られた混合物を、ロール混練し、その後冷却し、さらに粉砕した。これにより、粉粒体である封止用樹脂組成物を得た(以下、封止用樹脂組成物Aとする)。得られた封止用樹脂組成物を打錠成形してタブレットを得た(以下、封止用樹脂組成物Bとする)。
用いた各成分の詳細は下記のとおりである。
(エポキシ樹脂)
・エポキシ樹脂1:トリフェニルメタン型エポキシ樹脂とビフェニル型エポキシ樹脂の混合物(三菱化学社製、YL6677)
・エポキシ樹脂2:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000L)
(硬化剤)
・硬化剤1:ビフェニレン骨格含有フェノールアラルキル型樹脂(明和化成社製、MEH-7851SS)
・硬化剤2:2-ヒドロキシベンズアルデヒドとホルムアルデヒドで変性したトリフェニルメタン型フェノール樹脂(エアー・ウォーター社製、HE910-20)
(無機フィラー)
・無機フィラー1:溶融球状シリカ(平均粒径9μm)
・無機フィラー2:平均粒径0.6μmの溶融球状シリカ(アドマテックス社製、SC-2500-SQ)
・無機フィラー3:平均粒径1.6μmの溶融球状シリカ(アドマテックス社製、SC-5500-SQ)
(カップリング剤)
・カップリング剤1:N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(東レ・ダウコーニング株式会社製、CF-4083)
・カップリング剤2:3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン
・カップリング剤3:3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(チッソ社製、S510)
(硬化促進剤)
・硬化促進剤1:テトラフェニルホスホニウム・4,4'-スルフォニルジフェノラート(住友ベークライト株式会社製)
(脂肪酸エステルワックス)
・脂肪酸エステルワックス1:脂肪酸エステルワックス(クラリアント社製、商品名「Licocare(登録商標) RBW 102 VITA」、融点:77℃)
(離型剤)
・離型剤1:カルナバワックス
・離型剤2:エルカ酸アミド
(着色剤)
・着色剤1:カーボンブラック
(イオントラップ剤)
・イオントラップ剤1:マグネシウム・アルミニウム・ハイドロオキサイド・カーボネート・ハイドレート
(低応力剤)
・低応力剤1:カルボキシル基末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合体(宇部興産社製、CTBN1008SP)
・低応力剤2:シリコーンオイル(九州住友ベークライト社製、M69B)
(ラボプラストミルを用いたトルクの測定)
得られた封止用樹脂組成物Aについて、ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される最低トルク値、時間tおよび時間tの測定を次のように行った。まず、ラボプラストミル試験機(東洋精機製作所社製、4C150)を用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で封止用樹脂組成物の溶融トルクを経時的に測定した。次いで、トルク値が最低トルク値となる時刻をt(秒)とし、最低トルク値を経た後にトルク値が最低トルク値の2倍となる時刻をt(秒)とし、tおよびtを測定結果に基づいて算出した。測定開始点は、ラボプラストミル試験機に材料を投入し、急激にトルクが立ち上がった後、トルクが下がり始める点とした。また、測定結果から、最低トルク値(N・m)を算出した。さらにt-tの値をtおよびtの結果より算出した。
(キュラストメーターを用いたトルクの測定)
キュラストメーター(JSRトレーディング株式会社製、CURELASTOMETER7)を用い、金型温度120℃にて封止用樹脂組成物B(φ35mm×4mm厚)の硬化トルクを経時的に測定した。次いで、最大硬化トルクをTとし、Tの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10とし、T10に達した後、Tの90%のトルク値をT90とし、T90に達する時刻をt90としたとき、t10およびt90を測定結果に基づいて算出した。さらにt90-t10の値をt10およびt90の結果より算出した。
(ショアD硬度)
低圧トランスファー成形機(TOWA株式会社製、Yシリーズ)を用いて、金型温度120℃、注入圧力10MPa、硬化時間300秒の条件で、封止用樹脂組成物B(φ14mm×2mm厚)を、型開き10秒後に測定したショアD硬度の値を測定した。ショアD硬度は硬化性の指標であり、数値が80以上であると成形不良を防止することができる。
(流動性(スパイラルフロー))
低圧トランスファー成形機(コータキ精機株式会社製、KTS-15)を用いて、EMMI-1-66に準じたスパイラルフロー測定用金型に、金型温度120℃、注入圧力6.9MPa、保圧時間300秒の条件で、封止用樹脂組成物Aを注入し、流動長を測定した。スパイラルフローは、流動性の指標であり、数値が大きい方が、流動性が良好である。単位はcmである。
(低温成形性の評価)
半導体装置を、以下の方法で作製し成形性の評価を行った。厚み350μmの40mm×30mm半導体チップをダイサーにより表面切削加工することで、バンプ径75μm、バンプ高さ25μm、バンプ表面間隔75μmのバンプを形成した(最小の狭路幅は25μmであった)。次いで、42アロイ板上にバンプ搭載面を下にして四隅を接着固定し、半導体搭載基板を作成した。この基板と封止用樹脂組成物Aを用いて成形圧10MPa、成形温度120℃、硬化時間300秒で圧縮成形を行い、半導体装置を得た。
得られた各半導体装置から半導体チップを剥離させ、得られたチップ剥離面のボイドの有無を目視で確認し、ボイドがあれば×、なければ〇として、低温成形性を評価した。
実施例および比較例の封止用樹脂組成物の組成と、評価結果を、まとめて表1に示す。
Figure 2022099653000001
実施例の封止用樹脂組成物は、低温において適正なトルク値の範囲を取り、優れた流動性を有しており、低温成形した場合に未充填やボイドが発生することなく良好な成形性を示し、低温成形する場合の封止材料として好適に使用できるものであった。
10 車載用電子制御装置
12 配線基板
14 封止樹脂
16 電子部品
18 接続端子
20 半導体素子
30 基板
40 ワイヤ
50 封止材
60 半田ボール
100 半導体装置
120 スルーホール

Claims (11)

  1. (A)エポキシ樹脂と、
    (B)硬化剤と、
    (C)無機フィラーと、
    (D)脂肪酸エステルワックスと、
    (E)硬化促進剤と、
    を含む封止用樹脂組成物であって、
    ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される、当該封止用樹脂組成物の最低トルクが0.60N・m以上0.85N・m以下であり、
    当該封止用樹脂組成物を120℃で5分間の熱処理により得られる硬化体のショアD硬度が80以上100以下である、
    封止用樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記ラボプラストミルを用いて、回転数30rpm、測定温度120℃の条件で測定される、最低トルクに到達する時刻をtとし、最低トルクに到達後、トルクが上昇し、最低トルクの2倍となる点に到達した時刻をtとしたときに、(t-t)が50秒以上90秒以下である、封止用樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の封止用樹脂組成物であって、
    キュラストメーターを用いて、120℃にて当該封止用樹脂組成物のトルクを経時的に測定した際の、最大硬化トルクをTとし、Tの10%のトルク値をT10とし、T10に達する時刻をt10とし、T10に達した後、Tの90%のトルク値をT90とし、T90に達する時刻をt90としたとき、(t90-t10)が、90秒以上300秒以下となる、封止用樹脂組成物。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    120℃におけるスパイラルフローが、130cm以上200cm以下である、封止用樹脂組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記(A)エポキシ樹脂が、分子内に2個のエポキシ基を有する2官能エポキシ樹脂と、分子内に3個以上のエポキシ基を有する多官能エポキシ樹脂と、を含む、封止用樹脂組成物。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物であって、
    前記(E)硬化促進剤の含有量(%)が、封止用樹脂組成物全体に対して、0.3質量%以上1.0質量%以下である、封止用樹脂組成物。
  7. 樹脂組成物を用いて電子部品を封止する工程を含む電子装置の製造方法であって、
    前記樹脂組成物が、請求項1~6のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物である、電子装置の製造方法。
  8. 請求項7に記載の電子装置の製造方法であって、
    電子装置の成形温度が100℃以上120℃以下である、電子装置の製造方法。
  9. 基板上に搭載された半導体素子と、
    前記半導体素子を封止する封止部材と、を備える半導体装置であって、
    前記封止部材が、請求項1~6のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の硬化物からなる、半導体装置。
  10. 配線基板と、
    前記配線基板の少なくとも一面上に搭載された複数の電子部品と、
    前記複数の電子部品を封止する封止樹脂部材と、を備える電子装置であって、
    前記封止樹脂部材が、請求項1~6のいずれか一項に記載の封止用樹脂組成物の成形体で構成される、電子装置。
  11. 請求項10に記載の電子装置であって、
    車載用途である、電子装置。
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