JP2022048793A - 接着材リール、及び、回路接続構造体の製造方法 - Google Patents

接着材リール、及び、回路接続構造体の製造方法 Download PDF

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彰浩 伊藤
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Abstract

【課題】ブロッキングの発生を充分抑制することができるとともに、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる接着材リール、及びそれを用いる回路接続構造体の製造方法を提供すること。【解決手段】接着材リールは、巻芯と、巻芯の両端部に互いに対向するように設けられた一対の側板と、テープ状の基材及びその一方面上に設けられた導電粒子を含む接着剤フィルムを有し、巻芯に巻かれた接着材テープと、を備え、接着剤フィルムは、導電粒子が基材側に偏在しており、基材とは反対側の表面RSの30℃でのタック力が10gf以上であり、接着材テープは、基材が巻芯側を向き且つ接着剤フィルムが外側を向くように巻芯に巻かれている。【選択図】図1

Description

本発明は、接着材リールに関し、より詳しくは、テープ状の基材及びその一方面上に設けられた接着剤層を有する接着材テープが巻芯に巻かれた接着材リール、及び、回路接続構造体の製造方法に関する。
従来、回路接続を行うために各種の接着材料が使用されている。例えば、液晶ディスプレイとテープキャリアパッケージ(TCP)との接続、フレキシブルプリント配線基板(FPC)とTCPとの接続、又はFPCとプリント配線板との接続のための接着材料として、接着剤中に導電粒子が分散された異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用されている。具体的には、回路接続用接着剤フィルムにより形成される回路接続部によって、回路部材同士が接着されると共に、回路部材上の電極同士が回路接続部中の導電粒子を介して電気的に接続されることで、回路接続構造体が得られる。
回路接続用接着剤フィルムは、例えば、熱硬化性樹脂等を含有する接着剤成分と、必要により配合される導電性粒子とを含有し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の基材上に、接着剤層としてフィルム状に形成される。さらに、基材上に設けられた接着剤フィルムの原反は、用途に適した幅のテープ状に裁断され、この接着材テープを巻芯に巻き付けて巻重体にしたリールの状態の接着材リールとして供給される(例えば特許文献1参照)。
特開2003-34468号公報
ところで、接着剤フィルムを用いてドライバーIC等をLCDモジュールに接続する場合、従来は先にガラスパネルに対して接着剤フィルムを転写していたが、近年、LCDの製造コスト削減を目的として接着剤フィルムの使用量を低減させる動きや、狭額縁なパネルデザインが求められているなどの事情から、COF又はFPC等のフレキシブル基板に先に接着剤フィルムを貼り付ける製造方式が採用されるようになっている。
しかしながら、従来の接着剤フィルムを用いた場合、回路電極間に効率的に導電粒子を捕捉させることが難しく、導通信頼性が悪化したり、回路間に捕捉されなかった導電粒子が集まることで短絡のリスクが高くなる問題があった。
更に、COFの回路が高精細になるのに伴い、良好な接続状態を実現するためには、実装時の接着剤の樹脂排除性を高める必要があるものの、接着剤フィルムを接着材リールの形態で供給する場合には、接続信頼性及び生産性の点で、ブロッキングと称される現象も充分に防止する必要がある。ブロッキングは、巻かれた状態の接着材テープを引き出して使用する際、接着剤フィルムが基材の背面に転写する現象である。この状態で接着材テープをリールから引き出すと、基材から接着剤層が剥離して脱落し、基材のみが引き出されるという不具合が生じることがあり、この場合、回路部材上の所定位置に必要量の接着剤層を配置できず、接続部の電気的接続又は機械的固着が不十分となるおそれがある。また、生産性を低下させる。
そこで、本発明は、ブロッキングの発生を充分抑制することができるとともに、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる接着材リール、及びそれを用いる回路接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の一側面は、巻芯と、巻芯の両端部に互いに対向するように設けられた一対の側板と、テープ状の基材及びその一方面上に設けられた、導電粒子を含む接着剤フィルムを有し、巻芯に巻かれた接着材テープと、を備え、接着剤フィルムは、導電粒子が基材側に偏在しており、基材とは反対側の表面RSの30℃でのタック力が10gf以上であり、接着材テープは、基材が巻芯側を向き且つ接着剤フィルムが外側を向くように巻芯に巻かれている、接着材リールを提供する。
上記側面の接着材リールによれば、ブロッキングの発生を充分抑制することができるとともに、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる。このような効果が得られる理由については、導電粒子が基材側に偏在しており、基材とは反対側の面が上記特定のタック力を有する接着剤フィルムと、上記特定の巻き方との組み合わせにより、接着剤フィルムの貼付性、粒子捕捉性、及び耐ブロッキング性を高水準でバランスさせることができるためと本発明者らは考えている。
上記側面の接着材リールにおいて、接着剤フィルムが、フィルムの厚さ方向において、導電粒子を含む硬化性組成物Aの硬化物を含有する領域Pを含んでいてもよい。また、接着剤フィルムは、フィルムの厚さ方向において、領域Pの表面RS側に隣接し、硬化性組成物Bを含有する領域Sを更に含んでいてもよい。この場合、対向する電極間の接続抵抗を低減しつつ、回路間に短絡が発生するリスクを一層低減することができる。
上記側面の接着材リールにおいて、硬化性組成物Aの硬化物は、導電粒子を含む光及び熱硬化性組成物の光硬化物であり、硬化性組成物Bは、熱硬化性組成物であってもよい。
また、接続抵抗を一層低減できる観点から、領域Pのフィルムの厚さ方向における幅が、導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍であってもよい。
上記側面の接着材リールは、接着材テープを、基材を有する状態で表面RS側から回路部材に貼付するように使用することができる。
本発明の別の側面は、巻芯と、巻芯の両端部に互いに対向するように設けられた一対の側板と、テープ状の基材及びその一方面上に設けられた、接着剤フィルムを有し、巻芯に巻かれた接着材テープと、を備え、接着剤フィルムは、基材側から、第1の接着剤層と、第1の接着剤層上に積層された、第2の接着剤層と、をこの順に有し、第1の接着剤層は、導電粒子を含有する第1の硬化性組成物の硬化物からなり、第2の接着剤層は、第2の硬化性組成物からなり、第2の接着剤層の基材側とは反対側の表面S2の30℃でのタック力が10gf以上であり、接着材テープは、基材が巻芯側を向き且つ接着剤フィルムが外側を向くように巻芯に巻かれている、接着材リールを提供する。
上記別の側面の接着材リールによれば、ブロッキングの発生を充分抑制することができるとともに、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる。このような効果が得られる理由については、導電粒子を含む上記第1の接着剤層と、基材とは反対側の面が上記特定のタック力を有する第2の接着剤層とが積層された接着剤フィルムと、上記特定の巻き方との組み合わせにより、接着剤フィルムの貼付性、粒子捕捉性、及び耐ブロッキング性を高水準でバランスさせることができるためと本発明者らは考えている。
上記別の側面の接着材リールにおいて、導電粒子を含有する第1の硬化性組成物の硬化物は、導電粒子を含有する光及び熱硬化性組成物の光硬化物であり、第2の硬化性組成物は、熱硬化性組成物であってもよい。
上記別の側面の接着材リールにおいて、接続抵抗を一層低減できる観点から、第1の接着剤層の厚みが、導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍であってもよい。
上記別の側面の接着材リールは、接着材テープを、基材を有する状態で表面S2側から回路部材に貼付するように使用することができる。
本発明の別の側面は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、上記の接着材リールから引き出された接着材テープにおける接着剤フィルム、を介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法を提供する。
上記別の側面の製造方法において、第1の回路部材がフレキシブル基板を有し、上記工程が、接着材テープを、基材を有する状態で、接着剤フィルムが第1の回路部材と接するように第1の回路部材にラミネートする工程と、第1の回路部材に貼り付けた接着材テープの基材を剥離する工程と、を含んでいてもよい。
本発明によれば、ブロッキングの発生を充分抑制することができるとともに、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる接着材リール、及びそれを用いる回路接続構造体の製造方法を提供することができる。
接着材リールの一実施形態を示す斜視図である。 図1に示す接着材リールの内部の構造を模式的に示す断面図である。 接着材リールの側板の内側面を示す正面図である。 接着材リールの他の実施形態を示す斜視図である。 接着材テープの一実施形態を示す模式的断面図である。 接着材テープの製造工程を示す概略図である。 磁場印加工程の様子を示す模式図である。 磁場印加工程及び乾燥工程を経て形成された第1の接着剤層の状態を示す模式的断面図である。 図8に後続する積層工程を示す模式的断面図である。 回路接続構造体の製造方法の工程を示す模式的断面図である。 図10の工程を経て得られる積層体を示す模式的断面図である。 図11の後続の工程を示す模式的断面図である。 図12の工程を経て得られる回路接続構造体を示す模式的断面図である。
本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。また、「A又はB」とは、A及びBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。また、以下で例示する材料は、特に断らない限り、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。
以下、場合により図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。
<接着材リール>
本実施形態の接着材リールは、巻芯と、巻芯の両端部に互いに対向するように設けられた一対の側板と、テープ状の基材及びその一方面上に設けられた接着剤フィルムを有し、巻芯に巻かれた接着材テープと、を備え、接着材テープは、基材が巻芯側を向き且つ接着剤フィルムが外側を向くように巻芯に巻かれている。
図1は、接着材リールの一実施形態を示す斜視図である。図1に示す接着材リール100は、筒状の巻芯101と、巻芯101の軸方向の両端面に互いに対向するように設けられた一対の側板102とを備える。図2に示すように、巻芯101の外面F1上に接着材テープ11が巻かれ、巻重体を構成している。接着材テープ11は、基材12が巻芯101側を向き且つ接着剤フィルム15が外側を向くように巻芯101に巻かれている。このような向きで接着材テープ11を巻芯101に巻くことで、接着材テープ11を引き出す際、基材12から接着剤フィルム15が剥離するのを極めて高いレベルで抑制できる。
図3に示すように、側板102は、接着材テープ11と隣接する内側面F2上に、面F2から隆起し且つ貫通孔102aの縁から放射状に延在するリブ構造部102bを備える。リブ構造部102bを設けることで、接着材テープ11の端面から接着剤が染み出したとしても、接着剤が側板102に粘接着する面積を十分に小さくできる。これにより、ブロッキングを一層抑制することができる。
なお、図1及び図2に示すように、接着材リール100は、圧着装置(図示せず)の回転軸が挿入される軸穴110aを有し、この軸穴110aには、回転軸に設けられた凸部と嵌合する切欠き部110bが設けられている。ただし、接着材リール100を圧着装置の回転軸に装着した際、空回りを防止できる構成であれば、切欠き部110b以外の構成を採用してもよい。巻芯101及び側板102を備えるリール部品としてプラスチック成型品などを使用できる。
接着材テープ11は、テープ状の基材12と、基材12の一方面上に形成された接着剤フィルム15とを備える。
接着材テープ11の長さは1~1000mであってもよく、200~500mであってもよく、250~500mであってもよく、300~500mであってもよい。
接着材テープ11の幅は、0.5~30mmであってもよく、0.5~3.0mmであってもよく、0.5~2.0mmであってもよく、0.5~1.0mmであってもよい。なお、基材12の幅は、その上に形成される接着剤フィルム15の幅と同じであってもよく、接着剤フィルム15の幅よりも広くてもよい。接着剤フィルム15の幅は、使用用途に合わせて調整すればよい。
基材12及び接着剤フィルム15の詳細については後述する。
接着材リール100を作製するには、例えば、所定の幅で形成された接着材テープ11をリール部品の巻芯に巻き取ることによって接着材リール100が製造される。このとき、本実施形態においては、基材12が巻芯101側を向き且つ接着剤フィルム15が外側を向くように接着材テープ11を巻芯101に巻き取る。
なお、接着材テープ11の巻重体の外周に接着剤フィルム15が露出し、この部分が埃などで汚染しないようにするため、必要に応じて以下のような対策を講じてもよい。例えば、接着材テープ11の最後の部分(巻き終わりの部分)について基材12上の接着剤フィルム15を予め除去して余白部分を設け、これを巻重体に巻き付けることにより接着剤フィルム15の露出を防ぐことができる。あるいは、基材12に余白部分を設ける代わりに、他のテープ(基材と同様のものを例示することができる)を準備し、これを基材12の端部に連結して巻重体に巻き付けてもよい。上記以外にも接着材リール100を袋に入れて保存することにより外部環境からの汚染を抑制することができる。
上記実施形態においては、リブ構造部102bを有する側板102を採用する場合を例示したが、これの代わりにリブ構造部102bを有しない側板を採用してもよい(図4参照)。
<接着材テープ>
接着材テープの一実施形態は、テープ状の基材と、基材上に設けられた接着剤フィルムとを備え、接着剤フィルムが、基材側から、第1の接着剤層と、第1の接着剤層上に積層された第2の接着剤層と、をこの順に有する。
図5は、接着材テープの一実施形態を示す模式的断面図である。図5に示すように、接着材テープ11は、テープ状の基材12と、基材12上に設けられた第1の接着剤層13と、第1の接着剤層13上に積層された第2の接着剤層14とを備える。接着材テープ11においては、接着剤フィルム15が、第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14から構成されている。
接着材テープ11では、導電粒子Pが第1の接着剤層13中に分散されている。そのため、接着材テープ11は、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムを有している。接着材テープ11は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、接着剤フィルムを介在させ、第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いられる。
また、接着材テープ11は、接続する回路部材がフレキシブル基板を有する場合には、接着材テープを、基材12を有している状態で、接着剤フィルムが第1の回路部材と接するように第1の回路部材に貼り付けることができる。この後に、接着材テープから基材12を剥離してもよい。
(基材)
基材12としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等によって形成されたものを用いることができる。基材には、任意の充填材を含有させてもよい。また、基材の表面には、離型処理やプラズマ処理等が施されていてもよい。基材は、回路部材に接着剤フィルムを転写した後に剥離することができる。
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層13は、硬化性組成物Aの硬化物からなる。硬化性組成物Aの硬化物は、例えば、光及び熱硬化性組成物の硬化物(光硬化物)であってもよい。光及び熱硬化性組成物は、(A)重合性化合物(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)光重合開始剤(以下、「(B)成分」ともいう。)、(C)熱重合開始剤(以下、「(C)成分」ともいう。)及び(D)導電粒子P(以下、「(D)成分」ともいう。)を含有する。
第1の接着剤層13は、例えば、光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光エネルギーを照射することで(A)成分を重合させ、光及び熱硬化性組成物を硬化(光硬化)させることで得られる。つまり、第1の接着剤層13は、導電粒子Pと、光及び熱硬化性組成物の導電粒子以外の成分を硬化させてなる接着剤成分と、からなる。接着剤成分には、少なくとも(A)成分の重合体及び(C)成分が含まれる。接着剤成分は、未反応の(A)成分及び(B)成分を含有していてもよく、含有していなくてもよい。第1の接着剤層13においては、上記接着剤成分によって導電粒子Pが離間している。
[(A)成分:重合性化合物]
(A)成分は、例えば、光(例えば紫外光)の照射によって光重合開始剤が発生させたラジカル、カチオン又はアニオンにより重合する化合物である。(A)成分は、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。(A)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
(A)成分は、少なくとも一つの重合性基を有する。重合性基は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、ラジカルにより反応するラジカル重合性基であってよい。すなわち、(A)成分は、ラジカル重合性化合物であってよい。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アルケニル基、アルケニレン基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられる。
(A)成分が有する重合性基の数は、重合後、接続抵抗を低減するために必要な物性及び架橋密度が得られやすい観点から、2以上であってよく、重合時の硬化収縮を抑える観点から、10以下であってよい。重合時の硬化収縮を抑えることは、光照射後に、均一で安定した膜(第1の接着剤層)が得られる点で好ましい。本実施形態では、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとるために、重合性基の数が上記範囲内の重合性化合物を使用した上で、重合性基の数が上記範囲外の重合性化合物を追加で使用してもよい。
(A)成分の具体例としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン誘導体、アクリルアミド誘導体、ナジイミド誘導体、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーンアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフォスフェート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルフォスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、1-メチル-2,4-ビスマレイミドベンゼン、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチル-ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-3,3-ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(3-s-ブチル-4-8(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス(1-(4マレイミドフェノキシ)-2-シクロヘキシル)ベンゼン、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
アリル化合物としては、1,3-ジアリルフタレート、1,2-ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
(A)成分は、硬化反応速度と硬化後の物性とのバランスに優れる観点から、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(A)成分は、接続抵抗を低減させるための凝集力と、接着力を向上させるための伸びを両立し、より優れた接着特性を得る観点から、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物であってよい。また、(A)成分は、凝集力を向上させ、接続抵抗をより低減させる観点から、トリシクロデカン骨格等の高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物であってよい。
(A)成分は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させ、接続信頼性を向上させる観点から、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を導入した化合物(例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート)であってよい。この場合、(A)成分の重量平均分子量は、架橋密度と硬化収縮とのバランスに優れる観点から、3000以上であってよく、5000以上であってよく、1万以上であってよい。また、(A)成分の重量平均分子量は、他成分との相溶性に優れる観点から、100万以下であってよく、50万以下であってよく、25万以下であってよい。なお、重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
(A)成分は、(メタ)アクリレート化合物として、下記一般式(1)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、電極同士(例えば回路電極同士)の接着に好適である。
(A)成分は、下記式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(リン酸エステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物)を含んでいてよい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、電極同士(例えば回路電極同士)の接着に好適である。
Figure 2022048793000002

式(1)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
上記リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、無機物(金属等)の表面に対する接着力を更に向上させ、電極同士(例えば回路電極同士)の接着強度を更に向上させる観点では、例えば、(A)成分の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよく、0.1~20質量%、0.5~10質量%又は1~5質量%であってよい。
(A)成分の含有量は、接続抵抗を更に低減し、接続信頼性を更に向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点では、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上又は40質量%以上であってよい。(A)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑える観点では、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下又は60質量%であってよい。これらの観点から、(A)成分の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5~90質量%、10~80質量%、20~70質量%、30~60質量%又は40~60質量%であってよい。
[(B)成分:光重合開始剤]
(B)成分は、150~750nmの範囲内の波長を含む光、好ましくは254~405nmの範囲内の波長を含む光、更に好ましくは365nmの波長を含む光(例えば紫外光)の照射によってラジカル、カチオン又はアニオンを発生する光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤又は光アニオン重合開始剤)である。(B)成分は、低温短時間での硬化がより容易となる観点から、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。(B)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤は、光により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、光ラジカル重合開始剤は、外部からの光エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。光ラジカル重合開始剤としては、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造、アクリジン構造、α-アミノアルキルフェノン構造、アミノベンゾフェノン構造、N-フェニルグリシン構造、アシルフォスフィンオキサイド構造、ベンジルジメチルケタール構造、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造等の構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
(B)成分としては、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、下記式(I)で示される構造を有する光重合開始剤が好ましく用いられる。光重合開始剤は、下記式(I)で示される構造を複数有していてよい。
Figure 2022048793000003
上記式(I)で示される構造は、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造又はアクリジン構造であってよい。すなわち、光及び熱硬化性組成物は、上記式(I)で示される構造として、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造及びアクリジン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する光重合開始剤を含有していてよい。これらの中でも、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤を用いる場合、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する傾向がある。
オキシムエステル構造を有する化合物の中でも、上記の効果が得られやすい点で、下記式(VI)で示される構造を有する化合物を用いることができる。
Figure 2022048793000004

式(VI)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は芳香族系炭化水素基を含む有機基を示す。
オキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-o-ベンゾイルオキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。
ビスイミダゾール構造を有する化合物としては、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体が挙げられる。
アクリジン構造を有する化合物としては、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等が挙げられる。
上記式(I)で示される構造を有する光重合開始剤の含有量は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点から、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.45質量%以上、0.55質量%以上又は0.85質量%以上であってよい。上記式(I)で示される構造を有する光重合開始剤の含有量は、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、1.2質量%以下、0.9質量%以下又は0.6質量%以下であってよい。これらの観点から、上記式(I)で示される構造を有する光重合開始剤の含有量は、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1~1.2質量%、0.3~1.2質量%、0.45~0.9質量%又は0.45~0.6質量%であってよい。
(B)成分の含有量(光重合開始剤の含有量の合計)は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点から、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.3質量%以上、0.45質量%以上、0.55質量%以上又は0.85質量%以上であってよい。(B)成分の含有量は、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、1.2質量%以下、0.9質量%以下又は0.6質量%以下であってよい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.3~1.2質量%、0.45~0.9質量%又は0.45~0.6質量%であってよい。
[(C)成分:熱重合開始剤]
(C)成分は、熱によりラジカル、カチオン又はアニオンを発生する熱重合開始剤(熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤又は熱アニオン重合開始剤)であってよく、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、熱ラジカル重合開始剤であることが好ましい。(C)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
熱ラジカル重合開始剤は、熱により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、熱ラジカル重合開始剤は、外部からの熱エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。熱ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている有機過酸化物及びアゾ化合物から任意に選択することができる。熱ラジカル重合開始剤としては、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、有機過酸化物であってよく、安定性、反応性及び相溶性の観点から、1分間半減期温度が90~175℃であり、且つ、重量平均分子量が180~1000の有機過酸化物であってよい。有機過酸化物の1分間半減期温度が上記の範囲にある場合、貯蔵安定性に更に優れる傾向があり、充分に高いラジカル重合性が得られることから、短時間で硬化させることも可能となる。
(C)成分の具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
(C)成分の含有量は、速硬化性に優れる観点、並びに、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1質量%以上であってよい。(C)成分の含有量は、ポットライフの観点から、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってよい。
[(D)成分:導電粒子]
(D)成分は、導電性を有する粒子であれば特に制限されず、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。(D)成分は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック(ポリスチレン等)などを含む核と、上記金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子であってもよい。これらの中でも、熱溶融性の金属で形成された金属粒子、又はプラスチックを含む核と、金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子を用いる場合、光及び熱硬化性組成物の硬化物を加熱又は加圧により変形させることが容易となる。そのため、電極同士を電気的に接続する際に、電極と(D)成分との接触面積を増加させ、電極間の導電性をより向上させることができる。
(D)成分は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子、又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。(D)成分が絶縁被覆導電粒子であると、(D)成分の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、(D)成分同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。(D)成分は、上述した各種導電粒子の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(D)成分の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さいことが必要である。(D)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(D)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。これらの観点から、(D)成分の最大粒径は、1.0~50μmであってよく、2.0~30μmであってよく、2.5~20μmであってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を(D)成分の最大粒径とする。なお、(D)成分が突起を有するなどの球形ではない場合、(D)成分の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
(D)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(D)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。これらの観点から、(D)成分の平均粒径は、1.0~50μmであってよく、2.0~30μmであってよく、2.5~20μmであってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
また、(D)成分の平均粒径は、1.0μm以上10.0μm以下であってもよい。(D)成分の平均粒径が1.0μm以上である場合には、基材への塗工精度が高く、導電粒子Pを第1の接着剤層に良好に分散させることが容易となる。(D)成分の平均粒径が10.0μm以下の場合には、接続構造体の隣接する回路電極間での良好な絶縁性が得られる傾向にある。(D)成分の良好な分散性を得る点で、(D)成分の平均粒径は、2.0μm以上であってもよく、2.5μm以上であってもよい。一方、接続構造体の隣接する回路電極間での絶縁性の確保の観点から、(D)成分の平均粒径は、8.5μm以下であってもよく、7μm以下であってもよく、6.0μm以下であってもよく。
第1の接着剤層13において、(D)成分は均一に分散されていることが好ましい。第1の接着剤層13における(D)成分の粒子密度は、安定した接続抵抗が得られやすい観点から、100pcs/mm以上であってよく、1000pcs/mm以上であってよく、2000pcs/mm以上であってよい。第1の接着剤層13における(D)成分の粒子密度は、隣り合う電極間の絶縁性を向上させる観点から、100000pcs/mm以下であってよく、50000pcs/mm以下であってよく、10000pcs/mm以下であってよい。
また、(D)成分の平均粒径が1.0μm以上10.0μm以下の範囲において、(D)成分の粒子密度が1000pcs/mm以上50000pcs/mm以下であってもよい。この場合、導電粒子の分散性と隣接する回路電極間での絶縁性とをより好適に両立できる。
(D)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点から、第1の接着剤層中の全体積基準で、0.1体積%以上であってよく、1体積%以上であってよく、5体積%以上であってよい。(D)成分の含有量は、短絡を抑制しやすい観点から、第1の接着剤層中の全体積基準で、50体積%以下であってよく、30体積%以下であってよく、20体積%以下であってよい。なお、光及び熱硬化性組成物又はその硬化物の全体積を基準とした(D)成分の含有量は上記範囲と同じであってよい。
(D)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点では、例えば、第1の接着剤層の全質量基準で、5質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上であってよい。(D)成分の含有量は、短絡を抑制しやすい観点では、例えば、第1の接着剤層の全質量基準で、80質量%以下、70質量%以下又は60質量%以下であってよい。これらの観点から、(D)成分の含有量は、例えば、第1の接着剤層の全質量基準で、5~80質量%、10~70質量%又は20~60質量%であってよい。なお、光及び熱硬化性組成物又はその硬化物の全質量を基準とした(D)成分の含有量は上記範囲と同じであってよい。
[その他の成分]
光及び熱硬化性組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填材等が挙げられる。これらの成分は、第1の接着剤層13に含有されていてもよい。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。光及び熱硬化性組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、第1の接着剤層を容易に形成することができる。また、光及び熱硬化性組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、光及び熱硬化性組成物の硬化時に発生する、第1の接着剤層の応力を緩和することができる。また、熱可塑性樹脂が水酸基等の官能基を有する場合、第1の接着剤層の接着性が向上しやすい。熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5質量%以上であってよく、80質量%以下であってよく、5~80質量%であってよい。
カップリング剤としては、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、エポキシ基等の有機官能基を有するシランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等のシラン化合物、テトラアルコキシチタネート誘導体、ポリジアルキルチタネート誘導体などが挙げられる。光及び熱硬化性組成物がカップリング剤を含有する場合、接着性を更に向上することができる。カップリング剤の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上であってよく、20質量%以下であってよい。なお、本明細書では、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有するシランカップリング剤は、重合性化合物には含まれないものとする。
充填材としては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。光及び熱硬化性組成物が充填材を含有する場合、接続信頼性の向上が更に期待できる。充填材は、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。
有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート-ブタジエン-スチレン微粒子、アクリル-シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子などの有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、均一な構造を有していてもよく、コア-シェル型構造を有していてもよい。充填材の最大径は、導電粒子Pの最小粒径未満であることが好ましい。充填材の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物の全体積を基準として、1体積%以上であってよく、30体積%以下であってよく、1~30体積%であってよい。また、充填材の含有量は、例えば、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0~50質量%であってよく、1~10質量%であってよい。
光及び熱硬化性組成物は、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は、光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、例えば0.1~10質量%であってよい。これらの添加剤は、第1の接着剤層13に含有されていてもよい。
上述した各成分の、第1の接着剤層中の導電粒子以外の成分の全質量を基準とした含有量は、上述した光及び熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準とした含有量の範囲と同じであってよい。
第2の接着剤層が最低溶融粘度Yを示す温度Tyにおける第1の接着剤層の溶融粘度Xは、より剥離が発生しにくくなる観点から、1000Pa・s以上であってよく、10000Pa・s以上であってよく、50000Pa・s以上であってよい。溶融粘度Xは、基板への濡れ性が優れる観点から、10000000Pa・s以下であってよく、1000000Pa・s以下であってよく、500000Pa・s以下であってよい。溶融粘度Xは、光及び熱硬化性組成物の組成を変更すること、光及び熱硬化性組成物の硬化条件を変更すること等によって調整できる。
第1の接着剤層13の厚さd1は、導電粒子Pが対向する電極間で捕捉されやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点では、導電粒子Pの平均粒径の0.1倍以上であってよく、0.2倍以上であってよく、0.3倍以上であってよい。第1の接着剤層13の厚さd1は、熱圧着時に導電粒子が対向する電極間ではさまれた際に、より導電粒子が潰れやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点では、導電粒子Pの平均粒径の1.0倍以下であってよく、0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってよい。これらの観点から、第1の接着剤層13の厚さd1は、導電粒子Pの平均粒径の0.1~1.0倍であってよく、0.1~0.8倍であってよく、0.1~0.7倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。なお、第1の接着剤層13の厚さd1は、隣り合う導電粒子P,Pの離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さをいう。
第1の接着剤層13の厚さd1と導電粒子Pの平均粒径とが上記のような関係を満たす場合、例えば、図5に示すように、第1の接着剤層13中の導電粒子Pの一部が、第1の接着剤層13から第2の接着剤層14側に突出していてよい。この場合、隣り合う導電粒子P,Pの離間部分には、第1の接着剤層13と第2の接着剤層14との境界Sが位置している。導電粒子Pは、第1の接着剤層13における第2の接着剤層14側とは反対側の面S1には露出しておらず、反対側の面S1は平坦面となっていてよい。導電粒子の表面を沿うように導電粒子上に境界Sが存在することにより、第1の接着剤層13中の導電粒子Pが第1の接着剤層13から第2の接着剤層14側に突出することなく、上記の関係を満たしていてもよい。
第1の接着剤層13において、導電粒子Pの70%以上又は90%以上が他の導電粒子と離間した状態となっているものであってもよい。なお、導電粒子が隣接する他の導電粒子と離間した状態(単分散状態)で存在している比率(単分散率)は、接着剤層における導電粒子の状態を金属顕微鏡を用いて200倍の倍率で観察し、下記の式で求めることができる。
単分散率(%)=(0.16mm中の単分散状態の導電粒子数/0.16mm中の導電粒子数)×100
第1の接着剤層13の厚さd1は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第1の接着剤層13の厚さd1は、例えば、0.5μm以上であってよく、20μm以下であってよい。なお、導電粒子Pの一部が第1の接着剤層13の表面から露出(例えば、第2の接着剤層14側に突出)している場合、第1の接着剤層13における第2の接着剤層14側とは反対側の面から、隣り合う導電粒子P,Pの離間部分に位置する第1の接着剤層13と第2の接着剤層14との境界Sまでの距離が第1の接着剤層13の厚さであり、導電粒子Pの露出部分は第1の接着剤層13の厚さには含まれない。導電粒子Pの露出部分の長さは、例えば、0.1μm以上であってよく、20μm以下であってよい。
接着剤層の厚さは、以下の方法により測定することができる。まず、接着剤フィルムを2枚のガラス(厚さ:1mm程度)で挟み込む。次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型する。その後、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて各接着剤層の厚さを測定する。
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層14は、例えば、(a)重合性化合物(以下、(a)成分ともいう。)及び(b)熱重合開始剤(以下、(b)成分ともいう。)を含有する第1の熱硬化性組成物からなる。第2の接着剤層14を構成する第1の熱硬化性組成物は、回路接続時に流動可能な熱硬化性組成物であり、例えば、未硬化の熱硬化性組成物である。
[(a)成分:重合性化合物]
(a)成分は、例えば、熱によって熱重合開始剤が発生させたラジカル、カチオン又はアニオンにより重合する化合物である。(a)成分としては、(A)成分として例示した化合物を用いることができる。(a)成分は、低温短時間での接続が容易となり、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、ラジカルにより反応するラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物であってもよい。ラジカル重合性化合物及びその組み合わせの例は、(A)成分と同様である。
(a)成分はモノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。(a)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。(a)成分は、(A)成分と同一であっても異なっていてもよい。
(a)成分の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点から、熱硬化性組成物の全質量基準で、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、30質量%以上であってよい。(a)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑えることができ、良好な信頼性が得られる観点から、熱硬化性組成物の全質量基準で、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよい。これらの観点から、(a)成分の含有量は、例えば、熱硬化性組成物の全質量基準で、10~90質量%、20~80質量%、30~70質量%であってよい。
[(b)成分:熱重合開始剤]
(b)成分としては、(C)成分と同様の熱重合開始剤を用いることができる。(b)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。(b)成分は、熱ラジカル重合開始剤であってもよく、(b)成分における熱ラジカル重合開始剤の例は、(C)成分と同様である。
(b)成分の含有量は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、熱硬化性組成物の全質量基準で、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1質量%以上であってよい。(b)成分の含有量は、ポットライフの観点から、熱硬化性組成物の全質量基準で、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよい。これらの観点から、(b)成分の含有量は、例えば、熱硬化性組成物の全質量基準で、0.1~30質量%、0.5~20質量%又は1~10質量%であってよい。
[その他の成分]
熱硬化性組成物は、(a)成分及び(b)成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填材、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等が挙げられる。その他の成分の詳細は、第1の接着剤層13におけるその他の成分の詳細と同じである。
熱硬化性組成物は、(a)成分及び(b)成分に代えて、又は、(a)成分及び(b)成分に加えて、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。この場合、熱硬化性組成物は、熱硬化性樹脂を硬化するために用いられる硬化剤を含有していてもよい。
熱硬化性樹脂は、熱により硬化する樹脂であり、少なくとも一つの熱硬化性基を有する。熱硬化性樹脂は、例えば、熱によって硬化剤と反応することにより架橋する化合物である。熱硬化性樹脂として一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
熱硬化性基は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、例えば、エポキシ基、オキセタン基等であってよい。
熱硬化性樹脂の具体例としては、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、F、AD等と、の反応生成物であるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等との反応生成物であるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物などのエポキシ樹脂が挙げられる。
硬化剤としては、熱によりカチオン種を発生する硬化剤であれば、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。硬化剤としては、例えば、スルホニウム塩、ヨードニウム塩等が挙げられる。
(a)成分及び(b)成分に代えて熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、例えば、熱硬化性組成物の全質量を基準として、20質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。(a)成分及び(b)成分に加えて熱硬化性樹脂を用いる場合、熱硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、例えば、熱硬化性組成物の全質量を基準として、20質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。硬化剤の含有量は、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であってよく、50質量部以下であってよい。
第2の接着剤層14における導電粒子の含有量は、例えば、第2の接着剤層の全質量基準で、1質量%以下であってよい。第2の接着剤層14は、導電粒子を含んでいなくてもよい。なお、第2の接着剤層14が導電粒子を含む場合、上述した各成分の熱硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準とする含有量は、上述した熱硬化性組成物の全質量基準での含有量の範囲と同じであってもよい。
第2の接着剤層14は、対向する回路部材間の接続信頼性を向上させる観点から、第2の接着剤層の基材側とは反対側の表面S2(図5におけるS2)の30℃でのタック力が10gf以上であってもよく、12.5gf以上であってもよい。接着剤フィルムの貼付性、粒子捕捉性、及び耐ブロッキング性を更に高水準でバランスさせる観点から、表面S2(図5におけるS2)の30℃でのタック力は、10~20gfであってもよく、12.5~17.5gfであってもよい。
本明細書において、接着剤層又は接着剤フィルムの表面の30℃でのタック力とは、以下の条件で測定した値を意味する。
(測定条件)
装置:タックテスタ
押しつけ速度:0.1mm/秒
押しつけ荷重:10g
保持時間:0.5秒
引き上げ速度:1mm/秒
プレート温度:30℃
プローブ温度:50℃
表面S2の30℃でのタック力を上記範囲に調整する方法としては、例えば、重合性化合物(特には、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物)の含有量を増やす、熱可塑性樹脂の含有量を減らす、などの方法が挙げられる。具体的には、(A)成分の含有量は、熱硬化性組成物の全質量基準で、20質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよく、40質量%以上であってもよい。熱可塑性樹脂の含有量は、熱硬化性組成物の全質量基準で、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。
第2の接着剤層の最低溶融粘度Yは、優れたブロッキング耐性が得られる観点から、50Pa・s以上であってよく、100Pa・s以上であってよく、300Pa・s以上であってよい。最低溶融粘度Yは、対向する電極間の接続抵抗を一層低減する観点から、100000Pa・s以下であってよく、10000Pa・s以下であってよく、5000Pa・s以下であってよく、2500Pa・s以下であってよく、1000Pa・s以下であってよい。第2の接着剤層の最低溶融粘度Yは、接着剤フィルムの貼付性、粒子捕捉性、及び耐ブロッキング性を更に高水準でバランスさせる観点から、50~100000Pa・sであってよく、100~10000Pa・sであってよく、300~5000Pa・sであってよい。最低溶融粘度Yは、熱硬化性組成物の組成を変更すること等によって調整できる。
なお、接着剤層の最低溶融粘度は、例えば、下記の方法によって求めることができる。
(最低溶融粘度の測定方法)
接着剤層を厚さが500μm以上となるようにラミネータで積層して積層体を得る。得られた積層体から離型処理されたPETを剥離し、10.0mm×10.0mmに切り出して測定試料を得る。得られた測定試料を粘弾性測定装置(商品名:ARES-G2、TAインスツルメンツ社製、昇温速度:10℃/min)を用いて最低溶融粘度を測定する。
第2の接着剤層14の最低溶融粘度Yに対する、第2の接着剤層14が最低溶融粘度Yを示す温度Tyにおける第1の接着剤層13の溶融粘度Xの比(X/Y)が10以上であってもよい。
溶融粘度の比(X/Y)は、導電粒子の捕捉性を向上させる観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは、20以上であり、更に好ましくは、50以上であり、特に好ましくは100以上である。溶融粘度の比(X/Y)は、回路部材への濡れ性の観点から、10000以下であってよく、5000以下であってよく、1000以下であってよい。これらの観点から、溶融粘度の比(X/Y)は、10~10000であってよく、20~5000であってよく、50~5000であってよく、100~1000であってよい。溶融粘度X及び最低溶融粘度Yは、まず、第2の接着剤層の溶融粘度測定により、第2の接着剤層の最低溶融粘度Y(及び第2の接着剤層が最低溶融粘度Yを示す温度Ty)を求めた後、第1の接着剤層の溶融粘度測定により、温度Tyにおける第1の接着剤層の溶融粘度Xを求めることにより確認することができる。なお、溶融粘度の測定は、接着剤フィルムを得た後に行うこともできる。
第2の接着剤層14の厚さd2は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第2の接着剤層14の厚さd2は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な接続信頼性が得られる観点から、5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。なお、導電粒子Pの一部が第1の接着剤層13の表面から露出(例えば、第2の接着剤層14側に突出)している場合、第2の接着剤層14における第1の接着剤層13側とは反対側の面S2から、隣り合う導電粒子P,Pの離間部分に位置する第1の接着剤層13と第2の接着剤層14との境界Sまでの距離が第2の接着剤層14の厚さである。
第2の接着剤層14の厚さd2に対する第1の接着剤層13の厚さd1の比(第1の接着剤層13の厚さd1/第2の接着剤層14の厚さd2)は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な信頼性が得られる観点から、1以上であってよく、100以下であってよい。なお、第2の接着剤層の厚さは、例えば、第1の接着剤層13の厚さd1の測定方法と同様の方法で求めることができる。
接着剤フィルムの厚さ(接着剤フィルムを構成するすべての層の厚さの合計。)は、例えば5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
接着材テープの他の実施形態は、テープ状の基材と、基材上に設けられた接着剤フィルムとを備え、接着剤フィルムが、導電粒子を含み、導電粒子が基材側に偏在しており、基材とは反対側の表面RSの30℃でのタック力が10gf以上であるものであってもよい。
接着剤フィルムは、フィルムの厚さ方向において、導電粒子を含む硬化性組成物Aの硬化物を含有する領域Pを含んでいてもよい。また、接着剤フィルムは、フィルムの厚さ方向において、領域Pの表面RS側に隣接し、硬化性組成物Bを含有する領域Sを含んでいてもよい。また、領域Pのフィルムの厚さ方向における幅が、導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍であってもよい。領域Pのフィルムの厚み方向における幅とは、領域Pのフィルムの厚み方向における一方の端(領域Pの基材側の終点)(例えば、基材との境界)から他方の端(領域Pの基材側とは反対側の終点)(例えば、領域Sとの境界)までの距離を意味する。なお、これらの端の位置は、隣り合う導電粒子と導電粒子との間とする。
上記の接着剤テープは、上述した接着材テープ11と同様の構成を有することができる。例えば、基材は基材12と同様のものを用いることができる。
第1の接着剤層13が、上記の領域Pであってもよい。この場合、領域Pに含まれる硬化性組成物Aの硬化物は、第1の接着剤層を形成する硬化性組成物(例えば、光及び熱硬化性組成物)の硬化物(例えば、光硬化物)とすることができる。領域Pのフィルムの厚さ方向における幅、及びこの幅と導電粒子の平均粒径との関係についても、上述した第1の接着剤層の厚さ及び当該厚さと導電粒子の平均粒径との関係と同様に設定することができる。導電粒子の単分散率も上述した第1の接着剤層における範囲と同様にすることができる。
第2の接着剤層14が、上記の領域Sであってもよい。この場合、領域Sに含まれる硬化性組成物Bは、第2の接着剤層を形成する硬化性組成物(例えば、熱硬化性組成物)とすることができる。領域Sのフィルムの厚さ方向における幅(領域Sの領域P側の端(例えば、領域Pとの境界から表面RSまでの距離)は、上述した第2の接着剤層の厚さと同様に設定することができる。接着剤フィルムの基材とは反対側の表面RSの30℃でのタック力についても、第2の接着剤層の基材側とは反対側の表面S2の30℃でのタック力と同様としてもよい。
上記の接着材テープにおいても、導電粒子Pが接着剤フィルム中に分散されている。そのため、この接着材テープも、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムを有している。接着材テープは、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、接着剤フィルムを介在させ、第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いることができる。また、接着材テープは、接続する回路部材がフレキシブル基板を有する場合には、接着材テープを、基材を有している状態で、接着剤フィルムが第1の回路部材と接するように第1の回路部材に貼り付けることができ、その後に、接着材テープから基材を剥離してもよい。
[接着材テープの製造方法]
接着材テープは、例えば、基材付接着剤フィルムの原反を作製し、この原反を用途に適した幅となるようにテープ状に裁断することにより製造することができる。裁断には、例えば、特開2003-285293号公報に記載のスリット装置を使用できる。
基材付接着剤フィルムの原反の製造方法は、例えば、基材上に上述した第1の接着剤層を形成した積層体を用意する用意工程(第1の用意工程)と、第1の接着剤層上に上述した第2の接着剤層を積層する積層工程と、を備える。この製造方法は、第2の接着剤層を用意する用意工程(第2の用意工程)を更に備えていてもよい。なお、第1の用意工程及び第2の用意工程を行う順番は限定されない。
第1の用意工程では、例えば、基材上に第1の接着剤層を形成することにより、基材と第1の接着剤層との積層体を用意する。具体的には、、まず、(A)成分、(B)成分、(C)成分、及び(D)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を、溶剤(有機溶媒)中に加え、攪拌混合、混練等により、溶解又は分散させて、ワニス組成物(ワニス状の硬化性組成物)を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱により溶剤を揮発させて、基材上に硬化性組成物(例えば、光及び熱硬化性組成物)からなる層を形成する。続いて、硬化性組成物を硬化させ(例えば、光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光を照射することにより、光及び熱硬化性組成物を硬化(光硬化)させ)、基材上に第1の接着剤層を形成する(硬化工程)。これにより、基材と第1の接着剤層との積層体が得られる。
ワニス組成物の調製に用いる溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有する溶剤を用いてよい。このような溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。ワニス組成物の調製の際の攪拌混合及び混練は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材としては、上述した基材12と同様のものを用いることができる。
基材へ塗布したワニス組成物から溶剤を揮発させる際の加熱条件は、溶剤が充分に揮発する条件としてよい。加熱条件は、例えば、40℃以上120℃以下で0.1分間以上10分間以下であってよい。
硬化性組成物(例えば、光及び熱硬化性組成物)からなる層には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。かかる層における溶剤の含有量は、例えば、層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
光及び熱硬化性組成物を用いる場合、硬化工程における光の照射には、150~750nmの範囲内の波長を含む照射光(例えば紫外光)を用いることが好ましい。光の照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を使用して行うことができる。光の照射量は、溶融粘度の比(X/Y)が10以上となるように調整してよい。光の照射量は、例えば、波長365nmの光の積算光量で、100mJ/cm以上であってよく、200mJ/cm以上であってよく、300mJ/cm以上であってよい。光の照射量は、例えば、波長365nmの光の積算光量で、10000mJ/cm以下であってよく、5000mJ/cm以下であってよく、3000mJ/cm以下であってよい。光の照射量(光の積算光量)が大きいほど溶融粘度Xが大きくなる傾向があり、溶融粘度の比(X/Y)が大きくなる傾向がある。
硬化工程における加熱条件は、溶融粘度の比(X/Y)が10以上となるように調整してよい。加熱条件は、例えば、30℃以上300℃以下で0.1分間以上5000分間以下であってよく、50℃以上150℃以下で0.1分間以上3000分間以下であってよい。加熱温度が高いほど溶融粘度Xが大きくなる傾向があり、溶融粘度の比(X/Y)が大きくなる傾向がある。また、加熱時間が長いほど溶融粘度Xが大きくなる傾向があり、溶融粘度の比(X/Y)が大きくなる傾向がある。
第2の用意工程では、(a)成分及び(b)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を含む第2のワニス組成物(ワニス状の硬化性組成物)を用いること及び光照射を行わないこと以外は、第1の用意工程と同様に、剥離フィルム上に第2の接着剤層を形成して第2の接着剤フィルムを得ることにより、第2の接着剤層を用意する。
剥離フィルムは、上述した基材12と同様のものを用いてもよく、溶剤を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなるフィルムを用いることができる。汎用性が高い観点から、ポリエチレンテレフタレートを好適に用いることができる。
第2の接着剤層には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。第2の接着剤層における溶剤の含有量は、例えば、第2の接着剤層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
積層工程では、基材と第1の接着剤層との積層体における第1の接着剤層に、第2の接着剤フィルムを貼り合わせることにより、第1の接着剤層上に第2の接着剤層を積層してよく、第1の接着剤層上に、第2のワニス組成物を塗布し、溶剤を揮発させることにより、第1の接着剤層上に第2の接着剤層を積層してもよい。
接着剤層同士を貼り合わせる方法としては、例えば、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法が挙げられる。ラミネートは、例えば、0~80℃の温度条件下で行ってよい。
また、本実施形態において、第1の接着剤層において、導電粒子Pの70%以上又は90%以上が他の導電粒子と離間した状態となっている第1の接着剤層と基材との積層体を用いる場合、そのような分散状態は、後述の磁場印加工程によって形成することができる。この場合、導電粒子Pとしては、磁場印加工程による分散化を実施する観点から、ニッケルを含有する粒子が好適に用いられる。一般的に、鉄・コバルト・ニッケルは強磁性体であり、外部磁場によって磁化することが知られているが、この中でもニッケルを用いることが導電性及び磁場印加による分散性を両立できる点で有意である。また、導電粒子Pの保存安定性を得るため、導電粒子Pの表層は、ニッケルではなく、金、銀のような白金属の貴金属類としてもよい。また、ニッケルの表面をAu等の貴金属類で被覆してもよい。さらに、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を上記金属等の導電物質で被覆したものを用いてもよく、この場合にもニッケル層を設けて多層構造とすることも可能である。
また、ニッケルの磁性は、ニッケルめっき中に含有するリン濃度に影響されるため、磁場による導電粒子Pの分散に必要な磁性は適時調整することが好ましい。導電粒子Pの磁性は、例えば試料振動型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetmeter)によって飽和磁化を測定することが可能である。外部磁場によって導電粒子Pを分散するためには、VSM測定にて飽和磁化が5.0emu/g~50emu/gの範囲であることが好ましい。5.0emu/g以上であると、充分に導電粒子Pの分散を行うことが容易となる。一方、50emu/g以下であると、導電粒子Pの磁化が大きくなりすぎず、導電粒子Pが第1の接着剤層13の厚み方向に結合することが抑制され、導電粒子Pの分散性が高くなる傾向にある。
図6は、図5に示した接着材テープを作製するための基材付接着剤フィルムの製造工程の一実施形態を示す概略図であり、基材と、基材上に設けられた第1の接着剤層との積層体を製造する工程を説明するための図である。同図に示す例では、長尺の基材12を繰出ローラ21及び巻取ローラ22によって所定の速度で搬送している。基材12の搬送経路上には、第1の接着剤層13の形成材料となる接着剤ペーストWを塗布するコータ23が配置されており、コータ23によって導電粒子Pが分散された接着剤ペーストWが基材12上に塗布される(塗布工程)。コータ23によって基材12上に塗布される接着剤ペーストWの厚みは、樹脂組成物中に含まれる溶剤の割合によって適時変動するが、導電粒子Pの平均粒径の1.6倍未満となっていることが好適である。
接着剤ペーストWの粘度は、用途、塗布方法に応じて変動させることができるが、通常は、10mPa・s~10000mPa・sとすることが好ましい。接着剤ペーストW中の配合物の分離の抑制や相溶性向上の観点から、50mPa・s~5000mPa・sとすることがより好ましい。また、接着材テープ11の外観向上のためには、100mPa・s~3000mPa・sとすることが好ましい。10000mPa・s以下であると、後続する磁場印加工程での導電粒子Pの分散が抑制されにくくなり、10mPa・s以上では接着剤ペーストWの配合物の分離が生じにくくなる。
接着剤ペーストWの塗工方法は、上記に限られず、公知の方法を利用することができる。例えばスピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、マイクログラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法、フローコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法などが挙げられる。バーコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法などが接着材テープ11の作製に適しており、フィルム膜厚の精度の観点からは、マイクログラビアコート法が特に好適である。
コータ23の後段側には、基材12を挟むように一対の磁石24,25が上下に対向配置されている。本実施形態では、図7に示すように、上側に配置された磁石24がN極、下側に配置された磁石25がS極となっており、磁石24から磁石25に向かう略垂直方向に磁場が形成されている。したがって、磁石24,25間に基材12が搬送されると、接着剤ペーストW中の導電粒子Pが磁化され、斥力によって導電粒子P,P同士が接着剤ペーストWの面内方向に離間した状態が形成される(磁場印加工程)。
また、磁場印加工程における導電粒子Pの離間状態を保持するため、基材12が磁石24,25間を通過している間に熱風等によって接着剤ペーストWの乾燥を行う(乾燥工程)。これにより、接着剤ペーストWの粘度が上昇し、図8に示すように、導電粒子Pの70%以上、好ましくは90%以上が隣接する他の導電粒子Pと離間した状態となった第1の接着剤層13が基材12上に形成される。また、乾燥工程によって接着剤ペーストWの厚みが減少していき、上述したように、接着剤ペーストWの厚みを導電粒子Pの平均粒径の1.6倍未満としておくことで、第1の接着剤層13の厚みを導電粒子Pの平均粒径の0.6倍以上1.0倍未満とすることが容易となる。また、有機溶媒(例えば、メチルエチルケトンなど)で希釈した接着剤ペースト(ワニス)を用いることで、接着剤層の厚みを導電粒子Pの平均粒径の0.1倍程度まで薄くすることも可能となる。希釈する有機溶剤の量は特に制限はないが、接着剤成分100質量部に対して50~500質量部を加えるのが好ましい。
なお、接着剤ペーストWの乾燥温度は、例えば20℃~80℃であることが好ましい。また、基材12の搬送速度は、例えば30mm/s~160mm/sであることが好ましい。接着剤ペーストWの厚みは、例えば平均粒径が3μmの導電粒子Pを用いる場合には、5μm~10μmであることが好ましい。基材12の搬送速度が30mm/s以上である場合、導電粒子Pが充分に離間した状態で接着剤ペーストWが乾燥するので、分散が充分となる傾向にある。基材12の搬送速度が160mm/s以下である場合、乾燥後に磁場の印加が終了する傾向にあり、導電粒子Pの再凝集を抑制することができる。また、接着剤ペーストWの厚みが5μm以上である場合、コータ23のギャップが不足することを抑制でき、第1の接着剤層13中の導電粒子Pの数が不足することを抑制できる。接着剤ペーストWの厚みが10μm以下である場合、コータ23のギャップが過剰となることを抑制でき、第1の接着剤層13中の導電粒子Pの数が過剰となることを抑制できる。
第1の接着剤層13の形成の後、図9に示すように、別途、剥離フィルム16上に形成した第2の接着剤層14を、第1の接着剤層13上にラミネートする(積層工程)。これにより、基材12上に、第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14が積層された積層体(接着剤フィルム15)が得られる。なお、第2の接着剤層14のラミネートには、例えばホットロールラミネータを用いることができる。また、ラミネートに限られず、第2の接着剤層14の材料となる接着剤ペーストを第1の接着剤層13上にそれぞれ塗布・乾燥してもよい。
以上説明したように、接着剤フィルム15では、第1の接着剤層13において、導電粒子Pの70%以上、好ましくは90%以上が隣接する他の導電粒子Pと離間した状態にすることができる。この場合、第1の回路部材2と第2の回路部材3との接続にあたって隣接する導電粒子P,P同士の凝集が抑えられ、隣接する第1の回路電極6,6同士及び隣接する第2の回路電極8,8同士の絶縁性を良好に確保できる。また、この接着剤フィルム15では、第1の接着剤層13の厚みを導電粒子Pの平均粒径の0.1倍以上1.0倍以下、0.1倍以上0.7倍以下、又は0.6倍以上1.0倍未満とすることできる。この場合、圧着時における導電粒子Pの流動が抑えられ、第1の回路電極6と第2の回路電極8との間の導電粒子Pの捕捉効率を向上できる。したがって、第1の回路部材2と第2の回路部材3との間の接続信頼性を確保できる。
[回路接続構造体の製造方法]
本実施形態の回路接続構造体の製造方法は、第1の電極(回路電極)を有する第1の回路部材と、第2の電極(回路電極)を有する第2の回路部材との間に、接着材リールから引き出された接着材テープにおける接着剤フィルム、を介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える。
本実施形態の方法は、例えば、上述した本実施形態の接着材リールを準備する準備工程と、
接着材リールから引き出された接着材テープを、基材を有する状態で接着剤フィルムが第1の回路部材と接するように第1の回路部材にラミネートするラミネート工程と、
第1の回路部材に貼り付けた接着材テープから基材を剥離する剥離工程と、
第1の電極と第2の電極とが対向するように、接着剤フィルムがラミネートされた第1の回路部材上に第2の回路部材を配置し、接着剤フィルムを加熱しながら、第1の回路部材と第2の回路部材とを第1の回路電極と第2の回路電極が対向する方向に加圧する加熱加圧工程と、
を含んでいてもよい。
(準備工程)
この工程では、予め作製された接着材リールを用意してもよく、予め作製された接着材テープを用意し、上述した巻き方で接着材リールを製造してもよく、予め作製された基材付接着剤フィルムを用意し、上述した方法で接着材テープ及び接着材リールを製造してもよく、上述した方法で基材付接着剤フィルム、接着材テープ及び接着材リールを製造してもよい。
(ラミネート工程)
図10は、本実施形態の接続構造体の製造方法におけるラミネート工程を示す模式的断面図である。この工程では、同図に示すように、接着剤フィルム15の第2の接着剤層14側が、第1の回路部材2の第1の回路電極6が設けられている面と対向するようにして、接着材テープ11を第1の回路部材2上にラミネートする。なお、接着材テープ11が第2の接着剤層14上に設けられた剥離フィルムを有する場合には、剥離フィルムを剥がしてから又は剥がしながら第2の接着剤層14が第1の回路部材2に密着するようにラミネートすることができる。
第1の回路部材2は、本体部5の実装面5a側に回路電極6を有している。第1の回路部材2としては、例えば、COP、FCP、ポリイミドなどのフレキシブル基板を有する部材が挙げられる。回路電極6は、例えば、スズ等の金属でメッキされた銅が挙げられる。なお、実装面5aにおいて、回路電極6が形成されていない部分には、絶縁層が形成されていてもよい。
ラミネートの手段としては、公知のラミネーターを用いることができる。ラミネートの条件は、適宜設定することができる。
図11は、ラミネート工程を経て得られる積層体を示す模式的断面図である。
(加熱加圧工程)
図12は、本実施形態の接続構造体の製造方法における加熱加圧工程を示す模式的断面図である。この工程では、同図に示すように、第1の回路電極6と第2の回路電極8とが対向するように、第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14(接着剤フィルム15)がラミネートされた第1の回路部材2上に第2の回路部材3を配置し、接着剤フィルム15を加熱しながら、第1の回路部材2と第2の回路部材3とを第1の回路電極6と第2の回路電極8が対向する方向に加圧する。
第2の回路部材3は、例えば液晶ディスプレイに用いられるITO、IZO、若しくは金属等で回路が形成されたガラス基板又はプラスチック基板、セラミック配線板などである。第2の回路部材3は、図12に示すように、本体部7の実装面7a側に第1の回路電極6に対応する第2の回路電極8を有している。
回路電極8は、例えば平面視で矩形状をなしており、厚みは例えば100nm~1000nm程度となっている。回路電極8の表面は、例えば金、銀、銅、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、インジウム錫酸化物(ITO)、及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)から選ばれる1種或いは2種以上の材料で構成されている。なお、実装面7aにおいても、回路電極8が形成されていない部分に絶縁層が形成されていてもよい。
加熱手段としては、公知の熱圧着装置を用いることができる。第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14(接着剤フィルム15)の加熱温度は、硬化剤において重合活性種が発生し、重合モノマーの重合が開始される温度以上であることが好ましい。この加熱温度は、例えば80℃~200℃であり、好ましくは100℃~180℃である。また、加熱時間は、例えば0.1秒~30秒、好ましくは1秒~20秒である。加熱温度が80℃以上であると充分な硬化速度が得られやすく、200℃以下であると望まない副反応が進行しにくくなる。また、加熱時間が0.1秒以上であると硬化反応を十分に進行させやすくなり、30秒以下であると硬化物の生産性を維持しやすくなり、更に望まない副反応も進みにくくなる。
加圧手段としては、公知の熱圧着装置を用いることができる。加圧の圧力及び時間は、適宜設定することができる。
図13は、加熱加圧工程を経て得られる回路接続構造体を示す模式的断面図である。加熱加圧工程では、第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14(接着剤フィルム15)の接着剤成分が流動し、第1の回路電極6と第2の回路電極8との距離が縮まって導電粒子Pが噛合した状態で、第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14(接着剤フィルム15)が硬化する。これにより、第1の回路電極6と第2の回路電極8とが電気的に接続され、かつ隣接する回路電極6,6同士及び隣接する回路電極8,8同士が電気的に絶縁された状態で第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14(接着剤フィルム15)の硬化物4が形成され、図13に示した回路接続構造体1が得られる。得られた回路接続構造体1では、硬化物4によって第1の回路電極6と第2の回路電極8との間の距離の経時的変化が十分に防止されると共に、電気的特性の長期信頼性も確保できる。
硬化物4は、第1の接着剤層13を硬化してなる第1の領域9と、第2の接着剤層14を硬化してなる第2の領域10とを有している。本実施形態では、第1の領域9が第2の回路部材3側に位置し、第2の領域10が第1の回路部材2側に位置している。
導電粒子Pは、圧着によって僅かに扁平に変形した状態で第1の回路電極6と第2の回路電極8との間に介在している。これにより、第1の回路電極6と第2の回路電極8との間の電気的な接続が実現されている。また、隣接する第1の回路電極6,6間及び隣接する第2の回路電極8,8間では、導電粒子Pが離間した状態となっており、隣接する第1の回路電極6,6間及び隣接する第2の回路電極8,8間の電気的な絶縁が実現されている。
<回路接続構造体>
本実施形態の回路接続構造体は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、第1の回路部材及び第2の回路部材の間に配置され、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する回路接続部と、を備え、回路接続部が、本実施形態の接着材リールから引き出された接着材テープにおける接着剤フィルムの硬化物を含む。
本実施形態の回路接続構造体は、上述した本実施形態の回路接続構造体の製造方法によって得られるものであってもよく、第1の電極を有する第1の回路部材及び第2の電極を有する第2の回路部材は、上述したものと同様であってもよい。
また、接着剤フィルムの硬化物は、上述した接着剤フィルム15、すなわち第1の接着剤層13及び第2の接着剤層14が積層されてなる接着剤フィルムの硬化物であってもよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<ポリウレタンアクリレート(UA1)の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1000)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチル錫ジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下70℃で6時間反応させた。これにより、ポリウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。なお、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×10Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
<導電粒子の作製>
ポリスチレン粒子の表面上に、層の厚さが0.2μmとなるようにニッケルからなる層を形成した。このようにして、平均粒径4μm、最大粒径4.5μm、比重2.5の導電粒子を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂の調製方法>
攪拌機、温度計、コンデンサー、真空発生装置及び窒素ガス導入管が備え付けられたヒーター付きステンレス製オートクレーブに、イソフタル酸48質量部及びネオペンチルグリコール37質量部を投入し、更に、触媒としてのテトラブトキシチタネート0.02質量部を投入した。次いで、窒素気流下220℃まで昇温し、そのまま8時間攪拌した。その後、大気圧(760mmHg)まで減圧し、室温まで冷却した。これにより、白色の沈殿物を析出させた。次いで、白色の沈殿物を取り出し、水洗した後、真空乾燥することでポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを充分に乾燥した後、MEK(メチルエチルケトン)に溶解し、攪拌機、滴下漏斗、還流冷却機及び窒素ガス導入管を取り付けた四つ口フラスコに投入した。また、触媒としてジブチル錫ジラウレートをポリエステルポリオール100質量部に対して0.05質量部となる量投入し、ポリエステルポリオール100質量部に対して50質量部となる量の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートをMEKに溶解して滴下漏斗で投入し、80℃で4時間攪拌することで目的とするポリエステルウレタン樹脂を得た。
<光及び熱硬化性組成物1-1のワニス(ワニス組成物)の調製>
以下に示す成分を表1に示す配合量(質量部)で混合し、光及び熱硬化性組成物1-1のワニスを調製した。
(重合性化合物)
A1:トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート(商品名:DCP-A、共栄社化学株式会社製)
A2:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート(UA1)
A3:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
(光重合開始剤)
B1:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:Irgacure(登録商標)OXE01、BASF社製)
(熱重合開始剤)
C1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
(導電粒子)
D1:上述のとおり作製した導電粒子
(熱可塑性樹脂)
E1:上記で合成したポリエステルウレタン樹脂
(カップリング剤)
F1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)
(充填材)
G1:シリカ微粒子(商品名:R104、日本アエロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm)
(溶剤)
H1:メチルエチルケトン
Figure 2022048793000005
<熱硬化性組成物2-1~2-3のワニス(ワニス組成物)の調製>
重合性化合物a1~a3、熱可塑性樹脂E1、カップリング剤F1、充填材G1及び溶剤H1として、光及び熱硬化性組成物における重合性化合物A1~A3、熱可塑性樹脂E1、カップリング剤F1、充填材G1及び溶剤H1と同じものを用い、熱重合開始剤c1は以下に示す成分を用い、これらの成分を表2に示す配合量(質量部)で混合し、熱硬化性組成物2-1~2-3のワニスを調製した。
(熱重合開始剤)
熱重合開始剤c1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
Figure 2022048793000006
(実施例1)
[第1の接着剤フィルムの作製]
光及び熱硬化性組成物1-1のワニスを、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さ(乾燥後の厚さ)が4μmの光及び熱硬化性組成物からなる層を形成した。ここでの厚さは接触式厚み計を用いて測定した。次に、光及び熱硬化性組成物からなる層に対し、メタルハライドランプを用いて積算光量が1500mJ/cmとなるように光照射を行い、重合性化合物を重合させた。これにより、光及び熱硬化性組成物を硬化させ、第1の接着剤層を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に厚さ4μmの第1の接着剤層を備える第1の接着剤フィルムを得た。このときの導電粒子密度は約7000pcs/mmであった。なお、第1の接着剤層の厚さが、導電粒子の厚さ(直径)より小さい場合、接触式厚み計を用いて層の厚さを測定すると、導電粒子の厚さが反映され、導電粒子が存在する領域の厚さが測定される。そのため、第1の接着剤層と第2の接着剤層とが積層された二層構成の接着剤フィルムを作製した後に、上述した方法により、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さを測定した。
[導電粒子の単分散率の評価]
第1の接着剤フィルムについて、導電粒子の単分散率(導電粒子が隣接する他の導電粒子と離間した状態(単分散状態)で存在している比率)を評価した。単分散率は70%以上であった。
なお、単分散率は、単分散率(%)=(0.16mm中の単分散状態の導電粒子数/0.16mm中の導電粒子数)×100、を用いて求めた。導電粒子の実測には、金属顕微鏡を用いて200倍の倍率で観察した。
[第2の接着剤フィルムの作製]
熱硬化性組成物2-1のワニスを、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さが8μmの第2の接着剤層(熱硬化性組成物2-1からなる層)を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に第2の接着剤層を備える第2の接着剤フィルムを得た。
[基材付接着剤フィルムの作製]
第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを、基材であるPETフィルムと共に40℃で加熱しながら、ロールラミネータでラミネートした。このとき、第2の接着剤フィルム側のPETフィルムを剥がした。これにより、PETフィルムと、第1の接着剤層と、第2の接着剤層とがこの順に積層された積層構成の基材付接着剤フィルムを作製した。
[タック力の測定]
作製した基材付接着剤フィルムにおける第2の接着剤層の表面の30℃でのタック力を以下の条件で測定した。
(測定条件)
装置:タックテスタ
押しつけ速度:0.1mm/秒
押しつけ荷重:10g
保持時間:0.5秒
引き上げ速度:1mm/秒
プレート温度:30℃
プローブ温度:50℃
[回路接続構造体の作製]
作製した基材付接着剤フィルムの接着剤フィルムを介して、ピッチ25μmのCOF(FLEXSEED社製)と、ガラス基板上に非結晶酸化インジウム錫(ITO)からなる薄膜電極(高さ:1200Å)を備える、薄膜電極付きガラス基板(ジオマテック社製)とを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、株式会社太陽機械製作所製)を用いて、170℃、6MPaで4秒間の条件で加熱加圧を行って幅1mmにわたり接続し、回路接続構造体(接続構造体)を作製した。なお、接続の際には、基材付接着剤フィルムを、第2の接着剤層側からCOF基板に貼り付けをし、基材を剥離後に、ガラス基板と対向させて加熱加圧を行った。
<回路接続構造体の評価>
[接続抵抗値の評価]
得られた回路接続構造体について、接続直後、及び、高温高湿試験後の対向する電極間の接続抵抗値を、マルチメーターで測定した。高温高湿試験は、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に240h放置することにより行った。接続抵抗値は、対向する電極間の抵抗16点の平均値として求めた。
[接着材テープ及び接着材リールの作製]
上記で得られた基材付接着剤フィルムを、ロールツーロールのスリット設備により幅1.0mmに裁断して接着材テープを作製した。この接着材テープを、1対の側板を有するリールに巻いた。このとき、PETフィルムが巻芯側を向き、接着剤フィルムが外側を向くように巻く(巻き方:A)ことで接着材リールのサンプルを得た。サンプルは、巻き長さが50M及び200Mの2種類を作製した。
[耐ブロッキング性の評価]
得られた接着材リールのサンプルを30℃の恒温槽中で24h横向きに放置した。その後、サンプルから接着材テープを引き出した際の背面への転写(ブロッキング)の有無を確認した。サンプル数は5巻とし、背面への転写が見られなかったサンプルの巻数を評価した。
(実施例2)
第2の接着剤フィルムの作製において、熱硬化性組成物2-1に代えて熱硬化性組成物2-2のワニスを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、基材付接着剤フィルム、回路接続構造体、接着材テープ及び接着材リールを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例1)
第2の接着剤フィルムの作製において、熱硬化性組成物2-1に代えて熱硬化性組成物2-3のワニスを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、基材付接着剤フィルム、回路接続構造体、接着材テープ及び接着材リールを作製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例2)
実施例1と同様にして、接着材テープを作製した。この接着材テープを、1対の側板を有するリールに巻いた。このとき、PETフィルムが外側を向き、接着剤フィルムが巻き芯側を向くように巻く(巻き方:B)ことで接着材リールのサンプルを得た。サンプルは、巻き長さが50M及び200Mの2種類を作製した。実施例1と同様にして、耐ブロッキング性の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例3)
実施例2と同様にして、接着材テープを作製した。この接着材テープを、1対の側板を有するリールに巻いた。このとき、PETフィルムが外側を向き、接着剤フィルムが巻き芯側を向くように巻く(巻き方:B)ことで接着材リールのサンプルを得た。サンプルは、巻き長さが50M及び200Mの2種類を作製した。実施例1と同様にして、耐ブロッキング性の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2022048793000007
第2の接着剤層の30℃でのタック力が10gf以上である基材付接着剤フィルムを用意し、第2の接着剤層側からCOF基板に貼り付けをして回路接続構造体を作製した実施例1及び2では、接続直後及び高温高湿試験後における接続抵抗が充分低いことが確認された。更に、そのような基材付接着剤フィルムを裁断して得られた接着材テープを、PETフィルムが巻芯側を向き接着剤フィルムが外側を向く巻き方をして接着材リールを作製した実施例1及び2では、50M、200Mともにブロッキングの発生は見られないことが確認された。
一方、第2の接着剤層の30℃でのタック力が7.6gfである基材付接着剤フィルムを用意し、第2の接着剤層側からCOF基板に貼り付けをして回路接続構造体を作製した比較例1では、接続直後及び高温高湿試験後における接続抵抗を充分低減することができない。また、第2の接着剤層の30℃でのタック力が10gf以上である接着材テープを、PETフィルムが外側を向き接着剤フィルムが巻芯側を向く巻き方をして接着材リールを作製した比較例2及び3では、ブロッキングの発生が見られた。
1…回路接続構造体、2…第1の回路部材、3…第2の回路部材、6…第1の電極(回路電極)、8…第2の電極(回路電極)、11…接着材テープ、12…基材、13…第1の接着剤層、14…第2の接着剤層、15…接着剤フィルム、16…剥離フィルム、100…接着材リール、101…巻芯、102…側板、P…導電粒子、W…接着剤ペースト。

Claims (12)

  1. 巻芯と、
    前記巻芯の両端部に互いに対向するように設けられた一対の側板と、
    テープ状の基材及びその一方面上に設けられた、導電粒子を含む接着剤フィルムを有し、前記巻芯に巻かれた接着材テープと、
    を備え、
    前記接着剤フィルムは、前記導電粒子が前記基材側に偏在しており、前記基材とは反対側の表面RSの30℃でのタック力が10gf以上であり、
    前記接着材テープは、前記基材が前記巻芯側を向き且つ前記接着剤フィルムが外側を向くように前記巻芯に巻かれている、接着材リール。
  2. 前記接着剤フィルムが、フィルムの厚さ方向において、導電粒子を含む硬化性組成物Aの硬化物を含有する領域Pを含む、請求項1に記載の接着材リール。
  3. 前記接着剤フィルムが、前記領域Pの前記表面RS側に隣接し、硬化性組成物Bを含有する領域Sを更に含む、請求項2に記載の接着材リール。
  4. 前記硬化性組成物Aの硬化物が、導電粒子を含む光及び熱硬化性組成物の光硬化物であり、
    前記硬化性組成物Bは、熱硬化性組成物である、請求項3に記載の接着材リール。
  5. 前記領域Pのフィルムの厚さ方向における幅が、前記導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍である、請求項2~4のいずれか一項に記載の接着材リール。
  6. 前記接着材テープを、前記基材を有する状態で前記表面RS側から回路部材に貼付するように使用される、請求項1~5のいずれか一項に記載の接着材リール。
  7. 巻芯と、
    前記巻芯の両端部に互いに対向するように設けられた一対の側板と、
    テープ状の基材及びその一方面上に設けられた、接着剤フィルムを有し、前記巻芯に巻かれた接着材テープと、
    を備え、
    前記接着剤フィルムは、前記基材側から、第1の接着剤層と、該第1の接着剤層上に積層された、第2の接着剤層と、をこの順に有し、
    前記第1の接着剤層は、導電粒子を含む第1の硬化性組成物の硬化物からなり、
    前記第2の接着剤層は、第2の硬化性組成物からなり、
    前記第2の接着剤層の前記基材側とは反対側の表面S2の30℃でのタック力が10gf以上であり、
    前記接着材テープは、前記基材が前記巻芯側を向き且つ前記接着剤フィルムが外側を向くように前記巻芯に巻かれている、接着材リール。
  8. 前記導電粒子を含有する第1の硬化性組成物の硬化物が、導電粒子を含有する光及び熱硬化性組成物の光硬化物であり、
    前記第2の硬化性組成物は、熱硬化性組成物である、請求項7に記載の接着材リール。
  9. 前記第1の接着剤層の厚みが、前記導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍である、請求項7又は8に記載の接着材リール。
  10. 前記接着材テープを、前記基材を有する状態で前記表面S2側から回路部材に貼付するように使用される、請求項7~9のいずれか一項に記載の接着材リール。
  11. 第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、請求項1~10のいずれか一項に記載の接着材リールから引き出された前記接着材テープにおける前記接着剤フィルム、を介在させ、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法。
  12. 前記第1の回路部材がフレキシブル基板を有し、
    前記工程が、前記接着材テープを、前記基材を有する状態で、前記接着剤フィルムが前記第1の回路部材と接するように前記第1の回路部材にラミネートする工程と、前記第1の回路部材に貼り付けた前記接着材テープの前記基材を剥離する工程と、を含む、請求項11に記載の回路接続構造体の製造方法。
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