JP2022096971A - 船舶推進機 - Google Patents

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【課題】クラッチの入出力間で多少の回転差がある状態でも結合可能であって、エンジンと電動モータの一方でも両方でもプロペラシャフトを駆動可能な船舶推進機にする。【解決手段】エンジン動力伝達経路は、エンジン2と一体に回転する第一軸13と、第一軸13と第二軸14間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチ15と、第二軸14と一体的なピニオンギヤ16とプロペラシャフト11間で回転を伝達する出力経路部17を有し、モータ動力伝達経路は第二軸14で主伝達経路に合流している。第一クラッチ15は、第一軸13と一体的な外方部20と、第二軸14と一体的な内方部30との間に係合子40を保持し、保持器50に回り止めされたアーマチュア70を電磁石80でロータ90に磁気吸着させることで係合子40を中立位置から係合位置に移動させ、係合子40等の復帰用に中立ばね60、離反ばね100を設ける。【選択図】図1

Description

この発明は、動力源としてエンジン及び電動モータを備える船舶推進機に関する。
モータボート等の小型船舶では、一般に、船体の外に推進機が配置されている。この種の船舶推進機は、燃料タンク、エンジン、動力伝達系(ギヤ、クラッチ、プロペラシャフト等)をハウジングに内蔵している。
船体外で推進機から発せられる騒音は、入出港の際に問題視される。そのため、入出港時に電動モータでプロペラシャフトを駆動することが可能な船舶推進機が注目されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の船舶推進機は、エンジンとプロペラシャフト間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチと、電動モータとプロペラシャフト間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチとを備えている。その第一クラッチと第二クラッチは、それぞれドグクラッチに構成されている。シフトアクチュエータにより、第一クラッチと第二クラッチの一方が回転伝達状態に切り替えられると共に他方が遮断状態に切り替えられる。
特開2020-29185号公報
しかしながら、特許文献1の船舶推進機では、ドグクラッチを備えるため、入出力間の回転差を無くしてからクラッチを結合しないと、歯飛びが発生してクラッチが噛み合えなかったり、噛み合い時に大きな異音が発生したりする問題がある。
また、第一クラッチと第二クラッチの一方だけを選択的に動力伝達状態に切り替える構造であるから、エンジンと電動モータの一方でしかプロペラシャフトを駆動することができない問題がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、クラッチの入出力間で多少の回転差がある状態でも結合を行うことが可能でありながら、エンジンと電動モータの一方でも両方でもプロペラシャフトを駆動可能な船舶推進機にすることである。
上記の課題を達成するため、この発明は、プロペラと一体に回転するプロペラシャフトと、エンジンと、電動モータと、前記エンジンの動力を伝達する主伝達経路と、前記電動モータの動力を伝達するハイブリッド伝達経路とを備える船舶推進機において、前記主伝達経路は、前記エンジンと一体に回転する第一軸と、前記第一軸に対して下方の位置で前記第一軸と同軸に配置された第二軸と、前記第一軸と前記第二軸との間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチと、前記第二軸と一体に回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと前記プロペラシャフト間で回転を伝達する出力経路部とを有し、前記ハイブリッド伝達経路は、前記第二軸で前記主伝達経路に合流しており、前記第一クラッチは、前記第一軸と一体に回転する外方部と、前記外方部の内側で前記第二軸と一体に回転する内方部と、前記外方部と前記内方部との間に配置された係合子と、前記係合子を保持する保持器と、前記外方部と前記内方部の一方に対する前記保持器の相対回転によって弾性変形させられる中立ばねと、前記保持器に対して回り止めされたアーマチュアと、前記アーマチュアに対向する電磁石と、前記外方部と前記内方部の前記一方と反対の他方に対して回り止めされた状態で前記アーマチュアに対向するロータと、前記アーマチュアを前記ロータから離反する方向に押圧する離反ばねと、を有し、前記係合子は、前記保持器の相対回転によって前記外方部及び前記内方部に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動させられるように配置されており、前記アーマチュアは、前記電磁石に対する通電によって前記ロータに磁気吸着させられる可動部材からなる構成を採用した。
上記構成によれば、第一クラッチが電磁石でアーマチュアをロータに吸着させることで係合状態に切り替わるものなので、外方部と内方部間に多少の回転差がある状態でも結合を行い、エンジンの動力を主伝達経路でプロペラシャフトまで伝達することができる。また、ハイブリッド伝達経路が第二軸で主伝達経路に合流しているので、電動モータの動力をハイブリッド伝達経路、第二軸、出力経路部によりプロペラシャフトまで伝達することができる。したがって、電磁石に対する通電を遮断し、電動モータを運転する場合、電動モータの動力だけでプロペラシャフトを駆動することができ、電磁石に対する通電を遮断し、エンジンを運転する場合、エンジンの動力だけでプロペラシャフトを駆動することができ、電磁石に対して通電しかつエンジン及び電動モータを運転する場合、エンジンと電動モータの両方の動力でプロペラシャフトを駆動することができる。
前記ハイブリッド伝達経路は、前記電動モータと前記第二軸との間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチを有するとよい。このようにすると、エンジンの動力のみをプロペラシャフトに伝達させる場合に第二クラッチで第二軸と電動モータ間の回転伝達を遮断して、エンジンの燃費を良くすることができる。
前記第一クラッチ及び前記電動モータが収容された一体のケーシングをさらに備えるとよい。このようにすると、第一クラッチと電動モータを同一のケーシングで位置決めすることができ、ハイブリッド伝達経路と第二軸の合流部を精度よく組み合わせることが容易である。
前記ロータは、前記電磁石の上方に配置されており、前記アーマチュアは、前記ロータの上方に配置されており、前記ロータの上面と前記アーマチュアの下面との間に前記離反ばねが配置されており、前記電磁石は、通電によって前記アーマチュアを下方に磁気吸引するものであるとよい。このようにすると、電磁石がアーマチュアをロータに吸着する際、アーマチュアの自重も下方への移動に寄与するので、アーマチュアをロータに吸着し易くすることができる。
前記外方部と前記内方部の前記他方は円筒面を有し、前記外方部と前記内方部の前記一方は前記円筒面と周方向にくさび空間を形成するカム面を有し、前記係合子は、前記円筒面と前記カム面との間に配置されたローラからなるとよい。このようにすると、外方部と内方部間の回転差が大きい状態で第一クラッチの結合が行われるとき、係合子が円筒面とカム面に係合するまでの間、係合子が円筒面に擦られて自転することで円筒面とカム面を滑り、回転が徐々に伝達される半係合状態を経るので、衝撃を抑えるのに有利である。
前記第一クラッチは、前記外方部に固定された非磁性材製のロータガイドを有し、前記ロータは、前記ロータガイドに固定されることによって前記外方部と非接触の状態に配置されているとよい。このようにすると、外方部とロータをロータガイドを介して回り止めしつつ、電磁石の磁界がロータから外方部に漏洩することを抑えることができる。また、外方部とロータが分離した状態でアーマチュア等をロータと外方部との間に配置することが可能なため、第一クラッチの組み立てを容易にすることができる。
前記ハイブリッド伝達経路は、前記第二軸と平行に配置された主動ギヤと、前記第二軸と一体に回転する従動ギヤとを有するとよい。このようにすると、ハイブリッド伝達経路と第二軸を簡素な歯車伝達機構で合流させることができる。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、クラッチの入出力間で多少の回転差がある状態でも結合を行うことが可能でありながら、エンジンと電動モータの一方でも両方でもプロペラシャフトを駆動可能な船舶推進機にすることができる。
この発明の第一実施形態に係る船舶推進機の第一クラッチ付近の構造を示す断面図 第一実施形態に係る船舶推進機を模式的に示す左側面図 図1に示すアーマチュア付近の拡大図 図3に示すIV-IV線の切断面を示す拡大断面図 図3に示す係合子の中立位置と係合位置を示す部分断面図 この発明の第二実施形態に係る船舶推進機の要部を示す断面図 この発明の第三実施形態に係る船舶推進機の要部を示す断面図
以下、この発明に係る一例としての第一実施形態を添付の図1~図5に基づいて説明する。
図1、2に示す船舶推進機1は、その上部にエンジン2、電子制御ユニット(ECU)3等を備え、その下部に電動モータ4、プロペラ5、ラダー6等を備えるユニットとして構成されている。
この船舶推進機1は、船体(船舶)7の後尾に懸架装置8を介して重力軸回りおよび水平軸回りに転舵自在に取り付けられる。この船舶推進機1は、ステアリング装置9によって船体7に対して左右に回動させられ、パワーチルトトリム装置10によって船体7に対して上下に回動させられる。この船舶推進機1の基準姿勢は、エンジン2(クランクシャフト)の回転軸線が鉛直方向に延び、エンジン2の回転軸線に直交するプロペラシャフト11の回転軸線が前後方向に延びる姿勢である。
エンジン2及び電動モータ4の一方又は両方の動力がプロペラシャフト11に伝達される。船舶推進機1は、エンジン2、ECU3、電動モータ4等を収容するハウジング12を備える。ハウジング12は、エンジン収容部と、ギヤ収容部とを上下に接合する構造になっている。ラダー6は、ハウジング12のギヤ収容部と一体に設けられている。
エンジン2は、一定の回転方向にクランクシャフトを回転させる機関であり、例えば、4サイクルガソリンエンジンからなる。ハウジング12の内部には、スロットルバルブを開閉する電動アクチュエータや燃料タンク(図示省略)が設置されている。
ハウジング12の内部には、エンジン2の動力を伝達する主伝達経路と、電動モータ4の動力を伝達するハイブリッド伝達経路とが構成されている。
プロペラ5は、プロペラシャフト11と一体に回転するように連結されている。プロペラ5は、プロペラシャフト11に伝達された動力で正転又は逆転する。プロペラ5の正転により船体7が前進させられ、プロペラ5の逆転により船体7が後進させられる。
船体7ないし船舶推進機1に備わる各種操縦装置(図示省略)から出力された信号は、対応の配線L1~L6を介してECU3に送られる。その信号として、例えば、操縦者によって操作されるステアリングホイールの操舵角に応じた舵角信号、操縦者によって操作されるスロットルレバーの位置に応じたスロットル信号、操縦者によって操作されるシフトレバーの位置、具体的には中立、前進および後進のいずれかに応じたシフト信号、操縦者によって選択される駆動方式(エンジンの動力による駆動、電動モータの動力による駆動、エンジン及び電動モータの動力による駆動)に応じた駆動モード信号、操縦者によって入力されるチルトのアップ・ダウンおよびトリムのアップ・ダウンの指示に応じた昇降角信号が挙げられる。
ECU3は、舵角信号に応じてステアリング装置9を動作させて船舶推進機1を操舵する。また、ECU3は、昇降角信号に応じてパワーチルトトリム装置10を動作させて船舶推進機1のチルト角やトリム角を変える。また、ECU3は、駆動モード信号、スロットル信号及びシフト信号に応じてエンジン2の出力、電動モータ4の回転方向及び出力、主伝達経路の動作切り替え等の所定の制御を行う。
主伝達経路は、エンジン2のクランクシャフトと一体に回転する第一軸13と、第一軸13に対して下方の位置で第一軸13と同軸に配置された第二軸14と、第一軸13と第二軸14との間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチ15と、第二軸14と一体に回転するピニオンギヤ16と、ピニオンギヤ16とプロペラシャフト11間で回転を伝達する出力経路部17とで構成されている。
第一クラッチ15が第一軸13と第二軸14を結合すると、エンジン2の動力をクランクシャフトからピニオンギヤ16まで伝達するドライブシャフトが構成される。ピニオンギヤ16は、第二軸14と同軸に設けられたベベルギヤからなる。ピニオンギヤ16のボス部は、第二軸14とスプライン嵌合によって連結されている。出力経路部17は、ピニオンギヤ16と常時噛み合う前進ギヤからなる。出力経路部17は、プロペラシャフト11と一体に回転する。エンジン2の動力が出力経路部17に伝達される場合には、プロペラシャフト11が正転方向(プロペラが船舶を前進させる方向)に回転させられる。
第一クラッチ15は、図1、図3に示すように、第一軸13と一体に回転する外方部20と、外方部20の内側で第二軸14と一体に回転する内方部30と、外方部20と内方部30との間に配置された係合子40と、係合子40を保持する保持器50と、保持器50の位相をばね力で保持し、外方部20と内方部30の一方としての内方部30に対する保持器50の相対回転によって弾性変形させられる中立ばね60と、保持器50に対して回り止めされたアーマチュア70と、アーマチュア70に対向する電磁石80と、外方部20と内方部30の他方としての外方部20に対して回り止めされた状態でアーマチュア70に対向するロータ90と、アーマチュア70をロータ90から離反する方向に押圧する離反ばね100と、を有する。
外方部20と内方部30の回転軸線は、第一軸13の回転軸線と同軸に設定されている。以下、その回転軸線に沿った方向を単に「軸線方向」という。また、その軸線方向に直交する方向を「径方向」という。また、その回転軸線回りの円周方向を「周方向」という。
第一クラッチ15は、ケーシング110に挿入されている。図2に示すハウジング12の内側に固定されている。図3に示すように、ケーシング110に対する第一クラッチ15の挿入範囲は、電磁石80と、外方部20、内方部30と係合子40の係合部、電磁石80のON/OFF切り替えに連動する作動部(アーマチュア70、ロータ90、離反ばね100)をケーシング110内に収容する範囲となっている。ケーシング110のうち、第一クラッチ15が挿入された収容筒部111と外方部20の外周との間、収容筒部111と第二軸14との間は、それぞれシール部材によって塞がれている。
外方部20は、外輪21と、外輪21の上方側に連結された継手軸22とを有する。継手軸22は、外輪21の上方側に形成された肩部と、外輪21の上方側に取り付けられた止め輪23とで軸線方向に拘束されている。継手軸22の下方側は、外輪21の上方側とスプライン嵌合され、継手軸22の上方側は、図2に示す第一軸13とスプライン嵌合される。これにより、図3に示す外方部20は、図2に示す第一軸13と一体に回転可能に連結されている。なお、外輪21と継手軸22は、一体に形成することも可能である。
図3、図4に示すように、外輪21は、軸線方向両端で開口した環状部品からなる。外輪21の内周には、周方向全周に延びる円筒面24と、円筒面24よりも上方側の部位で円筒面24よりも小さな内径に形成された軸受座面25とが形成されている。外輪21の外周の下方側には、外方部20の外径を成す肩部26が形成されている。
内方部30は、第二軸14の上方側の端部に結合されたカムリングからなる。内方部30の内周と第二軸14の外周は、スプライン嵌合によって一体に回転可能に連結されている。
図3に示すように、内方部30は、円筒面24と周方向にくさび空間を形成するカム面31と、カム面31よりも上方側の部位でカム面31よりも小さな外径に形成された第一端部32と、カム面31よりも下方側の部位でカム面31よりも小さな外径に形成された第二端部33とを有する。
外方部20の外周の下方側と収容筒部111の内周との間に軸受120が取り付けられている。軸受120は、外方部20を収容筒部111に対して回転自在に支持するためのものである。軸受120は、転がり軸受になっている。軸受120は、収容筒部111に形成された肩部と、収容筒部111に取り付けられた止め輪121と、外輪21に連結されたロータガイド91と、肩部26と、外輪21に取り付けられた止め輪122とにより、軸線方向の移動を規制されている。
また、内方部30の第一端部32の外周と外方部20の軸受座面25との間に軸受123が取り付けられている。軸受123は、内方部30を外方部20に対して回転自在に支持するためのものである。図1、図3に示すように、軸受123は、転がり軸受になっている。軸受123は、外輪21の内周に形成された肩部と、外輪21に取り付けられた止め輪124と、内方部30の外周に形成された肩部とにより、軸線方向の移動を規制されている。
図4に示すように、カム面31は、正多角形状の一辺の長さ方向に延びる平面状になっている。カム面31と円筒面24とで形成されるくさび空間は、カム面31の周方向中央から周方向両端に向かって次第に狭小となっている。なお、カム面31を複数の面で構成してもよいし、単一の曲面で構成することも可能である。
係合子40は、円筒面24とカム面31との間に配置されたローラからなる。係合子40は、円筒ころ状に形成されている。
内方部30の外周には、周方向に間隔をおいて複数のカム面31が形成されている。すなわち、複数のくさび空間が形成され、各くさび空間に係合子40が配置されている。
保持器50は、図3~図5に示すように、周方向に並ぶ複数の柱部51と、これら柱部51の上方側に連続する第一環部52と、これら柱部51の下方側に連続する第二環部53とを有する。周方向に隣り合う柱部51間の空間が、係合子40を収容する空間になっている。係合子40は、周方向に対向する柱部51との当接により、カム面31に対する周方向位置が制限され、また、保持器50と共に強制的に回転させられる。
カム面31と円筒面24との間の径方向の距離は、カム面31の周方向中央に位置する係合子40(図5において実線で描いた。)の位置から周方向の一方向に向かって次第に小さくなり、また、当該係合子40の位置から周方向の他方向に向かって次第に小さくなっている。係合子40は、カム面31に対する保持器50の相対回転によって円筒面24及びカム面31に係合する係合位置(図5において一点鎖線で描いた位置)と、円筒面24及びカム面31との係合を解除する中立位置(図5において実線で描いた位置)との間を移動可能に配置されている。係合位置で円筒面24およびカム面31に係合した係合子40は、内方部30に対して保持器50が相対回転する際、内方部30と外方部20間で回転トルクを伝達する。
図3に示すように、保持器50の第一環部52は、内方部30側へ出張ったフランジ状に曲げられている。このフランジ状態は、保持器50の剛性向上に貢献する。保持器50の全体は、例えば、金属板を素材としたプレス加工や、粉末冶金によって一体に形成される。プレス加工で保持器50の全体的な形状を形成する場合、例えば、金属板として鋼板を用いることができる。
保持器50は、第一環部52の内周において内方部30の第一端部32の外周に回転自在に嵌合されている。第一環部52と内方部30の前方側の段差面34との当接によって、保持器50の下方側への移動が規制される。また、内方部30の第一端部32の外周に取り付けられた止め輪125と第一環部52との当接によって、保持器50の上方側への移動が規制される。
図3、図4に示す中立ばね60は、内方部30に対する保持器50の相対回転により弾性変形させられ、その復元弾性によって当該保持器50を復帰回転させる弾性部材からなる。中立ばね60は、係合子40が中立位置となるように保持器50を弾性的に保持する。
中立ばね60は、C形のリング部61と、リング部61の両端から保持器50側に向けて形成された一対の係合片部62とを有する金属ばねからなる。内方部30には、下方側に向かって開放した凹部35が形成されている。凹部35は、周方向の一部で断絶した形状の環状壁35aを有する。凹部35は、軸線方向に一定の深さをもっている。その凹部35内に中立ばね60が嵌っている。
中立ばね60のリング部61は、内方部30の第二端部33の外周に通され、環状壁35aの内側に嵌合されている。保持器50は、環状壁35aの断絶空間の外方に係合口部54を有する。一対の係合片部62は、環状壁35aの断絶空間(環状壁の周方向両端間の空間)及び係合口部54に挿入されている。一対の係合片部62は、環状壁35a、係合口部54を周方向の相反する方向に向かって押圧する。その押圧によって、保持器50は、係合子40が中立位置となる位相に保持される。
図3に示す中立ばね60は、保持器50と一体に回転するばね保持リング55によって凹部内に保たれている。ばね保持リング55は、内方部30の第二端部33の外周に嵌合されると共に、保持器50と一体に回転することができるように第二環部53に結合された板部材からなる。ばね保持リング55は、第二端部33の外周に取り付けられた止め輪126により、下方側への移動が阻止されている。
アーマチュア70は、内方部30の第二端部33の外周にスライド自在に嵌合された可動部材からなる。アーマチュア70は、径方向に沿いかつ全周に延びる環状側面を有する。アーマチュア70と保持器50は、ばね保持リング55を介して回り止めされている。ばね保持リング55の係合部が保持器50の第二環部53の切欠部及びアーマチュア70の係合孔部に挿入された回り止め構造になっている。なお、ばね保持リング55を省略し、アーマチュアに係合孔部を形成し、そこに保持器の係合突片を挿入する回り止め構造を採用することも可能である。
図1、図3に示すロータガイド91は、非磁性材の筒部材からなる。非磁性材として、例えば、アルミニウム合金等が挙げられる。ロータガイド91の上方側は、外輪21の外周の下方側に嵌合されている。ロータガイド91は、肩部26、軸受120、止め輪122により、外方部20に固定されている。
ロータ90は、ロータガイド91の下方側に固定されている。ロータ90の外周と、ロータガイド91の内周には、それぞれ周溝が形成されており、それら周溝間に抜け止めリング92が介在している。ロータ90は、ロータガイド91に対する嵌合と、抜け止めリング92と両周溝の係止とにより、ロータガイド91に固定されている。ロータ90は、ロータガイド91に固定されることによって、外方部20と一体回転可能かつ外方部20と非接触の状態に配置されている。
ロータ90は、内方円筒部93と、この内方円筒部93の外方に位置する外方円筒部94と、これら両円筒部93、94を繋ぐ端壁部95とを有する。端壁部95は、径方向に沿いかつ全周に亘る環状面を有する。なお、アーマチュア70と電磁石80とロータ90間を循環する磁気回路がアーマチュア70と電磁石80間を往復する回数を増やしてアーマチュア70に対する磁気吸引力を強くするため、端壁部95を軸線方向に貫通し周方向に円弧状に延びる磁束遮断用のスリットが複数形成されている。
ロータガイド91を介してロータ90と鋼製の外輪21とを非接触の状態に保たれるため、電磁石80からロータ90に入った磁束がアーマチュア70へ向かわずに外輪21へ磁束漏洩することは防止される。
ロータ90の内周と第二軸14との間に軸受127が配置されている。軸受127は、ロータ90を第二軸14に対して回転自在に支持するためのものである。
電磁石80は、ロータ90の内方円筒部93と外方円筒部94との間の空間に配置されている。電磁石80は、フィールドコア81と、フィールドコア81に支持されたコイル82とからなる。収容筒部111は、フィールドコア81の内周の下方側に嵌合しかつ軸線方向に突き当たる環状座112を有する。また、フィールドコア81の外周に取り付けられた止め輪128と、収容筒部111の内周に取り付けられた止め輪129とが軸線方向に係合している。電磁石80は、環状座112がフィールドコア81の径方向及び下方動を規制し、止め輪128と止め輪129の係合がフィールドコア81の上方動を規制することにより、電磁石80が収容筒部111に対して静止させられている。
図3に示すように、ロータ90の端壁部95は、電磁石80の上方に配置されている。アーマチュア70は、端壁部95の上方に配置されている。離反ばね100は、端壁部95の上面とアーマチュア70の下面との間に介在するように配置されている。電磁石80は、通電によってアーマチュア70を下方に磁気吸引する。
アーマチュア70がロータ90から軸線方向に離反する量は、ロータ90とアーマチュア70間のエアギャップに相当する。このエアギャップは、止め輪126によるアーマチュア70の離反規制によって制限されている。
第二軸14の軸線方向移動によるエアギャップの狂いを防止するため、第二軸14とケーシング110との間には、スラスト荷重を支持する複数の軸受130、131が取り付けられている。軸受130は、第二軸14と収容筒部111の下方側との間に取り付けられている。また、ケーシング110は、収容筒部111の下方側に嵌合されかつ軸線方向に突き合わされたギヤケース部113を有し、このギヤケース部113と第二軸14との間にも、複列の軸受131が取り付けられている。
前述のハイブリッド伝達経路は、電動モータ4の回転軸から入力された回転を減速する減速機140と、第二軸14と平行に配置された主動ギヤ141と、第二軸14と一体に回転する従動ギヤ142とを有する。従動ギヤ142は、第二軸14と一体に形成されている。減速機140は、電動モータ4の回転軸から入力された回転を減速する。減速機140は、電動モータ4と組み合わされたギヤボックスになっており、ギヤボックス内で減速した回転を主動ギヤ141に出力する。ハイブリッド伝達経路は、主動ギヤ141と従動ギヤ142の噛み合いにより、第二軸14で合流している。
なお、従動ギヤを第二軸に取り付ける構造に変更することも可能であり、このような変更は、内方部と第二軸を一体に形成する場合に好適である。
電動モータ4を駆動するための配線L7と、電磁石80のコイル82に通電するための配線L8は、それぞれ図2に示すECU3に接続されている。
第一クラッチ15の動作について説明する(以下、図1~図5を適宜、参照のこと。)。ECU3によって電磁石80のコイル82への通電が遮断されている無励磁状態では、係合子40が中立位置にあり、保持器50は、中立ばね60のばね力により、カム面31に対して係合子40を中立位置に保つ位相に保持される。このため、内方部30(第二軸14)と外方部20(第一軸13)間で相対回転が生じたとしても、内方部30と外方部20間ではトルクが伝達されず、内方部30と外方部20が相対的に空転(フリー回転)する。つまり、第一クラッチ15は、係合子40が内方部30及び外方部20に係合不可な係合解除状態にある。
内方部30と外方部20の少なくとも一方が回転し、これら両部が相対的に回転する状態において、電磁石80のコイル82に通電すると、電磁石80が励磁状態になって、アーマチュア70が、離反ばね100に抗してロータ90に磁気的に吸着させられる。このとき、ロータ90とアーマチュア70の環状面同士が吸着させられるので、ロータ90とアーマチュア70の位相差を問わずに吸着させられる。そのロータ90とアーマチュア70の環状面間に作用する摩擦抵抗は中立ばね60のばね力よりも大きい。このため、アーマチュア70に対して回り止めされた保持器50から押される中立ばね60が弾性変形を生じて、保持器50が内方部30に対して相対回転する。その相対回転により、係合子40は、円筒面24とカム面31間のくさび空間の狭小部に押し込まれて円筒面24とカム面31に係合する。このため、内方部30と外方部20間では、係合子40を介してトルクが伝達される。このように、第一クラッチ15は、係合解除状態から電磁的に、係合子40が内方部30及び外方部20に係合可能な係合状態に切り替えることができる。
このように係合状態へ切り替えて第一クラッチ15の結合が行われるとき、外方部20と内方部30間の回転差が大きい状態であれば、係合子40が円筒面24とカム面31に係合するまでの間、係合子40が円筒面24に擦られて自転することで円筒面24とカム面31を滑り、回転が徐々に伝達される半係合状態を経てから係合するので、衝撃が抑えられる。
前述の係合状態において、ECU3が電磁石80のコイル82に対する通電を遮断すると、離反ばね100の押圧により、アーマチュア70がロータ90から離反させられる。アーマチュア70がロータ90から離反すると、中立ばね60のばね力により、保持器50が内方部30に対して係合時の逆方向に回転し、柱部51に押された係合子40が中立位置に戻る。このように、第一クラッチ15は、係合状態から電磁的に係合解除状態に切り替えることができる。
ECU3は、第一クラッチ15の電磁石80に通電するエンジン駆動モード実行機能と、第一クラッチ15の電磁石80への通電を遮断する中立モード実行機能と、電動モータ4を正転させる第一電動モード実行機能と、電動モータ4を逆転させる第二電動モード実行機能とを有し、これら実行機能の中から一又は複数を選択して実行する。
ECU3が前述の信号に応じてエンジン駆動モード実行機能を実行する場合、主伝達経路とプロペラシャフト11間での回転伝達が第一クラッチ15を介して行われるので、船舶推進機1は、エンジン2の動力によりプロペラシャフト11を正転させて船体7を前進させることができる。
ECU3が前述の信号に応じて中立モード実行機能を実行する場合、第一クラッチ15の空転により、主伝達経路とプロペラシャフト11間での回転伝達が遮断されるので、船舶推進機1は、エンジン2の動力によりプロペラシャフト11を回転させることができない。
ECU3が前述の信号に応じて中立モード実行機能に加えて第一電動モード実行機能又は第二電動モード実行機能を実行する場合、第一クラッチ15が空転し、電動モータ4の正転又は逆転がハイブリッド伝達経路から主伝達経路の第二軸14に合流してプロペラシャフト11に伝達されるので、船舶推進機1は、電動モータ4の動力によりプロペラシャフト11を正転又は逆転させて船体7を前進又は後進させることができる。
上述のようなこの船舶推進機1は、プロペラ5と一体に回転するプロペラシャフト11と、エンジン2と、電動モータ4と、エンジン2の動力を伝達する主伝達経路と、電動モータ4の動力を伝達するハイブリッド伝達経路とを備え、その主伝達経路がエンジン2と一体に回転する第一軸13と、第一軸13に対して下方の位置で第一軸13と同軸に配置された第二軸14と、第一軸13と第二軸14との間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチ15と、第二軸14と一体に回転するピニオンギヤ16と、ピニオンギヤ16とプロペラシャフト11間で回転を伝達する出力経路部17とを有し、ハイブリッド伝達経路が第二軸14で主伝達経路に合流しており、第一クラッチ15が第一軸13と一体に回転する外方部20と、外方部20の内側で第二軸14と一体に回転する内方部30と、外方部20と内方部30との間に配置された係合子40と、係合子40を保持する保持器50と、外方部20と内方部30の一方に対する保持器50の相対回転によって弾性変形させられる中立ばね60と、保持器50に対して回り止めされたアーマチュア70と、アーマチュア70に対向する電磁石80と、外方部20と内方部30の一方と反対の他方に対して回り止めされた状態でアーマチュア70に対向するロータ90と、アーマチュア70をロータ90から離反する方向に押圧する離反ばね100と、を有し、係合子40が保持器50の相対回転によって外方部20及び内方部30に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動させられるように配置されており、アーマチュア70が電磁石80に対する通電によってロータ90に磁気吸着させられる可動部材からなることにより、第一クラッチ15では、電磁石80に対する通電によってアーマチュア70がロータ90との位相差を問わずに吸着させられ、そのアーマチュア70と共に保持器50が外方部20と内方部30の一方に対して相対回転させられ、その保持器50の相対回転によって係合子40が係合位置に移動させられ、その係合子40を介して外方部20と内方部30間で回転伝達が行われる。電磁石80に対する通電を遮断すれば、離反ばね100、中立ばね60の弾性反発により、係合子40が中立位置に戻るように保持器50が回転させられる。
すなわち、第一クラッチ15は、電磁石80でアーマチュア70をロータ90に吸着させることで係合状態に切り替わるものなので、アーマチュア70とロータ90間の位相差を許容した結合動作が可能であって、ドグクラッチのような歯飛びを起こす構造ではないので、外方部20(第一軸13)と内方部30(第二軸14)間に多少の回転差がある状態でも結合を行うことができる。
また、ハイブリッド伝達経路は、第二軸14で主伝達経路に合流しているので、電動モータ4の動力をハイブリッド伝達経路、第二軸14、出力経路部17によりプロペラシャフト11まで伝達することができる。したがって、この船舶推進機1は、電磁石80に対する通電を遮断し、電動モータ4を運転する場合、電動モータ4の動力だけでプロペラシャフト11を駆動することができ、電磁石80に対する通電を遮断し、エンジン2を運転する場合、エンジン2の動力だけでプロペラシャフト11を駆動することができ、電磁石80に対して通電しかつエンジン2及び電動モータ4を運転する場合、エンジン2と電動モータ4の両方の動力でプロペラシャフト11を駆動することができる。
このように、この船舶推進機1は、第一クラッチ15の入出力間で多少の回転差がある状態でも結合を行うことが可能でありながら、エンジン2と電動モータ4の一方でも両方でもプロペラシャフト11を駆動可能なものにすることができる。
また、この船舶推進機1は、ロータ90が電磁石80の上方に配置されており、アーマチュア70がロータ90の上方に配置されており、ロータ90の上面とアーマチュア70の下面との間に離反ばね100が配置されており、電磁石80が通電によってアーマチュア70を下方に磁気吸引するものであることにより、電磁石80がアーマチュア70をロータ90に吸着する際、アーマチュア70の自重も下方への移動に寄与するので、アーマチュア70をロータ90に吸着し易くすることができる。
また、この船舶推進機1は、外方部20と内方部30の他方が円筒面24を有し、外方部20と内方部30の一方が円筒面24と周方向にくさび空間を形成するカム面31を有し、係合子40が円筒面24とカム面31との間に配置されたローラからなることにより、外方部20と内方部30間の回転差が大きい状態で第一クラッチ15の結合が行われるとき、係合子40が円筒面24とカム面31に係合するまでの間、係合子40が円筒面24に擦られて自転することで円筒面24とカム面31を滑り、回転が徐々に伝達される半係合状態を経るので、衝撃を抑えるのに有利である。
また、この船舶推進機1は、第一クラッチ15が外方部20に固定された非磁性材製のロータガイド91を有し、ロータ90がロータガイド91に固定されることによって外方部20と非接触の状態に配置されていることにより、外方部20とロータ90をロータガイド91を介して回り止めしつつ、電磁石80の磁界がロータ90から外方部20に漏洩することを抑えることができる。また、この船舶推進機1は、外方部20とロータ90が分離した状態でアーマチュア70等をロータ90と外方部20との間に配置することができるため、第一クラッチ15の組み立てを容易にすることができる。
また、この船舶推進機1は、ハイブリッド伝達経路が第二軸14と平行に配置された主動ギヤ141と、第二軸14と一体に回転する従動ギヤ142とを有することにより、ハイブリッド伝達経路と第二軸14を簡素な歯車伝達機構で合流させることができる。
この発明の第二実施形態を図1、図6に基づいて説明する。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
第二実施形態に係る船舶推進機のハイブリッド伝達経路は、電動モータ4と第二軸14との間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチ143を有する。
第二クラッチ143は、電磁クラッチになっている。第二クラッチ143に通電するための配線L9(図1において図示省略)は、ECU3に接続されている。ECU3は、第二クラッチ143に対する通電も制御する。ECU3が第二クラッチ143に通電することで第二クラッチ143が結合すると、電動モータ4と第二軸14間での回転の伝達が行われる。
第二クラッチ143は、クラッチ容量を抑えるため、電動モータ4と減速機140との間に配置されている。
エンジン2の動力のみでプロペラシャフト11が回転させられ、電動モータ4への電源供給が行われておらず、かつ第一クラッチ15が結合された状態では、プロペラシャフト11の回転力が第二軸14からハイブリッド伝達経路を経て電動モータ4に逆入力されるので、常に電動モータ4が回転させられ、これにより、電動モータ4で回生された電気エネルギをバッテリ(図示省略)に充電することができる。
一方、バッテリを充電する必要がない場合、電動モータ4による回生は、エンジン2の動力で回転させられるプロペラシャフト11にとって連れ回り抵抗となり、エンジン2の燃費悪化に繋がるため、このような場合、ECU3が第二クラッチ143への通電を遮断することにより、電動モータ4とプロペラシャフト11間での回転伝達を遮断すれば、電動モータ4の連れ回りを避けて燃費向上を図ることができる。
このように、第二実施形態に係るハイブリッド伝達経路は、電動モータ4と第二軸14との間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチ143を有することにより、エンジン2の動力のみをプロペラシャフト11に伝達させる場合に第二クラッチ143で第二軸14と電動モータ4間の回転伝達を遮断して、エンジン2の燃費を良くすることができる。
この発明の第三実施形態を図7に基づいて説明する。
第三実施形態に係る船舶推進機は、第一クラッチ15及び電動モータ4を収容可能な一体のケーシング150をさらに備える。ケーシング150は、電動モータ4を挿入するモータ収容部151と、第一クラッチ15を挿入する収容筒部152とを一体に有する。モータ収容部151は、下方に向かって開放し、上方側を閉じた筒状になっている。収容筒部152は、第一実施形態の収容筒部と同等の収容機能を有する。モータ収容部151の内周は、挿入された電動モータ4の回転軸を第一軸13、第二軸14の回転軸線と所定の平行度に保つ。ギヤケース部153は、モータ収容部151の下方側と収容筒部152とに嵌合されている。
第三実施形態に係る船舶推進機は、第一クラッチ15と電動モータ4を同一のケーシング150で位置決めすることができ、ハイブリッド伝達経路と第二軸14の合流部(図示例において主動ギヤ141と従動ギヤ142)を精度よく組み合わせることが容易である。
上述の各実施形態では、外方部と内方部の一方として内方部を選択し、他方として外方部を選択したため、内方部30にカム面31を形成し、円筒面24を外方部20に形成した例を示したが、これとは逆に外方部を一方とし、内方部を他方として、円筒面を内方部に形成し、カム面を外方部の内周部に形成することも可能であり、この場合、中立ばね、保持器を外方部に嵌合し、ロータを内方部に回り止めすればよい。
また、カム面31と円筒面24とで形成するくさび空間として周方向両側で狭くなる空間を採用して、第一クラッチ15を正転方向と逆転方向のいずれにも結合可能なものとした例を示したが、第一クラッチは、正転方向と逆転方向のうち、対応の少なくとも一方向に結合可能なものであればよく、例えば、くさび空間を周方向片側だけで狭くすることで一方向クラッチに変更することが可能である。
また、係合子としてスプラグを採用することも可能であり、この場合、外方部の内周及び内方部の外周間に円環空間を形成し、保持器の相対回転によりスプラグの傾動位置を制御するようにしてもよい。
また、エンジン2の動力によって船体7を後進させる機能をもたない船舶推進機を例示したが、エンジン2の動力によって船体7を前後進させる機能を付加する変更も可能である。このような前後進対応の出力経路部は、シフタークラッチを利用した一般的なものであり、例えば、前進ギヤと、前進ギヤとプロペラシャフトの回転軸線方向に向き合う後進ギヤとをピニオンギヤ16に噛み合せ、ピニオンギヤ16の回転で前進ギヤと後進ギヤを相反する方向に回転させ、その前進ギヤと後進ギヤの一方をドグクラッチ(シフタークラッチ)で選択的にプロペラシャフトに結合することができるように構成すればよい。この変更例の場合、第一クラッチ15で第一軸13と第二軸14間の回転伝達を遮断すれば、エンジンの動力が前進ギヤと後進ギヤに伝達されず、これらギヤとプロペラシャフトの回転を早期に同期させて、ドグクラッチによるギヤイン時の衝撃を低減することができ、また、その衝撃が第一クラッチ15で遮断されて第一軸13に伝達せず、船舶推進機の振動と主動力伝達系の損傷を防止するのに有利となる。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 船舶推進機
2 エンジン
4 電動モータ
5 プロペラ
11 プロペラシャフト
13 第一軸
14 第二軸
15 第一クラッチ
16 ピニオンギヤ
17 出力経路部
20 外方部
24 円筒面
30 内方部
31 カム面
40 係合子
50 保持器
60 中立ばね
70 アーマチュア
80 電磁石
90 ロータ
91 ロータガイド
100 離反ばね
110、150 ケーシング
141 主動ギヤ
142 従動ギヤ
143 第二クラッチ

Claims (7)

  1. プロペラと一体に回転するプロペラシャフトと、エンジンと、電動モータと、前記エンジンの動力を伝達する主伝達経路と、前記電動モータの動力を伝達するハイブリッド伝達経路とを備える船舶推進機において、
    前記主伝達経路は、前記エンジンと一体に回転する第一軸と、前記第一軸に対して下方の位置で前記第一軸と同軸に配置された第二軸と、前記第一軸と前記第二軸との間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチと、前記第二軸と一体に回転するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと前記プロペラシャフト間で回転を伝達する出力経路部とを有し、
    前記ハイブリッド伝達経路は、前記第二軸で前記主伝達経路に合流しており、
    前記第一クラッチは、前記第一軸と一体に回転する外方部と、前記外方部の内側で前記第二軸と一体に回転する内方部と、前記外方部と前記内方部との間に配置された係合子と、前記係合子を保持する保持器と、前記外方部と前記内方部の一方に対する前記保持器の相対回転によって弾性変形させられる中立ばねと、前記保持器に対して回り止めされたアーマチュアと、前記アーマチュアに対向する電磁石と、前記外方部と前記内方部の前記一方と反対の他方に対して回り止めされた状態で前記アーマチュアに対向するロータと、前記アーマチュアを前記ロータから離反する方向に押圧する離反ばねと、を有し、
    前記係合子は、前記保持器の相対回転によって前記外方部及び前記内方部に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動させられるように配置されており、
    前記アーマチュアは、前記電磁石に対する通電によって前記ロータに磁気吸着させられる可動部材からなることを特徴とする船舶推進機。
  2. 前記ハイブリッド伝達経路は、前記電動モータと前記第二軸との間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチを有する請求項1に記載の船舶推進機。
  3. 前記第一クラッチ及び前記電動モータが収容された一体のケーシングをさらに備える請求項1又は2に記載の船舶推進機。
  4. 前記ロータは、前記電磁石の上方に配置されており、前記アーマチュアは、前記ロータの上方に配置されており、前記ロータの上面と前記アーマチュアの下面との間に前記離反ばねが配置されており、前記電磁石は、通電によって前記アーマチュアを下方に磁気吸引するものである請求項1から3のいずれか1項に記載の船舶推進機。
  5. 前記外方部と前記内方部の前記他方は円筒面を有し、前記外方部と前記内方部の前記一方は前記円筒面と周方向にくさび空間を形成するカム面を有し、
    前記係合子は、前記円筒面と前記カム面との間に配置されたローラからなる請求項1から4のいずれか1項に記載の船舶推進機。
  6. 前記第一クラッチは、前記外方部に固定された非磁性材製のロータガイドを有し、前記ロータは、前記ロータガイドに固定されることによって前記外方部と非接触の状態に配置されている請求項1から5のいずれか1項に記載の船舶推進機。
  7. 前記ハイブリッド伝達経路は、前記第二軸と平行に配置された主動ギヤと、前記第二軸と一体に回転する従動ギヤとを有する請求項1から6のいずれか1項に記載の船舶推進機。
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