JP2022020338A - 回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、並びに、回路接続構造体の製造方法 - Google Patents

回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、並びに、回路接続構造体の製造方法 Download PDF

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Yumiko Daito
直 工藤
Sunao Kudo
彰浩 伊藤
Akihiro Ito
裕也 秋山
Yuya Akiyama
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Abstract

【課題】回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制しつつ、回路接続構造体を高温高湿環境下で使用した際に発生する電極部分に対する剥離を抑制し、優れた抵抗値を示す回路接続用接着剤フィルム。【解決手段】熱硬化性組成物からなる第1の接着剤層2と、第1の接着剤層上に積層され導電粒子4を含有する光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなる第2の接着剤層3とを備え、熱硬化性組成物は下記式(1)で表されるマレイミド化合物を含有する。TIFF2022020338000011.tif47149[式(1)中、R1は、脂環及び/又は芳香環を有する炭化水素基を示す。]【選択図】図1

Description

本発明は、回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、並びに、回路接続構造体の製造方法に関する。
従来、回路接続を行うために各種の接着材料が使用されている。例えば、液晶ディスプレイとテープキャリアパッケージ(TCP)との接続、フレキシブルプリント配線基板(FPC)とTCPとの接続、又はFPCとプリント配線板との接続のための接着材料として、接着剤中に導電粒子が分散された異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用されている。
異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用される精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅及び電極間隔が極めて狭くなっている。このため、微小電極上に効率良く導電粒子を捕捉させ、高い接続信頼性を得ることが必ずしも容易ではなくなっている。
これに対し、例えば特許文献1では、導電粒子を異方導電性接着シートの片側に偏在させ、導電粒子同士を離間させる手法が提案されている。
国際公開第2005/54388号
しかしながら、特許文献1の手法では、回路接続時に導電粒子が流動するため、電極間に導電粒子が凝集し、短絡が発生する可能性がある。また、導電粒子の流動にともなう導電粒子の粗密の分布は、絶縁特性の低下だけでなく、接続抵抗値のばらつきを生じさせる懸念もあり、未だ改良の余地がある。
さらに、回路接続用接着剤フィルムには、回路部材の接続後、回路接続構造体が高温高湿環境下(例えば85℃、85%RH)で長期間使用された場合にも、電極部分に対する剥離を抑制し、優れた抵抗値(接続抵抗値)を示すことが求められる。
そこで、本発明は、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制しつつ、回路接続構造体を高温高湿環境下で使用した際に発生する、電極部分に対する剥離を抑制し、優れた抵抗値を示すことのできる回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、以下[1]~[9]に示す回路接続用接着剤フィルムに関する。
[1]熱硬化性組成物からなる第1の接着剤層と、前記第1の接着剤層上に積層され、導電粒子を含有する光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなる第2の接着剤層と、を備え、前記熱硬化性組成物が、下記式(1)で表されるマレイミド化合物を含有する、回路接続用接着剤フィルム。
Figure 2022020338000002

[式(1)中、Rは、脂環及び/又は芳香環を有する炭化水素基を示す。]
[2]前記熱硬化性組成物が、熱ラジカル重合開始剤を含有する、[1]に記載の回路接続用接着剤フィルム。
[3]前記熱硬化性組成物が、(メタ)アクリレート化合物を含有する、[2]に記載の回路接続用接着剤フィルム。
[4]前記(メタ)アクリレート化合物が、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートを含む、[3]に記載の回路接続用接着剤フィルム。
[5]前記(メタ)アクリレート化合物が、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含む、[3]又は[4]に記載の回路接続用接着剤フィルム。
[4]前記(メタ)アクリレート化合物が、下記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物を含む、[3]~[5]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルム。
Figure 2022020338000003

[式(2)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。]
[7]前記マレイミド化合物が、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド及びN-(4-カルボキシフェニル)マレイミドからなる群より選択される少なくとも一種を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルム。
[8]前記マレイミド化合物の含有量が、前記熱硬化性組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上である、[1]~[7]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルム。
[9]前記熱硬化性組成物が、フェノキシ樹脂を含有する、[1]~[8]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルム。
上記側面の回路接続用接着剤フィルムによれば、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制しつつ、回路接続構造体を高温高湿環境下(例えば85℃、85%RH)で使用した際に発生する、電極部分に対する剥離を抑制することができ、優れた抵抗値を示すことができる。
本発明の他の一側面は、[1]~[9]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルムの製造方法であって、前記光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光を照射することにより、前記光及び熱硬化性組成物を硬化させ、前記第2の接着剤層を形成する工程を備える、回路接続用接着剤フィルムの製造方法に関する。
本発明の他の一側面は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、[1]~[9]のいずれかに記載の回路接続用接着剤フィルムを介在させ、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法に関する。
回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制しつつ、回路接続構造体を高温高湿環境下で使用した際に発生する、電極部分に対する剥離を抑制し、優れた抵抗値を示すことのできる回路接続用接着剤フィルム及びその製造方法、該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体の製造方法を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態の回路接続用接着剤フィルムを示す模式断面図である。 図2は、本発明の一実施形態の回路接続構造体を示す模式断面図である。 図3は、本発明の一実施形態の回路接続構造体の製造工程を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中、「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。また、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書中、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。
<回路接続用接着剤フィルム>
図1は、一実施形態の回路接続用接着剤フィルムを示す模式断面図である。図1に示すように、回路接続用接着剤フィルム1(以下、単に「接着剤フィルム1」ともいう。)は、第1の接着剤層2と、第1の接着剤層2上に積層された第2の接着剤層3と、を備える。
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層2は、下記式(1)で表されるマレイミド化合物を含有する熱硬化性組成物(第1の接着剤組成物)からなる。
Figure 2022020338000004
式(1)中、Rは、脂環(脂環式環、脂肪族炭化水素環)及び/又は芳香環(芳香族炭化水素環)を有する炭化水素基を示す。
脂環の炭素数は、例えば、5以上であり、6以上であってもよい。脂環の炭素数は、例えば、18以下であり、16以下であってもよい。脂環は、単環であっても縮合環であってもよい。脂環は、環内に不飽和結合を有していてもよい。脂環は、式(1)中のNに直接結合していてよく、2価の炭化水素基を介して結合していてもよい。2価の炭化水素基の炭素数は、例えば、1以上であってよく、2以下であってよい。
脂環の具体例としては、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ジシクロペンタン環、アダマンタン環、ノルボルナン環等が挙げられる。
脂環を有する炭化水素基の炭素数は、例えば、5以上であり、6以上であってもよい。脂環を有する炭化水素基の炭素数は、例えば、18以下であり、16以下であってもよい。脂環を有する炭化水素基における脂環の数は、1つであっても複数であってもよい。
脂環を有する炭化水素基の具体例としては、シクロペンタン基、シクロヘキサン基、ジシクロペンタン基、アダマンタン基、ノルボルナン基等が挙げられる。
芳香環の炭素数は、例えば、6以上であり、8以上であってもよい。芳香環の炭素数は、例えば、18以下であり、16以下であってもよい。芳香環は、単環であっても縮合環であってもよい。芳香環は、式(1)中のNに直接結合していてよく、2価の炭化水素基を介して結合していてもよい。2価の炭化水素基の炭素数は、例えば、1以上であってよく、2以下であってよい。
芳香環の具体例としては、ベンゼン環、ナフタレン環、フェナントレン環等が挙げられる。
芳香環を有する炭化水素基の炭素数は、例えば、6以上であり、8以上であってもよい。芳香環を有する炭化水素基の炭素数は、例えば、18以下であり、16以下であってもよい。
芳香環を有する炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ベンジル基、ナフチル基、フェナントリル基等が挙げられる。
上記式(1)で表されるマレイミド化合物は、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。上記式(1)で表されるマレイミド化合物の具体例としては、高温高湿環境下での剥離がより抑制され、より優れた抵抗値が得られる観点から、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド及びN-(4-カルボキシフェニル)マレイミドからなる群より選択される少なくとも一種を用いることが好ましく、N-シクロヘキシルマレイミド及びN-フェニルマレイミドからなる群より選択される少なくとも一種を用いることがより好ましい。
上記式(1)で表されるマレイミド化合物の含有量は、高温高湿環境下での剥離がより抑制され、より優れた抵抗値が得られる観点から、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってもよく、1.0質量%以上であってもよい。上記式(1)で表されるマレイミド化合物の含有量は、重合時の硬化収縮が抑えられ、より良好な接続信頼性が得られる観点から、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよい。
以上説明した第1の接着剤組成物は、例えば、重合性化合物及び熱重合開始剤を含有する。この場合、上記式(1)で表されるマレイミド化合物は、重合性化合物として第1の接着剤組成物に含有されてよく、重合性化合物以外の成分として第1の接着剤組成物に含有されてもよい。第1の接着剤組成物が熱ラジカル重合開始剤及び/又は熱アニオン重合開始剤を含有する場合、上記式(1)で表されるマレイミド化合物は重合性化合物に含まれる。
重合性化合物の全質量を基準とする上記式(1)で表されるマレイミド化合物の含有量は、3質量%以上であってよく、50質量%以下であってよい。含有量が3質量%以上であると、高温高湿環境下での剥離がより抑制され、より優れた抵抗値が得られる傾向があり、含有量が50質量%以下であると、重合時の硬化収縮が抑えられ、より良好な接続信頼性が得られる傾向がある。これらの観点から、重合性化合物の全質量を基準とする含有量は、5質量%以上又は8質量%以上であってもよく、40質量%以下、30質量%以下、20質量%以下、15質量%以下又は10質量%以下であってもよい。
[重合性化合物]
重合性化合物は、熱によって熱重合開始剤が発生させたラジカル、カチオン又はアニオンにより重合する化合物である。重合性化合物は、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。
重合性化合物は、少なくとも一つの重合性基を有する。重合性基は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、ラジカルにより反応するラジカル重合性基であることが好ましい。すなわち、重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。この場合、熱重合開始剤としては熱ラジカル重合開始剤が用いられる。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アルケニル基、アルケニレン基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられる。
重合性化合物の具体例としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン誘導体、アクリルアミド誘導体、ナジイミド誘導体、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーンアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフォスフェート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルフォスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、上記式(1)で表されるマレイミド化合物の他、1-メチル-2,4-ビスマレイミドベンゼン、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチル-ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-3,3-ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(3-s-ブチル-4-8(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス(1-(4マレイミドフェノキシ)-2-シクロヘキシル)ベンゼン、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
アリル化合物としては、1,3-ジアリルフタレート、1,2-ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
重合性化合物としては、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。高温高湿環境下での剥離をより抑制する観点及びより優れた抵抗値が得られる観点では、上記式(1)で表されるマレイミド化合物と、他のラジカル重合性化合物を併用することが好ましく、上記式(1)で表されるマレイミド化合物と、(メタ)アクリレート化合物とを併用することがより好ましい。(メタ)アクリレート化合物を用いることで、硬化反応速度と硬化後の物性とのバランスに優れる傾向がある。
(メタ)アクリレート化合物の含有量は、高温高湿環境下での剥離を更に抑制する観点及び更に優れた抵抗値が得られる観点から、重合性化合物の全質量を基準として、5質量%以上であってよく、10質量%以上であってもよく、20質量%以上であってもよい。(メタ)アクリレート化合物の含有量は、重合時の硬化収縮を抑える観点から、重合性化合物の全質量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
上記式(1)で表されるマレイミド化合物の含有量に対する(メタ)アクリレート化合物の含有量([(メタ)アクリレート化合物の含有量]/[上記式(1)で表されるマレイミド化合物の含有量])は、高温高湿環境下での剥離を更に抑制する観点及び更に優れた抵抗値が得られる観点から、1以上であってよく、5以上であってもよく、10以上であってもよい。上記式(1)で表されるマレイミド化合物の含有量に対する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、高温高湿環境下での剥離を更に抑制する観点及び更に優れた抵抗値が得られる観点から、50以下であってよく、40以下であってもよく、30以下であってもよい。
架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させ、接続信頼性をより向上させる観点では、上記式(1)で表されるマレイミド化合物と、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂(熱可塑性ポリマー)の末端又は側鎖にビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等のラジカル重合性基を導入した化合物とを併用することが好ましい。
熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物としては、接続抵抗を低減させるための凝集力と、接着力を向上させるための伸びを両立し、より優れた接着特性を得ることができる観点から、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物が好ましい。換言すれば、上記式(1)で表されるマレイミド化合物と併用される(メタ)アクリレート化合物が(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。
(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物は、好ましくは、脂環及び/又は芳香環を有する。(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物が有し得る脂環及び芳香環の例は、上記式(1)で表されるマレイミド化合物が有し得る脂環及び芳香環の例と同じである。
熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の重量平均分子量は、架橋密度と硬化収縮とのバランスに優れる観点から、3000以上であってよく、5000以上であってよく、1万以上であってよい。熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の重量平均分子量は、他成分(例えば上記式(1)で表されるマレイミド化合物)との相溶性に優れる観点から、100万以下であってよく、50万以下であってよく、25万以下であってよい。なお、本明細書中の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値である。
熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の含有量は、接続抵抗を更に低減させ、接続信頼性を更に向上させる観点から、重合性化合物の全質量を基準として、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の含有量は、重合時の硬化収縮を抑えることができる観点から、重合性化合物の全質量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってもよく、70質量%以下であってもよい。
(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量は、更に優れた接着特性を得る観点から、(メタ)アクリレート化合物の全質量を基準として、30質量%以上であってよく、40質量%以上であってもよく、50質量%以上であってもよい。(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物の含有量は、凝集力を向上させ、信頼性を向上させる観点から、(メタ)アクリレート化合物の全質量を基準として、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってもよく、60質量%以下であってもよい。
凝集力を向上させ、接続抵抗をより低減させる観点では、上記式(1)で表されるマレイミド化合物と、高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物(例えばトリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物)とを併用することが好ましい。換言すれば、上記式(1)で表されるマレイミド化合物と併用される(メタ)アクリレート化合物が高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含むことが好ましい。高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物は、接続抵抗をより低減させる観点から、メタアクリロイルオキシ基を2つ有する(すなわち、ジ(メタ)アクリレート化合物である)ことが好ましい。
高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、凝集力をより向上させ、接続抵抗を更に低減させる観点から、(メタ)アクリレート化合物の全質量を基準として、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってもよく、30質量%以上であってもよい。高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、重合時の硬化収縮を抑えることができる観点から、(メタ)アクリレート化合物の全質量を基準として、60質量%以下であってよく、50質量%以下であってもよく、40質量%以下であってもよい。
無機物(金属等)の表面に対する接着力をより向上させ、電極同士(例えば回路電極同士)の接着強度をより向上させる観点では、上記式(1)で表されるマレイミド化合物と、下記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物とを併用することが好ましい。
Figure 2022020338000005
式(2)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
上記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。上記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物の具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
上記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、無機物(金属等)の表面に対する接着力を更に向上させ、電極同士(例えば回路電極同士)の接着強度を更に向上させる観点から、(メタ)アクリレート化合物の全質量を基準として、0.5質量%以上であってよく、3質量%以上であってもよく、5質量%以上であってもよい。上記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、ポットライフの観点から、(メタ)アクリレート化合物の全質量を基準として、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってもよく、10質量%以下であってもよい。
重合性化合物の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点から、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、30質量%以上であってよい。重合性化合物の含有量は、重合時の硬化収縮を抑えることができ、良好な信頼性が得られる観点から、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよい。これらの観点から、重合性化合物の含有量は、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、10~90質量%であってよく、20~80質量%であってよく、30~70質量%であってよい。
[熱重合開始剤]
熱重合開始剤は、熱によりラジカル、カチオン又はアニオンを発生する重合開始剤(熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤又は熱アニオン重合開始剤)である。熱重合開始剤は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、熱ラジカル重合開始剤であることが好ましい。熱重合開始剤として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
熱ラジカル重合開始剤は、熱により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、熱ラジカル重合開始剤は、外部からの熱エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。熱ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている有機過酸化物及びアゾ化合物から任意に選択することができる。熱ラジカル重合開始剤としては、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、有機過酸化物が好ましく、安定性、反応性及び相溶性の観点から、1分間半減期温度が90~175℃であり、且つ、重量平均分子量が180~1000の有機過酸化物がより好ましい。1分間半減期温度がこの範囲にあることで、貯蔵安定性に更に優れ、ラジカル重合性も充分に高く、短時間で硬化できる。
熱重合開始剤の具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
熱重合開始剤の含有量は、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1質量%以上であってよい。熱重合開始剤の含有量は、ポットライフの観点から、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよい。これらの観点から、熱重合開始剤の含有量は、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、0.1~30質量%であってよく、0.5~20質量%であってよく、1~10質量%であってよい。
[その他の成分]
第1の接着剤組成物は、上述した成分以外の成分(その他の成分)を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填材、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等が挙げられる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。第1の接着剤組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、第1の接着剤層2を容易に形成することができる。また、第1の接着剤組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、硬化時に発生する、第1の接着剤層2の応力を緩和することができる。また、熱可塑性樹脂が水酸基等の官能基を有する場合、第1の接着剤層2の接着性が向上しやすい。このような観点から、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂を用いることが好ましい。熱可塑性樹脂の含有量は、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、5質量%以上であってよく、80質量%以下であってよく、5~80質量%であってよい。
カップリング剤としては、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、エポキシ基等の有機官能基を有するシランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等のシラン化合物、テトラアルコキシチタネート誘導体、ポリジアルキルチタネート誘導体などを用いることができる。第1の接着剤組成物がカップリング剤を含有する場合、接着性を更に向上することができる。カップリング剤の含有量は、例えば、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上であってよく、20質量%以下であってよく、0.1~20質量%であってよい。なお、本明細書では、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を有するシランカップリング剤は、重合性化合物には含まれないものとする。
充填材としては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。第1の接着剤組成物が充填材を含有する場合、接続信頼性の更なる向上が期待できる。充填材は、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート-ブタジエン-スチレン微粒子、アクリル-シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、均一な構造を有していてもよく、コア-シェル型構造を有していてもよい。充填材の含有量は、例えば、第1の接着剤組成物の全質量基準で、1体積%以上であってよく、30体積%以下であってよく、1~30体積%であってよい。
第1の接着剤組成物における導電粒子の含有量は、例えば、第1の接着剤組成物の全質量を基準として、1質量%以下であってよく、0質量%であってもよい。第1の接着剤組成物は、導電粒子を含まないことが好ましい。
第1の接着剤層2の厚さd1は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第1の接着剤層2の厚さd1は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な接続信頼性が得られる観点から、5μm以上であってよく、200μm以下であってよく、5~200μmであってよい。なお、後述するように、導電粒子4の一部が第2の接着剤層3の表面から露出(例えば、第1の接着剤層2側に突出)している場合、第1の接着剤層2における第2の接着剤層3側とは反対側の面2aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の接着剤層2と第2の接着剤層3との境界Sまでの距離(図1においてd1で示す距離)が第1の接着剤層2の厚さである。
接着剤層の厚さは、以下の方法により測定することができる。まず、接着剤フィルム1を2枚のガラス(厚み:1mm程度)で挟み込む。次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型する。その後、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて各接着剤層の厚さを測定する。
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層3は、導電粒子4を含有する光及び熱硬化性組成物(第2の接着剤組成物)の光硬化物からなる。第2の接着剤組成物は、導電粒子の他に、例えば、重合性化合物、光重合開始剤及び熱重合開始剤を含有する。
第2の接着剤層3は、例えば、第2の接着剤組成物からなる層に対して光エネルギーを照射することで重合性化合物を重合させ、第2の接着剤組成物を硬化(光硬化)させることで得られる。つまり、第2の接着剤層3は、導電粒子4と、第2の接着剤組成物を光硬化させてなる接着剤成分5と、からなる。接着剤成分5には、少なくとも重合性化合物の重合体が含まれる。接着剤成分5は、未反応の重合性化合物及び光重合開始剤を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
[重合性化合物]
重合性化合物は、光(例えば紫外光)の照射によって光重合開始剤が発生させたラジカル、カチオン又はアニオンにより重合する化合物である。重合性化合物としては、第1の接着剤層2(第1の接着剤組成物)に含まれる重合性化合物として例示した化合物を用いることができる。
重合性化合物はモノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。重合性化合物として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。重合性化合物は、第1の接着剤層2(第1の接着剤組成物)に含まれる重合性化合物と同一であっても異なっていてもよい。
重合性化合物の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点から、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5質量%以上であってよく、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよい。重合性化合物の含有量は、重合時の硬化収縮を抑える観点から、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよい。これらの観点から、重合性化合物の含有量は、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5~90質量%であってよく、10~80質量%であってよく、20~70質量%であってよい。
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、150~750nmの範囲内の波長を含む光、好ましくは254~405nmの範囲内の波長を含む光、更に好ましくは365nmの波長を含む光(例えば紫外光)の照射によってラジカル、カチオン又はアニオンを発生する重合開始剤(光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤又は光アニオン重合開始剤)である。光重合開始剤は、低温短時間での硬化がより容易となる観点から、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。光重合開始剤として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
光ラジカル重合開始剤は、光により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、光ラジカル重合開始剤は、外部からの光エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。光ラジカル重合開始剤としては、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造、アクリジン構造、α-アミノアルキルフェノン構造、アミノベンゾフェノン構造、N-フェニルグリシン構造、アシルフォスフィンオキサイド構造、ベンジルジメチルケタール構造、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造等の構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
光重合開始剤としては、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、例えば、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造又はアクリジン構造を有する光重合開始剤が好ましく用いられる。すなわち、第2の接着剤組成物は、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造及びアクリジン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する光重合開始剤を含有していてよい。これらの中でも、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤が好ましく用いられる。
オキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-o-ベンゾイルオキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。
ビスイミダゾール構造を有する化合物としては、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体が挙げられる。
アクリジン構造を有する化合物としては、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等が挙げられる。
光重合開始剤の含有量は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点から、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、好ましくは0.3質量%以上であり、より好ましくは0.45質量%以上であり、更に好ましくは0.55質量%以上であり、特に好ましくは0.85質量%以上である。光重合開始剤の含有量は、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、好ましくは1.2質量%以下であり、より好ましくは0.9質量%以下であり、更に好ましくは0.6質量%以下である。これらの観点から、光重合開始剤の含有量は、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、好ましくは0.3~1.2質量%であり、より好ましくは0.45~0.9質量%であり、更に好ましくは0.45~0.6質量%である。
[熱重合開始剤]
熱重合開始剤としては、第1の接着剤層(第1の接着剤組成物)に含まれる熱重合開始剤と同様の熱重合開始剤を用いることができる。熱重合開始剤として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。熱重合開始剤は、熱ラジカル重合開始剤であることが好ましい。熱重合開始剤における好ましい熱ラジカル重合開始剤の例は、第1の接着剤層2(第1の接着剤組成物)に含まれる熱重合開始剤と同様である。
熱重合開始剤の含有量は、速硬化性に優れる観点、並びに、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点から、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1質量%以上であってよい。熱重合開始剤の含有量は、ポットライフの観点から、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってよい。これらの観点から、熱重合開始剤の含有量は、第2の接着剤組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1~20質量%であってよく、0.5~10質量%であってよく、1~5質量%であってよい。
[導電粒子]
導電粒子は、導電性を有する粒子であれば特に制限されず、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。導電粒子は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック(ポリスチレン等)などを含む核と、上記金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子であってもよい。これらの中でも、熱溶融性の金属で形成された金属粒子、又はプラスチックを含む核と、金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子が好ましく用いられる。この場合、第2の接着剤組成物の硬化物を加熱又は加圧により変形させることが容易であるため、電極同士を電気的に接続する際に、電極と導電粒子との接触面積を増加させ、電極間の導電性をより向上させることができる。
導電粒子は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。導電粒子が絶縁被覆導電粒子であると、導電粒子の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、導電粒子同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。導電粒子は、上述した各種導電粒子の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
導電粒子の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さいことが必要である。導電粒子の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。導電粒子の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。これらの観点から、導電粒子の最大粒径は、1.0~50μmであってよく、2.0~30μmであってよく、2.5~20μmであってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を導電粒子の最大粒径とする。なお、導電粒子が突起を有するなどの球形ではない場合、導電粒子の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
導電粒子の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。導電粒子の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。これらの観点から、導電粒子の平均粒径は、1.0~50μmであってよく、2.0~30μmであってよく、2.5~20μmであってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
第2の接着剤層3において、導電粒子は均一に分散されていることが好ましい。第2の接着剤層における導電粒子の粒子密度は、安定した接続抵抗が得られやすい観点から、100pcs/mm以上であってよく、1000pcs/mm以上であってよく、2000pcs/mm以上であってよい。第2の接着剤層3における導電粒子の粒子密度は、隣り合う電極間の絶縁性を向上させる観点から、100000pcs/mm以下であってよく、50000pcs/mm以下であってよく、10000pcs/mm以下であってよい。これらの観点から、第2の接着剤層3における導電粒子の粒子密度は、100~100000pcs/mmであってよく、1000~50000pcs/mmであってよく、2000~10000pcs/mmであってよい。
導電粒子の含有量は、導電性をより向上させることができる観点から、第2の接着剤組成物の全体積を基準として、又は、第2の接着剤層3中の全体積を基準として、0.1体積%以上であってよく、1体積%以上であってよく、5体積%以上であってよい。導電粒子の含有量は、短絡を抑制しやすい観点から、第2の接着剤組成物の全体積を基準として、又は、第2の接着剤層3中の全体積を基準として、50体積%以下であってよく、30体積%以下であってよく、20体積%以下であってよい。これらの観点から、導電粒子の含有量は、第2の接着剤組成物の全体積を基準として、又は、第2の接着剤層3中の全体積を基準として、0.1~50体積%であってよく、1~30体積%であってよく、5~20体積%であってよい。
[その他の成分]
第2の接着剤組成物は、上述した成分以外の成分(その他の成分)を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填材、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤及びチキソトロピック剤が挙げられる。これらの成分は第2の接着剤層3中(第2の接着剤組成物の光硬化物中)に含まれていてもよい。その他の成分の詳細は、第1の接着剤層(第1の接着剤組成物)に含まれ得るその他の成分の詳細と同じである。
第2の接着剤層3の厚さd2は、導電粒子4が対向する電極間で捕捉されやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点から、導電粒子4の平均粒径の0.1倍以上であってよく、0.2倍以上であってよく、0.3倍以上であってよい。第2の接着剤層3の厚さd2は、熱圧着時に導電粒子4が対向する電極間ではさまれた際に、より導電粒子4が潰れやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点から、導電粒子4の平均粒径の0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってよい。これらの観点から、第2の接着剤層3の厚さd2は、導電粒子4の平均粒径の0.1~0.8倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。なお、第1の接着剤層2の厚さd2は、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さをいう。
第2の接着剤層3の厚さd2と導電粒子4の平均粒径とが上記のような関係を満たす場合、例えば、図1に示すように、第2の接着剤層3中の導電粒子4の一部が、第2の接着剤層3から第1の接着剤層2側に突出していてよい。この場合、隣り合う導電粒子4,4の離間部分には、第2の接着剤層3と第1の接着剤層2との境界Sが位置している。導電粒子4の表面を沿うように導電粒子4上に境界Sが存在することにより、第2の接着剤層3中の導電粒子4が第2の接着剤層3から第1の接着剤層2側に突出することなく、上記の関係を満たしていてもよい。導電粒子4は、第2の接着剤層3における第1の接着剤層2側とは反対側の面3aには露出しておらず、反対側の面3aは平坦面となっていてよい。
第2の接着剤層3の厚さd2と導電粒子4の最大粒径との関係は、上記と同様であってよい。例えば、第2の接着剤層3の厚さd2は、導電粒子4の最大粒径の0.1~0.8倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。
第2の接着剤層3の厚さd2は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第2の接着剤層3の厚さd2は、例えば、0.5μm以上であってよく、20μm以下であってよく、0.5~20μmであってよい。なお、導電粒子4の一部が第2の接着剤層3の表面から露出(例えば、第1の接着剤層2側に突出)している場合、第2の接着剤層3における第1の接着剤層2側とは反対側の面3aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第2の接着剤層3と第1の接着剤層2との境界Sまでの最短距離(図1においてd2で示す距離)が第2の接着剤層3の厚さであり、導電粒子4の露出部分は第2の接着剤層3の厚さには含まれない。導電粒子4の露出部分の長さは、例えば、0.1μm以上であってよく、20μm以下であってよく、0.1~20μmであってよい。
第1の接着剤層2の厚さd1に対する第2の接着剤層3の厚さd2の比(第2の接着剤層3の厚さd2/第1の接着剤層2の厚さd1)は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な信頼性が得られる観点から、1以上であってよく、100以下であってよい。
接着剤フィルム1の厚さ(接着剤フィルム1を構成するすべての層の厚さの合計)は、例えば5μm以上であってよく、200μm以下であってよく、5~200μmであってよい。
接着剤フィルム1では、導電粒子4が第2の接着剤層3中に分散されている。そのため、接着剤フィルム1は、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムである。接着剤フィルム1は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いられる。
以上説明した接着剤フィルム1は、導電粒子4を含有する第2の接着剤層3が光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなるため、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制することができる。また、本発明者らの検討の結果明らかになったことであるが、導電粒子を含有する層を光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなる層とした場合、当該層と対向する層(導電粒子を実質的に含有しない層)の接着力が低下し、回路接続構造体を高温高湿環境下で使用した際に、電極部分に対する剥離(回路部材の電極と接着剤フィルムにより形成される回路接続部との界面における剥離)が発生したり、接続抵抗値が上昇したりする場合がある。一方、上記接着剤フィルム1では、第1の接着剤層2が式(1)で表されるマレイミド化合物を含有するため、このような剥離の発生及び接続抵抗値の上昇が抑制される。
以上、回路接続用接着剤フィルム1について説明したが、本発明の回路接続用接着剤フィルムは上記実施形態に限定されない。
例えば、回路接続用接着剤フィルムは、第1の接着剤層2及び第2の接着剤層3の二層から構成されるものであってよく、第1の接着剤層2及び第2の接着剤層3以外の層(例えば第3の接着剤層)を備える、三層以上の層から構成されるものであってもよい。第3の接着剤層は、第1の接着剤層2又は第2の接着剤層3について上述した組成と同様の組成を有する層であってよく、第1の接着剤層2又は第2の接着剤層3について上述した厚さと同様の厚さを有する層であってよい。回路接続用接着剤フィルムは、例えば、第1の接着剤層2における第2の接着剤層3の反対側の面上に第3の接着剤層を更に備えていてよい。すなわち、回路接続用接着剤フィルムは、例えば、第2の接着剤層3、第1の接着剤層2及び第3の接着剤層がこの順で積層されてなる。この場合、第3の接着剤層は、例えば、第1の接着剤層2と同様に第1の接着剤組成物からなる。
また、回路接続用接着剤フィルム1は、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムであるが、回路接続用接着剤フィルムは、異方導電性を有していない導電性接着剤フィルムであってもよい。
<回路接続用接着剤フィルムの製造方法>
回路接続用接着剤フィルム1の製造方法は、例えば、第1の接着剤層2を用意する工程(第1の用意工程)と、第2の接着剤層3を用意する工程(第2の用意工程)と、第1の接着剤層2と第2の接着剤層3とを積層する工程(積層工程)と、を備える。
(第1の用意工程)
第1の用意工程では、例えば、基材上に第1の接着剤層2を形成して第1の接着剤フィルムを得ることにより、第1の接着剤層2を用意する。具体的には、例えば、上述した第1の接着剤組成物に含まれる各成分を、溶剤(有機溶剤)中に加え、攪拌混合、混練等により、溶解又は分散させて、ワニス組成物(ワニス状の第1の接着剤組成物)を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱により溶剤を揮発させて第1の接着剤組成物からなる第1の接着剤層2を形成する。これにより、基材と、当該基材上に設けられた第1の接着剤層2とを備える、第1の接着剤フィルムが得られる。
ワニス組成物の調製に用いる溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものが好ましく、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。ワニス組成物の調製の際の攪拌混合及び混練は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材としては、溶剤を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えばフィルム)を用いることができる。
基材へ塗布したワニス組成物から溶剤を揮発させる際の加熱条件(乾燥条件)は、溶剤が充分に揮発する条件とすることが好ましい。加熱条件(乾燥条件)は、例えば、40℃以上120℃以下で0.1分間以上10分間以下であってよい。
第1の接着剤層2には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。第1の接着剤層2における溶剤の含有量は、例えば、第1の接着剤層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
(第2の用意工程)
第2の用意工程では、例えば、基材上に第2の接着剤層3を形成して第2の接着剤フィルムを得ることにより、第2の接着剤層3を用意する。具体的には、例えば、第1の用意工程と同様にして、基材上に第2の接着剤組成物からなる層を形成する。使用し得る溶剤の種類及び基材の種類、乾燥条件等は、第1の接着剤層の場合と同じである。次いで、第2の接着剤組成物(光及び熱硬化性組成物)からなる層に対して光を照射することにより、当該第2の接着剤組成物を硬化(光硬化)させ、基材上に第2の接着剤層3を形成する。これにより、基材と、当該基材上に設けられた第2の接着剤層3とを備える、第2の接着剤フィルムが得られる。
第2の接着剤組成物からなる層には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。第2の接着剤組成物からなる層における溶剤の含有量は、例えば、第2の接着剤組成物からなる層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
光の照射には、波長150~750nmの範囲内の照射光(例えば紫外光)を用いることが好ましい。光の照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED光源等を使用して行うことができる。光の照射量は、特に限定されず、例えば、波長365nmの光の積算光量で、100mJ/cm以上であってよく、200mJ/cm以上であってよく、300mJ/cm以上であってよい。光の照射量は、例えば、波長365nmの光の積算光量で、10000mJ/cm以下であってよく、5000mJ/cm以下であってよく、3000mJ/cm以下であってよい。
(積層工程)
積層工程では、第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを貼り合わせることにより、第1の接着剤層2と第2の接着剤層3とを積層する。第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを貼り合わせる方法としては、例えば、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法が挙げられる。ラミネートは、例えば、0~80℃の温度条件下で行ってよい。
以上、回路接続用接着剤フィルム1の製造方法について説明したが、本発明の回路接続用接着剤フィルムの製造方法は上記実施形態に限定されない。
例えば、第2の用意工程で第2の接着剤層3を用意した後、第1の用意工程と同様にして、第2の接着剤層3上に直接第1の接着剤層2を形成することにより、回路接続用接着剤フィルム1を得てもよい。また、第1の用意工程及び第2の用意工程を行う順番も限定されない。第1の用意工程を先に行ってもよく、第2の用意工程を先に行ってもよい。
また、例えば、第2の接着剤組成物からなる層と第1の接着剤層(第1の接着剤組成物からなる層)とを備える積層体を用意した後、当該積層体に対して光を照射することで第2の接着剤組成物を硬化させ、第2の接着剤層3を形成することにより、回路接続用接着剤フィルム1を得てもよい。積層体は、例えば、第1の用意工程と同様にして基材上に第2の接着剤組成物からなる層を形成した後、第1の用意工程と同様にして、第2の接着剤組成物からなる層上に第1の接着剤層2を形成することで得てよく、第1の用意工程と同様にして基材上に第1の接着剤層2を形成した後、第1の用意工程と同様にして、第1の接着剤層2上に第2の接着剤組成物からなる層を形成することで得てもよい。
<回路接続構造体及びその製造方法>
以下、回路接続材料として上述した回路接続用接着剤フィルム1を用いた回路接続構造体及びその製造方法について説明する。
図2は、一実施形態の回路接続構造体を示す模式断面図である。図2に示すように、回路接続構造体10は、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を有する第2の回路部材16と、第1の回路部材13及び第2の回路部材16の間に配置され、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する回路接続部17と、を備えている。
第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、電極が形成されているガラス基板又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンICチップ等であってよい。第1の回路基板11及び第2の回路基板14は、半導体、ガラス、セラミック等の無機物、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等の複合物などで形成されていてよい。第1の電極12及び第2の電極15は、金、銀、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、アルミ、モリブデン、チタン、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)等で形成されていてよい。第1の電極12及び第2の電極15は回路電極であってよく、バンプ電極であってもよい。第1の電極12及び第2の電極15の少なくとも一方は、バンプ電極であってよい。図2では、第2の電極15がバンプ電極である。
回路接続部17は、上述した接着剤フィルム1の硬化物からなる。回路接続部17は、例えば、第1の回路部材13と第2の回路部材16とが互いに対向する方向(以下「対向方向」)における第2の回路部材16側に位置し、上述の第1の接着剤組成物の硬化物からなる第1の領域18と、対向方向における第1の回路部材13側に位置し、上述の第2の接着剤組成物の導電粒子4以外の成分の硬化物からなる第2の領域19と、少なくとも第1の電極12及び第2の電極15の間に介在して第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する導電粒子4と、を有する。回路接続部は、第1の領域18及び第2の領域19のように2つの領域を有していなくてもよく、例えば、上述の第1の接着剤組成物の硬化物と上述の第2の接着剤組成物の導電粒子4以外の成分の硬化物とが混在した硬化物からなっていてもよい。
図3は、回路接続構造体10の製造方法を示す模式断面図である。図3に示すように、回路接続構造体10の製造方法は、例えば、第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の電極15を有する第2の回路部材16との間に、上述した接着剤フィルム1を介在させ、第1の回路部材13及び第2の回路部材16を熱圧着して、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する工程を備える。
具体的には、まず、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を備える第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を備える第2の回路部材16と、を用意する。
次に、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを、第1の電極12と第2の電極15とが互いに対向するように配置し、第1の回路部材13と第2の回路部材16との間に接着剤フィルム1を配置する。例えば、図3(a)に示すように、第2の接着剤層3側が第1の回路部材13の実装面11aと対向するようにして接着剤フィルム1を第1の回路部材13上にラミネートする。次に、第1の回路基板11上の第1の電極12と、第2の回路基板14上の第2の電極15とが互いに対向するように、接着剤フィルム1がラミネートされた第1の回路部材13上に第2の回路部材16を配置する。
そして、図3(b)に示すように、第1の回路部材13、接着剤フィルム1及び第2の回路部材16を加熱しながら、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを厚み方向に加圧することで、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを互いに熱圧着する。この際、図3(b)において矢印で示すように、第1の接着剤層2は、流動可能な未硬化の熱硬化性組成物(第1の接着剤組成物)からなっているため、第2の電極15,15間の空隙を埋めるように流動すると共に、上記加熱によって硬化する。これにより、第1の電極12及び第2の電極15が導電粒子4を介して互いに電気的に接続され、また、第1の回路部材13及び第2の回路部材16が互いに接着されて、図2に示す回路接続構造体10が得られる。本実施形態の回路接続構造体10の製造方法では、第2の接着剤層3が予め硬化された層であるため、導電粒子4が上記熱圧着時にほとんど流動せず、導電粒子4が効率的に対向する電極間で捕捉されるため、対向する電極12及び15間の接続抵抗が低減される。そのため、接続信頼性に優れる回路接続構造体が得られる。
以下、本発明の内容を実施例及び比較例を用いてより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ポリウレタンアクリレート(UA1)の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1000)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチル錫ジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下70℃で6時間反応させた。これにより、ポリウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。なお、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×10Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
<導電粒子の作製>
ポリスチレン粒子の表面上に、層の厚さが0.2μmとなるようにニッケルからなる層を形成した。このようにして、平均粒径4μm、最大粒径4.5μm、比重2.5の導電粒子を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂の調製方法>
攪拌機、温度計、コンデンサー、真空発生装置及び窒素ガス導入管が備え付けられたヒーター付きステンレス製オートクレーブに、イソフタル酸48質量部及びネオペンチルグリコール37質量部を投入し、更に、触媒としてのテトラブトキシチタネート0.02質量部を投入した。次いで、窒素気流下220℃まで昇温し、そのまま8時間攪拌した。その後、大気圧(760mmHg)まで減圧し、室温まで冷却した。これにより、白色の沈殿物を析出させた。次いで、白色の沈殿物を取り出し、水洗した後、真空乾燥することでポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを充分に乾燥した後、MEK(メチルエチルケトン)に溶解し、攪拌機、滴下漏斗、還流冷却機及び窒素ガス導入管を取り付けた四つ口フラスコに投入した。また、触媒としてジブチル錫ジラウレートをポリエステルポリオール100質量部に対して0.05質量部となる量投入し、ポリエステルポリオール100質量部に対して50質量部となる量の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートをMEKに溶解して滴下漏斗で投入し、80℃で4時間攪拌することで目的とするポリエステルウレタン樹脂を得た。
<ワニス状の第1の接着剤組成物(第1のワニス組成物)の調製>
以下に示す成分を表1に示す配合量(質量部)で混合し、第1のワニス組成物1~5を調製した。
((メタ)アクリレート化合物)
A1:トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート(商品名:DCP-A、東亞合成株式会社製)
A2:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート(UA1)
A3:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
(マレイミド化合物)
B1:N―シクロヘキシルマレイミド(東京化成工業株式会社製)
B2:N―フェニルマレイミド(東京化成工業株式会社製)
(熱重合開始剤)
C1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
(カップリング剤)
F1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)
(熱可塑性樹脂)
G1:フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、ユニオンカーバイド社製)
(充填材)
H1:シリカ微粒子(商品名:R104、日本アエロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm)
(溶剤)
I1:メチルエチルケトン
Figure 2022020338000006
<ワニス状の第2の接着剤組成物(第2のワニス組成物)の調製>
(メタ)アクリレート化合物a1~a3、熱重合開始剤c1、カップリング剤f1、熱可塑性樹脂g1、充填材h1及び溶剤i1として、第1のワニス組成物で使用した(メタ)アクリレート化合物A1~A3、熱重合開始剤C1、カップリング剤F1、熱可塑性樹脂G1、充填材H1及び溶剤I1と同じものを用い、光重合開始剤d1及び導電粒子e1は以下に示す成分を用い、これらの成分を表2に示す配合量(質量部)で混合し、第2のワニス組成物1を調製した。
(光重合開始剤)
d1:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:Irgacure(登録商標)OXE01、BASF社製)
(導電粒子)
e1:上述のとおり作製した導電粒子
Figure 2022020338000007
<実施例1>
(第1の接着剤フィルムの作製)
第1のワニス組成物1を、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さが8μmの第1の接着剤層(第1の接着剤組成物からなる層)を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に第1の接着剤層を備える第1の接着剤フィルムを得た。
(第2の接着剤フィルムの作製)
第2のワニス組成物1を、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さ(乾燥後の厚さ)が4μmの第2の接着剤組成物からなる層を形成した。ここでの厚さは接触式厚み計を用いて測定した。
次に、第2の接着剤組成物からなる層に対し、メタルハライドランプを用いて積算光量が1500mJ/cmとなるように光照射を行い、重合性化合物を重合させた。これにより、第2の接着剤組成物を硬化させ、第2の接着剤層を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に第2の接着剤層を備える第2の接着剤フィルム(導電粒子が存在する領域の厚さ:4μm)を得た。このときの導電粒子密度は約7000pcs/mmであった。なお、第2の接着剤組成物からなる層又は第2の接着剤層の厚さが、導電粒子の厚さ(直径)より小さい場合、接触式厚み計を用いて層の厚さを測定すると、導電粒子の厚さが反映され、導電粒子が存在する領域の厚さが測定される。そのため、第1の接着剤層と第2の接着剤層とが積層された二層構成の回路接続用接着剤フィルムを作製した後に、後述の方法により、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第2の接着剤層の厚さを測定した。
(回路接続用接着剤フィルムの作製)
第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを、それぞれの接着剤層が対向するように配置し、基材であるPETフィルムと共に40℃で加熱しながら、ロールラミネータでラミネートした。これにより、第1の接着剤層と第2の接着剤層とが積層された二層構成の回路接続用接着剤フィルムを作製した。
作製した回路接続用接着剤フィルムの第2の接着剤層の厚さを以下の方法で測定した。まず、回路接続用接着剤フィルムを2枚のガラス(厚み:1mm程度)で挟み込み、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型した。その後、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第2の接着剤層の厚さを測定した。第2の接着剤層の厚さは2μmであった。
(回路接続構造体の作製)
作製した回路接続用接着剤フィルムを介して、ピッチ25μmのCOF(FLEXSEED社製)と、ガラス基板上に非結晶酸化インジウム錫(ITO)からなる薄膜電極(高さ:1200Å)を備える、薄膜電極付きガラス基板(ジオマテック社製)とを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、株式会社太陽機械製作所製)を用いて、170℃、6MPaで4秒間の条件で加熱加圧を行って幅1mmにわたり接続し、回路接続構造体(接続構造体)を作製した。なお、接続の際には、回路接続用接着剤フィルムにおける第2の接着剤層側の面がガラス基板と対向するように、回路接続用接着剤フィルムをガラス基板上に配置した。
(回路接続構造体の評価)
[粒子流動性評価]
得られた回路接続構造体について、回路接続用接着剤フィルムの樹脂染み出し部分の粒子流動状態を顕微鏡(商品名:ECLIPSE L200、株式会社ニコン製)を用いて評価した。具体的には、作製した回路接続構造体をガラス基板側から、顕微鏡にて観察し、回路接続用接着剤フィルムの幅よりも外側に染み出した部分の粒子状態を3段階で評価した。粒子がほとんど動かず、染み出し部分に粒子がない状態を1、多少粒子が動いているが、粒子同士の連結がみられない状態を2、粒子が流動し、粒子同士の連結が見られる状態を3とした。結果を表3に示す。
[剥離評価]
高温高湿試験後の回路接続構造体の電極部分における剥離の有無を顕微鏡(商品名:ECLIPSE L200、株式会社ニコン製)を用いて評価した。具体的には、上述のとおり作製した回路接続構造体を85℃、85%RHの恒温恒湿槽に200h放置することで高温高湿試験を行った。次いで、高温高湿試験後の回路接続構造体の電極部分を、ガラス基板側から顕微鏡にて観察し、ガラス基板における電極部分と回路接続用接着剤フィルムとの界面における剥離状態を3段階で評価した。回路接続用接着剤フィルム全体の面積のうち、ガラス基板から剥離している割合を求め、剥離がほとんど生じていない(剥離部分の割合が全体の5%未満以下)ものをA、剥離が少量生じている(剥離部分の割合が全体の5%以上20%未満)ものをB、剥離が生じている(剥離部分の割合が全体の20%以上)ものをCとした。結果を表3に示す。
[接続抵抗値評価]
得られた回路接続構造体について、接続直後、及び、高温高湿試験後の対向する電極間の接続抵抗値を、マルチメーターで測定した。高温高湿試験は、85℃、85%RHの恒温恒湿槽に200h放置することにより行った。接続抵抗値は、対向する電極間の抵抗16点の平均値として求めた。
<実施例2~4及び比較例1>
第1のワニス組成物1に代えて、第1のワニス組成物2~5をそれぞれ用いて第1の接着剤フィルムを作製したこと、及び、得られた第1の接着剤フィルムを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、回路接続用接着剤フィルム及び回路接続構造体を作製し、実施例1と同様にして、回路接続構造体の評価を行った。結果を表3に示す。
Figure 2022020338000008
1…回路接続用接着剤フィルム、2…第1の接着剤層、3…第2の接着剤層、4…導電粒子、10…回路接続構造体、12…回路電極(第1の電極)、13…第1の回路部材、15…バンプ電極(第2の電極)、16…第2の回路部材。

Claims (11)

  1. 熱硬化性組成物からなる第1の接着剤層と、
    前記第1の接着剤層上に積層され、導電粒子を含有する光及び熱硬化性組成物の光硬化物からなる第2の接着剤層と、を備え、
    前記熱硬化性組成物が、下記式(1)で表されるマレイミド化合物を含有する、回路接続用接着剤フィルム。
    Figure 2022020338000009

    [式(1)中、Rは、脂環及び/又は芳香環を有する炭化水素基を示す。]
  2. 前記熱硬化性組成物が、熱ラジカル重合開始剤を含有する、請求項1に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  3. 前記熱硬化性組成物が、(メタ)アクリレート化合物を含有する、請求項2に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  4. 前記(メタ)アクリレート化合物が、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレートを含む、請求項3に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  5. 前記(メタ)アクリレート化合物が、トリシクロデカン骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項3又は4に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  6. 前記(メタ)アクリレート化合物が、下記式(2)で表される(メタ)アクリレート化合物を含む、請求項3~5のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
    Figure 2022020338000010

    [式(2)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。]
  7. 前記マレイミド化合物が、N-シクロヘキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド、N-ベンジルマレイミド及びN-(4-カルボキシフェニル)マレイミドからなる群より選択される少なくとも一種を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  8. 前記マレイミド化合物の含有量が、前記熱硬化性組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上である、請求項1~7のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  9. 前記熱硬化性組成物が、フェノキシ樹脂を含有する、請求項1~8のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  10. 請求項1~9のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムの製造方法であって、
    前記光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光を照射することにより、前記光及び熱硬化性組成物を硬化させ、前記第2の接着剤層を形成する工程を備える、回路接続用接着剤フィルムの製造方法。
  11. 第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、請求項1~9のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムを介在させ、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法。

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2023195788A1 (ko) * 2022-04-07 2023-10-12 주식회사 엘지화학 반도체 접착용 필름 및 이를 이용한 반도체 패키지

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