JP2022133758A - 回路接続用接着剤フィルム、回路接続構造体の製造方法及び回路接続構造体 - Google Patents

回路接続用接着剤フィルム、回路接続構造体の製造方法及び回路接続構造体 Download PDF

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譲 小林
Yuzuru Kobayashi
直 工藤
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Abstract

【課題】 塩水環境下に置かれた場合であっても回路接続部に剥離が生じにくい回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体の製造方法及び回路接続構造体を提供すること。【解決手段】 第1の接着剤層と、該第1の接着剤層上に積層された第2の接着剤層と、を備える接着剤フィルムであって、第1の接着剤層は、(a1)熱可塑性樹脂、(b1)ラジカル重合性化合物、(c1)ラジカル重合開始剤、(d1)フィラー、及び(e)導電粒子を含有する第1の硬化性組成物又は該第1の硬化性組成物の硬化物からなり、第2の接着剤層は、(a2)熱可塑性樹脂、(b2)ラジカル重合性化合物、(c2)ラジカル重合開始剤、及び(d2)フィラーを含有し、第2の接着剤層が、(b2)ラジカル重合性化合物として、(b2-1)炭素数が8~10である脂環式炭化水素基と、一つのラジカル重合性基とを有する単官能ラジカル重合性化合物を含む、回路接続用接着剤フィルム。【選択図】図1

Description

本発明は、回路接続用接着剤フィルム、回路接続構造体の製造方法及び回路接続構造体に関する。
従来、回路接続を行うために各種の接着材料が使用されている。例えば、液晶ディスプレイと、フレキシブルプリント配線板(FPC)、テープキュリアパッケージ(TCP)若しくはチップオンフィルム(COF)との接続のための接着材料として、接着剤中に導電粒子が分散された異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用されている。
異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用される精密電子機器の分野では、回路の高密度化が進んでおり、電極幅及び電極間隔が極めて狭くなっている。このため、微小電極上に効率良く導電粒子を捕捉させ、高い接続信頼性を得ることが必ずしも容易ではなくなっている。これに対し、例えば特許文献1では、導電粒子を異方導電性接着シートの片側に偏在させ、導電粒子同士を離間させる手法が提案されている。
国際公開第2005/54388号
近年、スマートフォンやタブレット等のモバイル端末は小型化しており、スマートウォッチ等のウェアラブル端末(身につける端末)の開発も活性化している。これらの端末は使用用途から優れた耐候性が求められており、端末を構成する回路部材の接続に用いられる接着剤フィルムに対しては、耐候性として、特に、汗、海水等の塩水を想定した耐塩水性が求められるようになってきた。
また、ウェアラブル端末等の小型のモバイル端末においては回路接続部の接続面積が小さくなっている。そのため、回路接続部を形成する接着剤フィルムには、回路接続部と回路部材との間で剥離が生じにくい優れた耐剥離性が求められている。
そこで、本発明は、塩水環境下に置かれた場合であっても回路接続部に剥離が生じにくい回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体の製造方法及び回路接続構造体を提供することを目的とする。
本発明の一側面は、第1の接着剤層と、該第1の接着剤層上に積層された第2の接着剤層と、を備える接着剤フィルムであって、第1の接着剤層は、(a1)熱可塑性樹脂、(b1)ラジカル重合性化合物、(c1)ラジカル重合開始剤、(d1)フィラー、及び(e)導電粒子を含有する第1の硬化性組成物又は該第1の硬化性組成物の硬化物からなり、第2の接着剤層は、(a2)熱可塑性樹脂、(b2)ラジカル重合性化合物、(c2)ラジカル重合開始剤、及び(d2)フィラーを含有し、第2の接着剤層が、(b2)ラジカル重合性化合物として、(b2-1)炭素数が8~10である脂環式炭化水素基と、一つのラジカル重合性基とを有する単官能ラジカル重合性化合物を含む、回路接続用接着剤フィルムを提供する。
上記の回路接続用接着剤フィルムによれば、塩水環境下に置かれた場合であっても回路接続部に剥離が生じにくい回路接続構造体を得ることができる。このような効果が得られる理由については、接着剤フィルムを構成する第1及び第2の接着剤層がフィラーを含有し、更に第2の接着剤層が上記特定の単官能基ラジカル重合性化合物を含むことにより、接続時における樹脂成分の流動を損なうことなく接続後における接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)を低減することができ、低CTEであるとともに炭素数が8~10である脂環式炭化水素基を含む硬化物によって接続部が形成されることで、接続部と回路部材との界面における密着性が向上したためと本発明者らは推察する。
接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)は、剥離を抑制する観点から、80~90℃の平均で110ppm/K以下であってもよい。
第2の接着剤層における(b2-1)成分の含有量は、(b2)成分の全質量を基準として、5~50質量%であってもよい。
(d1)成分及び(d2)成分は、平均一次粒子径が1~100nmであり、BET比表面積が50~400m/gであってもよい。
第1の接着剤層の厚さd1に対する第2の接着剤層の厚さd2の比[d2/d1]は、4以上であってもよい。この場合、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することが容易となり、より良好な信頼性が得られやすくなる。
本発明の別の一側面は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、上記の回路接続用接着剤フィルムと、を、第1の電極と第2の電極とが回路接続用接着剤フィルムを介して相対向するように配置された状態で加熱及び加圧して、第1の電極と第2の電極とを電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法を提供する。
上記の回路接続構造体の製造方法によれば、塩水環境下に置かれた場合であっても回路接続部に剥離が生じにくい回路接続構造体を得ることができる。
本発明の別の一側面は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、第1の回路部材及び第2の回路部材の間に配置され、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する回路接続部と、を備え、回路接続部が、上記の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む、回路接続構造体を提供する。
上記の回路接続構造体は、塩水環境下に置かれた場合であっても回路接続部に剥離が生じにくく、接続信頼性に優れたものになり得る。
本発明によれば、塩水環境下に置かれた場合であっても回路接続部に剥離が生じにくい回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、該接着剤フィルムを用いた回路接続構造体の製造方法及び回路接続構造体を提供することができる。
図1は、本発明の一実施形態の回路接続用接着剤フィルムを示す模式断面図である。 図2は、本発明の一実施形態の回路接続構造体を示す模式断面図である。 図3は、本発明の一実施形態の回路接続構造体の製造工程を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、以下で例示する材料は、特に断らない限り、一種単独で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。組成物中の各成分の含有量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数の物質の合計量を意味する。「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、ある段階の数値範囲の上限値又は下限値は、他の段階の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。また、「(ポリ)」とは「ポリ」の接頭語がある場合とない場合の双方を意味する。
<回路接続用接着剤フィルム>
図1は、一実施形態の回路接続用接着剤フィルムを示す模式断面図である。図1に示すように、回路接続用接着剤フィルム1(以下、単に「接着剤フィルム1」ともいう。)は、第1の接着剤層2と、第1の接着剤層2上に積層された第2の接着剤層3と、を備える。
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層2は、第1の硬化性組成物又はその硬化物からなる。第1の硬化性組成物は、(a1)熱可塑性樹脂(以下、「(a1)成分」ともいう。)、(b1)ラジカル重合性化合物(以下、「(b1)成分」ともいう。)、(c1)ラジカル重合開始剤(以下、「(c1)成分」ともいう。)、(d1)フィラー(以下、「(d1)成分」ともいう。)、及び(e)導電粒子(以下、「(e)成分」ともいう。)を含有する。
第1の硬化性組成物は、光及び熱硬化性組成物であってもよい。この場合、第1の硬化性組成物は、(c1)成分として、(c1-1)光ラジカル重合開始剤(以下、「(c1-1)成分」ともいう。)と、(c1-2)熱ラジカル重合開始剤(以下、「(c1-2)成分」ともいう。)とを含有することができる。
第1の接着剤層2は、例えば、上記の光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光エネルギーを照射することで(b1)成分を重合させ、光及び熱硬化性組成物を硬化(光硬化)させることで得られるものであってもよい。なお、ここでいう硬化は、第1の接着剤層において導電粒子の動きが抑制されるものであればよく、半硬化なども包含される。
光及び熱硬化性組成物の硬化物からなる場合の第1の接着剤層2は、導電粒子4と、光及び熱硬化性組成物の導電粒子4以外の成分を硬化させてなる接着剤成分5と、からなっていてよい。接着剤成分5は、例えば、(a1)成分、(b1)成分の重合体、未反応の(b1)成分、(c1-2)成分及び(d1)成分を含むことができる。
[(a1)成分:熱可塑性樹脂]
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。第1の硬化性組成物が(a1)成分を含有することにより、第1の接着剤層を容易に形成することができる。
第1の硬化性組成物が光及び熱硬化性組成物である場合、(a1)成分によって、光及び熱硬化性組成物の硬化時に発生する第1の接着剤層の応力を緩和することができる。また、第1の硬化性組成物が、熱可塑性樹脂としてポリエステルウレタン樹脂を含有する場合、実装後の剥離抑制効果や接着力を一層向上させることができる。
熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5質量%以上、20質量%以上であってよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよい。
[(b1)成分:ラジカル重合性化合物]
(b1)成分は、例えば、光(例えば紫外光)の照射によって光重合開始剤が発生させたラジカルにより重合する化合物であり、少なくとも一つのラジカル重合性基を有する。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アルケニル基、アルケニレン基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられる。
(b1)成分が有する重合性基の数は、重合後、接続抵抗を低減するために必要な物性及び架橋密度が得られやすい観点から、2以上であってよく、重合時の硬化収縮を抑える観点から、10以下であってよい。重合時の硬化収縮を抑えることは、光照射後に、均一で安定した膜(第1の接着剤層)が得られる点で好ましい。本実施形態では、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとるために、重合性基の数が上記範囲内の重合性化合物を使用した上で、重合性基の数が上記範囲外の重合性化合物を追加で使用してもよい。
(b1)成分の具体例としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン誘導体、アクリルアミド誘導体、ナジイミド誘導体、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム等が挙げられる。
(メタ)アクリレート化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーンアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフォスフェート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシメトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルフォスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
マレイミド化合物としては、1-メチル-2,4-ビスマレイミドベンゼン、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチル-ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-3,3-ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(3-s-ブチル-4-8(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス(1-(4マレイミドフェノキシ)-2-シクロヘキシル)ベンゼン、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
ビニルエーテル化合物としては、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
アリル化合物としては、1,3-ジアリルフタレート、1,2-ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
(b1)成分は、硬化反応速度と硬化後の物性とのバランスに優れる観点から、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(b1)成分は、接続抵抗を低減させるための凝集力と、接着力を向上させるための伸びを両立し、より優れた接着特性を得る観点から、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物であってよい。また、(b1)成分は、凝集力を向上させ、接続抵抗をより低減させる観点から、トリシクロデカン骨格等の高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物であってよい。
高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、接続抵抗の低減の観点では、例えば、(b1)成分の全質量を基準として、3質量%以上、6質量%以上又は9質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下又は15質量%以下であってよく、3~30質量%、6~20質量%又は9~15質量%であってよい。
(b1)成分は、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させ、接続信頼性を向上させる観点から、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を導入した化合物(例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート)であってよい。この場合、(b1)成分の重量平均分子量は、架橋密度と硬化収縮とのバランスに優れる観点から、3000以上であってよく、5000以上であってよく、1万以上であってよい。また、(b1)成分の重量平均分子量は、他成分との相溶性に優れる観点から、100万以下であってよく、50万以下であってよく、25万以下であってよい。なお、重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の含有量は、硬化収縮抑制又は応力緩和性によって、耐塩水性及び耐剥離性を向上させる点では、例えば、(b1)成分の全質量を基準として、30質量%以上、50質量%以上又は70質量%以上であってよく、96質量%以下、93質量%以下又は90質量%以下であってよく、30~96質量%、50~93質量%又は70~90質量%であってよい。
(b1)成分は、(メタ)アクリレート化合物として、下記一般式(1)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、電極同士(例えば回路電極同士)の接着に好適である。
(b1)成分は、下記式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物(リン酸エステル構造を有する(メタ)アクリレート化合物)を含んでいてよい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、電極同士(例えば回路電極同士)の接着に好適である。
Figure 2022133758000002

式(1)中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。
上記リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、無機物(金属等)の表面に対する接着力を更に向上させ、電極同士(例えば回路電極同士)の接着強度を更に向上させる観点では、例えば、(b1)成分の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよく、0.1~20質量%、0.5~10質量%又は1~5質量%であってよい。
(b1)成分の含有量は、接続抵抗を更に低減し、接続信頼性を更に向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点では、例えば、第1の硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5質量%以上、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上又は40質量%以上であってよい。(b1)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑える観点では、例えば、第1の硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下又は60質量%以下であってよい。これらの観点から、(b1)成分の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、5~90質量%、10~80質量%、20~70質量%、30~60質量%又は40~60質量%であってよい。
[(c1)成分:ラジカル重合開始剤]
ラジカル重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤のうちの1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。第1の硬化性組成物が光及び熱硬化性組成物である場合、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を併用することができる。
[(c1-1)成分:光ラジカル重合開始剤]
(c1-1)成分は、例えば、150~750nmの範囲内の波長を含む光、好ましくは254~405nmの範囲内の波長を含む光、更に好ましくは365nmの波長を含む光(例えば紫外光)の照射によって分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、(c1-1)成分は、外部からの光エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。(c1-1)成分としては、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
(c1-1)成分としては、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造、アクリジン構造、α-アミノアルキルフェノン構造、アミノベンゾフェノン構造、N-フェニルグリシン構造、アシルフォスフィンオキサイド構造、ベンジルジメチルケタール構造、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造等の構造を有する光重合開始剤が挙げられる。
(c1-1)成分は、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、下記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤であってよい。
Figure 2022133758000003
光重合開始剤は、上記式(I)で表される構造を複数有していてよい。
上記式(I)で表される構造は、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造又はアクリジン構造であってよい。すなわち、光及び熱硬化性組成物は、上記式(I)で表される構造として、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造及びアクリジン構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有する光重合開始剤を含有していてよい。これらの中でも、オキシムエステル構造を有する光重合開始剤を用いる場合、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する傾向がある。
オキシムエステル構造を有する化合物としては、下記式(VI)で表される構造を有する化合物が挙げられる。
Figure 2022133758000004
式(VI)中、R11、R12及びR13は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1~20のアルキル基、又は芳香族系炭化水素基を含む有機基を示す。
オキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-o-ベンゾイルオキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。
ビスイミダゾール構造を有する化合物としては、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-フェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイミダゾール二量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体が挙げられる。
アクリジン構造を有する化合物としては、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9’-アクリジニル)ヘプタン等が挙げられる。
上記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤の含有量は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上、0.3質量%以上、0.45質量%以上、0.55質量%以上又は0.85質量%以上であってよい。上記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤の含有量は、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、1.2質量%以下、0.9質量%以下又は0.6質量%以下であってよい。これらの観点から、上記式(I)で表される構造を有する光重合開始剤の含有量は、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1~1.2質量%、0.3~1.2質量%、0.45~0.9質量%又は0.45~0.6質量%であってよい。
(c1-1)成分の含有量(光重合開始剤の含有量の合計)は、導電粒子の流動抑制効果が更に向上する観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.3質量%以上、0.45質量%以上、0.55質量%以上又は0.85質量%以上であってよい。(B)成分の含有量は、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、1.2質量%以下、0.9質量%以下又は0.6質量%以下であってよい。これらの観点から、(B)成分の含有量は、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.3~1.2質量%、0.45~0.9質量%又は0.45~0.6質量%であってよい。
[(c1-2)成分:熱ラジカル重合開始剤]
(c1-2)成分は、熱により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、熱ラジカル重合開始剤は、外部からの熱エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。(c1-2)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
熱ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている有機過酸化物、アゾ化合物等を用いることができる。熱ラジカル重合開始剤としては、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、有機過酸化物であってよく、安定性、反応性及び相溶性の観点では、1分間半減期温度が90~175℃であり、且つ、重量平均分子量が180~1000の有機過酸化物であってよい。1分間半減期温度がこの範囲にあることで、貯蔵安定性に更に優れ、ラジカル重合性も充分に高く、短時間で硬化できる。
(c1-2)成分の具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等のアゾ化合物などが挙げられる。
(c1-2)成分の含有量は、速硬化性に優れる観点、並びに、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよい。(c1-2)成分の含有量は、ポットライフの観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。なお、第1の接着剤層中の導電粒子以外の成分の合計量を基準とした(c1-2)成分の含有量は上記範囲と同じであってよい。
[(d1)成分:フィラー]
フィラーとしては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。フィラーは、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート-ブタジエン-スチレン微粒子、アクリル-シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、均一な構造を有していてもよく、コア-シェル型構造を有していてもよい。フィラーの最大径は、導電粒子4の最小粒径未満であってよい。
(d1)成分は、接続信頼性の向上、剥離の抑制、接着力向上の観点から、疎水性フュームドシリカであってもよい。疎水性フュームドシリカとしては、アエロジルシリーズ(アエロジルR972、アエロジルR974、アエロジルR104、アエロジルR106、アエロジルR202、アエロジルR805、アエロジルR812、アエロジルR812 S、アエロジルR816、アエロジルR7200、アエロジルR8200、アエロジルR9200等)(以上、日本エアロジル(株)製、商品名)、及び、MT-10、DM-10、DM-20S、DM-30、DM-30S、KS-20SC、HG-09(以上、(株)トクヤマ製、商品名)などの市販品を用いることができる。
(d1)成分は、接続信頼性の向上、剥離の抑制、接着力向上の観点から、平均一次粒子径が1~100nmであり、BET比表面積が50~400m/gであってもよく、平均一次粒子径が5~50nmであり、BET比表面積が50~250/gであってもよい。なお、BET比表面積は、窒素吸着法に従って求められる。
(d1)成分の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物の全体積を基準として、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよく、30体積%以下、25体積%以下、又は20体積%以下であってよい。
(d1)成分の含有量は、接続信頼性の向上、剥離の抑制、接着力向上の観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、1質量%以上、3質量%以上又は5質量%以上であってよい。(d1)成分の含有量は、接続信頼性の向上、接着力向上の観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、80質量%以下、60質量%以下又は40質量%以下であってよい。なお、第1の接着剤層中の導電粒子以外の成分の合計量を基準とした(d1)成分の含有量は上記範囲と同じであってよい。
本実施形態においては、接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)が、80~90℃の平均で110ppm/K以下となるように、(d1)成分の含有量を設定することができる。例えば、(d1)成分の含有量を大きくすると、接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)が小さくなる傾向にある。
[(e)成分:導電粒子]
(e)成分は、導電性を有する粒子であれば特に制限されず、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。(e)成分は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック(ポリスチレン等)などを含む核と、上記金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子であってもよい。これらの中でも、熱溶融性の金属で形成された金属粒子、又はプラスチックを含む核と、金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子を用いる場合、光及び熱硬化性組成物の硬化物を加熱又は加圧により変形させることが容易となる。そのため、電極同士を電気的に接続する際に、電極と(e)成分との接触面積を増加させ、電極間の導電性をより向上させることができる。
(e)成分は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子、又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。(e)成分が絶縁被覆導電粒子であると、(e)成分の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、(e)成分同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。(e)成分は、上述した各種導電粒子の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(e)成分の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さい。(e)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、1.0μm以上、2.0μm以上又は2.5μm以上であってよい。(e)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、50μm以下、30μm以下又は20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を(e)成分の最大粒径とする。なお、(e)成分が球形ではない形状である場合(例えば(e)成分が突起を有する場合)、(e)成分の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
(e)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(e)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点では、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
第1の接着剤層2において、(e)成分は均一に分散されていてよい。第1の接着剤層2における(e)成分の粒子密度は、安定した接続抵抗が得られやすい観点では、100pcs/mm以上であってよく、1000pcs/mm以上であってよく、2000pcs/mm以上であってよい。第1の接着剤層2における(e)成分の粒子密度は、隣り合う電極間の絶縁性を向上させる観点では、100000pcs/mm以下であってよく、50000pcs/mm以下であってよく、10000pcs/mm以下であってよい。
第1の接着剤層2において、導電粒子の80%以上、90%以上又は95%以上が他の導電粒子と離間した状態となっているものであってもよい。なお、導電粒子が隣接する他の導電粒子と離間した状態(単分散状態)で存在している比率(単分散率)は、接着剤層における導電粒子の状態を金属顕微鏡を用いて200倍の倍率で観察し、下記の式で求めることができる。
単分散率(%)=(0.16mm中の単分散状態の導電粒子数/0.16mm中の導電粒子数)×100
(e)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点では、例えば、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)の全質量を基準として、5質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上であってよい。(e)成分の含有量は、短絡を抑制しやすい観点では、例えば、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)の全質量を基準として、50質量%以下、40質量%以下又は30質量%以下であってよい。これらの観点から、(e)成分の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)の全質量を基準として、5~50質量%、10~40質量%又は20~30質量%であってよい。なお、第1の接着剤層の全質量を基準とした(e)成分の含有量も上記範囲と同じであってよい。
(e)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)の全体積を基準として、0.1体積%以上、1体積%以上又は5体積%以上であってよい。(e)成分の含有量は、短絡を抑制しやすい観点では、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)の全体積を基準として、50体積%以下、30体積%以下又は20体積%以下であってよい。なお、第1の接着剤層の全体積を基準とした(e)成分の含有量は上記範囲と同じであってよい。
[その他の成分]
第1の硬化性組成物は、上述した成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、カップリング剤等が挙げられる。その他の成分は、第1の接着剤層2に含有されていてもよい。
カップリング剤としては、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、エポキシ基等の有機官能基を有するシランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等のシラン化合物、テトラアルコキシチタネート誘導体、ポリジアルキルチタネート誘導体などが挙げられる。第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)がカップリング剤を含有する場合、接着性を更に向上することができる。カップリング剤の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、0.1質量%以上であってよく、20質量%以下であってよい。
第1の硬化性組成物は、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は、第1の硬化性組成物(特には光及び熱硬化性組成物)中の導電粒子以外の成分の合計量を基準として、例えば0.1~10質量%であってよい。これらの添加剤は、第1の接着剤層2に含有されていてもよい。
第1の接着剤層2の厚さd1は、導電粒子4が対向する電極間で捕捉されやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点では、導電粒子4の平均粒径の0.1倍以上であってよく、0.2倍以上であってよく、0.3倍以上であってよい。第1の接着剤層2の厚さd1は、熱圧着時に導電粒子が対向する電極間ではさまれた際に、より導電粒子が潰れやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点では、導電粒子4の平均粒径の0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってよい。これらの観点から、第1の接着剤層2の厚さd1は、導電粒子4の平均粒径の0.1~0.8倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。
第1の接着剤層2の厚さd1と導電粒子4の平均粒径とが上記のような関係を満たす場合、例えば、図1に示すように、第1の接着剤層2中の導電粒子4の一部が、第1の接着剤層2から第2の接着剤層3側に突出していてよい。この場合、隣り合う導電粒子4,4の離間部分には、第1の接着剤層2と第2の接着剤層3との境界Sが位置している。導電粒子の表面を沿うように導電粒子上に境界Sが存在することにより、第1の接着剤層2中の導電粒子4が第1の接着剤層2から第2の接着剤層3側に突出することなく、上記の関係を満たしていてもよい。導電粒子4は、第1の接着剤層2における第2の接着剤層3側とは反対側の面2aには露出しておらず、反対側の面2aは平坦面となっていてよい。
第1の接着剤層2の厚さd1と導電粒子4の最大粒径との関係は、上記と同様であってよい。例えば、第1の接着剤層2の厚さd1は、導電粒子4の最大粒径の0.1~0.8倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。
第1の接着剤層2の厚さd1は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第1の接着剤層2の厚さd1は、例えば、0.5μm以上であってよく、20μm以下であってよい。なお、導電粒子4の一部が第1の接着剤層2の表面から露出(例えば、第2の接着剤層3側に突出)している場合、第1の接着剤層2における第2の接着剤層3側とは反対側の面2aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の接着剤層2と第2の接着剤層3との境界Sまでの距離(図1においてd1で示す距離)が第1の接着剤層2の厚さであり、導電粒子4の露出部分は第1の接着剤層2の厚さには含まれない。導電粒子4の露出部分の長さは、例えば、0.1μm以上であってよく、20μm以下であってよい。
第1の接着剤層2の厚さd1は、以下の方法により測定することができる。まず、接着剤フィルムを2枚のガラス(厚さ:1mm程度)で挟み込む。次いで、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型する。その後、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて各接着剤層の厚さを測定する。
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層3は、例えば、(a2)熱可塑性樹脂(以下、(a2)成分ともいう。)、(b2)ラジカル重合性化合物(以下、(b2)成分ともいう。)、(c2)ラジカル重合開始剤(以下、(c2)成分ともいう。)、及び(d2)フィラー(以下、(d2)成分ともいう。)を含有することができる。第2の接着剤層3は、これらの成分を含む第2の硬化性組成物から形成することができる。第2の硬化性組成物は、回路接続時に流動可能な熱硬化性組成物であり、例えば、未硬化の熱硬化性組成物であってもよい。
[(a2)成分:熱可塑性樹脂]
(a2)成分における熱可塑性樹脂の例は、(a1)成分と同様である。第2の硬化性組成物が(a2)成分を含有することにより、第2の接着剤層を容易に形成することができる。
また、第2の硬化性組成物が、熱可塑性樹脂としてポリエステルウレタン樹脂を含有する場合、実装後の剥離抑制効果や接着力を一層向上させることができる。
熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、20質量%以上、30質量%以上であってよく、95質量%以下であってよく、90質量%以下であってよい。なお、第2の接着剤層の全質量を基準とした(a2)成分の含有量も上記範囲と同じであってよい。
[(b2)成分:ラジカル重合性化合物]
(b2)成分におけるラジカル重合性化合物の例は、(b1)成分と同様であるが、本実施形態の第2の接着剤層は、(b2)ラジカル重合性化合物として、(b2-1)炭素数が8~10である脂環式炭化水素基と、一つのラジカル重合性基とを有する単官能ラジカル重合性化合物(以下、(b2-1)成分ともいう。)を含む。第2の接着剤層が、(b2-1)成分を含むことにより、塩水環境下に置かれた場合であっても剥離が生じにくい回路接続部を形成することが容易となる。
炭素数が8~10である脂環式炭化水素基としては、イソボルニル基、アダマンチル基、ジシクロペンテニル基、ジシクロペンタニル基等が挙げられる。炭素数が8~10である脂環式炭化水素基は、メチル基、エチル基、ヒドロキシル基等の置換基を有していてもよく、無置換であってもよい。
(b2-1)成分としては、例えば、イソボルニルアクリレート、1-アダマンチルメタクリレート、1-アダマンチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルアクリレート、2-エチル-2-アダマンチルアクリレート、2-メチル-2-アダマンチルメタクリレート、2-エチル-2-アダマンチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチルアクリレート、3-ヒドロキシ-1-アダマンチルメタクリレート、3-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-アダマンチルメタクリレート、3-(2-ヒドロキシエトキシ)-1-アダマンチルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレ-ト、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレ-ト、ジシクロペンタニルアクリレ-ト、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレ-ト、ジシクロペンタニルメタクリレート等が挙げられる。
第2の接着剤層における(b2-1)成分の含有量は、(b2)成分の全質量を基準として、5~50質量%であってもよく、8~45質量%であってもよく、10~35質量%であってもよい。
(b2)成分は、硬化反応速度と硬化後の物性とのバランスに優れる観点から、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(b2)成分は、接続抵抗を低減させるための凝集力と、接着力を向上させるための伸びを両立し、より優れた接着特性を得る観点から、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物を含んでいてもよい。また、(b2)成分は、凝集力を向上させ、接続抵抗をより低減させる観点から、トリシクロデカン骨格等の高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物を含んでいてもよい。
高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物の含有量は、接続抵抗の低減の観点では、例えば、(b2)成分の全質量を基準として、3質量%以上、6質量%以上又は9質量%以上であってよく、30質量%以下、20質量%以下又は15質量%以下であってよく、3~30質量%、6~20質量%又は9~15質量%であってよい。
(b2)成分は、(b1)成分として例示した、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を導入した化合物(例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート)を含んでいてもよい。
熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にラジカル重合性基を導入した化合物の含有量は、硬化収縮抑制又は応力緩和性によって、耐塩水性及び耐剥離性を向上させる点では、例えば、(b2)成分の全質量を基準として、10質量%以上、15質量%以上又は20質量%以上であってよく、90質量%以下、80質量%以下又は75質量%以下であってよく、10~90質量%、15~80質量%又は20~75質量%であってよい。
(b2)成分は、上記一般式(1)で示されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物を含んでいてもよい。
式(1)で表される(メタ)アクリレート化合物の含有量は、無機物(金属等)の表面に対する接着力を更に向上させ、電極同士(例えば回路電極同士)の接着強度を更に向上させる観点では、例えば、(b2)成分の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよく、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよく、0.1~20質量%、0.5~10質量%又は1~5質量%であってよい。
(b2)成分の含有量は、接続抵抗を更に低減し、接続信頼性を更に向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点では、例えば、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、15質量%以上、25質量%以上又は35質量%以上であってよい。(b2)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑える観点では、例えば、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、80質量%以下、75質量%以下又は60質量%以下であってよい。これらの観点から、(b2)成分の含有量は、例えば、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、15~80質量%、25~75質量%又は35~60質量%であってよい。なお、第2の接着剤層の全質量を基準とした第2の接着剤層中の(b2)成分の含有量も上記範囲と同じであってよい。
[(c2)成分:ラジカル重合開始剤]
(c2)成分におけるラジカル重合開始剤は、(c1)成分と同様である。(c2)成分は、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。本実施形態の第2の接着剤層は、(c2-2)熱ラジカル重合開始剤を含んでいてもよい。
[(c2-2)成分:熱ラジカル重合開始剤]
(c2-2)成分は、(c1-2)成分と同様である。(c2-2)成分は、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
(c2-2)成分の含有量は、速硬化性に優れる観点、並びに、導電粒子の流動抑制効果、及び、剥離の抑制効果が更に向上する観点では、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、0.1質量%以上、0.5質量%以上又は1質量%以上であってよい。(c2-2)成分の含有量は、ポットライフの観点では、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、20質量%以下、10質量%以下又は5質量%以下であってよい。なお、第2の接着剤層の全質量を基準とした第2の接着剤層中の(c2-2)成分の含有量も上記範囲と同じであってよい。
[(d2)成分:フィラー]
(d2)成分は、(d1)成分と同様である。
(d2)成分は、接続信頼性の向上、剥離の抑制、接着力向上の観点から、疎水性フュームドシリカであってもよい。疎水性フュームドシリカは、上述した市販品を用いることができる。
(d2)成分は、接続信頼性の向上、剥離の抑制、接着力向上の観点から、平均一次粒子径が1~100nmであり、BET比表面積が50~400m/gであってもよく、平均一次粒子径が5~50nmであり、BET比表面積が50~250/gであってもよい。なお、BET比表面積は、窒素吸着法に従って求められる。
(d2)成分の含有量は、例えば、第2の硬化性組成物の全体積を基準として、1体積%以上、3体積%以上、又は5体積%以上であってよく、30体積%以下、25体積%以下、又は20体積%以下であってよい。
(d2)成分の含有量は、接続信頼性の向上、剥離の抑制、接着力向上の観点では、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、3質量%以上、5質量%以上又は8質量%以上であってよい。(d2)成分の含有量は、接続信頼性の向上、接着力向上の観点では、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、80質量%以下、50質量%以下又は40質量%以下であってよい。なお、第2の接着剤層の全質量を基準とした第2の接着剤層中の(d2)成分の含有量も上記範囲と同じであってよい。
本実施形態においては、接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)が、80~90℃の平均で110ppm/K以下となるように、(d2)成分の含有量を設定することができる。例えば、(d2)成分の含有量を大きくすると、接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)が小さくなる傾向にある。
[その他の成分]
第2の硬化性組成物は、(a2)成分、(b2-1)成分等の(b2)成分、(c2)成分及び(d2)成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、カップリング剤、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等が挙げられる。その他の成分の詳細は、第1の接着剤層2におけるその他の成分の詳細と同じである。
第2の接着剤層3は、光重合開始剤及び導電粒子4を含まなくてよい。第2の接着剤層3における光重合開始剤の含有量は、例えば、第2の接着剤層3の全質量基準で、1質量%以下又は0質量%であってよい。第2の接着剤層3における導電粒子4の含有量は、例えば、第2の接着剤層の全質量基準で、1質量%以下又は0質量%であってよい。
第2の接着剤層3の厚さd2は、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第2の接着剤層3の厚さd2は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することができ、より良好な接続信頼性が得られる観点では、5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。なお、導電粒子4の一部が第1の接着剤層2の表面から露出(例えば、第2の接着剤層3側に突出)している場合、第2の接着剤層3における第1の接着剤層2側とは反対側の面3aから、隣り合う導電粒子4,4の離間部分に位置する第1の接着剤層2と第2の接着剤層3との境界Sまでの距離(図1においてd2で示す距離)が第2の接着剤層3の厚さである。第2の接着剤層3の厚さd2は、第1の接着剤層2の厚さd1と同様にして測定することができる。
第1の接着剤層2の厚さd1に対する第2の接着剤層3の厚さd2の比[d2/d1]は、電極間のスペースを充分に充填して電極を封止することが容易となり、より良好な信頼性が得られやすくなる観点では、1以上であってよく、4以上であってよい。d2/d1は、100以下であってよい。
接着剤フィルム1の厚さ(接着剤フィルム1を構成するすべての層の厚さの合計。図1においては、第1の接着剤層2の厚さd1及び第2の接着剤層3の厚さd2の合計。)は、例えば5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
接着剤フィルム1は、剥離を抑制する観点から、硬化物の線膨張係数(CTE)が、80~90℃の平均で110ppm/K以下であってもよい。なお、接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)は、下記の手順で求められる。
接着フィルムを、厚さ100±20μmになるようにラミネーターを用いて複数貼り合わせた後、オーブンにて180℃で1時間加熱して硬化させ、硬化物サンプルを作製する。得られた硬化物サンプルの線膨張係数を、熱膨張係数測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、サンプルの長さ10mm及び幅5mm、測定モードは引張りモード、荷重は断面積(mm)に163.4mN/mmを乗じた値を用い、温度範囲-5~250℃、昇温速度は毎分5℃の条件下で測定する。測定結果から、80~90℃における平均線膨張係数(CTE)を読み取る。
接着剤フィルム1では、導電粒子4が第1の接着剤層2中に分散されている。そのため、接着剤フィルム1は、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムである。接着剤フィルム1は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いられる。
接着剤フィルム1によれば、回路接続構造体の製造時に発生する導電粒子の流動を抑制できる。また、接着剤フィルム1によれば、塩水環境下に置かれた場合であっても回路接続部に剥離が生じにくい回路接続構造体を得ることができる。
以上、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
例えば、回路接続用接着剤フィルムは、第1の接着剤層及び第2の接着剤層の二層から構成されるものであってよく、第1の接着剤層及び第2の接着剤層以外の層(例えば第3の接着剤層)を備える、三層以上の層から構成されるものであってもよい。第3の接着剤層は、第1の接着剤層又は第2の接着剤層について上述した組成と同様の組成を有する層であってよく、第1の接着剤層又は第2の接着剤層について上述した厚さと同様の厚さを有する層であってよい。また、第2の接着剤層の第1の接着剤層側とは反対側の面上に基材が積層された基材付き接着剤フィルムであってよい。基材は、後述するものを用いることができる。
また、上記実施形態の回路接続用接着剤フィルムは、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムであるが、回路接続用接着剤フィルムは、異方導電性を有していない導電性接着剤フィルムであってもよい。
<回路接続用接着剤フィルムの製造方法>
本実施形態の回路接続用接着剤フィルム1の製造方法は、例えば、上述した第1の接着剤層2を用意する用意工程(第1の用意工程)と、第1の接着剤層2上に上述した第2の接着剤層3を積層する積層工程と、を備える。回路接続用接着剤フィルム1の製造方法は、第2の接着剤層3を用意する用意工程(第2の用意工程)を更に備えていてもよい。なお、第1の用意工程及び第2の用意工程を行う順番は限定されず、第1の用意工程を先に行ってもよく、第2の用意工程を先に行ってもよい。
第1の用意工程では、例えば、基材上に第1の接着剤層2を形成して第1の接着剤フィルムを得ることにより、第1の接着剤層2を用意する。具体的には、まず、(a1)成分、(b1)成分、(c1)成分、(d1)成分及び(e)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を、溶剤(有機溶媒)中に加え、攪拌混合、混練等により、溶解又は分散させて、ワニス組成物を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱により溶剤を揮発させて、基材上に第1の硬化性組成物として光及び熱硬化性組成物からなる層を形成する。続いて、光及び熱硬化性組成物からなる層に対して光を照射することにより、光及び熱硬化性組成物を硬化(光硬化)させ、基材上に第1の接着剤層2を形成する(硬化工程)。これにより、第1の接着剤フィルムが得られる。
ワニス組成物の調製に用いる溶剤としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有する溶剤を用いてよい。このような溶剤としては、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの溶剤は、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。ワニス組成物の調製の際の攪拌混合及び混練は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
基材としては、溶剤を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えばフィルム)を用いることができる。
基材へ塗布したワニス組成物から溶剤を揮発させる際の加熱条件は、溶剤が充分に揮発する条件とすることが好ましい。加熱条件は、例えば、40℃以上120℃以下で0.1分間以上10分間以下であってよい。
第1の硬化性組成物からなる層には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。第1の硬化性組成物からなる層における溶剤の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物からなる層の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
硬化工程における光の照射には、波長150~750nmの範囲内の照射光(例えば紫外光)を用いてよい。光の照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ、LED光源等を使用して行うことができる。光の照射量は、特に限定されず、例えば、波長365nmの光の積算光量で、100mJ/cm以上であってよく、200mJ/cm以上であってよく、300mJ/cm以上であってよい。光の照射量は、例えば、波長365nmの光の積算光量で、10000mJ/cm以下であってよく、5000mJ/cm以下であってよく、3000mJ/cm以下であってよい。
第2の用意工程では、(a2)成分、(b2)成分、(c2)成分及び(d2)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を用いること及び光照射を行わないこと以外は、第1の用意工程と同様に、基材上に第2の接着剤層3を形成して第2の接着剤フィルムを得ることにより、第2の接着剤層3を用意する。
第2の接着剤層3には、溶剤の一部が除去されずに残っていてもよい。第2の接着剤層3における溶剤の含有量は、例えば、第2の接着層3の全質量を基準として、10質量%以下であってよい。
積層工程では、第1の接着剤フィルムと、第2の接着剤フィルムとを貼り合わせることにより、第1の接着剤層2上に第2の接着剤層3を積層してよく、第1の接着剤層2上に、(a2)成分、(b2)成分、(c2)成分及び(d2)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を用いて得られるワニス組成物を塗布し、溶剤を揮発させることにより、第1の接着剤層2上に第2の接着剤層3を積層してもよい。
第1の接着剤フィルムと、第2の接着剤フィルムとを貼り合わせる方法としては、例えば、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法が挙げられる。ラミネートは、例えば、0~80℃の温度条件下で行ってよい。
<回路接続構造体及びその製造方法>
本実施形態の回路接続構造体は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、第1の回路部材及び第2の回路部材の間に配置され、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する回路接続部と、を備え、回路接続部が、上記の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む。
また、本実施形態の回路接続構造体の製造方法は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材と、上記本実施形態の回路接続用接着剤フィルムと、を、第1の電極と第2の電極とが回路接続用接着剤フィルムを介して相対向するように配置された状態で加熱及び加圧して、第1の電極と第2の電極とを電気的に接続する工程を備える。
以下、回路接続材料として上述した回路接続用接着剤フィルム1を用いた回路接続構造体及びその製造方法について説明する。
図2は、一実施形態の回路接続構造体を示す模式断面図である。図2に示すように、回路接続構造体10は、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を有する第2の回路部材16と、第1の回路部材13及び第2の回路部材16の間に配置され、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する回路接続部17と、を備えている。
第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、互いに同じであっても異なっていてもよい。第1の回路部材13及び第2の回路部材16は、電極が形成されているガラス基板又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンICチップ等であってよい。第1の回路基板11及び第2の回路基板14は、半導体、ガラス、セラミック等の無機物、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等の複合物などで形成されていてよい。第1の電極12及び第2の電極15は、金、銀、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、銅、アルミ、モリブデン、チタン、インジウム錫酸化物(ITO)、インジウム亜鉛酸化物(IZO)、インジウムガリウム亜鉛酸化物(IGZO)等で形成されていてよい。
第1の電極12及び第2の電極15は回路電極であってよく、バンプ電極であってもよい。第1の電極12及び第2の電極15の少なくとも一方は、バンプ電極であってよい。図2では、第2の電極15がバンプ電極である。
回路接続部17は、上述した接着剤フィルム1の硬化物からなる。回路接続部17は、例えば、第1の回路部材13と第2の回路部材16とが互いに対向する方向(以下「対向方向」)における第1の回路部材13側に位置し、上述の光及び熱硬化性組成物の導電粒子4以外の成分の硬化物からなる第1の領域18と、対向方向における第2の回路部材16側に位置し、上述の熱硬化性組成物の硬化物からなる第2の領域19と、少なくとも第1の電極12及び第2の電極15の間に介在して第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する導電粒子4と、を有する。回路接続部は、第1の領域18及び第2の領域19のように2つの領域を有していなくてもよく、例えば、上述の光及び熱硬化性組成物(第1の硬化性組成物)の導電粒子4以外の成分の硬化物と上述の熱硬化性組成物(第2の硬化性組成物)の硬化物とが混在した硬化物からなっていてもよい。
以上説明した回路接続構造体10の製造方法は、例えば、第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の電極15を有する第2の回路部材16と、基材上に接着剤フィルム(回路接続用接着剤フィルム)1を備える基材付き接着剤フィルム(基材付き回路接続用接着剤フィルム)とを用意する工程と、接着剤フィルム1を基材から第1の回路部材13の第1の電極12が形成されている面上に転写(ラミネート)する工程と、第1の電極12と第2の電極15とが互いに対向するように、第1の回路部材13と接着剤フィルム1と第2の回路部材16とをこの順で配置した後、第1の回路部材13及び第2の回路部材16を熱圧着して、第1の電極12及び第2の電極15を互いに電気的に接続する工程とを備える。
具体的には、まず、第1の回路基板11及び第1の回路基板11の主面11a上に形成された第1の電極12を有する第1の回路部材13と、第2の回路基板14及び第2の回路基板14の主面14a上に形成された第2の電極15を有する第2の回路部材16と、基材上に接着剤フィルム1を備える基材付き接着剤フィルムとを用意する。基材付き接着剤フィルムが備える基材は、上述した接着剤フィルムの製造に用いられる基材であってよい。
次に、接着剤フィルム1を基材から第1の回路部材13の第1の電極12が形成されている面上に転写(ラミネート)する。具体的には、例えば、第1の接着剤層2側が第1の回路部材13の実装面11aと対向するようにして接着剤フィルム1を第1の回路部材13上にラミネートする。
ラミネート方法は特に制限はないが、ロールラミネータ、ダイヤフラム式ラミネータ、真空ロールラミネータ、真空ダイヤフラム式ラミネータを採用することができる。仮ラミネート後、熱圧着装置を用いて圧着してもよい。
ラミネート条件は、使用するラミネータ、基材、第1の回路部材13、第2の回路部材16等の種類などに応じて適宜設定してよい。ラミネート時の温度(圧着温度)は、例えば、50~90℃であってよい。ラミネート時の圧力(圧着圧力)は、例えば、0.5~1.5MPaであってよい。ラミネート時間(圧着時間)は、例えば、0.5~1.5秒であってよい。
次に、図3(a)に示すように、第1の電極12と第2の電極15とが互いに対向するように、接着剤フィルム1がラミネートされた第1の回路部材13上に第2の回路部材16を配置する。
そして、図3(b)に示すように、第1の回路部材13、接着剤フィルム1及び第2の回路部材16を加熱しながら、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを厚み方向に加圧することで、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを互いに熱圧着する。この際、図3(b)において矢印で示すように、第2の接着剤層3は、流動可能な未硬化の熱硬化性組成物からなっているため、第2の電極15,15間の空隙を埋めるように流動すると共に、上記加熱によって硬化する。これにより、第1の電極12及び第2の電極15が導電粒子4を介して互いに電気的に接続され、また、第1の回路部材13及び第2の回路部材16が互いに接着されて、図2に示す回路接続構造体10が得られる。本実施形態の回路接続構造体10の製造方法では、第1の接着剤層2が予め硬化された層であるため、導電粒子4が上記熱圧着時にほとんど流動せず、導電粒子が効率的に対向する電極間で捕捉されるため、対向する電極12及び15間の接続抵抗が低減される。そのため、接続信頼性に優れる回路接続構造体が得られる。
熱圧着時の温度及び時間は、接着剤フィルム1を充分に硬化させ、第1の回路部材13と第2の回路部材16とを接着できる温度であればよい。熱圧着温度は、例えば、150~200℃であってよい。熱圧着時間は、例えば、4~7秒であってよい。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
<ポリウレタンアクリレート(UA1)の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1000)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチル錫ジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下70℃で6時間反応させた。これにより、ポリウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。なお、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×10Pa(30kgf/cm
流量:1.00mL/min
<導電粒子(e1)の作製>
ポリスチレン粒子の表面上に、層の厚さが0.2μmとなるようにニッケルからなる層を形成した。このようにして、平均粒径4μm、最大粒径4.5μm、比重2.5の導電粒子を得た。
<ポリエステルウレタン樹脂(EU1)の調製方法>
攪拌機、温度計、コンデンサー、真空発生装置及び窒素ガス導入管が備え付けられたヒーター付きステンレス製オートクレーブに、イソフタル酸48質量部及びネオペンチルグリコール37質量部を投入し、更に、触媒としてのテトラブトキシチタネート0.02質量部を投入した。次いで、窒素気流下220℃まで昇温し、そのまま8時間攪拌した。その後、大気圧(760mmHg)まで減圧し、室温まで冷却した。これにより、白色の沈殿物を析出させた。次いで、白色の沈殿物を取り出し、水洗した後、真空乾燥することでポリエステルポリオールを得た。得られたポリエステルポリオールを充分に乾燥した後、MEK(メチルエチルケトン)に溶解し、攪拌機、滴下漏斗、還流冷却機及び窒素ガス導入管を取り付けた四つ口フラスコに投入した。また、触媒としてジブチル錫ジラウレートをポリエステルポリオール100質量部に対して0.05質量部となる量投入し、ポリエステルポリオール100質量部に対して50質量部となる量の4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートをMEKに溶解して滴下漏斗で投入し、80℃で4時間攪拌することで目的とするポリエステルウレタン樹脂を得た。
<第1のワニス組成物(ワニス状の第1の硬化性組成物)の調製>
以下に示す成分を表1に示す配合量(質量部)で混合し、ワニス組成物1-1を調製した。
(a1:熱可塑性樹脂)
EU1:上述のとおり合成したポリエステルウレタン樹脂
(b1:ラジカル重合性化合物)
UA1:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート
DCPA:トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート(商品名:DCP-A、共栄社化学株式会社製)
M215:エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のジアクリレート(商品名:M215、東亜合成)
P-2M:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
(c1:ラジカル重合開始剤)
BMT-K-40:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
OXE-01:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:Irgacure(登録商標)OXE01、BASF社製)
(d1:フィラー)
R104:シリカ微粒子(商品名:R104、日本アエロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm)
(e:導電粒子)
e1:上述のとおり作製した導電粒子
(カップリング剤)
KBM503:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)
(連鎖移動剤)
MT-PE1:ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトブチレート)(商品名:カレンズMTPE1(「カレンズMT」は登録商標)、昭和電工株式会社製)
(溶剤)
MEK:メチルエチルケトン
Figure 2022133758000005
<第2のワニス組成物(ワニス状の第2の硬化性組成物)の調製>
以下に示す成分を表2に示す配合量(質量部)で混合し、ワニス組成物2-1~2-7を調製した。
(a2:熱可塑性樹脂)
EU1:上述のとおり合成したポリエステルウレタン樹脂
PKHC:フェノキシ樹脂(商品名:PKHC、ユニオンカーバイド社製)
(b2:ラジカル重合性化合物)
UA1:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート
M315:エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のジ及びトリアクリレート(商品名:M315、東亜合成株式会社製)
DCPA:トリシクロデカン骨格を有するジアクリレート(商品名:DCP-A、共栄社化学株式会社製)
HEAA:ヒドロキシエチルアクリルアミド(商品名:HEAA、KJケミカルズ株式会社製)
M215:エチレンオキサイド変性イソシアヌル酸のジアクリレート(商品名:M215、東亜合成株式会社製)
IBXA:イソボルニルアクリレート(商品名:IBXA、大阪有機化学工業株式会社製)
AD1:1-アダマンチルメタクリレート(東京化成工業株式会社製)
AD2:3-ヒドロキシアダマンタン-1-イルアクリレート(富士フィルム和光純薬株式会社製)
P-2M:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
(c2:ラジカル重合開始剤)
BMT-K-40:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
(d2:フィラー)
R104:シリカ微粒子(商品名:R104、日本アエロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm)
(カップリング剤)
KBM503:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)
(溶剤)
MEK:メチルエチルケトン
Figure 2022133758000006
<実施例1>
[第1の接着剤フィルムの作製]
第1のワニス組成物1-1を、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さ(乾燥後の厚さ)が4μmの光及び熱硬化性組成物からなる層を形成した。ここでの厚さは接触式厚み計を用いて測定した。次に、光及び熱硬化性組成物からなる層に対し、メタルハライドランプを用いて積算光量が1500mJ/cmとなるように光照射を行い、ラジカル重合性化合物を重合させた。これにより、光及び熱硬化性組成物を硬化させ、第1の接着剤層を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に形成された第1の接着剤層(導電粒子が存在する領域の厚さ:4μm)として、第1の接着剤フィルムを得た。このときの導電粒子密度は約10000pcs/mmであった。なお、第1の接着剤層の厚さが、導電粒子の厚さ(直径)より小さい場合、接触式厚み計を用いて層の厚さを測定すると、導電粒子の厚さが反映され、導電粒子が存在する領域の厚さが測定される。そのため、第1の接着剤層と第2の接着剤層とが積層された二層構成の回路接続用接着剤フィルムを作製した後に、後述の方法により、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さを測定した。
作製した回路接続用接着剤フィルムの第1の接着剤層の厚さを以下の方法で測定した。まず、回路接続用接着剤フィルムを2枚のガラス(厚み:1mm程度)で挟み込み、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:jER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型した。その後、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さを測定した。第1の接着剤層の厚さは0.8μmであった。
[導電粒子の単分散率の評価]
第1の接着剤フィルムについて、導電粒子の単分散率(導電粒子が隣接する他の導電粒子と離間した状態(単分散状態)で存在している比率)を評価した。単分散率は98%であった。
なお、単分散率は、単分散率(%)=(0.16mm中の単分散状態の導電粒子数/0.16mm中の導電粒子数)×100、を用いて求めた。導電粒子の実測には、金属顕微鏡を用いて200倍の倍率で観察した。
[第2の接着剤フィルムの作製]
第2のワニス組成物2-1を、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さが8μmの第2の接着剤層(熱硬化性組成物からなる層)を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に形成された第2の接着剤層として、第2の接着剤フィルムを得た。
[回路接続用接着剤フィルムの作製]
第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを、それぞれの接着剤層が対向するように配置し、基材であるPETフィルムと共に40℃で加熱しながら、ロールラミネータでラミネートした。これにより、第1の接着剤層と第2の接着剤層とが積層された二層構成の回路接続用接着剤フィルムを備える、PETフィルム付き回路接続用接着剤フィルムを作製した。
<実施例2~5及び比較例1、2>
第2のワニス組成物2-1に代えて第2のワニス組成物2-2~2-7をそれぞれ用いたこと以外は、実施例1と同様にして、回路接続用接着剤フィルムを備える、PETフィルム付き回路接続用接着剤フィルムを作製した。
[平均線膨張係数(CTE)の測定]
上記接着フィルムを、厚さ100±20μmになるようにラミネーターを用いて複数貼り合わせた後、オーブンにて180℃で1時間加熱して硬化させ、硬化物サンプルを作製した。得られた硬化物サンプルの線膨張係数を、熱膨張係数測定装置(株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、サンプルの長さ10mm及び幅5mm、測定モードは引張りモード、荷重は断面積(mm)に163.4mN/mmを乗じた値を用い、温度範囲-5~250℃、昇温速度は毎分5℃の条件下で測定した。測定結果から、80~90℃における平均線膨張係数(CTE)を読み取った。結果を表3に示す。
[回路接続構造体の作製]
上記で作製した回路接続用接着剤フィルムと薄膜電極付きガラス基板との積層体の回路接続用接着剤フィルム側上に、ピッチ25μmのCOF(FLEXSEED社製)を配置し、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、株式会社太陽機械製作所製)を用いて、170℃、6MPaで4秒間の条件で加熱加圧を行って幅1mmにわたり接続し、回路接続構造体(接続構造体)を作製した。
[粒子流動性評価]
得られた回路接続構造体について、回路接続用接着剤フィルムの樹脂染み出し部分の粒子流動状態を顕微鏡(商品名:ECLIPSE L200、株式会社ニコン製)を用いて評価した。具体的には、作製した回路接続構造体をガラス基板側から、顕微鏡にて観察し、回路接続用接着剤フィルムの幅よりも外側に染み出した部分の粒子状態を3段階で評価した。粒子がほとんど動かず、染み出し部分に粒子がない状態を1、多少粒子が動いているが、粒子同士の連結がみられない状態を2、粒子が流動し、粒子同士の連結が見られる状態を3とした。結果を表3に示す。
[耐剥離性の評価]
濃度5質量%に調整したNaCl水溶液に、上記のとおり作製した接続体を、25℃、12時間の条件で浸漬させた後、乾燥させ、回路接続部位の剥離の有無を、顕微鏡(商品名:ECLIPSE L200、(株)ニコン製)を用いて確認した。回路接続部全体の面積のうち、回路部材(COF及びガラス基板)から剥離している割合を求め、剥離がほとんど生じていない(剥離部分の割合が全体の面積の5%未満)ものをA、剥離が少量生じている(剥離部分の割合が全体の面積の5%以上20%未満)ものをB、剥離が生じている(剥離部分の割合が全体の面積の20%以上)ものをCとした。結果を表3に示す。
Figure 2022133758000007
1…回路接続用接着剤フィルム、2…第1の接着剤層、3…第2の接着剤層、4…導電粒子、10…回路接続構造体、12…回路電極(第1の電極)、13…第1の回路部材、15…バンプ電極(第2の電極)、16…第2の回路部材。

Claims (7)

  1. 第1の接着剤層と、該第1の接着剤層上に積層された第2の接着剤層と、を備える接着剤フィルムであって、
    前記第1の接着剤層は、(a1)熱可塑性樹脂、(b1)ラジカル重合性化合物、(c1)ラジカル重合開始剤、(d1)フィラー、及び(e)導電粒子を含有する第1の硬化性組成物又は該第1の硬化性組成物の硬化物からなり、
    前記第2の接着剤層は、(a2)熱可塑性樹脂、(b2)ラジカル重合性化合物、(c2)ラジカル重合開始剤、及び(d2)フィラーを含有し、
    前記第2の接着剤層が、前記(b2)ラジカル重合性化合物として、(b2-1)炭素数が8~10である脂環式炭化水素基と、一つのラジカル重合性基とを有する単官能ラジカル重合性化合物を含む、回路接続用接着剤フィルム。
  2. 前記接着剤フィルムの硬化物の線膨張係数(CTE)が、80~90℃の平均で110ppm/K以下である、請求項1に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  3. 前記第2の接着剤層における前記(b2-1)成分の含有量が、前記(b2)ラジカル重合性化合物の全質量を基準として、5~50質量%である、請求項1又は2に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  4. 前記(d1)成分及び前記(d2)成分は、平均一次粒子径が1~100nmであり、BET比表面積が50~400m/gである、請求項1~3のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  5. 前記第1の接着剤層の厚さd1に対する前記第2の接着剤層の厚さd2の比[d2/d1]が、4以上である、請求項1~4のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルム。
  6. 第1の電極を有する第1の回路部材と、
    第2の電極を有する第2の回路部材と、
    請求項1~5のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムと、を、
    前記第1の電極と前記第2の電極とが前記回路接続用接着剤フィルムを介して相対向するように配置された状態で加熱及び加圧して、前記第1の電極と前記第2の電極とを電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法。
  7. 第1の電極を有する第1の回路部材と、
    第2の電極を有する第2の回路部材と、
    前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材の間に配置され、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する回路接続部と、
    を備え、
    前記回路接続部が、請求項1~5のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムの硬化物を含む、回路接続構造体。
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