JP2022098985A - 回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、回路接続構造体の製造方法 - Google Patents

回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、回路接続構造体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】優れた転写性を有しながら、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制できる回路接続用接着剤フィルムを提供すること。【解決手段】光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなる第1の接着剤層2と、第1の接着剤層2上に積層された、熱硬化性組成物からなる第2の接着剤層3と、を備え、第1の接着剤層は、炭素原子に直接結合する水酸基を有するラジカル重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤と、熱ラジカル重合開始剤と、導電粒子4と、チオール化合物とを含有する、回路接続用接着剤フィルム1。【選択図】図1

Description

本発明は、回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、並びに、回路接続構造体の製造方法に関する。
従来、回路接続を行うために各種の接着材料が使用されている。例えば、液晶ディスプレイとテープキャリアパッケージ(TCP)との接続、フレキシブルプリント配線基板(FPC)とTCPとの接続、又はFPCとプリント配線板との接続のための接着材料として、接着剤中に導電粒子が分散された異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用されている。
異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用される精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅及び電極間隔が極めて狭くなっている。このため、微小電極上に効率良く導電粒子を捕捉させ、高い接続信頼性を得ることが必ずしも容易ではなくなっている。これに対し、例えば特許文献1では、導電粒子を異方導電性接着シートの片側に偏在させ、導電粒子同士を離間させる手法が提案されている。
国際公開第2005/54388号
しかしながら、特許文献1の手法では、回路接続時に導電粒子が流動するため、電極間に導電粒子が凝集し、短絡が発生する可能性がある。また、導電粒子の流動にともなう導電粒子の粗密の分布は、絶縁特性の低下だけでなく、接続抵抗値のばらつきを生じさせる懸念もあり、未だ改良の余地がある。
また、上記回路接続用接着剤フィルムは、通常、基材上に積層された状態で保管されるため、回路接続用接着剤フィルムを使用して回路接続構造体を作製する際には、まず、回路接続用接着剤フィルムを被着体である回路部材に転写する工程(転写工程)が必要となるが、生産性の観点からこの転写工程に対しては短時間化の要求がある。しかしながら、転写時間を短くすると、従来の回路接続用接着剤フィルムでは、転写不良が生じやすい。転写不良が生じると、回路接続用接着剤フィルムによる回路間の接着が不充分となり、接続抵抗値の上昇、接着力の低下等が起こり、充分な歩留まりが得られなくなるため、転写性に優れる(すなわち、短時間での転写であっても転写不良を生じ難い)回路接続用接着剤フィルムが求められる。
そこで、本発明は、優れた転写性を有しながら、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制できる回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、下記[1]に示す接着剤フィルムに関する。
[1]光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなる第1の接着剤層と、前記第1の接着剤層上に積層された、熱硬化性組成物からなる第2の接着剤層と、を備え、前記第1の接着剤層は、炭素原子に直接結合する水酸基を有するラジカル重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤と、熱ラジカル重合開始剤と、導電粒子と、チオール化合物とを含有する、回路接続用接着剤フィルム。
上記側面の回路接続用接着剤フィルムによれば、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制することができ、また、短時間で転写された場合にも、転写不良による回路部材と接着剤フィルムとの界面における剥離を抑制し、接続構造体における回路部材と回路接続部との界面における剥離を抑制することができる。
上記側面の回路接続用接着剤フィルムは、下記[2]~[5]に示す回路接続用接着剤フィルムであってよい。
[2]前記炭素原子に直接結合する水酸基を有するラジカル重合性化合物が、(メタ)アクリレート化合物である、[1]に記載の回路接続用接着剤フィルム。
[3]前記熱硬化性組成物が、ラジカル重合性化合物と、熱ラジカル重合開始剤とを含有する、[1]又は[2]に記載の回路接続用接着剤フィルム。
[4]前記第1の接着剤層の厚さが、前記導電粒子の平均粒径の0.1~0.8倍である、[1]~[3]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルム。
本発明の他の一側面は、下記[5]に示す回路接続用接着剤フィルムの製造方法に関する。
[5][1]~[4]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルムの製造方法であって、前記光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光を照射することにより、前記光及び熱硬化性組成物を硬化させ、前記第1の接着剤層を形成する工程を備える、回路接続用接着剤フィルムの製造方法。
本発明の他の一側面は、下記[6]に示す回路接続構造体の製造方法に関する。
[6]第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、基材上に[1]~[4]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルムを備える基材付き回路接続用接着剤フィルムとを用意する工程と、前記回路接続用接着剤フィルムを前記基材から前記第1の回路部材の前記第1の電極が形成されている面上に転写する工程と、前記第1の電極と前記第2の電極とが互いに対向するように、前記第1の回路部材と前記回路接続用接着剤フィルムと前記第2の回路部材とをこの順で配置した後、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、前記第1の電極及び前記第2の電極を前記導電粒子を介して互いに電気的に接続する工程と、を備える、回路接続構造体の製造方法。
本発明によれば、優れた転写性を有しながら、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制できる回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態の回路接続用接着剤フィルムを示す模式断面図である。 図2は、本発明の一実施形態の回路接続構造体を示す模式断面図である。 図3は、本発明の一実施形態の回路接続構造体の製造工程を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下で例示する材料は、特に断らない限り、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。
<回路接続用接着剤フィルム>
図1は、一実施形態の回路接続用接着剤フィルムを示す模式断面図である。図1に示すように、回路接続用接着剤フィルム1(以下、単に「接着剤フィルム1」ともいう。)は、第1の接着剤層2と、第1の接着剤層2上に積層された第2の接着剤層3と、を備える。
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層2は、光及び熱硬化性組成物の硬化物(光硬化物)からなる。光及び熱硬化性組成物は、(A)ラジカル重合性化合物(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)光ラジカル重合開始剤(以下、「(B)成分」ともいう。)、(C)熱ラジカル重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)、(D)導電粒子4(以下、「(D)成分」ともいう。)、及び、(E)チオール化合物を含有する。
第1の接着剤層2は、例えば、光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光エネルギーを照射することで(A)成分を重合させ、光及び熱硬化性組成物を硬化(光硬化)させることで得られる。つまり、第1の接着剤層2は、導電粒子4と、光及び熱硬化性組成物の導電粒子4以外の成分を硬化させてなる接着剤成分5と、からなっていてよい。接着剤成分5は、例えば、(A)成分の重合体及び(C)成分を含む。接着剤成分は、(A)成分又は(A)成分の重合体と(E)成分との反応生成物を含んでいてもよい。すなわち、(A)成分の重合時には、(E)成分と(A)成分又は(A)成分の重合体とが反応することにより、(E)成分が(A)成分の重合体中に取り込まれてもよい。接着剤成分5は、未反応の(A)成分、(B)成分及び(E)成分を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
[(A)成分:ラジカル重合性化合物]
(A)成分は、例えば、光(例えば紫外光)の照射によって光重合開始剤が発生させたラジカルにより重合する化合物であり、少なくとも一つのラジカル重合性基を有する。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アルケニル基、アルケニレン基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられる。
(A)成分は、炭素原子に直接結合する水酸基を有するラジカル重合性化合物(以下、「(AA)成分」ともいう。)を少なくとも含む。本実施形態では、光及び熱硬化性組成物が(AA)成分を含み、且つ、(E)成分を含むことにより、優れた転写性と導電粒子の流動抑制とを両立することができる。
(AA)成分は、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。(AA)成分の重量平均分子量は、例えば、150~50000、150~5000又は150~1000であってよい。
(AA)成分が有するラジカル重合性基は、硬化反応速度と硬化後の物性とのバランスに優れる観点では、(メタ)アクリロイル基であってよい。すなわち、(AA)成分は、(メタ)アクリレート化合物であってよい。
(AA)成分が有するラジカル重合性基の数は、1つであっても複数であってもよい。(AA)成分が有するラジカル重合性基の数は、重合時の硬化収縮を抑える観点では、10以下、5以下又は2以下であってよい。重合時の硬化収縮を抑えることは、光照射後に、均一で安定した膜(第1の接着剤層)が得られる点で好ましい。本実施形態では、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとるために、ラジカル重合性基の数が上記範囲内の(AA)成分を使用した上で、ラジカル重合性基の数が上記範囲外のラジカル重合性化合物((AA)成分又は(AA)成分以外の重合性化合物)を追加で使用してもよい。
(AA)成分が有する炭素原子に直接結合する水酸基の数は、1つであっても複数であってもよい。
(AA)成分は、工業的汎用性(入手のしやすさ)の観点では、下記式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート化合物であってよい。
Figure 2022098985000002
式(1)中、Rは、二価の炭化水素基を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。二価の炭化水素基は、例えば、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基等であってよい。二価の炭化水素基の炭素数は、例えば1~20であってよい。
脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基であってよい。アルカンジイル基の炭素数は、例えば1~10であってよい。直鎖状のアルカンジイル基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、ノナン-1,9-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基等が挙げられる。分岐状のアルカンジイル基としては、例えば、エタン-1,1-ジイル基、プロパン-1,1-ジイル基、プロパン-1,2-ジイル基、プロパン-2,2-ジイル基、ペンタン-2,4-ジイル基、2-メチルプロパン-1,3-ジイル基、2-メチルプロパン-1,2-ジイル基、ペンタン-1,4-ジイル基、2-メチルブタン-1,4-ジイル基等が挙げられる。
脂肪族炭化水素基は、例えば、脂肪族環を有していてもよい。脂肪族環の炭素数は、例えば、5~10であってよい。脂肪族環としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロへプタン環、シクロオクタン環、トリシクロデカン環等が挙げられる。脂肪族環を有する脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐状のアルカンジイル基を介して(メタ)アクリロイル基及び水酸基の酸素原子に結合していてよい。直鎖状又は分岐状の飽和炭化水素基は、上記のアルカンジイル基であってよい。
(AA)成分の具体例としては、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジ(メタ)アクリロキシプロパン等が挙げられる。(AA)成分は、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
(AA)成分の含有量は、発明の効果がより顕著になる観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、2.5質量%以上又は5質量%以上であってよい。(AA)成分の含有量は、他の材料との相溶性の観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、90質量%以下又は75質量%以下であってよい。これらの観点から、(AA)成分の含有量は、例えば、(A)成分の全質量を基準として、2.5~90質量%又は5~75質量%であってよい。
光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分(固形分)の合計量に対する、(AA)成分に由来する水酸基の総量の割合(水酸基当量r1、質量比)は、例えば、0.0005(5E-4)以上、0.001(1E-3)以上又は0.0025(2.5E-3)以上であってよく、0.1以下、0.05以下又は0.01以下であってよい。上記割合が0.0005以上であると本発明の効果が顕著となる傾向があり、上記割合が0.1以下であると導電粒子の分散性に優れる均一な第1の接着剤層が得られる傾向があり、また、良好なフィルムサンプルが得られやすい傾向がある。
(A)成分は、例えば、リン酸エステル型(メタ)アクリレート(リン酸エステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物)を含んでいてもよい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、電極同士(例えば回路電極同士)の接着に好適である。また、(A)成分がリン酸エステル型(メタ)アクリレートを更に含む場合、導電粒子の分散性が向上する傾向がある。
リン酸エステル型(メタ)アクリレートとしては、上述した、無機物(金属等)の表面に対する接着強度の向上効果及び導電粒子の分散性の向上効果が顕著となる観点では、下記式(2)で表される化合物を用いてよい。
Figure 2022098985000003
式(2)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。式(2)で表される化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。
リン酸エステル型(メタ)アクリレートの具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
リン酸エステル型(メタ)アクリレートの含有量は、無機物(金属等)の表面に対する接着力を更に向上させ、電極同士(例えば回路電極同士)の接着強度を更に向上させる観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよい。リン酸エステル型(メタ)アクリレートの含有量は、腐食の抑制の観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。これらの観点から、リン酸エステル型(メタ)アクリレートの含有量は、例えば、(A)成分の全質量を基準として、0.1~20質量%、0.5~10質量%又は1~5質量%であってよい。
(A)成分は、リン酸エステル型(メタ)アクリレートの他に、炭素原子に直接結合する水酸基を有しないラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。このような化合物の具体例としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン誘導体、アクリルアミド誘導体、ナジイミド誘導体、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーンアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、2,2-ビス[4-(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、1-メチル-2,4-ビスマレイミドベンゼン、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチル-ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-3,3-ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(3-s-ブチル-4-8(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス(1-(4マレイミドフェノキシ)-2-シクロヘキシル)ベンゼン、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
アリル化合物としては、1,3-ジアリルフタレート、1,2-ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
炭素原子に直接結合する水酸基を有しないラジカル重合性化合物は、硬化反応速度と硬化後の物性とのバランスに優れる観点では、(メタ)アクリレート化合物であってよい。
炭素原子に直接結合する水酸基を有しないラジカル重合性化合物は、接続抵抗を低減させるための凝集力と、接着力を向上させるための伸びを両立し、より優れた転写性とより優れた接着特性を得る観点では、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含んでいてよい。(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量は、更に優れた転写性と更に優れた接着特性とを得る観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、30質量%以上、50質量%以上又は70質量%以上であってよく、96質量%以下、93質量%以下又は90質量%以下であってよく、30~96質量%、50~93質量%又は70~90質量%であってよい。
炭素原子に直接結合する水酸基を有しないラジカル重合性化合物は、凝集力を向上させ、接続抵抗をより低減させる観点及びより優れた転写性を得る観点では、トリシクロデカン骨格等の高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含んでいてもよい。高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、凝集力を更に向上させ、接続抵抗を更に低減させる観点及び更に優れた転写性を得る観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、3質量%以上、6質量%以上又は9質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下又は15質量%以下であってよく、3~30質量%、6~20質量%又は9~15質量%であってよい。
炭素原子に直接結合する水酸基を有しないラジカル重合性化合物は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させ、接続信頼性を向上させる観点及びより優れた転写性を得る観点では、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を導入した化合物(例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート)を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の重量平均分子量は、架橋密度と硬化収縮とのバランスに優れる観点では、3000以上であってよく、5000以上であってよく、1万以上であってよい。また、熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の重量平均分子量は、他成分との相溶性に優れる観点では、100万以下であってよく、50万以下であってよく、25万以下であってよい。なお、重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の含有量は、接続抵抗を更に低減させ、接続信頼性を更に向上させる観点及び更に優れた転写性を得る観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、30質量%以上、50質量%以上又は70質量%以上であってよく、96質量%以下、93質量%以下又は90質量%以下であってよく、30~96質量%、50~93質量%又は70~90質量%であってよい。
(A)成分の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5質量%以上、10質量%以上又は20質量%以上であってよい。(A)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑え、更に優れた転写性を得る観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、90質量%以下、80質量%以下又は70質量%以下であってよい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5~90質量%、10~80質量%又は20~70質量%であってよい。
[(B)成分:光ラジカル重合開始剤]
(B)成分は、例えば、150~750nmの範囲内の波長を含む光、好ましくは254~405nmの範囲内の波長を含む光、更に好ましくは365nmの波長を含む光(例えば紫外光)の照射により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、(B)成分は、外部からの光エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。(B)成分としては、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
(B)成分としては、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造、アクリジン構造、α-アミノアルキルフェノン構造、アミノベンゾフェノン構造、N-フェニルグリシン構造、アシルフォスフィンオキサイド構造、ベンジルジメチルケタール構造、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造等の構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
(B)成分は、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、下記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤であってよい。
Figure 2022098985000004
光重合開始剤は、上記式(I)で表される構造を複数有していてよい。
上記式(I)で表される構造は、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造又はアクリジン構造であってよい。すなわち、光及び熱硬化性組成物は、上記式(I)で表される構造として、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造及びアクリジン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する光重合開始剤を含有していてよい。これらの中でも、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤を用いる場合、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する傾向がある。
オキシムエステル構造を有する化合物としては、下記式(VI)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2022098985000005
式(VI)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は芳香族系炭化水素基を含む有機基を示す。
オキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-o-ベンゾイルオキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。
ビスイミダゾール構造を有する化合物としては、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体が挙げられる。
アクリジン構造を有する化合物としては、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等が挙げられる。
上記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤の含有量は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.45質量%以上、0.55質量%以上又は0.85質量%以上であってよい。上記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤の含有量は、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、1.2質量%以下、0.9質量%以下又は0.6質量%以下であってよい。これらの観点から、上記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤の含有量は、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1~1.2質量%、0.3~1.2質量%、0.45~0.9質量%又は0.45~0.6質量%であってよい。
(B)成分の含有量(光重合開始剤の含有量の合計)は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.3質量%以上、0.45質量%以上、0.55質量%以上又は0.85質量%以上であってよい。(B)成分の含有量は、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、1.2質量%以下、0.9質量%以下又は0.6質量%以下であってよい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.3~1.2質量%、0.45~0.9質量%又は0.45~0.6質量%であってよい。
[(C)成分:熱ラジカル重合開始剤]
(C)成分は、熱により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、熱ラジカル重合開始剤は、外部からの熱エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。(C)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
熱ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている有機過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。熱ラジカル重合開始剤としては、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、有機過酸化物であってよく、安定性、反応性及び相溶性の観点では、1分間半減期温度が90~175℃であり、且つ、重量平均分子量が180~1000の有機過酸化物であってよい。1分間半減期温度がこの範囲にあることで、貯蔵安定性に更に優れ、ラジカル重合性も充分に高く、短時間で硬化できる。
(C)成分の具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
(C)成分の含有量は、速硬化性に優れる観点、並びに、導電粒子の流動抑制効果、及び、転写後の剥離の抑制効果が更に向上する観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよい。(C)成分の含有量は、ポットライフの観点では、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。なお、第1の接着剤層中の導電粒子以外の成分の合計量を基準とした(C)成分の含有量は上記範囲と同じであってよい。
[(D)成分:導電粒子]
(D)成分は、導電性を有する粒子であれば特に制限されず、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。(D)成分は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック(ポリスチレン等)などを含む核と、上記金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子であってもよい。これらの中でも、熱溶融性の金属で形成された金属粒子、又はプラスチックを含む核と、金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子を用いる場合、光及び熱硬化性組成物の硬化物を加熱又は加圧により変形させることが容易となる。そのため、電極同士を電気的に接続する際に、電極と(D)成分との接触面積を増加させ、電極間の導電性をより向上させることができる。
(D)成分は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子、又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。(D)成分が絶縁被覆導電粒子であると、(D)成分の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、(D)成分同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。(D)成分は、上述した各種導電粒子の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(D)成分の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さい。(D)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、1.0μm以上、2.0μm以上又は2.5μm以上であってよい。(D)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、50μm以下、30μm以下又は20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を(D)成分の最大粒径とする。なお、(D)成分が球形ではない形状である場合(例えば(D)成分が突起を有する場合)、(D)成分の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
(D)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(D)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
第1の接着剤層2において、(D)成分は均一に分散されていてよい。第1の接着剤層2における(D)成分の粒子密度は、安定した接続抵抗が得られやすい観点では、100pcs/mm以上であってよく、1000pcs/mm以上であってよく、2000pcs/mm以上であってよい。第1の接着剤層2における(D)成分の粒子密度は、隣り合う電極間の絶縁性を向上させる観点では、100000pcs/mm以下であってよく、50000pcs/mm以下であってよく、10000pcs/mm以下であってよい。
(D)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点では、例えば、光及び熱硬化性組成物の全質量を基準として、5質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上であってよい。(D)成分の含有量は、短絡を抑制しやすい観点では、例えば、光及び熱硬化性組成物の全質量を基準として、50質量%以下、40質量%以下又は30質量%以下であってよい。これらの観点から、(D)成分の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物の全質量を基準として、5~50質量%、10~40質量%又は20~30質量%であってよい。なお、第1の接着剤層の全質量を基準とした(D)成分の含有量も上記範囲と同じであってよい。
(D)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点では、光及び熱硬化性組成物の全体積を基準として、0.1体積%以上、1体積%以上又は5体積%以上であってよい。(D)成分の含有量は、短絡を抑制しやすい観点では、光及び熱硬化性組成物の全体積を基準として、50体積%以下、30体積%以下又は20体積%以下であってよい。なお、第1の接着剤層中の全体積を基準とした(D)成分の含有量は上記範囲と同じであってよい。
[(E)成分:チオール化合物]
(E)成分は、チオール基を少なくとも1つ有する化合物である。(E)成分は、モノマーであっても、オリゴマーであってもよい。(E)成分は、1種を単独で用いてよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。例えば、(E)成分として、モノマーとオリゴマーとを併用することもできる。
(E)成分は、チオール基を1つ有するチオール化合物(単官能チオール化合物)であってよく、チオール基を複数有するチオール化合物(多官能チオール化合物)であってもよい。特に、(E)成分が多官能チオール化合物である場合、硬化時((A)成分の重合時)に(E)成分が架橋剤としても機能することで、(E)成分に由来する架橋構造(-C-S-C-)が形成されることとなる。そのため、(E)成分として多官能チオール化合物を用いる場合、転写性を妨げない柔軟性を有しながら、導電粒子の流動をより一層抑制する高い架橋密度を有する硬化物が得られる傾向がある。このような効果が得られやすくなる観点では、チオール基の数は、1つ以上、2つ以上又は4つ以上であってよい。一方、より優れた転写性が得られやすくなる観点では、チオール基の数は、12以下又は10以下であってよい。これらの観点から、チオール基の数は、1~12、2~10、又は4~10であってよい。
(E)成分が有するチオール基は、一級チオール基であってよく、二級チオール基であってもよく、三級チオール基であってもよい。(E)成分が有するチオール基は、転写性と導電粒子の流動の抑制とのバランスにより優れる観点では、二級又は三級チオール基(結合する炭素原子が二級又は三級炭素原子であるチオール基)であってよい。(E)成分が多官能チオール化合物である場合、転写性と導電粒子の流動の抑制とのバランスにより優れる観点では、全てのチオール基が、二級又は三級チオール基であってよい。
単官能チオール化合物としては、例えば、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メチル-4,5-ジヒドロフラン-3-チオール、3-メルカプト-1-ヘキサノール、メルカプトメチルブタノール、3-メルカプト-2-メチルペンタノール、3-メルカプト-3-メチルブタノール、4-エトキシ-2-メチル―2-ブタンチオール、ヘキサンチオール、イソブチルチオール、1,1-ジメチルへプタンチオール、2-エチルヘキシル-3-メルカプトプロピオネート、n-オクチル-3-メルカプトプロピオネート、メトキシブチル-3-メルカプトプロピオネート、ステアリル-3-メルカプトプロピオネート等が挙げられる。
多官能チオール化合物としては、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)、エタンジチオール、1,3-プロパンチオール、1,4-ブタンチオール、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス-[(3-メルカプトプロピオニルオキシ)-エチル]-イソシアヌレート、テトラエチレングリコール ビス(3-メルカプトプロピオネート)等が挙げられる。
(E)成分は、硬化物の柔軟性がより向上し、より優れた転写性が得られやすくなる観点から、下記式(3)で表されるペンタエリスリトール骨格を有していてよい。
Figure 2022098985000006
ペンタエリスリトール骨格を有する(E)成分は、転写性と導電粒子の流動の抑制とのバランスに更に優れる観点では、下記式(4)で表される化合物であってよい。
Figure 2022098985000007
式(4)中、R21、R22、R23及びR24は、それぞれ独立して、チオール基で置換されていてよいアルキル基を示す。ただし、R21、R22、R23及びR24の少なくとも1つは、結合している水素原子の数が0、1又は2である炭素原子に直接結合するチオール基を有する。R21、R22、R23及びR24の全てが、結合している水素原子の数が0、1又は2である炭素原子に直接結合するチオール基を有していてもよい。アルキル基の炭素数は、例えば1~10である。チオール基で置換されていてよいアルキル基の具体例としては、2-メルカプトプロピル基、2-メルカプト-2-メチル-プロピル基、3-メルカプトブチル基等が挙げられる。
式(4)で表される化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)が挙げられる。
(E)成分の分子量は、フィルム状接着剤として用いる場合に製造プロセス中の乾燥工程における揮発を抑制する観点では、例えば、150以上、200以上又は250以上であってよい。(E)成分の分子量は、他の成分との相溶性がより良好となる観点では、例えば、5000以下、3000以下又は1500以下であってよい。これらの観点では、(E)成分の分子量は、150~5000、200~3000又は250~1500であってよい。
光及び熱硬化性組成物に含まれる(E)成分に由来するチオール基の総モル数は、転写性と導電粒子の流動の抑制とのバランスに更に優れる観点では、例えば、光及び熱硬化性組成物に含まれる(A)成分に由来する重合性基の総モル数(例えば、(A)成分中の(メタ)アクリロイル基の総モル数)に対して、0.05以上、0.1以上又は0.15以上であってよく、0.5以下、0.4以下又は0.3以下であってよく、0.05~0.5、0.1~0.4又は0.15~0.3であってよい。
(E)成分の含有量は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点では、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.05質量%以上、0.5質量%以上、1.0質量%以上又は1.5質量%以上であってよい。(E)成分の含有量は、転写性が更に向上する観点及び高温高湿試験後の剥離の抑制効果が更に向上する観点では、5.0質量%以下、3.0質量%以下、2.5質量%以下又は2.0質量%以下であってよい。これらの観点から、(E)成分の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.05~5.0質量%、0.05~3.0質量%、0.5~3.0質量%、0.5~2.0質量%、1.0~2.0質量%又は1.5~2.0質量%であってよい。
[その他の成分]
光及び熱硬化性組成物は、上述した成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填材等が挙げられる。これらの成分は、第1の接着剤層2に含有されていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。光及び熱硬化性組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、第1の接着剤層を容易に形成することができる。また、光及び熱硬化性組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、光及び熱硬化性組成物の硬化時に発生する、第1の接着剤層の応力を緩和することができる。また、熱可塑性樹脂が水酸基等の官能基を有する場合、第1の接着剤層の接着性が向上しやすい。熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。
カップリング剤としては、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、エポキシ基等の有機官能基を有するシランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等のシラン化合物、テトラアルコキシチタネート誘導体、ポリジアルキルチタネート誘導体などが挙げられる。光及び熱硬化性組成物がカップリング剤を含有する場合、接着性を更に向上することができる。カップリング剤の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上であってよく、20質量%以下であってよい。
充填材としては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。
光及び熱硬化性組成物が充填材を含有する場合、接続信頼性の向上が更に期待できる。充填材は、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート-ブタジエン-スチレン微粒子、アクリル-シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、均一な構造を有していてもよく、コア-シェル型構造を有していてもよい。充填材の最大径は、導電粒子4の最小粒径未満であってよい。充填材の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物の全体積を基準として、1体積%以上であってよく、30体積%以下であってよい。
光及び熱硬化性組成物は、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、例えば0.1~10質量%であってよい。これらの添加剤は、第1の接着剤層2に含有されていてもよい。
第1の接着剤層2の厚さd1は、導電粒子4が対向する電極間で捕捉されやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点では、導電粒子4の平均粒径の0.1倍以上であってよく、0.2倍以上であってよく、0.3倍以上であってよい。第1の接着剤層2の厚さd1は、熱圧着時に導電粒子が対向する電極間ではさまれた際に、より導電粒子が潰れやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点では、導電粒子4の平均粒径の0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってよい。これらの観点から、第1の接着剤層2の厚さd1は、導電粒子4の平均粒径の0.1~0.8倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。上記のように、第1の接着剤層2の厚さd1を導電粒子4の平均粒径の0.1~0.8倍とすると接続抵抗を低減できる一方で、従来の接着剤フィルムでは導電粒子が流動しやすい傾向がある。一方、本実施形態では、第1の接着剤層2の厚さd1を導電粒子4の平均粒径の0.1~0.8倍であっても、導電粒子の流動を充分に抑制することができる。
第1の接着剤層2の厚さd1と導電粒子4の平均粒径とが上記のような関係を満たす場合、例えば、図1に示すように、第1の接着剤層2中の導電粒子4の一部が、第1の接着剤層2から第2の接着剤層3側に突出していてよい。この場合、隣り合う導電粒子4,4の離間部分には、第1の接着剤層2と第2の接着剤層3との境界Sが位置している。導電粒子の表面を沿うように導電粒子上に境界Sが存在することにより、第1の接着剤層2中の導電粒子4が第1の接着剤層2から第2の接着剤層3側に突出することなく、上記の関係を満たしていてもよい。導電粒子4は、第1の接着剤層2における第2の接着剤層3側とは反対側の面2aには露出しておらず、反対側の面2aは平坦面となっていてよい。
第1の接着剤層2の厚さd1と導電粒子4の最大粒径との関係は、上記と同様であってよい。例えば、第1の接着剤層2の厚さd1は、導電粒子4の最大粒径の0.1~0.8倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。
第1の接着剤層2の厚さd1は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第1の接着剤層2の厚さd1は、例えば、0.5μm以上であってよく、20μm以下であってよい。なお、導電粒子4の一部が第1の接着剤層2の表面から露出(例えば、第2の接着剤層3側に突出)している場合、第1の接着剤層2における第2の接着剤層3側とは反対側の面2aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の接着剤層2と第2の接着剤層3との境界Sまでの距離(図1においてd1で示す距離)が第1の接着剤層2の厚さであり、導電粒子4の露出部分は第1の接着剤層2の厚さには含まれない。導電粒子4の露出部分の長さは、例えば、0.1μm以上であってよく、20μm以下であってよい。
第1の接着剤層2の厚さd1は、以下の方法により測定することができる。まず、接着剤フィルムを2枚のガラス(厚さ:1mm程度)で挟み込む。次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型する。その後、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて各接着剤層の厚さを測定する。
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層3は、例えば、(a)重合性化合物(以下、(a)成分ともいう。)及び(b)熱重合開始剤(以下、(b)成分ともいう。)を含有する熱硬化性組成物からなる。第2の接着剤層3を構成する熱硬化性組成物は、回路接続時に流動可能な熱硬化性組成物であり、例えば、未硬化の熱硬化性組成物である。
[(a)成分:重合性化合物]
(a)成分は、例えば、熱によって熱重合開始剤が発生させたラジカル、カチオン又はアニオンにより重合する化合物である。(a)成分は、低温短時間での接続が容易となり、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点では、ラジカルにより反応するラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物であってよい。ラジカル重合性化合物及びその組み合わせの例は、(A)成分と同様である。
(a)成分はモノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。(a)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。(a)成分は、(A)成分と同一であっても異なっていてもよい。
(a)成分の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点では、例えば、熱硬化性組成物の全質量基準で、10質量%以上、20質量%以上又は30質量%以上であってよい。(a)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑えることができ、良好な信頼性が得られる観点では、例えば、熱硬化性組成物の全質量基準で、90質量%以下、80質量%以下又は70質量%以下であってよい。
[(b)成分:熱重合開始剤]
(b)成分は、熱によりラジカル、カチオン又はアニオンを発生する熱重合開始剤(熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤又は熱アニオン重合開始剤)である。(b)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。(b)成分は、熱ラジカル重合開始剤であってよい。(b)成分における熱ラジカル重合開始剤の例は、(C)成分と同様である。
(b)成分の含有量は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点では、熱硬化性組成物の全質量基準で、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1質量%以上であってよい。(b)成分の含有量は、ポットライフの観点では、熱硬化性組成物の全質量基準で、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよい。
[その他の成分]
熱硬化性組成物は、(a)成分及び(b)成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填材、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等が挙げられる。その他の成分の詳細は、第1の接着剤層2におけるその他の成分の詳細と同じである。
第2の接着剤層3(熱硬化性組成物)は、光重合開始剤及び導電粒子4を含まなくてよい。第2の接着剤層3における光重合開始剤の含有量は、例えば、第2の接着剤層3の全質量基準で、1質量%以下又は0質量%であってよい。第2の接着剤層3における導電粒子4の含有量は、例えば、第2の接着剤層の全質量基準で、1質量%以下又は0質量%であってよい。
第2の接着剤層3の厚さd2は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第2の接着剤層3の厚さd2は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な接続信頼性が得られる観点では、5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。なお、導電粒子4の一部が第1の接着剤層2の表面から露出(例えば、第2の接着剤層3側に突出)している場合、第2の接着剤層3における第1の接着剤層2側とは反対側の面3aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の接着剤層2と第2の接着剤層3との境界Sまでの距離(図1においてd2で示す距離)が第2の接着剤層3の厚さである。第2の接着剤層3の厚さd2は、第1の接着剤層2の厚さd1と同様にして測定することができる。
第2の接着剤層3の厚さd2に対する第1の接着剤層2の厚さd1の比(第1の接着剤層2の厚さd1/第2の接着剤層3の厚さd2)は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な信頼性が得られる観点では、1以上であってよく、100以下であってよい。
接着剤フィルム1の厚さ(接着剤フィルム1を構成するすべての層の厚さの合計。図1においては、第1の接着剤層2の厚さd1及び第2の接着剤層3の厚さd2の合計。)は、例えば5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
接着剤フィルム1では、導電粒子4が第1の接着剤層2中に分散されている。そのため、接着剤フィルム1は、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムである。接着剤フィルム1は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いられる。
接着剤フィルム1によれば、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制できる。また、接着剤フィルム1によれば、転写不良による回路部材と接着剤フィルムとの界面における剥離を抑制し、接続構造体における回路部材と回路接続部との界面における剥離を抑制することができる。
以上、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、回路接続用接着剤フィルムは、第1の接着剤層及び第2の接着剤層の二層から構成されるものであってよく、第1の接着剤層及び第2の接着剤層以外の層(例えば第3の接着剤層)を備える、三層以上の層から構成されるものであってもよい。第3の接着剤層は、第1の接着剤層又は第2の接着剤層について上述した組成と同様の組成を有する層であってよく、第1の接着剤層又は第2の接着剤層について上述した厚さと同様の厚さを有する層であってよい。
また、上記実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムであるが、回路接続用接着剤フィルムは、異方導電性を有していない導電性接着剤フィルムであってもよい。
<回路接続用接着剤フィルムの製造方法>
本実施形態の回路接続用接着剤フィルム1の製造方法は、例えば、上述した第1の接着剤層2を用意する用意工程(第1の用意工程)と、第1の接着剤層2上に上述した第2の接着剤層3を積層する積層工程と、を備える。回路接続用接着剤フィルム1の製造方法は、第2の接着剤層3を用意する用意工程(第2の用意工程)を更に備えていてもよい。なお、第1の用意工程及び第2の用意工程を行う順番は限定されず、第1の用意工程を先に行ってもよく、第2の用意工程を先に行ってもよい。
第1の用意工程では、例えば、基材上に第1の接着剤層2を形成して第1の接着剤フィルムを得ることにより、第1の接着剤層2を用意する。具体的には、まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を、溶剤(有機溶媒)中に加え、攪拌混合、混練等により、溶解又は分散させて、ワニス組成物を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱により溶剤を揮発させて、基材上に光及び熱硬化性組成物からなる層を形成する。続いて、光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光を照射することにより、光及び熱硬化性組成物を硬化(光硬化)させ、基材上に第1の接着剤層2を形成する(硬化工程)。これにより、第1の接着剤フィルムが得られる。
ワニス組成物の調製に用いる溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有する溶剤を用いてよい。このような溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。ワニス組成物の調製の際の攪拌混合及び混練は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材としては、溶剤を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えばフィルム)を用いることができる。
基材へ塗布したワニス組成物から溶剤を揮発させる際の加熱条件は、溶剤が充分に揮発する条件とすることが好ましい。加熱条件は、例えば、40℃以上120℃以下で0.1分間以上10分間以下であってよい。
光及び熱硬化性組成物からなる層には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。光及び熱硬化性組成物からなる層における溶剤の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物からなる層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
硬化工程における光の照射には、波長150~750nmの範囲内の照射光(例えば紫外光)を用いてよい。光の照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED光源等を使用して行うことができる。光の照射量は、特に限定されず、例えば、波長365nmの光の積算光量で、100mJ/cm以上であってよく、200mJ/cm以上であってよく、300mJ/cm以上であってよい。光の照射量は、例えば、波長365nmの光の積算光量で、10000mJ/cm以下であってよく、5000mJ/cm以下であってよく、3000mJ/cm以下であってよい。
第2の用意工程では、(a)成分及び(b)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を用いること及び光照射を行わないこと以外は、第1の用意工程と同様に、基材上に第2の接着剤層3を形成して第2の接着剤フィルムを得ることにより、第2の接着剤層3を用意する。
第2の接着剤層3には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。第2の接着剤層3における溶剤の含有量は、例えば、第2の接着剤層3の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
積層工程では、第1の接着剤フィルムと、第2の接着剤フィルムとを貼り合わせることにより、第1の接着剤層2上に第2の接着剤層3を積層してよく、第1の接着剤層2上に、(a)成分及び(b)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を用いて得られるワニス組成物を塗布し、溶剤を揮発させることにより、第1の接着剤層2上に第2の接着剤層3を積層してもよい。
第1の接着剤フィルムと、第2の接着剤フィルムとを貼り合わせる方法としては、例えば、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法が挙げられる。ラミネートは、例えば、0~80℃の温度条件下で行ってよい。
<回路接続構造体及びその製造方法>
以下、回路接続材料として上述した回路接続用接着剤フィルム1を用いた回路接続構造体及びその製造方法について説明する。
図2は、一実施形態の回路接続構造体を示す模式断面図である。図2に示すように、回路接続構造体10は、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を有する第2の回路部材16と、第1の回路部材13及び第2の回路部材16の間に配置され、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する回路接続部17と、を備えている。
第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、電極が形成されているガラス基板又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンICチップ等であってよい。第1の回路基板11及び第2の回路基板14は、半導体、ガラス、セラミック等の無機物、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等の複合物などで形成されていてよい。第1の電極12及び第2の電極15は、金、銀、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、アルミ、モリブデン、チタン、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)等で形成されていてよい。
第1の電極12及び第2の電極15は回路電極であってよく、バンプ電極であってもよい。第1の電極12及び第2の電極15の少なくとも一方は、バンプ電極であってよい。図2では、第2の電極15がバンプ電極である。
回路接続部17は、上述した接着剤フィルム1の硬化物からなる。回路接続部17は、例えば、第1の回路部材13と第2の回路部材16とが互いに対向する方向(以下「対向方向」)における第1の回路部材13側に位置し、上述の光及び熱硬化性組成物の導電粒子4以外の成分の硬化物からなる第1の領域18と、対向方向における第2の回路部材16側に位置し、上述の熱硬化性組成物の硬化物からなる第2の領域19と、少なくとも第1の電極12及び第2の電極15の間に介在して第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する導電粒子4と、を有する。回路接続部は、第1の領域18及び第2の領域19のように2つの領域を有していなくてもよく、例えば、上述の光及び熱硬化性組成物の導電粒子4以外の成分の硬化物と上述の熱硬化性組成物の硬化物とが混在した硬化物からなっていてもよい。
以上説明した回路接続構造体10の製造方法は、例えば、第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の電極15を有する第2の回路部材16と、基材上に接着剤フィルム(回路接続用接着剤フィルム)1を備える基材付き接着剤フィルム(基材付き回路接続用接着剤フィルム)とを用意する工程と、接着剤フィルム1を基材から第1の回路部材13の第1の電極12が形成されている面上に転写(ラミネート)する工程と、第1の電極12と第2の電極15とが互いに対向するように、第1の回路部材13と接着剤フィルム1と第2の回路部材16とをこの順で配置した後、第1の回路部材13及び第2の回路部材16を熱圧着して、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する工程と、を備える。
具体的には、まず、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を有する第2の回路部材16と、基材上に接着剤フィルム1を備える基材付き接着剤フィルムとを用意する。基材付き接着剤フィルムが備える基材は、上述した接着剤フィルムの製造に用いられる基材であってよい。
次に、接着剤フィルム1を基材から第1の回路部材13の第1の電極12が形成されている面上に転写(ラミネート)する。具体的には、例えば、第1の接着剤層2側が第1の回路部材13の実装面11aと対向するようにして接着剤フィルム1を第1の回路部材13上にラミネートする。
ラミネート方法は特に制限はないが、ロールラミネータ、ダイヤフラム式ラミネータ、真空ロールラミネータ、真空ダイヤフラム式ラミネータを採用することができる。仮ラミネート後、熱圧着装置を用いて圧着してもよい。
ラミネート条件は、使用するラミネータ、基材、第1の回路部材13、第2の回路部材16等の種類などに応じて適宜設定してよい。ラミネート時の温度(圧着温度)は、例えば、50~90℃であってよい。ラミネート時の圧力(圧着圧力)は、例えば、0.5~1.5MPaであってよい。ラミネート時間(圧着時間)は、例えば、0.5~1.5秒であってよい。
次に、図3(a)に示すように、第1の電極12と第2の電極15とが互いに対向するように、接着剤フィルム1がラミネートされた第1の回路部材13上に第2の回路部材16を配置する。
そして、図3(b)に示すように、第1の回路部材13、接着剤フィルム1及び第2の回路部材16を加熱しながら、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを厚み方向に加圧することで、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを互いに熱圧着する。この際、図3(b)において矢印で示すように、第2の接着剤層3は、流動可能な未硬化の熱硬化性組成物からなっているため、第2の電極15,15間の空隙を埋めるように流動すると共に、上記加熱によって硬化する。これにより、第1の電極12及び第2の電極15が導電粒子4を介して互いに電気的に接続され、また、第1の回路部材13及び第2の回路部材16が互いに接着されて、図2に示す回路接続構造体10が得られる。本実施形態の回路接続構造体10の製造方法では、第1の接着剤層2が予め硬化された層であるため、導電粒子4が上記熱圧着時にほとんど流動せず、導電粒子が効率的に対向する電極間で捕捉されるため、対向する電極12及び15間の接続抵抗が低減される。そのため、接続信頼性に優れる回路接続構造体が得られる。
熱圧着時の温度及び時間は、接着剤フィルム1を充分に硬化させ、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを接着できる温度であればよい。熱圧着温度は、例えば、150~200℃であってよい。熱圧着時間は、例えば、4~7秒であってよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<ポリウレタンアクリレート(UA1)の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1000)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチル錫ジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下70℃で6時間反応させた。これにより、ポリウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。なお、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×10Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
<導電粒子の作製>
ポリスチレン粒子の表面上に、層の厚さが0.2μmとなるようにニッケルからなる層を形成した。このようにして、平均粒径4μm、最大粒径4.5μm、比重2.5の導電粒子を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂の調製方法>
攪拌機、温度計、コンデンサー、真空発生装置及び窒素ガス導入管が備え付けられたヒーター付きステンレス製オートクレーブに、イソフタル酸48質量部及びネオペンチルグリコール37質量部を投入し、更に、触媒としてのテトラブトキシチタネート0.02質量部を投入した。次いで、窒素気流下220℃まで昇温し、そのまま8時間攪拌した。その後、大気圧(760mmHg)まで減圧し、室温まで冷却した。これにより、白色の沈殿物を析出させた。次いで、白色の沈殿物を取り出し、水洗した後、真空乾燥することでポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを充分に乾燥した後、MEK(メチルエチルケトン)に溶解し、攪拌機、滴下漏斗、還流冷却機及び窒素ガス導入管を取り付けた四つ口フラスコに投入した。また、触媒としてジブチル錫ジラウレートをポリエステルポリオール100質量部に対して0.05質量部となる量投入し、ポリエステルポリオール100質量部に対して50質量部となる量の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートをMEKに溶解して滴下漏斗で投入し、80℃で4時間攪拌することで目的とするポリエステルウレタン樹脂を得た。
<第1のワニス組成物(ワニス状の光及び熱硬化性組成物)の調製>
以下に示す成分を表1に示す配合量(質量部)で混合し、第1のワニス組成物1~6のワニスを調製した。
(ラジカル重合性化合物)
A1:トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート(商品名:DCP-A、共栄社化学株式会社製)
A2:4-ヒドロキシブチルアクリレート(商品名:4HBA、三菱ケミカル株式会社製)
A3:1,4-シクロヘキサンジメタノールモノアクリレート(商品名:CHDMMA、三菱ケミカル株式会社製)
A4:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート(UA1)
A5:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
(光ラジカル重合開始剤)
B1:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:Irgacure(登録商標)OXE01、BASF社製)
(熱ラジカル重合開始剤)
C1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
(導電粒子)
D1:上述のとおり作製した導電粒子
(チオール化合物)
E1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMTPE1(「カレンズMT」は登録商標)、昭和電工株式会社製)
(熱可塑性樹脂)
F1:フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、ユニオンカーバイド社製)
(カップリング剤)
G1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)
(充填材)
H1:シリカ微粒子(商品名:R104、日本アエロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm)
(溶剤)
I1:メチルエチルケトン
第1のワニス組成物1~6について、下記式に基づき、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分(固形分)の合計量に対する、(AA)成分に由来する水酸基量の割合(水酸基当量r1)を算出した。
水酸基当量r1=[(17/A2成分の分子量)×A2成分の配合量+(17/A3成分の分子量)×A3成分の配合量]/[光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分(固形分)の合計量]
Figure 2022098985000008
<第2のワニス組成物(ワニス状の熱硬化性組成物)の調製>
ラジカル重合性化合物a1~a3、熱ラジカル重合開始剤b1、カップリング剤d1、充填材e1及び溶剤f1として、光及び熱硬化性組成物におけるラジカル重合性化合物A1、A4及びA5、熱ラジカル重合開始剤C1、カップリング剤G1、充填材H1及び溶剤I1と同じものを用い、熱可塑性樹脂c1は以下に示す成分を用い、これらの成分を表2に示す配合量(質量部)で混合し、第2のワニス組成物1を調製した。
(熱可塑性樹脂)
c1:上述のとおり合成したポリエステルウレタン樹脂
Figure 2022098985000009
<実施例1>
[第1の接着剤フィルムの作製]
第1のワニス組成物1を、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さ(乾燥後の厚さ)が4μmの光及び熱硬化性組成物からなる層を形成した。ここでの厚さは接触式厚み計を用いて測定した。次に、光及び熱硬化性組成物からなる層に対し、メタルハライドランプを用いて積算光量が1500mJ/cmとなるように光照射を行い、ラジカル重合性化合物を重合させた。これにより、光及び熱硬化性組成物を硬化させ、第1の接着剤層を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に形成された第1の接着剤層(導電粒子が存在する領域の厚さ:4μm)として、第1の接着剤フィルムを得た。このときの導電粒子密度は約7000pcs/mmであった。なお、第1の接着剤層の厚さが、導電粒子の厚さ(直径)より小さい場合、接触式厚み計を用いて層の厚さを測定すると、導電粒子の厚さが反映され、導電粒子が存在する領域の厚さが測定される。そのため、第1の接着剤層と第2の接着剤層とが積層された二層構成の回路接続用接着剤フィルムを作製した後に、後述の方法により、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さを測定した。
作製した回路接続用接着剤フィルムの第1の接着剤層の厚さを以下の方法で測定した。まず、回路接続用接着剤フィルムを2枚のガラス(厚み:1mm程度)で挟み込み、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型した。その後、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さを測定した。第1の接着剤層の厚さは2μmであった。
[第2の接着剤フィルムの作製]
第2のワニス組成物1を、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さが8μmの第2の接着剤層(熱硬化性組成物からなる層)を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に形成された第2の接着剤層として、第2の接着剤フィルムを得た。
[回路接続用接着剤フィルムの作製]
第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを、それぞれの接着剤層が対向するように配置し、基材であるPETフィルムと共に40℃で加熱しながら、ロールラミネータでラミネートした。これにより、第1の接着剤層と第2の接着剤層とが積層された二層構成の回路接続用接着剤フィルムを備える、PETフィルム付き回路接続用接着剤フィルムを作製した。
<実施例2~5及び比較例1>
第1のワニス組成物1に代えて第1のワニス組成物2~6をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、回路接続用接着剤フィルムを備える、PETフィルム付き回路接続用接着剤フィルムを作製した。
<比較例2>
第1の接着剤フィルムの作製において、光照射を行わず、光及び熱硬化性組成物からなる層をそのまま第1の接着剤層としたこと以外は、比較例1と同様にして、PETフィルム付き回路接続用接着剤フィルムを作製した。
<評価>
(転写性の評価)
以下の方法で、作製した回路接続用接着剤フィルムの転写性を評価した。まず、非結晶酸化インジウム錫(ITO)からなる薄膜電極(高さ:1200Å)を備える、薄膜電極付きガラス基板(ジオマテック社製)を用意した。次いで、上記で得られたPETフィルム付き回路接続用接着剤フィルムの第1の接着剤層側のPETフィルムを剥がしながら、回路接続用接着剤フィルムを薄膜電極付きガラス基板上に転写した。具体的には、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、70℃、1MPaで0.5秒間の条件で加熱加圧を行うことで、回路接続用接着剤フィルムの第1の接着剤層側の面を、薄膜電極付きガラス基板の薄膜電極側の面に幅1mmにわたり接着させた。次いで、第2の接着剤層側のPETフィルムを剥がし、ガラス基板側から、ガラス基板と回路接続用接着剤フィルムとの界面を顕微鏡にて観察し、ガラス基板への回路接続用接着剤フィルムの転写状態を3段階で評価した。回路接続用接着剤フィルムがガラス状に完全に転写できているものをA、ガラス上に部分的に転写できているものをB、ガラス上にまったく残っていないものをCとした。結果を表3に示す。
(粒子流動性の評価)
上記転写性の評価における評価結果がAであった回路接続用接着剤フィルムについて、以下の方法で粒子流動性の評価を行った。
[回路接続構造体の作製]
上記転写性の評価において作製した回路接続用接着剤フィルムと薄膜電極付きガラス基板との積層体の回路接続用接着剤フィルム側上に、ピッチ25μmのCOF(FLEXSEED社製)を配置し、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、株式会社太陽機械製作所製)を用いて、170℃、6MPaで4秒間の条件で加熱加圧を行って幅1mmにわたり接続し、回路接続構造体(接続構造体)を作製した。
[粒子流動性評価]
得られた回路接続構造体について、回路接続用接着剤フィルムの樹脂染み出し部分の粒子流動状態を顕微鏡(商品名:ECLIPSE L200、株式会社ニコン製)を用いて評価した。具体的には、作製した回路接続構造体をガラス基板側から、顕微鏡にて観察し、回路接続用接着剤フィルムの幅よりも外側に染み出した部分の粒子状態を3段階で評価した。粒子がほとんど動かず、染み出し部分に粒子がない状態を1、多少粒子が動いているが、粒子同士の連結がみられない状態を2、粒子が流動し、粒子同士の連結が見られる状態を3とした。結果を表3に示す。
Figure 2022098985000010
1…回路接続用接着剤フィルム、2…第1の接着剤層、3…第2の接着剤層、4…導電粒子、10…回路接続構造体、12…回路電極(第1の電極)、13…第1の回路部材、15…バンプ電極(第2の電極)、16…第2の回路部材。

Claims (6)

  1. 光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなる第1の接着剤層と、
    前記第1の接着剤層上に積層された、熱硬化性組成物からなる第2の接着剤層と、を備え、
    前記第1の接着剤層は、炭素原子に直接結合する水酸基を有するラジカル重合性化合物と、光ラジカル重合開始剤と、熱ラジカル重合開始剤と、導電粒子と、チオール化合物とを含有する、回路接続用接着剤フィルム。
  2. 前記炭素原子に直接結合する水酸基を有するラジカル重合性化合物は、(メタ)アクリレート化合物である、請求項1に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  3. 前記熱硬化性組成物は、ラジカル重合性化合物と、熱ラジカル重合開始剤とを含有する、請求項1又は2に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  4. 前記第1の接着剤層の厚さは、前記導電粒子の平均粒径の0.1~0.8倍である、請求項1~3のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムの製造方法であって、
    前記光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光を照射することにより、前記光及び熱硬化性組成物を硬化させ、前記第1の接着剤層を形成する工程を備える、回路接続用接着剤フィルムの製造方法。
  6. 第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、基材上に請求項1~4のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムを備える基材付き回路接続用接着剤フィルムとを用意する工程と、
    前記回路接続用接着剤フィルムを前記基材から前記第1の回路部材の前記第1の電極が形成されている面上に転写する工程と、
    前記第1の電極と前記第2の電極とが互いに対向するように、前記第1の回路部材と前記回路接続用接着剤フィルムと前記第2の回路部材とをこの順で配置した後、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、前記第1の電極及び前記第2の電極を前記導電粒子を介して互いに電気的に接続する工程と、を備える、回路接続構造体の製造方法。
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