JP2022098420A - 電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】特にモノクロ高速プリンタや小型の中速タンデムカラープリンタに適用した場合においても、十分な高感度を有するとともに、多様な環境下における繰り返し印字時の電位安定性に優れ、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題を生じない電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置を提供する。【解決手段】導電性基体1と、導電性基体上に設けられた感光層と、を備える正帯電型電子写真用感光体であって、感光層が電子輸送材料を含み、電子輸送材料の少なくとも1種が下記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む。TIFF2022098420000035.tif28153【選択図】図1
Description
本発明は、電子写真方式のプリンタや複写機、ファクスなどに用いられる電子写真用感光体(以下、単に「感光体」とも称する)、その製造方法および電子写真装置に関する。
電子写真用感光体は、導電性基体上に、光導電機能を有する感光層を設置した構造を基本構造とする。近年、電荷の発生や輸送を担う機能成分として有機化合物を用いる有機電子写真用感光体について、材料の多様性や高生産性、安全性などの利点により、研究開発が活発に進められ、複写機やプリンタなどへの適用が進められている。
一般に、感光体には、暗所で表面電荷を保持する機能や、光を受容して電荷を発生する機能、さらには、発生した電荷を輸送する機能が必要である。感光層がこれらの役割を果たす。感光体は、感光層の態様により、いわゆる単層型感光体と、積層型(機能分離型)感光体とに分類される。単層型感光体は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを併せ持った単層の感光層を備える。積層型感光体は、電荷発生層と電荷輸送層とを積層した感光層を備える。電荷発生層は、主として光受容時の電荷発生の機能を担う。電荷輸送層は、暗所で表面電荷を保持する機能および光受容時に電荷発生層にて発生した電荷を輸送する機能を担う。
また、感光体には、感光体表面の帯電特性を正帯電とする正帯電型感光体と、負帯電とする負帯電型感光体とがある。このうち正帯電型感光体においては、感光層を構成する電荷輸送材料として、電子輸送能を有する電子輸送材料が用いられる。このような電子輸送材料として、置換基としてパラ位に塩素原子を1つ有するアゾキノン誘導体が広く用いられている(特許文献1~3参照)。
しかし、上記特定構造を有するアゾキノン誘導体を用いる場合、特に低温低湿環境における繰り返し使用時の電位安定性が不十分となって、ゴースト画像や字太り現象等が生じ、安定して良好な画像を得にくいという傾向があった。
この問題に対し、上記特定構造を有するアゾキノン誘導体と、他の電子輸送材料とを混合使用することが提案されている(特許文献4参照)。
その他、感光体における電子輸送材料の併用に係る先行技術として、例えば、特許文献5に記載された技術がある。
一方、モノクロ高速プリンタや小型の中速タンデムカラープリンタでは、高感度の感光体が必要であり、高画像品質なモノクロ高速機やタンデムカラー機(例えば、A4用紙40ppm以上程度)に適用可能な感光体に係る先行技術として、例えば、特許文献6に記載された技術がある。
しかしながら、上記特定構造を有するアゾキノン誘導体と他の電子輸送材料とを混合使用した場合においても、比較的良好な繰り返し安定性は得られるものの、十分な高感度特性との両立を図ることはできなかった。そのため、多様な環境下で繰り返し印字を行った際に、十分な電位安定性が得られず、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題が生ずる場合があった。
そこで本発明の目的は、特にモノクロ高速プリンタや小型の中速タンデムカラープリンタなどに適用した場合においても、十分な高感度を有するとともに、多様な環境下における繰り返し印字時の電位安定性に優れ、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題を生じない電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討した結果、電子輸送材料として、従来使用されていたものとは異なる特定構造を有するアゾキノン誘導体を用いることで、上記課題が解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の第一の態様は、導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、を備える正帯電型電子写真用感光体であって、
前記感光層が電子輸送材料を含み、前記電子輸送材料の少なくとも1種が下記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む電子写真用感光体である。
(式(ET1)中、R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R3は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R4~R8のうち少なくとも2つは塩素原子を表し、塩素原子を表すもの以外の残りのR4~R8は、同一または異なって、水素原子、塩素原子以外のハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、ハロゲン化アルキル基、シアノ基またはニトロ基を表す。置換基は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはハロゲン化アルキル基を表す。)
前記導電性基体上に設けられた感光層と、を備える正帯電型電子写真用感光体であって、
前記感光層が電子輸送材料を含み、前記電子輸送材料の少なくとも1種が下記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む電子写真用感光体である。
(式(ET1)中、R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R3は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R4~R8のうち少なくとも2つは塩素原子を表し、塩素原子を表すもの以外の残りのR4~R8は、同一または異なって、水素原子、塩素原子以外のハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、ハロゲン化アルキル基、シアノ基またはニトロ基を表す。置換基は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはハロゲン化アルキル基を表す。)
上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体のうちでも、R4およびR8のうち少なくとも1つが塩素原子であるものが好ましい。また、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体のうちでも、R1およびR2がターシャリーブチル基であって、R3が水素原子であるものも好ましい。
前記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)(前記アゾキノン誘導体を1g溶解させるために必要なテトラヒドロフランの質量(g))が、下記式、
SETM(THF)≦2.0
を満足することが好ましい。
SETM(THF)≦2.0
を満足することが好ましい。
前記電子輸送材料は、さらに、下記一般式(ET2)、
(式(ET2)中、R11およびR12は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、アルキレン基、アルコキシ基、アルキルエステル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基またはハロゲン原子を示し、R11およびR12は、互いに結合して、置換基を有してもよい芳香環を形成していてもよい。)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含むことが好ましい。
(式(ET2)中、R11およびR12は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、アルキレン基、アルコキシ基、アルキルエステル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基またはハロゲン原子を示し、R11およびR12は、互いに結合して、置換基を有してもよい芳香環を形成していてもよい。)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物を含むことが好ましい。
前記感光層は、電荷輸送層と電荷発生層とを順次積層してなる積層型であって、前記電荷発生層が前記電子輸送材料を含むものとすることができる。また、前記感光層は、単層型であって、前記電子輸送材料を含むものとすることもできる。
本発明の第二の態様は、上記電子写真用感光体を製造するにあたり、
前記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む感光層用塗布液を準備する工程と、
前記感光層用塗布液を用いて浸漬塗工法により前記感光層を形成する工程と、
を含む電子写真用感光体の製造方法である。
前記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む感光層用塗布液を準備する工程と、
前記感光層用塗布液を用いて浸漬塗工法により前記感光層を形成する工程と、
を含む電子写真用感光体の製造方法である。
本発明の第三の態様は、上記電子写真用感光体が搭載されてなる電子写真装置である。
本発明によれば、特にモノクロ高速プリンタや小型の中速タンデムカラープリンタなどに適用した場合においても、十分な高感度を有するとともに、多様な環境下における繰り返し印字時の電位安定性に優れ、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題を生じない電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置を実現できた。
以下、本発明の実施形態に係る電子写真用感光体の具体的な実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。本発明は、以下の説明により何ら限定されるものではない。
図1は、本発明の実施形態に係る電子写真用感光体の一例を示す模式的断面図であり、正帯電型の単層型電子写真用感光体を示す。図示するように、正帯電単層型感光体においては、導電性基体1の表面上に、下引き層2と、電荷発生機能および電荷輸送機能を兼ね備えた単層型正帯電の感光層(単層型感光層)3とが、順次積層されている。
また、図2は、本発明の実施形態に係る電子写真用感光体の他の例を示す模式的断面図であり、正帯電型の積層型電子写真用感光体を示す。図示するように、正帯電積層型感光体は、積層型正帯電の感光層6を備える。感光層6は、円筒形の導電性基体1の表面上に、下引き層2を介して順次積層された、電荷輸送機能を備えた電荷輸送層4と、電荷発生機能を備えた電荷発生層5と、からなる。なお、図1および図2のいずれの感光体においても、下引き層2は、必要に応じ設ければよい。図示はしないが、図1および図2のいずれの感光体においても、感光体の最表面に、表面保護層を設けることもできる。
本発明の実施形態に係る感光体においては、感光層が電子輸送材料を含み、電子輸送材料のうち少なくとも1種が下記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む。下記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体は、従来使用されていた、置換基としてパラ位に塩素原子を1つ有するアゾキノン誘導体とは異なり、溶解性の塩素原子を2つ以上置換基として有する。このようなアゾキノン誘導体を電子輸送材料として用いることで、溶剤に対する溶解性や樹脂に対する相溶性を向上することができるので、感光層中における電子輸送材料の含有量を増やすことができ、粒度分布のシャープな電子輸送材料の分散を実現できる結果、モノクロ高速プリンタや小型の中速タンデムカラープリンタにおいても、十分な高感度特性と様々な環境における繰り返し電位安定性とを同時に得ることができ、安定して良好な画像品質が得られる感光体を実現できるものと考えられる。また、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題も生ずることがなく、皮脂クラックや鉱油汚染による画像不具合の発生についても回避することが可能となる。
(式(ET1)中、R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R3は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R4~R8のうち少なくとも2つは塩素原子を表し、塩素原子を表すもの以外の残りのR4~R8は、同一または異なって、水素原子、塩素原子以外のハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、ハロゲン化アルキル基、シアノ基またはニトロ基を表す。置換基は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはハロゲン化アルキル基を表す。)
電子輸送材料としての、上記一般式(ET1)で表される構造を有するアゾキノン誘導体の具体例としては以下のようなものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。このようなアゾキノン誘導体は、例えば、特開2000-199979号公報の段落[0021](米国特許第6,268,095号公報の第6列、第4行~第10行)に記載された方法により、製造することができる。
上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体としては、R4およびR8のうち少なくとも1つが塩素原子であるものが好ましい。置換基として塩素原子を2つ以上有するアゾキノン誘導体の中でも、このような特定の構造を有するものを用いることにより、感度、繰り返し電位安定性、階調性およびメモリー画像の発生等の点で、より優れた感光体が得られる。また、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体としては、R1およびR2がターシャリーブチル基であって、R3が水素原子であるものも好ましい。中でも、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体としては、上記構造式(ET1-4)または(ET1-5)で示されるものがより好ましい。上記構造式(ET1-4)または(ET1-5)で示されるアゾキノン誘導体は溶解性および電気特性に優れるので、これらを電子輸送材料として用いることで、感光層における電子輸送材料の含有量を高めることができ、高性能化を図る上で電子輸送材料の高含有量化が求められる正帯電積層型感光体において、特に有利である。さらに、理由は明確でないが、感度特性の点では、上記構造式(ET1-4)で示されるアゾキノン化合物が、より好適である。
上記構造式(ET1-4)で示される構造を有するアゾキノン誘導体について、塩素原子を1つまたは2つ有する他のアゾキノン誘導体と比較して溶解性に優れる理由については明確ではないが、分子構造における立体障害と対称性とのバランスが影響しているとも考えられる。また、電気特性上優れている理由としては、溶解性が高いために膜への分散性(溶解性)に優れること、および、電子吸引基である塩素原子を2つ有するために電子輸送性能に優れていることの両立が考えられる。上記構造式(ET1-4)で示される構造を有するアゾキノン誘導体は、例えば、積層正帯電型有機感光体において、単体使用でも40質量%以上で膜中に良好に溶解できることにより、露光-現像時間が60ms以下と短い装置、例えば、φ30ドラムでA4縦送り50ppm以上のモノクロ高速機や、φ24ドラムでA4縦送り24ppm以上の中高速タンデムカラー機でも、高感度(低露光部電位)が得られ、優れた階調性を有するゴーストレスの高品質画像が得られる。
また、上記構造式(ET1-5)で示される構造を有するアゾキノン誘導体については、塩素原子を1つまたは2つ有する他のアゾキノン誘導体と比較して、電子吸引基である塩素原子を3つ有することから電子輸送性能に優れること、および、分子構造の立体障害と対称性とのバランスに起因すると考えられる良好な溶解性の兼ね合いから、高含有量での使用が可能となる。よって、特に、電子輸送材料を多量に使用する必要がある積層正帯電型有機感光体の電荷発生層においては、上記構造式(ET1-4)で示される構造を有するアゾキノン誘導体と同様に高含有量とすることで、露光-現像時間の短い上記高速モノクロ機や中高速タンデムカラー機において、他の電子輸送材料を用いた場合と比較して明確な性能向上が現れる。
上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体としては、電子輸送材料を1g溶解させるために必要なテトラヒドロフランの質量(g)で表される、電子輸送材料の溶解度SETM(THF)が、下記式、
SETM(THF)≦2.0
を満足するものも好ましい。このようなアゾキノン誘導体を用いることで、良好な溶解性を担保させることができる。上記電子輸送材料としてのアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は、下記式、
0.5≦SETM(THF)≦2.0
を満足することが、より好ましい。
SETM(THF)≦2.0
を満足するものも好ましい。このようなアゾキノン誘導体を用いることで、良好な溶解性を担保させることができる。上記電子輸送材料としてのアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は、下記式、
0.5≦SETM(THF)≦2.0
を満足することが、より好ましい。
本発明の実施形態に係る感光体においては、感光層に含まれる電子輸送材料が、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体とともに、さらに、他の電子輸送材料を含んでいてもよい。
このような他の電子輸送材料としては、特に制限されず、例えば、無水琥珀酸、無水マレイン酸、ジブロモ無水琥珀酸、無水フタル酸、3-ニトロ無水フタル酸、4-ニトロ無水フタル酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、無水トリメリット酸、フタルイミド、4-ニトロフタルイミド、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、クロラニル、ブロマニル、o-ニトロ安息香酸、マロノニトリル、トリニトロフルオレノン、トリニトロチオキサントン、ジニトロベンゼン、ジニトロアントラセン、ジニトロアクリジン、ニトロアントラキノン、ジニトロアントラキノン、チオピラン系化合物、キノン系化合物、ベンゾキノン系化合物、ジフェノキノン化合物、ナフトキノン系化合物、アントラキノン系化合物、スチルベンキノン化合物、上記特定構造を有するアゾキノン誘導体以外のアゾキノン化合物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物等を使用することができる。
特には、他の電子輸送材料としては、電界強度を20V/μmとしたときの電子移動度が15×10-8[cm2/V・s]以上、特には17×10-8~35×10-8[cm2/V・s]のものを用いることが好ましい。ここで、上記電子移動度は、電子輸送材料を、樹脂バインダ中に50質量%となるよう添加して得られた塗布液により作製された試料を用いて測定することができる。電子輸送材料と樹脂バインダとの比は50:50である。樹脂バインダはビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂でよい。例えば、ユピゼータPCZ-500(商品名、三菱ガス化学(株)製)でよい。具体的には、この塗布液を基材上に塗布し、120℃で30分間乾燥して膜厚7μmの塗膜を作製し、TOF(Time of Flight)法を用いて、一定の電界強度20V/μmにおける電子移動度を測定することができる。測定温度は300Kである。
中でも、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体とともに併用する他の電子輸送材料として、下記一般式(ET2)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物や、下記構造式(ET-1)で示される構造を有する化合物を用いることが好ましい。これらの電子輸送材料を適宜組み合わせで併用することで、感光体表面の、周辺部材からの耐汚染性の改善や、装置プロセスとの合わせ込みの際の感度特性の調整が、容易となる場合がある。
式(ET2)中、R11およびR12は、同一であっても異なっていてもよく、水素原子、炭素数1~10のアルキル基、アルキレン基、アルコキシ基、アルキルエステル基、置換基を有してもよいフェニル基、置換基を有してもよいナフチル基またはハロゲン原子を示し、R11およびR12は、互いに結合して、置換基を有してもよい芳香環を形成していてもよい。
上記一般式(ET2)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
ここで、電子輸送材料として、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体と上記一般式(ET2)で示される構造を有するナフタレンテトラカルボン酸ジイミド化合物とを併用する場合の質量比ET1:ET2は、好適には5:95~95:5であり、より好適には20:80~80:20である。また、電子輸送材料として、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体と上記構造式(ET-1)で示される構造を有する化合物とを併用する場合の質量比ET1:ET-1は、好適には5:95~95:5であり、より好適には20:80~80:20である。上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の量が少なすぎると、階調性の悪化やメモリーの発生の問題を生じ易く、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の量が多すぎると、感光体の耐溶剤性が悪化する可能性がある。
前述したように、本発明の実施形態に係る感光体においては、感光層に含まれる電子輸送材料が、上記条件を満足する。本発明の実施形態に係る感光体は、図1に示す正帯電型の単層型電子写真用感光体、または、図2に示す正帯電型の積層型電子写真用感光体の層構成を有する。
導電性基体1は、感光体の電極としての役目と同時に感光体を構成する各層の支持体ともなっており、円筒状、板状、フィルム状などのいずれの形状でもよい。導電性基体1の材質としては、アルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルなどの金属類、または、ガラス、樹脂などの表面に導電処理を施したもの等を使用できる。
下引き層2は、樹脂を主成分とする層やアルマイト(陽極酸化処理)などの金属酸化皮膜からなるものである。下引き層2は、導電性基体1から感光層への電荷の注入性の制御や、導電性基体1の表面の欠陥の被覆、感光層と導電性基体1との接着性の向上などの目的で、必要に応じて設けられる。下引き層2に用いられる樹脂材料としては、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリアミド、メラミン、セルロースなどの絶縁性高分子や、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリンなどの導電性高分子が挙げられ、これらの樹脂は単独、または、適宜組み合わせて混合して用いることができる。また、これらの樹脂に、二酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物を含有させて用いてもよい。
(正帯電単層型感光体)
正帯電単層型感光体の場合、単層型感光層3が、上記特定の電子輸送材料を含む感光層となる。正帯電単層型感光体において、単層型感光層3は、主として電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料(アクセプター性化合物)および樹脂バインダーを単一層に含む単層型正帯電の感光層である。
正帯電単層型感光体の場合、単層型感光層3が、上記特定の電子輸送材料を含む感光層となる。正帯電単層型感光体において、単層型感光層3は、主として電荷発生材料、正孔輸送材料、電子輸送材料(アクセプター性化合物)および樹脂バインダーを単一層に含む単層型正帯電の感光層である。
単層型感光層3の電荷発生材料としては、特に制限されず、公知の材料のうちから適宜選択して用いることができる。具体的には、電荷発生材料としては、露光光源の波長に光感度を有する材料であれば特に制限を受けるものではなく、例えば、フタロシアニン顔料、アゾ顔料、キナクリドン顔料、インジゴ顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、スクアリリウム顔料、チアピリリウム顔料、多環キノン顔料、アントアントロン顔料、ベンゾイミダゾール顔料などの有機顔料が使用できる。特に、フタロシアニン顔料としては、無金属フタロシアニン、チタニルフタロシアニン、クロロガリウムフタロシアニン、ヒドロキシガリウムフタロシアニン、銅フタロシアニン、アゾ顔料としては、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン顔料としては、N,N’-ビス(3,5-ジメチルフェニル)-3,4:9,10-ペリレン-ビス(カルボキシイミド)が挙げられる。中でも、無金属フタロシアニンまたはチタニルフタロシアニンを用いることが好ましい。無金属フタロシアニンとしては、例えば、X型無金属フタロシアニン、τ型無金属フタロシアニン等を用いることができ、チタニルフタロシアニンとしては、α型チタニルフタロシアニン、β型チタニルフタロシアニン、Y型チタニルフタロシアニン、アモルファス型チタニルフタロシアニン、特開平8-209023号公報、米国特許第5736282号明細書および米国特許第5874570号明細書に記載のCuKα:X線回析スペクトルにてブラッグ角2θが9.6°を最大ピークとするチタニルフタロシアニン等を用いることができる。電荷発生材料は、上記のうちいずれか1種を用いることができ、2種以上を併用してもよい。
単層型感光層3の正孔輸送材料としては、例えば、ヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、ピラゾロン化合物、オキサジアゾール化合物、オキサゾール化合物、アリールアミン化合物、ベンジジン化合物、スチルベン化合物、スチリル化合物、ポリ-N-ビニルカルバゾール、ポリシラン等を使用することができ、中でも、アリールアミン化合物が好ましい。これら正孔輸送材料は、単独で、または、2種以上を組み合わせて使用することが可能である。正孔輸送材料としては、光照射時に発生する正孔の輸送能力が優れている他、電荷発生材料との組み合せにおいて好適なものが好ましい。また、好適には、正孔輸送材料としては、電界強度を20V/μmとしたときの正孔移動度が15×10-6[cm2/V・s]以上、特には20×10-6~80×10-6[cm2/V・s]のものを用いる。正孔移動度が15×10-6[cm2/V・s]未満であると、ゴーストが発生し易くなる。ここで、上記正孔移動度は、正孔輸送材料を、樹脂バインダー中に50質量%となるよう添加して得られた塗布液を用いて測定することができる。正孔輸送材料と樹脂バインダーとの比は50:50である。樹脂バインダーはビスフェノールZ型ポリカーボネート樹脂でよい。例えば、ユピゼータPCZ-500(商品名、三菱ガス化学(株)製)でよい。具体的には、この塗布液を基材上に塗布し、120℃で30分間乾燥して膜厚7μmの塗膜を作製し、TOF(Time of Flight)法を用いて、一定の電界強度20V/μmにおける正孔移動度を測定することができる。測定温度は300Kである。
正孔輸送材料としては、具体的には例えば、下記一般式(HT1)で示される構造を有する化合物が挙げられる。
式(HT1)中、R21は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~3のアルキル基を示し、R22~R31は、各々独立に、水素原子、ハロゲン原子、置換基を有してもよい炭素数1~6のアルキル基または置換基を有してもよい炭素数1~6のアルコキシ基を示し、l,m,nは0~4の整数であり、Rは水素原子または置換基を有してもよい炭素数1~3のアルキル基を示す。
正孔輸送材料としての、上記一般式(HT1)で示される構造を有する化合物の具体例としては、以下のようなものが挙げられる。
正孔輸送材料の具体例としては、さらに、以下のような化合物も挙げられる。
単層型感光層3の樹脂バインダーとしては、ビスフェノールA型、ビスフェノールZ型、ビスフェノールA型-ビフェニル共重合体、ビスフェノールZ型-ビフェニル共重合体などの各種ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、メタクリル酸エステルの重合体およびこれらの共重合体などを用いることができる。さらに、分子量の異なる同種の樹脂を混合して用いてもよい。
好適な樹脂バインダーとしては、下記一般式(GB1)で示される繰り返し単位を有する樹脂が挙げられる。好適な樹脂バインダーのより具体的な例としては、下記構造式(GB1-1)~(GB1-3)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂が挙げられる。
式中、R41およびR42は、水素原子、メチル基またはエチル基であり、Xは酸素原子、硫黄原子または-CR43R44であり、R43およびR44は、水素原子、炭素数1~4のアルキル基若しくは置換基を有してもよいフェニル基であるか、または、R43とR44とが環状に結合して炭素数4~6の置換基を有してもよいシクロアルキル基を形成していてもよく、R43とR44とは同一であっても異なっていてもよい。
単層型感光層3における電荷発生材料の含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には0.1~5質量%、より好適には0.5~3質量%である。単層型感光層3における正孔輸送材料の含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には3~60質量%、より好適には10~40質量%である。単層型感光層3における電子輸送材料の含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には1~50質量%、より好適には5~20質量%である。正孔輸送材料および電子輸送材料の含有量の比は4:1~3:2の範囲であってよい。単層型感光層3における樹脂バインダーの含有量は、単層型感光層3の固形分に対して、好適には20~80質量%、より好適には30~70質量%である。
単層型感光層3の膜厚は、実用的に有効な表面電位を維持するためには3~100μmの範囲が好ましく、5~40μmの範囲がより好ましい。
(正帯電積層型感光体)
正帯電積層型感光体の場合、電荷輸送層4および電荷発生層5を含む積層型正帯電の感光層6が、上記特定の電子輸送材料を含む感光層となる。電荷輸送層4および電荷発生層5は導電性基体1上に順次積層されている。正帯電積層型感光体において、電荷輸送層4は、少なくとも第一の正孔輸送材料および樹脂バインダーを含み、電荷発生層5は、少なくとも電荷発生材料、第二の正孔輸送材料、上記特定の電子輸送材料、および、樹脂バインダーを含む。正帯電積層型感光体においては、電子輸送材料を、さらに電荷輸送層4に含んでもよい。
正帯電積層型感光体の場合、電荷輸送層4および電荷発生層5を含む積層型正帯電の感光層6が、上記特定の電子輸送材料を含む感光層となる。電荷輸送層4および電荷発生層5は導電性基体1上に順次積層されている。正帯電積層型感光体において、電荷輸送層4は、少なくとも第一の正孔輸送材料および樹脂バインダーを含み、電荷発生層5は、少なくとも電荷発生材料、第二の正孔輸送材料、上記特定の電子輸送材料、および、樹脂バインダーを含む。正帯電積層型感光体においては、電子輸送材料を、さらに電荷輸送層4に含んでもよい。
電荷輸送層4における第一の正孔輸送材料および樹脂バインダーとしては、単層型感光層3について挙げたものと同様の材料を用いることができる。
電荷輸送層4における第一の正孔輸送材料の含有量としては、電荷輸送層4の固形分に対して、好適には10~80質量%、より好適には20~70質量%である。電荷輸送層4における樹脂バインダーの含有量としては、電荷輸送層4の固形分に対して、好適には20~90質量%、より好適には30~80質量%である。
また、電荷輸送層4の膜厚としては、実用上有効な表面電位を維持するためには3~50μmの範囲が好ましく、15~40μmの範囲がより好ましい。
電荷発生層5における電荷発生材料、第二の正孔輸送材料、電子輸送材料および樹脂バインダーとしては、単層型感光層3について挙げたものと同様の材料を用いることができる。
電荷発生層5における電荷発生材料の含有量は、電荷発生層5の固形分に対して、好適には0.1~5質量%、より好適には0.5~3質量%である。電荷発生層5における第二の正孔輸送材料の含有量は、電荷発生層5の固形分に対して、好適には1~30質量%、より好適には5~20質量%である。電荷発生層5における電子輸送材料の含有量は、電荷発生層5の固形分に対して、好適には5~65質量%、より好適には10~60質量%である。複数種の電子輸送材料を混合して用いる場合、電子輸送材料の含有量は、電荷発生層5の固形分に対して、50~60質量%であってよい。第二の正孔輸送材料および電子輸送材料の含有量の比は1:3~1:10の範囲であってよい。電荷発生層5における樹脂バインダーの含有量は、電荷発生層5の固形分に対して、好適には20~80質量%、より好適には30~70質量%である。
電荷発生層5の膜厚は、単層型感光体の単層型感光層3と同様とすることができる。
本発明の実施形態に係る感光体においては、積層型または単層型のいずれの感光層中にも、形成した膜のレベリング性の向上や潤滑性の付与を目的として、シリコーンオイルやフッ素系オイル等のレベリング剤を含有させることができる。また、膜硬度の調整や摩擦係数の低減、潤滑性の付与等を目的として、複数種の無機酸化物を含ませることができる。シリカ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化カルシウム、アルミナ、酸化ジルコニウム等の金属酸化物、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の金属硫酸塩、窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物の微粒子、または、4フッ化エチレン樹脂等のフッ素系樹脂粒子、フッ素系クシ型グラフト重合樹脂粒子等を含有させてもよい。さらに、必要に応じて、電子写真特性を著しく損なわない範囲で、その他公知の添加剤を含有させることもできる。
また、上記感光層中には、耐環境性や有害な光に対する安定性を向上させる目的で、酸化防止剤や光安定剤などの劣化防止剤を含有させることができる。このような目的に用いられる化合物としては、トコフェロールなどのクロマノール誘導体およびエステル化化合物、ポリアリールアルカン化合物、ハイドロキノン誘導体、エーテル化化合物、ジエーテル化化合物、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、チオエーテル化合物、フェニレンジアミン誘導体、ホスホン酸エステル、亜リン酸エステル、フェノール化合物、ヒンダードフェノール化合物、直鎖アミン化合物、環状アミン化合物、ヒンダードアミン化合物等が挙げられる。
(感光体の製造方法)
本発明の実施形態に係る感光体の製造方法は、上記電子写真用感光体を製造するにあたり、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む感光層用塗布液を準備する工程と、準備した感光層用塗布液を用いて、浸漬塗工法により感光層を形成する工程と、を含む。
本発明の実施形態に係る感光体の製造方法は、上記電子写真用感光体を製造するにあたり、上記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む感光層用塗布液を準備する工程と、準備した感光層用塗布液を用いて、浸漬塗工法により感光層を形成する工程と、を含む。
具体的には、単層型感光体は、上記特定のアゾキノン誘導体を含む電子輸送材料、並びに、任意の電荷発生材料、正孔輸送材料および樹脂バインダーを、溶媒中に溶解、分散させて単層型感光層の形成用塗布液を調製し準備する工程と、得られた単層型感光層の形成用塗布液を、導電性基体の外周に、所望に応じ下引き層を介して浸漬塗工法により塗工、乾燥させて感光層を形成する工程と、を含む方法により、製造することができる。
また、積層型感光体の場合、まず、任意の正孔輸送材料および樹脂バインダーを溶媒に溶解させて電荷輸送層の形成用塗布液を調製し準備する工程と、この電荷輸送層の形成用塗布液を、導電性基体の外周に、所望に応じ下引き層を介して浸漬塗工法により塗工、乾燥させて電荷輸送層を形成する工程と、を含む方法により、電荷輸送層を形成する。次に、上記特定のアゾキノン誘導体を含む電子輸送材料、並びに、任意の電荷発生材料、正孔輸送材料および樹脂バインダーを、溶媒中に溶解、分散させて電荷発生層の形成用塗布液を調製し準備する工程と、この電荷発生層の形成用塗布液を、上記電荷輸送層上に浸漬塗工法により塗工、乾燥させて電荷発生層を形成する工程と、を含む方法により電荷発生層を形成する。このような製造方法により、本発明の実施形態に係る積層型感光体を製造することができる。ここで、塗布液の調製に用いる溶媒の種類や、塗工条件、乾燥条件等についても、常法に従い適宜選択することができ、特に制限されるものではない。
本発明の実施形態に係る電子写真用感光体は、各種マシンプロセスに適用することにより所期の効果が得られるものである。具体的には、ローラやブラシなどの帯電部材を用いた接触帯電方式、コロトロンやスコロトロンなどを用いた非接触帯電方式等の帯電プロセス、並びに、非磁性一成分、磁性一成分、二成分などの現像剤を用いた接触現像および非接触現像方式などの現像プロセスにおいても、十分な効果を得ることができる。
(電子写真装置)
本発明の実施形態に係る電子写真装置は、上記電子写真用感光体が搭載されてなる。本発明の実施形態に係る電子写真装置は、特に、モノクロ高速プリンタや小型の中速タンデムカラープリンタに適用した場合においても、十分な高感度を有するとともに、多様な環境下における繰り返し印字時の電位安定性に優れ、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題を生じない。
本発明の実施形態に係る電子写真装置は、上記電子写真用感光体が搭載されてなる。本発明の実施形態に係る電子写真装置は、特に、モノクロ高速プリンタや小型の中速タンデムカラープリンタに適用した場合においても、十分な高感度を有するとともに、多様な環境下における繰り返し印字時の電位安定性に優れ、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題を生じない。
図3に、本発明の電子写真装置の一構成例の概略構成図を示す。図示する電子写真装置30は、導電性基体1と、その外周面上に被覆された下引き層2並びに電荷輸送層4および電荷発生層5からなる感光層6とを含む、本発明の実施形態に係る感光体20を搭載する。この電子写真装置30は、感光体20の外周縁部に配置された、図示する例ではスコロトロンの帯電極21と、この帯電極21に印加電圧を供給する高圧電源22と、像露光部材23と、現像器24と、転写極25と、から構成される。電子写真装置30は、さらに、クリーニング部材26を含んでもよい。また、本発明の実施形態に係る電子写真装置30は、カラープリンタとすることができる。
以下、本発明の具体的態様を、実施例を用いてさらに詳細に説明する。本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例によって限定されるものではない。
<積層型感光体>
(実施例1)
導電性基体としては、φ30mm×長さ252.6mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。導電性基体は表面にアルマイト層を備えていた。
(実施例1)
導電性基体としては、φ30mm×長さ252.6mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。導電性基体は表面にアルマイト層を備えていた。
[電荷輸送層]
下記の表1に示す配合量に従い、正孔輸送材料としての上記構造式(HT1-5)で示される化合物と、樹脂バインダーとしての上記構造式(GB1-1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを、テトラヒドロフランに溶解して、塗布液を調製した。この塗布液を、上記導電性基体上に浸漬塗工法により塗工し、100℃で30分間乾燥して、膜厚10μmの電荷輸送層を形成した。
下記の表1に示す配合量に従い、正孔輸送材料としての上記構造式(HT1-5)で示される化合物と、樹脂バインダーとしての上記構造式(GB1-1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを、テトラヒドロフランに溶解して、塗布液を調製した。この塗布液を、上記導電性基体上に浸漬塗工法により塗工し、100℃で30分間乾燥して、膜厚10μmの電荷輸送層を形成した。
[電荷発生層]
下記の表1に示す配合量に従い、正孔輸送材料としての上記構造式(HT1-5)で示される化合物と、電子輸送材料としての上記構造式(ET1-4)で示される化合物と、樹脂バインダーとしての上記構造式(GB1-2)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを、テトラヒドロフランに溶解させ、電荷発生材料としての下記構造式(CG1)で示されるチタニルフタロシアニンを添加した後、分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社製DYNO-MILLリサーチラボ型)にて、ビーズ:φ0.4ZrO、充填率:70%、回転数:3000rpm、3パスの条件で分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記電荷輸送層上に浸漬塗工法により塗布し、温度110℃で30分間乾燥することにより膜厚15μmの電荷発生層を形成して、膜厚25μmの感光層を有する積層型電子写真用感光体を得た。
下記の表1に示す配合量に従い、正孔輸送材料としての上記構造式(HT1-5)で示される化合物と、電子輸送材料としての上記構造式(ET1-4)で示される化合物と、樹脂バインダーとしての上記構造式(GB1-2)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを、テトラヒドロフランに溶解させ、電荷発生材料としての下記構造式(CG1)で示されるチタニルフタロシアニンを添加した後、分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社製DYNO-MILLリサーチラボ型)にて、ビーズ:φ0.4ZrO、充填率:70%、回転数:3000rpm、3パスの条件で分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記電荷輸送層上に浸漬塗工法により塗布し、温度110℃で30分間乾燥することにより膜厚15μmの電荷発生層を形成して、膜厚25μmの感光層を有する積層型電子写真用感光体を得た。
ここで、上記構造式(ET1-4)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を1g溶解させるために必要なテトラヒドロフランの質量(g)で表される、このアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は、1(g)であった。
(実施例2~30および比較例1~11)
下記の表1~3に示す条件に従い、各材料の種類、配合量および各層の膜厚を変えた以外は実施例1と同様にして、正帯電積層型電子写真用感光体を得た。比較例で用いた材料の構造式を、下記に示す。
下記の表1~3に示す条件に従い、各材料の種類、配合量および各層の膜厚を変えた以外は実施例1と同様にして、正帯電積層型電子写真用感光体を得た。比較例で用いた材料の構造式を、下記に示す。
ここで、実施例2~30および比較例1~11で用いた電子輸送材料のうち、上記構造式(ET1-5)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は1(g)、上記構造式(ET1-3)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は1(g)以下、上記構造式(ET-1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は3(g)、上記構造式(ET-2)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は15(g)、上記構造式(ET-3)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)は22(g)であった。
(液状態の評価)
[溶解性の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体について、使用する電子輸送材料1g(複数の電子輸送剤を使用する場合はその比率により案分して合計1gとなる量)を溶解させるために必要なテトラヒドロフラン(THF)溶剤の量を測定して、2g以下の場合を◎、2gを超え5g以下の場合を〇、5gを超え20g以下の場合を△、20gを超える場合を×として評価した。
[溶解性の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体について、使用する電子輸送材料1g(複数の電子輸送剤を使用する場合はその比率により案分して合計1gとなる量)を溶解させるために必要なテトラヒドロフラン(THF)溶剤の量を測定して、2g以下の場合を◎、2gを超え5g以下の場合を〇、5gを超え20g以下の場合を△、20gを超える場合を×として評価した。
[析出物の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体について、電荷発生層の成膜時における電子輸送材料の析出物を目視および光学顕微鏡で観察し、析出物が認められなかった場合(析出物の大きさが1μm未満)を〇、析出物の大きさが1μm以上、50μm未満の場合を△、析出物の大きさが50μm以上の場合を×として評価した。
得られた各実施例および比較例の感光体について、電荷発生層の成膜時における電子輸送材料の析出物を目視および光学顕微鏡で観察し、析出物が認められなかった場合(析出物の大きさが1μm未満)を〇、析出物の大きさが1μm以上、50μm未満の場合を△、析出物の大きさが50μm以上の場合を×として評価した。
[粒径の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体について、塗布液中の粗大な粒子の有無を、メディアン径D50を測定することにより評価した。具体的には、電荷発生層用の塗布液を、溶媒THFで20倍希釈したものを、動的光散乱式粒径分布測定装置 LB-500(堀場製作所製)を用いて測定した。メディアン径D50が、D50≦400nmである場合を〇、400nm<D50≦500nmである場合を△、D50>500nmである場合を×とした。
得られた各実施例および比較例の感光体について、塗布液中の粗大な粒子の有無を、メディアン径D50を測定することにより評価した。具体的には、電荷発生層用の塗布液を、溶媒THFで20倍希釈したものを、動的光散乱式粒径分布測定装置 LB-500(堀場製作所製)を用いて測定した。メディアン径D50が、D50≦400nmである場合を〇、400nm<D50≦500nmである場合を△、D50>500nmである場合を×とした。
(電気特性の評価)
[感度の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)のイエロー、シアン、マゼンダ、黒(4色)の各トナーの位置に装着して、温度25℃、湿度40%の環境下において実機露光後電位を測定した平均値について、120V未満である場合を◎、120V以上140V未満である場合を〇、140V以上160V未満である場合を△、160V以上である場合を×とした。
[感度の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)のイエロー、シアン、マゼンダ、黒(4色)の各トナーの位置に装着して、温度25℃、湿度40%の環境下において実機露光後電位を測定した平均値について、120V未満である場合を◎、120V以上140V未満である場合を〇、140V以上160V未満である場合を△、160V以上である場合を×とした。
[電位安定性の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)の4色の各トナーの位置に装着して、温度10℃、湿度25%の環境下における50k枚印字後の帯電電位低下量を測定した平均値について、30V未満である場合を◎、30V以上50V未満である場合を〇、50V以上80V以下である場合を△、80Vを超える場合を×とした。
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)の4色の各トナーの位置に装着して、温度10℃、湿度25%の環境下における50k枚印字後の帯電電位低下量を測定した平均値について、30V未満である場合を◎、30V以上50V未満である場合を〇、50V以上80V以下である場合を△、80Vを超える場合を×とした。
(画像特性の評価)
[階調性の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)の4色の各トナーの位置に装着して、4色の単色画像にて低濃度から高濃度までの面積階調10段階の画像を印字し、各階調での印字濃度を濃度計(グレタグマクベスRD-19I)にて測定し、各階調とその前後の階調での濃度差が0.05以上である場合を〇、0.05未満0.02以上である場合を△、0.02未満である場合を×とした。
[階調性の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)の4色の各トナーの位置に装着して、4色の単色画像にて低濃度から高濃度までの面積階調10段階の画像を印字し、各階調での印字濃度を濃度計(グレタグマクベスRD-19I)にて測定し、各階調とその前後の階調での濃度差が0.05以上である場合を〇、0.05未満0.02以上である場合を△、0.02未満である場合を×とした。
[ゴースト画像の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)の4色の各トナーの位置に装着して、4色の単色画像にてソリッド画像を印字し、そのソリッド画像部の感光体1周分の間隔後に中間調(1on2off画像)を印刷し、中間調部分と中間調部分に現れるソリッド画像のゴースト部についての印字濃度差を測定した。濃度差が0.02未満である場合を〇、0.02以上0.05未満である場合を△、0.05以上である場合を×とした。
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度31ppmのタンデムカラープリンタ(HL-9310CDW,ブラザー工業(株)製)の4色の各トナーの位置に装着して、4色の単色画像にてソリッド画像を印字し、そのソリッド画像部の感光体1周分の間隔後に中間調(1on2off画像)を印刷し、中間調部分と中間調部分に現れるソリッド画像のゴースト部についての印字濃度差を測定した。濃度差が0.02未満である場合を〇、0.02以上0.05未満である場合を△、0.05以上である場合を×とした。
これらの評価結果を、下記の表4,5中に示す。なお、第一の電子輸送材料を構造式(ET1-1),(ET1-3),(ET1-4),(ET1-5)で示される各化合物で比較すると、実施例4,13,23,30の結果より、一般式(ET1)における塩素元素の位置は、R4およびR8のうち少なくとも1つが塩素原子である場合が好ましいことがわかる。また、特に、第一の電子輸送材料が構造式(ET1-4)または(ET1-5)で示される化合物である場合、実施例1~3、実施例4~6、実施例7~9、実施例10~12、実施例13~15および実施例16~18のそれぞれを比較すると、第二の電子輸送材料を添加した方が電位安定性が向上することがわかる。
<単層型感光体>
(実施例31)
導電性基体としては、φ30mm×長さ244.5mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。導電性基体は表面にアルマイト層を備えていた。
(実施例31)
導電性基体としては、φ30mm×長さ244.5mm、表面粗さ(Rmax)0.2μmに切削加工されたアルミニウム製の0.75mm肉厚管を用いた。導電性基体は表面にアルマイト層を備えていた。
[単層型感光層]
下記の表6に示す配合量に従い、正孔輸送材料としての上記構造式(HT1-5)で示される化合物と、電子輸送材料としての上記構造式(ET1-3)で示される化合物と、樹脂バインダーとしての上記構造式(GB1-1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを、テトラヒドロフランに溶解させ、電荷発生材料としての上記構造式(CG1)で示されるチタニルフタロシアニンを添加した後、分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社製DYNO-MILLリサーチラボ型)にて、ビーズ:φ0.4ZrO、充填率:60%、回転数:3600rpm、4パスの条件で分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記アルマイト層上に浸漬塗工法により塗布し、温度100℃で60分間乾燥することにより膜厚30μmの単層型感光層を形成して、正帯電単層型電子写真用感光体を得た。
下記の表6に示す配合量に従い、正孔輸送材料としての上記構造式(HT1-5)で示される化合物と、電子輸送材料としての上記構造式(ET1-3)で示される化合物と、樹脂バインダーとしての上記構造式(GB1-1)で示される繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂とを、テトラヒドロフランに溶解させ、電荷発生材料としての上記構造式(CG1)で示されるチタニルフタロシアニンを添加した後、分散機(ウィリー・エ・バッコーフェン社製DYNO-MILLリサーチラボ型)にて、ビーズ:φ0.4ZrO、充填率:60%、回転数:3600rpm、4パスの条件で分散処理を行うことにより、塗布液を調製した。この塗布液を、上記アルマイト層上に浸漬塗工法により塗布し、温度100℃で60分間乾燥することにより膜厚30μmの単層型感光層を形成して、正帯電単層型電子写真用感光体を得た。
(実施例32~38および比較例12~16)
下記の表6に示す条件に従い、各材料の種類および配合量を変えた以外は実施例31と同様にして、正帯電単層型電子写真用感光体を得た。
下記の表6に示す条件に従い、各材料の種類および配合量を変えた以外は実施例31と同様にして、正帯電単層型電子写真用感光体を得た。
(液状態の評価)
[析出物の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体について、単層型感光層の成膜時における電子輸送材料の析出物を目視および光学顕微鏡で観察し、析出物が認められなかった場合(析出物の大きさが1μm未満)を〇、析出物の大きさが1μm以上、50μm未満の場合を△、析出物の大きさが50μm以上の場合を×として評価した。
[析出物の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体について、単層型感光層の成膜時における電子輸送材料の析出物を目視および光学顕微鏡で観察し、析出物が認められなかった場合(析出物の大きさが1μm未満)を〇、析出物の大きさが1μm以上、50μm未満の場合を△、析出物の大きさが50μm以上の場合を×として評価した。
[粒径の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体について、塗布液中の粗大な粒子の有無を、メディアン径D50を測定することにより評価した。具体的には、単層型感光層用の塗布液を、溶媒THFで20倍希釈したものを、動的光散乱式粒径分布測定装置 LB-500(堀場製作所製)を用いて測定した。メディアン径D50が、D50≦400nmである場合を〇、400nm<D50≦500nmである場合を△、D50>500nmである場合を×とした。
得られた各実施例および比較例の感光体について、塗布液中の粗大な粒子の有無を、メディアン径D50を測定することにより評価した。具体的には、単層型感光層用の塗布液を、溶媒THFで20倍希釈したものを、動的光散乱式粒径分布測定装置 LB-500(堀場製作所製)を用いて測定した。メディアン径D50が、D50≦400nmである場合を〇、400nm<D50≦500nmである場合を△、D50>500nmである場合を×とした。
(電気特性の評価)
[感度の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度40ppmのモノクロプリンタ(HL-5200DW,ブラザー工業(株)製)に装着して、温度25℃、湿度40%の環境下において実機露光後電位を測定した平均値について、120V未満である場合を◎、120V以上140V未満である場合を〇、140V以上160V未満である場合を△、160V以上である場合を×とした。
[感度の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度40ppmのモノクロプリンタ(HL-5200DW,ブラザー工業(株)製)に装着して、温度25℃、湿度40%の環境下において実機露光後電位を測定した平均値について、120V未満である場合を◎、120V以上140V未満である場合を〇、140V以上160V未満である場合を△、160V以上である場合を×とした。
[電位安定性の評価]
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度40ppmのモノクロプリンタ(HL-5200DW,ブラザー工業(株)製)に装着して、温度10℃、湿度25%の環境下における50k枚印字後の帯電電位低下量を測定した平均値について、30V未満である場合を◎、30V以上50V未満である場合を〇、50V以上80V未満である場合を△、80V以上である場合を×とした。
得られた各実施例および比較例の感光体を、印字速度40ppmのモノクロプリンタ(HL-5200DW,ブラザー工業(株)製)に装着して、温度10℃、湿度25%の環境下における50k枚印字後の帯電電位低下量を測定した平均値について、30V未満である場合を◎、30V以上50V未満である場合を〇、50V以上80V未満である場合を△、80V以上である場合を×とした。
これらの評価結果を、下記の表7中に示す。なお、第一の電子輸送材料を構造式(ET1-1),(ET1-3),(ET1-4),(ET1-5)で示される各化合物で比較すると、積層型と同じく、実施例31,33,35,37の結果より、一般式(ET1)における塩素元素の位置は、R4およびR8のうち少なくとも1つが塩素原子である場合が好ましいことがわかる。また、特に、第一の電子輸送材料が構造式(ET1-4)または(ET1-5)で示される化合物である場合、実施例33~36を比較すると、第二の電子輸送材料を添加した方が電位安定性が向上することがわかる。
以上より、本発明の条件を満足する電子輸送材料を用いるものとすることによって、十分な高感度を有するとともに、多様な環境下における繰り返し印字時の電位安定性に優れ、階調性の悪化やメモリー画像の発生等の問題を生じない電子写真用感光体が得られることが確かめられた。
1 導電性基体
2 下引き層
3 単層型感光層
4 電荷輸送層
5 電荷発生層
6 感光層
20 感光体
21 帯電極
22 高圧電源
23 像露光部材
24 現像器
25 転写極
26 クリーニング部材
30 電子写真装置
2 下引き層
3 単層型感光層
4 電荷輸送層
5 電荷発生層
6 感光層
20 感光体
21 帯電極
22 高圧電源
23 像露光部材
24 現像器
25 転写極
26 クリーニング部材
30 電子写真装置
Claims (11)
- 導電性基体と、
前記導電性基体上に設けられた感光層と、を備える正帯電型電子写真用感光体であって、
前記感光層が電子輸送材料を含み、前記電子輸送材料の少なくとも1種が下記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む電子写真用感光体。
(式(ET1)中、R1およびR2は、同一または異なって、水素原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R3は、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、シクロアルキル基、置換基を有してもよいアラルキル基またはハロゲン化アルキル基を表す。R4~R8のうち少なくとも2つは塩素原子を表し、塩素原子を表すもの以外の残りのR4~R8は、同一または異なって、水素原子、塩素原子以外のハロゲン原子、炭素数1~12のアルキル基、炭素数1~12のアルコキシ基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアラルキル基、置換基を有してもよいフェノキシ基、ハロゲン化アルキル基、シアノ基またはニトロ基を表す。置換基は、ハロゲン原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、水酸基、シアノ基、アミノ基、ニトロ基またはハロゲン化アルキル基を表す。) - R4およびR8のうち少なくとも1つが塩素原子である請求項1記載の電子写真用感光体。
- R1およびR2がターシャリーブチル基であって、R3が水素原子である請求項1または2記載の電子写真用感光体。
- 前記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体の溶解度SETM(THF)(前記アゾキノン誘導体を1g溶解させるために必要なテトラヒドロフランの質量(g))が、下記式、
SETM(THF)≦2.0
を満足する請求項1~3のうちいずれか一項記載の電子写真用感光体。 - 前記感光層が、電荷輸送層と電荷発生層とを順次積層してなる積層型であり、
前記電荷発生層が前記電子輸送材料を含む請求項1~7のうちいずれか一項記載の電子写真用感光体。 - 前記感光層が、単層型であって、前記電子輸送材料を含む請求項1~7のうちいずれか一項記載の電子写真用感光体。
- 請求項1~9のうちいずれか一項記載の電子写真用感光体を製造するにあたり、
前記一般式(ET1)で示される構造を有するアゾキノン誘導体を含む感光層用塗布液を準備する工程と、
前記感光層用塗布液を用いて浸漬塗工法により前記感光層を形成する工程と、
を含む電子写真用感光体の製造方法。 - 請求項1~9のうちいずれか一項記載の電子写真用感光体が搭載されてなる電子写真装置。
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US17/548,368 US20220197161A1 (en) | 2020-12-21 | 2021-12-10 | Electrophotographic photoconductor, method of manufacturing the same, and electrophotographic equipment |
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2020211737 | 2020-12-21 |
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JP2021157137A Pending JP2022098420A (ja) | 2020-12-21 | 2021-09-27 | 電子写真用感光体、その製造方法および電子写真装置 |
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Country | Link |
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- 2021-09-27 JP JP2021157137A patent/JP2022098420A/ja active Pending
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