JP2022098859A - 冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良用組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】パン生地の冷蔵保存期間を延長し、パン製造工程の省力化や効率化を図ること。【解決手段】大豆蛋白質、油脂、澱粉及び水分を含み、pH7.5以下、可塑性を有する水中油型乳化組成物を穀粉100重量部に対し3~60重量%配合してパン生地を製造する。冷蔵温度域における発酵・保存3日後であっても1日後と遜色ない品質が維持され、焼成後の形状(腰持ち)、食感(ほぐれ・歯切れ)いずれも良好なパン類を得ることができる。特に乳酸発酵を経て製造された水中油型乳化組成物が良好である。【選択図】なし
Description
本発明は、パン生地の冷蔵下での保存期間延長に関する。
パンの製造現場、特に焼きたてパンを提供するリテイルベーカリーにおいては省人化のニーズが近年ますます高まっている。工程の効率化や発酵風味を付与する目的から、パン生地を冷蔵庫にて発酵し、翌日に成形、焼成する方法は広く行われているが、多くは翌日には生地を使い切る前提である。品質を維持したままで冷蔵下での発酵時間、すなわち生地の保存時間を延長することができれば、仕込み回数を減らすことが可能となり、さらなる省力化や効率化が期待できる。
冷蔵条件下で生地の長期貯蔵を可能とするには、低温感受性酵母を使用する方法が挙げられる。(特許文献1~5)
特許文献6はグルコースオキシダーゼ、グルテン、乳化剤および酸化剤の組み合わせよりなる冷蔵生地用製パン改良剤に関する出願であり、冷蔵保存72時間までボリューム低下・腰落ち防止効果を有すると記載されている。
特許文献7によれば、パン生地原材料を軽く混合してビニール袋に入れ冷蔵発酵することで、4日間にわたって焼きたてパンが提供可能とあるが、あくまで家庭用の小規模な方法であり、最終製品の品質面においてもリテイルベーカリーへの適用は難しい。
特許文献8によれば、パン生地に1Mpa~60Mpaの加圧処理を施すことで発酵を抑制し冷蔵生地の保存性を高めるとあるが、特殊な加圧装置が必要であり汎用的ではない。
本発明の目的は、品質を維持したままでパン生地の冷蔵での保存時間を延長することである。
本発明者らは本課題について鋭意検討し、大豆蛋白質、油脂、澱粉及び水分を含み、可塑性を有するpH7.5以下の水中油型乳化組成物をパン生地に配合することで、冷蔵保存3日後であっても翌日と遜色ない品質が維持可能であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち本発明は
(1)下記(i)~(iii) の条件を満たすことを特徴とする、冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良用である水中油型乳化組成物、
(i)大豆蛋白質、油脂、澱粉及び水分を含む
(ii)pH7.5以下
(iii)可塑性を有する
(2)pH6.5以下である(1)に記載の水中油型乳化組成物、
(3)油脂を10~40重量%含む、(1)または(2)に記載の水中油型乳化組成物、
(4)大豆蛋白質を0.5~15重量%含む、(1)~(3)いずれかに記載の水中油型乳化組成物、
(5)澱粉を0.5~10重量%含む、(1)~(4)のいずれかに記載の水中油型乳化組成物、
(6)(1)~(5)のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物を、穀粉100重量部に対し3~60重量%配合する、冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良方法、
である。
(1)下記(i)~(iii) の条件を満たすことを特徴とする、冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良用である水中油型乳化組成物、
(i)大豆蛋白質、油脂、澱粉及び水分を含む
(ii)pH7.5以下
(iii)可塑性を有する
(2)pH6.5以下である(1)に記載の水中油型乳化組成物、
(3)油脂を10~40重量%含む、(1)または(2)に記載の水中油型乳化組成物、
(4)大豆蛋白質を0.5~15重量%含む、(1)~(3)いずれかに記載の水中油型乳化組成物、
(5)澱粉を0.5~10重量%含む、(1)~(4)のいずれかに記載の水中油型乳化組成物、
(6)(1)~(5)のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物を、穀粉100重量部に対し3~60重量%配合する、冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良方法、
である。
本発明によれば、パン製造現場の省人化、省力化や効率化を図ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
(冷蔵発酵)
本発明における冷蔵発酵とは、原材料を混捏して得た生地を冷蔵温度域(-6~10℃)において発酵・保存する工程のことをいう。通常の冷蔵発酵は一般に約6~24時間、パンの種類によっては48時間、最長で約96時間程度まで取られる場合もある。生地の発酵は経時的に進行するため、時間が経つほど品質差が大きくなり、一定の商品価値を維持することが困難となる。しかし本発明の水中油型乳化組成物を用いることで経時的な品質低下が抑制されるため、冷蔵発酵2日後、3日後であっても生地状態が安定し、品質良好なパン類を提供することができる。より具体的な効果としては生地の張り・気泡の安定、焼成後のパンの形状(腰持ち)、良好な食感(ほぐれ・歯切れ)が例示できる。
本発明における冷蔵発酵とは、原材料を混捏して得た生地を冷蔵温度域(-6~10℃)において発酵・保存する工程のことをいう。通常の冷蔵発酵は一般に約6~24時間、パンの種類によっては48時間、最長で約96時間程度まで取られる場合もある。生地の発酵は経時的に進行するため、時間が経つほど品質差が大きくなり、一定の商品価値を維持することが困難となる。しかし本発明の水中油型乳化組成物を用いることで経時的な品質低下が抑制されるため、冷蔵発酵2日後、3日後であっても生地状態が安定し、品質良好なパン類を提供することができる。より具体的な効果としては生地の張り・気泡の安定、焼成後のパンの形状(腰持ち)、良好な食感(ほぐれ・歯切れ)が例示できる。
(パン類)
本発明が適用できるパンの種類としては特に制限はなく、小麦粉や米粉等の穀粉を主原料とし、これに水、油脂類、糖類、澱粉類、調味料、卵、乳製品、イースト、イーストフード、酵素類、乳化剤、フレーバー等の原料を必要に応じて添加し、混捏工程を経て得られた生地を、発酵、分割・成形、ホイロなどの工程を経て焼成加熱し得られるものを指し、食パン、菓子パン、テーブルロール、デニッシュペストリー、ピザ、ナンなどが挙げられる。特にバゲット、パン・ド・カンパーニュ、ライ麦パン、チャバタ、フォカッチャなどに例示される、比較的水分の多いハード系のパン類においてその効果が顕著に発揮される。
本発明が適用できるパンの種類としては特に制限はなく、小麦粉や米粉等の穀粉を主原料とし、これに水、油脂類、糖類、澱粉類、調味料、卵、乳製品、イースト、イーストフード、酵素類、乳化剤、フレーバー等の原料を必要に応じて添加し、混捏工程を経て得られた生地を、発酵、分割・成形、ホイロなどの工程を経て焼成加熱し得られるものを指し、食パン、菓子パン、テーブルロール、デニッシュペストリー、ピザ、ナンなどが挙げられる。特にバゲット、パン・ド・カンパーニュ、ライ麦パン、チャバタ、フォカッチャなどに例示される、比較的水分の多いハード系のパン類においてその効果が顕著に発揮される。
本発明の水中油型乳化組成物の添加混合も常法に従えばよく、工程中において通常の練り込み油脂と同様に使用することができる。具体的には工程の前半から主原料と同時に混合してもよく、またはミキシングの後半に練り込み油脂と同時、あるいは練り込み油脂の混合の後でも添加できる。配合量のすべてを一度に加えても、数回に分けて加えてもよい。配合量は穀粉100重量部に対し3重量%以上60重量%以下、より好ましくは5~50重量%、さらに好ましくは5~40重量%、最も好ましくは5~30重量%である。これより少ないと本発明の効果が得られにくく、これより多いとパン生地のガス保持力が弱くなり焼成時の膨化が不十分となる場合がある。
(大豆蛋白質)
本発明の水中油型乳化組成物は大豆蛋白質を含む。大豆以外の蛋白質と併用することもできるが、大豆蛋白質としての配合量は固形分として0.5~15重量%、より好ましくは1~10重量%、更に好ましくは1.5~5重量%である。これより少ないと本発明の効果が得られにくい場合がある。これより多い場合はパンの食感に影響する場合があるため、パン生地製造工程での吸水量を多めに調整する必要がある。
大豆蛋白質の給源としては豆乳、分離大豆蛋白質、全脂大豆(丸大豆)、脱脂大豆が例示されるが、丸大豆ないしは脱脂大豆から抽出された豆乳を用いることが好ましい。豆乳としては無調整豆乳、調製豆乳、低脂肪豆乳が例示できる。低脂肪豆乳の製造方法としては、スラリー(大豆粉砕液)や全脂豆乳から高速遠心分離等により脂質を分離する方法や、該スラリーからオカラを分離する際に脂質をオカラ側に移行させる方法を用いることができる。より好ましい態様として、上記の通り予め加熱処理された全脂大豆、好ましくはNSI(水溶性窒素指数)15~77、より好ましくは40~70の全脂大豆を原料とすることによって、さらに本発明の効果を向上させることができる。この方法は例えば特開2012-16348号公報に記載の方法を参照することができる。
本発明の水中油型乳化組成物は大豆蛋白質を含む。大豆以外の蛋白質と併用することもできるが、大豆蛋白質としての配合量は固形分として0.5~15重量%、より好ましくは1~10重量%、更に好ましくは1.5~5重量%である。これより少ないと本発明の効果が得られにくい場合がある。これより多い場合はパンの食感に影響する場合があるため、パン生地製造工程での吸水量を多めに調整する必要がある。
大豆蛋白質の給源としては豆乳、分離大豆蛋白質、全脂大豆(丸大豆)、脱脂大豆が例示されるが、丸大豆ないしは脱脂大豆から抽出された豆乳を用いることが好ましい。豆乳としては無調整豆乳、調製豆乳、低脂肪豆乳が例示できる。低脂肪豆乳の製造方法としては、スラリー(大豆粉砕液)や全脂豆乳から高速遠心分離等により脂質を分離する方法や、該スラリーからオカラを分離する際に脂質をオカラ側に移行させる方法を用いることができる。より好ましい態様として、上記の通り予め加熱処理された全脂大豆、好ましくはNSI(水溶性窒素指数)15~77、より好ましくは40~70の全脂大豆を原料とすることによって、さらに本発明の効果を向上させることができる。この方法は例えば特開2012-16348号公報に記載の方法を参照することができる。
(油脂)
本発明の水中油型乳化組成物に用いられる油脂としては、食用として用いられているものであれば植物性油脂、動物性油脂の何れでもよく、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂、又はこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
配合量は水中油型乳化組成物中10重量%以上40重量%以下が好ましく、より好ましくは15~35重量%、さらに好ましくは20~30重量%である。この範囲外では乳化が不安定になったり、パン生地への練り込みに適した物性が得られにくくなったりする場合がある。
本発明の水中油型乳化組成物に用いられる油脂としては、食用として用いられているものであれば植物性油脂、動物性油脂の何れでもよく、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ種子油、綿実油、落花生油、米糠油、コーン油、サフラワー油、オリーブ油、カポック油、胡麻油、月見草油、パーム油、シア脂、サル脂、カカオ脂、ヤシ油、パーム核油等の植物性油脂、乳脂、牛脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂、又はこれらに水素添加、分別及びエステル交換から選択される一又は二以上の処理を施した加工油脂が挙げられる。これらは単独でも、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
配合量は水中油型乳化組成物中10重量%以上40重量%以下が好ましく、より好ましくは15~35重量%、さらに好ましくは20~30重量%である。この範囲外では乳化が不安定になったり、パン生地への練り込みに適した物性が得られにくくなったりする場合がある。
(澱粉)
本発明の水中油型乳化組成物に用いる澱粉は食用として用いられているものであれば何れでもよく、例えば小麦澱粉、米澱粉、モチ米澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等の生澱粉や、これらに架橋処理、α化処理、エーテル化処理、エステル化処理、分解処理等の処理が施された加工澱粉等が挙げられる。配合量は水中油型乳化組成物中0.5重量%以上10重量%以下が好ましく、より好ましくは2~8重量%である。配合量がこれ未満ではパン練り込みに適した可塑性が維持されにくかったり、食感改良効果が十分でなかったりする場合がある。これより多いとパンの食感が損なわれてしまう場合がある。
本発明の水中油型乳化組成物に用いる澱粉は食用として用いられているものであれば何れでもよく、例えば小麦澱粉、米澱粉、モチ米澱粉、サゴ澱粉、タピオカ澱粉、甘藷澱粉、コーンスターチ、ワキシーコーンスターチ等の生澱粉や、これらに架橋処理、α化処理、エーテル化処理、エステル化処理、分解処理等の処理が施された加工澱粉等が挙げられる。配合量は水中油型乳化組成物中0.5重量%以上10重量%以下が好ましく、より好ましくは2~8重量%である。配合量がこれ未満ではパン練り込みに適した可塑性が維持されにくかったり、食感改良効果が十分でなかったりする場合がある。これより多いとパンの食感が損なわれてしまう場合がある。
(水分)
本発明の水中油型乳化組成物に用いる水分としては飲用に適するものであれば特に限定されず、水道水、蒸留水、イオン交換水、ミネラルウォーター等を何れも用いることができる。本発明の水中油型乳化組成物の水分含量は、他原料中に由来する水分も含め40~80重量%が好ましく、より好ましくは50~70重量%、さらに好ましくは55~65質量%である。これより多い、又は少ないと乳化が不安定になったり、パン生地への練り込みに適した物性が維持されにくくなったりする場合がある。
本発明の水中油型乳化組成物に用いる水分としては飲用に適するものであれば特に限定されず、水道水、蒸留水、イオン交換水、ミネラルウォーター等を何れも用いることができる。本発明の水中油型乳化組成物の水分含量は、他原料中に由来する水分も含め40~80重量%が好ましく、より好ましくは50~70重量%、さらに好ましくは55~65質量%である。これより多い、又は少ないと乳化が不安定になったり、パン生地への練り込みに適した物性が維持されにくくなったりする場合がある。
(水中油型乳化組成物のpH)
本発明の水中油型乳化組成物のpHは7.5以下であることを特徴とする。より好ましくは3.5以上7以下、より好ましくは3.5以上6.5以下である。水中油型乳化組成物の原料混合後のpH又は乳酸発酵物の発酵停止時のpHにより、酸あるいは逆にアルカリ剤を添加し、目的とするpHに適宜調整することが好ましい。
pH調整に用いる酸としては食用として用いられているものであれば無機酸、有機酸の何れでもよく、例えば、リン酸等の無機酸や、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸等の有機酸が挙げられ、これらを単独ないしは2種以上を組合せて用いることもできる。乳酸菌を原料に添加し乳酸発酵させて乳酸を生成させても良い。また該乳酸発酵と酸の添加を併用することもできる。
本発明の水中油型乳化組成物のpHは7.5以下であることを特徴とする。より好ましくは3.5以上7以下、より好ましくは3.5以上6.5以下である。水中油型乳化組成物の原料混合後のpH又は乳酸発酵物の発酵停止時のpHにより、酸あるいは逆にアルカリ剤を添加し、目的とするpHに適宜調整することが好ましい。
pH調整に用いる酸としては食用として用いられているものであれば無機酸、有機酸の何れでもよく、例えば、リン酸等の無機酸や、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、酢酸、グルコン酸等の有機酸が挙げられ、これらを単独ないしは2種以上を組合せて用いることもできる。乳酸菌を原料に添加し乳酸発酵させて乳酸を生成させても良い。また該乳酸発酵と酸の添加を併用することもできる。
(乳酸発酵)
本発明の水中油型乳化組成物においては、上記の通り、少なくとも蛋白質を含む原料の一部又は全部を乳酸発酵させることができる。特に蛋白質を含む原料が乳酸発酵されていることが好ましい。蛋白質以外の油脂、澱粉や他の原料は、蛋白質を含む原料と共に乳酸発酵されていてもよい。例えば蛋白質と油脂を共に乳酸発酵する場合には、蛋白質と油脂との乳化物を乳酸発酵することができる。
乳酸発酵に使用される乳酸菌は特に限定はされず、通常の発酵乳に使用する一般的な乳酸菌、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・ラクチス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・サンフランシスコ、ラクトバチルス・パネックス、ラクトバチルス・コモエンシス、ラクトバチルス・カルバス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ヒルガルディ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ルテリ、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ジアセチルラクチス、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・クレモリス、ビフィドバクテリム属等の単独または混合物を使用することができる。
本発明の水中油型乳化組成物においては、上記の通り、少なくとも蛋白質を含む原料の一部又は全部を乳酸発酵させることができる。特に蛋白質を含む原料が乳酸発酵されていることが好ましい。蛋白質以外の油脂、澱粉や他の原料は、蛋白質を含む原料と共に乳酸発酵されていてもよい。例えば蛋白質と油脂を共に乳酸発酵する場合には、蛋白質と油脂との乳化物を乳酸発酵することができる。
乳酸発酵に使用される乳酸菌は特に限定はされず、通常の発酵乳に使用する一般的な乳酸菌、例えば、ラクトバチルス・ブルガリクス、ストレプコッカス・サーモフィルス、ラクトバチルス・アシドフィルス、ラクトバチルス・ヘルベチカス、ラクトバチルス・ラクチス、ラクトバチルス・プランタラム、ラクトバチルス・サンフランシスコ、ラクトバチルス・パネックス、ラクトバチルス・コモエンシス、ラクトバチルス・カルバス、ラクトバチルス・ブレビス、ラクトバチルス・ヒルガルディ、ラクトバチルス・カゼイ、ラクトバチルス・ルテリ、ストレプトコッカス・サーモフィルス、ストレプトコッカス・ラクチス、ストレプトコッカス・クレモリス、ストレプトコッカス・ジアセチルラクチス、ロイコノストック・メセンテロイデス、ロイコノストック・クレモリス、ビフィドバクテリム属等の単独または混合物を使用することができる。
(可塑性)
本発明の水中油型乳化組成物は、その性状が可塑性を有することを特徴とする。さらに、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが150~500g/19.6mm2(直径30mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分)、より好ましくは180~450g/19.6mm2、最も好ましくは200~400g/19.6mm2であることが望ましい。かかる硬さを有する可塑性の水中油型乳化組成物は、均一にパン生地に練り込みやすい物性を備える。
本発明の水中油型乳化組成物は、その性状が可塑性を有することを特徴とする。さらに、5℃におけるレオメーター測定値による硬さが150~500g/19.6mm2(直径30mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分)、より好ましくは180~450g/19.6mm2、最も好ましくは200~400g/19.6mm2であることが望ましい。かかる硬さを有する可塑性の水中油型乳化組成物は、均一にパン生地に練り込みやすい物性を備える。
(他原料)
本発明の水中油型乳化組成物中には上記の他にもゲル化剤、安定剤、乳化剤、多糖類、食物繊維、糖類、甘味料、塩類等、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜添加することができる。
本発明の水中油型乳化組成物中には上記の他にもゲル化剤、安定剤、乳化剤、多糖類、食物繊維、糖類、甘味料、塩類等、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜添加することができる。
(水中油型乳化組成物の製造)
本発明の水中油型乳化組成物は、例えば全原料を混合、乳化して得た原料液に、酸を添加するか乳酸発酵することにより製造することが好ましい。また、例えば蛋白質を含む原料の一部又は全部を混合し、必要により油脂と乳化して得た原料液に酸を添加するか乳酸発酵した後、残りの原料を混合し、必要により油脂と乳化することにより製造することが好ましい。酸の添加又は乳酸発酵の前後には、必要により加熱殺菌を行うこともできる。また乳化はホモゲナイザー等により行うことができ、必要により乳化の前に予め撹拌機等により水相と油相を予備乳化させておいてもよい。
本発明の水中油型乳化組成物は、例えば全原料を混合、乳化して得た原料液に、酸を添加するか乳酸発酵することにより製造することが好ましい。また、例えば蛋白質を含む原料の一部又は全部を混合し、必要により油脂と乳化して得た原料液に酸を添加するか乳酸発酵した後、残りの原料を混合し、必要により油脂と乳化することにより製造することが好ましい。酸の添加又は乳酸発酵の前後には、必要により加熱殺菌を行うこともできる。また乳化はホモゲナイザー等により行うことができ、必要により乳化の前に予め撹拌機等により水相と油相を予備乳化させておいてもよい。
(実施例)
以降に本発明をより詳細に説明する。なお、文中の「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を意味する。
以降に本発明をより詳細に説明する。なお、文中の「部」および「%」は、特に断りのない限り重量基準を意味する。
(水中油型乳化組成物(1)の製造)
菜種硬化油20部を60℃に加温し、水20部、低脂肪豆乳(商品名:美味投入(R)、不二製油(株)製)50部を混合し50℃に加温した。糖類5部、デキストリン5部を混合し、50℃で加熱攪拌し予備乳化の後、2MPaの圧力にてホモゲナイザー出で均質化し、70~80℃で殺菌後24℃まで冷却した。
続いて該乳化液に対してラクトバチルス・ブルガリカス及びストレプトコッカス・サーモフィラスを混合した乳酸菌スターターを0.01%添加し37~40℃で約5時間発酵させた。発酵液のpHは4.5であった。得られた発酵液80部に対して菜種硬化油10部、澱粉5部、さらに水を加えて100部とし、50℃で撹拌しながらアルカリでpH5.5に調整後、80~90℃で加熱撹拌して殺菌し、次いで2MPaの圧力にてホモゲナイザーで均質化し、冷却して本発明の「水中油型乳化組成物(1)」を得た。
該組成物の組成を、後述する他の組成物とともに表1に示した。硬さの測定はレオメーターを使用し、直径30mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分の条件で行った。なお、本実施例で用いた低脂肪豆乳はNSIが20~77の範囲となるように加熱処理された全脂大豆からの抽出物であり、特開2012-16348号公報に記載の方法で製造された。
菜種硬化油20部を60℃に加温し、水20部、低脂肪豆乳(商品名:美味投入(R)、不二製油(株)製)50部を混合し50℃に加温した。糖類5部、デキストリン5部を混合し、50℃で加熱攪拌し予備乳化の後、2MPaの圧力にてホモゲナイザー出で均質化し、70~80℃で殺菌後24℃まで冷却した。
続いて該乳化液に対してラクトバチルス・ブルガリカス及びストレプトコッカス・サーモフィラスを混合した乳酸菌スターターを0.01%添加し37~40℃で約5時間発酵させた。発酵液のpHは4.5であった。得られた発酵液80部に対して菜種硬化油10部、澱粉5部、さらに水を加えて100部とし、50℃で撹拌しながらアルカリでpH5.5に調整後、80~90℃で加熱撹拌して殺菌し、次いで2MPaの圧力にてホモゲナイザーで均質化し、冷却して本発明の「水中油型乳化組成物(1)」を得た。
該組成物の組成を、後述する他の組成物とともに表1に示した。硬さの測定はレオメーターを使用し、直径30mm円形プランジャー、テーブルスピード50mm/分の条件で行った。なお、本実施例で用いた低脂肪豆乳はNSIが20~77の範囲となるように加熱処理された全脂大豆からの抽出物であり、特開2012-16348号公報に記載の方法で製造された。
(水中油型乳化組成物(2)の製造)
菜種硬化油26部を60℃に加温し、水24部、低脂肪豆乳(商品名:美味投入(R)、不二製油(株)製)40部を混合し50℃に加温した。糖類5部、澱粉5部を混合し、50℃で撹拌しながら乳酸でpH5.5に調整後、80~90℃で加熱撹拌して殺菌し、次いで4MPaの圧力にてホモゲナイザーで均質化し、冷却して本発明の「水中油型乳化組成物(2)」を得た。
菜種硬化油26部を60℃に加温し、水24部、低脂肪豆乳(商品名:美味投入(R)、不二製油(株)製)40部を混合し50℃に加温した。糖類5部、澱粉5部を混合し、50℃で撹拌しながら乳酸でpH5.5に調整後、80~90℃で加熱撹拌して殺菌し、次いで4MPaの圧力にてホモゲナイザーで均質化し、冷却して本発明の「水中油型乳化組成物(2)」を得た。
(水中油型乳化組成物(3)の製造)
水中油型乳化組成物(2)の配合中、低脂肪豆乳を全脂豆乳(商品名:無調整豆乳、不二製油株式会社)42部に、水を22部に代え、他は同様に製造した。
水中油型乳化組成物(2)の配合中、低脂肪豆乳を全脂豆乳(商品名:無調整豆乳、不二製油株式会社)42部に、水を22部に代え、他は同様に製造した。
(水中油型乳化組成物(4)の製造)
水中油型乳化組成物(2)の配合中、低脂肪豆乳を市販の低脂肪牛乳55部、水を9部に代え、他は同様に製造した。
水中油型乳化組成物(2)の配合中、低脂肪豆乳を市販の低脂肪牛乳55部、水を9部に代え、他は同様に製造した。
(パン生地の製造)
表2、表3の配合及び製造条件に従い、常法によりパン生地を製造した。
試験区(A)は、前述の水中油型乳化組成物(1)~(4)を添加混合した。
試験区(B)は、水中油型乳化組成物(2)と同一配合比の原材料を(表2中「混合物」と称する)、均質化処理(乳化)およびpH調整を行わずにそのまま添加した。なお、この「混合物」は可塑性を有さないものであった。
表2、表3の配合及び製造条件に従い、常法によりパン生地を製造した。
試験区(A)は、前述の水中油型乳化組成物(1)~(4)を添加混合した。
試験区(B)は、水中油型乳化組成物(2)と同一配合比の原材料を(表2中「混合物」と称する)、均質化処理(乳化)およびpH調整を行わずにそのまま添加した。なお、この「混合物」は可塑性を有さないものであった。
(冷蔵発酵試験、成形、焼成)
捏ね上がった生地を半透明のプラスチック製容器に1200gずつ入れ、フロアタイムの後、リターダー1℃において約44時間(2日後)、及び約68時間(3日後)の冷蔵発酵を行った。それぞれの生地状態を確認し、表3の条件に従い成形、焼成を行った。
捏ね上がった生地を半透明のプラスチック製容器に1200gずつ入れ、フロアタイムの後、リターダー1℃において約44時間(2日後)、及び約68時間(3日後)の冷蔵発酵を行った。それぞれの生地状態を確認し、表3の条件に従い成形、焼成を行った。
(評価基準)
焼成品は熟練したパネラー5名にて形状(腰持ち)の観察、及び食感(ほぐれ・歯切れ)の官能評価を行い、合議にて以下の基準により判定した。なお「腰持ち」については、その膨化後の形状が横に広がらず十分な高さを有するものを良好とした。すべての観点で評点3以上であるものを合格とした。
5:非常に良好
4:良好
3:やや劣るが、商品として販売可能なレベル
2:劣る
1:非常に劣る
焼成品は熟練したパネラー5名にて形状(腰持ち)の観察、及び食感(ほぐれ・歯切れ)の官能評価を行い、合議にて以下の基準により判定した。なお「腰持ち」については、その膨化後の形状が横に広がらず十分な高さを有するものを良好とした。すべての観点で評点3以上であるものを合格とした。
5:非常に良好
4:良好
3:やや劣るが、商品として販売可能なレベル
2:劣る
1:非常に劣る
(評価)
表4に評価の一覧を示す。
低脂肪豆乳、または全脂豆乳を用いて製造した水中油型乳化組成物を用いることで、冷蔵発酵2日後、3日後であっても商品価値の維持されたパンを製造することができた。特に乳酸発酵を経た水中油型乳化組成物(1)が良好であった。また、比較例2に示す通り、同じ原材料であっても乳化およびpH調整を経ていない場合は前述の効果は得られなかった。
表4に評価の一覧を示す。
低脂肪豆乳、または全脂豆乳を用いて製造した水中油型乳化組成物を用いることで、冷蔵発酵2日後、3日後であっても商品価値の維持されたパンを製造することができた。特に乳酸発酵を経た水中油型乳化組成物(1)が良好であった。また、比較例2に示す通り、同じ原材料であっても乳化およびpH調整を経ていない場合は前述の効果は得られなかった。
Claims (6)
- 下記(i)~(iii) の条件を満たすことを特徴とする、冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良用である、水中油型乳化組成物。
(i)大豆蛋白質、油脂、澱粉及び水分を含む
(ii)pH7.5以下
(iii)可塑性を有する - pH6.5以下である、請求項1に記載の水中油型乳化組成物。
- 油脂を10~40重量%含む、請求項1または2に記載の水中油型乳化組成物。
- 大豆蛋白質を0.5~15重量%含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
- 澱粉を0.5~10重量%含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物。
- 請求項1~5のいずれか1項に記載の水中油型乳化組成物を、穀粉100重量部に対し3~60重量%配合する、冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020212500A JP2022098859A (ja) | 2020-12-22 | 2020-12-22 | 冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良用組成物 |
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JP2020212500A JP2022098859A (ja) | 2020-12-22 | 2020-12-22 | 冷蔵発酵工程を有するパン類の品質改良用組成物 |
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2020
- 2020-12-22 JP JP2020212500A patent/JP2022098859A/ja active Pending
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