JP2022096968A - 船舶推進機 - Google Patents

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【課題】クラッチの入出力間で多少の回転差がある状態でも結合を行うことが可能でありながら、エンジンと電動モータの一方でも両方でもプロペラシャフトを駆動可能な船舶推進機にする。【解決手段】エンジン2側のピニオンギヤ14と噛み合う前進ギヤ15及び後進ギヤ16と、ギヤ15、16の夫々とプロペラシャフト11間に設けたクラッチ17、18と、電動モータ4の動力を両クラッチ17、18から独立した経路でプロペラシャフト11に伝達する経路とを備える。クラッチ17、18は、ギヤ15又は16と一体的な外方部20と、プロペラシャフト11と一体的な内方部30との間に位置する係合子40を保持器50で保持し、保持器50に対して回り止めされたアーマチュア70を電磁石80でロータ90に磁気吸着させることで保持器50を外方部20に対し相対回転させて係合子40を中立位置から係合位置に移動させ、係合子40等の復帰用に中立ばね60、離反ばね100を設ける。【選択図】図1

Description

この発明は、動力源としてエンジン及び電動モータを備える船舶推進機に関する。
モータボート等の小型船舶では、一般に、船体の外に推進機が配置されている。この種の船舶推進機は、燃料タンク、エンジン、動力伝達系(ギヤ、クラッチ、プロペラシャフト等)をハウジングに内蔵している。
船体外で推進機から発せられる騒音は、入出港の際に問題視される。そのため、入出港時に電動モータでプロペラシャフトを駆動することが可能な船舶推進機が注目されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1の船舶推進機は、エンジンとプロペラシャフト間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチと、電動モータとプロペラシャフト間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチとを備えている。その第一クラッチと第二クラッチは、それぞれドグクラッチに構成されている。シフトアクチュエータにより、第一クラッチと第二クラッチの一方が回転伝達状態に切り替えられると共に他方が遮断状態に切り替えられる。
特開2020-29185号公報
しかしながら、特許文献1の船舶推進機では、ドグクラッチを備えるため、入出力間の回転差を無くしてからクラッチを結合しないと、歯飛びが発生してクラッチが噛み合えなかったり、噛み合い時に大きな異音が発生したりする問題がある。
また、第一クラッチと第二クラッチの一方だけを選択的に動力伝達状態に切り替える構造であるから、エンジンと電動モータの一方でしかプロペラシャフトを駆動することができない問題がある。
そこで、この発明が解決しようとする課題は、クラッチの入出力間で多少の回転差がある状態でも結合を行うことが可能でありながら、エンジンと電動モータの一方でも両方でもプロペラシャフトを駆動可能な船舶推進機にすることである。
上記の課題を達成するため、この発明は、プロペラと一体に回転するプロペラシャフトと、エンジンと、電動モータと、前記エンジンの動力を伝達するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛み合う前進ギヤと、前記ピニオンギヤと噛み合う後進ギヤと、前記前進ギヤと前記プロペラシャフトとの間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチと、前記後進ギヤと前記プロペラシャフトとの間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチと、前記電動モータの動力を前記第一クラッチ及び前記第二クラッチから独立した経路で前記プロペラシャフトに伝達するハイブリッド伝達経路と、を備え、前記第一クラッチ及び前記第二クラッチは、それぞれ対応の前記前進ギヤ又は前記後進ギヤと一体に回転する外方部と、前記外方部の内側で前記プロペラシャフトと一体に回転する内方部と、前記外方部と前記内方部との間に配置された係合子と、前記係合子を保持する保持器と、前記外方部と前記内方部の一方に対する前記保持器の相対回転によって弾性変形させられる中立ばねと、前記保持器に対して回り止めされたアーマチュアと、前記アーマチュアに対向する電磁石と、前記外方部と前記内方部の前記一方と反対の他方に対して回り止めされた状態で前記アーマチュアに対向するロータと、前記アーマチュアを前記ロータから離反する方向に押圧する離反ばねと、を有し、前記係合子は、前記保持器の相対回転によって前記外方部及び前記内方部に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動させられるように配置されており、前記アーマチュアは、前記電磁石に対する通電によって前記ロータに磁気吸着させられる可動部材からなる構成を採用した。
上記構成によれば、第一クラッチ及び第二クラッチは、それぞれ電磁石でアーマチュアをロータに吸着させることで係合状態に切り替わるものなので、外方部と内方部間に多少の回転差がある状態でも結合を行うことができる。その第一クラッチの電磁石に対して通電しかつ第二クラッチの電磁石に対する通電を遮断した状態にすれば、エンジンの動力を前進ギヤに伝達してプロペラシャフトを回転させることができ、第二クラッチの電磁石に対して通電しかつ第一クラッチの電磁石に対する通電を遮断した状態にすれば、エンジンの動力を後進ギヤに伝達してプロペラシャフトを回転させることができる。一方、第一クラッチ及び第二クラッチの各電磁石に対する通電を遮断した状態としかつ電動モータの動力をハイブリッド伝達経路でプロペラシャフトに伝達すれば、電動モータの回転方向に応じてプロペラシャフトを前進方向又は後進方向に回転させることができる。そのハイブリッド伝達経路は第一クラッチ及び第二クラッチから独立した経路であるから、エンジンの動力を第一クラッチ又は第二クラッチがプロペラシャフトに伝達する状態で電動モータの動力もプロペラシャフトに伝達することができる。
前記ハイブリッド伝達経路は、前記電動モータと前記プロペラシャフトとの間で回転の伝達と遮断を行う第三クラッチを有するとよい。このようにすると、エンジンの動力のみをプロペラシャフトに伝達させる場合に第三クラッチでプロペラシャフトと電動モータ間の回転伝達を遮断して、エンジンの燃費を良くすることができる。
前記前進ギヤ及び前記後進ギヤは、前記プロペラシャフトを取り囲みかつ前記プロペラシャフトの軸線方向に向き合っており、前記ピニオンギヤは、前記前進ギヤと前記後進ギヤ間に位置しており、前記第一クラッチ及び前記第二クラッチは、前記プロペラシャフトの周囲かつ前記前進ギヤ、前記後進ギヤ及び前記ピニオンギヤの内側に形成された空間に収容されているとよい。このようにすると、第一クラッチと第二クラッチをコンパクトに配置することができる。
前記前進ギヤと前記後進ギヤとの間かつ前記プロペラシャフトの周囲を取り囲む位置に静止する隔壁をさらに備え、前記第一クラッチの電磁石と前記第二クラッチの電磁石は、前記隔壁に固定されているとよい。このようにすると、前進ギヤ、後進ギヤの内側に収容する第一クラッチ、第二クラッチの各電磁石を共通の静止壁に固定し、これら電磁石に対する配線を取り纏めることができる。
また、前記第一クラッチ及び前記第二クラッチは、それぞれ対応の前記前進ギヤ又は前記後進ギヤに固定された非磁性材製のロータガイドを有し、前記第一クラッチのロータと前記第二クラッチのロータは、それぞれ対応の前記ロータガイドに固定されることによって前記前進ギヤ又は前記後進ギヤと非接触の状態に配置されているとよい。このようにすると、前進ギヤ又は後進ギヤと一体回転する外方部とロータをロータガイドを介して回り止めしつつ、各電磁石の磁界が対応のロータから前進ギヤ又は後進ギヤに漏洩することを抑えることができる。
前記外方部と前記内方部の前記他方は円筒面を有し、前記外方部と前記内方部の前記一方は前記円筒面と周方向にくさび空間を形成するカム面を有し、前記係合子は、前記円筒面と前記カム面との間に配置されたローラからなるとよい。このようにすると、外方部と内方部間の回転差が大きい状態で第一クラッチ、第二クラッチの結合が行われるとき、係合子が円筒面とカム面に係合するまでの間、係合子が円筒面に擦られて自転することで円筒面とカム面を滑り、回転が徐々に伝達される半係合状態を経るので、衝撃を抑えるのに有利である。
上述のように、この発明は、上記構成の採用により、クラッチの入出力間で多少の回転差がある状態でも結合を行うことが可能でありながら、エンジンと電動モータの一方でも両方でもプロペラシャフトを駆動可能な船舶推進機にすることができる。
この発明の第一実施形態に係る船舶推進機の第一、第二クラッチ付近の構造を示す断面図 第一実施形態に係る船舶推進機を模式的に示す左側面図 図1に示す第一クラッチ付近の拡大図 図3に示すIV-IV線の切断面を示す拡大断面図 図3に示す係合子の中立位置と係合位置を示す部分断面図 この発明の第二実施形態に係る船舶推進機の要部を示す断面図
以下、この発明に係る一例としての第一実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1、2に示す船舶推進機1は、その上部にエンジン2、電子制御ユニット(ECU)3等を備え、その下部に電動モータ4、プロペラ5、ラダー6等を備えるユニットとして構成されている。
この船舶推進機1は、船体(船舶)7の後尾に懸架装置8を介して重力軸回りおよび水平軸回りに転舵自在に取り付けられる。この船舶推進機1は、ステアリング装置9によって船体7に対して左右に回動させられ、パワーチルトトリム装置10によって船体7に対して上下に回動させられる。この船舶推進機1の基準姿勢は、エンジン2(クランクシャフト)の回転軸線が鉛直方向に延び、エンジン2の回転軸線に直交するプロペラシャフト11の回転軸線が前後方向に延びる姿勢である。
エンジン2及び電動モータ4の一方又は両方の動力がプロペラシャフト11に伝達される。船舶推進機1は、エンジン2、ECU3、電動モータ4等を収容するハウジング12を備える。ハウジング12は、エンジン収容部と、ギヤ収容部とを上下に接合する構造になっている。ラダー6は、ハウジング12のギヤ収容部と一体に設けられている。
エンジン2は、一定の回転方向にクランクシャフトを回転させる機関であり、例えば、4サイクルガソリンエンジンからなる。ハウジング12の内部には、スロットルバルブを開閉する電動アクチュエータや燃料タンク(図示省略)が設置されている。
ハウジング12の内部には、エンジン2の動力をプロペラシャフト11まで伝達する主伝達経路と、電動モータ4の動力をプロペラシャフト11まで伝達するハイブリッド伝達経路とが構成されている。
プロペラ5は、プロペラシャフト11と一体に回転するように連結されている。プロペラ5は、プロペラシャフト11に伝達された動力で正転又は逆転する。プロペラ5の正転により船体7が前進させられ、プロペラ5の逆転により船体7が後進させられる。
主伝達経路とハイブリッド伝達経路は、互いに独立している。すなわち、主伝達経路は、ハイブリッド伝達経路が電動モータ4の動力をプロペラシャフト11まで伝達している状態であるか否かを問わず、エンジン2の動力をプロペラシャフト11まで伝達することが可能な構成になっており、ハイブリッド伝達経路は、主伝達経路がエンジン2の動力をプロペラシャフト11まで伝達している状態であるか否かを問わず、電動モータ4の動力をプロペラシャフト11へ伝達することが可能な構成になっている。
船体7ないし船舶推進機1に備わる各種操縦装置(図示省略)から出力された信号は、対応の配線L1~L6を介してECU3に送られる。その信号として、例えば、操縦者によって操作されるステアリングホイールの操舵角に応じた舵角信号、操縦者によって操作されるスロットルレバーの位置に応じたスロットル信号、操縦者によって操作されるシフトレバーの位置、具体的には中立、前進および後進のいずれかに応じたシフト信号、操縦者によって選択される駆動方式(エンジンの動力による駆動、電動モータの動力による駆動、エンジン及び電動モータの動力による駆動)に応じた駆動モード信号、操縦者によって入力されるチルトのアップ・ダウンおよびトリムのアップ・ダウンの指示に応じた昇降角信号が挙げられる。
ECU3は、舵角信号に応じてステアリング装置9を動作させて船舶推進機1を操舵する。また、ECU3は、昇降角信号に応じてパワーチルトトリム装置10を動作させて船舶推進機1のチルト角やトリム角を変える。また、ECU3は、駆動モード信号、スロットル信号及びシフト信号に応じてエンジン2の出力、電動モータ4の回転方向及び出力、主伝達経路の動作切り替え等の所定の制御を行う。
主伝達経路は、エンジン2の下方で上下方向に延びるドライブシャフト13と、ドライブシャフト13と一体に回転するピニオンギヤ14と、ピニオンギヤ14と噛み合う前進ギヤ15と、ピニオンギヤ14と噛み合う後進ギヤ16と、前進ギヤ15とプロペラシャフト11との間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチ17と、後進ギヤ16とプロペラシャフト11との間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチ18とを備える。
ドライブシャフト13は、エンジン2のクランクシャフトから出力された動力を伝達する。ピニオンギヤ14は、ドライブシャフト13の下方側端部に設けられたベベルギヤからなる。前進ギヤ15及び後進ギヤ16は、ピニオンギヤ14に対応のベベルギヤからなる。前進ギヤ15及び後進ギヤ16は、プロペラシャフト11を取り囲みかつプロペラシャフト11の軸線方向に向き合っている。ピニオンギヤ14は、プロペラシャフト11に対して上方の位置で前進ギヤ15と後進ギヤ16間に位置し、前進ギヤ15及び後進ギヤ16と常時噛み合っている。前進ギヤ15と後進ギヤ16は、ピニオンギヤ14の回転によって互いに相反する方向に回転させられる。
第一クラッチ17及び第二クラッチ18は、プロペラシャフト11の周囲かつ前進ギヤ15、後進ギヤ16及びピニオンギヤ14の内側に形成された空間に収容されている。エンジン2の動力は、ドライブシャフト13とピニオンギヤ14を介して前進ギヤ15と後進ギヤ16に伝達されると共に、第一クラッチ17と第二クラッチ18のいずれか一つを介してプロペラシャフト11に伝達される。エンジン2の動力が前進ギヤ15に伝達される場合には、プロペラシャフト11が正転方向(プロペラが船舶を前進させる方向)に回転させられる。エンジン2の動力が後進ギヤ16に伝達される場合には、プロペラシャフト11が逆転方向(プロペラ5が船舶を後進させる方向)に回転させられる。
第一クラッチ17は、図3に示すように、前進ギヤ15と一体に回転する外方部20と、外方部20の内側でプロペラシャフト11と一体に回転する内方部30と、外方部20と内方部30との間に配置された係合子40と、係合子40を保持する保持器50と、保持器50の位相をばね力で保持し、外方部20と内方部30の一方としての内方部30に対する保持器50の相対回転によって弾性変形させられる中立ばね60と、保持器50に対して回り止めされたアーマチュア70と、アーマチュア70に対向する電磁石80と、外方部20と内方部30の他方としての外方部20に対して回り止めされた状態でアーマチュア70に対向するロータ90と、アーマチュア70をロータ90から離反する方向に押圧する離反ばね100と、を有する。
内方部30と外方部20の軸線(回転中心線)は、プロペラシャフト11の軸線と同軸に設定されており、以下、その軸線に沿った方向を単に「軸線方向」という。軸線方向に関して船舶の前進方向は、図中左方向に相当し、船舶の後進方向は、図中右方向に相当する。また、その軸線方向に直交する方向を「径方向」という。また、その軸線回りの円周方向を「周方向」という。
外方部20は、前進ギヤ15に形成されたボス部からなる。内方部30は、プロペラシャフト11の外周に結合されたカムリングからなる。内方部30の内周とプロペラシャフト11の外周は、スプライン嵌合によって一体に回転可能に連結されている。
前進ギヤ15のボス部は、軸線方向の両端で開口している。外方部20は、周方向全周に延びる円筒面21と、円筒面21よりも前方側の部位で円筒面21よりも小さな内径に形成された軸受座面22と、円筒面21よりも後方側の部位で円筒面21よりも大きな内径に形成されたガイド座面23とを有する。
内方部30は、図3、図4に示すように、円筒面21と周方向にくさび空間を形成するカム面31と、カム面31よりも前方側の部位でカム面31よりも小さな外径に形成された第一端部32と、カム面31よりも後方側の部位でカム面31よりも小さな外径に形成された第二端部33とを有する。
外方部20の外周の前方側とハウジング12の内周との間に軸受24が取り付けられている。軸受24は、外方部20をハウジング12に対して回転自在に支持するためのものである。
また、内方部30の第一端部32の外周と外方部20の軸受座面22との間に軸受34が取り付けられている。軸受34は、内方部30を外方部20に対して回転自在に支持するためのものである。
カム面31は、正多角形状の一辺の長さ方向に延びる平面状になっている。カム面31と円筒面21とで形成されるくさび空間は、カム面31の周方向中央から周方向両端に向かって次第に狭小となっている。なお、カム面31を複数の面で構成してもよいし、単一の曲面で構成することも可能である。
係合子40は、円筒面21とカム面31との間に配置されたローラからなる。係合子40は、円筒ころ状に形成されている。内方部30の外周には、周方向に間隔をおいて複数のカム面31が形成されている。すなわち、複数のくさび空間が形成され、各くさび空間に係合子40が配置されている。
カム面31と円筒面21との間の径方向の距離は、図5に示すように、カム面31の周方向中央に位置する係合子40(図5において実線で描いた。)の位置から周方向の一方向に向かって次第に小さくなり、また、当該係合子40の位置から周方向の他方向に向かって次第に小さくなっている。係合子40は、カム面31に対する保持器50の相対回転によって円筒面21及びカム面31に係合する係合位置(図5において一点鎖線で描いた位置)と、円筒面21及びカム面31との係合を解除する中立位置(図5において実線で描いた位置)との間を移動可能に配置されている。係合位置で円筒面21およびカム面31に係合した係合子40は、内方部30に対して保持器50が相対回転する際、内方部30と外方部20間で回転トルクを伝達する。
保持器50は、図3~図5に示すように、周方向に並ぶ複数の柱部51と、これら柱部51の前方側に連続する第一環部52と、これら柱部51の後方側に連続する第二環部53とを有する。周方向に隣り合う柱部51間の空間が、係合子40を収容する空間になっている。係合子40は、図4に例示するように、周方向に対向する柱部51との当接により、カム面31に対する周方向位置が制限され、また、保持器50と共に強制的に回転させられる。
図3に示すように、保持器50は、軸方向に沿った第一環部52から内方部30側へ出張ったフランジ部54を有する。フランジ部54は、保持器50の剛性向上に貢献する。保持器50の全体は、例えば、金属板を素材としたプレス加工や、粉末冶金によって一体に形成される。プレス加工で保持器50の全体的な形状を形成する場合、例えば、金属板として鋼板を用いることができる。
保持器50は、図1に示すように、フランジ部54の内周において内方部30の第一端部32の外周に回転自在に嵌合されている。フランジ部54と内方部30の前方側の段差面35との当接によって、保持器50の後方側への移動が規制される。また、内方部30の第一端部32の外周に取り付けられた止め輪36とフランジ部54との当接によって、保持器50の前方側への移動が規制される。
図3、図4に示す中立ばね60は、内方部30に対する保持器50の相対回転により弾性変形させられ、その復元弾性によって当該保持器50を復帰回転させる弾性部材からなる。中立ばね60は、係合子40が中立位置となるように保持器50を弾性的に保持する。
中立ばね60は、C形のリング部61と、リング部61の両端から保持器50側に向けて形成された一対の係合片部62とを有する金属ばねからなる。内方部30には、後方側に向かって開放した凹部37が形成されている。凹部37は、周方向の一部で断絶した形状の環状壁37aを有する。凹部37は、軸線方向に一定の深さをもっている。その凹部37内に中立ばね60が嵌っている。
中立ばね60のリング部61は、内方部30の第二端部33の外周に通され、環状壁37aの内側に嵌合されている。保持器50は、環状壁37aの断絶空間の外方に係合口部55を有する。一対の係合片部62は、環状壁37aの断絶空間(環状壁の周方向両端間の空間)及び係合口部55に挿入されている。一対の係合片部62は、環状壁37a、係合口部55を周方向の相反する方向に向かって押圧する。その押圧によって、保持器50は、係合子40が中立位置となる位相に保持される。
図3に示す中立ばね60は、保持器50と一体に回転するばね保持リング56によって凹部内に保たれている。ばね保持リング56は、内方部30の第二端部33の外周に嵌合されると共に、保持器50と一体に回転することができるように第二環部53に結合された板部材からなる。ばね保持リング56は、第二端部33の外周に取り付けられた止め輪38により、後方側への移動が阻止されている。
アーマチュア70は、内方部30の第二端部33の外周にスライド自在に嵌合された可動部材からなる。アーマチュア70は、径方向に沿いかつ全周に延びる環状側面を有する。アーマチュア70と保持器50は、ばね保持リング56を介して回り止めされている。ばね保持リング56の係合部が保持器50の第二環部53の切欠部及びアーマチュア70の係合孔部に挿入された回り止め構造になっている。なお、ばね保持リング56を省略し、アーマチュアに係合孔部を形成し、そこに保持器の係合突片を挿入する回り止め構造を採用することも可能である。
外方部20のガイド座面23に非磁性材製のロータガイド91が固定されている。ロータ90は、ロータガイド91に固定されている。
ロータガイド91は、略円筒状に形成されており、ガイド座面23に対する圧入によって固定されている。非磁性材として、例えば、アルミニウム合金等が挙げられる。
ロータ90は、内方円筒部92と、この内方円筒部92の外方に位置する外方円筒部93と、これら両円筒部92、93を繋ぐ端壁部94とを有する。ロータ90は、その外方円筒部93をロータガイド91の内周に圧入することによって外方部20と一体回転可能に固定されている。端壁部94は、径方向に沿いかつ全周に亘る環状面を有する。なお、アーマチュア70と電磁石80とロータ90間を循環する磁気回路がアーマチュア70と電磁石80間を往復する回数を増やしてアーマチュア70に対する磁気吸引力を強くするため、端壁部94を軸線方向に貫通し周方向に円弧状に延びる磁束遮断用のスリットが複数形成されている。
プロペラシャフト11とロータ90の内周との間に軸受95が配置されている。軸受95は、ロータ90をプロペラシャフト11に対して回転自在に支持するためのものである。
ロータ90は、ロータガイド91を介して外方部20に固定されることによって、強磁性材である鋼製の前進ギヤ15と非接触の状態に配置されている。ロータガイド91は、ロータ90に入った磁束がアーマチュア70に向かわずに前進ギヤ15への磁束漏洩することを防ぐ。
電磁石80は、ロータ90の内方円筒部92と外方円筒部93との間の空間に配置されている。電磁石80は、フィールドコア81と、フィールドコア81に支持されたコイル82とからなる。電磁石80は、そのフィールドコア81において静止部に固定されている。静止部は、前進ギヤ15と後進ギヤ16との間かつプロペラシャフト11の周囲を取り囲む位置に静止する隔壁12aになっている。隔壁12aは、ピニオンギヤ14と上下方向に対向する位置に設けられている。隔壁12aは、プロペラシャフト11を通す貫通口を有する板部材になっており、ハウジング12の内底面に固定されている。
離反ばね100は、アーマチュア70とロータ90の対向面間に介在している。アーマチュア70がロータ90から軸線方向に離反する量は、ロータ90とアーマチュア70間のエアギャップに相当する。このエアギャップは、止め輪38によるアーマチュア70の離反規制によって制限されている。 なお、プロペラシャフト11の軸線方向の移動は、軸受と、これら軸受の軸線方向移動を規制する構造とによってエアギャップよりも小さい範囲に規制されている。このため、電磁石80の無励磁時、プロペラシャフト11に軸線方向荷重が作用したとしても、離反ばね100に抗してロータ90とアーマチュア70の異常接触が生じることはない。
図1、図2に示す第一クラッチ17と第二クラッチ18は、互いの取り付け方向がプロペラシャフト11の軸線方向に関して正反対になっている点で異なるだけであり、第二クラッチ18は、クラッチ機構として第一クラッチ17と同一の構造を有する。このため、第二クラッチ18の詳細説明を省略し、対応の構成要素に同一符号を付す。
第一クラッチ17と第二クラッチ18に関する対称面は、ピニオンギヤ14の軸線を含む仮想平面である。第一クラッチ17の電磁石80は、隔壁12aの前方側に固定されている。第二クラッチ18の電磁石80は、隔壁12aの後方側に固定されている。これら電磁石80のコイル82に通電するための配線L7、L8は、一本のケーブルに纏められて、ECU3に接続されている。
前述のハイブリッド伝達経路は、電動モータ4の動力を第一クラッチ17及び第二クラッチ18から独立した経路でプロペラシャフト11に伝達する。
ハイブリッド伝達経路は、電動モータ4とプロペラシャフト11との間に減速機110を有する。減速機110は、電動モータ4の回転軸から入力された回転を減速する。減速機110は、電動モータ4と組み合わされたギヤボックスになっており、ギヤボックス内で減速した回転をプロペラシャフト11に出力する伝達軸111を有する。伝達軸111の外周とプロペラシャフト11の前方側の内周部は、スプライン嵌合によって一体に回転可能に連結されている。なお、電動モータ4及び伝達軸111をそれぞれプロペラシャフト11と同軸に配置した例を示したが、プロペラシャフト11と平行軸に配置することも可能であり、この場合、プロペラシャフト11の外周に設けたギヤ部にハイブリッド伝達経路の終端となるギヤ部を噛み合わせればよい。
第一クラッチ17、第二クラッチ18の動作について説明する(以下、図1~図5を適宜、参照のこと。)。ECU3によって電磁石80のコイル82への通電が遮断されている無励磁状態では、係合子40が中立位置にあり、保持器50は、中立ばね60のばね力により、カム面31に対して係合子40を中立位置に保つ位相に保持される。このため、内方部30(プロペラシャフト11)と外方部20(前進ギヤ15又は後進ギヤ16)間で相対回転が生じたとしても、内方部30と外方部20間ではトルクが伝達されず、内方部30と外方部20が相対的に空転(フリー回転)する。つまり、第一クラッチ17、第二クラッチ18は、係合子40が内方部30及び外方部20に係合不可な係合解除状態にある。
内方部30と外方部20の少なくとも一方が回転し、これら両部が相対的に回転する状態において、電磁石80のコイル82に通電すると、電磁石80が励磁状態になって、アーマチュア70が、離反ばね100に抗してロータ90に磁気的に吸着させられる。このとき、ロータ90とアーマチュア70の環状面同士が吸着させられるので、ロータ90とアーマチュア70の位相差を問わずに吸着させられる。そのロータ90とアーマチュア70の環状面間に作用する摩擦抵抗は中立ばね60のばね力よりも大きい。このため、アーマチュア70に対して回り止めされた保持器50から押される中立ばね60が弾性変形を生じて、保持器50が内方部30に対して相対回転する。その相対回転により、係合子40は、円筒面21とカム面31間のくさび空間の狭小部に押し込まれて円筒面21とカム面31に係合する。このため、内方部30と外方部20間では、係合子40を介してトルクが伝達される。このように、第一クラッチ17、第二クラッチ18は、係合解除状態から電磁的に、係合子40が内方部30及び外方部20に係合可能な係合状態に切り替えることができる。
このように係合状態へ切り替えて第一クラッチ17、第二クラッチ18の結合が行われるとき、外方部20と内方部30間の回転差が大きい状態であれば、係合子40が円筒面21とカム面31に係合するまでの間、係合子40が円筒面21に擦られて自転することで円筒面21とカム面31を滑り、回転が徐々に伝達される半係合状態を経てから係合するので、衝撃が抑えられる。
前述の係合状態において、ECU3が電磁石80のコイル82に対する通電を遮断すると、離反ばね100の押圧により、アーマチュア70がロータ90から離反させられる。アーマチュア70がロータ90から離反すると、中立ばね60のばね力により、保持器50が内方部30に対して係合時の逆方向に回転し、柱部51に押された係合子40が中立位置に戻る。このように、第一クラッチ17、第二クラッチ18は、係合状態から電磁的に、係合子40が内方部30及び外方部20に係合不可な解除状態に切り替えることができる。
ECU3は、第一クラッチ17の電磁石80に通電しかつ第二クラッチ18の電磁石80への通電を遮断する第一エンジン駆動モード実行機能と、第一クラッチ17の電磁石80への通電を遮断しかつ第二クラッチ18の電磁石80に通電する第二エンジン駆動モード実行機能と、第一クラッチ17及び第二クラッチ18の各電磁石80への通電を遮断する中立モード実行機能と、電動モータ4を正転させる第一電動モード実行機能と、電動モータ4を逆転させる第二電動モード実行機能とを有し、これら実行機能の中から一又は複数を選択して実行する。
ECU3が前述の信号に応じて第一エンジン駆動モード実行機能を実行する場合、前進ギヤ15とプロペラシャフト11間での回転伝達が第一クラッチ17を介して行われ、後進ギヤ16とプロペラシャフト11間での回転伝達が第二クラッチ18の空転で遮断されるので、船舶推進機1は、エンジン2の動力によりプロペラシャフト11を正転させて船体7を前進させることができる。
ECU3が前述の信号に応じて第二エンジン駆動モード実行機能を実行する場合、後進ギヤ16とプロペラシャフト11間での回転伝達が第二クラッチ18を介して行われ、前進ギヤ15とプロペラシャフト11間での回転伝達が第一クラッチ17の空転で遮断されるので、船舶推進機1は、エンジン2の動力によりプロペラシャフト11を逆転させて船体7を後進させることができる。
ECU3が前述の信号に応じて中立モード実行機能を実行する場合、第一クラッチ17の空転、第二クラッチ18の空転により、前進ギヤ15とプロペラシャフト11間、並びに後進ギヤ16とプロペラシャフト11間での回転伝達が遮断されるので、船舶推進機1は、エンジン2の動力によりプロペラシャフト11を回転させることができない。
ECU3が前述の信号に応じて中立モード実行機能に加えて第一電動モード実行機能又は第二電動モード実行機能を実行する場合、第一クラッチ17及び第二クラッチ18が空転し、電動モータ4の正転又は逆転がハイブリッド伝達経路を介してプロペラシャフト11に伝達されるので、船舶推進機1は、電動モータ4の動力によりプロペラシャフト11を正転又は逆転させて船体7を前進又は後進させることができる。
ECU3が前述の信号に応じて第一エンジン駆動モード実行機能と第一電動モード実行機能の両方を実行する場合、船舶推進機1は、エンジン2の動力及び電動モータ4の動力によりプロペラシャフト11を正転させて船体7を前進させることができる。
ECU3が前述の信号に応じて第二エンジン駆動モード実行機能と第二電動モード実行機能の両方を実行する場合、船舶推進機1は、エンジン2の動力及び電動モータ4の動力によりプロペラシャフト11を逆転させて船体7を後進させることができる。
上述のようなこの船舶推進機1は、プロペラ5と一体に回転するプロペラシャフト11と、エンジン2と、電動モータ4と、エンジン2の動力を伝達するピニオンギヤ14と、ピニオンギヤ14と噛み合う前進ギヤ15と、ピニオンギヤ14と噛み合う後進ギヤ16と、前進ギヤ15とプロペラシャフト11との間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチ17と、後進ギヤ16とプロペラシャフト11との間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチ18と、電動モータ4の動力を第一クラッチ17及び第二クラッチ18から独立した経路でプロペラシャフト11に伝達するハイブリッド伝達経路と、を備え、第一クラッチ17及び第二クラッチ18がそれぞれ対応の前進ギヤ15又は後進ギヤ16と一体に回転する外方部20と、外方部20の内側でプロペラシャフト11と一体に回転する内方部30と、外方部20と内方部30との間に配置された係合子40と、係合子40を保持する保持器50と、外方部20と内方部30の一方に対する保持器50の相対回転によって弾性変形させられる中立ばね60と、保持器50に対して回り止めされたアーマチュア70と、アーマチュア70に対向する電磁石80と、外方部20と内方部30の一方と反対の他方に対して回り止めされた状態でアーマチュア70に対向するロータ90と、アーマチュア70をロータ90から離反する方向に押圧する離反ばね100と、を有し、係合子40が保持器50の相対回転によって外方部20及び内方部30に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動させられるように配置されており、アーマチュア70が電磁石80に対する通電によってロータ90に磁気吸着させられる可動部材からなることにより、第一クラッチ17、第二クラッチ18では、電磁石80に対する通電によってアーマチュア70がロータ90との位相差を問わずに吸着させられ、そのアーマチュア70と共に保持器50が外方部20と内方部30の一方に対して相対回転させられ、その保持器50の相対回転によって係合子40が係合位置に移動させられ、その係合子40を介して外方部20と内方部30間で回転伝達が行われる。電磁石80に対する通電を遮断すれば、離反ばね100、中立ばね60の弾性反発により、係合子40が中立位置に戻るように保持器50が回転させられる。
すなわち、第一クラッチ17、第二クラッチ18は、それぞれ電磁石80でアーマチュア70をロータ90に吸着させることで係合状態に切り替わるものなので、アーマチュア70とロータ90間の位相差を許容した結合動作が可能であって、ドグクラッチのような歯飛びを起こす構造ではないので、外方部20と内方部30間に多少の回転差がある状態でも結合を行うことができる。
その第一クラッチ17の電磁石80に対して通電しかつ第二クラッチ18の電磁石80に対する通電を遮断した状態にすれば、エンジン2の動力を前進ギヤ15に伝達してプロペラシャフト11を回転させることができ、第二クラッチ18の電磁石80に対して通電しかつ第一クラッチ17の電磁石80に対する通電を遮断した状態にすれば、エンジン2の動力を後進ギヤ16に伝達してプロペラシャフト11を回転させることができる。
一方、第一クラッチ17及び第二クラッチ18の各電磁石80に対する通電を遮断した状態としかつ電動モータ4の動力をハイブリッド伝達経路でプロペラシャフト11に伝達すれば、電動モータ4の回転方向に応じてプロペラシャフト11を前進方向又は後進方向に回転させることができる。そのハイブリッド伝達経路は第一クラッチ17及び第二クラッチ18から独立した経路であるから、エンジン2の動力を第一クラッチ17又は第二クラッチ18がプロペラシャフト11に伝達する状態で電動モータ4の動力もプロペラシャフト11に伝達することができる。
このように、この船舶推進機1は、第一、第二クラッチ17、18の入出力間で多少の回転差がある状態でも結合を行うことが可能でありながら、エンジン2と電動モータ4の一方でも両方でもプロペラシャフト11を駆動可能なものにすることができる。
また、この船舶推進機1は、前進ギヤ15及び後進ギヤ16がプロペラシャフト11を取り囲みかつプロペラシャフト11の軸線方向に向き合っており、ピニオンギヤ14が前進ギヤ15と後進ギヤ16間に位置しており、第一クラッチ17及び第二クラッチ18がプロペラシャフト11の周囲かつ前進ギヤ15、後進ギヤ16及びピニオンギヤ14の内側に形成された空間に収容されていることにより、ピニオンギヤ14、前進ギヤ15及び後進ギヤ16を配置するためのスペースの軸線方向長さを利用して第一クラッチ17と第二クラッチ18を前進ギヤ15等とまとまりよく配置することになり、ひいては両クラッチ17、18をコンパクトに配置することができる。
また、この船舶推進機1は、前進ギヤ15と後進ギヤ16との間かつプロペラシャフト11の周囲を取り囲む位置に静止する隔壁12aをさらに備え、第一クラッチ17の電磁石80と第二クラッチ18の電磁石80が隔壁12aに固定されていることにより、前進ギヤ15、後進ギヤ16の内側に収容する第一クラッチ17、第二クラッチ18の各電磁石80を共通の静止壁に固定し、これら電磁石80に対する配線L7、L8を取り纏めることができる。
また、この船舶推進機1は、第一クラッチ17及び第二クラッチ18がそれぞれ対応の前進ギヤ15又は後進ギヤ16に固定された非磁性材製のロータガイド91を有し、第一クラッチ17のロータ90と第二クラッチ18のロータ90がそれぞれ対応のロータガイド91に固定されることによって前進ギヤ15又は後進ギヤ16と非接触の状態に配置されていることにより、前進ギヤ15又は後進ギヤ16と一体回転する外方部20と、前進ギヤ15又は後進ギヤ16の内側に配置するロータ90とをロータガイド91を介して回り止めしつつ、各電磁石80の磁界が対応のロータ90から強磁性材製の前進ギヤ15又は後進ギヤ16に漏洩することを抑えることができる。
また、この船舶推進機1は、外方部20と内方部30の他方が円筒面21を有し、外方部20と内方部30の一方が円筒面21と周方向にくさび空間を形成するカム面31を有し、係合子40が円筒面21とカム面31との間に配置されたローラからなることにより、外方部20と内方部30間の回転差が大きい状態で第一クラッチ17、第二クラッチ18の結合が行われるとき、係合子40が円筒面21とカム面31に係合するまでの間、係合子40が円筒面21に擦られて自転することで円筒面21とカム面31を滑り、回転が徐々に伝達される半係合状態を経るので、衝撃を抑えるのに有利である。
この発明の第二実施形態を図1、図6に基づいて説明する。なお、以下では、第一実施形態との相違点を述べるに留める。
第二実施形態に係る船舶推進機のハイブリッド伝達経路は、電動モータ4とプロペラシャフト11との間で回転の伝達と遮断を行う第三クラッチ120を有する。
第三クラッチ120は、電磁クラッチになっている。ECU3は、第三クラッチ120に対する通電も制御する。ECU3が第三クラッチ120に通電することで第三クラッチ120が結合すると、ハイブリッド伝達経路を介して電動モータ4とプロペラシャフト11間での回転の伝達が行われる。
第三クラッチ120は、クラッチ容量を抑えるため、電動モータ4と減速機110との間に配置されている。
エンジン2の動力のみでプロペラシャフト11が回転させられ、電動モータ4への電源供給が行われておらず、かつ第三クラッチ120が結合された状態では、プロペラシャフト11の回転力がハイブリッド伝達経路を経て電動モータ4に逆入力されるので、常に電動モータ4が回転させられ、これにより、電動モータ4で回生された電気エネルギをバッテリ(図示省略)に充電することができる。
一方、バッテリを充電する必要がない場合、電動モータ4による回生は、エンジン2の動力で回転させられるプロペラシャフト11にとって連れ回り抵抗となり、エンジン2の燃費悪化に繋がるため、このような場合、ECU3が第三クラッチ120への通電を遮断することにより、電動モータ4とプロペラシャフト11間での回転伝達を遮断すれば、電動モータ4の連れ回りを避けて燃費向上を図ることができる。
このように、第二実施形態に係るハイブリッド伝達経路は、電動モータ4とプロペラシャフト11との間で回転の伝達と遮断を行う第三クラッチ120を有することにより、エンジン2の動力のみをプロペラシャフト11に伝達させる場合に第三クラッチ120でプロペラシャフト11と電動モータ4間の回転伝達を遮断して、エンジン2の燃費を良くすることができる。
上述の各実施形態では、外方部と内方部の一方として内方部を選択し、他方として外方部を選択したため、内方部30にカム面31を形成し、円筒面21を外方部20に形成した例を示したが、これとは逆に外方部を一方とし、内方部を他方として、円筒面を内方部に形成し、カム面を外方部の内周部に形成することも可能であり、この場合、中立ばね、保持器を外方部に嵌合し、ロータを内方部に回り止めすればよい。
また、カム面31と円筒面21とで形成するくさび空間として周方向両側で狭くなる空間を採用して、第一、第二クラッチ17、18を正転方向と逆転方向のいずれにも結合可能なものとした例を示したが、第一クラッチ、第二クラッチは、正転方向と逆転方向のうち、対応の少なくとも一方向に結合可能なものであればよく、例えば、くさび空間を周方向片側だけで狭くすることで一方向クラッチに変更することが可能である。
また、係合子としてスプラグを採用することも可能であり、この場合、外方部の内周及び内方部の外周間に円環空間を形成し、保持器の相対回転によりスプラグの傾動位置を制御するようにしてもよい。
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。したがって、本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 船舶推進機
2 エンジン
4 電動モータ
5 プロペラ
11 プロペラシャフト
12 ハウジング
12a 隔壁
14 ピニオンギヤ
15 前進ギヤ
16 後進ギヤ
17 第一クラッチ
18 第二クラッチ
20 外方部
21 円筒面
30 内方部
31 カム面
40 係合子
50 保持器
60 中立ばね
70 アーマチュア
80 電磁石
90 ロータ
91 ロータガイド
100 離反ばね
120 第三クラッチ

Claims (6)

  1. プロペラと一体に回転するプロペラシャフトと、エンジンと、電動モータと、前記エンジンの動力を伝達するピニオンギヤと、前記ピニオンギヤと噛み合う前進ギヤと、前記ピニオンギヤと噛み合う後進ギヤと、前記前進ギヤと前記プロペラシャフトとの間で回転の伝達と遮断を行う第一クラッチと、前記後進ギヤと前記プロペラシャフトとの間で回転の伝達と遮断を行う第二クラッチと、前記電動モータの動力を前記第一クラッチ及び前記第二クラッチから独立した経路で前記プロペラシャフトに伝達するハイブリッド伝達経路と、を備え、
    前記第一クラッチ及び前記第二クラッチは、それぞれ対応の前記前進ギヤ又は前記後進ギヤと一体に回転する外方部と、前記外方部の内側で前記プロペラシャフトと一体に回転する内方部と、前記外方部と前記内方部との間に配置された係合子と、前記係合子を保持する保持器と、前記外方部と前記内方部の一方に対する前記保持器の相対回転によって弾性変形させられる中立ばねと、前記保持器に対して回り止めされたアーマチュアと、前記アーマチュアに対向する電磁石と、前記外方部と前記内方部の前記一方と反対の他方に対して回り止めされた状態で前記アーマチュアに対向するロータと、前記アーマチュアを前記ロータから離反する方向に押圧する離反ばねと、を有し、
    前記係合子は、前記保持器の相対回転によって前記外方部及び前記内方部に係合する係合位置と、当該係合を解除する中立位置との間を移動させられるように配置されており、
    前記アーマチュアは、前記電磁石に対する通電によって前記ロータに磁気吸着させられる可動部材からなる船舶推進機。
  2. 前記ハイブリッド伝達経路は、前記電動モータと前記プロペラシャフトとの間で回転の伝達と遮断を行う第三クラッチを有する請求項1に記載の船舶推進機。
  3. 前記前進ギヤ及び前記後進ギヤは、前記プロペラシャフトを取り囲みかつ前記プロペラシャフトの軸線方向に向き合っており、
    前記ピニオンギヤは、前記前進ギヤと前記後進ギヤ間に位置しており、
    前記第一クラッチ及び前記第二クラッチは、前記プロペラシャフトの周囲かつ前記前進ギヤ、前記後進ギヤ及び前記ピニオンギヤの内側に形成された空間に収容されている請求項1又は2に記載の船舶推進機。
  4. 前記前進ギヤと前記後進ギヤとの間かつ前記プロペラシャフトの周囲を取り囲む位置に静止する隔壁をさらに備え、
    前記第一クラッチの電磁石と前記第二クラッチの電磁石は、前記隔壁に固定されている請求項3に記載の船舶推進機。
  5. 前記第一クラッチ及び前記第二クラッチは、それぞれ対応の前記前進ギヤ又は前記後進ギヤに固定された非磁性材製のロータガイドを有し、前記第一クラッチのロータと前記第二クラッチのロータは、それぞれ対応の前記ロータガイドに固定されることによって前記前進ギヤ又は前記後進ギヤと非接触の状態に配置されている請求項3又は4に記載の船舶推進機。
  6. 前記外方部と前記内方部の前記他方は円筒面を有し、前記外方部と前記内方部の前記一方は前記円筒面と周方向にくさび空間を形成するカム面を有し、
    前記係合子は、前記円筒面と前記カム面との間に配置されたローラからなる請求項1から5のいずれか1項に記載の船舶推進機。
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